IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240820BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240820BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240820BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 613
H05K1/02 F
H05K7/20 F
H05K7/20 D
H01L23/36 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020198091
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086203
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】山道 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐介
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116044(JP,A)
【文献】特開2009-088048(JP,A)
【文献】特開平11-121666(JP,A)
【文献】特開平08-064732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
H05K 1/02
H05K 7/20
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動信号により駆動される第1駆動素子群及び第2駆動信号により駆動される第2駆動素子群を備え、前記第1駆動素子群及び前記第2駆動素子群の駆動に応じて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号を伝搬する基板と、
前記基板に配置され、前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記基板に配置され、前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記基板に固定されたヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に位置する複数の熱伝導弾性体と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1駆動信号の基となる第1基駆動信号に基づく第1ゲート信号を出力する第1集積回路と、前記第1ゲート信号により駆動される第1トランジスターを含む第1増幅回路と、前記第1増幅回路からの出力を平滑して前記第1駆動信号を出力する第1平滑回路とを有し、
前記第2駆動回路は、前記第2駆動信号の基となる第2基駆動信号に基づく第2ゲート信号を出力する第2集積回路と、前記第2ゲート信号により駆動される第2トランジスターを含む第2増幅回路と、前記第2増幅回路からの出力を平滑して前記第2駆動信号を出力する第2平滑回路とを有し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第1熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第2熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第3熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第4熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとに接触し、
前記ヒートシンクは、前記第1熱伝導弾性体が接触する第1接触部と前記第2熱伝導弾性体が接触する第2接触部との間に位置する第1凹部と、前記第3熱伝導弾性体が接触する第3接触部と、前記第4熱伝導弾性体が接触する第4接触部との間に位置する第2凹部とを含む、
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
前記複数の熱伝導弾性体は、難燃性、及び電気絶縁性を有するゲル状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記複数の熱伝導弾性体は、シリコーンゲルである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記ヒートシンクは、前記第1接触部と前記第3接触部との間に位置する第3凹部を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、前記第2接触部と前記第4接触部との間に位置する第4凹部を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の発振周波数は、1MHz以上8MHz以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の発振周波数は、1MHz以上4MHz以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1集積回路の面積よりも大きく、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第3熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第2集積回路の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第2熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1トランジスターの面積よりも大きく、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第4熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第2トランジスターの面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから液体が吐出される媒体を搬送する搬送ユニットと、
を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニット、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体としてのインクを吐出することで、媒体に画像や文書を形成する液体吐出装置としては、液体を吐出する複数のノズルのそれぞれに対応して設けられた圧電素子を有し、当該圧電素子が駆動信号に従って駆動されることで、対応するノズルから所定のタイミングで所定量のインクが吐出され、吐出されたインクが媒体に着弾することで、媒体に所望の画像や文章を形成する構成が知られている。このような液体吐出装置に用いられる圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるが故に、圧電素子を精度よく駆動させるためには当該圧電素子に十分な電流を供給する必要がある。そのため、圧電素子の駆動により液体を吐出する液体吐出装置では、十分な電流を含む駆動信号を圧電素子に供給するために、駆動信号を出力する駆動信号出力回路が増幅回路等を含んで構成されている。
【0003】
しかしながら、液体吐出装置における液体との吐出速度の高速化の要求に伴い、液体吐出装置が有するノズル数が増加している。そして、ノズル数の増加に伴い、駆動信号出力回路が出力する駆動信号に基づく電流量も増加し、それ故に、駆動信号出力回路で生じる発熱量が増加している。このような駆動信号出力回路に生じる発熱量の増加は、液体吐出装置で使用される部品の経年劣化を促進するおそれがあるとともに、液体吐出装置から吐出される液体の物性に影響を及ぼすおそれがあり、液体吐出装置の信頼性を低下させるおそれがあるとの問題を生じさせる。
【0004】
このような液体吐出装置に生じる発熱に起因した問題に対しては、様々な対策が実施されており、例えば、特許文献1には、ヘッドを駆動させるためのトランジスターで生じた熱を放出するためのヒートシンク及びファンを備えた液体吐出装置が開示されており、また、特許文献2には、発熱部品であるトランジスターが配置された基板に、当該トランジスターの放熱を高めることを目的とする複数のスルーホールを形成することで、トランジスターで生じた熱の放出性能を高めた液体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-058632号公報
【文献】特開2015-063119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ラインインクジェットプリントヘッドのような液体吐出装置では、媒体に形成される画像や文章のさらなる高精細化が求められている。そして、高精細化の要求に応えるために、液体吐出装置が有するノズル数が日々増加し、その結果、駆動信号出力回路が出力する電流量も増加している。さらには、高精細化の要求に応えるために際して、圧電素子の駆動精度の向上も求められ、それ故に、圧電素子を駆動する駆動信号の波形精度の向上が求められている。そのため、駆動信号を出力する駆動信号出力回路の動作周波数が高くなっている。
【0007】
その結果、駆動信号出力回路が出力する電流量はさらに増加し、さらには、駆動信号出力回路の動作周波数が高くなることに起因して、駆動信号出力回路で生じる発熱量はさら
に増加している。それ故に、駆動信号出力回路で生じる熱をさらに高効率に放出することが求められている。また、近年では、上述した高精細化の要求に加え、液体吐出装置の小型化の要求も高まり、その結果、駆動信号出力回路で生じた熱を放出するための十分な領域を確保することが困難となり、駆動信号出力回路に生じる発熱に起因する問題がより顕著となっている。
【0008】
以上のようにヘッドユニットが大型化することなく、駆動信号出力回路で生じた熱を効率よく放出するとの観点において、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では十分ではなく、さらなる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るヘッドユニットの一態様は、
第1駆動信号により駆動される第1駆動素子群及び第2駆動信号により駆動される第2駆動素子群を備え、前記第1駆動素子群及び前記第2駆動素子群の駆動に応じて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号を伝搬する基板と、
前記基板に配置され、前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記基板に配置され、前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記基板に固定されたヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に位置する複数の熱伝導弾性体と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1駆動信号の基となる第1基駆動信号に基づく第1ゲート信号を出力する第1集積回路と、前記第1ゲート信号により駆動される第1トランジスターを含む第1増幅回路と、前記第1増幅回路からの出力を平滑して前記第1駆動信号を出力する第1平滑回路とを有し、
前記第2駆動回路は、前記第2駆動信号の基となる第2基駆動信号に基づく第2ゲート信号を出力する第2集積回路と、前記第2ゲート信号により駆動される第2トランジスターを含む第2増幅回路と、前記第2増幅回路からの出力を平滑して前記第2駆動信号を出力する第2平滑回路とを有し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第1熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第2熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第3熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第4熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとに接触し、
前記ヒートシンクは、前記第1熱伝導弾性体が接触する第1接触部と前記第2熱伝導弾性体が接触する第2接触部との間に位置する第1凹部と、前記第3熱伝導弾性体が接触する第3接触部と、前記第4熱伝導弾性体が接触する第4接触部との間に位置する第2凹部とを含む。
【0010】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
前記ヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから液体が吐出される媒体を搬送する搬送ユニットと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液体吐出装置の機能構成を示す図である。
図2】駆動回路の構成を示す図である。
図3】駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。
図4】駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
図5】駆動信号選択回路の構成を示す図である。
図6】デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。
図7】選択回路の構成を示す図である。
図8】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
図9】液体吐出装置の概略構造を示す説明図である。
図10】ヘッドユニットを-Z側から見た場合の分解斜視図である。
図11】ヘッドユニットを+Z側から見た場合の分解斜視図である。
図12】ヘッドユニットを+Z側から見た場合の図である。
図13】吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図14】ヘッドチップ300の概略構造を示す図である。
図15】配線基板に設けられた駆動信号出力回路の配置の一例を示す図である。
図16】ヒートシンクを-z2側から見た場合の図である。
図17】ヒートシンクを+x2側から見た場合の図である。
図18】ヒートシンクを-x2側から見た場合の図である。
図19】ヒートシンクを+y2側から見た場合の図である。
図20】ヒートシンクを-y2側から見た場合の図である。
図21】ヒートシンクを+z2側から見た場合の図である。
図22】配線基板に固定されるヒートシンクの固定方法の具体例を説明するための図である。
図23図22に示すA-a断面図である。
図24図22に示すB-b断面図である。
図25図22に示すC-c断面図である。
図26】ヒートシンクが配線基板に締め付けられることで変形する複数の弾性放熱体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0013】
1.液体吐出装置の機能構成
まず、液体吐出装置1の機能構成について図1を用いて説明する。本実施形態における液体吐出装置1は、液体の一例としてインクを媒体に吐出することにより、媒体に所望の画像を形成するインクジェットプリンターを例に挙げ説明を行う。このような、液体吐出装置1は、不図示のコンピューター等から有線通信、又は無線通信によって伝搬される画像データを受信し、当該画像データに応じた画像を媒体に形成する。
【0014】
図1は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。図1に示すように液体吐出装置1は、インクを吐出するヘッドユニット20と、ヘッドユニット20の動作を制御する制御ユニット10とを備える。また、制御ユニット10は、メイン制御回路11と、電源電圧出力回路12とを有する。
【0015】
電源電圧出力回路12には、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示の商用交流電源から交流電圧である商用電圧が入力される。そして、電源電圧出力回路12は、入力される商用電圧に基づいて、例えば、電圧値が42Vの直流電圧である電圧VHVを生成し、出力する。すなわち、電源電圧出力回路12は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータであって、例えば、フライバック回路等を含んで構成されている。電源電圧
出力回路12で生成された電圧VHVは、制御ユニット10、及びヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の各部に電源電圧として供給される。ここで、電源電圧出力回路12は、電圧VHVに加えて、制御ユニット10、及びヘッドユニット20を含む液体吐出装置1が有する各構成に供給される複数の電圧値の直流電圧を生成し、対応する構成に出力してもよい。
【0016】
メイン制御回路11には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器から不図示のインターフェース回路を介して画像信号が入力される。そして、メイン制御回路11は、入力される画像信号に対して所定の画像処理を施した信号を画像情報信号IPとしてヘッドユニット20に出力する。このメイン制御回路11から出力される画像情報信号IPは、例えば、差動信号等の高速通信が可能な電気信号であってもよく、また、光通信を行うための光信号であってもよい。
【0017】
ここで、メイン制御回路11で実行される画像処理としては、例えば、入力される画像信号を赤、緑、青の色彩情報に変換した後、液体吐出装置1から吐出されるインクの色彩に対応する色彩情報に変換する色彩変換処理や、色彩変換処理が成された色彩情報を二値化するハーフトーン処理等が挙げられる。なお、メイン制御回路11が実行する画像処理は、上述した色変換処理やハーフトーン処理に限るものではない。また、メイン制御回路11は、複数の機能を備えた1又は複数の半導体装置であって、例えば、SoC(System
on a Chip)を含んで構成されてもよい。
【0018】
ヘッドユニット20は、ヘッド制御回路21と、差動信号復元回路22-1~22-3と、電圧変換回路23と、駆動信号出力回路50と、吐出ヘッド100a~100fとを備える。
【0019】
電圧変換回路23には、電圧VHVが入力される。そして、電圧変換回路23は、入力される電圧VHVの電圧値を降圧又は昇圧することで、3.3Vや5V等の所定の電圧値の直流電圧を生成し、電圧VDDとして出力する。なお、電圧変換回路23は、電圧値が異なる複数の直流電圧を電圧VDDとして出力してもよい。すなわち、電圧変換回路23が出力する電圧VDDは、1個の直流電圧に限られるものではない。
【0020】
ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、ヘッドユニット20の各部を制御するための制御信号を出力する。具体的には、ヘッド制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100からのインクの吐出を制御する制御信号を差動信号に変換した差動信号dSCK1~dSCK3と、差動信号dSIa1~dSIan,dSIb1~dSIbn,dSIc1~dSIcn,dSId1~dSIdn,dSIe1~dSIen,dSIf1~dSIfnを生成し差動信号復元回路22-1~22-3に出力する。
【0021】
差動信号復元回路22-1~22-3は、入力される差動信号dSCK1~dSCK3、及び差動信号dSIa1~dSIan,dSIb1~dSIbn,dSIc1~dSIcn,dSId1~dSIdn,dSIe1~dSIen,dSIf1~dSIfnのそれぞれから、対応するクロック信号SCK1~SCK3、及び印刷データ信号SIa1~SIan,SIb1~SIbn,SIc1~SIcn,SId1~SIdn,SIe1~SIen,SIf1~SIfnを復元し、吐出ヘッド100a~100fに出力する。
【0022】
詳細には、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSCK1+,dSCK1-を含む差動信号dSCK1と、一対の信号dSIa1+~dSIan+,dSIa1-~dSIan-を含む差動信号dSIa1~dSIanと、一対の信号dSIb1+~dSIbn+,dSIb1-~dSIbn-を含む差動信号dSIb1~dSIbnとを生成し、差動信
号復元回路22-1に出力する。差動信号復元回路22-1は、入力される差動信号dSCK1を復元することで、対応するシングルエンドの信号であるクロック信号SCK1を生成し、吐出ヘッド100a,100bに出力し、差動信号dSIa1~dSIanを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIa1~SIanを生成し、吐出ヘッド100aに出力し、差動信号dSIb1~dSIbnを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIb1~SIbnを生成し、吐出ヘッド100bに出力する。
【0023】
同様にヘッド制御回路21は、一対の信号dSCK2+,dSCK2-を含む差動信号dSCK2と、一対の信号dSIc1+~dSIcn+,dSIc1-~dSIcn-を含む差動信号dSIc1~dSIcnと、一対の信号dSId1+~dSIdn+,dSId1-~dSIdn-を含む差動信号dSId1~dSIdnとを生成し、差動信号復元回路22-2に出力する。差動信号復元回路22-2は、入力される差動信号dSCK2を復元することで、対応するシングルエンドの信号であるクロック信号SCK2を生成し、吐出ヘッド100c,100dに出力し、差動信号dSIc1~dSIcnを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIc1~SIcnを生成し、吐出ヘッド100cに出力し、差動信号dSId1~dSIdnを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SId1~SIdnを生成し、吐出ヘッド100dに出力する。
【0024】
同様にヘッド制御回路21は、一対の信号dSCK3+,dSCK3-を含む差動信号dSCK3と、一対の信号dSIe1+~dSIen+,dSIe1-~dSIen-を含む差動信号dSIe1~dSIenと、一対の信号dSIf1+~dSIfn+,dSIf1-~dSIfn-を含む差動信号dSIf1~dSIfnとを生成し、差動信号復元回路22-3に出力する。差動信号復元回路22-3は、入力される差動信号dSCK3を復元することで、対応するシングルエンドの信号であるクロック信号SCK3を生成し、吐出ヘッド100e,100fに出力し、差動信号dSIe1~dSIenを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIe1~SIenを生成し、吐出ヘッド100eに出力し、差動信号dSIf1~dSIfnを復元することで、対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIf1~SIfnを生成し、吐出ヘッド100fに出力する。
【0025】
ここで、ヘッド制御回路21から出力される差動信号dSCK1~dSCK3と、差動信号dSIa1~dSIan,dSIb1~dSIbn,dSIc1~dSIcn,dSId1~dSIdn,dSIe1~dSIen,dSIf1~dSIfnは、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号であってもよく、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速転送方式の差動信号であってもよい。
【0026】
なお、ヘッドユニット20は、差動信号を生成する差動信号生成回路を有し、ヘッド制御回路21が、差動信号dSCK1~dSCK3の基となる基制御信号oSCK1~oSCK3と、差動信号dSIa1~dSIan,dSIb1~dSIbn,dSIc1~dSIcn,dSId1~dSIdn,dSIe1~dSIen,dSIf1~dSIfnとの基となる基制御信号oSIa1~oSIan,oSIb1~oSIbn,oSIc1~oSIcn,oSId1~oSIdn,oSIe1~oSIen,oSIf1~dSIfnとを差動信号生成回路に出力し、差動信号生成回路が、入力される基制御信号oSCK1~oSCK3と、基制御信号oSIa1~oSIan,oSIb1~oSIbn,oSIc1~oSIcn,oSId1~oSIdn,oSIe1~oSIen,oSIf1~oSIfnとに基づいて、差動信号dSCK1~dSCK3と、差動信号dSIa1~dSIan,dSIb1~dSIbn,dSIc1~dSIcn,dSId1~dSId
n,dSIe1~dSIen,dSIf1~dSIfnとを生成し、差動信号復元回路22-1~22-3のそれぞれに出力する構成であってもよい。ここで、差動信号復元回路22-1~22-3はいずれも同様の構成であり、特に区別する必要がない場合、単に差動信号復元回路22と称する場合がある。
【0027】
また、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100a~100dからのインクの吐出タイミングを制御する制御信号として、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、吐出ヘッド100a~100dに出力する。
【0028】
さらに、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100a~100dを駆動させる駆動信号COMA1,COMA2,COMB1,COMB2の基となる基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2を生成し、駆動信号出力回路50に出力する。
【0029】
駆動信号出力回路50は、駆動回路51a,51b,52a,52b、及び基準電圧出力回路53を含む。そして、駆動信号出力回路50は、基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2に基づいて駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2、及び基準電圧信号VBSを生成し、出力する。
【0030】
基駆動信号dA1は、駆動回路51aに入力される。駆動回路51aは、入力される基駆動信号dA1をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMA1を生成し、吐出ヘッド100a,100b,100cに出力する。また、基駆動信号dB1は、駆動回路51bに入力される。駆動回路51bは、入力される基駆動信号dB1をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMB1を生成し、吐出ヘッド100a,100b,100cに出力する。また、基駆動信号dA2は、駆動回路52aに入力される。駆動回路52aは、入力される基駆動信号dA2をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMA2を生成し、吐出ヘッド100d,100e,100fに出力する。また、基駆動信号dB2は、駆動回路52bに入力される。駆動回路52bは、入力される基駆動信号dB2をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMB2を生成し、吐出ヘッド100d,100e,100fに出力する。また、基準電圧出力回路53は、電圧VDDを昇圧又は降圧することで、吐出ヘッド100a~100fのそれぞれからインクが吐出される場合の基準電位となる基準電圧信号VBSを生成し、吐出ヘッド100a~100fに出力する。すなわち、駆動信号出力回路50は、駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を生成する4個のD級増幅回路と、基準電圧信号VBSを生成する降圧回路又は昇圧回路とを含む。
【0031】
吐出ヘッド100aは、駆動信号選択回路200-1~200-nと、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに対応するヘッドチップ300-1~300-nを有する。
【0032】
吐出ヘッド100aに含まれる駆動信号選択回路200-1には、印刷データ信号SIa1、クロック信号SCK1、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA1,COMB1が入力される。そして、吐出ヘッド100aに含まれる駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号SIa1に基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA1,COMB1の信号波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100aに含まれるヘッド
チップ300-1に供給する。これにより、ヘッドチップ300-1が有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴いノズルからインクが吐出される。
【0033】
同様に、吐出ヘッド100aに含まれる駆動信号選択回路200-nには、印刷データ信号SIan、クロック信号SCK1、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA1,COMB1が入力される。そして、吐出ヘッド100aに含まれる駆動信号選択回路200-nは、印刷データ信号SIanに基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA1,COMB1の信号波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100aに含まれるヘッドチップ300-nに供給する。これにより、ヘッドチップ300-nが有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴いノズルからインクが吐出される。
【0034】
すなわち、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれは、駆動信号COMA1,COMB1を駆動信号VOUTとして対応するヘッドチップ300-1~300-nに含まれる圧電素子60に供給するか否かを切り替える。
【0035】
ここで、吐出ヘッド100aと吐出ヘッド100b~100fとは、入力される信号が異なるのみであり、構成、及び動作は同様である。したがって、吐出ヘッド100b~100fの構成、及び動作の説明を省略する。また、以下の説明において、吐出ヘッド100a~100fを特に区別する必要がない場合、単に吐出ヘッド100と称する場合がある。さらに、吐出ヘッド100に含まれる駆動信号選択回路200-1~200-nはいずれも同様の構成であり、ヘッドチップ300-1~300-nはいずれも同様の構成である。したがって、駆動信号選択回路200-1~200-nを区別する必要がない場合、単に駆動信号選択回路200と称する。
【0036】
なお、液体吐出装置1が有する吐出ヘッド100の数、駆動信号選択回路200の数、ヘッドチップ300の数、差動信号復元回路22の数、及び液体吐出装置1に含まれる各種構成の数は、上述した数に限られるものではなく、液体吐出装置1が有するノズル数に応じて、適宜変更されてもよい。
【0037】
2.駆動回路の構成
次に、駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bの構成及び動作について説明する。ここで、駆動回路51a,51b,52a,52bは、入力される信号、及び出力する信号が異なるのみであり同様の構成である。したがって、以下の説明では、基駆動信号dA1に基づいて駆動信号COMA1を出力する駆動回路51aの構成及び動作について説明を行い、基駆動信号dB1に基づいて駆動信号COMB1を出力する駆動回路51b、基駆動信号dA2に基づいて駆動信号COMA2を出力する駆動回路52a、及び基駆動信号dB2に基づいて駆動信号COMB2を出力する駆動回路52bの構成及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0038】
図2は、駆動回路51aの構成を示す図である。図2に示すように、駆動回路51aは、変調回路510を含む集積回路500、増幅回路550、平滑回路560、帰還回路570,572、及びその他複数の回路素子を有する。そして、集積回路500が、駆動信号COMA1の基となる基駆動信号dA1に基づくゲート信号Hgdとゲート信号Lgdとを出力する。また、増幅回路550は、ゲート信号Hgdにより駆動するトランジスターM1と、ゲート信号Lgdにより駆動するトランジスターM2とを含み、増幅変調信号AMsを生成し平滑回路560に出力する。平滑回路560は、増幅回路550からの出力である増幅変調信号AMsを平滑して駆動信号COMA1として出力する。
【0039】
集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、及び端子Vbsを含む複数の端子を介して集積回路500の外部と電気的に接続されている。集積回路500は、端子Inから入力される基駆動信号dA1を変調し、増幅回路550が有するトランジスターM1を駆動するゲート信号Hgdと、トランジスターM2を駆動するゲート信号Lgdとを出力する。
【0040】
集積回路500は、DAC(Digital to Analog Converter)511、変調回路510、ゲートドライブ回路520、及び電源回路580を含む。
【0041】
電源回路580は、第1電圧信号DAC_HVと第2電圧信号DAC_LVとを生成し、DAC511に供給する。
【0042】
DAC511は、駆動信号COMA1の信号波形を規定するデジタルの基駆動信号dA1を、第1電圧信号DAC_HVと第2電圧信号DAC_LVとの間の電圧値のアナログ信号である基駆動信号aAに変換し、変調回路510に出力する。なお、基駆動信号aAの電圧振幅の最大値は、第1電圧信号DAC_HVで規定され、最小値は、第2電圧信号DAC_LVで規定される。すなわち、第1電圧信号DAC_HVは、DAC511における高電圧側の基準電圧であり、第2電圧信号DAC_LVは、DAC511における低電圧側の基準電圧となる。そして、アナログの基駆動信号aAを増幅したものが、駆動信号COMA1となる。つまり、基駆動信号aAは、駆動信号COMA1の増幅前の目標となる信号に相当する。なお、本実施形態における基駆動信号aAの電圧振幅は、例えば、1V~2Vである。
【0043】
変調回路510は、基駆動信号aAを変調した変調信号Msを生成し、ゲートドライブ回路520を介して増幅回路550に出力する。変調回路510は、加算器512,513、コンパレーター514、インバーター515、積分減衰器516、及び減衰器517を含む。
【0044】
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力された端子Outの電圧、すなわち、駆動信号COMA1を減衰するとともに積分し加算器512の-側の入力端に供給する。また、加算器512の+側の入力端には基駆動信号aAが入力される。そして、加算器512は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧を加算器513の+側の入力端に供給する。
【0045】
ここで、基駆動信号aAの電圧振幅の最大値は、前述の通り2V程度であるのに対して、駆動信号COMA1の電圧の最大値で40Vを超える場合がある。このため、積分減衰器516は、偏差を求めるにあたり両電圧の振幅範囲を合わせるために、端子Vfbを介して入力された駆動信号COMA1の電圧を減衰させる。
【0046】
減衰器517は、端子Ifbを介して入力した駆動信号COMA1の高周波成分を減衰した電圧を、加算器513の-側の入力端に供給する。また、加算器513の+側の入力端には、加算器512から出力された電圧が入力される。そして、加算器513は、+側の入力端に入力された電圧から、-側の入力端に入力された電圧を減算した電圧信号Asを、コンパレーター514に出力する。
【0047】
この加算器513から出力される電圧信号Asは、基駆動信号aAの電圧から、端子Vfbに供給された信号の電圧を差し引き、さらに、端子Ifbに供給された信号の電圧を差し引いた電圧である。このため、加算器513から出力される電圧信号Asの電圧は、目標である基駆動信号aAの電圧から、駆動信号COMA1の減衰電圧を差し引いた偏差を、駆動信号COMA1の高周波成分で補正した信号となる。
【0048】
コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asに基づいて、パルス変調した変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asが電圧上昇時であれば、後述する閾値Vth1以上になった場合にHレベルとなり、電圧信号Asが電圧下降時であれば、後述する閾値Vth2を下回った場合にLレベルとなる変調信号Msを出力する。ここで閾値Vth1,Vth2は、閾値Vth1>閾値Vth2という関係に設定されている。なお、変調信号Msは、基駆動信号dA1,aAに合わせて周波数やデューティー比が変化する。そのため、減衰器517が感度に相当する変調利得を調整することで、変調信号Msの周波数やデューティー比の変化量を調整することができる。
【0049】
コンパレーター514から出力された変調信号Msは、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー521に供給される。また、変調信号Msは、インバーター515により論理レベルが反転された後、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー522にも供給される。すなわち、ゲートドライバー521とゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルは、互いの排他的な関係にある。
【0050】
ここで、ゲートドライバー521及びゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルは、同時にHレベルとはならないようにタイミングが制御されてもよい。すなわち、排他的な関係とは、厳密にいえば、ゲートドライバー521及びゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルが同時にHレベルになることがないことを意味し、詳細には、増幅回路550に含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とが同時にオンすることがないことを意味する。
【0051】
ゲートドライブ回路520は、ゲートドライバー521と、ゲートドライバー522とを含む。
【0052】
ゲートドライバー521は、コンパレーター514から出力される変調信号Msをレベルシフトして、端子Hdrからゲート信号Hgdとして出力する。ゲートドライバー521の電源電圧のうち高位側は、端子Bstを介して印加される電圧であり、低位側は、端子Swを介して印加される電圧である。端子Bstは、コンデンサーC5の一端及び逆流防止用のダイオードD1のカソードに接続される。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続される。ダイオードD1のアノードは、端子Gvdに接続される。これにより、ダイオードD1のアノードには、不図示の電源回路から供給される例えば7.5Vの直流電圧である電圧Vmが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち電圧Vmにおよそ等しくなる。そして、ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msに従う端子Swに対して電圧Vmだけ大きな電圧のゲート信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0053】
ゲートドライバー522は、ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー522は、コンパレーター514から出力された変調信号Msの論理レベルがインバーター515によって反転された信号をレベルシフトして、端子Ldrからゲート信号Lgdとして出力する。ゲートドライバー522の電源電圧のうち高位側は、電圧Vmが印加され、低位側は、端子Gndを介して例えば0Vのグラウンド電位が供給される。そして、ゲートドライバー522に入力される信号に従う端子Gndに対して電圧Vmだけ大きな電圧のゲート信号Lgdを生成し、端子Ldrから出力する。
【0054】
増幅回路550は、トランジスターM1,M2を含む。トランジスターM1のドレインには、例えば42Vの直流電圧である電圧VHVが供給される。トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と電気的に接続され、抵抗R1の他端は、集積回路500の端子
Hdrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM1のゲートには、集積回路500の端子Hdrから出力されるゲート信号Hgdが供給される。トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。
【0055】
トランジスターM2のドレインは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のドレインとトランジスターM1のソースとは、互いに電気的に接続されている。トランジスターM2のゲートには、抵抗R2の一端と電気的に接続され、抵抗R2の他端は、集積回路500の端子Ldrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のゲートには、集積回路500の端子Ldrから出力されるゲート信号Lgdが供給される。トランジスターM2のソースには、グラウンド電位が供給される。
【0056】
以上のように構成された増幅回路550において、トランジスターM1がオフ、トランジスターM2がオンに制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電圧は、グラウンド電位となる。したがって、端子Bstには電圧Vmが供給される。一方、トランジスターM1がオン、トランジスターM2がオフに制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電圧は、電圧VHVとなる。したがって、端子Bstには電圧VHV+Vmの電位の電圧信号が供給される。
【0057】
すなわち、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー521が、コンデンサーC5をフローティング電源として、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位が0V又は電圧VHVに変化することで、ゲートドライバー521は、Lレベルが電圧VHVの電位であって、且つ、Hレベルが電圧VHV+電圧Vmの電位のゲート信号HgdをトランジスターM1のゲートに供給する。
【0058】
一方、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー522は、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位であって、且つ、Hレベルが電圧Vmの電位のゲート信号LgdをトランジスターM2のゲートに供給する。
【0059】
以上のように、増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とで基駆動信号dA1,aAが変調された変調信号Msを電圧VHVに基づいて増幅し、トランジスターM1のソース、及びトランジスターM2のドレインが共通に接続される接続点に増幅変調信号AMsを生成し、平滑回路560に出力する。
【0060】
ここで、増幅回路550の入力される電圧VHVが伝搬する伝搬経路には、コンデンサーCdが位置している。具体的には、コンデンサーCdの一端には電圧VHVが供給され、他端にはグラウンド電位が供給されている。このコンデンサーCdは、増幅回路550が動作することに起因して電圧VHVの電位が変動するおそれを低減する。換言すれば、コンデンサーCdは、電圧VHVの電位を安定させる。このようなコンデンサーは、大きな容量であることが好ましく、例えば電解コンデンサーが用いられる。
【0061】
平滑回路560は、増幅回路550から出力された増幅変調信号AMsを平滑することで、駆動信号COMA1を生成し、駆動回路51aから出力する。
【0062】
平滑回路560は、コイルL1とコンデンサーC1とを含む。コイルL1の一端には、増幅回路550から出力された増幅変調信号AMsが入力され、コイルL1の他端は、駆動回路51aの出力となる端子Outと接続されている。また、コイルL1の他端は、コンデンサーC1の一端とも接続されている。そして、コンデンサーC1の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、コイルL1とコンデンサーC1とは、増幅回路
550から出力される増幅変調信号AMsを平滑することで復調し、駆動信号COMA1として出力する。
【0063】
帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端は、駆動信号COMA1が出力される端子Outと接続され、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端と接続されている。抵抗R4の他端には電圧VHVが供給される。これにより、端子Vfbには、端子Outから帰還回路570を通過した駆動信号COMA1がプルアップされた状態で帰還する。
【0064】
帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と、抵抗R5,R6を含む。コンデンサーC2の一端は、駆動信号COMA1が出力される端子Outと接続され、他端は、抵抗R5の一端、及び抵抗R6の一端と接続されている。抵抗R5の他端にはグラウンド電位が供給される。これにより、コンデンサーC2と抵抗R5とがハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。なお、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端、及びコンデンサーC3の一端と接続されている。コンデンサーC3の他端には、グラウンド電位が供給される。これにより、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。なお、ローパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。このように、帰還回路572がハイパスフィルターとローパスフィルターと備えて構成されることで、帰還回路572は、駆動信号COMA1の所定の周波数域を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。
【0065】
そして、コンデンサーC4の他端が集積回路500の端子Ifbと接続されている。これにより、端子Ifbには、所定の周波数成分を通過させるバンドパスフィルターとして機能する帰還回路572を通過した駆動信号COMA1の高周波成分のうち、直流成分がカットされた信号が帰還する。
【0066】
ところで、端子Outから出力される駆動信号COMA1は、基駆動信号dA1に基づく増幅変調信号AMsを平滑回路560によって平滑された信号である。そして、駆動信号COMA1は、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。よって、駆動回路51aは、帰還の遅延と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振する。ただし、端子Vfbを介した帰還経路は、遅延量が大きいため、当該端子Vfbを介した帰還のみでは自励発振の周波数を駆動信号COMA1の精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して、駆動信号COMA1の高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみた場合における遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMA1の精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。
【0067】
ここで、本実施形態における駆動回路51aにおける自励発振の発振周波数は、駆動信号COMA1の精度を十分に確保しつつ、駆動回路51aで生じる発熱を低減させるとの観点において1MHz以上8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の消費電力を低減させる場合においては、駆動回路51aの自励発振の発振周波数が1MHz以上4MHz以下であることが好ましい。
【0068】
本実施形態における液体吐出装置1では、駆動回路51aが、増幅変調信号AMsを平滑して駆動信号COMA1を生成し、後述するヘッドチップ300が有する圧電素子60に供給する。そして、圧電素子60は、駆動信号COMA1に含まれる信号波形が供給されることによって駆動し、この圧電素子60の駆動に応じた量のインクが吐出される。
【0069】
このような圧電素子60を駆動する駆動信号COMA1の信号波形の周波数スペクトル解析を実行すると、駆動信号COMA1には、50kHz以上の周波数成分が含まれていることが知られている。このような50kHz以上の周波数成分を含む駆動信号COMA1の信号波形を精度よく生成するに際して、変調信号の周波数を1MHzよりも低くすると、駆動回路51aから出力される駆動信号COMA1の信号波形のエッジ部に鈍りが生じ、当該鈍りが生じる。換言すれば、駆動信号COMA1の信号波形を精度よく生成するには、変調信号Msの周波数を1MHz以上とする必要がある。そして、駆動回路51aの自励発振の発振周波数が1MHz以下である場合、駆動信号COMA1の波形精度が低下するが故に、圧電素子60の駆動精度が低下し、その結果、液体吐出装置1から吐出されるインクの吐出特性が悪化するおそれがある。
【0070】
このような問題に対して、変調信号Msの周波数であって、駆動回路51aの自励発振の発振周波数を1MHz以上とすることで、駆動信号COMA1の信号波形のエッジ部に鈍りが生じるおそれが低減する。すなわち、駆動信号COMA1の信号波形の波形精度が向上し、駆動信号COMA1に基づいて駆動する圧電素子60の駆動精度が向上する。よって、液体吐出装置1から吐出されるインクの吐出特性が悪化するおそれが低減される。
【0071】
しかしながら、変調信号Msの周波数であって、駆動回路51aの自励発振の発振周波数を高くするとトランジスターM1,M2のスイッチング周波数が上昇し、トランジスターM1,M2におけるスイッチング損失が大きくなる。このようなトランジスターM1,M2の生じるスイッチング損失は、駆動回路51aでの消費電力を増加させるとともに、駆動回路51aにおける発熱量も増加させる。すなわち、駆動回路51aの自励発振の発振周波数を高くしすぎた場合、トランジスターM1,M2におけるスイッチング損失が大きくなり、AB級アンプなどのリニア増幅に対するD級アンプの優位性の1つである省電力性、及び省発熱性が損なわれるおそれがある。このようなトランジスターM1,M2のスイッチング損失を低減するとの観点においては、変調信号Msの周波数であって駆動回路51aの自励発振の発振周波数が8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の省電力性を高めることが求められる場合には、4MHz以下であることが好ましい。
【0072】
以上より、D級アンプを用いた駆動回路51aにおいて、出力する駆動信号COMA1の信号波形の精度の向上と、省電力化とを両立させるとの観点において、駆動回路51aの自励発振の発振周波数が1MHz以上8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の消費電力を低減させる場合においては、駆動回路51aの自励発振の発振周波数が1MHz以上4MHz以下であることが好ましい。ここで、駆動回路51aの自励発振の発振周波数とは、変調信号Msの周波数に加え、増幅回路550が有するトランジスターM1,M2がスイッチング動作する周波数も含まれる。すなわち、駆動回路51aの自励発振の発振周波数には、変調信号Msの周波数、ゲート信号Hgd,Lgdの周波数、及び増幅変調信号AMsの周波数の少なくとも1つが含まれる。
【0073】
ここで、前述の通り図2では、駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bの内、駆動信号COMA1を出力する駆動回路51aを図示し説明を行ったが、駆動信号COMB1を出力する駆動回路51b、駆動信号COMA2を出力する駆動回路52a、及び駆動信号COMB2を出力する駆動回路52bも同様の構成を含み、同様の動作が実行される。
【0074】
すなわち、駆動回路51bは、変調回路510を含む集積回路500、増幅回路550、平滑回路560、帰還回路570,572、及びその他複数の回路素子を有する。そして、集積回路500が、駆動信号COMB1の基となる基駆動信号dB1に基づくゲート
信号Hgdとゲート信号Lgdとを出力する。そして、増幅回路550は、ゲート信号Hgdにより駆動するトランジスターM1と、ゲート信号Lgdにより駆動するトランジスターM2とを含み、増幅変調信号AMsを生成し平滑回路560に出力する。平滑回路560は、増幅回路550からの出力である増幅変調信号AMsを平滑して駆動信号COMB1として出力する。この場合において、駆動回路51bが出力する駆動信号COMB1の信号波形の精度の向上と、省電力化とを両立させるとの観点において、駆動回路51bの自励発振の発振周波数は1MHz以上8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の消費電力を低減させる場合においては、駆動回路51bの自励発振の発振周波数は1MHz以上4MHz以下であることが好ましい。
【0075】
同様に、駆動回路52aは、変調回路510を含む集積回路500、増幅回路550、平滑回路560、帰還回路570,572、及びその他複数の回路素子を有する。そして、集積回路500が、駆動信号COMA2の基となる基駆動信号dA2に基づくゲート信号Hgdとゲート信号Lgdとを出力する。そして、増幅回路550は、ゲート信号Hgdにより駆動するトランジスターM1と、ゲート信号Lgdにより駆動するトランジスターM2とを含み、増幅変調信号AMsを生成し平滑回路560に出力する。平滑回路560は、増幅回路550からの出力である増幅変調信号AMsを平滑して駆動信号COMA2として出力する。この場合において、駆動回路52aが出力する駆動信号COMA2の信号波形の精度の向上と、省電力化とを両立させるとの観点において、駆動回路52aの自励発振の発振周波数は1MHz以上8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の消費電力を低減させる場合においては、駆動回路52aの自励発振の発振周波数は1MHz以上4MHz以下であることが好ましい。
【0076】
また同様に、駆動回路52bは、変調回路510を含む集積回路500、増幅回路550、平滑回路560、帰還回路570,572、及びその他複数の回路素子を有する。そして、集積回路500が、駆動信号COMB2の基となる基駆動信号dB2に基づくゲート信号Hgdとゲート信号Lgdとを出力する。そして、増幅回路550は、ゲート信号Hgdにより駆動するトランジスターM1と、ゲート信号Lgdにより駆動するトランジスターM2とを含み、増幅変調信号AMsを生成し平滑回路560に出力する。平滑回路560は、増幅回路550からの出力である増幅変調信号AMsを平滑して駆動信号COMB2として出力する。この場合において、駆動回路52bが出力する駆動信号COMB2の信号波形の精度の向上と、省電力化とを両立させるとの観点において、駆動回路52bの自励発振の発振周波数は1MHz以上8MHz以下であることが好ましく、特に、液体吐出装置1の消費電力を低減させる場合においては、駆動回路52bの自励発振の発振周波数は1MHz以上4MHz以下であることが好ましい。
【0077】
3.駆動信号選択回路の構成、及び動作
次に吐出ヘッド100が有する駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。なお、以下の説明において駆動信号選択回路200には、印刷データ信号SIa1~SIan,SIb1~SIbn,SIc1~SIcn,SId1~SIdn,SIe1~SIen,SIf1~SIfnの総称としての印刷データ信号SIと、クロック信号SCK1~SCK3の総称としてのクロック信号SCKと、ラッチ信号LATと、チェンジ信号CHと、駆動信号COMA1,COMA2の総称としての駆動信号COMAと、駆動信号COMB1,COMB2の総称としての駆動信号COMBとが入力されるとして説明を行う。
【0078】
駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例、及び駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTの信号波形の一例について説明する。
【0079】
図3は、駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。図3に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた信号波形である。そして、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出され、台形波形Adp2がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量よりも多い中程度の量のインクが吐出される。
【0080】
また、図3に示すように、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた信号波形である。そして、台形波形Bdp1がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルからインクは吐出されない。この台形波形Bdp1は、ノズルの開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2がヘッドチップ300に供給された場合、台形波形Adp1が供給された場合と同様にヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出される。
【0081】
ここで、図3に示すように台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング、及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。そして、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体に新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
【0082】
なお、図3では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ波形である場合を図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが異なる波形であってもよい。また、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合と台形波形Bdp1がヘッドチップ300に供給された場合とでは、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの信号波形は、図3に示す波形に限られるものではなく、ヘッドチップ300が有するノズルから吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体の材質等に応じて様々な波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。また、駆動回路51aが出力する駆動信号COMA1の信号波形と駆動回路52aが出力する駆動信号COMA2の信号波形とが異なってもよく、同様に、駆動回路51bが出力する駆動信号COMB1の信号波形と駆動回路52bが出力する駆動信号COMB2の信号波形とが異なってもよい。
【0083】
図4は、媒体に形成されるドットの大きさが大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのそれぞれの場合における駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【0084】
図4に示すように、媒体に大ドットLDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで媒体には大ドットLDが形成される。
【0085】
媒体に中ドットMDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された
場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで媒体には中ドットMDが形成される。
【0086】
媒体に小ドットSDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが1回吐出される。したがって、周期Taにおいて、このインクが媒体に着弾することで、媒体には小ドットSDが形成される。
【0087】
媒体にドットを形成しない非記録NDに対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルの開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。したがって、周期Taにおいて、インクが媒体に着弾せず、媒体にはドットが形成されない。
【0088】
ここで、駆動信号VOUTにおける電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合において、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の直前の電圧Vcが保持された電圧値の波形である。すなわち、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、直前の電圧Vcが駆動信号VOUTとしてヘッドチップ300に供給されることになる。
【0089】
駆動信号選択回路200は、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、ヘッドチップ300に出力する。図5は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図5に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と、複数の選択回路230とを含む。また、図5には、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給されるヘッドチップ300の一例を図示している。図5に示すように、ヘッドチップ300は、それぞれが圧電素子60を有するm個の吐出部600を含む。
【0090】
選択制御回路210には、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKが入力される。選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、ヘッドチップ300が有するm個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、ヘッドチップ300が有するm個の吐出部600と同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
【0091】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、m個の吐出部600の各々に対して、大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2mビットの信号である。入力される印刷データ信号SIは、m個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター212に保持される。具体的には、選択制御回路210は、m個の吐出部600に対応したm段のシフトレジスター212が互いに縦続接続されるとともに、印刷データ信号SIとしてシリアルで入力された印刷データ[SIH,SIL]が、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図5では、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表
記している。
【0092】
m個のラッチ回路214の各々は、m個のシフトレジスター212の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
【0093】
図6は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号S1,S2を出力する。例えば、デコーダー216は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
【0094】
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、吐出部600と同じm個である。図6は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図7に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを有する。
【0095】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234a,234bの出力端が共通に接続され、駆動信号VOUTとして出力される。
【0096】
具体的には、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。また、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。以上のように選択回路230は、選択信号S1,S2に基づいて駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTを出力する。
【0097】
図8を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図8は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの入力が停止すると、各シフトレジスター212には、m個の吐出部600のそれぞれに対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスター212のm段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0098】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図8において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示している。
【0099】
デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを図6に示す内容で出力する。
【0100】
具体的には、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、図4に示した大ドットLDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0101】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、図3に示した中ドットMDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0102】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図4に示した小ドットSDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0103】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図4に示した非記録NDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0104】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTとして出力する。そして、駆動信号選択回路200が、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることによって、媒体に形成されるドットのサイズが制御され、その結果、液体吐出装置1において、媒体に所望のサイズのドットが形成される。
【0105】
4.液体吐出装置の構造
次に、液体吐出装置1の概略構造について説明を行う。図9は、液体吐出装置1の概略構造を示す説明図である。図9には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示す矢印を示している。ここで、Y方向は媒体Pが搬送される方向に相当し、X方向はY方向と直交し水平面に平行な方向であって主走査方向に相当し、Z方向は液体吐出装置1の上下方向であって鉛直方向に相当する。なお、以下の説明において、X方向、Y方向、及びZ方向に沿った向きを特定する場合、図示するX方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、図示するY方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、図示するZ方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
【0106】
図9に示すように、液体吐出装置1は、上述した制御ユニット10、及びヘッドユニット20に加えて、液体容器5、ポンプ8、及び搬送機構40を備える。
【0107】
制御ユニット10は、前述したとおりメイン制御回路11と電源電圧出力回路12とを備え、ヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の動作を制御する。また、制御ユニット10は、メイン制御回路11と電源電圧出力回路12に加えて、各種情報を記憶する記憶回路や液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューターと通信を行うためのインターフェース回路などを備えてもよい。
【0108】
制御ユニット10は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等から入力される画像信号を受信し、受信した画像信号に対して所定の画像処理を施した後、当該画像処理を施した信号を画像情報信号IPとしてヘッドユニット20に出力する。また、制御ユニット10は、媒体Pを搬送する搬送機構40に対して搬送制御信号TCを出力することで、媒体Pの搬送を制御するとともに、ポンプ8にポンプ制御信号ACを出力することで、ポンプ8の動作を制御する。
【0109】
液体容器5は、媒体Pに吐出されるインクが貯留されている。具体的には、液体容器5は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの4色のインクが個別に貯留される4個の容器を含む。そして、液体容器5に貯留されているインクは、チューブ等を介して、ヘッドユニット20に供給される。なお、液体容器5が備えるインクが貯留される容器は4個に限られるものではなく、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックK以外の色のインクが貯留される容器を含んでもよく、また、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのいずれかの容器を複数個含んでもよい。
【0110】
ヘッドユニット20は、X方向に並んで配置された吐出ヘッド100a~100fを備える。ヘッドユニット20が備える吐出ヘッド100a~100fは、X方向に沿って、媒体Pの幅以上となるように、-X側から+X側に向かって、吐出ヘッド100a、吐出ヘッド100b、吐出ヘッド100c、吐出ヘッド100d、吐出ヘッド100e、吐出ヘッド100fの順に並んで配置されている。そして、ヘッドユニット20は、液体容器5から供給されたインクを吐出ヘッド100a~100fのそれぞれに分配するとともに、吐出ヘッド100a~100fのそれぞれが、制御ユニット10から入力される画像情報信号IPに基づいて動作することで、吐出ヘッド100a~100fのそれぞれから媒体Pに向かって、液体容器5から供給されたインクを吐出させる。ここで、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100は6個に限られるものではなく、5個以下、又は7個以上であってもよい。
【0111】
搬送機構40は、制御ユニット10から入力される搬送制御信号TCに基づいて、媒体PをY方向に沿って搬送する。このような搬送機構40は、例えば、媒体Pを搬送するための不図示のローラーや、当該ローラーを回転させるモーター等を含んで構成される。
【0112】
ポンプ8は、制御ユニット10から入力されるポンプ制御信号ACに基づいて、ヘッドユニット20に空気Aを供給するか否か、及びヘッドユニット20に空気Aの供給量を制御する。ポンプ8は、例えば、2本のチューブを介して、ヘッドユニット20に接続されている。そして、ポンプ8は、各チューブに流れる空気Aを制御することで、ヘッドユニット20が有するバルブの開閉を制御する。
【0113】
以上のように、液体吐出装置1は、制御ユニット10が、ホストコンピューター等から入力される画像信号に基づく画像情報信号IPを生成し、生成した画像情報信号IPにより、ヘッドユニット20の動作を制御するとともに、搬送制御信号TCにより搬送機構40における媒体Pの搬送を制御する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pの所望の位置にインクを着弾させることが可能となり、したがって、媒体Pに所望の画像を形成することができる。すなわち、液体吐出装置1は、媒体Pに対してインクを吐出するヘッドユ
ニット20と、ヘッドユニット20から吐出されたインクが着弾する媒体Pを搬送する搬送機構40とを備える。ここで媒体Pを搬送する搬送機構40が搬送ユニットの一例である。
【0114】
5.ヘッドユニットの構造
次に、ヘッドユニット20の構造について説明する。図10は、ヘッドユニット20を-Z側から見た場合の分解斜視図であり、図11は、ヘッドユニット20を+Z側から見た場合の分解斜視図である。
【0115】
図10及び図11に示すように、ヘッドユニット20は、液体容器5からインクを導入する流路構造体G1と、導入されたインクの吐出ヘッド100への供給を制御する供給制御部G2と、供給されたインクを吐出する吐出ヘッド100を有する液体吐出部G3と、吐出ヘッド100からのインクの吐出を制御する吐出制御部G4と、駆動信号出力回路50が設けられた駆動信号出力部G5と、駆動信号出力回路50で生じた熱を放出する放熱部G6とを備える。そして、ヘッドユニット20において、流路構造体G1、供給制御部G2、液体吐出部G3、吐出制御部G4、駆動信号出力部G5、及び放熱部G6は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かい、放熱部G6、駆動信号出力部G5、吐出制御部G4、流路構造体G1、供給制御部G2、液体吐出部G3の順に積層され、不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって固定されている。
【0116】
図10及び図11に示すように、流路構造体G1は、ヘッドユニット20に供給されるインク色の数に応じた複数の液体導入口SI1と、当該インク色の数及び吐出ヘッド100の数に応じた複数の液体排出口DI1とを有する。複数の液体導入口SI1のそれぞれは、流路構造体G1の-Z側の面に位置し、液体容器5と不図示のチューブ等を介して接続されている。また、複数の液体排出口DI1のそれぞれは、流路構造体G1の+Z側の面に位置している。そして、流路構造体G1の内部には、1個の液体導入口SI1と、複数の液体排出口DI1とを連通するインク流路が形成されている。
【0117】
また、流路構造体G1には、複数の空気導入口SA1と、複数の空気排出口DA1とが設けられている。複数の空気導入口SA1のそれぞれは、流路構造体G1の-Z側の面に設けられ、ポンプ8と不図示のチューブを介して接続されている。また、複数の空気排出口DA1のそれぞれは、流路構造体G1の+Z側の面に設けられている。そして、流路構造体G1の内部には、1個の空気導入口SA1と、複数の空気排出口DA1とを連通する空気流路が形成されている。
【0118】
図10及び図11に示すように、供給制御部G2は、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100の数に応じた複数の圧力調節ユニットU2を有する。また、複数の圧力調節ユニットU2のそれぞれは、ヘッドユニット20に供給されるインク色の数に応じた複数の液体導入口SI2と、ヘッドユニット20に供給されるインク色の数に応じた複数の液体排出口DI2と、ポンプ8と接続されるチューブの数に応じた複数の空気導入口SA2とを有する。
【0119】
複数の液体導入口SI2のそれぞれは、圧力調節ユニットU2の-Z側において、流路構造体G1が有する液体排出口DI1のそれぞれに対応して位置し、対応する液体排出口DI1のそれぞれと接続される。また、複数の液体排出口DI2のそれぞれは、圧力調節ユニットU2の-Z側に位置している。そして、圧力調節ユニットU2の内部には、1個の液体導入口SI2と1個の液体排出口DI2とを連通するインク流路が形成されている。
【0120】
複数の空気導入口SA2のそれぞれは、圧力調節ユニットU2の-Z側において、流路
構造体G1が有する空気排出口DA1のそれぞれに対応して位置し、対応する空気排出口DA1のそれぞれと接続される。また、圧力調節ユニットU2の内部には、インク流路を開閉するバルブやインク流路を流れるインクの圧力を調節するバルブ等、吐出ヘッド100へのインクの供給を制御する複数のバルブと、1個の空気導入口SA2と1個のバルブとの間を接続する空気流路が形成されている。
【0121】
以上のように構成された圧力調節ユニットU2は、空気導入口SA2とバルブとの間を接続する不図示の空気流路をして供給される空気Aによって内部に設けられたバルブの動作を制御することで、液体導入口SI2と液体排出口DI2とを連通する不図示のインク流路に流れるインクの量を制御する。
【0122】
図10及び図11に示すように、液体吐出部G3は、吐出ヘッド100a~100fと支持部材35とを有する。吐出ヘッド100a~100fのそれぞれは、支持部材35の+Z側に位置し、不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって支持部材35に固定されている。
【0123】
支持部材35には、複数の液体導入口SI3に対応する開口部が形成されている。また、吐出ヘッド100a~100fのそれぞれの-Z側には、供給制御部G2が有する液体排出口DI2のそれぞれに対応して複数の液体導入口SI3が位置している。この複数の液体導入口SI3は、支持部材35に形成された開口部を挿通することで、液体吐出部G3の-Z側に露出している。そして、液体導入口SI3のそれぞれは、対応する液体排出口DI2と接続される。
【0124】
ここで、インクが液体容器5から吐出ヘッド100に供給される流れについて説明する。液体容器5に貯留されているインクは、不図示のチューブ等を介して、流路構造体G1が有する液体導入口SI1に供給される。液体導入口SI1に供給されたインクは、流路構造体G1の内部に設けられた不図示のインク流路によって分配された後、液体排出口DI1を介して圧力調節ユニットU2が有する液体導入口SI2に供給される。液体導入口SI2に供給されたインクは、圧力調節ユニットU2の内部に設けられたインク流路、及び液体排出口DI2を介して、液体吐出部G3が有する6個の吐出ヘッド100のそれぞれの液体導入口SI3に供給される。すなわち、インクが液体容器5から供給されたインクは、流路構造体G1で分岐された後、供給制御部G2において供給量が制御され、液体吐出部G3が有する吐出ヘッド100a~100fに供給される。
【0125】
次に、ヘッドユニット20における吐出ヘッド100a~100fの配置の一例について説明する。図12は、ヘッドユニット20を+Z側から見た場合の図である。図12に示すように、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100a~100fは、それぞれが、X方向に沿って並んで配置された6個のヘッドチップ300を有している。各ヘッドチップ300は、Z方向に垂直な方向であって、且つX方向とY方向とが成す平面において、列方向RDに沿って並んで配置され、インクを吐出する複数のノズルNを有する。なお、以下の説明において、列方向RDに沿って並んで配置された複数のノズルNのことをノズル列と称する場合がある。
【0126】
ここで、本実施形態におけるヘッドチップ300は、列方向RDに沿って2列のノズル列を有する。そして、吐出ヘッド100が有する2列のノズルNには、シアンCの色彩のインクを吐出するグループと、マゼンタMの色彩のインクを吐出するグループと、イエローYの色彩のインクを吐出するグループと、ブラックKの色彩のインクを吐出するグループとが含まれている。なお、本実施形態では、吐出ヘッド100a~100fのそれぞれが6個のヘッドチップ300を有する場合を例示しているが、吐出ヘッド100a~100fが有するヘッドチップ300の数は6個に限られるものではない。
【0127】
次に吐出ヘッド100の構造について説明する。図13は、吐出ヘッド100の概略構成を示す分解斜視図である。吐出ヘッド100は、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、6個のヘッドチップ300、及び固定板150を備える。そして、吐出ヘッド100において、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、及び固定板150がZ方向に沿って-Z側から+Z側に向かい、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、固定板150の順に重ね合されて構成されているとともに、ホルダー140と固定板150との間に6個のヘッドチップ300が収容されている。
【0128】
フィルター部110は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。フィルター部110は、4個のフィルター113と、4個の液体導入口SI3とを備える。4個のフィルター113は、フィルター部110の内部に位置し、4個の液体導入口SI3のそれぞれに対応して設けられている。このフィルター113は、液体導入口SI3から供給されるインクに含まれる気泡や異物を捕集する。
【0129】
シール部材120は、フィルター部110の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。このようなシール部材120は、例えば、ゴム等の弾性部材によって形成され、シール部材120の四隅には、フィルター部110から供給されたインクが流れる貫通孔125が位置している。そして、シール部材120は、フィルター部110の+Z側の面に設けられ、フィルター部110においてフィルター113を介して液体導入口SI3と連通する不図示の液体排出穴と、ホルダー140が有する液体導入口145との間を液密に連通させる。
【0130】
配線基板130は、シール部材120の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。配線基板130には、吐出ヘッド100に供給された駆動信号COMA,COMBや電圧VHV等の各種信号を伝搬するための配線が形成されている。また、配線基板130の四隅には、シール部材120が有する貫通孔125とホルダー140が有する液体導入口145との間に形成されたインク流路を塞がないように設けられた切欠部135が形成されている。
【0131】
ホルダー140は、配線基板130の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。ホルダー140は、ホルダー部材141,142,143を有する。ホルダー部材141,142,143は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かいホルダー部材141、ホルダー部材142、ホルダー部材143の順に積層されている。また、ホルダー部材141とホルダー部材142との間、及びホルダー部材142とホルダー部材143との間は、接着剤等によって接着されている。
【0132】
また、ホルダー部材143の内部には、+Z側に開口部を有し、ヘッドチップ300を収容するための不図示の収容空間が形成されている。このホルダー部材143の内部に形成された収容空間は、6個のヘッドチップ300のそれぞれに対応して個別に形成された収容空間であってもよく、また、6個のヘッドチップ300をまとめて収容する1個の収容空間であってもよい。また、ホルダー140には、6個のヘッドチップ300のそれぞれに対応するスリット孔146が設けられている。スリット孔146には、6個のヘッドチップ300のそれぞれに駆動信号COMA,COMBや電圧VHV等の各種信号を伝搬するためのフレキシブル配線基板346が挿通される。そして、ホルダー部材143の内
部に形成された収容空間に収容された6個のヘッドチップ300のそれぞれは、接着剤等によりホルダー部材143に固定される。
【0133】
また、ホルダー140の上面の四隅には、液体導入口145が設けられている。前述の通り、液体導入口145のそれぞれは、シール部材120に設けられた貫通孔125を介してフィルター部110においてフィルター113を介して液体導入口SI3と連通する不図示の液体排出穴と接続されている。これにより、液体導入口SI3から供給されたインクが液体導入口145からホルダー140に供給される。この各液体導入口145から導入されたインクが、ホルダー140の内部に設けられた不図示のインク流路を介して、6個のヘッドチップ300に分配されることで、6個のヘッドチップ300のそれぞれにインクが供給される。
【0134】
固定板150は、ホルダー140の+Z側に位置し、ホルダー部材143の内部に形成された収容空間を封止する。固定板150は、平面部151と、折曲部152,153,154とを有する。平面部151は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。平面部151は、ヘッドチップ300を露出させるための6個の開口部155を有する。そして、ヘッドチップ300は、開口部155を介して2列のノズル列が露出するように平面部151に固定される。
【0135】
折曲部152は、平面部151のX方向に沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部153は、平面部151の列方向RDに沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部154は、平面部151の列方向RDに沿って延在する他方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材である。
【0136】
ここで、ヘッドチップ300の構造の一例について説明する。図14は、ヘッドチップ300の概略構造を示す図であって、ヘッドチップ300を少なくとも1個のノズルNを含むように列方向RDと垂直な方向に切断した場合の断面図である。図14に示すように、ヘッドチップ300は、インクを吐出する複数のノズルNが設けられたノズルプレート310と、連通流路355、個別流路353、及びリザーバーRを画定する流路形成基板321と、圧力室Cを画定する圧力室基板322と、保護基板323と、コンプライアンス部330と、振動板340と、圧電素子60と、フレキシブル配線基板346と、リザーバーR及び液体導入口351を画定するケース324と、を有する。そして、ヘッドチップ300には、ホルダー140に設けられた不図示の液体排出口から液体導入口351を介してインクが供給される。ヘッドチップ300に供給されたインクは、リザーバーR、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含み構成されたインク流路350を介して、ノズルNに到達し、圧電素子60の駆動に伴い、吐出される。ここで、圧電素子60、振動板340、ノズルN、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含む構成を吐出部600と称する場合がある。
【0137】
具体的には、インク流路350は、流路形成基板321、圧力室基板322、ケース324が、Z方向に沿って積層されることで構成されている。液体導入口351からケース324の内部に導入されたインクは、リザーバーRに貯留される。リザーバーRは、ノズル列を構成する複数のノズルNのそれぞれに対応する複数の個別流路353に連通する共通流路である。リザーバーRに貯留されたインクは、個別流路353を介して圧力室Cに供給される。
【0138】
圧力室Cでは、貯留されるインクに圧力を加えることで、連通流路355を介してノズルNからインクを吐出する。圧力室Cの-Z側には、圧力室Cを封止するように振動板3
40が位置し、振動板340の-Z側には、圧電素子60が位置している。圧電素子60は、圧電体と、圧電体の両面に形成された一対の電極とによって構成されている。そして、圧電素子60が有する一対の電極の一方にフレキシブル配線基板346を介して駆動信号VOUTが供給され、圧電素子60が有する一対の電極の他方にフレキシブル配線基板346を介して基準電圧信号VBSが供給されることで、圧電体は一対の電極間に生じた電位差により変位する。すなわち、圧電体を含む圧電素子60が駆動する。そして、圧電素子60の駆動に伴い、圧電素子60が設けられた振動板340が変形し、この振動板340の変形により圧力室Cの内圧が変化することで、圧力室Cに貯留されているインクが、連通流路355を介してノズルNから吐出される。
【0139】
また、流路形成基板321の+Z側には、ノズルプレート310と、コンプライアンス部330とが固定されている。ノズルプレート310は、連通流路355の+Z側に位置している。ノズルプレート310には、複数のノズルNが列方向RDに沿って並設されている。コンプライアンス部330は、リザーバーR及び個別流路353の+Z側に位置し、封止膜331と、支持体332とを含む。封止膜331は、可撓性を有する膜状部材であり、リザーバーR及び個別流路353の+Z側を封止する。そして、封止膜331の外周縁が枠状の支持体332によって支持されている。また、支持体332の+Z側は、固定板150の平面部151に固定されている。以上のように構成されたコンプライアンス部330は、ヘッドチップ300を保護するとともに、リザーバーRの内部や個別流路353の内部におけるインクの圧力変動を低減する。
【0140】
図13に戻り、以上のように吐出ヘッド100は、液体容器5から供給されるインクを複数のノズルNに対して分配するとともに、フレキシブル配線基板346を介して供給される駆動信号VOUTに基づき生じる圧電素子60の駆動によりノズルNからインクを吐出する。ここで、駆動信号選択回路200は、配線基板130に設けられていてもよく、また、ヘッドチップ300のそれぞれに対応するフレキシブル配線基板346に設けられていてもよい。
【0141】
以上のように、ヘッドユニット20は、駆動信号COMA1,COMB1に基づいて生成された駆動信号VOUTにより駆動する複数の圧電素子60と、駆動信号COMA2,COMB2に基づいて生成された駆動信号VOUTにより駆動する複数の圧電素子60とを有し、駆動信号COMA1,COMB1に基づいて生成された駆動信号VOUTにより駆動する複数の圧電素子60、及び駆動信号COMA2,COMB2に基づいて生成された駆動信号VOUTにより駆動する複数の圧電素子60のそれぞれの駆動に応じて液体を吐出する。
【0142】
図10及び図11に戻り、吐出制御部G4は、流路構造体G1の-Z側に位置し、配線基板420を含む。配線基板420は、面422と、面422の反対側に位置し面422と向かい合う面421とを含む。そして、配線基板420は、面422が流路構造体G1、供給制御部G2、及び液体吐出部G3側を向き、面421が流路構造体G1、供給制御部G2、及び液体吐出部G3とは反対側を向くように配置される。
【0143】
配線基板420の面421の内、-X側の領域には、半導体装置423が設けられている。半導体装置423は、ヘッド制御回路21の少なくとも一部を構成する回路部品であって、例えば、SoCを含んで構成されている。すなわち、半導体装置423には、制御ユニット10からヘッドユニット20に供給された画像情報信号IPが入力される。そして、半導体装置423は、入力される画像情報信号IPに基づく各種信号を生成し、ヘッドユニット20に含まれる各種の構成に対して、対応する制御信号を出力するとともに、基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2を出力する。
【0144】
また、配線基板420の面421の内、半導体装置423よりも+X側の領域であって、-Y側に位置する配線基板420の端辺に沿ってコネクター424が設けられている。このコネクター424は、駆動信号出力部G5と電気的に接続する。これにより、半導体装置423が出力する基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2が駆動信号出力回路50に供給されるとともに、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2が、吐出制御部G4に入力される。そして、吐出制御部G4に入力された駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2は、配線基板420で伝搬した後、吐出ヘッド100が有する吐出部600に供給される。
【0145】
図10及び図11に示すように、駆動信号出力部G5は、吐出制御部G4の-Z側に位置し、配線基板530を含む。配線基板530は、面532と、面532の反対側に位置し面532と向かい合う面531とを含む。そして、配線基板530は、面532が吐出制御部G4側を向き、面531が吐出制御部G4とは反対側を向くように配置される。すなわち、配線基板420の面421と配線基板530の面532とが向かい合って位置している。
【0146】
配線基板530の面531には、駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を出力する駆動信号出力回路50が設けられている。配線基板530の面532には、コネクター524が設けられている。コネクター524は、吐出制御部G4から入力される基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2を駆動信号出力回路50に入力するとともに、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を吐出制御部G4に出力する。
【0147】
以上のように、吐出制御部G4が有する配線基板420と駆動信号出力部G5が有する配線基板530とは、配線基板420に設けられたコネクター424と配線基板530に設けられたコネクター524とを介して相互に電気的に接続される。このようなコネクター424,524は、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)等を介さずに、配線基板420と配線基板530とを電気的に接続する所謂BtoB(Board to Board)コネクターであることが好ましい。
【0148】
仮に配線基板420と配線基板530とをFFC等により接続した場合、液体吐出装置1に加わる振動などに起因してFFCの形状が変化し、FFCで生じる配線インピーダンスが変化する。その結果、基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2、及び駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2の信号波形に歪が生じ、液体吐出装置1におけるインクの吐出精度が低下するおそれがある。このような問題に対して、配線基板420と配線基板530とを電気的に接続するコネクター424,524としてBtoBコネクターを用いることで、液体吐出装置1に振動などが生じた場合であっても、基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2、及び駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2の伝搬経路のインピーダンスが変化するおそれを低減することができる。その結果、基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2、及び駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2の信号波形に歪が生じるおそれが低減し、液体吐出装置1におけるインクの吐出精度が低下するおそれが低減する。
【0149】
ここで、駆動信号出力部G5に含まれる配線基板530の面531における駆動信号出力回路50の配置の詳細について図15を用いて説明する。図15は、配線基板530の面531に設けられた駆動信号出力回路50の配置の一例を示す図である。ここで、図15では、互いに直行するx1方向及びy1方向を図示している。なお、以下の説明において、図示するx1方向を示す矢印の先端側を+x1側、起点側を-x1側と称し、図示するy1方向を示す矢印の先端側を+y1側、起点側を-y1側と称する場合がある。
【0150】
配線基板530は、x1方向に沿って延在する辺541と、辺541よりも+y1側に位置しx1方向に沿って延在する辺542と、y1方向に沿って延在する辺543と、辺543よりも+x1側に位置しy1方向に沿って延在する辺544とを含む略矩形状である。換言すれば、配線基板530は、x1方向に沿って延在し互いに向かい合って位置する辺541及び辺542と、y1方向に沿って延在し互いに向かい合って位置する辺543及び辺544とを含む。
【0151】
そして、駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bは、配線基板530において、x1方向に沿って-x1側から+x1側に向かい駆動回路51a、駆動回路51b、駆動回路52a、駆動回路52bの順に設けられている。
【0152】
具体的には、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれは、前述の通り集積回路500、トランジスターM1,M2、コイルL1を含む。そして、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれにおいて、トランジスターM1とトランジスターM2とがx1方向に沿って-x1側から+x1側に向かいトランジスターM1、トランジスターM2の順に並設され、並設されたトランジスターM1,M2の-y1側に集積回路500が位置し、並設されたトランジスターM1,M2の+y1側にコイルL1が位置している。すなわち、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれにおいて集積回路500、x1方向に沿って並設されたトランジスターM1,M2、及びコイルL1は、y1方向に沿って-y1側から+y1側に向かい集積回路500、x1方向に沿って並設されたトランジスターM1,M2、コイルL1の順に並んで設けられている。
【0153】
また、駆動回路51a,51b,52a,52bは、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2は、x1方向に沿って並設されるように位置している。具体的には、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2は、x1方向に沿って-x1側から+x1側に向かい駆動回路51aに含まれるトランジスターM1、駆動回路51aに含まれるトランジスターM2、駆動回路51bに含まれるトランジスターM1、駆動回路51bに含まれるトランジスターM2、駆動回路52aに含まれるトランジスターM1、駆動回路52aに含まれるトランジスターM2、駆動回路52bに含まれるトランジスターM1、駆動回路52bに含まれるトランジスターM2の順に並んで位置している。
【0154】
この場合において、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1の少なくとも一部及びトランジスターM2の少なくとも一部と、駆動回路51bに含まれるトランジスターM1の少なくとも一部及びトランジスターM2の少なくとも一部と、駆動回路52aに含まれるトランジスターM1の少なくとも一部及びトランジスターM2の少なくとも一部と、駆動回路52bに含まれるトランジスターM1の少なくとも一部及びトランジスターM2の少なくとも一部とは、x1方向に沿った仮想直線αと重なるように位置している。換言すれば、仮想直線αは、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2の全てと重なる直線である。
【0155】
また、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500は、x1方向に沿って並設されている。具体的には、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500は、x1方向に沿って-x1側から+x1側に向かい駆動回路51aに含まれる集積回路500、駆動回路51bに含まれる集積回路500、駆動回路52aに含まれる集積回路500、駆動回路52bに含まれる集積回路500の順に並んで位置している。
【0156】
この場合において、駆動回路51aに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、駆
動回路51bに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、駆動回路52aに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、駆動回路52bに含まれる集積回路500の少なくとも一部とは、x1方向に沿った仮想直線βと重なるように位置している。換言すれば、仮想直線βは、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の全てと重なる直線である。
【0157】
すなわち、配線基板530において、駆動回路51a,51b,52a,52bは、それぞれに含まれるトランジスターM1,M2がx1方向に沿って延在する仮想直線αに重なり、それぞれに含まれる集積回路500がx1方向に沿って延在する仮想直線βに重なるようにx1方向に沿って-x1側から+x1側に向かい駆動回路51a、駆動回路51b、駆動回路52a、駆動回路52bの順に設けられている。
【0158】
また、図15に示すように配線基板530には、面531と面532とを貫通する貫通孔551,552,553,561,562が形成されている。
【0159】
貫通孔551は、少なくとも一部が仮想直線αと重なり、仮想直線αに沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2の-x1側に位置している。また、貫通孔553は、少なくとも一部が仮想直線αと重なり、仮想直線αに沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2の+x1側に位置している。すなわち、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2と貫通孔551,553は仮想直線αに沿って並設され、仮想直線αが延在するx1方向と直交するy1方向に沿って見た場合に貫通孔551と貫通孔553との間に駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2が位置する。
【0160】
貫通孔552は、少なくとも一部が仮想直線βと重なり、仮想直線βに沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の内、駆動回路51bに含まれる集積回路500と駆動回路52aに含まれる集積回路500との間に位置している。すなわち、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500と貫通孔552は仮想直線βに沿って位置し、仮想直線βが延在するx1方向と直交するy1方向に沿って見た場合に貫通孔552は、駆動回路51bに含まれる集積回路500と、駆動回路52aに含まれる集積回路500との間に位置している。
【0161】
貫通孔561は、少なくとも一部が仮想直線βと重なり、仮想直線βに沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の-x1側に位置している。また、貫通孔562は、少なくとも一部が仮想直線βと重なり、仮想直線βに沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の+x1側に位置している。すなわち、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500と貫通孔561,562とは仮想直線βに沿って位置し、仮想直線βが延在するx1方向と直交するy1方向に沿って見た場合に貫通孔561と貫通孔562との間に駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500が位置している。
【0162】
以上のように、配線基板530には、駆動信号COMA1を出力する駆動回路51aと、駆動信号COMB1を出力する駆動回路51bと、駆動信号COMA2を出力する駆動回路52aと、駆動信号COMB2を出力する駆動回路52bとが配置されている。そして、配線基板530には、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに入力される基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2と、駆動回路51a,51b,52a,
52bのそれぞれが出力する駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2が伝搬する。
【0163】
以上のように構成された駆動信号出力部G5は、配線基板530の辺541,542が、X方向に沿って辺541が-Y側、辺542が+Y側となるように延在し、辺543,544が、X方向に沿って辺543が-X側、辺544が+X側となるように延在している。すなわち、ヘッドユニット20において、配線基板530は、図15に示すx1方向が図10等に示すX方向に対応し、y1方向が図10等に示すY方向に対応するように位置している。そして、駆動信号出力部G5は、コネクター524を介して入力される基駆動信号dA1,dB1,dA2,dB2に基づいて、配線基板530に設けられた駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bが駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を生成し、生成した駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を、コネクター524を介して吐出制御部G4が有する配線基板420に出力する。
【0164】
図10及び図11に戻り、放熱部G6は、駆動信号出力部G5の-Z側に位置しヒートシンク610と、複数の弾性放熱体770と、複数の弾性放熱体780とを含む。
【0165】
複数の弾性放熱体770,780は、駆動信号出力部G5とヒートシンク610との間に位置している。具体的には、複数の弾性放熱体770は、駆動信号出力部G5とヒートシンク610との間において、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応して設けられ、複数の弾性放熱体780は、駆動信号出力部G5とヒートシンク610との間において、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応して設けられている。すなわち、放熱部G6には、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する4個の弾性放熱体770と、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する4個の弾性放熱体780とが含まれる。
【0166】
ここで、本実施形態では、複数の弾性放熱体770は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対毎に共通に設けられているとして説明を行うが、複数の弾性放熱体770は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2毎に個別設けられていてもよい。すなわち、放熱部G6は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とに個別に対応する8個の弾性放熱体770を含んでもよい。
【0167】
ここで、複数の弾性放熱体770,780は、いずれも難燃性及び電気絶縁性を有するゲル状であり、好ましくは、シリコーンゲルで構成されている。なお、ヘッドユニット20における複数の弾性放熱体770,780の詳細については後述する。
【0168】
次に放熱部G6に含まれるヒートシンク610の構造について図16図21を用いて説明する。ここで、図16図21には、互いに直交するx2方向、y2方向、及びz2方向を示す矢印を示している。また、以下の説明において、x2方向、y2方向、及びz2方向に沿った向きを特定する場合、x2方向を示す矢印の先端側を+x2側、起点側を-x2側と称し、y2方向を示す矢印の先端側を+y2側、起点側を-y2側と称し、z2方向を示す矢印の先端側を+z2側、起点側を-z2側と称する場合がある。
【0169】
図16は、ヒートシンク610を-z2側から見た場合の図である。図17は、ヒートシンク610を+x2側から見た場合の図である。図18は、ヒートシンク610を-x2側から見た場合の図である。図19は、ヒートシンク610を+y2側から見た場合の図である。図20は、ヒートシンク610を-y2側から見た場合の図である。図21は、ヒートシンク610を+z2側から見た場合の図である。すなわち、図16図21は、ヒートシンク610の六面図に相当する。
【0170】
図16図21に示すように、ヒートシンク610は、基部620と、複数のフィン部630と、複数の突起部670,680と、固定部651,652,653と、基準ピン661,662と、を含む。
【0171】
基部620は、x2方向に沿って延在する辺621と、y2方向において辺621と向かい合って位置し、辺621の+y2側に位置する辺622と、辺621及び辺622の双方と交差し辺621及び辺622よりも短い複数の短辺とを含み、x2方向とy2方向とで構成される平面に沿って延在する板状の構成である。
【0172】
複数のフィン部630は、基部620の-z2側に位置する板状の構成であり、複数のフィン部630のそれぞれの+z2側の端部が基部620の-z2側の面に接続された状態で、板状を構成する面の法線がy2方向に沿った方向となるようにy2方向に沿って並んで位置している。換言すれば、複数のフィン部630は、面方向が基部620と略垂直となるように立設し、y2方向に沿って並設されている。
【0173】
複数の突起部670は、基部620の+z2側の面において、x2方向に沿って延在する基部620の辺622に沿って並設されている。具体的には、複数の突起部670は、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応して設けられている。すなわち、ヒートシンク610は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する4個の突起部670を含む。
【0174】
また、複数の突起部680は、基部620の+z2側の面であって、x2方向に沿って並設される複数の突起部670の-y2側においてx2方向に沿って延在する基部620の辺621に沿って並設されている。具体的には、複数の突起部680は、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応して設けられている。すなわち、ヒートシンク610は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する4個の突起部680を含む。
【0175】
そして、複数の突起部670の内、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する突起部670と、複数の突起部680の内、駆動信号出力部G5が有する駆動信号出力回路50に含まれる駆動回路51aに含まれる集積回路500に対応する突起部680とは、y2方向に沿って並設され、同様に、複数の突起部670の内、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する突起部670と、複数の突起部680の内、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する突起部680とは、y2方向に沿って並設されている。
【0176】
また、図21に示すように、複数の突起部670が基部620の+z2側の面においてx2方向に沿って延在する基部620の辺622に沿って並設されている。換言すれば、
ヒートシンク610において、複数の突起部670のそれぞれの間には、凹部870が形成されている。同様に、複数の突起部680が基部620の+z2側の面においてx2方向に沿って延在する基部620の辺621に沿って並設されている。換言すれば、ヒートシンク610において、複数の突起部680のそれぞれの間には、凹部880が形成されている。また、基部620の+z2側の面においてy2方向に沿って並設されている駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する複数の突起部670と、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する突起部680とは、y2方向に沿って並設されている。換言すれば、ヒートシンク610において、複数の突起部680のそれぞれと、複数の突起部670のそれぞれとの間には、凹部890が形成されている。
【0177】
すなわち、ヒートシンク610は、複数の突起部670のそれぞれの間に位置する複数の凹部870と、複数の突起部680のそれぞれの間に位置する複数の凹部880と、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対に対応する突起部670と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する突起部680との間に位置する複数の凹部890と、を含む。
【0178】
なお、本実施形態では、複数の突起部670は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2を含むトランジスター対毎に共通に設けられているとして説明を行うが、複数の突起部670は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2毎に個別に設けられていてもよい。すなわち、ヒートシンク610は、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とに個別に対応する8個の突起部670と、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とに個別に対応する8個の突起部670の間に形成された7個の凹部880とを含んでもよい。
【0179】
固定部651,652,653は、基部620の+z2側の面において、x2方向に沿って延在する基部620の辺622に沿って固定部651,653が並設され、x2方向に沿って延在する基部620の辺622に沿って並設されている固定部651,653よりも辺621側に固定部652が位置している。具体的には、固定部651,653は、基部620の+z2側の面において、x2方向に沿って延在する基部620の辺622に沿って並設されている複数の突起部670とともに辺622に沿って並設され、固定部652は、x2方向に沿って延在する基部620の辺621に沿って並設されている複数の突起部680とともに辺621に沿って並設されている。
【0180】
基準ピン661,662は、基部620の+z2側の面において、x2方向に沿って延在する基部620の辺621に沿って並設されている。具体的には、基準ピン661,662は、x2方向に沿って延在する基部620の辺621に沿って並設されている複数の突起部680、及び固定部652とともに、辺621に沿って並設されている。
【0181】
以上のように構成されたヒートシンク610において、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662は、例えば、アルミニウム、鉄、銅などの熱伝導性に優れた金属が用いられる。この場合において、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662は、互いに異なる構成であってもよいが、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662は、同一の材質であることが
好ましい。
【0182】
基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662の少なくともいずれかを異なる物質で構成した場合、物質間における熱膨張率等の物性の違いに起因して、ヒートシンクに意図しない歪が生じ、その結果、ヒートシンク610における放熱特性が低下するおそれがある。これに対して、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662を同一の材質とすることで、構成間において物性に違いが生じるおそれが低減し、その結果、物性の違いに起因してヒートシンク610における放熱特性が低下するおそれが低減される。
【0183】
また、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662は、溶接等の接続手法により互いに接続されていてもよいが、ヒートシンク610では、1個の材料から削り出されることで、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662を形成する所謂切削加工や、所定の金型を用いて、基部620、複数のフィン部630、複数の突起部670,680、固定部651,652,653、及び基準ピン661,662を形成するダイキャスト法により製造される。
【0184】
溶接等の接続手法により互いに接続されている場合、当該接続部において、熱抵抗等の物性に変化が生じ、その結果、ヒートシンク610の一部に熱が集中し、ヒートシンク610における放熱特性が低下するおそれがある。これに対して、ヒートシンク610を1個の材料から加工し形成することで、ヒートシンク610の一部に熱が集中するおそれが低減することができ、ヒートシンク610における放熱特性が低下するおそれが低減される。
【0185】
以上のように放熱部G6は、配線基板530に固定されたヒートシンク610と、配線基板530とヒートシンク610との間に位置する複数の弾性放熱体770,780を有する。そして、ヒートシンク610は、配線基板530に固定されることで、配線基板530に設けられた駆動信号出力回路50で生じた熱を複数の弾性放熱体770,780を介して放出する。
【0186】
ここで、配線基板530に固定されるヒートシンク610の固定方法の具体例について図22図25を用いて説明する。なお、図22図25の説明において、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する複数の弾性放熱体770、及び複数の突起部670の内、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する弾性放熱体770を弾性放熱体771と称し、突起部670を突起部671と称する場合がある。同様に、複数の弾性放熱体770、及び複数の突起部670の内、駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する弾性放熱体770を弾性放熱体772、突起部670を突起部672と称し、駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する弾性放熱体770を弾性放熱体773、突起部670を突起部673と称し、駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する弾性放熱体770を弾性放熱体774、突起部670を突起部674と称する場合がある。
【0187】
また、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500に対応する複数の弾性放熱体780、及び複数の突起部680の内、駆動回路51aに含まれる集積回路500に対応する弾性放熱体780を弾性放熱体781と称し、突起部6
80を突起部681と称する場合がある。同様に、複数の弾性放熱体780、及び複数の突起部680の内、駆動回路51bに含まれる集積回路500に対応する弾性放熱体780を弾性放熱体782、突起部680を突起部682と称し、駆動回路52aに含まれる集積回路500に対応する弾性放熱体780を弾性放熱体783、突起部680を突起部683と称し、駆動回路52bに含まれる集積回路500に対応する弾性放熱体780を弾性放熱体784、突起部680を突起部684と称する場合がある。
【0188】
そして、以下の説明において、突起部671と突起部672との間に位置する凹部870を凹部871と称し、突起部672と突起部673との間に位置する凹部870を凹部872と称し、突起部673と突起部674との間に位置する凹部870を凹部873と称する場合がある。また、突起部681と突起部682との間に位置する凹部880を凹部881と称し、突起部682と突起部683との間に位置する凹部880を凹部882と称し、突起部683と突起部684との間に位置する凹部880を凹部883と称する場合がある。また、突起部671と突起部681との間に位置する凹部890を凹部891と称し、突起部672と突起部682との間に位置する凹部890を凹部892と称し、突起部673と突起部683との間に位置する凹部890を凹部893と称し、突起部674と突起部684との間に位置する凹部890を凹部894と称する場合がある。
【0189】
図22は、配線基板530に固定されるヒートシンク610の固定方法の具体例を説明するための図である。図23は、図22に示すA-a断面図である。また、図24は、図22に示すB-b断面図である。また、図25は、図22に示すC-c断面図である。ここで、図22には、配線基板530、及び配線基板530の面531に設けられている駆動信号出力回路50に含まれる各構成を示すととともに、配線基板530に固定されるヒートシンク610を破線で示している。
【0190】
図22及び図24に示すように、ヒートシンク610が有する基準ピン661は配線基板530の貫通孔561に挿通され、基準ピン662は配線基板530の貫通孔562に挿通される。これにより、配線基板530に対するヒートシンク610の配置が定まる。すなわち、配線基板530に対してヒートシンク610が固定される固定位置は、配線基板530に形成された貫通孔561,562と、ヒートシンク610に含まれる基準ピン661,662によって規定される。
【0191】
そして、配線基板530が有する貫通孔561に基準ピン661が挿通され、貫通孔562に基準ピン662が挿通されることで、図22に示すように配線基板530を-Z側から+Z側に向かって視た配線基板530の平面視において、配線基板530に設けられた駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部671の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部672の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部673の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部674の少なくとも一部とが重なって位置する。
【0192】
そして、図23に示すように、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対とヒートシンク610が有する突起部671との間には、弾性放熱体771が位置し、駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対とヒートシンク610が有する突起部672との間には、弾性放熱体772
が位置し、駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対とヒートシンク610が有する突起部673との間には、弾性放熱体773が位置し、駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対とヒートシンク610が有する突起部674との間には、弾性放熱体774が位置している。
【0193】
すなわち、複数の弾性放熱体770の内の弾性放熱体771は、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2とに接触し、複数の弾性放熱体770の内の弾性放熱体772は、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2とに接触し、複数の弾性放熱体770の内の弾性放熱体773は、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2とに接触し、複数の弾性放熱体770の内の弾性放熱体774は、ヒートシンク610と駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2とに接触している。すなわち、ヒートシンク610が有する複数の突起部670,680は、ヒートシンク610に複数の弾性放熱体770,780が接触する接触部に相当する。
【0194】
また、この場合において、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の平面視における面積は、突起部671の平面視における面積よりも小さいことが好ましく、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の平面視における面積は、弾性放熱体771の平面視における面積よりも小さいことが好ましい。さらには、平面視において、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の全てが、突起部671と重なって位置することが好ましいく、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の全てが、弾性放熱体771と重なって位置することが好ましい。
【0195】
同様に、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の平面視における面積は、対応する突起部672,673,674の平面視における面積よりも小さいことが好ましく、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の平面視における面積は、対応する弾性放熱体772,773,774の平面視における面積よりも小さいことが好ましい。さらには、平面視において、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の全てが、平面視において、対応する突起部672,673,674と重なって位置することが好ましく、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の全てが、平面視において、対応する弾性放熱体772,773,774と重なって位置することが好ましい。
【0196】
すなわち、配線基板530の面531の法線方向であってZ方向に沿って見た場合の弾性放熱体771の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体772の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体773の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体774の面積は、配線基板530の面531の法線
方向に沿って見た場合の駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の面積よりも大きい。
【0197】
本実施形態におけるヘッドユニット20では、配線基板530が有する貫通孔561,562に、ヒートシンク610が有する基準ピン661,662が挿通されることで、配線基板530に固定されるヒートシンク610の固定位置を規定しているが、大きな熱を生じるおそれのある駆動信号出力回路50が設けられた配線基板530と、駆動信号出力回路50で生じた熱を放出するヒートシンク610とは、異なる構成であるが故に、わずかな位置ずれか生じる可能性がある。このような問題に対して、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体771,772,773,774の面積を、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる対応するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対の面積よりも大きくすることで、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる対応するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対で生じた熱を弾性放熱体771,772,773,774のそれぞれを介してヒートシンク610に効率よく伝導することが可能となり、その結果、配線基板530に対するヒートシンク610の固定位置に位置ずれが生じた場合であっても、駆動信号出力回路50で生じた熱を効率よく放出することができる。
【0198】
また、配線基板530が有する貫通孔561に基準ピン661が挿通され、貫通孔562に基準ピン662が挿通されることで、図22に示すように、配線基板530の平面視において、配線基板530に設けられた駆動回路51aに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部681の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路51bに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部682の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路52aに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部683の少なくとも一部とが重なって位置し、配線基板530に設けられた駆動回路52bに含まれる集積回路500の少なくとも一部と、ヒートシンク610が有する突起部684の少なくとも一部とが重なって位置する。
【0199】
そして、図24に示すように、駆動回路51aに含まれる集積回路500とヒートシンク610が有する突起部681との間には、弾性放熱体781が位置し、駆動回路51bに含まれる集積回路500とヒートシンク610が有する突起部682との間には、弾性放熱体782が位置し、駆動回路52aに含まれる集積回路500とヒートシンク610が有する突起部683との間には、弾性放熱体783が位置し、駆動回路52bに含まれる集積回路500とヒートシンク610が有する突起部684との間には、弾性放熱体784が位置している。
【0200】
すなわち、複数の弾性放熱体780の内の弾性放熱体781は、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれる集積回路500との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれる集積回路500とに接触し、複数の弾性放熱体780の内の弾性放熱体782は、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれる集積回路500との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれる集積回路500とに接触し、複数の弾性放熱体780の内の弾性放熱体783は、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれる集積回路500との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれる集積回路500とに接触し、複数の弾性放熱体780の内の弾性放熱体774は、ヒートシンク610と駆動回路52bに含まれる集積回路500との間に位置し、ヒートシンク610と駆動回路52bに含まれる集積回路500とに接触している。
【0201】
また、この場合において、駆動回路51aに含まれる集積回路500の平面視における面積は、突起部681の平面視における面積よりも小さいことが好ましく、駆動回路51aに含まれる集積回路500の平面視における面積は、弾性放熱体781の平面視における面積よりも小さいことが好ましい。さらには、平面視において、駆動回路51aに含まれる集積回路500の全てが、突起部681と重なって位置することが好ましいく、駆動回路51aに含まれる集積回路500の全てが、弾性放熱体781と重なって位置することが好ましい。
【0202】
同様に、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の平面視における面積は、対応する突起部682,683,684の平面視における面積よりも小さいことが好ましく、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の平面視における面積は、対応する弾性放熱体782,783,784の平面視における面積よりも小さいことが好ましい。さらには、平面視において、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の全てが、平面視において、対応する突起部682,683,684と重なって位置することが好ましく、駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500の全てが、平面視において、対応する弾性放熱体782,783,784と重なって位置することが好ましい。
【0203】
すなわち、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体781の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51aに含まれる集積回路500の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体782の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51bに含まれる集積回路500の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体783の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路52aに含まれる集積回路500の面積よりも大きく、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体784の面積は、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路52bに含まれる集積回路500の面積よりも大きい。
【0204】
以上のように、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の弾性放熱体781,782,783,784の面積を、配線基板530の面531の法線方向に沿って見た場合の駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる対応する集積回路500の面積よりも大きくすることで、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる対応する集積回路500で生じた熱を弾性放熱体781,782,783,784のそれぞれを介してヒートシンク610に効率よく伝導することが可能となり、その結果、配線基板530に対するヒートシンク610の固定位置に位置ずれが生じた場合であっても、駆動信号出力回路50で生じた熱を効率よく放出することができる。
【0205】
ここで、本実施形態におけるヘッドユニット20において、配線基板530とヒートシンク610との間には、ヒートシンク610による熱の放出を補助するための複数の空間が形成されている。具体的には、図23に示すように、配線基板530とヒートシンク610との間には、駆動回路51aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体771、及び突起部671と、駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体772、及び突起部672とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部871が含まれる空間と、駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体772、及び突起部672と、駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体773、及び突起部673とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部872が含まれる空間と、駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体773、及び突起部673と、駆動回路52bが有するトランジスターM1,
M2からなるトランジスター対、弾性放熱体774、及び突起部674とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部873が含まれる空間と、が形成されている。
【0206】
また、図24に示すように、配線基板530とヒートシンク610との間には、駆動回路51aが有する集積回路500、弾性放熱体781、及び突起部681と、駆動回路51bが有する集積回路500、弾性放熱体782、及び突起部682とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部881が含まれる空間と、駆動回路51bが有する集積回路500、弾性放熱体782、及び突起部682と、駆動回路52aが有する集積回路500、弾性放熱体783、及び突起部683とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部882が含まれる空間と、駆動回路52aが有する集積回路500、弾性放熱体783、及び突起部683と、駆動回路52bが有する集積回路500、弾性放熱体784、及び突起部684とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部883が含まれる空間と、が形成されている。
【0207】
また、図25に示すように、配線基板530とヒートシンク610との間には、駆動回路51bが有する集積回路500、弾性放熱体782、及び突起部682と、トランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体772、及び突起部672とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部892が含まれる空間が形成されている。ここで、図示を省略するが配線基板530とヒートシンク610との間には、図25と同様に、駆動回路51aが有する集積回路500、弾性放熱体781、及び突起部681と、トランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体771、及び突起部671とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部891が含まれる空間が形成され、駆動回路52aが有する集積回路500、弾性放熱体783、及び突起部683と、トランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体773、及び突起部673とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部893が含まれる空間が形成され、駆動回路52bが有する集積回路500、弾性放熱体784、及び突起部684と、トランジスターM1,M2からなるトランジスター対、弾性放熱体774、及び突起部674とで周囲を囲まれ少なくとも一部に凹部894が含まれる空間が形成されている。
【0208】
すなわち、ヒートシンク610は、凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894を含む。そして、凹部871は、弾性放熱体771が接触する接触部に相当する突起部671と弾性放熱体772が接触する接触部に相当する突起部672との間に位置する。凹部872は、弾性放熱体772が接触する接触部に相当する突起部672と弾性放熱体773が接触する接触部に相当する突起部673との間に位置する。凹部873は、弾性放熱体773が接触する接触部に相当する突起部673と弾性放熱体774が接触する接触部に相当する突起部674との間に位置する。凹部881は、弾性放熱体781が接触する接触部に相当する突起部681と弾性放熱体782が接触する接触部に相当する突起部682との間に位置する。凹部882は、弾性放熱体782が接触する接触部に相当する突起部682と弾性放熱体783が接触する接触部に相当する突起部683との間に位置する。凹部883は、弾性放熱体783が接触する接触部に相当する突起部683と弾性放熱体784が接触する接触部に相当する突起部684との間に位置する。凹部891は、弾性放熱体771が接触する接触部に相当する突起部681と弾性放熱体781が接触する接触部に相当する突起部681との間に位置する。凹部892は、弾性放熱体772が接触する接触部に相当する突起部682と弾性放熱体782が接触する接触部に相当する突起部682との間に位置する。凹部893は、弾性放熱体773が接触する接触部に相当する突起部683と弾性放熱体783が接触する接触部に相当する突起部683との間に位置する。凹部894は、弾性放熱体774が接触する接触部に相当する突起部684と弾性放熱体784が接触する接触部に相当する突起部684との間に位置する。
【0209】
そして、本実施形態におけるヘッドユニット20において、配線基板530とヒートシ
ンク610との間には、ヒートシンク610は、凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894を含む空間が形成される。この場合において、図21に示すように、ヒートシンク610において、凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894は互いに連通するとともに、基部620の端部に接続している。すなわち、本実施形態におけるヘッドユニット20において、配線基板530とヒートシンク610との間には、凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894を含む互いに連通するとともに、ヘッドユニット20の外部と接続された空間が形成される。
【0210】
以上のように構成されたヘッドユニット20では、ヒートシンク610が凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894を含むことで、ヒートシンク610の表面積が増加し、ヒートシンク610における放熱効率が向上する。さらに、配線基板530とヒートシンク610との間に形成された凹部871,872,873,881,882,883,891,892,893,894を含む空間に流れ込む気流により、ヒートシンク610における放熱効率が向上する。すなわち、ヘッドユニット20を大型化することなく、ヒートシンク610が固定された配線基板530に配置された駆動回路51a,51b,52a,52bで生じた熱の放熱効率が向上する。
【0211】
また、配線基板530が有する貫通孔561に基準ピン661が挿通され、貫通孔562に基準ピン662が挿通されることで、図22に示すように、配線基板530の平面視において、配線基板530に設けられた貫通孔551と、ヒートシンク610が有する固定部651とが重なって位置し、配線基板530に設けられた貫通孔552と、ヒートシンク610が有する固定部652とが重なって位置し、配線基板530に設けられた貫通孔553と、ヒートシンク610が有する固定部653とが重なって位置する。
【0212】
そして、図23及び図24に示すように固定部651には、貫通孔551を介して固定部材751が取り付けられ、固定部652には、貫通孔552を介して固定部材752が取り付けられ、固定部653には、貫通孔553を介して固定部材753が取り付けられる。この固定部材751,752,753は、例えばネジである。そして、固定部材751,752,753のそれぞれが貫通孔551,552,553を介して固定部651,652,653に締め付けられることで、配線基板530とヒートシンク610とが締め付けられる。これにより配線基板530にヒートシンク610が固定される。
【0213】
すなわち、配線基板530には、ヒートシンク610が固定される貫通孔551,552,553を有し、貫通孔551,552,553を挿通する固定部材751,752,753によって、ヒートシンク610が配線基板530に固定される。
【0214】
ここで、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500と、トランジスターM1,M2とは、備える端子数や、入力又は出力する信号の電圧値及び電流値が異なる。そのため、集積回路500と、トランジスターM1,M2との大きさは異なる。すなわち、駆動回路51aに含まれる集積回路500の配線基板530における面531の法線方向における長さと、駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2の配線基板530における面531の法線方向における長さとは異なり、駆動回路51bに含まれる集積回路500の配線基板530における面531の法線方向における長さと、駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2の配線基板530における面531の法線方向における長さとは異なり、駆動回路52aに含まれる集積回路500の配線基板530における面531の法線方向における長さと、駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2の配線基板530における面531の法線方向における長さとは異なり、駆動回路52bに含まれる集積回路500の配線基板530における面53
1の法線方向における長さと、駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2の配線基板530における面531の法線方向における長さとは異なる。
【0215】
そして、ヒートシンク610が配線基板530に固定されるに際して、ヒートシンク610は、配線基板530の貫通孔551,552,553を挿通して固定部651,652,653に締め付けられる固定部材751,752,753で配線基板530に締め付けられることで固定される。この場合において、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対との間に位置する弾性放熱体771は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられることで変形し、同様に、ヒートシンク610と駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2からなるトランジスター対との間に位置する弾性放熱体772,773,774は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられることで変形する。また、ヒートシンク610と駆動回路51aに含まれる集積回路500との間に位置する弾性放熱体781は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられることで変形し、同様にヒートシンク610と駆動回路51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500との間に位置する弾性放熱体782,783,784は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられることで変形する。
【0216】
図26は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられることで変形する複数の弾性放熱体770,780について説明するための図である。ここで、図26は、ヒートシンク610が配線基板530に締め付けられている状態を模式的に示す図である。図26では、本実施形態におけるヒートシンク610に相当する構成をヒートシンクHSとして図示し、固定部651,652,653に相当する構成を固定部FPとして図示し、複数の突起部670,680に相当する構成を突起部PSとして図示し、配線基板530に相当する構成を配線基板PBとして図示し、集積回路500、及びトランジスターM1,M2に相当する構成を電子部品EPとして図示し、複数の弾性放熱体770,780に相当する構成を弾性放熱体HGとして図示し、固定部材751,752,753に相当する構成を固定部材FEとして図示している。また、図26には「(1)ヒートシンクHSが配線基板PBに締め付けられる前」と「(2)ヒートシンクHSが配線基板PBに締め付けられた後」とを図示している。
【0217】
図26に示すように、ヒートシンクHSが配線基板PBに締め付けられる前における突起部PSのZ方向に沿った長さと、電子部品EPのZ方向に沿った長さと、弾性放熱体HGのZ方向に沿った長さとの和である長さh1は、ヒートシンクHSが配線基板PBに締め付けられた後における突起部PSのZ方向に沿った長さと、電子部品EPのZ方向に沿った長さと、弾性放熱体HGのZ方向に沿った長さとの和である長さh2よりも長い。すなわち、ヒートシンクHSが配線基板PBに締め付けられることにより、弾性を有する弾性放熱体HGのZ方向に沿った長さが、長さt1から長さt2とΔtだけ変形する。
【0218】
換言すれば、ヒートシンクHSが配線基板PBに固定される前の弾性放熱体HGの法線方向であるZ方向に沿った長さt1は、ヒートシンクHSが配線基板PBに固定された後の弾性放熱体HGの法線方向であるZ方向の長さt2よりも大きい。すなわち、本実施形態において、ヒートシンク610が配線基板530に固定される前の弾性放熱体771,772,773,774を含む複数の弾性放熱体770の内の少なくとも1個の法線方向であるZ方向に沿った長さは、ヒートシンク610が配線基板530に固定された後の弾性放熱体771,772,773,774を含む複数の弾性放熱体770の内の少なくとも1個の法線方向であるZ方向の長さよりも大きく、ヒートシンク610が配線基板530に固定される前の弾性放熱体781,782,783,784を含む複数の弾性放熱体780の内の少なくとも1個の法線方向であるZ方向に沿った長さは、ヒートシンク610が配線基板530に固定された後の弾性放熱体781,782,783,784を含む
複数の弾性放熱体780の内の少なくとも1個の法線方向であるZ方向の長さよりも大きい。
【0219】
これにより、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500と複数の弾性放熱体770,780との接触の信頼が向上するとともに、複数の弾性放熱体770,780とヒートシンク610との接触の信頼性が向上する。その結果、弾性放熱体771,781を介した駆動回路51aに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500の放熱の信頼性、弾性放熱体772,782を介した駆動回路51bに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500の放熱の信頼性、弾性放熱体773,783を介した駆動回路52aに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500の放熱の信頼性、及び弾性放熱体774,784を介した駆動回路52bに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500の放熱の信頼性が向上する。
【0220】
特に、本実施形態に示すような駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2と、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500との配線基板530における面531の法線方向における長さが異なる場合、配線基板530にヒートシンク610を固定した場合であっても、ヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2とが十分に接触せず、又はヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500とが十分に接触しないおそれがあり、その結果、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500で生じた熱をヒートシンク610を介して十分に放出できないおそれがあった。
【0221】
このような問題に対して、ヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2との間に位置する複数の弾性放熱体770の法線方向に沿った長さが、ヒートシンク610が配線基板530に固定された後よりもヒートシンク610が配線基板530に固定される前が大きくなり、ヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500との間に位置する複数の弾性放熱体780の法線方向に沿った長さが、ヒートシンク610が配線基板530に固定された後よりもヒートシンク610が配線基板530に固定される前が大きくなるようにヒートシンク610を配線基板530に固定することで、ヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2とが複数の弾性放熱体770を介して熱的に接続され、ヒートシンク610と駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれる集積回路500とが複数の弾性放熱体780を介して熱的に接続される。その結果、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500のヒートシンク610による放熱の信頼性が向上する。
【0222】
以上のように、複数の弾性放熱体770,780は、変形することでトランジスターM1,M2、及び集積回路500との密着性を高め、その結果、トランジスターM1,M2、及び集積回路500で生じた熱のヒートシンク610への伝導性を高める。このような複数の弾性放熱体770,780は、高い熱伝導性を有することが好ましく、具体的には、複数の弾性放熱体770,780の熱伝導率は、ホットディスク法で計測した場合に11.0W/m・K以上であって、ASTM D5470に準拠した方法で計測した場合に17.0W/m・K以上であることが好ましい。これにより、トランジスターM1,M2、及び集積回路500で生じた熱を十分にヒートシンク610に伝導することができる。
【0223】
また、変形することでトランジスターM1,M2、及び集積回路500との密着性を高
める複数の弾性放熱体770,780は、トランジスターM1,M2、及び集積回路500との密着性を高めるが故に、高い伸縮性を有することが好ましく、具体的には、複数の弾性放熱体770,780の伸縮性は、JIS K 6251に準拠した方法で計測した場合に40%以上であることが好ましい。これにより、複数の弾性放熱体770,780におけるトランジスターM1,M2、及び集積回路500の形状に対する追従性が高まり、その結果、複数の弾性放熱体770,780におけるトランジスターM1,M2、及び集積回路500との密着性をさらに高めることができる。
【0224】
さらに、複数の弾性放熱体770,780は、それぞれが大きな発熱が生じる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれが有するトランジスターM1,M2、及び集積回路500の熱をヒートシンク610に伝搬する。そのため、複数の弾性放熱体770,780は、トランジスターM1,M2、及び集積回路500に対して十分に耐えうるように高い難燃性を有することが求められる。また、複数の弾性放熱体770,780は、変形することでトランジスターM1,M2、及び集積回路500と密着し、これによりトランジスターM1,M2、及び集積回路500で生じた熱をヒートシンク610に伝搬する。しかしながら、複数の弾性放熱体770,780は、変形することで配線基板530に形成されている導電部と接触するおそれがあり、また、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれが有するトランジスターM1,M2、及び集積回路500で生じた熱が伝導されるヒートシンク610は、高い熱伝導性を有するアルミニウム、鉄、銅など金属が用いられる。そのため、複数の弾性放熱体770,780には、高い絶縁性能が求められる。すなわち、複数の弾性放熱体770,780は、難燃性及び電気絶縁性を有するとともに、変形することでトランジスターM1,M2、及び集積回路500と密着するゲル状である。
【0225】
これにより、複数の弾性放熱体770,780は、それぞれが、大きな発熱が生じる駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれが有するトランジスターM1,M2、及び集積回路500の熱を効率よくヒートシンク610に伝搬することができるとともに、ヒートシンク610を介した意図しない短絡異常や、放熱異常が生じるおそれが低減され、その結果、駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500のヒートシンク610による放熱の信頼性がさらに向上する。
【0226】
ここで、複数の弾性放熱体770,780の難燃性は、UL-94V-0以上であることが好ましい。これにより、例えば駆動回路51a,51b,52a,52bのそれぞれに含まれるトランジスターM1,M2、及び集積回路500に異常発熱が生じた場合であっても、当該発熱に起因した異常が、液体吐出装置1、及びヘッドユニット20に含まれる他の構成に波及するおそれを低減することができる。
【0227】
また、複数の弾性放熱体770,780の絶縁性能としては、複数の弾性放熱体770,780が配線基板530に接触している場合の配線基板530の法線方向における絶縁破壊電圧が、JIS K 6249に準拠した方法で計測した場合に10kV/mm以上であって、配線基板530の法線方向における体積抵抗率が、JIS K 6249に準拠した方法で計測した場合に1×10^11Ω・m以上であることが好ましい。これにより、複数の弾性放熱体770,780が変形することで配線基板530に形成されている導電部と接触した場合であっても当該導電部とヒートシンク610とが短絡するおそれが低減し、その結果、ヒートシンク610の電位が意図しない電位となることに起因して液体吐出装置1、及びヘッドユニット20に動作異常が生じるおそれが低減される。すなわち、液体吐出装置1、及びヘッドユニット20の動作の安定性が向上する。
【0228】
以上のように構成された液体吐出装置1が有するヘッドユニット20において、駆動信
号COMB1が第1駆動信号の一例であり、駆動信号COMB1に基づく駆動信号VOUTにより駆動される吐出ヘッド100a,100b,100cのいずれかに含まれる複数の圧電素子60の集まりが第1駆動素子群の一例である。そして、駆動信号COMB1を出力する駆動回路51bが第1駆動回路の一例であり、第1駆動回路に相当する駆動回路51bに含まれる集積回路500が第1集積回路の一例であり、第1集積回路に相当する集積回路500に入力される基駆動信号dB1が第1基駆動信号の一例である。そして、第1集積回路に相当する集積回路500が出力するゲート信号Hgdが第1ゲート信号の一例であり、第1ゲート信号に相当するゲート信号Hgdにより駆動されるトランジスターM1が第1トランジスターの一例である。そして、第1トランジスターに相当するトランジスターM1を含む増幅回路550が第1増幅回路の一例であり、第1増幅回路に相当する増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsを平滑する平滑回路560が第1平滑回路の一例である。
【0229】
また、ヘッドユニット20において、駆動信号COMA2が第2駆動信号の一例であり、駆動信号COMA2に基づく駆動信号VOUTにより駆動される吐出ヘッド100d,100e,100fのいずれかに含まれる複数の圧電素子60の集まりが第2駆動素子群の一例である。そして、駆動信号COMA2を出力する駆動回路52aが第2駆動回路の一例であり、第2駆動回路に相当する駆動回路52aに含まれる集積回路500が第2集積回路の一例であり、第2集積回路に相当する集積回路500に入力される基駆動信号dA2が第2基駆動信号の一例である。そして、第2集積回路に相当する集積回路500が出力するゲート信号Hgdが第2ゲート信号の一例であり、第2ゲート信号に相当するゲート信号Hgdにより駆動されるトランジスターM1が第2トランジスターの一例である。そして、第2トランジスターに相当するトランジスターM1を含む増幅回路550が第2増幅回路の一例であり、第2増幅回路に相当する増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsを平滑する平滑回路560が第2平滑回路の一例である。
【0230】
また、駆動回路51a,51b,52a,52bを含む駆動信号出力回路50が設けられ、駆動信号COMA1,COMB1,COMA2,COMB2を伝搬する配線基板530が基板の一例である。そして、配線基板530とヒートシンク610との間に位置する複数の弾性放熱体770,780が複数の熱伝導弾性体の一例であり、複数の熱伝導弾性体に相当する複数の弾性放熱体770,780の内、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれる集積回路500とに接触する弾性放熱体782が第1熱伝導弾性体の一例であり、ヒートシンク610と駆動回路51bに含まれるトランジスターM1とに接触する弾性放熱体772が第2熱伝導弾性体の一例であり、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれる集積回路500とに接触する弾性放熱体783が第3熱伝導弾性体の一例であり、ヒートシンク610と駆動回路52aに含まれるトランジスターM1とに接触する弾性放熱体773が第4熱伝導弾性体の一例である。
【0231】
また、弾性放熱体782が接触するヒートシンク610の突起部682が第1接触部の一例であり、弾性放熱体772が接触するヒートシンク610の突起部672が第2接触部の一例であり、弾性放熱体783が接触するヒートシンク610の突起部683が第3接触部の一例であり、弾性放熱体773が接触するヒートシンク610の突起部673が第4接触部の一例である。そして、ヒートシンク610において、突起部682と突起部672との間に位置する凹部892が第1凹部の一例であり、突起部683と突起部673との間に位置する凹部893が第2凹部の一例であり、突起部682と突起部683との間に位置する凹部882が第3凹部の一例であり、突起部672と突起部673との間に位置する凹部872が第4凹部の一例である。
【0232】
6.作用効果
以上のように構成された液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が有するヒートシン
ク610が、ヒートシンク610と駆動回路51bが有する集積回路500との間に位置する弾性放熱体782が接触する突起部682と、ヒートシンク610と駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対との間に位置する弾性放熱体772が接触する突起部672との間に位置する凹部892と、ヒートシンク610と駆動回路52aが有する集積回路500との間に位置する弾性放熱体783が接触する突起部683と、ヒートシンク610と駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対との間に位置する弾性放熱体773が接触する突起部673との間に位置する凹部893とを有する。これにより、ヒートシンク610を大型化することなく駆動回路51b,52aで生じた熱が放出されるヒートシンク610の表面積を大きくすることができ、その結果、ヒートシンク610における熱の放出効率が向上する。すなわち、ヘッドユニット20を大型化することなく、ヒートシンク610が固定された配線基板530に配置された駆動回路51b,52aで生じた熱の放熱効率が向上する。
【0233】
7.変形例
上述した実施形態の液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が有するヒートシンク610は、駆動回路51aが有する集積回路500に対応する突起部681と、駆動回路51bが有する集積回路500に対応する突起部682と、駆動回路52aが有する集積回路500に対応する突起部683と、駆動回路52bが有する集積回路500に対応する突起部684とが個別に形成されているとして説明を行ったが、突起部681、突起部682、突起部683、及び突起部684が一体に形成されていてもよい。すなわち、ヒートシンク610には、凹部881,882,883が形成されていなくてもよい。
【0234】
このようなヒートシンク610を備えたヘッドユニットであっても、駆動回路51aが有する集積回路500が弾性放熱体781を介して接触する接触部と駆動回路51aが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体771を介して接触する接触部との間に凹部891が形成され、駆動回路51bが有する集積回路500が弾性放熱体782を介して接触する接触部と駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体772を介して接触する接触部との間に凹部892が形成され、駆動回路52aが有する集積回路500が弾性放熱体783を介して接触する接触部と駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体773を介して接触する接触部との間に凹部893が形成され、駆動回路52bが有する集積回路500が弾性放熱体784を介して接触する接触部と駆動回路52bが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体774を介して接触する接触部との間に凹部894が形成されていることで、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0235】
また、同様にヘッドユニット20が有するヒートシンク610は、駆動回路51aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する突起部671と、駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する突起部672と、駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する突起部673と、駆動回路52bが有するトランジスターM1,M2からなるトランジスター対に対応する突起部674とが個別に形成されているとして説明を行ったが、突起部671、突起部672、突起部673、及び突起部684が一体に形成されていてもよい。すなわち、ヒートシンク610には、凹部871,872,873が形成されていなくてもよい。
【0236】
このようなヒートシンク610を備えたヘッドユニットであっても、駆動回路51aが有する集積回路500が弾性放熱体781を介して接触する接触部と駆動回路51aが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体771を介して接触する接触部との間に凹部891が形成され、駆動回路51bが有する集積回路500が弾性放熱体782を介して接触する接触部と駆動回路51bが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体772
を介して接触する接触部との間に凹部892が形成され、駆動回路52aが有する集積回路500が弾性放熱体783を介して接触する接触部と駆動回路52aが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体773を介して接触する接触部との間に凹部893が形成され、駆動回路52bが有する集積回路500が弾性放熱体784を介して接触する接触部と駆動回路52bが有するトランジスターM1,M2が弾性放熱体774を介して接触する接触部との間に凹部894が形成されていることで、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0237】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0238】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0239】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0240】
ヘッドユニットの一態様は、
第1駆動信号により駆動される第1駆動素子群及び第2駆動信号により駆動される第2駆動素子群を備え、前記第1駆動素子群及び前記第2駆動素子群の駆動に応じて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号を伝搬する基板と、
前記基板に配置され、前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記基板に配置され、前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記基板に固定されたヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に位置する複数の熱伝導弾性体と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1駆動信号の基となる第1基駆動信号に基づく第1ゲート信号を出力する第1集積回路と、前記第1ゲート信号により駆動される第1トランジスターを含む第1増幅回路と、前記第1増幅回路からの出力を平滑して前記第1駆動信号を出力する第1平滑回路とを有し、
前記第2駆動回路は、前記第2駆動信号の基となる第2基駆動信号に基づく第2ゲート信号を出力する第2集積回路と、前記第2ゲート信号により駆動される第2トランジスターを含む第2増幅回路と、前記第2増幅回路からの出力を平滑して前記第2駆動信号を出力する第2平滑回路とを有し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第1熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第2熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第1トランジスターとに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第3熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2集積回路との間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2集積回路とに接触し、
前記複数の熱伝導弾性体の内の第4熱伝導弾性体は、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとの間に位置し、前記ヒートシンクと前記第2トランジスターとに接触し、
前記ヒートシンクは、前記第1熱伝導弾性体が接触する第1接触部と前記第2熱伝導弾性体が接触する第2接触部との間に位置する第1凹部と、前記第3熱伝導弾性体が接触する第3接触部と、前記第4熱伝導弾性体が接触する第4接触部との間に位置する第2凹部
とを含む。
【0241】
このヘッドユニットによれば、第1駆動回路及び第2駆動回路が配置された基板と、基板に固定されたヒートシンクと、基板とヒートシンクとの間に位置する第1熱伝導弾性体、第2熱伝導弾性体、第3熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾性体と、を備える。そして、ヒートシンクには、基板にヒートシンクが固定された際に、第1集積回路に対応する第1熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第1接触部と、第1トランジスターに対応する第2熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第2接触部との間に第1凹部を有し、基板にヒートシンクが固定された際に、第2集積回路に対応する第3熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第3接触部と、第2トランジスターに対応する第4熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第4接触部との間に第2凹部を有する。この第1凹部、及び第2凹部により、基板にヒートシンクが固定された際に、第1熱伝導弾性体、第2熱伝導弾性体、第3熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾性体のそれぞれとヒートシンクとが接触する第1接触部、第2接触部、第3接触部、及び第4接触部の近傍におけるヒートシンクの表面積を大きくすることができる。その結果、ヒートシンクは、大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を効率よく放出できる。すなわち、ヘッドユニットが大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を効率よく放出できる。
【0242】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数の熱伝導弾性体は、難燃性、及び電気絶縁性を有するゲル状であってもよい。
【0243】
このヘッドユニットによれば、複数の熱伝導弾性体が、難燃性及び電気絶縁性であるが故に、複数の熱伝導弾性体を用いて第1駆動回路及び第2駆動回路の熱をヒートシンクに伝搬する場合であってもヘッドユニットの動作の信頼性が低下するおそれが低減するとともに、複数の熱伝導弾性体がゲル状であるが故に、複数の熱伝導弾性体における第1集積回路、第1トランジスター、第2集積回路、及び第2トランジスターの形状に対する追従性が向上し、複数の熱伝導弾性体と第1集積回路、第1トランジスター、第2集積回路、及び第2トランジスターとの接触の信頼性が向上する。その結果、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱をさらに効率よく放出できる。
【0244】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数の熱伝導弾性体は、シリコーンゲルであってもよい。
【0245】
このヘッドユニットによれば、難燃性及び電気絶縁性を有するゲル状であるシリコーンゲルを複数の熱伝導弾性体として用いることで、複数の熱伝導弾性体を用いて第1駆動回路及び第2駆動回路の熱をヒートシンクに伝搬する場合であってもヘッドユニットの動作の信頼性が低下するおそれが低減するとともに、複数の熱伝導弾性体と第1集積回路、第1トランジスター、第2集積回路、及び第2トランジスターとの接触の信頼性が向上し、基板に配置された第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱をヒートシンクによりさらに効率よく放出できる。
【0246】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記ヒートシンクは、前記第1接触部と前記第3接触部との間に位置する第3凹部を含んでもよい。
【0247】
このヘッドユニットによれば、第1集積回路に対応する第1熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第1接触部と、第2集積回路に対応する第3熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第3接触部との間に第3凹部を有することで、基板にヒートシンクが固定された際に、第1熱伝導弾性体、第2熱伝導弾性体、第3熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾
性体のそれぞれとヒートシンクとが接触する第1接触部、第2接触部、第3接触部、及び第4接触部の近傍におけるヒートシンクの表面積を大きくすることができる。よって、ヘッドユニットが大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱をさらに効率よく放出できる。
【0248】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記ヒートシンクは、前記第2接触部と前記第4接触部との間に位置する第4凹部を含んでもよい。
【0249】
このヘッドユニットによれば、第1トランジスターに対応する第2熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第2接触部と、第2トランジスターに対応する第4熱伝導弾性体とヒートシンクとが接触する第4接触部との間に第4凹部を有することで、基板にヒートシンクが固定された際に、第1熱伝導弾性体、第2熱伝導弾性体、第3熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾性体のそれぞれとヒートシンクとが接触する第1接触部、第2接触部、第3接触部、及び第4接触部の近傍におけるヒートシンクの表面積を大きくすることができる。よって、ヘッドユニットが大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱をさらに効率よく放出できる。
【0250】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の発振周波数は、1MHz以上8MHz以下であってもよい。
【0251】
このヘッドユニットによれば、第1駆動回路及び第2駆動回路における消費電力が増加するおそれを低減しつつ、第1駆動回路が出力する第1駆動信号、及び第2駆動回路が出力する第2駆動信号の波形精度が劣化するおそれを低減できる。
【0252】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の発振周波数は、1MHz以上4MHz以下であってもよい。
【0253】
このヘッドユニットによれば、第1駆動回路及び第2駆動回路における消費電力が増加するおそれを低減しつつ、第1駆動回路が出力する第1駆動信号、及び第2駆動回路が出力する第2駆動信号の波形精度が劣化するおそれを低減できる。
【0254】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1集積回路の面積よりも大きく、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第3熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第2集積回路の面積よりも大きくてもよい。
【0255】
このヘッドユニットによれば、基板にヒートシンクを固定する際に位置ずれが生じるおそれが低減し、その結果、第1熱伝導弾性体、及び第3熱伝導弾性体と第1駆動回路、第2駆動回路、及びヒートシンクとの接触の信頼性が向上する。よって、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を、ヒートシンクを介してさらに効率よく放出することができる。
【0256】
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第2熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第1トランジスターの面積よりも大きく、
前記基板の法線方向に沿って見た場合の前記第4熱伝導弾性体の面積は、前記基板の法
線方向に沿って見た場合の前記第2トランジスターの面積よりも大きくてもよい。
【0257】
このヘッドユニットによれば、基板にヒートシンクを固定する際に位置ずれが生じるおそれが低減し、その結果、第2熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾性体と第1駆動回路、第2駆動回路、及びヒートシンクとの接触の信頼性が向上する。よって、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を、ヒートシンクを介してさらに効率よく放出することができる。
【0258】
液体吐出装置の一態様は、
前記ヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから液体が吐出される媒体を搬送する搬送ユニットと、
を備える。
【0259】
この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットに含まれるヒートシンクが第1凹部、及び第2凹部を有することで、基板にヒートシンクが固定された際に、第1熱伝導弾性体、第2熱伝導弾性体、第3熱伝導弾性体、及び第4熱伝導弾性体のそれぞれとヒートシンクとが接触する第1接触部、第2接触部、第3接触部、及び第4接触部の近傍におけるヒートシンクの表面積を大きくすることができる。その結果、ヒートシンクは、大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を効率よく放出できる。すなわち、ヘッドユニットが大型化することなく、第1駆動回路、及び第2駆動回路で生じた熱を効率よく放出できる。
【符号の説明】
【0260】
1…液体吐出装置、5…液体容器、8…ポンプ、10…制御ユニット、11…メイン制御回路、12…電源電圧出力回路、20…ヘッドユニット、21…ヘッド制御回路、22…差動信号復元回路、23…電圧変換回路、35…支持部材、40…搬送機構、50…駆動信号出力回路、51a,51b,52a,52b…駆動回路、53…基準電圧出力回路、60…圧電素子、100a,100b,100c,100d,100e,100f…吐出ヘッド、110…フィルター部、113…フィルター、120…シール部材、125…貫通孔、130…配線基板、135…切欠部、140…ホルダー、141,142,143…ホルダー部材、145…液体導入口、146…スリット孔、150…固定板、151…平面部、152,153,154…折曲部、155…開口部、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、300…ヘッドチップ、310…ノズルプレート、321…流路形成基板、322…圧力室基板、323…保護基板、324…ケース、330…コンプライアンス部、331…封止膜、332…支持体、340…振動板、346…フレキシブル配線基板、350…インク流路、351…液体導入口、353…個別流路、355…連通流路、420…配線基板、421,422…面、423…半導体装置、424…コネクター、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライブ回路、521,522…ゲートドライバー、524…コネクター、530…配線基板、531,532…面、541,542,543,544…辺、550…増幅回路、551,552,553…貫通孔、560…平滑回路、561,562…貫通孔、570,572…帰還回路、580…電源回路、600…吐出部、610…ヒートシンク、620…基部、621,622…辺、630…フィン部、651,652,653…固定部、661,662…基準ピン、670,671,672,673,674,680,681,682,683,684…突起部、751,752,753…固定部材、770,771,772,773,774,780,781,782,783,784…弾性放熱体、870,871,872,873,880,881,882,883,890,89
1,892,893,894…凹部、C1,C2,C3,C4,C5,Cd…コンデンサー、D1…ダイオード、DA1…空気排出口、DI1,DI2…液体排出口、EP…電子部品、FE…固定部材、FP…固定部、G1…流路構造体、G2…供給制御部、G3…液体吐出部、G4…吐出制御部、G5…駆動信号出力部、G6…放熱部、HG…弾性放熱体、HS…ヒートシンク、L1…コイル、M1,M2…トランジスター、N…ノズル、P…媒体、PB…配線基板、PS…突起部、R…リザーバー、R1,R2,R3,R4,R5,R6…抵抗、SA1,SA2…空気導入口、SI1,SI2,SI3…液体導入口、U2…圧力調節ユニット、α…仮想直線、β…仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26