IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7540247エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム
<>
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図1
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図2
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図3
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図4
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図5
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図6
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図7
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図8
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図9
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図10
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図11
  • 特許-エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】エッジ装置、エッジ装置の通信制御方法、および通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20240820BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240820BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240820BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240820BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20240820BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20240820BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W52/02
H04W88/06
H04M1/00 R
H04W4/70
H04W12/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020143171
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038588
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】式見 遼
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149714(JP,A)
【文献】特表2018-522492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
H04M1/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信でサーバ装置と通信する第1無線通信手段と、
前記第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信で前記サーバ装置と通信する第2無線通信手段と、
前記第2無線通信で通信しないときに前記第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動する電源制御手段と、
映像を撮影する撮影手段と、
前記映像を解析して不審者の映り込みの有無を判定する特徴判定手段とを備え、
前記第1無線通信手段は、前記映像に不審者の映り込みがあると判定された場合、前記第2無線通信を有効化するeSIMを要求するeSIM要求メッセージを前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置から前記eSIMを受信し、
前記第2無線通信手段は、前記第2無線通信手段の起動後、前記eSIMで前記第2無線通信を有効化し、高速無線通信により前記映像を前記サーバ装置に送信する
エッジ装置。
【請求項2】
前記撮影手段は画像を撮影し、
前記特徴判定手段は、前記画像を解析して不審者の映り込みの有無を判定し、
前記第2無線通信手段は、前記画像を前記サーバ装置に送信する
請求項1に記載のエッジ装置。
【請求項3】
前記第2無線通信手段は、前記第2無線通信による通信が終了後、前記eSIMの有効化を解除し、
前記第1無線通信手段は、前記有効化の解除後、前記eSIMの使用完了通知を前記サーバ装置に送信する、
請求項1または2に記載のエッジ装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記第2無線通信による前記サーバ装置との通信が終了すると、前記第2無線通信手段を停止する、
請求項1から3のいずれか1つに記載のエッジ装置。
【請求項5】
前記第1無線通信は、省電力広域無線通信である、
請求項1から4のいずれか1つに記載のエッジ装置。
【請求項6】
映像を撮影し、
前記映像を解析して不審者の映り込みの有無を判定し、
前記映像に不審者の映り込みがあると判定された場合、第1無線通信で第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信を有効化するeSIMを要求するeSIM要求メッセージをサーバ装置に送信し、前記サーバ装置から前記eSIMを受信し、
前記第2無線通信で通信しないときに第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動し、前記第2無線通信手段の起動後、前記eSIMで前記第2無線通信を有効化し、高速無線通信により前記映像を前記サーバ装置に送信する
エッジ装置の通信制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
第1無線通信でサーバ装置と通信する第1無線通信手段、
前記第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信で前記サーバ装置と通信する第2無線通信手段、
前記第2無線通信で通信しないときに第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動する電源制御手段、
映像を撮影する撮影手段、
前記映像を解析して不審者の映り込みの有無を判定する特徴判定手段、
として機能させ、
前記第1無線通信手段は、前記映像に不審者の映り込みがあると判定された場合、前記第2無線通信を有効化するeSIMを要求するeSIM要求メッセージを前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置から前記eSIMを受信し、
前記第2無線通信手段は、前記第2無線通信手段の起動後、前記eSIMで前記第2無線通信を有効化し、高速無線通信により前記映像を前記サーバ装置に送信する
通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、IoTシステムのエッジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IoTシステムは、現地に配置したエッジ装置と、オンプレミス環境やクラウド環境に構築したバックエンドサーバをインターネットで接続して構築される。システムの要件によって、エッジ装置は屋外に設置され、無線通信を用いてインターネットに接続される(特許文献1)。
【0003】
近年、LPWA(Low Power Wide Area)を始めとするIoT(Internet of Things)での利用を意識した低消費電力かつ低価格な省電力広域無線通信が登場してきている(特許文献2)。LPWAは通信帯域を狭くすることで低消費電力と低価格を実現している。このため、微小なセンサデータの通信には使用されるが、センサデータが大容量になるとLTE(Long Term Evolution)(登録商標)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)(登録商標)のような高速無線通信を併用することになる。特許文献3には、低消費電力と高消費電力の2種類の無線回線で携帯端末同士が通信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-215631号公報
【文献】国際公開第2019/054372号
【文献】特開2018-019321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IoTシステムの構築と運用において、LPWAのような省電力広域無線通信を用いるエッジ装置は、LTEと比べ消費電力又は回線費用の低さがメリットとなる。しかし、IoTシステムを大容量の通信を行うユースケースで適用する場合、LTEのような高速無線通信と併用せざるを得なくなる。このため、2種類の無線通信を搭載するエッジ装置は、消費電力又は回線費用のメリットを失うことになる。
【0006】
本開示の目的の1つは、2種類の無線通信を搭載するエッジ装置の消費電力を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のエッジ装置の一態様は、第1無線通信でサーバ装置と通信する第1無線通信手段と、前記第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信で前記サーバ装置と通信する第2無線通信手段と、前記第2無線通信で通信しないときに前記第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動する電源制御手段と、を備える。
【0008】
本開示のエッジ装置の通信制御方法の一態様は、第1無線通信でサーバ装置と通信し、前記第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信で前記サーバ装置と通信し、前記第2無線通信で通信しないときに前記第2無線通信で通信する第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動する。
【0009】
本開示の通信制御プログラムは、コンピュータを、第1無線通信でサーバ装置と通信する第1無線通信手段、前記第1無線通信より通信速度が速くかつ消費電力が大きい第2無線通信で前記サーバ装置と通信する第2無線通信手段、前記第2無線通信で通信しないときに前記第2無線通信手段を停止し、前記第2無線通信で通信するときに前記第2無線通信手段を起動する電源制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示のエッジ装置等によれば、2種類の無線通信を搭載するエッジ装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るIoTシステムの概要を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るエッジ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係るエッジ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態におけるeSIM情報を表す図である。
図6】第2の実施形態に係る防犯システムの構成の一例を示すブロック図である。
図7】第2の実施形態に係る防犯システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】第2の実施形態に係る防犯システムの動作を示すシーケンス図である。
図9】第3の実施形態に係るIoTシステムの構成を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態に係るIoTシステムの動作を示すシーケンス図である。
図11】第3の実施形態に係るIoTシステムの動作を示すシーケンス図である。
図12】コンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るIoTシステムについて図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係るIoTシステムの概要を示す図である。第1の実施形態に係るIoTシステムは、現場に配置された複数のエッジ装置101と、クラウド環境又はオンプレミス環境に構築されたサーバ装置105を備える。各エッジ装置101は、インターネット104を介してサーバ装置105と接続される。
【0013】
エッジ装置101は、低速無線通信と高速無線通信を可能とする2つの無線通信部を備える。エッジ装置101は、低速無線アクセスポイント102又は高速無線アクセスポイント103のそれぞれ異なる通信経路でサーバ装置105と通信可能に接続される。エッジ装置101は、低速無線通信を常に有効とし、高速無線通信を必要時に有効にする。
【0014】
第1の実施形態に係るエッジ装置101について、図面を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るエッジ装置101の構成を示すブロック図である。エッジ装置101は、低速無線通信部51、高速無線通信部52、電源制御部53を備える。
【0015】
低速無線通信部51は、通信速度は低速だが通信費用が安価で低消費電力な無線通信で通信する。低速無線通信部51の無線通信規格の一例は、LPWAである。低速無線通信部51は、小容量のデータを通信する。例えば、eSIM要求メッセージを低速無線アクセスポイント102を介してサーバ装置105に送信する。
【0016】
また、低速無線通信部51は、サーバ装置105から送信されたeSIMを低速無線通信で受信する。なお、低速無線通信部51は、第1無線通信部と称す場合がある。
【0017】
高速無線通信部52は、通信速度は高速だが通信費用が高価で高消費電力な無線通信で通信する。高速無線通信部52の無線通信規格の一例は、LTEである。高速無線通信部52は大容量のデータを通信する。高速無線通信部52は、例えば、画像又は映像をサーバ装置105に送信する。
【0018】
また、高速無線通信部52は、例えば、サーバ装置105からエッジ装置101のファームウェアを受信する。なお、高速無線通信部52は、第2無線通信部と称する場合がある。
【0019】
一般に通信事業者が提供する無線通信をエッジ装置が利用する場合、エッジ装置101と契約回線を紐付けるために、契約済みのSIMがエッジ装置101に適用される。エッジ装置101の高速無線通信部52には、契約済みeSIM(以下、単にeSIMと称する)が適用される。
【0020】
電源制御部53は、高速無線通信部52の起動と停止を制御する。電源制御部53は、高速無線通信で通信しないときに高速無線通信部52を停止し、高速無線通信で通信するときに高速無線通信部52を起動する。
【0021】
電源制御部53は、高速無線通信部52の起動後、低速無線通信部51にeSIM要求メッセージの送信を指示してもよい。eSIM要求メッセージは、低速無線アクセスポイント102を経由してサーバ装置105に送信される。eSIM要求メッセージには、自装置の識別子であるエッジ装置識別子が含まれる。
【0022】
また、電源制御部53は、高速無線通信部52の停止後、低速無線通信部51にeSIMの使用完了通知の送信を指示してもよい。使用完了通知は、低速無線アクセスポイント102を経由してサーバ装置105に送信される。使用完了通知には、自装置の識別を示すエッジ装置識別子、及び、使用を完了したeSIMの識別を示すeSIM識別子の少なくとも一方が含まれる。
【0023】
第1の実施形態に係るエッジ装置の動作の一例について図面を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係るエッジ装置101の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS11の前では、高速無線通信部52は停止しているものとする。エッジ装置101が高速無線通信を使用する場合(ステップS11のYes)、低速無線通信部51がeSIM要求メッセージをサーバ装置105に送信する。電源制御部53は、高速無線通信部52を起動する(ステップS12)。起動後、高速無線通信部52は、低速無線通信で取得したeSIMで高速無線通信を有効化する。高速無線通信部52は、高速無線通信で通信する(ステップS13)。
【0024】
高速無線通信の有効化後、エッジ装置101が、高速無線通信を使用しない場合(ステップS14のNo)、高速無線通信部52は、高速無線通信の有効化を解除する。有効化の解除後、電源制御部53は、高速無線通信部を停止する(ステップS15)。低速無線通信部51は、サーバ装置105にeSIMの使用完了通知を送信する。
【0025】
次に、第1の実施形態に係るサーバ装置105について図面を用いて説明する。サーバ装置105は、エッジ装置101のeSIM要求メッセージに基づき、エッジ装置101にeSIMを送信する。さらに、サーバ装置105は、エッジ装置101のeSIMの使用完了通知に基づき、eSIM情報を更新する。図4は、第1の実施形態に係るサーバ装置105の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すサーバ装置105は、eSIM管理部61、通信部62を備える。
【0026】
eSIM管理部61は、eSIM情報を管理する。例えば、eSIM管理部61は、サーバ装置105と接続されたeSIM蓄積装置107のeSIM情報を更新する。具体的には、eSIM管理部61は、eSIM蓄積装置107に同時通信分の数量のeSIMを登録する。なお、登録されるeSIMの数量は、現場に配置される各エッジ装置101が同時に高速無線通信を使用できる回線数となる。eSIM管理部61はeSIM蓄積装置107から登録したeSIMを削除してもよい。
【0027】
eSIM管理部61は、eSIM情報を用いて、エッジ装置101に割当てるeSIMを決定し、eSIM情報を更新する。あるいは、eSIM管理部61は、エッジ装置101からのeSIMの使用完了通知に基づき、eSIM情報を更新する。
【0028】
eSIM蓄積装置107は、エッジ装置101で使用する高速無線通信用のeSIM情報を格納する。eSIM情報は、エッジ装置101で使用するeSIMを管理する情報である。例えば、eSIM情報は、eSIM識別子、利用状況、エッジ装置識別子を含む。
【0029】
図5は、第1の実施形態におけるeSIM情報の一例を示す図である。eSIM識別子は、例えば、「eSIM-1」「eSIM-2」である。利用状況は、例えば、「使用中」、「未割当」である。使用中とは、eSIMがエッジ装置101に割り当てられていることを示す。未割当とは、eSIMがエッジ装置101に割り当てられていないことを示す。エッジ装置識別子は、例えば、「エッジ装置A」である。
【0030】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態のエッジ装置101において、電源制御部53は、高速無線通信で通信しないときに高速無線通信部52を停止し、高速無線通信で通信するときに高速無線通信部52を起動する。これにより、高速無線通信が必要な時に、高速無線通信部52を起動することで、高速無線通信部52による電力消費が抑えられ、2種類の無線通信部を搭載するエッジ装置の消費電力を低減することができる。
【0031】
さらに、第1の実施形態のエッジ装置101において、低速無線通信部51は、高速無線通信を有効化するeSIMを要求するeSIM要求メッセージをサーバ装置105に送信して、サーバ装置105からeSIMを受信する。高速無線通信部52は、高速無線通信部52の起動後、受信したeSIMで高速無線通信を有効化する。このように高速無線通信を有効化するeSIMをバックエンドのサーバ装置側にプーリングしておき、複数のエッジ装置101のうち、高速通信が必要なエッジ装置101に対してeSIMを配信して適用する。さらに、eSIMを割り当てられたエッジ装置が高速無線通信によるデータ送信を終了した後、当該エッジ装置からeSIMを解除する。これにより、eSIMを異なるエッジ装置に割り当てることが可能となり、高速無線通信の契約回線数をエッジ装置の台数よりも減らし、高速無線通信に関連する費用を削減することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る防犯システムについて図面を用いて説明する。第2の実施形態に係る防犯システムは、第1の実施形態に係るIoTシステムを、防犯カメラを用いて不審者を検出する防犯システムに適用した例である。
【0033】
図6は、第2の実施形態に係る防犯システムの構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態に係る防犯システムにおいて、現場には、エッジ装置206A、エッジ装置206Bが配置され、クラウド環境又はオンプレミス環境に構築されたサーバ装置201、eSIM蓄積装置202が配置される。エッジ装置206A、エッジ装置206Bは、インターネット203を介してサーバ装置201と接続される。
【0034】
エッジ装置206A、Bは、同様の構成のため、以下は、エッジ装置206Aで説明する。エッジ装置206Aは、低速無線通信部207、高速無線通信部208、電源制御部209、特徴判定部210、撮影部211を備える。エッジ装置206Aは、低速無線アクセスポイント204又は高速無線アクセスポイント205のそれぞれ異なる通信経路でサーバ装置201と通信可能に接続される。
【0035】
低速無線通信部207、高速無線通信部208、電源制御部209は、第1の実施形態の低速無線通信部51、高速無線通信部52、電源制御部53とそれぞれ同様な機能を有する。このため、低速無線通信部207、高速無線通信部208、電源制御部209についての詳細な説明は省略する。なお、低速無線通信部207は、第1無線通信部と称し、高速無線通信部208は、第2無線通信部と称す場合がある。高速無線通信部208は、撮影部211で撮影した画像又は映像をサーバ装置201に送信する。また、高速無線通信部208には、eSIMが適用される。
【0036】
撮影部211は、現場で人の画像又は映像を撮影する。撮影部211は、例えば、デジタルカメラである。撮影した画像又は映像は、撮影部211から特徴判定部210に送られる。特徴判定部210は、撮影した画像又は映像を解析し、不審者の映り込みの有無を判定する。特徴判定部210は、例えば、人の行動パターンの定量化と自動分類により不審者を判定する。特徴判定部210は、不審者が映る画像又は映像を高速無線通信部52に送る。
【0037】
サーバ装置201、eSIM蓄積装置202は、第1の実施形態のサーバ装置105、eSIM蓄積装置107とそれぞれ同様な機能を有する。このため、サーバ装置201、eSIM蓄積装置202についての詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、第2の実施形態に係る防犯システムの動作について説明する。図7図8は、第2の実施形態に係る防犯システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0039】
サーバ装置201は、現場に配置された複数のエッジ装置206が同時に通信可能な数量のeSIMをeSIM蓄積装置202に登録する(ステップS21)。eSIMの登録処理は、エッジ装置206からのeSIM要求メッセージを受信する前までに完了させる。
【0040】
現場に設置されたエッジ装置206Aの撮影部211は、人の画像又は映像を撮影する(ステップS22)。撮影した画像又は映像は撮影部211から特徴判定部210に送られる。特徴判定部210は、撮影した画像又は映像を解析し、不審者の映り込みの有無を判定する(ステップS23)。
【0041】
画像又は映像に不審者の映り込みが有ると判定された場合(ステップS24のYes)、低速無線通信部207は、高速無線通信のeSIMを要求するeSIM要求メッセージを低速無線通信でサーバ装置201に送信する(ステップS25)。eSIM要求メッセージは、低速無線アクセスポイント204を介してサーバ装置201に送られる。
【0042】
一方、不審者の映り込みが無いと判定された場合(ステップS24のNo)、撮影部211による撮影(ステップS21)に戻る。
【0043】
サーバ装置201は、低速無線通信で送信されたeSIM要求メッセージを受信する(ステップS26)。サーバ装置201は、eSIM蓄積装置202のeSIM情報に基づき、エッジ装置に未割当(現場のエッジ装置に割り当てされていない)のeSIMを取得する(ステップS27)。例えば、サーバ装置201は、eSIM蓄積装置202のeSIM情報に基づき、「未割当」状態のeSIMを取得する。サーバ装置201は、取得したeSIMに対応するeSIM情報の利用状況を「使用中」に更新する。サーバ装置201は、取得したeSIMをエッジ装置206Aに送信する(ステップS28)。このとき、通信回線は、低速無線アクセスポイント204を介した低速無線通信が使用される。
【0044】
エッジ装置206Aは、eSIMを低速無線通信で受信する(ステップS29)。eSIMを受信した後、図8に示すように、エッジ装置206Aの電源制御部209は、エッジ装置206Aの高速無線通信部208を起動する。高速無線通信部208は、受信したeSIMで高速無線通信を有効化する(ステップS30)。有効化(アクティベーション)した後、高速無線通信部208は、高速無線通信を開始する。
【0045】
高速無線通信部208は、撮影部211からサーバ装置201に送信する不審者の映る画像又は映像を取得する。高速無線通信部208は、取得した画像又は映像を高速無線アクセスポイント205を介して高速無線通信でサーバ装置201に送信する。
【0046】
画像又は映像の送信終了後、エッジ装置206Aは、高速無線通信部208のeSIMの有効化を解除する(ステップS33)。その後、電源制御部209は、高速無線通信部208を停止する(ステップS34)。低速無線通信部207は、有効化を解除したeSIMの使用完了通知を低速無線通信でサーバ装置201に送信する(ステップS35)。
【0047】
サーバ装置201は、低速無線通信で送信されたeSIMの使用完了通知を受信する(ステップS36)。サーバ装置201は、受信した使用完了通知を、eSIM蓄積装置202に送信する。サーバ装置201は、使用完了通知に含まれるエッジ装置識別子、又はeSIM識別子に対応するeSIM情報の利用状況を「使用中」から「未割当」に変更する。
【0048】
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態のエッジ装置206も第1の実施形態と同様に、高速無線通信が必要な時に、高速無線通信部208を起動することで、高速無線通信部208による電力消費が抑えられる。これにより2種類の無線通信部を搭載するエッジ装置の消費電力を低減することができる。
【0049】
さらに、第2の実施形態のエッジ装置206も、第1の実施形態と同様に高速無線通信を有効化するeSIMをバックエンドのサーバ装置側にプーリングしておき、複数のエッジ装置206のうち、高速通信が必要なエッジ装置206に対してeSIMを配信して適用する。さらに、eSIMを割り当てられたエッジ装置が高速無線通信によるデータ送信を終了した後、当該エッジ装置からeSIMを解除する。これにより、eSIMを異なるエッジ装置に割り当てることが可能となり、高速無線通信の契約回線数をエッジ装置の台数よりも減らし、高速無線通信に関連する費用を削減することができる。
【0050】
また、第2の実施形態によれば、防犯システムのように画像又は映像をサーバ装置等に送信するシステムにIoTシステムを適用する際に、エッジ装置の消費電力を抑えることができるため、エッジ装置のバッテリを小型化でき、装置本体の大きさ、コストも削減できる。さらに、高速無線通信の契約回線数を減らすことで防犯システム運用のコストも抑えることが可能となる。
【0051】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るIoTシステムについて説明する。第3の実施形態に係るIoTシステムは、クラウド/オンプレミス環境のサーバ装置が、現場のエッジ装置に高速無線通信を使用してアップデートファイルを送信する例である。アップデートファイルは、例えば、エッジ装置のファームウェアである。
【0052】
エッジ装置にデータ容量の大きいアップデートファイルを配信する場合は、エッジ装置からサーバ装置に高速無線通信のeSIMの配信を要求するメッセージを送信する必要はなくなる。一方、アップデートファイルをエッジ装置数に一斉配信すると、eSIM蓄積装置に蓄積するeSIMが不足する。このため、アップデートファイルの配信順序を制御する配信順序制御装置をクラウドオンプレミスに配置する構成を取る。
【0053】
図9は、第3の実施形態に係るIoTシステムの構成の一例を示すブロック図である。第3の実施形態に係る防犯システムにおいて、現場には、エッジ装置307A、エッジ装置307B、エッジ装置307Cが配置され、クラウド環境又はオンプレミス環境に構築されたサーバ装置301、配信順序制御装置302、eSIM蓄積装置303が配置される。エッジ装置307A、エッジ装置307B、エッジ装置307Cは、インターネット203を介してサーバ装置301と接続される。
【0054】
エッジ装置307A、B、Cは、同様の構成のため、以下は、エッジ装置307Aで説明する。エッジ装置307Aは、低速無線通信部308、高速無線通信部309、電源制御部310を備える。エッジ装置307Aは、低速無線アクセスポイント305又は高速無線アクセスポイント306のそれぞれ異なる通信経路でサーバ装置301と通信可能に接続される。
【0055】
低速無線通信部308、高速無線通信部309、電源制御部310は、第1の実施形態の低速無線通信部51、高速無線通信部52、電源制御部53とそれぞれ同様な機能を有する。このため、低速無線通信部308、高速無線通信部309、電源制御部310についての詳細な説明は省略する。なお、低速無線通信部308は、第1無線通信部と称し、高速無線通信部309は、第2無線通信部と称す場合がある。また、高速無線通信部309には、eSIMが適用される。
【0056】
サーバ装置301、eSIM蓄積装置303は、第1の実施形態のサーバ装置105、eSIM蓄積装置107とそれぞれ同様な機能を有する。このため、サーバ装置301、eSIM蓄積装置303についての詳細な説明は省略する。配信順序制御装置302は、eSIM蓄積装置303のeSIM情報を参照して、アップデートファイルをエッジ装置に送信する順序を決定する。例えば、配信順序制御装置302は、eSIM蓄積装置303に蓄積するeSIMが不足しないようにするため、使用中、および、アップデートで使用するeSIMの数量を考慮して残りのeSIMの数量が一定に保たれるように順序を決定してもよい。
【0057】
配信順序制御装置302は、決定された順序に基づき、サーバ装置301にアップデートファイルの送信指示を送り、サーバ装置301は、配信順序制御装置302からの指示に基づき、アップデートファイルの配布処理を開始する。
【0058】
次に、第3の実施形態に係るIoTシステムの動作について説明する。図10図11は、第3の実施形態に係るIoTシステムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0059】
サーバ装置301は、アップデートファイルの送信指示を配信順序制御装置302から受信する(ステップS41)。次に、アップデートファイルを格納する記憶装置(図示せず)から送信指示に対応するアップデートファイルを取得する(ステップS42)。サーバ装置301は、eSIM蓄積装置303のeSIM情報に基づき、エッジ装置に未割当(現場のエッジ装置に割り当てされていない)のeSIMを取得する(ステップS43)。サーバ装置301は、取得したeSIMをエッジ装置307Aに送信する(ステップS44)。サーバ装置301は、取得したeSIMに対応するeSIM情報の利用状況を「使用中」に更新する。
【0060】
エッジ装置307Aは、eSIMを低速無線通信で受信する(ステップS45)。eSIMを受信した後、エッジ装置307Aの電源制御部310は、エッジ装置307Aの高速無線通信部309を起動する。高速無線通信部309は、受信したeSIMで高速無線通信を有効化する(ステップS46)。有効化した後、高速無線通信部309は、高速無線通信を開始する。エッジ装置307Aは、ファイル受付開始通知をサーバ装置301に送信する。ファイル受付開始通知は、高速無線通信が有効化されたことを示す通知である。
【0061】
サーバ装置301は、ファイル受付開始通知を受信する(ステップS48)。サーバ装置301は、アップデートファイルを高速無線通信でアップデートファイルを送信する(ステップS49)。
【0062】
高速無線通信部309は、取得した画像又は映像を高速無線アクセスポイント306を介して高速無線通信でアップデートファイルを受信する(ステップS50)。アップデートファイルの受信完了後、エッジ装置307Aは、高速無線通信部309のeSIMの有効化を解除する(ステップS51)。その後、電源制御部310は、高速無線通信部309を停止する(ステップS52)。低速無線通信部308は、有効化を解除したeSIMの使用完了通知を低速無線通信でサーバ装置301に送信する(ステップS53)。エッジ装置307Aは、受信したアップデートファイルを用いてアップデートを実行する。
【0063】
サーバ装置301は、低速無線通信で送信されたeSIMの使用完了通知を受信する(ステップS54)。サーバ装置301は、受信した使用完了通知を、eSIM蓄積装置303に送信する。サーバ装置301は、使用完了通知に含まれるエッジ装置識別子、又はeSIM識別子に対応するeSIM情報の利用状況を「使用中」から「未割当」に変更する。
【0064】
(ハードウェア構成)
図12は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0065】
第1の実施形態のエッジ装置101、サーバ装置105、第2の実施形態のエッジ装置206、第3の実施形態のエッジ装置307の構成の少なくとも一部は、プログラムが図10に示すコンピュータのCPU(Central Processing Unit)において実行されることにより実現されてもよい。例えば、エッジ装置101の電源制御部53、サーバ装置105のeSIM管理部61等の構成要素の機能プログラムを実行することにより実現できる。
【0066】
これらの構成要素は、CPUがROM(Read Only Memory)92あるいはハードディスクドライブ95からプログラム94を読み込み、読み込んだプログラム94を、例えば図7図8に示すシーケンス図の手順の如くCPU91、及び、RAM(Random Access Memory)93を用いて実行することにより実現されてもよい。そして、このような場合において、上述した実施形態を例に説明したコンピュータプログラムを表すコードが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されると捉えることができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えばハードディスクドライブ95、不図示のメモリカードなどである。なお、エッジ装置、サーバ装置の構成要素は、集積回路による専用のハードウェアであってもよい。
【0067】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0068】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本開示を説明した。しかしながら、本開示は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本開示は、本開示のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
101 エッジ装置
102 低速無線アクセスポイント
103 高速無線アクセスポイント
104 インターネット
105 サーバ装置
107 eSIM蓄積装置
201 サーバ装置
202 eSIM蓄積装置
203 インターネット
204 低速無線アクセスポイント
205 高速無線アクセスポイント
206A エッジ装置
206B エッジ装置
207 低速無線通信部
208 高速無線通信部
209 電源制御部
210 特徴判定部
211 撮影部
301 サーバ装置
302 配信順序制御装置
303 eSIM蓄積装置
304 インターネット
305 低速無線アクセスポイント
306 高速無線アクセスポイント
307A エッジ装置
307B エッジ装置
307C エッジ装置
308 低速無線通信部
309 高速無線通信部
310 電源制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12