(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】センサ装置および時計
(51)【国際特許分類】
G04B 47/06 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G04B47/06 E
(21)【出願番号】P 2022100274
(22)【出願日】2022-06-22
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】市村 龍美
(72)【発明者】
【氏名】泉妻 ゆま
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-53831(JP,A)
【文献】特開2017-168336(JP,A)
【文献】特開2010-19823(JP,A)
【文献】特開2000-241567(JP,A)
【文献】実開平4-61099(JP,U)
【文献】特開2005-249665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G01L 9/00- 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部にセンサ収納部が設けられたケースと、
前記センサ収納部に収納されたセンサと、
前記センサの外側面に対応して前記ケースの前記外周部に設けられ、前記ケースと一体に設けられた閉塞部を含み、且つ前記センサの前記外側面を覆い隠して前記ケースの外部に連通する連通空洞部と、
を備えていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記閉塞部は、一端側が前記ケースの前記外周部に連結され、前記一端側とは反対側の他端側には隙間が形成され、
前記センサの前記外側面と前記閉塞部との間に形成された空間部と、前記隙間と、は連通している
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記センサは圧力センサであり、
前記連通空洞部は、前記圧力センサの前記外側面に対応して前記ケースの前記外周部内に設けられた空間部と、前記圧力センサの前記外側面を覆い隠す
前記閉塞部と、前記空間部を前記ケースの外部に連通させる連通孔と、を
含む
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項4】
請求項
3に記載のセンサ装置において、
前記連通孔は、前記閉塞部を除いた箇所に
形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記連通空洞部は、
前記ケースの下部に取り付けられた蓋部の外周部の上面と当該蓋部の前記外周部の前記上面に対応する前記ケースの前記外周部の下面との間に
形成された隙間を
含む
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記センサは、防水部材を介して前記ケースの前記センサ収納部内に設けられている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項7】
請求項
3に記載のセンサ装置において、
前記圧力センサの前記外側面を覆い隠す前記閉塞部を含む前記ケースの前記外周部における外面には、装飾部が設けられている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項8】
請求項
7に記載のセンサ装置において、
前記装飾部は、前記ケースの上下方向に細長い複数のスリット溝を備え、前記複数のスリット溝のうち、前記閉塞部に
形成された前記スリット溝を除いた前記スリット溝内に前記連通空洞部の前記連通孔が
形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項9】
請求項
3に記載のセンサ装置において、
前記連通空洞部の前記空間部の内部には、静電気対策用の端子部材が設けられている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項10】
請求項1に記載されたセンサ装置を備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計などの電子機器に用いられるセンサ装置およびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計のセンサ装置においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースの側壁部内にセンサを設け、このセンサによって腕時計ケースの外部における気圧や水圧などの圧力を検出するようにしたのもが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種のセンサ装置は、腕時計ケースの側壁部にセンサ収納部が腕時計ケースの内外に貫通して設けられ、このセンサ収納部にセンサが腕時計ケースの内部から収納され、このセンサが収納されたセンサ収納部の外部側に貫通孔を有するセンサカバーが設けられ、このセンサカバーによってセンサを保護するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなセンサ装置では、センサカバーによってセンサを保護する構造であるから、センサカバーなどの部品点数が増え、構造が複雑になるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、デザイン性の向上を図ることができるセンサ装置およびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、外周部にセンサ収納部が設けられたケースと、前記センサ収納部に収納されたセンサと、前記センサの外側面に対応して前記ケースの前記外周部に設けられ、前記ケースと一体に設けられた閉塞部を含み、且つ前記センサの前記外側面を覆い隠して前記ケースの外部に連通する連通空洞部と、を備えていることを特徴とするセンサ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、簡単な構造で低コスト化を図ることができると共に、デザイン性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である。
【
図2】
図1に示された腕時計を9時側から見た拡大側面図である。
【
図3】
図1に示された腕時計のA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図4】
図2に示された腕時計のB-B矢視における要部を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図4を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。
【0011】
この腕時計ケース1の12側、2時側、3時側、4時側、6時側、8時側および10時側には、
図1および
図2に示すように、押釦スイッチ3がそれぞれ設けられている。この場合、2時側、3時側、4時側、8時側および10時側の各押釦スイッチ3は、腕時計ケース1の側方からスイッチ操作する側面スイッチであり、12時側と6時側との各押釦スイッチ3は、腕時計ケース1の斜め上方からスイッチ操作する上面スイッチである。また、この腕時計ケース1の9時側には、腕時計ケース1の外部の気圧や水圧などの圧力を検出するセンサ装置4が設けられている。
【0012】
一方、この腕時計ケース1は、
図3に示すように、本体ケース5と外装ケース6とを備えている。本体ケース5は、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によってほぼ円筒形状に形成されている。この本体ケース5の内周面における上部側には、鍔部5aがリング状に突出して設けられている。
【0013】
外装ケース6は、
図3に示すように、本体ケース5の上側外周部に配置される第1外装部材6aと、この第1外装部材6aの外周部および本体ケース5の上部にこれらを覆って配置される第2外装部材6bと、を備えている。第1外装部材6aは、緩衝体であり、合成樹脂によって形成されている。第2外装部材6bは、本体ケース5と同様、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によって形成されている。
【0014】
これにより、外装ケース6は、
図3に示すように、本体ケース5の上側外周部に第1外装部材6aを装着し、この状態で第1外装部材6aの外周部および本体ケース5の上部にこれらを覆って第2外装部材6bを配置するように構成されていている。この場合、外装ケース6は、第2外装部材6bの内周面に設けられたパッキン収納凹部6c内に第1の防水リング7を配置させ、この第1の防水リング7を介して第2外装部材6bが第1外装部材6aの外周部および本体ケース5の上部を覆って取り付けられるように構成されていている。
【0015】
また、この腕時計ケース1の上側開口部、つまり本体ケース5の上側開口部には、
図3に示すように、時計ガラス8がパッキン8aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の下部、つまり本体ケース5の下部には、蓋部である裏蓋10が第2の防水リング10aを介して取り付けられている。
【0016】
この場合、裏蓋10は、
図3に示すように、ステンレスなどの金属で形成されていても良いが、合成樹脂で形成されて上面(内面)に金属蒸着層が設けられた構造のものであっても良い。また、この腕時計ケース1の内部、つまり本体ケース5の内部には、
図3に2点鎖線で示す時計モジュール11が設けられている。
【0017】
ところで、腕時計ケース1の9時側に設けられたセンサ装置4は、
図3および
図4に示すように、腕時計ケース1の本体ケース5における外周部に設けられたセンサ収納部12と、このセンサ収納部12に収納される圧力センサ13と、この圧力センサ13の外側面13aに対応して本体ケース5の外周部内に設けられ、且つ圧力センサ13の外側面13aを覆い隠して本体ケース5の外部に連通する連通空洞部14と、を備えている。
【0018】
この場合、センサ収納部12は、
図3および
図4に示すように、円形状の孔であり、本体ケース5における内周面と連通空洞部14との間に設けられている。圧力センサ13は、本体ケース5の外部の気圧や水圧などの圧力を検出するものであり、ほぼ円柱状に形成され、防水部材15を介してセンサ収納部12内に配置されている。この場合、防水部材15は、ゴムなどの弾性材料によってリング状に形成され、圧力センサ13の外周面に装着されている。
【0019】
すなわち、この防水部材15は、
図3に示すように、その内径が圧力センサ13の外径よりも小さく、且つ防水部材15の外径がセンサ収納部12の内径よりも少し大きく形成されている。これにより、防水部材15は、圧力センサ13がセンサ収納部12内に収納された際に、圧力センサ13の外周面とセンサ収納部12の内周面とに圧接して、これらの間の防水を図るように構成されている。
【0020】
また、圧力センサ13の内側面13bには、
図3および
図4に示すように、センサ基板16が電気的に接続された状態で取り付けられている。このセンサ基板16は、本体ケース5内に配置されている。このセンサ基板16は、フレキシブル配線基板17によって本体ケース5内の時計モジュール11の回路基板(図示せず)と電気的に接続されている。これにより、圧力センサ13は、センサ基板16およびフレキシブル配線基板17によって時計モジュール11の回路基板と電気的に接続されている。
【0021】
この場合、
図3および
図4に示すように、圧力センサ13、センサ基板16、およびフレキシブル配線基板17によってセンサユニット9が構成されている。このセンサユニット9は、本体ケース5の内面に複数のビス18aによって取り付けられたセンサ押え板18によって本体ケース5内に押え付けられている。
【0022】
連通空洞部14は、
図3および
図4に示すように、圧力センサ13の外側面13aに対応して本体ケース5の外周部内に設けられた空間部20と、圧力センサ13の外側面13aを覆い隠す閉塞部21と、空間部20を本体ケース5の外部に連通させる連通孔22と、を備えている。
【0023】
空間部20は、
図3および
図4に示すように、センサ収納部12内に収納された圧力センサ13の外側面13aとこの外側面13aから外部側に向けて離れた状態で対応する本体ケース5の外周部内の内面との間に設けられている。また、この空間部20は、本体ケース5の下部と裏蓋10との間に設けられた第2の防水リング10aよりも外周側に位置し、本体ケース5の下側に開放されて裏蓋10によってほぼ塞がれるように構成されている。
【0024】
閉塞部21は、
図1~
図4に示すように、本体ケース5の外周部における9時側に位置し、且つ空間部20を介して圧力センサ13の外側面13aに対応する本体ケース5の外周部の箇所に設けられている。すなわち、この閉塞部21は、本体ケース5の外周部に位置し、本体ケース5と一体に形成され、圧力センサ13の外側面13aから空間部20を介して外部側に離れた本体ケース5の外周部の箇所に設けられている。
【0025】
これにより、閉塞部21は、圧力センサ13の外側面13aを覆い隠して圧力センサ13を保護するように構成されている。すなわち、この閉塞部21は、ユーザが圧力センサ13に触ったり、物が圧力センサ13にぶつかったりする誤接触を防ぐことにより、圧力センサ13を保護するように構成されている。
【0026】
この場合、圧力センサ13の外側面13aを覆い隠す閉塞部21を含む本体ケース5の9時側の外周部における外面には、
図3および
図4に示すように、装飾部23が設けられている。この装飾部23は、上下方向に細長い複数のスリット溝23a~23cによって形成されている。これら複数のスリット溝23a~23cのうち、中間部に位置する1つのスリット溝23aは、連通空洞部14の空間部20に連通することなく塞がれた状態で、閉塞部21の外面に設けられている。
【0027】
また、この中間部に位置するスリット溝23aの両側に位置する2つのスリット溝23b、つまり中間部の1つのスリット溝23aが設けられた閉塞部21の外周に沿う方向の両側に位置する2つのスリット溝23b内には、
図4に示すように、連通空洞部14の空間部20に連通する連通孔22がそれぞれ設けられている。これら連通孔22がそれぞれ設けられた2つのスリット溝23bの更に両側に位置する2つのスリット溝23cは、連通空洞部14の空間部20に連通することなく塞がれている。
【0028】
これにより、装飾部23は、
図2および
図4に示すように、中間部の1つのスリット溝23aの両側に位置する2つのスリット溝23b内に設けられた連通孔22が目立つことがないので、装飾性を確保して、腕時計ケース1の外観性およびデザイン性が高められるように構成されている。また、連通空洞部14は、空間部20の内部に連通孔22を通して本体ケース5の外部の気体や液体が浸入することにより、空間部20の内部が本体ケース5の外部の圧力と同じ圧力になるように構成されている。
【0029】
また、連通空洞部14は、
図3に示すように、本体ケース5の下部に取り付けられた裏蓋10の外周部の上面とこの裏蓋10の外周部の上面に対応する本体ケース5の外周部の下面との間に設けられて空間部20に連通する隙間Sを備えている。すなわち、この隙間Sは、第2の防水リング10aよりも本体ケース5および裏蓋10の各外周側に位置し、且つ連通空洞部14に対応する裏蓋10の上面(内面)から裏蓋10の外周部に亘って設けられ、連通空洞部14の空間部20内に浸入した水や泥などの浸入物を排出させるように構成されている。
【0030】
さらに、連通空洞部14の空間部20内には、
図3および
図4に示すように、静電気対策用の端子部材である端子板24が設けられている。この端子板24は、シールド用の金属板であり、圧力センサ13の外側面13aから離れて対応する空間部20内の内面、つまり閉塞部21の内面に連通孔22を塞ぐことなく配置されている。
【0031】
また、この端子板24は、
図3および
図4に示すように、その下端部24aが裏蓋10の上面(内面)に接触するように配置されている。これにより、端子板24は、圧力センサ13が本体ケース5の外部からの静電気の影響を受けないように、静電気をシールドするように構成されている。
【0032】
この場合、端子板24は、
図3に示すように、裏蓋10がステンレスなどの金属である場合、端子板24の下端部24aを裏蓋10のどの位置に接触させても良い。また、この端子板24は、裏蓋10が合成樹脂で形成され、その上面(内面)に金属蒸着層が形成されている場合には、端子板24の下端部24aを裏蓋10の金属蒸着層に接触させるようにすれば良い。
【0033】
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
この場合には、まず、腕時計ケース1の本体ケース5の上側開口部に時計ガラス8をパッキン8aと共に嵌め込んで取り付ける。この状態で、腕時計ケース1を組み立てる。このときには、まず、本体ケース5の上側外周部に外装ケース6の第1外装部材6aを装着する。
【0034】
この状態で、外装ケース6の第2外装部材6bの内周面に設けられたパッキン収納凹部6c内に第1の防水リング7を配置させ、この第1の防水リング7と共に第2外装部材6bを第1外装部材6aの外周部および本体ケース5の上部にこれらを覆って配置させて取り付けられる。これにより、腕時計ケース1が組み立てれる。
【0035】
そして、腕時計ケース1にセンサ装置4のセンサユニット9を取り付ける。このときには、予め、センサユニット9を組み立てる。すなわち、センサユニット9の圧力センサ13の内側面13bにセンサ基板16を取り付けて、圧力センサ13とセンサ基板16とを電気的に接続させる。また、このセンサ基板16にフレキシブル配線基板17を取り付けて、センサ基板16とフレキシブル配線基板17とを電気的に接続させる。
【0036】
この状態で、センサユニット9を本体ケース5に取り付けると共に、端子板24を本体ケース5に取り付ける。この場合、センサユニット9を本体ケース5に取り付ける際には、予め、圧力センサ13の外周にリング状の防水部材15を取り付け、この状態で圧力センサ13を防水部材15と共に本体ケース5のセンサ収納部12内に本体ケース5の内部側から挿入させて収納させる。
【0037】
このときには、圧力センサ13の外側面13aが本体ケース5の外周部に設けられた連通空洞部14の空間部20を介して閉塞部21に対応し、この閉塞部21によって圧力センサ13の外側面13aが覆い隠される。このため、圧力センサ13は、ユーザが触ったり物がぶつかったりする誤接触が生じないように、閉塞部21によって良好に保護される。
【0038】
また、このときには、センサユニット9のセンサ基板16とフレキシブル配線基板17とが本体ケース5の内部に配置される。この状態で、本体ケース5の内面にセンサ押え板18を複数のビス18aによって取り付け、この取り付けられたセンサ押え板18によってセンサユニット9を本体ケース5に押え付けて固定する。これにより、センサユニット9が本体ケース5に取り付けられる。
【0039】
また、端子板24を本体ケース5に取り付ける場合には、圧力センサ13の外側面13aから離れて対応する連通空洞部14の空間部20内の内面、つまり閉塞部21の内面に端子板24を配置させる。このときには、端子板24が空間部20に連通する連通孔22を塞ぐことなく配置させる。また、このときには、端子板24の下端部24aを本体ケース5の内部側に向けて斜め下側に傾斜させて折り曲げる。この場合、端子板24の下端部24aは、本体ケース5の下側に向けて突出する。
【0040】
この状態で、本体ケース5内に時計モジュール11を組み込む。このときには、予め、本体ケース5の12時側、2時側、3時側、4時側、6時側、8時側および10時側に押釦スイッチ3をそれぞれ取り付ける。この状態で、センサユニット9のフレキシブル配線基板17を時計モジュール11の回路基板(図示せず)に接続させて、時計モジュール11を本体ケース5内に組み込む。
【0041】
そして、本体ケース5の下部に第2の防水リング10aを配置させて、本体ケース5の下部に裏蓋10を第2の防水リング10aと共に取りける。このときには、端子板24の下端部24aが裏蓋10の上面に押し当てられて折り曲げられる。また、このときには、連通空洞部14の空間部20よりも外周側に位置する本体ケース5の外周部の下面とこれに対応する裏蓋10の外周部の上面との間に空間部20に連通する隙間Sが形成される。これにより、腕時計が組み立てられる。
【0042】
次に、このように組み立てられた腕時計のセンサ装置4の作用について説明する。
このセンサ装置4は、圧力センサ13によって腕時計ケース1の外部の気圧や水圧などの圧力を検出する。すなわち、腕時計が大気中にある場合には、本体ケース5の9時側に設けられた装飾部23の複数のスリット溝23a~23cのうち、閉塞部21に対応しない箇所で、中間部の1つのスリット溝23aの両側に位置する2つのスリット溝23b内に設けられた連通孔22から大気中の空気が連通空洞部14の空間部20内に浸入する。この空間部20内に浸入した空気による気圧が圧力センサ13によって確実に且つ良好に検出される。
【0043】
また、腕時計が海や湖、川などの水中にある場合には、本体ケース5の9時側に設けられた装飾部23の複数のスリット溝23a~23cのうち、閉塞部21に対応しない箇所で、中間部の1つのスリット溝23aの両側に位置する2つのスリット溝23bに設けられた連通孔22から水中の水が連通空洞部14の空間部20内に浸入する。この空間部20内に浸入した水による水圧が圧力センサ13によって確実に且つ良好に検出される。
【0044】
この場合、連通空洞部14の空間部20内に浸入した水や泥などの浸入物である異物は、本体ケース5の外周部の下面とこれに対応する裏蓋10の外周部の上面との間に設けられて空間部20に連通する隙間Sを通して空間部20内から本体ケース5の外部に排出される。このため、連通空洞部14の空間部20の内部に浸入物である異物が溜まることがない。
【0045】
このように、この腕時計のセンサ装置4によれば、外周部にセンサ収納部12が設けられた腕時計ケース1の本体ケース5と、センサ収納部12に収納された圧力センサ13と、この圧力センサ13の外側面13aに対応して本体ケース5の外周部に設けられ、本体ケース5と一体に形成された閉塞部21を含み、且つ圧力センサ13の外側面13aを覆い隠して本体ケース5の外部に連通する連通空洞部14と、を備えていることにより、簡単な構造で、デザイン性の向上を図ることができる。
【0046】
すなわち、この腕時計のセンサ装置4では、圧力センサ13を本体ケース5のセンサ収納部12に収納するだけで、圧力センサ13を連通空洞部14によって保護することができるので、先行文献のように圧力センサ13を保護する別部品としての保護部材が不要になる。このため、このセンサ装置4では、構造が簡単で、部品点数の削減を図ることができると共に、低コス化を図ることができる。
【0047】
また、このセンサ装置4では、圧力センサ13を本体ケース5のセンサ収納部12に収納するだけで、圧力センサ13を連通空洞部14によって保護することができるので、先行文献のような保護部材を本体ケース5に取り付ける必要がないため、組立作業の簡素化を図ることができるほか、先行文献のような保護部材によって本体ケース5の外観およびデザインが制約を受けることがないので、デザイン性を向上させることができる。
【0048】
この場合、この腕時計のセンサ装置4では、連通空洞部14が、圧力センサ13の外側面13aに対応して本体ケース5の外周部内に設けられた空間部20と、圧力センサ13の外側面13aを覆い隠す閉塞部21と、空間部20を本体ケース5の外部に連通させる連通孔22と、を備えていることにより、本体ケース5の外部の気圧や水圧などの外圧を圧力センサ13によって確実に且つ正確に検出することができる。
【0049】
すなわち、この腕時計のセンサ装置4では、本体ケース5の外部の空気や水などを連通孔22から空間部20内に確実に且つ良好に取り込むことができるので、この取り込んだ空気や水などの圧力を圧力センサ13によって確実に且つ良好に検出することができると共に、ユーザが圧力センサ13を触ったり、あるいは物が圧力センサ13にぶつかったりする誤接触を防ぐように、閉塞部21によって圧力センサ13を確実に且つ良好に保護することができるので、本体ケース5の外部の気圧や水圧などの外圧を圧力センサ13によって確実に且つ正確に検出することができる。
【0050】
また、この腕時計のセンサ装置4では、連通孔22が閉塞部21を除いた箇所に設けられていることにより、閉塞部21によって圧力センサ13を保護した状態で、本体ケース5の外部の空気や水などを本体ケース5の外周部の外面に設けられた連通孔22を通して空間部20内に確実に且つ良好に取り込むことができ、これにより取り込んだ空気や水などの圧力を圧力センサ13によって確実に且つ良好に検出することができる。
【0051】
また、この腕時計のセンサ装置4では、連通空洞部14が、本体ケース5の下部に取り付けられた蓋部である裏蓋10の外周部の上面とこの裏蓋10の外周部の上面に対応する本体ケース5の外周部の下面との間に設けられた隙間Sを備えていることにより、この隙間Sを通して連通空洞部14の空間部20内に浸入した浸入物である水や泥などの異物を確実に且つ良好に排出させることができ、これにより空間部20内に異物が溜まるのを確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0052】
また、この腕時計のセンサ装置4では、圧力センサ13が防水部材15を介して本体ケース5のセンサ収納部12内に設けられていることにより、防水部材15によって圧力センサ13の外周面とセンサ収納部12の内周面との間の防水を図ることができ、これにより本体ケース5の防水性を確保することができる。
【0053】
また、この腕時計のセンサ装置4では、圧力センサ13の外側面13aを覆い隠す閉塞部21を含む本体ケース5の外周部における外面に装飾部23が設けられていることにより、この装飾部23によって本体ケース5の装飾性を高めることができるので、より一層、デザイン性を向上させることができる。
【0054】
すなわち、この装飾部23は、上下方向に細長い複数のスリット溝23a~23cを備えているので、これら複数のスリット溝23a~23cによって装飾性を確保することができる。この場合、装飾部23は、中間部の1つのスリット溝23aの両側に位置する2つのスリット溝23b内に連通空洞部14の空間部20に連通する連通孔22を設け、これら以外のスリット溝23a、23cを空間部20に連通させずに塞いだ構造であるから、連通孔22が目立たないようにすることができ、これによってもデザイン性を高めることができる。
【0055】
さらに、この腕時計のセンサ装置4では、連通空洞部14の空間部20の内部に静電気対策用の端子部材である端子板24が連通孔22を塞ぐことなく設けられていることにより、圧力センサ13が本体ケース5の外部の静電気の影響を受けないようにすることができ、これによっても本体ケース5の外部の圧力を圧力センサ13によって正確に検出することができる。
【0056】
なお、上述した実施形態では、連通空洞部14の連通孔22が本体ケース5の9時側の外面に設けられる場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば連通孔22を本体ケース5の9時側の上部、または9時側において外周に沿う方向の両側部、あるいは9時側の下部などに設けても良い。
【0057】
また、上述した実施形態では、本体ケース5の9時側の外面に設けられた装飾部23が上下方向に細長い複数のスリット溝23a~23cを備えている場合について述べたが、この発明は、必ずしも装飾部23が複数のスリット溝23a~23cを備えたものである必要はなく、図形や模様などを設けたものであっても良い。
【0058】
また、上述した実施形態では、連通空洞部14の空間部20内に端子板24を設けた場合について述べたが、この発明は、必ずしも端子板24を備えている必要はない。
【0059】
また、上述した実施形態では、センサ装置4を本体ケース5の9時側に設けた場合にについて述べたが、この発明は、必ずしもセンサ装置4を9時側に設ける必要はなく、本体ケース5の1時側~12時側のいずれかの箇所に設けても良い。
【0060】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、携帯電話や携帯情報端末などの電子機器にも適用することができる。
【0061】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0062】
(付記)
請求項1に記載の発明は、外周部にセンサ収納部が設けられたケースと、前記センサ収納部に収納されたセンサと、前記センサの外側面に対応して前記ケースの前記外周部に設けられ、前記ケースと一体に設けられた閉塞部を含み、且つ前記センサの前記外側面を覆い隠して前記ケースの外部に連通する連通空洞部と、を備えていることを特徴とするセンサ装置である。
【0063】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記センサは圧力センサであり、前記連通空洞部は、前記圧力センサの前記外側面に対応して前記ケースの前記外周部内に設けられた空間部と、前記圧力センサの前記外側面を覆い隠す閉塞部と、前記空間部を前記ケースの外部に連通させる連通孔と、を備えている
ことを特徴とするセンサ装置である。
【0064】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のセンサ装置において、前記連通孔は、前記閉塞部を除いた箇所に設けられていることを特徴とするセンサ装置である。
【0065】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記連通空洞部は、前記ケースの下部に取り付けられた蓋部の外周部の上面と当該蓋部の前記外周部の前記上面に対応する前記ケースの前記外周部の下面との間に設けられた隙間を備えていることを特徴とするセンサ装置である。
【0066】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記センサは、防水部材を介して前記ケースの前記センサ収納部内に設けられていることを特徴とするセンサ装置である。
【0067】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のセンサ装置において、前記圧力センサの前記外側面を覆い隠す前記閉塞部を含む前記ケースの前記外周部における外面には、装飾部が設けられていることを特徴とするセンサ装置である。
【0068】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のセンサ装置において、前記装飾部は、前記ケースの上下方向に細長い複数のスリット溝を備え、前記複数のスリット溝のうち、前記閉塞部に設けられた前記スリット溝を除いた前記スリット溝内に前記連通空洞部の前記連通孔が設けられていることを特徴とするセンサ装置である。
【0069】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載のセンサ装置において、前記連通空洞部の前記空間部の内部には、静電気対策用の端子部材が設けられていることを特徴とするセンサ装置である。
【0070】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載されたセンサ装置を備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0071】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
3 押釦スイッチ
4 センサ装置
5 本体ケース
5a 鍔部
6 外装ケース
6a 第1外装部材
6b 第2外装部材
6c パッキン収納凹部
7 第1の防水リング
8 時計ガラス
8a パッキン
9 センサユニット
10 裏蓋
10a 第2の防水リング
11 時計モジュール
12 センサ収納部
13 圧力センサ
13a 外側面
13b 内側面
14 連通空洞部
15 防水部材
16 センサ基板
17 フレキシブル配線基板
18 センサ押え板
18a ビス
20 空間部
21 閉塞部
22 連通孔
23 装飾部
23a~23c スリット溝
24 端子板
24a 下端部
S 隙間