(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】サービスプラグ
(51)【国際特許分類】
H01R 31/08 20060101AFI20240820BHJP
H01R 12/77 20110101ALI20240820BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01R31/08 A
H01R12/77
H01R13/66
(21)【出願番号】P 2021102153
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 康裕
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149203(JP,A)
【文献】特開2017-208303(JP,A)
【文献】特開2007-287418(JP,A)
【文献】実開昭63-028275(JP,U)
【文献】特開平08-078795(JP,A)
【文献】実開昭57-148869(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/08
H01R 12/77
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と負荷とを繋ぐ電池回路上に設けられ、前記電池側に接続された第1端子と前記負荷側に接続された第2端子とを有した本体と、
第3端子、第4端子、及び前記第3端子と前記第4端子とを導通した導体層を含むフレキシブルプリント基板、を有し、前記本体に挿抜可能であって、前記本体が挿入された際に前記第3端子に前記第1端子が導通接続し前記第4端子に前記第2端子が導通接続するプラグと、を備え、
前記導体層は、互いに沿うように対向する第1及び第2対向部を有し、
前記第3端子に前記第1端子が導通接続し前記第4端子に前記第2端子が導通接続した状態で、前記第1対向部での前記導体層を流れる電流の方向と、前記第2対向部での前記導体層を流れる電流の方向とが互いに逆方向である、サービスプラグ。
【請求項2】
前記導体層は、第1面、及び前記第1面の反対側の第2面、を含み、
前記第1面の表面積は、前記第2面の表面積よりも大きい、請求項1のサービスプラグ。
【請求項3】
前記第1対向部での前記導体層の前記第2面と、前記第2対向部での前記導体層の前記第2面とは、互いに対向し、
前記第1対向部での前記導体層の前記第1面と、前記第2対向部での前記導体層の前記第1面とは、互いに反対方向を向いている、請求項2のサービスプラグ。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記導体層に絶縁層を介して対向した放熱層を含み、
前記放熱層は、前記導体層よりも熱伝導率が高い、請求項1乃至3の何れかのサービスプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車の高圧電気系統には、電池回路を切断するためのサービスプラグが取り付けられている。サービスプラグには、電池回路に介装される本体に対して挿抜可能なプラグが設けられ、プラグを脱着させることで電池回路が断接される。例えば、メインテナンス作業時に作業者によってプラグが取り外され、作業終了後に再び取り付けられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サービスプラグから輻射される磁界の強度が大きいと、サービスプラグ周辺の電子機器の動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、磁界輻射が抑制されたサービスプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、電池と負荷とを繋ぐ電池回路上に設けられ、前記電池側に接続された第1端子と前記負荷側に接続された第2端子とを有した本体と、第3端子、第4端子、及び前記第3端子と前記第4端子とを導通した導体層を含むフレキシブルプリント基板、を有し、前記本体に挿抜可能であって、前記本体が挿入された際に前記第3端子に前記第1端子が導通接続し前記第4端子に前記第2端子が導通接続するプラグと、を備え、前記導体層は、互いに沿うように対向する第1及び第2対向部を有し、前記第3端子に前記第1端子が導通接続し前記第4端子に前記第2端子が導通接続した状態で、前記第1対向部での前記導体層を流れる電流の方向と、前記第2対向部での前記導体層を流れる電流の方向とが互いに逆方向である、サービスプラグによって達成できる。
【0007】
前記導体層は、第1面、及び前記第1面の反対側の第2面、を含み、前記第1面の表面積は、前記第2面の表面積よりも大きい、構成を採用してもよい。
【0008】
前記第1対向部での前記導体層の前記第2面と、前記第2対向部での前記導体層の前記第2面とは、互いに対向し、前記第1対向部での前記導体層の前記第1面と、前記第2対向部での前記導体層の前記第1面とは、互いに反対方向を向いている、構成を採用してもよい。
【0009】
前記フレキシブルプリント基板は、前記導体層に絶縁層を介して対向した放熱層を含み、前記放熱層は、前記導体層よりも熱伝導率が高い、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁界輻射が抑制されたサービスプラグを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、本実施例の電池回路の説明図であり、
図1Bは、変形例の電池回路の説明図である。
【
図5】
図5は、第1変形例であるFPCの断面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例であるFPCの断面図である。
【
図7】
図7Aは、第3変形例の電池回路の説明図であり、
図7Bは、第4変形例の電池回路の説明図である。
【
図11】
図11Aは、両面FPCの接続方法の説明図であり、
図11Bは、両面FPCの他の接続方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[電池回路の構成]
図1Aは、本実施例の電池回路1の説明図である。電池回路1は、ハイブリッド車両や電気自動車等の車両に搭載される。電池回路1は、電池2、システムメインリレー(以下、SMR(System Main Relay)と称する)3a及び3b、パワーコントロールユニット(以下、PCU(Power Control Unit)と称する)4、ヒューズ素子(以下、FUSEと称する)5、サービスプラグ6を有している。電池2は、電力供給源としての組電池でありPCU4に電力を供給する。PCU4は負荷の一例である。SMR3a及びサービスプラグ6は、電池2の正極とPCU4とを接続する電力ライン上に設けられている。SMR3b及びFUSE5は、電池2の負極とPCU4とを接続する電力ライン上に設けられている。
【0013】
SMR3a及び3bは、オンする際に突入電流が発生しないように突入電流防止回路が設けられた周知のリレー素子によって構成されている。SMR3a及び3bは、不図示のECU(Electronic Control Unit)から出力される制御信号に従ってオン/オフ制御される。
【0014】
PCU4は、ECUによって制御されるインバータやコンバータを含み、不図示のモータの発電電力を電池2に蓄えることができ、また電池2の蓄電電力をモータに供給して駆動することもできる。
【0015】
FUSE5は、SMR3a及び3bの固着時、車両に対する物体の接近(衝突)時、及び短絡電流の発生時において、電池2と電力供給先との間の電気的な接続を遮断する。
【0016】
サービスプラグ6は、ディーラーのサービスマン等の操作者によって着脱可能に設けられている。操作者によってサービスプラグ6が取り外されると、電池2と電力供給先との間の電気的な接続が遮断される。サービスプラグ6を設けることにより、サービス時の安全性を確保することができる。
【0017】
図1Bは、変形例の電池回路1aの説明図である。
図1Aに示した電池回路1とは、サービスプラグ6やPCU4の位置が異なっており、機器の機能などは同じである。
【0018】
[サービスプラグの構成]
図2及び
図3は、サービスプラグ6の断面図である。サービスプラグ6は、本体10とプラグ20を備える。本体10は、例えば車両のバッテリーケースの100に固定される。本体10は、ハウジング11、バスバー12及び13、コネクタ14及び15、及び端子16及び17を有する。ハウジング11は、合成樹脂製であり、バスバー12及び13、コネクタ14及び15、及び端子16及び17を収納保持している。
図1Aの例では、バスバー12は電池2の正極側に接続され、バスバー13はPCU4側に接続されている。
図1Bの例では、バスバー12はPCU4側に接続され、バスバー13は電池2の負極側に接続されている。コネクタ14及び15は、それぞれ端子16及び17を保持した雄型コネクタである。端子16及び17は、それぞれバスバー12及び13に、はんだ付け、溶接、ピアッシング等の方法により導通接続されている。端子16及び17は第1及び第2端子の一例である。
【0019】
プラグ20は、本体10に対して挿抜可能に設けられ、本体10の端子16及び17の間を接続または開放することによって電池回路1又は1aを断接する。プラグ20は、ハウジング21、リジッドプリント基板(以下、RPC(Rigid Printed Circuit)と称する)22及び23、コネクタ24及び25、端子26及び27、及びフレキシブルプリント基板(以下、FPC(Flexible Printed Circuit)と称する)30を有する。ハウジング21は、合成樹脂製であり、RPC22及び23、コネクタ24及び25、端子26及び27、及びFPC30を収納保持している。尚、ハウジング11及び21の少なくとも一方には、プラグ20を本体10に挿入した状態で両者をロック又はその解除をするためのレバー又はツメが設けられている。
【0020】
FPC30は可撓性を有しており、一部が曲げられた形状でハウジング21内に保持されている。具体的にはFPC30は、接続部32及び33、対向部34及び35、及び湾曲部36を有している。FPC30は、接続部32から接続部33に向けて帯状に延びている。対向部34は、接続部32から湾曲部36まで延びている。対向部35は、湾曲部36から接続部33まで延びている。湾曲部36は、その内角αがおよそ30°に曲げられており、これにより対向部34及び35は、互いに沿うように対向している。このようにFPC30の一部が曲げられているため、後述するFPC30の導体層も同様に一部が曲げられている。
【0021】
FPC30の接続部32及び33は、それぞれRPC22及び23に接続されることにより支持されている。また、詳しくは後述するFPC30の導体層は、RPC22及び23のそれぞれに形成された導体パターンに、はんだ付け、溶接、ピアッシング等の方法により導通接続されている。RPC22及び23は、FPC30よりも厚く、剛性も高いリジッドプリント基板である。RPC22及び23により、FPC30とRPC22及び23との導通接続された部位を補強している。RPC22及び23は、それぞれコネクタ24及び25に保持されている。コネクタ24及び25は、それぞれ端子26及び27を保持した雌型コネクタである。端子26及び27は、それぞれRPC22及び23にはんだ付け、溶接、ピアッシング等により導通接続されている。これにより、FPC30の接続部32及び33は、それぞれRPC22及び23を介して端子26及び27に接続されている。従って、端子26から端子27まで、RPC22、FPC30、及びRPC23を介して導通している。端子26及び27は第3及び第4端子の一例である。尚、プラグ20内のFPC30周辺にフォーム材を充填してもよい。
【0022】
図2に示した状態からプラグ20を本体10に挿入すると、
図3に示すようにコネクタ14及び15にそれぞれコネクタ24及び25が嵌合し、端子16及び17はそれぞれ端子26及び27に導通接触する。これにより
図3に示すように、バスバー12とバスバー13とが導通接続され、電流はFPC30の接続部32から接続部33に、対向部34、湾曲部36、及び対向部35を介して流れる。
図3には、対向部34での導体層を流れる電流の方向D1と、対向部35での導体層を流れる電流の方向D2を示している。尚、図示していないが、本体10及びプラグ20のそれぞれには、本体10に対するプラグ20の挿抜状態を検出するためのインターロック端子が設けられている。
【0023】
[FPCの構成]
図4は、
図3のA-A断面図である。
図4は、FPC30の対向部34及び35の断面を示しており、電流は紙面に垂直な方向に流れる。FPC30は、導体層40、接着層41及び42、被覆層43及び44を有する。導体層40は、銅箔等の導電性金属から構成される。接着層41及び42は、例えばアクリル酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、又はポリエステル樹脂等である。被覆層43及び44は絶縁性を有し、例えばポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂等である。
【0024】
導体層40は、上述したRPC22及び23を介して端子26及び27に導通接続されている。被覆層43は、接着層41により導体層40の一方側の面に接着している。被覆層44は、接着層42により導体層40の他方側の面に接着している。上述したように、プラグ20を本体10に挿入した状態では、
図3に示すように、電流はFPC30の対向部34での導体層40を方向D1に流れ、湾曲部36を介して、対向部35での導体層40を方向D2に流れる。ここで、方向D1と方向D2とは互いに逆方向である。また、上述したように対向部34及び35は互いに沿うように対向している。このため、対向部34での導体層40を方向D1に流れる電流によって生じる磁界の方向と、対向部35での導体層40を方向D2に流れる電流によって生じる磁界の方向とが逆方向になり、磁界が互いに相殺される。これにより、サービスプラグ6から輻射される磁界の強度が低減され、サービスプラグ6周辺にある電子機器の動作への影響を抑制することができる。また、サービスプラグ6から輻射される磁界を低減するための金属カバーを取り付ける必要もないため、サービスプラグ6を軽量化できる。
【0025】
対向部34での導体層40を方向D1と、湾曲部36を介して、対向部35での導体層40を方向D2とは、互いに逆方向であって互いに平行であることが好ましいが、これに限定されない。方向D1及びD2をそれぞれ流れる電流によって生じる磁界の強度が低減できるのであれば、方向D1と方向D2とが互いに交差してもよいが、直交する場合は除く。直交する場合には、方向D1及びD2をそれぞれ流れる電流によって生じる磁界の向きが逆方向とはならずに、磁界の強度を低減するのは困難であるからである。また、対向部34及び35の少なくとも一方が湾曲しており、方向D1及びD2の少なくとも一方が湾曲していてもよい。
【0026】
また、対向部34及び35が接近している方が磁界を効果的に相殺できるため、湾曲部36の内角αは小さい方が好ましく、例えば60°以下であることが好ましく、更に好ましいのは45°以下である。また、湾曲部36は緩やかに湾曲していることに限定されず、例えば屈曲していてもよい。また、対向部34及び35同士の少なくとも一部が接触してもよい。
【0027】
互いに沿うように対向した対向部34及び35に関して、対向部34は、RPC22に接続された接続部32から湾曲部36までの全体の部位であり、対向部35は、湾曲部36からRPC23に接続された接続部33までの全体の部位であるがこれに限定されない。即ち、接続部32から湾曲部36までの間の一部分と、湾曲部36から接続部33までの間の一部分とが互いに沿うように対向してもよい。このようにFPC30のうち、一部分同士が互いに沿うように対向する場合であっても、その部分をそれぞれ流れる電流の方向が互いに逆方向であれば、磁界を相殺してサービスプラグから輻射される磁界の強度を低減することができる。
【0028】
尚、
図2及び
図3に示したようにFPC30は、RPC22及び23をそれぞれ介して端子26及び27に導通接続しているが、これに限定されず、端子26及び27に直接導通接続した構成であってもよい。
【0029】
[第1変形例のFPC]
図5は、第1変形例であるFPC30aの断面図である。同一の構成については同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
図5は、
図4に対応している。導体層40aは、凹凸面40a1及び平坦面40a2を有している。凹凸面40a1の断面形状は、FPC30aの幅方向に凹凸が繰り返す、波長が一定の矩形波状である。これに対して、平坦面40a2の断面形状は平坦である。このため、凹凸面40a1の表面積は平坦面40a2よりも大きく、凹凸面40a1の方が平坦面40a2よりも放熱性に優れている。ここで、
図4のFPC30aも
図2A及び
図2Bに示したFPC30と同様に、互いに対向するように途中で折り曲げられており、凹凸面40a1は平坦面40a2よりも外側に位置している。このため、FPC30aの放熱性が向上している。
【0030】
尚、凹凸面40a1の断面形状は、
図4に示した形状に限定されず、滑らかな波状であってもよいし、波長は不均一であってもよいし、FPC30aの長手方向に凹凸が繰り返す波状であってもよいし、波状以外の不規則な凹凸形状であってもよい。
【0031】
[第2変形例のFPC]
図6は、第2変形例であるFPC30bの断面図である。
図6は、
図4に対応している。導体層40aと被覆層44との間には、絶縁層45及び放熱層47が積層されている。具体的には、絶縁層45は接着層42により導体層40aの平坦面40a2に接着している。放熱層47は、接着層46により導体層40aとは反対側の絶縁層45の面に接着している。被覆層44は、接着層48により絶縁層45とは反対側の放熱層47の面に接着している。
【0032】
絶縁層45は、絶縁性を有し、例えばポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂等である。放熱層47は、アルミ箔等の熱伝導率の高い金属製であり、導体層40aから熱を受けて外部に放熱する。このため、放熱層47は導体層40aやその他の端子からは絶縁されている。放熱層47はアルミ箔に限定されないが、少なくとも導体層40aよりも熱伝導率の高い金属製であることが好ましい。このようにFPC30bは放熱性に優れている。
【0033】
図6の例では、FPC30bは導体層40aの凹凸面40a1が外側に位置し、放熱層47が導体層40aよりも内側に位置するように配置されているが、これに限定されず、導体層40aの凹凸面40a1が内側に位置し、放熱層47が導体層40aよりも外側に位置するように配置されていてもよい。また、
図6の例において、導体層40aの代わりに
図4に示した導体層40を用いてもよい。この場合、放熱層47が導体層40よりも外側に位置するようにFPCを配置するのが好ましい。
【0034】
[変形例の電池回路の構成]
図7Aは、変形例の電池回路1bの説明図である。電池回路1bに採用されているサービスプラグ6aは、電池2の正極とPCU4とを接続する電力ラインと、電池2の負極とPCU4とを接続する電力ラインとにわたって設けられている。
図7Bは、第4変形例の電池回路1cの説明図である。電池回路1cでのサービスプラグ6aも同様である。
【0035】
[変形例のサービスプラグの構成]
図8及び
図9は、サービスプラグ6aの断面図である。サービスプラグ6aは、本体10a及びプラグ20aを含む。
図8は、本体10aにプラグ20aを挿入する前の状態を示しており、
図9は、本体10aにプラグ20aを挿入した状態を示している。本体10aの両面フレキシブルプリント基板(以下、両面FPCと称する)12aは、詳しくは後述するが、
図7Aの電池回路1bでは電池2の正極側と負極側とに接続され、両面FPC13aはPCU4の正極側と負極側とに接続される。
図7Bの電池回路1cでは、両面FPC12aはPCU4の正極側と電池2の負極側とに接続され、両面FPC13aは電池2の正極側と負極側とに接続される。プラグ20aのハウジング21aには、両面FPC30cが保持されている。
図10は、両面FPC30cの断面図である。最初に両面FPC30cについて説明する。
【0036】
図10に示すように、両面FPC30cは、導体層50a及び50b、絶縁層45、被覆層43及び44を含む。導体層50aは、接着層46により絶縁層45の一方の面に接着されている。導体層50bは、接着層41により絶縁層45の他方の面に接着されている。即ち、導体層50a及び50bは、絶縁層45を介して互いに対向している。本体10aにプラグ20aを挿入した状態では、
図7Aの電池回路1bの例では、導体層50aは電池2の正極側とPCU4の負極側とに導通接続され、導体層50bは電池2の負極側とPCU4の正極側とに導通接続されている。
図7Bの電池回路1cの例では、導体層50aは4の正極側と電池2の負極側とに導通接続され、導体層50bは電池2の正極側と負極側とに導通接続される。従って、
図10の例では、本体10aにプラグ20aを挿入した状態において、電流は導体層50aを左方向に流れ、導体層50bを右方向に流れる。このように、互いに対向した導体層50a及び50bのそれぞれに流れる電流の方向が互いに逆方向であるため、磁界を相殺することができ、サービスプラグ6a周辺の電子機器への影響を抑制できる。
【0037】
図8及び
図9に戻り、プラグ20aについて説明する。コネクタ24aに保持されているRPC22a及び22bの導体パターンはそれぞれ、両面FPC30cの導体層50a及び50bに導通接続している。同様に、コネクタ25aに保持されているRPC23a及び23bの導体パターンはそれぞれ、両面FPC30cの導体層50a及び50bに導通接続している。RPC22a及び22bのそれぞれには、RPC22a及び22bの導体パターンのそれぞれに導通接続した端子26a及び26bが保持されている。同様に、RPC23a及び23bのそれぞれには、RPC23a及び23bの導体パターンのそれぞれに導通接続した端子27a及び27bが保持されている。
【0038】
両面FPC12a及び13aも、上述した両面FPC30cと同様に構成されている。即ち、両面FPC12a及び13aもそれぞれ、互いに絶縁した2つの導体層を有している。コネクタ14aはRPC16a及び16bを保持し、コネクタ15aはRPC17a及び17bを保持する。両面FPC12aの一方の導体層は、RPC16aの導体パターンに導通接続し、両面FPC12aの他方の導体層は、RPC16bの導体パターンに導通接続している。RPC16a及び16bは、両面FPC12aとの接続部分を補強している。同様に、両面FPC13aの一方の導体層は、RPC17aの導体パターンに導通接続し、両面FPC13aの他方の導体層は、RPC17bの導体パターンに導通接続している。RPC17a及び17bは、両面FPC13aとの接続部分を補強している。端子18a及び18bは、それぞれRPC16a及び16bに保持され、RPC16a及び16bの導体パターンのそれぞれに導通接続している。端子19a及び19bは、それぞれRPC17a及び17bに保持され、RPC17a及び17bの導体パターンのそれぞれに導通接続している。
【0039】
本体10aにプラグ20aが挿入されると、
図9に示すように、端子26a及び26bはそれぞれ端子18a及び18bに導通接続し、端子27a及び27bはそれぞれ端子19a及び19bに導通接続する。
【0040】
図11Aは、両面FPC12aの接続方法の説明図である。両面FPC12aの一方の導体層は、片面FPC60aの導体層に導通接続して、両面FPC12aの他方の導体層は、片面FPC60bの導体層に導通接続している。同様に、両面FPC13aの一方の導体層は、片面FPC60cの導体層に導通接続して、両面FPC13aの他方の導体層は、片面FPC60dの導体層に導通接続している。ここで、
図7Aの電池回路1bの例では、片面FPC60aは電池2の正極側に導通接続し、片面FPC60bは電池2の負極側に導通接続し、片面FPC60cはPCU4の負極側に導通接続し、片面FPC60dはPCU4の正極側に導通接続している。
図7Bの電池回路1cの例では、片面FPC60aはPCU4の正極側に導通接続し、片面FPC60bは電池2の負極側に導通接続し、片面FPC60cは電池2の負極側に導通接続し、片面FPC60dは電池2の正極側に導通接続している。このようにして、本体10aにプラグ20aが挿入された状態で、両面FPC30cの導体層50a及び50bに電流が流れる。
【0041】
図11Bは、両面FPC12aの他の接続方法の説明図である。両面FPC12aの2つの導体層はそれぞれ、ジャンクションコネクタ(以下、J/CON(Junction Connector)と称する)70aを介して片面FPC60a及び60bに接続されている。同様に、両面FPC13aの2つの導体層はそれぞれ、J/CON70bを介して片面FPC60c及び60dに接続されている。尚、
図11Bの例では、片面FPC60a~60dの代わりに、ワイヤーハーネスを用いてもよい。
【0042】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、1a 電池回路
2 電池
4 パワーコントロールユニット(負荷)
6 サービスプラグ
10 本体
16、17 端子(第1端子、第2端子)
20 プラグ
26、27 端子(第3端子、第4端子)
30 フレキシブルプリント基板
32、33 接続部
34、35 対向部
36 湾曲部
40、40a 導体層
40a1 凹凸面(第1面)
40a2 平坦面(第2面)
41、42 接着層
43、44 被覆層
47 放熱層