(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電子部品の実装構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20240820BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20240820BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240820BHJP
H01F 27/06 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H01G2/06 C
H01G2/06 500
H05K3/34 501D
H01F27/06 103
(21)【出願番号】P 2021162785
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】芹田 昇
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慶之
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011210(JP,A)
【文献】国際公開第2015/108151(WO,A1)
【文献】特開平07-045926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0217559(US,A1)
【文献】特開2005-276888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H01G 2/06
H05K 3/34
H01F 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に互いに離間して配置された一対のランドと、
前記ランドの上にそれぞれ配置された半田と、
長さ方向を有する部品本体及び当該部品本体の前記長さ方向の両端部に配置される一対の外部電極と、を有し、前記一対の外部電極のそれぞれが前記一対のランドに前記半田を介して接続される電子部品と、を備え、
前記一対のランドの離間方向をX方向とし、前記X方向と直交する方向をY方向とした場合において、
前記ランドの前記Y方向に沿った幅寸法をc、前記外部電極の前記X方向の寸法をe、前記ランドと前記外部電極とのギャップをGapとすると、下記式(1)を満たす、電子部品の実装構造。
3.4<(c×e)/Gap<258.8 …(1)
【請求項2】
下記式(2)を満たす、請求項1に記載の電子部品の実装構造。
9.0<(c×e)/Gap<48.2 …(2)
【請求項3】
前記ランドは、前記電子部品に対して、前記長さ方向で重畳する内側端縁及び前記長さ方向で重畳しない外側端縁を含み、
前記外部電極の前記長さ方向の端面と、前記ランドの前記外側端縁との間の前記基板の面内方向における距離が、0.02mm以上0.8mm以下である、請求項1または2に記載の電子部品の実装構造。
【請求項4】
前記一対のランドの間に、前記電子部品と前記基板とを接合する接着剤が配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品の実装構造。
【請求項5】
前記ランドは、前記電子部品に対して、前記長さ方向で重畳する内側端縁及び前記長さ方向で重畳しない外側端縁を含み、
前記外部電極の前記長さ方向の端面と、前記ランドの前記外側端縁との間の前記基板の面内方向における距離が、0.3mm以上1.6mm以下であり、
前記一対のランドの間に、前記電子部品と前記基板とを接合する接着剤が配置されている、請求項1または2に記載の電子部品の実装構造。
【請求項6】
前記ランドの前記内側端縁を含む端部は、当該端部への前記半田の付着を阻止する半田付着阻止物で覆われている、請求項
3または5に記載の電子部品の実装構造。
【請求項7】
前記半田付着阻止物は、レジストである、請求項6に記載の電子部品の実装構造。
【請求項8】
前記半田付着阻止物は、接着剤である、請求項6に記載の電子部品の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路を有する基板に、積層セラミックコンデンサやインダクタ等の2端子電子部品を半田付けにより実装することが行われている。特許文献1には、積層セラミックコンデンサの長さ方向両端部に設けられた一対の外部電極を、基板に設けられた一対の電極パッドにそれぞれ半田付けにより接続する実装構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような積層セラミックコンデンサの実装構造では、基板にたわみが生じることにより、外面における外部電極と積層体との境界を起点として電子部品の本体にクラックが生じる場合があり、対策の必要がある。
【0005】
そこで本発明は、基板にたわみが生じた際に電子部品にクラックが発生することを抑制できる電子部品の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板の上に互いに離間して配置された一対のランドと、前記ランドの上にそれぞれ配置された半田と、長さ方向を有する部品本体及び当該部品本体の前記長さ方向の両端部に配置される一対の外部電極と、を有し、前記一対の外部電極のそれぞれが前記一対のランドに前記半田を介して接続される電子部品と、を備え、前記一対のランドの離間方向をX方向とし、前記X方向と直交する方向をY方向とした場合において、前記ランドの前記Y方向に沿った幅寸法をc、前記外部電極の前記X方向の寸法をe、前記ランドと前記外部電極とのギャップをGapとすると、下記式(1)を満たす、電子部品の実装構造である。
3.4<(c×e)/Gap<258.8 …(1)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板にたわみが生じた際に電子部品にクラックが発生することを抑制できる電子部品の実装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る実装構造に適用される電子部品としての積層セラミックコンデンサの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る実装構造を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る実装構造の要部を示す一部拡大断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る実装構造を示す平面図である。
【
図7】実施例の試験方法を模式的に示す側面図である。
【
図8】実施例の結果に基づくたわみ量と(c×e)/Gapとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ10を示している。第1実施形態は、積層セラミックコンデンサ10を基板に実装する構造の一形態である。
【0010】
積層セラミックコンデンサ10は、全体として略直方体形状を有する。積層セラミックコンデンサ10は、部品本体11と、一対の外部電極16と、を備えている。
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ10及び部品本体11は、共通する長さ方向Lと、長さ方向Lに直交する幅方向Wと、長さ方向L及び幅方向Wに直交する厚み方向Tと、をそれぞれ有する。
【0011】
積層セラミックコンデンサ10の寸法としては、例えば、長さ方向Lが0.2mm以上1.7mm以下、幅方向Wが0.12mm以上0.9mm以下、厚み方向Tが0.12mm以上0.9mm以下といった寸法が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0012】
部品本体11は、厚み方向Tにおいて相対する一対の主面17aと、幅方向Wにおいて相対する一対の側面17bと、長さ方向Lにおいて相対する一対の端面17cと、を有する。
【0013】
部品本体11は、その内部に、内層部12を有する。内層部12は、図示しない複数の内部電極層及び複数の内層誘電体セラミック層が厚み方向Tに交互に積層された多層化構造を有する。内層部12の幅方向Wの両側及び厚み方向Tの両側の4面は、上記誘電体セラミック層と同様の材料からなる外層誘電体セラミック層13で覆われている。
【0014】
内層部12を構成する上記内部電極層は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料により形成されるが、これらの金属材料に限られず、他の導電材料で形成されてもよい。
【0015】
内層部12を構成する上記内層誘電体セラミック層及び外層誘電体セラミック層13は、例えば、チタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料や、他の高誘電率のセラミックス材料(例えば、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3等を主成分とするもの)が焼成されて形成される。
【0016】
一対の外部電極16は、部品本体11の長さ方向Lの両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極16は、部品本体11の一対の端面17cをそれぞれ覆っている。内層部12における複数の内部電極層においては、厚み方向Tに隣り合う内部電極層のうちの一方側が一方の外部電極16に接続され、他方側が他方の外部電極に接続されている。一対の外部電極16のそれぞれは、長さ方向Lの端面16aを有している。
【0017】
外部電極16は、例えば、焼結金属層とめっき層との積層膜により構成される。焼結金属層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等のペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、例えば、Niめっき層とこれを覆うSnめっき層とにより構成される。
【0018】
積層セラミックコンデンサ10は、例えば、部品本体11が焼成された後、一対の外部電極16が焼き付けやめっき等により形成されて製造される。外部電極16の一部が部品本体11と同時に焼成され、その後、外部電極16の例えばめっき層が後で形成される場合もある。
【0019】
図2及び
図3は、基板20に積層セラミックコンデンサ10を実装した第1実施形態に係る実装構造1を示している。
図2は実装構造1の平面図、
図3は
図2のIII-III断面図である。この実装構造1は、基板20と、基板20の上に互いに離間して配置された一対のランド30と、各ランド30の上にそれぞれ配置された半田40と、積層セラミックコンデンサ10と、を備える。積層セラミックコンデンサ10は、半田付けにより基板20に実装される。
【0020】
基板20は、例えば、樹脂、ガラス、ガラスエポキシ、紙フェノール、セラミックス等の絶縁材料からなる材料によりシート状に形成されている。基板20の表面20aは、矩形状の実装領域20bを残してソルダーレジストによる絶縁膜22で被覆されている。
【0021】
基板20の表面20aには、配線33が形成されている。配線33は実装領域20bで離間部21を間に挟んで不連続の状態となっており、離間部21の両側に、配線33が絶縁膜22で被覆されない部分である一対のランド30が露出している。一対のランド30は、実装領域20bで露出する配線33の一部である。一対のランド30は、X方向に互いに離間して基板20の表面20aに配置されている。
【0022】
ランド30を含む配線33は、例えば、Cu、Ag等の高導電性の金属を基板20の表面20aに成膜することにより形成されている。一対のランド30のそれぞれは、
図2に示すように平面視が矩形状の形状であって、互いにほぼ同じ形状及び寸法を有する。一対のランド30のそれぞれは、X方向と直交するY方向の位置が互いに同じとなるようにX方向に並列している。一対のランド30のそれぞれは、X方向において離間部21側の内側端縁31と、離間部21と反対側の外側端縁32と、を有する。外側端縁32は、絶縁膜22とランド30との境界部分である。内側端縁31及び外側端縁32は、いずれもY方向に延びている。
【0023】
基板20に実装された積層セラミックコンデンサ10は、長さ方向LがX方向にほぼ沿っており、幅方向WがY方向にほぼ沿っており、厚み方向Tが基板20の表面20aに直交する上下方向Zにほぼ沿っている。これにより、部品本体11の一方の主面17aが基板20の表面20aにほぼ平行に対向する。積層セラミックコンデンサ10は、一方の外部電極16が一方のランド30に半田40を介して接続され、他方の外部電極16が他方のランド30に半田40を介して接続されている。各外部電極16の端面16aは、いずれも半田40でほぼ覆われる。積層セラミックコンデンサ10は、幅方向Wの中央が、各ランド30の幅方向Wの中央に一致するように配置されている。
【0024】
図2に示すように、各外部電極16の端面16aは、ランド30の外側端縁32よりも内側端縁31の側に位置している。したがって、各ランド30は、積層セラミックコンデンサ10に対して、長さ方向Lで重畳する内側端縁31及び長さ方向Lで重畳しない外側端縁32を含んでいる。
【0025】
図4に示すように、一対の外部電極16は、いずれも、部品本体11の端面17cを覆う平板状の端面被覆部16bと、端面被覆部16bから長さ方向Lの内側である部品本体11の側に屈曲して延在し、一対の主面17a及び一対の側面17bを覆う角筒状の屈曲部16cと、を含む。基板20に対向する部品本体11の一方の主面17aを覆う屈曲部16cが、ランド30に半田40を介して接続されている。
【0026】
半田40は、各外部電極16及び各ランド30に適合する特性を有するものであれば特にその種類は限定されず、例えば、Sn-Pb系半田40、Sn-Ag-Cu系半田40、Sn-Cu系半田40、Sn-Bi系半田40等であってよい。
【0027】
図4に示すように、ランド30と、ランド30に対向する外部電極16の屈曲部16cとの間には、ギャップGapが形成される。このギャップGapは、ランド30と外部電極16の屈曲部16cとの間に介在する半田40の厚みに応じた量となる。半田40は、外部電極16とランド30との間のギャップGapを隙間なく埋めている。
【0028】
図2~
図4に示すように、第1実施形態の実装構造1においては、ランド30のY方向に沿った幅寸法をc、外部電極16のX方向の寸法をe、ランド30と外部電極16の屈曲部16cとのギャップをGapとすると、下記式(1)を満たすものとなっており、好ましくは、下記式(2)を満足するとよい。
3.4<(c×e)/Gap<258.8 …(1)
9.0<(c×e)/Gap<48.2 …(2)
【0029】
また、c/eは、0.5以上4以下が好ましい。
【0030】
第1実施形態において、半田40による半田付けは、リフローにより行うことができる。すなわち積層セラミックコンデンサ10を基板20にリフロー実装することができる。リフロー実装の場合、予めペースト状の半田材料をランド30に塗布しておくため、半田40の配置領域は比較的小さくてよい。例えば、外部電極16の端面16aと、ランド30の外側端縁32との間の基板20の面内方向における距離D1は、幅方向Wの寸法が0.8mmのとき、0.8mmである。なお、D1は、0.02mm以上0.8mm以下が好ましい。つまりは、D1は幅方向寸法W/2~Wが好ましい。なお、一対の側面17bに外部電極16が形成されていない場合、さらにD1を小さくすることが可能で、幅方向寸法Wが0.3mm~0.8mmまでのときは、0.02mm以上0.05mmとすることができる。つまりは、幅方向寸法1.1Wが好ましい。
【0031】
第1実施形態に係る実装構造1においては、基板20にたわみが生じるなどに起因して積層セラミックコンデンサ10に応力がかかると、
図4に示す外部電極16の屈曲部16cの端縁と部品本体11との境界部分15を起点として、部品本体11にクラックが生じやすい。しかし、第1実施形態に係る実装構造1では、上記(1)式を満たすことにより、境界部分15に応力がかかりにくくなり、クラックの発生を抑制することができる。上記(2)式を満たすことにより、境界部分15に応力が一層かかりにくくなり、クラック抑制効果をさらに顕著に得ることができる。
【0032】
以上説明した第1実施形態に係る実装構造1は、基板20の上に互いに離間して配置された一対のランド30と、ランド30の上にそれぞれ配置された半田40と、長さ方向Lを有する部品本体11及び部品本体11の長さ方向Lの両端部に配置される一対の外部電極16と、を有し、一対の外部電極16のそれぞれが一対のランド30に半田40を介して接続される電子部品としての積層セラミックコンデンサ10と、を備え、一対のランド30の離間方向をX方向とし、X方向と直交する方向をY方向とした場合において、ランド30のY方向に沿った幅寸法をc、外部電極16のX方向の寸法をe、ランド30と外部電極16とのギャップをGapとすると、下記式(1)を満たす。
3.4<(c×e)/Gap<258.8 …(1)
【0033】
これにより、基板20にたわみが生じた際に積層セラミックコンデンサ10にクラックが発生することを抑制できる。
【0034】
第1実施形態に係る実装構造1においては、下記式(2)を満たすことが好ましい。
9.0<(c×e)/Gap<48.2 …(2)
【0035】
これにより、クラック抑制効果をさらに顕著に得ることができる。
【0036】
第1実施形態に係る実装構造1において、ランド30は、積層セラミックコンデンサ10に対して、長さ方向Lで重畳する内側端縁31及び長さ方向Lで重畳しない外側端縁32を含み、外部電極16の長さ方向Lの端面16aと、ランド30の外側端縁32との間の基板20の面内方向における距離D1が、0.02mm以上0.8mm以下であってよい。
【0037】
これにより、リフロー実装による半田付けを的確に行うことができつつ、ランド30を必要最低限の大きさに抑えることができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、
図5及び
図6を参照しながら第2実施形態について説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態の一部を変更したものである。したがって参照図面において第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明は省略し、主に相違点のみを説明する。
【0039】
図5は第2実施形態に係る実装構造2の平面図、
図6は
図5のVI-VI断面図である。この実装構造2においては、一対のランド30の間に、積層セラミックコンデンサ10の部品本体11と基板20とを接合する接着剤50が配置されている。接着剤50は離間部21のほぼ中央に配置されている。
【0040】
また、接着剤50のX方向の両側には、半田付着阻止物60がそれぞれ配置されている。
図6に示すように、側方から見た場合、半田付着阻止物60は、積層セラミックコンデンサ10、ランド30、基板20及び接着剤50によって囲まれる空間を埋めている。これにより、各ランド30の内側端縁31を含む端部31aは、この端部31aへの半田40の付着を阻止する半田付着阻止物60で覆われている。また、上記境界部分15が、半田付着阻止物60で覆われている。
【0041】
接着剤50としては、例えば、エポキシ系の樹脂接着剤等が用いられる。また、半田付着阻止物60としては、例えば、レジストや接着剤を用いることができる。半田付着阻止物60としてのレジストや接着剤は、エポキシ系の樹脂接着剤を用いることができる。したがって、接着剤50及び半田付着阻止物60を、エポキシ系樹脂接着剤により一体に形成してもよい。
【0042】
第2実施形態では、半田40による半田付けは、半田40の吹き付けによるフローによって行うことができる。すなわち積層セラミックコンデンサ10を基板20にフロー実装することができる。フロー実装の場合、半田40を吹き付ける領域はリフローの場合よりも広く設定しておくことが好ましい。したがって、
図5に示すように、外部電極16の端面16aと、ランド30の外側端縁32との間の基板20の面内方向における距離D2は、第1実施形態よりも長く、幅方向Wの寸法が0.3mmのとき、0.3mm以上0.6mm以下であり、幅方向Wの寸法が0.8mmのとき、0.8mm以上1.6mm以下であり、幅方向Wの寸法の大きさからその2倍の大きさまでが好ましい。とすることが好ましい。
【0043】
第2実施形態の実装構造2において、半田付着阻止物60は積層セラミックコンデンサ10を実装する前の段階で設けられ、積層セラミックコンデンサ10を実装する際に、接着剤50で積層セラミックコンデンサ10を基板20に接着することが行われる。したがってギャップGapは、外部電極16とランド30との間に存在する半田付着阻止物60の厚みに応じた量となる。接着剤50により、積層セラミックコンデンサ10が基板20から落下しないようにしてフロー実装を行うことができる。
【0044】
第2実施形態に係る実装構造2においては、一対のランド30の間に、積層セラミックコンデンサ10と基板20とを接合する接着剤50が配置されている。
【0045】
第2実施形態によれば、接着剤50により積層セラミックコンデンサ10を基板20に接着して基板20から落下しない状態とした後に、半田40によって基板20に積層セラミックコンデンサ10を実装することができる。これにより、実装時における基板20の設置姿勢の自由度が高くなり、実装を容易に行うことができる。
【0046】
第2実施形態に係る実装構造2において、ランド30は、積層セラミックコンデンサ10に対して、長さ方向Lで重畳する内側端縁31及び長さ方向Lで重畳しない外側端縁32を含み、外部電極16の長さ方向Lの端面16aと、ランド30の外側端縁32との間の基板20の面内方向における距離D1が、0.3mm以上1.6mm以下であり、一対のランド30の間に、積層セラミックコンデンサ10と基板20とを接合する接着剤50が配置されている。
【0047】
これにより、フロー実装による半田付けを的確に行うことができつつ、ランド30を必要最低限の大きさに抑えることができる。
【0048】
第2実施形態に係る実装構造2においては、ランド30の内側端縁31を含む端部31aは、この端部31aへの半田40の付着を阻止する半田付着阻止物60で覆われていることが好ましい。半田付着阻止物60としては、レジストあるいは接着剤を用いることができる。
【0049】
これにより、ランド30と外部電極16との間のギャップGapを半田付着阻止物60で確保することができるとともに、そのギャップGapの量を半田付着阻止物60の厚みで調整することが容易にでき、結果として半田40の厚みによる接合強度を適切に調整できる。また、外部電極16と部品本体11との境界部分15を半田付着阻止物60で覆って半田40がこの境界部分15に到達しない状態とすれば、クラックが積層セラミックコンデンサ10に発生することを一層抑制することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0051】
例えば、第1実施形態の実装構造1において、第2実施形態のように積層セラミックコンデンサ10と基板20との間に接着剤50を配置して積層セラミックコンデンサ10と基板20とを接合してもよい。
リフロー実装を採用して第2実施形態の実装構造2を得ることも可能である。その場合は、接着剤50を用いず、実装前の段階でハンダ付着阻止物60のみを設けた構造としてよい。接着剤50を用いない場合は、
図6の接着剤50の部分を空洞の状態としてもよく、接着剤50の部分もハンダ付着阻止物60で埋めるようにしてもよい。
【0052】
上記実施形態での積層セラミックコンデンサ10は電子部品の一例であり、電子部品としてはこれに限定されず、インダクタ等の他の2端子電子部品も適用可能である。例えばインダクタの場合の部品本体は、磁性体セラミックス等で構成される。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例について説明する。
第1実施形態に示した実装構造1と実質的に同様の構成を有する実装構造において、基板20がたわんで積層セラミックコンデンサ10の部品本体11にクラックが生じる応力を135MPaと仮定した。基板20をたわませる応力が135MPaに到達した時点における(c×e)/Gapの値を仮想的に求めた。その結果を表1に示す。
【0054】
なお、
図7に示すように、積層セラミックコンデンサ10を実装した基板20を、積層セラミックコンデンサ10を下側に配置して長さ方向Lにおける両端を支持した状態で、両端間の中央部を上方から加圧して基板20をたわませた際の、中央部の下方への変位量を、たわみ量(mm)と定義する。実施例では、たわみ量が1mm、2mm、3mm、4mmのそれぞれの場合における(c×e)/Gapを求めた。
【0055】
【0056】
図8に示すように、表1に基づいて基板20のたわみ量が1mm、2mm、3mm、4mmのそれぞれの場合における(c×e)/Gの値をプロットした。
図8の曲線Aは、当該プロットから求めたたわみ量と(c×e)/Gapとの関係を示している。
【0057】
基板のたわみ量が1mm以上2mm以下の場合においても積層セラミックコンデンサにクラックが発生しない実装構造とするには、
図8より、「9.0<(c×e)/Gap<48.2」であることが求められる。また、これよりもたわみ量が許容されて、基板のたわみ量が0.5mm以上3mm以下であってもよい場合には、
図8より、「3.4<(c×e)/Gap<258.8」に設定されるとよい。
【0058】
これらの結果から、(c×e)/Gapは、3.4<(c×e)/Gap<258.8であることが好ましく、9.0<(c×e)/Gap<48.2であればより好ましいことがわかる。
【符号の説明】
【0059】
1、2 実装構造
10 積層セラミックコンデンサ(電子部品)
11 部品本体
16 外部電極
16a 外部電極の端面
20 基板
30 ランド
31 ランドの内側端縁
31a ランドの端部
32 ランドの外側端縁
40 半田
50 接着剤
60 半田付着阻止物