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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】量子回路の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/13 20060101AFI20240820BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240820BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240820BHJP
   G02F 3/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G02B6/13
G02B6/12 371
G02B6/122
G02F3/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022566521
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2020044622
(87)【国際公開番号】W WO2022118366
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮武 哲也
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-538392(JP,A)
【文献】特表2003-506731(JP,A)
【文献】SOTILLO et al.,Diamond photonics platform enabled by femtosecond laser writing,Scientific Reports,Springer Nature,2016年10月17日,Vol. 6, Article No.: 35566,pp. 1-9,DOI:10.1038/srep35566
【文献】HANAFI et al.,Polycrystalline diamond photonic waveguides realized by femtosecond laser lithography,Optical Materials Express,米国,OSA Publishing,2019年06月24日,Vol. 9, No. 7,pp. 3109-3114,DOI:10.1364/OME.9.003109
【文献】BOOTH, M. and SALTER P.,Dynamic optical laser fabrication for engineering of quantum photonic devices,Quantum Sensing and Nano Electronics and Photonics XVI,SPIE,2019年02月01日,Vol. 10926,pp. 10926Y-1-pp. 10926Y-6,DOI:10.1117/12.2509144
【文献】HADDEN et al.,Integrated waveguides and deterministically positioned nitrogen vacancy centers in diamond created by femtosecond laser writing,Optics Letters,米国,OSA Publishing,2018年08月01日,Vol. 43, No. 15,pp. 3586-3589
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有し、カラーセンターを含むダイヤモンド層中に、前記カラーセンターに光結合される光導波路を形成する工程を有し、
前記光導波路は、
前記カラーセンターを含むコア領域と、
前記コア領域の周囲に設けられた光閉じ込め領域と、
を有し、
前記光閉じ込め領域の屈折率は、前記コア領域の屈折率よりも低く、
前記光導波路を形成する工程は、
前記ダイヤモンド層に、前記カラーセンターから離れた傾斜面を備えた溝を形成する工程と、
前記傾斜面の上に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記反射膜により反射されたフェムト秒レーザ光を前記カラーセンターの前記第1主面側に集光させて前記ダイヤモンド層の一部の屈折率を低下させることで、前記カラーセンターの前記第1主面側に第1領域を形成する工程と、
前記反射膜の他の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記反射膜により反射されたフェムト秒レーザ光を前記カラーセンターの前記第2主面側に集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記カラーセンターの前記第2主面側に第2領域を形成する工程と、
前記第1主面の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記第1主面に平行な第1方向で前記コア領域の一方側にフェムト秒レーザ光を集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記コア領域の前記一方側に第3領域を形成する工程と、
前記第1主面の他の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記第1方向で前記コア領域の他方側にフェムト秒レーザ光を集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記コア領域の前記他方側に第4領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする量子回路の製造方法。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域の前記第1方向の寸法は、前記第1主面に垂直な第2方向の寸法よりも大きく、
前記第3領域及び前記第4領域の前記第2方向の寸法は、前記第1方向の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の量子回路の製造方法。
【請求項3】
前記カラーセンターは、窒素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛又はホウ素と、空孔とから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の量子回路の製造方法。
【請求項4】
前記ダイヤモンド層は、前記カラーセンターを複数含み、
複数の前記カラーセンターに対して、共通の前記反射膜を用いて前記第1領域及び前記第2領域を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の量子回路の製造方法。
【請求項5】
前記ダイヤモンド層は、前記カラーセンターを複数含み、
前記カラーセンター毎に異なる前記反射膜を用いて前記第1領域及び前記第2領域を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の量子回路の製造方法。
【請求項6】
複数の前記カラーセンターの間で、前記第1主面からの距離が相違していることを特徴とする請求項4又は5に記載の量子回路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド層中のカラーセンターを用いた量子回路について検討が行われている。また、カラーセンターにおける発光の伝搬のためにダイヤモンド層中に光導波路を形成する技術についても検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9157859号明細書
【文献】米国特許第8837534号明細書
【文献】特表2013-544441号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Integrated waveguides and deterministically positioned nitrogen vacancy centers in diamond created by femtosecond laser writing, Optics Letters, 43(15), 3586-3589 (2018)
【文献】Diamond photonics platform enabled by femtosecond laser writing, Scientific Reports 6, 35566 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法で形成された光導波路では、光信号の損失が大きくなってしまう。
【0006】
本開示の目的は、光信号の損失を低減することができる量子回路の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、第1主面及び第2主面を有し、カラーセンターを含むダイヤモンド層中に、前記カラーセンターに光結合される光導波路を形成する工程を有し、前記光導波路は、前記カラーセンターを含むコア領域と、前記コア領域の周囲に設けられた光閉じ込め領域と、を有し、前記光閉じ込め領域の屈折率は、前記コア領域の屈折率よりも低く、前記光導波路を形成する工程は、前記ダイヤモンド層に、前記カラーセンターから離れた傾斜面を形成する工程と、前記傾斜面の上に反射膜を形成する工程と、前記反射膜の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記反射膜により反射されたフェムト秒レーザ光を前記カラーセンターの前記第1主面側に集光させて前記ダイヤモンド層の一部の屈折率を低下させることで、前記カラーセンターの前記第1主面側に第1領域を形成する工程と、前記反射膜の他の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記反射膜により反射されたフェムト秒レーザ光を前記カラーセンターの前記第2主面側に集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記カラーセンターの前記第2主面側に第2領域を形成する工程と、前記第1主面の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記第1主面に平行な第1方向で前記コア領域の一方側にフェムト秒レーザ光を集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記コア領域の前記一方側に第3領域を形成する工程と、前記第1主面の他の一部にフェムト秒レーザ光を照射し、前記第1方向で前記コア領域の他方側にフェムト秒レーザ光を集光させて前記ダイヤモンド層の他の一部の屈折率を低下させることで、前記コア領域の前記他方側に第4領域を形成する工程と、を有す量子回路の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光信号の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図2図2は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図3図3は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図4図4は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その4)である。
図5図5は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その5)である。
図6図6は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図(その6)である。
図7図7は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図8図8は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図9図9は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図10図10は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その4)である。
図11図11は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その5)である。
図12図12は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その6)である。
図13図13は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その7)である。
図14図14は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その8)である。
図15図15は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その9)である。
図16図16は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その10)である。
図17図17は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その11)である。
図18図18は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その12)である。
図19図19は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その13)である。
図20図20は、カラーセンターを形成する方法を示す図(その1)である。
図21図21は、カラーセンターを形成する方法を示す図(その2)である。
図22図22は、第2実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図23図23は、第2実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図24図24は、第2実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図25図25は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図26図26は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図27図27は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図28図28は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その4)である。
図29図29は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その5)である。
図30図30は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その6)である。
図31図31は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図32図32は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図33図33は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図34図34は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その4)である。
図35図35は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その5)である。
図36図36は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その6)である。
図37図37は、第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その1)である。
図38図38は、第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その2)である。
図39図39は、第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その3)である。
図40図40は、第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図(その4)である。
図41図41は、量子コンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(参考例)
まず、参考例について説明する。図1図6は、参考例に係る量子回路の製造方法を示す図である。
【0012】
参考例に係る量子回路の製造方法では、まず、図1に示すように、基材20の上に形成されたダイヤモンド層10を準備する。ダイヤモンド層10は、基材20側の第2主面12と、第2主面12とは反対側の第1主面11とを有し、カラーセンター930を含む。次いで、第1主面11の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、第1主面11に平行な第1方向でカラーセンター930の一方側にフェムト秒レーザ光Lを集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域933が形成される。変質に伴い、変質領域933の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。
【0013】
その後、図2に示すように、第1主面11の他の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、第1方向でカラーセンター930の他方側にフェムト秒レーザ光Lを集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域934が形成される。変質に伴い、変質領域934の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。
【0014】
なお、フェムト秒レーザ光Lの照射は、例えば、ライン状に走査しながら行われる。このため、図3に示すように、変質領域933及び934は、例えば、間にカラーセンター930を挟むようにしてライン状に形成される。変質領域933及び934の間の領域の屈折率は、変質領域933及び934の屈折率よりも高い。従って、変質領域933及び934は、変質領域933及び934の間の領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域933及び934の間のコア領域936と、変質領域933及び934を備えた光閉じ込め領域935とを有する光導波路937が形成される。図2は、図3中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0015】
このようにして、カラーセンター930に光結合される光導波路937を備えた量子回路を製造することができる。
【0016】
ただし、この参考例により形成された光導波路937では、第1方向で光を閉じ込めることは可能であるが、第1主面11に垂直な第2方向では光閉じ込め効果が得られない。
【0017】
第2方向でも光を閉じ込めるために、同様のフェムト秒レーザ光Lの照射を行うことで、図4及び図5に示すように、カラーセンター930の第1主面11側に変質領域931を形成し、カラーセンター930の第2主面12側に変質領域932を形成することも考えられる。図4は、図5中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
【0018】
しかしながら、変質領域931及び932は、光導波路937が延びる方向からの断面視で、照射方向である第2方向を長手方向とする形状を有し、変質領域931及び932の第1方向の寸法を大きくすることは困難である。このため、第2方向で十分な光閉じ込め効果を得ることができない。
【0019】
また、図6に示すように、ダイヤモンド層の端面にフェムト秒レーザ光Lを照射することも考えられる。しかしながら、端面への照射により形成できる変質領域938の位置には限界があり、カラーセンター930と端面との間の距離が大きい場合、所望の位置に変質領域を形成することができない。
【0020】
本願発明者は、このような参考例を踏まえながら鋭意検討を行った結果、下記の実施形態に想到した。
【0021】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、量子回路の製造方法に関する。図7図19は、第1実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。図7図9図11図13図15図17及び図19は断面図であり、図8図10図12図14図16及び図18は上面図である。第1実施形態では、カラーセンターを含むダイヤモンド層中に、カラーセンターに光結合される光導波路を形成する。
【0022】
第1実施形態では、まず、図7に示すように、基材20の上に形成されたダイヤモンド層10を準備する。基材20は、例えばSi又はSiOから構成される。ダイヤモンド層10は、例えば単結晶ダイヤモンドから構成される。ダイヤモンド層10は、基材20側の第2主面12と、第2主面12とは反対側の第1主面11とを有し、カラーセンター30を含む。カラーセンター30は、例えば窒素と空孔とから構成された窒素-空孔センター(NVセンター)である。カラーセンター30が、ケイ素と空孔とから構成されたケイ素-空孔センター(SiVセンター)、ゲルマニウムと空孔とから構成されたゲルマニウム-空孔センター(GeVセンター)、スズと空孔とから構成されたスズ-空孔センター(SnVセンター)、鉛と空孔とから構成された鉛-空孔センター(PbVセンター)、又はホウ素と空孔とから構成されたホウ素-空孔センター(BVセンター)であってもよい。
【0023】
次いで、図8及び図9に示すように、ダイヤモンド層10に、カラーセンター30から離れた溝38を形成する。溝38は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。溝38は、例えば、第1主面11に対して傾斜した側面38Aと、第1主面11に垂直な側面38Bとを有する。側面38Bをカラーセンター30と側面38Aとの間に位置させる。側面38Aは、第1主面11側から視認でき、例えば第1主面11に対して40度~50度、好ましくは45度傾斜するように形成する。側面38Aは傾斜面の一例である。図9は、図8中のIX-IX線に沿った断面図に相当する。
【0024】
その後、図10及び図11に示すように、側面38Aの上にフェムト秒レーザ光を反射する反射膜39を形成する。ここでは、側面38Aの一部の上に反射膜39を形成する。反射膜39は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。反射膜39は、例えばAu、Al等の金属からなる膜である。反射膜39の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm~1.0μm程度である。反射膜39は、例えばリフトオフ法により形成することができる。図11は、図10中のXI-XI線に沿った断面図に相当する。
【0025】
続いて、図12及び図13に示すように、反射膜39の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、反射膜39により反射されたフェムト秒レーザ光Lをカラーセンター30の第1主面11側に集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域31が形成される。ダイヤモンド層10の変質としては、例えばアモルファス化、カーボン化及びアブレーションが挙げられる。変質に伴い、変質領域31の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。フェムト秒レーザ光Lの照射は、形成しようとする光導波路に沿って走査しながら行われ、変質領域31は、形成しようとする光導波路に沿って形成される。変質領域31は、断面視で、照射方向である第1方向を長手方向とする形状を有する。変質領域31は第1領域の一例である。図13は、図12中のXIII-XIII線に沿った断面図に相当する。
【0026】
次いで、図14及び図15に示すように、反射膜39の他の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、反射膜39により反射されたフェムト秒レーザ光Lをカラーセンター30の第2主面12側に集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域32が形成される。変質に伴い、変質領域32の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。フェムト秒レーザ光Lの照射は、形成しようとする光導波路に沿って走査しながら行われ、変質領域32は、形成しようとする光導波路に沿って形成される。変質領域32は、断面視で、照射方向である第1方向を長手方向とする形状を有する。変質領域32は第2領域の一例である。図15は、図14中のXV-XV線に沿った断面図に相当する。
【0027】
その後、図16及び図17に示すように、第1主面11の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、第1方向でカラーセンター30の一方側にフェムト秒レーザ光Lを集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域33が形成される。変質に伴い、変質領域33の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。フェムト秒レーザ光Lの照射は、形成しようとする光導波路に沿って走査しながら行われ、変質領域33は、形成しようとする光導波路に沿って形成される。変質領域33は、断面視で、照射方向である第2方向を長手方向とする形状を有する。変質領域33は第3領域の一例である。図17は、図16中のXVII-XVII線に沿った断面図に相当する。
【0028】
続いて、図18及び図19に示すように、第1主面11の他の一部にフェムト秒レーザ光Lを照射し、第1方向でカラーセンター30の他方側にフェムト秒レーザ光Lを集光させる。この結果、ダイヤモンド層10のフェムト秒レーザ光Lが集光した部分が変質し、変質領域34が形成される。変質に伴い、変質領域34の屈折率は周囲の屈折率よりも低くなる。フェムト秒レーザ光Lの照射は、形成しようとする光導波路に沿って走査しながら行われ、変質領域34は、形成しようとする光導波路に沿って形成される。変質領域34は、断面視で、照射方向である第2方向を長手方向とする形状を有する。変質領域34は第4領域の一例である。図19は、図18中のXIX-XIX線に沿った断面図に相当する。
【0029】
変質領域31~34を形成する際のフェムト秒レーザ光Lの照射条件の一例は次の通りである。すなわち、波長は800nmであり、パルス幅は50fs~100fsであり、パルスエネルギーは50nJ~1000nJであり、繰り返し周波数は250kHz~500kHzである。
【0030】
上述のように、フェムト秒レーザ光Lの照射は、走査しながら行われる。このため、図19に示すように、変質領域31~34は、例えば、断面視でカラーセンター30を囲むようにしてライン状に形成される。変質領域31~34に囲まれた領域の屈折率は、変質領域31~34の屈折率よりも高い。従って、変質領域31~34は、変質領域31~34に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域31~34に囲まれたコア領域36と、変質領域31~34を備えた光閉じ込め領域35とを有する光導波路37が形成される。
【0031】
このようにして、カラーセンター30に光結合される光導波路37を備えた量子回路1を製造することができる。
【0032】
なお、変質領域31~34の形成順序は特に限定されない。例えば、変質領域33及び34を形成した後に、変質領域31及び32を形成してもよい。
【0033】
量子回路1においては、変質領域31及び32が断面視で第1方向を長手方向とする形状を有し、変質領域33及び34が断面視で第2方向を長手方向とする形状を有する。つまり、変質領域31及び32の第1方向の寸法は第2方向の寸法よりも大きく、変質領域33及び34の第2方向の寸法は第1方向の寸法よりも大きい。従って、変質領域31及び32によってコア領域36内の光を第2方向に閉じ込めることができ、変質領域33及び34によってコア領域36内の光を第1方向に閉じ込めることができる。このため、カラーセンター30からの発光を高効率に光導波路37に結合させ、光導波路37を通じて伝搬する光信号の損失を低減することができる。
【0034】
また、量子回路1の製造にあたっては、側面38Aを備えた溝38を形成し、側面38Aの上に反射膜39を形成しているため、反射膜39を介して所望の位置に第1方向からフェムト秒レーザ光Lを集光させることができる。
【0035】
カラーセンター30は、意図的に形成してもよい。図20図21は、カラーセンター30を形成する方法を示す図である。図20及び図21は断面図である。図20に示すように、ダイヤモンド層10に単発のフェムト秒レーザ光Lを集光することにより、空孔30Xを形成する。次いで、窒素雰囲気中でアニールを行い、図21に示すように、空孔30Xと窒素原子とが対になったNVセンターをカラーセンター30として形成する。アニールの条件の一例は次の通りである。すなわち、温度は1000℃であり、時間は3時間である。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主に反射膜の配置の点で第1実施形態と相違する。図22図24は、第2実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。図22は上面図であり、図23及び図24は断面図である。
【0037】
第2実施形態では、まず、第1実施形態と同様にして、溝38の形成までの処理を行う(図8及び図9参照)。次いで、図22及び図23に示すように、側面38Aの上と、溝38の底に露出する基材20の表面の上と、側面38Aに繋がる第1主面11の上とに反射膜39を形成する。
【0038】
その後、図24に示すように、第1実施形態と同様にして、変質領域31~34を形成する。
【0039】
このようにして、カラーセンター30に光結合される光導波路37を備えた量子回路2を製造することができる。
【0040】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、反射膜39を溝38の底に露出する基材20の表面の上と、側面38Aに繋がる第1主面11の上とにも形成しているため、ダイヤモンド層10の厚さ方向で変質領域31及び32を形成するできる範囲を拡大することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主にカラーセンター及び光導波路の数の点で第1実施形態と相違する。図25図30は、第3実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。図25図27図29及び図30は断面図であり、図26及び図28は上面図である。第3実施形態では、2つのカラーセンターを含むダイヤモンド層中に、カラーセンターに個別に光結合される2つの光導波路を形成する。
【0042】
第3実施形態では、まず、図25に示すように、基材20の上に形成され、第1方向で離れて形成されたカラーセンター30及び40を含むダイヤモンド層10を準備する。カラーセンター40は、カラーセンター30と同様に、例えば、NVセンター、SiVセンター、GeVセンター、SnVセンター、PbVセンター又はBVセンターである。
【0043】
次いで、図26及び図27に示すように、ダイヤモンド層10に、カラーセンター30から離れた溝38及びカラーセンター40から離れた溝48を形成する。溝38及び48は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。例えば、溝38及び48は、第1方向でカラーセンター30とカラーセンター40との間に形成し、溝38は溝48よりもカラーセンター30側に形成し、溝48は溝38よりもカラーセンター40側に形成する。溝48は、例えば、第1主面11に対して傾斜した側面48Aと、第1主面11に垂直な側面48Bとを有する。側面48Bをカラーセンター40と側面48Aとの間に位置させる。側面48Aは、第1主面11側から視認でき、例えば第1主面11に対して40度~50度、好ましくは45度傾斜するように形成する。側面48Aは傾斜面の一例である。図27は、図26中のXXVII-XXVII線に沿った断面図に相当する。
【0044】
その後、図28及び図29に示すように、側面38Aの上と、側面48Aの上と、側面38A及び側面48Aに繋がる第1主面11の上とにフェムト秒レーザ光を反射する反射膜49を形成する。反射膜49は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。反射膜49は、例えばAu、Al等の金属からなる膜である。反射膜49の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm~1.0μm程度である。反射膜49は、例えばリフトオフ法により形成することができる。図29は、図28中のXXIX-XXIX線に沿った断面図に相当する。
【0045】
続いて、図30に示すように、第1実施形態と同様にして、変質領域31~34を形成する。また、それぞれ変質領域31~34の形成と同様の要領により、変質領域41~44を形成する。変質領域41~44は、例えば、断面視でカラーセンター40を囲むようにしてライン状に形成される。変質領域41~44に囲まれた領域の屈折率は、変質領域41~44の屈折率よりも高い。従って、変質領域41~44は、変質領域41~44に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域41~44に囲まれたコア領域46と、変質領域41~44を備えた光閉じ込め領域45とを有する光導波路47が形成される。
【0046】
このようにして、カラーセンター30に光結合される光導波路37と、カラーセンター40に光結合される光導波路47とを備えた量子回路3を製造することができる。
【0047】
なお、変質領域31~34及び41~44の形成順序は特に限定されない。
【0048】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、光導波路47を通じて伝搬する光信号の損失も低減することができる。更に、量子回路3に含まれる量子ビットの数を増加させやすい。
【0049】
また、量子回路3の製造にあたっては、溝38と溝48とを同時に形成することができる。また、反射膜を側面38A、48Aの上に個別に形成してもよく、この場合でも、側面38Aの上と、側面48Aの上とに同時に反射膜を形成することができる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主に溝及び反射膜の配置の点で第3実施形態と相違する。図31図36は、第4実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。図31図33図35及び図36は断面図であり、図32及び図34は上面図である。第4実施形態では、第3実施形態と同様に、2つのカラーセンターを含むダイヤモンド層中に、カラーセンターに個別に光結合される2つの光導波路を形成する。
【0051】
第4実施形態では、まず、図31に示すように、基材20の上に形成され、第1方向で離れて形成されたカラーセンター30及び50を含むダイヤモンド層10を準備する。カラーセンター50は、カラーセンター30と同様に、例えば、NVセンター、SiVセンター、GeVセンター、SnVセンター、PbVセンター又はBVセンターである。
【0052】
次いで、図32及び図33に示すように、ダイヤモンド層10に、カラーセンター30から離れた溝38と、カラーセンター50から離れた溝58とを形成する。溝38及び58は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。例えば、溝38は、第1方向でカラーセンター30とカラーセンター50との間に形成し、溝58は、カラーセンター50よりも溝38から離れるように形成する。溝58は、例えば、第1主面11に対して傾斜した側面58Aと、第1主面11に垂直な側面58Bとを有する。側面58Bをカラーセンター50と側面58Aとの間に位置させる。側面58Aは、第1主面11側から視認でき、例えば第1主面11に対して40度~50度、好ましくは45度傾斜するように形成する。側面58Aは傾斜面の一例である。図33は、図32中のXXXIII-XXXIII線に沿った断面図に相当する。
【0053】
その後、図34及び図35に示すように、側面38Aの上にフェムト秒レーザ光を反射する反射膜39を形成し、側面58Aの上にフェムト秒レーザ光を反射する反射膜59を形成する。ここでは、例えば、側面38Aの一部の上に反射膜39を形成し、側面58Aの一部の上に反射膜59を形成する。反射膜39及び59は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。反射膜59は、例えばAu、Al等の金属からなる膜である。反射膜59の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm~1.0μm程度である。反射膜59は、例えばリフトオフ法により形成することができる。反射膜39及び59は同時に形成することができる。図35は、図34中のXXXV-XXXV線に沿った断面図に相当する。
【0054】
続いて、図36に示すように、第1実施形態と同様にして、変質領域31~34を形成する。また、それぞれ変質領域31~34の形成と同様の要領により、変質領域51~54を形成する。変質領域51~54は、例えば、断面視でカラーセンター50を囲むようにしてライン状に形成される。変質領域51~54に囲まれた領域の屈折率は、変質領域51~54の屈折率よりも高い。従って、変質領域51~54は、変質領域51~54に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域51~54に囲まれたコア領域56と、変質領域51~54を備えた光閉じ込め領域55とを有する光導波路57が形成される。
【0055】
このようにして、カラーセンター30に光結合される光導波路37と、カラーセンター50に光結合される光導波路57とを備えた量子回路4を製造することができる。
【0056】
なお、変質領域31~34及び51~54の形成順序は特に限定されない。
【0057】
第4実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、光導波路57を通じて伝搬する光信号の損失も低減することができる。更に、量子回路4に含まれる量子ビットの数を増加させやすい。
【0058】
また、量子回路4の製造にあたっては、溝38と溝58とを同時に形成することができ、反射膜39と反射膜59とを同時に形成することができる。
【0059】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、主にカラーセンター及び光導波路の数の点で第1実施形態と相違する。図37図40は、第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。図37図40は断面図である。第5実施形態に係る量子回路の製造方法を示す図である。第5実施形態では、4つのカラーセンターを含むダイヤモンド層中に、カラーセンターに個別に光結合される4つの光導波路を形成する。
【0060】
第5実施形態では、まず、図37に示すように、基材20の上に形成され、第1方向で離れて形成されたカラーセンター30、60、70及び80を含むダイヤモンド層10を準備する。カラーセンター60、70及び80は、カラーセンター30と同様に、例えば、NVセンター、SiVセンター、GeVセンター、SnVセンター、PbVセンター又はBVセンターである。ここでは、第1方向で、カラーセンター30とカラーセンター60とが互いに近く位置し、カラーセンター70とカラーセンター80とが互いに近く位置することとする。
【0061】
次いで、図38に示すように、ダイヤモンド層10に、カラーセンター30及び60から離れた溝68と、カラーセンター70及び80から離れた溝78とを形成する。溝68及び78は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。例えば、溝68は、第1方向でカラーセンター30及び60とカラーセンター70及び80との間に形成し、溝78は、カラーセンター70及び80よりも溝68から離れるように形成する。溝68は、例えば、第1主面11に対して傾斜した側面68Aと、第1主面11に垂直な側面68Bとを有する。側面68Bをカラーセンター30及び60と側面68Aとの間に位置させる。側面68Aは、第1主面11側から視認でき、例えば第1主面11に対して40度~50度、好ましくは45度傾斜するように形成する。溝78は、例えば、第1主面11に対して傾斜した側面78Aと、第1主面11に垂直な側面78Bとを有する。側面78Bをカラーセンター70及び80と側面78Aとの間に位置させる。側面78Aは、第1主面11側から視認でき、例えば第1主面11に対して40度~50度、好ましくは45度傾斜するように形成する。側面68A及び78Aは傾斜面の一例である。
【0062】
その後、図39に示すように、側面68Aの上にフェムト秒レーザ光を反射する反射膜69を形成し、側面78Aの上にフェムト秒レーザ光を反射する反射膜79を形成する。ここでは、例えば、側面68Aの一部の上に反射膜69を形成し、側面78Aの一部の上に反射膜79を形成する。反射膜69及び79は、形成しようとする光導波路に沿って形成する。反射膜69及び79は、例えばAu、Al等の金属からなる膜である。反射膜69及び79の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm~1.0μm程度である。反射膜69及び79は、例えばリフトオフ法により形成することができる。反射膜69及び79は同時に形成することができる。
【0063】
続いて、図40に示すように、第1実施形態と同様にして、変質領域31~34を形成する。また、それぞれ変質領域31~34の形成と同様の要領により、変質領域61~64と、変質領域71~74と、変質領域81~84とを形成する。変質領域61~64は、例えば、断面視でカラーセンター60を囲むようにしてライン状に形成される。変質領域71~74は、例えば、断面視でカラーセンター70を囲むようにしてライン状に形成される。変質領域81~84は、例えば、断面視でカラーセンター80を囲むようにしてライン状に形成される。
【0064】
変質領域61~64に囲まれた領域の屈折率は、変質領域61~64の屈折率よりも高い。従って、変質領域61~64は、変質領域61~64に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域61~64に囲まれたコア領域66と、変質領域61~64を備えた光閉じ込め領域65とを有する光導波路67が形成される。
【0065】
変質領域71~74に囲まれた領域の屈折率は、変質領域71~74の屈折率よりも高い。従って、変質領域71~74は、変質領域71~74に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域71~74に囲まれたコア領域76と、変質領域71~74を備えた光閉じ込め領域75とを有する光導波路77が形成される。
【0066】
変質領域81~84に囲まれた領域の屈折率は、変質領域81~84の屈折率よりも高い。従って、変質領域81~84は、変質領域81~84に囲まれた領域に対して光閉じ込め効果を奏する。つまり、変質領域81~84に囲まれたコア領域86と、変質領域81~84を備えた光閉じ込め領域85とを有する光導波路87が形成される。
【0067】
このようにして、カラーセンター30に光結合される光導波路37と、カラーセンター60に光結合される光導波路67と、カラーセンター70に光結合される光導波路77と、カラーセンター80に光結合される光導波路87と、を備えた量子回路5を製造することができる。
【0068】
なお、変質領域61~64、71~74及び81~84の形成順序は特に限定されない。
【0069】
第5実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、光導波路67、77、87を通じて伝搬する光信号の損失も低減することができる。更に、量子回路5に含まれる量子ビットの数を増加させやすい。
【0070】
第3~第5実施形態において、カラーセンター40、50、60、70及び80を、図20図21に示す方法で所望の位置に形成してもよい。
【0071】
各実施形態において、反射膜を目印として用いて、光導波路に結合する光検出器の位置合わせを行うことができる。特に、光導波路が延びる方向において、光導波路の終端の位置と反射膜の終端の位置とを一致させておくことで、光検出器を光導波路に高効率で結合させやすい。
【0072】
本開示の量子回路に含まれるカラーセンター及び光導波路の数は限定されない。
【0073】
図41に示すように、これら実施形態に係る量子回路1、2、3、4、5は、例えば、量子回路101として、量子コンピュータ100に内蔵させて用いることができる。
【0074】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0075】
1、2、3、4、5:量子回路
10:ダイヤモンド層
11:第1主面
12:第2主面
20:基材
30、40、50、60、70、80:カラーセンター
31~34、41~44、51~54、61~64、71~74、81~84:変質領域
35、45、55、65、75、85:光閉じ込め領域
36、46、56、66、76、86:コア領域
37、47、57、67、77、87:光導波路
38、48、58、68、78:溝
38A、48A、58A、68A、78A:側面
39、49、59、69、79:反射膜
100:量子コンピュータ
図1
図2
図3
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図5
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