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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】フォーミング用豆類乳及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/00 20210101AFI20240820BHJP
   A23L 11/60 20210101ALI20240820BHJP
   A23C 11/10 20210101ALI20240820BHJP
   A23L 11/65 20210101ALI20240820BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240820BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240820BHJP
【FI】
A23L11/00 Z
A23L11/60
A23C11/10
A23L2/00 S
A23L2/38 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020209126
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096174
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌伸
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018124(JP,A)
【文献】特開2003-009797(JP,A)
【文献】特開2018-042520(JP,A)
【文献】特開2002-281927(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106857880(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00
A23L 11/60
A23C 11/10
A23L 2/00
A23L 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉を含むことを特徴とするフォーミング用豆類乳。
【請求項2】
スチーマーによりフォーミングされた、請求項1記載のフォーミング用豆類乳。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたフォーミング用豆類乳を、フォーミングしたものが上置された飲料。
【請求項4】
請求項1に記載されたフォーミング用豆類乳を、フォーミングすることを特徴とする豆類乳の泡立て方法。
【請求項5】
豆類乳と、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉を使用して乳化することを特徴とするフォーミング用豆類乳の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡性及び起泡安定性に優れたフォーミング用豆類乳及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化に代表される気候変動、環境意識の高いミレニアル世代以降の購買に与える影響力の拡大、動物愛護の意識、そして植物性たんぱく質を使用した場合コレステロールが低下する等の健康上の特性から、乳代替として豆類乳などに代表される植物乳を取り入れる動きが拡大している。しかし、植物乳は、乳よりも起泡安定性に劣っているため、植物乳を泡立てコーヒーに添加しても泡がなくなりやすいという問題がある。
【0003】
起泡性を付与する方法として、乳において、泡立ちタイプの飲料に各種乳化剤、起泡性蛋白質を添加する方法(特許文献1)、HLBが14以上の乳化剤を添加する方法(特許文献2)、カゼイン、大豆蛋白、微結晶セルロース、カラギーナンを添加する方法(特許文献3)等、乳化剤や安定剤を使用する技術が開示されている。
【0004】
乳のように豆乳における起泡性改善について、豆乳にHLB8以上のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリンを配合する技術(特許文献4)が開示されている。
しかしながら、特許文献4は乳化剤に特化した技術であり、乳化剤以外の起泡性に関する技術は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-295339号公報
【文献】特開2009-50259号公報
【文献】特開昭60-87775号公報
【文献】特開2014-18124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えばスチーマーなどによりフォーミングすることにより泡立てられた豆類乳をコーヒー等の飲料に添加しても泡が壊れにくい、起泡性及び起泡安定性に優れたフォーミング用豆類乳を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉と豆類乳を乳化することにより豆乳類の起泡性が改善されることを見出し、上記課題を解決するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉を含むことを特徴とするフォーミング用豆類乳、
(2)スチーマーによりフォーミングされた、(1)記載のフォーミング用豆類乳、
(3)(1)又は(2)に記載されたフォーミング用豆類乳を、フォーミングしたものが上置された飲料、
(4)(1)に記載されたフォーミング用豆類乳を、フォーミングすることを特徴とする豆類乳の泡立て方法、
(5)豆類乳と、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉を使用して乳化することを特徴とするフォーミング用豆類乳の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により製造される豆類乳は起泡性及び起泡安定性に優れ、これを例えば、スチーマー等でフォーミングしコーヒーに添加しても泡を維持し、口当たり、風味が良好なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0011】
(豆類)
本発明の方法に用いる豆類としては、大豆が代表的であり、その品種は黄大豆、青大豆、黒大豆などがあげられる。また大豆に含まれる成分の栄養機能を考慮して、育種、遺伝子操作や発芽処理等により7Sグロブリン、11Sグロブリン、イソフラボン、サポニン、ニコチアナミン、レシチン、オリゴ糖、ビタミン類、ミネラル類などの大豆中の特定の成分が富化された大豆も挙げられる。また、大豆以外にもえんどう豆、小豆、インゲン豆、ささげ、花豆、緑豆、ソラマメ、たけあずき、レンズ豆、うずら豆、らい豆、ヒヨコ豆、落花生等の豆類が挙げられ、緑豆、ソラマメ、えんどう豆、ヒヨコ豆がより好ましい。これらを適当な割合で混合して使用することも可能である。上記豆類は、外皮及び胚軸部分を含むものでもよいが、これらを除去したものを使用することも可能である。
【0012】
(豆類乳)
本発明の方法に用いる豆類乳は豆類を基本原料として得られるミルク(乳濁状の液体)であり、大豆を原料として製造された豆乳が代表的である。
【0013】
豆類乳の製造方法として、公知の方法を用いることができ、以下に限定されないが、一般的には豆類を水、温水、熱湯等に浸漬した後、磨砕し、おからを分離して得ることができる。
また、豆類乳としては豆類乳からオカラを除去せずにオカラを微粉砕したスラリー状のものも使用することができる。
【0014】
(フォーミング用豆類乳)
本発明のフォーミング用豆類乳とは、スチーマー、泡だて器等でフォーミング(泡立て)するために用いられる豆類乳のことを指す。
本発明の起泡力を有する豆類乳の製造の一例を示すと、豆類を原料とした豆類乳と、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる1種以上の加工澱粉を使用して乳化し、得られた乳化物を均質機で均質化後、殺菌することにより得ることができる。
また、必要に応じて油脂を添加することができる。更に、風味の嗜好性や機能性を高めるために、必要な食品原料(果汁、果肉、野菜、糖類、油脂、乳製品、穀粉類、澱粉類、カカオマス、鳥獣魚肉製品等)や食品添加物(乳化剤、ミネラル、ビタミン、増粘安定剤、酸味料、香料等)を適宜使用することができる。乳化方法は特に限定されず、ホモミキサーやホモジナイザー等を用いて乳化することができる。また、必要に応じてホモゲナイザー等の均質機により均質化することが可能である。均質機のホモ圧は乳化に十分な圧力であれば特に制限することはない。
【0015】
(加工澱粉)
本発明に使用する加工澱粉はリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉であり、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉がより好ましい。
澱粉原料として特に種類は限定されないが、例えばワキシーコーン、コーン、ハイアミロースコーン、馬鈴薯、ポテト、小麦、米、もち米、タピオカ、各種豆類などが挙げられる。
また、上記加工澱粉はα化処理、焙焼処理、湿熱処理、温水処理などの物理的処理や酵素加水分解処理を施したものでもよい。
【0016】
上記加工澱粉の添加量は飲料用途に適した粘度が好ましく、粘度として特に限定されるものではないが、100mPa.s以下が好ましく、50mPa.s以下がより好ましく、30mPa.s以下が更に好ましい。粘度は、サンプル200gを測定用ビーカーに分注し、No.1、またはNo.2ローターを用い、60rpm、10℃、1分の条件にて、BM型粘度計にて測定した値とする。
加工澱粉の添加量は、特に限定されることはないが、例えば豆類乳重量に対して、0.01~5重量%が好ましく、0.1~3重量%がより好ましく、0.1~1重量%が更に好ましい。加工澱粉の添加量が少なすぎると、十分な起泡安定性が得られない場合があり、加工澱粉の添加量が多すぎると、起泡安定性は問題ないが、粘度が高くなり風味に影響が出る場合がある。
【0017】
(乳化剤)
本発明のフォーミング用豆類乳は、乳化剤を添加することができる。乳化剤は特に種類を限定されるわけではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,及び有機酸モノグリセリドが好ましい。これらの乳化剤は1種以上を併用して使用することができる。
乳化剤の添加量は、豆類乳重量に対して0.005~0.5重量%が好ましく、0.01~0.3重量%がさらに好ましい。乳化剤の添加量が多すぎると、起泡安定性は問題ないが、風味に影響が出る場合がある。
【0018】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。HLBが低すぎると、起泡性や起泡安定性が損なわれる場合がある。また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、好ましくは16以上であり、飽和または不飽和脂肪酸、直鎖または分岐を有する脂肪酸が含まれる。これらの脂肪酸として、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、テトラデセン酸等が挙げられ、これらの中でも優れた起泡性を付与できる点で炭素数16以上の脂肪酸が好まし、より好ましくはステアリン酸である。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ジグリセリンモノオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ペンタグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、デカグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノステアレート、ペンタグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート等が例示できる。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種以上を併用して使用することができる。
【0019】
(ショ糖脂肪酸エステル)
本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルのHLBは好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。HLBが低すぎると、起泡性や起泡安定性が損なわれる場合がある。また、本発明のショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、好ましくは16以上であり、飽和または不飽和脂肪酸、直鎖または分岐を有する脂肪酸が含まれる。これらの脂肪酸として、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、テトラデセン酸等が挙げられ、これらの中でも優れた起泡性を付与できる点で炭素数16以上の脂肪酸が好ましく、より好ましくはステアリン酸である。
これらのショ糖脂肪酸エステルは、1種以上を併用して使用することができる。
【0020】
(有機酸モノグリセリド)
本発明で使用する有機酸モノグリセリドとして、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド等が挙げられ、好ましくはクエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドであり、より好ましくはコハク酸モノグリセリドである。
これら有機酸モノグリセリドのHLBは5以上であり、好ましくは7以上、より好ましくは8以上である。HLBが低すぎると、起泡性や起泡安定性が損なわれる場合がある。
また、これら有機酸モノグリセリドにおける構成脂肪酸としては、炭素数8~22の飽和または不飽和脂肪酸であり、好ましくは炭素数18の脂肪酸、より好ましくはステアリン酸である。
これらの有機酸モノグリセリドは、1種以上を併用して使用することができる。
【0021】
(油脂)
本発明のフォーミング用豆類乳は、油脂を添加することができる。添加する油脂は、食用油脂であればいかなる油脂でも良いが、例えば、コーン油、大豆油、ごま油、こめ糠油、ベニバナ油、綿実油、ひまわり油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボガドオイル、へーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、荏油等の植物性油脂、並びに乳脂、牛脂、豚脂、鯨油、魚油、鶏油等の動物性油脂が例示できるが、植物性油脂を使用すると、油脂の物性の制御がし易い上に全成分を植物性で調製できるため好ましい。また、上記油脂の単独、または混合油、あるいはそれらを硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂も使用できる。
油脂の添加は、フォーミング用豆類乳のこくみを増加し、口当たりをより良好なものとする傾向がある。油脂の添加量は好ましくは、豆類乳重量に対して0.01~5重量%、より好ましくは0.5~2重量%である。
【0022】
(殺菌)
本発明のフォーミング用豆類乳は必要により殺菌を行う。殺菌方法は、特に制限されないが、例えば、原料液に高温高圧水もしくは高圧水蒸気を注入するか、または、原料液に対し通電によるジュール加熱、高周波(マイクロ波)による加熱などの直接加熱法や、電磁誘導加熱、電気炉、直火、流動砂浴、溶融塩浴などの間接加熱法を単独で、または組み合わせる方法が挙げられる。
【0023】
必ずしも必要ではないが、殺菌後に豆類乳を再度均質機にて均質化することができる。
【0024】
(フォーミング)
フォーミング用豆類乳は、例えばスチーマー、泡だて器等でフォーミングするが、エスプレッソマシーンのスチーマーに入れてフォーミングをするのがより好ましい。また、エスプーマ・サイフォンに封入して、亜酸化窒素ガスや二酸化炭素ガスを封入した後に前記エスプーマ用サイフォンを振る等の振動させ、その後に前記エスプーマ用サイフォンから容器に搾り出してフォーミングすることもできる。フォーミングした泡状のナッツミルクは様々な飲料に使用でき、飲料として、例えば、コーヒー、紅茶、ココア等に使用できる。
コーヒーを例にとると、本発明のフォーミング用豆類乳をエスプレッソマシーンのスチーマーに入れてフォーミングを行い、これをコーヒーに添加することでカプチーノ様の飲料を調製することができる。このカプチーノ様飲料は、起泡性及び起泡安定性に優れ、口当たりが滑らかで良好な風味を呈する。
【0025】
(フォーミング用豆類乳の起泡性評価方法)
フォーミング用豆類乳の起泡性の判断は、起泡性及び起泡安定性の評価により行う。具体的には、豆類乳75mlを200mlビーカー(SANPLATEC)にいれ、エスプレッソマシーン(例えば、デロンギ社 エスプレッソマシーンEC152J)のスチーマーで65℃までフォーミングし、フォーミング直後(0分後)の泡の高さと10分経過後の泡の高さを観察する。フォーミング直後の泡の高さが4.5cm以上でかつ、直後の泡の高さに対する10分経過後の泡の高さの割合(泡安定性)が60%以上のものを起泡性及び起泡安定性が高く、起泡性が優れていると判断する。
【0026】
(表1)起泡性評価基準
【0027】
(飲料適正の評価方法)
また、飲料適正に関して、6名の訓練された専門パネラーにより、以下基準に則り評価し、平均点を評価点とした。飲料適性の評価点が2点以下を、飲料適正有と判断する。
1点:飲料適正有
2点:やや口当たりが重たいが飲料適性有
3点:口当たりが重く飲料適性無
【0028】
(総合評価の判定基準)
起泡性評価が、良好(○)または非常に良好(◎)、及び飲料適正2点以下を、総合評価合格とする。
【実施例
【0029】
以下に実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り、「%」と「部」は重量基準である。
【0030】
(実施例1)
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、SMS707(松谷化学工業(株)製)0.5部、水29.5部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、フォーミング用豆類乳を得た。
得られたフォーミング用豆類乳75mlを200mlビーカー(SANPLATEC)にいれ、エスプレッソマシーンのスチーマーで65℃までフォーミングし、フォーミング直後(0分後)の泡の高さと10分経過後の泡の高さを観察した。
また、飲料適正に関して、6名の訓練された専門パネラーにより、以下基準に則り評価し、平均点を評価点とした。
1点:飲料適正有
2点:やや口当たりが重たいが飲料適性有
3点:口当たりが重く飲料適性無
総合評価として、起泡性評価が○または◎、及び飲料適正2点以下を総合評価合格とした。
【0031】
(実施例2)
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、ヤシ油(不二製油(株)製)0.8部、SMS707(松谷化学工業(株)製)0.5部、水28.7部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、フォーミング用豆類乳を得た。
得られたフォーミング用豆類乳75mlを200mlビーカー(SANPLATEC)にいれ、エスプレッソマシーンのスチーマーで65℃までフォーミングし、フォーミング直後(0分後)の泡の高さと10分経過後の泡の高さを観察した。
また、飲料適正に関して、6名の訓練された専門パネラーにより、以下基準に則り評価し、平均点を評価点とした。
1点:飲料適正有
2点:やや口当たりが重たいが飲料適性有
3点:口当たりが重く飲料適性無
総合評価として、起泡性評価が○または◎、及び飲料適正2点以下を総合評価合格とした。
【0032】
(比較例1)
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、水30.0部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、豆類乳を得た。
得られた豆類乳75mlを200mlビーカー(SANPLATEC)にいれ、エスプレッソマシーンのスチーマーで65℃までフォーミングし、フォーミング直後(0分後)の泡の高さと10分経過後の泡の高さを観察した。
また、飲料適正に関して、6名の訓練された専門パネラーにより、以下基準に則り評価し、平均点を評価点とした。
1点:飲料適正有
2点:やや口当たりが重たいが飲料適性有
3点:口当たりが重く飲料適性無
総合評価として、起泡性評価○または◎、及び飲料適正2点以下を総合評価合格とした。
【0033】
(表2)油添加有無の比較
【0034】
表2の結果より、油脂添加有無に関わらず起泡性評価が良好で、飲料適性も良好であることが確認され、総合評価合格であった。
また、実施例1と2は、比較例1よりも、風味良好で口当たりもまろやかであった。特に、実施例2は、こくみがより増し、口当たりもまろやかに感じられた。
【0035】
(実施例2~6と比較例2~7各種加工澱粉の比較
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、ヤシ油(不二製油(株)製)0.8部、SMS707(松谷化学工業(株)製)0.5部、水28.7部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、フォーミング用豆類乳を得た。
フォーミング用豆類乳の起泡性、飲料適正、及び総合評価は、実施例1と同様の方法で評価した。
【0036】
(表3)各種加工澱粉の比較
【0037】
表3の結果より、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を添加した場合、起泡性評価が良好であることが確認された。また、実施例2~6は飲料適正も良好であり、総合評価合格であった。
風味では、実施例2~6は比較例2~7比べ、口当たりが滑らかで良好な風味を呈した。
【0038】
(実施例7)乳化剤との関係
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、ヤシ油(不二製油(株)製)0.8部、SMS707(松谷化学工業(株)製)0.5部、SYグリスターMSW-7S (HLB13.4、構成脂肪酸:ステアリン酸、坂本薬品工業(株)製)0.1部、水28.4部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、フォーミング用豆類乳を得た。
フォーミング用豆類乳の起泡性、飲料適正、及び総合評価は、実施例1と同様の方法で評価した。
【0039】
(表4)乳化剤添加有無の比較
【0040】
表4の結果より、乳化剤添加有無に関わらず起泡性評価が良好であることが確認された。また、飲料適正にも乳化剤添加有無は関係がなく、いずれも総合評価は合格であった。
【0041】
(実施例8~9、比較例2)粘度との関係
豆類乳として豆乳(キッコーマン飲料(株)製、蛋白質含量8.3g/200ml、脂質含量7.3g/200ml)70.0部、ヤシ油(不二製油(株)製)0.8部、SMS707(松谷化学工業(株)製)を所定の粘度になるように加え、
最終合計100部となるように水を加え、70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、本発明のフォーミング用豆類乳を得た。
フォーミング用豆類乳の起泡性、飲料適正、及び総合評価は、実施例1と同様の方法で評価した。
【0042】
(表5)粘度と飲料適正について
【0043】
表5の結果より、実施例2、8、9は起泡性評価、及び飲料適正共に良好であり、総合評価合格であった。しかし、比較例2は、起泡性評価、及び飲料適正共に悪く、総合評価不合格であった。
【0044】
(実施例10)
緑豆1部に水4部を加え、十分に吸水した緑豆1部に対し、水6部を加えたものをコミットロール(URSCHEL社製)にて湿式粉砕し、さらに、ホモゲナイザー(APV社製)に供給し、15MPaで均質化処理した。得られた緑豆懸濁液を連続遠心分離機に供給し、3000×g、3分で遠心分離を行い、緑豆乳とおからに分離した。得られた緑豆乳を70℃にてα-アミラーゼ処理を行い、スチームインジェクション方式の直接高温加熱装置(TANAKA FOOD MACHINERY社製)に供給し、144℃、4秒で殺菌した。
上記緑豆乳(固形分9.3%)70.0部、ヤシ油(不二製油(株)製)0.8部、SMS707(松谷化学工業(株)製)0.5部、水28.7部を70℃にて混合し、ホモゲナイザーにより、15MPaで均質化して乳化を行った。乳化後、10℃まで冷却し、フォーミング用豆類乳を得た。
フォーミング用豆類乳の起泡性、飲料適正、及び総合評価は、実施例1と同様の方法で評価した。
【0045】
(表6)緑豆乳の総合評価について
【0046】
表6の結果より、実施例10は起泡性評価、及び飲料適正共に良好であり、総合評価合格であった。このため、大豆以外の豆類乳に対しても効果が認められた。