(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】光学レンズ及び光源装置
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20240820BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240820BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240820BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240820BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20240820BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240820BHJP
G02B 3/06 20060101ALI20240820BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240820BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240820BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B5/02 A
G03B21/14 A
F21S2/00 311
G02B5/10 A
G02B3/00 Z
G02B3/06
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022187028
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2020151706の分割
【原出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知隼
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-032814(JP,A)
【文献】特開2016-057375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 5/00-5/136
G02B 1/00-1/08
G02B 3/00-3/14
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 33/00-33/16
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入射面と、前記入射面から入射した光を内部で反射する反射面と、前記反射面で反射された光の出射面と、を有し、
前記反射面は、凹状の曲面を有し、
前記入射面の一部には、球面状の凸部が設けられて
おり、
前記反射面は二次曲面形状を有し、
前記反射面は、所定の第1面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第1面の法線方向について直線状の二次曲線柱面であり、
前記出射面は、前記第1面の法線方向を含む第2面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第2面の法線方向について直線状の二次曲線柱面である
ことを特徴とする光学レンズ。
【請求項2】
前記出射面は、円柱面形状であることを特徴とする請求項
1記載の光学レンズ。
【請求項3】
前記出射面から平行光を出射することを特徴とする請求項1
又は2に記載の光学レンズ。
【請求項4】
前記出射面からの出射光の光軸は、前記入射面への入射光の光軸に対して垂直であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項5】
前記反射面の外面のうち少なくとも一部には、前記反射面で反射しない光を反射する反射膜を有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項6】
前記入射面は、球面状の凸部を含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項7】
前記凸部は、球冠の一部を欠いた形状を有することを特徴とする請求項
6記載の光学レンズ。
【請求項8】
前記凸部は、球冠形状のうち前記入射面からはみ出す一部を欠いた形状を有することを特徴とする請求項
7記載の光学レンズ。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学レンズと、
前記光学レンズへ入射する光を発する光源部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項10】
前記光源部で出射された光の一部に基づいて異なる波長の光を発する蛍光体層と、当該蛍光体層と同一面内で前記一部以外の光を拡散させながら透過させる拡散透過面と、を備え、
前記光学レンズには、前記拡散透過面を透過した光が入射され、
前記反射面をなす前記曲面は、前記拡散透過面を含む面内に焦点を有する
ことを特徴とする請求項
9記載の光源装置。
【請求項11】
前記光学レンズから出射された光を導く第1導光部と、
前記蛍光体層から発せられた光を導く第2導光部と、
前記第1導光部及び前記第2導光部を通った光が合流して導かれる合流導光部と、
を備えることを特徴とする請求項
10記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学レンズ及び光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源が発した光を適宜な方向へ集光して高指向性で出力する光源装置がある。プロジェクタなど任意のカラー画像が出力されるものでは、複数の波長帯域の光が合波されて出力される。特許文献1では、青色波長帯域のレーザー光源から出射された光のうち一部を拡散させ、残りを蛍光体により緑色波長帯域の光に変換した後、再度合波させて出力させるプロジェクタについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、適切な方向に光を出射するために従来用いられている集光レンズ及びミラーを組合せた光学系では、拡散を抑制しながら光を屈曲させるためのスペースが必要であり、小型化が難しいという課題があった。
【0005】
この発明の目的は、より省スペースで拡散を抑制しながら光を屈曲させることのできる光学レンズ及び光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
光の入射面と、前記入射面から入射した光を内部で反射する反射面と、前記反射面で反射された光の出射面と、を有し、
前記反射面は、凹状の曲面を有し、
前記入射面の一部には、球面状の凸部が設けられており、
前記反射面は二次曲面形状を有し、
前記反射面は、所定の第1面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第1面の法線方向について直線状の二次曲線柱面であり、
前記出射面は、前記第1面の法線方向を含む第2面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第2面の法線方向について直線状の二次曲線柱面である
ことを特徴とする光学レンズである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、より省スペースで拡散を抑制しながら光を屈曲させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】プロジェクタの構成と光の出射経路を説明する図である。
【
図3】異形レンズ内の光の経路について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の光源装置を含むプロジェクタ1の構成と光の出射経路を説明する図である。
プロジェクタ1は、レーザーダイオード(LD11;光源部)と、発光ダイオード(LED12)とを有し、これらを光源としてRGBの光を出射する。LD11は、青色の波長帯域の光を発する。ここでは、例えば、TO-CAN型のLD11が4個並んでおり、平行に光を出射する。LED12は、赤色の波長帯域の光を発する。緑色波長帯域の光は、後述のように青色波長帯域の光に基づいて蛍光体により得られる。
図1において、青色波長帯域の光経路を実線で示し、緑色波長帯域の光経路を一点鎖線で示し、赤色波長帯域の光経路を破線で示す。
【0010】
光経路上には、各種の光学デバイスが位置している。ここでは、光学デバイスには、反射ミラー群21と、集光レンズ22、23、28、29と、集光レンズ群25と、ダイクロイックフィルタ24、30と、異形レンズ26と、反射ミラー27などが含まれる。また、青色波長帯域の光経路上には、蛍光ホイール40が位置している。
【0011】
ダイクロイックフィルタ30で3波長帯域の光が合波された(合流した)後には、この光は、合流導光部50と、表示素子60と、投影レンズ群70を経て出射される。合流導光部50は、合波された各波長帯域の平行光を反射させて適宜な向きで表示素子60へ導く。
【0012】
表示素子60は、空間的光変調素子(SOM:Spatial Optical Modulator)であり、例えば、デジタルマイクロミラー素子(DMD)である。DMDは、アレイ状に配列された複数の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速で切り替えて、各画素単位各画像フレーム単位で投影レンズ群70への光反射の有無を定めることで、その反射光により光像を形成する。
【0013】
投影レンズ群70は、表示素子60から出射された光像を所定の出力方向に導いて出射する。投影レンズ群70は、複数のレンズの組合せの位置関係を変更するなどにより、焦点位置や出力画像の拡大率(ズーム)などを調整することが可能であってもよい。
【0014】
蛍光ホイール40は、蛍光体層を有する範囲と拡散透過面とを各々有する円形の金属板である。蛍光体層では、青色波長帯域の光が照射されると、緑色波長帯域の光が励起されて出射される。拡散透過面では、青色波長帯域の光が拡散されつつ透過する。蛍光ホイール40は、モーター41により回転駆動される。これにより、青色波長帯域の光の一部に基づいて緑色波長帯域(異なる波長の)の光が発し、当該一部以外の光はそのまま拡散透過面に進入する。
【0015】
拡散透過した青色波長帯域の光は、異形レンズ26に入射され、さらに、反射ミラー27及び集光レンズ28を経てダイクロイックフィルタ30を通過して(第1導光部)合流導光部50へ導かれる。蛍光体層から出射された緑色波長帯域の光は、集光レンズ群25へ戻り、ダイクロイックフィルタ24で反射されて集光レンズ29を透過した後、ダイクロイックフィルタ30で反射されて(第2導光部)合流導光部50へ導かれる。
【0016】
LED12から出射された赤色波長帯域の光は、集光レンズ23で拡散が絞られてダイクロイックフィルタ24を通過し、次いでダイクロイックフィルタ30で反射されて、合流導光部50へ導かれる。
【0017】
すなわち、ダイクロイックフィルタ24は、青色と赤色の波長帯域の光を透過させ、緑色波長帯域の光を選択的に反射する。ダイクロイックフィルタ30は、青色の波長帯域の光を選択的に透過させ、緑色及び赤色の波長帯域の光を反射する。
【0018】
上記各構成のうち、青色の波長帯域の光が出射されるLD11から青色と緑色の波長帯域の光が合波されるダイクロイックフィルタ30までの青色波長帯域の光及び緑色波長帯域の光の経路に沿った各構成、特に、蛍光ホイール40、モーター41及び異形レンズ26が本実施形態の光源装置に含まれる。
【0019】
次に、本実施形態の光学レンズである異形レンズ26について説明する。
図2は、異形レンズ26を示す図である。
図2(a)に示すように、異形レンズ26は、他のレンズと異なり、入射面P1の側の光軸(入射光軸X1)と出射面P3の側の光軸(出射光軸X3)とが異なっている。ここでは、入射光軸X1(ここでは、Z方向に沿った向き)と出射光軸X3(ここでは、X方向に沿った向き)とが垂直になっている。異形レンズ26は、反射面P2を有し、光軸の向きが異形レンズ26の内部でこの反射面P2において変化している。
【0020】
図2(b)、(c)などにも示しているように、入射面P1には、平面から突出した凸部分B(凸部)を有する。凸部分Bは、表面が球面状(球冠状の立体形状)であり、凸レンズとして機能して入射光を集光する。ここでは、少なくとも蛍光ホイール40の拡散透過面で拡散されながら透過した光の拡散を抑制する形状(曲率)となっている。蛍光ホイール40の拡散透過面からの青色波長帯域の光は、ほぼ全てこの凸部分Bへ入射するように当該凸部分Bの位置及びサイズが定められている。
【0021】
入射面P1から入射した光は、異形レンズ26の内部において反射面P2で反射される。反射面P2は、二次曲線を当該二次曲線が含まれる面に垂直な方向へ伸ばした凹状(外形は凸状)の曲面を有する。ここでは、反射面P2は、二次曲線柱面(二次曲面)形状である。二次曲線は、入射光軸X1及び出射光軸X3を含む面(XZ面、第1面)に平行な面内で蛍光ホイール40の拡散透過面上に焦点を有する形状であり、例えば、放物線である。入射光軸X1及び出射光軸X3に垂直な方向(Y軸方向、第1面の法線方向)については、反射面P2は、直線状に伸びている。異形レンズ26の材質である光学ガラスは、概ね屈折率が1.5程度であり、反射面P2は、材質に応じて入射光の多くが全反射されるように角度が定められているが、光の入射方向によっては一部反射されないものもあるので、反射面P2の外面に沿って反射膜Rを有していてもよい。入射面P1への入射角と反射面P2との位置関係及び屈折率により、全反射しない範囲は限られ得る。したがって、反射膜Rは、反射面P2の外面全面を覆っている必要はなく、当該全反射しない範囲で低損失で反射がなされるように設けられてさえいればよい。上記反射面P2の形状により、入射光は、XZ面(第1面)内において出射光軸X3方向に集光(拡散が抑制)される。
【0022】
凸部分Bは、入射面P1への入射光を反射面P2の適切な範囲に効率よく入射させることが可能なサイズ及び位置にある。ここでは、凸部分Bは、Y方向について中央かつX方向について中央よりも-X寄りに位置している。これに伴い、凸部分Bは、球冠形状のうち入射面P1からはみ出す一部(具体的には、入射面P1の-X側端を含むYZ面(球冠形状の底面に垂直な面)を境界としてこれよりも-X側の部分)を欠いた形状となっていてもよい。
【0023】
出射面P3は、XY面(第1面の法線方向を含む第2面)に平行な断面が二次曲線形状、ここでは、円状に変化し、Z方向(第2面の法線方向)に直線状の円柱面形状(シリンドリカル形状)を有する。これにより、反射面P2で集光されなかったXY面内において、出射光軸X3方向に集光されて、出射光は平行光となる。ここでは、入射光軸X1と出射光軸X3とは垂直である。
【0024】
なお、入射面P1と出射面P3は、反射防止膜を有していてもよい。反射防止膜は、周知のコーティング膜であってよい。
【0025】
図3は、異形レンズ26内での光の経路について説明する図である。
図3(a)は、XZ面内での経路を説明する図であり、
図3(b)は、XY面内での光の経路を説明する図である。
【0026】
図3(a)に示すように、XZ面内では、蛍光ホイール40からの青色波長帯域の光は、凸部分Bの凸面及び反射面P2の凹面で集光されてほぼ平行光となり、出射面P3から出射される。
図3(b)に示すように、XY面内では、蛍光ホイール40からの青色波長帯域の光は、反射面P2での反射では拡散が抑制されず、出射面P3で抑制がなされる。このように、本実施形態の異形レンズ26では、反射面P2と出射面P3の組合せで出射方向をそろえている。
【0027】
以上のように、本実施形態の光学レンズである異形レンズ26は、光の入射面P1と、入射面P1から入射した光を内部で反射する反射面P2と、反射面P2で反射された光の出射面P3と、を有する。反射面P2は、凹状の曲面を有する。
このような形状により、集光と反射による光軸方向の変更をまとめてコンパクトに行うことができる。特に、集光用の凸レンズは凸部分が余計に場所を占めるので、ミラーなど他の構成との間を大きく取る必要があった。よって、本願の異形レンズ26では、光学系のレイアウトの制約を減らすことができる。また、異形レンズ26の内部でほぼ全反射させることで、従来のミラーによる反射による分の損失を低減させることができる。よって、効率よく集光(拡散を抑制)しながら光の向きを変化させることができる。
【0028】
また、反射面P2は、二次曲面を有する。これにより、容易な形状で効率的に入射光を集光し、平行光に変換することができる。
【0029】
また、反射面P2は、所定の第1面(XZ面)に平行な面内で二次曲線形状(放物線形状など)を有し、第1面の法線方向(Y方向)について直線状の二次曲線柱面(放物線柱面)であり、出射面P3は、第1面の法線方向を含む第2面(XY面)に平行な面内で二次曲線形状(円弧)を有し、前記第2面の法線方向(Z方向)について直線状の二次曲線柱面(円柱面)である。
このように、集光を反射面P2と出射面P3に分けることで、それぞれ2次元的な曲線形状とされ得るので、製造が容易であり、効率よく光の経路を定めることができる。
【0030】
また、出射面P3は、円柱面形状である。これにより、容易に短い距離で平行光に変換することができる。
【0031】
また、異形レンズ26は、出射面P3から平行光を出射する。このように、プリズムのように単に光を反射して折り曲げるだけではなく、拡散を抑制して出射するので、ミラーと集光レンズを各々配置せずともより省スペースで光の経路設定を行うことが可能になる。
【0032】
また、出射面P3からの出射光の出射光軸X3は、入射面P1への入射光の入射光軸X1に対して垂直である。すなわち、この異形レンズ26では、光経路の90度の折り曲げと集光(拡散の抑制、平行光の形成)をまとめて省スペースで行うことができる。
【0033】
また、異形レンズ26は、反射面P2の外面のうち少なくとも一部には、反射面P2で反射しない光を反射する反射膜Rを有する。反射面P2が平面でないことや、蛍光体層が入射面P1の至近距離にあることなどにより、光の入射角によっては全反射とならない場合もあるので、必要な範囲で反射膜Rが設けられていてもよい。このような構成であっても、完全にミラーで反射させるよりも損失が抑えられ、また、コンパクトに反射と集光を行うことができる。
【0034】
また、入射面P1は、球面状の凸部分Bを含む。これにより、拡散して入射する光の拡散度合をある程度揃えることができ、反射面P2や出射面P3の形状に余裕を持たせて形状の自由度を上げることができる。
【0035】
また、凸部分Bは、球冠の一部を欠いた形状を有する。入射面P1のうち、効率的に反射面P2へ到達させる入射範囲に応じた凸部分Bの位置が入射面P1からはみ出るような場合には、当該はみ出る部分を欠いた形状としても光学上問題なく、また、異形レンズ26を余分な突出部分のないコンパクトな形状とすることができる。
【0036】
また、本実施形態のプロジェクタ1に含まれる光源装置は、上記の異形レンズ26と、異形レンズ26へ入射する光を発するLD11と、を備える。すなわち、この光源装置では、LD11の出射光をコンパクトに適宜な方向へ出力させることができる。
【0037】
また、光源装置は、LD11で出射された青色波長帯域の光の一部に基づいて異なる緑色波長帯域の光を発する蛍光体層と、青色波長帯域の光を透過させながら透過させる拡散透過面と、を有する蛍光ホイール40を備える。異形レンズ26には、拡散透過面を透過した光が入射され、反射面P2の二次曲線柱面は、拡散透過面を含む面内に焦点が位置する。すなわち、出射対象の一部の光の経路をコンパクトに定めることで、光源装置全体のサイズの大型化を抑えることができる。
【0038】
また、光源装置は、異形レンズ26から出射された光を導く第1導光部と、蛍光体層から発せられた光を導く第2導光部と、第1導光部及び前記第2導光部を通った光が合流して導かれる合流導光部50と、を備える。すなわち、異なる2波長の光が異なる経路を経て合波される場合に、一方の経路、特に遠回りとなる経路を異形レンズ26によりコンパクトに定めることで、光源装置の小型化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、反射面P2と出射面P3がそれぞれ直交する方向に光を収束させる二次曲線柱面を有するものとして説明したが、これに限られない。反射面P2が放物面などの二次曲面を有し、まとめて集光させる形状であってもよい。この場合には、出射面P3は単なる平面であってもよい。あるいは、反射面P2と出射面P3がそれぞれ二次曲面であり、各々少しずつ集光させる構成を有していてもよい。また、二次曲面に限らず、例えば、三次以上の曲面を用いて細かい収差などをより低減させてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、平行光を出射するものとして説明したが、入射時に比して拡散が抑制されていればよく、これに限られない。また、より光を収束させるように出力させてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、光軸を直角に曲げて入射面P1に対して出射面P3が垂直である場合を示したが、これに限られない。異形レンズ26は、他の角度に曲げて出射させる構成であってもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、反射膜Rを有するものとして説明したが、入射光の入射角度と反射面P2の反射角度及び異形レンズ26の材質(屈折率)との関係に応じて不要な場合には、反射膜Rを有していなくてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、入射面P1に球面状の凸部分Bを有して拡散を抑制するものとして説明したが、これに限られない。入射光の拡散度合が大きくない場合には、凸部分Bを有していなくてもよい。また、凸部分Bの入射面は、他の任意の二次曲面であってもよい。また、凸部分Bの位置やサイズによっては、球面断面形状の一部を欠いていなくてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、LD11の出力する光が異形レンズ26に入射されるものとして説明したが、これに限られない。光源はその他の任意のものであってもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、緑色波長帯域の光が蛍光体層で発せられるものとして説明したが、これに限られない。別途緑色波長帯域の光を生じる光源を有していてもよい。あるいは、蛍光体層ではなく、フィルタなどにより緑色波長帯域の光が生成されてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、青色波長帯域の光が異形レンズ26に入射されるものとして説明したが、他の波長帯域の光であってもよい。また、単波長の光が入射される場合に限られなくてもよい。この場合、波長帯域ごとに入射角度が異なっていてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、複数波長の光を発する光源装置として説明したが、単波長の光のみが出力されるものであってもよい。また、レンズの透過及びミラーの反射が可能な波長帯域であれば、光は可視光に限られなくてもよい。赤外光などが含まれてもよい。また、必ずしも複数の波長帯域の光が合波されて出力されるものに限られなくてもよい。
【0048】
また、上記実施の形態では、プロジェクタ1の光源装置として説明したが、これに限られない。照明装置、標識、検査装置など各種用途の光源装置であってもよい。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0050】
[付記]
<請求項1>
光の入射面と、前記入射面から入射した光を内部で反射する反射面と、前記反射面で反射された光の出射面と、を有し、
前記反射面は、凹状の曲面を有する
ことを特徴とする光学レンズ。
<請求項2>
前記反射面は二次曲面形状を有することを特徴とする請求項1記載の光学レンズ。
<請求項3>
前記反射面は、所定の第1面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第1面の法線方向について直線状の二次曲線柱面であり、
前記出射面は、前記第1面の法線方向を含む第2面に平行な面内で二次曲線形状を有し、前記第2面の法線方向について直線状の二次曲線柱面である
ことを特徴とする請求項2記載の光学レンズ。
<請求項4>
前記出射面は、円柱面形状であることを特徴とする請求項3記載の光学レンズ。
<請求項5>
前記出射面から平行光を出射することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学レンズ。
<請求項6>
前記出射面からの出射光の光軸は、前記入射面への入射光の光軸に対して垂直であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光学レンズ。
<請求項7>
前記反射面の外面のうち少なくとも一部には、前記反射面で反射しない光を反射する反射膜を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学レンズ。
<請求項8>
前記入射面は、球面状の凸部を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光学レンズ。
<請求項9>
前記凸部は、球冠の一部を欠いた形状を有することを特徴とする請求項8記載の光学レンズ。
<請求項10>
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学レンズと、
前記光学レンズへ入射する光を発する光源部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
<請求項11>
前記光源部で出射された光の一部に基づいて異なる波長の光を発する蛍光体層と、当該蛍光体層と同一面内で前記一部以外の光を拡散させながら透過させる拡散透過面と、を備え、
前記光学レンズには、前記拡散透過面を透過した光が入射され、
前記反射面をなす前記曲面は、前記拡散透過面を含む面内に焦点を有する
ことを特徴とする請求項10記載の光源装置。
<請求項12>
前記光学レンズから出射された光を導く第1導光部と、
前記蛍光体層から発せられた光を導く第2導光部と、
前記第1導光部及び前記第2導光部を通った光が合流して導かれる合流導光部と、
を備えることを特徴とする請求項11記載の光源装置。
【符号の説明】
【0051】
1 プロジェクタ
21 反射ミラー群
22、23、28、29 集光レンズ
24、30 ダイクロイックフィルタ
25 集光レンズ群
26 異形レンズ
27 反射ミラー
40 蛍光ホイール
41 モーター
50 合流導光部
60 表示素子
70 投影レンズ群
B 凸部分
P1 入射面
P2 反射面
P3 出射面
R 反射膜