(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】車載装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 9/54 20060101AFI20240820BHJP
G06F 9/48 20060101ALI20240820BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240820BHJP
B60W 50/02 20120101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F9/54 F
G06F9/48 370
B60R16/02 660G
B60W50/02
(21)【出願番号】P 2021011341
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202605(JP,A)
【文献】特開2010-274783(JP,A)
【文献】特開2017-212726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/54
G06F 9/48
B60R 16/02
B60W 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載ECUと接続され、複数の該車載ECUとメッセージを送受信する車載装置であって、
車両を制御するための制御処理を行い、複数の前記車載ECUそれぞれと接続される第1処理部と、
複数の前記車載ECUそれぞれと接続され、前記第1処理部と通信する第2処理部と、
前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第1受信テーブルと、
前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第2受信テーブルとを備え、
前記第2処理部は、
前記第2受信テーブルに基づき前記第2処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報を前記第1処理部へ出力し、
前記第1処理部は、
前記第1受信テーブルに基づき前記第1処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報、及び前記第2処理部から出力された前記メッセージに含まれる情報の少なくとも一方に基づき前記制御処理を行う
車載装置。
【請求項2】
前記第2処理部は、受信した前記メッセージに含まれる情報を圧縮して前記第1処理部へ出力する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第2処理部は、受信した前記メッセージに含まれる情報を複数取得し、
取得した複数の前記メッセージに含まれる情報をまとめて前記第1処理部へ出力する
請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第1処理部における受信対象の前記メッセージは、イベントに応じて出力される前記メッセージを含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載ECUが出力する前記メッセージは、運転支援システムに関するメッセージを含み、
前記第1処理部における受信対象の前記メッセージは、前記運転支援システムに関するメッセージのうちの車間データ又は駆動力データを含むメッセージを含み、
前記第2処理部における受信対象の前記メッセージは、前記運転支援システムに関するメッセージのうちのメータ通知用データを含むメッセージを含む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記第1処理部は、前記メッセージの種別に応じて、前記制御処理の処理結果を含む前記メッセージを前記車載ECUへ送信するか、又は前記制御処理の処理結果を含む前記メッセージを前記車載ECUへ前記第2処理部を介して送信する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記第1受信テーブルは、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含み、
前記第2受信テーブルは、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含み、
前記第1処理部は、
前記第2処理部からの要求に応じて前記第1受信テーブルに基づき、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報に基づき前記制御処理を行い、
前記第2処理部は、
前記第1処理部からの要求に応じて前記第2受信テーブルに基づき、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報に基づき前記制御処理を行う
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記第1処理部及び前記第2処理部には、前記車載ECUによって出力される前記メッセージが入力され、
前記第1処理部及び前記第2処理部は、通信によって前記第1処理部及び前記第2処理部における前記メッセージの入力状況を確認し、
前記第1処理部及び前記第2処理部の一方は、
前記第1処理部及び前記第2処理部の一方と前記車載ECUとを接続する配線の一部分の異常を検出し、
前記異常を検出した場合、前記第1処理部及び前記第2処理部の他方に、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとの受信を要求する
請求項7に記載の車載装置。
【請求項9】
複数の車載ECUを制御するための処理を行い、複数の前記車載ECUそれぞれと接続される第1処理部と、複数の前記車載ECUそれぞれと接続され、第1処理部と通信する第2処理部とを備える車載装置が、前記車載ECUが出力するメッセージに基づき情報処理を行う情報処理方法であって、
前記第2処理部は、
前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第2受信テーブルに基づき前記第2処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報を前記第1処理部へ出力し、
前記第1処理部は、
前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第1受信テーブルに基づき前記第1処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、
受信した前記メッセージに含まれる情報、及び前記第2処理部から出力された前記メッセージに含まれる情報の少なくとも一方に基づき車両を制御するための制御処理を行う
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、及びエアコン制御等のボディ系等の車載機器を制御するための複数の車載ECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。複数の車載ECUは車載装置と接続される。車載装置は、車載ECUと通信し、車載機器の制御を含む車両を制御するための処理を行う(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車載装置には車両を制御するための処理が集中するので、車載装置は効率よく処理を行うことが望まれる。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、車両を制御するための処理を効率よく実行することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、複数の車載ECUと接続され、複数の該車載ECUとメッセージを送受信する車載装置であって、車両を制御するための制御処理を行い、複数の前記車載ECUそれぞれと接続される第1処理部と、複数の前記車載ECUそれぞれと接続され、前記第1処理部と通信する第2処理部と、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第1受信テーブルと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第2受信テーブルとを備え、前記第2処理部は、前記第2受信テーブルに基づき前記第2処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報を前記第1処理部へ出力し、前記第1処理部は、前記第1受信テーブルに基づき前記第1処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報、及び前記第2処理部から出力された前記メッセージに含まれる情報の少なくとも一方に基づき前記制御処理を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車両を制御するための処理を効率よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
【
図2】統合ECUの構成を例示するブロック図である。
【
図3】統合ECU及び個別ECUとの間において送受信されるメッセージの種別の一例を説明する説明図である。
【
図4】統合ECU及び個別ECUとの間において送受信されるメッセージの種別の一例を説明する説明図である。
【
図5】第1通信部の構成を例示するブロック図である。
【
図7】異常時テーブルの内容例を示す概念図である。
【
図9】第2通信部の構成を例示するブロック図である。
【
図10】第2テーブルの内容例を示す概念図である。
【
図11】第1制御部が行う通信ラインの異常検出に係る処理を例示するフローチャートである。
【
図12】第2制御部が行う制御処理に係る処理を例示するフローチャートである。
【
図13】第1制御部が行う制御処理に係る処理を例示するフローチャートである。
【
図14】実施形態2に係る統合ECUの構成を例示するブロック図である。
【
図15】実施形態3に係る統合ECUの構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、複数の車載ECUと接続され、複数の該車載ECUとメッセージを送受信する車載装置であって、車両を制御するための制御処理を行い、複数の前記車載ECUそれぞれと接続される第1処理部と、複数の前記車載ECUそれぞれと接続され、前記第1処理部と通信する第2処理部と、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第1受信テーブルと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第2受信テーブルとを備え、前記第2処理部は、前記第2受信テーブルに基づき前記第2処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報を前記第1処理部へ出力し、前記第1処理部は、前記第1受信テーブルに基づき前記第1処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報、及び前記第2処理部から出力された前記メッセージに含まれる情報の少なくとも一方に基づき前記制御処理を行う。
【0011】
本態様にあたっては、第1処理部及び第2処理部は通信可能に接続されている。第1処理部及び第2処理部それぞれは、各車載ECUと接続されている。第2処理部は第2受信テーブルに基づき、車載ECUから出力されるメッセージのうちの第2処理部における受信対象のメッセージを受信する。第2処理部は、受信したメッセージに含まれる情報を取得する。例えば第2処理部は、受信したメッセージに含まれる情報を取り出す。第2処理部は取得した情報を第1処理部へ出力する。第1処理部は、第2処理部から出力された情報を取得し、取得した当該情報に基づき制御処理を行う。また第1処理部は第1受信テーブルに基づき、車載ECUから出力されるメッセージのうちの第1処理部における受信対象のメッセージを受信する。第1処理部は、受信したメッセージに含まれる情報を取得し、取得した当該情報に基づき制御処理を行う。また第1処理部は、受信したメッセージに含まれる情報及び第2処理部から取得した情報に基づき制御処理を行う。車載ECUから出力されるメッセージは、第1処理部及び第2処理部に分散されて受信される。第2処理部における受信対象のメッセージに含まれる情報の取得において、第2処理部の負荷は小さい。第2処理部が第2処理部における受信対象のメッセージに含まれる情報を第1処理部へ出力するので、第1処理部は、第2処理部における受信対象のメッセージに含まれる情報を当該メッセージから取り出す必要がない。第1処理部61が第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を当該メッセージから取り出す場合に比べて、第1処理部の負荷を小さくすることができる。第1処理部及び第2処理部が協同して処理を行うことによって、車載装置は効率よく制御処理を行うことができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第2処理部は、受信した前記メッセージに含まれる情報を圧縮して前記第1処理部へ出力する。
【0013】
本態様にあたっては、第2処理部における受信対象のメッセージに含まれる情報は圧縮されるので、第2処理部は上記の情報を効率よく第1処理部へ出力することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第2処理部は、受信した前記メッセージに含まれる情報を複数取得し、取得した複数の前記メッセージに含まれる情報をまとめて前記第1処理部へ出力する。
【0015】
本態様にあたっては、第2処理部は第2処理部における受信対象のメッセージに含まれる情報を複数取得する。第2処理部は1度に、取得した複数の情報をまとめて第1処理部へ出力する。第1処理部及び第2処理部の間における通信の頻度を少なくすることができるので、第1処理部及び第2処理部の負荷を小さくすることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージは、イベントに応じて出力される前記メッセージを含む。
【0017】
本態様にあたっては、車載装置と車載ECUとの間にはイベントに応じて出力されるメッセージ、いわゆるイベントメッセージが送受信される。イベントに応じて出力メッセージに基づく制御処理は早く行われる必要がある。第1処理部は、イベントに応じて出力されるメッセージを受信し、当該メッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第1処理部が受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う場合、車載ECUからメッセージが出力された時点から制御処理が終了する時点までの時間は、第1処理部が第2処理部からメッセージに含まれる情報を取得する場合に比べて短い。第1処理部がイベントに応じて出力されるメッセージを受信し、制御処理を行うので、イベントに応じて出力されるメッセージが出力された場合に、車載装置は制御処理を早く行うことができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ECUが出力する前記メッセージは、運転支援システムに関するメッセージを含み、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージは、前記運転支援システムに関するメッセージのうちの車間データ又は駆動力データを含むメッセージを含み、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージは、前記運転支援システムに関するメッセージのうちのメータ通知用データを含むメッセージを含む。
【0019】
本態様にあたっては、第1処理部は、運転支援システムに関するメッセージのうちの車間データ又は駆動力データを含むメッセージを受信し、制御処理を行う。第1処理部は上記のメッセージに基づく制御処理を早く行うことができるので、適切に車両の駆動を制御することができる。第1処理部は第2処理部からメータ通知用データを含むメッセージに基づく情報を取得するので、第1処理部の処理負荷の増加を抑制することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1処理部は、前記メッセージの種別に応じて、前記制御処理の処理結果を含む前記メッセージを前記車載ECUへ送信するか、又は前記制御処理の処理結果を含む前記メッセージを前記車載ECUへ前記第2処理部を介して送信する。
【0021】
本態様にあたっては、第1処理部はメッセージの種別に応じて、制御処理の処理結果を含むメッセージを、第2処理部を介さずに又は第2処理部を介して車載ECUへ送信する。第1処理部は第2処理部を介さずに、高い応答性が要求される処理結果を含むメッセージを車載ECUへ送信することによって、当該メッセージを早く車載ECUへ送信することができる。車載装置はメッセージの送信において2つの経路を用いるので、メッセージを効率よく車載ECUへ送信することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1受信テーブルは、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含み、前記第2受信テーブルは、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含み、前記第1処理部は、前記第2処理部からの要求に応じて前記第1受信テーブルに基づき、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報に基づき前記制御処理を行い、前記第2処理部は、前記第1処理部からの要求に応じて前記第2受信テーブルに基づき、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報に基づき前記制御処理を行う。
【0023】
本態様にあたっては、第1処理部は第2処理部からの要求に応じて、第1処理部における受信対象のメッセージと、第2処理部における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。第2処理部がメッセージを受信できない場合であっても、第1処理部は制御処理を行うことができる。第2処理部は第1処理部からの要求に応じて、第1処理部における受信対象のメッセージと、第2処理部における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。第1処理部が制御処理を実行できない場合であっても、車載装置は第2処理部に制御処理を実行させることができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1処理部及び前記第2処理部には、前記車載ECUによって出力される前記メッセージが入力され、前記第1処理部及び前記第2処理部は、通信によって前記第1処理部及び前記第2処理部における前記メッセージの入力状況を確認し、前記第1処理部及び前記第2処理部の一方は、前記第1処理部及び前記第2処理部の一方と前記車載ECUとを接続する配線の一部分の異常を検出し、前記異常を検出した場合、前記第1処理部及び前記第2処理部の他方に、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージと、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージとの受信を要求する。
【0025】
本態様にあたっては、車載ECUによって出力されるメッセージは、第1処理部及び第2処理部に入力される。第1処理部及び第2処理部は通信し、第1処理部及び第2処理部におけるメッセージの入力状況を確認する。メッセージが第1処理部及び第2処理部のうちの第2処理部にのみ入力されている場合、第1処理部は、第1処理部と車載ECUとを接続する配線の一部分の異常を検出する。第1処理部は上記の異常を検出した場合、第2処理部に、第1処理部における受信対象のメッセージと、第2処理部における受信対象のメッセージとの受信を要求する。メッセージが第1処理部及び第2処理部のうちの第1処理部のみに入力されている場合、第2処理部は、第2処理部と車載ECUとを接続する配線の一部分の異常を検出する。第2処理部は上記の異常を検出した場合、第1処理部に、第1処理部における受信対象のメッセージと、第2処理部における受信対象のメッセージとの受信を要求する。第1処理部及び第2処理部の一方と車載ECUとを接続する配線の一部分の異常が発生した場合であっても、車載装置は第1処理部及び第2処理部の他方に制御処理を実行させることができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る情報処理方法は、複数の車載ECUを制御するための処理を行い、複数の前記車載ECUそれぞれと接続される第1処理部と、複数の前記車載ECUそれぞれと接続され、第1処理部と通信する第2処理部とを備える車載装置が、前記車載ECUが出力するメッセージに基づき情報処理を行う情報処理方法であって、前記第2処理部は、前記第2処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第2受信テーブルに基づき前記第2処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報を前記第1処理部へ出力し、前記第1処理部は、前記第1処理部における受信対象の前記メッセージの種別を示す情報を含む第1受信テーブルに基づき前記第1処理部における受信対象の前記メッセージを受信し、受信した前記メッセージに含まれる情報、及び前記第2処理部から出力された前記メッセージに含まれる情報の少なくとも一方に基づき車両を制御するための制御処理を行う。
【0027】
本態様にあたっては、態様(1)と同様に、第1処理部及び第2処理部は協同して効率よく制御処理を行うことができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る車載システムの構成を例示する模式図である。車載システムは、車両Cに搭載される統合ECU6、複数の個別ECU2、及び当該個別ECU2に接続される車載機器3を含む。
図1の車両Cには2つの個別ECU2が設けられているが、個別ECU2の個数は2つに限定されない。統合ECU6と各個別ECU2とは通信線7によって接続されている。
【0030】
個別ECU2は、車両Cにおける各エリアに配置される。個別ECU2は、当該個別ECU2と接続される複数の車載機器3と信号又はデータを送受信する。また個別ECU2は統合ECU6と通信を行う。個別ECU2は車載ECUに相当する。
【0031】
車載機器3は、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)、ライトセンサ、CMOSカメラ、及び赤外線センサ等の各種センサ5と、ドア開閉装置、及びモータ装置等のアクチュエータ4とを含む。車載機器3は上記の例に限定されず、ドアSW(スイッチ)、及びランプSW等のスイッチでもよく、ランプでもよい。
【0032】
統合ECU6は、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置である。統合ECU6は、複数の個別ECU2の間における通信を中継する。統合ECU6と各個別ECU2とは通信を行う。統合ECU6と個別ECU2との通信は、メッセージの送受信を含む。通信には例えばCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルが用いられるが、通信に用いられる通信プロトコルはCANに限定されない。通信プロトコルは、例えばCAN-FD(Controller Are Network with Flexible Data rate)、LIN(Local Interconnect Network)、イーサネット(Ethernet/登録商標)又はFlexRayでもよい。統合ECU6は、複数の個別ECU2間の通信を中継するゲートウェイ又はイーサスイッチ等の中継装置として機能してもよい。統合ECU6は車載装置に相当する。
【0033】
例えば統合ECU6及び個別ECU2は協同して、接続されたアクチュエータ4の駆動制御を行う。個別ECU2はセンサ5から出力された出力信号を取得し、取得した出力信号に基づき生成したメッセージを統合ECU6に送信する。当該メッセージは例えばセンサ5の検出値を含む。統合ECU6は個別ECU2から送信されたメッセージを取得し、センサ5の検出値に基づき生成した制御情報を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。個別ECU2は、統合ECU6から送信された制御情報を含むメッセージに基づきアクチュエータ4の駆動制御を行う。
【0034】
図2は、統合ECU6の構成を例示するブロック図である。統合ECU6は、車載機器3の制御を含む車両Cを制御するための制御処理を行う第1処理部61及び第2処理部62と、個別ECU2とメッセージを送受信するための送受信部64とを備える。また統合ECU6は、第1処理部61及び第2処理部62と送受信部64とを接続する第1配線65、個別ECU2と接続された通信線7が接続されるコネクタ1、及び、コネクタ1と送受信部64とを接続する第2配線66を備える。
【0035】
送受信部64は、通信プロトコルに基づき決定される物理層I/Fである。例えば通信プロトコルがイーサネットである場合、送受信部64は、TCP/IP又はUDP/IP等のパケットに対応するイーサネットPHY部である。例えば統合ECU6は、個別ECU2の個数に応じた個数の送受信部64を備える。
【0036】
本実施形態において統合ECU6には、2つの送受信部64と、2つの第1配線65と、2つの第2配線66と、2つのコネクタ1とが設けられている。一方の送受信部64は、一方の第2配線66によって一方のコネクタ1と接続されている。一方のコネクタ1は、一方の個別ECU2と接続された通信線7と接続されている。即ち一方の送受信部64は、第2配線66、コネクタ1及び通信線7を介して一方の個別ECU2と接続されている。一方の送受信部64は、一方の第1配線65によって第1処理部61及び第2処理部62と接続されている。
【0037】
他方の送受信部64は、他方の第2配線66によって他方のコネクタ1と接続されている。他方のコネクタ1は、他方の個別ECU2と接続された通信線7と接続されている。即ち他方の送受信部64は、第2配線66、コネクタ1及び通信線7を介して他方の個別ECU2と接続されている。一方の個別ECU2と接続された通信線7と他方の個別ECU2と接続された通信線7とは異なる。他方の送受信部64は、他方の第1配線65によって第1処理部61及び第2処理部62と接続されている。なお送受信部64、第1配線65、第2配線66及び2つのコネクタ1の個数は2つに限定されない。各通信線7に複数の個別ECU2が接続されていてもよい。
【0038】
第2配線66はコネクタ1及び通信線7を介して個別ECU2と接続されている。第1配線65は、送受信部64、第2配線66、コネクタ1及び通信線7を介して個別ECU2と接続されている。第1配線65は分岐している。第1配線65は、分岐部65d、分岐部65dと送受信部64との間の共通部分65a、分岐部65dと第1処理部61との間の第1部分65b、及び分岐部65dと第2処理部62との間の第2部分65cを含む。
【0039】
第1処理部61及び第2処理部62は、個別のプロセッサである。本実施形態においては、第1処理部61及び第2処理部62が個別のマイクロコントローラ(以下、マイコン)である例を説明する。なお第1処理部61及び第2処理部62はマイコンに限定されない。第1処理部61及び第2処理部62は接続されており、第1処理部61が備える通信I/F(インターフェイス)613と第2処理部62が備える通信I/F623によって通信を行う。本実施形態において第1処理部61の性能は第2処理部62の性能よりも高い例を説明するが、第1処理部61及び第2処理部62の性能は同一でもよい。第1処理部61及び第2処理部62の性能は、処理能力及びメモリの容量を含む。
【0040】
第1処理部61は、第1配線65と接続される接続部616を備える。第2処理部62は、第1配線65と接続される接続部626を備える。上述のように第1処理部61及び第2処理部62と各送受信部64とは第1配線65によって接続されている。従って第1処理部61及び第2処理部62は、一方の第1配線65、一方の送受信部64、一方の第2配線66及び一方の通信線7を介して一方の個別ECU2と接続されている。また第1処理部61及び第2処理部62は、他方の第1配線65、他方の送受信部64、他方の第2配線66及び他方の通信線7を介して他方の個別ECU2と接続されている。言い換えると、第1処理部61及び第2処理部62の両方に、複数の個別ECU2それぞれが接続されている。第1処理部61及び第2処理部62の両方は、各個別ECU2とメッセージを送受信できる。
【0041】
第1処理部61は、第1配線65に含まれる第1部分65b及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とを介して個別ECU2とメッセージを送受信する。以下、第1配線65に含まれる第1部分65b及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とを介する個別ECU2及び第1処理部61の間の経路を第1経路とも称する。第2処理部62は、第1配線65に含まれる第2部分65c及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とを介して個別ECU2とメッセージを送受信する。以下、第1配線65に含まれる第2部分65c及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とを介する個別ECU2及び第2処理部62の間の経路を第2経路とも称する。
【0042】
個別ECU2から出力されるメッセージは、第1経路及び第2経路を介して第1処理部61及び第2処理部62の両方に入力される。メッセージは、メッセージID等の識別子と、センサ5の検出値等の情報とを含む。メッセージに含まれる情報は、アクチュエータ4に流れる電流の電流値を含んでもよい。詳細は後述するが第1処理部61は、入力されるメッセージのうちの一部のメッセージを受信する。第2処理部62は、入力されたメッセージのうち、第1処理部61によって受信されないメッセージを受信する。即ち第2処理部62は、入力されたメッセージのうちの残りのメッセージを受信する。以下、第1処理部61によって受信される一部のメッセージを、第1処理部61における受信対象のメッセージとも称する。第2処理部62によって受信される残りのメッセージを、第2処理部62における受信対象のメッセージとも称する。
【0043】
第2処理部62は、受信した第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得する。例えば第2処理部62は、受信した第2処理部62における受信対象のメッセージから当該メッセージに含まれるセンサ5の検出値を、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報として取り出す。第2処理部62は、取得した第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を第1処理部61へ出力する。
【0044】
第1処理部61は、第2処理部62から出力された上記の情報を取得し、取得した情報に基づき制御処理を行う。また第1処理部61は、受信した第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報、例えばセンサ5の検出値を取得する。第1処理部61は、取得した第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。例えば第1処理部61は制御処理によって、アクチュエータ4の駆動を制御するための制御情報を生成する。
【0045】
第1処理部61は制御処理の処理結果、例えば制御情報を含むメッセージを個別ECU2へ第1経路を介して送信する。又は第1処理部61は、制御情報を含むメッセージを第2処理部62へ出力する。第2処理部62は、出力されたメッセージを個別ECU2へ第2経路を介して送信する。個別ECU2は、第1処理部61から送信されたメッセージを受信し、受信したメッセージに含まれる制御情報に基づき、アクチュエータ4の駆動を制御する。
【0046】
第1処理部61は第2処理部62からの要求に応じて、第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第1処理部61は第1経路を介して処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。
【0047】
第2処理部62は第1処理部61からの要求に応じて、第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第2処理部62は第2経路を介して処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。
【0048】
第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとは、メッセージの種別に応じて予め設定されている。以下、メッセージの種別について説明する。
図3及び
図4は、統合ECU6及び個別ECU2との間において送受信されるメッセージの種別の一例を説明する説明図である。
図3の説明図は、メッセージの種別に対する考え方を示す。統合ECU6と個別ECU2との間にて送受信されるメッセージは、車両Cの制御のための制御メッセージと、車載機器3の故障診断のための診断メッセージとの2種類のメッセージを含む。
【0049】
一般的にメッセージが取得された際、取得されたメッセージが正常であるか否かを確認するために当該メッセージに対してセキュリティに関する処理が行われる。例えばセキュリティに関する処理はメッセージIDの確認及び送信周期の確認を含む。メッセージに異常が検出された場合、当該異常に対する応答、例えばエンジンの動作を停止させるための処理、又はメッセージの異常を車両Cの外部に設けられた外部サーバに送信するための処理が行われる。
【0050】
制御メッセージはセキュリティに関する処理に対する応答性(以下、セキュリティ応答性)によって分けられる。詳しくは、制御メッセージは高いセキュリティ応答性のメッセージと、低いセキュリティ応答性のメッセージとを含む。高いセキュリティ応答性のメッセージは、メッセージの異常の検出及び当該異常に対する応答が一定時間以内に行わなければならないメッセージである。低いセキュリティ応答性のメッセージは、メッセージの異常の検出、及び当該異常に対する応答が一定時間以内に行われなくてもよいメッセージである。一定時間は任意に設定可能である。
【0051】
高いセキュリティ応答性のメッセージ及び低いセキュリティ応答性のメッセージそれぞれは、処理の優先度が高い高優先度メッセージと、処理の優先度が高優先度メッセージよりも低い低優先度メッセージとを含む。高優先度メッセージは、早い応答が必要なメッセージである。高優先度メッセージに対しては、通信遅延時間が小さいことが要求される。
【0052】
一般にメッセージは周期的に出力されるが、一部のメッセージは、周期的な出力に加えて、運転手による車両の操作又はセンサによる検出等のイベントに応じて突発的に出力される。以下、メッセージのうち、イベントに応じて出力されるメッセージをイベント有のメッセージとも称する。イベント有のメッセージは、いわゆるイベントメッセージである。なおイベント有のメッセージは、周期的に出力されず、突発的に出力されてもよい。以下、メッセージのうち、イベントによらずに出力されるメッセージをイベント無のメッセージとも称する。上記の高いセキュリティ応答性のメッセージに含まれる高優先度メッセージ及び低優先度メッセージそれぞれは、イベントに応じて出力されるか否かによって分けられる。即ち、上記の高いセキュリティ応答性のメッセージに含まれる高優先度メッセージ及び低優先度メッセージそれぞれは、イベントの有無によって分けられる。
図3には各メッセージのイベントの有無が示してある。
【0053】
上記の高いセキュリティ応答性のメッセージに含まれる高優先度メッセージ及び低優先度メッセージそれぞれは、イベントの有無に加えて、送信周期によって分けられる。詳しくは、メッセージは、送信周期が所定周期よりも短いメッセージと、送信周期が所定周期以上のメッセージとを含む。メッセージはデータ量によっても分けられる。送信周期が所定周期よりも短いメッセージ及び送信周期が所定周期以上のメッセージそれぞれは、データ量が所定量よりも小さいメッセージと、データ量が所定量以上のメッセージを含む。
【0054】
上記の低いセキュリティ応答性のメッセージに含まれる高優先度メッセージ及び低優先度メッセージそれぞれも、イベントの有無、送信周期及びデータ量によって分けられる。
【0055】
診断メッセージは、いわゆるダイアグメッセージである。一般に診断メッセージに対するセキュリティ応答性は低い。診断メッセージは、高優先度メッセージと、低優先度メッセージとを含む。
【0056】
上述の各メッセージは、個別ECU2と第1処理部61又は第2処理部62との間において送受信される。
図3には、統合ECU6において第1処理部61及び第2処理部62のどちらが各メッセージを送受信するのかを示す送受信主体が示してある。送受信主体が第1処理部61であるメッセージの送受信は、第1経路を介して第1処理部61によって行われる。送受信主体が第2処理部62であるメッセージの送受信は、第2経路を介して第2処理部62によって行われる。例えば
図3においてイベント有のメッセージの送受信主体は、第1処理部61である。イベント有のメッセージは、第1経路を介して第1処理部61によって送受信される。例えば、高いセキュリティ応答性のメッセージであって、所定周期よりも短い送信周期のメッセージは、第1経路を介して第1処理部61によって送受信される。所定量よりも小さいデータ量のメッセージであって、所定周期よりも短い送信周期のメッセージは、第1経路を介して第1処理部61によって送受信される。診断メッセージのうちの高優先度メッセージは、第1経路を介して第1処理部61によって送受信される。
【0057】
図4の説明図は、メッセージの種別の具体例を示す。
図4にはメッセージの種別と、メッセージの送受信主体とが示してある。メッセージの制御メッセージは、先進運転支援システム(ADAS/Advanced Driver-Assistance Systems)関連のメッセージと、エアバック関連のメッセージと、ボディ制御関連のメッセージと、ナビゲーションシステム関連のメッセージとを含む。更に制御メッセージは、走行関連のメッセージと、車両情報関連のメッセージとを含む。
【0058】
先進運転支援システム関連のメッセージは、車間データのメッセージ、駆動力データのメッセージ及びメータ通知用データのメッセージを含む。車間データは、例えば車両Cと他の車両との距離を示す。車間データはクルーズコントロール車間データを含む。駆動力データは、エンジン駆動力に関する情報及びモータ駆動力に関する情報を含む。メータ通知用データは、表示用車速に関する情報と、警告灯及び表示灯に関する情報とを含む。車間データのメッセージ、及び駆動力データのメッセージは、第1経路を介して第1処理部61によって送受信される。メータ通知用データのメッセージは、第2経路を介して第2処理部62によって送受信される。先進運転支援システム関連のメッセージは、運転支援システムに関するメッセージに相当する。
【0059】
エアバック関連のメッセージは、衝突検出データのメッセージ、エアバック機能状態データのメッセージ及びメータ通知用データのメッセージを含む。衝突検出データは、車両Cが他の車両等の物体と衝突した旨を通知するためのデータである。エアバック機能状態データは、D席前突状態、P席前突状態及び前席LR状態に関する情報を含む。メータ通知用データは、表示用車速に関する情報と、警告灯及び表示灯に関する情報とを含む。衝突検出データのメッセージ及びエアバック機能状態データのメッセージは、第1処理部61によって送受信される。メータ通知用データのメッセージは、第2処理部62によって送受信される。
【0060】
ボディ制御関連データは、カーテシSWデータのメッセージ、着座データのメッセージ、ランプ点灯データのメッセージ、ミラー関連データのメッセージ、及びパワースライドデータのメッセージを含む。カーテシSWデータは、車両Cにおけるドアの開閉状態を示す。着座データは、車両Cの各座席に人が着座しているか否かを示す。ランプ点灯データは、車両Cに搭載されたランプを点灯又は消灯するためのデータである。ミラー関連データは、ミラーの格納状態又は非格納状態に関する情報と、ミラーの角度データとを含む。パワースライドデータは、車両Cに設けられるパワースライドドアを開閉するためのデータである。カーテシSWデータのメッセージ、着座データのメッセージ、及びランプ点灯データのメッセージは、第1処理部61によって送受信される。ミラー関連データのメッセージ、及びパワースライドデータのメッセージは、第2処理部62によって送受信される。
【0061】
ナビゲーションシステム関連のメッセージは、ドライブレコーダ用データのメッセージ及びメータ通知用データのメッセージを含む。ドライブレコーダ用データのメッセージ及びメータ通知用データのメッセージは、第2処理部62によって送受信される。
【0062】
走行関連のメッセージは、アクセル状態データのメッセージ、シフト状態データのメッセージ、及びブレーキ状態データのメッセージを含む。アクセル状態データは、運転手によるアクセルペダルの踏み込みの程度を示す。シフト状態データは、シフトレバーの状態を示す。ブレーキ状態データは、運転手によるブレーキペダルの踏み込みの程度を示す。アクセル状態データのメッセージ、シフト状態データのメッセージ、及びブレーキ状態データのメッセージは、第1処理部61によって送受信される。
【0063】
車両情報関連のメッセージは、車両コードデータのメッセージ、仕向けデータのメッセージ及び駆動方式データのメッセージを含む。車両コードデータは、車両Cに割り振られた車両識別番号を示す。仕向けデータは、輸出国及び輸出地域に関する情報を含む。駆動方式データは、エンジン駆動力に関する情報及びモータ駆動力に関する情報を含む。車両コードデータのメッセージ、仕向けデータのメッセージ及び駆動方式データのメッセージは、第2処理部62によって送受信される。
【0064】
診断メッセージは、法規対象データのメッセージ、非法規対象データのメッセージ、及びフリーズフレームデータのメッセージを含む。法規対象データのメッセージは第1処理部61によって送受信される。非法規対象データのメッセージ、及びフリーズフレームデータのメッセージは、第2処理部62によって送受信される。
【0065】
図3及び
図4において、送受信主体が第1処理部61であるメッセージは、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる。第1処理部61における受信対象のメッセージには、高い応答性が要求されるメッセージが含まれる。送受信主体が第2処理部62であるメッセージは、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる。
【0066】
図2に示すように第1処理部61は、第1制御部611、第1記憶部612、通信I/F613、及び第1通信部614を備える。第1制御部611、第1記憶部612、通信I/F613、及び第1通信部614は接続されている。第1制御部611は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置である。第1制御部611は、第1記憶部612に予め記憶された第1プログラム615及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。例えば第1制御部611は、受信されたメッセージに対してセキュリティに関する処理を行う。
【0067】
第1記憶部612は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。第1記憶部612には、第1制御部611により実行される第1プログラム615、及び第1制御部611が処理時に参照するデータが予め記憶してある。第1記憶部612に記憶された第1プログラム615は、統合ECU6が読み取り可能な記録媒体63から読み出された第1プログラム615を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから第1プログラム615をダウンロードし、第1記憶部612に記憶させたものであってもよい。
【0068】
第1記憶部612には、複数のアプリケーション(以下、アプリ)が記憶されている。
図2の第1記憶部612には、後述の異常が検出されていない場合に第1制御部611により実行される複数のアプリを含む第1アプリ群A1と、異常が検出されている場合に実行される複数のアプリを含む異常時アプリ群A3とが記憶されている。第1アプリ群A1及び異常時アプリ群A3は、第1プログラム615に含まれていてもよい。
【0069】
通信I/F613は、第2処理部62と通信する為の通信インターフェイスである。通信I/F613は、第2処理部62が備える通信I/F623と接続してある。
【0070】
第1通信部614は、所定の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスである。例えば、所定の通信プロトコルがCANの通信プロトコルである場合、第1通信部614はCANコントローラ及びCANレシーバである。なお所定の通信プロトコルはCANの通信プロトコルに限定されない。第1通信部614は接続部616と接続されている。第1制御部611は、第1通信部614を介して各個別ECU2と相互に通信する。
【0071】
図5は、第1通信部614の構成を例示するブロック図である。第1通信部614は、入出力部617、受信バッファ618、送信キュー619、及び判定回路614aを備える。入出力部617は例えばマイコンのピンである。入出力部617は接続部616と接続されている。入出力部617は、接続部616、第1配線65、送受信部64、第2配線66及び通信線7を介して各個別ECU2と接続されており、個別ECU2へメッセージを出力する。また入出力部617には個別ECU2から出力されるメッセージが入力される。
【0072】
受信バッファ618は、入出力部617及び判定回路614aと接続されている。受信バッファ618には、入出力部617に入力されたメッセージが保存される。
【0073】
送信キュー619は、入出力部617、判定回路614a及び第1制御部611と接続されている。送信キュー619は、送信されるメッセージを一時的に保存するメモリ(キュー)である。本実施の形態において送信キュー619は送信先に応じた複数のキューを有する。詳しくは、送信キュー619は一方の個別ECU2へメッセージを送信するためのキューと、他方の個別ECU2へメッセージを送信するためのキューとを有する。
【0074】
判定回路614aは、第1制御部611と接続されている。判定回路614aは、第1テーブルT11及び異常時テーブルT12を含む第1受信テーブルT1を有する。第1テーブルT11は、第1処理部61における受信対象のメッセージの種別を示す情報を含む。異常時テーブルT12は、第1処理部61における受信対象のメッセージの種別を示す情報と、第2処理部62における受信対象のメッセージの種別を示す情報とを含む。本実施形態においてメッセージの種別を示す情報は、メッセージIDである。なおメッセージの種別を示す情報はメッセージIDに限定されない。
【0075】
判定回路614aは、第1受信テーブルT1を参照し、第1テーブルT11又は異常時テーブルT12に基づき、受信バッファ618に保存されるメッセージを第1制御部611へ出力する。通常、例えば第1処理部61の起動後、判定回路614aは第1テーブルT11を参照する。第1制御部611の制御によって、判定回路614aが参照する第1受信テーブルT1は、第1テーブルT11から異常時テーブルT12へ切り替わる。第1制御部611の制御によって、判定回路614aが参照する第1受信テーブルT1は異常時テーブルT12から第1テーブルT11へ切り替わってもよい。
【0076】
以下、判定回路614aが第1テーブルT11を参照する場合を説明する。
図6は第1テーブルT11の内容例を示す概念図である。
図6の第1テーブルT11は、メッセージID列、及び受信主体列を含む。第1テーブルT11には、個別ECU2から出力されるメッセージのうち、第1処理部61における受信対象のメッセージのメッセージIDと、当該メッセージの受信主体とが関連付けられて記憶されている。受信主体は、統合ECU6において第1処理部61及び第2処理部62のどちらがメッセージを受信するかを示す。
【0077】
第1テーブルT11のメッセージID列には、第1処理部61における受信対象のメッセージのメッセージIDが記憶される。第1テーブルT11には第1処理部61における受信対象のメッセージのメッセージIDが記憶されるので、受信主体列には、受信主体として第1処理部61が記憶される。なお
図6において受信主体列は説明のために示してあるので、第1テーブルT11は受信主体列を含まなくてもよい。
【0078】
判定回路614aは、受信バッファ618に保存されるメッセージのうち、第1テーブルT11に記憶されているメッセージIDのメッセージを第1制御部611へ出力する。即ち、判定回路614aは第1テーブルT11に基づき、第1通信部614に入力されるメッセージのうち、第1処理部における受信対象のメッセージを第1制御部611へ出力する。第1制御部611は、出力される第1処理部61における受信対象のメッセージを取得する。即ち、第1処理部61は、第1処理部61における受信対象のメッセージを受信する。
【0079】
次に、判定回路614aが異常時テーブルT12を参照する場合を説明する。
図7は異常時テーブルT12の内容例を示す概念図である。
図7の異常時テーブルT12は、メッセージID列と、受信主体列を含む。異常時テーブルT12には、個別ECU2から出力されるメッセージのメッセージIDと、当該メッセージの受信主体とが関連付けられて記憶されている。詳しくは、異常時テーブルT12のメッセージID列に、第1処理部61における受信対象のメッセージのメッセージID及び第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDが記憶される。受信主体列には、受信主体として第1処理部61又は第2処理部62が記憶される。なお
図7において受信主体列は説明の為に示してあるので、異常時テーブルT12は受信主体列を含まなくてもよい。
【0080】
判定回路614aは、受信バッファ618に保存されるメッセージのうち、異常時テーブルT12に記憶されているメッセージIDのメッセージを第1制御部611へ出力する。即ち、判定回路614aは異常時テーブルT12に基づき、第1通信部614に入力されるメッセージのうち、第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを第1制御部611へ出力する。第1制御部611は、出力される第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを取得する。即ち、第1処理部61は、第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを受信する。
【0081】
第1通信部614にメッセージが入力された際に判定回路614aは、メッセージの入力を示す信号を第1制御部611へ出力する。判定回路614aは、第1通信部614に特定のメッセージが入力された際に、特定のメッセージの入力を示す信号を第1制御部611へ出力してもよい。この場合、特定のメッセージのメッセージIDが第1通信部614に記憶されている。特定のメッセージは、例えば後述する異常検出のためのメッセージを含む。第1通信部614にメッセージが入力された際に、判定回路614a以外の第1通信部614の構成部が上記の信号を第1制御部611へ出力してもよい。
【0082】
上述のように判定回路614aは通常、第1テーブルT11を参照し、第1処理部61における受信対象のメッセージを第1制御部611へ出力する。第1制御部611は、出力される第1処理部61における受信対象のメッセージを受信する。第1制御部611は、受信した第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得する。例えば第1制御部611は、受信した第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれるセンサ5の検出値を、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報として取得する。
【0083】
第1制御部611には、第2処理部62から第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報が出力される。例えば複数の情報がまとめられ、圧縮されて第2処理部62から出力される。第1制御部611は、第2処理部62から出力される上記の情報を取得する。第1制御部611は、圧縮された上記の情報を解凍し、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を複数取得する。
【0084】
第1制御部611は、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて、取得した第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。また第1制御部611は、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて、取得した第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。また第1制御部611は、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報と、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報とに基づき制御処理を行う。
【0085】
第1アプリ群A1に含まれるアプリは、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリと、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリのうちの一部のアプリとを含む。また第1アプリ群A1に含まれるアプリは、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報と第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報とが制御処理に用いられるアプリを含む。
【0086】
第1制御部611は制御処理の処理結果を含むメッセージを、当該メッセージの種別に応じて個別ECU2へ送信する。処理結果を含むメッセージの種別は、
図3及び
図4のように分類される。処理結果を含むメッセージの種別が、送受信対象が第1処理部61であるメッセージである場合、第1制御部611は第1通信部614を用いて、処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ第1経路を介して送信する。詳しくは、第1制御部611は上記のメッセージを送信キュー619へ出力する。送信キュー619へ出力されたメッセージは、第1経路を介して送信キュー619から送信先の個別ECU2へ送信される。
【0087】
処理結果を含むメッセージの種別が、送受信対象が第2処理部62であるメッセージである場合、第1制御部611は処理結果を含むメッセージを、通信I/Fを介して第2処理部62へ出力する。第2処理部62は、第1制御部611から出力されたメッセージを、第2経路を介して個別ECU2へ送信する。即ち第1制御部611は処理結果を含むメッセージを、第2処理部62及び第2経路を介して個別ECU2へ送信する。第1制御部611は処理結果を第2処理部62へ出力してもよい。第2処理部62は出力された処理結果を含むメッセージを、第2経路を介して個別ECU2へ送信する。
【0088】
例えば第1記憶部612には、処理結果を含むメッセージの送信経路が含まれる送信テーブルが記憶されている。
図8は、送信テーブルの内容例を示す概念図である。送信テーブルには、メッセージの種別を示す情報、例えばメッセージIDと、当該メッセージの送信経路とが関連付けられて記憶されている。
図8の送信テーブルは、メッセージID列と、送信経路列とを含む。
【0089】
送信テーブルには、処理結果を含むメッセージのメッセージIDと、当該メッセージの送信経路とが関連付けられて記憶されている。詳しくは送信テーブルのメッセージID列に、処理結果を含むメッセージのメッセージIDが記憶される。送信経路列には、第1経路と、第2処理部62及び第2経路とのいずれかが送信経路として記憶されている。第1制御部611は送信テーブルを参照し、処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ第1経路を介して送信する、又は処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ第2処理部62及び第2経路を介して送信する。以下、第1制御部611が処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信することを、第1制御部611が処理結果を個別ECU2へ送信するとも称する。
【0090】
第1制御部611は、第2処理部62から出力される要求信号を通信I/F613を介して取得する。要求信号は、第1受信テーブルT1又は後述の第2受信テーブルT2の切り替えを要求するための信号である。詳細は後述するが第2処理部62と個別ECU2との間の通信に異常がある場合に第2処理部62から要求信号が出力される。第1制御部611は要求信号を取得した場合、判定回路614aが参照する第1受信テーブルT1を第1テーブルT11から異常時テーブルT12へ切り替える。判定回路614aは異常時テーブルT12を参照し、第1処理部61における受信対象のメッセージ、及び第2処理部62における受信対象のメッセージを第1制御部611へ出力する。第1制御部611は、判定回路614aから出力されるメッセージを受信し、受信したメッセージに基づく情報を取得する。
【0091】
第1制御部611は、異常時アプリ群A3に含まれるアプリを用いて、受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第1制御部611は、第1経路を介して当該制御処理の処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。異常時アプリ群A3は、第1アプリ群A1に含まれるアプリと、後述の第2アプリ群A2に含まれるアプリとを含む。詳しくは、異常時アプリ群A3は第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリと、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリとを含む。また異常時アプリ群A3は、第1処理部61における受信対象のメッセージに含まれる情報と第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報とが制御処理に用いられるアプリを含む。
【0092】
詳細は後出するが第1制御部611は、第1配線65に含まれる第1部分65bの状態変化、例えば第1部分65bの異常を検出する。第1制御部611は、第1部分65bの異常を検出した場合に通信I/F613を介して第2処理部62へ要求信号を出力する。
【0093】
図2に示すように第2処理部62は、第1配線65と接続される接続部626を備える。更に第2処理部62は、第2制御部621、第2記憶部622、通信I/F623、及び第2通信部624を備える。第2制御部621、第2記憶部622、通信I/F623、及び第2通信部624は接続されている。第2制御部621は、CPU又はMPU等の演算処理装置により構成してあり、第2記憶部622に予め記憶された第2プログラム625及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。例えば第2制御部621は受信されたメッセージに対して、セキュリティに関する処理を行う。
【0094】
第2記憶部622は、RAM等の揮発性のメモリ素子又は、ROM、EEPROM若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。第2記憶部622には、第2制御部621により実行される第2プログラム625、及び第2制御部621が処理時に参照するデータが予め記憶してある。第2記憶部622に記憶された第2プログラム625は、統合ECU6が読み取り可能な記録媒体63から読み出された第2プログラム625を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから第2プログラム625をダウンロードし、第2記憶部622に記憶させたものであってもよい。
【0095】
第2記憶部622には複数のアプリが記憶されている。
図2の第2記憶部622には、異常が検出されていない場合に第2制御部621により実行される複数のアプリを含む第2アプリ群A2と、異常時アプリ群A3とを含む。第2アプリ群A2及び異常時アプリ群A3は第2プログラム625に含まれていてもよい。
【0096】
通信I/F623は、第1処理部61と通信する為の通信インターフェイスであり、通信I/F613と接続してある。第1制御部611及び第2制御部621は、通信I/F613及び通信I/F623を介して通信する。即ち第1処理部61及び第2処理部62は、通信I/F613及び通信I/F623を介して通信する。例えば第1処理部61及び第2処理部62はシリアル通信を行うが、第1処理部61及び第2処理部62の通信はシリアル通信に限定されない。
【0097】
第2通信部624は、所定の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスである。所定の通信プロトコルがCANである場合、第2通信部624は例えばCANコントローラ及びCANレシーバである。第2通信部624は接続部626と接続されている。第2制御部621は、第2通信部624を介して各個別ECU2と相互に通信する。
【0098】
図9は、第2通信部624の構成を例示するブロック図である。第2通信部624は、入出力部627、受信バッファ628、送信キュー629、及び判定回路624aを備える。入出力部627は、受信バッファ628及び送信キュー629と接続されている。入出力部627は例えばマイコンのピンである。入出力部627は、接続部626、第1配線65、送受信部64、第2配線66及び通信線7を介して各個別ECU2と接続されており、個別ECU2へメッセージを出力する。また入出力部627には個別ECU2から出力されるメッセージが入力される。
【0099】
受信バッファ628及び送信キュー629は判定回路624aと接続されている。受信バッファ628には、入出力部627に入力されたメッセージが保存される。送信キュー629は、第2制御部621と接続されている。送信キュー629は、中継するメッセージを一時的に保存するキューである。送信キュー629は送信キュー619と同様に、中継先に応じた複数のキューを有する。
【0100】
判定回路624aは、第2制御部621と接続されている。判定回路624aは、第2テーブルT21及び異常時テーブルT22を含む第2受信テーブルT2を有する。第2テーブルT21は、第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDを含む。異常時テーブルT22は、第1処理部61における受信対象のメッセージのメッセージIDと、第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDとを含む。
【0101】
判定回路624aは、第2受信テーブルT2を参照し、第2テーブルT21又は異常時テーブルT22に基づき、受信バッファ628に保存されるメッセージを第2制御部621へ出力する。通常、例えば第2処理部62の起動後、判定回路624aは第2テーブルT21を参照する。第2制御部621の制御によって、判定回路624aが参照する第2受信テーブルT2は、第2テーブルT21から異常時テーブルT22へ切り替わる。判定回路624aが参照する第2受信テーブルT2は、第2制御部621の制御によって異常時テーブルT22から第2テーブルT21へ切り替わってもよい。
【0102】
以下、判定回路624aが第2テーブルT21を参照する場合を説明する。
図10は第2テーブルT21の内容例を示す概念図である。
図10の第2テーブルT21は、メッセージID列、及び受信主体列を含む。第2テーブルT21には、個別ECU2から出力されるメッセージのうち、第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDと、当該メッセージの受信主体とが関連付けられて記憶されている。詳しくは、第2テーブルT21のメッセージID列に、第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDが記憶される。第2テーブルT21には第2処理部62における受信対象のメッセージのメッセージIDが記憶されるので、受信主体列には、受信主体として第2処理部62が記憶される。なお
図10において受信主体列は説明のために示してあるので、第2テーブルT21はメッセージの受信主体列を含まなくてもよい。
【0103】
判定回路624aは、受信バッファ628に保存されるメッセージのうち、第2テーブルT21に記憶されているメッセージIDのメッセージを第2制御部621へ出力する。即ち、判定回路624aは第2テーブルT21に基づき、第2通信部624に入力されるメッセージのうち、第2処理部62における受信対象のメッセージを第2制御部621へ出力する。第2制御部621は、出力される第2処理部62における受信対象のメッセージを取得する。即ち、第2処理部62は、第2処理部62における受信対象のメッセージを受信する。
【0104】
次に、判定回路624aが異常時テーブルT22を参照する場合を説明する。異常時テーブルT22は第1受信テーブルT1に含まれる異常時テーブルT12と同様であるので、異常時テーブルT22の詳細な説明は省略する。
【0105】
判定回路624aは、受信バッファ628に保存されるメッセージのうち、異常時テーブルT22に記憶されているメッセージを第2制御部621へ出力する。即ち、判定回路624aは異常時テーブルT22に基づき、第2通信部624に入力されるメッセージのうち、第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを第2制御部621へ出力する。第2制御部621は、出力される第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを取得する。即ち、第2処理部62は、第1処理部61における受信対象のメッセージ及び第2処理部62における受信対象のメッセージを受信する。
【0106】
第2通信部624にメッセージが入力された際に判定回路624aは、メッセージの入力を示す信号を第2制御部621へ出力する。判定回路624aは、第2通信部624に特定のメッセージが入力された際に、特定のメッセージの入力を示す信号を第2制御部621へ出力してもよい。この場合、当該メッセージのメッセージIDが第2通信部624に記憶されている。第2通信部624にメッセージが入力された際に、判定回路624a以外の第2通信部624の構成部が上記の信号を第2制御部621へ出力してもよい。
【0107】
上述のように判定回路624aは通常、第2テーブルT21を参照し、第2処理部62における受信対象のメッセージを第2制御部621へ出力する。第2制御部621は、出力される第2処理部62における受信対象のメッセージを受信する。第2制御部621は、受信した第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得する。例えば第2制御部621は、受信した第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれるセンサ5の検出値を、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報として取得する。
【0108】
第2制御部621は通信I/F623を介して、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を第1制御部611へ出力する。例えば第2制御部621は、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を複数取得する。取得された上記の情報の個数が所定の個数になった場合に、第2制御部621は以下のようにして上記の複数の情報を第1制御部611へ出力する。第2制御部621は、上記の複数の情報を1つのデータにまとめ、まとめられた複数の情報を圧縮する。例えば圧縮にはLSB(Least Significant Bit)変換が用いられる。第2制御部621は圧縮した情報を第1制御部611へ出力する。なお第2制御部621は情報を圧縮せずに第1制御部611へ出力してもよい。第2制御部621は上記の複数の情報を1つずつ第1制御部611へ出力してもよい。
【0109】
第2制御部621は、通信I/F613及び通信I/F623を介する通信によって、上記の情報を第1制御部611へ出力する。通信I/F613及び通信I/F623を介する通信には、任意の通信プロトコルを用いることができる。
【0110】
第2制御部621は、第1制御部611から出力される処理結果を含むメッセージを、通信I/F613及び通信I/F623を介して取得する。第2処理部62は、第1制御部611から取得したメッセージを個別ECU2へ第2経路を介して送信する。詳しくは、第2制御部621は上記のメッセージを送信キュー629へ出力する。送信キュー629へ出力されたメッセージは、第2経路を介して送信キュー629から送信先の個別ECU2へ送信される。
【0111】
例えば第2制御部621は、第2記憶部622に予め記憶された所定のメッセージのメッセージIDを参照し、受信した第2処理部62における受信対象のメッセージが所定のメッセージであるか否かを判定する。第2制御部621によって受信されたメッセージが所定のメッセージである場合、第2制御部621は第2アプリ群A2に含まれるアプリを用いて、所定のメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第2制御部621は、当該制御処理の処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ第2経路を介して送信する。なお第2制御部621は処理結果を含むメッセージを第1制御部611へ出力してもよい。第1制御部611は、第2制御部621から出力された処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ第1経路を介して送信する。
【0112】
第2アプリ群A2に含まれるアプリは、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリのうちの残りのアプリを含む。即ち、第2アプリ群A2に含まれるアプリは、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報が制御処理に用いられるアプリのうち、第1アプリ群A1に含まれていないアプリを含む。第2アプリ群A2に含まれるアプリが用いられる制御処理には、上記の所定のメッセージに含まれる情報が用いられる。
【0113】
第2制御部621は、第1処理部61から出力される要求信号を通信I/F623を介して取得する。第2制御部621は要求信号を取得した場合、判定回路624aが参照する第2受信テーブルT2を第2テーブルT21から異常時テーブルT22へ切り替える。判定回路624aは異常時テーブルT22を参照し、第1処理部61における受信対象のメッセージ、及び第2処理部62における受信対象のメッセージを第2制御部621へ出力する。第2制御部621は、判定回路624aから出力されるメッセージを受信し、受信したメッセージに含まれる情報を取得する。
【0114】
第2制御部621は、異常時アプリ群A3に含まれるアプリを用いて、受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う。第2制御部621は、第2経路を介して当該制御処理の処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。
【0115】
第2制御部621は、第1配線65に含まれる第2部分65cの状態変化、例えば第2部分65cの異常を検出する。第2制御部621は、第2部分65cの異常を検出した場合に通信I/F623を介して第1制御部611へ要求信号を出力する。例えば第1制御部611又は第2制御部621は、異常が検出された場合以外に要求信号を出力してもよい。要求信号は、例えば車両Cの整備を行う作業者による操作によって、第2制御部621から第1制御部611へ、又は第1制御部611から第2制御部621へ出力されてもよい。
【0116】
以下、第1制御部611及び第2制御部621が、第1配線65、送受信部64、第2配線66、及び通信線7を含む通信ラインの異常を検出する方法の一例を説明する。本実施形態においては、一方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインと、他方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインとの2つの通信ラインが設けられている。なお通信ラインはコネクタ1を含んでもよい。
【0117】
各通信ラインは分岐している。通信ラインは、個別ECU2と接続される共通通信ライン、共通通信ラインと第1処理部61とを接続する第1通信ライン、共通通信ラインと第2処理部62とを接続する第2通信ラインとを含む。本実施形態において、共通通信ラインは第1配線65の分岐部65d及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とを含む。また第1通信ラインは、第1配線65の第1部分65bを含む。また第2通信ラインは、第1配線65の第2部分65cを含む。
【0118】
個別ECU2から出力されるメッセージは、上述のように第1処理部61の第1通信部614と第2処理部62の第2通信部624との両方に入力される。第1通信部614にメッセージが入力された際に第1通信部614の判定回路614aは、メッセージの入力を示す信号を第1制御部611へ出力する。第2通信部624にメッセージが入力された際に第2通信部624の判定回路624aは、メッセージの入力を示す信号を第2制御部621へ出力する。
【0119】
例えば、一方の個別ECU2から出力されるメッセージの入力を示す信号と、他方の個別ECU2から出力されるメッセージの入力を示す信号とは異なる。例えば判定回路614a及び判定回路624aには、メッセージIDと、当該メッセージを出力する個別ECU2の情報、例えば個別ECU2のIDナンバーとが関連付けて記憶されている。判定回路614a及び判定回路624aは、記憶されたメッセージID及びメッセージを出力する個別ECU2の情報に基づき、一方の個別ECU2から出力されるメッセージの入力を示す信号又は他方の個別ECU2から出力されるメッセージの入力を示す信号を出力する。
【0120】
第1制御部611及び第2制御部621が一方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインの異常を検出する場合を説明する。第1制御部611及び第2制御部621は、例えば周期的に通信I/F613及び通信I/F623を介して通信を行い、互いにメッセージの入力状況を通知する。詳しくは、第1制御部611は第1通信部614におけるメッセージの入力状況を第2制御部621へ通知する。第2制御部621は、第2通信部624におけるメッセージの入力状況を第1制御部611へ通知する。第1通信部614におけるメッセージの入力状況は、第1処理部61におけるメッセージの入力状況に相当する。第2通信部624におけるメッセージの入力状況は、第2処理部62におけるメッセージの入力状況に相当する。
【0121】
第1制御部611及び第2制御部621は、第1通信部614及び第2通信部624におけるメッセージの入力状況を確認し、メッセージの入力状況に基づき異常を検出する。第1通信部614及び第2通信部624の両方に一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されている場合、第1制御部611及び第2制御部621は、通信ラインに異常がないと判断する。通信ラインの異常は、第1配線65の断線、送受信部64における接触不良等の異常、第2配線66の断線、及び通信線7の断線を含む。なお第1制御部611及び第2制御部621の一方が、通信ラインに異常がないと判断してもよい。
【0122】
第1通信部614及び第2通信部624のうちの第1通信部614のみに一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されている場合、第1制御部611及び第2制御部621は以下の処理を行う。第1制御部611は、第1配線65の第1部分65bに異常がないと判断する。また第1制御部611は、第1配線65の分岐部65d及び共通部分65aと、送受信部64と、第2配線66と、通信線7とに異常がないと判断する。即ち第1制御部611は、第1通信ライン及び共通通信ラインに異常がないと判断する。第2制御部621は、第1配線65の第2部分65cに断線等の異常があると判断する。即ち第2制御部621は、第2通信ラインに異常があると判断する。この場合、第2通信ラインは配線の一部分に相当する。統合ECU6は、第2処理部62と一方の個別ECU2との間の通信における異常を検出することができる。第2制御部621は、第2通信ラインに異常があると判断した場合、通信I/F623を介して第1制御部611へ要求信号を出力する。第2制御部621は、車両Cの外部に設けられ、統合ECU6と通信可能な図示しない外部サーバへ第2通信ラインに異常がある旨を送信してもよい。また第2制御部621は図示しない通信装置を用いて、車両Cの運転手が所持するスマートホン等の端末へ第2通信ラインに異常がある旨を送信してもよい。なお第1制御部611が、第2通信ラインに異常があると判断してもよい。第2制御部621が、第1通信ライン及び共通通信ラインに異常がないと判断してもよい。
【0123】
第1通信部614及び第2通信部624のうちの第2通信部624のみに一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されている場合、第1制御部611及び第2制御部621は以下の処理を行う。第1制御部611は、第1通信ラインに異常があると判断する。第1制御部611は、第1通信ラインに異常があると判断した場合、通信I/F613を介して第2制御部621へ要求信号を出力する。この場合、第1通信ラインは配線の一部分に相当する。第2制御部621は、第2通信ライン及び共通通信ラインに異常がないと判断する。統合ECU6は、第1処理部61と一方の個別ECU2との間の通信における異常を検出することができる。第1制御部611は、図示しない外部サーバ又は運転手が所持する端末へ第1通信ラインに異常がある旨を送信してもよい。なお第2制御部621が、第1部分65bに異常があると判断してもよい。第1制御部611が、第2通信ライン及び共通通信ラインに異常がないと判断してもよい。
【0124】
第1通信部614及び第2通信部624のいずれにも一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されていない場合、第1制御部611及び第2制御部621は以下の処理を行う。第1通信ライン及び第2通信ラインの両方に異常が生じる可能性は低いので、第1制御部611及び第2制御部621は、共通通信ラインに異常があると判断する。第1制御部611及び第2制御部621は、第1通信ライン及び第2通信ラインに異常がないと判断してもよい。この場合、共通通信ラインは配線の一部分に相当する。統合ECU6は、第1処理部61及び第2処理部62と一方の個別ECU2との間の通信における異常を検出することができる。第1制御部611又は第2制御部621は、図示しない外部サーバ又は運転手が所持する端末へ共通通信ラインに異常がある旨を送信してもよい。なお第1制御部611及び第2制御部621の一方が、共通通信ラインに異常があると判断してもよい。
【0125】
第1通信部614及び第2通信部624のいずれにも一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されていない場合に第1制御部611及び第2制御部621は、一方の個別ECU2と接続される第1配線65を介した通信が成功するか否かを判定してもよい。例えば第1制御部611は異常検出の為の任意のメッセージを、一方の個別ECU2と接続される第1配線65の第1部分65b及び第2部分65cを介して第2処理部62へ出力する。
【0126】
第1制御部611から出力されたメッセージが第2処理部62に入力された場合、即ち第1配線65を介した通信が成功した場合、第2制御部621は、判定回路624aからメッセージの入力を示す信号を取得する。第2制御部621は、メッセージが入力された旨を示す信号を第1制御部611へ通信I/F613を介して出力する。第1制御部611は、第2制御部621から出力された上記の信号を取得する。第1制御部611及び第2制御部621は、第1通信ライン及び第2通信ラインに異常がないと判断する。また第1制御部611及び第2制御部621は、共通通信ラインに異常があると判断する。例えば第2制御部621は異常検出の為のメッセージを、一方の個別ECU2と接続される第1配線65の第1部分65b及び第2部分65cを介して第1処理部61へ出力してもよい。
【0127】
第1通信部614及び第2通信部624のいずれにも一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されていない場合に第1制御部611及び第2制御部621は、以下の処理を行ってもよい。第1制御部611及び第2制御部621は、第1通信部614及び第2通信部624のいずれにも一方の個別ECU2から出力されるメッセージが入力されていない時間が所定時間以上であるか否かを判定する。上記の時間が所定時間以上である場合、第1制御部611及び第2制御部621は、共通通信ラインに異常があると判断する。
【0128】
なお第1制御部611は、メッセージの入力を示す信号を判定回路614aから取得した場合に、第1通信部614及び第2通信部624におけるメッセージの入力状況を確認してもよい。第2制御部621は、メッセージの入力を示す信号を判定回路624aから取得した場合に、第1通信部614及び第2通信部624におけるメッセージの入力状況を確認してもよい。
【0129】
第1制御部611及び第2制御部621は、他方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインの異常についても同様に検出する。
【0130】
図11は、第1制御部611が行う通信ラインの異常検出に係る処理を例示するフローチャートである。例えばIG(イグニッション)スイッチがオフからオンとなった際に第1制御部611は、以下の処理を行う。以下、ステップをSと省略する。
【0131】
第1制御部611は、通信I/F613及び通信I/F623を介して第2制御部621と通信する(S11)。詳しくは、第1制御部611は第1通信部614におけるメッセージの入力状況を第2制御部621へ通知する。また第1制御部611は、第2制御部621から通知される第2通信部624におけるメッセージの入力状況を取得する。第1制御部611は、上述のようにいずれかの個別ECU2によって出力されるメッセージが第1通信部614及び第2通信部624の両方に入力されているか否かを判定する(S12)。
【0132】
上記のメッセージが第1通信部614及び第2通信部624の両方に入力されている場合(S12:YES)、第1制御部611は通信ラインに異常がないと判断し(S13)、処理を終了する。第1制御部611は処理を終了する代わりにS11の処理を行ってもよい。
【0133】
上記のメッセージが第1通信部614及び第2通信部624の両方に入力されていない場合(S12:NO)、第1制御部611は、第1通信部614及び第2通信部624のうちの第1通信部614のみに上記のメッセージが入力されているか否かを判定する(S14)。第1通信部614のみに上記のメッセージが入力されている場合(S14:YES)、第1制御部611は、第1通信ライン及び共通通信ラインに異常がないと判断し(S15)、処理を終了する。第1制御部611は処理を終了する代わりにS11の処理を行ってもよい。
【0134】
第1通信部614のみに上記のメッセージが入力されていない場合(S14:NO)、第1制御部611は、第1通信部614及び第2通信部624のうちの第2通信部624のみに上記のメッセージが入力されているか否かを判定する(S16)。第2通信部624のみに上記のメッセージが入力されている場合(S16:YES)、第1制御部611は、第1通信ラインに異常があると判断し(S17)、第2制御部621へ要求信号を出力する(S18)。例えば第1制御部611は、第1通信部614からのメッセージの取得を中止する。第1制御部611は処理を終了する。
【0135】
第2通信部624のみに上記のメッセージが入力されていない場合(S16:NO)、即ち、上記のメッセージが第1通信部614及び第2通信部624のいずれにも入力されていない場合、第1制御部611は、共通通信ラインに異常があると判断する(S19)。第1制御部611は、共通通信ラインに異常があると判断した際、図示しない外部サーバ又は運転手が所持するスマートホン等の携帯端末へ共通ラインに異常がある旨を出力してもよい。第1制御部611は処理を終了する。
【0136】
第2制御部621が行う通信ラインの異常検出に係る処理のフローチャートは、上述の第1制御部611の異常検出に係る処理のフローチャートを以下のように読み替えたものであるので、第2制御部621が行う通信ラインの異常検出に係る処理の詳細な説明は省略する。第1制御部611の異常検出に係る処理のフローチャートにおける第1制御部611、第1通信部614及び第1通信ラインは、第2制御部621の異常検出に係る処理のフローチャートにおいて第2制御部621、第2通信部624及び第2通信ラインに読み替えられる。第1制御部611の異常検出に係る処理のフローチャートにおける第2制御部621及び第2通信部624は、第2制御部621の異常検出に係る処理のフローチャートにおいて第1制御部611及び第1通信部614に読み替えられる。
図11には、読み替えられた第2制御部621、第2通信部624、第2通信ライン、第1制御部611及び第1通信部614が括弧内に示してある。
【0137】
図12は、第2制御部621が行う制御処理に係る処理を例示するフローチャートである。例えばIGスイッチがオフからオンとなった際に第2制御部621は、以下の処理を行う。
【0138】
第2制御部621は、第1制御部611から出力される要求信号を取得したか否かを判定する(S21)。第2制御部621は要求信号を取得しなかった場合(S21:NO)、第2通信部624から第2テーブルT21に基づくメッセージを取得する(S22)。即ち第2制御部621は、第2処理部62における受信対象のメッセージを第2通信部624から取得する。第2制御部621は取得したメッセージに含まれる情報を取得する(S23)。例えば第2制御部621は取得したメッセージに含まれるセンサ5の検出値を取り出す。
【0139】
第2制御部621は、第2テーブルT21に基づくメッセージの取得と当該メッセージに含まれる情報の取得とを繰り返し、複数の情報を取得する。第2制御部621は、取得した複数の情報を1つのデータとしてまとめ(S24)、まとめた情報を圧縮する(S25)。第2制御部621は圧縮した上記の情報を第1制御部611へ出力する(S26)。第2制御部621は処理を終了する。第2制御部621は処理を終了する代わりに、S21の処理を行ってもよい。
【0140】
第2制御部621は、複数の情報を1つのデータとしてまとめずに第1制御部611へ出力してもよく、情報を圧縮せずに第1制御部611へ出力してもよい。例えば第2制御部621は、上記の情報を取得するごとに、当該情報を圧縮して、又は圧縮せずに第1制御部611へ出力してもよい。例えば第2制御部621は、まとめた情報を圧縮せずに第1制御部611へ出力してもよい。
【0141】
なお第2制御部621は上述のように、第2処理部62における受信対象のメッセージのうちの所定のメッセージを受信した際、第2アプリ群A2に含まれるアプリを用いて、所定のメッセージに基づく情報に基づき制御処理を行う。第2制御部621は制御処理の処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信する。
【0142】
第2制御部621は要求信号を取得した場合(S21:YES)、判定回路624aによって参照される第2受信テーブルT2を、第2テーブルT21から異常時テーブルT22に切り替える(S27)。第2制御部621は、第2通信部624から異常時テーブルに基づくメッセージを取得する(S28)。即ち第2制御部621は、第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを取得する。
【0143】
第2制御部621は取得したメッセージに含まれる情報を取得する(S29)。第2制御部621は取得した情報に基づき、異常時アプリ群A3に含まれるアプリを用いて制御処理を実行する(S30)。第2制御部621は、実行した制御処理の処理結果を個別ECU2へ第2経路を介して送信する(S31)。詳しくは、第2制御部621は上記の処理結果を含むフレームを個別ECU2へ第2経路を介して送信する。第2制御部621は処理を終了する。第2制御部621は処理を終了する代わりにS28の処理を行ってもよい。
【0144】
図13は、第1制御部611が行う制御処理に係る処理を例示するフローチャートである。例えばIGスイッチがオフからオンとなった際に第1制御部611は、以下の処理を行う。
【0145】
第1制御部611は、第2制御部621から出力される要求信号を取得したか否かを判定する(S41)。第1制御部611は要求信号を取得しなかった場合(S41:NO)、第2制御部621から第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得したか否かを判定する(S42)。
【0146】
第1制御部611は、第2制御部621から上記の情報を取得していない場合(S42:NO)、第1通信部614から第1テーブルT11に基づくメッセージを取得する(S43)。即ち第1制御部611は、第1処理部61における受信対象のメッセージを第1通信部614から取得する。
【0147】
上述のように第1制御部611は取得したメッセージに含まれる情報を取得する(S44)。例えば第1制御部611は取得したメッセージに含まれるセンサ5の値を取り出す。第1制御部611は取得した情報に基づき、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて制御処理を実行する(S45)。
【0148】
第1制御部611は制御処理の処理結果を個別ECU2へ送信し(S46)、処理を終了する。例えば第1制御部611は処理結果を含むメッセージを、上述の送信テーブルに基づき、第1経路を介して個別ECU2へ送信する、又は第2処理部62及び第2経路を介して個別ECU2へ送信する。第1制御部611は処理を終了する代わりにS41の処理を行ってもよい。
【0149】
第1制御部611は、第2制御部621から第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得した場合(S42:YES)、S45の処理を行う。例えば第1制御部611は、上述のように1つのデータとしてまとめられ、圧縮された複数の情報を取得する。第1制御部611は、1つのデータとしてまとめられ、圧縮された上記の情報を解凍する。第1制御部611は、解凍された情報を取得する。第1制御部611は取得した情報に基づき、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて制御処理を実行する。第1制御部611はS46の処理を行い、処理を終了する。第1制御部611は処理を終了する代わりにS41の処理を行ってもよい。
【0150】
第1制御部611は、第1通信部614から取得したメッセージに含まれる情報と第2制御部621から取得した情報とに基づき、第1アプリ群A1に含まれるアプリを用いて制御処理を実行してもよい。例えば第1制御部611は当該制御処理の処理結果を送信テーブルに基づき個別ECU2へ送信する。
【0151】
第1制御部611は要求信号を取得した場合(S41:YES)、判定回路614aによって参照される第1受信テーブルT1を、第1テーブルT11から異常時テーブルT12に切り替える(S47)。第1制御部611は、第1通信部614から異常時テーブルT12に基づくメッセージを取得する(S48)。即ち第1制御部611は、第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを取得する。
【0152】
第1制御部611は取得したメッセージに含まれる情報を取得する(S49)。第1制御部611は、取得した情報に基づき、異常時アプリ群A3に含まれるアプリを用いて制御処理を実行する(S50)。第1制御部611は、実行した制御処理の処理結果を個別ECU2へ第1経路を介して送信する(S51)。詳しくは、第1制御部611は上記の処理結果を含むフレームを個別ECU2へ第1経路を介して送信する。第1制御部611は処理を終了する。第1制御部611は処理を終了する代わりにS48の処理を行ってもよい。
【0153】
本実施形態において、個別ECU2から出力されるメッセージは、第1処理部61の第1通信部614及び第2処理部62それぞれへ入力される。第2処理部62は第2テーブルT21に基づき、入力されるメッセージのうちの第2処理部62における受信対象のメッセージを受信し、当該メッセージに含まれる情報を取得する。第2処理部は取得した情報を第1処理部へ出力する。第1処理部61は、第2処理部62から出力された情報を取得し、取得した当該情報に基づき制御処理を行う。また第1処理部61は第1受信テーブルT1に基づき、入力されるメッセージのうちの第1処理部61における受信対象のメッセージを受信する。第1処理部は、受信したメッセージに含まれる情報を取得し、取得した当該情報に基づき制御処理を行う。個別ECU2から出力されるメッセージは、第1処理部61及び第2処理部62に分散されて受信される。第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報の取得において、第2処理部62の負荷は小さい。第2処理部62が受信したメッセージに含まれる情報を第1処理部61へ出力するので、第1処理部61は、第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を当該メッセージから取り出す必要がない。第1処理部61が第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を当該メッセージから取り出す場合に比べて、第1処理部61の負荷を小さくすることができる。第1処理部61及び第2処理部62が協同して処理を行うことによって、統合ECU6は効率よく制御処理を行うことができる。
【0154】
第2処理部62は取得した情報に基づき、第2アプリ群A2のアプリを用いて制御処理を行う。統合ECU6は、第1処理部61及び第2処理部62に制御処理を分散させて行わせることができるので、より効率よく制御処理を行うことができる。
【0155】
第2処理部62は受信したメッセージに含まれる情報を圧縮し、圧縮した情報を第1処理部61へ出力する。第2処理部62は受信したメッセージに含まれる情報を効率よく第1処理部61へ出力することができる。第2処理部62は受信したメッセージに含まれる情報を複数取得し、取得した複数の情報をまとめて第1処理部61へ出力する。第1処理部61及び第2処理部62の間における通信の頻度を少なくすることができるので、第1処理部61及び第2処理部62の負荷を小さくすることができる。
【0156】
第1処理部61は、突発的に出力されるメッセージ、いわゆるイベントメッセージを受信し、当該メッセージに基づく情報に基づき制御処理を行う。突発的に出力されるメッセージに基づく制御処理は早く行われる必要がある。第1処理部61が受信したメッセージに含まれる情報に基づき制御処理を行う場合、個別ECU2からメッセージが出力された時点から制御処理が終了する時点までの時間は、第1処理部61が第2処理部62からメッセージに含まれる情報を取得する場合に比べて短い。第1処理部61が突発的に出力されるメッセージを受信するので、突発的に出力されるメッセージが出力された場合に、統合ECU6は制御処理を早く行うことができる。
【0157】
第1処理部61は、先進運転支援システム関連のメッセージのうちの車間データ又は駆動力データを含むメッセージを受信し、制御処理を行う。第1処理部61は上記のメッセージに基づく制御処理を早く行うことができるので、適切に車両Cの駆動を制御することができる。第1処理部61は第2処理部62からメータ通知用データを含むメッセージに含まれる情報を取得するので、第1処理部61の処理負荷の増加を抑制することができる。
【0158】
第1処理部61はメッセージの種別に応じて、制御処理の処理結果を含むメッセージを、第2処理部62を介さずに又は第2処理部62を介して個別ECU2へ送信する。第1処理部61は第2処理部62を介さずに、高い応答性が要求される処理結果を含むメッセージを個別ECU2へ送信することによって、当該メッセージを早く個別ECU2へ送信することができる。統合ECU6はメッセージの送信において2つの経路を用いるので、メッセージを効率よく個別ECU2へ送信することができる。
【0159】
第1処理部61は第2処理部62からの要求に応じて、第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。第2処理部62がメッセージを受信できない場合であっても、第1処理部61は制御処理を行うことができる。第2処理部62は第1処理部61からの要求に応じて、第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。第1処理部61が制御処理を実行できない場合であっても、統合ECU6は第2処理部62に制御処理を実行させることができる。
【0160】
統合ECU6は通信ラインの異常を検出するので、統合ECU6と個別ECU2との間の通信における異常を検出することができる。統合ECU6は、第1処理部61と個別ECU2との間の通信における異常が検出された場合、第1処理部61及び第2処理部62のうちの第2処理部62にメッセージの受信と制御処理とを行わせる。統合ECU6は、第1処理部61と個別ECU2との間の通信における異常が検出された場合、第1処理部61及び第2処理部62のうちの第1処理部61にメッセージの受信と制御処理とを行わせる。第1処理部61及び第2処理部62の一方と個別ECU2との間の通信における異常が発生した場合であっても統合ECU6は、第1処理部61における受信対象のメッセージと、第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行うことができる。
【0161】
なお統合ECU6は、異常が検出されていない場合に第2処理部62が第2アプリ群A2のアプリを用いて制御処理を行わない構成でもよい。この場合、第1アプリ群A1に第2アプリ群A2のアプリが含まれる。
【0162】
統合ECU6には、個別のプロセッサによって構成される3つ以上の処理部が設けられていてもよい。例えば統合ECU6は、個別のプロセッサである第1処理部61、第2処理部62及び第3処理部を備えていてもよい。
【0163】
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係る統合ECU6の構成を例示するブロック図である。実施形態2に係る構成の内、実施形態1と同様な構成部については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。統合ECU6は、第1処理部61、第2処理部62、及び複数の送受信部64を備える。第1処理部61は2つの接続部616を備える。第2処理部62は2つの接続部626を備える。
【0164】
図14の統合ECU6には、4つの送受信部64が設けられている。4つの送受信部64のうち、2つの送受信部64は異なる第1配線65を介して第1処理部61と接続されている。以下、第1処理部61と接続される送受信部64を、第1処理部61側の送受信部64とも称する。第1処理部61側の送受信部64の一方と接続された第1配線65は、一方の接続部616と接続されている。第1処理部61側の送受信部64の他方と接続された第1配線65は、他方の接続部616と接続されている。
【0165】
4つの送受信部64のうち、残りの2つの送受信部64は異なる第1配線65を介して第2処理部62と接続されている。以下、第2処理部62と接続される送受信部64を、第2処理部62側の送受信部64とも称する。第2処理部62側の送受信部64の一方と接続された第1配線65は、一方の接続部626と接続されている。第2処理部62側の送受信部64の他方と接続された第1配線65は、他方の接続部626と接続されている。
【0166】
統合ECU6は、各送受信部64に応じたコネクタ1を備える。詳しくは、統合ECU6は送受信部64の個数と同じ個数のコネクタ1を備える。第1処理部61側の送受信部64の一方と第1のコネクタ1とが第2配線66によって接続されている。第1処理部61側の送受信部64の他方と第2のコネクタ1とが第2配線66によって接続されている。第2処理部62側の送受信部64の一方と第3のコネクタ1とが第2配線66によって接続されている。第2処理部62側の送受信部64の他方と第4のコネクタ1とが第2配線66によって接続されている。
【0167】
統合ECU6は2つの個別ECU2と接続されている。詳しくは、一方の個別ECU2は、第1処理部61側の送受信部64と接続されたコネクタ1の一方と、第2処理部62側の送受信部64と接続されたコネクタ1の一方と、通信線7によって接続されている。他方の個別ECU2は、第1処理部61側の送受信部64と接続されたコネクタ1の他方と、第2処理部62側の送受信部64と接続されたコネクタ1の他方と、通信線7によって接続されている。一方の個別ECU2に接続される通信線7と、他方の個別ECU2に接続される通信線7とは異なる。
【0168】
通信線7は分岐している。通信線7は、分岐部7d、及び分岐部7dと個別ECU2との間の共通部分7aを含む。また通信線7は、分岐部7dと第1処理部61側の送受信部64と接続されたコネクタ1との間の第1部分7bを含む。また通信線7は、分岐部7dと第2処理部62側の送受信部64と接続されたコネクタ1との間の第2部分7cを含む。
【0169】
第1処理部61及び第2処理部62と個別ECU2とは、第1配線65、送受信部64、第2配線66、及び通信線7を介して通信する。個別ECU2によって出力されるメッセージは、第1処理部61の第1通信部614及び第2処理部62の第2通信部624に入力される。詳しくは、上記のメッセージは通信線7の共通部分7a及び第1部分7bと、第2配線66と、送受信部64と、第1配線65とを介して第1通信部614に入力される。通信線7の共通部分7a及び第1部分7bと、第2配線66と、送受信部64と、第1配線65とを介する経路は、実施形態2の第1経路である。上記のメッセージは通信線7の共通部分7a及び第2部分7cと、第2配線66と、送受信部64と、第1配線65とを介して第2通信部624に入力される。通信線7の共通部分7a及び第2部分7cと、第2配線66と、送受信部64と、第1配線65とを介する経路は、実施形態2の第2経路である。
【0170】
実施形態1と同様に第2処理部62の第2制御部621は、第2通信部624から第2処理部における受信対象のメッセージを取得する。第2処理部62は受信したメッセージに含まれる情報を第1処理部61の第1制御部611へ出力する。また第2制御部は取得したメッセージに含まれる情報に基づき、第2アプリ群A2のアプリを用いて制御処理を行う。第2制御部621は制御処理の処理結果を含むメッセージを、第2経路を介して個別ECU2へ送信する。
【0171】
実施形態1と同様に第1制御部611は、第1通信部614から第1処理部61における受信対象のメッセージを取得する。また第1制御部611は、第2制御部621から第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得する。第1制御部611は、取得したメッセージに含まれる情報及び第2制御部621から取得した情報の少なくとも一方に基づき、第1アプリ群A1のアプリを用いて制御処理を行う。第1制御部611は制御処理の処理結果を含むメッセージを、第1経路を介して個別ECU2へ送信する。又は、第1制御部611は処理結果を含むメッセージを、第2処理部62及び第2経路を介して個別ECU2へ送信する。
【0172】
実施形態1と同様に第1制御部611及び第2制御部621は、第1配線65、送受信部64、第2配線66及び通信線7を含む通信ラインの異常を検出する。本実施形態においては、一方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインと、他方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインとの2つの通信ラインが設けられている。
【0173】
通信ラインは、共通通信ライン、第1通信ライン及び第2通信ラインを含む。実施形態2の共通通信ラインは通信線7の共通部分7aを含む。実施形態2の第1通信ラインは、第1処理部61と接続された第1配線65、送受信部64及び第2配線66と、通信線7の第1部分7bとを含む。実施形態2の第2通信ラインは、第2処理部62と接続された第1配線65、送受信部64及び第2配線66と、通信線7の第2部分7cとを含む。
【0174】
第1制御部611及び第2制御部621は実施形態1と同様に、異常検出の際、第1通信部614及び第2通信部624におけるメッセージの入力状況を確認する。第1制御部611及び第2制御部621の少なくとも一方は実施形態1と同様に、メッセージの入力状況に応じて、共通通信ライン、第1通信ライン又は第2通信ラインの異常を検出する。第1制御部611及び第2制御部621の少なくとも一方は、異常を検出した場合に、図示しない外部サーバ又は運転手が所持する端末へ異常がある旨を送信してもよい。
【0175】
例えば第2通信ラインの異常が検出された場合、第1制御部611は第2制御部621から出力される要求信号を取得する。第1制御部611は要求信号を取得した場合、実施形態1と同様に、第1通信部614から第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。例えば第1通信ラインの異常が検出された場合、第2制御部621は第1制御部611から出力される要求信号を取得する。第2制御部621は要求信号を取得した場合、実施形態1と同様に、第2通信部624から第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。
【0176】
本実施形態において、第1処理部61及び第2処理部62は異なる送受信部64を介して各個別ECU2と接続されている。統合ECU6はいずれかの送受信部64に異常がある場合でも各個別ECU2と通信することができる。なお個別ECU2の個数は2つに限定されない。送受信部64の個数は4つに限定されない。
【0177】
(実施形態3)
図15は、実施形態3に係る統合ECU6の構成を例示するブロック図である。実施形態3に係る構成の内、実施形態2と同様な構成部については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態3の統合ECU6は4つの送受信部64を備える。実施形態2と同様に、4つの送受信部64のうち、2つの送受信部64は第1処理部61と第1配線65によって接続されている。4つの送受信部64のうち、残りの2つの送受信部64は第2処理部62と第1配線65によって接続されている。
【0178】
統合ECU6は2つのコネクタ1を備える。一方のコネクタ1は、第1処理部61側の送受信部64の一方と第2処理部62側の送受信部64の一方と、第2配線66を介して接続されている。他方のコネクタ1は、第1処理部61側の送受信部64の他方と第2処理部62側の送受信部64の他方と、第2配線66を介して接続されている。一方のコネクタ1に接続される第2配線66と他方のコネクタ1に接続される第2配線66とは異なる。
【0179】
第2配線66は分岐している。第2配線66は、分岐部66d、及び分岐部66dとコネクタ1との間の共通部分66aを含む。また第2配線66は、分岐部66dと第1処理部61側の送受信部64との間の第1部分66bを含む。また第2配線66は、分岐部66dと第2処理部62側の送受信部64との間の第2部分66cを含む。
【0180】
一方のコネクタ1は、通信線7によって一方の個別ECU2と接続されている。他方のコネクタ1は、通信線7によって他方の個別ECU2と接続されている。一方の個別ECU2と接続される通信線7と他方の個別ECU2と接続される通信線7とは異なる。
【0181】
第1処理部61及び第2処理部62と個別ECU2とは、第1配線65、送受信部64、第2配線66、及び通信線7を介して通信する。個別ECU2によって出力されるメッセージは、第1処理部61の第1通信部614及び第2処理部62の第2通信部624に入力される。詳しくは、上記のメッセージは通信線7と、第2配線66の共通部分66a及び第1部分66bと、送受信部64と、第1配線65とを介して第1通信部614に入力される。通信線7と、第2配線66の共通部分66a及び第1部分66bと、送受信部64と、第1配線65とを介する経路は、実施形態3の第1経路である。上記のメッセージは通信線7と、第2配線66の共通部分66a及び第2部分66cと、送受信部64と、第1配線65とを介して第2通信部624に入力される。通信線7と、第2配線66の共通部分66a及び第2部分66cと、送受信部64と、第1配線65とを介する経路は、実施形態3の第2経路である。
【0182】
実施形態1と同様に第2処理部62の第2制御部621は、第2通信部624から第2処理部における受信対象のメッセージを取得する。第2処理部62は取得したメッセージに含まれる情報を第1処理部61へ出力する。また第2制御部は取得したメッセージに含まれる情報に基づき、第2アプリ群A2のアプリを用いて制御処理を行う。第2制御部621は制御処理の処理結果を含むメッセージを、第2経路を介して個別ECU2へ送信する。
【0183】
実施形態1と同様に第1処理部61の第1制御部611は、第1通信部614から第1処理部61における受信対象のメッセージを取得する。また第1制御部611は、第2制御部621から第2処理部62における受信対象のメッセージに含まれる情報を取得する。第1制御部611は、取得したメッセージに含まれる情報及び第2制御部621から取得した情報の少なくとも一方に基づき、第1アプリ群A1のアプリを用いて制御処理を行う。第1制御部611は制御処理の処理結果を含むメッセージを、第1経路を介して個別ECU2へ送信する。又は、第1制御部611は処理結果を含むメッセージを、第2処理部62及び第2経路を介して個別ECU2へ送信する。
【0184】
実施形態1と同様に第1制御部611及び第2制御部621は、第1配線65、送受信部64、第2配線66及び通信線7を含む通信ラインの異常を検出する。本実施形態においては、一方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインと、他方の個別ECU2と第1処理部61及び第2処理部62とを接続する通信ラインとの2つの通信ラインが設けられている。
【0185】
通信ラインは共通通信ライン、第1通信ライン及び第2通信ラインを含む。実施形態3の共通通信ラインは、第2配線66の共通部分66a及び通信線7を含む。実施形態3の第1通信ラインは、第1処理部61と接続された第1配線65及び送受信部64と、第2配線66の第1部分66bとを含む。実施形態3の第2通信ラインは、第2処理部62と接続された第1配線65及び送受信部64と、第2配線66の第2部分66cとを含む。
【0186】
第1制御部611及び第2制御部621は実施形態1と同様に、異常検出の際、第1通信部614及び第2通信部624におけるメッセージの入力状況を確認する。第1制御部611及び第2制御部621の少なくとも一方は実施形態1と同様に、メッセージの入力状況に応じて、共通通信ライン、第1通信ライン又は第2通信ラインの異常を検出する。第1制御部611及び第2制御部621の少なくとも一方は、異常を検出した場合に、図示しない外部サーバ又は運転手が所持する端末へ異常がある旨を送信してもよい。
【0187】
例えば第2通信ラインの異常が検出された場合、第1制御部611は第2制御部621から出力される要求信号を取得する。第1制御部611は要求信号を取得した場合、実施形態1と同様に、第1通信部614から第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。例えば第1通信ラインの異常が検出された場合、第2制御部621は第1制御部611から出力される要求信号を取得する。第2制御部621は要求信号を取得した場合、実施形態1と同様に、第2通信部624から第1処理部61における受信対象のメッセージと第2処理部62における受信対象のメッセージとを受信し、制御処理を行う。
【0188】
本実施形態において、第1処理部61及び第2処理部62は異なる送受信部64を介して各個別ECU2と接続されている。統合ECU6はいずれかの送受信部64に異常がある場合でも各個別ECU2と通信することができる。第2配線66が分岐しているので、実施形態2の統合ECU6に比べてコネクタ1の個数を少なくすることができる。なお個別ECU2の個数は2つに限定されない。送受信部64の個数は4つに限定されない。
【0189】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0190】
A1 第1アプリ群
A2 第2アプリ群
A3 異常時アプリ群
C 車両
T1 第1受信テーブル
T11 第1テーブル
T12 異常時テーブル
T2 第2受信テーブル
T21 第2テーブル
T22 異常時テーブル
1 コネクタ
2 個別ECU(車載ECU)
3 車載機器
4 アクチュエータ
5 センサ
6 統合ECU(車載装置)
61 第1処理部
611 第1制御部
612 第1記憶部
613 通信I/F
614 第1通信部
614a 判定回路
615 第1プログラム
616 接続部
617 入出力部
618 受信バッファ
619 送信キュー
62 第2処理部
621 第2制御部
622 第2記憶部
623 通信I/F
624 第2通信部
624a 判定回路
625 第2プログラム
626 接続部
627 入出力部
628 受信バッファ
629 送信キュー
63 記録媒体
64 送受信部
65 第1配線
65a 共通部分
65b 第1部分
65c 第2部分
65d 分岐部
66 第2配線
66a 共通部分
66b 第1部分
66c 第2部分
66d 分岐部
7 通信線
7a 共通部分
7b 第1部分
7c 第2部分
7d 分岐部