IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-移動体 図1
  • 特許-移動体 図2
  • 特許-移動体 図3
  • 特許-移動体 図4
  • 特許-移動体 図5
  • 特許-移動体 図6
  • 特許-移動体 図7
  • 特許-移動体 図8
  • 特許-移動体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B62D 61/12 20060101AFI20240820BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20240820BHJP
   B60D 1/00 20060101ALI20240820BHJP
   B60D 1/34 20060101ALI20240820BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B62D61/12
B62D53/00 A
B62D53/00 G
B60D1/00 Z
B60D1/34
B61B13/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021143799
(22)【出願日】2021-09-03
(65)【公開番号】P2023037196
(43)【公開日】2023-03-15
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸嗣
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3098224(JP,U)
【文献】特開平8-156791(JP,A)
【文献】実開平1-152886(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
B62D 53/00
B60D 1/00
B60D 1/34
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体であって、
前輪と後輪とを有し、搭乗者が搭乗する車両と、
前記車両に対して後方に配置され、車輪と前記車輪を駆動させる駆動部とを有する無人搬送車と、
前記車両と前記無人搬送車とを連結する連結器と、
を備え、
前記連結器は、前記車両の後部を前記車両の上方に向けて付勢する付勢機構を有し、
前記付勢機構は、第1弾性部材を有し、
前記車両に前記搭乗者が搭乗しているときには、前記搭乗者の重量によって前記第1弾性部材を変形させて前記後輪を路面に接触させ、
前記車両に前記搭乗者が搭乗していないときには、前記第1弾性部材の弾性力によって前記後輪を前記路面から離れさせる、
移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体であって、
前記連結器は、前記車両に接続された第1連結部と、前記無人搬送車に接続され、かつ、前記車両の左右方向に沿った回転軸を中心にして前記第1連結部に対して相対回転可能に前記第1連結部に接続された第2連結部と、を有し、
前記第1弾性部材の一端は、前記第1連結部によって支持され、
前記第1弾性部材の他端は、前記第2連結部によって支持され、
前記付勢機構は、前記第1弾性部材の変形によって前記第1連結部に対して前記第2連結部を相対回転させることで、前記後輪が前記路面に接触している状態と前記後輪が前記路面から離れている状態とを切り替える、移動体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の移動体であって、
前記車両は、前記前輪の向きを変更する操舵部と、前記前輪が前記車両の前方を向くように前記操舵部を付勢するセルフセンタリング機構と、を有する、移動体。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体であって、
前記操舵部は、前記操舵部の回転運動によって前記前輪の向きを変更し、
前記セルフセンタリング機構は、前記操舵部と前記車両の車体とに接続され、前記操舵部を回転させるように前記操舵部を付勢する第2弾性部材と、前記操舵部と前記車体とに接続され、前記操舵部を前記第2弾性部材による回転方向とは反対向きに回転させるように前記操舵部を付勢する第3弾性部材と、を有する、移動体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動体であって、
前記車両の前記前輪の数は、1つである、移動体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動体であって、
前記車両は、前記搭乗者の操作によって走行し、
前記駆動部は、前記車輪に設けられたインホイールモータであり、
前記無人搬送車は、前記インホイールモータを駆動させるモータドライバと、前記インホイールモータと前記モータドライバとの電気的な接続のオンオフを切り替えるスイッチと、を有し、
前記スイッチは、前記搭乗者の操作によって前記車両が走行しているときの前記インホイールモータと前記モータドライバとの電気的な接続をオフにする、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電磁石によって連結された台車を牽引する無人搬送車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-156791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の前輪と後輪とが路面に接触している状態で、無人搬送車が車両を後ろ向きに牽引すると、コーナーを曲がるときに後輪と路面との間に生じる摩擦力によって無人搬送車のコーナリングが阻害されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、移動体が提供される。この移動体は、前輪と後輪とを有し、搭乗者が搭乗する車両と、前記車両に対して後方に配置され、車輪と前記車輪を駆動させる駆動部とを有する無人搬送車と、前記車両と前記無人搬送車とを連結する連結器と、を備える。前記連結器は、前記車両の後部を前記車両の上方に向けて付勢する付勢機構を有し、前記付勢機構は、第1弾性部材を有し、前記車両に前記搭乗者が搭乗しているときには、前記搭乗者の重量によって前記第1弾性部材を変形させて前記後輪を路面に接触させ、前記車両に前記搭乗者が搭乗していないときには、前記第1弾性部材の弾性力によって前記後輪を前記路面から離れさせる。
この形態の移動体によれば、車両に搭乗者が搭乗していないときには付勢機構は後輪を路面から離れさせるので、無人搬送車が搭乗者の搭乗していない車両を牽引しながら走行するときに後輪が路面から摩擦力を受けることを抑制できる。そのため、後輪が路面から受ける摩擦力によって無人搬送車のコーナリングが阻害されることを抑制できる。さらに、車両に搭乗者が搭乗しているときには付勢機構は後輪を路面に接触させるので、車両に搭乗者が搭乗しているときの車両の姿勢を安定させることができる。
(2)上記形態の移動体において、前記連結器は、前記車両に接続された第1連結部と、前記無人搬送車に接続され、かつ、前記車両の左右方向に沿った回転軸を中心にして前記第1連結部に対して相対回転可能に前記第1連結部に接続された第2連結部と、を有し、前記第1弾性部材の一端は、前記第1連結部によって支持され、前記第1弾性部材の他端は、前記第2連結部によって支持され、前記付勢機構は、前記第1弾性部材の変形によって前記第1連結部に対して前記第2連結部を相対回転させることで、前記後輪が前記路面に接触している状態と前記後輪が前記路面から離れている状態とを切り替えてもよい。
この形態の移動体によれば、簡易な構成で、車両への搭乗者の乗り降りによって自動的に、後輪が路面に接触している状態と後輪が路面から離れている状態とを切り替えることができる。
(3)上記形態の移動体において、前記車両は、前記前輪の向きを変更する操舵部と、前記前輪が前記車両の前方を向くように前記操舵部を付勢するセルフセンタリング機構と、を有してもよい。
この形態の移動体によれば、無人搬送車が車両を牽引しながら走行するときに、前輪が左右に振動することを抑制できる。そのため、前輪が左右に振動することによって無人搬送車の走行が阻害されることを抑制できる。
(4)上記形態の移動体において、前記操舵部は、前記操舵部の回転運動によって前記前輪の向きを変更し、前記セルフセンタリング機構は、前記操舵部と前記車両の車体とに接続され、前記操舵部を回転させるように前記操舵部を付勢する第2弾性部材と、前記操舵部と前記車体とに接続され、前記操舵部を前記第2弾性部材による回転方向とは反対向きに回転させるように前記操舵部を付勢する第3弾性部材と、を有してもよい。
この形態の移動体によれば、簡易な構成で、自動的に前輪を車両の前方に向けることができる。
(5)上記形態の移動体において、前記車両の前記前輪の数は、1つであってもよい。
この形態の移動体によれば、車両に複数の前輪が設けられた形態に比べて、車両を軽量化できる。
(6)上記形態の移動体において、前記車両は、前記搭乗者の操作によって走行し、前記駆動部は、前記車輪に設けられたインホイールモータであり、前記無人搬送車は、前記インホイールモータを駆動させるモータドライバと、前記インホイールモータと前記モータドライバとの電気的な接続のオンオフを切り替えるスイッチと、を有し、前記スイッチは、前記搭乗者の操作によって前記車両が走行しているときの前記インホイールモータと前記モータドライバとの電気的な接続をオフにしてもよい。
この形態の移動体によれば、搭乗者の操作によって車両が無人搬送車を牽引しながら走行するときに、無人搬送車のインホイールモータの回生ブレーキが作動することを抑制できる。そのため、インホイールモータの回生ブレーキによって車両の走行が阻害されることを抑制できる。
本開示は、移動体以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両、連結器などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の移動体の概略構成を示す第1の側面図。
図2】第1実施形態の移動体の概略構成を示す第2の側面図。
図3】第1実施形態の連結器の構成を示す側面図。
図4】セルフセンタリング機構の構成を示す第1の上面図。
図5】セルフセンタリング機構の構成を示す第2の上面図。
図6】第1実施形態の第1車両の電気的な構成を模式的に示す説明図。
図7】第1実施形態の第2車両の電気的な構成を模式的に示す説明図。
図8】移動体が用いられる様子を模式的に示す説明図。
図9】第2実施形態の連結器の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における移動体50の概略構成を示す第1の側面図である。図2は、第1実施形態における移動体50の概略構成を示す第2の側面図である。図1および図2には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸を表す矢印が示されている。X軸は移動体50の前後方向に沿った座標軸であり、Y軸は移動体50の左右方向に沿った座標軸であり、Z軸は移動体50の上下方向に沿った座標軸である。X,Y,Z軸を表す矢印は、他の図においても、矢印の指し示す方向が図1および図2と対応するように適宜、図示してある。
【0009】
図1に示すように、本実施形態では、移動体50は、第1車両100と、第2車両200と、連結器300とを備えている。第2車両200は、第1車両100に対して後方に配置されている。第1車両100と第2車両200とは、連結器300によって互いに連結されている。
【0010】
本実施形態では、第1車両100は、1つの前輪101と左右一対の後輪102とを有する三輪の電動スクータとして構成されている。前輪101は、移動体50の前端部に配置されており、各後輪102は、前輪101と第2車両200との間に配置されている。つまり、第1車両100の前後方向は、移動体50の前後方向と同じである。第1車両100は、第1車両100に搭乗している搭乗者DRの操作によって走行する。図1には、第1車両100に搭乗者が搭乗している状態の移動体50が表されている。図2には、第1車両100に搭乗者DRが搭乗していない状態の移動体50が表されている。図1に示すように、第1車両100は、第2車両200を牽引しながら前方に向かって走行することができる。なお、第1車両100は、左右一対の前輪と1つの後輪とを有する三輪の電動スクータとして構成されてもよいし、三輪の電動スクータではなく、例えば、左右一対の前輪と左右一対の2つの後輪とを有する四輪の電動カートとして構成されてもよい。
【0011】
本実施形態では、第1車両100は、上述した前輪101と後輪102とに加えて、第1車体部110と、操舵部120と、セルフセンタリング機構400と、第1バッテリ140と、第1走行用モータ150と、第1制御部190とを備えている。
【0012】
第1車体部110は、ステップ部111と、メインパイプ112と、ヘッドパイプ113と、収納部114とを有している。ステップ部111は、第1車体部110の下端部に配置されている。ステップ部111の上には、立った姿勢で搭乗者DRが搭乗する。ステップ部111には、後輪102の車輪軸が接続されている。ステップ部111の前端部には、メインパイプ112の下端部が固定されている。メインパイプ112の上端部は、メインパイプ112の下端部に対して前方に配置されている。メインパイプ112の上端部には、ヘッドパイプ113が固定されている。ヘッドパイプ113は、上下方向に沿った中心軸を有する円筒状に構成されている。収納部114は、左右方向におけるステップ部111の中央に配置されている。収納部114には、第1バッテリ140と、第1制御部190とが収納されている。
【0013】
操舵部120は、第1車両100の進行方向を変更する機能を有している。本実施形態では、操舵部120は、上下方向に沿った回転軸を中心にして前輪101とともに回転することによって、前輪101の向きを変更する。操舵部120は、フロントフォーク121と、ステアリングコラム122と、ハンドル部123とを有している。フロントフォーク121の下端部は、左右に分岐しており、フロントフォーク121の下端部には、前輪101の車輪軸が接続されている。本実施形態では、フロントフォーク121の上端部がフロントフォーク121の下端部に対して後方に配置されることによって、前輪101にキャスター角が付与されている。フロントフォーク121の上端部には、ステアリングコラム122が固定されている。ステアリングコラム122の中央部は、ヘッドパイプ113の内側に配置されており、ヘッドパイプ113によって回転可能に支持されている。ハンドル部123は、ステアリングコラム122の上端部に固定されている。ハンドル部123には、第1車両100に搭乗している搭乗者DRが把持するための持手が設けられている。搭乗者DRは、ハンドル部123を回転させて前輪101の向きを変更することによって、第1車両100の進行方向を変更することができる。なお、本実施形態では、後輪102は、固定輪として構成されている。
【0014】
本実施形態では、ハンドル部123の右側の持手は、アクセルレバーとして構成されている。アクセルレバーは、第1車両100を加速させる操作に用いられる。ハンドル部123には、ブレーキレバーが設けられている。第1車両100には、図示されていない摩擦ブレーキが設けられており、ブレーキレバーは、摩擦ブレーキを作動させて第1車両100を減速させる操作に用いられる。
【0015】
セルフセンタリング機構400は、前輪101の向きが第1車両100の前方を向くように前輪101を付勢する。搭乗者DRは、セルフセンタリング機構400に逆らってハンドル部123を回転させることで、前輪101の向きを前方以外に向けることができる。セルフセンタリング機構400の具体的な構成については後述する。
【0016】
第1バッテリ140には、例えば、鉛蓄電池や、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素充電池などの二次電池を用いることができる。なお、第1バッテリ140には、二次電池ではなく、一次電池が用いられてもよい。
【0017】
第1走行用モータ150は、第1バッテリ140を電源として、第1車両100を走行させるための駆動力Ffを発生させる。本実施形態では、第1走行用モータ150は、前輪101を回転させることによって、第1車両100を走行させる。本実施形態では、第1走行用モータ150は、前輪101に設けられたインホイールモータとして構成されている。第1走行用モータ150は、第1制御部190の制御下で駆動される。なお、第1走行用モータ150は、後輪102を回転させることによって、第1車両100を走行させてもよい。第1走行用モータ150は、インホイールモータとして構成されていなくてもよい。第1走行用モータ150がインホイールモータとして構成されていない場合、第1走行用モータ150は、例えば、収納部114の内側に設けられてもよい。
【0018】
第1制御部190は、CPUと、メモリと、入出力インターフェースとを備えたコンピュータとして構成されている。本実施形態では、第1制御部190は、アクセルレバーのアクセル開度に応じて第1走行用モータ150を制御することによって、第1車両100を走行させる。第1車両100に搭乗者DRが搭乗している状態で、第1車両100は、第2車両200を牽引しながら前方に向かって走行する。本実施形態では、第1車両100は、時速20キロメートルで走行することができる。なお、第1制御部190は、コンピュータではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0019】
図2に示すように、第2車両200は、無人搬送車として構成されている。無人搬送車とは、予め定められた走行経路に沿って自動操縦で走行するAGV(Automated Guided Vehicle)だけでなく、自らが決定した走行経路に沿って自動操縦で走行するAMR(Autonomous Mobile Robot)をも含む意味である。本実施形態では、第2車両200は、左右一対の車輪201を有する二輪の無人搬送車として構成されている。なお、第2車両200は、二輪の無人搬送車ではなく、例えば、一輪の無人搬送車として構成されてもよいし、左右一対の前輪と左右一対の後輪とを有する四輪の無人搬送車として構成されてもよい。
【0020】
本実施形態では、第2車両200は、上述した車輪201に加えて、第2車体部210と、第2バッテリ240と、第2走行用モータ250と、走行経路検出用センサ260と、障害物検出用センサ270と、第2制御部290とを備えている。なお、第2走行用モータ250のことを駆動部と呼ぶことがある。
【0021】
本実施形態では、第2車体部210は、箱状に構成されている。第2車体部210には、車輪201の車輪軸が接続されている。第2車体部210の内側には、第2バッテリ240と第2制御部290とが収納されている。
【0022】
第2バッテリ240には、例えば、鉛蓄電池や、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素充電池などの二次電池を用いることができる。なお、第2バッテリ240には、二次電池ではなく、一次電池が用いられてもよい。
【0023】
第2走行用モータ250は、第2バッテリ240を電源として、第2車両200を走行させるための駆動力Frを発生させる。本実施形態では、第2走行用モータ250は、車輪201を回転させることによって、第2車両200を走行させる。本実施形態では、第2走行用モータ250は、車輪201に設けられたインホイールモータとして構成されており、左右の車輪201に1つずつ設けられている。第2走行用モータ250は、第2制御部290の制御下で駆動される。なお、第2走行用モータ250は、インホイールモータとして構成されていなくてもよい。この場合、第2走行用モータ250は、例えば、第2車体部210の内側に設けられてもよい。
【0024】
走行経路検出用センサ260は、第2車両200の走行経路を検出するためのセンサである。本実施形態では、走行経路検出用センサ260は、第2車体部210の後端部に設けられているカメラ265に内蔵されたイメージセンサである。走行経路検出用センサ260は、路面RSに設けられた走行経路を表す目印を検出する。走行経路検出用センサ260は、第2車体部210の後端部に固定されたカメラ265に内蔵されている。走行経路検出用センサ260からの出力信号は、第2制御部290に送信される。
【0025】
障害物検出用センサ270は、第2車両200の走行経路上の障害物を検出するためのセンサである。本実施形態では、障害物検出用センサ270は、障害物検出用センサ270を中心とする所定エリア内の障害物を検出する測域センサである。障害物検出用センサ270は、第2車体部210の後端部に設けられている。障害物検出用センサ270からの出力信号は、第2制御部290に送信される。
【0026】
第2制御部290は、CPUと、メモリと、入出力インターフェースとを備えたコンピュータとして構成されている。本実施形態では、第2制御部290は、第2走行用モータ250を制御することによって、第2車両200を走行させる。第1車両100に搭乗者DRが搭乗していない状態で、第2車両200は、第1車両100を牽引しながら後方に向かって走行する。本実施形態では、第2車両200は、時速7キロメートルで走行することができる。第2制御部290は、左右の第2走行用モータ250を制御して、左右の車輪201の回転速度を異ならせることによって、第2車両200の進行方向を変更することができる。第2制御部290は、第2走行用モータ250を用いた回生ブレーキ、あるいは、第2走行用モータ250を用いた励磁方式の電磁ブレーキによって、第2車両200を減速させることができる。第2制御部290は、走行経路検出用センサ260からの出力信号を用いて生成された画像を解析することによって走行経路を検出しながら、走行経路に沿って第2車両200を走行させる。障害物検出用センサ270によって、走行経路上に障害物が検出された場合には、第2制御部290は、障害物との接触を回避するように第2車両200を迂回させる。なお、第2制御部290は、コンピュータではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0027】
図3は、本実施形態における連結器300の構成を示す側面図である。本実施形態では、連結器300は、第1連結部310と、第2連結部320と、第3連結部330と、付勢機構350とを有している。連結器300には、前方から後方に向かって、第1連結部310と第2連結部320と第3連結部330とがこの順で配置されている。
【0028】
第1連結部310の前端部は、ステップ部111の後端部に固定されている。本実施形態では、第1連結部310は、前後方向に沿って設けられた第1板部311と、第1板部311から上方に向かって突き出した第1壁部312とを有している。第1連結部310のうちのステップ部111との接続部分は、第1板部311に設けられている。
【0029】
第2連結部320は、第1連結部310に対して左右方向に沿った回転軸RX1を中心にして回転可能に、第1連結部310に接続されている。本実施形態では、第2連結部320は、前後方向に沿って設けられた第2板部321と、第2板部321から上方に向かって突き出した第2壁部322とを有している。第2連結部320のうちの第1連結部310との接続部分は、第2板部321に設けられている。
【0030】
第3連結部330は、第2連結部320に対して上下方向に沿った回転軸RX2を中心にして回転可能に、第2連結部320に接続されている。第3連結部330の後端部は、第2車体部210の前端部に固定されている。つまり、第3連結部330は、第2連結部320を第2車体部210に接続している。
【0031】
付勢機構350は、第1車両100の後部を上方に向けて付勢する。付勢機構350は、第1弾性部材351と、第1支持部352と、第2支持部353とを有している。本実施形態では、第1弾性部材351は、第1壁部312と第2壁部322との間に配置されている。第1弾性部材351は、前後方向に沿って伸縮する。本実施形態では、第1弾性部材351は、圧縮コイルバネによって構成されている。
【0032】
第1支持部352は、第1弾性部材351の前端部を支持している。本実施形態では、第1支持部352は、第1壁部312に設けられている。第1弾性部材351の前端部は、第1支持部352に固定されている。第2支持部353は、第1弾性部材351の後端部を支持している。本実施形態では、第2支持部353は、第2壁部322に設けられている。第1弾性部材351の後端部は、第2支持部353に固定されている。
【0033】
付勢機構350は、第1弾性部材351の変形によって第1連結部310に対して第2連結部320を相対回転させることで、後輪102が路面RSに接触している状態と後輪102が路面RSから離れている状態とを切り替える。図1に示すように、付勢機構350は、第1車両100に搭乗者DRが搭乗しているときには、搭乗者DRの重量によって第1弾性部材351を変形させて、後輪102を路面RSに接触させる。図2に示すように、付勢機構350は、第1車両100に搭乗者DRが搭乗していないときには、第1弾性部材351の弾性力によって後輪102を路面RSから離れさせる。付勢機構350が第1車両100の後部を持ち上げる力F1は、第1車両100の後軸重よりも大きい。第1車両100の後軸重とは、第1車両100の重量のうち、後輪102から路面RSに加えられる重量のことを意味する。本実施形態のように、第1車両100が2つの後輪102を有する場合には、第1車両100の後軸重は、各後輪102から路面RSに加えられる重量の和である。付勢機構350が第1車両100の後部を持ち上げる力F1は、第1車両100の後軸重と、搭乗者DRの重量として予め定められた重量のうちの後輪102から路面RSに加えられる重量との和よりも小さい。
【0034】
図4は、第1車両100に設けられたセルフセンタリング機構400の構成を示す第1の上面図である。図5は、セルフセンタリング機構400の構成を示す第2の上面図である。図4および図5には、セルフセンタリング機構400ともに、前輪101、フロントフォーク121の断面、および、メインパイプ112の断面が表されている。図4に示すように、セルフセンタリング機構400は、第1ブラケット411と、第2ブラケット412と、第3ブラケット413と、第2弾性部材420と、第3弾性部材430とを備えている。
【0035】
第1ブラケット411は、フロントフォーク121に対して前方に配置されている。本実施形態では、第1ブラケット411は、左右方向に沿って設けられている。第1ブラケット411の左端部は、フロントフォーク121に対して左方向に配置されており、第1ブラケット411の右端部は、フロントフォーク121に対して右方向に配置されている。第1ブラケット411は、例えば、ねじや溶接によって、フロントフォーク121に固定されている。なお、第1ブラケット411は、フロントフォーク121に対して後方に配置されてもよい。第1ブラケット411は、フロントフォーク121ではなく、ステアリングコラム122に固定されてもよい。
【0036】
第2ブラケット412は、メインパイプ112の左側面に配置されている。第3ブラケット413は、メインパイプ112の右側に配置されている。第2ブラケット412および第3ブラケット413は、例えば、ねじや溶接によって、メインパイプ112に固定されている。
【0037】
第2弾性部材420は、第1ブラケット411と第2ブラケット412との間に配置されている。第3弾性部材430は、第1ブラケット411と第3ブラケット413との間に配置されている。第2弾性部材420および第3弾性部材430は、前後方向に沿って伸縮する。本実施形態では、第2弾性部材420および第3弾性部材430は、引張コイルバネによって構成されている。第3弾性部材430は、第2弾性部材420と同種の引張コイルバネによって構成されている。つまり、第3弾性部材430のバネ定数は、第2弾性部材420のバネ定数と同じである。第2弾性部材420および第3弾性部材430は、前輪101を中心にして、左右対称に設けられている。第2弾性部材420の前端部は、第1ブラケット411の左端部に接続されており、第1ブラケット411よって支持されている。第2弾性部材420の後端部は、第2ブラケット412に接続されており、第2ブラケット412によって支持されている。第3弾性部材430の前端部は、第1ブラケット411の右端部に接続されており、第1ブラケット411よって支持されている。第3弾性部材430の後端部は、第3ブラケット413に接続されており、第3ブラケット413によって支持されている。
【0038】
図4に示すように、前輪101が前方を向いているとき、つまり、前後方向に平行な第1車両100の中心軸CLに沿うように前輪101のトレッド面が配置されているときには、第2弾性部材420の長さは、第2弾性部材420の自然長よりも長くなっており、第3弾性部材430の長さは、第3弾性部材430の自然長よりも長くなっている。前輪101の向きが前方を向いているときには、第2弾性部材420の弾性力F2によって前輪101に加えられる力のモーメントと第3弾性部材430の弾性力F3によって前輪101に加えられる力のモーメントとが釣り合っている。
【0039】
図5に示すように、下方を向いて視て時計回りに前輪101が回転することによって前輪101の向きが前方から逸れた場合には、第2弾性部材420が第1ブラケット411に引張られて伸び、第3弾性部材430が縮むので、第2弾性部材420の弾性力F2は、第3弾性部材430の弾性力F3よりも大きくなる。つまり、第2弾性部材420の弾性力F2によって前輪101に加えられる力のモーメントは、第3弾性部材430の弾性力F3によって前輪101に加えられる力のモーメントよりも大きくなる。そのため、前輪101は、第2弾性部材420の弾性力F2による力のモーメントと第3弾性部材430の弾性力F3による力のモーメントとを合成した合モーメントMによって、前方を向くように引き戻される。
【0040】
下方を向いて視て反時計回りに前輪101が回転することによって前輪101の向きが前方から逸れた場合には、第3弾性部材430の弾性力F3が第2弾性部材420の弾性力F2よりも大きくなるので、前輪101は、図5に示した向きとは反対向きの合モーメントMによって、前方を向くように引き戻される。
【0041】
図6は、第1車両100の電気的な構成を模式的に示す説明図である。図6には、第1車両100の各部を互いに接続する電源ケーブル141~144が実線で表されており、第1車両100の各部を互いに接続する信号ケーブル191~194が破線で表されている。本実施形態では、第1走行用モータ150には、第1モータドライバ155を介して、第1バッテリ140からの電力が供給される。第1モータドライバ155は、第1制御部190の制御下で、第1走行用モータ150を駆動させるための電力を第1走行用モータ150に供給する。第1モータドライバ155と第1走行用モータ150との間には、第1モータドライバ155と第1走行用モータ150との電気的な接続のオンオフを切り替える第1スイッチ157が設けられている。本実施形態では、第1スイッチ157は、第1制御部190の制御下で駆動される電磁開閉器によって構成されている。第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行しているとき、つまり、第1制御部190から第1走行用モータ150を駆動させる指令信号が出力されていないときには、第1制御部190は、第1スイッチ157によって、第1モータドライバ155と第1走行用モータ150との電気的な接続をオフにする。
【0042】
図7は、第2車両200の電気的な構成を模式的に示す説明図である。図7には、第2車両200の各部を互いに接続する電源ケーブル241~246が実線で表されており、第2車両200の各部を互いに接続する信号ケーブル291~295が破線で表されている。本実施形態では、第2走行用モータ250には、第2モータドライバ255を介して、第2バッテリ240からの電力が供給される。第2モータドライバ255は、第2制御部290の制御下で、第2走行用モータ250を駆動させるための電力を第2走行用モータ250に供給する。第2モータドライバ255と第2走行用モータ250との間には、第2モータドライバ255と第2走行用モータ250との電気的な接続のオンオフを切り替える第2スイッチ257が設けられている。本実施形態では、第2スイッチ257は、第2制御部290の制御下で駆動される電磁開閉器によって構成されている。搭乗者DRの操作によって第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行しているとき、つまり、第2制御部290から第2走行用モータ250を駆動させる指令信号が出力されていないときには、第2制御部290は、第2スイッチ257によって、第2モータドライバ255と第2走行用モータ250との電気的な接続をオフにする。なお、第2車両200には、左右一対の第2走行用モータ250と、左右一対の第2モータドライバ255と、左右一対の第2スイッチ257とが設けられている。図7では、技術の理解を容易にするために、左右のうちの一方の第2走行用モータ250と第2モータドライバ255と第2スイッチ257が図示されており、左右のうちの他方の第2走行用モータ250と第2モータドライバ255と第2スイッチ257の図示が省略されている。
【0043】
図8は、本実施形態における移動体50が用いられる様子を模式的に示す説明図である。図8には、一例として、自動車AMの製造工場内で移動体50が用いられる様子が表されている。より具体的には、自動車AMの検査ラインLNに沿って設けられた通路RTを検査員が移動するために移動体50が用いられる様子が表されている。検査ラインLNは、直線状に設けられている。検査ラインLNと通路RTとの間には、例えば、棚や装置などの周辺設備OBが配置されており、通路RTは、周辺設備OBを避けるようにS字状に設けられている。通路RTは、2つのコーナーC1,C2を有している。検査員は、検査ラインLNの始点SPにて検査対象の自動車AMに乗り込んで、自動車AMを検査しながら自動車AMとともに検査ラインLNの終点EPまで移動する。終点EPに到着した検査員は、通路RTを通って始点SPに戻る。検査ラインLNの終点EPの近傍には、移動体50の待機場所WPが設けられている。終点EPに到着した検査員は、自動車AMから移動体50の第1車両100に乗り換え、第2車両200を牽引しながら走行する第1車両100を運転して始点SPに戻る。検査員が第1車両100から降車した後、第2車両200が第1車両100を牽引しながら自動で走行して待機場所WPまで戻る。この例では、検査員が通路RTを徒歩で移動する場合に比べて、検査員が終点EPから始点SPまで戻るための時間を短縮することができるので、検査ラインLNに配置される検査員の人数を少なくすることができる。なお、他の例では、市街地で移動体50が用いられてもよい。例えば、ユーザが第2車両200を牽引しながら走行する第1車両100を運転して自宅から鉄道の駅やバスの停留所まで移動し、ユーザが第1車両100から降車した後、第2車両200が第1車両100を牽引しながら自動で走行してユーザの自宅まで戻ってもよい。
【0044】
以上で説明した本実施形態における移動体50によれば、付勢機構350は、図1に示したように第1車両100に搭乗者DRが搭乗しているときには、搭乗者DRの重量によって後輪102を路面RSに接触させるので、搭乗者DRの搭乗している第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときの第1車両100の姿勢を安定させることができる。さらに、付勢機構350は、図2に示したように第1車両100に搭乗者DRが搭乗していないときには、後輪102を路面RSから離れさせるので、第2車両200が搭乗者DRの搭乗していない第1車両100を牽引しながら走行するときに、後輪102が路面RSから受ける摩擦力によって第2車両200のコーナリングが阻害されることを抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、付勢機構350は、油圧システムやモータなどを用いずに、第1弾性部材351を用いて後輪102が路面RSに接触している状態と後輪102が路面RSから離れている状態とを切り替える。そのため、簡易な構成で、第1車両100への搭乗者DRの乗り降りによって自動的に、後輪102が路面RSに接触している状態と後輪102が路面RSから離れている状態とを切り替えることができる。特に、本実施形態では、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときには、第1車両100の後部が付勢機構350によって上方に付勢されているので、第1車両100の後部が上方に付勢されていない形態に比べて、駆動輪である前輪101が路面RSに強く押し付けられる。そのため、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときに、前輪101がホイールスピンすることを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、第1車両100は、前輪101が第1車両100の前方を向くように前輪101を付勢するセルフセンタリング機構400を備えている。そのため、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行しているときに、第1車両100の前輪101が左右に振動して第2車両200の走行が阻害されることを抑制できる。また、本実施形態では、フロントフォーク121の上端部がフロントフォーク121の下端部よりも後方に配置されることによって前輪101にキャスター角が付与されているので、第1車両100が第2車両200を牽引しながら前方に向かって走行するときの直進安定性を高めることができる。しかしながら、前輪101にキャスター角が付与されることによって、第2車両200が第1車両100を牽引しながら後方に向かって走行するときに前輪101の向きを前方から逸らせる力が働きやすくなる。第2車両200が第1車両100を牽引しながら後方に向かって走行するときに前輪101の向きが前方から逸れた場合、第2車両200が意図せずコーナリングすることがある。本実施形態では、セルフセンタリング機構400が設けられているので、第2車両200が意図せずコーナリングすることを抑制できる。また、例えば、セルフセンタリング機構400ではなく前輪101の向きを固定する手動式のロック機構が第1車両100に設けられた形態でも、前輪101が左右に振動して第2車両200の走行が阻害されることや、第2車両200が意図せずコーナリングすることを抑制できるが、手動式のロック機構では、搭乗者DRがロック機構の操作を怠る可能性がある。これに対して、本実施形態では、セルフセンタリング機構400は、第2弾性部材420の弾性力F2と第3弾性部材430の弾性力F3とを用いて、自動的に前輪101の向きを前方に向ける。そのため、簡易な構成で、自動的に、前輪101が左右に振動して第2車両200の走行が阻害されることや、第2車両200が意図せずコーナリングすることを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、第1車両100に設けられた前輪101の数は、1つである。そのため、第1車両100に複数の前輪が設けられた形態に比べて、第1車両100を軽量化できる。そのため、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行するときの、第2車両200の消費電力を低減できる。
【0048】
また、本実施形態では、第2車両200には、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときの第2走行用モータ250と第2モータドライバ255との電気的な接続をオフにするための第2スイッチ257が設けられている。そのため、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときに、第2走行用モータ250の回生ブレーキが働いて第1車両100の走行が阻害されることを抑制できる。さらに、本実施形態では、第1車両100には、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行するときの第1走行用モータ150と第1モータドライバ155との電気的な接続をオフにするための第1スイッチ157が設けられている。そのため、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行するときに、第1走行用モータ150の回生ブレーキが働いて第2車両200の走行が阻害されることを抑制できる。
【0049】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態における移動体50bに備えられた連結器300bの構成を示す側面図である。第2実施形態における移動体50bでは、第1弾性部材351bが圧縮コイルバネではなく、ねじりコイルバネであることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0050】
本実施形態では、第1弾性部材351bの一端を支持する第1支持部352bは、第1連結部310bの第1板部311に設けられている。第1弾性部材351bの他端を支持する第2支持部353bは、第2連結部320bの第2板部321に設けられている。なお、本実施形態では、第1連結部310bは、図3に示した第1壁部312を有しておらず、第2連結部320bは、図3に示した第2壁部322を有していない。
【0051】
以上で説明した本実施形態における移動体50bによれば、付勢機構350bは、第1実施形態と同様に、第1車両100に搭乗者DRが搭乗していないときには、後輪102を路面RSから離れさせるので、第2車両200が搭乗者DRの搭乗していない第1車両100を牽引しながら走行するときに、後輪102が路面RSから受ける摩擦力によって第2車両200のコーナリングが阻害されることを抑制できる。特に、本実施形態では、上下方向において、連結器300bを小型化できる。
【0052】
C.他の実施形態:
(C1)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第1車両100は、第1走行用モータ150を備えている。これに対して、第1車両100は、第1走行用モータ150を備えていなくてもよい。例えば、第1車両100は、搭乗者がペダルを回転させることによって走行する三輪の自転車として構成されてもよい。
【0053】
(C2)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第1車両100は、第1走行用モータ150によって走行する電動車両として構成されており、第2車両200は、第2走行用モータ250によって走行する電動車両として構成されている。これに対して、第1車両100と第2車両200とのうちの少なくとも一方は、電動車両ではなく、内燃機関を動力源として走行する車両として構成されてもよい。
【0054】
(C3)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第1車両100は、第1車両100に搭乗している搭乗者DRの操作によって走行する。これに対して、第1車両100は、第1車両100に搭乗している搭乗者DRの操作によらずに走行してもよい。例えば、第1車両100は、自動操縦によって走行してもよい。
【0055】
(C4)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、付勢機構350,350bの第1弾性部材351,351bは、バネによって構成されている。これに対して、第1弾性部材351,351bは、バネ以外の弾性部材によって構成されてもよい。例えば、第1弾性部材351,351bは、ゴム、あるいは、エラストマによって構成されてもよい。
【0056】
(C5)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第1車両100には、前輪101が第1車両100の前方を向くように操舵部120を付勢するセルフセンタリング機構400が設けられている。これに対して、第1車両100にセルフセンタリング機構400が設けられていなくてもよい。
【0057】
(C6)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、セルフセンタリング機構400の第2弾性部材420および第3弾性部材430は、バネによって構成されている。これに対して、第2弾性部材420および第3弾性部材430は、バネ以外の弾性部材によって構成されてもよい。例えば、第2弾性部材420および第3弾性部材430は、ゴム、あるいは、エラストマによって構成されてもよい。
【0058】
(C7)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、セルフセンタリング機構400は、第2弾性部材420と第3弾性部材430とを用いて、前輪101が第1車両100の前方を向くように操舵部120を付勢する。これに対して、セルフセンタリング機構400は、弾性部材ではなく、例えば、モータあるいは磁石などによって前輪101が第1車両100の前方を向くように操舵部120を付勢してもよい。
【0059】
(C8)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第1車両100には、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行しているときに、第1モータドライバ155と第1走行用モータ150との電気的な接続をオフにする第1スイッチ157が設けられている。これに対して、第1車両100に第1スイッチ157が設けられていなくてもよい。この場合、第2車両200が第1車両100を牽引しながら走行するときに、第1走行用モータ150の発生させる回生電力によって第1バッテリ140を充電することができるので、移動体50外に設けられた電源を用いて第1バッテリ140を充電するサイクルを長期化できる。
【0060】
(C9)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第2車両200には、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行しているときに、第2モータドライバ255と第2走行用モータ250との電気的な接続をオフにする第2スイッチ257が設けられている。これに対して、第2車両200に第2スイッチ257が設けられていなくてもよい。この場合、第1車両100が第2車両200を牽引しながら走行するときに、第2走行用モータ250の発生させる回生電力によって第2バッテリ240を充電することができるので、移動体50外に設けられた電源を用いて第2バッテリ240を充電するサイクルを長期化できる。
【0061】
(C10)上述した各実施形態の移動体50,50bでは、第2車両200は、イメージセンサを用いて取得される画像を解析することによって走行経路を検出する画像認識型の無人搬送車によって構成されている。これに対して、第2車両200は、画像認識型の無人搬送車以外の無人搬送車によって構成されてもよい。例えば、第2車両200は、電磁誘導型の無人搬送車、磁気誘導型の無人搬送車、あるいは、レーザ誘導型の無人搬送車として構成されてもよい。
【0062】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
50,50b…移動体、100…第1車両、101…前輪、102…後輪、110…第1車体部、120…操舵部、140…第1バッテリ、150…第1走行用モータ、155…第1モータドライバ、157…第1スイッチ、190…第1制御部、200…第2車両、201…車輪、210…第2車体部、240…第2バッテリ、250…第2走行用モータ、255…第2モータドライバ、257…第2スイッチ、260…走行経路検出用センサ、270…障害物検出用センサ、290…第2制御部、300,300b…連結器、310,310b…第1連結部、320,320b…第2連結部、330…第3連結部、350,350b…付勢機構、351,351b…第1弾性部材、400…セルフセンタリング機構、420…第2弾性部材、430…第3弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9