(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】タンク保持装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20240820BHJP
B60K 15/07 20060101ALI20240820BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240820BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
B60K15/07
H01M8/04 J
H01M8/04 N
(21)【出願番号】P 2021165554
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 学
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-089828(JP,U)
【文献】特開2004-284540(JP,A)
【文献】特開2009-046000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
B60K 15/07
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクを締め付けるためのバンドを備えたタンク保持装置であって、
前記バンドは、
前記タンクの外周に沿って延びる帯状の基部と、
前記基部の長手方向と直交する幅方向の両側からそれぞれ突出し、前記タンクの外周面と当接した状態で弾性変形することにより前記タンクの外周面に押圧力を付与する複数の押圧部と、
を備え、
各押圧部は、前記基部から離れる方向に突出する第1押圧部と、前記基部に近づくように折り返されて前記タンクの外周面と当接する第2押圧部と、を有することを特徴とするタンク保持装置。
【請求項2】
各押圧部は、前記第1押圧部と前記第2押圧部との間に形成され、前記第1押圧部及び前記第2押圧部を連結する平板状の折り返し部を更に有する請求項1に記載のタンク保持装置。
【請求項3】
各押圧部は、前記基部から突出する突出片であり、
前記突出片には、前記第1押圧部及び前記第2押圧部を形成するための、前記基部の長手方向に沿う第1切り込み部と前記第1切り込み部の末端から前記基部の幅方向に沿う第2切り込み部とが設けられている請求項2に記載のタンク保持装置。
【請求項4】
前記基部の長手方向を前記押圧部の幅方向としたとき、
前記押圧部は、前記第1押圧部における前記基部と連結する部分から、前記第2押圧部における前記タンクの外周面と当接する部分に向かって縮幅され、且つ、
前記第1押圧部における前記折り返し部と連結する部分の幅と、前記第2押圧部における前記折り返し部と連結する部分の幅とは等しい請求項2又は3に記載のタンク保持装置。
【請求項5】
前記基部の長手方向を前記押圧部の幅方向としたとき、
前記押圧部は、複数種類であり、
前記基部の長手方向に隣接する押圧部同士は、前記第1押圧部における前記基部と連結する部分の幅が異なる請求項1~4のいずれか一項に記載のタンク保持装置。
【請求項6】
前記基部の両側に配置された押圧部同士は、前記基部に対して対称となっている請求項1~4のいずれか一項に記載のタンク保持装置。
【請求項7】
前記基部の長手方向に隣接する押圧部同士は、前記第1押圧部同士が隣り合うように配置されている請求項1~6のいずれか一項に記載のタンク保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク保持装置として、例えば下記特許文献1に記載のように、タンク収納用凹部を有する支持部材に円筒状のタンクを設置し、該支持部材の反対側において帯状のバンドでタンクを締め付けることによりタンクを保持するものが知られている。バンドは、その一端部がボルトで支持部材に固定され、他端部がコイルばねにより付勢された状態で支持部材に固定されることで、タンクの外周面に押圧する。このような構造を有するタンク保持装置を用いてタンクを固定する際に、タンクの軸振れを抑えるため、タンクの長手方向の左右両端にバンドを1本ずつ、且つ、なるべくタンクの左右両端に近い位置にバンドを配置することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、コイルばねの代わりに板バネ構造を有するバンドを用いてタンクを保持することが検討されている。板バネ構造を有するバンドを用いた場合、タンクの径方向における寸法のバラツキと内圧による寸法の変化を吸収してタンクを保持するために、板バネのストロークに対する板バネの反力変化を小さくする必要がある。このため、板バネの長さを長くする必要がある。しかし、板バネの長さを長くすると、バンドの幅が大きくなり、バンドの配置位置をタンクの左右両端から内側にずらす必要があるので、バンドによるタンクの軸振れを抑える効果を低下させる問題がある。
【0005】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、バンドの幅の増大を抑えることができるタンク保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタンク保持装置は、タンクを締め付けるためのバンドを備えたタンク保持装置であって、前記バンドは、前記タンクの外周に沿って延びる帯状の基部と、前記基部の長手方向と直交する幅方向の両側からそれぞれ突出し、前記タンクの外周面と当接した状態で弾性変形することにより前記タンクの外周面に押圧力を付与する複数の押圧部と、を備え、各押圧部は、前記基部から離れる方向に突出する第1押圧部と、前記基部に近づくように折り返されて前記タンクの外周面と当接する第2押圧部と、を有することを特徴としている。
【0007】
本発明に係るタンク保持装置では、各押圧部は、基部から離れる方向に突出する第1押圧部と、基部に近づくように折り返されてタンクの外周面と当接する第2押圧部とを有する。このように押圧部を折り返し構造とすることで、バンドの幅を小さくすることができる。その結果、バンドの幅の増大を抑えることができる。
【0008】
本発明に係るタンク保持装置において、各押圧部は、前記第1押圧部と前記第2押圧部との間に形成され、前記第1押圧部及び前記第2押圧部を連結する平板状の折り返し部を更に有することが好ましい。このようにすれば、第1押圧部及び第2押圧部を容易に形成できるとともに、押圧部に用いられる材料を有効に利用することができる。
【0009】
本発明に係るタンク保持装置において、各押圧部は、前記基部から突出する突出片であり、前記突出片には、前記第1押圧部及び前記第2押圧部を形成するための、前記基部の長手方向に沿う第1切り込み部と前記第1切り込み部の末端から前記基部の幅方向に沿う第2切り込み部とが設けられていることが好ましい。このようにすれば、第1押圧部及び第2押圧部を容易に形成できるとともに、押圧部に用いられる材料の使用量を削減することができる。
【0010】
本発明に係るタンク保持装置において、前記基部の長手方向を前記押圧部の幅方向としたとき、前記押圧部は、前記第1押圧部における前記基部と連結する部分から、前記第2押圧部における前記タンクの外周面と当接する部分に向かって縮幅され、且つ、前記第1押圧部における前記折り返し部と連結する部分の幅と、前記第2押圧部における前記折り返し部と連結する部分の幅とは、等しいことが好ましい。このようにすれば、第1押圧部における基部と連結する部分への応力集中を緩和することができるので、押圧部の耐久性を向上することができ、更に押圧部に用いられる材料を有効に利用することができる。
【0011】
本発明に係るタンク保持装置において、前記基部の長手方向を前記押圧部の幅方向としたとき、前記押圧部は、複数種類であり、前記基部の長手方向に隣接する押圧部同士は、前記第1押圧部における前記基部と連結する部分の幅が異なることが好ましい。このようにすれば、押圧部の固有振動数を複数にすることで、共振の際の振動エネルギを小さくし、タンクの振動を抑制することができる。
【0012】
本発明に係るタンク保持装置において、前記基部の両側に配置された押圧部同士は、前記基部に対して対称となっていることが好ましい。このようにすれば、バンドによるタンクへの回転する力を低減することができる。
【0013】
本発明に係るタンク保持装置において、前記基部の長手方向に隣接する押圧部同士は、前記第1押圧部同士が隣り合うように配置されていることが好ましい。このようにすれば、バンドによるタンクへの回転する力を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バンドの幅の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るタンク保持装置を示す平面図である。
【
図7】第2実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図である。
【
図9】第3実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図である。
【
図11】第4実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係るタンク保持装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複説明を省略する。また、以下の説明において、上下、左右の各方向は、例えば図面に表示された状態に対応する便宜的な方向であって、タンク保持装置の姿勢や配置を限定するものではない。
【0017】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係るタンク保持装置を示す平面図であり、
図2は
図1のA-A線に沿う断面図である。
図3は
図1のB-B線に沿う断面図である。
図1~
図3において、タンク保持装置の構造をより理解しやすくするため、タンク保持装置により保持されたタンクも示している。本実施形態のタンク保持装置10は、例えば燃料電池自動車(図示せず)に搭載された水素タンク1を保持するとともに、該水素タンク1を燃料電池自動車の車体に固定するための装置である。タンク保持装置10の説明に先立ち、水素タンク1の構造を簡単に説明する。
【0018】
[水素タンク]
図2に示すように、水素タンク1は、両端がドーム状に丸みを帯びた略円筒形状の容器であって、高圧水素を貯留するための貯留空間を有するライナー2と、該ライナー2の外周面に密着して設けられた補強層4とを備えている。ライナー2は、円筒状の胴体部2aと、胴体部2aの左右両端にそれぞれ設けられた略半球状のドーム部2bとを有する。2つのドーム部2bの頂部には開口部がそれぞれ形成され、これらの開口部には金属製の口金3がそれぞれ内挿されている。
【0019】
ライナー2は、例えば水素ガスに対してガスバリア性を有する樹脂材料により形成されている。ここでの樹脂材料として、例えばポリアミド、ポリエチレン、及びエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリエステル等の熱可塑性樹脂や、エポキシ等の熱硬化性樹脂が挙げられる。口金3は、例えばアルミニウムなどの金属材料によって形成されている。口金3にはバルブなどの部材が装着される。補強層4は、例えば熱硬化性樹脂が含浸された繊維をライナー2の外周面に複数巻回することにより形成されている。繊維は、例えばカーボン繊維、ガラス繊維やアラミド繊維などをプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料で形成されている。
【0020】
このような構造を有する水素タンク1は、水素タンク1の軸L方向(すなわち、水素タンク1の長手方向)の左右両端において、タンク保持装置10に保持されている。上述したように、水素タンク1の軸振れを抑えるため、なるべく水素タンク1の左右両端(より詳細的には、胴体部2aの左右両端)に近い位置にタンク保持装置10のバンドを配置することが望ましい。なお、本実施形態において、軸振れとは、振動等によって水素タンク1の軸Lがずれることを意味する。
【0021】
[タンク保持装置]
タンク保持装置10は、上下一対の保持部材(第1保持部材11a、第2保持部材11b)を備えており、これらの保持部材を用いて水素タンク1を保持する。具体的には、タンク保持装置10は、第1保持部材11aが水素タンク1の上側半周、第2保持部材11bが水素タンク1の下側半周にそれぞれ配置された状態で、第1保持部材11a及び第2保持部材11bの端部同士を締結部材40で締結することにより水素タンク1を締め付けて保持する。
【0022】
第1保持部材11a及び第2保持部材11bは、同じ構造を有する部材であり、ともに、帯状のバンド13とバンド13の両端部に配置された補強板12とで構成されている。
【0023】
図1に示すように、補強板12は、例えば所定の幅を有する金属板からなる。補強板12の幅は、バンド13の幅と略同じである。
図3に示すように、補強板12は、外側(
図3では、バンド13の上側及び下側)からバンド13の端部を押えるように、バンド13の端部と重なって配置されている。そして、補強板12の水素タンク1側の端部12cは、バンド13の湾曲形状に合わせて外方に反るように円弧状に形成されている。このようにすることで、補強板12の端部12cによるバンド13への干渉を抑制し、端部12cがバンド13を傷付けることを防止する効果を奏する。
【0024】
補強板12には、比較的小さい貫通孔12aと比較的大きい貫通孔12bとが設けられている。貫通孔12aは、第1保持部材11aと第2保持部材11bとを締結する締結部材40が挿通される孔である。締結部材40は、例えばボルトとナットからなる。一方、貫通孔12bは、タンク保持装置10を例えば車体構造部材に固定するためのボルト等が挿通される孔であり、貫通孔12aよりも水素タンク1側に配置されている。車体構造部材は、例えば燃料電池自動車のサイドメンバやフロアパネル等である。
【0025】
バンド13は、水素タンク1を締め付けるための部材であって、水素タンク1の径方向の寸法のバラツキと内圧による寸法の変化(すなわち、ガスの充填及び放出による水素タンク1の膨張及び収縮)に吸収しつつ水素タンク1を保持できるように、板バネ構造を有するように構成されている。このバンド13は、帯状の基部14と、基部14の幅方向において該基部14の両側(
図1では、基部14の左右両側)からそれぞれ突出する4種類の押圧部(押圧部15~18)とを備えている。なお、基部14の幅方向は、すなわち基部14の長手方向と直交する方向であり、バンド13の幅方向でもある。
【0026】
基部14は、水素タンク1の外周に沿って延びており、幅が比較的に広い幅広部と、幅が比較的に狭い幅狭部とを有する。幅広部は、基部14の両端部を構成する部分であって、上記補強板12と重なる部分である。幅狭部は、幅広部同士の間の部分であって、水素タンク1を保持する際に水素タンク1の外周面に沿う部分である。また、図示しないが、基部14の幅広部において、補強板12の貫通孔12a及び貫通孔12bにそれぞれ対応する位置には、該幅広部を貫通する貫通孔がそれぞれ設けられている。
【0027】
図4はバンドを示す部分斜視図であり、
図5はバンドを示す部分平面図であり、
図6は
図5のC-C線に沿う断面図である。
図4及び
図5に示すように、押圧部15~18は、それぞれ複数であり、基部14の幅狭部から左側又は右側に延び、水素タンク1の外周面と当接した状態で弾性変形することにより水素タンク1の外周面に押圧力を付与可能に形成されている。
【0028】
具体的には、押圧部15は、基部14の左側から突出するとともに、該基部14から離れるように左斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部151と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部152と、第1押圧部151と第2押圧部152との間に形成され、第1押圧部151及び第2押圧部152を連結する平板状の折り返し部153とを有する。
【0029】
押圧部15は、基部14と同じ厚さを有する。そして、基部14の長手方向を押圧部15の幅方向としたとき、押圧部15は、第1押圧部151における基部14と連結する部分から折り返し部153にかけて、更に第2押圧部152における水素タンク1の外周面と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。より具体的には、
図5に示すように、第1押圧部151における基部14と連結する部分の幅w1は、第1押圧部151における折り返し部153と連結する部分の幅w2よりも大きく、第2押圧部152における折り返し部153と連結する部分の幅w3は、第2押圧部152における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w4よりも大きい。そして、第1押圧部151における折り返し部153と連結する部分の幅w2は、第2押圧部152における折り返し部153と連結する部分の幅w3と等しい。
【0030】
また、押圧部15において、第1押圧部151における基部14と連結する部分の幅w1、及び、第2押圧部152における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w4の和(w1+w4)は、第1押圧部151における折り返し部153と連結する部分の幅w2、及び、第2押圧部152における折り返し部153と連結する部分の幅w3の和(w2+w3)と略等しい。
【0031】
また、折り返し部153において、第1押圧部151と連結する部分(すなわち、幅w2を有する部分)と、第2押圧部152と連結する部分(すなわち、幅w3を有する部分)との間には、応力集中回避用の孔154が設けられている。この孔154は、例えば直径数mmの孔であり、応力集中による亀裂の発生を防止するための構造である。
【0032】
押圧部16は、基部14を挟んで押圧部15の反対側に配置されている。この押圧部16は、押圧部15と同じ構造を有するが、その第1押圧部161及び第2押圧部162の配置位置が基部14の長手方向において押圧部15の第1押圧部151及び第2押圧部152の配置位置と逆になっている。
【0033】
具体的には、押圧部16は、基部14の右側に突出するとともに、該基部14から離れるように右斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部161と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部162と、第1押圧部161と第2押圧部162との間に形成され、第1押圧部161及び第2押圧部162を連結する平板状の折り返し部163とを有する。
【0034】
押圧部16は、押圧部15と同様に、第1押圧部161における基部14と連結する部分から折り返し部163にかけて、更に第2押圧部162における水素タンク1と当接する部分向かって徐々に縮幅されている。そして、押圧部16の第1押圧部161及び第2押圧部162の配置位置と、押圧部15の第1押圧部151及び第2押圧部152の配置位置とは、基部14の長手方向において逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部15が第1押圧部151、第2押圧部152の順で配置された場合、押圧部16は第2押圧部162、第1押圧部161の順で配置される。
【0035】
そして、基部14の左側に配置された押圧部15、基部14の右側に配置された押圧部16、及び、押圧部15と押圧部16とを連結する基部14の部分は、1つの板バネを構成する。
【0036】
一方、押圧部17は、基部14の長手方向において押圧部15と隣接して配置されている。押圧部17は、基部14の左側から突出するとともに、基部14から離れるように左斜め下方に延びる第1押圧部171と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部172と、第1押圧部171と第2押圧部172との間に形成され、第1押圧部171及び第2押圧部172を連結する平板状の折り返し部173とを有する。
【0037】
また、押圧部17は、第1押圧部171における基部14と連結する部分から折り返し部173にかけて、更に第2押圧部172における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。より具体的には、
図5に示すように、第1押圧部171における基部14と連結する部分の幅w5は、第1押圧部171における折り返し部173と連結する部分の幅w6よりも大きく、第2押圧部172にける折り返し部173と連結する部分の幅w7は、第2押圧部172における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w8よりも大きい。そして、第1押圧部171における折り返し部173と連結する部分の幅w6は、第2押圧部172における折り返し部173と連結する部分の幅w7と等しい。
【0038】
また、押圧部17において、第1押圧部171における基部14と連結する部分の幅w5、及び、第2押圧部172における水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部172の部分の幅w8の和(w5+w8)は、第1押圧部171における折り返し部173と連結する部分の幅w6、及び、第2押圧部172における折り返し部173と連結する部分の幅w7の和(w6+w7)と略等しい。
【0039】
また、基部14の長手方向に隣接する押圧部15及び押圧部17において、押圧部15の第1押圧部151における基部14と連結する部分の幅w1は、押圧部17の第1押圧部171における基部14と連結する部分の幅w5よりも小さく、押圧部15の第2押圧部152における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w4は、押圧部17の第2押圧部172における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w8よりも大きい。なお、押圧部15の第1押圧部151における基部14と連結する部分の幅w1、及び、第2押圧部152における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w4の和(w1+w4)は、押圧部17の第1押圧部171における基部14と連結する部分の幅w5、及び、第2押圧部172における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w8の和(w5+w8)と等しい。
【0040】
また、押圧部15の第1押圧部151における折り返し部153と連結する部分の幅w2は、押圧部17の第1押圧部171における折り返し部173と連結する部分の幅w6と等しい。すなわち、本実施形態において、押圧部15の第1押圧部151にける折り返し部153と連結する部分の幅w2、第2押圧部152における折り返し部153と連結する部分の幅w3、押圧部17の第1押圧部171における折り返し部173と連結する部分の幅w6、及び、第2押圧部172にける折り返し部173と連結する部分の幅w7は等しい。
【0041】
更に、
図6に示すように、水素タンク1の径方向において、水素タンク1の外周面から押圧部15の折り返し部153までの距離h1は、押圧部17の折り返し部173までの距離h2と異なっている(
図6では、h1>h2)。これは、水素タンク1の外周面から押圧部15の折り返し部153までの距離h1が押圧部17の折り返し部173までの距離h2と同じになると、隣接する押圧部15の折り返し部153と押圧部17の折り返し部173とが互いに干渉してしまう。水素タンク1の外周面から折り返し部までの距離が異なることで、隣接する折り返し部同士の干渉を回避することができる。
【0042】
押圧部18は、基部14を挟んで押圧部17の反対側に配置されている。押圧部18は、押圧部17と同じ構造を有するが、その第1押圧部181及び第2押圧部182の配置位置が基部14の長手方向において押圧部17の第1押圧部171及び第2押圧部172の配置位置と逆になっている。
【0043】
具体的には、押圧部18は、基部14の右側に突出するとともに、基部14から離れるように右斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部181と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部182と、第1押圧部181と第2押圧部182との間に形成され、第1押圧部181及び第2押圧部182を連結する平板状の折り返し部183とを有する。
【0044】
押圧部18は、押圧部17と同様に、第1押圧部181における基部14と連結する部分から折り返し部183にかけて、更に第2押圧部182における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。そして、押圧部18の第1押圧部181及び第2押圧部182の配置位置と、押圧部17の第1押圧部171及び第2押圧部172の配置位置とは、基部14の長手方向において逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部17が第1押圧部171、第2押圧部172の順で配置された場合、押圧部18は第2押圧部182、第1押圧部181の順で配置される。
【0045】
そして、基部14の左側に配置された押圧部17、基部14の右側に配置された押圧部18、及び、押圧部17と押圧部18とを連結する基部14の部分は、1つの板バネを構成する。
【0046】
以上のように構成された押圧部15及び押圧部17は、基部14の左側において基部14の長手方向に沿って繰り返し配置されており、押圧部16及び押圧部18は、基部14の右側において基部14の長手方向に沿って繰り返し配置されている。
【0047】
押圧部15~18は、それぞれ基部14から突出する突出片である。これらの押圧部は、例えば基部14に連結された突出片に、第1押圧部及び第2押圧部を形成するための、基部14の長手方向に沿う第1切り込み部と第1切り込み部の末端から基部14の幅方向に沿う第2切り込み部とを設けた後に、金型で突出片を曲げ加工することにより形成される。このようにすれば、第1押圧部及び第2押圧部を容易に形成できるとともに、押圧部15~18に用いられる材料の使用量を削減することができる。
【0048】
また、
図4及び
図5に示すように、基部14には複数の稜線部30が形成されている。これらの稜線部30は、バンド13を水素タンク1の外周面によりフィットするように、水素タンク1の外周面の曲率に合わせて、基部14を所定の間隔で少しずつ折り曲げることにより形成されたものである。そして、左右一対の押圧部15,16(或いは押圧部17,18)及び該左右一対の押圧部15,16(或いは押圧部17,18)を連結する基部14の部分を1つの板バネとしたときに、稜線部30は隣接する板バネ同士の間に配置されている。
【0049】
なお、基部14及び押圧部15~18を備えたバンド13は、例えばばね鋼、ステンレスなどの強度及び弾性変形に優れた金属材料により形成されている。
【0050】
本実施形態のタンク保持装置10では、押圧部15~18は、それぞれ、基部14から離れる方向に突出する第1押圧部と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部とを有する。このように押圧部を折り返し構造とすることで、板バネのストロークに対する板バネの反力変化を小さくしつつ、バンド13の幅を小さくすることができる。その結果、バンド13の幅の増大を抑えることができる。また、押圧部15~18は、第1押圧部及び第2押圧部を連結する平板状の折り返し部をそれぞれ有するので、第1押圧部及び第2押圧部を容易に形成できるとともに、押圧部15~18に用いられる材料を有効に利用することができる。
【0051】
また、押圧部15~18は、それぞれ、第1押圧部における基部14と連結する部分から、第2押圧部における水素タンク1の外周面と当接する部分に向かって縮幅され、且つ第1押圧部における折り返し部と連結する部分の幅と、第2押圧部における折り返し部と連結する部分の幅とは等しい。従って、第1押圧部における基部14と連結する部分への応力集中を緩和することができるので、押圧部15~18の耐久性を向上することができ、更に押圧部15~18に用いられる材料を有効に利用することができる。
【0052】
更に、基部14の長手方向に隣接する押圧部15及び押圧部17、又は基部14の長手方向に隣接する押圧部16及び押圧部18は、第1押圧部における基部14と連結する部分の幅が異なるので、押圧部の固有振動数を複数にすることで、共振の際の振動エネルギを小さくし、水素タンク1の振動を抑制することができる。
【0053】
更に、基部14の左側に配置された押圧部15(又は押圧部17)と、基部14の右側に配置された押圧部16(又は押圧部18)は、第1押圧部及び第2押圧部の配置位置が基部14の長手方向において逆になっているので、バンド13による水素タンク1への回転する力を低減することができる。
【0054】
[第2実施形態]
以下、
図7及び
図8を参照してタンク保持装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るタンク保持装置は、バンドの構造(より詳細的には、押圧部の構造)において上述した第1実施形態と相違している。以下では、その相違点のみを説明する。
【0055】
図7第2実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図であり、
図8は
図7のD-D線に沿う断面図である。
図7に示すように、第2実施形態のバンド13Aは、2種類の押圧部(押圧部19,20)を有しており、これらの2種類の押圧部は基部14を挟んで基部14の左右両側に配置されている。
【0056】
より具体的には、基部14の左側に配置された押圧部19は、基部14から突出するとともに、基部14から離れるように左斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部191と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部192と、第1押圧部191と第2押圧部192との間に形成され、第1押圧部191及び第2押圧部192を連結する平板状の折り返し部193とを有する。
【0057】
基部14の長手方向を押圧部19の幅方向としたとき、押圧部19は、第1押圧部191における基部14と連結する部分から折り返し部193にかけて、更に第2押圧部192における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。
図7に示すように、第1押圧部191における基部14と連結する部分の幅w9は、第1押圧部191における折り返し部193と連結する部分の幅w10よりも大きく、第2押圧部192における折り返し部193と連結する部分の幅w11は、第2押圧部192における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w12よりも大きい。そして、第1押圧部191における折り返し部193と連結する部分の幅w10は、第2押圧部192における折り返し部193と連結する部分の幅w11と等しい。
【0058】
また、押圧部19において、第1押圧部191における基部14と連結する部分の幅w9、及び、第2押圧部192における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w12の和(w9+w12)は、第1押圧部191における折り返し部193と連結する部分の幅w10、及び、第2押圧部192における折り返し部193と連結する部分の幅w3の和(w10+w11)よりも大きい。
【0059】
また、折り返し部193において、第1押圧部191と連結する部分(すなわち、幅w10を有する部分)と、第2押圧部192と連結する部分(すなわち、幅w11を有する部分)との間には、応力集中回避用の孔194が設けられている。
【0060】
このような構造を有する押圧部19は、基部14の左側において、基部14の長手方向に等間隔で配列されている。基部14の長手方向に隣接する押圧部19同士は、間に隙間を有するようになっている。このような隙間を設けることで、隣接する折り返し部193同士の間の干渉を回避することができる。
【0061】
一方、基部14の右側に配置された押圧部20は、押圧部19と同じ構造を有するが、その第1押圧部201及び第2押圧部202の配置位置が基部14の長手方向において押圧部19の第1押圧部191及び第2押圧部192の配置位置と逆になっている。
【0062】
具体的には、押圧部20は、基部14の右側に突出するとともに、基部14から離れるように右斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部201と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部202と、第1押圧部201と第2押圧部202との間に形成され、第1押圧部201及び第2押圧部202を連結する平板状の折り返し部203とを有する。
【0063】
押圧部20は、押圧部19と同様に、第1押圧部201における基部14と連結する部分から折り返し部203にかけて、更に第2押圧部202における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。そして、押圧部20の第1押圧部201及び第2押圧部202の配置位置と、押圧部19の第1押圧部191及び第2押圧部192の配置位置とは、基部14の長手方向において逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部19が第1押圧部191、第2押圧部192の順で配置された場合、押圧部20は第2押圧部202、第1押圧部201の順で配置される。
【0064】
また、折り返し部203において、第1押圧部201と連結する部分と、第2押圧部202と連結する部分との間には、応力集中回避用の孔204が設けられている。
【0065】
このような構造を有する押圧部20は、基部14の右側において、基部14の長手方向に等間隔で配列されている。基部14の長手方向に隣接する押圧部20同士は、間に隙間を有するようになっている。このような隙間を設けることで、隣接する折り返し部203同士の間の干渉を回避することができる。
【0066】
そして、基部14の左側に配置された押圧部19、基部14の右側に配置された押圧部20、及び、押圧部19と押圧部20とを連結する基部14の部分は、1つの板バネを構成する。
【0067】
本実施形態のタンク保持装置によれば、上述の第1実施形態と同様な作用効果を得られる。
【0068】
[第3実施形態]
以下、
図9及び
図10を参照してタンク保持装置の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るタンク保持装置は、バンドの構造(より詳細的には、押圧部の構造)において上述した第1実施形態と相違している。以下では、その相違点のみを説明する。
【0069】
図9は第3実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図であり、
図10は
図9のE-E線に沿う断面図である。
図9に示すように、第3実施形態のバンド13Bは、4種類の押圧部(押圧部21,21’,22,22’)を有しており、これらの4種類の押圧部は基部14の左右両側において、それぞれ押圧部21、押圧部22、押圧部22’、及び押圧部21’の順で繰り返し配置されている。
【0070】
より具体的には、押圧部21は、基部14に対して左右対称に配置されている。この押圧部21は、基部14から突出するとともに、該基部14から離れるように斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部211と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部212と、第1押圧部211と第2押圧部212との間に形成され、第1押圧部211及び第2押圧部212を連結する平板状の折り返し部213とを有する。
【0071】
基部14の長手方向を押圧部21の幅方向としたとき、押圧部21は、第1押圧部211における基部14と連結する部分から折り返し部213にかけて、更に第2押圧部212における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。
図9に示すように、第1押圧部211における基部14と連結する部分の幅w13は、第1押圧部211における折り返し部213と連結する部分の幅w14よりも大きく、第2押圧部212における折り返し部213と連結する部分の幅w15は、第2押圧部212における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w16よりも大きい。そして、第1押圧部211における折り返し部213と連結する部分の幅w14は、第2押圧部212における折り返し部213と連結する部分の幅w15と等しい。
【0072】
また、押圧部21において、第1押圧部211における基部14と連結する部分の幅w13、及び、第2押圧部212における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w16の和(w13+w16)は、第1押圧部211における折り返し部213と連結する部分の幅w14、及び、第2押圧部212における折り返し部213と連結する部分の幅w15の和(w14+w15)と略等しい。
【0073】
また、折り返し部213において、第1押圧部211と連結する部分(すなわち、幅w14を有する部分)と、第2押圧部212と連結する部分(すなわち、幅w15を有する部分)との間には、応力集中回避用の孔214が設けられている。
【0074】
そして、左右一対の押圧部21と該左右一対の押圧部21を連結する基部14の部分とは、1つの板バネを構成する。
【0075】
一方、押圧部22は、基部14の長手方向において押圧部21に隣接して配置されている。押圧部22は、基部14に対して左右対称に配置されている。この押圧部22は、基部14から突出するとともに、基部14から離れるように斜め下方に延びる第1押圧部221と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部222と、第1押圧部221と第2押圧部222との間に形成され、第1押圧部221及び第2押圧部222を連結する平板状の折り返し部223とを有する。
【0076】
なお、押圧部22の第1押圧部221及び第2押圧部222の配置位置と、押圧部21の第1押圧部211及び第2押圧部212の配置位置とは、基部14の長手方向において逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部21が第1押圧部211、第2押圧部212の順で配置された場合、押圧部22は第2押圧部222、第1押圧部221の順で配置される。
【0077】
また、押圧部22は、押圧部21と同様に、第1押圧部221における基部14と連結する部分から折り返し部223にかけて、更に第2押圧部222における水素タンク1と当接する部分に向かって徐々に縮幅されている。より具体的には、
図9に示すように、第1押圧部221における基部14と連結する部分の幅w17は、第1押圧部221における折り返し部223と連結する部分の幅w18よりも大きく、第2押圧部222における折り返し部223と連結する部分の幅w19は、第2押圧部222における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w20よりも大きい。そして、第1押圧部221における折り返し部223と連結する部分の幅w18は、第2押圧部222における折り返し部223と連結する部分の幅w19と等しい。
【0078】
また、押圧部22において、第1押圧部221における基部14と連結する部分の幅w17、及び、第2押圧部222における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w20の和(w17+w20)は、第1押圧部221における折り返し部223と連結する部分の幅w18、及び、第2押圧部222における折り返し部223と連結する部分の幅w19の和(w18+w19)と略等しい。
【0079】
本実施形態では、基部14の長手方向に隣接する押圧部21及び押圧部22において、押圧部21の第1押圧部211における基部14と連結する部分の幅w13は、押圧部22の第1押圧部221における基部14と連結する部分の幅w17よりも大きく、押圧部21の第2押圧部212における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w16は、押圧部22の第2押圧部222における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w20よりも小さい。なお、押圧部21の第1押圧部211における基部14と連結する部分の幅w13、及び、第2押圧部212における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w16の和(w13+w16)は、押圧部22の第1押圧部221における基部14と連結する部分の幅w17、及び、第2押圧部222における水素タンク1の外周面と当接する部分の幅w20の和(w17+w20)と等しい。
【0080】
また、押圧部21の第1押圧部211における折り返し部213と連結する部分の幅w14は、押圧部22の第1押圧部221における折り返し部223と連結する部分の幅w18と等しい。すなわち、押圧部21の第1押圧部211における折り返し部213と連結する部分の幅w14、第2押圧部212における折り返し部213と連結する部分の幅w15、押圧部22の第1押圧部221における折り返し部223と連結する部分の幅w18、及び、第2押圧部222における折り返し部223と連結する部分の幅w19は等しい。
【0081】
更に、
図10に示すように、水素タンク1の径方向において、水素タンク1の外周面から押圧部21の折り返し部213までの距離h3は、押圧部22の折り返し部223までの距離h4と異なっている(
図10では、h3>h4)。これは、水素タンク1の外周面から押圧部21の折り返し部213までの距離h3が押圧部22の折り返し部223までの距離h4と同じになると、隣接する押圧部21の折り返し部213と押圧部22の折り返し部223とが互いに干渉してしまう。水素タンク1の外周面から折り返し部までの距離が異なることで、隣接する折り返し部同士の干渉を回避することができる。
【0082】
一方、押圧部21’は、上述した押圧部21と同じ構造を有するが、その第1押圧部及び第2押圧部の配置位置が基部14の長手方向において、押圧部21の第1押圧部211及び第2押圧部212の配置位置と逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部21が第1押圧部211、第2押圧部212の順で配置された場合、押圧部21’は第2押圧部、第1押圧部の順で配置される。
【0083】
また、押圧部22’は、上述した押圧部22と同じ構造を有するが、その第1押圧部及び第2押圧部の配置位置が基部14の長手方向において、押圧部22の第1押圧部221及び第2押圧部222の配置位置と逆になっている。すなわち、基部14の長手方向に沿って手前から奥に向かって、押圧部22が第2押圧部222、第1押圧部221の順で配置された場合、押圧部22’は第1押圧部、第2押圧部の順で配置される。
【0084】
本実施形態のタンク保持装置によれば、上述の第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、更に以下の作用効果を得られる。すなわち
図9に示すように、基部14の長手方向に隣接する押圧部21’及び押圧部21、又は押圧部22及び22’は、第1押圧部同士が隣り合うように配置されている。このようにすることで、バンド13Bによる水素タンク1への回転する力を低減することができる。
【0085】
[第4実施形態]
以下、
図11及び
図12を参照してタンク保持装置の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係るタンク保持装置は、バンドの構造(より詳細的には、押圧部の構造)において上述した第1実施形態と相違している。以下では、その相違点のみを説明する。
【0086】
図11は第4実施形態に係るタンク保持装置のバンドを示す部分平面図であり、
図12は
図11のF-F線に沿う断面図である。
図11に示すように、第4実施形態のバンド13Cは、2種類の押圧部(押圧部23,24)を有しており、これらの2種類の押圧部23,24は基部14の左右両側において、それぞれ押圧部23、押圧部24の順で繰り返し配置されている。
【0087】
より具体的には、押圧部23は、基部14に対して左右対称に配置されている。この押圧部23は、基部14から突出するとともに、基部14から離れるように斜め下方(すなわち、水素タンク1側)に延びる第1押圧部231と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部232とを有する。
【0088】
基部14の長手方向を押圧部23の幅方向としたとき、押圧部23は、第1押圧部231における基部14と連結する部分から第2押圧部232における水素タンク1と当接する部分に向かって、徐々に縮幅されている。そして、左右一対の押圧部23と該左右一対の押圧部23を連結する基部14の部分とは、1つの板バネを構成する。
【0089】
一方、押圧部24は、基部14の長手方向において押圧部23に隣接して配置されている。押圧部24は、基部14に対して左右対称に配置されている。この押圧部24は、基部14から突出するとともに、該基部14から離れるように斜め下方に延びる第1押圧部241と、基部14に近づくように折り返されて水素タンク1の外周面と当接する第2押圧部242とを有する。
【0090】
また、押圧部24は、押圧部23と同様に、第1押圧部241における基部14と連結する部分から第2押圧部242における水素タンク1と当接する部分に向かって、徐々に縮幅されている。そして、左右一対の押圧部24と該左右一対の押圧部24を連結する基部14の部分とは、1つの板バネを構成する。
【0091】
基部14の長手方向に隣接する押圧部23及び押圧部24は、間に隙間を有するようになっている。このような隙間を設けることで、隣接する押圧部同士の間の干渉を回避できる。
【0092】
また、押圧部23を構成する第1押圧部231及び第2押圧部232の全長は、押圧部24を構成する第1押圧部241及び第2押圧部242の全長より少し長くなっている。そして、押圧部24の折り返し位置(すなわち、第1押圧部241及び第2押圧部242の連結位置)は、押圧部23の折り返し位置(すなわち、第1押圧部231及び第2押圧部232の連結位置)の内側になっている。
【0093】
このような構造を有する押圧部23及び押圧部24は、長さが異なる2種類の台形状の突出片を用意し、所定の位置で曲げ加工することで形成される。
【0094】
本実施形態のタンク保持装置によれば、上述の第1実施形態と同様な作用効果を得られるが、材料を削減する観点においては、上述の第1実施形態より不足している。
【0095】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、各種類の押圧部の組み合わせ、第1押圧部及び第2押圧部の配置位置の調整を適宜行ってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1:水素タンク、10:タンク保持装置、11a:第1保持部材、11b:第2保持部材、12:補強板、13,13A,13B,13C:バンド、14:基部、15,16,17,18,19,20,21,21’,22,22’23,24:押圧部、30:稜線部、151,161,171,181,191,201,211,221,231,241:第1押圧部、152,162,172,182,192,202,212,222,232,242:第2押圧部、153,163,173,183,193,203,213,223:折り返し部、154,164,174,184,194,204,214,224:孔