(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】協働ロボットシステム及びその組み立てセット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20240820BHJP
B25J 13/06 20060101ALI20240820BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J13/06
B25J13/08 Z
(21)【出願番号】P 2021064132
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大野 暁
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03476545(EP,A1)
【文献】特開平06-155368(JP,A)
【文献】特開2019-042856(JP,A)
【文献】特開2020-157462(JP,A)
【文献】特開2018-155713(JP,A)
【文献】特表2021-500239(JP,A)
【文献】特開2012-245575(JP,A)
【文献】特開2017-135979(JP,A)
【文献】特開2017-170581(JP,A)
【文献】特開2018-158393(JP,A)
【文献】特開2019-181611(JP,A)
【文献】特表2021-506604(JP,A)
【文献】特開2013-190941(JP,A)
【文献】国際公開第2010/092981(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/134603(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/003217(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0105779(US,A1)
【文献】米国特許第06155836(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0228679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/00-19/06
G06T 19/00
G09B 19/00-19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によって組み立てられ、前記作業者と協働してタスクを実行する協働ロボットシステムであって、
駆動部と、
前記タスクを実行するために前記駆動部の駆動力によって動作する動作部と、
前記作業者が装着する手袋に設けられ、前記動作部に予め設定された動作を実行させるための作業指示マーカと、
前記作業指示マーカを撮像し、撮像情報を取得するカメラと、
前記撮像情報に基づいて、前記予め設定された動作を実行するように前記駆動部を制御する制御部と、
前記制御部によって実行されるプログラムと、
前記動作部を覆うカバー又は当該動作部への前記作業者の接触を検出するためのセンサを含む安全確保部と、
前記プログラムを修正するために、前記作業者の入力装置が接続されるインタフェースと、
を備え
、
前記作業指示マーカは、
前記手袋の表側に設けられ、前記動作部に予め設定された第1の動作を実行させるための第1の作業指示マーカと、
前記手袋の裏側に設けられ、前記動作部に予め設定された第2の動作を実行させるための第2の作業指示マーカと、
を備える、協働ロボットシステム。
【請求項2】
前記動作部は、動作軸が3軸以下である、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の協働ロボットシステムを組み立てるための、前記駆動部と、前記動作部と、
前記作業指示マーカと、前記カメラと、前記プログラムと、前記安全確保部と、前記インタフェースと、の組み合わせを備える、協働ロボットシステムの組み立てセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、協働ロボットシステム及びその組み立てセットに関し、例えば、作業者によって組み立てられ、作業者と協働してタスクを実行する協働ロボットシステム及びその組み立てセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているような一般的な産業用ロボットは、大型であり、完成品として工場などの現場に搬入されて設置される。このような産業用ロボットは、作業者と協働することを想定しておらず、柵で囲まれている。そのため、一般的な産業用ロボットは、作業者との接触を想定しておらず、安全装置などを備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。所望のタスクを効率良く実行するために、作業者と産業用ロボットとが協働できることが好ましい。しかしながら、一般的な産業用ロボットは、作業者と協働することを想定しておらず、安全性の向上が望まれる。また、一般的な産業用ロボットは、完成品として現場に搬入されるため、現場で作業者が産業用ロボットの微調整などを行うことが困難である。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、作業者と協働してタスクを実行する際の安全性が高く、現場での微調整などが可能な協働ロボットシステム及びその組み立てセットを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態の協働ロボットシステムは、作業者によって組み立てられ、前記作業者と協働してタスクを実行する協働ロボットシステムであって、
駆動部と、
前記タスクを実行するために前記駆動部の駆動力によって動作する動作部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記制御部によって実行されるプログラムと、
前記動作部を覆うカバー又は当該動作部への前記作業者の接触を検出するためのセンサを含む安全確保部と、
前記プログラムを修正するために、前記作業者の入力装置が接続されるインタフェースと、
を備える。
【0007】
上述の協働ロボットシステムにおいて、前記動作部は、動作軸が3軸以下であることが好ましい。
【0008】
本開示の一形態の協働ロボットシステムの組み立てセットは、上述の協働ロボットシステムを組み立てるための、前記駆動部と、前記動作部と、前記プログラムと、前記安全確保部と、前記インタフェースと、の組み合わせを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、作業者と協働してタスクを実行する際の安全性が高く、現場での微調整などが可能な協働ロボットシステム及びその組み立てセットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態の協働ロボットシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】実施の形態の協働ロボットシステムの制御系を示すブロック図である。
【
図3】第1の作業指示マーカが設けられた手袋の表側を示す図である。
【
図4】第2の作業指示マーカが設けられた手袋の裏側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
図1は、本実施の形態の協働ロボットシステムの構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態の協働ロボットシステムの制御系を示すブロック図である。
図3は、第1の作業指示マーカが設けられた手袋の表側(即ち、手の平側)を示す図である。
図4は、第2の作業指示マーカが設けられた手袋の裏側(即ち、手の甲側)を示す図である。
【0013】
本実施の形態の協働ロボットシステム1は、作業者によって組み立てられ、作業者と協働してタスクを実行する協働ロボットシステムとして好適である。ここで、以下の説明では、説明を明確にするために、
図1の状態での協働ロボット2の構成を、三次元座標系(XYZ座標系)を用いて説明する。
【0014】
協働ロボットシステム1は、例えば、
図1乃至
図4に示すように、協働ロボット2、安全確保部3、作業指示マーカ4、カメラ5及び制御部6を備えている。協働ロボット2は、例えば、接合部材を被接合部材に接合するタスクを作業者と協働するために、工具を作業者に提供したり、工具を作業者から回収したり、することが可能な構成とされている。
【0015】
但し、協働ロボット2は、作業者とタスクを協働することができる構成であればよく、例えば、ロボットアームに限らず、搬送コンベアや搬送リフトなどであってもよい。ここで、協働ロボット2は、一般的な産業用ロボットに対して小型であり、例えば、駆動軸が3軸以下であるとよい。
【0016】
協働ロボット2は、例えば、第1の駆動部21、第2の駆動部22及び動作部23を備えている。第1の駆動部21は、例えば、モータ及び減速機などを有する回転アクチュエータを備えている。第2の駆動部22は、電動シリンダなどを有する直動アクチュエータを備えている。これらの第1の駆動部21及び第2の駆動部22の出力は、一般的な産業用ロボットが有するアクチュエータなどの出力に対して小さくてよい。
【0017】
動作部23は、上述のタスクを実行するために第1の駆動部21及び第2の駆動部22の駆動力によって動作する。動作部23は、ベース部23a、第1の駆動伝達部23b、支柱23c、第2の駆動伝達部23d及び載置台23eを備えている。
【0018】
ベース部23aは、例えば、XY平面と略平行な平板形状である。第1の駆動伝達部23bは、第1の回転軸23f、第1のプーリ23g、第2の回転軸23h、第2のプーリ23i及びベルト23jを備えている。
【0019】
第1の回転軸23fは、ベース部23aからZ軸+側に突出しており、ベース部23aにZ軸回りに回転可能に設けられている。第1の回転軸23fのZ軸+側の端部には、第1の駆動部21の駆動力を伝達可能に、第1の駆動部21の出力軸が接続されている。第1のプーリ23gは、第1の回転軸23fに固定されている。このとき、第1の回転軸23fの中心軸と第1のプーリ23gの中心軸とは、略重なるように配置されている。
【0020】
第2の回転軸23hは、第1の回転軸23fとY軸方向に間隔を開けて配置されている。第2の回転軸23hは、ベース部23aからZ軸+側に突出しており、ベース部23aにZ軸回りに回転可能に設けられている。第2のプーリ23iは、第2の回転軸23hに固定されている。このとき、第2の回転軸23hの中心軸と第2のプーリ23iの中心軸とは、略重なるように配置されている。
【0021】
支柱23cは、Z軸方向に延在している。支柱23cのZ軸-側の端部は、第2の回転軸23hのZ軸+側の端部に固定されている。支柱23cは、例えば、略正四角柱形状であり、支柱23cの中心軸と第2の回転軸23hの中心軸とは、略重なるように配置されている。但し、支柱23cの形状は、上述の限りではなく、Z軸方向に延在する柱形状であればよい。
【0022】
ここで、
図1の状態では、支柱23cのY軸+側の面は、XZ平面と略平行に配置されている。そして、支柱23cのY軸+側の面におけるZ軸-側の部分には、第2の駆動部22が固定されている。このとき、第2の駆動部22のロッド22aは、第2の駆動部22のシリンダ22bからZ軸+側に突出しており、Z軸方向に伸縮する。
【0023】
第2の駆動伝達部23dは、X軸方向から見て、倒V字形状のパンタグラフ機構である。つまり、第2の駆動伝達部23dは、第1のリンク部23k、及び当該第1のリンク部23kに対してZ軸-側に配置された第2のリンク部23lを備えており、第1のリンク部23kのZ軸-側の端部と第2のリンク部23lのZ軸+側の端部とがX軸方向に延在する回転軸23mを介して回転可能に接続されている。
【0024】
第1のリンク部23kのZ軸+側の端部は、X軸方向に延在する回転軸23nを介して、支柱23cのZ軸+側の端部に固定された固定治具23oに回転可能に接続されている。また、第2のリンク部23lのZ軸-側の端部は、X軸方向に延在する回転軸23pを介して、第2の駆動部22のロッド22aのZ軸+側の端部に固定された固定治具23qに回転可能に接続されている。
【0025】
載置台23eは、例えば、XY平面と略平行な板形状である。載置台23eのY軸-側の部分は、第2の駆動伝達部23dにおける第1のリンク部23kと第2のリンク部23lとの接続部近傍に固定されている。但し、載置台23eは、載置台23eのZ軸+側の面に工具などを載置するための載置面を備えていればよい。
【0026】
このような構成により、第1の駆動部21が駆動した場合、第1の駆動伝達部23b及び支柱23cなどを介して載置台23eがZ軸回りに旋回する。そして、第2の駆動部22のロッド22aがZ軸+側に伸長した場合、第2の駆動伝達部23dを介して載置台23eをY軸+側に押し出す。一方、第2の駆動部22のロッド22aがZ軸-側に収縮した場合、第2の駆動伝達部23dを介して載置台23eをY軸-側に引き込む。
【0027】
安全確保部3は、協働ロボット2に作業者が接触した際に当該作業者を保護するための手段である。安全確保部3は、例えば、マグネットカップリング31及び接触検出部32を備えている。マグネットカップリング31は、第1の駆動部21の出力軸と動作部23における第1の駆動伝達部23bの第1の回転軸23fとの間に配置されている。
【0028】
詳細には、マグネットカップリング31は、XY平面と略平行な平板形状の第1のマグネット31a、及びXY平面と略平行な平板形状の第2のマグネット31bと、がZ軸方向に重ねられた状態で、磁気接続されている。そして、第1のマグネット31aが第1の駆動部21の出力軸に固定されている。第2のマグネット31bは、動作部23における第1の駆動伝達部23bの第1の回転軸23fに固定されている。
【0029】
このような構成により、載置台23eが旋回して当該載置台23eが作業者に接触した場合、第1のマグネット31aと第2のマグネット31bとの磁気接続が解除され、第1のマグネット31aから第2のマグネット31bへの駆動力の伝達が解除される。そのため、載置台23eの更なる旋回が抑制され、載置台23eが作業者を強く押し込まない。
【0030】
接触検出部32は、支柱23cのY軸+側の面に固定されており、支柱23cと第2の駆動伝達部23dとの間に配置されている。接触検出部32は、例えば、圧電素子の表面がスポンジなどの弾性材料で覆われた柔軟接触センサを備えているとよい。但し、接触検出部32は、支柱23cに作業者が接触したことを検出可能な配置及び構成であればよく、例えば、支柱23cの全側面を覆うように配置されていてもよい。
【0031】
作業指示マーカ4は、協働ロボット2に所望の動作を実行させるための目印である。本実施の形態では、
図3及び
図4に示すように、作業指示マーカ4として、第1の作業指示マーカ41及び第2の作業指示マーカ42を備えている。
【0032】
第1の作業指示マーカ41は、
図3に示すように、作業者がする手袋7の手の表側に設けられている。第1の作業指示マーカ41は、載置台23eをY軸-側に移動させるための目印である。
【0033】
第2の作業指示マーカ42は、
図4に示すように、作業者がする手袋7の手の裏側に設けられている。第2の作業指示マーカ42は、載置台23eをY軸+側に移動させるための目印である。
【0034】
カメラ5は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備える一般的なカメラである。カメラ5は、作業者の手にした手袋7に設けられた作業指示マーカ4を撮像する。
【0035】
制御部6は、協働ロボット2を制御する制御装置であり、プロセッサ61、メモリ62、第1のインタフェース63及び第2のインタフェース64を備えている。プロセッサ61、メモリ62、第1のインタフェース63及び第2のインタフェース64は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0036】
プロセッサ61は、メモリ62からソフトウェア(即ち、プログラム)を読み出して実行することで、協働ロボット2に所望の動作を実行させるための処理を行う。具体的には、プロセッサ61は、詳細は後述するが、安全確保部3の接触検出部32、及びカメラ5の検出情報に基づいて、第1の駆動部21及び第2の駆動部22を制御するための処理を行う。
【0037】
プロセッサ61は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro processor Unit)、又はCPU(Central processing Unit)などであってもよい。プロセッサ61は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0038】
メモリ62は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成されている。メモリ62は、プロセッサ61により実行される、1以上の命令を含むプログラム、及び協働ロボット2に所望の動作を実行させるための処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0039】
第1のインタフェース63は、第1の駆動部21、第2の駆動部22、安全確保部3の接触検出部32、及びカメラ5と通信するために使用される入出力部である。第2のインタフェース64は、協働ロボット2の動作の微調整などを行うために、作業者のコンピュータなどの入力装置と通信するために使用される入出力部である。
【0040】
このような制御部6は、コンピュータとして機能する装置である。ここで、上述のように第1の駆動部21及び第2の駆動部22の出力は、一般的な産業用ロボットが有するモータなどの出力に対して小さいので、制御部6は、一般的な産業用ロボットを制御するための制御部に対して簡易な構成でよく、例えば、Raspberry Pi(登録商標)などの汎用品で構成することができる。
【0041】
なお、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(情報通知装置を含むコンピュータ)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0042】
次に、本実施の形態の協働ロボットシステム1の動作を説明する。ここで、載置台23eには、接合部材を被接合部材に接合するための工具が載置されているものとする。このとき、載置台23eは、例えば、X軸+側に向かって配置されているものとする。そして、第2の駆動部22のロッド22aは、最も収縮した状態であり、載置台23eが支柱23cに最も接近している状態とする。このような状態を協働ロボット2の初期状態とする。
【0043】
このような初期状態で、協働ロボット2に対してY軸+側で作業する作業者が手袋7に設けられた第2の作業指示マーカ42をカメラ5に向けると、カメラ5は、第2の作業指示マーカ42を撮像して撮像情報を制御部6に送信する。
【0044】
次に、制御部6は、載置台23eがY軸+側に移動するように、第1の駆動部21及び第2の駆動部22を制御する。これにより、第1の駆動部21が駆動し、第1の駆動伝達部23b及び支柱23cなどを介して載置台23eがZ軸回りに旋回して載置台23eがY軸+側に向かって配置される。
【0045】
そして、第2の駆動部22が駆動して当該第2の駆動部22のロッド22aがZ軸+側に伸長し、第2の駆動伝達部23dを介して載置台23eがY軸+側に押し出される。これにより、協働ロボットシステム1は、接合部材を被接合部材に接合するタスクを作業者と協働するために、工具を作業者に提供することができる。
【0046】
一方、作業者が工具を使用し終えて、作業者が手袋7に設けられた第1の作業指示マーカ41をカメラ5に向けると、カメラ5は、第1の作業指示マーカ41を撮像して撮像情報を制御部6に送信する。
【0047】
次に、制御部6は、協働ロボット2が初期状態に戻るように、第1の駆動部21及び第2の駆動部22を制御する。これにより、第2の駆動部22が駆動して当該第2の駆動部22のロッド22aがZ軸-側に収縮し、第2の駆動伝達部23dを介して載置台23eがY軸-側に引き込まれる。
【0048】
そして、第1の駆動部21が駆動し、第1の駆動伝達部23b及び支柱23cなどを介して載置台23eがZ軸回りに旋回して載置台23eがX軸+側に向かって配置される。これにより、協働ロボットシステム1は、接合部材を被接合部材に接合するタスクを作業者と協働するために、工具を作業者から回収することができる。
【0049】
このように本実施の形態の協働ロボットシステム1は、作業指示マーカ4をカメラ5に向けるだけで、作業者への工具の提供及び回収を簡単に実行することができる。このとき、作業者が載置台23eに接触した場合、安全確保部3のマグネットカップリング31の磁気接続が解除され、第1の駆動部21から第1の回転軸23fへの駆動力の伝達が解除される。そのため、載置台23eの更なる旋回が抑制され、載置台23eによって作業者が強く押し込まれることを抑制できる。
【0050】
また、制御部6は、安全確保部3の接触検出部32の検出情報に基づいて、支柱23cに接触したことを検出した場合、例えば、第2の駆動部22のロッド22aがZ軸+側に伸長するように、第2の駆動部22を制御する。そのため、支柱23cと第2の駆動伝達部23dとの間に作業者が挟まれることを抑制できる。これらにより、協働ロボット2に作業者が接触しても、作業者を保護することができ、協働ロボット2を作業者の近傍で動作させることができる。
【0051】
次に、本実施の形態の協働ロボットシステム1を組み立てる流れを説明する。なお、例えば、作業者が各要素を選択する工程は、入力装置の表示面に表示される各種のリストから当該入力装置を介して選択することができる。
【0052】
先ず、作業者は、協働ロボットシステム1に所望の動作を実行させるために、第1の駆動部21及び第2の駆動部22を、出力やストロークが異なる複数種類の回転アクチュエータや直動アクチュエータなどを含む駆動源リストから選択する。そして、作業者は、動作部23を複数種類のリンク機構やカム機構などを含む動作機構(即ち、からくり機構)リストから選択する。
【0053】
また、作業者は、安全確保部3をマグネットカップリング、接触センサやカバーなどを含む安全確保リストから選択する。さらに、作業者は、作業指示マーカ4やカメラ5を第1の駆動部21及び第2の駆動部22に所望の動作を実行させるための複数種類の作業指示マーカ、カメラやセンサなどを含む動作指令リストから選択する。
【0054】
このように作業者が選択した第1の駆動部21、第2の駆動部22、動作部23、安全確保部3、作業指示マーカ4及びカメラ5に加え、制御部6の組み合わせが組み立てセットとして、現場に搬入され、作業者が仮組み立てを行う。このとき、制御部6も、複数種類の制御装置を含む制御リストから選択可能であるとよい。
【0055】
そして、作業者は、制御部6の第2のインタフェース64に入力装置を接続して、当該入力装置によって協働ロボットシステム1に所望の動作を実行させるためのプログラムを選択し、制御部6にインストールする。
【0056】
その後、作業者は、協働ロボットシステム1に所望の動作を実行させ、制御部6の第2のインタフェース64を介して、入力装置によって協働ロボット2の動作の微調整などを行う。これにより、協働ロボットシステム1の組み立てが完了する。
【0057】
このような協働ロボットシステム1は、安全確保部3を備えているので、協働ロボット2に作業者が接触しても、作業者を保護することができ、協働ロボット2を作業者の近傍で動作させることができる。
【0058】
しかも、制御部6が第2のインタフェース64を備えているので、作業者は、第2のインタフェース64を介して、現場において入力装置によって協働ロボット2の動作の微調整などを行うことができる。
【0059】
また、作業者は、協働ロボットシステム1に所望の動作を実行させるための各要素を選択することができ、作業者が希望する協働ロボットシステム1を簡単に構成することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、協働ロボットシステム1を組み立てるための流れを説明したが、協働ロボットシステム1の構成は、上述の限りでなく、作業者とタスクを協働することができる構成であればよく、作業者は各種リストから適宜、必要な要素を選択し、組み立てセットを構成することができる。
【0061】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 協働ロボットシステム
2 協働ロボット
21 第1の駆動部
22 第2の駆動部、22a ロッド、22b シリンダ
23 動作部、23a ベース部、23b 第1の駆動伝達部、23c 支柱、23d 第2の駆動伝達部、23e 載置台、23f 第1の回転軸、23g 第1のプーリ、23h 第2の回転軸、23i 第2のプーリ、23j ベルト、23k 第1のリンク部、23l 第2のリンク部、23m、23n 回転軸、23o 固定治具、23p 回転軸、23q 固定治具
3 安全確保部
31 マグネットカップリング、31a 第1のマグネット、31b 第2のマグネット
32 接触検出部
4 作業指示マーカ
41 第1の作業指示マーカ
42 第2の作業指示マーカ
5 カメラ
6 制御部
61 プロセッサ
62 メモリ
63 第1のインタフェース
64 第2のインタフェース
7 手袋