(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】後処理システム、穿孔部材異常判定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B26D 7/22 20060101AFI20240820BHJP
B26F 1/20 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B26D7/22 B
B26F1/20
(21)【出願番号】P 2020170835
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 翔平
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-307386(JP,A)
【文献】特開平05-067860(JP,A)
【文献】特開2011-156642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0120555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/22
B26F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記
ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像
におけるミシン目の長さが一定ではない場合、ミシン目の長さが予め定められた目標の長さより短い場合、又はミシン目間の間隔が予め定められた間隔より広い場合に、前記ミシン刃に紙粉汚れによる異常があると判定する制御部と、
を備える後処理システム。
【請求項2】
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記
ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記ミシン刃に関するミシン刃情報を記憶する記憶部と、
前記ミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える後処理システム。
【請求項3】
前記ミシン刃情報は、前記ミシン刃の刃数、径、刃の長さ、刃の幅のうち、少なくとも1つの情報を含む請求項
2に記載の後処理システム。
【請求項4】
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記
ミシン目加工が施されたシートを読み取って
前記シートの表面の読取画像と裏面の読取画像を取得する画像読取部と、
前記
表面の読取画像と
前記裏面の読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える後処理システム。
【請求項5】
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記
ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える後処理システム
であって、
シート上に画像を形成する画像形成部に接続され、
前記制御部は、前記穿孔処理部によりミシン目加工が施されたシートが前記画像形成部により画像が形成されたシートである場合、前記シート上の画像形成領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合は、前記読取画像における前記シート上の画像が形成されていない領域にあるミシン目を特定し、特定したミシン目を用いて前記ミシン刃の異常を判定する後処理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記読取画像における前記シート上のテキストが形成されていない領域のミシン目を用いて前記ミシン刃の異常を判定する請求項
5に記載の後処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記シート上のミシン目が形成された領域の全体が画像形成領域である場合、前記読取画像におけるミシン目との明度差が所定の閾値以上の色の画像形成領域のミシン目を用いて前記ミシン刃の異常を判定する請求項
5又は6に記載の後処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記シート上のミシン目が形成される領域の全体が画像形成領域である場合、白紙を通紙して前記穿孔処理部によりミシン目加工を行わせ、前記ミシン目加工が施された白紙を前記画像読取部により読み取ることにより得られた読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する請求項
5又は6に記載の後処理システム。
【請求項9】
前記穿孔処理部は、前記シート上のミシン目が加工される領域の全体が画像形成領域である場合、前記シート上に断裁の余白部がある場合には前記余白部にミシン目加工を行い、
前記制御部は、前記読取画像における前記シート上の前記余白部のミシン目を用いて前記ミシン刃の異常を判定する請求項
5又は6に記載の後処理システム。
【請求項10】
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記
ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備え
、
前記ミシン刃の自動清掃機構を有し、
前記制御部は、前記ミシン刃に紙粉汚れによる異常があると判定した場合、前記穿孔処理部を停止させ、前記ミシン刃の自動清掃機構に前記ミシン刃の自動清掃を行わせる後処理システム。
【請求項11】
前記画像読取部は、光源及び受光センサーを有し、前記光源から照射された光が前記シートに斜め方向から当たって前記受光センサーで受光されるように、前記光源と前記受光センサーが配置されている請求項
1~10のいずれか一項に記載の後処理システム。
【請求項12】
用紙上に画像を形成する画像形成部に接続される後処理システムであって、
穿孔部材を有し、
前記画像形成部により画像が形成された用紙に前記穿孔部材により穿孔処理を行う穿孔処理部と、
前記穿孔処理が施された
前記用紙を読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する制御部と、
を備える後処理システム。
【請求項13】
前記穿孔処理部は、前記穿孔部材として、
用紙にミシン目加工を施すミシン刃を有し、
前記制御部は、前記読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する請求項
12に記載の後処理システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記読取画像におけるミシン目の長さ、幅、ミシン目間の間隔のうち、少なくとも1つに基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する請求項
13に記載の後処理システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記読取画像におけるミシン目の長さが一定ではない場合、ミシン目の長さが予め定められた目標の長さより短い場合、又はミシン目間の間隔が予め定められた間隔より広い場合に、前記ミシン刃が異常であると判定する請求項
14に記載の後処理システム。
【請求項16】
前記制御部は、前記読取画像におけるミシン目の幅が予め定められた閾値以上である場合に、前記ミシン刃が異常であると判定する請求項
1~11、13~15のいずれか一項に記載の後処理システム。
【請求項17】
前記制御部は、前記読取画像におけるミシン目の幅が予め定められた閾値以上である場合に、前記ミシン刃が摩耗していると判定する請求項
16に記載の後処理システム。
【請求項18】
前記制御部は、前記ミシン刃に異常があると判定した場合、前記穿孔処理部を停止させ、前記ミシン刃の清掃又は刃交換の必要性を報知部に報知させる請求項1~
11、13~17のいずれか一項に記載の後処理システム。
【請求項19】
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートを画像読取部で読み取った読取画像を取得する画像取得部と、
前記ミシン刃に関するミシン刃情報を記憶する記憶部と、
前記ミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える穿孔部材異常判定装置。
【請求項20】
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートの
表面を画像読取部で読み取った
表面の読取画像
と前記シートの裏面を前記画像読取部で読み取った裏面の読取画像を取得する画像取得部と、
取得した前記
表面の読取画像と
前記裏面の読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える穿孔部材異常判定装置。
【請求項21】
用紙上に画像を形成する画像形成部により画像が形成され、穿孔部材により穿孔処理が施された
用紙を画像読取部で読み取った読取画像を取得する画像取得部と、
取得した前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する制御部と、
を備える穿孔部材異常判定装置。
【請求項22】
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートを画像読取部で読み取った読取画像を取得する取得ステップと、
記憶部に記憶された前記ミシン刃に関するミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて前記
ミシン刃の異常を判定する判定ステップと、
を備えたプログラム。
【請求項23】
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートの
表面を画像読取部で読み取った
表面の読取画像
と前記シートの裏面を前記画像読取部で読み取った裏面の読取画像を取得する取得ステップと、
取得した前記
表面の読取画像と
前記裏面の読取画像に基づいて、
前記ミシン刃の異常を判定する判定ステップと、
を備えたプログラム。
【請求項24】
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
用紙上に画像を形成する画像形成部により画像が形成され、穿孔部材により穿孔処理が施された
用紙を画像読取部で読み取った読取画像を取得する取得ステップと、
取得した前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する判定ステップと、
を備えたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理システム、穿孔部材異常判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像が形成された用紙への後処理としてミシン目加工などの穿孔処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした穿孔処理では、穿孔部材の刃の溝に紙粉が詰まってしまうことで、望みの品質の穿孔ができないことがある。紙粉は通紙する用紙の特性などにより発生量が異なり、また使用環境などによって付着量も異なるため、通紙枚数や処理時間では穿孔部材が正常か異常か予測しにくい。そのため定期的な穿孔部材のクリーニングだけでは望みの品質の穿孔ができないことがあった。
【0005】
本発明の課題は、穿孔処理の品質低下につながる穿孔部材の異常を早期に発見できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る後処理システムは、
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像におけるミシン目の長さが一定ではない場合、ミシン目の長さが予め定められた目標の長さより短い場合、又はミシン目間の間隔が予め定められた間隔より広い場合に、前記ミシン刃に紙粉汚れによる異常があると判定する制御部と、
を備える。
【0007】
また、本発明に係る後処理システムは、
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記ミシン刃に関するミシン刃情報を記憶する記憶部と、
前記ミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0008】
また、本発明に係る後処理システムは、
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記ミシン目加工が施されたシートを読み取って前記シートの表面の読取画像と裏面の読取画像を取得する画像読取部と、
前記表面の読取画像と前記裏面の読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0009】
また、本発明に係る後処理システムは、
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える後処理システムであって、
シート上に画像を形成する画像形成部に接続され、
前記制御部は、前記穿孔処理部によりミシン目加工が施されたシートが前記画像形成部により画像が形成されたシートである場合、前記シート上の画像形成領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合は、前記読取画像における前記シート上の画像が形成されていない領域にあるミシン目を特定し、特定したミシン目を用いて前記ミシン刃の異常を判定する。
【0010】
また、本発明に係る後処理システムは、
ミシン刃を有し、前記ミシン刃によりシートにミシン目加工を施す穿孔処理部と、
前記ミシン目加工が施されたシートを読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備え、
前記ミシン刃の自動清掃機構を有し、
前記制御部は、前記ミシン刃に紙粉汚れによる異常があると判定した場合、前記穿孔処理部を停止させ、前記ミシン刃の自動清掃機構に前記ミシン刃の自動清掃を行わせる。
【0011】
また、本発明に係る後処理システムは、
用紙上に画像を形成する画像形成部に接続される後処理システムであって、
穿孔部材を有し、前記画像形成部により画像が形成された用紙に前記穿孔部材により穿孔処理を行う穿孔処理部と、
前記穿孔処理が施された前記用紙を読み取って読取画像を取得する画像読取部と、
前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0012】
また、本発明に係る穿孔部材異常判定装置は、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートを画像読取部で読み取った読取画像を取得する画像取得部と、
前記ミシン刃に関するミシン刃情報を記憶する記憶部と、
前記ミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0013】
また、本発明に係る穿孔部材異常判定装置は、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートの表面を画像読取部で読み取った表面の読取画像と前記シートの裏面を前記画像読取部で読み取った裏面の読取画像を取得する画像取得部と、
取得した前記表面の読取画像と前記裏面の読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0014】
また、本発明に係る穿孔部材異常判定装置は、
用紙上に画像を形成する画像形成部により画像が形成され、穿孔部材により穿孔処理が施された用紙を画像読取部で読み取った読取画像を取得する画像取得部と、
取得した前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する制御部と、
を備える。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートを画像読取部で読み取った読取画像を取得する取得ステップと、
記憶部に記憶された前記ミシン刃に関するミシン刃情報及び前記読取画像に基づいて前記ミシン刃の異常を判定する判定ステップと、
を備える。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
ミシン刃によりミシン目加工が施されたシートの表面を画像読取部で読み取った表面の読取画像と前記シートの裏面を前記画像読取部で読み取った裏面の読取画像を取得する取得ステップと、
取得した前記表面の読取画像と前記裏面の読取画像に基づいて、前記ミシン刃の異常を判定する判定ステップと、
を備える。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
用紙上に画像を形成する画像形成部により画像が形成され、穿孔部材により穿孔処理が施された用紙を画像読取部で読み取った読取画像を取得する取得ステップと、
取得した前記読取画像に基づいて、前記穿孔部材の異常を判定する判定ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、穿孔処理の品質低下につながる穿孔部材の異常を早期に発見することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】画像形成システムを構成する各装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3A】ミシン刃付きローラーと下受け台とが用紙から離間した状態のミシン目加工モジュールの側面図である。
【
図3B】ミシン刃付きローラーと下受け台とが用紙に当接した状態のミシン目加工モジュールの側面図である。
【
図4】ミシン刃付きローラーと下受け台とが近接する部分の正面図である。
【
図5】
図2の制御部41により実行される異常判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】目標の長さをもつミシン目の読取画像と異常のあるミシン刃で形成されたミシン目の読取画像を比較して示す図である。
【
図7】ミシン刃に紙粉が詰まった様子を模式的に示す図である。
【
図8A】新旧のミシン刃による用紙への穿孔の様子を正面から見た図及び用紙に形成されたミシン目を示す図である。
【
図8B】古い(摩耗した)ミシン刃で形成されたミシン目の読取画像を示す図である。
【
図9】ミシン目が形成された用紙の表面の読取画像と裏面の読取画像を示す図である。
【
図10】用紙上の印刷領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合にミシン刃の異常判定に用いるミシン目の領域の一例を示す図である。
【
図11】用紙上の印刷領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合にミシン刃の異常判定に用いるミシン目の領域の一例を示す図である。
【
図12】用紙上の印刷領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合にミシン刃の異常判定に用いるミシン目の領域の一例を示す図である。
【
図13】白紙を通紙してミシン刃の異常判定を行う様子を模式的に示す図である。
【
図14】用紙上の印刷領域とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合にミシン刃の異常判定に用いるミシン目の領域の一例を示す図である。
【
図15】ミシン刃の自動清掃機構を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0029】
<画像形成システム100の構成>
図1に、本実施形態における画像形成システム100の概略構成を示す。
図2に、画像形成システム100の機能構成例を示す。
図1、2に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置1と、後処理システム2とを備えて構成されている。
【0030】
画像形成装置1は、入力された画像データに基づいて用紙Sに画像を形成する。画像形成装置1は、
図2に示すように、制御部11、操作表示部12、記憶部13、通信部14、画像形成部15、搬送部16等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0031】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成される。制御部11のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置1の各部を統括制御する。
例えば、通信部14を介してPC(Personal Computer)等の外部装置から印刷ジョブ(以下、ジョブ)が入力されると、制御部11は、後処理システム2にジョブの画像データ及び設定情報を送信するとともに、ジョブを実行し、搬送部16により給紙部から用紙Sを搬送させて画像形成部15により用紙Sに画像を形成させ、画像が形成された用紙Sを後処理システム2の穿孔処理装置3に搬送させる。
【0032】
操作表示部12は、操作部と表示部により構成される。操作部は、操作キーや表示部の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部11に出力する。表示部は、LCD(Liquid crystal display)等を備え、画像形成装置1及び後処理システム2の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0033】
記憶部13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等で構成され、外部から入力されたジョブの画像データや設定情報等が記憶される。ここで、ジョブの設定情報には、ジョブで使用される用紙種類や用紙サイズ、片面/両面印刷等の画像形成条件の他、後処理に関する情報、例えば、ミシン目加工を施す位置の情報(ミシン目位置情報と呼ぶ)、断裁する位置の情報等が含まれる。
【0034】
通信部14は、NIC(Network interface card)又はシリアルインターフェース等により構成され、外部のPCや後処理システム2の各装置などとの間でデータの送受信を行う。
【0035】
画像形成部15は、制御部11の制御に従って、記憶部13に記憶されたジョブの画像データに基づき、用紙Sに画像を形成する。画像形成部15の画像形成方式としては、電子写真方式やインクジェット方式等の各種の方式を採用することができる。
【0036】
搬送部16は、図示しない給紙部から給紙された用紙Sを挟持した状態で回転することで用紙Sを搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙Sを搬送する。
【0037】
後処理システム2は、穿孔処理装置3と、画像読取装置4と、を備えて構成されている。なお、後処理システム2は、穿孔処理装置3と画像読取装置4に加えて、さらに他の後処理装置が備えられていてもよい。例えば、画像読取装置4の下流側に、画像形成装置1から搬送された用紙Sを断裁する断裁装置を備えることとしてもよい。
【0038】
穿孔処理装置3は、画像形成装置1から搬送された用紙Sに穿孔処理を施す。本実施形態では、穿孔処理装置3は、画像形成装置1から搬送された用紙Sにミシン目加工を施す。すなわち、用紙Sに直線状に連続してスリット状の貫通孔を開ける。穿孔処理装置3は、
図2に示すように、制御部31、穿孔処理部32、記憶部33、通信部34、搬送部35等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0039】
制御部31は、CPU、ROM、RAMを備えて構成される。制御部31のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って穿孔処理装置3の各部を統括制御する。
例えば、制御部31は、通信部34を介して画像形成装置1からジョブの各ページの画像データ及び設定情報を受信すると、受信したジョブの設定情報に含まれるミシン目位置情報に基づいて、画像形成装置1から搬送されてきた用紙Sに穿孔処理部32によりミシン目加工を施し、ミシン目加工済みの用紙Sを搬送部35により画像読取装置4に搬送する。
【0040】
穿孔処理部32は、画像形成装置1から搬送されてきた用紙Sに穿孔処理を施すものである。本実施形態において、穿孔処理部32は、
図1に示すように、ミシン目加工モジュール321~324を備えている。ミシン目加工モジュール321、323は、用紙Sの搬送方向(副走査方向)に沿ったミシン目を形成する。ミシン目加工モジュール322、324は、用紙Sの搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿ったミシン目を形成する。
【0041】
ミシン目加工モジュール321~324は、用紙Sが通過する搬送路の上側に配置されたミシン刃付きローラー50と、用紙Sの搬送路の下側に配置された下受け台60と、ミシン刃付きローラー50を下受け台60の方向に移動させる図示しない移動機構と、を備える。
図3Aは、ミシン目加工モジュール321~324において、ミシン刃付きローラー50と下受け台60とが、用紙Sから離間した状態を示す側面図である。
図3Bは、ミシン目加工モジュール321~324において、ミシン刃付きローラー50と下受け台60とが、用紙Sに当接した状態を示す側面図である。
図4は、ミシン目加工モジュール321~324において、ミシン刃付きローラー50のミシン刃51と下受け台60とが近接する部分を示す正面図である。ミシン目加工モジュール321~324は、ミシン刃51を用紙Sに当接させ、用紙Sの紙面に沿って、用紙Sとミシン刃付きローラー50のミシン刃51とを相対移動させることにより、用紙Sにミシン目加工を施す。
【0042】
ミシン刃付きローラー50は、用紙Sにミシン目をつけるためのローラーであり、その円筒面の周方向に沿って連続的に複数の刃が環状に並んで形成された、穿孔部材としてのミシン刃51が取り付けられている。ミシン刃付きローラー50は、図示しない駆動部と接続され、駆動部が回転駆動することにより回転可能に設けられている。
図3A及び
図3Bにおいては、図面の右から左に搬送される用紙Sの搬送方向に合わせてミシン刃付きローラー50が時計回りに回転する。ミシン刃51の複数の刃は、ミシン刃付きローラー50の表面に沿って環状に並んで形成されているため、刃先が用紙Sを貫通する位置でミシン刃付きローラー50が回転することにより、用紙Sにミシン目を連続的に形成することができる。
【0043】
下受け台60は、用紙Sをミシン刃付きローラー50に押し当てるためのローラーであり、図示しない駆動部からの駆動力を受けて回転するローラーである。
図3A及び
図3Bにおいては、図の右から左に搬送される用紙Sの搬送方向に合わせて下受け台60が反時計回りに回転する。
図4に示すように、下受け台60の円筒面には、搬送されてきた用紙Sと当接する外周面62と、この外周面62の中央に配置された溝部61とが設けられている。溝部61は用紙Sを貫通したミシン刃51が下受け台60の円筒面と直に接しないように、外周面62の中心部分に連続的に形成されている。ミシン目加工モジュール321では、下受け台60の外周面62上に搬送されてきた用紙Sに対し、図示しない移動機構によりミシン刃51が貫通する位置までミシン刃付きローラー50を溝部61の方向(下受け台60の回転中心方向)に移動させることにより、用紙Sにミシン目加工を行うことができる。
【0044】
記憶部33は、DRAM、HDD等で構成され、ジョブの画像データや設定情報等が記憶される。
【0045】
通信部34は、NIC又はシリアルインターフェース等により構成され、画像形成装置1や後処理システム2の各装置などとの間でデータの送受信を行う。
【0046】
搬送部35は、用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙Sを搬送する。
【0047】
画像読取装置4は、穿孔処理装置3から搬送されたミシン目加工済みの用紙Sを読み取り、得られた読取画像に基づいて、ミシン刃51が異常であるか否かを判定する。画像読取装置4は、
図2に示すように、制御部41、画像読取部42、記憶部43、通信部44、搬送部45等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0048】
制御部41は、CPU、ROM、RAMを備えて構成される。制御部41のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って画像読取装置4の各部を統括制御する。
例えば、制御部41は、通信部44を介して画像形成装置1からジョブの各ページの画像データ及び設定情報を受信すると、後述する異常判定処理を実行する。
【0049】
画像読取部42は、搬送されてきた用紙Sの裏面を読み取る第1の読取部421と、搬送されてきた用紙Sの表面を読み取る第2の読取部422を備える。第1の読取部421及び第2の読取部422は、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、穿孔処理装置3から搬送された用紙Sを読み取って、得られた読取画像を制御部41に出力する。リニアイメージセンサーと光源は、光源から照射された光が用紙Sに斜めに当たってリニアイメージセンサーで受光されるように配置されている。斜めから光を照射することで、ミシン目の溝の影の領域を増やし、ミシン目を読み取りやすくすることができる。
【0050】
記憶部43は、DRAM、HDD等で構成され、ジョブの画像データや設定情報等が記憶される。
【0051】
通信部44は、NIC又はシリアルインターフェース等により構成され、画像形成装置1や後処理システム2の各装置などとの間でデータの送受信を行う。
【0052】
搬送部45は、用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙Sを搬送する。
【0053】
<後処理システム2の動作>
次に、後処理システム2の動作について説明する。
穿孔処理装置3において、画像形成装置1からのジョブの各ページの画像データ及び設定情報が受信され、画像形成済みの用紙Sが画像形成装置1から搬送されると、制御部31は、受信した画像データ、及び設定情報に含まれるミシン目位置情報に基づいて、搬送されてきた用紙Sに対して穿孔処理部32により穿孔処理を実施させる。具体的には、ミシン目加工モジュール321~324により用紙Sにミシン目加工を施させる。ミシン目加工済みの用紙Sは、搬送部35により画像読取装置4に搬送される。
【0054】
画像読取装置4において、画像形成装置1からのジョブの各ページの画像データ及びミシン目加工を施す位置の情報(ミシン目位置情報と呼ぶ)が受信され、ミシン目加工済みの用紙Sが穿孔処理装置3から搬送されると、制御部41は、ミシン刃51が異常であるか否かを判定するための異常判定処理を実行する。
【0055】
図5は、制御部41により実行される異常判定処理の流れを示すフローチャートである。異常判定処理は、制御部41のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0056】
まず、制御部41は、搬送されてきたミシン目加工済みの用紙Sを画像読取部42に読み取らせ、読取画像を取得させる(ステップS1)。
【0057】
次いで、制御部41は、画像読取部42において取得された読取画像に基づいて、穿孔処理装置3に備えられているミシン刃付きローラー50のミシン刃51の異常を判定する(ステップS2)。
【0058】
例えば、ステップS2において、制御部41は、読取画像におけるミシン目の長さL、幅W、ミシン目間の間隔の少なくとも一つに基づいて、ミシン刃51の異常を判定する。
図6は、目標の長さL0をもつミシン目と、異常なミシン刃51により形成されたミシン目の読取画像を比較して示す図である。
図7は、ミシン刃51に紙粉が詰まった様子を模式的に示す図である。
図6に示すように、読取画像において、ミシン目は影のように黒っぽく見える。
図7に示すように、ミシン刃51に紙粉が詰まると、紙粉が詰まった箇所の刃の切れが悪くなるため、紙粉が詰まった箇所の刃で穿孔されたミシン目の長さLが
図6に示すように予め定められた目標の長さL0より短くなる。また、紙粉が詰まった箇所のミシン目の間隔が広がる。また、紙粉が詰まっていない箇所の刃で穿孔されたミシン目と紙粉が詰まっている箇所の刃で穿孔されたミシン目とで長さLが変わるため、ミシン目の長さLにばらつきが出る。そこで、ステップS2において、制御部41は、読取画像から各ミシン目の長さLを計測し、計測したミシン目の長さLが一定ではない場合、予め定められた目標の長さL0より短い場合、又はミシン目同士の間隔が予め定められた間隔より広がった場合に、ミシン刃51に紙粉汚れによる異常があると判定する。
【0059】
図8Aは、新旧のミシン刃51の用紙Sへの穿孔の様子を正面から見た図及び用紙Sに形成されたミシン目を示す図、
図8Bは、古い(摩耗した)ミシン刃51で形成されたミシン目の読取画像を示す図である。
図8Aに示すように、ミシン刃51は、古くなって摩耗するとつぶれるため、新しいミシン刃51でミシン目を形成した場合に比べてミシン目の幅Wが広がる。そこで、ステップS2において、制御部41は、読取画像からミシン目の幅Wを計測し、計測したミシン目の幅Wが予め定められた閾値以上である場合、ミシン刃51が摩耗している(寿命である)と判定する。
【0060】
また、例えば、記憶部43にミシン刃51に関する情報(ミシン刃情報)が記憶されている場合、制御部41は、ミシン刃情報と読取画像に基づいて、ミシン刃51の異常を判定してもよい。ミシン刃情報としては、例えば、ミシン刃51の刃数、径、刃の長さ(ミシン刃51の回転方向の刃の長さ)、幅(ミシン刃51の回転方向と直交する方向の刃の幅)のうち少なくとも一つの情報を含んでいる。
例えば、制御部41は、ミシン刃情報の刃の長さの情報とジョブの設定情報に含まれる用紙Sの種類の情報(紙種、坪量)に基づいて、用紙S上に形成されるミシン目の長さLがどのくらいになるか推測する。そして、推測した長さL1より読取画像から計測した計測した実際のミシン目の長さLが短い場合は異常と判定する。なお、推測した長さL1を上述の刃の長さLの目標の長さL0としてもよい。
同様に、制御部41は、ミシン刃情報の刃の幅の情報とジョブの設定情報に含まれる用紙の種類の情報に基づいて、用紙S上に形成されるミシン目の幅Wがどのくらいになるか推測する。そして、推測した幅W1よりも読取画像から計測した用紙S上の実際のミシン目の幅Wが広い場合は異常と判定する。
また、制御部41は、読取画像から計測したミシン目の長さLが推測した長さL1より短い場合、又は計測したミシン目の幅Wが上述の推測した幅W1より広い場合に、ミシン刃51の刃数や径の情報に基づいて、読取画像から該当するミシン目と同じ刃により形成された他のミシン目を特定し、特定した他のミシン目の長さLや幅Wを計測して、他のミシン目の長さLが推測された長さL1より短いか又は幅Wが推測された幅W1より広い場合に、ミシン刃51が異常と判定してもよい。このようにすれば、たまたま1回だけミシン目の形成が失敗したような場合をミシン刃51の異常から除くことができ、異常の判定精度を向上させることができる。
【0061】
また、制御部41は、第2の読取部422により取得された用紙Sの表面の読取画像と、第1の読取部421により取得された裏面の読取画像に基づいてミシン刃51の異常を判定してもよい。例えば、
図9に示すように、表面の読取画像と裏面の読取画像で対応するミシン目の長さLが異なる場合、制御部41は、ミシン刃51の溝に紙粉がたまったことによる穿孔不足の異常と判定することができる。
【0062】
また、
図10に示すように、用紙S上の印刷領域(画像形成領域)とミシン目が形成された領域の一部が重なる場合、制御部41は、ミシン目位置情報と画像データから、読取画像における用紙Sの印刷領域外にあるミシン目の領域(例えば、
図10において一点鎖線で囲んだ領域)を特定し、特定した領域のミシン目に基づいてミシン刃51の異常を判定する。特に、
図11に示すように、テキスト領域は線が細く、ミシン目との区別がつきにくいため、制御部41は、読取画像におけるテキストが形成されていない領域(例えば
図11において一点鎖線で囲んだ領域)のミシン目を用いて異常を判定する。これにより、ミシン目の検出ミスを防止し、精度良く異常判定を行うことが可能となる。
【0063】
また、
図12に示すように、用紙S上のミシン目が形成された領域の全体が印刷領域である場合、制御部41は、ミシン目位置情報と画像データに基づいて、読取画像においてミシン目が検出可能な色の領域、例えば、ミシン目との明度差が所定の閾値以上の色の領域(例えば、
図12において一点鎖線で囲んだ領域)を特定し、特定した領域のミシン目に基づいてミシン刃51の異常を判定する。これにより、ミシン目の検出ミスを防止し、精度良くミシン刃51の異常判定を行うことが可能となる。
【0064】
あるいは、用紙S上のミシン目が形成される領域の全体が印刷領域である場合、制御部41は、
図13に示すように、ジョブのページ間に白紙を通紙して穿孔処理装置3によりミシン目加工を行わせ、ミシン目加工済みの白紙を画像読取部42で読み取ることにより得られた読取画像に基づいてミシン刃51の異常を判定してもよい。これにより、ミシン目の検出ミスを防止し、精度良く異常判定を行うことが可能となる。
【0065】
また、画像読取装置4の用紙Sの搬送方向下流側に断裁装置が備えられている場合で、
図14に示すように、用紙S上のミシン目が形成される領域の全体が印刷領域で、用紙Sに断裁の余白部がある場合には、穿孔処理装置3においてその余白部にもミシン目加工を行い、制御部41は、画像読取部42により読み取られた読取画像における断裁の余白部のミシン目に基づいてミシン刃51の異常を判定することとしてもよい。これにより、ミシン目の検出ミスを防止し、精度良く異常判定を行うことが可能となる。なお、断裁の余白部に色が載っている領域がある場合には、読取画像においてミシン目との明度差が所定の閾値以上となる領域を特定し、特定した領域のミシン目に基づいてミシン刃51の異常を判定する。
【0066】
ステップS2の判定によりミシン刃51に異常があると判定した場合(ステップS3;YES)、制御部41は、通信部44を介して穿孔処理装置3にミシン目加工を停止させ、ミシン刃51の清掃や刃交換が必要であることを報知し(ステップS4)、異常判定処理を終了する。
例えば、制御部41は、報知部としての操作表示部12に対し、ミシン刃51の清掃や刃交換が必要であることを報知するメッセージを表示させる。または、画像形成装置1が音声出力部を備える場合、音声によりミシン刃51の清掃や刃交換が必要であることを報知するメッセージを出力してもよい。これにより、ユーザーやサービスマンにミシン刃51の清掃や刃交換が必要であることを認識させることができる。
【0067】
一方、ステップS2の判定によりミシン刃51に異常がないと判定した場合(ステップS3;NO)、制御部41は、次に読み取るべき用紙Sがあるか否かを判断する(ステップS5)。
次に読み取るべき用紙Sがあると判断した場合(ステップS5;YES)、制御部41は、ステップS1に戻る。
次に読み取るべき用紙Sがないと判断した場合(ステップS5;NO)、制御部41は、異常判定処理を終了する。
【0068】
なお、上記異常判定処理では、ミシン刃51に異常があると判定した場合、ステップS4において、ミシン刃51の清掃や刃交換の必要性を報知することとしたが、これに限定されない。例えば、
図15に示すように、ミシン刃51の自動清掃機構52を有している場合であって、紙粉詰まりによる異常と判定された場合、制御部41は、通信部44を介して穿孔処理装置3にミシン目加工を停止させた後、自動清掃機構52がミシン刃51を自動清掃するよう穿孔処理装置3を制御してもよい。自動清掃機構52は、例えば、ミシン刃51の両側面に圧接及び離間可能なブラシを有する。清掃時にミシン刃51と下受け台60とを離間させた状態でミシン刃付きローラー50を回転させてミシン刃51に自動清掃機構52のブラシを圧接させることで、ミシン刃51を清掃する。これにより、ユーザーがミシン刃51の清掃を行う必要がなくなり、利便性が向上する。なお、報知と清掃の両方を行ってもよい。
【0069】
以上説明したように、後処理システム2によれば、ミシン目加工が施された用紙Sを画像読取部42により読み取って読取画像を取得し、取得された読取画像に基づいて、制御部41によりミシン刃51の異常を判定する。したがって、ミシン目加工の品質低下につながるミシン刃51の異常を早期に発見することが可能となる。
【0070】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る後処理システムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施形態においては、画像読取装置4の制御部41が画像読取部42で読み取った読取画像を取得し、取得した読取画像に基づいてミシン刃51の異常を判定する場合を例として、すなわち、画像読取装置4が本発明の穿孔部材異常判定装置を含む構成である場合を例として説明したが、これに限定されない。例えば、画像読取部42で読み取った読取画像を通信部44により画像形成装置1(又は穿孔処理装置3)に送信し、画像形成装置1の制御部11(又は穿孔処理装置3の制御部31)が、通信部14(又は通信部34)により取得された読取画像に基づいてミシン刃51の異常を判定することとしてもよい。すなわち、画像形成装置1(又は穿孔処理装置3)が穿孔部材異常判定装置を含む構成としてもよい。なお、この場合、ミシン刃情報は記憶部13(又は記憶部33)に備えられている。あるいは、画像形成装置1、穿孔処理装置3、画像読取措置4とは独立した穿孔部材異常判定装置が、画像読取部42で読み取った読取画像を通信部を介して取得し、取得した読取画像に基づいてミシン刃51の異常を判定することとしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、画像形成装置1と後処理システム2が別体である場合を例にとり説明したが、画像形成装置1に後処理システム2の構成要素が備えられている構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、外部装置から入力された印刷ジョブに基づいて画像が形成された用紙に穿孔処理を行う穿孔部材の異常判定を行う場合を例にとり説明したが、本発明は、画像形成装置1が原稿読取装置を備える構成の場合、操作表示部12により設定され、原稿読取装置によって読み取られた画像データに基づく印刷ジョブによって画像が形成された用紙に穿孔処理を行う穿孔部材の異常判定を行う場合にも適用可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、穿孔処理装置3が用紙Sに穿孔処理としてミシン目加工を施す装置であり、穿孔部材としてのミシン刃51の異常を判定する場合を例にとり説明したが、本発明は、用紙に他の穿孔処理を施す(例えば、パンチ処理を施す)穿孔部材の異常を判定する場合に適用してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、穿孔処理が施されるシートが用紙である場合を例にとり説明したが、他の素材のシートであってもよい。
【0076】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDや半導体メモリーを使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0077】
その他、後処理システムの細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 画像形成システム
1 画像形成装置
11 制御部
12 操作表示部
13 記憶部
14 通信部
15 画像形成部
16 搬送部
2 後処理システム
3 穿孔処理装置
31 制御部
32 穿孔処理部
33 記憶部
34 通信部
35 搬送部
4 画像読取装置
41 制御部
42 画像読取部
43 記憶部
44 通信部
45 搬送部