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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021072108
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166710
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岡野 花奈子
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055014(JP,A)
【文献】特開2001-212162(JP,A)
【文献】国際公開第2018/039355(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脚部の上腿に巻き付けて装着される上腿部用カフと、
ユーザの脚部の下腿に巻き付けて装着される下腿部用カフと、
前記上腿部用カフと、前記下腿部用カフの夫々が接続されるフレームと、を備え、
前記上腿部用カフと、前記下腿部用カフの夫々は、
所定の方向に長く延びる形状を有する延在部と、
前記延在部の一端部に近接して配されるとともに、ユーザに装着される際にユーザの後方に配される後方カフを保持する袋部と、を有し、
前記延在部は、
前記延在部の延びる方向に沿って配されるとともに、上下方向におけるユーザの膝部から遠方側の端部に配される第1の伸び止め部と、
前記延在部において、上下方向におけるユーザの膝部に近接する側の端部に沿って配され、前記第1の伸び止め部と異なる方向に延び、かつ、一端部が前記フレームに接続されてユーザの膝前方を支持する第2の伸び止め部と、
前記第1の伸び止め部と前記第2の伸び止め部の夫々に接続されており、前記第1の伸び止め部と前記第2の伸び止め部を同時にユーザの脚部に締め付け可能であるワイヤーと、を有し、
前記フレームは、
ユーザの上腿の近傍に配置される上腿フレームと、
ユーザの下腿の近傍に配置される下腿フレームと、
前記上腿フレームと前記下腿フレームの間に設けられユーザの脚に抗力を発生させるダンパと、を有する、
歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特許第5316708号公報がある。この公報に記載された歩行支援装置では、アクチュエータと一方向ダンパとを備え、ユーザの歩行動作を補助する歩行支援装置が開示されている。ここで、アクチュエータは、下腿リンクにトルクを発生させる。また、一方向ダンパは、膝屈曲方向の回転に抵抗力を発生させるものであり、膝伸展方向に対しては抵抗力を発生させないものである。例えば、この一方向ダンパは、自由な回転を許容するフリーモード、抵抗力を与えるダンパモード、回転を禁止するロックモードの順で繰り返されるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5316708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の歩行支援装置は、膝の関節の動きをアシストする装置であって、それぞれ膝の屈曲方向の抵抗力が異なるモードを、歩行状態に合わせて切り替えることができるものである。しかしながら、この歩行支援装置では、膝が抑えられていないため屈曲時には膝が前に出てしまい、カフ内で脚が遊んだ状態なるため抵抗力が逃げてしまう。そのため、この歩行支援装置では、初期から脚に抗力を伝えることができないという問題がある。
【0005】
さらにこのような歩行支援装置は、歩行支援装置の上部から脚を通すことによって装着する構造であるため、歩行支援装置のユーザの脚が麻痺しているような場合には、脚を持ち上げて装着することが困難である場合がある。
【0006】
また他にも、大腿と下腿をカフによって支持するとともに、膝を膝パッドによって支持することで、3点支持が行われた状態とすることができる長下肢装具が知られている。このような長下肢装具では、抵抗を脚に伝えることが可能であるが、カフのベルトの調節箇所が3点あるとともに膝パッドの調節箇所がある等、装着に手間がかかる構造となっていることがある。
【0007】
本発明は、装着が容易であるとともに、ユーザの脚への抗力の発生を適切に行うことができる歩行支援装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる歩行支援装置は、ユーザの脚部の上腿に巻き付けて装着される上腿部用カフと、ユーザの脚部の下腿に巻き付けて装着される下腿部用カフと、前記上腿部用カフと、前記下腿部用カフの夫々が接続されるフレームと、を備え、前記上腿部用カフと、前記下腿部用カフの夫々は、所定の方向に長く延びる形状を有する延在部と、前記延在部の一端部に近接して配されるとともに、ユーザに装着される際にユーザの後方に配される後方カフを保持する袋部と、を有し、前記延在部は、前記延在部の延びる方向に沿って配されるとともに、上下方向におけるユーザの膝部から遠方側の端部に配される第1の伸び止め部と、前記延在部において、上下方向におけるユーザの膝部に近接する側の端部に沿って配され、前記第1の伸び止め部と異なる方向に延び、かつ、一端部が前記フレームに接続されてユーザの膝前方を支持する第2の伸び止め部と、前記第1の伸び止め部と前記第2の伸び止め部の夫々に接続されており、前記第1の伸び止め部と前記第2の伸び止め部を同時にユーザの脚部に締め付け可能であるワイヤーと、を有する。
これにより、ユーザの脚部を支持する2つのカフが、ワイヤーにより容易に装着可能となる。
【発明の効果】
【0009】
これにより、装着が容易であるとともに、ユーザの脚への抗力の発生を適切に行うことができる歩行支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】歩行支援装置の構成を示す図である。
図2】ユーザに巻き回した状態のカフの一例を示す図である。
図3】展開した状態のカフを示す図である。
図4】展開した状態のニットカフにワイヤーを取り付けた状態の一例を示す図である。
図5】樹脂カフの一例を示す図である。
図6】ワイヤーの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る歩行支援装置1は、歩行訓練を行う訓練者(以下、ユーザ)に装着され、ユーザは歩行支援装置1を装着した状態のまま歩行訓練を行う。例えば、一方の脚に麻痺を患う片麻痺患者である訓練者が、麻痺側の脚部である患脚に歩行補助装置を装着する。なお、歩行支援装置は、歩行訓練システムでの歩行訓練時に限らず、病院内での歩行時や屋外等での歩行時において使用されてもよい。
【0012】
特に、歩行支援装置1は、ユーザの脚部のうち膝関節の近傍に装着され、歩行訓練の際に歩行の支援を行う。また、歩行支援装置1は、膝関節の屈曲方向に抵抗力を発生させる。
【0013】
ここで、歩行支援装置1は、ユーザの膝関節及びその周辺に装着されるものであり、具体的には、上腿から下腿に渡って配置される。なお、上腿とは、股関節から膝関節までの部分を示し、下腿は、膝関節から足首関節までの部分であるものとする。
【0014】
図1に示すように、歩行支援装置1は、フレーム11と、フレーム11に連結される2つのカフ12,13を備える。ここで、カフ12は、ユーザの上腿に取り付ける上腿部用カフであり、カフ13はユーザの下腿に取り付ける下腿部用カフである。フレーム11は、カフ12,13の側方に取り付けられている。
【0015】
フレーム11は、ユーザの膝近傍に配置される際に、ユーザの上腿から下腿にかけて装着される。フレーム11は、ユーザの上腿の近傍に配置される上腿フレーム11aと、ユーザの下腿部の近傍に配置される下腿フレーム11bと、上腿フレーム11aと下腿フレーム11bの間であって、ユーザの膝近傍に配置されるダンパ11cを備える。
【0016】
例えば、上腿フレーム11aと下腿フレーム11bの間にダンパ11cが設けられている。ダンパ11cは、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えることができる。具体的には、ダンパ11cは、オイル等の流体の粘性抵抗を利用して、膝関節の屈曲方向の回転を減速させる。なおダンパ11cは、一方向にのみ抵抗力を与える一方向ダンパとすることが好ましい。またダンパ11cは、膝関節の伸展方向の抵抗力を与えないようにフリーとなっている。
【0017】
図2は、ユーザの脚部に巻いた状態のカフ12の例を示している。なお図2では、カフ12の構成を判りやすくするため、ユーザの脚の記載は省略している。
【0018】
カフ12は、面ファスナ12a,12bを有するサポータである。カフ12は、ユーザの上腿周りに巻き回した状態で装着されるとともに、後述する袋部30に設けられた面ファスナ12aと、延在部31の先端近傍に設けられた面ファスナ12bとを接触させて固定する。例えば、カフ12をユーザに巻き回した状態において、面ファスナ12a,12bは、上腿の後側に配置される。なお、面ファスナ12a,12bの位置は、上腿の側方である等の他の配置であってもよい。
【0019】
カフ12は、面ファスナ12a,12bを用いることによって、容易にユーザに脱着できるとともに、カフ12からユーザへの圧迫度合いを調整することができる。
【0020】
カフ13は、面ファスナを有するサポータであり、カフ12に同様の構成を有している。カフ13は、ユーザの下腿周りに巻き回した状態で装着される。例えば、カフ13をユーザに巻き回した状態において、面ファスナは、下腿の後側に配置される。なお、面ファスナの位置は、下腿の側方である等の他の配置であってもよい。
【0021】
カフ12は、ニットカフ21と、樹脂カフ22と、ワイヤー23を備える。
【0022】
ニットカフ21は、主にニットにより形成されている。例えば、ニットカフ21では、糸の種類や本数に応じて、クッション性を出すことが可能である。また、ニットカフ21は、内側に摩耗性の高い糸を入れて、ユーザからのズレ落ちを防止することができる。
【0023】
ここで図3及び図4はカフ12の展開図を示している。ニットカフ21は、ユーザの上腿周りに巻き回せるように、展開した状態においては所定の方向に長く形成されている。以下では、この展開状態のニットカフ21、及び、ニットカフ21に取り付けられる樹脂カフ22及びワイヤー23について説明する。ここで図3はニットカフ21にワイヤー23を取り付けていない状態であり、図4は、図3で示したニットカフ21にワイヤー23を取り付けた状態の一例を示している。
【0024】
ニットカフ21は、袋部30と、袋部30に接続され所定の方向に長く延びる延在部31と、を備える。
【0025】
袋部30は、樹脂カフ22を保持可能であるように袋状に形成されている。なお、袋部30は、ニットカフ21における一端部に配されている。
【0026】
延在部31は、所定の方向に長く形成されており、カフ12をユーザに装着した際に広くユーザに接触する箇所である。より具体的には延在部31は、袋部30とともに、所定の方向に延びる方向を周方向として環状を形成することで、ユーザの脚に長く巻き付けられる。ここで袋部30は、延在部31が延びる方向において、端部31cの先に配されている。
【0027】
また延在部31は、袋部30に接触する側である端部31c側の幅が広く、逆側である端部31d側が狭く形成されている。
【0028】
さらに、延在部31において延在方向に延びる箇所の上端の辺31aは、ユーザの脚部に取り付けられたときに略水平となる。
【0029】
さらに、延在部31が延在方向に延びる箇所のうち、下端の辺であって、延在部31の幅が広がるようにテーパ状にとなっている箇所を辺31bとする。
【0030】
第1の伸び止め部32は、延在部31の上端において、辺31aに沿って延びるように形成されている。すなわち、第1の伸び止め部32は、延在部31の上端のフレームとして働くように配されている。
【0031】
言い換えると、第1の伸び止め部32は、延在部31の延びる方向に沿って形成されているとともに、上下方向において、ユーザの膝部から遠方の端部側に配される。
【0032】
第2の伸び止め部33は、延在部31の下端において、辺31bに沿って延びるように形成されている。すなわち、第2の伸び止め部33は、延在部31の下端のフレームとして働くように配されている。
【0033】
言い換えると、第2の伸び止め部33は、第1の伸び止め部32とは異なる方向に延びるとともに、上下方向において、ユーザの膝部から近接する端部側に配される。
【0034】
なお、第1の伸び止め部32は、カフ12をユーザの脚に固定する役割であり、第2の伸び止め部33は、ユーザの膝を抑える役割である。第1の伸び止め部32は、所定の方向に長く形成されており、カフ12がユーザの上腿に固定される際に、ユーザの上腿に長く巻き付けられる。
【0035】
第1の伸び止め部32及び第2の伸び止め部33は、抵抗力がかかってもニットカフ21が伸びないように、ニットカフ21の伸びを抑える役割を有している。そのため、第1の伸び止め部32及び第2の伸び止め部33は、ニットカフ21が延びる方向に力が与えられた場合であっても、変化が少ない材料、編み方等によって形成されていることが望ましい。
【0036】
ここで、第1の伸び止め部32の延びる方向における両端部のうち、袋部30に近接する端部を第1の端部32a、他方の端部を第2の端部32bとする。さらに、端部32a,32bの間を中間部32cとする。
【0037】
第2の伸び止め部33は、延在部31の下部の一部に沿って配されている。また第2の伸び止め部33は、第1の伸び止め部32の中間部32cに近接する端部を第1の端部33aとし、他方の端部を第2の端部33bとする。
【0038】
なお第2の端部33bは、袋部30に近接し、かつ、第1の端部33aより下方となるように延びた形状である。
【0039】
典型的には、第2の伸び止め部33の長さは、第1の伸び止め部32に比べて短い。また例えば、第2の伸び止め部33の第2の端部33bの位置は、第1の伸び止め部32の延びる方向において、第1の端部32aより中間部32c寄りに配される。
【0040】
なお図1に示すように、第2の伸び止め部33の端部33bは、フレーム11に接続される。
【0041】
袋部30に設けられた袋内には、樹脂カフ22が挿入されている。また、樹脂カフ22は、フレーム11と締結して保持されている。なお、樹脂カフ22は、袋部30の袋内に挿入された状態で、ニットカフ21がユーザに巻き回されたときに、ユーザの上腿の後方側に配置される後方カフである。
【0042】
図5は、樹脂カフ22の一例を示した図である。樹脂カフ22は、ニットカフ21をユーザの上腿に巻き回した際に、ユーザの上腿に合致する形状を有する樹脂製のカフである。樹脂カフ22は、ユーザに近接する側に、円弧状の面22aを有する。
【0043】
なお図2では、樹脂カフ22の上部22b及び下部22cは、いずれも略水平方向に延びた形状であるように記載しているが、これに限られず、ユーザの脚の形状に沿うように、テーパ形状としてもよい。
【0044】
図4に戻り、ワイヤー23は、ニットカフ21の第1の伸び止め部32の中間部32cに接続されている箇所を接続点24aとして、第1の伸び止め部32における第1の端部32a側の任意の箇所(以下、接続点24b)と、第2の伸び止め部33の第2の端部33b側の任意の箇所(以下、接続点24c)と、にそれぞれ伸びて接続されている。
【0045】
なお、接続点24aと接続点24bは、夫々が第1の伸び止め部32上に設けられており、接続点24aと接続点24cは、夫々が第2の伸び止め部33上及び延長上に設けられていることが望ましい。
【0046】
ここでワイヤー23は、ユーザに操作により巻かれることによって、第1の伸び止め部32と第2の伸び止め部33を、同時に締付可能である。
【0047】
例えば、ワイヤー23は、接続点24aから接続点24bまで延びる長さと、接続点24aから接続点24cまで延びる長さが、それぞれ可変である状態で配されている。ここでワイヤー23は、接続点24aから接続点24bまで延びる長さと、接続点24aから接続点24cまで延びる長さについて、一方が長くなったときに、自動的に、他方が短くなるように配されている。
【0048】
図6に示すように、より具体的にはワイヤー23は、閉曲線を描くように配されているとともに、接続点24aを介して、接続点24bと接続点24cの夫々に引っかかるように配されている。そして、ワイヤー23は、接続点24a、接続点24b及び接続点24cにおいて、ワイヤー23が延びる方向に可動の状態で接続されている。
【0049】
さらに接続点24aの近傍には、ユーザがワイヤー23の巻き取り操作を行うための調整部24dを設けることができる。
【0050】
これにより、ユーザが調整部24dを利用してワイヤー23の巻き取り操作を行うことができる。このときワイヤー23では、第1の伸び止め部32と第2の伸び止め部33に対して、同時に力を加えることができる。したがって、第1の伸び止め部32と第2の伸び止め部33は、同時に、ユーザの脚部への締め付けを実行できる。
【0051】
なお、カフ12をユーザに装着する際には、面ファスナ12a,12bを利用してニットカフ21をユーザに装着した後に、調整部24dを操作することによって、接続点24a,接続点24b,接続点24cに接続されているワイヤー23の巻き取り状態を調整することができる。言い換えると、面ファスナ12a,12bを利用してユーザにカフ12を固定して、位置決めを行った後に、第1の伸び止め部32と第2の伸び止め部33を同時に締め付けることができる。
【0052】
なお、ユーザの上腿に装着するカフ12について説明したが、ユーザの下腿に装着するカフ13についても同様であるため、説明を省略する。ただし、カフ13は、カフ12とは上下反転させた状態で、各部が配置されている。
【0053】
すなわち、カフ12では、第1の伸び止め部32がユーザの膝から遠方である上方であり、第2の伸び止め部33がユーザの膝に近接する側である下方であるものとして説明したが、カフ13では、第1の伸び止め部32がユーザの膝から遠方側である下方であり、第2の伸び止め部33がユーザの膝に近接する側である上方である。
【0054】
このように、歩行支援装置1において、カフ12の袋部30に樹脂カフ22を配置してユーザの上腿の後方を支持するとともに、第2の伸び止め部33によりユーザの膝前方を支持することができる。同様に、カフ13においても、袋部に樹脂カフを配置してユーザの下腿の後方を支持するとともに、第2の伸び止め部によりユーザの膝前方を支持することができる。したがって、上腿後方と下腿後方と膝前方の3点支持を行うことができるため、歩行支援装置1で発生させた抵抗力をユーザの脚に伝えることができる。
【0055】
ここで歩行支援装置1は、カフ12及びカフ13により、3点支持を行うことが可能である軽量な構成である。そのため歩行支援装置1は、ユーザが患脚のリハビリを行う場合であっても、ユーザの負担となりにくい。
【0056】
さらに、歩行支援装置1は、カフ12及びカフ13において、ワイヤー23の巻き取りによって、第1の伸び止め部32と第2の伸び止め部33を、容易かつ同時に締め付けることができる。したがって歩行支援装置1は、ユーザへの装着が容易であるため装着にかかる時間を短縮することができ、長時間のリハビリを実行しやすくなる。
【0057】
また、歩行支援装置1は、ユーザの膝周りに装着するものの構成のみであるため、短下肢装具との併用が可能である。
【0058】
さらに、歩行支援装置1は、ユーザに装着を行う際の調整が容易であることから、使用するユーザが変更された場合であっても、変更されたユーザに合わせた調整がしやすいという利点がある。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。すなわち上記の記載は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされており、当業者であれば、実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0060】
ニットカフ21は、編み方によって模様をつけることができるため、意匠性の幅を広げることができる。また、ニットカフ21は、糸の色を変更することによっても、意匠を変更することができる。
【0061】
また上記では、ニットカフ21は、面ファスナ12a,12bを用いてユーザに固定するものとして説明したが、面ファスナ以外の方法でユーザへの固定を行うことが可能である。例えば、ニットカフ21では、ボタンや磁石、紐を引っかける等の方法によってユーザに固定するものであって良い。
【0062】
第2の伸び止め部33の端部33bは、フレーム11のどの位置に接続されるものとしても良い。但し、このときの端部33bの位置は、カフ12やカフ13をユーザに装着したときに、夫々の第2の伸び止め部33により、ユーザの膝の前方を支持することが可能である位置とする。
【0063】
また、ニットカフ21を展開した状態の図2において、第1の伸び止め部32は略水平方向に延びるものとしたが、これに限られない。第2の伸び止め部33の延びる方向についても同様に、伸びる方向を任意に変更することができる。但し、これらは、カフ12やカフ13をユーザに装着したときに、夫々の第2の伸び止め部33により、ユーザの膝の前方を支持することが可能である位置とする。
【0064】
また上記では、カフ12における配する後方カフとして、樹脂製である樹脂カフ22を用いるものとして説明したが、樹脂製であることに限られない。すなわち、カフ12に用いられる後方カフは、所定の固さを有するとともにユーザの上腿の後方を固定するものであればよい。カフ13についても同様である。
【0065】
またニットカフ21において、第1の伸び止め部32及び第2の伸び止め部33に用いる糸は、伸びにくい性質のものであればよい。すなわち、ケブラーやナイロン糸、熱融着糸などを用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 歩行支援装置
11 フレーム
11a 上腿フレーム
11a 上腿フレーム
11c ダンパ
12 カフ(上腿部用カフ)
12a,12b 面ファスナ
13 カフ(下腿部用カフ)
21 ニットカフ
22 樹脂カフ(後方カフ)
22a 面
22b 上部
22c 下部
23 ワイヤー
24a,24b,24c 接続点
24d 調整部
30 袋部
31 延在部
31a 辺
31b 辺
31c 第1の端部
31d 第2の端部
32 第1の伸び止め部
32a 第1の端部
32b 第2の端部
32c 中間部
33 第2の伸び止め部
33a 第1の端部
33b 第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6