(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】HMI制御装置および運転制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240820BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240820BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240820BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W40/08
B60W50/14
B60W60/00
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2021099467
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020193417
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】小島 一輝
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145175(JP,A)
【文献】特開2020-114699(JP,A)
【文献】特開2008-032603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報
として、少なくとも前記自車線および前記隣接車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備
え、
前記提示制御部は、
特定シーンのうちの、前記自車両が前記自車線から前記隣接車線に車線変更する可能性がある第一シーンと他のシーンとで、各車線に対する前記自動化関連情報の提示状態を変更するものであって、
前記第一シーンである場合、前記自車線および前記隣接車線についての前記自動化関連情報を、前記HMI装置により提示し、
前記特定シーンのうちの、前記自車両が自動運転可能な自動車専用道路に進入した第二シーン、前記自車両が走行中の道路である走行中道路にて車線数が変更する第三シーン、および、前記ドライバが自動運転開始操作を実行した第四シーンのうちのいずれかである場合、前記走行中道路にて前記自車両が現在の進行方向と同一方向に進行可能な全車線についての前記自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、
HMI制御装置。
【請求項2】
前記提示制御部は、前記特定シーンの判定タイミングと実質的に同時に、前記自動化関連情報を前記HMI装置により提示する、
請求項
1に記載のHMI制御装置。
【請求項3】
前記提示制御部は、前記自車両の走行予定車線を選択するための選択操作に対応する選択表示の表示態様を、前記運転自動化レベルに対応する前記自動化関連情報の表示態様と対応付けて、前記選択表示を前記HMI装置により表示する、
請求項
1または2に記載のHMI制御装置。
【請求項4】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報として、少なくとも前記隣接車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、前記自車両の走行予定車線を選択するための選択操作に対応する選択表示の表示態様を、前記運転自動化レベルに対応する前記自動化関連情報の表示態様と対応付けて、前記選択表示を前記HMI装置により表示する、
HMI制御装置。
【請求項5】
前記提示制御部は、前記自動化関連情報としての、前記自車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、
請求項
4に記載のHMI制御装置。
【請求項6】
前記提示制御部は、前記自車両が前記自車線から前記隣接車線に車線変更する可能性がある第一シーン、前記自車両が自動運転可能な自動車専用道路に進入した第二シーン、前記自車両が走行中の道路である走行中道路にて車線数が変更する第三シーン、および、前記ドライバが自動運転開始操作を実行した第四シーンのうちのいずれかである特定シーンの場合、前記自動化関連情報を前記HMI装置により提示する、
請求項
4または5に記載のHMI制御装置。
【請求項7】
前記提示制御部は、前記特定シーンの判定タイミングと実質的に同時に、前記自動化関連情報を前記HMI装置により提示する、
請求項
6に記載のHMI制御装置。
【請求項8】
前記提示制御部は、前記自車線から前記隣接車線への車線変更が実行されない場合、当該隣接車線についての前記自動化関連情報の表示を消去する、
請求項
1~7のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項9】
前記提示制御部は、前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じ、且つ、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件として前記ドライバが操舵操作可能なハンズオン状態が要求されるハンズオン運転である場合、前記ドライバに前記ハンズオン状態を要求するハンズオン報知を実行し、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件としての前記ハンズオン状態が要求されないハンズオフ運転である場合、前記ハンズオン報知を実行しない、
請求項1~8のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項10】
前記提示制御部は、前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する、
請求項1~8のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項11】
前記提示制御部は、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件として前記ドライバが操舵操作可能なハンズオン状態が要求されるハンズオン運転である場合、前記ドライバに前記ハンズオン状態を要求するハンズオン報知を実行し、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件としての前記ハンズオン状態が要求されないハンズオフ運転である場合、前記ハンズオン報知を実行しない、
請求項
10に記載のHMI制御装置。
【請求項12】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
前記自車両が先行車両の追い越しのための車線変更を実行する場合、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知、または、前記下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行する、
HMI制御装置。
【請求項13】
前記提示制御部は、前記隣接車線の種別が走行車線であるか追越車線であるかに応じて、前記自動化関連情報の提示内容を変更するものであって、
前記種別が追越車線である場合、前記注意喚起報知として、前記下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行し、
前記種別が走行車線である場合、前記注意喚起報知として、前記周辺監視に関する報知を実行する、
請求項
12に記載のHMI制御装置。
【請求項14】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
且つ、
前記隣接車線の種別が走行車線であるか追越車線であるかに応じて、前記自動化関連情報の提示内容を変更するものであって、
前記種別が追越車線である場合、前記注意喚起報知として、前記下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行し、
前記種別が走行車線である場合、前記注意喚起報知として、前記周辺監視に関する報知を実行する、
HMI制御装置。
【請求項15】
前記提示制御部は、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された場合、車線変更の実行を示す報知である車線変更報知を実行する、
請求項
12~14のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項16】
前記提示制御部は、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、前記上位自動化レベルが継続中である旨の報知とともに、前記注意喚起報知を再実行する、
請求項
12~15のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項17】
前記HMI装置は、方向指示器(191)に対する方向指示態様に応じた表示である方向指示表示を実行可能であり、
車線変更の実行判定により前記方向指示表示を実行しており、且つ、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、前記方向指示器を消灯させるための処理を実行する、
請求項
12~16のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項18】
前記提示制御部は、
前記周辺監視に関する前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された後、車線変更の実行開始までの間に、前記周辺監視に対応する前記ドライバ要件が満たされなくなった場合、
車線変更をキャンセルする旨の報知、車線変更の待機を示す報知、または、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知を実行する、
請求項
12~17のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項19】
前記提示制御部は、
車線変更の実行開始後に、前記周辺監視に対応する前記ドライバ要件が満たされなくなった場合、
車線変更をキャンセルする旨の報知、前記自車線への復帰に関する報知、または、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知を実行する、
請求項
12~18のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項20】
前記提示制御部は、前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する、
請求項
12~19のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項21】
前記提示制御部は、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件として前記ドライバが操舵操作可能なハンズオン状態が要求されるハンズオン運転である場合、前記ドライバに前記ハンズオン状態を要求するハンズオン報知を実行し、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件としての前記ハンズオン状態が要求されないハンズオフ運転である場合、前記ハンズオン報知を実行しない、
請求項
20に記載のHMI制御装置。
【請求項22】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する、
HMI制御装置。
【請求項23】
前記提示制御部は、前記自動化関連情報としての、前記隣接車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、
請求項
22に記載のHMI制御装置。
【請求項24】
前記提示制御部は、前記自動化関連情報としての、前記自車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、
請求項
23に記載のHMI制御装置。
【請求項25】
前記提示制御部は、前記自車両が前記自車線から前記隣接車線に車線変更する可能性がある第一シーン、前記自車両が自動運転可能な自動車専用道路に進入した第二シーン、前記自車両が走行中の道路である走行中道路にて車線数が変更する第三シーン、および、前記ドライバが自動運転開始操作を実行した第四シーンのうちのいずれかである特定シーンの場合、前記自動化関連情報を前記HMI装置により提示する、
請求項
23または24に記載のHMI制御装置。
【請求項26】
前記提示制御部は、前記特定シーンの判定タイミングと実質的に同時に、前記自動化関連情報を前記HMI装置により提示する、
請求項
25に記載のHMI制御装置。
【請求項27】
前記提示制御部は、前記自車線から前記隣接車線への車線変更が実行されない場合、当該隣接車線についての前記自動化関連情報の表示を消去する、
請求項
23~26のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項28】
前記提示制御部は、前
記上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前
記下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行する、
請求項
22に記載のHMI制御装置。
【請求項29】
前記提示制御部は、前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、
前記車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する、
請求項
28に記載のHMI制御装置。
【請求項30】
車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成された、HMI制御装置(25)であって、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する、
HMI制御装置。
【請求項31】
前記提示制御部は、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された場合、車線変更の実行を示す報知である車線変更報知を実行する、
請求項
28~30のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項32】
前記提示制御部は、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、前記上位自動化レベルが継続中である旨の報知とともに、前記注意喚起報知を再実行する、
請求項
28~31のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項33】
前記HMI装置は、方向指示器(191)に対する方向指示態様に応じた表示である方向指示表示を実行可能であり、
車線変更の実行判定により前記方向指示表示を実行しており、且つ、前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、前記方向指示器を消灯させるための処理を実行する、
請求項
28~32のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項34】
前記提示制御部は、
前記周辺監視に関する前記注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された後、車線変更の実行開始までの間に、前記周辺監視に対応する前記ドライバ要件が満たされなくなった場合、
車線変更をキャンセルする旨の報知、車線変更の待機を示す報知、または、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知を実行する、
請求項
28~33のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項35】
前記提示制御部は、
車線変更の実行開始後に、前記周辺監視に対応する前記ドライバ要件が満たされなくなった場合、
車線変更をキャンセルする旨の報知、前記自車線への復帰に関する報知、または、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知を実行する、
請求項
28~34のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項36】
前記提示制御部は、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件として前記ドライバが操舵操作可能なハンズオン状態が要求されるハンズオン運転である場合、前記ドライバに前記ハンズオン状態を要求するハンズオン報知を実行し、
前記下位自動化レベルが、前記ドライバ要件としての前記ハンズオン状態が要求されないハンズオフ運転である場合、前記ハンズオン報知を実行しない、
請求項
22~35のいずれか1つに記載のHMI制御装置。
【請求項37】
車両の運転を制御するように構成された、運転制御装置(17)であって、
前記車両のドライバ挙動を取得する、挙動取得部(172)と、
前記車両の運転自動化レベルを決定する、自動化レベル決定部(173)と、
前記自動化レベル決定部によって決定された前記運転自動化レベルに基づいて、前記車両の運転制御を実行する、車両制御部(174)と、
を備え、
前記車両制御部
は、
ドライバに要求される要件であるドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されたこと、または、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行が完了していることを条件として、車線変更を実行開始
し、
前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって、当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知が前記車両に搭載されたHMI装置(20)により実行されたにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、前記車線変更要求が生じ、且つ、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための前記HMI装置による報知がなされた場合、その後に当該ドライバ挙動が確認されなくても、車線変更を実行開始する、
運転制御装置。
【請求項38】
前記自動化レベル決定部は、
前記周辺監視に対応する前記ドライバ要件が満たされていることを条件に、前記車両制御部が車線変更を実行した場合、車線変更完了後に前記上位自動化レベルを開始する、
請求項
37に記載の運転制御装置。
【請求項39】
車両の運転を制御するように構成された、運転制御装置(17)であって、
前記車両のドライバ挙動を取得する、挙動取得部(172)と、
前記車両の運転自動化レベルを決定する、自動化レベル決定部(173)と、
前記自動化レベル決定部によって決定された前記運転自動化レベルに基づいて、前記車両の運転制御を実行する、車両制御部(174)と、
を備え、
前記車両制御部は、ドライバに要求される要件であるドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって、当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知が前記車両に搭載されたHMI装置(20)により実行されたにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じ、且つ、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための前記HMI装置による報知がなされた場合、その後に当該ドライバ挙動が確認されなくても、車線変更を実行開始する、
運転制御装置。
【請求項40】
前記車両制御部は、前記上位自動化レベルを実行可能ではない状況にて前記下位自動化レベルを実行中の場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されたことを条件として、車線変更を実行開始する、
請求項
37~39のいずれか1つに記載の運転制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるHMI装置を制御するHMI制御装置に関する。HMIはヒューマン マシン インタフェースの略である。また、本発明は、車両の運転を制御する運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路状況を検出して、検出した道路状況に基づいて車線変更制御を行う技術が、従来種々提案されている。例えば、特許文献1に記載の自動運転装置は、自車両が走行している車線が混雑していることを検出したときに、自車両を別の車線に車線変更するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自車両が、ドライバに周辺監視義務が課されていない自動運転中に、車線変更が必要あるいは推奨される場面、あるいは、ドライバが車線変更したくなるような場面に遭遇することがあり得る。ここで、各国の道路交通法制によっては、自動運転中は自車線維持が要求され、車線変更のためには自動運転を中断あるいは終了することが必要となることがあり得る。自動運転が中断あるいは終了する際には、周辺監視義務等のドライバ要件が変化する。あるいは、各国の道路交通法制によっては、自動運転の実行条件が、特定の車線種別、例えば、追越車線以外の走行車線での走行に限定されることがあり得る。
【0005】
このように、自車両が走行する車線の選択は、実行可能な運転自動化レベル、および、かかる運転自動化レベルに対応するドライバ要件に影響を与える。このため、車載システムによる自動的な車線変更に関連する各種制御は、走行車線、追越車線、等の車線種別に即して適切に実行される必要がある。すなわち、例えば、上記のような場面において、車線変更と運転自動化レベルおよび/またはドライバ要件との関係に関する情報がドライバに適切に把握されている状況を実現することで、自動運転可能な車両の利便性が向上する。具体的には、例えば、適切な情報を必要なタイミングでドライバに提供することで、車線の選択あるいは車線変更に関するドライバの適切な判断がサポートされ得る。あるいは、例えば、車載システムによる自動的な車線変更制御がスムーズに実行され得る。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、車載システムによる自動的な車線変更制御が可能な車両の利便性を向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報として、少なくとも前記自車線および前記隣接車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
特定シーンのうちの、前記自車両が前記自車線から前記隣接車線に車線変更する可能性がある第一シーンと他のシーンとで、各車線に対する前記自動化関連情報の提示状態を変更するものであって、
前記第一シーンである場合、前記自車線および前記隣接車線についての前記自動化関連情報を、前記HMI装置により提示し、
前記特定シーンのうちの、前記自車両が自動運転可能な自動車専用道路に進入した第二シーン、前記自車両が走行中の道路である走行中道路にて車線数が変更する第三シーン、および、前記ドライバが自動運転開始操作を実行した第四シーンのうちのいずれかである場合、前記走行中道路にて前記自車両が現在の進行方向と同一方向に進行可能な全車線についての前記自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する。
請求項4に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報として、少なくとも前記隣接車線についての前記運転自動化レベルおよび/または前記ドライバ要件を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、前記自車両の走行予定車線を選択するための選択操作に対応する選択表示の表示態様を、前記運転自動化レベルに対応する前記自動化関連情報の表示態様と対応付けて、前記選択表示を前記HMI装置により表示する。
請求項12に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
前記自車両が先行車両の追い越しのための車線変更を実行する場合、前記周辺監視に関する前記注意喚起報知、または、前記下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行する。
請求項14に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
且つ、
前記隣接車線の種別が走行車線であるか追越車線であるかに応じて、前記自動化関連情報の提示内容を変更するものであって、
前記種別が追越車線である場合、前記注意喚起報知として、前記下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行し、
前記種別が走行車線である場合、前記注意喚起報知として、前記周辺監視に関する報知を実行する。
請求項22に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する。
請求項30に記載のHMI制御装置(25)は、車両に搭載されるHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記HMI装置を搭載した前記車両である自車両が走行中の自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む車線情報を取得する、車線情報取得部(254)と、
前記車線情報取得部によって取得された前記車線情報に基づいて、前記自車線から前記隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバに要求される要件であるドライバ要件に対応する情報である自動化関連情報を、前記HMI装置により提示する、提示制御部(256)と、
を備え、
前記提示制御部は、
前記ドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを車載システム(10)により実行中の場合、前記車載システムによる自動的な車線変更の実行よりも前に、前記自動化関連情報の提示として、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行に関する報知または前記周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行し、
前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知を実行したにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知を実行する。
請求項37に記載の運転制御装置(17)は、車両の運転を制御するように構成されている。
この運転制御装置は、
前記車両のドライバ挙動を取得する、挙動取得部(172)と、
前記車両の運転自動化レベルを決定する、自動化レベル決定部(173)と、
前記自動化レベル決定部によって決定された前記運転自動化レベルに基づいて、前記車両の運転制御を実行する、車両制御部(174)と、
を備え、
前記車両制御部は、
ドライバに要求される要件であるドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、前記周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されたこと、または、前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルへの移行が完了していることを条件として、車線変更を実行開始し、
前記上位自動化レベルを実行可能な状況であって、当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知が前記車両に搭載されたHMI装置(20)により実行されたにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記下位自動化レベルを実行中に、前記車線変更要求が生じ、且つ、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための前記HMI装置による報知がなされた場合、その後に当該ドライバ挙動が確認されなくても、車線変更を実行開始する。
請求項39に記載の運転制御装置(17)は、車両の運転を制御するように構成されている。
この運転制御装置は、
前記車両のドライバ挙動を取得する、挙動取得部(172)と、
前記車両の運転自動化レベルを決定する、自動化レベル決定部(173)と、
前記自動化レベル決定部によって決定された前記運転自動化レベルに基づいて、前記車両の運転制御を実行する、車両制御部(174)と、
を備え、
前記車両制御部は、ドライバに要求される要件であるドライバ要件としての周辺監視が課されていない前記運転自動化レベルである上位自動化レベルを実行可能な状況であって、当該上位自動化レベルを実行可能である旨の報知が前記車両に搭載されたHMI装置(20)により実行されたにもかかわらず当該上位自動化レベルに移行しないまま前記ドライバ要件としての前記周辺監視が課されている前記運転自動化レベルである下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じ、且つ、前記周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための前記HMI装置による報知がなされた場合、その後に当該ドライバ挙動が確認されなくても、車線変更を実行開始する。
【0007】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、単に、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の一例を示すものであるにすぎない。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る運転制御装置およびHMI制御装置を含む車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図3】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図4】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図5】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図6】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図7】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図8】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図9】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図10】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図11】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図12】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図13】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図14】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図15】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図16】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図17A】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図17B】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図17C】
図1に示されたHMI制御装置の第一動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図18】
図1に示されたHMI制御装置の第二動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図19】
図1に示されたHMI制御装置の第二動作例によるメータディスプレイの表示例を示す概略図である。
【
図20】
図1に示されたHMI制御装置の第三動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図21】
図1に示されたHMI制御装置の第四動作例の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例の説明は、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中ではなく、その後にまとめて説明する。
【0010】
(構成)
図1を参照すると、車載システム10は、車両としての自動車に搭載されることで、当該車両における運転自動化システムとしての機能を奏するように構成されている。車載システム10を搭載した車両を、以下「自車両」と称することがある。具体的には、本実施形態においては、車載システム10は、少なくとも自動操舵運転を実現可能に構成されている。
【0011】
「自動操舵運転」とは、SAE Internationalが公開している規格「SAE J3016」に規定された動的運転タスクのうち、少なくとも、操舵すなわち横方向の車両運動制御サブタスクを、運転自動化システムが担当すなわち実行することをいう。SAEはSociety of Automotive Engineersの略である。「動的運転タスク」とは、道路交通において車両を操作する際にリアルタイムで行う必要がある全ての操作上および戦術上の機能であって、戦略上の機能を除いたものである。「戦略上の機能」は、行程計画、経由地選択、等であって、具体的には、「行くか行かないか、いつどこへどのように行くか」を決定あるいは選択することを含む。
【0012】
すなわち、「自動操舵運転」は、典型的には、「SAE J3016」におけるレベル1またはレベル2に相当する運転自動化レベルである。但し、「自動操舵運転」は、いわゆる「自動運転」をも含む概念である。「自動運転」とは、「SAE J3016」におけるレベル3~5に該当する、運転自動化システムが全ての動的運転タスクを担当すなわち実行する運転自動化レベルをいうものとする。「SAE J3016」におけるレベルXを、以下「SAEレベルX」と称する。Xは0~5のうちのいずれかである。
【0013】
以下、SAEレベルXにおけるXの数値が大きいほど、あるいは、運転自動化システムが担当すなわち実行する動的運転タスクが増えるほど、運転自動化レベルが「高い」と表現する。また、運転自動化レベルが高い方に変化することを、運転自動化レベルの「上昇」と称する。これに対し、上記Xの数値が小さいほど、あるいは、運転自動化システムが担当すなわち実行する動的運転タスクが減るほど、運転自動化レベルが「低い」と表現する。また、運転自動化レベルが低い方に変化することを、運転自動化レベルの「低下」と称する。
【0014】
SAEレベル0~5の内容は、具体的には、下記の通りである。なお、以下の各レベルの内容説明において、「ドライバ」は、動的運転タスクを担当あるいは実行する乗員、典型的には、自車両における運転席に搭乗する乗員であり、「運転席乗員」とも称され得る。「OEDR」は、Object and Event Detection and Responseの略であり、「対象物および事象の検知および応答」とも称される。OEDRには、運転環境の監視が含まれる。運転環境の監視には、対象物および事象の、検知、認識、および分類が含まれる。また、運転環境の監視には、対象物および事象に対して、必要に応じて応答する準備が含まれる。「限定領域」は、或る運転自動化システムまたはその機能が作動するように設計されている特定の条件であり、運行設計領域あるいはODDとも称される。ODDはOperational Design Domainの略である。限定領域は、例えば、地理的、環境的、速度的、および時間的等の、複数の制約条件のうちの、少なくとも1つを含む。
【0015】
・レベル0:手動運転…ドライバが全ての動的運転タスクを実行する。
・レベル1:運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスク(すなわち、発進、加減速、および停止)と、横方向の車両運動制御サブタスク(すなわち操舵)とのうちの、いずれか一方を、特定の限定領域において持続的に実行する。但し、運転自動化システムは、縦方向の車両運動制御サブタスクと横方向の車両運動制御サブタスクとの両方を同時には実行しない。
・レベル2:高度運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスクおよび横方向の車両運動制御サブタスクを、特定の限定領域において持続的に実行する。ドライバは、動的運転タスクのサブタスクであるOEDRを実行して運転自動化システムを監督することが期待される。
・レベル3:条件付自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。原則的に、ドライバには、自車両周辺の交通環境の監視等のOEDRを実行する義務はない。但し、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合、運転自動化システムは充分な時間的余裕をもってドライバに運転交代を要請する。ドライバは、その要請に適切に対応する必要がある。
・レベル4:高度自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。限定領域において、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応は、運転自動化システムが実行する。
・レベル5:完全自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを、特定の限定領域に限定されず無制限に、持続的に実行する。当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応も、特定の限定領域に限定されず無制限に、運転自動化システムが実行する。
【0016】
本実施形態においては、車載システム10は、自車両にてSAEレベル0~3の運転自動化レベルを実現可能に構成されている。具体的には、車載システム10は、SAEレベル1に相当するACCおよびLKAを実行可能に構成されている。ACCはアダプティブ・クルーズ・コントロールすなわち車間距離制御である。LKAは、Lane Keeping Assistanceの略であり、車線維持支援制御である。
【0017】
また、車載システム10は、SAEレベル3に相当する、いわゆる「低速自動運転」を実行可能に構成されている。「低速自動運転」は、所定の自動運転可能道路を、自車両が走行中の車線である自車線を維持しつつ、所定の低速度域(例えば60km/h以下)にて走行するという条件で実行される自動運転である。「自動運転可能道路」は、自動運転可能な道路としてあらかじめ設定された自動車専用道路である。自動運転可能道路は、典型的には、法定最高速度が60km/hを超える自動車専用道路、例えば高速道路である。また、本実施形態においては、低速自動運転の実行条件は、自車線が走行車線(すなわち追越車線ではない車線)を走行中であることを含む。以下、本明細書においては、特に補足説明しない限り、このような低速自動運転を、単に「自動運転」と略称する。
【0018】
さらに、車載システム10は、SAEレベル2に相当する、ハンズオン運転およびハンズオフ運転を実行可能に構成されている。「ハンズオン運転」は、ドライバが自車両を運転することを前提としつつ、並行して作動する運転自動化システムが適時に運転支援制御を実行する運転自動化レベルである。すなわち、ハンズオン運転は、ドライバに、ハンズオン状態と、動的運転タスクとしての周辺監視の実行とを要求する、高度運転支援である。「周辺監視」とは、自車両周辺の交通環境、具体的には、道路状況、交通状況、障害物の存在状態、等の監視をいうものとする。「道路状況」とは、カーブの有無あるいはカーブ曲率等、道路における地形的な状況をいうものとする。「交通状況」とは、交通量、すなわち、他車両の存在状況をいうものとする。「障害物の存在状態」は、障害物の有無、種類、相対位置、相対速度、等を含む。「障害物」は、人、動物、駐停車車両、路上落下物、等を含む。「ハンズオン状態」とは、ドライバが自車両の操舵すなわち横方向の車両運動制御サブタスクに干渉可能な状態であり、典型的にはドライバが後述するステアリングホイール211を把持している状態である。一方、「ハンズオフ運転」は、ドライバが運転自動化システムからの介入要求等に対して適切に対応することを条件として、運転自動化システムが自動的に発進、操舵、加減速、および停止制御を実行する運転自動化レベルである。すなわち、ハンズオフ運転は、ドライバに、ハンズオン状態は要求しないものの、動的運転タスクとしての周辺監視の実行をドライバに要求する、高度運転支援である。
【0019】
このように、車載システム10は、自動操舵制御として、ドライバに周辺監視義務が課されるハンズオン運転およびハンズオフ運転と、ドライバに周辺監視義務が課されない自動運転とを実行可能に構成されている。なお、本実施形態においては、ハンズオフ運転は、自車両が自動運転可能道路を走行中であることを実行条件とするものとする。すなわち、車載システム10は、一般道路においては、ハンズオフ運転および自動運転のいずれも実行しないように構成されているものとする。
【0020】
(システム全体構成)
車載システム10は、車載通信回線10Aおよびこの車載通信回線10Aを介して相互に接続された複数のノード等を含む車載ネットワークであって、自車両運転時の各種車両制御およびこれに伴う各種報知動作等を実行可能に構成されている。車載システム10は、CAN(国際登録商標:国際登録番号1048262A)等の所定の通信規格に準拠するように構成されている。CAN(国際登録商標)はController Area Networkの略である。
【0021】
車載システム10は、車両状態センサ11と、外界状態センサ12と、周辺監視センサ13と、ロケータ14と、DCM15と、ナビゲーション装置16と、ドライバ状態検出部17と、運転制御ECU18と、ウィンカECU19と、HMI装置20とを備えている。DCMはData Communication Moduleの略である。ECUはElectronic Control Unitの略である。車両状態センサ11~HMI装置20は、車載通信回線10Aを介して相互に接続されている。
【0022】
HMI装置20は、操作部21と、メータパネル22と、CID装置23と、HUD装置24と、HMI制御装置25とを備えている。CIDはCenter Information Displayの略である。HUDはヘッドアップディスプレイの略である。操作部21は、車載通信回線10Aを介して、HMI制御装置25と情報通信可能に接続されている。メータパネル22、CID装置23、およびHUD装置24は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して、HMI制御装置25と情報通信可能に接続されている。HMI制御装置25は、車載通信回線10Aに接続されたノードとして設けられている。操作部21、メータパネル22、CID装置23、HUD装置24、およびHMI制御装置25の構成の詳細については後述する。
【0023】
(各種センサ)
車両状態センサ11は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「運転状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル操作量、ブレーキ操作量、シフトポジション、操舵角、等の、ドライバまたは運転自動化システムによる運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「運転状態に関連する諸量」は、例えば、車速、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両の挙動に関連する物理量を含む。すなわち、車両状態センサ11は、アクセル開度センサ、操舵角センサ、車輪速センサ、角速度センサ、加速度センサ、等の、車両運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。車両状態センサ11は、車載通信回線10Aを介して、運転制御ECU18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
【0024】
外界状態センサ12は、自車両周辺の交通環境のうち主として自然環境に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「自然環境に関連する諸量」は、例えば、外気温、降雨量、照度、等の物理量を含む。すなわち、外界状態センサ12は、外気温センサ、雨滴センサ、照度センサ、等の周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。外界状態センサ12は、車載通信回線10Aを介して、運転制御ECU18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
【0025】
周辺監視センサ13は、自車両周辺の交通環境のうち、主として、外界状態センサ12により検知されるもの以外を検知するように設けられている。具体的には、周辺監視センサ13は、自車両周辺の所定の検知範囲における、移動物体および静止物体を検知可能に構成されている。「移動物体」は、歩行者、サイクリスト、動物、および運転中の他車両を含む。「静止物体」は、路上落下物、ガードレール、縁石、駐停車車両、道路標識、道路標示、道路脇の構造物(例えば、壁、建物、等。)、等を含む。周辺監視センサ13は「ADASセンサ」とも称され得る。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略である。
【0026】
本実施形態においては、周辺監視センサ13は、移動物体および静止物体を検知するための構成として、フロントカメラ131とレーダセンサ132とを有している。フロントカメラ131は、自車両の前方および前側方の画像を撮影するように設けられている。フロントカメラ131は、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えている。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。CMOSはComplementary MOSの略である。
【0027】
レーダセンサ132は、レーダ波を送受信するように構成された、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、またはレーザレーダセンサであって、自車両における車体の前面部に装着されている。レーダセンサ132は、反射点の、位置および相対速度に対応する信号を出力するように構成されている。「反射点」は、自車両周辺に存在する物体の表面上における、レーダ波を反射したと推定される点である。「相対速度」は、反射点すなわちレーダ波を反射した物体の、自車両に対する相対速度である。
【0028】
(ロケータ)
ロケータ14は、いわゆる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を決定するように構成されている。具体的には、ロケータ14は、GNSS受信器141と、慣性取得部142と、高精度地
図DB143と、ロケータECU144とを有している。GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。DBはデータベースの略である。「高精度な位置情報」とは、例えば、SAEレベル2以上の、高度運転支援あるいは自動運転に利用可能な程度、具体的には、誤差が10cm未満となるような程度の位置精度を有する位置情報である。
【0029】
GNSS受信器141は、複数の測位衛星すなわち人工衛星から送信された測位信号を受信するように設けられている。本実施形態においては、GNSS受信器141は、GPS、QZSS、GLONASS、Galileo、IRNSS、北斗衛星導航系統、等の衛星測位システムのうちの少なくとも1つにおける測位衛星からの測位信号を受信可能に構成されている。GPSはGlobal Positioning Systemの略である。QZSSはQuasi-Zenith Satellite Systemの略である。GLONASSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。IRNSSはIndian Regional Navigation Satellite Systemの略である。
【0030】
慣性取得部142は、自車両に作用する加速度および角速度を取得するように構成されている。本実施形態においては、慣性取得部142は、ロケータ14における箱状の筐体内に内蔵された3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサとして設けられている。
【0031】
高精度地
図DB143は、高精度地図情報を書き換え可能に記憶するとともに電源遮断中にも記憶内容を保持するように、不揮発性リライタブルメモリを主体に構成されている。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、ハードディスク、EEPROM、フラッシュROM、等である。EEPROMはElectronically Erasable and Programmable ROMの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。高精度地図情報は、高精度地図データとも称され得る。高精度地図情報には、数メートル程度の位置誤差に対応する従来のカーナビゲーションシステムにて用いられていた地図情報よりも高精度な地図情報が含まれている。具体的には、高精度地
図DB143には、ADASIS規格等の所定の規格に準拠して、三次元道路形状情報、レーン数情報、規制情報、等の、高度運転支援あるいは自動運転に利用可能な情報が格納されている。ADASISはAdvanced Driver Assistance Systems Interface Specificationの略である。
【0032】
ロケータECU144は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。CPUはCentral Processing Unitの略である。RAMはRandom Access Memoryの略である。ロケータECU144は、GNSS受信器141にて受信した測位信号、慣性取得部142にて取得した加速度および角速度、車両状態センサ11から取得した車速、等に基づいて、自車両の位置および方角等を逐次決定するように構成されている。そして、ロケータ14は、ロケータECU144による位置および方角等の決定結果を、車載通信回線10Aを介して、ナビゲーション装置16、運転制御ECU18、およびHMI制御装置25等の各部に提供可能に設けられている。
【0033】
(DCM)
DCM15は、車載通信モジュールであって、LTEあるいは5G等の通信規格に準拠した無線通信により、自車両周辺の基地局との間で情報通信可能に設けられている。LTEはLong Term Evolutionの略である。5Gは5th Generationの略である。
【0034】
具体的には、例えば、DCM15は、クラウド上のプローブサーバから最新の高精度地図情報を取得するように構成されている。また、DCM15は、取得した最新の高精度地図情報を、ロケータECU144と連携することで、高精度地
図DB143に格納するようになっている。さらに、DCM15は、渋滞情報等の交通情報を、上記のプローブサーバおよび/または所定のデータベースから取得するように構成されている。「渋滞情報」は、渋滞区間の位置および長さを含む。具体的には、渋滞情報は、渋滞先頭位置、渋滞最後尾位置、概算渋滞距離、概算渋滞時間、等を含む。交通情報は「道路交通情報」とも称される。
【0035】
(ナビゲーション装置)
ナビゲーション装置16は、自車両の現在位置から所定の目的地までの走行予定経路を算出するように設けられている。本実施形態においては、ナビゲーション装置16は、自車両のドライバ等により設定された目的地と、ロケータ14から取得した高精度地図情報と、ロケータ14から取得した自車両の位置情報および方角情報とに基づいて、走行予定経路を算出するように構成されている。また、ナビゲーション装置16は、算出結果である経路情報を含む各種情報を、運転制御ECU18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。すなわち、ナビゲーション装置16は、地図表示および経路表示等のためナビゲーション画面表示を、HMI装置20にて表示させるようになっている。
【0036】
(ドライバ状態検出部)
ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態を検出するように設けられている。「ドライバ状態」は、自車両におけるドライバの状態であり、ドライバ挙動およびドライバの覚醒状態を含む。「ドライバ挙動」は、ドライバの顔の向き、視線方向、姿勢、等を含む。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態の検出結果を、運転制御ECU18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に構成されている。
【0037】
具体的には、ドライバ状態検出部17は、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えた車内カメラによる撮影画像に基づく画像認識により、ドライバ状態を検出するように構成されている。すなわち、ドライバ状態検出部17は、ドライバの覚醒状態の低下等を警告する、いわゆるドライバステータスモニタを構成するように設けられている。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバによるアクセルおよびブレーキの操作状態、後述するステアリングホイール211の把持状態および操作状態、等を検出するように構成されている。
【0038】
(運転制御装置)
運転制御ECU18は、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、等から取得した信号および情報に基づいて、自車両の運転を制御するように設けられている。すなわち、本発明の運転制御装置としての運転制御ECU18は、所定の運転制御動作を実行するように構成されている。「所定の運転制御動作」は、本実施形態においては、SAEレベル1~3に対応する、車両制御動作すなわち動的運転タスク実行動作を含む。
【0039】
本実施形態においては、運転制御ECU18は、自車両における運転自動化レベルをSAEレベル0~3のいずれかに設定可能に構成されている。また、運転制御ECU18は、SAEレベル2以上の運転自動化レベルとして、SAEレベル2のハンズオン運転と、SAEレベル2のハンズオフ運転と、SAEレベル3の低速自動運転とのうちのいずれか1つを、択一的に実行可能に構成されている。
【0040】
運転制御ECU18は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。具体的には、運転制御ECU18は、車載マイクロコンピュータ上にて実現される機能構成あるいは機能部として、情報取得部181と、ドライバ挙動取得部182と、自動化レベル決定部183と、車両制御部184とを有している。
【0041】
情報取得部181は、少なくとも自車両の走行状態を取得するように設けられている。「走行状態」には、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、等によって検出あるいは取得される、運転状態および交通環境等が含まれる。また、情報取得部181は、自車両の現在の高精度な位置情報と、自車両が現在走行中の道路における車線情報および交通情報とを取得するように設けられている。「車線情報」は、車線数および車線種別を含む。「車線種別」は、走行車線、追越車線、等を含む。すなわち、情報取得部181は、SAEレベル1~3に対応する車両制御に必要な情報を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、DCM15、等から取得するようになっている。
【0042】
ドライバ挙動取得部182は、自車両のドライバ挙動を取得するように設けられている。具体的には、ドライバ挙動取得部182は、ドライバ状態検出部17により検出されたドライバ挙動を、ドライバ状態検出部17から取得(すなわち受信)するようになっている。
【0043】
自動化レベル決定部183は、情報取得部181により取得した走行状態、および、ドライバ挙動取得部182により取得したドライバ状態、等に基づいて、自車両の運転自動化レベルを決定するように設けられている。また、運転制御ECU18は、自動化レベル決定部183による運転自動化レベルの決定結果を、HMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。
【0044】
具体的には、自動化レベル決定部183は、所定の運転自動化レベルの開始条件の成否を判定するとともに、かかる条件成立中にドライバによる承認操作を受け付けた場合に当該運転自動化レベルを開始するようになっている。また、自動化レベル決定部183は、当該運転自動化レベルを実行中に、継続条件が不成立となった場合あるいは終了条件が成立した場合に、当該運転自動化レベルを終了するために必要な制御を実行するようになっている。
【0045】
本実施形態においては、自動化レベル決定部183は、周辺監視に対応するドライバ要件が満たされていることを条件に、車両制御部184が車線変更を実行した場合、車線変更完了後に上位自動化レベルを開始するようになっている。「ドライバ要件」は、ドライバに要求される要件であって、例えば、周辺監視、ハンズオン状態、等である。「上位自動化レベル」とは、ドライバ要件としての周辺監視が課されていない運転自動化レベルであって、具体的にはSAEレベル3以上すなわち自動運転である。これに対し、ドライバ要件としての周辺監視が課されている運転自動化レベルを、以下「下位自動化レベル」と称することがある。具体的には、下位自動化レベルは、SAEレベル0~2である。
【0046】
車両制御部184は、自動化レベル決定部183によって決定された運転自動化レベルに基づいて、自車両の運転制御を実行するように設けられている。すなわち、車両制御部184は、自動化レベル決定部183による運転自動化レベルの決定結果に応じて、車速制御、操舵制御、制動制御、等の車両運動制御サブタスクを実行するように構成されている。具体的には、車両制御部184は、上位自動化レベルを実行中に車線変更要求が生じた場合、周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されたこと、または、下位自動化レベルへの移行が完了していることを条件として、車線変更を実行開始するようになっている。また、車両制御部184は、車線変更の実行決定後であって車線変更のための車両制御(例えば操舵制御)の開始前に、ドライバが周辺監視を怠ったことが検出された場合、当該車線変更を待機またはキャンセルするようになっている。さらに、車両制御部184は、車線変更のための車両制御の開始後に、ドライバが周辺監視を怠ったことが検出された場合、レーンデパーチャアラート等の警告、車線変更キャンセル、または、車線変更前の車線への復帰を実行するようになっている。
【0047】
(ウィンカ)
ウィンカECU19は、後述するウィンカスイッチ212の操作状態等に基づいて、ウィンカ191の点灯あるいは点滅の状態を制御するように構成されている。方向指示器であるウィンカ191は、少なくとも、自車両の前面および後面のそれぞれに左右一対設けられている。
【0048】
(HMI装置)
HMI装置20は、いわゆる車両用HMIであって、自車両とドライバを含む乗員との間の情報伝達を実現するための構成を有している。具体的には、HMI装置20は、ドライバに自車両に関する各種情報を少なくとも視覚的に提示するとともに、提示内容に対応するドライバの入力操作を受け付けるように構成されている。提示される各種情報は、例えば、各種案内、入力操作指示、入力操作内容報知、警告、等である。
【0049】
操作部21は、主として、基本的な運転操作に関連するドライバの手動入力操作を受け付けるとともに、かかる手動入力操作の受け付け結果を、車載通信回線10Aを介して、運転制御ECU18およびHMI制御装置25等の各部に提供可能に構成されている。具体的には、操作部21は、ステアリングホイール211、ウィンカスイッチ212、等を有している。
【0050】
ステアリングホイール211は、不図示のステアリングコラムにて回転可能に支持された不図示のステアリングシャフトに固定されている。ウィンカスイッチ212は、上記のステアリングコラムに設けられた操作レバーである不図示のウィンカーレバーの操作状態に応じた信号を出力するように構成されている。また、操作部21は、不図示のステアリングスイッチ等を有している。ステアリングスイッチは、ステアリングホイール211における不図示のスポーク部等に設けられている。
【0051】
上記の通り、HMI装置20は、不図示のダッシュボードに設けられた、メータパネル22、CID装置23、およびHUD装置24を備えている。すなわち、本実施形態においては、HMI装置20は、上記のダッシュボードに取り付けられる、いわゆる「ダッシュボードHMI」としての構成を有している。また、HMI装置20は、音声による情報提示を実行するための不図示のスピーカを備えている。
【0052】
メータパネル22は、メータ221と、メータディスプレイ222と、メータスイッチ223とを有している。メータ221は、自車両の車速、冷却水温、燃料残量、等のメータ表示を実行するように設けられている。メータディスプレイ222は、メータパネル22の車幅方向における中央部に設けられた情報表示部あるいは情報表示領域であって、日時、外気温、走行距離、ラジオ受信局、等の各種情報表示を実行するように設けられている。本実施形態においては、メータディスプレイ222は、略矩形状の表示可能領域を備えた、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである表示デバイスとしての構成を有している。ELはエレクトロ ルミネッセンスの略である。メータスイッチ223は、メータ221および/またはメータディスプレイ222における表示状態あるいは表示内容に関する各種操作を受け付け可能に設けられている。
【0053】
CID装置23は、上記のダッシュボードに取り付けられている。CID装置23は、ナビゲーション装置16による地図表示および経路表示等のためナビゲーション表示画面を表示可能に設けられている。また、CID装置23は、かかるナビゲーション表示画面とは異なる情報および内容も表示可能に設けられている。具体的には、CID装置23は、例えば、「コンフォート」、「ノーマル」、「スポーツ」、「サーキット」、等の走行モードに関連する表示および設定操作を実行可能に構成されている。
【0054】
また、CID装置23は、SAEレベル3の自動運転中にドライバが利用可能なセカンドタスクに関連する表示を実行可能に構成されている。セカンドタスクとは、ドライバが実行する、運転操作以外のタスクである。具体的には、セカンドタスクには、例えば、読書、携帯通信端末操作、映像コンテンツ視聴、等が含まれる。セカンドタスクは、「運転外タスク」あるいは「セカンダリーアクティビティ」とも称される。
【0055】
CID装置23は、CIDディスプレイ231と、入力デバイス232と、CIDスイッチ233とを有している。CIDディスプレイ231は、上記のダッシュボードの車幅方向における略中央位置、具体的には運転席と助手席との間の位置にて、少なくともドライバから視認可能に設けられている。CIDディスプレイ231は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである表示デバイスとしての構成を有している。CIDディスプレイ231は、セカンドタスクが映像コンテンツの視聴である場合に、かかる映像コンテンツにおける映像を表示するように構成されている。「映像コンテンツ」は、例えば、映画、コンサート映像、ミュージックビデオ、テレビ放送、等である。
【0056】
入力デバイス232は、透明なタッチパネルであって、CIDディスプレイ231の上に重ねられることでCIDディスプレイ231を覆うように設けられている。すなわち、入力デバイス232は、CIDディスプレイ231における表示をドライバ等に視認させつつ、かかる表示に対応したドライバ等による入力操作を受け付け可能に構成されている。CIDスイッチ233は、CIDディスプレイ231および入力デバイス232の周囲に配置された複数の手動操作スイッチにより構成されている。
【0057】
HUD装置24は、ドライバの前方に文字および/または記号を含む表示画像を表示するように設けられている。本実施形態においては、HUD装置24は、AR技術を用いて運転席前方に虚像表示画像を形成することで、自車両の進行先の路面を含む前景に表示画像を重畳表示するように構成されている。HUD装置24における「重畳表示」とは、前景に含まれる重畳対象物(例えば建物)の関連情報(例えば建物名)を、重畳対象物と重なるように表示したり重畳対象物の近傍に表示したりすることで、重畳対象物と関連情報とを互いに関連付けつつ表示することをいう。前方路面に対する、経路表示、進行方向表示、交通情報表示、等の各種表示も、「重畳表示」に該当する。具体的には、HUD装置24は、表示画像光を不図示のフロントウィンドシールドにおける所定の投影範囲に投影して、表示画像光のフロントウィンドシールドによる反射光をドライバに視認させることで、表示画像をAR表示する構成を有している。
【0058】
(HMI制御装置)
HMI制御装置25は、HMI装置20の動作を制御するように設けられている。すなわち、HMI制御装置25は、HMI装置20に含まれる、メータパネル22、CID装置23、およびHUD装置24等の、動作を制御する、HCUとしての構成を有している。HCUはHMI Control Unitの略である。
【0059】
HMI制御装置25は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。HMI制御装置25は、マイクロコンピュータ上にて実現される、以下の機能構成あるいは機能部を有している。すなわち、HMI制御装置25は、車両情報取得部251と、制御状況取得部252と、走行状況取得部253と、車線情報取得部254と、ドライバ情報取得部255と、提示制御部256と、ウィンカ指令出力部257と、操作受付部258とを有している。
【0060】
車両情報取得部251は、自車両の運転状態に関連する情報を取得するように構成されている。具体的には、車両情報取得部251は、車両状態センサ11によって検出あるいは取得される、自車両の運転状態に関連する諸量を取得するようになっている。
【0061】
制御状況取得部252は、自車両における自動操舵制御の実行状況を取得するように構成されている。具体的には、制御状況取得部252は、運転制御ECU18による自動運転あるいは運転支援の実行状況および実行予定状況、すなわち、自動化レベル決定部183による運転自動化レベルの決定結果を、運転制御ECU18から取得するようになっている。
【0062】
走行状況取得部253は、自車両の走行状況を取得するように構成されている。具体的には、走行状況取得部253は、外界状態センサ12および周辺監視センサ13によって検出あるいは取得される、自車両周辺の交通環境を取得するようになっている。また、走行状況取得部253は、自車両の現在位置と、走行予定経路と、走行予定経路における交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得するようになっている。
【0063】
車線情報取得部254は、自車両が走行中の道路における車線情報を取得するように構成されている。具体的には、車線情報取得部254は、自車両の現在位置周辺の車線情報を、ロケータ14から取得するようになっている。車線情報取得部254により取得する「車線情報」は、自車線の車線種別を含む。また、かかる「車線情報」は、自車線に隣接する隣接車線の存在状態を含む。さらに、かかる「車線情報」は、隣接車線が存在する場合の、当該隣接車線の車線種別を含む。
【0064】
ドライバ情報取得部255は、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果を、ドライバ状態検出部17から取得するように構成されている。ドライバ情報取得部255が取得するドライバ状態は、所定のドライバ要件(例えば周辺監視義務)に対応するドライバ挙動(例えば周辺監視動作)があったか否か、あるいは、これを判定するために必要な情報を含む。また、ドライバ情報取得部255が取得するドライバ状態は、所定の運転交代要求があった場合に、対応する運転交代動作があったか否か、あるいは、これを判定するために必要な情報を含む。
【0065】
提示制御部256は、HMI装置20による情報提示動作を制御するように構成されている。すなわち、提示制御部256は、メータパネル22、CID装置23、およびHUD装置24における、画像出力および音声出力を制御することで、ドライバを含む自車両乗員に対する各種情報の提示を実行するようになっている。「各種情報」には、経路情報、交通情報、各種メッセージ、等が含まれる。
【0066】
本実施形態においては、提示制御部256は、車線情報取得部254によって取得された車線情報に基づいて、自車線から隣接車線への車線変更または当該隣接車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示するように構成されている。「自動化関連情報」は、自車線および/または車線変更先である隣接車線についての、実行可能な運転自動化レベルおよび/またはドライバ要件に対応する情報である。具体的には、提示制御部256は、自動化関連情報を、メータディスプレイ222にて視覚的に表示するようになっている。さらに、提示制御部256は、隣接車線を含む各車線の種別に応じて、自動化関連情報の提示内容を設定可能となっている。すなわち、提示制御部256は、自動化関連情報の提示対象となる車線(例えば少なくとも自車線および/または隣接車線)が走行車線であるか追越車線であるかに応じた内容で、自動化関連情報の提示を実行するようになっている。
【0067】
ウィンカ指令出力部257は、ウィンカスイッチ212の操作状態に基づいたウィンカECU19によるウィンカ191の点灯制御に対する割込指令信号を、ウィンカECU19に出力するように構成されている。具体的には、ウィンカ指令出力部257は、ウィンカ191を点灯あるいは点滅させるためのウィンカスイッチ212の操作がなされた状態において、所定の場合に、消灯割込指令信号をウィンカECU19に出力するようになっている。消灯割込指令信号は、ウィンカECU19によるウィンカ191を点灯あるいは点滅させるための制御中に、ウィンカ191の点灯あるいは点滅を停止させるための割込信号である。同様に、ウィンカ指令出力部257は、ウィンカ191を点灯あるいは点滅させるためのウィンカスイッチ212の操作がなされていない状態において、所定の場合に、点灯割込指令信号をウィンカECU19に出力するようになっている。点灯割込指令信号は、ウィンカ191を点灯あるいは点滅させるための信号である。
【0068】
操作受付部258は、ドライバを含む自車両乗員による、HMI装置20、すなわち、操作部21、メータスイッチ223、入力デバイス232、またはCIDスイッチ233における入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、操作受付部258は、提示制御部256により提示された各種情報に対応する、上記の入力操作の受け付け状態あるいは受け付け結果を、取得あるいはモニターするようになっている。
【0069】
(動作概要)
以下、本実施形態に係る運転制御ECU18およびHMI制御装置25の動作、ならびに、これらにより実行される制御方法および制御プログラムの概要について、これらにより奏される作用あるいは効果とともに説明する。
【0070】
運転制御ECU18において、情報取得部181は、自車両の走行状態を含む各種情報を取得する。具体的には、情報取得部181は、自車両の運転状態および交通環境を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13から取得する。また、情報取得部181は、自車両の現在の高精度な位置情報と、走行予定経路と、走行予定経路における車線情報および交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得する。また、ドライバ挙動取得部182は、自車両のドライバ挙動を、ドライバ状態検出部17から取得する。また、情報取得部181および/またはドライバ挙動取得部182は、ドライバ等によるHMI装置20における各種操作状態を取得する。
【0071】
自動化レベル決定部183は、情報取得部181により取得した走行状態、ドライバ挙動取得部182により取得したドライバ挙動、等に基づいて、自車両の運転自動化レベルを決定する。具体的には、自動化レベル決定部183は、情報取得部181およびドライバ挙動取得部182による取得情報に基づいて、SAEレベル1~3のうちのいずれかに相当する所定の運転自動化レベルの開始条件の成否を判定する。
【0072】
例えば、自車両が自動運転可能道路に進入すると、ハンズオフ運転および/または自動運転の開始条件のうちの少なくとも1つが成立する。また、自車両の車速が上記の低速度域である場合、自動運転の開始条件のうちの少なくとも他の1つが成立する。所定の運転自動化レベル、例えば、ハンズオン運転、ハンズオフ運転、または自動運転の開始条件が成立すると、自動化レベル決定部183は、開始条件の成立をHMI制御装置25に通知する。
【0073】
HMI制御装置25が開始条件の成立通知を受信すると、提示制御部256は、所定の運転自動化レベルが開始可能である旨を、HMI装置20、例えばメータディスプレイ222および不図示のスピーカにより、ドライバに報知する。また、提示制御部256は、当該運転自動化レベルの開始を承認するための入力操作である承認操作をドライバに促す情報提示を実行するとともに、かかる入力操作を所定時間待機する。
【0074】
操作受付部258が承認操作を受け付けると、HMI制御装置25は、ドライバによる承認操作が受け付けられた旨を、運転制御ECU18に通知する。運転制御ECU18において、承認操作が受け付けられた旨の情報をドライバ挙動取得部182が取得すると、自動化レベル決定部183は、開始条件が成立して実行が承認された運転自動化レベルの実行を開始する。すると、車両制御部184は、自動化レベル決定部183によって決定すなわち実行開始された運転自動化レベルに応じて、車速制御、操舵制御、制動制御、等を実行する。
【0075】
SAEレベル3の自動運転中は、ドライバによる動的運転タスクの実行、すなわち、例えば、周辺監視、操舵制御操作、および加減速制御操作は、原則として要求されない。このため、自動運転中にて、ドライバは、ステアリングホイール211を常時把持していることは要求されず、アクセルペダルおよびブレーキペダルをいつでも操作可能な程度の運転姿勢を常時保持することも要求されない。よって、自動運転中においては、ドライバは、セカンドタスクを実行することが可能となる。
【0076】
一方、SAEレベル2のハンズオン運転中あるいはハンズオフ運転中は、ドライバには、少なくとも周辺監視を含む、動的運転タスクの実行が要求される。すなわち、ハンズオン運転中にて、ドライバには、周辺監視およびハンズオン状態が要求される。また、ハンズオフ運転中にて、ドライバには、ハンズオン状態は要求されないものの、周辺監視を実行することが要求される。
【0077】
本実施形態においては、実行可能な、あるいは、推奨される運転自動化レベルは、車線種別によって異なる。具体的には、自車両は、自動運転可能道路に進入すると、走行車線および追越車線にて、ハンズオン運転およびハンズオフ運転が可能である。但し、追越車線においては、可能な限りすみやかに走行車線に移動する必要性等を考慮して、ハンズオン運転が推奨される。さらに、自車両は、走行車線である自車線を維持しつつ低速度域にて走行することで、自動運転が可能である。すなわち、追越車線を走行中には、自動運転は実行できない。
【0078】
ハンズオン運転中およびハンズオフ運転においては、車載システム10による自動的な車線変更が可能である。一方、自動運転中においては、車載システム10による自動的な車線変更はできない。すなわち、例えば、自動運転中に、ドライバによるウィンカスイッチ212の操作等により車線変更要求が生じた場合、当該要求通りの車線変更を実際に実行するためには、実行中の自動運転を中断あるいは終了する必要がある。自動運転からハンズオン運転あるいはハンズオフ運転に移行することで、車載システム10による自動的な車線変更が可能となる。
【0079】
このように、自車両が走行する車線の選択は、実行可能な運転自動化レベル、および、かかる運転自動化レベルに対応するドライバ要件に影響を与える。このため、車載システム10による自動的な車線変更に関連する各種制御は、車線種別に即して適切に実行される必要がある。また、車線変更と運転自動化レベルおよび/またはドライバ要件との関係に関する情報がドライバに適切に把握されている状況を実現することで、車載システム10による自動的な車線変更制御が可能に構成された自車両の利便性が向上する。具体的には、例えば、上記の情報を必要なタイミングでドライバに提供することで、ドライバの適切な判断がサポートされ得る。あるいは、例えば、車載システム10による自動的な車線変更制御がスムーズに実行され得る。そこで、提示制御部256は、自車線および/または隣接車線について、自動化関連情報としての、運転自動化レベルおよび/またはドライバ要件を、HMI装置20により提示する。
【0080】
図2~
図16は、HMI制御装置25(すなわち提示制御部256)が実行する、HMI装置20(すなわち本実施形態においてはメータディスプレイ222)による情報提示動作の具体例を示す。
図2を参照すると、提示制御部256は、メータディスプレイ222における、上部表示領域RA、中央表示領域RC、左部表示領域RL、および右部表示領域RRのそれぞれにて、各種情報を表示するようになっている。
【0081】
上部表示領域RAは、メータディスプレイ222の表示画面における最上部にて横方向すなわち幅方向に延びる、細長い帯状の領域である。メータディスプレイ222の表示画面を、以下単に「表示画面」と略称することがある。上部表示領域RAは、表示画面の全幅にわたって設けられる。上部表示領域RAには、ステータス情報が表示される。ステータス情報は、「ハンズオフ運転中」等の、現在実行中の運転自動化レベルを示す情報である。
【0082】
中央表示領域RC、左部表示領域RL、および右部表示領域RRは、上部表示領域RAの下側にて、上部表示領域RAに隣接配置されている。中央表示領域RCは、表示画面の幅方向における中央部、すなわち、左部表示領域RLと右部表示領域RRとの間に設けられる。中央表示領域RCは、左部表示領域RLおよび右部表示領域RRよりも幅広に形成される。左部表示領域RLは、中央表示領域RCの左側に配置される。右部表示領域RRは、中央表示領域RCの右側に配置される。
【0083】
中央表示領域RCは、車速表示T1、ウィンカ表示T2、グラフィック道路表示T3、ガイダンス情報表示T4、および入力ボタン表示T5を表示する領域である。車速表示T1およびウィンカ表示T2は、中央表示領域RCの最上部に設けられる。ガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5は、中央表示領域RCの底部に設けられる。グラフィック道路表示T3は、中央表示領域RCの上下方向すなわち高さ方向における中央部に設けられる。
【0084】
車速表示T1は、自車両の現在の車速の表示であって、一対のウィンカ表示T2の間に設けられる。ウィンカ表示T2は、通常は左右一対のウィンカ191における点灯あるいは点滅の状態に連動して点灯あるいは点滅する、矢印状の画像による表示である。すなわち、HMI装置20は、方向指示器であるウィンカ191に対する方向指示態様に応じた表示である方向指示表示としてのウィンカ表示T2を実行可能である。
【0085】
グラフィック道路表示T3は、車線情報および自動化関連情報に対応するグラフィック表示である。すなわち、グラフィック道路表示T3は、自車両から所定の近距離範囲内(例えば1km以内)における車線数と、自車線の位置と、各車線における運転自動化レベルおよびドライバ要件とを提示するための表示である。具体的には、グラフィック道路表示T3には、車線区画線表示T31と、自動化レベル表示T32と、自車両アイコンT33と、監視義務アイコンT34と、ハンズオンアイコンT35と、自動運転アイコンT36とが表示可能となっている。自動化レベル表示T32~自動運転アイコンT36のうちの、自車両アイコンT33以外のものは、「自動化関連情報表示」に該当する。
【0086】
車線区画線表示T31は、自車両が現在走行中の道路における自車両の進行先であって自車両から所定の近距離範囲内にて、道路幅員方向における車線配置および分岐構造を示すグラフィック表示である。車線区画線表示T31は、表示画面における下側から上側に向かうにつれて、中央表示領域RCの幅方向における中央位置に寄るように、斜線状に描画される。すなわち、表示画面における下側から上側に向かうにつれて、互いに隣接する車線区画線表示T31同士の間隔が狭くなる。これにより、互いに隣接する一対の車線区画線表示T31によって区画される車線は、自車両の進行方向が表示画面において上方に向かう方向となり、且つ、自車両から遠ざかる上方に向かうにつれて幅が狭くなるように、遠近感を伴って表示される。一対の車線区画線表示T31によって区画された各車線に対応する位置には、自動化関連情報表示が、必要に応じて表示される。
【0087】
自動化レベル表示T32は、各車線に対応する運転自動化レベルを示すグラフィック表示である。本例においては、自動化レベル表示T32は、車線の延設方向に沿って車線内に延設される、帯状あるいは太線状のグラフィック表示である。
【0088】
自動化レベル表示T32は、ハンズオン運転と、ハンズオフ運転と、自動運転とで、互いに区別可能に、異なる表示態様で表示される。具体的には、ハンズオン運転とハンズオフ運転と自動運転との間の、表示態様の区別は、例えば、色相、彩度、明度、透明度、およびパターンのうちの少なくともいずれか1つ、典型的には少なくとも色相によって行われ得る。本具体例においては、ハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32は、黄色の帯状表示とする。また、ハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32は、緑色の帯状表示とする。また、自動運転に対応する自動化レベル表示T32は、青色の帯状表示とする。
【0089】
自車両アイコンT33は、頂点が上方すなわち自車両の進行方向に向かう二等辺三角形状の画像による、現在の自車線を明示する表示である。監視義務アイコンT34は、ドライバに周辺監視義務が課されることを示すグラフィック表示である。本例においては、監視義務アイコンT34は、「目」を表す図形によって構成される。ハンズオンアイコンT35は、ドライバにハンズオン状態が要求されることを示すグラフィック表示である。本例においては、ハンズオンアイコンT35は、ドライバがステアリングホイール211を把持している状態をデフォルメした図形によって構成される。自動運転アイコンT36は、自動運転を示すグラフィック表示である。本例においては、自動運転アイコンT36は、自動車の正面図をデフォルメした図形によって構成される。
【0090】
ガイダンス情報表示T4は、交通情報および各種のガイダンス情報を示すテキスト表示である。具体的には、例えば、ハンズオフ運転が開始可能となった場合、ハンズオフ運転が開始可能となったことがガイダンス情報表示T4により表示される。自動運転が開始可能となった場合も同様である。ガイダンス情報表示T4が入力ボタン表示T5とともに表示された場合、ガイダンス情報表示T4は、表示された入力ボタン表示T5に関連する入力操作を促すあるいは要求する表示に対応する。
【0091】
入力ボタン表示T5は、ドライバ等による入力操作を受け付けるための、操作ボタン状のグラフィック表示である。入力ボタン表示T5は、ガイダンス情報表示T4が表示される位置よりも下方、すなわち、中央表示領域RCにおける最下部に設けられる。
【0092】
入力ボタン表示T5は、必要に応じて、非表示となったり、1個表示されたり、複数個表示されたりする。
図2は、入力ボタン表示T5が1個表示された例を示す。
図3は、入力ボタン表示T5が2個表示された例を示す。
図3に示されているように、入力ボタン表示T5が2個表示される場合、一方を第一入力ボタン表示T51と称し、他方を第二入力ボタン表示T52と称する。第一入力ボタン表示T51は、第二入力ボタン表示T52よりも左側に配置される。
【0093】
左部表示領域RLは、ドライバ要件表示Uを表示する領域である。ドライバ要件表示Uは、ドライバ要件を、ドライバに対して視覚的に情報提示するためのグラフィック表示である。ドライバ要件表示Uとして、ドライバアイコンU1と、ステアリングアイコンU2と、視線アイコンU3とが表示可能である。
【0094】
ドライバアイコンU1は、運転席に着座したドライバを模したアイコン画像である。ステアリングアイコンU2は、ステアリングホイール211を模したアイコン画像である。視線アイコンU3は、ドライバの周辺監視義務に対応する、ドライバアイコンU1の頭部から延びる矢印形のアイコン画像である。ドライバ要件表示Uは、「自動化関連情報表示」に該当する。
【0095】
右部表示領域RRは、タイムチャートVを表示する領域である。タイムチャートVは、自車両の現在位置から目的地到着までの間の各種イベントを、表示可能な範囲で、時系列で表示する。「イベント」は、例えば、自動運転可能道路への進入、自動運転可能道路からの退出、分岐、運転交代、目的地到着、等を含む。具体的には、本実施形態においては、タイムチャートVには、第一セグメントV1と、第二セグメントV2と、第三セグメントV3と、第四セグメントV4とを設けることが可能である。第一セグメントV1と、第二セグメントV2と、第三セグメントV3と、第四セグメントV4とは、この順に下から上に配置される。なお、表示可能なイベントが4個未満である場合、第四セグメントV4から順に消去される。
【0096】
第一セグメントV1には、直近に予定されているイベントが表示される。第一セグメントV1は、例えば、
図2に示されているように左側の縦罫線が高輝度で表示される等、他のセグメントよりも目立つように表示される。第二セグメントV2には、第一セグメントV1に表示されたイベントの次に予定されているイベントが表示される。第三セグメントV3には、第二セグメントV2に表示されたイベントの次に予定されているイベントが表示される。第四セグメントV4には、第三セグメントV3に表示されたイベントの次に予定されているイベントが表示される。
【0097】
第一セグメントV1~第四セグメントV4の各々には、距離表示V5とイベントアイコンV6とが表示される。距離表示V5は、自車両の現在位置からの走行予定距離を示すテキスト表示である。イベントアイコンV6は、イベントの種別を示すアイコンである。なお、距離表示V5が表示される一方でイベントアイコンV6が表示されないセグメントは、目的地到着を示すものとする。一方、イベントアイコンV6が表示される一方で距離表示V5が表示されない場合、かかるイベントアイコンV6に対応するイベントは、現時点、あるいは、現時点から比較的短時間の間のイベントであるものとする。
【0098】
(表示例)
以下、自車両が遭遇する各種の場面あるいは場合における、HMI装置20による情報提示すなわち表示の具体例を、
図1に加えて
図2~
図16を参照しつつ示す。各具体例は、上記の通り、HMI装置20における情報提示用デバイスとして、メータディスプレイ222を用いたものである。なお、メータディスプレイ222における各種情報表示とともに、当該情報表示に対応する音声出力も必要に応じて適宜実行されるものとする。
【0099】
(表示例1)
図2は、自車両が自動運転可能道路に進入したシーンにおける表示例を示す。本例において、自車両は、手動運転中に、自動運転可能道路に進入して加速車線から片側3車線の本線車道における第一走行車線に車線変更した後であるものとする。この場合、提示制御部256は、自車両が走行中の道路である走行中道路にて自車両が現在の進行方向と同一方向に進行可能な全車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。また、提示制御部256は、各車線の種別に応じて、自動化関連情報の提示内容を設定する。
【0100】
具体的には、本例においては、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「手動運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、手動運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。すなわち、ドライバアイコンU1は、ステアリングアイコンU2に手をかけた「ハンズオン状態」で表示される。また、視線アイコンU3は、表示状態すなわち点灯状態とされる。
【0101】
手動運転中は、60km/hを超える高速度域での走行が、制限速度の範囲内で可能である。但し、走行車線を最低速度以上且つ60km/h以下の範囲でほぼ一定の速度で走行する場合があり得る。あるいは、自車両が、例えば、交通集中による60km/h以下の低速走行区間あるいは渋滞区間に進入する場合があり得る。これらの場合、自車線を維持する条件で、自動運転が開始可能である。
【0102】
このため、
図2は、中央表示領域RCにおける車速表示T1に表示されているように、自車両が、自動運転の上限速度である60km/hにて走行中の例を示している。また、現時点で、自車両は、第一走行車線を走行中であり、ドライバによる車線変更操作はなされていない。このため、一対のウィンカ表示T2は、いずれも、消灯状態とされている。そして、自動運転の開始条件が成立すると、提示制御部256は、
図2に示されているように、中央表示領域RCにて、自動運転開始に関するガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5を表示する。
【0103】
また、提示制御部256は、中央表示領域RCにて、片側3車線における全車線、すなわち、自車線である第一走行車線、隣接車線である第二走行車線、および、隣接車線ではない追越車線について、自動化関連情報を表示する。これにより、全車線に、自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34等の各種アイコンとが表示される。
【0104】
提示制御部256は、走行状況取得部253にて取得された情報に基づいて、自車両が自動運転可能道路に進入したか否かを判定する。そして、提示制御部256は、自車両が自動運転可能道路に進入したことを判定した判定タイミングと実質的に同時に、自動化関連情報をHMI装置20により提示する。具体的には、提示制御部256は、加速車線から第一走行車線への車線変更が完了したことを判定したタイミングにて、自動化関連情報を表示する。その後、提示制御部256は、自車両が第一走行車線にて自動運転の上限速度以下で安定的に走行することで自動運転の開始条件が成立した時点で、ガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5を表示する。
【0105】
ここで、「実質的に同時」とは、判定タイミングと提示タイミングすなわち表示タイミングとの間に、制御上の意図的な遅延処理あるいは待機処理が介在しないことをいうものとする。よって、仮に、フローチャートにて、判定タイミングと提示タイミングとの間に1つ以上の処理ステップが介在していたとても、当該処理ステップが制御上で意図的な遅延状態あるいは待機状態を生じさせるものでなければ、両者は「実質的に同時」と云い得る。制御上で意図的な遅延状態あるいは待機状態を生じさせる処理は、具体的には、例えば、所定時間の経過を意図的に生じさせるための、計時処理あるいは待機ループである。よって、例えば、判定タイミングと提示タイミングとの間に何らかの演算処理が介在することで、結果的に両者の間に所定程度の短い時間差(例えば数百msec)が生じたとしても、両者は「実質的に同時」と云い得る。
【0106】
具体的には、本例においては、加速車線から第一走行車線への車線変更直後は、自車両は、手動運転中である。このため、自車線には、自動化レベル表示T32が表示されない。また、手動運転中は、ドライバには、ステアリング操作および周辺監視が要求される。そこで、自車線には、現時点でのドライバ要件に対応する監視義務アイコンT34およびハンズオンアイコンT35が表示される。一方、自動運転の開始条件が成立すると、自車線には、自動運転を開始可能である旨を示すための、自動運転に対応する自動化レベル表示T32と、自動運転を開始可能である旨を示すための自動運転アイコンT36とが表示される。
図2は、自動運転の開始条件が成立して、自車線に自動化レベル表示T32および自動運転アイコンT36が表示された状態を示す。
【0107】
隣接車線である第二走行車線に車線変更する場合、かかる第二走行車線においては、ハンズオン運転またはハンズオフ運転が可能である。例えば、車線変更の前にハンズオン運転またはハンズオフ運転に移行して、移行後に自動的に車線変更を実行することが可能である。あるいは、手動運転により車線変更した後、ハンズオン運転またはハンズオフ運転に移行することが可能である。そこで、第二走行車線には、ハンズオン運転およびハンズオフ運転のうちの運転自動化レベルが高いハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32が表示される。また、ハンズオフ運転中においては、ドライバには、ステアリングホイール211の把持は要求されないものの、周辺監視義務は課される。このため、第二走行車線には、監視義務アイコンT34が表示される。
【0108】
追越車線を走行する場合には、ハンズオン運転およびハンズオフ運転が可能であるが、ハンズオン運転が推奨される。そこで、追越車線には、ハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32が表示される。また、第二走行車線には、ハンズオン運転に対応する、監視義務アイコンT34およびハンズオンアイコンT35が表示される。
【0109】
図2には、一具体例として、以下の通りのイベントに対応するタイムチャートVが示されている。自車両は、25km先のジャンクションにて分岐方向に進行し(すなわち第一セグメントV1参照)、27km先にて別の自動運転可能道路に合流する(すなわち第二セグメントV2参照)。また、自車両は、55km先のインターチェンジにて自動運転可能道路から退出するための減速車線に車線変更し(すなわち第三セグメントV3参照)、57km先の料金所通過までにハンズオン運転あるいは手動運転に移行する(すなわち第四セグメントV4参照)。
【0110】
(表示例2)
図3は、
図2に示された状況の後、自車両が第一走行車線での走行を維持しつつ、自動運転の上限速度を超える車速にまで加速した後にハンズオフ運転に移行した場合の表示例を示す。ハンズオフ運転中は、60km/hを超える高速度域での走行が、制限速度の範囲内で可能である。このため、
図3は、中央表示領域RCにおける車速表示T1に表示されているように、自車両が、自動運転の上限速度を超える70km/hにて走行中の例を示している。また、現時点で、ドライバによる車線変更操作はなされていない。このため、一対のウィンカ表示T2は、いずれも、消灯状態とされている。
【0111】
この場合、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「ハンズオフ運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ハンズオフ運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。ハンズオフ運転中においては、ドライバには、ステアリングホイール211の把持は要求されないものの、周辺監視義務は課される。このため、ドライバアイコンU1は、ステアリングアイコンU2から手を離した「ハンズオフ状態」で表示される。また、視線アイコンU3は、表示状態すなわち点灯状態とされる。
【0112】
本例においては、ハンズオフ運転に移行した後、自車線の前方に低速走行区間が出現したものとする。ハンズオフ運転中においては、現在実行中のハンズオフ運転を中断あるいは終了させなくても、車線変更を実行することが可能である。よって、自車両は、ハンズオフ運転下で低速走行を回避するために第二走行車線に自動的に車線変更することも、そのまま低速走行区間に進入して自動運転に移行することを考慮して自車線を維持することも可能である。すなわち、本例は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンに相当する。そこで、提示制御部256は、自車線および隣接車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。
【0113】
具体的には、自車線である第一走行車線には、現在実行中のハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、現時点でのドライバ要件に対応する監視義務アイコンT34とが表示される。また、自車線から隣接車線への車線変更の前後において、ハンズオフ運転が維持され得る。そこで、隣接車線である第二走行車線にも、ハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、当該隣接車線における走行時のドライバ要件に対応する監視義務アイコンT34とが表示される。なお、第一走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、第二走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32とは、互いに区別可能に表示される。具体的には、本例においては、第一走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32は、外郭が高彩度あるいは高輝度で表示される。
【0114】
また、提示制御部256は、中央表示領域RCにて、選択表示をガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により表示する。「選択表示」は、自車両の走行予定車線を選択するための選択操作に対応する表示であり、車線変更するか否かをドライバに選択させるためのHMI表示に相当する。具体的には、本例においては、ガイダンス情報表示T4にて、自車線の前方に低速走行区間が発生している旨の情報が表示される。また、入力ボタン表示T5として、自車線維持を選択するための第一入力ボタン表示T51と、右側の隣接車線への車線変更を選択するための第二入力ボタン表示T52とが表示される。
【0115】
また、提示制御部256は、かかる選択表示を、運転自動化レベルに対応する自動化関連情報の表示と関連付けて、HMI装置20により表示する。すなわち、入力ボタン表示T5の表示は、自動化レベル表示T32の表示と対応付けられる。具体的には、
図3に示されているように、自車線維持を選択するための第一入力ボタン表示T51は、第一走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、左側に表示される。一方、右側の隣接車線である第二走行車線への車線変更を選択するための第二入力ボタン表示T52は、第二走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、右側に表示される。
【0116】
さらに、提示制御部256は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンであることを判定した判定タイミングと実質的に同時に、自動化関連情報表示および選択表示を表示する。この場合の判定タイミングは、自車線の前方の低速走行区間と自車両との間の走行予定距離あるいは走行予定時間が所定値未満となったことが判定されたタイミングである。なお、現時点では、自車両は、第一走行車線を走行中である。このため、自車線である第一走行車線と隣接関係にはない追越車線は、自車線からの直接的な車線変更先ではない。よって、本例においては、追越車線には、自動化関連情報、すなわち、自動化レベル表示T32、監視義務アイコンT34、およびハンズオンアイコンT35は表示されない。
【0117】
このように、本例においては、提示制御部256は、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示としての、自動化関連情報表示および選択表示を、HMI装置20により表示する。これにより、車線変更と運転自動化レベルおよび/またはドライバ要件との関係に関する情報が、ドライバに適切に把握され得る。したがって、車線変更に関するドライバの判断が、良好にサポートされ得る。
【0118】
(表示例3)
図4は、
図3に示された状況にて、自車線維持を選択するための第一入力ボタン表示T51が入力操作された場合の表示例を示す。本例においては、車載システム10すなわち運転制御ECU18は、ハンズオフ運転を実行中である。このため、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「ハンズオフ運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ハンズオフ運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。
【0119】
本例においては、ドライバは、車線変更の不許可を選択したこととなる。すなわち、本例は、自車線から隣接車線への車線変更が実行されない場合に相当する。そこで、この場合、提示制御部256は、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示を非表示とする。具体的には、本例においては、提示制御部256は、自車線および隣接車線にて、自動化関連情報表示および選択表示を消去する。これにより、ドライバが自車線維持を選択した場合の、HMI表示の視認性が向上する。
【0120】
(表示例4)
図5は、
図3に示された状況にて、第一入力ボタン表示T51および第二入力ボタン表示T52のいずれも入力操作されなかった場合の表示例を示す。本例においては、車載システム10は、ハンズオフ運転を実行中である。このため、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「ハンズオフ運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ハンズオフ運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。
【0121】
本例においては、ドライバは、車線変更の許可も不許可も選択しなかったこととなる。すなわち、本例は、自車線から隣接車線への車線変更が実行されない場合に相当する。そこで、この場合、提示制御部256は、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示を非表示とする。
【0122】
すなわち、本例においては、提示制御部256は、運転自動化レベルおよびドライバ要件についてのHMI表示を、自車線および隣接車線についての表示から、自車線のみについての表示に変更する。具体的には、提示制御部256は、選択表示を非表示とするとともに、隣接車線についての自動化関連情報表示を消去する。一方、提示制御部256は、自車線についての自動化関連情報表示を維持する。これにより、ドライバが車線変更の許可も不許可も選択しなかった場合の、HMI表示の視認性が向上する。
【0123】
(表示例5)
図6は、
図5に示された状況から、自車両が自動運転の上限速度まで減速した後に、操作部21に設けられた自動運転スイッチが操作された場合の表示例を示す。すなわち、本例は、ドライバが自動運転開始操作を実行したシーンに相当する。この場合、提示制御部256は、走行中道路にて自車両が現在の進行方向と同一方向に進行可能な全車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。また、提示制御部256は、上記の自動運転スイッチが操作されたことを判定した判定タイミングと実質的に同時に、自動化関連情報をHMI装置20により提示する。これにより、ドライバは、各車線に対応する車線情報および自動化関連情報を良好に把握することが可能となる。
【0124】
なお、ドライバによる自動運転スイッチの操作があっても、かかる操作が誤操作である可能性がある。このため、本例においては、ドライバによる承認操作があるまで、車載システム10すなわち運転制御ECU18は、ハンズオフ運転を継続する。そこで、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「ハンズオフ運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ハンズオフ運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。また、提示制御部256は、ガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により、自動運転開始の承認操作を受け付けるための表示を実行する。
【0125】
(表示例6)
図7は、
図6に示された状況にて入力ボタン表示T5による自動運転開始の承認操作が受け付けられることで自動運転が開始してからしばらく時間経過した後の表示例を示す。この場合、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「自動運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、自動運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。すなわち、ドライバアイコンU1は、ステアリングアイコンU2から手を離した「ハンズオフ状態」で表示される。また、視線アイコンU3は、非表示状態すなわち非点灯状態とされる。
【0126】
本例においては、自車線である第一走行車線での走行を維持しつつ、60km/h以下という比較的低速での自動運転を継続することで、セカンドタスクを利用することが可能となる。一方、自車線における低速走行を回避して、隣接車線である第二走行車線にて60km/hを超える高速度域で走行することも可能である。特に、自車線にて発生している低速走行区間における車速が、渋滞走行に相当する程度にまで減速している場合、ドライバによる車線変更の需要が高まる可能性がある。但し、第二走行車線への車線変更に際しては、自動運転を中断あるいは終了する必要があるものの、ハンズオフ運転による自動的な車線変更が可能である。
【0127】
このように、本例は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンに相当する。そこで、提示制御部256は、自車線および隣接車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。具体的には、自車線である第一走行車線には、自動運転中である旨を示すための、自動運転に対応する自動化レベル表示T32と、自動運転アイコンT36とが表示される。また、隣接車線である第二走行車線には、車線変更して当該車線を走行する際にはハンズオフ運転が実行される旨を示すための、ハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34とが表示される。一方、自車線である第一走行車線と隣接関係にはなく車線変更先とならない追越車線には、自動化関連情報表示は表示されない。
【0128】
また、提示制御部256は、中央表示領域RCにて、選択表示をガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により表示する。具体的には、本例においては、提示制御部256は、ガイダンス情報表示T4にて、車線変更時には自動運転を中断する旨の情報を表示する。すなわち、提示制御部256は、上位自動化レベルである自動運転を実行中の場合、車線変更前に、自動運転を中断あるいは終了して下位自動化レベルに移行する旨の注意喚起報知を実行する。この場合のガイダンス情報表示T4は、本発明における「自動化関連情報」に含まれる。また、入力ボタン表示T5として、自車線維持による自動運転継続を選択するための第一入力ボタン表示T51と、自動運転を中断して右側の隣接車線への車線変更を実行することを選択するための第二入力ボタン表示T52とが表示される。
【0129】
さらに、提示制御部256は、かかる選択表示を、運転自動化レベルに対応する自動化関連情報の表示と関連付けて、HMI装置20により表示する。すなわち、入力ボタン表示T5の表示は、自動化レベル表示T32の表示と対応付けられる。具体的には、
図7に示されているように、自車線維持による自動運転継続を選択するための第一入力ボタン表示T51は、第一走行車線における自動運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、左側に表示される。一方、ハンズオフ運転に移行して右側の隣接車線である第二走行車線への車線変更を選択するための第二入力ボタン表示T52は、第二走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、右側に表示される。
【0130】
既述の通り、ジャンクションにて分岐方向に進行する際には、第一走行車線よりも左側すなわち路肩側に出現する分岐誘導車線への車線変更のために、現在実行中の自動運転は一旦終了する必要がある。但し、自動運転からハンズオフ運転に移行すれば、車載システム10による自動的な車線変更が可能である。そこで、提示制御部256は、タイムチャートVにおける第一セグメントV1にて、自動運転からハンズオフ運転への移行に対応するイベントアイコンV6を、距離表示V5とともに表示する。これにより、タイムチャートVにおける第一セグメントV1には、いつまでに自動運転から下位自動化レベルへの移行すなわち運転交代が必要であるかが表示される。
【0131】
(表示例7)
図8は、
図7に示された状況にて、右側へ車線変更するための第二入力ボタン表示T52が入力操作された場合の表示例を示す。この場合、提示制御部256は、右進に対応するウィンカ表示T2を点灯表示あるいは点滅表示する。なお、この時点でウィンカスイッチ212の操作がなされていない場合、ウィンカ指令出力部257は、点灯割込指令信号をウィンカECU19に出力する。これにより、右進に対応するウィンカ191が点灯あるいは点滅する。
【0132】
この時点では、ドライバによる車線変更の意思決定の入力は上記の通りHMI装置20により受け付けられたものの、自動運転を中断してハンズオフ運転に移行するための運転交代は完了していないものとする。この場合、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「自動運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。
【0133】
ドライバは、ハンズオフ運転への移行および車線変更のために、周辺監視義務を履行する必要がある。そこで、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ドライバアイコンU1をハンズオフ状態で表示するとともに、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視義務を注意喚起するために視線アイコンU3を点滅表示する。かかる視線アイコンU3の点滅表示は、自動運転を中断して下位自動化レベルに移行する旨の注意喚起報知に含まれる。
【0134】
右部表示領域RRにて、提示制御部256は、タイムチャートVにおける第一セグメントV1にて、距離表示V5を非表示としつつ、自動運転からハンズオフ運転への移行すなわち運転交代に対応するイベントアイコンV6を表示する。これにより、運転交代が現時点で必要であることがタイムチャートVに表示される。かかる第一セグメントV1の表示は、自動運転を中断して下位自動化レベルに移行する旨の注意喚起報知に含まれる。
【0135】
中央表示領域RCにて、提示制御部256は、運転自動化レベルおよびドライバ要件についてのHMI表示を、自車線および隣接車線についての表示から、隣接車線のみについての表示に変更する。具体的には、提示制御部256は、選択表示を非表示とするとともに、自車線についての自動化関連情報表示を消去する。一方、提示制御部256は、隣接車線についての自動化関連情報表示を維持する。
【0136】
また、提示制御部256は、自動運転からハンズオフ運転への移行および周辺監視義務に関する、注意喚起のためのガイダンス情報表示T4を表示する。すなわち、提示制御部256は、上位自動化レベルである自動運転を実行中の場合、車線変更前に、自動運転を中断して下位自動化レベルに移行する旨の注意喚起報知を実行する。この場合のガイダンス情報表示T4は、本発明における「自動化関連情報」に含まれる。
【0137】
(表示例8)
図9は、
図8に示された状況にて、ドライバが、注意喚起報知に対応する周辺監視を怠った場合の表示例を示す。すなわち、車線変更のための自車両の横方向(すなわち本例においては右方向)の移動は、ドライバによる周辺監視の実行を含む運転交代が実現するまで待機される。このような、車線変更の待機中に、提示制御部256は、
図9に示されたHMI表示を、所定時間実行する。
【0138】
すなわち、提示制御部256は、
図8における表示例にて表示されていた、上部表示領域RAにおける「自動運転中」というステータス情報の表示と、視線アイコンU3の点滅表示とを維持する。また、提示制御部256は、車線変更のために自動運転を中断する旨、および、周辺監視義務に関する、注意喚起のためのガイダンス情報表示T4を表示する。このように、提示制御部256は、注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、上位自動化レベルが継続中である旨の報知とともに、注意喚起報知を再実行する。
【0139】
このとき、少なくともウィンカ191の点灯あるいは点滅は、一旦停止される。すなわち、HMI制御装置25は、車線変更の実行判定によりウィンカ表示T2を実行しており、且つ、注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認されなかった場合、ウィンカ191を消灯させるための処理を実行する。このとき、車線変更に関する注意喚起のため、メータディスプレイ222におけるウィンカ表示T2は、点灯あるいは点滅状態が維持され得る。以上に説明したこと以外は、
図9に示されたHMI表示は、
図8に示されたHMI表示と同様である。
【0140】
(表示例9)
図10は、
図8に示された状況にて、ドライバが、注意喚起報知に従って周辺監視義務を履行した場合の表示例を示す。この場合、運転交代およびこれによる自動運転からハンズオフ運転への移行は、この時点で完了している。
【0141】
そこで、提示制御部256は、上部表示領域RAにて、「ハンズオフ運転中」というテキスト表示によるステータス情報を表示する。また、提示制御部256は、左部表示領域RLにて、ハンズオフ運転に対応するドライバ要件表示Uを表示する。また、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて車線変更中の周辺監視を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。さらに、提示制御部256は、タイムチャートVにて、自動運転からハンズオフ運転への移行に対応するイベントの表示を消去する。
【0142】
本例においては、運転交代により自動運転からハンズオフ運転への移行が完了したものの、自車両の横方向移動は開始前であるものとする。この場合、提示制御部256は、これから車線変更を開始する旨を、ガイダンス情報表示T4により表示する。すなわち、提示制御部256は、注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された場合、車線変更の実行を示す報知である車線変更報知を実行する。以上に説明したこと以外は、
図10に示されたHMI表示は、
図8に示されたHMI表示と同様である。
【0143】
(表示例10)
図11は、車載システム10すなわち運転制御ECU18による車線変更制御が開始して
図10に示されたHMI表示が実行された後に、ドライバが周辺監視を怠った場合の表示例を示す。具体的には、例えば、
図10に示されたHMI表示が開始されてから実際に自車両の横方向移動が開始するまでの間に、ドライバが周辺監視を怠ることがあり得る。あるいは、例えば、自車両の横方向移動が開始した後に、ドライバが周辺監視を怠ることがあり得る。
【0144】
すなわち、本例は、周辺監視に関する注意喚起報知に対応するドライバ挙動が確認された後、車線変更の実行開始までの間に、周辺監視に対応するドライバ要件が満たされなくなった場合に相当する。あるいは、本例は、車線変更の実行開始後に、周辺監視に対応するドライバ要件が満たされなくなった場合に相当する。
【0145】
この場合、提示制御部256は、車線変更中における周辺監視をドライバに要求するためのガイダンス情報表示T4を表示する。すなわち、提示制御部256は、周辺監視に関する注意喚起報知を実行する。以上に説明したこと以外は、
図11に示されたHMI表示は、
図10に示されたHMI表示と同様である。
【0146】
(表示例11)
図12は、
図11に示された状況にて、車線変更がキャンセルされた場合の表示例を示す。この場合、提示制御部256は、車線変更をキャンセルする旨の報知を実行する。具体的には、提示制御部256は、ガイダンス情報表示T4にて、車線変更をキャンセルする旨の情報を表示する。また、提示制御部256は、自車線すなわち第一走行車線への復帰に関する報知を実行する。具体的には、提示制御部256は、ガイダンス情報表示T4にて、第一走行車線での走行に復帰する旨の情報を表示する。
【0147】
車線変更のキャンセルに伴う自車線への復帰に際し、自車両周辺をドライバが充分に監視することが好適である。そこで、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視義務を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。
【0148】
また、提示制御部256は、右進に対応するウィンカ表示T2の点灯あるいは点滅を停止する。さらに、ウィンカ指令出力部257は、消灯割込指令信号をウィンカECU19に出力する。すると、ウィンカ191の点灯あるいは点滅が停止する。これにより、自車両の周囲を走行中の他車両のドライバは、自車両が車線変更を中止したことを、良好に把握することが可能となる。
【0149】
本例は、結果的に、ドライバが車線変更の不許可を選択した場合に相当する。このため、提示制御部256は、自車線および隣接車線における自動化関連情報表示を消去する。以上に説明したこと以外は、
図12に示されたHMI表示は、
図10に示されたHMI表示と同様である。
【0150】
(表示例12)
図13は、
図10または
図11に示された状況の後に車線変更が完了した場合の表示例を示す。この場合、提示制御部256は、自車両アイコンT33を、今回の車線変更における車線変更先であった第二走行車線に移動させる。また、提示制御部256は、現在の自車線および隣接車線における自動化関連情報表示を非表示とする。さらに、提示制御部256は、視線アイコンU3の点滅表示を終了する。
【0151】
また、提示制御部256は、右進に対応するウィンカ表示T2の点灯あるいは点滅を停止する。さらに、ウィンカ指令出力部257は、消灯割込指令信号をウィンカECU19に出力する。これにより、ウィンカ191の点灯あるいは点滅が停止する。以上に説明したこと以外は、
図13に示されたHMI表示は、
図10に示されたHMI表示と同様である。
【0152】
(表示例13)
図14および
図15は、
図3等のような互いに隣接する2つの走行車線間の車線変更の可能性がある場合とは異なり、互いに隣接する走行車線と追越車線との間の車線変更の可能性がある場合の表示例を示す。
図14は、自車両が片側2車線における走行車線にてハンズオフ運転中の場合を示す。具体的には、本例は、ハンズオフ運転中に自車線の前方に低速走行中の先行車両が出現したために、車載システム10により車線変更提案すなわち追越提案がなされる場合である。
【0153】
本例は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンに相当する。また、本例は、自車両が先行車両の追い越しのための車線変更を実行する場合に該当する。そこで、提示制御部256は、自車線である走行車線および隣接車線である追越車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。また、提示制御部256は、周辺監視に関する注意喚起報知を、追い越しが完了するまで実行する。
【0154】
具体的には、ハンズオフ運転中においては、現在実行中のハンズオフ運転を中断あるいは終了させなくても、車載システム10による自動的な車線変更を、追い越し完了まで実行することが可能である。但し、先行車両の追い越しのために右側の追越車線に車線変更する場合、当該先行車両および追越車線を走行中の他車両の予期しない挙動の可能性等を考慮して、周辺監視に関する注意喚起を実行することが好ましい。追越車線から走行車線に復帰する際の再車線変更の場合も同様である。そこで、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視義務を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。かかる点滅表示は、追い越しが完了して自車両が走行車線に復帰するまで継続される。
【0155】
自車両は、走行車線および追越車線のいずれにおいても、ハンズオフ運転が可能である。そこで、提示制御部256は、走行車線および追越車線の双方に、ハンズオフ運転に対応する自動化関連情報すなわち自動化レベル表示T32および監視義務アイコンT34を表示する。なお、走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、追越車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32とは、互いに区別可能に表示される。具体的には、本例においては、走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32は、外郭が高彩度あるいは高輝度で表示される。
【0156】
提示制御部256は、タイムチャートVにおいて、第一セグメントV1に、現時点での追越車線への車線変更に対応するイベントアイコンV6を表示する。また、提示制御部256は、第二セグメントV2に、追越車線に車線変更して上記の先行車両を追い抜いた後の可能な限りすみやかな走行車線への復帰に対応するイベントアイコンV6を表示する。これにより、タイムチャートVにて、現在の自車線である走行車線から追越車線に一旦車線変更した後に、走行車線に再度車線変更することが示される。第一セグメントV1および第二セグメントV2に対応するイベントは、現時点、あるいは、現時点から比較的短時間の間のものである。このため、提示制御部256は、第一セグメントV1および第二セグメントV2に、距離表示V5を表示しない。
【0157】
また、提示制御部256は、中央表示領域RCにて、選択表示をガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により表示する。具体的には、本例においては、ガイダンス情報表示T4にて、追い越し完了後すみやかに走行車線に戻る旨、および、追い越し完了までの周辺監視に関する注意喚起に関する情報が表示される。また、入力ボタン表示T5として、自車線維持を選択するための第一入力ボタン表示T51と、追い越しを承認するための第二入力ボタン表示T52とが表示される。
【0158】
さらに、提示制御部256は、かかる選択表示を、運転自動化レベルに対応する自動化関連情報の表示と関連付けて、HMI装置20により表示する。すなわち、入力ボタン表示T5の表示は、自動化レベル表示T32の表示と対応付けられる。具体的には、自車線維持を選択するための第一入力ボタン表示T51は、走行車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、左側に表示される。一方、追い越しを承認するための第二入力ボタン表示T52は、追越車線におけるハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、右側に表示される。加えて、提示制御部256は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンであることを判定した判定タイミングと実質的に同時に、自動化関連情報表示および選択表示を表示する。この場合の判定タイミングは、自車線の前方に出現した低速走行中の先行車両と自車両との間の走行予定距離あるいは走行予定時間が所定値未満となったことが判定されたタイミングである。
【0159】
(表示例14)
図15は、
図14の例を、自車両が自動運転中の状況に変更したものである。本例は、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンに相当する。また、本例は、自車両が先行車両の追い越しのための車線変更を実行する場合に該当する。そこで、提示制御部256は、自車線である走行車線および隣接車線である追越車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。すなわち、提示制御部256は、下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行する。また、提示制御部256は、周辺監視に関する注意喚起報知を、自車両が走行車線に復帰することで追い越しが完了するまで実行する。
【0160】
自動運転中に、ドライバによるウィンカスイッチ212の操作等により車線変更要求が生じた場合、当該要求通りの車線変更を実際に実行するためには、実行中の自動運転を中断あるいは終了する必要がある。自動運転からハンズオフ運転またはハンズオン運転に移行することで、車載システム10による自動的な車線変更が可能となる。
【0161】
但し、自動運転中には、セカンドタスク利用等により、ドライバの意識が運転から離れていることが想定される。このため、ドライバの運転意識を効果的に高めるため、追い越しのための車線変更に際して、自動運転からハンズオン運転への移行およびそのための運転交代を実行することが好ましい。そこで、提示制御部256は、車載システム10による自動的な車線変更の実行よりも前に、自動化関連情報の提示として、下位自動化レベルであるハンズオン運転への移行に関する報知または周辺監視に関する報知である、注意喚起報知を実行する。
【0162】
具体的には、提示制御部256は、追越車線に対して、ハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34と、ハンズオンアイコンT35とを表示する。すなわち、提示制御部256は、車線変更先である追越車線に対して、ハンズオン運転に対応する自動化関連情報を表示する。一方、提示制御部256は、自車線に対して、現在実行中の自動運転に対応する自動化レベル表示T32と、自動運転アイコンT36とを表示する。さらに、提示制御部256は、周辺監視義務を注意喚起するために、自車線に対して監視義務アイコンT34を表示する。
【0163】
提示制御部256は、ハンズオン運転への移行を注意喚起するために、ドライバアイコンU1をハンズオン状態で表示するとともに、手の部分を点滅表示する。ドライバアイコンU1における手の部分の点滅表示は、運転交代すなわちハンズオン運転への移行完了により終了する。また、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視義務を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。視線アイコンU3の点滅表示は、追い越しが完了するまで継続する。
【0164】
本例においては、タイムチャートVにおいて、第一セグメントV1には、現時点での自動運転からハンズオン運転への移行に対応するイベントアイコンV6が表示される。第二セグメントV2には、ハンズオン運転開始後の追越車線への車線変更に対応するイベントアイコンV6が表示される。第三セグメントV3には、追越車線に車線変更して上記の先行車両を追い抜いた後の可能な限りすみやかな走行車線への復帰に対応するイベントアイコンV6が表示される。これにより、タイムチャートVにて、現在の自車線である走行車線から追越車線に一旦車線変更した後に、走行車線に再度車線変更することが示される。第一セグメントV1~第三セグメントV3に対応するイベントは、現時点、あるいは、現時点から比較的短時間の間のものである。このため、第一セグメントV1~第三セグメントV3には、距離表示V5は表示されない。
【0165】
提示制御部256は、中央表示領域RCにて、選択表示をガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により表示する。具体的には、本例においては、ガイダンス情報表示T4にて、追い越しのために自動運転を中断してハンズオン運転に移行する旨、および、追越完了後すみやかに走行車線に戻る旨の情報が表示される。また、入力ボタン表示T5として、自車線維持および自動運転継続を選択するための第一入力ボタン表示T51と、追い越しを承認するための第二入力ボタン表示T52とが表示される。
【0166】
さらに、提示制御部256は、かかる選択表示を、運転自動化レベルに対応する自動化関連情報の表示と関連付けて、HMI装置20により表示する。すなわち、入力ボタン表示T5の表示は、自動化レベル表示T32の表示と対応付けられる。具体的には、自車線維持および自動運転継続を選択するための第一入力ボタン表示T51は、走行車線における自動運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、左側に表示される。一方、追い越しおよびそのためのハンズオン運転への移行を承認するための第二入力ボタン表示T52は、追越車線におけるハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32と同様の表示態様にて、右側に表示される。
【0167】
(表示例15)
図16は、走行中道路にて車線数が変更する場合の表示例を示す。本例においては、自車両は片側2車線における走行車線にて自動運転中であり、数百メートル先にて右側に新たな車線が出現することで片側2車線から片側3車線に変化するものとする。この場合、提示制御部256は、走行中道路にて自車両が現在の進行方向と同一方向に進行可能な全車線についての自動化関連情報を、HMI装置20により提示する。
【0168】
具体的には、自車線である第一走行車線には、自動運転に対応する自動化レベル表示T32と、自動運転アイコンT36とが表示される。また、隣接車線には、ハンズオフ運転に対応する自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34とが表示される。新たに隣接車線の右側に出現する追越車線には、ハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34と、ハンズオンアイコンT35とが表示される。また、提示制御部256は、車線数が変更することを判定した判定タイミングと実質的に同時に、自動化関連情報をHMI装置20により提示する。この場合の判定タイミングは、片側2車線から片側3車線に変化する地点がグラフィック道路表示T3における描画範囲内に入ったことが判定されたタイミングである。
【0169】
(動作例)
以上に説明した制御動作あるいは制御方法、および、これらに対応する制御プログラムの、一具体例について、
図17A~
図17Cに示されたフローチャートを用いて説明する。なお、図示されたフローチャートにおいて、「S」は「ステップ」の略記であり、「LC」は「車線変更」の略記であり、「RLC」は「再車線変更」の略記であり、「LV」は「レベル」の略記である。以下、HMI制御装置25におけるCPUを、単に「CPU」と略称する。
【0170】
また、以下の説明において、第一シーン~第四シーンを、以下のように定義する。第一シーンは、自車両が自車線から隣接車線に車線変更する可能性があるシーンである。第二シーンは、自車両が、自動運転可能道路、すなわち、自動運転可能な自動車専用道路に進入したシーンである。第三シーンは、走行中道路にて車線数が変更するシーンである。第四シーンは、ドライバが自動運転開始操作を実行したシーンである。第一シーン~第四シーンを総称した呼称を「特定シーン」とする。
【0171】
図17A~
図17Cに示されたルーチンが起動されると、まず、ステップ1701にて、CPUは、第一シーンであるか否かを判定する。第一シーンではない場合(すなわちステップ1701=NO)、CPUは、処理をステップ1702に進行させる。ステップ1702にて、CPUは、第二シーン~第四シーンのいずれかであるか否かを判定する。すなわち、ステップ1701およびステップ1702の処理は、特定シーンであるか否かを判定する処理に相当する。
【0172】
第二シーン~第四シーンのいずれかである場合(すなわちステップ1702=YES)、CPUは、ステップ1703の処理を実行した後、本ルーチンを終了する。ステップ1703にて、CPUは、
図2、
図6、および
図16に示されているように、全車線についての自動化関連情報を、HMI装置20すなわちメータディスプレイ222により表示する。これに対し、第二シーン~第四シーンのいずれでもない場合(すなわちステップ1702=NO)、すなわち、特定シーンではない場合、CPUは、ステップ1703の処理をスキップして、本ルーチンを終了する。
【0173】
第一シーンである場合(すなわちステップ1701=YES)、CPUは、処理をステップ1704に進行させる。ステップ1704にて、CPUは、車線変更先が走行車線であるか否かを判定する。車線変更先が走行車線である場合(すなわちステップ1704=YES)、CPUは、処理をステップ1705に進行させる。ステップ1705にて、CPUは、
図3および
図7に示されているように、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示を、HMI装置20により表示する。
【0174】
車線変更先が追越車線である場合(すなわちステップ1704=NO)、CPUは、処理をステップ1706に進行させる。ステップ1706にて、CPUは、
図14および
図15に示されているように、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示、および、車線変更後に追越車線から走行車線に再車線変更することを示すHMI表示を、HMI装置20により表示する。
【0175】
このように、本実施形態によれば、ドライバに対して自動化関連情報を提示したり確認あるいは選択を促したりすることが好ましい特定シーンにて、ドライバに適切な情報提示を行うことで、利便性が向上する。また、シーンに応じた情報提示を行うことで、利便性がさらに向上する。
【0176】
ステップ1704における判定結果に応じてステップ1705またはステップ1706の処理を実行した後、CPUは、処理をステップ1707に進行させる。ステップ1707にて、CPUは、車線変更を許可する旨の入力操作をドライバが実行したか否かを判定する。
【0177】
車線変更を許可する旨の入力操作をドライバが実行しなかった場合(すなわちステップ1707=NO)、CPUは、処理をステップ1708に進行させる。ステップ1708にて、CPUは、車線変更を不許可とする旨の入力操作をドライバが実行したか否かを判定する。
【0178】
車線変更を不許可とする旨の入力操作をドライバが実行した場合(すなわちステップ1708=YES)、CPUは、ステップ1709の処理を実行した後、本ルーチンを終了する。ステップ1709にて、CPUは、
図4に示されているように、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示を非表示とする。これにより、自車線および隣接車線にて、自動化関連情報表示および選択表示が消去される。
【0179】
車線変更を不許可とする旨の入力操作をドライバが実行しなかった場合(すなわちステップ1708=NO)、ドライバは、車線変更に関する入力操作を何も行わなかったことになる。そこで、この場合、CPUは、ステップ1710の処理を実行した後、本ルーチンを終了する。ステップ1710にて、CPUは、自車線および隣接車線についての自動化関連情報表示、すなわち、車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示から、
図5に示されているように、自車線についての自動化関連情報表示に、表示態様を遷移させる。
【0180】
車線変更を許可する旨の入力操作をドライバが実行した場合(すなわちステップ1707=YES)、CPUは、処理をステップ1711~ステップ1713に進行させる。ステップ1711にて、CPUは、自車線および隣接車線についての自動化関連情報表示から、
図8に示されているように、車線変更先である隣接車線についての自動化関連情報表示に、表示態様を遷移させる。ステップ1712にて、CPUは、
図8に示されているように、ドライバに周辺監視を促す表示を実行する。
【0181】
ステップ1713にて、CPUは、周辺監視義務のない自動運転すなわちSAEレベル3を実行中であるか否かを判定する。自動運転中である場合(すなわちステップ1713=YES)、CPUは、処理をステップ1714およびステップ1715に進行させる。これに対し、周辺監視義務がある運転自動化レベルを実行中である場合(すなわちステップ1713=NO)、CPUは、ステップ1714~ステップ1716の処理をスキップして、処理をステップ1717に進行させる。
【0182】
自動運転中である場合、車線変更のためには、現在実行中の自動運転を中断あるいは終了する必要がある。そこで、ステップ1714にて、CPUは、
図8に示されているように、自動運転すなわち上位自動化レベルから下位自動化レベルに移行する旨の報知処理を実行する。
【0183】
ステップ1715にて、CPUは、車線変更先が走行車線であるか否かを判定する。車線変更先が追越車線である場合(すなわちステップ1715=NO)、CPUは、ステップ1716の処理を実行した後、処理をステップ1717に進行させる。ステップ1716の処理が実行される場合は、現在自動運転中であって、且つ、走行車線から追越車線への車線変更を実行する場合である。そこで、ステップ1716にて、CPUは、
図15に示されているように、ハンズオン運転に移行する旨の報知処理を実行する。これに対し、車線変更先が走行車線である場合(すなわちステップ1715=YES)、CPUは、ステップ1716の処理をスキップして、処理をステップ1717に進行させる。
【0184】
ステップ1717にて、CPUは、HMI装置20によりドライバに報知された内容、具体的には、周辺監視、ハンズオフ運転への移行、あるいはハンズオン運転への移行が、ドライバにより実施されたか否かを判定する。ドライバが報知内容を実施しなかった場合(すなわちステップ1717=NO)、CPUは、処理をステップ1718に進行させる。
【0185】
ステップ1718にて、CPUは、ドライバによるウィンカ操作がなされたか否かを判定する。「ウィンカ操作」とは、車線変更のために、ウィンカ191を点灯あるいは点滅させるための操作であり、典型的にはウィンカスイッチ212の操作である。
【0186】
ドライバによるウィンカ操作がなされた場合(すなわちステップ1718=YES)、CPUは、ステップ1719およびステップ1720の処理を実行した後、処理をステップ1717に戻す。ステップ1719にて、CPUは、消灯割込指令信号をウィンカECU19に出力する。ステップ1720にて、CPUは、ドライバへの報知を所定時間継続する。これに対し、ドライバによるウィンカ操作がなされていない場合(すなわちステップ1718=NO)、CPUは、ステップ1719の処理をスキップしてステップ1720の処理を実行した後、処理をステップ1717に戻す。
【0187】
ドライバが報知内容を実施した場合(すなわちステップ1717=YES)、運転制御ECU18は、車線変更制御を開始する。そこで、CPUは、処理をステップ1721およびステップ1722に進行させる。
【0188】
ステップ1721にて、CPUは、
図10に示されているように、車線変更の実行を示す報知である車線変更報知を実行する。ステップ1722にて、CPUは、自車両の横方向の移動が開始したか否かを判定する。
【0189】
自車両の横方向の移動が開始する前は(すなわちステップ1722=NO)、CPUは、処理をステップ1723に進行させる。ステップ1723にて、CPUは、ドライバが周辺監視を行っているか否かを判定する。CPUは、ドライバが周辺監視を行っている場合(すなわちステップ1723=YES)、CPUは、処理をステップ1722に戻す。
【0190】
自車両の横方向の移動が開始する前にドライバが周辺監視を怠った場合(すなわちステップ1723=NO)、CPUは、処理をステップ1724およびステップ1725に進行させる。ステップ1724にて、CPUは、
図11に示されているように、ドライバが周辺監視を怠った場合の警告報知を実行する。
【0191】
ステップ1725にて、CPUは、車線変更がキャンセルされたか否かを判定する。車線変更のキャンセルは、例えば、ドライバの入力操作により決定され得る。あるいは、車線変更のキャンセルは、運転制御ECU18によって決定され得る。車線変更がキャンセルされた場合(すなわちステップ1725=YES)、CPUは、本ルーチンを終了する。これに対し、車線変更がキャンセルされなかった場合(すなわちステップ1725=NO)、CPUは、処理をステップ1722に戻す。
【0192】
自車両の横方向の移動が開始すると(すなわちステップ1722=YES)、CPUは、処理をステップ1726に進行させる。ステップ1726にて、CPUは、ドライバが周辺監視を行っているか否かを判定する。
【0193】
車線変更のための自車両の横方向中にドライバが周辺監視を怠った場合(すなわちステップ1726=NO)、CPUは、ステップ1727の処理を実行した後、処理をステップ1728に進行させる。ステップ1727にて、CPUは、
図11に示されているように、ドライバが周辺監視を怠った場合の警告報知を実行する。ドライバが周辺監視を怠ってはいない場合(すなわちステップ1726=NO)、CPUは、ステップ1727の処理をスキップして、処理をステップ1728に進行させる。
【0194】
ステップ1728にて、CPUは、車線変更が完了したか否かを判定する。車線変更の途中である場合(すなわちステップ1728=NO)、CPUは、処理をステップ1729に進行させる。ステップ1729にて、CPUは、車線変更がキャンセルされたか否かを判定する。車線変更がキャンセルされなかった場合(すなわちステップ1729=NO)、CPUは、処理をステップ1726に戻す。
【0195】
車線変更が完了した場合(すなわちステップ1728=YES)、CPUは、本ルーチンを終了する。また、車線変更がキャンセルされた場合(すなわちステップ1729=YES)、CPUは、本ルーチンを終了する。
【0196】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、相互に同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0197】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に、何ら限定されるものではない。すなわち、例えば、車載システム10を搭載する車両は、四輪自動車に限定されない。具体的には、かかる車両は、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車であってもよい。車両の種類は、内燃機関のみを備えたコンベンショナル自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車あるいは燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド車であってもよい。車両における車体の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。車両の用途、ステアリングホイール211あるいは運転席の位置、乗員数、等についても、特段の限定はない。
【0198】
上記実施形態においては、車載システム10は、低速自動運転を実行可能に構成されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、車載システム10は、低速自動運転に代えて、あるいはこれとともに、以下に定義する「渋滞自動運転」を実行可能に構成されていてもよい。「渋滞自動運転」は、限定領域としての渋滞区間にて、所定の渋滞速度域での走行が可能となる自動運転である。「渋滞区間」は、渋滞列における先頭から最後尾までの間の区間である。所定の渋滞速度域は、例えば、60km/h未満である。「渋滞」とは、東日本高速道路株式会社および警視庁の定義に基づけば、閾値速度以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、所定程度継続した状態をいう。閾値速度は、例えば、一般道路においては20km/hであり、高速道路においては40km/hである。「所定程度」は、例えば、1km以上且つ15分以上である。渋滞自動運転は、自動運転可能道路以外でも実行可能であってもよい。
【0199】
上記実施形態においては、車載システム10は、SAEレベル1~3に対応する車両制御動作を実行可能に構成されている。具体的には、車載システム10は、SAEレベル2以上の運転自動化レベルとして、SAEレベル2のハンズオン運転と、SAEレベル2のハンズオフ運転と、SAEレベル3の低速自動運転とのうちのいずれか1つを、択一的に実行可能であった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、本発明は、SAEレベル1~5に対応する車両制御動作を実行可能な場合にも、好適に適用され得る。また、本発明における運転自動化のレベルあるいはカテゴリも、「SAE J3016」に規定されたものに限定されない。
【0200】
具体的には、上記実施形態における「自動運転」は、「SAE J3016」におけるレベル3~5に該当する、運転自動化システムが全ての動的運転タスクを担当すなわち実行する運転自動化レベルである。このため、上記実施形態における「自動運転」の定義には、ドライバに周辺監視義務が課されていないことが、当然に含まれている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。
【0201】
すなわち、例えば、「自動運転」の定義内容によっては、「周辺監視義務がない自動運転」のみならず、「周辺監視義務がある自動運転」をも概念し得ることとなる。具体的には、例えば、上記実施形態における、ハンズオン運転およびハンズオフ運転は、「周辺監視義務がある自動運転」と解釈することも可能である。この場合の「自動運転」は、ドライバが周辺監視義務等の一部の動的運転タスクを担当すなわち実行する、いわゆる「部分自動運転」をも含む概念となる。「部分自動運転」は、「高度運転支援」と実質的に同義であると評価することが可能である。
【0202】
上記の通り、各国の道路交通制度においては、自動運転の種類および条件(例えば、実行可能道路、走行速度域、車線変更可否、等。)について、国内事情等に応じた適宜の考慮がなされ得る。このため、本発明は、各国の道路交通制度に適合した仕様で実施され得る。
【0203】
具体的には、本発明は、自動運転中に車線変更が可能な道路交通制度に適合した車載システム10に対しても、好適に適用され得る。この場合、車載システム10は、追越車線においても自動運転を実行可能に構成され得る。
【0204】
図18および
図19は、自動運転中に車線変更が実行可能であるものの、追越車線においては自動運転が実行できない仕様に対応する表示例を示す。具体的には、
図18および
図19は、例えば、周辺監視義務のない自動運転中においてドライバが周辺監視を行っていれば車線変更の実行が可能であるものの、追越車線においては自動運転が実行できない仕様に対応する表示例に該当する。かかる仕様においては、提示制御部256は、隣接車線の種別が追越車線である場合、注意喚起報知として、下位自動化レベルへの移行に関する報知を実行する。これに対し、提示制御部256は、隣接車線の種別が走行車線である場合、注意喚起報知として、周辺監視に関する報知を実行する。
【0205】
図18の例は、自車両が第二走行車線にて自動運転中に、左側の第一走行車線に車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示に対応する。具体的には、例えば、自車両が、ジャンクションにて分岐側に進行する地点に接近しており、早めに左側の第一走行車線に移動しておくことが推奨される場合があり得る。
【0206】
本変形例においては、自動運転中に、隣接する走行車線間の車線変更を実行することは可能である。但し、念のため、ドライバに自車両の周辺監視を行わせることが好ましい。そこで、このように、車線変更先となる隣接車線の種別が走行車線である場合、提示制御部256は、注意喚起報知として、周辺監視に関する報知を実行する。
【0207】
具体的には、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。また、提示制御部256は、車線変更先となる第一走行車線に、監視義務アイコンT34を表示する。
【0208】
提示制御部256は、中央表示領域RCにて、選択表示をガイダンス情報表示T4および入力ボタン表示T5により表示する。具体的には、本例においては、ガイダンス情報表示T4にて、車線変更中は自車両周辺に注意すべき旨の情報が表示される。また、入力ボタン表示T5として、左側への車線変更を選択するための第一入力ボタン表示T51と、自車線の維持を選択するための第二入力ボタン表示T52とが表示される。さらに、提示制御部256は、かかる選択表示を、運転自動化レベルに対応する自動化関連情報の表示と関連付けて、HMI装置20により表示する。すなわち、入力ボタン表示T5の表示は、自動化レベル表示T32の表示と対応付けられる。
【0209】
図19の例は、自車両が第二走行車線にて自動運転中に、右側の追越車線に車線変更するか否かをドライバに判断させるためのHMI表示に対応する。追越車線への車線変更のためには、現在実行中の自動運転を中断あるいは終了して、ハンズオン運転に移行する必要がある。そこで、このように、車線変更先となる隣接車線の種別が追越車線である場合、提示制御部256は、注意喚起報知として、下位自動化レベルすなわちハンズオン運転への移行に関する報知を実行する。
【0210】
具体的には、提示制御部256は、追越車線に対して、ハンズオン運転に対応する自動化レベル表示T32と、監視義務アイコンT34と、ハンズオンアイコンT35とを表示する。すなわち、提示制御部256は、車線変更先である追越車線に対して、ハンズオン運転に対応する自動化関連情報を表示する。
【0211】
また、提示制御部256は、ハンズオン運転への移行を注意喚起するために、ドライバアイコンU1をハンズオン状態で表示するとともに、手の部分を点滅表示する。ドライバアイコンU1における手の部分の点滅表示は、ハンズオン運転への移行完了により終了する。また、提示制御部256は、視線アイコンU3の視認性を向上させて周辺監視義務を注意喚起するために、視線アイコンU3を点滅表示する。視線アイコンU3の点滅表示は、追い越しが完了するまで継続する。
【0212】
自動運転中に隣接する走行車線間の車線変更を実行することが可能な本変形例においては、ステップ1712およびステップ1714の処理は、
図17Aおよび
図17Bに示された位置とは異なる位置に設けられ得る。具体的には、ステップ1712の処理は、ステップ1713の判定が「NO」である場合に、ステップ1717に進行する前に実行され得る。また、ステップ1712の処理は、ステップ1715の判定が「YES」である場合に、ステップ1717に進行する前に実行され得る。さらに、ステップ1714の処理は、ステップ1716の位置に移動される。これにより、ステップ1714の処理は、ステップ1716の処理に代えて実行される。すなわち、周辺監視義務のない自動運転中で車線変更先が追越車線である場合(すなわちステップ1713=YES→ステップ1715=NO)、処理がステップ1717に進行する前に、周辺監視義務のある運転自動化レベルへの移行に関する報知が実行される。かかる報知は、ステップ1714あるいはこれと同様の処理に相当する。一方、周辺監視義務のない自動運転中で車線変更先が走行車線である場合(すなわちステップ1713=YES→ステップ1715=YES)、周辺監視を促す報知(すなわちステップ1712あるいはこれと同様の処理)が実行された後、処理がステップ1717に進行する。また、周辺監視義務のない自動運転中ではない場合(すなわちステップ1713=NO)、周辺監視を促す報知(すなわちステップ1712あるいはこれと同様の処理)が実行された後、処理がステップ1717に進行する。このようにして、実行中の運転自動化レベルと、車線変更先である隣接車線の車線種別とに応じた報知処理が実現され得る。
【0213】
本発明は、以下に定義する「高速自動運転」を実行可能な道路交通制度に適合した車載システム10に対しても、好適に適用され得る。「高速自動運転」は、自動運転可能道路にて、所定の高速度域での走行が可能となる自動運転である。所定の高速度域は、例えば、60km/h以上且つ法定速度以下である。
【0214】
車載システム10を構成する通信規格としては、CAN(国際登録商標)以外のもの、例えば、FlexRay(国際登録商標)等も採用され得る。また、車載システム10を構成する通信規格は、一種類に限定されない。例えば、車載システム10は、LIN等の通信規格に準拠したサブネットワーク回線を有していてもよい。LINはLocal Interconnect Networkの略である。
【0215】
車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13についても、上記の例示に限定されない。例えば、周辺監視センサ13は、ソナーすなわち超音波センサを含んだ構成であってもよい。あるいは、周辺監視センサ13は、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、レーザレーダセンサ、および超音波センサのうちの2種類以上を備えていてもよい。各種センサの設置個数についても特段の限定はない。
【0216】
ロケータ14についても、上記の例示に限定されない。例えば、ロケータ14は、ジャイロセンサおよび加速度センサを内蔵した構成ではなくてもよい。具体的には、慣性取得部142は、車両状態センサ11としてロケータ14の外部に設けられた角速度センサおよび加速度センサからの出力信号を受信するようになっていてもよい。
【0217】
DCM15は、省略され得る。すなわち、交通情報は、ナビゲーション装置16によって取得され得る。あるいは、ナビゲーション装置16は、ロケータ14およびDCM15を含んだ構成を有していてもよい。
【0218】
ナビゲーション装置16は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
【0219】
ナビゲーション装置16は、HMI装置20とは別の、ナビゲーション画面表示専用の表示画面を有していてもよい。あるいは、ナビゲーション装置16は、HMI装置20の一部を構成するものとして設けられていてもよい。具体的には、例えば、ナビゲーション装置16は、CID装置23と一体化されてもよい。
【0220】
ドライバ状態検出部17は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
【0221】
ドライバ状態検出部17は、ドライバの視線あるいは顔の向きを画像認識により検出する構成に限定されない。すなわち、例えば、ドライバ状態検出部17は、ドライバの着座姿勢およびステアリングホイール把持状態を、画像センサとは異なる種類のセンサにより検出する構成を有していてもよい。
【0222】
HMI装置20は、メータパネル22とCID装置23とHUD装置24とを備えた構成に限定されない。すなわち、例えば、HMI装置20は、CID装置23および/またはHUD装置24を備えていなくてもよい。
【0223】
メータ221とメータディスプレイ222とは、1つの表示デバイスによって実現され得る。この場合、メータ221は、液晶または有機ELディスプレイである1つの表示デバイスにおける左右両端部の表示領域として設けられ得る。すなわち、メータ221は、タコメータ、スピードメータ、水温計、等に対応する、ベゼル、指針、目盛、等を、画像表示することによって実現され得る。また、メータディスプレイ222は、かかる表示デバイスにおける、メータ221以外の表示領域として設けられ得る。
【0224】
入力デバイス232は、CIDディスプレイ231と重畳されるタッチパネルに代えて、あるいはこれとともに、ドライバの手元で操作されるポインティングデバイス等を有していてもよい。入力デバイス232は、ドライバの発話を検出する音声入力装置を有していてもよい。
【0225】
上記実施形態において、運転制御ECU18およびHMI制御装置25は、CPU等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有していた。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。
【0226】
例えば、運転制御ECU18の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、運転制御ECU18において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。HMI制御装置25についても同様である。
【0227】
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、DCM15等によるV2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、車両の製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末装置を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
【0228】
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
【0229】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成および動作例に限定されない。例えば、
図2等に示された各種情報表示の全部または一部は、メータディスプレイ222に代えて、あるいはこれとともに、他のHMIデバイスにて実行されてもよい。「他のHMIデバイス」は、例えば、CID装置23および/またはHUD装置24である。
【0230】
これに併せて、上部表示領域RA、中央表示領域RC、左部表示領域RL、および右部表示領域RRにて表示されていた各種情報の表示位置を含む表示態様も、適宜調整され得る。具体的には、グラフィック道路表示T3は、HUD装置24により、自車両の進行先の路面に重畳表示され得る。この場合、車線区画線表示T31は、省略可能である。あるいは、車線区画線表示T31は、実行中の運転支援状態に応じた態様で表示され得る。一方、他の表示は、グラフィック道路表示T3と干渉しない位置に表示され得る。HUD装置24の機能および構成についても、特段の限定はない。
【0231】
ステップ1724における警告報知は、車線変更の待機を示す報知内容を含んでいてもよい。あるいは、ステップ1724における警告報知は、車線変更キャンセルについての、報知あるいは提案を含んでいてもよい。
【0232】
国内の道路交通法制が許容する場合、車線変更の際の、運転自動化レベルの低下あるいは一時的低下は、外見的なものであってもよい。すなわち、車線変更のために周辺監視および/またはハンズオン動作の要求および履行がなされていても、実際に運転制御ECU18によって実行される運転自動化レベルは、車線変更の前後で不変であってもよい。具体的には、例えば、車線変更の際に、ハンズオン運転への移行が要求される場合があり得る。但し、かかる場合に、画面上(例えば上部表示領域RAにおけるステータス情報の表示)ではハンズオン運転に対応する表示がなされていても、実際にはハンズオン運転よりも高い運転自動化レベルによる車両制御が実行され得る。
【0233】
上記の表示例に対しても、適宜の変更がなされ得る。具体的には、例えば、車速表示T1は、省略され得る。ウィンカ表示T2は、メータディスプレイ222における中央表示領域RC以外の領域に設けられ得る。あるいは、ウィンカ表示T2は、例えば、メータパネル22におけるメータディスプレイ222の外部に設けられ得る。
【0234】
自動化レベル表示T32等は、隣接車線以外の全車線に常時表示されてもよい。あるいは、例えば、自車線における自動化レベル表示T32等は、上記の各例においては、時間経過あるいは車線変更の進捗状況に応じて、表示されたり非表示とされたりしていたが、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、自車線における自動化レベル表示T32等は、常に非表示であってもよい。ガイダンス情報表示T4および/または入力ボタン表示T5は、中央表示領域RC等よりも下方に設けられた下部表示領域に表示されてもよい。
【0235】
(追加動作例)
以下、追加動作例について説明する。
【0236】
(追加動作例1)
例えば、ドライバが周辺監視義務を履行しなくてもよい上位自動化レベル(すなわち自動運転)を実行可能な状況であるにもかかわらず、ドライバの任意の選択により、運転自動化レベルの上位自動化レベルへの移行が行われない場合があり得る。このような状況においては、仮にドライバが自動運転を選択していれば、セカンドタスクを自由に実行できる程度まで、ドライバの意識が自車両周辺の交通環境から離れることが許容される。このため、このような状況においては、車両制御部184による自動的な車線変更は、その前後あるいは途中段階においてドライバの意識が自車両周辺の交通環境から離れていたとしても、特段の不都合なく、きわめて安全に行われ得る。したがって、このような場合、実際にドライバが周辺監視を行っているか否かにかかわらず、下位自動化レベル下での自動的な車線変更が許容され得る。但し、念のために、ドライバには、周辺監視についての注意喚起をしておくことが望ましい。
【0237】
そこで、本動作例においては、提示制御部256は、上位自動化レベルを実行可能な状況にて当該上位自動化レベルに移行しないまま下位自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、周辺監視報知を実行する。「状況」は、具体的には、走行状況である。「周辺監視報知」は、周辺監視に対応するドライバ挙動を要求するための報知(すなわちドライバに周辺監視を促す表示等)であって、例えば、上記の動作例におけるステップ1712と同様の処理内容に相当する。
【0238】
また、車両制御部184は、上位自動化レベルを実行可能な状況にて当該上位自動化レベルに移行しないまま下位自動化レベルを実行中に車線変更要求が生じた場合、ドライバが周辺監視を行っていなくても、自動的な車線変更を許可すなわち実行する。ここで、上位自動化レベルを実行可能な状況が成立すると、かかる上位自動化レベルを実行開始するか否かをドライバに選択させるために、上位自動化レベルを実行可能である旨の報知が、HMI装置20により実行される。よって、車両制御部184は、上位自動化レベルを実行可能な状況であってその旨の報知が実行されたにもかかわらず上位自動化レベルに移行しないまま下位自動化レベルを実行中に車線変更要求が生じ、且つ、周辺監視報知がなされた場合、その後に周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されなくても車線変更を実行開始する。
【0239】
これに対し、車両制御部184は、上位自動化レベルを実行可能ではない状況にて下位自動化レベルを実行中の場合、実際にドライバが周辺監視を行っていなければ、自動的な車線変更を許可しない。すなわち、車両制御部184は、この場合、周辺監視に対応するドライバ挙動が確認されたことを条件として、車線変更を実行開始する。
【0240】
図20は、本動作例に対応するフローチャートを示す。このフローチャートは、
図17Bに示されたフローチャートの一部を変容したものである。
図20を参照すると、周辺監視義務があるSAEレベル2以下の運転自動化レベルを実行中である場合(すなわちステップ1713=NO)、CPUは、処理をステップ2001に進行させる。
【0241】
ステップ2001にて、CPUは、周辺監視義務のない上位自動化レベルである自動運転すなわちSAEレベル3を実行可能な状況であるか否かを判定する。自動運転を実行可能な状況ではない場合(すなわちステップ2001=NO)、CPUは、処理をステップ1717に進行させ、ドライバが周辺監視義務を履行したか否かを判定する。ドライバが周辺監視義務を履行した場合(すなわちステップ1717=YES)、処理がステップ1721に進行し、運転制御ECU18が車線変更制御を開始するとともに、CPUは、車線変更の実行を示す報知である車線変更報知を実行する。これに対し、自動運転を実行可能な状況である場合(すなわちステップ2001=YES)、CPUは、ステップ2002にて周辺監視報知の処理を実行した後、処理をステップ1721に進行させる。すなわち、この場合、ドライバによる周辺監視義務の履行を車線変更開始の条件とするステップ1717の処理はスキップされる。
【0242】
なお、
図17Aを参照すると、車線変更を許可する旨の入力操作をドライバが実行した場合(すなわちステップ1707=YES)、ステップ1712により、周辺監視報知が既になされている。よって、自動運転を実行可能な状況である場合(すなわちステップ2001=YES)、念のためにドライバに周辺監視を再報知するためのステップ2002の処理は、省略され得る。また、車線変更中にドライバに周辺監視義務を課す、
図17Cにおけるステップ1723~ステップ1727の処理は、省略され得る。具体的には、ステップ1722における判定結果が「NO」である場合、処理がステップ1722に戻る。一方、ステップ1722における判定結果が「YES」である場合、処理がステップ1728に進行する。
【0243】
(追加動作例2)
例えば、ドライバに周辺監視義務が課されていない自動運転(具体的にはSAEレベル3)を実行可能な状況であるにもかかわらず、ドライバに周辺監視義務が課されているものの運転支援レベルが高いSAEレベル2の運転自動化レベルが、ドライバにより選択される場合があり得る。ここで、特に、SAEレベル2のうちでも、ドライバが即座に操舵操作可能なハンズオン状態が要求されない、ハンズオフ運転によれば、SAEレベル3の自動運転と大差ない程度の高度な運転支援動作が実行される。このため、このような場合、車両制御部184による自動的な車線変更が、特段の不都合なく、きわめて安全に行われ得る。
【0244】
そこで、提示制御部256は、上位自動化レベルである自動運転を実行可能な状況にて自動運転に移行しないままSAEレベル2の運転自動化レベルを実行中に、車線変更要求が生じた場合、SAEレベル2の内容に応じた報知動作を実行する。具体的には、提示制御部256は、ドライバ要件としてドライバが操舵操作可能なハンズオン状態が要求されるハンズオン運転を実行中である場合、ドライバにハンズオン状態を要求するハンズオン報知を実行する。これに対し、提示制御部256は、ドライバ要件としてのハンズオン状態が要求されないハンズオフ運転を実行中である場合、上記のハンズオン報知を実行しない。
【0245】
図21は、本動作例に対応するフローチャートを示す。このフローチャートは、
図20に示されたフローチャートの一部を省略および変容したものである。
図21を参照すると、周辺監視義務があるSAEレベル2以下の運転自動化レベルを実行中である場合(すなわちステップ1713=NO)、CPUは、処理をステップ2101に進行させる。
【0246】
ステップ2101にて、CPUは、周辺監視義務のない上位自動化レベルである自動運転すなわちSAEレベル3を実行可能な状況であるか否かを判定する。すなわち、ステップ2101における判定内容は、
図20に示されたステップ2001における判定内容と同様である。自動運転を実行可能な状況ではない場合(すなわちステップ2101=NO)、CPUは、上記の第一の追加動作例におけるステップ2001の判定結果が「NO」である場合と同様の処理を実行する。これに対し、自動運転を実行可能な状況である場合(すなわちステップ2101=YES)、CPUは、処理を2102に進行させる。
【0247】
ステップ2102にて、CPUは、ハンズオフ運転を実行中であるか否かを判定する。ハンズオフ運転を実行中ではない場合(すなわちステップ2102=NO)、CPUは、処理をステップ2103に進行させる。ステップ2103にて、CPUは、ハンズオン運転を実行中であるか否かを判定する。ハンズオン運転もハンズオフ運転も実行中ではない場合(すなわちステップ2103=NO)、CPUは、自動運転を実行可能な状況ではない場合(すなわちステップ2101=NO)と同様に処理を進行させる。
【0248】
ハンズオン運転を実行中である場合(すなわちステップ2103=YES)、CPUは、ステップ2104にてハンズオン報知を実行した後、処理を次のステップ(例えばステップ1717またはステップ1721)に進行させる。ハンズオフ運転を実行中である場合(すなわちステップ2102=YES)、ステップ2103およびステップ2104の処理はスキップされる。
【0249】
なお、上記の通り、自動運転を実行可能な状況であるにもかかわらずハンズオフ運転を実行中である場合(すなわちステップ2102=YES)、自動的な車線変更は、特段の不都合なく、きわめて安全に行われ得る。このため、ステップ2104によるハンズオン報知は、スキップされることで実行されない。そして、車線変更中にドライバに周辺監視義務を課す、
図17Cにおけるステップ1723~ステップ1727の処理は、省略され得る。
【0250】
「取得」「算出」「推定」「検出」「検知」「決定」等の類似の表現とは、技術的に矛盾しない範囲内において、相互に適宜置換可能である。「検出」あるいは「検知」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。
【0251】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0252】
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の実施形態が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0253】
10 車載システム
17 運転制御ECU
172 挙動取得部
173 自動化レベル決定部
174 車両制御部
20 HMI装置
222 メータディスプレイ
25 HMI制御装置
254 車線情報取得部
256 提示制御部