(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】充電設備および充電設備の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240820BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240820BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240820BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240820BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240820BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240820BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J1/00 306L
H02J7/00 P
H02J7/02 B
H02J7/02 V
H02H7/18
B60L53/30
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2021095666
(22)【出願日】2021-06-08
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-18070(JP,A)
【文献】特開平10-28332(JP,A)
【文献】特開2020-72611(JP,A)
【文献】特開2020-36412(JP,A)
【文献】特開2017-130174(JP,A)
【文献】特開2006-70454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 1/00
H02H 7/00
H02H 7/10ー7/20
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面下に形成された凹部に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備であって、前記車両の下部には、前記蓄電装置の充電に用いられるインレットが設けられ、
所定位置に駐車された前記車両の前記インレットに接続可能に構成されるコネクタを有する可動部と、
前記コネクタが地面下に収納された第1位置と、前記コネクタが地面上の前記インレットに接続される第2位置とを含む可動範囲内で前記可動部を昇降させる昇降装置と、
前記昇降装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記充電設備の利用対象でない非対象車両が前記充電設備に接近する場合に、前記可動部を前記第1位置から上昇させる、充電設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記充電設備の利用対象である対象車両が前記充電設備に接近する場合に、前記対象車両が前記所定位置に駐車したときに前記可動部を前記第1位置から前記第2位置に上昇させる、請求項1に記載の充電設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記非対象車両が前記充電設備を通過した場合に、前記可動部を前記第1位置に下降させる、請求項1または2に記載の充電設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記非対象車両が前記充電設備に接近する場合に、前記所定位置への駐車を妨げる高さまで前記可動部を上昇させる、請求項1~3のいずれかに記載の充電設備。
【請求項5】
地面下に形成された凹部に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備の制御方法であって、前記車両の下部には、前記蓄電装置の充電に用いられるインレットが設けられ、前記充電設備は、所定位置に駐車された前記車両の前記インレットに接続可能に構成されるコネクタを有する可動部と、前記コネクタが地面下に収納された第1位置と、前記コネクタが地面上の前記インレットに接続される第2位置とを含む可動範囲内で前記可動部を昇降させる昇降装置とを備え、
前記充電設備の利用対象でない非対象車両が前記充電設備に接近するか否かを判定するステップと、
前記非対象車両が前記充電設備に接近する場合に、前記可動部を前記第1位置から上昇させるステップとを含む、充電設備の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載の蓄電装置を充電する可動式の充電設備の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される蓄電装置を充電するための充電設備は、車両等の外部の駐車場や歩道に設置されるが、設置スペースを占有するため、歩行や車両の走行の妨げになる場合がある。そのため、充電設備を可動式とし、たとえば、地面下に収納させる技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2011-109807号公報(特許文献1)には、地面から立ち上がった状態になることができるとともに、地面下に収納された状態になるよう昇降可能に設置される充電用ポールが開示される。充電用ポールはソケットを備え、ユーザが車両に搭載された蓄電装置を充電する場合には、充電ケーブルの端部のプラグを当該ソケットに接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両と地面下に収納可能な充電設備との接続方式としては、上述の特許文献1に記載の方式に限られない。車両と充電設備との他の接続方式としては、たとえば、地面下に収納された充電設備の直上に車両が駐車された状態で充電設備のコネクタが上昇して車両の下部に設けられたインレットに接続される方式も考えられる。このような接続方式の充電設備は、所定の駐車位置に車両が駐車された状態で利用可能となる。
【0006】
しかしながら、たとえば、充電設備の利用を予約するなどした充電設備の利用対象である車両が所定の駐車位置に移動する前に、充電設備の利用対象でない車両が所定の駐車位置に駐車してしまうと、利用対象の車両が駐車位置に移動できず、利用対象の車両に搭載される蓄電装置を充電できない可能性がある。そのため、ユーザの利便性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザの利便性の悪化を抑制する充電設備および充電設備の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る充電設備は、地面下に形成された凹部に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備である。車両の下部には、蓄電装置の充電に用いられるインレットが設けられる。この充電設備は、所定位置に駐車された車両のインレットに接続可能に構成されるコネクタを有する可動部と、コネクタが地面下に収納された第1位置と、コネクタが地面上のインレットに接続される第2位置とを含む可動範囲内で可動部を昇降させる昇降装置と、昇降装置の動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、充電設備の利用対象でない非対象車両が充電設備に接近する場合に、可動部を第1位置から上昇させる。
【0009】
このようにすると、充電設備の利用対象でない非対象車両が充電設備に接近する場合には、可動部が第1位置から上昇するため、非対象車両が所定位置に駐車することを抑制することができる。そのため、充電設備の利用対象である車両が駐車できない状況になることを回避することができるため、ユーザの利便性の悪化を抑制することができる。
【0010】
ある実施の形態においては、制御装置は、充電設備の利用対象である対象車両が充電設備に接近する場合に、対象車両が所定位置に駐車したときに可動部を第1位置から第2位置に上昇させる。
【0011】
このようにすると、充電設備の利用対象である対象車両が充電設備に接近する場合には、対象車両が所定位置に駐車したときに可動部が第1位置から第2位置に上昇するため、コネクタがインレットに接続されることにより対象車両に搭載された蓄電装置を充電することができる。
【0012】
さらにある実施の形態においては、制御装置は、非対象車両が充電設備を通過した場合に、可動部を第1位置に下降させる。
【0013】
このようにすると、非対象車両が充電設備を通過した場合に、可動部が第1位置に下降させられるので、その後に対象車両が所定位置に駐車することができる。
【0014】
さらにある実施の形態においては、制御装置は、非対象車両が充電設備に接近する場合に、所定位置への駐車を妨げる高さまで可動部を上昇させる。
【0015】
このようにすると、充電設備の利用対象でない非対象車両が充電設備に接近する場合には、第1位置から可動部が所定位置への駐車を妨げる高さまで上昇するため、非対象車両が所定位置に駐車することを抑制することができる。
【0016】
本開示の他の局面に係る充電設備の制御方法は、地面下に形成された凹部に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備の制御方法である。車両の下部には、蓄電装置の充電に用いられるインレットが設けられる。充電設備は、所定位置に駐車された車両のインレットに接続可能に構成されるコネクタを有する可動部と、コネクタが地面下に収納された第1位置と、コネクタが地面上のインレットに接続される第2位置とを含む可動範囲内で可動部を昇降させる昇降装置とを備える。この制御方法は、充電設備の利用対象でない非対象車両が充電設備に接近するか否かを判定するステップと、非対象車両が充電設備に接近する場合に、可動部を第1位置から上昇させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ユーザの利便性の悪化を抑制する充電設備および充電設備の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施の形態に係る充電設備の構成の一例を示す図である。
【
図3】充電設備において行なわれる通信について説明するための図である。
【
図4】充電設備の制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】充電設備の制御装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図6】充電設備の制御装置の動作の他の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る充電設備300の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、充電設備300は、地面F1下に収納可能に構成される可動式の充電設備である。
図1に示される充電設備300の状態は、充電設備300が地面F1下に収納された状態(以下、「収納状態」とも称する)である。
【0021】
充電設備300は、地面F1から下方へ延びる凹部R1に設置されている。収納状態では、凹部R1の内側に充電設備300の全体が収納される。充電設備300は、円筒状の筐体を有する。充電設備300の筐体は、凹部R1の底面に固定されている。筐体の材料は、金属であってもよいし、プラスチックであってもよい。筐体の表面に防水処理が施されてもよい。
【0022】
充電設備300は、筐体内に、電源回路310と、アクチュエータ320と、制御装置330とを有する。また、充電設備300は、鉛直方向(上下方向)に変位可能な可動部301をさらに備える。可動部301は、先端にコネクタ301aを有する棒状部材である。アクチュエータ320が可動部301を昇降させる昇降装置に相当する。収納状態では、可動部301の全体が充電設備300の筐体内に収納され、充電設備300の頂面が地面F1と面一になる。充電設備300の筐体の外周面と凹部R1の内壁との隙間にシール部材が設けられてもよい。
【0023】
可動部301のコネクタ301aは、図示しない電線を介して、電源回路310に接続されている。可動部301は、電源回路310に接続される電力線に加えて、制御装置330に接続される通信線を含んでもよい。電源回路310は、交流電源350から電力の供給を受けて、可動部301(より特定的には、コネクタ301a)に電力を供給するように構成される。電源回路310は、電力変換回路を含み、充電設備側の充電器として機能する。交流電源350は、電源回路310に交流電力を供給する。交流電源350は、商用電源(たとえば、電力会社によって提供される電力系統)であってもよい。電源回路310は、制御装置330によって制御される。
【0024】
アクチュエータ320は、可動部301に直接的または間接的に動力を与えて、鉛直方向に可動部301を動かすように構成される。アクチュエータ320は、電源回路310から供給される電力を用いて動力を発生させる電動アクチュエータであってもよい。可動部301の変位機構はラックピニオン式であってもよい。たとえば、可動部301にラックギヤが固定され、ラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤをアクチュエータ320が回転駆動するように構成されてもよい。あるいは、ピストンに接続されるロッドが可動部301に固定され、アクチュエータ320が油圧でピストンを動かすように構成されてもよい。あるいは、アクチュエータ320は、電力を用いて磁力を発生させて、磁力を利用して直接的に可動部301に動力を与えてもよい。アクチュエータ320は、制御装置330によって制御される。
【0025】
制御装置330はコンピュータであってもよい。制御装置330は、プロセッサ331、RAM(Random Access Memory)332、および記憶装置333を含んで構成される。プロセッサ331としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置333は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置333には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置333に記憶されているプログラムをプロセッサ331が実行することで、充電設備300における各種制御が実行される。ただし、充電設備300における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。なお、制御装置330が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0026】
充電設備300の車両との接続方式は、地面F1下に収納された可動部301の直上に車両200が駐車された状態で可動部301のコネクタ301aが車両200の床下から車両200に向かって上昇して車両200の下部に設けられたインレット211に接続される方式である。可動部301のコネクタ301aは、所定の駐車位置に駐車された車両200の下部に設けられたインレット211に接続可能に構成される。この実施の形態に係る充電設備300により車両200に電力を供給する位置は、平面視においてコネクタ301aと車両200のインレット211とが一致する位置(すなわち、コネクタ301aおよびインレット211の各々のX,Y座標が一致する位置)である。可動部301は、コネクタ301aが地面F1下に収納された第1位置と、コネクタ301aが地面F1上の車両200のインレット211に接続される第2位置とを含む可動範囲内を変位するように構成される。
【0027】
図2は、可動部301が上昇した状態を示す図である。
図2を参照して、可動部301は、コネクタ301aの位置Zxを変えるように鉛直方向に変位(上昇および下降)する。
図2に示される充電設備300の状態は、コネクタ301aが車両200のインレット211に接続される位置(第2位置)まで上昇した状態(以下、「上昇状態」とも称する)である。以下では、説明の便宜上、可動部301のコネクタ301aの位置Zxを、可動部301の位置とみなす。
【0028】
可動部301は可動範囲R2内を変位するように構成される。可動範囲R2の下限位置Z1は、地面F1と同じ高さである。可動部301の位置が下限位置Z1であるときには、可動部301の全体(コネクタ301aを含む)が地面F1下に収納される(
図1参照)。可動部301の位置が下限位置Z1よりも高ければ、コネクタ301aが地面F1上に露出する。可動範囲R2の上限位置Z2は、車両200のインレット211の高さに対して十分高い位置に設定される。可動範囲R2は、コネクタ301aが地面下に収納された第1位置(たとえば、下限位置Z1)と、コネクタ301aが地面上の車両200のインレット211に接続される第2位置(たとえば、
図2に示す位置Zx)とを含む。この実施の形態では、下限位置Z1が地面F1と同じ位置であるが、下限位置Z1は、地面F1よりも下の位置に設定されてもよい。
【0029】
図3は、充電設備300において行なわれる通信について説明するための図である。
図3に示すように、充電設備300は、駐車センサ302と、通信装置303とをさらに備える。
【0030】
駐車センサ302は、車両200のインレット211とコネクタ301aとの相対的な位置関係(たとえば、位置ずれの方向および距離)を示す位置ずれ情報を取得するセンサである。駐車センサ302は、たとえば車両200のインレット211付近に設けられたマークMを認識することにより、上記位置ずれ情報を取得してもよい。駐車センサ302は、レーザおよびカメラの少なくとも一方を含んでもよい。駐車センサ302の検出結果は制御装置330に出力される。制御装置330は、駐車センサ302の検出結果を用いて、車両200が所定の駐車位置に駐車されたか否かを判断することができる。制御装置330は、たとえば、車両200が所定の駐車位置に停止したことを駐車センサ302が検出してから所定時間経過するまで車両200の静止状態が継続した場合に、車両200が所定の駐車位置に駐車されたと判断してもよい。
【0031】
通信装置303は、サーバ600および携帯端末100の各々と無線通信可能に構成される。通信装置303は、充電設備300の外部から受信した情報を制御装置330に伝達する。制御装置330は、通信装置303を通じて、充電設備300の状態をサーバ600へ逐次送信する。
【0032】
携帯端末100は、車両200のユーザが携帯する携帯端末に相当する。携帯端末100はコンピュータを内蔵する。この実施の形態では、携帯端末100として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、携帯端末100としては、任意の携帯端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、または電子キーなども採用可能である。
【0033】
携帯端末100は、充電設備300およびサーバ600の各々と無線通信可能に構成される。携帯端末100には所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされている。携帯端末100は、車両200のユーザによって携帯され、上記アプリを通じて充電設備300およびサーバ600の各々と情報のやり取りを行なうことができる。ユーザは、たとえば携帯端末100のタッチパネルディスプレイを通じて、上記アプリを操作できる。また、携帯端末100のタッチパネルディスプレイは、車両200のユーザに対して情報を報知可能に構成される。
【0034】
この実施の形態では、ユーザが、携帯端末100の上記アプリを立ち上げ、サーバ600に対するユーザ認証を成功させると、ユーザは、アプリ上で目的地周辺の充電設備300の利用を予約する操作が可能となる。この実施の形態では、携帯端末100は、ユーザからの要求に応じて所望する時間帯および目的地についての情報をサーバ600に送信するように構成される。ユーザは、タッチパネルディスプレイを通じて、予約を所望する時間帯および目的地についての情報を携帯端末100に入力できる。
【0035】
ユーザが所望する時間帯における目的地周辺の充電設備300の利用を予約する操作がユーザにより行なわれると、サーバ600は、目的地周辺の複数の充電設備のうちのいずれかの充電設備300を予約対象の充電設備として設定する。
【0036】
図1~
図3に示す車両200は、バッテリ210と、バッテリ210に蓄えられた電力を用いて走行するための機器(たとえば、後述するモータジェネレータ221およびインバータ222)と、充電設備300を利用してバッテリ210を充電するための機器(たとえば、後述するインレット211および充電器212)とを備える電動車両である。この実施の形態に係る車両200は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(EV)である。
【0037】
車両200は、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)230および通信機器240をさらに備える。ECU230は、コンピュータであってもよい。ECU230は、プロセッサ、RAM、および記憶装置(いずれも図示せず)を備える。記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、各種車両制御が実行される。ただし、車両制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0038】
ECU230は、通信機器240を通じて、車両200の外部と通信を行なうように構成される。通信機器240は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。通信機器240は、サーバ600(
図3)と無線通信するための通信I/Fを含んでもよい。また、車両200に搭載された通信機器240と携帯端末100とは相互に無線通信するように構成される。ECU230は、無線通信により携帯端末100を制御して、ユーザに対する報知を携帯端末100に行なわせることができる。通信機器240と携帯端末100との通信は、近距離通信(たとえば、車内および車両周辺の範囲での直接通信)であってもよい。
【0039】
バッテリ210は、たとえばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池のような二次電池を含んで構成される。二次電池は、組電池であってもよいし、全固体電池であってもよい。なお、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。
【0040】
車両200は、バッテリ210の状態を監視する監視モジュール210aをさらに備える。監視モジュール210aは、バッテリ210の状態(たとえば、電圧、電流、および温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU230へ出力する。監視モジュール210aは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、および通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU230は、監視モジュール210aの出力に基づいてバッテリ210の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、および内部抵抗)を取得することができる。
【0041】
車両200は、電動走行のためのモータジェネレータ(以下、「MG」と称する)221およびインバータ(以下、「INV」と称する)222を備える。MG221は、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG221は、INV222によって駆動され、車両200の駆動輪Wを回転させるように構成される。INV222は、ECU230によって制御される。INV222は、バッテリ210から供給される電力を用いてMG221を駆動する。また、MG221は、回生発電を行ない、発電した電力をINV222を経由してバッテリ210に供給する。なお、車両200の駆動方式は、
図1~
図3に示される前輪駆動に限られず、後輪駆動または4輪駆動であってもよい。
【0042】
車両200は、自動運転可能に構成される。車両200は、自動運転センサ250をさらに備える。自動運転センサ250は、自動運転に使用されるセンサである。ただし、自動運転センサ250は、自動運転が実行されていないときに所定の制御で使用されてもよい。
【0043】
自動運転センサ250は、車両200の外部環境を認識するための情報を取得するセンサと、車両200の位置および姿勢に関する情報を取得するセンサとを含む。自動運転センサ250は、たとえば、カメラ、ミリ波レーダ、およびライダーの少なくとも1つを含んでもよい。自動運転センサ250は、たとえば、IMU(Inertial Measurement Unit)およびGPS(Global Positioning System)センサの少なくとも一方を含んでもよい。ECU230は、自動運転センサ250によって取得される各種情報を用いて、車両200のアクセル装置、ブレーキ装置、および操舵装置(いずれも図示せず)を制御することにより、車両200の自動運転を実行するように構成される。
【0044】
車両200は、接触充電のためのインレット211および充電器212を備える。インレット211は、車両200の下部(たとえば、フロアパネル付近)に設けられている。インレット211付近には、位置検出用のマークMが設けられている。また、図示は省略しているが、車両200は、インレット211の接続状態を検出する回路(たとえば、インレット211にコネクタ301aが接続されているか否かを検出する回路)を備える。
【0045】
インレット211は、充電設備300のコネクタ301aが接続可能に構成される。インレット211およびコネクタ301aの双方には接点が内蔵されており、インレット211にコネクタ301aが接続されると接点同士が接触して、インレット211とコネクタ301aとが電気的に接続される。以下では、コネクタ301aがインレット211に接続された状態(すなわち、充電設備300と車両200とが電気的に接続された状態)を、「プラグイン状態」と称する。また、コネクタ301aがインレット211に接続されていない状態(すなわち、充電設備300と車両200とが電気的に接続されていない状態)を、「プラグアウト状態」と称する。
【0046】
充電器212は電力変換回路(図示せず)を備える。電力変換回路は、車両外部からインレット211に供給された電力を、バッテリ210の充電に適した電力に変換する。充電器212は、たとえばインレット211から交流電力が供給される場合に、供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ210に供給する。充電器212は、ECU230によって制御される。
【0047】
図1に示すサーバ600は、制御装置と記憶装置と通信装置と(いずれも図示せず)を含んで構成される。サーバ600は、コンピュータであってもよい。制御装置は、プロセッサを含み、所定の情報処理を行なうように構成される。記憶装置は、各種情報を保存可能に構成される。通信装置は各種通信I/Fを含む。サーバ600において、制御装置は、通信装置を通じて外部と通信するように構成される。サーバ600は、携帯端末100および充電設備300の各々と通信可能に構成される。また、サーバ600は、バッテリ210の充電中に充電設備300を経由して車両200と通信するように構成されてもよい。
【0048】
サーバ600には、複数の車両(車両200を含む)と複数のユーザ(車両200のユーザを含む)と複数の充電設備(充電設備300を含む)とが登録されている。また、ユーザとともにユーザ端末(携帯端末100を含む)も、サーバ600に登録されている。サーバ600は、登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)と、登録された各車両の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、登録された各充電設備の情報(以下、「充電設備情報」とも称する)とを管理するように構成される。ユーザ端末に関する情報は、ユーザ情報および車両情報の少なくとも一方に含まれる。ユーザ情報、車両情報、および充電設備情報は、サーバ600の記憶装置に記憶される。
【0049】
ユーザを識別するための識別情報(ユーザID)がユーザごとに付与されており、サーバ600はユーザ情報をユーザIDで区別して管理している。ユーザIDは、ユーザ端末を識別する情報(端末ID)としても機能する。ユーザ情報には、たとえば、ユーザが携帯する携帯端末の通信アドレスおよび位置情報と、ユーザに帰属する車両を識別する情報(車両ID)とが含まれる。また、車両を識別するための識別情報(車両ID)が車両ごとに付与されており、サーバ600は車両情報を車両IDで区別して管理している。車両情報には、たとえば、車両の仕様(たとえば、充電に関するスペック)と、サーバ600がユーザ端末から受信した情報(たとえば、車両の走行計画)とが含まれる。さらに、充電設備を識別するための識別情報(EVSE-ID)が充電設備ごとに付与されており、サーバ600は充電設備情報をEVSE-IDで区別して管理している。充電設備情報には、充電設備の位置と、充電設備の接続状態(プラグイン状態/プラグアウト状態)と、プラグイン状態の充電設備と車両との組合せ(車両IDおよびEVSE-ID)と、EVSEの給電状態(給電中/給電停止)とが含まれる。
【0050】
以上のような構成を有する充電設備300の非使用時においては、収納状態(たとえば、
図1に示す状態)になっているため、充電設備300が街中に設置されても景観を損なわないようにすることができる。
【0051】
このような充電設備300の利用は、たとえば、事前に上述の携帯端末100等を用いて事前に予約しておき、ユーザが予約した充電設備300の所定の駐車位置に車両200を移動させることで可能となる。
【0052】
たとえば、サーバ600は、上述したようにアプリ上でユーザが所望する時間帯における目的地周辺の充電設備300の利用を予約する操作が行なわれると、目的地周辺の複数の充電設備のうちのユーザが所望する時間帯に予約の受付が可能な(他の予約がされていない)いずれかの充電設備300を予約対象の充電設備として設定する。サーバ600は、所望する時間帯についての予約情報と、ユーザIDと、充電設備300の利用対象である車両200(以下、対象車両と記載する)の車両IDとを予約対象として設定された充電設備300に送信する。また、サーバ600は、予約情報と、ユーザIDと、車両IDと、EVSE-IDとを対応付けて記憶装置に記憶する。
【0053】
ユーザは、予約対象の充電設備300の所定の駐車位置に対象車両を移動させる。このとき、ユーザは、自動運転(自動駐車)によって所定の駐車位置に対象車両を移動させてもよいし、手動運転(ユーザ自身の運転)によって所定の駐車位置に対象車両を移動させてもよい。対象車両のECU230は、たとえば、移動中において自動運転センサ250により取得された対象車両の位置情報を所定時間毎にサーバ600を経由して予約対象として設定された充電設備300に送信する。
【0054】
予約対象として設定された充電設備300の制御装置330は、ユーザが所望する時間帯において所定の駐車位置に対象車両が駐車された場合に、アクチュエータ320を動作させて第2位置になるまで可動部301を上昇させる。このとき、制御装置330は、たとえば、対象車両から車両IDを取得し、取得された車両IDとサーバ600から受信した車両IDとが一致する場合に可動部301を上昇させる。
【0055】
制御装置330により、可動部301が第2位置に上昇すると、コネクタ301aが対象車両のインレット211に接続され、プラグイン状態になる。制御装置330は、電源回路310を動作させて、交流電力を対象車両に供給する。対象車両においては、供給された交流電力を用いて車載のバッテリ210が充電される。
【0056】
しかしながら、たとえば、対象車両が所定の駐車位置に移動する前に、予約対象として設定された充電設備300の利用対象でない車両(以下、非対象車両と記載する)が所定の駐車位置に駐車してしまうと、対象車両が駐車位置に移動できず、対象車両に搭載されるバッテリ210を充電できない可能性がある。そのため、ユーザの利便性が損なわれる可能性がある。
【0057】
そこで、本実施の形態においては、充電設備300の制御装置330が、非対象車両が充電設備300に接近する場合には、可動部301を第1位置から上昇させるものとする。
【0058】
このようにすると、非対象車両が所定の駐車位置に駐車することを抑制することができる。そのため、対象車両が所定の駐車位置に駐車できない状況になることを回避することができるため、ユーザの利便性の悪化を抑制することができる。
【0059】
以下、
図4を用いて、充電設備300の制御装置330で実行される処理の一例について説明する。
図4は、充電設備300の制御装置330で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置330は、充電設備300に車両が接近しているか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、充電設備300の周囲を撮影するカメラにより撮影される画像を用いて充電設備300に車両が接近しているか否かを判定してもよい。制御装置330は、たとえば、撮影された画像を解析して、画像に移動中の車両の画像が含まれる場合に、充電設備300に車両が接近していると判定してもよい。画像解析による車両の画像の抽出については、周知の技術を用いれば良くその詳細な説明は行なわない。カメラは、充電設備300の外部に設置されるようにしてもよいし、あるいは、充電設備300の上端に設置されるようにしてもよい。車両が接近していると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0061】
S102にて、制御装置330は、接近車両が非対象車両であるか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、接近車両から車両IDを取得できない場合に、接近車両が非対象車両であると判定してもよい。あるいは、制御装置330は、たとえば、接近車両から取得した車両IDがサーバ600から充電設備300を利用する予約をしている車両として受信した車両IDと異なる場合に、接近車両が非対象車両であると判定してもよい。あるいは、制御装置330は、たとえば、対象車両の位置と接近している車両の位置とが一致しない場合に、非対象車両であると判定する。制御装置330は、たとえば、サーバ600を経由して受信する対象車両の位置と、接近している車両の位置との距離がしきい値よりも大きい場合には、対象車両の位置と接近している車両の位置とが一致しないと判定してもよい。あるいは、制御装置330は、サーバ600を経由して受信する対象車両の位置と充電設備300との第1距離と、接近している車両と充電設備300との第2距離との差の大きさがしきい値よりも大きい場合には、対象車両の位置と接近している車両の位置とが一致しないと判定してもよい。接近車両が非対象車両であると判定される場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。
【0062】
S104にて、制御装置330は、可動部301を第1位置から上昇させる。制御装置330は、たとえば、可動部301を第1位置から所定の位置まで上昇させる。所定の位置は、たとえば、充電設備300の所定の駐車位置への駐車を妨げる高さに相当する位置である。
【0063】
S106にて、制御装置330は、接近車両が充電設備300を通過したか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、充電設備300の周囲を撮影するカメラにより撮影される画像を用いて接近車両が通過したか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、撮影された画像に接近車両に相当する画像が含まれない場合に、接近車両が通過したと判定してもよい。接近車両が充電設備300を通過したと判定される場合(S106にてYES)、処理はS108に移される。
【0064】
S108にて、制御装置330は、可動部301を第1位置まで下降させる。すなわち、制御装置330は、可動部301が第1位置に変位するようにアクチュエータ320を制御する。より具体的には、制御装置330は、可動部301を可動範囲R2の下限位置Z1まで下降させる。なお、車両が接近していないと判定される場合(S100にてNO)、この処理は終了される。また、接近車両が非対象車両でないと判定される場合(S102にてNO)、処理はS110に移される。また、接近車両が通過していないと判定される場合(S106にてNO)、この処理はS106に戻される。
【0065】
S110にて、制御装置330は、対象車両が所定の駐車位置に移動したか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、上述したとおり、駐車センサ302の検出結果を用いて、対象車両が所定の駐車位置に駐車されたか否かを判定する。あるいは、制御装置330は、対象車両の位置と所定の駐車位置との距離の大きさがしきい値よりも小さい場合に対象車両が所定の駐車位置に移動したと判定してもよい。制御装置330は、サーバ600を経由して対象車両の位置情報を取得してもよいし、あるいは、対象車両から直接的に位置情報を取得してもよい。対象車両が所定の駐車位置に移動したと判定される場合(S110にてYES)、処理はS112に移される。なお、対象車両が所定の駐車位置に移動していないと判定される場合(S110にてNO)、処理はS110に戻される。
【0066】
S112にて、制御装置330は、可動部301が第1位置から第2位置に変位するように、アクチュエータ320を制御する。これにより、可動部301のコネクタ301aが対象車両の床下から対象車両のインレット211に向かって上昇して対象車両の下部に設けられたインレット211に接続される。この処理により、充電設備300は上昇状態(たとえば、
図2に示した状態)になる。また、対象車両および充電設備300がプラグイン状態になる。プラグイン状態では、対象車両と充電設備300との間での電力の授受が可能になる。
【0067】
S114にて、制御装置330は、充電を実行する。すなわち、制御装置330は、充電設備300から対象車両への電力供給(給電)が実行されるように電源回路310を制御する。この処理により、対象車両に対する給電が開始されて、車載のバッテリ210の充電が開始される。
【0068】
より具体的には、充電設備300の電源回路310が、交流電源350から供給される交流電力を、対象車両に対する給電に適した交流電力に変換(たとえば、変圧)し、変換後の電力をコネクタ301aに供給する。プラグイン状態では、電源回路310からコネクタ301aに供給される電力が、対象車両のインレット211に入力される。インレット211に入力された電力は、充電器212を経てバッテリ210に供給される。バッテリ210の充電中は、制御装置330が対象車両に供給される電力を調整するように電源回路310を制御するとともに、ECU230が充電電力を調整するように充電器212を制御する。このようにして対象車両に搭載されたバッテリ210の充電が行なわれる。
【0069】
S116にて、制御装置330は、対象車両に搭載されたバッテリ210の充電が完了したか否かを判定する。制御装置330は、たとえば、電力供給の停止要求を示す情報を対象車両から受信した場合に対象車両に搭載されたバッテリ210の充電が完了したと判定する。あるいは、制御装置330は、たとえば、携帯端末100からの電力供給の停止要求を示す情報を受信した場合にバッテリ210の充電が完了したと判定してもよい。対象車両に搭載されたバッテリ210の充電が完了したと判定される場合(S116にてYES)、処理はS118に移される。なお、対象車両に搭載されたバッテリ210の充電が完了していないと判定される場合(S116にてNO)、処理はS116に戻される。
【0070】
S118にて、制御装置330は、充電を停止する。具体的には、制御装置330は、対象車両への電力の供給が停止されるように電源回路310を制御する。制御装置330は、その後処理をS108に移す。
【0071】
以上のような構造およびフローチャートに基づく充電設備300の制御装置330の動作について
図5および
図6を参照しつつ説明する。
図5は、充電設備の制御装置の動作の一例を説明するための図である。
図6は、充電設備の制御装置の動作の他の一例を説明するための図である。
【0072】
図5および
図6を参照して、この例では、駐車場内において複数の駐車スペース801,802,803が縦並び(縦列)になるように仕切り線Lによって区画されている。駐車スペース801,802,803のうち、駐車スペース802のみに充電設備300が設置されている。歩道900は、駐車スペース801,802,803に隣接している。歩道900は、各駐車スペースの長手方向に沿って設けられている。
【0073】
たとえば、非対象車両が接近している場合を想定する。
図5の実線枠には、非対象車両200Aが充電設備300に接近している状態が示されている。
図5の破線枠には、非対象車両200Aが充電設備300を通過する状態が示されている。
【0074】
図5の実線枠に示すように、車両が接近しており(S100にてYES)、かつ、接近車両が非対象車両200Aである場合には(S102にてYES)、可動部301が駐車を妨げる高さまで上昇させられる(S104)。そのため、非対象車両が、充電設備300が設置される駐車スペース802に駐車されることが抑制される。
【0075】
そして、
図5の破線枠に示すように、非対象車両200Aが充電設備300を通過する場合には(S106にてYES)、可動部301が第1位置まで変位するようにアクチュエータ320が制御される。これにより可動部301が可動範囲R2の下限位置Z1まで下降させられる(S108)。そのため、その後に充電設備300の利用対象である対象車両の駐車スペース802への駐車が可能となる。
【0076】
次に、対象車両が接近している場合を想定する。
図6の実線枠には、対象車両200Bが充電設備300に接近している状態が示されている。
図6の破線枠には、対象車両200Bが駐車スペース802の所定の駐車位置に駐車している状態が示されている。
【0077】
図6の実線枠に示すように、車両が接近しており(S100にてYES)、かつ、接近車両が対象車両200Bである(非対象車両でない)場合には(S102にてNO)、対象車両200Bが所定の駐車位置に移動するまで(S110にてNO)、可動部301の上昇が待機される。そして、
図6の破線枠に示すように、対象車両200Bが所定の駐車位置に移動するときに(S110にてYES)、可動部301が第2位置まで上昇させられる(S112)。可動部301が第2位置まで上昇させられ、コネクタ301aが対象車両200Bの下部のインレットに接続されると、充電が実行される(S114)。対象車両200Bに搭載されるバッテリ210が満充電状態になるなどして、対象車両200Bから電力供給の停止要求を示す情報を受信すると、充電が完了したと判定され(S116にてYES)、電力供給が停止するように電源回路310が制御されることにより充電が停止される(S118)。
【0078】
その後、可動部301が第2位置から第1位置に変位するようにアクチュエータ320が制御される。これにより、可動部301が可動範囲R2の下限位置Z1まで下降させられる(S108)。そのため、可動部301のコネクタ301aが対象車両200Bのインレットから離れ、対象車両200Bおよび充電設備300がプラグアウト状態になる。また、可動部301の位置が下限位置Z1になると、地面F1と可動部301のコネクタ301aとが面一になる。こうして、充電設備300は再び収納状態(たとえば、
図1に示した状態)になる。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態に係る充電設備300によると、充電設備300の利用が可能でない(すなわち、利用の予約がされていない)非対象車両が充電設備300に接近する場合には、可動部301が第1位置から、所定の駐車位置への車両の移動を妨げる高さまで上昇するため、非対象車両が所定の駐車位置に駐車することを抑制することができる。そのため、対象車両が所定の駐車位置に駐車できない状況になることを回避することができるため、ユーザの利便性の悪化を抑制することができる。したがって、ユーザの利便性の悪化を抑制する充電設備および充電設備の制御方法を提供することができる。
【0080】
さらに、非対象車両が充電設備300を通過した場合に、可動部301が第1位置に下降させられるので、その後に充電設備300を利用可能とする(すなわち、利用の予約がされている)対象車両が所定位置に駐車することができる。そして、対象車両が充電設備300に接近する場合には、対象車両が所定位置に駐車したときに可動部301が第1位置から第2位置に上昇するため、コネクタ301aがインレット211に接続されることにより対象車両に搭載されたバッテリ210を充電することができる。
【0081】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、充電設備300から車両200に対して交流電力が供給されるものとして説明したが、充電設備300から車両200に対して直流電力が供給されてもよい。この場合において、車両200は、たとえば、充電器212を省略した構成であってもよい。
【0082】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300の筐体は、円筒形状を有する場合を一例として説明したが、特に昇降動作が可能な形状であればよく、特に円筒形状に限定されるものではない。たとえば、充電設備300の筐体は、直方形状を有していてもよい。
【0083】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300は、
図1~
図3に示した構成を一例として説明したが、充電設備300の筐体の形状および寸法などは適宜変更可能である。また、可動部の形状および寸法なども適宜変更可能である。
【0084】
さらに上述の実施の形態では、車両200は、
図1~
図3に示した構成を一例として説明したが、車両200は、EVに限られず、PHV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。また、車両200は、乗用車に限られず、バスまたはトラックであってもよい。車両200は、飛行機能を備えてもよい。車両200は、無人で走行可能な車両(たとえば、無人搬送車(AGV)または農業機械)であってもよい。
【0085】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300は、非対象車両が接近している場合に、所定の駐車位置への車両の移動を妨げる高さまで上昇させるものとして説明したが、少なくとも非対象車両の運転者が、コネクタ301aが上昇していることを認識可能となる高さに相当する位置まで上昇させるようにしてもよい。非対象車両の運転者が、コネクタ301aの上昇を認識させることにより、所定の駐車位置への非対象車両の移動を抑制することができる。
【0086】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300は、充電設備300の周囲を撮影するカメラにより撮影された画像を用いて車両が充電設備300に接近しているか否かを判定するものとして説明したが、たとえば、充電設備300の駐車スペースが複数台の車両の駐車が可能な駐車場に設置される場合には、駐車場の出入り口を撮影された画像を用いて車両が充電設備300に接近しているか否かを判定してもよい。
【0087】
制御装置330は、たとえば、撮影された画像を解析して、画像に駐車場に入庫する車両の画像が含まれる場合に、充電設備300に車両が接近していると判定してもよい。
【0088】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300は、充電設備300の周囲を撮影するカメラにより撮影された画像を用いて車両が充電設備300に接近しているか否かを判定するものとして説明したが、駐車スペースの周囲の車道の所定位置(道路表面、道路上、道路の側壁等)に設置された近接センサの検出結果を用いて車両が充電設備300に接近しているか否かを判定してもよい。
【0089】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300は、充電設備300の周囲を撮影するカメラにより撮影された画像を用いて車両が充電設備300に接近しているか否かを判定するものとして説明したが、サーバ600から充電設備300に接近する車両の情報を受信することによって、車両が充電設備300に接近しているか否かを判定してもよい。
【0090】
さらに上述の実施の形態では、制御装置330は、対象車両の位置と接近している車両の位置とが一致しない場合に、非対象車両であると判定するものとして説明したが、たとえば、制御装置330は、対象車両についての画像情報をサーバ600から取得可能である場合には、カメラにより撮影される画像を解析して、撮影された画像に対象車両についての画像が含まれていない場合に、接近車両が非対象車両であると判定してもよい。
【0091】
さらに上述の実施の形態では、利用の予約の有無によって対象車両であるか非対象車両であるかを判定するものとして説明したが、サーバ600に利用可能な車両として登録されているか否か(すなわち、サーバ600に記憶される車両IDであるか否か)によって対象車両であるか非対象車両であるかを判定してもよい。
【0092】
さらに上述の実施の形態では、充電設備300と車両200との接続方式としては、地面下に収納された可動部301の直上に車両200が駐車された状態で可動部301のコネクタ301aが車両200の床下から車両200に向かって上昇して車両200の下部に設けられたインレット211に接続される方式を一例として説明したがこのような接続方式に限定されるものではなく、以下のような接続方式であってもよい。たとえば、充電設備300は、第1の位置において可動部301が車両200の直下でない位置となるように設けられるようにしてもよい。そして、可動部301が第1の位置から第2の位置に変位(上昇)するときに、車両200の直下の空間に向けて斜め上方向に変位するようにしてもよい。このとき、可動部301が第2の位置に変位するときに可動部301のコネクタ301aが車両200のインレット211に接続される。
【0093】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
100 携帯端末、200 車両、200A 非対象車両、200B 対象車両、210 バッテリ、210a 監視モジュール、211 インレット、212 充電器、221 モータジェネレータ、222 インバータ、230 ECU、240 通信機器、250 自動運転センサ、300 充電設備、301 可動部、301a コネクタ、302 駐車センサ、303 通信装置、310 電源回路、320 アクチュエータ、330 制御装置、331 プロセッサ、332 RAM、333 記憶装置、350 交流電源、600 サーバ、801,802,803 駐車スペース、900 歩道。