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  • 特許-透明太陽電池が設置された窓構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】透明太陽電池が設置された窓構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240820BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20240820BHJP
   H01L 31/0468 20140101ALI20240820BHJP
   H02S 40/22 20140101ALI20240820BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20240820BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
E06B5/00 A
E06B9/24 Z
H01L31/04 532C
H02S40/22
B60J1/02 Z
B60J1/00 W
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022123004
(22)【出願日】2022-08-01
(65)【公開番号】P2024020095
(43)【公開日】2024-02-14
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130395
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰造
(72)【発明者】
【氏名】長沼 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】野中 健司
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165568(JP,A)
【文献】特開2018-032872(JP,A)
【文献】特開2018-082031(JP,A)
【文献】特開2013-038323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00-5/20
E06B 9/24
H01L 31/0468
H02S 40/22
B60J 1/02
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を分ける壁構造に開口された光を透過する窓枠内の領域に可視光を透過し近赤外光を吸収して発電する透明太陽電池が設置されている窓構造にして、前記透明太陽電池が前記窓構造の室外側からの太陽光に照射され、該太陽光中の近赤外光成分を吸収して発電するよう構成された窓構造であって、
前記窓構造の室内側にて前記窓枠内の領域の少なくとも一部を覆うことができ、前記窓構造の室外側から室内側へ前記窓枠内の領域の少なくとも一部を透過する光を遮光するよう配置可能な可動式のシェードが設けられ、
前記シェードの室外側の面上に少なくとも近赤外光を反射する反射層が適用され、
前記反射層上に可視光を近赤外光に変換して放出する波長変換層が積層され、
前記シェードが前記窓枠内の領域の少なくとも一部を覆う位置に配置されているときに、前記波長変換層が前記透明な太陽電池を透過した可視光を吸収して放出した近赤外光が前記反射層にて反射されて前記透明太陽電池へ照射されるよう構成された窓構造。
【請求項2】
請求項1の窓構造であって、前記反射層が前記波長変換層の縁を覆うよう形成され、前記波長変換層の縁から出射する近赤外光が前記透明太陽電池へ照射されるよう構成された窓構造。
【請求項3】
請求項1の窓構造であって、前記波長変換層が可視光を吸収して近赤外光を放出する蛍光物質の分散された蛍光層である窓構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの窓構造であって、車両に形成される窓構造。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかの窓構造であって、建物に形成される窓構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や建物の透明なガラス又は樹脂が嵌め込まれた窓構造に係り、より詳細には、可視光を透過し、発電しながら室内への採光を可能とする透明な太陽電池が設置された窓構造に係る。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両や建物の屋根に太陽電池を搭載し、そこで発電された電力エネルギーを車両に於ける種々の作動や建物に於ける種々の機器の作動に利用する試みが為されている(例えば、特許文献1など)。この点に関し、一般的な太陽電池(特許文献2など)の場合には、光を透過させないので、そのような太陽電池を、車両や建物に於ける採光のための窓に配置することはできない。しかしながら、近年、可視光領域の波長の光を透過し、紫外線領域又は近赤外線領域の光で発電する透明な太陽電池(特許文献3など)が開発されており、かかる透明な太陽電池は、採光用の窓枠に嵌め込むことにより、或いは、窓上に設置することにより、採光しつつ、発電できる窓として利用可能である。なお、特許文献4に於いて、近赤外領域の光を吸収して発電する太陽電池モジュールの意匠性向上と発電効率低下防止のための太陽電池の非受光面側に積層される裏面保護シートとして、近赤外領域の光を反射する反射層の上に、可視光領域の長波長側の光をそれよりも長波長の光に変換する波長変換剤を含有する透明密着樹脂層を積層して成るシートを用い、太陽電池の裏面側に到達した可視光領域の長波長側光を透明密着樹脂層で近赤外領域の光に変換し、かかる近赤外領域の光を反射層で反射させて可視光域の光の利用効率を高めるといったことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-10127
【文献】特開2021-168322
【文献】特開2018-32872
【文献】特開2018-82031
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く可視光を通す透明な太陽電池(以下、「透明太陽電池」とする。)を車両や建物の窓(即ち、車両や建物に於いて、室内外を仕切る壁構造に開口された光を透過する窓枠内の領域)に配置した構成に於いて、透明太陽電池は、可視光を透過するので、可視光のエネルギーは発電に利用されず、その分、太陽光エネルギーの利用効率は、太陽光の広範囲の波長領域に亙る光で発電する太陽電池に比して、低下することとなる。
【0005】
ところで、車両や建物の窓に於いて、遮光或いは目隠しのために、窓の室内側に可動式の、光を透過させないシェード(光を遮るための内装板又は内装幕)が設けられている場合がある。そのような可動式のシェード上に、可視光を吸収して近赤外光を放出する蛍光物質などの波長変換物質を含む層(波長変換層)が積層されて、かかる波長変換層へ透明太陽電池を透過してきた可視光が入射され、そこから放出された近赤外光を透明太陽電池へ戻す構成が形成されていれば、シェードが窓を覆っている間に於いては、太陽光に含まれる可視光が近赤外光に変換された後に透明太陽電池により吸収されて電力として回収できることとなるので、その分、太陽光エネルギーの利用効率が向上できることとなる。その場合、シェード上の波長変換層から放出される近赤外光ができるだけ多く透明太陽電池へ戻されるようになっていると、更に有利である。
【0006】
かくして、本発明の一つの課題は、車両や建物の窓に於いて透明太陽電池が設置され、発電しながら採光できるよう構成された窓構造に於いて、透明太陽電池により、できるだけ多くの光エネルギーを電気エネルギーとして回収できるようにすることである。
【0007】
また、本発明のより詳細な課題は、上記の如き窓構造に於いて、シェードの室外側に可視光を吸収して近赤外光を放出する波長変換層を適用し、かかるシェードで窓からの太陽光を遮光している間に於いては、波長変換層により透明太陽電池を透過してきた太陽光の可視光成分を近赤外光に変換し、変換された近赤外光ができるだけ多く透明太陽電池へ戻されるようにして、透明太陽電池によって、できるだけ多くの光エネルギーを電気エネルギーとして回収できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、上記の課題は、室内外を分ける壁構造に開口された光を透過する窓枠内の領域に可視光を透過し近赤外光を吸収して発電する透明太陽電池が設置されている窓構造にして、前記透明太陽電池が前記窓構造の室外側からの太陽光に照射され、該太陽光中の近赤外光成分を吸収して発電するよう構成された窓構造であって、
前記窓構造の室内側にて前記窓枠内の領域の少なくとも一部を覆うことができ、前記窓構造の室外側から室内側へ前記窓枠内の領域の少なくとも一部を透過する光を遮光するよう配置可能な可動式のシェードが設けられ、
前記シェードの室外側の面上に少なくとも近赤外光を反射する反射層が適用され、
前記反射層上に可視光を近赤外光に変換して放出する波長変換層が積層され、
前記シェードが前記窓枠内の領域の少なくとも一部を覆う位置に配置されているときに、前記波長変換層が前記透明な太陽電池を透過した可視光を吸収して放出した近赤外光が前記反射層にて反射されて前記透明太陽電池へ照射されるよう構成された窓構造によって達成される。
【0009】
上記の本発明の構成に於いて、「室内外を分ける壁構造」とは、自動車等の車両の車体の外壁、建物の外壁などであってよい。車両の場合、「窓構造」とは、フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、天窓(サンルーフ、パノラマルーフ)など、車体の車室の外壁に形成された窓枠内の領域に透明な平板状のガラス材又は樹脂材が嵌め込まれた窓の構造であってよい。また、建物の場合、「窓構造」とは、建物の外壁に形成された窓枠内の領域に透明な平板状のガラス材又は樹脂材が嵌め込まれた窓の構造であってよい。「透明太陽電池」とは、特許文献3に記載されている如く、可視光を透過し近赤外光を吸収して発電する任意の形式の太陽電池であってよく、透明な平板状のガラス材又は樹脂材の一部として窓枠内の領域に嵌めこまれるか、透明な平板状のガラス材又は樹脂材上に貼着されることで設置されてよい。かくして、上記の如く、窓枠内の領域に設置された透明太陽電池へ室外から太陽光が照射されると、太陽光中の可視光成分は透明太陽電池を透過する一方、近赤外光成分は、透明太陽電池に吸収されて電力に変換される。
【0010】
そして、上記の本発明の窓構造には、その室内側に於いて、可動式のシェードが窓枠内の領域の少なくとも一部を覆うことができ、窓構造の室外側から室内側へ窓枠内の領域の少なくとも一部を透過する光を遮光するように配置可能に設置される。即ち、シェードは、窓構造から室内への採光をしたいときには、窓枠内の領域を覆わない位置に移動され、窓構造から室内への遮光をしたいときには、窓枠内の領域を覆う位置に移動できるよう構成される。かかるシェードに於いて、その室外側の面上に、先ず、少なくとも近赤外光を反射する反射層が適用され、その反射層上に可視光を吸収して近赤外光を放出する波長変換層が積層される。なお、波長変換層は、任意の形式にて可視光を吸収して近赤外光を放出する層であってよく、典型的には、可視光を吸収して近赤外光を放出する蛍光物質の分散された蛍光層であってよいが、これに限定されない(可視光を吸収して近赤外光を放出するりん光物質が用いられてもよい。)。かかる構成によれば、シェードが窓枠内の領域の少なくとも一部を覆う位置に在るときには、透明太陽電池に波長変換層が対向した状態となるので、透明太陽電池を透過した可視光成分が波長変換層へ入射し、これにより、波長変換層から近赤外光が放出され、その一部は、直接に透明太陽電池へ入射し、他の一部は、反射層で反射されて透明太陽電池へ入射することとなる。この状態に於いて、透明太陽電池には、太陽光からの近赤外光を用いて発電するだけでなく、太陽光からの可視光成分も用いて発電できることとなり、より多くの太陽光エネルギーを電気エネルギーとして回収できることとなる。
【0011】
上記の本発明の構成に於いて、波長変換層にて可視光から変換された近赤外光は、波長変換層の縁面からも出射され得る。そこで、波長変換層の縁面から出射される近赤外光も有効に発電に利用できるようにするために、シェードの反射層は、波長変換層の縁を覆うよう形成され、波長変換層の縁から出射する近赤外光が透明太陽電池へ照射されるよう構成されていてよい。具体的には、反射層は、その中央領域よりも縁部分へ向かって厚みが厚く形成され、縁部分の反射面が透明太陽電池へ対向するように傾斜された形状であってよい。
【発明の効果】
【0012】
かくして、上記の本発明によれば、車両や建物に於ける窓構造に透明太陽電池が設置され、発電しながら、採光できる構成に於いて、窓からの採光が不要である場合に、窓をシェードで覆ったときには、シェードに於いて、透明太陽電池を透過した可視光が近赤外光に変換されて、透明太陽電池へ戻されることで、太陽光中の可視光のエネルギーも電力に変換されて回収できることとなり、その分、太陽光エネルギーの利用効率を向上することが可能となる。また、反射層が波長変換層の縁を覆うよう形成されている場合には、透明太陽電池へ戻される可視光だったエネルギーが多くなり、太陽光エネルギーの利用効率が更に向上されることとなる。
【0013】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(A)、(B)は、本実施形態が適用される窓構造を有する車両と建物の模式図である。
図2図2(A)は、本実施形態が適用される窓構造に於ける、シェードが窓を覆っていない状態の模式的な断面図であり、図2(B)は、本実施形態が適用される窓構造に於ける、シェードが窓を覆っている状態の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1…車両
1a…車両の外壁
1w…窓枠
2、4…窓
2a、4a…透明太陽電池
3…建物
3a…建物の外壁
10…シェード
12…反射層
12e…反射層の縁部
14…波長変換層(蛍光層)
irl…近赤外光
vl…可視光
S…太陽光
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態の窓構造の構成
図1(A)、(B)に描かれている如く、本実施形態の構成は、車両1に於ける車室を画定する外壁に形成されたフロントウィンドウ、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、天窓などの窓2の構造や、建物3の外壁に形成された窓4の構造に適用されてよい。
【0017】
図2(A)、(B)を参照して、本実施形態の窓2、4に於いては、具体的には、まず、室外側Oと室内側Iとの間を仕切る外壁1a、3aに室外側Oからの採光のために開口された窓枠1w、3wに透明なガラス材又は樹脂材から成る平板が嵌めこまれるところ、かかる平板内又は平板上に、可視光を透過し、近赤外光を吸収して発電する透明な太陽電池2aが設置される。なお、透明太陽電池2aとは、肉眼で太陽電池をその一方側を観察したときに、反対側が透けて見える太陽電池であり、そのような特性を有する太陽電池であれば、任意の形式のものが採用されてよい。
【0018】
また、図2(B)に描かれている如く、窓2、4の室内側Iに於いて、室外側Oからの光を遮光する際には、可動式のシェード10が窓2、4を覆うように配置できるよう設けられる。かかるシェード10は、例えば、図示の如く、矢印Xの方向に、窓2、4の面に沿って、適宜、移動されて、窓2、4の全域を覆わずに、採光を許す「全開位置」と、窓2、4の全域を覆い、遮光する「全閉位置」との間で可動式に摺動されて、任意の位置に配置されてよい。或いは、図示していないが、シェード10は、窓2、4の全域を覆わない「全開位置」と窓2、4の全域を覆った「全閉位置」との間で、ヒンジ式に窓構造2、4に対して枢動されてもよい。
【0019】
そして、上記のシェード10に於いては、図示の如く、内装板又は内装幕11の室外側に反射層12が積層され、かかる反射層12上に、可視光vlを近赤外光irlに変換する波長変換層14が積層される。反射層12は、室外側Oから室内側Iの方向に伝播してきた光を室外側O、即ち、透明太陽電池2aへ向かって反射する任意の形式の層、例えば、鏡面層であってよい。また、波長変換層14は、任意の方式にて、可視光vlを近赤外光irl(透明太陽電池2aが電力に変換できる波長の光)に変換する層であってよく、典型的には、可視光vlを吸収して近赤外光irlを放出する蛍光物質又はりん光物質が分散された透光性材料にて形成された層であってよい。蛍光物質又はりん光物質としては、可視光vlを吸収して近赤外光irlを放出する任意の色素物質や量子ドットなどが用いられてよい。
【0020】
なお、上記の波長変換層14に於いて、可視光vlから変換された近赤外光irlは、通常、波長変換層14の全方位に放出されるところ、波長変換層14の縁面から放出される近赤外光irlが透明太陽電池2aへ向かうように、波長変換層14の縁面も、反射層12の一部に覆われるように、反射層12が形成されていてよい。より好適には、図示の如く、波長変換層14の縁面から出射する光が透明太陽電池2aへ向かうように、反射層12の縁部12eは、反射面が透明太陽電池2aに向くように傾斜されていてよい。
【0021】
本実施形態の窓構造の作用
図2(A)の如く、透明太陽電池2aが窓枠1w、3wに設置されている場合、外壁1a、3aの室外側Oから室内側Iへ太陽光Sが入射する際に、透明太陽電池2aは、太陽光中の近赤外光(700nm~)irlを吸収して電力に変換する(発電する)一方、太陽光中の可視光(380nm~700nm)vlを透過させるので、透明太陽電池で発電しながら、肉眼で見える光を室内側Iへ採り入れることが可能となる。しかしながら、可視光vlは、室内側Iへ入射することとなるので、可視光vlのエネルギーは、電力として回収することができないこととなる。
【0022】
ところで、車両1や建物3に於いて、窓2、4からの採光が必要ない場合若しくは望まれない場合には、上記の図2(B)の如く、窓2、4の少なくとも一部を覆うように光を透さないシェード10が窓2、4に沿って配置される。そこで、本実施形態に於いては、シェード10の窓2、4に対向した側に、上記の如く、可視光vlを近赤外光irlに変換する波長変換層14と、そこから放出された近赤外光を透明太陽電池2aへ向かわせる反射層12とが設けられる。
【0023】
かかる構成によれば、図2(B)の如く、シェード10が窓2、4に沿って配置されている状態に於いて、先ず、太陽光が窓2、4に照射されると、上記の如く、太陽光中の近赤外光irlは、透明太陽電池2aに吸収されて電力に変換される。一方、透明太陽電池2aを透過した可視光vlは、波長変換層14に到達し、そこに於いて、近赤外光irlに変換されて放出されることとなる。かかる近赤外光irlのうち、透明太陽電池2aへ向かって伝播する成分は、そのまま、透明太陽電池2aに到達し、透明太陽電池2aから離れる方向に伝播する成分は、反射層12で反射されて、透明太陽電池2aに到達し、更に、波長変換層14の縁面から出射する成分は、反射層12の傾斜された縁部12eにて反射されて、透明太陽電池2aに到達することとなる。かくして、波長変換層14から種々の方向へ放出された近赤外光成分のいずれも透明太陽電池2aに到達し、そこで吸収されて電力に変換される。これにより、シェード10が窓2、4を覆っている間に於いては、太陽光中の近赤外光のエネルギーだけでなく、可視光のエネルギーも、透明太陽電池2aにより電力に変換され回収できることとなり、太陽光の利用効率を向上することが可能となる。
【0024】
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
図1
図2