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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】室外機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/36 20110101AFI20240820BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F24F1/36
F24F13/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022210723
(22)【出願日】2022-12-27
(65)【公開番号】P2024094023
(43)【公開日】2024-07-09
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大久保 孝昭
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-15302(JP,A)
【文献】特開2018-151144(JP,A)
【文献】特開2019-32143(JP,A)
【文献】特開2005-98615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/36
F24F 13/22
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な正面板と、前記正面板と対向する背面板と、前記正面板と前記背面板とをつなぐ側面板とで囲まれる筐体と、
前記背面板の側に配置される熱交換器ユニットと、
前記熱交換器ユニットと前記筐体の底面を構成するベースとの間であって、前記ベースに固定されるベースヒータと、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する固定具と、を備え、
前記固定具は、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する場合に、前記ベースヒータの周囲のうち、前記ベースと接する側を下側部分とした場合の前記下側部分と反対側の上側部分、及び、前記下側部分と前記上側部分とをつなぐ部分のうち前記背面板の側にある奥側部分に接し、前記ベースヒータを前記ベースに固定する二方固定具と、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する場合に、前記ベースヒータの周囲のうち、前記下側部分以外の部分に接し、前記ベースヒータを前記ベースに固定する三方固定具と、
を備えていることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記二方固定具は、前記ベースにおける前記背面板の側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記熱交換器ユニットは、前記筐体の内部において前記背面板の側と複数の前記側面板の側に配置され、
前記二方固定具は、前記ベースにおける前記背面板の側に配置され、前記三方固定具は、前記ベースにおける前記側面板の側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項4】
前記熱交換器ユニットは、前記筐体の内部において前記背面板の側と複数の前記側面板の側に配置され、
前記二方固定具は、前記ベースにおける前記背面板の側に配置され、前記三方固定具は、前記ベースにおける前記側面板の側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項5】
前記ベースヒータは、前記二方固定具に対して治具を用いて装着され、
前記筐体は、前記正面板と前記背面板との間で前記ベースヒータの着脱時に前記治具が挿入可能な通路を備え、
前記二方固定具は、前記通路を介して前記治具を挿入した際における前記治具の挿入先端の近傍に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項6】
前記ベースヒータは、前記二方固定具に対して治具を用いて装着され、
前記筐体は、前記正面板と前記背面板との間で前記ベースヒータの着脱時に前記治具が挿入可能な通路を備え、
前記二方固定具は、前記通路を介して前記治具を挿入した際における前記治具の挿入先端の近傍に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の室外機。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、室外機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、一般的に室内に設置される室内機と室外に設置される室外機とから構成される。そして、これら室内機及び室外機を連結して構成される冷凍回路内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0003】
室外機の筐体内部には熱交換器ユニットが配置されており、冷凍回路内を循環する冷媒と外気との間で熱交換を行っている。ここで例えば、ヒートポンプ式の空気調和機では、暖房運転時に蒸発器として機能する当該熱交換器ユニットに外気中の水分が霜となって付着することがある。熱交換器ユニットに霜が付着した状態で暖房運転が行われると熱交換能力の低下を招くため、熱交換器ユニットに付着した霜を取り除く除霜運転が行われるようになっている。
【0004】
このような除霜運転が行われると、熱交換器ユニットに付着していた霜が融けてドレン水となり、熱交換器ユニットから室外機の底板に滴下して底板に設けられた排出口を通って底板から室外機の外部へ排出される。
【0005】
しかし、寒冷地などの低外気温下で使用される室外機では、ドレン水が室外機の外部へ排出される前に底板上で再凍結してしまうことがあり得る。このように再凍結してしまうと、ドレン水を排出できないまま凍結した氷が成長することが起こり、氷がファンと接触するなどして空気調和機が運転できなくなる場合がある。
【0006】
そこで低外気温下で使用される空気調和機の室外機では、底板上にベースヒータを配置し、ベースヒータに通電して発熱させることで底板を暖めてドレン水の再凍結を防止するようになっている。
【0007】
このような空気調和機の室外機において、ベースヒータは底板を暖めやすいように底板の上面に接触した状態で固定されることが望ましい。このため、例えば以下に示す特許文献1に記載されている技術に示されているような固定具が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-069220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1の空気調和機の室外機は、室外機の運転や運搬による振動等が生じた際に、ベースヒータが所定の位置からずれることや底板の上面から浮き上がることを防止するために、例えばネジ止めによって底板にベースヒータを固定する。このようなベースヒータの底板への固定方法は、上記ベースヒータのずれや浮き上がりを防止する目的からは適しているものの、作業性の観点からは妥当ではない場合もある。
【0010】
例えば、ベースヒータの機能からすれば、サービスパネルが設けられている正面から見て室外機の奥側、つまり室外機の筐体の内部に配置される各種機器を挟んでサービスパネルと対向する位置にもベースヒータは設けられている。
【0011】
そこでベースヒータの交換、点検といった作業が生じた場合に、室外機の奥側に配置されているベースヒータにアクセスしようとすると、手前側のサービスパネルから作業員が手を入れる必要がある。
【0012】
但し室外機の筐体の内部には、そのスペースの関係から各種機器が密集して配置されていることも多く、作業員が室外機の奥側に配置されているベースヒータにアクセスしようとすると、当該ベースヒータの手前に配置されている各種機器が邪魔となる。
【0013】
しかも当該ベースヒータが、例えば、ネジ止めされている場合は、作業者がネジ回し等のかさばる工具を持ちつつベースヒータにアクセスした上でベースヒータを固定しているネジを外さなければならない。
【0014】
本発明は、ベースヒータの底板への確実な固定を図りつつ、ベースヒータを簡易に着脱することが可能な固定具を備える室外機及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様に係る室外機は、開閉可能な正面板と、正面板と対向する背面板と、正面板と背面板とをつなぐ側面板とで囲まれる筐体と、背面板の側に配置される熱交換器ユニットと、熱交換器ユニットと筐体の底面を構成するベースとの間であって、ベースに固定されるベースヒータと、ベースヒータをベースに固定する固定具と、を備え、固定具は、ベースヒータをベースに固定する場合に、ベースヒータの周囲のうち、ベースと接する側を下側部分とした場合の下側部分と反対側の上側部分、及び、下側部分と上側部分とをつなぐ部分のうち背面板の側にある奥側部分に接し、ベースヒータをベースに固定する二方固定具と、ベースヒータをベースに固定する場合に、ベースヒータの周囲のうち、下側部分以外の部分に接し、ベースヒータをベースに固定する三方固定具とを備えている。
【0016】
さらに、本発明の一態様に係る空気調和機は、開閉可能な正面板と、正面板と対向する背面板と、正面板と背面板とをつなぐ側面板とで囲まれる筐体と、背面板の側に配置される熱交換器ユニットと、熱交換器ユニットと筐体の底面を構成するベースとの間であって、ベースに固定されるベースヒータと、ベースヒータをベースに固定する固定具と、を備え、固定具は、ベースヒータをベースに固定する場合に、ベースヒータの周囲のうち、ベースと接する側を下側部分とした場合の下側部分と反対側の上側部分、及び、下側部分と上側部分とをつなぐ部分のうち背面板の側にある奥側部分に接し、ベースヒータをベースに固定する二方固定具と、ベースヒータをベースに固定する場合に、ベースヒータの周囲のうち、下側部分以外の部分に接し、ベースヒータをベースに固定する三方固定具とを備えている室外機と、室内に設置され、室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベースヒータの底板への確実な固定を図りつつ、ベースヒータを簡易に着脱することが可能な固定具を備える室外機及び空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の全体を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る室外機において、サービスパネルを取り外して電装品箱等を露出させた状態を示す室外機の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る室外機における底板(ベース)にベースヒータが取り付けられている状態を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る室外機における底板(ベース)にベースヒータが取り付けられている状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る二方固定具を拡大して示す拡大斜視図である。
図6図3に示す平面図において、二方固定具で固定されるベースヒータをM-M線で切断して拡大して示す拡大切断断面図である。
図7図3に示す平面図において、三方固定具で固定されるベースヒータをN-N線で切断して拡大して示す拡大切断断面図である。
図8】ベースヒータを着脱する際に用いる治具の一例の全体を示す全体図である。
図9】本発明の実施の形態に係る室外機の正面を拡大して示す拡大図である。
図10】本発明の実施の形態に係る室外機を備える空気調和機の全体の冷凍回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機1の全体を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る室外機1において、サービスパネル6を取り外して電装品箱10等を露出させた状態を示す室外機1の正面図である。
【0020】
図1に示すように、この空気調和機の室外機1は、大型の筐体2を有している。室外機1を水平面上に設置したとき、すなわち、図2に示す室外機1のように、鉛直方向(図面において上下方向を示すY方向)を縦とし、当該鉛直方向に直交する方向(図面において左右方向を示すX方向)を横と表した場合に、本発明の実施の形態における室外機1の筐体2は、縦横比において横幅よりも縦の長さの方が長くなるように形成されている。
【0021】
すなわち、以下において説明する室外機については、図1図2に示す形状を有する室外機1を例に挙げる。但し室外機1については、図1図2に示すような形状の他、筐体2の内部に取り付けられる各種機器の大きさや個数によってその大きさや形状(縦横比)を自由に設定することができる。
【0022】
なお、以下においては、上下左右の各方向については、上述したように、縦方向をY方向とし、横方向をX方向として説明する。また適宜、図面正面側、すなわち室外機1の外側を手前側とし、反対側となる室外機1の内側を奥側と表す。さらに筐体2の内部に配置される各種機器を挟んで正面と対向する面が背面である。従って、正面と背面とを結ぶ奥行き方向がZ方向である。
【0023】
筐体2の側面には、当該筐体2の内部に空気を取り込むための空気吸込口3が設けられている。また、筐体2の内部には、空気吸込口3に沿って熱交換器ユニット4が配置されている。
【0024】
本発明の実施の形態における室外機1では、熱交換器ユニット4は、上から見てコ字型に形成された熱交換器を上下2段に積層しており、筐体2の内周面に沿って配置されている。なお、本発明の実施の形態における室外機1において熱交換器ユニット4の構成は任意であってよく、その形状や構成は仕様に応じて任意に選択されて良い。
【0025】
筐体2の上部には、ファン5が配置されており、ファン5を囲むようにして空気吹き出し口Oが形成されている。すなわち、本発明の実施の形態における室外機1は、いわゆる上吹き室外機である。
【0026】
これによれば、本発明の実施の形態における室外機1では、空気吸込口3から熱交換器ユニット4を経て筐体2の内部に吸い込まれた空気は、ファン5を介して筐体2の上部に設けられる空気吹き出し口Oから排気される。
【0027】
筐体2の4つの側面のうち、3つの側面には空気吸込口3が形成されている。そして残りの1つの側面には、筐体2の内部に配置されている圧縮機等の機器や電装品等のメンテナンス等を行う際に開閉されるサービスパネル6,6が設けられている。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る室外機1の場合、サービスパネル6,6は、金属板で形成されており筐体2に対して上下に2分割されている。またその各々が筐体2に対して必要な場合以外には取り外しできないように、例えば、ネジ止めされている。
【0029】
図2に示すように、この上部側のサービスパネル6を取り外すと、筐体2の内部であって、当該サービスパネル6の奥に配置される電装品箱10が現れる。この電装品箱10は、その内部に電装品を収容している。
【0030】
そして、図2に示す下部側のサービスパネル6を開くと、筐体2の内部に配置された圧縮機71やその配管類などを含む冷凍回路ユニット7が現れる。なお、本発明において、冷凍回路ユニット7の具体的な構成は任意であり、空気調和機用の冷凍回路として用いるものであれば、それらの構成は仕様に応じて自由に構成されうる。
【0031】
また、これら冷凍回路ユニット7は、筐体2の底面を構成する底板B(以下、この底板のことを「ベース」と表す)の上に載置されており、適宜ネジ止め等によりベースBに固定されている。そして、ベースBは、筐体2の底部を構成する。
【0032】
ここで、図3は、本発明の実施の形態に係る室外機1におけるベースBにベースヒータBHが取り付けられている状態を示す平面図である。また、図4は、本発明の実施の形態に係る室外機1におけるベースBにベースヒータBHが取り付けられている状態を示す斜視図である。
【0033】
本発明の実施の形態におけるベースBでは、図3において示されているように、図面下側が上述したサービスパネル6,6が設けられている正面側であり、ベースBに配置される各種機器を挟んで正面側と対向する側、すなわち図面上側が背面側に当たる。
【0034】
また、図1に示すように筐体2では正面板と背面板とが側面板によってつながれており、ベースBの周囲も筐体2の外郭と同じ形状に形成されている。そのため本発明の実施の形態における室外機1では、ベースBは、図3における右下の角部が切り欠かれている略四角形の形状とされている。
【0035】
なお以下においては、図3に示すようにベースBを見た場合に、下側を正面側、当該正面側と対向する側を背面側、図面左側に示す側を左側、その反対側を右側と、適宜表す。
【0036】
さらに図4に示すように、ベースBの周囲はY方向に若干立ち上がっており、例えば、サービスパネル6をネジ止めすることができるようにされている。また、ベースBのX-Z平面には、当該ベースBに載置される、例えば、冷凍回路ユニット7を固定するために用いられるネジを止めるための穴やドレン水を排水するための排出口が設けられている。
【0037】
なお、ベースBの形状については、上述したような形状にこだわらず、どのような形状を採用しても良い。また、筐体2の内部においてベースBに載置されて収容される各機器はどのように配置されても良く、当該配置に合わせてベースBのX-Z平面上の形状、ネジ止め用の穴等が決められる。
【0038】
ベースヒータBHは、ベースBに溜まって排水される前のドレン水の再凍結を防止するべく、ベースBを暖めるために用いられる。従って、ベースヒータBHは、熱交換器ユニット4とベースBとの間であって、熱交換器ユニット4の近傍に配置される。
【0039】
上述したように、本発明の実施の形態における室外機1では、筐体2の正面を除く筐体2の内部の背面側と2つの側面側に熱交換器ユニット4が配置されている。従って、ベースヒータBHもベースB上において、当該熱交換器ユニット4の配置に合わせてその近傍に配置される。
【0040】
具体的には、本発明の実施の形態における室外機1では、ベースヒータBHは、例えば図3に示すように、正面から見て左側の略中央付近からZ方向側(奥側)に向かい、そこから背面に沿ってX方向右側に向かって伸び、右側のZ方向側(手前側)まで伸びている。
【0041】
そして図4に示すように、ベースヒータBHの両端はベースBからY方向側(上側)へと伸び、図示しない他の機器に接続される。また、本発明の実施の形態におけるベースヒータBHでは、右側における端部近傍にサーモスタットSが接続されている。
【0042】
なお、図3及び図4においては、ベースヒータBHをベースBと区別するべく、ベースヒータBHにドット模様を付している。また、後述するベースヒータBHの固定具8についても同様に、ベースヒータBHとは異なるドット模様を付している。
【0043】
このようにベースヒータBHはベースB上を引き回されるが、ベースヒータBHは複数の固定具8によってベースBに固定されている。固定具8は、ベースヒータBHをベースBに固定して、適切に固定されていないことに起因する振動が生ずることを防止するものである。
【0044】
本発明の実施の形態における固定具8としては、二方固定具81と三方固定具82の2種類の固定具が用いられる。また、三方固定具82は、その形状の違いから、第1の三方固定具821と、第2の三方固定具822に分かれる。なお、二方固定具81と三方固定具82とをまとめて表す際には、これまで通り「固定具8」と表す。また、第1の三方固定具821と、第2の三方固定具822をまとめて表す際には、「三方固定具82」と表す。
【0045】
図3、及び、図4に示すように、二方固定具81は、筐体2の正面から見て奥側および/または背面側に取り付けられており、ベースヒータBHの背面側に配置される部分を固定するために用いられる。一方、三方固定具82は、図3に示すベースBの左側、或いは、右側に取り付けられる。より具体的には、第1の三方固定具821が左側に、第2の三方固定具822が右側に取り付けられる。
【0046】
まず二方固定具81について説明する。二方固定具81自体は、ベースBにネジ止め等によって固定されている。但し、ベースヒータBHの固定に当たってはベースヒータBHを二方固定具81に対して自在に着脱することができるように、二方固定具81はいわゆるクリップ式に形成されている。
【0047】
ここで、ベースヒータBHを二方固定具81で固定するに当たって、ベースヒータBHの周囲のうち、ベースBと接する側を下側部分とし、当該下側部分と反対側を上側部分とする。また、下側部分及び上側部分をつなぐ部分のうち正面板の側である手前側を手前側部分、背面板の側である奥側を奥側部分と表す。本発明の実施の形態における二方固定具81は、ベースヒータBHの上側部分及び奥側部分に接し、ベースヒータBHをベースBに固定する。
【0048】
図5は、本発明の実施の形態に係る二方固定具81を拡大して示す拡大斜視図である。図5において、奥側(図面右側)が筐体2の背面側であり、手前側(図面左側)がベースB(筐体2)の正面側である。二方固定具81をベースBに固定した場合に、筐体2の背面側に配置される部分には、二方固定具81をベースBに固定する際に用いるネジを通すネジ穴81aが設けられている。
【0049】
一方、二方固定具81をベースBに固定した場合に、筐体2の正面側に配置される部分は、ベースヒータBHをベースBに固定する際に、ベースヒータBHを装着することが可能なように開放端81bとされている。従って、ベースヒータBHを装着する場合には、ベースヒータBHを筐体2の正面側から背面側に向けてZ方向に移動させるだけで二方固定具81に嵌め込んで、ベースBに固定することができる。
【0050】
すなわち、二方固定具81にベースヒータBHを固定する際に、筐体2の手前側から奥側に向けてベースヒータBHを押し込むことで、ベースヒータBHの奥側部分が開放端81bに接触する。さらにベースヒータBHが押し込まれるに従って、開放端81bがY方向上部に向けて移動し、さらに当該開放端81bがベースヒータBHを乗り越えるように移動することで、ベースヒータBHが二方固定具81によってベースBに固定される。
【0051】
従って、ベースヒータBHを固定していない、ベースBに取り付けられた状態の二方固定具81におけるベースBから開放端81bまでのY方向の距離は、二方固定具81に固定されたときのベースヒータBHのベースBの接触面から開放端81bに接触する面までの距離よりも短い。
【0052】
ここでベースヒータBHが二方固定具81を用いてベースBに固定された状態を、さらに図面を用いて説明する。図6は、図3に示す平面図において、二方固定具81で固定されるベースヒータBHをM-M線で切断して拡大して示す拡大切断断面図である。
【0053】
図6において右側が筐体2の奥側であり、左側が筐体2の正面側である。筐体2の奥側において、二方固定具81はネジ穴81aを介してネジによりベースBに固定されている。
【0054】
そしてベースヒータBHが二方固定具81によってベースBに固定されている。図6においてはベースヒータBHの断面が見えているが、二方固定具81に固定される際にベースBに対向し接触する側を下側部分BH1とする。そして、下側部分BH1と上下方向に対して反対側にある部分をベースヒータBHの上側部分BH2、当該上側部分BH2と下側部分BH1とをつなぐ部分のうち正面板の側にある部分を手前側部分BH3、奥側にある部分を奥側部分BH4とする。すなわち、手前側部分BH3と奥側部分BH4について、例えば、上側部分BH2と下側部分BH1とをつなぐ上下方向に直交する方向であり正面板と背面板とを結ぶ奥行き方向における手前側を手前側部分BH3、奥側を奥側部分BH4とする。
【0055】
二方固定具81は、ベースヒータBHをベースBに固定する場合に、ベースヒータBHの周囲のうち、下側部分BH1及び手前側部分BH3を除く二つの部分に接することでベースヒータBHをベースBに固定する。より具体的には、二方固定具81はベースヒータBHの上側部分BH2を押圧し、奥側部分BH4の奥側への移動を規制する。
【0056】
つまりベースヒータBHが二方固定具81に固定された場合、ベースヒータBHの下側部分BH1はベースBと接触している。また、ベースヒータBHを二方固定具81に装着する際に筐体2の正面側を向く手前側部分BH3は二方固定具81の開放端81b側に配置される。従って図6に示すように、ベースヒータBHの下側部分BH1、及び、手前側部分BH3は、二方固定具81に接触していない。
【0057】
これに対して、装着に際して筐体2の正面側から背面側に移動し、二方固定具81に嵌め込まれるベースヒータBHの奥側部分BH4は、二方固定具81のネジ穴81aから開放端81bにつながるY方向上側に立ち上がる部分に接することで、二方固定具81によって固定される。すなわち、奥側部分BH4は、二方固定具81によってZ方向への移動を規制される。
【0058】
また、同時にベースヒータBHの上側部分BH2についても二方固定具81に接する。すなわち、二方固定具81がベースヒータBHの上側部分BH2をY方向下向きに、ベースBに向かって押圧している。このように、二方固定具81は、ベースヒータBHの上側部分BH2と奥側部分BH4とに接することでベースヒータBHをベースBに固定することになる。
【0059】
この結果、二方固定具81にベースヒータBHを押し込むだけで二方固定具81によってベースヒータBHがベースBに固定される。このようにベースBの背面側においてベースヒータBHを固定する場合、ベースヒータBHは三方固定具82ではなく二方固定具81を用いて固定されるので、ベースヒータBHをベースBに固定するに当たってネジ止めの必要がない。
【0060】
また、このようにベースヒータBHはベースBに対して二方固定具81によってネジ止めされていないことから、ベースヒータBHを取り外す場合には、反対に筐体2の背面側から正面側に向けて(Z方向に)移動させるだけで取り外すことができる。
【0061】
これに対して、三方固定具82を用いてベースヒータBHをベースBに固定するに当たっては、三方固定具82をベースヒータBHの上側から被せて配置し、ベースBにネジ止めする。つまりベースヒータBHは、三方固定具82とベースBとの間に挟み込まれるようにしてベースBに固定される。
【0062】
このベースヒータBHが三方固定具82を用いてベースBに固定されることについて図7を用いて説明する。図7は、図3に示す平面図において、三方固定具82で固定されるベースヒータBHをN-N線で切断して拡大して示す拡大切断断面図である。
【0063】
なお、ベースヒータBHの周囲については、図6を用いて二方固定具81について説明した場合と同様、ベースBと接する側を下側部分BH1とし、当該下側部分BH1と上方向の反対側を上側部分BH2とする。但し、図3図7に示されているように、三方固定具82は、ベースヒータBHの下側部分BH1以外の三方向を固定することでベースヒータBHをベースBに固定するものである。そこで、図7においては、下側部分BH1、及び、上側部分BH2以外の周囲については符号を付していない。
【0064】
すなわち三方固定具82は、ベースヒータBHの上側部分BH2から下側部分BH1に向けて、Y方向下向きにベースヒータBHに覆い被さるように配置される。従って、ベースヒータBHがベースBに固定される場合に、ベースBと接する下側部分を除くベースヒータBHの周囲の三つの部分を三方固定具82が覆う。そして三方固定具82がベースBに対してネジ止めで固定されることによって、ベースヒータBHは三方固定具82とベースBとの間に挟まれるようにベースBに固定される。
【0065】
本発明の実施の形態における三方固定具82のうち、第1の三方固定具821は、ベースBの左側に配置される。そして、ベースヒータBHの一端側にあってY方向に立ち上がる直前の位置、及び、ベースヒータBHがZ方向からX方向へと向きを変えた直後の位置においてベースヒータBHを固定する。
【0066】
一方、第2の三方固定具822は、ベースBの右側に配置される。そして、ベースヒータBHの他端側にあってY方向に立ち上がる直前の位置においてベースヒータBHを固定する。
【0067】
以上説明したように、二方固定具81を用いた場合、ベースヒータBHはネジ等の固定具を使用せずにベースBに固定することができる。しかし、ベースBの背面側に配置される二方固定具81に対しては、作業員によるアクセスが困難であることに変わりはない。そこでベースヒータBHを二方固定具81に着脱する場合には、専用の治具を用いる。
【0068】
図8は、ベースヒータBHを二方固定具81に対して着脱する際に用いる治具Jの一例の全体を示す全体図である。当該治具Jは、薄い長板状に形成されており、作業員が治具Jの一方の端部を持って筐体2の正面側から背面側に向けて差し込むことによって用いるものである。そのため図8に示す治具Jの長手方向の長さは、作業者が治具Jの一方の端部を保持して筐体2の正面側から背面側に差し込んだとき、治具Jの他方の端部が二方固定具81に達することが可能な程度の長さとされる。
【0069】
また、治具Jの長手方向の両端部には、ベースヒータBHを二方固定具81に着脱する際にベースヒータBHに当接させる着脱部J1,J2が形成されている。着脱部J1は、ベースヒータBHを二方固定具81に嵌め込む際に用いられる。
【0070】
すなわち、作業者はベースヒータBHを二方固定具81に嵌め込む際に、着脱部J1をベースヒータBHの手前側部分BH3に接触させる。そのため、着脱部J1は、ベースヒータBHに接触した際にベースヒータBHに対してがたつくことなく接触させることができるように、例えば、図8に示すように略半円形状に形成されている押し込み部J11が設けられている。
【0071】
そして、着脱部J1の押し込み部J11が図6で示すベースヒータBHの手前側部分BH3に接触した状態で作業員が治具Jの着脱部J2側を持ち、図3図4に示すZ方向に沿って正面側から背面側に押し込む。これにより、ベースヒータBHの奥側部分BH4が二方固定具81の開放端81b側からネジ穴81a側へと移動し、二方固定具81に嵌め込まれベースBに固定される。
【0072】
一方着脱部J2は、二方固定具81からベースヒータBHを取り外す際に使用される。ベースヒータBHを二方固定具81から取り外す場合、嵌め込む場合と異なり、二方固定具81のネジ穴81a側に位置するベースヒータBHに治具Jを引っかけてベースBの背面側から正面側へと引っ張る必要がある。そのため着脱部J2は、着脱部J1とは異なり鉤状に形成されている。
【0073】
そして、着脱部J2をベースヒータBHの嵌め込まれる側に引っ掛けた状態で作業員が治具Jの着脱部J1側を持ち、図3図4に示す背面側から正面側に引っ張る。これにより、ベースヒータBHの嵌め込む側が二方固定具81のネジ穴81a側から開放端81b側へと移動し、二方固定具81から外れる。
【0074】
このように、作業者が治具Jを持ってそのいずれか一端を保持し、ベースBの正面側から背面側へと治具Jを差し込んで押し込んだり、或いは、引っ張ったりすることでベースヒータBHを二方固定具81に着脱する。従って、ベースBには、次に説明する作業者が治具Jを差し込むだけの空間(通路P)が設けられている。
【0075】
ここで図9は、本発明の実施の形態に係る室外機1の正面を拡大して示す拡大図である。但し、図9においては、主に筐体2の正面における下部について示しており、下側のサービスパネル6を閉じた状態で示した上でその一部を切り欠いて示している。
【0076】
室外機1の下部には、上述したようにサービスパネル6の奥側に冷凍回路ユニット7が配置されている。切り欠かれて示されている部分の円形で囲まれた領域に形成される通路Pから作業者は治具JをZ方向に差し込んでベースBの背面側に設置されているベースヒータBHにアクセスする。
【0077】
ここで治具JがベースヒータBHに接触する位置があまり二方固定具81から離れた位置となってしまうと、ベースヒータBHの二方固定具81への着脱に当たって、ベースヒータBHをZ方向に押したり引いたりする際にベースヒータBHに余計な力を掛けてしまうことにもなりかねない。
【0078】
従って、筐体2には正面側と背面側との間でベースヒータBHの着脱時に治具Jを挿入することが可能な空間としての通路Pが備えられている。すなわち通路Pは、治具Jを用いて二方固定具81にベースヒータBHを固定することができる位置に設けられている。
【0079】
なお、図8に示す治具Jについては、着脱部J1,J2が形成されている各端部をつなぐ、いわば胴体部は直線状に形成されている。但し、ベースB上に配置される、例えば、冷凍回路ユニット7の配置位置によっては、胴体部の形状は必ずしも直線状に形成されていなくても良い。
【0080】
次に、これまで説明してきた室外機1を用いた空気調和機Aについて説明する。空気調和機Aは、室内に設置される室内機20と室外に設置される室外機1とから構成され、これら室内機20及び室外機1を連結して構成される冷凍回路C内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0081】
なお、本発明の実施の形態における室外機1は、複数の室内機20と連結が可能な大型の室外機である。但し、室外機1と室内機20とが1対1の関係にある場合でも仕組みは同じである。以下、図10を用いて空気調和機Aの説明を行うが、図10では1台の室外機1に1台の室内機20が連結されている場合を例に挙げている。
【0082】
図10は、本発明の実施の形態に係る室外機1を備える空気調和機Aの全体の冷凍回路Cの構成を示す回路図である。上述したように空気調和機Aは、室外機1と、この室外機1と接続される室内機20とから構成される。
【0083】
図10に点線で示される室内機20内には、冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器21が設けられている。なお、当該室内機20内には、室内熱交換器21しか示されていないが、通常室内機20が備える、例えば、熱交換された空気を室内へ送風する室内ファンや室内機20の制御を行う制御装置等が備えられている。
【0084】
図10において破線で示されている室外機1は、図1図2を用いて説明したように、冷凍回路ユニット7を備えている。当該冷凍回路ユニット7は、圧縮機71と、熱交換器ユニット4と、膨張弁72とが順次配管で接続されている。
【0085】
なお、冷凍回路ユニット7を構成する機器としては、上述した機器の他、例えば、四方弁等の各種弁機構やアキュムレータ等の機器も接続されているが、図10ではこれらの図示は省略している。また、室外機1を構成する各機器を制御する制御装置については、これまで説明してきた電装品箱10の内部に設けられているが、同様に図示を省略している。
【0086】
そして、室外機1と室内機20とは冷媒が流通する配管によって接続され、冷凍回路Cが構成されている。すなわち、圧縮機71と室外機1の膨張弁72との間に室内機20の室内熱交換器21が入るように配管が接続され、圧縮機71、室内熱交換器21、膨張弁72の順、或いは、膨張弁72、室内熱交換器21、圧縮機71の順に冷媒が流れる。
【0087】
ここで、冷凍回路Cを用いた空気調和機Aの運転について冷房運転を例にとって説明する。例えば、空気調和機Aにおいて冷房運転が行われる場合、図10の矢印に示すように、冷媒は、室外機1に設けられている圧縮機71、熱交換器ユニット4、膨張弁72、室内機20に設けられている室内熱交換器21、再度室外機1の圧縮機71の順に冷凍回路C内を循環する。
【0088】
すなわち、室外機1の圧縮機71において圧縮されて高温高圧となった冷媒が熱交換器ユニット4に供給される。熱交換器ユニット4では、図示しない室外ファンが回転することで供給される風と高温高圧の冷媒が熱交換され、冷媒は外気に放熱する。そして、冷媒の一部、或いはその全部が凝縮して低温高圧の冷媒となる。
【0089】
このように低温低圧となった冷媒は熱交換器ユニット4を出て後に膨張弁72を通過することで減圧される。その後、低温低圧となった冷媒は、室内熱交換器21に供給され、室内熱交換器21で周囲の空気との間で熱交換が行われる。
【0090】
室内熱交換器21による熱交換によって、冷媒は蒸発するとともに、室内熱交換器21に吸い込まれた空気は冷却され、室内ファンによって室内に供給されて室内が冷房される。そして熱交換により吸熱した低圧の冷媒は圧縮機71へと戻り、これまでの冷凍サイクルを繰り返す。
【0091】
一方暖房運転については、図10に示す矢印とは逆向きの順序で冷凍回路Cの内部を冷媒が循環し、室内熱交換器21で冷媒が凝縮することで室内の暖房が行われることになる。
【0092】
以上説明したような構成を採用することによって、ベースヒータの底板への確実な固定を図りつつ、ベースヒータを簡易に着脱することが可能な固定具を備える室外機及び空気調和機を提供することができる。
【0093】
特にベースヒータの固定具のうち、ベース(筐体)の背面側に配置される固定具を正面側が開放された二方固定具とすることによって、作業者の手が届きにくい背面側であってもベースヒータを確実に固定しつつ、着脱も容易になる。
【0094】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0095】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
これまでは、本発明の実施の形態における室外機1については、図1ないし図4に示す大きさの筐体2を備えることを前提に固定具8について説明した。従って、例えば、筐体2がより大きなものとなることに伴って、ベースBが本発明の実施の形態におけるベースBよりも大きくなった場合には、適宜二方固定具81や三方固定具82を増やしてベースヒータBHをベースBに固定する。
【0097】
但し、固定具8が増加した場合であっても、二方固定具81は、ベースBの背面側に配置される。一方で、もしベースBの背面側において作業者によるベースBへのベースヒータBHの固定作業を行うためのスペースが確保される場合には、ベースBの背面側であっても三方固定具82を用いても良い。
【0098】
また、これまで説明してきた本発明の実施の形態における室外機1では、ベースBの左右側においては三方固定具82を用いてベースヒータBHをベースBに固定することを前提にしていた。
【0099】
但し、このことはベースBの両側面おいて二方固定具81を用いることができないものではなく、場合によってこれらの位置においても三方固定具82の代わりに二方固定具81を使用することもできる。
【0100】
しかしその一方で、固定具8の全てを二方固定具81とすることは妥当ではない。これは、上述したように、二方固定具81の他端側は開放端81bとして形成されていることから、その全てを二方固定具81としてしまうと、室外機1の振動等によってベースBからベースヒータBHが外れてしまう可能性があるからである。
【0101】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)開閉可能な正面板と、前記正面板と対向する背面板と、前記正面板と前記背面板とをつなぐ側面板とで囲まれる筐体と、
前記背面板の側に配置される熱交換器ユニットと、
前記熱交換器ユニットと前記筐体の底面を構成するベースとの間であって、前記ベースに固定されるベースヒータと、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する固定具と、を備え、
前記固定具は、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する場合に、前記ベースヒータの周囲のうち、前記ベースと接する側を下側部分とした場合の前記下側部分と反対側の上側部分、及び、前記下側部分と前記上側部分とをつなぐ部分のうち前記背面板の側にある奥側部分に接し、前記ベースヒータを前記ベースに固定する二方固定具と、
前記ベースヒータを前記ベースに固定する場合に、前記ベースヒータの周囲のうち、前記下側部分以外の部分に接し、前記ベースヒータを前記ベースに固定する三方固定具と、 を備えていることを特徴とする室外機。
(2)前記二方固定具は、前記ベースにおける前記背面板の側に配置されていることを特徴とする上記(1)に記載の室外機。
(3)前記熱交換器ユニットは、前記筐体の内部において前記背面板と複数の前記側面板に配置され、
前記二方固定具は、前記ベースにおける前記背面板の側に配置され、前記三方固定具は、前記ベースにおける前記側面板の側に配置されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の室外機。
(4)前記ベースヒータは、前記二方固定具に対して治具を用いて装着され、
前記筐体は、前記正面板と前記背面板との間で前記ベースヒータの着脱時に前記治具が挿入可能な通路を備え、
前記二方固定具は、前記通路を介して前記治具を挿入した際における前記治具の挿入先端の近傍に配置されていることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の室外機。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【符号の説明】
【0102】
1・・・室外機、2・・・筐体、3・・・空気吸込口、4・・・熱交換器ユニット、5・・・ファン、6・・・サービスパネル、7・・・冷凍回路ユニット、71・・・圧縮機、72・・・膨張弁、8・・・固定具、81・・・二方固定具、82・・・三方固定具、821・・・第1の三方固定具、822・・・第2の三方固定具、10・・・電装品箱、20・・・室内機、21・・・室内熱交換器、A・・・空気調和機、B・・・ベース(底板)、BH・・・ベースヒータ、C・・・冷媒回路、J・・・治具、J1・・・着脱部、J2・・・着脱部、P・・・通路(空間)、S・・・サーモスタット、O・・・空気吹き出し口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10