(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】絶縁性セグメントコンダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 13/12 20060101AFI20240820BHJP
C25D 13/00 20060101ALI20240820BHJP
C25D 13/04 20060101ALI20240820BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20240820BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C25D13/12 A
C25D13/00 307F
C25D13/04
H02K15/04 A
H02K15/12 D
(21)【出願番号】P 2020183741
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 和彦
(72)【発明者】
【氏名】桜井 英章
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-011361(JP,B1)
【文献】特開昭59-156529(JP,A)
【文献】特開2020-054041(JP,A)
【文献】特開2019-039024(JP,A)
【文献】特開2013-138594(JP,A)
【文献】特開2017-085701(JP,A)
【文献】特開2013-072092(JP,A)
【文献】特開2005-209378(JP,A)
【文献】特開2017-115240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 13/00-13/24
H02K 15/00-15/02
H02K 15/04-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に連結された複数のセグメントコンダクタ片を含む導電体からなる連続体を用意する工程と、
前記連続体の表面を、電着法を用いて絶縁皮膜で被覆して、絶縁性連続体を得る工程と、
前記絶縁性連続体を前記セグメントコンダクタ片毎に切断して、複数個の絶縁性セグメントコンダクタを得る工程と、を含
み、
前記連続体が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで形成されており、前記絶縁皮膜は、アミド系樹脂材料を含んでおり、
前記連続体が螺旋状である絶縁性セグメントコンダクタの製造方法。
【請求項2】
前記連続体が、一つの導電線をセグメントコンダクタ片の形状に変形加工することによって得られたものである請求項1に記載の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法。
【請求項3】
前記連続体が、平面視において、2つのセグメントコンダクタ片が連結した形状である
請求項1又は2に記載の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法。
【請求項4】
前記絶縁皮膜は、膜厚が5μm以上である
請求項1~3のいずれか一項に記載の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法。
【請求項5】
さらに、前記絶縁性セグメントコンダクタの両端部を被覆する前記絶縁皮膜を除去する工程を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性セグメントコンダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性セグメントコンダクタは、U字状に加工された導電体であって、表面が絶縁皮膜で被覆されたものである。絶縁性セグメントコンダクタは、例えば、セグメントコンダクタコイルの材料として用いられている。セグメントコンダクタコイルは、一般に、周方向に複数個のスロットが形成されたステータコアと、ステータコアのスロットに挿入された複数個の絶縁性セグメントコンダクタとから構成されている。セグメントコンダクタコイルは、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモータの部品として利用されている。
【0003】
絶縁性セグメントコンダクタを製造する方法としては、導電体の表面を絶縁皮膜で被覆し、次いで得られた絶縁性導電体をセグメントコンダクタの形状に変形加工する方法が知られている(特許文献1)。また、絶縁性セグメントコンダクタを製造する別の方法として、導電体をセグメントコンダクタの形状に変形加工し、得られたセグメントコンダクタの表面を絶縁皮膜で被覆する方法も知られている(特許文献2)。特許文献2には、セグメントコンダクタの表面を絶縁皮膜で被覆する方法として、電着により塗料を付着させ、次いで付着した塗料を焼き付ける方法(電着法)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-45972号公報
【文献】特開2017-115240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁性セグメントコンダクタの導電体としては、一般に、平角銅線などの角型導電体が用いられている。このため、特許文献1に記載されている絶縁性導電体をセグメントコンダクタの形状に変形加工する絶縁性セグメントコンダクタの製造方法は、変形加工によって変形させた部分で絶縁皮膜が割れるおそれがある。特に、最近では、絶縁性セグメントコンダクタの形状が複雑化しており、変形加工によって絶縁皮膜が割れやすくなる傾向にある。
【0006】
一方、セグメントコンダクタの表面を絶縁皮膜で被覆する絶縁性セグメントコンダクタの製造方法は、絶縁皮膜で被覆した後の絶縁性セグメントコンダクタに対して変形加工を行なわないので、絶縁皮膜が割れることが起こりにくい。しかしながら、特許文献2に記載されている絶縁性セグメントコンダクタの製造方法では、セグメントコンダクタの表面を絶縁皮膜で被覆する際に、セグメントコンダクタ毎に直流電源を接続する必要があるため、作業が煩雑である。このため、大量の絶縁性セグメントコンダクタを安価に製造することは難しい。
【0007】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、変形加工によって絶縁皮膜が割れることが起こりにくく、かつ大量生産が容易な絶縁性セグメントコンダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法は、直列に連結された複数のセグメントコンダクタ片を含む導電体からなる連続体を用意する工程と、前記連続体の表面を、電着法を用いて絶縁皮膜で被覆して、絶縁性連続体を得る工程と、前記絶縁性連続体を前記セグメントコンダクタ片毎に切断して、複数個の絶縁性セグメントコンダクタを得る工程と、を含み、前記連続体が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで形成されており、前記絶縁皮膜は、アミド系樹脂材料を含んでおり、前記連続体が螺旋状である。
【0009】
このような構成とされた本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法によれば、直列に連結された複数のセグメントコンダクタ片を含む連続体を用意し、この連続体の表面に対して絶縁皮膜で被覆するので、絶縁皮膜を形成した後に変形加工を行なう必要が特にはない。このため、得られた絶縁性セグメントコンダクタは、絶縁皮膜が割れることが起こりにくい。
また、一つの連続体に対して電着法を用いることによって、複数のセグメントコンダクタ片の表面を絶縁皮膜で被覆することができるので、大量生産が容易となる。
連続体が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで形成されていて、連続体の導電性が高いので、電着法を用いることによって、連続体の表面に均一な厚みの絶縁皮膜を安定して形成することができる。また、得られる絶縁性セグメントコンダクタの導電体の導電性が高くなる。
絶縁皮膜はアミド系樹脂材料を含むので、得られる絶縁性セグメントコンダクタは高い耐熱性に加えて、絶縁性も向上する。
連続体が螺旋状であるので、電着法を用いて絶縁皮膜で被覆する際に用いる電着装置のサイズを小型化することが可能となり、連続体を効率よく絶縁皮膜で被覆することができる。
【0010】
ここで、本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法においては、前記連続体が、一つの導電線をセグメントコンダクタ片の形状に変形加工することによって得られたものである構成としてもよい。
この場合、連続体が一つの導電線から得られたものとなるので、連続体の導電性が均一となり、電着法を用いることによって、連続体の表面に均一な厚みの絶縁皮膜を安定して形成することができる。
【0012】
また、本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法においては、前記連続体が、平面視において、2つのセグメントコンダクタ片が連結した形状である構成としてもよい。
この場合、平面視において、2つのセグメントコンダクタ片が連結した部分を確認できるので、絶縁性連続体をセグメントコンダクタ片毎に切断するのが容易になる。
【0014】
また、本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法においては、前記絶縁皮膜は、膜厚が5μm以上である構成としてもよい。
この場合、絶縁皮膜は膜厚が5μm以上であるので、得られる絶縁性セグメントコンダクタの絶縁性が向上する。
【0016】
また、本発明の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法においては、さらに、前記絶縁性セグメントコンダクタの両端部を被覆する前記絶縁皮膜を除去する工程を含む構成としてもよい。
この場合、さらに、絶縁性セグメントコンダクタの両端部を被覆する絶縁皮膜を除去する工程を含むので、得られる絶縁性セグメントコンダクタはその状態で、セグメントコンダクタコイルのステータコアのスロットに挿入することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、変形加工によって絶縁皮膜が割れることが起こりにくく、かつ大量生産が容易な絶縁性セグメントコンダクタの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において得られる絶縁性セグメントコンダクタの一例の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる連続体の一例の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる電着装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において得られる絶縁性連続体の一例の平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる連続体の別の一例の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる連続体のさらに別の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法について、添付した図面を参照して説明する。
【0020】
(絶縁性セグメントコンダクタ)
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において得られる絶縁性セグメントコンダクタの一例の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
図1において、絶縁性セグメントコンダクタ10は、平面視で五角形状である。絶縁性セグメントコンダクタ10は、
図2に示すように、導電体11と、導電体11の表面を被覆する絶縁皮膜12とを有する。導電体11は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかから構成されていてもよい。銅合金は、例えば、銅を50質量%以上含む合金である。アルミニウム合金は、例えば、アルミニウムを50質量%以上含む合金である。絶縁皮膜12は、例えば、アミド系樹脂、アミドイミド系樹脂を含んでもよい。絶縁皮膜12は、膜厚が5μm以上であることが好ましい。絶縁皮膜12の膜厚は、10μm以上200μm以下の範囲内にあることがより好ましく、30μm以上100μm以下の範囲内にあることが特に好ましい。
【0021】
絶縁性セグメントコンダクタ10は、例えば、セグメントコンダクタコイルの材料として利用することができる。絶縁性セグメントコンダクタ10をセグメントコンダクタコイルの材料として用いる場合は、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部の導電体11を剥き出しにしてもよい。
【0022】
(絶縁性セグメントコンダクタの製造方法)
本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタ10の製造方法は、連続体を用意する用意工程と、連続体の表面を、電着法を用いて絶縁皮膜で被覆して、絶縁性連続体を得る電着工程と、絶縁性連続体を前記セグメントコンダクタ片毎に切断して、複数個の絶縁性セグメントコンダクタを得る切断工程と、を含む。
【0023】
(用意工程)
用意工程で用意する連続体は、直列に連結された複数のセグメントコンダクタ片を含む導電体からなる。連続体は、絶縁性セグメントコンダクタ10の導電体11を構成する。セグメントコンダクタ片は、製造目的の絶縁性セグメントコンダクタ10の形状に成形体された部分である。
【0024】
図3は、連続体の一例の斜視図である。
図3に示す連続体20は、五角形状に形成された複数のセグメントコンダクタ片21a、21bが連結部22を介して連結された導電体からなる。連続体20は螺旋状に巻かれた形状とされている。また、連続体20は、平面視において、隣り合うセグメントコンダクタ片21aとセグメントコンダクタ片21bとが、互いの頂部が反対方向を向くように、連結部22を介して線対称に連結した形状とされている。
【0025】
連続体20の両端は端子23とされている。端子23は、次の電着工程において、直流電源と接続する部分である。
【0026】
連続体20は、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで形成されている。連続体20は、例えば、一つの導電線をセグメントコンダクタ片21a、21bの形状に、連続もしくは間欠的に変形加工することによって製造することができる。導電線としては、例えば、平角銅線などの角型導電体を用いることができる。
【0027】
(電着工程)
電着工程では、絶縁性セグメントコンダクタ10の絶縁皮膜12を形成する。電着工程では、次のようにして絶縁性連続体を得る。
先ず、電着装置を用いて、連続体20の表面を電着膜で被覆する。
図4は、電着装置の構成の一例を示す概略図である。
図4に示すように、電着装置1は、電着液タンク2と、電着液タンク2に収容されている電着液3と、電極4と、直流電源5と、を備える。電着液3には、連続体20と電極4とが浸漬される。連続体20と電極4はそれぞれ直流電源5に接続している。電着液3は、電荷を有する絶縁樹脂粒子を含む分散液である。絶縁樹脂粒子としては、例えば、アミド系樹脂粒子、アミドイミド系樹脂粒子を用いることができる。
【0028】
電着装置1において、連続体20と電極4との間に直流電源5を用いて直流電圧を印加する。これによって、電着液3中の絶縁樹脂粒子が連続体20の表面に電着して、連続体20の表面が電着膜で被覆される。
【0029】
次いで、電着膜で被覆された連続体20を、電着装置1から取り出して乾燥する。そして、乾燥後の連続体20を加熱して、電着膜を連続体20に焼き付けることによって、絶縁皮膜が形成される。こうして、絶縁性連続体を得ることができる。
【0030】
(切断工程)
切断工程では、絶縁性連続体を絶縁性連続体のセグメントコンダクタ片毎に切断する。これによって、複数個の絶縁性セグメントコンダクタを得ることができる。
【0031】
図5は、絶縁性連続体の一例の平面図である。
絶縁性連続体30は、平面視において、絶縁性セグメントコンダクタ片31aと絶縁性セグメントコンダクタ片31bとが、互いの頂部が反対方向を向くように、連結部32を介して線対称に連結した形状とされている。このため、平面視において、互いに対向する連結部32を結ぶ切断線35に沿って、絶縁性連続体30を切断することによって、
図1及び
図2に示す絶縁性セグメントコンダクタ10を複数個作製することができる。
【0032】
絶縁性セグメントコンダクタ10をセグメントコンダクタコイルの材料として用いる場合は、さらに、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部を被覆する絶縁皮膜12を除去する工程を実施して、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部の導電体11を剥き出しにしてもよい。
【0033】
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタ10の製造方法によれば、直列に連結された複数のセグメントコンダクタ片21a、21bを含む連続体20を用意し、この連続体20の表面に対して絶縁皮膜12で被覆するので、絶縁皮膜12を形成した後に変形加工を行なう必要が特にはない。このため、得られた絶縁性セグメントコンダクタ10は、絶縁皮膜12に割れが発生することが起こりにくい。
また、一つの連続体20に対して電着法を用いることによって、複数のセグメントコンダクタ片21a、21bの表面を絶縁皮膜12で被覆することができるので、大量生産が容易となる。
【0034】
本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、連続体20が、一つの導電線をセグメントコンダクタ片21a、21bの形状に変形加工することによって得られたものである場合は、連続体20の導電性が均一となり、電着法を用いることによって、連続体20の表面に均一な厚みの絶縁皮膜12を安定して形成することができる。
【0035】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、連続体20が螺旋状である場合は、電着法を用いて絶縁皮膜で被覆する際に用いる電着装置1のサイズを小型化することが可能となり、連続体20の表面を効率よく絶縁皮膜12で被覆することができる。
【0036】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、連続体20が、平面視において、2つのセグメントコンダクタ片21a、21bが連結した形状である構成である場合は、平面視において、2つのセグメントコンダクタ片21a、21bの連結部22を確認できるので、絶縁性連続体30をセグメントコンダクタ片毎に切断するのが容易になる。
【0037】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、連続体20が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで形成されている場合は、連続体20の導電性が高いので、電着法を用いることによって、連続体20の表面に厚みが均一な絶縁皮膜12を安定して形成することができる。また、得られる絶縁性セグメントコンダクタ10の導電体11の導電性が高くなる。
【0038】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、絶縁皮膜12の膜厚が5μm以上である場合、得られる絶縁性セグメントコンダクタ10の絶縁性が向上する。
【0039】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法においては、絶縁皮膜12がアミド系樹脂材料を含む場合、得られる絶縁性セグメントコンダクタ10は、高い耐熱性に加えて、絶縁性もより向上する。
【0040】
また、本実施形態の絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、さらに、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部を被覆する絶縁皮膜12を除去する工程を含む場合は、得られる絶縁性セグメントコンダクタはその状態で、セグメントコンダクタコイルのステータコアのスロットに挿入することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、連続体20のセグメントコンダクタ片21a、21bは平面視において、五角形状とされているが、セグメントコンダクタ片21a、21bの形状は、これに限定されるものではない。セグメントコンダクタ片は、例えば、半円状、半長円状、半トラック状、三角形状、四角形状、6角形状以上の多角形状であってもよい。また、セグメントコンダクタ片は、厚み方向に湾曲した湾曲部を有する形状であってもよい。さらに、セグメントコンダクタ片は、捻じり部を有する形状であってもよい。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる連続体の別の一例の斜視図である。
図6に示す連続体40は、複数個の半円状のセグメントコンダクタ片41aと、複数個の半円状のセグメントコンダクタ片41bとがそれぞれ交互に連結部42を介して連結された構造を有する。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において用いることができる連続体のさらに別の一例の斜視図である。
図7に示す連続体50は、複数個の半円状のセグメントコンダクタ片51aと、複数個の半円状のセグメントコンダクタ片41bとがそれぞれ交互に連結部52を介して連結された構造を有する。
【0044】
また、本発明の一実施形態に係る絶縁性セグメントコンダクタの製造方法において、セグメントコンダクタ片21a、21bは、必ずしも製造目的の絶縁性セグメントコンダクタの形状と同一である必要はない。得られた絶縁性セグメントコンダクタ10を所望の形状に変形加工してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、連続体20は螺旋状とされているが、連続体の形状は、これに限定されるものではない。連続体は、例えば、直線状であってもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部を被覆する絶縁皮膜12を除去する工程を説明したが、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部を剥き出しにする方法は、これに限定されるものではない。例えば、連続体20を電着膜で被覆する前に、絶縁性セグメントコンダクタ10の両端部に相当する部分をマスキングして、電着膜が形成されないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 電着装置
2 電着液タンク
3 電着液
4 電極
5 直流電源
10 絶縁性セグメントコンダクタ
11 導電体
12 絶縁皮膜
20、40、50 連続体
21a、21b、41a、41b、51a、51b セグメントコンダクタ片
22、42、52 連結部
23 端子
30 絶縁性連続体
31a、31b 絶縁性セグメントコンダクタ片
32 連結部
35 切断線