(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】帳票連続紙
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G06K19/077 156
G06K19/077 136
G06K19/077 264
G06K19/077 300
(21)【出願番号】P 2021030585
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水沼 義博
(72)【発明者】
【氏名】水谷 芳宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 信行
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068487(JP,A)
【文献】特開2016-087806(JP,A)
【文献】特開2004-333650(JP,A)
【文献】特開2012-048478(JP,A)
【文献】特開2006-285380(JP,A)
【文献】特開2006-024107(JP,A)
【文献】特開2007-148735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ね可能に連接した帳票連続紙であって、
前記複数の帳票紙片のそれぞれの一方の面には、インレットシートにアンテナが形成されるとともに該アンテナに接続されたICチップが実装されてなるインレットがラベル部材に挟み込まれて構成されたRFIDタグが、前記複数の帳票紙片どうしで同一の貼り付け位置に貼付され、
前記複数の帳票紙片にそれぞれ貼付された複数のRFIDタグは、前記アンテナの形状及び該アンテナに対する前記ICチップの位置が前記複数のRFIDタグどうしで互いに同一であり、かつ、前記アンテナ及びICチップの位置が、前記複数の帳票紙片の連接方向において所定の周期で、前記複数のRFIDタグどうしで互いにずれている、帳票連続紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の帳票紙片が連接した帳票連続紙に関し、特に、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に、複数の帳票紙片のそれぞれに貼付されたRFIDタグのICチップが破損してしまう可能性を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品や情報を管理するための所定のフォーマットが印刷された帳票紙片が用いられている。このような帳票紙片は、使用前には、複数の帳票紙片がミシン目等の切り離し線を介して切り離し可能に連接した構成としておくことで、複数の帳票紙片を保管しやすくするとともに、複数の帳票紙片に情報を印字しやすくすることができる。
【0003】
近年、タグに対して非接触通信によって情報の書き込みや読み取りを行うことが可能なRFIDタグを用いて、電子的なデータによって物品等の管理を行うことが様々な分野で行われている。上述したような帳票紙片にもRFIDタグを貼付しておくことで、印字された情報のみならず、RFIDタグに書き込まれた電子的なデータを用いて物品等を管理することができる。
【0004】
ところで、複数の帳票紙片が切り離し線を介して切り離し可能に連接した帳票連続紙においては、切り離し線を介して蛇腹状に折り重ねられて保管される場合が多い。その場合、複数の帳票紙片のそれぞれにRFIDタグが貼付されていると、蛇腹状に折り重ねられた状態においては、RFIDタグが複数の帳票紙片どうしで同一の位置に貼付されていることで、RFIDタグどうしが重なり合うことになる。複数のRFIDタグは、非接触通信用のアンテナとアンテナを介して非接触通信を行うICチップが、複数のRFIDタグどうしで同一の位置に設けられているため、複数のRFIDタグが重なり合うことでICチップどうしが重なり合い、搬送時の振動や保管時のICチップの自重によってICチップが破損してしまう虞が生じてしまう。また、ICチップどうしが重なり合うことで、ICチップが設けられた領域が局所的に厚くなって外力が加わりやすくなり、ICチップが破損する可能性が高くなってしまう。
【0005】
ここで、アンテナコイルとICチップとを有するICタグラベルの連続体において、ICタグラベル毎にアンテナコイル上のICチップの実装位置を異ならせることで、ICタグラベルを積層した際、ICチップに局所的に荷重が加わることを防止し、ICチップが破損したり、ICチップに傷が生じたりする不具合を軽減することができるようにした技術が、特許文献1に開示されている。
【0006】
そこで、上述したようにRFIDタグが貼付された帳票紙片が複数連接した帳票連続紙においても、帳票紙片毎にアンテナ上のICチップの実装位置を異ならせることで、ICチップが破損してしまう可能性を低減することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、RFIDタグが貼付された帳票紙片が複数連接した帳票連続紙において、帳票紙片毎にアンテナ上のICチップの実装位置を異ならせるものは、アンテナ上のICチップの実装位置を帳票紙片毎に変更することになるため、アンテナのICチップとの接続箇所を変更することに伴ってアンテナの形状を複数設定しなければならず、設計作業が煩雑になってしまうという問題点がある。また、アンテナ上のICチップの実装位置を帳票紙片毎に変更することになることで、アンテナ上にICチップを実装するボンディング作業が煩雑となるとともに、実装位置を変更する機能を有さない実装機においては、製造自体が困難となってしまう虞がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、RFIDタグが貼付された帳票紙片が複数連接した帳票連続紙において、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に、RFIDタグのICチップが破損してしまう可能性を簡易な構成で低減することができる帳票連続紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ね可能に連接した帳票連続紙であって、
前記複数の帳票紙片のそれぞれの一方の面には、インレットシートにアンテナが形成されるとともに該アンテナに接続されたICチップが実装されてなるインレットがラベル部材に挟み込まれて構成されたRFIDタグが、前記複数の帳票紙片どうしで同一の貼り付け位置に貼付され、
前記複数の帳票紙片にそれぞれ貼付された複数のRFIDタグは、前記アンテナの形状及び該アンテナに対する前記ICチップの位置が前記複数のRFIDタグどうしで互いに同一であり、かつ、前記アンテナ及びICチップの位置が、前記複数の帳票紙片の連接方向において所定の周期で、前記複数のRFIDタグどうしで互いにずれている。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ね可能に連接した帳票連続紙において、複数の帳票紙片のそれぞれの一方の面に、インレットシートにアンテナが形成されるとともにアンテナに接続されたICチップが実装されてなるインレットがラベル部材に挟み込まれて構成されたRFIDタグが、複数の帳票紙片どうしで同一の貼り付け位置に貼付されており、複数の帳票紙片にそれぞれ貼付された複数のRFIDタグのアンテナの形状及びアンテナに対するICチップの位置が複数のRFIDタグどうしで互いに同一であるものの、アンテナ及びICチップの位置が、複数の帳票紙片の連接方向において所定の周期で、複数のRFIDタグどうしで互いにずれていることで、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に互いに重なり合うICチップの数が減少し、それにより、ICチップが破損してしまう可能性が低減する。また、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に、重なり合うICチップ間に他の帳票紙片のICチップが実装されていない領域が介在し、それによっても、ICチップが破損してしまう可能性が低減する。その際、複数の帳票紙片にそれぞれ貼付された複数のRFIDタグのアンテナの形状及びアンテナに対するICチップの位置は複数のRFIDタグどうしで互いに同一であることで、アンテナの形状やICチップの実装位置を複数の帳票紙片毎に変更する必要はない。また、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に互いに重なり合うICチップの数を減少させるためにRFIDタグの帳票紙片に対する貼付位置を異ならせた場合、RFIDタグの帳票紙片に対する貼付位置が一定でないことによって偽造されたものであると疑念を持たれてしまう虞があるが、RFIDタグが、複数の帳票紙片どうしで同一の貼り付け位置に貼付されていることで、そのような疑念を生じさせることを回避しながらも、重なり合うICチップの数を減少させることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の帳票紙片の同一の貼り付け位置にそれぞれ貼付された複数のRFIDタグのアンテナの形状及びアンテナに対するICチップの位置が複数のRFIDタグどうしで互いに同一であるものの、アンテナ及びICチップの位置を、複数の帳票紙片の連接方向において所定の周期で、複数のRFIDタグどうしで互いにずらすことで、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に互いに重なり合うICチップの数を減少させているため、RFIDタグが貼付された帳票紙片が複数連接した帳票連続紙において、複数の帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられた場合に、RFIDタグのICチップが破損してしまう可能性を簡易な構成で低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の帳票連続紙の実施の一形態を示す図である。
【
図2】
図1に示したRFIDタグの構成を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はインレットの表面の構成を示す図である。
【
図3】
図1に示した3つの帳票紙片のそれぞれに貼付されたRFIDタグどうしの構成の違いを説明するための図である。
【
図4】
図1~
図3に示したRFIDタグの製造方法を説明するための図である。
【
図5】
図1~
図3に示した帳票連続紙の作用を説明するための図であり、(a)は帳票紙片の折り重ね方を示す外観斜視図、(b)は帳票紙片が折り重ねられた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の帳票連続紙の実施の一形態を示す図である。
【0016】
本形態における帳票連続紙は
図1に示すように、長方形の帳票紙片10-1~10-nが、その長手方向に連接して構成されている。帳票紙片10-1~10-n間には、ミシン目11が形成されており、それにより、帳票紙片10-1~10-nは互いに切り離し可能となっているとともに、ミシン目11を中心として折り重ね可能となっている。
【0017】
帳票紙片10-1~10-nのそれぞれの一方の面には、RFIDタグ20-1~20-nが貼付されている。RFIDタグ20-1~20-nは、帳票紙片10-1~10-nどうしで同一の貼り付け位置12-1~12-nに貼付されている。
【0018】
図2は、
図1に示したRFIDタグ20-1の構成を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はインレット30の表面の構成を示す図である。
【0019】
図1に示したRFIDタグ20-1は
図2に示すように、例えば長方形の角部に丸みを帯びた略長方形の形状を有し、インレット30の表裏にラベル部材となる表層シート21a,21bが積層され、それにより、インレット30が表層シート21a,21bに挟み込まれて構成されている。インレット30は、樹脂や紙等からなるインレットシート31の一方の面に、コイル状のアンテナ33が形成されるとともに、ICチップ32がアンテナ33に接続されて実装されている。表層シート21bのインレット30との積層面とは反対側の面には、粘着層22が積層されている。
【0020】
このように構成されたRFIDタグ20-1は、ICチップ32に対して非接触で情報の書き込みや読み取りを行うリーダー/ライターを近接させると、リーダー/ライターから供給される電力によってアンテナ33に電流が流れ、リーダー/ライターとICチップ32との間においてアンテナ33を介して非接触で情報の書き込みや読み取りが行われることになる。
【0021】
図1に示したRFIDタグ20-2~20-nも、
図2に示したRFIDタグ20-1と同様に、インレットシート31の一方の面にアンテナ33が形成されるとともにICチップ32が実装されたインレット30が、表層シート21a,21bに挟み込まれ、表層シート21bのインレット30との積層面とは反対側の面に粘着層22が積層されて構成されている。
【0022】
このように構成されたRFIDタグ20-1~20-nは、例えば
図1に示したように、長手方向が帳票紙片10-1~10-nの連接方向に直交する向きで、粘着層22によって帳票紙片10-1~10-nの貼り付け位置12-1~12-nにそれぞれ貼付されている。
【0023】
ここで、
図1に示した帳票紙片10-1~10-nのそれぞれに貼付されたRFIDタグ20-1~20-nどうしの構成の違いについて説明する。
【0024】
図3は、
図1に示した3つの帳票紙片10-1~10-3のそれぞれに貼付されたRFIDタグ20-1~20-3どうしの構成の違いを説明するための図であり、インレット30の表面の構成を示す。
【0025】
図1に示した3つの帳票紙片10-1~10-3のそれぞれに貼付されたRFIDタグ20-1~20-3は
図3に示すように、インレットシート31の一方の面に、互いに同一の形状のアンテナ33が形成されるとともに、アンテナ33に対する同一の位置にICチップ32が接続されて実装されて構成されている。ところが、アンテナ33及びICチップ32の位置は、インレットシート31の短手方向に互いにずれている。具体的には、RFIDタグ20-1においては、
図3(a)に示すように、アンテナ33及びICチップ32が、インレットシート31の短手方向において図中右側に寄っており、RFIDタグ20-2においては、
図3(b)に示すように、アンテナ33及びICチップ32が、インレットシート31の短手方向において図中中央に配置されており、RFIDタグ20-3においては、
図3(c)に示すように、アンテナ33及びICチップ32が、インレットシート31の短手方向において図中左側に寄っている。
【0026】
本形態における帳票連続紙1においては、ミシン目11を介して連接した複数の帳票紙片10-1~10-nにそれぞれ貼付されるRFIDタグ20-1~20-nが、この3つの構成が帳票紙片10-1~10-nの連接方向に周期的に繰り返されたものとなっている。そのため、6つのRFIDタグ20-1~20-6で言えば、RFIDタグ20-1とRFIDタグ20-4の構成が、
図3(a)に示したものとなり、RFIDタグ20-2とRFIDタグ20-5の構成が、
図3(b)に示したものとなり、RFIDタグ20-3とRFIDタグ20-6の構成が、
図3(c)に示したものとなっている。これにより、RFIDタグ20-1~20-nが
図1に示したように帳票紙片10-1~10-nに貼付された場合、アンテナ33及びICチップ32の位置が、3つの帳票紙片毎に帳票紙片10-1~10-nの連接方向にずれた状態となる。
【0027】
以下に、上述したRFIDタグ20-1~20-nの製造方法について説明する。
【0028】
図4は、
図1~
図3に示したRFIDタグ20-1~20-nの製造方法を説明するための図である。
【0029】
図1~
図3に示したRFIDタグ20-1~20-nを製造する場合は、まず、
図4(a)に示すように、
図2に示したインレットシート31が帯状となったウェブシート131上に、RFIDタグ20-1~20-nをそれぞれ構成するアンテナ33を印刷等によって形成し、その後、ICチップ32をアンテナ33に接続されるように実装する。その際、上述したように、RFIDタグ20-1~20-nをそれぞれ構成するアンテナ33の形状はRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一であり、また、アンテナ33に対するICチップ32の位置もRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一である。そして、ウェブシート131上には、RFIDタグ20-1~20-n毎に、アンテナ33及びICチップ32が一定のピッチPで形成、実装される。
【0030】
次に、アンテナ33及びICチップ32が形成、実装されたウェブシート131を、表層シート21a,21bが帯状となった2枚のシートで挟み込む。この際、表層シート21bを構成するシートは、一方の面に粘着層が積層され、この粘着層によって剥離紙が剥離可能に貼着されたものを用いることによって粘着層22を構成できる。
【0031】
その後、2枚のシートで挟み込まれたウェブシート131を、
図4(b)に示すような彫刻胴2を用いて切断することで、
図1~
図3に示したようなRFIDタグ20-1~20-nを完成させる。この際、表層シート21bを構成するシートに剥離可能に貼着された連続状の剥離紙のみは切断しないことで、帯状の形状を維持した状態となる。
【0032】
彫刻胴2には、
図4(b)に示すように、RFIDタグ20-1~20-nの外形と同一形状の切断刃3-1~3-n(3-1~3-7のみ図示)が設けられている。切断刃3-1~3-nの並び方向の幅Wは、RFIDタグ20-1~20-nの短手方向の幅と同一となっている。すなわち、RFIDタグ20-1~20-nが互いに同一形状であることから、切断刃3-1~3-nの並び方向の幅Wも互いに同一のものとなっている。一方、切断刃3-1~3-nの並び方向の間隔は、切断刃3-1~3-7までで言うと、切断刃3-1と切断刃3-2との間隔t1と、切断刃3-2と切断刃3-3との間隔t1と、切断刃3-4と切断刃3-5との間隔t1と、切断刃3-5と切断刃3-6との間隔t1とが互いに同一であり、切断刃3-3と切断刃3-4との間隔t2と、切断刃3-6と切断刃3-7との間隔t2とが互いに同一であり、そして、切断刃3-1と切断刃3-2との間隔t1、切断刃3-2と切断刃3-3との間隔t1、切断刃3-4と切断刃3-5との間隔t1及び切断刃3-5と切断刃3-6との間隔t1と、切断刃3-3と切断刃3-4との間隔t2及び切断刃3-6と切断刃3-7との間隔t2とが互いに異なるものとなっている。
【0033】
これは、
図3に示したように、アンテナ33及びICチップ32の位置を、3つの帳票紙片毎に帳票紙片10-1~10-nの連接方向にずれた状態とするためである。例えば、ウェブシート131上のアンテナ33及びICチップ32のピッチPを25.4mmとし、RFIDタグ20-1~20-nの短手方向の幅を22mmとした場合、切断刃3-1~3-nがRFIDタグ20-1~20-nの外形と同一形状であることから、切断刃3-1~3-nの間隔を、(25.4mm)-(22mm)=(3.4mm)とすれば、アンテナ33及びICチップ32の位置がRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一のものとなる。
【0034】
本形態においては、切断刃3-1~3-nの間隔について、切断刃3-1と切断刃3-2との間隔t1、切断刃3-2と切断刃3-3との間隔t1、切断刃3-4と切断刃3-5との間隔t1及び切断刃3-5と切断刃3-6との間隔t1を4.9mmとし、切断刃3-3と切断刃3-4との間隔t2及び切断刃3-6と切断刃3-7との間隔t2を0.4mmとしている。
【0035】
このように、切断刃3-1と切断刃3-2との間隔t1及び切断刃3-2と切断刃3-3との間隔t1を、アンテナ33及びICチップ32の位置をRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一のものとする間隔である3.4mmよりも広い4.9mmとすることで、
図4(c)に示すように、RFIDタグ20-1においては、アンテナ33及びICチップ32がインレットシート31の短手方向において図中右側に寄ったものとし、RFIDタグ20-2においては、アンテナ33及びICチップ32がインレットシート31の短手方向において図中中央に配置されたものとし、RFIDタグ20-3においては、アンテナ33及びICチップ32がインレットシート31の短手方向において図中左側に寄ったものとすることができる。そして、切断刃3-3と切断刃3-4との間隔t2を、アンテナ33及びICチップ32の位置をRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一のものとする間隔である3.4mmよりも狭い0.4mmとすることで、上述したずれ量を一旦リセットし、アンテナ33及びICチップ32の位置が、RFIDタグ20-1とRFIDタグ20-4とで互いに同一となり、RFIDタグ20-2とRFIDタグ20-5とで互いに同一となり、RFIDタグ20-3とRFIDタグ20-6とで互いに同一となるというように、アンテナ33及びICチップ32の位置のずれを3つのRFIDタグ毎に繰り返し実現している。
【0036】
このようにして、アンテナ33及びICチップ32の位置が、3つのRFIDタグ毎の周期でずれているものの、RFIDタグ20-1~20-nのアンテナ33の形状及びアンテナ33に対するICチップ32の位置がRFIDタグ20-1~20-nどうしで互いに同一であることで、アンテナ33の形状やICチップ32の実装位置をRFIDタグ20-1~20-n毎に変更する必要はない。さらに、インレットシート31が帯状となったウェブシート131上におけるアンテナ33及びICチップ32のピッチPが一定のものであるため、既存の設備を用いてウェブシート131上にアンテナ33及びICチップ32を形成、実装することができる。
【0037】
上記のようにして製造されたRFIDタグ20-1~20-nは、
図1に示したように、帳票紙片10-1~10-nの貼り付け位置12-1~12-nにそれぞれラベラーによって貼付されることになる。その際、上記のようにして製造されたRFIDタグ20-1~20-nは、
図4(c)に示したように、アンテナ33及びICチップ32の位置が3つのRFIDタグ毎に周期的にずれているため、帳票紙片10-1~10-nの貼り付け位置12-1~12-nに順次貼付していくことで、アンテナ33及びICチップ32の位置が3つの帳票紙片毎に周期的にずれたものとなる。
【0038】
以下に、上記のようにして製造された帳票連続紙1の作用について説明する。
【0039】
図5は、
図1~
図3に示した帳票連続紙1の作用を説明するための図であり、(a)は帳票紙片の折り重ね方を示す外観斜視図、(b)は帳票紙片が折り重ねられた状態の断面図である。なお、
図5(b)においては、説明をわかりやすくするためにRFIDタグの表層シート及び粘着層の図示は省略している。
【0040】
図1~
図3に示した帳票連続紙1は、例えば
図5(a)に示すように、連接する2つの帳票紙片を1組としてミシン目11を中心として山折りと谷折りとを繰り返すことで蛇腹状に折り重ねられる。すると、帳票紙片10-1~10-nには、互いに同一の貼り付け位置12-1~12-nにRFIDタグ20-1~20-nが貼付されていることから、
図5(b)に示すように、折り重ねられた帳票紙片10-1~10-nの一段おきにRFIDタグが重なり合うことになる。
【0041】
ところが、
図1~
図3に示した帳票連続紙1に貼付されたRFIDタグ20-1~20-nは上述したように、アンテナ33及びICチップ32の位置が3つのRFIDタグ毎に周期的にずれているため、
図5(b)に示すように、互いに重なり合うICチップ32の数が減少する。例えば
図5(b)に示すものにおいては、帳票紙片10-1に貼付されたRFIDタグ20-1と、帳票紙片10-5に貼付されたRFIDタグ20-5と、帳票紙片10-9に貼付されたRFIDタグ20-9とが重なり合っているものの、RFIDタグ20-1のICチップ32と、RFIDタグ20-5のICチップ32と、RFIDタグ20-9のICチップ32とは重なり合っていない。これにより、搬送時の振動や保管時のICチップ32の自重等によってICチップ32が破損してしまう可能性が低減する。また、例えば
図5(b)に示すものにおいては、帳票紙片10-1に貼付されたRFIDタグ20-1のICチップ32と、帳票紙片10-13に貼付されたRFIDタグ20-13のICチップ32とが重なり合うことになるが、これらRFIDタグ20-1のICチップ32とRFIDタグ20-13のICチップ32との間には、帳票紙片10-4,10-5,10-8,10-9,10-12のICチップ32が実装されていない領域が介在することで、これらの領域が緩衝材の役割を果たし、ICチップ32が破損してしまう可能性が低減する。
【0042】
これにより、RFIDタグ20-1~20-nが貼付された帳票紙片10-1~10-nが複数連接した帳票連続紙1において、複数の帳票紙片10-1~10-nが蛇腹状に折り重ねられた場合に、RFIDタグ20-1~20-nのICチップ32が破損してしまう可能性を簡易な構成で低減することができる。
【0043】
また、複数の帳票紙片10-1~10-nが蛇腹状に折り重ねられた場合に互いに重なり合うICチップ32の数を減少させるためにRFIDタグ20-1~20-nの帳票紙片10-1~10-nに対する貼付位置を異ならせた場合、RFIDタグ20-1~20-nの帳票紙片10-1~10-nに対する貼付位置が一定でないことによって、偽造されたものであると疑念を持たれてしまう虞がある。しかしながら、本形態においては、RFIDタグ20-1~20-nが、複数の帳票紙片10-1~10-nどうしで同一の貼り付け位置12-1~12-nに貼付されていることで、そのような疑念を生じさせることを回避しながらも、重なり合うICチップ32の数を減少させることもできる。
【0044】
なお、本形態においては、RFIDタグ20-1~20-nとして、長方形の角部に丸みを帯びた略長方形の形状を有するものを例に挙げて説明したが、RFIDタグとしては、長方形の角部に丸みを帯びていないものや、正方形や円型のもの等、様々な形状のものを適用することができる。
【0045】
また、本形態の帳票連続紙1においては、RFIDタグ20-1~20-nが、その長手方向が帳票紙片10-1~10-nの連接方向に直交する向きで帳票紙片10-1~10-nにそれぞれ貼付されているが、例えばICチップ32に対して非接触で情報の書き込みや読み取りを行うリーダー/ライターの向き等に応じて、RFIDタグ20-1~20-nが、その長手方向が帳票紙片10-1~10-nの連接方向に平行となる向きで帳票紙片10-1~10-nにそれぞれ貼付されていてもよい。
【0046】
また、本形態の帳票連続紙1に貼付されたRFIDタグ20-1~20-nにおいては、アンテナ33及びICチップ32の位置が3つのRFIDタグ毎に周期的にずれているが、アンテナ33及びICチップ32の位置がずれる周期は、帳票紙片10-1~10-nの連接方向におけるものであれば、3つのRFIDタグ毎に限らない。また、帳票紙片10-1~10-nのミシン目11を中心とした折り重ね方も、
図5に示したように連接する2つの帳票紙片を1組とするものに限らず、帳票紙片10-1~10-nどうしが重なるように1枚ずつ折り重ねてもよい。
【0047】
また、本形態においては、アンテナ33及びICチップ32の位置が3つの帳票紙片毎に帳票紙片の連接方向にずれたものを例に挙げて説明したが、帳票紙片の連接方向に交差する方向にずれた構成としてもよい。
【0048】
また、本形態においては、
図4(b)に示したような彫刻胴2を用いることで、アンテナ33及びICチップ32の位置が周期的にずれたRFIDタグ20-1~20-nを1枚のウェブシート131上にて製造するものを例に挙げて説明したが、ウェブシートを切断する切断刃のピッチが一定であり、そのピッチが互いに異なる複数の彫刻胴を用いて、アンテナ33及びICチップ32の位置が同一のRFIDタグが並び、アンテナ33及びICチップ32の位置が互いに異なるタグロールを複数作製しておいてもよい。その場合、複数のタグロールからRFIDタグを順番に帳票紙片に貼付することで、アンテナ33及びICチップ32の位置が帳票紙片毎に周期的にずれたものとなる。
【符号の説明】
【0049】
1 帳票連続紙
2 彫刻胴
3-1~3-7 切断刃
10-1~10-n 帳票紙片
11 ミシン目
12-1~12-n 貼り付け位置
20-1~20-n RFIDタグ
21a,21b 表層シート
22 粘着層
30 インレット
31 インレットシート
32 ICチップ
33 アンテナ
131 ウェブシート