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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/06 20060101AFI20240820BHJP
   F04C 14/26 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F04C15/06 C
F04C14/26 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020158916
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052492
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
(72)【発明者】
【氏名】永井 友三
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140659(JP,A)
【文献】特開2012-002182(JP,A)
【文献】特開2018-141400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/06
F04C 14/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と、
前記モータ部に連結されたポンプ機構と、
前記ポンプ機構を収容するポンプ室、前記ポンプ室に繋がる吸入流路、前記ポンプ室に繋がる吐出流路、および前記吐出流路から前記吸入流路まで延びるリリーフ流路を有するハウジングと、
前記リリーフ流路に設けられたリリーフバルブと、
を備え、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外部に開口する吸入開口部を有し、
前記吸入流路は、
前記吸入開口部から延びる第1吸入流路部と、
前記第1吸入流路部から屈曲して延びる第2吸入流路部と、
を有し、
前記リリーフ流路は、
前記吐出流路から延び、且つ前記モータの軸方向に延びる第1リリーフ流路部と、
前記第1リリーフ流路部から前記吸入流路まで延びる第2リリーフ流路部と、
を有し、
前記リリーフバルブは、前記モータの軸方向に延び、前記第1リリーフ流路部と前記第2リリーフ流路部とが互いに繋がる状態と、前記第1リリーフ流路部と前記第2リリーフ流路部とが互いに遮断された状態と、を切り替え可能であり、
前記第2リリーフ流路部は、前記吸入流路のうち前記第1吸入流路部と前記第2吸入流路部との接続部分または前記第1吸入流路部に繋がっており、
前記第2リリーフ流路部は、
前記第1リリーフ流路部から前記モータの径方向に延びる第1部分と、
前記第1部分から屈曲して前記モータの軸方向に延び、前記吸入流路に繋がる第2部分と、
を有し、
前記第1リリーフ流路部は前記第1部分よりも長い、
電動ポンプ。
【請求項2】
前記第2リリーフ流路部のうち前記吸入流路に繋がる部分は、前記第2吸入流路部が延びる方向と同じ方向に延び、前記吸入流路のうち前記第1吸入流路部と前記第2吸入流路部との接続部分に繋がっている、請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記吸入流路は、前記第2吸入流路部から屈曲して延びる第3吸入流路部を有する、請求項1または2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記第2吸入流路部と前記第3吸入流路部との接続部分から、前記第2吸入流路部が延びる方向と同じ方向に延びる第1凹部を有する、請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記第3吸入流路部は、前記第2吸入流路部が延びる方向と直交する方向に延びている、請求項3または4に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記第1部分と前記第2部分との接続部分から、前記第1部分が延びる方向と同じ方向に延びる第2凹部を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項7】
前記リリーフバルブは、前記第1リリーフ流路部に設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
吐出流路から吐出された流体の一部をポンプ室に戻す構造を有する電動ポンプが知られている。例えば、特許文献1には、そのような電動ポンプとして、自動車エンジン等の潤滑用のオイルを供給するために使用される電動ポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-162146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動ポンプにおいては、吐出流路からポンプ室に戻された流体の一部によってポンプ室内の流体の圧力が変動し、吐出流路から吐出される流体の圧力が脈動する場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、吐出流路から吐出される流体の圧力の脈動を抑制できる構造を有する電動ポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動ポンプの一つの態様は、モータ部と、前記モータ部に連結されたポンプ機構と、前記ポンプ機構を収容するポンプ室、前記ポンプ室に繋がる吸入流路、前記ポンプ室に繋がる吐出流路、および前記吐出流路から前記吸入流路まで延びるリリーフ流路を有するハウジングと、前記リリーフ流路に設けられたリリーフバルブと、を備える。前記ハウジングは、前記ハウジングの外部に開口する吸入開口部を有する。前記吸入流路は、前記吸入開口部から延びる第1吸入流路部と、前記第1吸入流路部から屈曲して延びる第2吸入流路部と、を有する。前記リリーフ流路は、前記吐出流路から延びる第1リリーフ流路部と、前記第1リリーフ流路部から前記吸入流路まで延びる第2リリーフ流路部と、を有する。前記リリーフバルブは、前記第1リリーフ流路部と前記第2リリーフ流路部とが互いに繋がる状態と、前記第1リリーフ流路部と前記第2リリーフ流路部とが互いに遮断された状態と、を切り替え可能である。前記第2リリーフ流路部は、前記吸入流路のうち前記第1吸入流路部と前記第2吸入流路部との接続部分または前記第1吸入流路部に繋がっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動ポンプにおいて、吐出流路から吐出される流体の圧力の脈動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の電動ポンプを示す部分断面図である。
図2図2は、本実施形態の各流路を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態の電動ポンプの一部を示す断面図であって、図1におけるIII-III断面図である。
図4図4は、本実施形態の電動ポンプの一部を示す断面図であって、図1におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、本実施形態の電動ポンプの一部を示す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図には、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸およびY軸に直交するZ軸と、を示している。以下の説明においては、Z軸に平行な方向を「上下方向」と呼び、Y軸に平行な方向を「左右方向」と呼び、X軸に平行な方向を「前後方向」と呼ぶ。上下方向と左右方向と前後方向とは、互いに直交する方向である。
【0010】
上下方向のうち、Z軸の矢印が向く正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸の矢印が向く側と逆側の負の側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。左右方向のうち、Y軸の矢印が向く正の側(+Y側)を「左側」と呼び、Y軸の矢印が向く側と逆側の負の側(-Y側)を「右側」と呼ぶ。前後方向のうち、X軸の矢印が向く正の側(+X側)を「前側」と呼び、X軸の矢印が向く側と逆側の負の側(-X側)を「後側」と呼ぶ。
【0011】
なお、上下方向、左右方向、前後方向、上側、下側、左側、右側、前側、および後側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1に示す本実施形態の電動ポンプ10は、流体としてオイルOを送る電動オイルポンプである。電動ポンプ10は、例えば、車両に搭載される。図1に示すように、本実施形態の電動ポンプ10は、ハウジング20と、モータ部30と、ポンプ機構40と、制御装置50と、バスバーアッシー80と、を備える。また、図2に示すように、電動ポンプ10は、リリーフバルブ70を備える。
【0013】
図1に示すように、ハウジング20は、モータ部30およびポンプ機構40を内部に収容している。本実施形態においてハウジング20は、複数の別部材が連結されて構成されている。本実施形態においてハウジング20は、ハウジング本体21と、第1カバー22と、第2カバー23と、を有する。ハウジング本体21と第1カバー22と第2カバー23とは、例えば、それぞれダイカストによって作られている。
【0014】
図2に示すように、ハウジング本体21は、基部21aと、突出部21bと、を有する。突出部21bは、例えば、基部21aの後側の端部から左側に突出している。図1に示すように、第1カバー22は、ハウジング本体21の右側に取り付けられている。第1カバー22には、ブリーザ27が設けられている。第2カバー23は、ハウジング本体21の左側に取り付けられている。
【0015】
ハウジング20は、モータ収容部24と、ポンプ室25と、接続孔部26と、吸入ポート28aと、吐出ポート28bと、を有する。モータ収容部24は、内部にモータ部30が収容されている部分である。モータ収容部24は、例えば、ハウジング本体21の右側の面から左側に窪む凹部が第1カバー22によって右側から塞がれることで構成されている。モータ収容部24の左側の端部には、モータ収容部24の内径が小さくなるベアリング保持部24aおよびシール保持部24bが設けられている。シール保持部24bは、ベアリング保持部24aの左側に位置する。シール保持部24b内には、オイルシール90が設けられている。オイルシール90は、シール保持部24bの内周面と後述するシャフト31aの外周面との間を封止している。
【0016】
ポンプ室25は、例えば、モータ収容部24の左側に位置する。ポンプ室25は、ポンプ機構40を収容している。ポンプ室25は、例えば、ハウジング本体21の左側の面から右側に窪む凹部が第2カバー23によって左側から塞がれることで構成されている。接続孔部26は、左右方向に延びてモータ収容部24の内部とポンプ室25の内部とを繋いでいる。
【0017】
吸入ポート28aおよび吐出ポート28bは、ポンプ室25の内側面のうち右側に位置する面から右側に窪んでいる。吸入ポート28aの内部および吐出ポート28bの内部は、ポンプ室25の内部に繋がっている。ポンプ室25には、吸入ポート28aからオイルOが吸入される。ポンプ室25内に吸入されたオイルOは、吐出ポート28bから吐出される。
【0018】
図2に示すように、ハウジング20は、吸入開口部60aと、吐出開口部60bと、を有する。吸入開口部60aおよび吐出開口部60bは、ハウジング20の外部に開口している。吸入開口部60aおよび吐出開口部60bは、例えば、後側に開口している。吸入開口部60aおよび吐出開口部60bは、例えば、ハウジング本体21における基部21aの後側の面に開口している。吸入開口部60aおよび吐出開口部60bは、例えば、円形状である。吐出開口部60bは、例えば、吸入開口部60aよりも左側で、かつ、吸入開口部60aよりも上側に位置する。ハウジング20の内部には吸入開口部60aからオイルOが吸入される。ハウジング20の内部に吸入されたオイルOは、吐出開口部60bからハウジング20の外部に吐出される。
【0019】
ハウジング20は、吸入流路61と、吐出流路62と、リリーフ流路63と、を有する。吸入流路61の流路断面形状、吐出流路62の流路断面形状、およびリリーフ流路63の流路断面形状は、例えば、円形状である。
【0020】
吸入流路61は、ポンプ室25に繋がっている。本実施形態において吸入流路61は、吸入ポート28aを介してポンプ室25に繋がっている。吸入流路61は、第1吸入流路部61aと、第2吸入流路部61bと、第3吸入流路部61cと、を有する。
【0021】
第1吸入流路部61aは、吸入開口部60aから延びる部分である。本実施形態において第1吸入流路部61aは、吸入開口部60aから前側に延びている。第2吸入流路部61bは、第1吸入流路部61aから屈曲して延びる部分である。本実施形態において第2吸入流路部61bは、第1吸入流路部61aが延びる前後方向と直交する左右方向に延びている。第2吸入流路部61bは、例えば、第1吸入流路部61aの前側の端部から左側に延びている。図3に示すように、第2吸入流路部61bの内径は、例えば、左側に向かうに従って大きくなっている。
【0022】
第3吸入流路部61cは、第2吸入流路部61bから屈曲して延びる部分である。本実施形態において第3吸入流路部61cは、第2吸入流路部61bが延びる左右方向と直交する前後方向に延びている。第3吸入流路部61cは、例えば、第2吸入流路部61bの左側の端部から前側に延びている。第3吸入流路部61cの前側の端部は、吸入ポート28aに繋がっている。第3吸入流路部61cは、例えば、ハウジング本体21の後側の面から前側に向かって延びる穴の後側の開口が栓部材94によって閉塞されることで作られている。当該穴は、例えば、ドリルなどを用いた穴加工によって作られる。
【0023】
図4に示すように、吐出流路62は、ポンプ室25に繋がっている。本実施形態において吐出流路62は、吐出ポート28bを介してポンプ室25に繋がっている。本実施形態において吐出流路62は、吐出ポート28bから吐出開口部60bまで前後方向に延びている。図2および図5に示すように、吐出流路62は、例えば、吸入流路61よりも上側に位置する。吐出流路62は、例えば、第3吸入流路部61cの上側に位置する。
【0024】
リリーフ流路63は、吐出流路62から吸入流路61まで延びている。図5に示すように、リリーフ流路63は、第1リリーフ流路部63aと、第2リリーフ流路部63bと、を有する。第1リリーフ流路部63aは、吐出流路62から延びる部分である。第1リリーフ流路部63aは、例えば、左右方向に延びている。図4に示すように、第1リリーフ流路部63aは、例えば、吐出流路62のうち後側寄りの部分から右側に延びている。第1リリーフ流路部63aの内径は、例えば、右側に向かうに従って大きくなっている。図5に示すように、第1リリーフ流路部63aは、例えば、第2吸入流路部61bの上側に位置する。第1リリーフ流路部63aの左右方向の寸法は、例えば、第2吸入流路部61bの左右方向の寸法よりも大きい。
【0025】
第2リリーフ流路部63bは、第1リリーフ流路部63aから吸入流路61まで延びる部分である。本実施形態において第2リリーフ流路部63bは、吸入流路61のうち第1吸入流路部61aと第2吸入流路部61bとの接続部分61dに繋がっている。本実施形態において第2リリーフ流路部63bは、第1部分63cと、第2部分63dと、を有する。
【0026】
第1部分63cは、第1リリーフ流路部63aから延びる部分である。第1部分63cは、例えば、上下方向に延びている。第1部分63cは、例えば、第1リリーフ流路部63aの右側の端部から下側に延びている。つまり、本実施形態において第1部分63cは、第1リリーフ流路部63aから、第1リリーフ流路部63aが延びる左右方向と直交する上下方向に屈曲して延びている。
【0027】
第2部分63dは、第1部分63cから屈曲して延び、吸入流路61に繋がる部分である。第2部分63dは、例えば、左右方向に延びている。つまり、第2部分63dは、第1部分63cが延びる上下方向と直交する左右方向に延びている。第2部分63dは、第2吸入流路部61bが延びる方向と同じ方向に延びている。第2部分63dは、例えば、第1部分63cの下側の端部から左側に延びている。第2部分63dは、例えば、第1リリーフ流路部63aの右側部分の下側に位置する。図3に示すように、第2部分63dの内径は、例えば、第2吸入流路部61bの内径よりも小さい。第2部分63dの内径は、例えば、左側に向かうに従って大きくなっている。
【0028】
第2部分63dの左側の端部は、第1吸入流路部61aと第2吸入流路部61bとの接続部分61dに繋がっている。このように、本実施形態において第2リリーフ流路部63bのうち吸入流路61に繋がる第2部分63dは、第2吸入流路部61bが延びる方向と同じ方向に延び、吸入流路61のうち第1吸入流路部61aと第2吸入流路部61bとの接続部分61dに繋がっている。
【0029】
図3に示すように、第2部分63dの左右方向の寸法は、例えば、第1吸入流路部61aの前後方向の寸法、および第2吸入流路部61bの左右方向の寸法よりも大きい。図5に示すように、第2部分63dの左右方向の寸法は、例えば、第1リリーフ流路部63aの左右方向の寸法よりも小さい。
【0030】
図2および図3に示すように、ハウジング20は、第2吸入流路部61bと第3吸入流路部61cとの接続部分61eから、第2吸入流路部61bが延びる方向と同じ左右方向に延びる第1凹部64を有する。第1凹部64は、接続部分61eから左側に窪む凹部である。第1凹部64のうち左側部分は、例えば、突出部21bに設けられている。第1凹部64は、例えば、左右方向に見て、円形状である。
【0031】
図3に示すように、第1凹部64の内径は、例えば、第2吸入流路部61bの内径よりも大きい。第1凹部64の内径は、例えば、左側に向かうに従って大きくなっている。第1凹部64の左右方向の寸法は、例えば、第2部分63dの左右方向の寸法よりも大きい。
【0032】
第1凹部64と第2吸入流路部61bと第2部分63dとは、左側から右側に向かってこの順に繋がっており、同一直線上に配置されている。第1凹部64と第2吸入流路部61bと第2部分63dとは、例えば、突出部21bの左側の面から右側に向かって延びる1つの穴66によって作られている。
【0033】
穴66は、例えば、右側に底部を有する円形状の穴である。穴66は、例えば、ハウジング本体21をダイカストで成形する際に、穴66となる部分に金型の一部が位置することで作られる。穴66の内径は、右側から左側に向かうに従って大きくなっている。これにより、ハウジング本体21をダイカストで成形した後に、金型の一部を穴66内から左側に抜きやすくできる。穴66の左側の端部は、栓部材93によって閉塞されている。これにより、接続部分61eから左側に窪む第1凹部64が構成されている。なお、穴66は、ドリルなどを用いた穴加工によって作られてもよい。
【0034】
図5に示すように、ハウジング20は、第1部分63cと第2部分63dとの接続部分63eから、第1部分63cが延びる方向と同じ上下方向に延びる第2凹部65を有する。第2凹部65は、接続部分63eから下側に窪む凹部である。第2凹部65と第1部分63cとは、下側から上側に向かってこの順に繋がっており、同一直線上に配置されている。第2凹部65と第1部分63cとは、例えば、ハウジング本体21の下側の面から上側に向かって延びる1つの穴67によって作られている。
【0035】
穴67は、例えば、上側に底部を有する円形状の穴である。穴67は、例えば、ドリルなどを用いて、ダイカストで成形されたハウジング本体21の下面から上側に向かって穴加工が施されることで作られる。穴67の下側の端部は、栓部材92によって閉塞されている。これにより、接続部分63eから下側に窪む第2凹部65が構成されている。なお、穴67は、ハウジング本体21をダイカストで成形する際に、穴67となる部分に金型の一部が位置することで作られてもよい。
【0036】
図4に示すように、ハウジング20は、第3凹部69を有する。第3凹部69は、吐出流路62のうち第1リリーフ流路部63aが繋がる部分から左側に窪んでいる。第3凹部69が窪む向きは、吐出流路62から第1リリーフ流路部63aが延びる向きと逆向きである。第3凹部69は、吐出流路62を左右方向に挟んで第1リリーフ流路部63aと逆側に配置されている。
【0037】
リリーフバルブ70は、リリーフ流路63に設けられている。本実施形態においてリリーフバルブ70は、第1リリーフ流路部63aに設けられている。リリーフバルブ70は、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが互いに繋がる状態と、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが互いに遮断された状態と、を切り替え可能である。図2図4、および図5に示すリリーフバルブ70は、例えば、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとを互いに遮断した状態である。
【0038】
本実施形態においてリリーフバルブ70は、スプールバルブである。図4に示すように、リリーフバルブ70は、バルブ本体71と、弾性部材72と、を有する。バルブ本体71は、例えば、左右方向に延びる円筒状である。バルブ本体71は、左右方向に延びるスプール穴73内に、左右方向に移動可能に嵌め合わされている。スプール穴73は、第1リリーフ流路部63aの右側に繋がっている。
【0039】
スプール穴73と第1リリーフ流路部63aと第3凹部69とは、右側から左側に向かってこの順に、同一直線上に配置されている。スプール穴73と第1リリーフ流路部63aと第3凹部69とは、例えば、ハウジング本体21の右側の面から左側に向かって延びる1つの穴68によって作られている。
【0040】
穴68は、例えば、左側に底部を有する円形状の穴である。穴68は、例えば、ハウジング本体21をダイカストで成形する際に、穴68となる部分に金型の一部が位置することで作られる。穴68の内径は、左側から右側に向かうに従って大きくなっている。これにより、ハウジング本体21をダイカストで成形した後に、金型の一部を穴68内から右側に抜きやすくできる。穴68の右側の端部は、栓部材91によって閉塞されている。これにより、スプール穴73の右側の端部は、閉塞されている。なお、穴68は、ドリルなどを用いた穴加工によって作られてもよい。
【0041】
栓部材91は、例えば、ネジ部材である。栓部材91は、ネジ本体部91aと、ネジ頭部91bと、を有する。ネジ本体部91aは、例えば、左右方向に延び、左側に開口する円筒状である。ネジ本体部91aは、スプール穴73の右側の端部の内周面に設けられた図示しない雌ネジ部に締め込まれて固定されている。ネジ頭部91bは、ネジ本体部91aの右側の端部から径方向外側に広がっている。ネジ頭部91bの左側の面とハウジング本体21の右側の面との間には、ネジ本体部91aを囲む環状のシール部材95が設けられている。
【0042】
バルブ本体71は、円筒状のバルブ本体71の内部を左右方向に仕切る隔壁部71cを有する。バルブ本体71の内部のうち隔壁部71cよりも左側に位置する部分は、例えば、左側に開口し、第1リリーフ流路部63aの内部に繋がっている。バルブ本体71の内部のうち隔壁部71cよりも右側に位置する部分は、例えば、右側に開口し、第1リリーフ流路部63aの内部と遮断されている。本実施形態では、バルブ本体71の内部のうち隔壁部71cよりも右側に位置する部分が第2リリーフ流路部63bの第1部分63cよりも左側に位置する状態において、隔壁部71cによって、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが遮断されている。
【0043】
バルブ本体71は、接続孔71aと、空気孔71bと、を有する。接続孔71aは、バルブ本体71のうち隔壁部71cよりも左側に位置する部分に設けられている。接続孔71aは、例えば、バルブ本体71の内周面から外周面までを径方向に貫通する円形状の孔である。図示は省略するが、接続孔71aは、例えば、バルブ本体71回りの周方向に沿って複数設けられている。
【0044】
空気孔71bは、バルブ本体71のうち隔壁部71cよりも右側に位置する部分に設けられている。空気孔71bは、例えば、バルブ本体71の内周面から外周面までを径方向に貫通する円形状の孔である。図示は省略するが、空気孔71bは、例えば、バルブ本体71回りの周方向に沿って複数設けられている。
【0045】
弾性部材72は、バルブ本体71に対して左側向きの弾性力を加えている部材である。弾性部材72は、例えば、左右方向に延びるコイルスプリングである。弾性部材72の右側部分は、栓部材91におけるネジ本体部91aの内部に収容されている。弾性部材72は、栓部材91によって右側から支持されている。弾性部材72の左側部分は、バルブ本体71の内部のうち隔壁部71cよりも右側に位置する部分内に収容されている。弾性部材72の左側の端部は、バルブ本体71に接触している。弾性部材72は、左右方向に圧縮弾性変形させられた状態となっている。弾性部材72は、例えば、第1リリーフ流路部63aの内周面に設けられた段差部に、バルブ本体71を右側から左向きに押し付けている。
【0046】
吐出流路62内のオイルOの圧力が所定値以上になると、吐出流路62から第1リリーフ流路部63a内に流入したオイルOから隔壁部71cに右側に加えられる圧力が大きくなり、バルブ本体71が弾性部材72の弾性力に抗して、図4の位置よりも右側に移動する。バルブ本体71が右側に移動して、接続孔71aが第2リリーフ流路部63bの第1部分63cと繋がる位置になると、バルブ本体71の内部のうち隔壁部71cよりも左側に位置する部分および接続孔71aを介して、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが繋がる。これにより、吐出流路62内のオイルOの一部が、第1リリーフ流路部63aおよび第2リリーフ流路部63bを通って、吸入流路61内へと流れる。
【0047】
吐出流路62内のオイルOの一部がリリーフ流路63を介して吸入流路61内に排出されると、吐出流路62内のオイルOの圧力が低下する。これによって、第1リリーフ流路部63a内に流入したオイルOから隔壁部71cに右側に加えられる圧力が小さくなると、バルブ本体71が弾性部材72によって再び左側に移動し、バルブ本体71によって第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが遮断された状態となる。以上のように、吐出流路62内のオイルOの圧力に応じて、リリーフバルブ70が開閉される。これにより、吐出流路62内のオイルOの圧力が過剰に高くなることを抑制できる。
【0048】
本実施形態において空気孔71bは、バルブ本体71が移動可能な左右方向のいずれの位置にある場合でも、第1部分63cと繋がった状態となっている。そのため、バルブ本体71が図4に示す位置よりも右側に移動して、スプール穴73の内部のうち隔壁部71cより右側に位置する部分の容積が小さくなっても、スプール穴73内の空気を、空気孔71bを介して、第2リリーフ流路部63bに逃がすことができる。また、バルブ本体71が、接続孔71aが第2リリーフ流路部63bと繋がる位置から左側に移動して、スプール穴73の内部のうち隔壁部71cより右側に位置する部分の容積が大きくなっても、第2リリーフ流路部63b内から空気孔71bを介して、スプール穴73内に空気を流入させることができる。これらにより、スプール穴73の内部のうち隔壁部71cより右側に位置する部分内の圧力が変動することを抑制でき、バルブ本体71の左右方向の移動が阻害されることを抑制できる。
【0049】
図1に示すように、モータ部30は、ロータ31と、ステータ32と、ベアリング33,34と、を有する。ロータ31は、中心軸J回りに回転可能である。本実施形態において中心軸Jは、左右方向に延びる仮想軸である。つまり、本実施形態においてモータ部30の軸方向は、左右方向である。
【0050】
ロータ31は、中心軸Jを中心として左右方向に延びる円柱状のシャフト31aと、シャフト31aの外周面に固定されたロータ本体31bと、を有する。シャフト31aは、ベアリング33,34によって中心軸J回りに回転可能に支持されている。シャフト31aは、モータ収容部24内から、接続孔部26を介して、ポンプ室25内まで延びている。図示は省略するが、ロータ本体31bは、シャフト31aを囲む環状のロータコアと、ロータコアに保持されたマグネットと、を有する。
【0051】
ステータ32は、ロータ31と隙間を介して径方向に対向している。ステータ32は、ロータ31の径方向外側に位置する。ステータ32は、ステータコア32aと、インシュレータ32bと、複数のコイル32cと、を有する。ステータコア32aは、ロータ31を中心軸J回りに囲む環状である。ステータコア32aの外周面は、モータ収容部24の内周面に固定されている。複数のコイル32cは、インシュレータ32bを介してステータコア32aに取り付けられている。
【0052】
ベアリング33,34は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング33は、シャフト31aのうちロータ本体31bよりも右側に位置する部分を中心軸J回りに回転可能に支持している。ベアリング33は、例えば、シャフト31aの右側の端部を回転可能に支持している。ベアリング33は、例えば、第1カバー22に保持されている。ベアリング34は、シャフト31aのうちロータ本体31bよりも左側に位置する部分を中心軸J回りに回転可能に支持している。ベアリング34は、ベアリング保持部24a内に嵌め合わされて保持されている。
【0053】
ポンプ機構40は、ポンプ室25内に収容されている。ポンプ機構40は、モータ部30に連結されている。ポンプ機構40は、シャフト31aのうちポンプ室25内に位置する部分に連結されている。ポンプ機構40は、例えば、シャフト31aの左側の端部に連結されている。ポンプ機構40は、例えば、トロコイド式のポンプ機構である。ポンプ機構40は、インナーロータ41と、アウターロータ42と、を有する。
【0054】
インナーロータ41は、シャフト31aに連結されている。インナーロータ41は、シャフト31aが中心軸J回りに回転することで、中心軸J回りに回転する。図示は省略するが、インナーロータ41は、外周面に複数の歯部を有する。
【0055】
アウターロータ42は、インナーロータ41を中心軸J回りに囲む環状である。図示は省略するが、アウターロータ42は、内周面にインナーロータ41の歯部と噛み合う複数の歯部を有する。アウターロータ42は、インナーロータ41がシャフト31aによって回転させられることで回転する。アウターロータ42の回転軸は、左右方向に延び、中心軸Jに対して径方向に偏心した軸である。
【0056】
制御装置50は、ハウジング20に取り付けられている。制御装置50は、例えば、ハウジング20の下側に位置する。制御装置50は、例えば、回路基板51を有する。図示は省略するが、回路基板51には、例えば、モータ部30に供給される電力を制御するインバータが設けられている。
【0057】
バスバーアッシー80は、モータ収容部24内に収容されている。バスバーアッシー80は、ステータ32の右側に位置する。バスバーアッシー80は、バスバーホルダ81と、バスバー82と、を有する。バスバーホルダ81は、バスバー82を保持する樹脂部材である。バスバー82は、コイル32cと回路基板51とを電気的に接続している。
【0058】
回路基板51の図示しないインバータからバスバー82を介してコイル32cに電力が供給されると、ロータ31が回転し、インナーロータ41およびアウターロータ42が回転する。これにより、図2に示すように、電動ポンプ10の外部から、吸入開口部60aを介して吸入流路61内にオイルOが吸入される。吸入流路61内に吸入されたオイルOは、第1吸入流路部61a、第2吸入流路部61b、および第3吸入流路部61cをこの順に流れて、吸入ポート28aからポンプ室25内に吸入される。ポンプ室25内に吸入されたオイルOは、インナーロータ41の歯部とアウターロータ42の歯部との隙間に流入し、ポンプ室25内を中心軸J回りに送られる。ポンプ室25内において中心軸J回りに送られたオイルOは、吐出ポート28bを介して吐出流路62に吐出される。吐出流路62に吐出されたオイルOは、吐出開口部60bから電動ポンプ10の外部に吐出される。
【0059】
ここで、ポンプ室25内から吐出流路62内に吐出されたオイルOの圧力が所定値以上である場合には、上述したようにしてリリーフバルブ70が開いて、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが繋げられる。そのため、この場合には、吐出流路62内に吐出されたオイルOの一部が、リリーフ流路63を介して、吸入流路61内に戻される。リリーフ流路63から吸入流路61内に戻されたオイルOは、再びポンプ室25内に吸入される。
【0060】
例えば、吐出流路62内のオイルOの一部がポンプ室25内へと直接戻される場合、および吐出流路62内のオイルOの一部が吸入流路61のうちポンプ室25に比較的近い部分からポンプ室25内へと戻される場合などにおいては、吐出流路62内からポンプ室25内に戻されたオイルOによってポンプ室25内のオイルOの圧力が上昇し、ポンプ室25内から吐出流路62内に吐出されるオイルOの圧力が大きくなる場合がある。そのため、吐出流路62内からオイルOがポンプ室25内に戻される場合と、戻されない場合とで、ポンプ室25内から吐出流路62内に吐出されるオイルOの圧力が変動し、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力が脈動する場合があった。
【0061】
これに対して、本実施形態によれば、吸入流路61は、吸入開口部60aから延びる第1吸入流路部61aと、第1吸入流路部61aから屈曲して延びる第2吸入流路部61bと、を有する。リリーフ流路63は、吐出流路62から延びる第1リリーフ流路部63aと、第1リリーフ流路部63aから吸入流路61まで延びる第2リリーフ流路部63bと、を有する。第2リリーフ流路部63bは、吸入流路61のうち第1吸入流路部61aと第2吸入流路部61bとの接続部分61dに繋がっている。そのため、第2リリーフ流路部63bが、吸入流路61のうち接続部分61dよりも下流側の部分に繋がる場合、吸入ポート28aに繋がる場合、およびポンプ室25に繋がる場合などに比べて、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内に流入する位置を、ポンプ室25から遠くすることができる。これにより、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内のオイルOと合流してからポンプ室25に流れるまでの間において、吸入流路61内のオイルOの圧力を安定化させやすい。したがって、ポンプ室25内のオイルOが、吸入流路61内のオイルOに合流したリリーフ流路63内からのオイルOの影響を受けることを抑制できる。そのため、吐出流路62内のオイルOの一部を、リリーフ流路63を介してポンプ室25に戻しても、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することを抑制できる。これにより、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、第2リリーフ流路部63bのうち吸入流路61に繋がる部分、つまり第2部分63dは、第2吸入流路部61bが延びる方向と同じ方向に延び、吸入流路61のうち第1吸入流路部61aと第2吸入流路部61bとの接続部分61dに繋がっている。そのため、第2部分63dと第2吸入流路部61bとを同一直線上に繋げて配置することができる。これにより、上述したように穴66を作ることで、第2吸入流路部61bと、第2リリーフ流路部63bの一部である第2部分63dとの両方を容易に作ることができる。したがって、吸入流路61およびリリーフ流路63を容易に作ることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、吸入流路61は、第2吸入流路部61bから屈曲して延びる第3吸入流路部61cを有する。そのため、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内のオイルOと合流した後において、吸入流路61内のオイルOの流れる方向が、第2吸入流路部61bと第3吸入流路部61cとの間で屈曲した方向に変化する。これにより、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内において一方向に流れてポンプ室25内に流入する場合に比べて、ポンプ室25内に流入するオイルOの流れる勢いを減衰させやすい。したがって、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内において一方向に流れてポンプ室25内に流入する場合に比べて、リリーフ流路63からのオイルOがポンプ室25内のオイルOに影響を与えにくくできる。そのため、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。これにより、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ハウジング20は、第2吸入流路部61bと第3吸入流路部61cとの接続部分61eから、第2吸入流路部61bが延びる方向と同じ方向に延びる第1凹部64を有する。そのため、第1凹部64には第2吸入流路部61bからオイルOが流入し、第1凹部64内にオイルOが貯留された状態となる。これにより、第2吸入流路部61b内を左側に流れるオイルOを、第1凹部64内に貯留されたオイルOによって受け止めることができる。したがって、オイルOが第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cに流れる際に、オイルOの運動エネルギーの一部を第1凹部64内に貯留されたオイルOによって吸収できる。そのため、リリーフ流路63から合流した後の吸入流路61内のオイルOの流れる勢いをより減衰させやすい。これにより、リリーフ流路63から吸入流路61に合流したオイルOが、ポンプ室25内のオイルOの圧力に影響を与えることをより抑制できる。したがって、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。そのため、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第3吸入流路部61cは、第2吸入流路部61bが延びる方向と直交する方向に延びている。そのため、第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度を或る程度大きくできる。これにより、第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cへとオイルOが流れる際に、オイルOの流れる勢いをより減衰させやすくでき、ポンプ室25内のオイルOの圧力に影響を与えることをより抑制できる。したがって、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。そのため、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。また、第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度が90°より大きくなる場合に比べて、第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cへとオイルOを流しやすくできる。
【0066】
なお、第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度とは、第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cに流れる際におけるオイルOの流れ方向の角度変化の大きさに相当する。つまり、第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度が大きいほど、第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cに流れる際におけるオイルOの流れ方向の角度変化が大きくなる。また、第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度が小さいほど、第2吸入流路部61bから第3吸入流路部61cに流れる際におけるオイルOの流れ方向の角度変化が小さくなる。本実施形態において第2吸入流路部61bに対して第3吸入流路部61cが屈曲する角度とは、図3に示す角度φである。角度φは、第2吸入流路部61bを左側に延長した場合において当該延長部分に対して第3吸入流路部61cが前側に傾く大きさを示す角度である。本実施形態において角度φは、第1凹部64と第3吸入流路部61cとが成す角度でもある。
【0067】
また、本実施形態によれば、第2リリーフ流路部63bは、第1リリーフ流路部63aから延びる第1部分63cと、第1部分63cから屈曲して延び、吸入流路61に繋がる第2部分63dと、を有する。そのため、第2リリーフ流路部63b内のオイルOの流れる方向は、第1部分63cと第2部分63dとの間で屈曲した方向に変化する。これにより、第2リリーフ流路部63b内をオイルOが一方向に流れて吸入流路61内のオイルOと合流する場合に比べて、第2リリーフ流路部63b内においてオイルOの流れる勢いを減衰させることができる。したがって、第2リリーフ流路部63b内から吸入流路61に戻されたオイルOがポンプ室25内のオイルOに影響を与えることをより抑制できる。そのため、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。これにより、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ハウジング20は、第1部分63cと第2部分63dとの接続部分63eから、第1部分63cが延びる方向と同じ方向に延びる第2凹部65を有する。そのため、第2凹部65には第1部分63cからオイルOが流入し、第2凹部65内にオイルOが貯留された状態となる。これにより、第1部分63c内を下側に流れるオイルOを、第2凹部65内に貯留されたオイルOによって受け止めることができる。したがって、第1部分63cから第2部分63dに流れる際に、オイルOの運動エネルギーの一部を第2凹部65内に貯留されたオイルOによって吸収できる。そのため、リリーフ流路63から吸入流路61に合流するオイルOの流れる勢いを減衰させやすい。これにより、リリーフ流路63から吸入流路61に合流したオイルOが、ポンプ室25内のオイルOの圧力に影響を与えることをより抑制できる。したがって、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。そのため、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第1部分63cは、第1リリーフ流路部63aから、第1リリーフ流路部63aが延びる方向と直交する方向に屈曲して延びている。第2部分63dは、第1部分63cが延びる方向と直交する方向に延びている。そのため、リリーフ流路63を流れるオイルOは、吐出流路62から吸入流路61までの間において、直角に少なくとも2回曲がって流れる。これにより、リリーフ流路63内のオイルOの流れる勢いを好適に減衰させやすい。したがって、リリーフ流路63から吸入流路61に合流したオイルOが、ポンプ室25内のオイルOの圧力に影響を与えることをより抑制できる。そのため、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。これにより、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。また、リリーフ流路63内においてオイルOの流れる方向が90°よりも大きく変化する場合に比べて、リリーフ流路63内にオイルOを或る程度流しやすくできる。
【0070】
また、本実施形態によれば、リリーフバルブ70は、第1リリーフ流路部63aに設けられている。そのため、リリーフバルブ70が第2リリーフ流路部63bに設けられている場合に比べて、第1リリーフ流路部63aと第2リリーフ流路部63bとが遮断された状態において吐出流路62と繋がるリリーフ流路63の部分の長さを短くしやすい。これにより、例えば、初めて電動ポンプ10を稼働させる際などに、吐出流路62内がオイルOで満たされるまでの時間を短くできる。したがって、吐出開口部60bからオイルOが吐出され始めるまでの時間を短くできる。そのため、電動ポンプ10の応答性を向上できる。また、吐出流路62からリリーフバルブ70までの距離を短くしやすいため、リリーフバルブ70の応答性も向上できる。また、本実施形態のようにリリーフバルブ70をスプールバルブとしてスプール穴73を設ける場合、スプール穴73を第1リリーフ流路部63aと同一直線上に繋げて配置する構成を採用できる。そのため、上述したように穴68を作ることで、第1リリーフ流路部63aと、スプール穴73との両方を容易に作ることができる。したがって、リリーフ流路63を作るとともに、リリーフバルブ70を配置する箇所を作ることができる。そのため、電動ポンプ10の製造を容易にできる。
【0071】
また、第1リリーフ流路部63aの右側にスプール穴73を繋げてリリーフバルブ70を配置する構成とすることで、第2リリーフ流路部63bのうち第1リリーフ流路部63aから下側に延びる第1部分63cを右側に配置しやすい。これにより、第1部分63cから接続部分61dまで延びる第2部分63dの右側の端部を、接続部分61dから右側に離して配置しやすくできる。したがって、第2部分63dの左右方向の寸法を大きくしやすく、第2部分63d内において、吸入流路61に向かって流れるオイルOの流れをより減衰させやすい。そのため、リリーフ流路63から吸入流路61にオイルOが合流しても、ポンプ室25内のオイルOの圧力に影響を与えることをより抑制できる。これにより、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。したがって、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。また、第1リリーフ流路部63aの右側にスプール穴73を繋げてリリーフバルブ70を配置する構成とすることで、例えば、第2リリーフ流路部63bの第1部分63cにリリーフバルブ70を配置する場合に比べて、電動ポンプ10が上下方向に大型化することを抑制できる。
【0072】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、以下の他の構成および他の方法などを採用することもできる。
【0073】
第1リリーフ流路部は、吐出流路から延び、第2リリーフ流路部に繋がるならば、どのような構成であってもよい。第1リリーフ流路部は、どのような方向に延びてもよい。第1リリーフ流路部は、屈曲する部分を1箇所以上有してもよい。この場合、第1リリーフ流路部が屈曲する角度は、90°以下であってもよいし、90°より大きくてもよい。第1リリーフ流路部は、吐出流路のいずれの箇所に繋がっていてもよい。
【0074】
第2リリーフ流路部は、第1吸入流路部に繋がっていてもよい。例えば、上述した実施形態では、第2部分63dがより後側に位置し、第1吸入流路部61aに右側から接続されてもよい。この構成によれば、リリーフ流路63からのオイルOが吸入流路61内に流入する位置を、ポンプ室25から、より遠くすることができる。そのため、ポンプ室25内のオイルOが、吸入流路61内のオイルOに合流したリリーフ流路63内からのオイルOの影響を受けることをより抑制できる。これにより、ポンプ室25から吐出流路62に吐出されるオイルOの圧力が変動することをより抑制できる。これにより、吐出流路62から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0075】
第2リリーフ流路部は、吸入流路のうち第1吸入流路部と第2吸入流路部との接続部分または第1吸入流路部に繋がっているならば、どのような構成であってもよい。第2リリーフ流路部は、どのような方向に延びていてもよい。第2リリーフ流路部は、屈曲する部分を2箇所以上有してもよい。第2リリーフ流路部が屈曲する角度は、90°以下であってもよいし、90°より大きくてもよい。第2リリーフ流路部は、屈曲する部分を有しなくてもよい。この場合、第2リリーフ流路部は、第1部分と第2部分とを有しない。
【0076】
吸入流路は、第1吸入流路部と第2吸入流路部とを有するならば、どのような構成であってもよい。吸入流路は、屈曲する部分を3箇所以上有してもよい。吸入流路は、屈曲する部分を1箇所のみ有してもよい。この場合、吸入流路は、第3吸入流路部を有しない。吸入流路が屈曲する角度は、90°以下であってもよいし、90°より大きくてもよい。
【0077】
吐出流路は、ポンプ室に繋がるならば、どのような構成であってもよい。吐出流路は、屈曲する部分を1箇所以上有してもよい。この場合、吐出流路が屈曲する角度は、90°以下であってもよいし、90°より大きくてもよい。
【0078】
上述した各流路のそれぞれにおいて、流路が屈曲する部分を2箇所以上有する場合、屈曲する角度は、全ての箇所において同じであってもよいし、箇所によって異なっていてもよい。第1凹部は、設けられていなくてもよい。第2凹部は、設けられていなくてもよい。
【0079】
リリーフバルブは、第1リリーフ流路部と第2リリーフ流路部とが互いに繋がる状態と、第1リリーフ流路部と第2リリーフ流路部とが互いに遮断された状態と、を切り替え可能であれば、どのような構造であってもよい。リリーフバルブは、ポペット式の弁であってもよいし、電磁弁であってもよい。リリーフバルブは、第2リリーフ流路部に設けられてもよい。
【0080】
本発明が適用される電動ポンプの用途は、特に限定されない。電動ポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。電動ポンプによって送られる流体は、特に限定されず、例えば、水などであってもよい。
【0081】
以上に本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0082】
10…電動ポンプ、20…ハウジング、25…ポンプ室、30…モータ部、40…ポンプ機構、60a…吸入開口部、61…吸入流路、61a…第1吸入流路部、61b…第2吸入流路部、61c…第3吸入流路部、61d,61e,63e…接続部分、62…吐出流路、63…リリーフ流路、63a…第1リリーフ流路部、63b…第2リリーフ流路部、63c…第1部分、63d…第2部分、64…第1凹部、65…第2凹部、70…リリーフバルブ
図1
図2
図3
図4
図5