特許 7540405 包装箱

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-19

(45)【発行日】2024-08-27

(54)【発明の名称】包装箱

(51)【国際特許分類】

   B65D 5/10 20060101AFI20240820BHJP

【ＦＩ】

B65D5/10 C

B65D5/10 E

B65D5/10 G

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2021135764

(22)【出願日】2021-08-23

(65)【公開番号】P2023030563

(43)【公開日】2023-03-08

【審査請求日】2024-01-22

(73)【特許権者】

【識別番号】000122298

【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001807

【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】夏川 準司

【審査官】佐藤 正宗

(56)【参考文献】

【文献】米国特許出願公開第２００７／０１７０２３４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】登録実用新案第３０４４５３５（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００６－１６８７３２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１４－２１０５９１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２１－０１４２８５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｄ ５／００－ ５／７６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、
前記胴部の上側または下側の開口部に設けられた蓋部と、を備え、
前記蓋部は、
前側の前記端壁に連設された前部フラップと、
前記側壁に連設され、前記前部フラップの外面に重ねられた側部フラップと、
後側の前記端壁に連設され、前記側部フラップの外面に重ねられた後部フラップと、を有し、
前記前部フラップには、左右方向に延びている第一連結口と、前記第一連結口の左右方向の端部に連続した第二連結口と、が形成され、
前記第二連結口の後縁部は、前記第一連結口の後縁部よりも後方に配置され、
前記側部フラップの縁部から左右方向に延びている第三連結口が形成されており、
前記後部フラップの前縁部には、前記第三連結口、前記第一連結口および前記第二連結口に差し込まれている差込板が連設され、
前記差込板の左右方向の縁部には、係止片が折れ線を介して連設されていることを特徴とする包装箱。

【請求項2】

請求項１に記載の包装箱であって、
前記係止片を前記差込板に折り重ねた状態で、前記第三連結口に差し込み可能であることを特徴とする包装箱。

【請求項3】

請求項１または請求項２に記載の包装箱であって、
前記第三連結口は、前記第二連結口の外側に重ねられていることを特徴とする包装箱。

【請求項4】

請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記第一連結口は、左右方向に延びているスリットであり、
前記第二連結口は、前後方向の幅が前記第一連結口の前後方向の幅よりも大きく形成された穴部であることを特徴とする包装箱。

【請求項5】

請求項４に記載の包装箱であって、
前記第一連結口には、後方に向けて突出するように湾曲した抜け止め部が形成されていることを特徴とする包装箱。

【請求項6】

請求項１から請求項５のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記差込板の前縁部が、前記係止片の前縁部よりも前方に突出していることを特徴とする包装箱。

【請求項7】

請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記後部フラップの前縁部と、前記差込板の側縁部とによる隅部には、前方に向けて突出した突起部が形成されていることを特徴とする包装箱。

【請求項8】

請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記第三連結口の後縁部には、折れ線を介して抜け止め片が連設されていることを特徴とする包装箱。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、包装箱に関する。

【背景技術】

【0002】

段ボール製の包装箱の上蓋部としては、後部フラップの差込板が前部フラップのスリットに差し込まれており、差込板に連設された左右の係止片が、前部フラップの内面に重ねられているものがある（例えば、特許文献１参照）。
このような包装箱では、後部フラップを引き上げたときに、係止片が前部フラップの内面に引っ掛かることで、上蓋部が開かないようにロックされている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００６－１６８７３２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

前記した従来の包装箱では、上蓋部を開くときに、前部フラップの一部を切り取って、上蓋部のロックを解除するため、開封作業が煩雑になるという問題がある。

【0005】

本発明は、前記した問題を解決し、蓋部のロック機能を備えるとともに、蓋部のロックを解除する作業を簡略化することができ、さらに、蓋部を一度開いた形跡を残すことができる包装箱を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の上側または下側の開口部に設けられた蓋部と、を備えている。前記蓋部は、前側の前記端壁に連設された前部フラップと、前記側壁に連設され、前記前部フラップの外面に重ねられた側部フラップと、後側の前記端壁に連設され、前記側部フラップの外面に重ねられた後部フラップと、を有している。前記前部フラップには、左右方向に延びている第一連結口と、前記第一連結口の左右方向の端部に連続して開口した第二連結口と、が形成され、前記第二連結口の後縁部は、前記第一連結口の後縁部よりも後方に配置されている。さらに、前記側部フラップの縁部から左右方向に延びている第三連結口が形成されている。前記後部フラップの前縁部には、前記第三連結口、前記第一連結口および前記第二連結口に差し込まれている差込板が連設されている。前記差込板の左右方向の縁部には、係止片が折れ線を介して連設されている。

【0007】

本発明の包装箱の蓋部を組み立てるときには、前部フラップの外面に側部フラップを重ねた後に、後部フラップに連設された差込板および係止片を側部フラップの第三連結口、前部フラップの第一連結口および第二連結口に差し込む。
このようにして組み立てられた包装箱では、後部フラップが引き上げられたときに、後部フラップの係止片が前部フラップの第二連結口の後縁部に引っ掛かることで、蓋部が開かないようにロックされる。

【0008】

本発明の包装箱を開封するために、蓋部を開くときには、後部フラップを強く引き上げて、係止片を第二連結口および第三連結口から強引に引き抜くことで、蓋部のロックを容易に解除することができる。このとき、差込板に対して係止片が折れ曲がり、差込板と係止片との間が引き裂かれることで、蓋部を一度開いた形跡を残すことができる。

【0009】

本発明の包装箱では、第二連結口の後縁部が第一連結口の後縁部よりも後方に配置されている。つまり、係止片の後縁部が引っ掛かる位置が第一連結口よりも後方に配置されているため、係止片を前後方向に大きくすることができる。これにより、係止片の強度を高めことができるため、蓋部が開かないように確実にロックできる。
また、前部フラップの後縁部から第一連結口までの間隔を大きくすることができるため、前部フラップの強度を高めることができる。
また、前部フラップにおいて第一連結口よりも後方の部位が差込板の内面に押し付けられるため、差込板が第一連結口から抜け難くなる。

【0010】

前記した包装箱において、前記係止片を前記差込板に折り重ねた状態で、前記第三連結口に差し込み可能である場合には、蓋部を組み立てるときに、係止片を第三連結口に容易に差し込むことができる。

【0011】

前記した包装箱において、前記第三連結口を前記第二連結口の外側に重ねた場合には、蓋部を組み立てるときに、係止片を第三連結口および第二連結口に差し込み易くなる。

【0012】

前記した包装箱において、前記第一連結口を左右方向に延びているスリットとし、前記第二連結口は、前後方向の幅が前記第一連結口の前後方向の幅よりも大きく形成された穴部とすることが好ましい。
係止片を差込板に折り重ねて第三連結口に差し込んだときに、包装箱の内部の上部まで内容物が収容されている場合には、係止片は差込板に対して折り曲げられた状態で内容物の上面に接して、第二連結口内に配置される。そして、後部フラップが引き上げられたときには、係止片の後縁部が前部フラップの第二連結口の後縁部に引っ掛かる。
また、差込板は、スリット形状の第一連結口に差し込まれるため、差込板が第一連結口から抜け難くなる。

【0013】

前記した包装箱において、前記第一連結口に抜け止め部を形成する場合には、後方に向けて突出するように湾曲した抜け止め部とすると、抜け止め部が差込板の外面に押し付けられるようになるので、差込板が第一連結口から抜け難くなる。

【0014】

前記した包装箱において、前記差込板の前縁部を、前記係止片の前縁部よりも前方に突出させることが好ましい。
この構成では、係止片を差込板に折り重ねた状態で、差込板および係止片を第三連結口に差し込むときに、差込板の前縁部が係止片よりも先行して第三連結口に差し込まれるため、差込板および係止片を第三連結口に差し込み易くなる。

【0015】

前記した包装箱において、前記後部フラップの前縁部と、前記差込板の側縁部とによる隅部に、前方に向けて突出した突起部を形成することが好ましい。
この構成では、後部フラップを引き上げたときに、突出部が前部フラップの第二連結口の縁部に引っ掛かることで、係止片が第二連結口から抜け難くなる。

【0016】

前記した包装箱において、前記第三連結口の後縁部に、折れ線を介して抜け止め片を連設した場合には、抜け止め片が差込板の内面に押し付けられることで、差込板が第三連結口から抜け難くなる。

【発明の効果】

【0017】

本発明の包装箱では、蓋部を組み立てるときに、後部フラップの係止片を前部フラップの内面側に容易に配置して、蓋部が開かないように確実にロックできる。また、本発明の包装箱では、蓋部のロックを解除する作業を簡略化することができ、さらに、差込板と係止片との間が引き裂かれることで、蓋部を一度開いた形跡を残すことができる。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。

【図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。

【図3】本発明の実施形態に係る包装箱の上蓋部を組み立てる工程において、前部フラップを閉じた状態を示した斜視図である。

【図4】本発明の実施形態に係る包装箱の上蓋部を組み立てる工程において、側部フラップを閉じた状態を示した斜視図である。

【図5】本発明の実施形態に係る包装箱の上蓋部を組み立てる工程において、後部フラップを閉じる態様を示した斜視図である。

【図6】本発明の実施形態に係る包装箱の上蓋部を組み立てる工程において、後部フラップを閉じた状態を示した斜視図である。

【図7】本発明の実施形態に係る包装箱の上蓋部を下方から見た図である。

【図8】本発明の実施形態に係る包装箱において、内容物が上部まで収容されている場合の上蓋部を下方から見た図である。

【発明を実施するための形態】

【0019】

本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。

【0020】

本実施形態の包装箱１は、図１に示すように、筒状の胴部１０と、胴部１０の下側の開口部に設けられた下蓋部２０と、胴部１０の上側の開口部に設けられた上蓋部３０と、を備えている段ボール箱である。

【0021】

本実施形態の包装箱１は、図２に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートＳを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図２に示すブランクシートＳは内面側が見えるように配置されている。

【0022】

ブランクシートＳの折れ線は、ブランクシートＳの表面を線状に押し込んで形成された罫線（押罫）である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートＳを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
ブランクシートＳに形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。

【0023】

胴部１０は、図１に示すように、前後一対の端壁１１，１１と、左右一対の側壁１２，１２と、を備えている。胴部１０は、角筒状に形成されており、胴部１０の上面および下面には、四角形の開口部が形成されている。
端壁１１および側壁１２は、四角形に形成されている。端壁１１と側壁１２とは折れ線を介して連設されており、端壁１１と側壁１２とは垂直に配置されている。

【0024】

下蓋部２０は、四角形に形成されており、胴部１０の下側の開口部を閉塞している底板である。本実施形態の下蓋部２０は、図２に示すように、両端壁１１，１１の下縁部にそれぞれ連設された二枚の第一フラップ２１，２１と、両側壁１２，１２の下縁部にそれぞれ連設された二枚の第二フラップ２２，２２と、を貼り合せることで形成されている。

【0025】

上蓋部３０は、図１に示すように、前側の端壁１１に連設された前部フラップ４０と、後側の端壁１１に連設された後部フラップ５０と、左右の側壁１２，１２に連設された左右一対の側部フラップ６０，６０と、を有している。

【0026】

前部フラップ４０は、図３に示すように、前側の端壁１１の上縁部に折れ線を介して連設されている。前部フラップ４０は、前側の端壁１１の上縁部に沿って帯状に形成されており、胴部１０の上側の開口部の前部を塞いでいる。
前部フラップ４０には、左右方向に延びている第一連結口４１と、第一連結口４１の左右の端部にそれぞれ連続した左右の第二連結口４２，４２と、が形成されている。

【0027】

第一連結口４１は、左右方向に延びている線状のスリットであり、前部フラップ４０を上下方向に貫通している。第一連結口４１は、前部フラップ４０の後部において左右方向の中間部に配置されている。
第一連結口４１の左右方向の中央部には、後方に向けて突出するように半円形状に湾曲した抜け止め部４３が形成されている。

【0028】

第二連結口４２は、四角形の穴部であり、前後方向の幅が第一連結口４１の前後方向の幅よりも大きく形成されている。左右の第二連結口４２，４２は、左右方向に間隔を空けて配置されており、左右の第二連結口４２，４２の間に第一連結口４１が形成されている。第一連結口４１の端部は、第二連結口４２の側縁部の中央部に連結されている。そして、第二連結口４２の後縁部４２ａは、第一連結口４１の後縁部４１ａよりも後方に配置されている。

【0029】

左側の側部フラップ６０は、左側の側壁１２の上縁部に折れ線を介して連設されている。左側の側部フラップ６０の前部は、図４に示すように、前部フラップ４０の外面（上面）に重ねられている。

【0030】

左側の側部フラップ６０の右縁部から左方に向けて第三連結口６１が延びている。第三連結口６１は、前縁部と後縁部とが離れている直線状の細長い開口部である。第三連結口６１の前後方向の幅寸法は、第二連結口４２の前後方向の幅よりも小さい。左側の第三連結口６１は、前部フラップ４０の左側の第二連結口４２の上側に重ねられている。

【0031】

第三連結口６１の後縁部には、折れ線を介して抜け止め片６２が連設されている。抜け止め片６２は、第三連結口６１の後縁部に沿って形成された帯状の部位である。抜け止め片６２は、第三連結口６１の後部を塞いでいる。第三連結口６１の前縁部と抜け止め片６２の前縁部とは離れており、その間隔はブランクシートＳ（図２参照）の厚さの二倍以上に設定されている。

【0032】

右側の側部フラップ６０は、右側の側壁１２の上縁部に折れ線を介して連設されている。右側の側部フラップ６０は、左側の側部フラップ６０に対して左右対称に形成されている。右側の側部フラップ６０の前部は、前部フラップ４０の外面に重ねられている。右側の側部フラップ６０の左縁部から右方に向けて第三連結口６１が延びている。

【0033】

後部フラップ５０は、後側の端壁１１の上縁部に折れ線を介して連設されている。後部フラップ５０は、後側の端壁１１の上縁部に沿って帯状に形成されている。後部フラップ５０は、図６に示すように、前部フラップ４０および両側部フラップ６０，６０の外面（上面）に重ねられている。
前部フラップ４０、左右の側部フラップ６０，６０および後部フラップ５０が重ねられることで、上蓋部３０が形成されており、上蓋部３０によって胴部１０の上側の開口部が閉塞されている。

【0034】

後部フラップ５０の前縁部の中間部には、図４に示すように、折れ線を介して差込板５１が連設されている。差込板５１は、後部フラップ５０の前縁部に沿って形成された帯状の部位である。

【0035】

また、後部フラップ５０の内面（下面）には、左右の縁部に亘って左右方向に延びている折れ線Ｌ１０が形成されている。折れ線Ｌ１０は、後部フラップ５０の前後方向の中間部に形成されている。

【0036】

また、後部フラップ５０の前縁部と、差込板５１の左縁部とによる隅部には、前方に向けて突出した突起部５３が形成されるとともに、後部フラップ５０の前縁部と、差込板５１の右縁部とによる隅部にも、前方に向けて突出した突起部５３が形成されている。

【0037】

図６に示すように、上蓋部３０を組み立てた状態では、差込板５１は左右の第三連結口６１，６１、第一連結口４１および左右の第二連結口４２，４２に差し込まれており、図７に示すように、差込板５１が前部フラップ４０の内面に重ねられている。

【0038】

図４に示すように、差込板５１の左右の縁部には、折れ線を介して左右の係止片５２，５２がそれぞれ連設されている。差込板５１の前縁部は、係止片５２の前縁部よりも前方に突出している。
図７に示すように、上蓋部３０を組み立てた状態では、係止片５２は、前部フラップ４０の内面側で差込板５１に対して開いている。

【0039】

上蓋部３０を組み立てるときには、まず、図３に示すように、前側の端壁１１に対して前部フラップ４０を胴部１０の内側に折り曲げる。
続いて、図４に示すように、左右の側壁１２，１２に対して左右の側部フラップ６０，６０を胴部１０の内側に折り曲げて、両側部フラップ６０，６０を前部フラップ４０の外面に重ねる。これにより、前部フラップ４０の第二連結口４２の上側に側部フラップ６０の第三連結口６１が重なる。

【0040】

次に、図５に示すように、係止片５２を差込板５１の内面側に折り返して、左右の係止片５２，５２を差込板５１の左右の端部の内面に重ねる。また、差込板５１を後部フラップ５０に対して下向きに折り曲げる。さらに、後部フラップ５０を外側から見て山折りになるように折れ線Ｌ１０において折り曲げる。

【0041】

そして、後部フラップ５０を平坦に伸ばしながら、差込板５１を両第三連結口６１，６１、第一連結口４１および両第二連結口４２，４２に外側から差し込む。また、差込板５１とともに係止片５２が第三連結口６１に差し込まれる。このとき、差込板５１の前縁部が係止片５２よりも先行して第三連結口６１に差し込まれるため、差込板５１および係止片５２を第三連結口６１に差し込み易い。

【0042】

図７に示すように、差込板５１および係止片５２が前部フラップ４０の内面側に移動すると、係止片５２が差込板５１に対して開いた状態となる。
なお、包装箱１の内部の上部まで内容物が収容されている場合には、図８に示すように、係止片５２は内容物の上面に接するため、係止片５２は差込板５１に対して折り曲げられた状態で、第二連結口４２内に配置される。

【0043】

以上のような包装箱１では、図５に示すように、上蓋部３０を組み立てるときに、係止片５２を差込板５１に折り重ねた状態で、第三連結口６１に差し込むことで、係止片５２を第三連結口６１に容易に差し込むことができる。

【0044】

本実施形態の包装箱１では、図７および図８に示すように、後部フラップ５０が引き上げられたときに（図６参照）、後部フラップ５０の係止片５２の後縁部５２ａが、前部フラップ４０の第二連結口４２の後縁部４２ａに引っ掛かるため、上蓋部３０が開かないようにロックされる。

【0045】

本実施形態の包装箱１では、図７に示すように、第二連結口４２の後縁部４２ａが第一連結口４１の後縁部４１ａよりも後方に配置されている。つまり、係止片５２の後縁部５２ａが引っ掛かる位置（第二連結口４２の後縁部４２ａ）が第一連結口４１よりも後方に配置されているため、係止片５２を前後方向に大きくすることができる。これにより、差込板５１と係止片５２との境界の長さが大きくなり、係止片５２の強度を高めことができるため（係止片５２が千切れにくくなるため）、上蓋部３０が開かないように確実にロックできる。
また、前部フラップ４０の後縁部から第一連結口４１までの間隔を大きくすることができるため、前部フラップ４０の強度を高めることができる。

【0046】

本実施形態の包装箱１では、図６に示すように、差込板５１がスリット形状の第一連結口４１に差し込まれるため、差込板５１が第一連結口４１から抜け難くなる。
また、前部フラップ４０において第一連結口４１よりも後方の部位が差込板５１の内面に押し付けられる。
また、第一連結口４１に後方に向けて突出するように湾曲した抜け止め部４３が形成されており、この抜け止め部４３が差込板５１の外面に押し付けられる。
また、第三連結口６１の後縁部に抜け止め片６２が連設されており、この抜け止め片６２が差込板５１の内面に押し付けられる。
また、図７に示す後部フラップ５０が引き上げられたときに、後部フラップ５０の前縁部と差込板５１の側縁部との隅部に形成された突起部５３が第二連結口４２の縁部に引っ掛かる。
これらの構成により、包装箱１では、差込板５１が第一連結口４１から抜け難くなっている。

【0047】

本実施形態の包装箱１を開封するために、図６に示す上蓋部３０を開くときには、後部フラップ５０を強く引き上げて、係止片５２を第二連結口４２および第三連結口６１から強引に引き抜くことで、上蓋部３０のロックを容易に解除することができる。このとき、差込板５１に対して係止片５２が折れ曲がり、差込板５１と係止片５２との間が引き裂かれることで、上蓋部３０を一度開いた形跡を残すことができる。

【0048】

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱１では、図３に示すように、第二連結口４２が穴部に形成されているが、第二連結口４２を線状のスリット形状に形成してもよい。また、第一連結口４１を左右方向に延びている開口部に形成してもよい。

【0049】

本実施形態の包装箱１では、図１に示すように、上蓋部３０に本発明の蓋部の構成が適用されているが、下蓋部２０に本発明の蓋部の構成を適用してもよい。

【0050】

本実施形態の包装箱１では、胴部１０が前後一対の端壁１１，１１と、左右一対の側壁１２，１２とを有する四角形の筒状に形成されているが、胴部１０の形状は限定されるものではなく、端壁１１と側壁１２との間に傾斜壁を設けてもよい。

【0051】

本実施形態の包装箱１では、左右の側部フラップ６０，６０が設けられているが、左右一方の側部フラップ６０のみを設けてもよい。この場合には、差込板５１の左右一方の縁部のみに係止片５２を連設することになる。

【0052】

本実施形態の包装箱１は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱１を形成できる。

【符号の説明】

【0053】

１ 包装箱
１０ 胴部
１１ 端壁
１２ 側壁
２０ 下蓋部
２１ 第一フラップ
２２ 第二フラップ
３０ 上蓋部
４０ 前部フラップ
４１ 第一連結口
４２ 第二連結口
４３ 抜け止め部
５０ 後部フラップ
５１ 差込板
５２ 係止片
５３ 突起部
６０ 側部フラップ
６１ 第三連結口
６２ 抜け止め片
Ｓ ブランクシート

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】