(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240820BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A01C11/02 330L
A01B69/00 303T
A01B69/00 B
A01C11/02 331D
(21)【出願番号】P 2022078777
(22)【出願日】2022-05-12
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】福島 寿美
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】池田 一生
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108764(JP,A)
【文献】特開2020-113062(JP,A)
【文献】国際公開第2022/091602(WO,A1)
【文献】特開2020-113063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0357400(US,A1)
【文献】特開2022-033561(JP,A)
【文献】特開2019-176792(JP,A)
【文献】特開2007-259782(JP,A)
【文献】特開2014-083044(JP,A)
【文献】特開2013-074808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00 - 69/08
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の制御パラメーターに基づいて制御を行う制御機構(300)と、
前記制御パラメーターの値の変更指示を行うリモートコントローラー(400)と、
車体(100)へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置(240)と、
前記車体(100)へ取付けられたフロート(262)と、
前記フロート(262)のフロート高さを調節するフロートアクチュエーター(281)と、
前記苗植付け装置(240)を昇降させる苗植付け装置昇降機構(270)と、
を備えており、
前記制御パラメーターの値の設定が許容される制御パラメーター値範囲が、設けられており、
前記制御パラメーター値範囲は、制御パラメーター上限値および制御パラメーター下限値を有し、
前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が行われたとき、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター上限値を上回る場合においては前記制御パラメーター上限値が前記制御パラメーターの値として設定され、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター下限値を下回る場合においては前記制御パラメーター下限値が前記制御パラメーターの値として設定され、
前記車体(100)の側においては、前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、前記変更指示で前記設定された制御パラメーターの値が表示され、
前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示は、前記車体(100)の側において行われる前記制御パラメーターの値の設定変更によりリセットされ、
苗植付け深さの減少指示が前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示を利用することにより行われた場合においては、前記フロート高さが小さくなるように調節されるとともに、前記苗植付け装置(240)は前記減少指示に基づいて直接的に上昇させられることを特徴とする
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
田植え機などのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような作業車両については、十分な使い勝手の良さは必ずしも実現されていない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手の良さを向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、所定の制御パラメーターに基づいて制御を行う制御機構(300)と、
前記制御パラメーターの値の変更指示を行うリモートコントローラー(400)と、
車体(100)へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置(240)と、
前記車体(100)へ取付けられたフロート(262)と、
前記フロート(262)のフロート高さを調節するフロートアクチュエーター(281)と、
前記苗植付け装置(240)を昇降させる苗植付け装置昇降機構(270)と、
を備えており、
前記制御パラメーターの値の設定が許容される制御パラメーター値範囲が、設けられており、
前記制御パラメーター値範囲は、制御パラメーター上限値および制御パラメーター下限値を有し、
前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が行われたとき、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター上限値を上回る場合においては前記制御パラメーター上限値が前記制御パラメーターの値として設定され、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター下限値を下回る場合においては前記制御パラメーター下限値が前記制御パラメーターの値として設定され、
前記車体(100)の側においては、前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、前記変更指示で前記設定された制御パラメーターの値が表示され、
前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示は、前記車体(100)の側において行われる前記制御パラメーターの値の設定変更によりリセットされ、
苗植付け深さの減少指示が前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示を利用することにより行われた場合においては、前記フロート高さが小さくなるように調節されるとともに、前記苗植付け装置(240)は前記減少指示に基づいて直接的に上昇させられることを特徴とする作業車両である。
本発明に関連する第1の発明は、所定の制御パラメーターに基づいて制御を行う制御機構(300)と、
前記制御パラメーターの値の変更指示を行うリモートコントローラー(400)と、
を備えており、
前記リモートコントローラー(400)の側においては、前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、現時点で設定されている、前記制御パラメーターの値が表示されることを特徴とする作業車両である。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、所定の制御パラメーターに基づいて制御を行う制御機構(300)と、
前記制御パラメーターの値の変更指示を行うリモートコントローラー(400)と、
を備えており、
前記制御パラメーターの値の設定が許容される制御パラメーター値範囲が、設けられており、
前記制御パラメーター値範囲は、制御パラメーター上限値および制御パラメーター下限値を有し、
前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が行われたとき、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター上限値を上回る場合においては前記制御パラメーター上限値が前記制御パラメーターの値として設定され、前記制御パラメーターの値が前記制御パラメーター下限値を下回る場合においては前記制御パラメーター下限値が前記制御パラメーターの値として設定されることを特徴とする作業車両である。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、車体(100)の側においては、前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、前記変更指示で前記設定された制御パラメーターの値が表示されることを特徴とする本発明に関連する第2の発明の作業車両である。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示は、前記車体(100)の側において行われる前記制御パラメーターの値の設定変更によりリセットされることを特徴とする本発明に関連する第3の発明の作業車両である。
【0010】
本発明に関連する第5の発明は、前記車体(100)へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置(240)と、
前記車体(100)へ取付けられたフロート(262)と、
前記フロート(262)のフロート高さを調節するフロートアクチュエーター(281)と、
前記苗植付け装置(240)を昇降させる苗植付け装置昇降機構(270)と、
を備えており、
苗植付け深さの減少指示が前記リモートコントローラー(400)による前記制御パラメーターの値の変更指示を利用することにより行われた場合においては、前記フロート高さが小さくなるように調節されるとともに、前記苗植付け装置(240)は前記減少指示に基づいて直接的に上昇させられることを特徴とする本発明に関連する第4の発明の作業車両である。
【0011】
本発明に関連する第6の発明は、前記リモートコントローラー(400)の側においても、前記変更指示で前記設定された制御パラメーターの値が表示されることを特徴とする本発明に関連する第3の発明の作業車両である。
【0012】
本発明に関連する第7の発明は、苗マットとして苗を載置する苗載置台(242)に載置された苗を植付ける苗植付け装置(240)と、
前記苗植付け装置(240)の制御を外部から設定された苗取り量で行う制御機構(300)と、
を備えており、
苗マットの育苗が密播で行われている場合に対応する密播苗マットモードが、選択可能であり、
密播苗マットモードが選択されているにもかかわらず、所定のレベルを超える苗取り量が設定されている場合においては、外部への警告が行われることを特徴とする作業車両である。
【0013】
本発明に関連する第8の発明は、車体(100)へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置(240)と、
前記車体(100)へ揺動可能に取付けられたフロート(262)と、
前記フロート(262)のフロート揺動角度を検出するフロートセンサー(262s)と、
前記検出されたフロート揺動角度に基づいて、前記苗植付け装置(240)を昇降させる苗植付け装置昇降機構(270)と、
を備えており、
苗植付け深さの変更指示が外部から行われた場合においては、前記変更指示が行われる前のセンサー感度と比べて、前記フロートセンサー(262s)のセンサー感度はより敏感にされることを特徴とする作業車両である。
【0014】
本発明に関連する第9の発明は、前記センサー感度は、所定の期間にわたってより敏感にされた後に、前記変更指示が行われる前の前記センサー感度に戻されることを特徴とする本発明に関連する第8の発明の作業車両である。
【0015】
本発明に関連する第10の発明は、車体(100)へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置(240)と、
前記車体(100)へ取付けられたフロート(262)と、
前記フロート(262)のフロート高さを調節するフロートアクチュエーター(281)と、
前記苗植付け装置(240)を昇降させる苗植付け装置昇降機構(270)と、
を備えており、
苗植付け深さの変更指示が外部から行われた場合においては、前記フロート高さが調節されるとともに、前記苗植付け装置(240)は前記変更指示に基づいて直接的に昇降させられることを特徴とする作業車両である。
【0016】
本発明に関連する第11の発明は、苗マットとして苗を載置する苗載置台(242)に載置された苗を植付ける苗植付け装置(240)と、
前記苗載置台(242)の苗載置台高さを調節する苗載置台アクチュエーター(291)と、
を備えており、
苗取り量の減少指示が外部から行われた場合においては、前記苗マットが下方へ向かって移動させられるタイミングで、前記苗載置台高さは大きくなるように調節されることを特徴とする作業車両である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。なお、本発明により、上述された本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。また、本発明により、上述された本発明の効果に加えて、安全性を向上することが可能である。また、本発明により、上述された本発明の効果に加えて、信頼性を向上することが可能である。
本発明に関連する第1の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【0018】
本発明に関連する第2の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【0019】
本発明に関連する第3の発明により、本発明に関連する第2の発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0020】
本発明に関連する第4の発明により、本発明に関連する第3の発明の効果に加えて、安全性を向上することが可能である。
【0021】
本発明に関連する第5の発明により、本発明に関連する第4の発明の効果に加えて、信頼性を向上することが可能である。
【0022】
本発明に関連する第6の発明により、本発明に関連する第3の発明の効果に加えて、安全性を向上することが可能である。
【0023】
本発明に関連する第7の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【0024】
本発明に関連する第8の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【0025】
本発明に関連する第9の発明により、本発明に関連する第8の発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0026】
本発明に関連する第10の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【0027】
本発明に関連する第11の発明により、使い勝手の良さを向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その五)、(f)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その六)、(g)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その七)、(h)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その八)、(i)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その九)、(j)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十)、(k)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十一)、(l)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十二)、(m)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十三)、(n)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十四)、(o)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側のモニター表示の説明図(その十五)
【
図3】本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その一)
【
図4】(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その五)
【
図5】本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その二)
【
図6】(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その六)、(b)発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その七)、(c)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その八)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その九)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十)
【
図7】本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その三)
【
図8】(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十二)、(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十三)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十四)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十五)
【
図9】本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その四)
【
図10】(a)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十六)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十七)、(c)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十八)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その十九)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラーの側の制御パラメーター表示の説明図(その二十)
【
図11】本発明における実施の形態の田植え機の車体の側のモニター表示の説明図
【
図12】本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け深さ調節機構および苗取り量調節機構近傍の平面図
【
図13】(a)本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け深さ調節機構近傍の左側面図、(b)本発明における実施の形態の田植え機の苗取り量調節機構近傍の左側面図
【
図14】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その一)
【
図15】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その二)
【
図16】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その三)
【
図17】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その四)
【
図18】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その五)
【
図19】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その六)
【
図20】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その七)
【
図21】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その八)
【
図22】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバーの説明図(その九)
【
図23】(a)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラーの組立ての説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラーの組立ての説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラーの組立ての説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラーの組立ての説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラーの組立ての説明図(その五)
【
図24】本発明における実施の形態の田植え機のマルチロボット田植え機作業の説明図(その一)
【
図25】本発明における実施の形態の田植え機のマルチロボット田植え機作業の説明図(その二)
【
図26】本発明における実施の形態の田植え機のマルチロボット田植え機作業の説明図(その三)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0031】
(1)はじめに、
図1を参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0032】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0033】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、制御機構300などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0034】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいた制御機構300の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で走行しながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け具241を有する苗植付け装置240により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0035】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250、整地装置260および苗植付け装置昇降機構270は、HSTである主変速装置および副変速装置を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0036】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0037】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0038】
(2a)はじめに、ロボット田植え機リモートコントローラー補正に関する態様について説明する。
【0039】
ロボット田植え機のさまざまなリモートコントローラー補正について、補正値は、補正値テーブルの白地で示された所定の範囲である、複数の補正値の組合わせが適正である範囲においてのみ設定することができる構成が、考えられる。
【0040】
ロボット田植え機における、植付け深さ、苗取り量、ローター高さ、および油圧感度のリモートコントローラー補正については、現時点での設定値に関わらず、範囲内で取得る全ての補正値が設定可能になっており、許容されない補正値の組合わせも設定可能である態様が考えられる。しかしながら、補正が加味されている設定値がリモートコントローラー400および車体100の側のモニターに表示されているにもかかわらず、適正な範囲内を超える補正値が入力された場合においては、補正値のみが切替わって最終的な補正値は変化しないことがある。したがって、誤動作が発生しているように見える挙動が抑制されるように、不適切な範囲の設定を防ぐことが望ましい。
【0041】
制御機構300は、所定の制御パラメーターに基づいて制御を行う。リモートコントローラー400は、制御パラメーターの値の変更指示を行う。
【0042】
10アール当たりの必要な苗枚数制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0043】
CANデータにおける必要な苗枚数の値が、参照される。数値の前には、約のような文言が付与される。表示範囲は、0.0~50.0[枚/10a]である。数値は、50.0を超える場合においては、50.0で固定される。
【0044】
横送り回数制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0045】
CANデータにおける横送り回数が、表示される。横送り回数が0のとき、18[回]が表示される。横送り回数が1のとき、20[回]が表示される。横送り回数が2のとき、24[回]が表示される。横送り回数が3のとき、28[回]が表示される。
【0046】
リモートコントローラー400の側においては、リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、現時点で設定されている、制御パラメーターの値が表示される。
【0047】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側のモニター表示の説明図(その一から十五)である、
図2(a)から2(o)において示されているように、リモートコントローラー400の側のモニター画面のレイアウトについては、植付け深さ表示、苗取り量表示、ローター高さ表示、および油圧感度表示などが行われる。
【0048】
図2(a)から2(c)においてはローター高さの変更に関するモニター表示が行われており、
図2(d)から2(f)においては植付け深さの変更に関するモニター表示が行われており、
図2(g)から2(l)においては苗取り量の変更に関するモニター表示が行われており、
図2(m)から2(o)においては油圧感度の変更に関するモニター表示が行われている。
【0049】
制御パラメーターの値の設定が許容される制御パラメーター値範囲が、設けられている。制御パラメーター値範囲は、制御パラメーター上限値および制御パラメーター下限値を有する。リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示が行われたとき、制御パラメーターの値が制御パラメーター上限値を上回る場合においては制御パラメーター上限値が制御パラメーターの値として設定され、制御パラメーターの値が制御パラメーター下限値を下回る場合においては制御パラメーター下限値が制御パラメーターの値として設定される。
【0050】
苗取り量制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0051】
本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その一)である、
図3において示されているように、苗取り量現在値については、CANデータにおける苗取り量および苗取り量補正値が参照される。表示範囲外については、上限値および下限値が表示される。苗取り量補正値については、CANデータにおける苗取り量補正値が参照される。
【0052】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その一および二)である、
図4(a)および4(b)において示されているように、アイコンについては、苗取り量補正値が0~9のとき、青の下向き矢印が表示され、苗取り量補正値が11~20のとき、オレンジの上向き矢印が表示される。
図4(a)においては苗取り量補正値は0であり、
図4(b)においては苗取り量補正値は20である。
【0053】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その三から五)である、
図4(c)から4(e)において示されているように、苗取り量補正値が10であれば、苗取り量が0の場合においてはグレーの上向き矢印および白抜きの下向き矢印が表示され、苗取り量が10の場合においては白抜きの上向き矢印およびグレーの下向き矢印が表示され、それ以外の場合においてはグレーの上下方向両向き矢印が表示される。
図4(c)においては苗取り量補正値は10であって苗取り量は0であり、
図4(d)においては苗取り量補正値は10であって苗取り量は10であり、
図4(e)においては苗取り量補正値は10であって苗取り量は3である。
【0054】
植付け深さ制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0055】
本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その二)である、
図5において示されているように、植付け深さ現在値については、CANデータにおける植付け深さおよび植付け深さ補正値が参照される。表示範囲外については、上限値および下限値が表示される。植付け深さ補正値については、CANデータにおける植付け深さ補正値が参照される。
【0056】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その六および七)である、
図6(a)および6(b)において示されているように、アイコンについては、植付け深さ補正値が0~7のとき、青の下向き矢印が表示され、植付け深さ補正値が9~16のとき、オレンジの上向き矢印が表示される。
図6(a)においては植付け深さ補正値は0であり、
図6(b)においては植付け深さ補正値は10である。
【0057】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その八から十)である、
図6(c)から6(e)において示されているように、植付け深さ補正値が8であれば、植付け深さが0の場合においてはグレーの上向き矢印および白抜きの下向き矢印が表示され、植付け深さが8の場合においては白抜きの上向き矢印およびグレーの下向き矢印が表示され、それ以外の場合においてはグレーの上下方向両向き矢印が表示される。
図6(c)においては植付け深さ補正値は8であって植付け深さは0であり、
図6(d)においては植付け深さ補正値は8であって植付け深さは8であり、
図6(e)においては植付け深さ補正値は8であって植付け深さは3である。
【0058】
ローター高さ制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0059】
本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その三)である、
図7において示されているように、ローター高さ現在値については、CANデータにおけるローター高さダイヤル値およびローター高さ補正値が参照される。表示範囲外については、上限値および下限値が表示される。ローター高さ補正値については、CANデータにおけるローター高さ補正値が参照される。
【0060】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その十一および十二)である、
図8(a)および8(b)において示されているように、アイコンについては、ローター高さ補正値が0~8のとき、青の下向き矢印が表示され、ローター高さ補正値が10~18のとき、オレンジの上向き矢印が表示される。
図8(a)においてはローター高さ補正値は5であり、
図8(b)においてはローター高さ補正値は18である。
【0061】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その十三から十五)である、
図8(c)から8(e)において示されているように、ローター高さ補正値が9であれば、ローター高さダイヤル値が0の場合においてはグレーの上向き矢印および白抜きの下向き矢印が表示され、ローター高さダイヤル値が9の場合においては白抜きの上向き矢印およびグレーの下向き矢印が表示され、それ以外の場合においてはグレーの上下方向両向き矢印が表示される。
図8(c)においてはローター高さ補正値は9であってローター高さダイヤル値は0であり、
図8(d)においてはローター高さ補正値は9であってローター高さダイヤル値は9であり、
図8(e)においてはローター高さ補正値は9であってローター高さダイヤル値は5である。
【0062】
油圧感度制御パラメーター表示について説明すると、つぎの通りである。
【0063】
本発明における実施の形態の田植え機の制御パラメーターテーブルの説明図(その四)である、
図9において示されているように、米印は下限値を意味する鍵アイコン表示に対応する、油圧感度現在値については、CANデータにおける油圧感度ダイヤル値および油圧感度補正値が参照される。表示範囲外については、上限値および下限値が表示される。油圧感度補正値については、CANデータにおける油圧感度補正値が参照される。
【0064】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その十六および十七)である、
図10(a)および10(b)において示されているように、アイコンについては、油圧感度補正値が0~6のとき、青の下向き矢印が表示され、油圧感度補正値が8~14のとき、オレンジの上向き矢印が表示される。
図8(a)においては油圧感度補正値は1であり、
図8(b)においては油圧感度補正値は14である。
【0065】
本発明における実施の形態の田植え機のリモートコントローラー400の側の制御パラメーター表示の説明図(その十八から二十)である、
図10(c)から10(e)において示されているように、油圧感度補正値が7であれば、油圧感度ダイヤル値が0の場合においてはグレーの上向き矢印および白抜きの下向き矢印が表示され、油圧感度ダイヤル値が7の場合においては白抜きの上向き矢印およびグレーの下向き矢印が表示され、それ以外の場合においてはグレーの上下方向両向き矢印が表示される。
図10(c)においては油圧感度補正値は7であって油圧感度ダイヤル値は0であり、
図10(d)においては油圧感度補正値は7であって油圧感度ダイヤル値は7であり、
図10(e)においては油圧感度補正値は7であって油圧感度ダイヤル値は4である。
【0066】
車体100の側においては、リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、変更指示で設定された制御パラメーターの値が表示される。
【0067】
本発明における実施の形態の田植え機の車体100の側のモニター表示の説明図である、
図11において示されているように、ロボット田植え機の車体100の側のモニター画面のレイアウトについては、植付け深さ表示、苗取り量表示、ローター高さ表示、および油圧感度表示のみならず、10アール当たりの必要な苗枚数表示、横送り回数表示、Bluetooth(登録商標)表示、GNSSレベル表示、アワーメーター表示、ロボットスイッチ入り切り表示、リモートコントローラー接続状態表示、エリア確定状態表示、状態表示、および自動モード表示なども行われる。
【0068】
リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示は、車体100の側において行われる制御パラメーターの値の設定変更によりリセットされる。
【0069】
たとえば、植付け深さ設定値、苗取り量設定値、ローター高さ設定値、および油圧感度設定値が変更された場合においては、リモートコントローラー操作による植付け深さ補正値、苗取り量補正値、ローター高さ補正値、および油圧感度補正値がそれぞれリセットされる構成が考えられる。
【0070】
より具体的には、補正値の制限が設けられておらず、どのような補正値も受付けられる、これとは別の態様も、考えられる。しかしながら、元の設定値が手動で変更されることにより、補正値が適正な範囲に入ることもあるし、現在の補正値が適正な値であっても、元の設定値が変更されることにより、補正値が不適切な範囲に入ることもある。
【0071】
現在の設定値に対して不適切な補正値は実質的に設定不可能であり、設定値が変更されたとき、たとえば、設定値が車体搭乗者の意志で変更されたとき、補正値がリセットされることにより、現在の補正値と変更された設定値との組合わせが不適切になる現象の発生は抑制される。
【0072】
フロートアクチュエーター281は、車体100へ取付けられたフロート262のフロート高さを調節する。苗植付け装置昇降機構270は、車体100へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置240を昇降させる。苗植付け深さの減少指示がリモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示を利用することにより行われた場合においては、フロート高さが小さくなるように調節されるとともに、苗植付け装置240は減少指示に基づいて直接的に上昇させられる。
【0073】
苗植付け装置240は、通常のようにフロート揺動角度の検出を待たずに、このように直接的に上昇させられる。したがって、フロート高さの減少および苗植付け装置240の上昇にともなう動力負荷は大きくなりやすいが、動力負荷などに起因する動作遅延の補償も期待されるので、苗植付け深さの減少指示が迅速に反映されやすい。そして、車体100の側においては、リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示が表示されるとともに、変更指示で設定された制御パラメーターの値が表示される。したがって、このような表示を視認した車体搭乗者は、必要であれば、リモートコントローラー400による制御パラメーターの値の変更指示を制御パラメーターの値の設定変更により容易にリセットすることができる。
【0074】
リモートコントローラー400の側においても、変更指示で設定された制御パラメーターの値が表示される。
【0075】
リモートコントローラー400において表示されている、設定値および補正値のような値は、車体100の側のモニターにおいて表示されている値と同じである。車体100の側において設定された値は、リモートコントローラー400の側において反映される。
【0076】
(2b)つぎに、密播苗取り量牽制に関する態様について説明する。
【0077】
本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け深さ調節機構280および苗取り量調節機構290近傍の平面図である、
図12において示されているように、苗植付け装置240により、苗マット載せ台とも呼ばれる苗載置台242に載置されている、苗マットから苗植付け具241の苗植付け爪で掻取られた苗は、圃場に植付けられる。
【0078】
制御機構300は、苗マットとして苗を載置する苗載置台242に載置された苗を植付ける苗植付け装置240の制御を外部から設定された苗取り量で行う。苗マットの育苗が密播で行われている場合に対応する密播苗マットモードが、選択可能である。
【0079】
現在の密播設定がオンであるとき、現在の苗取り量設定が12mm以上の+1設定である場合においては、0mmの標準設定が強制的に行われる構成が考えられる。苗取り設定が0mmの標準設定と比べて多い設定で、標準マットによる苗植付け作業が行われているとき、苗取り設定の変更が忘れられて密播設定がそのままオンであると、苗植付け作業はしばしば不適切な苗取り量で行われやすいので、このような規制が密播設定にともなって自動的に行われてもよい。
【0080】
もちろん、密播マットが利用されていても、たとえば、軟弱徒長または出芽ムラなどが発生して苗の生育状況が悪いこともあるし、土壌が過度に柔らかい、過度に硬い、または不均一であって圃場の状態が悪いこともあるし、余って無駄になりそうな苗は使いきられることが望ましいこともある。したがって、状況によっては、密播設定が行われていても、作業が多い目の苗取り量で行われるように、作業が中断される規制は行われずに警告のみが行われる、つぎのような構成も考えられる。
【0081】
密播苗マットモードが選択されているにもかかわらず、所定のレベルを超える苗取り量が設定されている場合においては、外部への警告が行われる。
【0082】
たとえば、エンジン210が始動されるとき、現在の苗取り量設定が12~18mmの+1~+7設定である場合においては、ポップアップによる警告が行われる構成が考えられる。このような密播警告においては、多い目の苗取り量の設定にともなう植込み桿の破損の恐れについての注意が喚起されてもよい。
【0083】
苗取り量設定が12~18mmの+1~+7設定へ変更された場合において、同様なポップアップによる警告が行われる構成も考えられる。
【0084】
(2c)つぎに、苗植付け深さの変更に関する態様について説明する。
【0085】
フロートアクチュエーター281は、所定の苗植付け深さの調節駆動を行う苗植付け深さ調節アクチュエーターである。
【0086】
本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け深さ調節機構280近傍の左側面図である、
図13(a)において示されているように、苗植付け深さ調節機構280により、フロートアクチュエーター281を利用して、苗植付け装置240に対する整地フロート部材とも呼ばれるフロート262のフロート支持部材の位置が上下方向において変更される。このように、フロートアクチュエーター281は、苗植付け装置240に対するフロート262のフロート高さを上下方向において変更することにより、苗植付け深さを変更するためのアクチュエーターである。
【0087】
フロートセンサー262sは、車体100へ揺動可能に取付けられたフロート262のフロート揺動角度を検出する。苗植付け装置昇降機構270は、検出されたフロート揺動角度に基づいて、車体100へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置240を昇降させる。苗植付け深さの変更指示が外部から行われた場合においては、変更指示が行われる前のセンサー感度と比べて、フロートセンサー262sのセンサー感度はより敏感にされる。
【0088】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、フロートアクチュエーター281の電動力による自動的な操作を利用して、苗植付け深さ変更が行われる構成で、浅い側への苗植付け深さ変更が行われる場合においては、苗植付け部油圧感度が敏感にされた後に、苗植付け深さ変更が行われる。苗植付け部油圧感度が敏感にされたとき、苗植付け深さ変更が行われてもよいし、苗植付け深さ変更が行われた後に、苗植付け部油圧感度が敏感にされてもよい。このようにして、苗植付け深さ変更を行うための動力負荷の軽減が、実現される。
【0089】
センサー感度は、所定の期間にわたってより敏感にされた後に、変更指示が行われる前のセンサー感度に戻される。
【0090】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、フロートアクチュエーター281の電動力による自動的な操作を利用して、苗植付け深さ変更が行われる構成で、浅い側への苗植付け深さ変更が終わったとき、苗植付け部油圧感度が鈍感にされる。浅い側への苗植付け深さ変更が終わる前に、苗植付け部油圧感度が鈍感にされてもよいし、浅い側への苗植付け深さ変更が終わった後に、苗植付け部油圧感度が鈍感にされてもよい。このようにして、ハンチングの発生が抑制されることにより、苗植付け部挙動の安定化が、実現される。
【0091】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、フロートアクチュエーター281の電動力による自動的な操作を利用して、苗植付け深さ変更が行われる構成で、深い側への苗植付け深さ変更が終わったとき、苗植付け部油圧感度が鈍感にされる。深い側への苗植付け深さ変更が終わる前に、苗植付け部油圧感度が鈍感にされてもよいし、深い側への苗植付け深さ変更が終わった後に、苗植付け部油圧感度が鈍感にされてもよい。このようにして、ハンチングの発生が抑制されることにより、苗植付け部挙動の安定化が、実現される。
【0092】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、フロートアクチュエーター281の電動力による自動的な操作を利用して、苗植付け深さ変更が行われる構成で、苗植付け部油圧感度が鈍感にされた後に、深い側への苗植付け深さ変更が行われる。このようにして、ハンチングの発生が抑制されることにより、苗植付け部挙動の安定化が、実現される。
【0093】
苗植付け深さの変更指示が外部から行われた場合においては、フロート高さが調節されるとともに、苗植付け装置240は変更指示に基づいて直接的に昇降させられる。
【0094】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、フロートアクチュエーター281の電動力による自動的な操作を利用して、苗植付け深さ変更が行われる構成で、浅い側への苗植付け深さ変更が行われる場合においては、苗植付け部上昇信号が出力されると同時に、苗植付け深さ変更が行われる。苗植付け部上昇信号が出力された後に、苗植付け深さ変更が行われてもよいし、苗植付け深さ変更が行われた後に、苗植付け部上昇信号が出力されてもよい。このようにして、苗植付け深さ変更を行うための動力負荷の軽減が、実現される。
【0095】
(2d)つぎに、苗取り量の変更に関する態様について説明する。
【0096】
苗載置台アクチュエーター291は、植付けられる苗を載置する苗載置台242の高さの変更を利用して所定の苗取り量の調節駆動を行う苗取り量調節アクチュエーターである。
【0097】
本発明における実施の形態の田植え機の苗取り量調節機構290近傍の左側面図である、
図13(b)において示されているように、苗取り量調節機構290により、苗載置台アクチュエーター291を利用して、苗載置台242の位置が苗取出し口の位置とともに上下方向において自由に変更可能であるように苗載置台242を支持する位置変更部が操作される。このように、苗載置台アクチュエーター291は、苗載置台242の位置を変更することにより、苗植付け具241の苗植付けアームが苗取出し口を通過して取出す苗の苗取り量を変更するためのアクチュエーターである。
【0098】
苗載置台アクチュエーター291は、苗載置台242の苗載置台高さを調節する。苗取り量の減少指示が外部から行われた場合においては、苗マットが下方へ向かって移動させられるタイミングで、苗載置台高さは大きくなるように調節される。
【0099】
たとえば、人力による手動的な操作を利用しないで、苗載置台アクチュエーター291の電動力による自動的な操作を利用して、苗取り量変更が行われる構成で、少ない側への苗取り量変更、すなわち、苗タンクとも呼ばれる苗載置台242が持上げられる側への苗取り量変更が行われる場合においては、苗取り量変更が苗送り動作タイミングで行われる。このようにして、苗取り量変更を行うための動力負荷の軽減が、実現される。
【0100】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0101】
(3a)はじめに、
図14から22を主として参照しながら、ロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバー500に関する態様について説明する。
【0102】
ここに、
図14から22は、本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバー500の説明図(その一から九)である。
【0103】
後輪から直接来る泥よりも、回転で車輪前方にたたきつけられた泥が泥水を跳ね上げることでギヤ部に泥がかかることがあったが、事前の機能確認が行われ(
図14から16参照)、組付け確認が行われる(
図17から19参照)。
【0104】
図14から20において示されているように、デフロックをモーター駆動させる機構で、ギヤに対する下側からの泥はねを防止するカバーを設ける。一次的にはタイヤを直接ギヤへ飛んでくる泥水から保護する必要があったが、タイヤ駆動時、圃場表土に飛ばされた泥によって鉛直下側から泥が上がってきてしまうことがあった。下からの泥はねを防止できるため、オートデファレンシャル装置の安定作動につながる。
【0105】
図14から20において示されているように、モーター駆動ユニットを田植え機の後輪前方にレイアウトした機械において、後輪から直接はねてくる泥に対するカバーと、後輪から圃場に落ちた泥によって跳ね上げられる泥を除けるためのカバーと、を設ける。モーター駆動ユニットの置き場所を最適化し、スペースの有効利用を行いながら、機構の保護、システムの安定化を図る。
【0106】
図14から20において示されているように、上記カバーを別体で設ける。一体化した場合、組付けにくく中に泥がたまった場合に抜けにくくなった。組立て性、排泥性の向上を実現することができる。
【0107】
図14から20において示されているように、モーター駆動ユニットを田植え機の後輪前方にレイアウトした機械において、後輪から直接はねてくる泥に対するカバーとは別に、後輪から圃場に落ちた泥によって跳ね上げられる泥を除けるためのカバーを設ける。上記カバー形状として、モータユニット下側、後輪側の裏面にプレートを立て、プレート下方は折り曲げをいれて庇形状をつくる。庇の先端がギヤ部に近接するよう設ける。鉛直下側から、モータユニットに対する、特に、ギヤ部に対する泥はねを防止する機構がなく、ギヤ部でメカロックする心配があった。ギヤ部に対する泥はねを防止できる。
【0108】
図19において示されているように、モーター駆動ユニットを田植え機の後輪前方にレイアウトした機械において、後輪から直接はねてくる泥に対するカバーと、後輪から圃場に落ちた泥によって跳ね上げられる泥を除けるためのカバーと、を一体化する。
【0109】
図21において示されているように、下方箱型としながら、傾斜をつけ排泥性を確保する。
【0110】
図22において示されているように、モーター駆動ユニットを田植え機の後輪前方にレイアウトした機械において、ステップ上方のシースルー部分から落ちてくる泥から機構を保護するために、カバーを設ける。田植え機のフロアステップには運転者が後輪の駆動状態を覗き見るためのシースルー部が設けられているが、そのために補給作業時に泥を落とすことがあった。ギヤ部に対する泥乗りを防止できる。
【0111】
図22において示されているように、エンジンを機体中央にレイアウトした田植え機において、モーター駆動ユニットを、フロアステップのシート位置から後方にかけて立ちあがる部分の下側にレイアウトし、ユニット全体をカバーする。スペース効率を高めながら、モーター駆動ユニットの安定作動が行える。
【0112】
図22において示されているように、複数の駆動ユニットをレイアウトする。
【0113】
(3b)つぎに、
図23(a)から23(e)を主として参照しながら、ロボット田植え機リアコントローラー600の組立てに関する態様について説明する。
【0114】
ここに、
図23(a)から23(e)は、本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機リアコントローラー600の組立ての説明図(その一から五)である。
【0115】
ロボット田植え機リアコントローラー600の組立て用変換アダプターとしてのプレート620を設け、同じフレーム610を利用しながら、適宜にロボット田植え機リアコントローラー600の方向を変換する。ハーネス方向によって組立て方向の変換が必要であったが、フレーム610ごとに変更すると工数および資金が多くかかってしまう。部品の共用化を図る。
【0116】
プレート620は曲げのない十字形状とすることで、生産性を向上する。カットだけで製作でき、生産コストを抑えることができる。
【0117】
(3c)つぎに、
図24から26を主として参照しながら、マルチロボット田植え機作業に関する態様について説明する。
【0118】
ここに、
図24から26は、本発明における実施の形態の田植え機のマルチロボット田植え機作業の説明図(その一から三)である。
【0119】
上述された構成で、ティーチングによって生成された経路について、それぞれのロボット田植え機が担当する経路を振分ける構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0120】
上述された構成で、n台のロボット田植え機に対して、1、2、3、…、n番のような優先順位を設定する構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0121】
以下においては、優先順位k番のロボット田植え機をRPkと表記する。
【0122】
図24において示されているように、上述された構成で、RP1はn、2n、3n、…本目の経路を担当し、RP2はn-1、2n-1、3n-1、…本目の経路を担当し、…、RPnは1、n+1、2n+1、…本目の経路を担当するように、振分けが行われる構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0123】
図25において示されているように、上述された構成で、n、n-1、…、1本目の経路における作業を1フェーズ目とし、2n、2n-1、…、n+1本目の経路における作業を2フェーズ目とし、…とすることにより、各ロボット田植え機は1フェーズ目、2フェーズ目、…と順に作業を行う構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0124】
上述された構成で、優先順位の低い、すなわち、番号の小さいロボット田植え機は優先順位の高いロボット田植え機と同一のフェーズの作業、またはそれよりも前のフェーズの作業を行う構成が、考えられる。たとえば、RP1が2フェーズ目の作業中には、RP2が3フェーズ目以降の作業を行わない。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0125】
図26において示されているように、上述された構成で、優先順位の低い、すなわち、番号の小さいロボット田植え機は、優先順位の高いロボット田植え機と同一のフェーズで作業を行う場合、それを追い抜かない構成が、考えられる。たとえば、両者の位置情報から、ロボット田植え機間の距離の進行方向成分としての縦方向距離を計算し、それが一定以下になった場合においては減速するまたは一時停止する。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0126】
上述された構成で、優先順位の低い、すなわち、番号の小さいロボット田植え機は、優先順位の高いロボット田植え機と同一のフェーズで作業を行う場合、優先順位の高いロボット田植え機の旋回が完了するまでは、旋回に干渉しない位置で一時停止する構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士が接触しないようにし、作業工程を分散させるためである。
【0127】
上述された構成で、ロボット田植え機間の直線距離が一定以下になったとき、すべてのロボット田植え機の走行を停止する構成が、考えられる。たとえば、ユーザーによる操作が行われない限り、走行を再開しない。これは、田植え機の車体100同士の衝突を回避するためである。そして、上述された構成で、田植え機の車体100同士が接触しない作業工程を設計することにより、スムーズな協調作業を行えるようにする。このような構成は、セーフティ対策として、安全を確保するための構成である。
【0128】
上述された構成で、一方のロボット田植え機をリモコン操作している間、他方のロボット田植え機の自動走行を一時停止する構成が、考えられる。これは、田植え機の車体100同士の衝突を回避するためである。
【0129】
上述された構成で、一方のロボット田植え機のリモコン操作にともなって、他方のロボット田植え機の自動走行を一時停止した後、リモコン操作が一定時間行われない場合、一時停止された自動走行を再開する構成が、考えられる。
【0130】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0131】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0132】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0133】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0134】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0135】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0136】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0137】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明における作業車両は、使い勝手の良さを向上することができ、田植え機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0139】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
242 苗載置台
250 施肥装置
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
262s フロートセンサー
270 苗植付け装置昇降機構
280 苗植付け深さ調節機構
281 フロートアクチュエーター
290 苗取り量調節機構
291 苗載置台アクチュエーター
300 制御機構
400 リモートコントローラー
500 ロボット田植え機オートデファレンシャル機構泥除けカバー
600 ロボット田植え機リアコントローラー
610 フレーム
620 プレート