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特許7540400発注支援システム、発注支援方法、及び発注支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】発注支援システム、発注支援方法、及び発注支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20240820BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240820BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q30/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021102707
(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公開番号】P2023001778
(43)【公開日】2023-01-06
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-215749(JP,A)
【文献】特開2003-097884(JP,A)
【文献】特開2011-209275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて取得する情報取得装置と、
前記情報取得装置と通信可能に構成され、前記位置情報に基づいて、前記対象商品を自動で発注する支援制御を行う1つ又は複数のプロセッサと、を備え、
前記支援制御において、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記位置情報に基づいて、前記対象商品の残量の指標となる残量指標値を演算し、
前記残量指標値に基づいて、当該対象商品の発注情報を送信する
ように構成され
前記情報取得装置は、
前記対象商品に付され、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグと、
前記識別タグの前記固有情報を、前記近距離無線通信を用いて読み取るリーダと、を含んで構成され、
前記残量指標値は、前記対象商品が移動した移動回数であり、
前記支援制御において、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、前記基準回数を増側に補正する
ように構成される発注支援システム。
【請求項2】
前記リーダは、前記対象商品が収納される第一エリアから前記対象商品が消費される第二エリアへの移動経路の途中に跨るように設けられたゲート型リーダを含む
請求項に記載の発注支援システム。
【請求項3】
前記リーダは、前記対象商品が所定の収納エリアに置かれた状態で前記識別タグを読み取り可能な位置に配置される
請求項に記載の発注支援システム。
【請求項4】
繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の発注をコンピュータが実行する発注支援方法であって、
前記対象商品には、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグが付され、
前記コンピュータは、
前記対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて前記識別タグの前記固有情報を読み取るリーダから取得し、
前記位置情報に基づいて、前記対象商品の残量の指標となる残量指標値として前記対象商品が移動した移動回数を演算し、
前記移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、前記基準回数を増側に補正する
ように構成される発注支援方法。
【請求項5】
繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の発注をコンピュータに実行させる発注支援プログラムであって、
前記対象商品には、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグが付され、
前記発注支援プログラムは、
前記対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて前記識別タグの前記固有情報を読み取るリーダから取得し、
前記位置情報に基づいて、前記対象商品の残量の指標となる残量指標値として前記対象商品が移動した移動回数を演算し、
前記移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、
前記発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、前記基準回数を増側に補正する
ことをコンピュータに実行させる発注支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象商品を自動で発注する発注支援システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医療材料の管理システムに関する技術が開示されている。この技術の管理システムは、管理サーバと、ICタグが付された医療材料を収納する在庫収納装置と、を備えている。管理サーバは、在庫収納装置から医療材料が取り出された際に読み取られたICタグの格納情報を受信する。そして、管理サーバは、読み取られた格納情報に使用済みステータスを付して記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-41234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繰り返しの消費によって徐々に残量が減る商品の管理を行うことを考える。繰り返し利用される商品は、使用後に再び元の位置に戻されることが一般的である。上記特許文献1の技術では、在庫収納装置内から一旦取り出された医療材料が再び在庫収納装置内へ戻されることを想定していない。このように、上記特許文献1の技術は、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る商品に関し、発注手配等の管理を行うことについて検討されていない。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る商品の発注を支援することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記目的を達成するための発注支援システムを提供する。本開示に係る発注支援システムは、情報取得装置と、1つ又は複数のプロセッサと、を備える。情報取得装置は、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて取得する。1つ又は複数のプロセッサは、情報取得装置と通信可能に構成され、位置情報に基づいて、対象商品を自動で発注する支援制御を行う。支援制御において、1つ又は複数のプロセッサは、位置情報に基づいて、対象商品の残量の指標となる残量指標値を演算し、残量指標値に基づいて、当該対象商品の発注情報を送信するように構成される。情報取得装置は、対象商品に付され、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグと、識別タグの固有情報を、近距離無線通信を用いて読み取るリーダと、を含んで構成される。残量指標値は、対象商品が移動した移動回数であり、支援制御において、1つ又は複数のプロセッサは、移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、基準回数を増側に補正するように構成される。
【0009】
また、リーダは、対象商品が収納される第一エリアから対象商品が消費される第二エリアへの移動経路の途中に跨るように設けられたゲート型リーダを含んでいてもよい。或いは、リーダは、対象商品が所定の収納エリアに置かれた状態で識別タグを読み取り可能な位置に配置されていてもよい。
【0010】
また、本開示は、上記目的を達成するための発注支援方法を提供する。本開示に係る発注支援方法は、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の発注をコンピュータが実行する。対象商品には、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグが付され、コンピュータは、対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて識別タグの固有情報を読み取るリーダから取得し、位置情報に基づいて、対象商品の残量の指標となる残量指標値として対象商品が移動した移動回数を演算し、移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、基準回数を増側に補正するように構成される。
【0011】
また、本開示は、上記目的を達成するための発注支援プログラムを提供する。本開示に係る発注支援プログラムは、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る対象商品の発注をコンピュータに実行させる。対象商品には、当該対象商品を識別するための固有情報が記憶された識別タグが付され、発注支援プログラムは、対象商品の位置の指標となる位置情報を、近距離無線通信を用いて識別タグの固有情報を読み取るリーダから取得し、位置情報に基づいて、対象商品の残量の指標となる残量指標値として対象商品が移動した移動回数を演算し、移動回数が所定の基準回数を超えた場合に、利用者に対して発注許可要求を通知し、発注許可要求に対する発注許可を受信した場合、当該対象商品の発注情報を送信し、発注許可要求に対する発注許可を受信しない場合、基準回数を増側に補正することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る技術によれば、対象商品の位置情報が、情報取得装置によって取得される。対象商品の位置が変化した場合、当該対象商品が消費される蓋然性が高い。このため、本開示によれば、位置情報に基づいて、対象商品の残量の指標となる残量指標値を演算することができる。これにより、当該対象商品の発注タイミングを適切に判断して発注情報を送信することができるので、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る商品の発注を適切に支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1実施形態に係る発注支援システムの構成図である。
図2】発注支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】管理サーバのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能を示す機能ブロック図である
図4】メモリに記憶される商品管理情報の一例を示す図である。
図5】発注支援システムによる商品発注の具体的な運用例を示す図である。
図6】カウント処理において実行されるルーチンのフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る発注支援システムにおいて実行される判定処理及び発注処理において実行されるルーチンのフローチャートである。
図8】発注支援システムによる商品発注の他の運用例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る発注支援システムにおいて実行される判定処理及び発注処理において実行されるルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る技術思想に必ずしも必須のものではない。
【0015】
1.第1実施形態
1-1.発注支援システムの概要
図1は、本開示の第1実施形態に係る発注支援システムの構成図である。発注支援システム100は、繰り返しの消費によって徐々に残量が減る商品のうち、使用の際に移動を伴う商品を対象としている。このような対象商品としては、例えばキッチンとダイニングとの間を行き来して消費される調味料や、保管場所と飼育場所との間を行き来して消費されるペットフード、等が例示される。
【0016】
発注支援システム100は、対象商品10に付される識別タグ12と、リーダ20と、管理サーバ30と、を備える。識別タグ12は、例えば対象商品10を識別するための固有情報が埋め込まれたパッシブ型のRFIDタグであり、予め対象商品10に付されている。図1では、対象商品10A、10B、10C、10Dに、それぞれ異なる固有情報(ID情報)が埋め込まれた識別タグ12A,12B,12C,12Dが付された例を図示している。
【0017】
リーダ20は、近距離無線通信を用いて、近接する識別タグ12から固有情報を読み出すための読取装置である。リーダ20の形態に限定はない。リーダ20は、例えば、ゲートを通過する識別タグ12から固有情報を受信するゲート型リーダ、近接させた識別タグ12から固有情報を受信する平板状の平板型リーダ、容器内の識別タグ12から固有情報を受信するボックス型リーダ等、公知の形態のリーダを用いることができる。
【0018】
識別タグ12の固有情報がリーダ20によって受信されている場合、識別タグ12が付された対象商品10がリーダ20の受信範囲に位置していることを示している。一方、識別タグ12の固有情報がリーダ20によって受信されない場合、識別タグ12が付された対象商品10がリーダ20の受信範囲外に位置していることを示している。つまり、リーダ20によって受信される固有情報の受信状態は、対象商品10の位置の指標となる位置情報として利用することができる。
【0019】
本実施形態の発注支援システム100では、リーダ20は、対象商品10の使用時の移動に伴い固有情報の受信状態に変化が生じる位置に配置される。例えば、リーダ20がゲート型の場合、消費に伴う対象商品10の移動経路に跨るように配置することができる。或いは、リーダ20が平板型或いはボックス型の場合、それらを対象商品10の収納エリアに設置することができる。このような配置によれば、リーダ20によって受信される固有情報の受信有無が変化した場合、対象商品10が使用のために移動させられたと判断することができる。リーダ20によって読み出された固有情報は、通信回線を介して管理サーバ30に送られる。
【0020】
管理サーバ30は、位置情報に基づいて、対象商品10の発注を支援する支援制御を行う。管理サーバ30は、施設内においてリーダ20と直接接続されていてもよいし、遠隔地から通信ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0021】
管理サーバ30は、固有情報の受信状態を当該対象商品10の固有情報に対応付けた位置情報として記憶している。支援制御において、管理サーバ30は、位置情報から当該対象商品10の移動が判断される度に、対象商品10の移動回数Cをカウントする。この演算処理は、以下「カウント処理」と呼ばれる。
【0022】
対象商品10は、移動回数Cが増えるほど消費される蓋然性が高くなる。つまり、移動回数Cは、対象商品10の残量の指標となる残量指標値であるといえる。そこで、支援制御において、管理サーバ30は、移動回数Cが基準回数Cthを超えた場合、対象商品10の次の発注が必要であると判断する。この処理は、以下「判定処理」と呼ばれる。基準回数Cthは、商品の残量が発注を要する程度に減ったことを判断するための判定値である。管理サーバ30には、各対象商品10の基準回数Cthがそれぞれの固有情報に対応付けられて記憶されている。基準回数Cthは、対象商品10毎に設定された固定値であってもよいし、利用者が任意の回数を設定してもよい。
【0023】
支援制御において、管理サーバ30は、移動回数Cが基準回数Cthを超えた場合、対象商品10の発注を行う。この処理は、以下「発注処理」と呼ばれる。発注処理では、管理サーバ30は、対象商品10の発注情報を生成する。発注情報には、対象商品10の固有情報、数量、発注先等の情報が含まれている。管理サーバ30は、通信ネットワークを介して発注情報を発注先へ送信する。
【0024】
以上のような発注支援システム100によれば、識別タグ12及びリーダ20を用いて対象商品10の移動回数Cをカウントすることによって、対象商品10の残量を判断することができる。これにより、適切なタイミングで対象商品10の発注を自動で行うことが可能となる。
【0025】
1-2.発注支援システムの構成
図2は、発注支援システムの構成の一例を示すブロック図である。発注支援システム100は、情報取得装置8と、管理サーバ30と、を備える。情報取得装置8は上述した識別タグ12と、リーダ20を含む。識別タグ12は、1又は複数の対象商品10のそれぞれに付されている。識別タグ12には、対応する対象商品10の固有情報がそれぞれ記憶されている。
【0026】
管理サーバ30は、コンピュータとしての処理装置の機能を備える。典型的には、管理サーバ30は、1つ又は複数のプロセッサ32(以下、単にプロセッサ32と呼ぶ)とプロセッサ32に結合された1つ又は複数のメモリ34(以下、単にメモリ34と呼ぶ)とを備えている。メモリ34には、プロセッサ32で実行可能な1つ又は複数の発注支援プログラム341(以下、単にプログラム341と呼ぶ)とそれに関連する種々のデータ342とが記憶されている。
【0027】
プロセッサ32が発注支援プログラム341を実行することにより、プロセッサ32による各種処理が実現される。図3は、管理サーバ30のプロセッサがプログラム341を実行することによって実現される機能を示す機能ブロック図である。図3に示すように、プロセッサ32は、対象商品10のカウント処理を行うためのカウント処理部321と、対象商品10の発注要否の判定処理を行うための判定処理部322と、対象商品10の発注処理を行うための発注処理部323と、を備える。以下、図1も参照しながら、管理サーバ30が対象商品10を自動で発注する場合を例に、プロセッサ32の機能について説明する。
【0028】
カウント処理部321は、位置情報に基づいて、対象商品10の移動回数Cをカウントする機能を有する機能ブロックである。位置情報は、リーダ20によって読み込まれる識別タグ12の固有情報である。メモリ34には、位置情報として、リーダ20から送信される固有情報の読込状態が記憶されている。カウント処理部321は、位置情報に含まれる固有情報の読込状態がONからOFFへ或いはOFFからONへ変化したことを受けて移動回数Cをインクリメントする。移動回数Cは商品管理情報としてメモリ34に記憶される。
【0029】
図4は、メモリに記憶される商品管理情報の一例を示す図である。商品管理情報には、移動回数C、基準回数Cth、及び発注ステータスが対象商品10の固有情報に対応付けて記憶されている。移動回数Cは、カウント処理によってインクリメントされる度に値が更新される。発注ステータスは、対象商品10が発注済みであるかどうかを表すステータス情報である。発注処理が行われた対象商品に対しては、発注処理において、発注済みであることを示すステータスが付される。
【0030】
判定処理部322は、移動回数Cが基準回数Cthを超えたかどうかを判定する機能ブロックである。基準回数Cthは対象商品10の残量が発注を必要とする量となる移動回数として予め記憶されている値が読み込まれる。
【0031】
発注処理部323は、判定処理部322において移動回数Cが基準回数Cthを超えたと判定された場合に当該対象商品10の発注情報を生成する機能ブロックである。生成された発注情報は、メモリ34に格納されるとともに、所定のタイミングで発注情報を発注先に送信される。
【0032】
1-3.発注支援システムによる商品発注の具体的な運用例
次に、第1実施形態に係る発注支援システム100による商品発注の運用例について図5を用いて説明する。発注支援システム100は、対象商品の残量が減った場合に当該商品を自動で発注するシステムである。図5は、発注支援システムによる商品発注の具体的な運用例を示す図である。図5に示す例では、施設内のシステム利用者が対象商品10の使用を目的として、当該対象商品10を第一エリアR1から第二エリアR2へと運ぶ様子が例示されている。典型的には、第一エリアR1はキッチンエリアであり、第二エリアR2がダイニングエリアであり、対象商品10が調味料である。リーダ20は、ゲート型のリーダである。リーダ20は、第一エリアR1から第二エリアR2へと移動する経路の途中に跨るように設置されている。
【0033】
管理サーバ30は、対象商品10の移動回数Cをカウントするためのカウント処理を実行する。図6は、カウント処理において実行されるルーチンのフローチャートである。図5に示すルーチンは、1又は複数種類の対象商品10毎に管理サーバ30のプロセッサ32において所定の制御周期で繰り返し実行される。また、このフローチャートは、本開示の第1実施形態に係る発注支援方法の一部を表してもいる。
【0034】
利用者が対象商品10を持ってリーダ20の間を通過すると、リーダ20は対象商品10に付された識別タグ12の固有情報を読み込む。読み込まれた固有情報は、対象商品10の位置情報として管理サーバ30へと送信される。
【0035】
ステップS100では、プロセッサ32は、受信した位置情報に基づいて、対象商品10の移動があったかどうかを判定する。ここでは、プロセッサ32は、位置情報に含まれる固有情報の読込状態がONからOFFへ或いはOFFからONへ切り替わったかどうかを判定する。その結果、固有情報の読込状態が切り替わっていない場合、本ルーチンは終了され、固有情報の読込状態が切り替わった場合、ステップS102に進む。
【0036】
ステップS102では、プロセッサ32は、対象商品10についての移動回数Cをインクリメントし、商品管理情報の移動回数Cを更新する。
【0037】
対象商品10の移動が繰り返されると、当該対象商品10の残量は徐々に減っていく。管理サーバ30は、対象商品10の適切な発注時期を判定するための判定処理、及び当該
対象商品10を発注する発注処理を実行する。図7は、判定処理及び発注処理において実行されるルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンは、1又は複数種類の対象商品10毎に管理サーバ30のプロセッサ32において所定の制御周期で繰り返し実行される。また、このフローチャートは、本開示の第1実施形態に係る発注支援方法の一部を表してもいる。
【0038】
ステップS110では、プロセッサ32は、対象商品10が未発注であるかどうかを判定する。ここでは、プロセッサ32は、商品管理情報に記憶されている対象商品10の発注ステータスが未発注であるかどうかを判定する。その結果、対象商品10の発注ステータスが発注済みであれば本ルーチンは終了され、発注ステータスが未発注であればステップS112に進む。
【0039】
ステップS112では、プロセッサ32は、移動回数Cが基準回数Cthを超えているかどうかを判定する。ここでは、商品管理情報に記憶されている対象商品10の移動回数C及び基準回数Cth読み込まれ、その大小が比較される。その結果、移動回数C>基準回数Cthの成立が認められない場合、対象商品10の残量が十分にあると判断されて、本ルーチンは終了される。
【0040】
一方、ステップS112において、移動回数C>基準回数Cthの成立が認められた場合、対象商品10の残量が残り僅かであると判断されて、ステップS114の処理に進む。ステップS114では、プロセッサ32は、対象商品の発注処理を行う。ここでは、プロセッサ32は、対象商品10の発注情報を生成するとともに、通信ネットワークを介して発注情報を発注先へ送信する。ステップS112の処理が完了すると、処理は次のステップS116に進む。ステップS116では、発注処理を行った対象商品10について、商品管理情報の発注ステータスが発注済みに更新される。ステップS116の処理が完了すると、本ルーチンは終了される。
【0041】
以上の説明から明らかなように、第1実施形態に係る発注支援システム100によれば、対象商品の移動履歴から対象商品の残量を把握し、適切なタイミングで発注を自動で行うことができる。その結果、利用者が対象商品の残量を自ら確認して発注する手間が省ける。
【0042】
1-4.変形例
第1実施形態に係る発注支援システム100は、以下のように変形した態様を適用してもよい。
【0043】
1-4-1.リーダ20
リーダ20の設置態様は、図5に示すゲート型リーダに限らない。図8は、発注支援システムによる商品発注の他の運用例を示す図である。図8に示す例では、対象商品10の収納エリアR3の底面に平板状のリーダ20が設置されている。典型的には、収納エリアR3は調味料置場であり、対象商品10は調味料である。対象商品10が要冷蔵の商品である場合、収納エリアR3は冷蔵庫内であってもよい。対象商品10は、収納状態において、リーダ20の上に配置される。このような構成によれば、リーダ20は、対象商品10の収納状態において常に固有情報を受信する。利用者が使用を目的として当該対象商品10を手に取ると、リーダ20による受信状態は、ONからOFFに切り替わる。このように、平板状のリーダ20によっても、対象商品10の移動回数Cをカウントすることが可能となる。
【0044】
なお、収納エリアR3に設置されるリーダ20は、当該収納エリアR3を覆うように設置されたボックス型リーダでもよい。このような構成においても、平板状のリーダ20と同様の動作によって対象商品10の移動回数Cをカウントすることが可能となる。
【0045】
1-4-2.識別タグ12
識別タグ12は、パッシブ型のRFIDタグに限らず、アクティブ型のRFIDタグでもよい。
【0046】
1-4-3.情報取得装置8
情報取得装置8は、UWB(Ultra Wide Band)による施設内測位装置を用いてもよい。この場合、対象商品10にUWB信号を受信する受信専用タグを付し、UWB信号を発信する複数のセンサを施設内に設置すればよい。このような構成によっても、対象商品10の位置情報を取得することが可能となる。
【0047】
1-4-4.判定処理
1回の移動での対象商品10の消費量は、家族人数や消費傾向によって異なる。そこで、判定処理において使用される基準回数Cthは、利用者自身が設定或いは選択してもよい。典型的には、利用者は、基準回数Cthの値を直接入力する。或いは、利用者は、基準回数Cthの値を複数段階の値の中から選択する。このような構成によれば、対象商品10の移動回数と残量との関係を利用者の消費傾向に応じて調整することが可能となる。
【0048】
プロセッサは、移動回数Cから対象商品10の残量を更に推定してもよい。この場合、ステップS122の処理では、基準回数Cthに替えて、発注が必要とされる基準残量を用いればよい。
【0049】
2.第2実施形態
2-1.第2実施形態の特徴
次に、本開示の第2実施形態に係る発注支援システムについて説明する。第2実施形態は、利用者による対象商品の消費量に応じて基準回数Cthを学習する点に特徴がある。以下、第2実施形態に係る発注支援システムにおいて、基準回数Cthの学習処理も含めた判定処理及び発注処理の流れについて図9を用いて説明する。
【0050】
図9は、第2実施形態に係る発注支援システムにおいて実行される判定処理及び発注処理において実行されるルーチンのフローチャートである。図9に示すルーチンは、1又は複数種類の対象商品10毎に管理サーバ30のプロセッサ32において所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0051】
ステップS120及びステップS122では、図7のルーチンにおけるステップS110及びステップS112の処理と同様の処理が行われる。ステップS122の処理において、移動回数C>基準回数Cthの成立が認められない場合、本ルーチンは終了され、成立が認められた場合、処理はステップS124に進む。ステップS124では、プロセッサ32は、利用者に対して発注許可要求を通知する。発注許可要求は、対象商品10の発注の許可を求める要求である。発注許可要求の通知形態に限定はない。発注許可要求の通知は、例えばスマートフォンのアプリケーションの通知機能を利用してもよいし、電子メールを利用した通知や室内のインターフェースに対する通知でもよい。ステップS124の処理が完了すると、処理はステップS126に進む。
【0052】
発注許可要求を受けた利用者は、対象商品10の残量を確認し、発注許可要求に対する許可可否を判断する。ステップS126では、発注許可要求に対する利用者の発注許可を受信したかどうかが判定される。ここでの発注許可要求は、例えば、利用者のスマートフォンのアプリケーションの送信機能を利用して送信されてもよい。その結果、利用者の発注許可が受信されない場合、対象商品10の残量が十分にあると判断することができる。この場合、処理はステップS128に進む。一方、利用者の発注許可を受信した場合、対象商品10の残量が僅かであると判断することができる。この場合、処理はステップS130に進む。
【0053】
ステップS128では、プロセッサ32は、基準回数Cthを増量する補正処理を行う。ここでは、プロセッサ32は、商品管理情報に記憶されている基準回数Cthを、所定回数分増量した値に更新する。
【0054】
ステップS130及びその後のステップS132では、図7に示すステップS114及びステップS116と同様の処理が行われる。
【0055】
以上の説明から明らかなように、第2実施形態に係る発注支援システム100によれば、移動回数Cが基準回数Cthを超えた場合であっても、利用者が対象商品の残量があると判断した場合には、基準回数Cthが増量補正される。このような処理を繰り返すことにより、基準回数Cthは、発注が必要とされる適切な回数に学習される。
【0056】
2-2.変形例
第2実施形態に係る発注支援システム100は、以下のように変形した態様を適用してもよい。
【0057】
プロセッサ32は、対象商品10の重量を測定するように、利用者に対して定期的に促してもよい。利用者は、スケールを用いて対象商品10の重さを測定する。スケールが通信ネットワークを介して管理サーバ30と接続されている場合、測定結果は、スケールから管理サーバ30へと送信される、或いは、測定結果は、利用者によって直接入力される。プロセッサ32は、現在の移動回数Cから推定される残量と、重さの測定結果から推定される残量とを比較し、基準回数Cthを補正する。このような処理によっても、基準回数Cthを発注が必要とされる適切な回数に学習させることができる。
【符号の説明】
【0058】
8 情報取得装置
10 対象商品
12 識別タグ
20 リーダ
30 管理サーバ
32 プロセッサ
34 メモリ
100 発注支援システム
321 カウント処理部
322 判定処理部
323 発注処理部
341 プログラム
342 データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9