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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】RFタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240820BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240820BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06K19/077 288
G06K19/077 224
G06K19/077 280
H01Q1/38
H01Q9/26
G06K19/077 156
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020195236
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083726
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 純司
(72)【発明者】
【氏名】清水 博長
(72)【発明者】
【氏名】赤松 慎也
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-137894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01Q 1/38
H01Q 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を記憶するICチップと、導電材料からなるアンテナと、前記ICチップ及び前記アンテナが配置されるインレイ基材と、を有するインレイと、
前記インレイが配置されるベース基材と、を備え、
前記インレイが、前記ベース基材の上面及び下面にわたって折り返されて配置されるとともに、
前記インレイは、
前記ベース基材の上面及び下面にわたって貼付されるための最短経路から迂回した冗長部を有し、
前記冗長部が、前記インレイの折り返し部分の近傍に形成され、
当該冗長部の少なくとも一部が、前記ベース基材の表面に貼付されない
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記ベース基材の少なくとも一部に、前記冗長部と対向する凹部又は凸部又は凹凸部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記ベース基材は、平面視で長辺と短辺を有する直方体形状をなす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記冗長部は、前記インレイの短手方向に伸びる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記インレイが配置された前記ベース基材を内部に収納する筐体を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気メータや貨物用コンテナなど、屋外や屋内の任意の物品や対象物に取り付けられて使用されるRFタグに関し、特に、ICチップとアンテナを備えた汎用のインレイで構成されるRFタグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、任意の物品や対象物に対して、当該物品や対象物に関する所定情報を読み書き可能なICチップを内蔵した所謂RFタグが広く使用されている。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ,ICタグ,非接触タグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを備えた電子回路が樹脂フィルム等の基材によって封止・コーティングされた所謂インレイ(インレット)が、タグ(荷札)状に形成されてなる超小型の通信端末であり、読取・書込装置(リーダ・ライタ)によってタグ内のICチップに所定の情報が無線で読み取りや書き込み,読み書き(リードオンリー,ライトワンス,リード・ライト)が行えるようになっている。
【0003】
そして、このようなRFタグに所定の情報を書き込んで任意の物品,対象物等に取り付けることにより、RFタグに記録された情報がリーダ・ライタによりピックアップされ、タグに記録された情報を当該物品に関する所定情報として認識,出力,表示,更新等させることができる。
このようなRFタグは、ICチップのメモリに数百ビット~数キロビットのデータが記録可能であり、物品等に関する情報としては十分な情報量を記録でき、また、読取・書込装置側とは非接触で通信が行えるため接点の磨耗や傷、汚れ等の心配もなく、さらに、タグ自体は無電源にすることができるため対象物に合わせた加工や小型化・薄型化が可能となる。
【0004】
このようなRFタグを用いることで、タグを取り付ける物品に関する種々の情報、例えば当該物品の名称や識別記号,内容物,成分,管理者,使用者,使用状態,使用状況などの種々の情報が記録可能となり、ラベル表面に印刷表示される文字やバーコード等では不可能であった多種多様な情報を、小型化・薄型化されたタグを物品に装着するだけで正確に読み書きすることが可能となる。
そして、このようなRFタグでは、汎用のインレイ(インレット)と呼ばれるICチップとアンテナをフィルムコーティングしただけのRFタグが広く用いられている。この種のインレイは、小さく薄く、どのような対象物にも場所を取らずに容易に装着でき、直ちにRFタグとして使用できることから、近年広く普及している。
【0005】
ここで、このようなRFタグは、長い交信距離と小型化の両立が求められる。このような2つの課題を達成するための一般的な手段としては、長い交信距離を得るためにアンテナ面積を大きくし、かつ、そのようなアンテナを折り返すことで、タグ全体の小型化を図ることができる。
しかしながら、アンテナを折り返すと、金属薄膜等で形成されるアンテナが、折り目部分やその近傍などで破断等するという問題が発生する。
また、薄型(例えばラベル型など)のRFタグにおいては、アンテナが外部に露出しているため、物理的な外力が直接又は間接に加わるおそれがあり、特にインレイの折り返し箇所に力が加わった場合、アンテナが破断等する可能性が更に高まる。
【0006】
一方、インレイを、高耐久性等を目的とした筐体内に収納した筐体型のRFタグの場合、インレイに直接外力が加わってアンテナが破断等することはほとんど無い。
ところが、筐体型のRFタグであっても、温度変化の大きい環境下で使用されると、インレイ自体に収縮が生じ、それにアンテナ導体が追従できずに、アンテナが破断等する可能性があった。
このようなインレイの折り返しによるアンテナの破断等の問題に対応するため、例えば、特許文献1に開示されているような提案がなされている。
【0007】
特許文献1に開示されている「RFIDタグ」は、基材となるベースシートに複数のスリットを設け、そのスリットを避けるようにアンテナパターンを蛇行状に折り曲げて配設し、さらに、ベースシートの上面又は下面に弾性体シートを設けることにより、RFタグの長手方向に力が加わった場合に、スリットと弾性体の変形によってアンテナに応力が加わり難くする、というものである。
これによって、変形し易い物品や、物品の角部などに貼付した場合でも、折り曲げ配置されたアンテナパターンに破断等が発生し難いにくいRFIDタグを提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-021894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に提案されているRFタグでは、複数のスリットを備えたベースシートに、アンテナ導体を蛇行状に折り曲げて配設させ、さらに、そのようなベースシートの表面に弾性体を配設する必要があり、タグ自体の構成が複雑化し、小型化や低コスト化が困難となるという問題があった。
また、そのような特許文献1で提案されているRFタグでは、これまでのRFタグ(インレイ)とは全く異なる複雑な構成・構造を必要とすることから、汎用のインレイをそのままの形で使用することはできず、専用のベースシートや蛇行状のアンテナ,弾性体等を用意しなければならなかった。
【0010】
このような複雑な専用のタグ構造は、生産コストがかかる上に、タグ全体がベースシートや弾性体等により大型化、大重量化してしまい、小型・薄型で軽量で取扱い性にも優れるというRFタグの最大の利点が損なわれるという問題があった。
RFタグは、安価で大量生産される汎用タグ(インレイ)を活用することにより、低コストで小型軽量かつ大記憶容量の無線通信手段として使用できるという特徴を生かすことができるものであるが、複雑な構成を必要とする専用のタグ(インレイ)構造では、RFタグとしてのメリット・特徴を低下させるおそれがあった。
【0011】
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、複雑な構成・構造等を必要とすることなく、汎用のインレイをそのまま使用可能でありつつ、アンテナの折り曲げ部分などに破断が生じることによる周波数特性の変化等を有効に抑制・防止することができる、特に屋外など温度変化が大きい雰囲気にさらされる可能性のある環境下等での使用に好適なRFタグの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のRFタグは、所定の情報を記憶するICチップと、導電材料からなるアンテナと、前記ICチップ及び前記アンテナが配置されるインレイ基材と、を有するインレイと、前記インレイが配置されるベース基材と、を備え、前記インレイが、前記ベース基材の上面及び下面にわたって折り返されて配置されるとともに、前記インレイは、前記ベース基材の上面及び下面にわたって貼付されるための最短経路から迂回した冗長部を有し、前記冗長部が、前記インレイの折り返し部分の近傍に形成され、当該冗長部の少なくとも一部が、前記ベース基材の表面に貼付されない構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複雑な構成・構造等を必要とすることなく、汎用のインレイをそのまま使用可能でありながら、アンテナの折り曲げ部分などに破断が生じることによる周波数特性の変化等を有効に抑制・防止することができる。
これによって、特に屋外など温度変化が大きい雰囲気にさらされる可能性のある環境下等での使用に好適なRFタグを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るRFタグを示す、インレイの長手方向の一端をベース基材の裏面側に折り返して構成する場合の斜視図であり、(a)はインレイとベース基材を分解した状態、(b)はベース基材の積層したインレイの端部が折り返される前の状態、(c)は同じく折り返された状態、(d)はベース基材の裏面側から見た状態を、それぞれ示している。
図2図1に対応する図面で、インレイの長手方向の両端をベース基材の裏面側に折り返して構成する場合の斜視図である。
図3図1に示すRFタグを構成するインレイ及びベース基材を筐体に収納する場合の斜視図であり、(a)は筐体に収納する前の分解した状態、(b)はインレイ及びベース基材を筐体内に収納した完成状態を筐体平面側から見た状態、(c)は同じく筐体底面側から見た状態を、それぞれ示している。
図4】(a)はベース基材とベース基材に積層される前のインレイの各要素の分離した状態を模式的に示した正面図、(b)はベース基材に折り返されたインレイのアンテナ部分に破断が生じた従来のRFタグの状態を模式的に示す正面図及び平面図、(c)は本発明の一実施形態に係る冗長部を備えたRFタグを模式的に示す正面図である。
図5】(a)~(e)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るRFタグの冗長部の構成例を模式的に示す正面図である。
図6図4(b)に示す従来のRFタグの通信特性を示す、通信距離と周波数の関係を示す折れ線グラフである。
図7】(a)及び(b)は、それぞれ、冗長部を備える本発明の一実施形態に係るRFタグの通信特性を示す、通信距離と周波数の関係を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るRFタグの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1図3は、本発明の一実施形態に係るRFタグを示す斜視図であり、図4及び図5は、従来のRFタグ及び本実施形態に係るRFタグを模式的に示す正面図等である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、ICチップ11とアンテナ12を備えたインレイ10と、インレイ10が搭載される基台となるベース基材30とを備えて構成される。
そして、無線通信を行うRFタグを構成するインレイ10がベース基材30に積層配置されるとともに、インレイ10の長手方向の少なくとも一方の端部(図1)、あるいは両方の端部(図2)が、ベース基材30の裏面側に折り返されるようになっている。
また、図3に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、筐体50内に収納されて保護されるようにすることができ、筐体50によってインレイ10が保護されることにより、耐候性や耐熱性・耐衝撃性・防水性等が高められるようになっている。
【0016】
以上のように、本実施形態に係るRFタグ1は、図1図3に示すように、ベース基材30の長手方向の長さが、インレイ10の長手方向の長さより小さく(短く)なるように設定され、インレイ10のベース基材30よりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、インレイ10が積層されるベース基材30の裏面側に折り曲げられるようになっている。
そして、本実施形態では、図1図3に示すように、そのようなインレイ10の折り返し部分の近傍などに、ベース基材30に貼着されない冗長部20が形成されるようになっている。
以下、RFタグ1の各部を詳細に説明する。
【0017】
[インレイ]
インレイ10は、図示しないリーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、インレイ10は、図1図2図4(a)に示すように、所定の情報を記憶するICチップ11と、ICチップ11に電気的に導通・接続された導電材料からなるアンテナ12とを有し、これらICチップ11及びアンテナ12が、基材(インレイ基材13)となる例えばPET樹脂等で形成された1枚の封止フィルム上に搭載,積層されるようになっている。
【0018】
本実施形態では、ICチップ11とICチップ11の両側に伸びるアンテナ12を、長方形状のインレイ基材13に積層配置した、長手方向に帯状に伸びる矩形状のインレイ10を用いている。そして、インレイ基材13のICチップ11及びアンテナ12の配置面側をベース基材30側に向けて積層配置させることで、インレイ10のICチップ11及びアンテナ12を、インレイ基材13とベース基材30の双方により挟持した状態で保護することができるようになる(図4(a)参照)。
なお、インレイ基材13に搭載されたICチップ11及びアンテナ12は、例えば2つ折りにされた封止フィルムの間に、あるいは、もう2枚の封止フィルムを重ね合わせることで、インレイ基材13を構成する封止フィルムによって挟持された状態で封止・保護することもできる。
また、インレイ基材13のICチップ11及びアンテナ12の非配置面側をベース基材30側に向けて積層配置させることも当然に可能である。
【0019】
ICチップ11は、メモリ等の半導体チップからなり、例えば数百ビット~数キロビットのデータが記録可能となっている。
ICチップ11には、チップ周囲を囲むようにループ状の回路導体が接続されてループ回路11aが形成されており、このループ回路11aを経由して、ICチップ11の左右両側にアンテナ12が接続されている。
そして、このアンテナ12を介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップ11に記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップ11に記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
【0020】
アンテナ12は、インレイ基材13となる1枚の封止フィルムの表面に、例えば導電性インクや導電性を有するアルミ蒸着膜等の金属薄膜をエッチング加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成される。
インレイ基材13を構成する封止フィルムは、例えばポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド,ポリ塩化ビニル(PVC),アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS)等の可撓性を有するフィルム材からなり、配置されたICチップ11・アンテナ12が外部から視認可能な透明のPET樹脂等で構成されることが好ましい。
【0021】
インレイ10で使用される通信周波数帯としては、例えば所謂UHF帯に属する860MHz~960MHz帯を対象とすることができる。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860MHz~960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
【0022】
本実施形態では、インレイ10をベース基材30の裏面側に折り返して小型化することができることから、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とすることができ、例えば860MHz帯や920MHz帯を対象とすることができ、これらの周波数帯において良好な通信特性が得られるようにすることが可能となる。
但し、インレイ10やベース基材30の大きさの制約等がなければ、本発明に係る技術思想自体は、特定の周波数帯に限定されるものではなく、例えばUHF帯以外の任意の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
【0023】
また、特に図示していないが、アンテナ12を備えたインレイ10に対して、更に補助アンテナを備えることもできる。
補助アンテナとは、インレイ10の通信特性を向上・調整するためのアンテナとして機能するもので、例えば、インレイ10やその近傍などに積層配置される面状の導電性部材からなり、インレイ基材13によって樹脂封止されたインレイ10と、絶縁状態となって所謂コンデンサカップリングによって電気的に接続させることができる。
このような補助アンテナを備えることで、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナによって二次元アンテナが構成され、補助アンテナが通信電波のブースターとして機能することで、インレイ10の通信特性の調整・向上を図ることができる。
このような補助アンテナとしては、例えばPET樹脂等の基材となるフィルムの表面に導電性インクや導電性を有するアルミ蒸着膜等の金属薄膜をエッチング加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成することができる。
【0024】
そして、本実施形態では、以上のようなインレイ10の長手方向の長さが、ベース基材30の長手方向の長さより大きく(長く)なるように、ベース基材30又はインレイ10が形成されるようになっている。
その上で、インレイ10のベース基材30よりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、図1図3に示すように、当該インレイ10が積層されるベース基材30の裏面側に折り曲げられるようになっている。
【0025】
ここで、インレイ10の長さは、アンテナ12による良好な通信特性が得られるように設定・形成されることが望ましい。
一方、通信特性のみを考慮しては、アンテナ12・RFタグ1の全体の長さが長くなり過ぎる(大き過ぎる)ことになり、小型化が要請されるRFタグの性質上好ましくない。
【0026】
そこで、本実施形態では、まず、インレイ10のアンテナ12の長辺の長さを、図4(a)に示すように、無線通信に使用する電波周波数の波長の略1/2の長さとなるように形成する。
また、そのようなインレイ10を搭載・積層するベース基材30については、長手方向の長さを、インレイ10の長手方向の長さ(電波周波数の波長の略1/2)よりも短くなるように形成する。
その上で、そのようなベース基材30にインレイ10を積層配置した場合に、ベース基材30よりも長くなるインレイ10の長手方向の端部の少なくとも一方、すなわち、長手方向の両端又はいずれか一端を、図1図3に示すように、インレイ10が積層されるベース基材30の裏面側に折り曲げるようにしてある。
【0027】
図1に示す例では、インレイ10がベース基材30に積層された状態において、インレイ10の一方の端部がベース基材30の長手方向の一方の端部から突出するように配置し、この突出するインレイ10の端部を、ベース基材30の裏面側に折り曲げるようにしている。
図2に示す例では、インレイ10がベース基材30に積層された状態において、インレイ10の両方の端部がベース基材30の長手方向の両端から均等に突出するように配置し、この突出するインレイ10の両端部を、ベース基材30の裏面側に折り曲げるようにしている。
このようにすることで、インレイ10のアンテナ12を、インレイ10の通信電波に対応させてほぼ1/2波長の長さに形成することで、良好な通信特性が得られるようにしつつ、インレイ10の端部(一端/両端)を折り曲げることで、RFタグ1の全体の長さを、コアとなるインレイ10よりも小さく(短く)することができ、RFタグ1の小型化の要請にも対応することができるようになる。
【0028】
なお、後述するように、インレイ10を積層するベース基材30は、誘電率調整層として波長短縮効果を生み、このような誘電率調整層としての機能を利用することで、見かけの波長が短縮されることになる。
従って、本実施形態におけるインレイ10のアンテナ12の長辺の長さは基本的には略λ/2の値となっていれば十分であるが、ベース基材30や、後述するRFタグ1を収納する筐体50の材質、タグの使用環境,使用態様等による通信特性の変化に応じて長さが前後することはある。
そして、以上のような本実施形態に係るインレイ10は、ベース基材30の表面に積層された状態で剥離・脱落等しないように、ICチップ11・アンテナ12を搭載したインレイ基材13のほぼ全面が接着剤などによって貼付されるとともに、インレイ10の一部が、ベース基材30には貼付・接着されない冗長部20を構成するようになっている。
なお、本実施形態ではインレイ10のアンテナ12の長さをλ/2としているが(図4(a)参照)、前述の補助アンテナを備える構成の場合は、補助アンテナの効果によりRFタグ1の周波数特性が大きく変化することから、RFタグ1のアンテナ12の長さはλ/2に限定されるものではなく、該周波数特性の変化に応じて設定される。
【0029】
[冗長部]
冗長部20は、ベース基材30の上面及び下面にわたって貼付されるための最短経路から迂回したインレイ10の一部によって構成されている。
この冗長部20は、ベース基材30の表面に接着剤等で接着・貼付されるインレイ10(インレイ基材13)の少なくとも一部が、ベース基材30の表面に貼付されないことによって構成される。
具体的には、冗長部20は、ベース基材30の表面に対して、インレイ10の一部が離間するように撓んで膨出するように湾曲状に配置されることで構成される。
【0030】
そして、この冗長部20の膨出部分が、ベース基材30の表面に接することなく離間・対応して配置されることで、インレイ10は、冗長部20の部分において自由に変形可能な可撓状態となる。
ここで、インレイ10が折り返されることによって生じるアンテナ12の破断等は、図4(b)に示すように、インレイ10の折り返し部分の近傍において、インレイ10の折り返し部分に沿うように生じることがほとんどである。
【0031】
そこで、本実施形態では、図1図3図4(c)に示すように、冗長部20を、インレイ10の折り返し部分の近傍において、インレイ10の折り目方向に沿って、インレイ10の短手方向に伸びる方向(長手方向と交差する方向)に、インレイ10を横切るように形成・配置するようにしている。
これによって、例えば温度変化等によってインレイ10に収縮や応力等が生じた場合でも、冗長部20の可撓性・柔軟性によって吸収でき、インレイ10のアンテナ12が折り目部分やその近傍などで破断等することを有効に防止できるようになる。
【0032】
図1に示す例では、インレイ10が一方の端部においてベース基材30の裏面側に折り曲げられるので、このインレイ10の一端側の折り曲げ部近傍に、一つの冗長部20を備えるようにしている。
図2に示す例では、インレイ10が両方の端部においてベース基材30の裏面側に折り曲げられており、このインレイ10の両端側の折り曲げ部近傍に、それぞれ一つずつの冗長部20を備えるようにしている。
【0033】
なお、冗長部20は、インレイ10の折り曲げ部近傍に限らず、例えばインレイ10の中央部分など、任意の箇所に形成することもできる。
また、冗長部20は、折り曲げ部分に一つずつ設ける場合に限らず、複数の冗長部20をインレイ10の任意の箇所に形成することができる。
すなわち、冗長部20は、インレイ10の形状や大きさ、使用環境などに応じて、任意の数の冗長部20を任意の箇所に設けることができる。
以上のような冗長部20については、更に具体的な構成パターンを、図5を参照しつつ後述する。
【0034】
[ベース基材]
ベース基材30は、インレイ10が搭載される基台となるとともに、搭載されたインレイ10に対する誘電率調整層としても機能するものである。
具体的には、ベース基材30は、図1図3に示すように、積層されるインレイ10よりも長手方向の長さが小さい(短い)長さに構成され、インレイ10を長手方向に沿って搭載可能な幅を有する矩形・板状、すなわち、平面視で長辺と短辺を有する直方体形状に形成されている。
【0035】
そして、ベース基材30の長手方向の一端又は両端から、インレイ10の長手方向の端部(一端又は両端)に突出するように配置されることで、図1図3に示すように、突出したインレイ10の端部が、そのままベース基材30の裏面側に折り曲げられるようになる。
さらに、ベース基材30には、上述したインレイ10の冗長部20に対応して、冗長部20と対向する位置に、凹部や凸部、あるいは凹凸部を、ベース基材30の表面などの少なくとも一部に備えることができる。
このベース基材30の凹部・凸部・凹凸部の具体的な構成は、インレイ10の冗長部20の構成パターンとともに、図5を参照しつつ後述する。
【0036】
ここで、ベース基材30を形成する材料としては、後述する筐体50の材料と同様に、例えば、ポリカーボネート樹脂,アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリスチレン樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリフェレニンサルファイド樹脂,アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリウレタン樹脂,フッ素樹脂,シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等の樹脂材料がある。
このようなベース基材30を構成する樹脂材料の選択としては、耐候性や耐熱性,耐水性等に優れ、インレイ10の通信特性に合わせて形成,加工等も容易であることから、特に耐候AES樹脂又は耐候ポリカーボネート樹脂で、ベース基材30(筐体50を含む)を形成することが好ましい。
【0037】
以上のようなベース基材30は、ICチップ11・アンテナ12が配置されていない裏面側に、例えば基材や物品への貼り付けができるように粘着層・接着層を備えることもできる。
また、ベース基材30は、後述する筐体本体51の収納空間に係合・収納されて移動不能に保持されることで、図3に示すように、インレイ10が筐体50の内部に収納・保持されて保護されるようにすることができる。
【0038】
[筐体]
筐体50は、内部に上述したRFタグ1(インレイ10・ベース基材30)を収納することで、当該インレイ10を保護するための保護手段であり、内部に、インレイ10を搭載したベース基材30が着脱可能に収納されるようになっている。
この筐体50によってインレイ10が保護されることにより、RFタグとしての耐候性や耐熱性・防水性等が高められるようになる。
【0039】
具体的には、筐体50は、図3に示すように、インレイ10が搭載されたベース基材30を移動不能に収納する収納空間(凹部)を内部に備えた筐体本体51と、筐体本体51の収納空間の開口部分に蓋をして閉止・密閉する蓋部52とを備えた、全体が矩形直方体形状となっている。
このようにベース基材30が筐体本体51の内部に係合・収納されて移動不能に保持されることで、インレイ10が筐体内に収納・保持されることになる。
なお、筐体50の外形は、内部にインレイ10が搭載されたベース基材30が収納できる限り、外形の形状・構造等は変更可能であり、例えばRFタグ1を使用する物品の構造や大きさ、タグの使用状態等に応じて筐体50の外形は適宜設計・変更することができる。
【0040】
筐体50の蓋部52は、ベース基材30を収納・係合させた状態の筐体本体51の収納空間の開口部分に嵌合して、収納空間の開口全体を閉止する板状の蓋部材となっている。
本実施形態では、筐体本体51の収納空間は、端部が折り曲げられた状態のインレイ10を搭載したベース基材30の全体が収まる深さを有し、さらに、ベース基材30に重ねられた状態で蓋部52が嵌合してピッタリと収まる深さを有している(図3(c)参照)。
【0041】
また、筐体本体51の収納空間は、開口縁部に沿って段部が形成してあり、一方、蓋部52には周縁に沿ってフランジ状の段部が形成されており(図3(a)参照)、筐体本体51の収納空間と蓋部52との段部同士が当接・嵌合することにより、収納空間の開口を閉止した状態で蓋部52が筐体本体51の裏面とほぼ同一面(所謂面一)となるように形成されている(図3(c)参照)。
このように筐体本体51の開口に嵌合・閉止した蓋部52は、例えば超音波融着や熱融着、接着剤等によって、筐体本体51と接合され、筐体50は外部から密閉・封止することができる。
そして、筐体本体51が蓋部52によって密閉された状態で、筐体50はRFタグ1を使用する物品・対象物に対して、例えば接着剤やネジ止め等で取り付けられたり、物品・対象物の所定箇所に設置・嵌合されたりして使用することができる。
【0042】
ここで、筐体50は、上述したベース基材30と同様にRFタグ1の誘電率調整層としても機能させることができ、筐体50を形成する材料としては、ベース基材30と同様の材料を選択することができる。
また、上記のようなベース基材30と同様の樹脂材料で形成可能な筐体50を構成する筐体本体51及び蓋部52は、同一の樹脂材料により形成することが好ましい。
上述のように、筐体本体51と蓋部52とは、収納空間の開口が蓋部52によって閉止された後、例えば超音波融着等の手段により接合されるようになっている。
このため、筐体本体51と蓋部52とを同一の樹脂材料で形成することにより、融着や接着により接合する場合に、より確実かつ堅固に両者を接合することができるようになる。
但し、筐体本体51と蓋部52とを接合・封止できる限り、両者を別材料で形成することも勿論可能である。
【0043】
[冗長部の構成パターン]
次に、以上のような本実施形態に係るRFタグ1が備える冗長部20の構成パターンについて、図5を参照して説明する。
図5(a)~(e)は、それぞれ、本実施形態に係るRFタグ1の冗長部20の構成例を模式的に示す正面図である。
なお、図5(a)~(e)に示す構成例は、それぞれ、図1に示したインレイ10が一方の端部においてベース基材30の裏面側に折り曲げられる場合の、インレイ10の一端側の折り曲げ部近傍に一つの冗長部20を備える構成に適用する場合を示しているが、例えば、図2に示したインレイ10の両端が折り曲げられる場合の冗長部20についても、図5(a)~(e)に示す構成例を同様に適用できることは言うまでもない。
【0044】
図5(a)の冗長部20aは、インレイ10の折り曲げ部近傍に、インレイ10をベース基材30から離間する上面方向に湾曲形状に膨出させた場合である。
この場合、湾曲・膨出された冗長部20a(インレイ10)は、ベース基材30の表面から離間して接着・貼付されないようになる。
【0045】
図5(b)の冗長部20bは、ベース基材30のインレイ10の折り曲げ部近傍に、ベース基材30の短手方向(長手方向と交差する方向)に沿って横切る矩形溝状の凹部31bが形成され、この凹部31bに向かってインレイ10がベース基材30に向かう下面方向に湾曲させた場合である。
この場合、湾曲された冗長部20b(インレイ10)は、凹部31bによってベース基材30の表面から離間して接着・貼付されないようになっている。
【0046】
図5(c)の冗長部20cは、ベース基材30のインレイ10の折り曲げ部近傍に、ベース基材30の短手方向(長手方向と交差する方向)に沿って横切る半円形溝状の凹部31cが形成され、さらに、凹部31cには、短手方向に伸びる複数のスリットや点状に凹む微細凹部等の凹凸部が形成されるようになっている。
そして、この凹部31cに向かってインレイ10がベース基材30に向かう下面方向に湾曲させた場合である。
この場合も、図5(b)の場合と同様に、湾曲された冗長部20c(インレイ10)は、凹部31cによってベース基材30の表面から離間して接着・貼付されないようになり、凹部31に形成される凹凸部によってインレイ10が離間し易くなる。
【0047】
図5(d)の冗長部20dは、インレイ10の折り曲げ部側のベース基材30の端部表面を湾曲形状に形成して角を取り除き、その湾曲形状の端部に対してインレイ10の端部を緩やかに折り曲げた場合である。
この場合、緩やかに折り曲げられた冗長部20d(インレイ10)は、ベース基材30の湾曲形状の端部表面から離間して接着・貼付されないようになる。
【0048】
図5(e)の冗長部20eは、ベース基材30のインレイ10の折り曲げ部近傍に、ベース基材30の短手方向(長手方向と交差する方向)に沿って横切る矩形凸状の凸部31eが形成され、この凸部31eを覆うようにインレイ10がベース基材30から離間する上面方向に湾曲させた場合である。
この場合、湾曲された冗長部20e(インレイ10)は、凸部31eによってベース基材30の表面から離間して接着・貼付されないようになっている。
【0049】
以上のように、冗長部20は、インレイ10をベース基材30から離間させて貼付・密着を回避することで、例えばインレイ10に熱収縮が生じてもアンテナ12に破断が生じる可能性を低減・排除することができる。
また、冗長部20は、インレイ10の貼付形状やベース基材の形状や凹凸のみによって実施することができ、汎用のインレイもそのまま使用することができ、低コストで信頼性の高いRFタグ1を実現することができる。
【0050】
なお、冗長部20は、ベース基材30の上面及び下面にわたって貼付されるための最短経路から迂回する冗長部分を有し、その冗長部20の少なくとも一部が、ベース基材30の表面に貼付・接着されないように構成できる限り、どのような形状・形態であっても冗長部20として採用することができる。
したがって、図5に示した構成は冗長部20の一例であって、それ以外の構成を採用することも勿論可能である。
また、図5(a)~(e)に示した構成例は、それぞれ単独で実施することもできるが、任意の組合せによって複数の冗長部を併用して実施することも可能である。
なお、本発明において冗長部とは、上述の通り、インレイをベース基材の上面及び下面にわたって貼付するための最短経路に対して迂回させる部分を言うのであって、必要な通信特性を得るためのアンテナを備えたインレイの長さについて冗長部を設けるものではない。
【0051】
[通信特性]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の通信特性について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は冗長部を備えない従来のRFタグについて、図7(a)及び(b)はそれぞれ本発明の一実施形態に係るRFタグについて、それぞれ同一の条件で試験を行った場合の、通信特性を示す通信距離と周波数の関係を示す折れ線グラフである。
実施した試験はヒートサイクル試験であり、試験条件としては、常温から、100℃、-40℃、常温の順番に温度を変化させ、100℃と-40℃を30分ずつ保持するサイクルを1サイクルとしてカウントして、630サイクル実施した。
【0052】
図6に示す従来のRFタグは、図4(b)に示したRFタグに対応するものであり、20個のRFタグを試験したうち、2個のRFタグにアンテナの破断等が発生し、周波数特性が変化した。
図6中、下側の2本の実線がアンテナ破断により通信特性が劣化したRFタグを示している。
【0053】
これに対して、図7に示す本実施形態のRFタグ1は、図7(a)は図5(b)に示したRFタグに対応し、図7(b)は図5(d)に示したRFタグに対応するものであるが、それぞれ10個ずつのRFタグを試験した結果、いずれのRFタグにもアンテナの破断等は発生せず、周波数特性には変化がなかった。
このようにして、本実施形態に係るRFタグ1では、冗長部20を備えることによって、環境温度が大きく変化した場合にも、折り返されたインレイ10のアンテナ12に破断等が発生することを有効に防止することができ、良好な通信特性を安定的に得られることが分かった。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のRFタグ1によれば、ベース基材30に対して折り返されて配置されるインレイ10に、ベース基材30の表面に貼付・接着されない冗長部20を備えることによって、例えば温度変化等によってインレイ10に収縮や応力等が発生しても、冗長部20の可撓性・柔軟性によって物理的な形状変化を吸収でき、インレイ10のアンテナ12が折り目部分やその近傍などで破断等することを有効に防止することができる。
【0055】
冗長部20は、ベース基材30の表面に貼付されるための最短経路から迂回した部分を設けるのみで構成でき、複雑な構成・構造等を必要とすることなく、汎用のインレイをそのまま使用することが可能である。
これによって、本実施形態に係るRFタグ1は、ベース基材30の裏面側にインレイ10を折り返すことで、アンテナ12の長さを無線通信に使用する電波周波数の波長の略1/2の長さ等に確保して良好な通知特性を維持させつつ、RFタグ1全体の小型化を図ることが可能となる。
また、温度変化等にも耐性の高いRFタグ1は、筐体50の内部に収納してもアンテナ12の破断等が発生することなく、物理的外力や温度変化にも強い、信頼性の高い筐体収納型のRFタグを提供することできる。
【0056】
このような本実施形態のRFタグ1によれば、従来のRFタグのように特定の専用的な構造や構成を必要とすることなく、例えば、インレイ10やベース基材30,筐体50等を変更するだけで対応することができるようになり、RFタグ1を使用する物品やRFタグ1の通信周波数や使用環境が異なる場合にも、ベース基材30や筐体50を交換・変更するのみで対応が可能となる。
したがって、本実施形態のRFタグ1によれば、様々な物品や通信周波数,使用環境等に適合したRFタグ1を提供することができ、RFタグ全体の製造コストを低減することができるとともに、既存の汎用インレイを積極的に使用することができ、タグ全体を安価に構成でき、汎用性・拡張性・対候性等に優れ、低コストで良好な通信特性が得られる信頼性の高いRFタグを実現することができる。
【0057】
以上、本発明のRFタグについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るRFタグは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係るRFタグを使用する物品として、電気メータや貨物用コンテナを例にとって説明したが、本発明のRFタグを使用できる物品,対象物としては、電気メータやコンテナに限定されるものではない。
すなわち、RFタグが使用され、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされる物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係るRFタグを適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば電気メータや貨物用コンテナなど、屋外や屋内の任意の物品や対象物に取り付けられて使用される、温度変化が大きい雰囲気にさらされる可能性のある環境下等におけるRFタグとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 RFタグ
10 インレイ
11 ICチップ
11a ループ回路
12 アンテナ
13 インレイ基材
20 冗長部
30 ベース基材
50 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7