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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240820BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240820BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240820BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G09G5/00 510V
G09G5/00 550D
G09G5/36 400
G09G5/373 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021069500
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164174
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直幸
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197664(JP,A)
【文献】特開2018-077093(JP,A)
【文献】特開2013-024948(JP,A)
【文献】特開2017-190995(JP,A)
【文献】特開2017-039396(JP,A)
【文献】特開2018-122672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
B60R 16/02
B60K 35/00 - 37/04
G09G 5/00 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に配置され、前記車両に関する第一情報を表示する第一表示部と、
前記車室内に配置され、前記第一情報とは異なる第二情報を表示する第二表示部と、
前記車両の起動スイッチのオン操作に伴って前記第一表示部および前記第二表示部に起動映像を表示させる制御部と、を備え、
前記起動映像には、
前記オン操作の後に前記第一表示部に第一速度で出現し、前記第一速度よりも遅い第二速度に減速したのちぼやけながら加速して前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二表示部側へ向かい、前記第一表示部および前記第二表示部に跨って分割表示されたのち前記第二表示部に全体像が移動してから消滅する第一画像が含まれる
ことを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記第一表示部は、運転席に着座した状態のドライバの正面に位置するディスプレイであり、
前記第二表示部は、前記第一表示部とは異なる位置であって前記ドライバから視認可能な位置に配置されたディスプレイである
ことを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第一画像は、前記出現に際し、前記第一表示部の奥から手前側に向かって移動するように徐々に拡大表示される
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記第一画像は、前記車両を模した車両画像である
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記起動映像には、前記第一画像の加減速に伴って前記第一表示部に表示され、前記第一画像が前記第二表示部に表示され始めたあとで前記第二表示部にも表示される、所定の動きを伴う第二画像が含まれる
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第二画像は、細かい点が飛び散るしぶきを模したものである
ことを特徴とする、請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記第一画像は、前記出現の際に前記第一表示部の奥から手前側に向かって走行するように徐々に拡大表示され、前記減速の際に旋回しながらぼやけた表示とされ、
前記第二画像は、前記第一画像の前記旋回の際に前記第一画像に含まれるタイヤから周囲に広がるように表示され始め、前記第一画像が前記第一表示部から消えたあとも前記第一表示部に表示され、且つ、前記第二表示部において前記第一画像の軌跡を辿るように線状に表示される
ことを特徴とする、請求項4に従属する請求項5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記起動映像には、前記第一情報および前記第二情報のいずれとも異なる第三情報を示す第三画像が含まれ、
前記第三画像は、前記第一画像の消滅後、前記第二画像と重なるように前記第一表示部に出現する
ことを特徴とする、請求項5~7の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記起動映像には、前記第三画像の表示期間と部分的に重なるように前記第二表示部に表示される第四画像が含まれ、
前記第三画像は、前記第一表示部に表示され、前記出現の際には透けた状態であり、前記第二画像の消滅に合わせて徐々に鮮明になって全体像が完成し、再びぼやけたのち消滅し、
前記第四画像は、前記第三画像が完成してからぼやけるまでの間に、所定の動きを伴って出現する
ことを特徴とする、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記起動映像には、前記第一情報および前記第二情報並びに前記第三情報のいずれとも異なる第四情報を示す第五画像が含まれ、
前記第三画像および前記第四画像は、互いに同じタイミングで消滅し始め、
前記第五画像は、前記第三画像の消滅後に前記第二表示部に出現し、当該出現の際には透けた状態である
ことを特徴とする、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
互いに異なる情報をそれぞれ表示する第一表示部および第二表示部が車室内に配置された車両において、前記車両の起動スイッチのオン操作に伴って前記第一表示部および前記第二表示部に起動映像を表示する表示方法であって、
前記オン操作の後に前記第一表示部に第一画像が第一速度で出現し、
次いで、前記第一画像が前記第一速度よりも遅い第二速度に減速したのちぼやけながら加速して前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二表示部側へ向かい、
その後、前記第一画像が前記第一表示部および前記第二表示部に跨って分割表示されたのち前記第二表示部に全体像が移動してから消滅する
ことを特徴とする、表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内に配置された二つの表示部に一つの起動映像を表示させる表示装置、および、当該表示部に当該起動映像を表示する表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車室内には複数の表示部(ディスプレイ)が設けられ、表示部ごとに様々な情報や映像が映し出されることでドライバの運転がサポートされたり乗車環境の向上が図られたりしている。各表示部にはそれぞれ、通常時に表示される情報(メータ表示,ナビ情報,空調情報,オーディオ画面等)が割り当てられているが、この通常時の表示とは別に、車両起動時に起動映像が表示されることがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-197664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、日頃から車両を運転することの多いドライバは、良くも悪くも運転に慣れることから、発進前の緊張感が薄れやすく、発進前の周囲確認が不十分となる可能性がある。
一方で、起動映像は、ドライバが車両の起動スイッチをオン操作した直後に表示部に映し出され、ドライバが最初に目にする動作物となるため、起動映像によってドライバの高揚感(ワクワク感や緊張感)を向上させることができれば、ドライバに「これから運転をする」ということを意識させることができ、安全性の向上に寄与し得る。
【0005】
本件の表示装置および表示方法は、このような課題に鑑み案出されたもので、起動映像によって高揚感を与えることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここで開示する表示装置は、車両の車室内に配置され、前記車両に関する第一情報を表示する第一表示部と、前記車室内に配置され、前記第一情報とは異なる第二情報を表示する第二表示部と、前記車両の起動スイッチのオン操作に伴って前記第一表示部および前記第二表示部に起動映像を表示させる制御部と、を備える。前記起動映像には、前記オン操作の後に前記第一表示部に第一速度で出現し、前記第一速度よりも遅い第二速度に減速したのちぼやけながら加速して前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二表示部側へ向かい、前記第一表示部および前記第二表示部に跨って分割表示されたのち前記第二表示部に全体像が移動してから消滅する第一画像が含まれる。
【0007】
(2)前記第一表示部は、運転席に着座した状態のドライバの正面に位置するディスプレイであり、前記第二表示部は、前記第一表示部とは異なる位置であって前記ドライバから視認可能な位置に配置されたディスプレイであることが好ましい。
(3)前記第一画像は、前記出現に際し、前記第一表示部の奥から手前側に向かって移動するように徐々に拡大表示されることが好ましい。
(4)前記第一画像は、前記車両を模した車両画像であることが好ましい。
【0008】
(5)前記起動映像には、前記第一画像の加減速に伴って前記第一表示部に表示され、前記第一画像が前記第二表示部に表示され始めたあとで前記第二表示部にも表示される、所定の動きを伴う第二画像が含まれることが好ましい。
(6)前記第二画像は、細かい点が飛び散るしぶきを模したものであることが好ましい。
【0009】
(7)前記第一画像は、前記出現の際に前記第一表示部の奥から手前側に向かって走行するように徐々に拡大表示され、前記減速の際に旋回しながらぼやけた表示とされ、前記第二画像は、前記第一画像の前記旋回の際に前記第一画像に含まれるタイヤから周囲に広がるように表示され始め、前記第一画像が前記第一表示部から消えたあとも前記第一表示部に表示され、且つ、前記第二表示部において前記第一画像の軌跡を辿るように線状に表示されることが好ましい。
(8)前記起動映像には、前記第一情報および前記第二情報のいずれとも異なる第三情報を示す第三画像が含まれ、前記第三画像は、前記第一画像の消滅後、前記第二画像と重なるように前記第一表示部に出現することが好ましい。
【0010】
(9)前記起動映像には、前記第三画像の表示期間と部分的に重なるように前記第二表示部に表示される第四画像が含まれ、前記第三画像は、前記第一表示部に表示され、前記出現の際には透けた状態であり、前記第二画像の消滅に合わせて徐々に鮮明になって全体像が完成し、再びぼやけたのち消滅し、前記第四画像は、前記第三画像が完成してからぼやけるまでの間に、前記第二画像の動きとは異なる所定の動きを伴って出現することが好ましい。
(10)前記起動映像には、前記第一情報および前記第二情報並びに前記第三情報のいずれとも異なる第四情報を示す第五画像が含まれ、前記第三画像および前記第四画像は、互いに同じタイミングで消滅し始め、前記第五画像は、前記第三画像の消滅後に前記第二表示部に出現し、当該出現の際には透けた状態であることが好ましい。
【0011】
(11)ここで開示する表示方法は、互いに異なる情報をそれぞれ表示する第一表示部および第二表示部が車室内に配置された車両において、前記車両の起動スイッチのオン操作に伴って前記第一表示部および前記第二表示部に起動映像を表示する表示方法であって、前記オン操作の後に前記第一表示部に第一画像が第一速度で出現し、次いで、前記第一画像が前記第一速度よりも遅い第二速度に減速したのちぼやけながら加速して前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二表示部側へ向かい、その後、前記第一画像が前記第一表示部および前記第二表示部に跨って分割表示されたのち前記第二表示部に全体像が移動してから消滅する。
【発明の効果】
【0012】
開示の表示装置および表示方法によれば、起動映像によって高揚感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図である。
図2図1の表示装置が備える表示部の一例を示す図である。
図3】(a)~(f)は第一画像の出現から消滅までのシーンを第二画像とともに説明する図である。
図4】(a)~(f)は第一画像が車両画像であるときの図3(a)~(f)に対応する図である。
図5】(a)~(f)は第二画像から第三画像へ移り変わるシーンと第四画像の出現シーンとを説明する図である。
図6】(a)および(b)は第三画像および第四画像の消滅シーンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、実施形態としての表示装置および表示方法について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0015】
[1.構成]
本実施形態に係る表示装置は、車両の車室内に配置された第一表示部および第二表示部と、これら第一表示部および第二表示部に起動映像を表示させる制御部とを備える。第一表示部は、車両に関する様々な情報(第一情報)を表示する表示装置であり、第二表示部は、第一情報とは異なる情報(第二情報)を表示する表示装置である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。第一表示部および第二表示部は別々のディスプレイであり、画面サイズや解像度などは特に限定されず、互いに離れて配置されてもよい。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態の表示装置では、第一表示部1がマルチインフォメーションディスプレイ4であり、第二表示部2がナビゲーションディスプレイ5である。マルチインフォメーションディスプレイ4は、運転席に着座した状態のドライバの正面に位置し、第一情報として、例えば、メータ(速度メータやタコメータ),走行モードや駆動モード,航続距離,燃費や電費,残燃料やバッテリ充電量など、おもにドライバの運転をサポートするための情報を表示する。ナビゲーションディスプレイ5は、マルチインフォメーションディスプレイ4とは異なる位置であってドライバから視認可能な位置(例えば、ダッシュボードにおける運転席と助手席との間の位置)に配置される。ナビゲーションディスプレイ5は、第二情報として、例えば、ナビゲーション情報,空調情報,オーディオ情報,テレビ映像など、おもに乗員が快適に過ごすための情報を表示する。
【0017】
本実施形態の表示装置では、制御部11が車両に搭載されるECU10の機能要素の一つとして設けられる。ECU10は、車両に搭載される電子制御装置(Electronic Control Unit)であり、図示しないプロセッサ(中央処理装置),メモリ(メインメモリ),記憶装置(ストレージ),インタフェース装置などが内蔵され、内部バスを介してこれらが互いに通信可能に接続される。ECU10で実施される各種制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてメモリに記録,保存されており、プログラムの実行時にはプログラムの内容がメモリ空間内に展開されて、プロセッサによって実行される。
【0018】
本実施形態のECU10は、車両の起動スイッチ3のオン操作に伴って第一表示部1および第二表示部2に起動映像を表示させる制御部11と、起動映像を構成する時系列順の静止画像を格納するデータベース12と、制御部11からの指令に基づき第一表示部1および第二表示部2のそれぞれに対し、データベース12に格納されている静止画像を出力する出力部13とを備える。データベース12には、第一表示部1に表示される静止画像と第二表示部2に表示される静止画像とがそれぞれ格納されている。なお、起動スイッチとは、エンジンスイッチ,パワースイッチ,プッシュスタートスイッチ等とも呼ばれるスイッチ(例えばボタン)であり、車両システムを起動するための信号を出力する。
【0019】
次に、図3(a)~図6(b)を用いて、起動映像について詳述する。起動映像は、乗員(特にドライバ)に対して高揚感(ワクワク感や緊張感)を与えられるように設定されている。各図では、第一表示部1および第二表示部2を互いに同一の矩形とし、左右に並べて表現している。第一表示部1および第二表示部2を示す枠の内側になにも描かれていない場合、その表示部1,2には何も表示されていないことを意味する。なお、図4(a)~図6(b)では、実際の表示に近づけた画像図(ただし、モザイクを施したもの)を例示する。
【0020】
起動映像には、図3(a)に示すように、起動スイッチ3のオン操作の後に第一表示部1に第一速度V1で出現する第一画像21が含まれる。なお、図中黒塗りの矢印は、第一画像21の移動を表現しており、実際には表示されない。第一画像21は、出現後、図3(b)に示すように、第一速度V1よりも遅い第二速度V2に減速したのち、図3(c)に示すように、ぼやけながら加速して、図3(d)に示すように、第二速度V2よりも速い第三速度V3で第二表示部2側へ向かい、第一表示部1および第二表示部2に跨って分割表示される。そして、図3(e)および(f)に示すように、第一画像21は、第二表示部2に全体像が移動してから消滅する。第一速度V1と第三速度V3との大小関係は特に限られず、互いに同一であってもよいし異なる速度であってもよい。
【0021】
本実施形態の第一画像21は、第一表示部1に出現する際に、第一表示部1の奥から手前側に向かって移動するように徐々に拡大表示される。第一画像21は、奥から手間に来るほど徐々に鮮明に表示されてもよいし、奥から手前に来るほど徐々に加速して第一速度V1に達してもよい。また、図3(a)では、第一表示部1のほぼ中央から第一画像21が出現しているが、出現位置は特に限られず、例えば、第一表示部1における第二表示部2とは逆側の端(ここでは左端)から出現してもよいし、上下一方から出現してもよい。
【0022】
本実施形態の第一画像21は、図4(a)~(f)に示すように、車両を模した車両画像であり、特に、自車両の外観を表した車両画像であることがより好ましい。これにより、起動スイッチ3のオン操作に伴って、自車両を用いた起動映像が第一表示部1および第二表示部2に表示されることから、乗員(特にドライバ)の高揚感の向上により寄与し得る。
【0023】
また、本実施形態の起動映像には、図3(b)~(f)に示すように、第一画像21の加減速に伴って第一表示部1に表示される、所定の動きを伴う第二画像22が含まれる。ここでは、第二画像22が、細かい点が飛び散るしぶきを模したものである場合を例示する。第二画像22(しぶき画像)は、図3(d)~(f)に示すように、第一画像21の輪郭がはっきりせずぼやけた状態で分割表示されて第二表示部2に表示され始めたあとで、第二表示部2にも表示される。第二画像22は、第一画像21の動きに疾走感や躍動感を与える機能を持ち、第一画像21に疾走感や躍動感を与えうる動きを伴う。第二画像22は、例えば、第一画像21の減速時には、図3(b)に濃いドット模様で示すように、狭い範囲内に高密度のしぶきが表示され、第一画像21の加速時には、図3(d)~(f)に薄いドット模様で示すように、第一画像21の動きに追従して低密度のしぶきが表示される。
【0024】
第一画像21が車両画像である本実施形態では、図4(a)~(c)に示すように、第一画像21が、出現する際に第一表示部1の奥から手前側に向かって走行するように徐々に拡大表示され、続く減速の際に旋回しながらぼやけた表示とされる。第二画像22は、この加減速に合わせて、第一画像21の旋回時に、第一画像21に含まれるタイヤから周囲に広がるように表示され始め、第一画像21が第一表示部1から消えたあとも第一表示部1に表示され、且つ、第二表示部2において第一画像21の軌跡を辿るように線状に表示される。すなわち、本実施形態の第一画像21は、水が存在する路面に登場し、減速してカーブを旋回するときにタイヤで水をまき上げ、水しぶきをあげながら加速して消えていく様子に準えることができる。
【0025】
図5(a)~図6(a)に示すように、本実施形態の起動映像には、第三情報を示す第三画像23(情報画像)がさらに含まれる。第三情報は、通常時において第一表示部1および第二表示部2に表示される第一情報および第二情報のいずれとも異なる情報(おもに文字情報)であり、例えば、自車両の車名(モデル名)が挙げられる。第三画像23は、第一画像21の消滅後、図5(a)に示すように、第二画像22と重なるように第一表示部1に出現する。第三画像23は、第一表示部1に表示される画像であり、出現するときには透けた状態であり、図5(a)~(c)に示すように、第二画像22の消滅に合わせて徐々に鮮明になって全体像が完成し、図5(d)~図6(a)に示すように、再びぼやけたのち消滅する。なお、図5(c)の第三画像23はモザイク処理がされているが、第三情報が全て表示された時点が「第三画像23の完成」のタイミングである。なお、第三画像23は、第一表示部1のみに表示されてもよい。
【0026】
また、本実施形態の起動映像には、第三画像23の表示期間と部分的に重なるように第二表示部2に表示される第四画像24(躍動画像)がさらに含まれる。第四画像24は、図5(d)~図6(b)に示すように、第三画像23が完成してからぼやけるまでの間に所定の動きを伴って出現する画像である。この所定の動きは、第二画像22の所定の動きと同じく、ドライバに対し疾走感や躍動感を感じさせる動きであってもよいし、第二画像22の動きとは異なる動きであってもよい。第四画像24は、図5(c)に示す第三画像23の完成直後に第二表示部2に出現し、小さな光の粒の集合体が弾けたのち一方向に向かって流れるような動きを伴って表示される。図6(a)~(b)に示すように、第三画像23および第四画像24は、互いに同じタイミングで消滅し始める。
【0027】
さらに、本実施形態の起動映像には、第四情報を示す第五画像(情報画像,図示略)が含まれる。第五情報は、通常時において第一表示部1および第二表示部2に表示される第一情報および第二情報、ならびに、第三情報のいずれとも異なる情報(おもに文字情報)であり、例えば、自車両を販売するブランド名が挙げられる。第五画像は、第三画像23の消滅後に第二表示部2に出現し、この出現の際には透けた状態で表示される。なお、第二表示部2に第五画像が表示されているあいだ、第一表示部1にはなにも表示されていなくてもよいし、第一情報のひとつが初期画面として表示されてもよい。また、第二表示部2には、第五画像の消滅後、第二情報のひとつが初期画面として表示される。
【0028】
[2.作用,効果]
上述したように、起動スイッチ3のオン操作の後に、第一表示部1に第一画像21が第一速度V1で出現し、次いで、第一画像21が第二速度V2に減速したのちぼやけながら加速して第三速度V3で第二表示部2側へ向かい、その後、第一画像21が第一表示部1および第二表示部2に跨って分割表示されたのち第二表示部2に全体像が移動してから消滅する。
【0029】
このように、第一画像21を含む起動映像によってスピード感(疾走感)を表現することで、乗員に高揚感(ワクワク感や緊張感)を与えることができる。これにより、ドライバに対し、「これから運転をする」ということを意識させることができるため、安全性の向上に寄与し得る。また、起動映像は二画面に亘って表示されるため、運転前にドライバの視線を異なる方向に向けることができ、発進前の周囲確認を促すことができる。これによっても安全性を高めることができる。なお、二画面表示に際し、第一画像21は途中でぼやけつつ分割表示されたのち素早く移動するため、乗員が感じる違和感(途切れ感)を軽減できる。さらに、二画面表示とすることで、起動映像を同乗者の目にも触れさせることができ、同乗者にも高揚感を与えることができる。
【0030】
また、上述した表示装置では、第一表示部1が運転席のほぼ正面に位置するマルチインフォメーションディスプレイ4であり、第二表示部2がこれとは別のナビゲーションディスプレイ5である。運転席に着座したドライバの目線は最初に正面を向くため、マルチインフォメーションディスプレイ4からナビゲーションディスプレイ5へ移動する第一画像21によって、ドライバの目線を正面から異なる方向へ向けることができる。これにより、高揚感を与えながら、発進前の周囲確認をより促すことができる。
【0031】
上述した第一画像21は、第一表示部1に出現する際に、第一表示部1の奥から手前側に向かって移動するように徐々に拡大表示されるため、奥から手前に迫ってくるような印象となり、乗員に対し、より強い高揚感を与えることができる。
さらに、第一画像21として、これから運転する車両の画像が映し出されるため、ドライバに対し、より強い高揚感を与えることができる。
【0032】
また、上述した表示装置では、起動映像に第二画像22が含まれる。この第二画像22は、第一画像21の加減速に伴って第一表示部1に表示され、且つ、第一画像21が第二表示部2に表示され始めたあとで第二表示部2にも表示されるものであり、所定の動きを伴っている。このように、第一画像21および第二画像22を含む起動映像によって、よりスピード感(疾走感)を表現することができ、乗員に高揚感(ワクワク感や緊張感)を与えることができる。
さらに、第二画像22が、細かい点が飛び散るしぶきを模したものであれば、より一層スピード感(疾走感)や躍動感を演出でき、乗員に高揚感(ワクワク感や緊張感)を与えることができる。
【0033】
また、上述した表示装置では、車両画像としての第一画像21が減速して旋回する際に、第一画像21に含まれるタイヤから周囲に広がるように、しぶきを模した第二画像22が表示され始める。この第二画像22は、第一画像21が第一表示部1から消えたあとも第一表示部1に表示され、且つ、第二表示部2において第一画像21の軌跡を辿るように線状に表示される。このような第一画像21および第二画像22によってダイナミックな演出を実現でき、高揚感をより高めることができる。
【0034】
上述した表示装置では、第三情報を示す第三画像23が第一画像21の消滅後に第二画像22と重なるように第一表示部1に出現することから、第一画像21および第二画像22と第三画像23との連動性が表現され、乗員に対し二画面の一体感を与えることができる。
また、第三画像23は第一表示部1に表示され、透けた状態から徐々に鮮明になって全体像が完成し、再びぼやけたのち消滅する一方で、第二表示部2には、第三画像23が完成してからぼやけるまでの間に所定の動きを伴って第四画像24が出現するため、乗員に二画面の一体感を与えることができる。
【0035】
さらに、第三画像23および第四画像24は同じタイミングで消え始め、その代わりに、第二表示部2に第五画像が徐々に出現する。このように、二つの表示部1,2には、第三画像23(第三情報)と第五画像(第四情報)とが順番に表示されるようになるため、二画面の一体感をより高めることができる。
【0036】
[3.その他]
上述した表示装置および起動映像は一例であって、上述したものに限られない。上記実施形態では、第一表示部1がマルチインフォメーションディスプレイ4であり、第二表示部2がナビゲーションディスプレイ5である場合を例示したが、第一表示部1がナビゲーションディスプレイ5であり、第二表示部2がマルチインフォメーションディスプレイ4であってもよい。あるいは、第一表示部1または第二表示部2がヘッドアップディスプレイ6であってもよい。
【0037】
第二画像22がしぶきを模した画像でなくてもよく、上述した動き以外の動きを伴った画像であってもよい。少なくとも、第一画像21の加減速に伴って第一表示部1に表示され、且つ、第一画像21が第二表示部2に表示され始めたあとで第二表示部2にも表示される画像であればよく、単なる図形や動物等を模した絵柄、流れ星や稲妻のようなエフェクトの画像等であってもよい。また、第三画像23および第五画像は情報を示す画像であればよく、その情報は文字情報に限られない。なお、第四画像24の動きも上述した動き以外であってもよい。
【0038】
起動映像には、少なくとも第一画像21が含まれていればよく、第二画像22,第三画像23,第四画像24,第五画像は省略可能である。また、第一画像21は車両画像に限られず、その他の図形や絵柄(例えば、光の玉,波,花,動物など)や、文字情報(社名,ロゴ,モデル名)であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 第一表示部
2 第二表示部
3 起動スイッチ
4 マルチインフォメーションディスプレイ
5 ナビゲーションディスプレイ
6 ヘッドアップディスプレイ
10 ECU(電子制御装置)
11 制御部
12 データベース
13 出力部
21 第一画像
22 第二画像
23 第三画像
24 第四画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6