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  • 特許-インテークマニホールド 図1
  • 特許-インテークマニホールド 図2
  • 特許-インテークマニホールド 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】インテークマニホールド
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
F02M35/104 D
F02M35/104 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021070947
(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公開番号】P2022165561
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】前田 邦峰
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-001578(JP,A)
【文献】特開平03-275971(JP,A)
【文献】特表平08-501852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた長さのサージタンクと、そのサージタンクにおける長手方向の一端部に繋がるインレットパイプと、前記サージタンクの長手方向に並列に配置されて同サージタンクに繋がる複数の吸気管と、を備え、複数の前記吸気管は、前記サージタンクの外壁の周りを取り巻くように湾曲しており、且つ、内燃機関の各気筒に接続することが可能となっているインテークマニホールドにおいて、
前記サージタンクは、湾曲部と膨出部とを備え、
前記湾曲部は、前記サージタンクの外壁における前記吸気管の入口に隣接する位置で湾曲している箇所を形成するものであって、前記湾曲部の内面が複数の前記吸気管の入口の内面と連なっており、
前記膨出部は、前記サージタンクの外壁における前記インレットパイプ寄りの位置且つ前記湾曲部に隣接する位置に形成され、前記サージタンクの内側に向けて膨らむように突出するものであり、且つ、前記インレットパイプの出口を前記サージタンク内に延長したときの延長線と重なっており、
前記膨出部における前記湾曲部から最も離れた位置には、前記サージタンクの外壁を前記膨出部における前記サージタンクの内側に向けた膨らみとは異なる形状の谷型に屈曲させることによって変流部が形成されており、
前記変流部は、その内面の傾斜により、前記インレットパイプから前記サージタンクに流入した吸気の流れを、前記インレットパイプから見て前記サージタンクにおける前記膨出部よりも奥であって、且つ、前記サージタンクの内面のうちの前記湾曲部の内面と連なる箇所に向かうように指向させるものであるインテークマニホールド。
【請求項2】
前記変流部は、前記サージタンクの外壁を谷型に屈曲させることによって形成されている請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項3】
前記サージタンクの内部であって、前記インレットパイプに対し前記膨出部よりも離れた箇所には、前記湾曲部の湾曲に沿って延びる整流板が形成されている請求項1又は2に記載のインテークマニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテークマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関はインテークマニホールドを備えている。インテークマニホールドは、内燃機関の各気筒に空気(吸気)を供給するためのものである。
特許文献1に示されるインテークマニホールドは、サージタンクとインレットパイプと複数の吸気管とを備えている。サージタンクは、所定の長さとなるように形成されている。インレットパイプは、サージタンクにおける長手方向の一端部に繋がっている。複数の吸気管は、サージタンクの長手方向に並列となるように配置され、同サージタンクに繋がっている。複数の吸気管は、サージタンクの周りを取り巻くように湾曲している。これにより、インテークマニホールドがコンパクトになる。
【0003】
インテークマニホールドにおける複数の吸気管は、内燃機関の各気筒に接続することが可能となっている。内燃機関の運転中には、各気筒の内部に負圧が発生する。この負圧により、インレットパイプからサージタンク内に吸気が流れる。この吸気は、サージタンクから複数の吸気管に分配され、それら吸気管を介して内燃機関の各気筒に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-121469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のインテークマニホールドでは、インレットパイプからサージタンク内に流入した吸気が、サージタンク内で同サージタンクのを長手方向に流れる。一方、複数の吸気管は、サージタンクの長手方向に並列となるように配置され、同サージタンクに繋がっている。このため、サージタンクから複数の吸気管に吸気を流すためには、吸気の流れ方向を大きく変化させなけれならない。
【0006】
しかし、上述したように吸気の流れ方向を大きく変化させることは簡単ではなく、そうした吸気の流れ方向の変化を円滑に行うことができないと、サージタンク内での吸気の流れの乱れが大きくなる。その結果、吸気がインテークマニホールドを通過する際の通気抵抗が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するインテークマニホールドは、次のようなサージタンク、インレットパイプ、及び複数の吸気管を備える。サージタンクは、定められた長さとなるように形成されている。インレットパイプは、サージタンクにおける長手方向の一端部に繋がっている。複数の吸気管は、サージタンクの長手方向に並列に配置され、同サージタンクに繋がっている。複数の吸気管は、サージタンクの周りを取り巻くように湾曲しており、且つ、内燃機関の各気筒に接続することが可能となっている。サージタンクは、湾曲部と膨出部とを備える。湾曲部は、サージタンクの湾曲する外壁を形成するものであって、内面が複数の吸気管の入口の内面と連なっている。膨出部は、サージタンクにおけるインレットパイプ寄りの位置で、サージタンクの内側に向けて且つ前記湾曲部に向けて膨らむように突出するものであり、且つ、インレットパイプの出口をサージタンク内に延長したときの延長線と重なっている。膨出部における湾曲部から最も離れた位置には変流部が形成されている。変流部は、インレットパイプからサージタンクに流入した吸気の流れを、インレットパイプから見てサージタンクにおける膨出部よりも奥であって、且つ、サージタンクの内面のうちの湾曲部の内面と連なる箇所に向かうように指向させるものである。
【0008】
上記構成によれば、インレットパイプからサージタンク内に流入した吸気は、膨出部に当たることにより、その膨出部に沿って流れる。その結果、吸気の流れの方向が、湾曲部におけるインレットパイプに近い箇所に向かう方向に徐々に変更される。更に、上記吸気が湾曲部におけるインレットパイプに近い箇所での湾曲に沿って流れることにより、その吸気の流れが、複数の吸気管のうち、インレットパイプに近い位置にある吸気管の延びる方向に沿った流れとなる。言い換えれば、上記吸気の流れ方向が上記吸気管の入口に向かう方向となるよう円滑に変化する。これにより、インレットパイプに近い位置にある吸気管の入口に対し上記吸気が効率よく流入する。
【0009】
インレットパイプからサージタンク内に流入した吸気は、膨出部に形成された変流部に当たると、インレットパイプから見てサージタンクにおける膨出部よりも奥であって、且つ、サージタンクの内面のうちの湾曲部の内面と連なる箇所に向かって流れる。この吸気は、上記箇所に当たった後、その箇所に連なる湾曲部の内面に沿って流れる。その結果、上記吸気の流れが、複数の吸気管のうち、インレットパイプから遠い位置にある吸気管の延びる方向に沿った流れとなる。言い換えれば、上記吸気の流れ方向が上記吸気管の入口に向かう方向となるよう円滑に変化する。これにより、インレットパイプから遠い位置にある吸気管の入口に対し上記吸気が効率よく流入する。
【0010】
以上により、サージタンクから複数の吸気管に吸気が流れる際には、その吸気の流れ方向が吸気管の入口に向かう方向となるよう円滑に変化する。これにより、サージタンクから複数の吸気管に吸気が流れる際、サージタンク内での吸気の流れの乱れが大きくなることを抑制できる。従って、サージタンク内での吸気の流れの乱れが大きくなることに伴い、インテークマニホールドを吸気が通過する際の通気抵抗が大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】インテークマニホールドを示す正面図。
図2】インテークマニホールドを示す斜視図。
図3】インテークマニホールドにおけるインレットパイプ、サージタンクの膨出部、及び、第1~第4吸気管の入口の位置関係を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、インテークマニホールドの一実施形態について、図1図3を参照して説明する。
図1及び図2に示すインテークマニホールドは、内燃機関の各気筒に空気(吸気)を供給するためのものである。インテークマニホールドは、定められた長さのサージタンク1と、そのサージタンク1における長手方向(図1の左右方向)の一端部に繋がるインレットパイプ2と、を備えている。インレットパイプ2の出口2aは、サージタンク1の内部で開口している。
【0013】
インテークマニホールドは、第1吸気管3、第2吸気管4、第3吸気管5、及び第4吸気管6といった複数の吸気管も備えている。第1~第4吸気管3~6は、サージタンク1の長手方向に並列となるように配置され、同サージタンク1に繋がっている。第1~第4吸気管3~6は、サージタンク1の周りを取り巻くように湾曲している。これにより、インテークマニホールドがコンパクトになる。
【0014】
図3に示すように、第1吸気管3における吸気の入口3a、第2吸気管4における吸気の入口4a、第3吸気管5における吸気の入口5a、及び第4吸気管6における吸気の入口5aは、サージタンク1の内部に対し開口している。第1~第4吸気管3~6は、内燃機関の各気筒に接続することが可能となっている。内燃機関の運転中には、各気筒の内部に負圧が発生する。この負圧によりインレットパイプ2からサージタンク1内に吸気が流れる。この吸気は、サージタンク1から第1~第4吸気管3~6に分配され、それら吸気管3~6を介して内燃機関の各気筒に供給される。
【0015】
図1及び図2に示すように、サージタンク1は、湾曲部7と膨出部8とを備えている。湾曲部7は、サージタンク1の湾曲する外壁を形成するものである。湾曲部7の内面は、第1~第4吸気管3~6の入口3a~6a(図3)の内面と連なっている。図1に示すように、膨出部8は、サージタンク1におけるインレットパイプ2寄りの位置で、サージタンク1の内側に向けて且つ湾曲部7に向けて膨らむように突出している。膨出部8は、インレットパイプ2の出口2aをサージタンク1内に延長したときの延長線L(図3)と重なっている。
【0016】
図3に示すように、膨出部8における湾曲部7から最も離れた位置には変流部9が形成されている。変流部9は、サージタンク1の外壁を谷型に屈曲させることによって形成されている。変流部9は、インレットパイプ2からサージタンク1に流入した吸気の流れを、インレットパイプ2から見てサージタンク1における膨出部8よりも奥に位置する箇所Pに向かうように指向させるものである。この箇所Pは、膨出部8よりも奥であって、且つ、サージタンク1の内面のうちの湾曲部7の内面と連なる箇所である。
【0017】
サージタンク1の内部であって、インレットパイプ2に対し膨出部8よりも離れた箇所には、湾曲部7の湾曲に沿って延びる整流板11が形成されている。
次に、本実施形態のインテークマニホールドの作用について説明する。
【0018】
インレットパイプ2からサージタンク1内に流入した吸気は、膨出部8に当たることにより、その膨出部8に沿って流れる。その結果、吸気の流れの方向が、湾曲部7におけるインレットパイプ2に近い箇所に向かう方向に徐々に変更される。更に、上記吸気が湾曲部7におけるインレットパイプ2に近い箇所での湾曲に沿って流れることにより、その吸気の流れが、複数の吸気管のうち、インレットパイプ2に近い位置にある第1吸気管3及び第2吸気管4の延びる方向に沿った流れとなる。言い換えれば、上記吸気の流れ方向が、第1吸気管3の入口3aに向かう図3に矢印Y1で示す方向、及び、第2吸気管4の入口4aに向かう矢印Y2で示す方向となるよう円滑に変化する。これにより、第1吸気管3の入口3a及び第2吸気管4の入口4aに対し上記吸気が効率よく流入する。
【0019】
インレットパイプ2からサージタンク1内に流入した吸気は、膨出部8に形成された変流部9に当たると、インレットパイプ2から見てサージタンク1における膨出部8よりも奥に向かって流れる。より詳しくは、上記吸気は、サージタンク1における膨出部8よりも奥であって、且つ、サージタンク1の内面のうちの湾曲部7の内面と連なる箇所Pに向かって流れる。この吸気は、上記箇所Pに当たった後、その箇所Pに連なる湾曲部7の内面に沿って流れる。その結果、上記吸気の流れが、複数の吸気管のうち、インレットパイプ2から遠い位置にある第3吸気管5及び第4吸気管6の延びる方向に沿った流れとなる。言い換えれば、上記吸気の流れ方向が、第3吸気管5の入口5aに向かう図3の矢印Y3で示す方向、及び、第4吸気管6の入口6aに向かう矢印Y4で示す方向となるよう円滑に変化する。これにより、第3吸気管5の入口5a及び第4吸気管6の入口6aに対し上記吸気が効率よく流入する。
【0020】
以上により、サージタンク1から第1~第4吸気管3~6に吸気が流れる際には、その吸気の流れ方向が第1~第4吸気管3~6の入口3a~6aに向かう方向となるよう円滑に変化する。これにより、サージタンク1から第1~第4吸気管3~6に吸気が流れる際、サージタンク1内での吸気の流れの乱れが大きくなることを抑制できる。従って、サージタンク1内での吸気の流れの乱れが大きくなることに伴い、インテークマニホールドを吸気が通過する際の通気抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0021】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)インテークマニホールドを吸気が通過する際の通気抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0022】
(2)サージタンク1の内部であって、インレットパイプ2に対し膨出部8よりも離れた箇所には、湾曲部7の湾曲に沿って延びる整流板11が形成されている。この整流板11は、サージタンク1内での吸気の流れに次のような影響を及ぼす。すなわち、サージタンク1内の吸気は、膨出部8に形成された変流部9により、インレットパイプ2から見てサージタンク1における膨出部8よりも奥であって、且つ、サージタンク1の内面のうちの湾曲部7の内面と連なる箇所Pに向かって流れる。上記吸気の流れは、複数の吸気管のうち、インレットパイプ2から遠い位置にある第3吸気管5及び第4吸気管6の延びる方向に沿った流れとなる。そうした吸気の流れが乱れることは、上記整流板11によって抑制される。従って、サージタンク1内におけるインレットパイプ2から離れた位置でも、第3吸気管5及び第4吸気管6の延びる方向に沿った吸気の流れを作りやすくなる。
【0023】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・整流板11については必ずしも設ける必要はない。
【0024】
・変流部9は、必ずしも谷型に屈曲した形状である必要はない。例えば他の形状の変流部を採用してもよい。
・変流部はリブ等によって形成されていてもよい。
【0025】
・インテークマニホールドは第1~第4吸気管3~6といった合計四つの吸気管を備えるものとされているが、インテークマニホールドにおける吸気管の数は内燃機関の気筒数等に合わせて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1…サージタンク
2…インレットパイプ
2a…出口
3…第1吸気管
3a…入口
4…第2吸気管
4a…入口
5a…入口
6…第4吸気管
6a…入口
7…湾曲部
8…膨出部
9…変流部
11…整流板
図1
図2
図3