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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電子機器、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240820BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20240820BHJP
   G04G 21/02 20100101ALI20240820BHJP
   G04G 9/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06F3/0482
G04G21/02 H
G04G9/00 305
A61B5/0245 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020159193
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052778
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕二
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106371816(CN,A)
【文献】特開2013-061176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/0482
G04G 21/02
G04G 9/00
A61B 5/0245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの手首に装着される電子機器であって、
第1の脈拍センサーと、
装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部と、
を備え
前記判断部は、前記第1の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから前記第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、前記第2の脈拍センサーが前記1回目の脈動を検知してから前記第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の脈拍センサーは、前記電子機器の左手首への装着時において前記第2の脈拍センサーよりも前記腕から手先の方向における腕側に偏って配置されるよう設けられており、
前記判断部は、前記第1の時間が前記第2の時間よりも短い場合に前記電子機器が左手首に装着されていると判断する一方で、前記第1の時間が前記第2の時間よりも長い場合には前記電子機器が右手首に装着されていると判断する、
ことを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判断部による前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかの判断結果に応じて、操作部に割り当てられる機能を切り替える切替制御部、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判断部による前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかの判断結果に応じて、表示部に表示するメニューの並びを入れ替える表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記判断部による前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかの判断結果に応じて、表示部に表示する画面の向きを変える表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
第1の脈拍センサーと、装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、を備え、ユーザーの手首に装着される電子機器のコンピューターを、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部、
として機能させ
前記判断部は、前記第1の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから前記第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、前記第2の脈拍センサーが前記1回目の脈動を検知してから前記第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する、ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
第1の脈拍センサーと、装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、を備え、ユーザーの手首に装着される電子機器により実行される方法であって、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断することを含
前記判断することにおいて、前記第1の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから前記第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、前記第2の脈拍センサーが前記1回目の脈動を検知してから前記第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計や、ウエラブルデバイスなどの手首につけて使用するデバイスは、右利きの人が多いため、左手首につけて操作することを前提にして操作体系が決められていることが多い。そのため、左手首につけることを前提にしたデバイスを、右手首につけた場合は操作しづらいという問題があった。
【0003】
上記のような問題を解決するために、ボタンやメニューを操作して、右手首のモードと左手首のモードとを切り替える操作を行う方法がある。
これに関して、特許文献1には、右手首装着モードと左手首装着モードとをユーザーに選択させて、各ボタンに割り当てられる機能を切り替える技術が記載されている。
また、特許文献2には、右手首装着モードと左手首装着モードとをユーザーに選択させて、画面の左右を入れ換える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-155391号公報
【文献】特開2002-148375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなユーザーがボタンやメニューを操作して、右手首のモードと左手首のモードを切り替える操作を行う方法には、操作が面倒で忘れる、またはメニュー操作が複雑だと覚えられないという問題がある。
また、自動で右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する方法として、デバイスに角度センサーを搭載して角度を使用して判断する方法では、手は常に動いているため判断が難しいという問題がある。また、デバイスに搭載したカメラを利用した顔認証等で判断する方法では、カメラに顔が映らないと判断ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、容易に右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する電子機器、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、
ユーザーの手首に装着される電子機器であって、
第1の脈拍センサーと、
装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部と、
を備え
前記判断部は、前記第1の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから前記第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、前記第2の脈拍センサーが前記1回目の脈動を検知してから前記第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子機器の正面を示す外観図に脈拍センサーの位置を表した図である。
図2】電子機器の全体構成を表すブロック図である。
図3】脈拍センサーの原理を表す図である。
図4】2つの脈拍センサーで脈動を検出する例を示す図である。
図5】左手首に電子機器を装着した場合に脈拍センサーで脈動を検出する例を示す図である。
図6】右手首に電子機器を装着した場合に脈拍センサーで脈動を検出する例を示す図である。
図7】電子機器が実行する判断処理の流れを示すフローチャートである。
図8】左手首に電子機器を装着した場合に縦表示を行う例を示す図である。
図9】右手首に電子機器を装着した場合に縦表示を行う例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0011】
<電子機器の構成>
まず、本実施形態に係る電子機器としての電子機器100の概要について説明する。
図1は、本発明に係る電子機器100の正面を示す外観図に脈拍センサーA17、及び脈拍センサーB18の位置を表した図である。
【0012】
図1に示すように、電子機器100は、腕時計型をしており、本体部1と、バンド2と、を備える。
【0013】
本体部1は、上面に表示部15(後述)を備える。また、本体部1は、その左側面に操作ボタン141を備え、右側面に操作ボタン142を備える。本実施形態では、操作ボタン141及び操作ボタン142は3つずつ備えられているが、それぞれ1つ以上備えられていれば、この数に限らない。また、本体部1の内部には、後述するバンド2が延伸する方向をアナログ時計における12時側と見たときに、9時側に偏った位置に脈拍センサーA17、3時側に偏った位置に脈拍センサーB18が備えられる。即ち、脈拍センサーA17及び脈拍センサーB18は、電子機器100がユーザーの手首に装着された際に、腕―手先の方向において互いに離間するよう配置されている。また、脈拍センサーA17は、電子機器100がユーザーの左手首への装着時において脈拍センサーB18よりも腕―手先の方向における腕側に偏って配置されるよう設けられる。
【0014】
バンド2は、本体部1をユーザーの手首に固定するためのものである。
【0015】
次に、電子機器100の機能構成について、図2を参照して説明する。
図2は、電子機器100の機能構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、電子機器100の本体部1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、操作部14、表示部15、通信部16、脈拍センサーA17、脈拍センサーB18等を備えて構成され、各部がバス19を介して接続されている。
【0017】
CPU11は、本体部1の各部を制御するプロセッサである。CPU11は、記憶部13に記憶されたプログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。
また、CPU11は、所定の脈動を第1の脈拍センサー(脈拍センサーA17)が検知するタイミングと第2の脈拍センサー(脈拍センサーB18)が検知するタイミングとの差異に基づいて、電子機器100が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する。ここで、CPU11は判断部として機能する。
また、CPU11は、判断部による判断結果に応じて、操作ボタン141及び操作ボタン142に割り当てられる機能を切り替える。ここで、CPU11は切替制御部として機能する。
また、CPU11は、判断部による判断結果に応じて、表示部15に表示するメニューの並びを入れ替える、または表示部15に表示する画面の向きを変える。ここで、CPU11は表示制御部として機能する。
【0018】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0019】
記憶部13は、CPU11により実行されるプログラム(後述する判断処理を含む)や設定データといった各種データを記憶する。プログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13としては、例えばフラッシュメモリ等のデータの保持に電源を要しない記憶装置が用いられる。
【0020】
操作部14は、本体部1の左側面に設けられる操作ボタン141、右側面に設けられる操作ボタン142や、表示部15上に設けられる図示しないタッチセンサ等を有して構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、操作内容を電気信号に変換してCPU11に出力する。
【0021】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、CPU11からの表示制御信号に従って画面表示を行う。また、表示部15の表示画面上には上記タッチセンサが設けられており、タッチパネル方式の操作表示手段として機能する。
【0022】
通信部16は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールであり、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による近距離無線通信に係る通信規格に従って、外部の端末装置との間で無線データ通信を行う。
【0023】
脈拍センサーA17、脈拍センサーB18は、それぞれ受光素子と発光素子とを備える。図3に脈拍センサーの原理を表す図を示す。発光素子は、当該発光素子により光が照射される範囲にある血液中のヘモクロビンに吸収され易い緑色の光、例えば520nm~530nmの波長の光を発光する発光ダイオードである。受光素子は、光を受光して電気信号として出力するフォトダイオードであり、発光素子によって手首に照射された光の反射光を受光し、その受光量に応じた電力量を電気信号として出力する。
脈拍センサーA17、脈拍センサーB18によって、心臓の脈動に伴って変化する血流量である動脈の血管の容量変化を測定する、つまり光の吸収量の変化を測定することで、時系列で脈動の状態を測定することができる。測定結果の例を図3の下図に示す。
また、脈拍センサーA17、脈拍センサーB18は、測定結果をCPU11に出力する。
【0024】
図4に脈拍センサーA17、脈拍センサーB18で脈動を検出する例を示す。血液の流れ方向が左から右、つまり脈拍センサーA17側から脈拍センサーB18側であるとすると、図4の下図に示すように所定の時間差がある、ほぼ相似の脈動の波形を測定することができる。
【0025】
図5に左手首に電子機器100を装着した場合に脈拍センサーA17、脈拍センサーB18で検出する例を示す。左手首に電子機器100を装着した場合、血液の流れ方向は、左から右、つまり脈拍センサーA17側から脈拍センサーB18側である。脈拍センサーA17が血液の流れの上流側であるため、脈拍センサーA17が最初に脈動の変化を検出し、少し時間をおいてから脈拍センサーB18が脈動の変化を検出する。
脈拍センサーA17が検出する1回目の脈動のピーク時間をTA1、2回目の脈動のピーク時間をTA2、TA1後の脈拍センサーB18が検出する1回目の脈動のピーク時間をTB1とする。このとき、図5の下図のような波形が得られ、TA1、TA2、TB1は、下記式(1)を満たす。即ち、脈拍センサーA17が1回目の脈動を検知してから脈拍センサーB18が1回目の脈動を検知するまでの第1の時間(TB1-TA1)が、脈拍センサーB18が1回目の脈動を検知してから脈拍センサーA17が2回目の脈動を検知するまでの第2の時間(TA2-TB1)よりも短い場合、CPU11は、電子機器100が左手首に装着されていると判断する。
(1) TB1-TA1<TA2-TB1
【0026】
図6に右手首に電子機器100を装着した場合に脈拍センサーA17、脈拍センサーB18で検出する例を示す。右手首に電子機器100を装着した場合、血液の流れ方向は、右から左、つまり脈拍センサーB18側から脈拍センサーA17側である。脈拍センサーB18が血液の流れの上流側であるため、脈拍センサーB18が最初に脈動の変化を検出し、少し時間をおいてから脈拍センサーA17が脈動の変化を検出する。
脈拍センサーA17が検出する1回目の脈動のピーク時間をTA1、2回目の脈動のピーク時間をTA2、TA1後の脈拍センサーB18が検出する1回目の脈動のピーク時間をTB1とする。このとき、図6の下図のような波形が得られ、TA1、TA2、TB1は、下記式(2)を満たす。即ち、脈拍センサーA17が1回目の脈動を検知してから脈拍センサーB18が1回目の脈動を検知するまでの第1の時間(TB1-TA1)が、脈拍センサーB18が1回目の脈動を検知してから脈拍センサーA17が2回目の脈動を検知するまでの第2の時間(TA2-TB1)よりも長い場合、CPU11は、電子機器100が右手首に装着されていると判断する。
(2) TB1-TA1>TA2-TB1
【0027】
<電子機器の動作の概要>
次に、本実施形態による電子機器100における動作を説明する。
CPU11は、ユーザーが当該電子機器100を腕に装着したことを契機として、図7に示すような判断処理を開始する。判断処理は、記憶部13に記憶されているプログラムにより実行される。
腕に装着されたことを感知する方法として、そのためのセンサーを設けてもよいし、ユーザーが電子機器100を手首に装着した後に所定のボタンを押しても良い。
【0028】
まず、CPU11は、脈拍センサーA17を制御して、1回目の脈動のピーク時間であるTA1を検出する(ステップS1)。
次に、CPU11は、脈拍センサーB18を制御して、1回目の脈動のピーク時間であるTB1を検出する(ステップS2)。
次に、CPU11は、脈拍センサーA17を制御して、2回目の脈動のピーク時間であるTA2を検出する(ステップS3)。
【0029】
次に、CPU11は、ステップS1~S3で取得したTA1、TA2、TB1を用いて、「TB1-TA1」と「TA2-TB1」を比較し、「TB1-TA1>TA2-TB1」であるか判断する(ステップS4)。
「TB1-TA1>TA2-TB1」である場合(ステップS4;YES)、CPU11は、電子機器100が装着されているのは右手首であると判断し(ステップS5)、処理を終了する。
また、「TB1-TA1>TA2-TB1」でない場合(ステップS4;NO)、CPU11は、「TB1-TA1<TA2-TB1」であるか判断する(ステップS6)。「TB1-TA1<TA2-TB1」である場合(ステップS6;YES)、CPU11は、電子機器100が装着されているのは左手首であると判断し(ステップS7)、処理を終了する。
また、「TB1-TA1<TA2-TB1」でない場合(ステップS6;NO)、CPU11は、ステップS1に戻る。
【0030】
CPU11は、判断処理によって、電子機器100が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断すると、その判断結果に応じて操作ボタン141、142の機能の切替と、表示部15に表示するメニューの並びの切替を行う。
電子機器100の機能のうち、使用頻度の高い機能(例えば、ストップウォッチのスタート・ストップ機能等)は、手先に近い操作ボタンに割り当てられている方が操作しやすい。そのため、電子機器100が左手首に装着されているとき、CPU11は、手先に近い操作ボタン142に使用頻度の高い機能を割り当てる。また、CPU11は、それに合わせて表示部15の右側である操作ボタン142側に使用頻度の高いメニューを表示する。また、電子機器100が右手首に装着されているとき、CPU11は、手先に近い操作ボタン141に使用頻度の高い機能を割り当てる。また、CPU11は、それに合わせて表示部15の左側である操作ボタン141側に使用頻度の高いメニューを表示する。
【0031】
また、図8、9に示すように表示部15に左から右へ、あるいは右から左への縦表示(例えば、縦書きの文章等)を行う場合、CPU11は、判断処理の判断結果に応じて縦表示の向きを切り替える。
図8に示すように電子機器100が左手首に装着されているとき、CPU11は、表示部15に左から右へ縦表示を行う。また、図9に示すように電子機器100が右手首に装着されているとき、CPU11は、表示部15に右から左へ縦表示を行う。図8、9の矢印は表示の向きを表す。
【0032】
以上、上記の実施形態に係る電子機器100は、ユーザーの手首に装着される電子機器100であって、第1の脈拍センサー(脈拍センサーA17)と、装着時における腕から手先の方向において第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサー(脈拍センサーB18)と、所定の脈動を第1の脈拍センサーが検知するタイミングと第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部(CPU11)と、を備える。
従って、容易に右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断できる。
【0033】
また、判断部(CPU11)は、第1の脈拍センサー(脈拍センサーA17)が1回目の脈動を検知してから第2の脈拍センサー(脈拍センサーB18)が1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、電子機器100が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する。
従って、第1の時間と第2の時間に基づいて、容易に右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断できる。
【0034】
また、第1の脈拍センサー(脈拍センサーA17)は、電子機器100の左手首への装着時において第2の脈拍センサー(脈拍センサーB18)よりも腕から手先の方向における腕側に偏って配置されるよう設けられており、判断部(CPU11)は、第1の時間が第2の時間よりも短い場合に電子機器100が左手首に装着されていると判断する一方で、第1の時間が第2の時間よりも長い場合には電子機器100が右手首に装着されていると判断する。
従って、第1の時間と第2の時間の差異に基づいて、容易に右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断できる。
【0035】
また、判断部(CPU11)による判断結果に応じて、操作部(操作ボタン141、142)に割り当てられる機能を切り替える切替制御部(CPU11)を備える。
従って、判断部による判断結果に応じて、ユーザーが使用しやすい電子機器100を実現することができる。
【0036】
また、判断部(CPU11)による判断結果に応じて、表示部15に表示するメニューの並びを入れ替える表示制御部(CPU11)と、を備える。
従って、判断部による判断結果に応じて、ユーザーが使用しやすい電子機器100を実現することができる。
【0037】
また、判断部(CPU11)による判断結果に応じて、表示部15に表示する画面の向きを変える表示制御部(CPU11)と、を備える。
従って、判断部による判断結果に応じて、ユーザーが表示を見やすい電子機器100を実現することができる。
【0038】
以上、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の実施形態では、脈拍センサーA17は本体部1の9時の位置に、脈拍センサーB18は本体部1の3時の位置に設けられているとしたがこれに限らない。脈拍センサーA17と脈拍センサーB18の間隔は脈動波形のピークの差異を検出できる距離であればよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、脈拍センサーA17、B18は、それぞれ受光素子と発光素子とを備えるとしたがこれに限らない。どちらか一方のみが発光素子を備え、当該一つの発光素子からの反射光を二つの受光素子により受光してもよい。
【0040】
また、上記の実施形態では、CPU11は、電子機器100が左手首に装着されているとき、表示部15に左から右へ縦表示を行い、右手首に装着されているとき、表示部15に右から左へ縦表示を行うとしたがこれに限らない。CPU11は、電子機器100が左手首に装着されているとき、表示部15に右から左へ縦表示を行い、右手首に装着されているとき、表示部15に左から右へ縦表示を行っても良い。
【0041】
また、上記の実施形態の電子機器100を血圧計に適用すると、右手首に装着されているか左手首に装着されているかの判断結果から血圧はどちらの手首で測定されたかの情報を自動で記録することができる。
【0042】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ユーザーの手首に装着される電子機器であって、
第1の脈拍センサーと、
装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部と、
を備える、ことを特徴とする電子機器。
<請求項2>
前記判断部は、前記第1の脈拍センサーが1回目の脈動を検知してから前記第2の脈拍センサーが1回目の脈動を検知するまでの第1の時間と、前記第2の脈拍センサーが前記1回目の脈動を検知してから前記第1の脈拍センサーが2回目の脈動を検知するまでの第2の時間と、に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
<請求項3>
前記第1の脈拍センサーは、前記電子機器の左手首への装着時において前記第2の脈拍センサーよりも前記腕から手先の方向における腕側に偏って配置されるよう設けられており、
前記判断部は、前記第1の時間が前記第2の時間よりも短い場合に前記電子機器が左手首に装着されていると判断する一方で、前記第1の時間が前記第2の時間よりも長い場合には前記電子機器が右手首に装着されていると判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
<請求項4>
前記判断部による判断結果に応じて、操作部に割り当てられる機能を切り替える切替制御部、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項5>
前記判断部による判断結果に応じて、表示部に表示するメニューの並びを入れ替える表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項6>
前記判断部による判断結果に応じて、表示部に表示する画面の向きを変える表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項7>
第1の脈拍センサーと、装着時における腕から手先の方向において前記第1の脈拍センサーとは異なる位置に設けられる第2の脈拍センサーと、を備え、ユーザーの手首に装着される電子機器のコンピューターを、
所定の脈動を前記第1の脈拍センサーが検知するタイミングと前記第2の脈拍センサーが検知するタイミングとの差異に基づいて、前記電子機器が右手首に装着されているか左手首に装着されているかを判断する判断部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0043】
100 電子機器
1 本体部
2 バンド
11 CPU(判断部、切替制御部、表示制御部)
12 RAM
13 記憶部
14 操作部
141 操作ボタン
142 操作ボタン
15 表示部
16 通信部
17 脈拍センサーA17
18 脈拍センサーB18
19 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9