(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240820BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240820BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240820BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240820BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240820BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240820BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240820BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J7/00 X
H02J3/14
H02J13/00 311T
B60L50/60
B60L58/12
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2023048022
(22)【出願日】2023-03-24
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 将
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-062918(JP,A)
【文献】特開2011-162967(JP,A)
【文献】特開2003-333706(JP,A)
【文献】特開2010-110173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 3/14
H02J 13/00
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載された駆動用バッテリを充電器で充電する場合、契約電力内において前記充電器の最大出力で充電することが可能な電気自動車の台数である最大台数、および、前記駆動用バッテリのSOCを取得する取得部と、
前記SOCに基づいて、複数の電気自動車のそれぞれに対する優先順位を設定する設定部と、
設定された前記優先順位と前記最大台数との関係を示す所定の演算式に基づいて、前記複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力の出力の割合を算出する算出部と、
算出された前記充電電力の出力の割合に基づいて、前記複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力を制御する制御部と、
を備える、
充電システム。
【請求項2】
前記算出部は、以下に示す前記演算式に基づいて、前記充電電力の出力の割合を算出する、
充電電力の出力の割合y[%]
=-(x-a/2)*100/(b-a/2)+100*(b-a/2)/(b-a/2-1)
ここで、aは最大台数であり、bは最大台数×1.5であり、xは優先順位である、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電電力の出力の割合である100[%]は、前記充電器の最大出力に基づいて定められる、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記設定部は、さらに、閾値に基づいて前記優先順位を設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記閾値は、電気自動車の運行開始時におけるSOCの必要最低限度の数値に基づいて定められる、
請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記閾値は、電気自動車の帰着時におけるSOCの必要最低限度の数値に基づいて定められる、
請求項4に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業所の契約電力内で、事業所が保有する保有台数の電気自動車(electric Vehicle:EV)を充電する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の電動車両を含む車両グループから、バッテリのSOC(Stare OF Charge)によって目標数の電動車両を選定することが記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、バッテリの充電状態(SOC)に基づいて、充電駐車スペースを利用する複数のプラグイン電気車両間でバッテリに充電するときの優先順位を決定し、決定した優先順位に従ってプラグイン電気車両を充電することが記載されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、電力消費状況(SOC)に基づいて、電源の充電優先順位を決定し、決定した充電優先順位に基づいて、オルタネータによって発電される電力を複数の電源に供給する制御を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-150988号公報
【文献】特開2012-170273号公報
【文献】特開2008-37239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、事業所が保有するEVの保有台数を契約電力内で充電するため、充電制御により充電の切り替え作業が行われる。保有台数が少ない場合、充電電力の出力を計算する際の複雑さが増大することがなく、人為的な操作のみで充電制御による充電の切り替え作業を行うことが可能である。
【0008】
しかし、保有台数が増加するのに応じて、充電の切り替え作業が増加し、充電電力の出力を計算する際の複雑さが増大し、人為的な操作のみでは充電制御による充電の切り替え作業を行うことが困難となる。
【0009】
本開示の目的は、契約電力内で電気自動車の充電制御を自動で行うことが可能となる充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本開示における充電システムは、
電気自動車に搭載された駆動用バッテリを充電器で充電する場合、契約電力内において前記充電器の最大出力で充電することが可能な電気自動車の台数である最大台数、および、前記駆動用バッテリのSOCを取得する取得部と、
前記SOCに基づいて、複数の電気自動車のそれぞれに対する優先順位を設定する設定部と、
設定された前記優先順位と前記最大台数との関係を示す所定の演算式に基づいて、前記複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力の出力の割合を算出する算出部と、
算出された前記充電電力の出力の割合に基づいて、前記複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力を制御する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、契約電力内で電気自動車の充電制御を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態における電気自動車の充電システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、SOCと優先順位との関係の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、EVのそれぞれに対する充電電力出力割合の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態における充電制御による充電の切り替え作業の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態における電気自動車(EV)の充電システム1の一例を示す図である。なお、以下の説明では、本開示をトラックや、バスなどの商用車に適用する場合について説明するが、本開示は、これに限らず、乗用車などの車両に適用してもよい。事業所は、所定数のEVを保有している。事業所の所定エリアには、EVに搭載される駆動用バッテリ(以下、単に「バッテリ」という)を充電するための所定数の充電器BCが設置されている。EVは、充電器BCの電源プラグが接続される充電口(ポート)を有している。
【0014】
図1に示すように、充電システム1は、電源プラグが充電口に接続されることで、充電器BCからバッテリ(不図示)に電力が供給されるシステムである。
図1に、EVの外部に配置された充電器BCを示す。充電システム1は、充電器BCと、EVと、サーバ10とを備えている。
【0015】
EVは通信部2を有している。サーバ10は通信部16を有している。通信部2、16間は、インターネットなどの通信ネットワークを介して接続されている。これにより、EVとサーバ10との間でデータ(SOC、充電電力出力割合(後述する))の送受信を行うことが可能となる。
【0016】
EVは、バッテリ管理部3および車両制御部4(Vehicle Control Unit:VCU)を有している。バッテリ管理部3は、バッテリの温度であるセル温度およびバッテリの電圧であるセル電圧を一定時間ごとに取得する。バッテリ管理部3は、取得したセル温度およびセル電圧に基づいてリレー回路(不図示)をオンオフ制御する。また、バッテリ管理部3は、車両制御部4にSOCを送信する。
【0017】
車両制御部4(VCU)は、バッテリの電圧、電流、温度およびSOC(残容量)などのバッテリの状態を監視するとともに、バッテリを安全かつ有効に使うための制御を行う。また、車両制御部4は、充電電力出力割合(後述する)に基づいて、充電器BCを制御する。
【0018】
サーバ10は、制御部11と、取得部12と、設定部13と、算出部14と、記憶部15とを備える。
図1において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図1に示していないデータの流れがあってもよい。
図1において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図1に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、コントローラエリアネットワーク(CANバス)等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0019】
記憶部15は、サーバ10を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や制御部11の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。なお、記憶部15は、事業所が保有するEVの保有台数、および、EVの固有情報である識別情報やSOC(残容量)などが記憶されている。また、記憶部15は、事業所の契約電力内において充電器BCの最大出力で充電することが可能なEVの台数である最大台数が記憶されている。
【0020】
(制御部11)
制御部11は、サーバ10のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することによって取得部12、設定部13、および、算出部14として機能する。
【0021】
(取得部12)
取得部12は、通信部16が受信したSOCを取得する。取得部12により取得されたデータは記憶部15に記憶される。
【0022】
(設定部13)
設定部13は、SOCに基づいて、EVの保有台数のそれぞれに対する優先順位を設定する。
【0023】
設定部13は、さらに、所定の閾値に基づいて、EVの保有台数のそれぞれに対する優先順位を設定する。本実施の形態において、「閾値1」は、例えば、EVの運行開始時における必要最低限度のSOCに基づいて定められる。また、「閾値2」は、EVの帰着時における必要最低限度のSOCに基づいて定められる。
【0024】
以上のようにして、設定部13は、閾値1および閾値2のそれぞれに基づいて優先順位を設定する。設定部13は、さらに、EVの運行開始時刻の早い順番に基づいて優先順位を設定する。設定部13は、さらに、EVの帰着する順番に基づいて優先順位を設定する。
【0025】
図2は、SOCと優先順位との関係の一例を示す図である。
図2の横軸にSOC、縦軸に優先順位を示す。なお、本実施の形態において、事業所は、10台のEVを保有しているものとして説明する。したがって、10台のEVに対して優先順位が設定される。
図2に、10台のEVは、それぞれ「V01」から「V10」の符号を付して示す。
図2に示す「閾値1」は、EVの運行開始時におけるSOCの必要最低限度の数値に基づいて定められる。また、「閾値2」は、EVの帰着時におけるSOCの必要最低限度の数値に基づいて定められる。また、同じ閾値(閾値1、閾値2)未満の場合、運行開始時刻の早い方のEVの優先順位が、運行開始時刻の遅い方のEVの優先順位よりも高い。また、帰着時刻の早い方のEVの優先順位が、帰着時刻の遅い方のEVの優先順位よりも高い。なお、電源プラグが接続された時間が早い方のEVの優先順位を、電源プラグが接続された時間が遅い方のEVの優先順位よりも高くしてもよい。
【0026】
図2において、閾値1未満のEVは、「V01」、「V05」および「V09」であるが、帰着時刻や運行開始時刻の早さによれば、閾値1未満のEVの優先順位は、高い方から「V09」、「V01」および「V05」である。
【0027】
また、
図2において、閾値1以上かつ閾値2未満におけるEVは、「V02」、「V03」、「V04」および「V10」であるが、帰着時刻や運行開始時刻の早さによれば、閾値1以上かつ閾値2未満のEVの優先順位は、高い方から「V03」、「V02」、「V10」および「V04」である。
【0028】
また、
図2において、閾値1以上かつ閾値2以上のEVは、「V06」、「V07」および「V8」であるが、帰着時刻や運行開始時刻の早さによれば、閾値1以上かつ閾値2以上のEVの優先順位は高い方から「V08」、「V06」および「V07」である。
【0029】
(算出部14)
算出部14は、優先順位と最大台数との関係を示す所定の演算式に基づいて、電気自動車の所定台数(例えば、事業所が保有するEVの保有台数)のそれぞれに対する充電電力の出力の割合を算出する。ここで、「最大台数」とは、充電可能電力[kW]を充電器最大出力[kW]で除算した除算値である。
【0030】
例えば、充電可能電力が20[kW]であり、充電器最大出力が3[kW]である場合、最大台数は、FLOOR(20/3)=6[台]となる。ここで、FLOOR関数は、除算値を基準値(1未満)で切り捨てる。
【0031】
事業所が保有するEVを充電する際に、契約電力を超えた場合、通常よりも割り増しの料金の支払いが発生するため、契約電力内で充電することが行われる。ここでは、事業所のEVの保有台数は10台である。また、最大台数(契約電力において充電器BCの最大出力で充電することが可能なEVの台数)は、6台である。したがって、仮に、充電対象車両を、最大台数と同数の6台とした場合、非充電対象車両は4台(=10-6)となる。非充電対象車両が多数になるに応じて、事業所におけるEVの運用に支障が生じる。
【0032】
事業所におけるEVの運用に支障が生じるのを防止するため、充電制御による充電の切り替え作業を行うことで、なるべく多数のEVを運用可能にする必要がある。しかしながら、保有台数が増加するのに応じて、充電の切り替え作業が増加し、充電電力の出力を計算する際の複雑さが増大し、人為な操作のみでは充電制御による充電の切り替え作業を行うことが困難となる。
【0033】
本実施の形態では、契約電力内で充電制御による充電の切り替え作業を自動で行う。充電の切り替え作業の一例として、最大台数(6台)の半数である3台(=6/2)に対して、最大出力で充電する。これにより、契約電力内において、3台分の最大出力充電可能電力が残される。残された3台分の最大出力充電可能電力の出力を、優先順位および演算式に基づいてEVに決定することで、非充電対象車両をなるべく少数にし、EVの運用に支障が生じるのを防止する。
【0034】
以下に、所定の演算式の一例を示す。
充電電力の出力の割合y[%]
=-(x-a/2)*100/(b-a/2)+100*(b-a/2)/(b-a/2-1)
…(1)
ここで、aは最大台数であり、bは最大台数×1.5であり、xは優先順位である。なお、「最大台数×1.5」の数値「1.5」は、事業所が保有するEVの保有台数や、事業所におけるEVの運用状況に応じて適宜変更可能である。また、100[%]は、充電器BCの最大出力に基づいて定められる。
【0035】
次に、充電電力の出力の割合y[%]を上記演算式(1)に基づいて算出した場合の一例について説明する。ここで、最大台数aを6台、優先順位xを高い方から「V09」、「V01」、「V05」、「V03」、「V02」、「V10」、「V04」、「V08」、「V06」、および、「V07」とする。なお、以下の計算においては、充電電力の出力の割合y[%]は、100[%]が最大値であるため、100[%]を超える数値を切り捨てる。また、小数点以下を切り捨てる。
【0036】
(V09の場合、x=1)
充電電力の出力の割合y=-(1-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=2*100/6+100*6/5
=10*100/30+100*36/30
=46*100/30
=153
なお、y≦100であるため、y=100[%]
【0037】
(V01の場合、x=2)
充電電力の出力の割合y=-(2-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=1*100/6+100*6/5
=5*100/30+100*36/30
=41*100/30
=136
なお、y≦100であるため、y=100[%]となる。
【0038】
(V05の場合、x=3)
充電電力の出力の割合y=-(3-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=0*100/6+100*6/5
=100*6/5
=120
なお、y≦100であるため、y=100[%]となる。
【0039】
(V03の場合、x=4)
充電電力の出力の割合y=-(4-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-1*100/6+100*6/5
=-5*100/30+100*36/30
=31*100/30
=103
なお、y≦100であるため、y=100[%]となる。
【0040】
(V02の場合、x=5)
充電電力の出力の割合y=-(5-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-2*100/6+100*6/5
=-10*100/30+100*36/30
=26*100/30
=86
以上から、y=86[%]となる。
【0041】
(V10の場合、x=6)
充電電力の出力の割合y=-(6-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-3*100/6+100*6/5
=-15*100/30+100*36/30
=21*100/30
=70
以上から、y=70[%]となる。
【0042】
(V04の場合、x=7)
充電電力の出力の割合y=-(7-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-4*100/6+100*6/5
=-20*100/30+100*36/30
=16*100/30
=53
以上から、y=53[%]となる。
【0043】
(V08の場合、x=8)
充電電力の出力の割合y=-(8-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-5*100/6+100*6/5
=-25*100/30+100*36/30
=11*100/30
=36
以上から、y=36[%]となる。
【0044】
(V06の場合、x=9)
充電電力の出力の割合y=-(9-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-6*100/6+100*6/5
=-30*100/30+100*36/30
=6*100/30
=20
以上から、y=20[%]となる。
【0045】
(V07の場合、x=10)
充電電力の出力の割合y=-(10-6/2)*100/(9-6/2)+100*(9-6/2)/(9-6/2-1)
=-7*100/6+100*6/5
=-35*100/30+100*36/30
=1*100/30
=3
以上から、y=3[%]となる。なお、本実施の形態では、充電待機対象とする。
【0046】
以上に、充電電力の出力の割合y[%]を所定の演算式(1)に基づいて算出した場合の一例について説明した。
図3は、EVのそれぞれに対する充電電力出力割合の一例を示す図である。
図3の横軸に優先順位、縦軸に充電電力出力割合[%]を示す。
【0047】
図3に示すように、充電電力出力割合100[%]の車両が電力制限無のEVとなる。電力制限無のEVは、最大台数(6台)の半数である「V09」、「V01」、および、「V05」となる。また、電力制限無のEVは、上記演算式(1)でy=100[%]となった「V03」である。
【0048】
また、上記演算式(1)および優先順位に基づいて、「V02」から「V06」に対して電力の出力が決定される。なお、「V03」から「V06」までが、充電制限範囲のEVとなる。また、V07(x=10)は、演算式(1)では、y=3[%]であるが、本実施の形態では、充電待機対象とする。
【0049】
通信部16は、
図3に示すEVのそれぞれに対する充電電力出力割合を、各EVの通信部2に送信する。通信部2が受信した充電電力出力割合は、EVの記憶部(不図示)に記憶される。
【0050】
次に、本実施の形態における充電制御による充電の切り替え作業の一例について
図4を参照して説明する。
図4は、本実施の形態における充電制御による充電の切り替え作業の一例を示すフローチャートである。なお、充電器BCの電源プラグが充電口(ポート)に接続されたEVを電源プラグ接続車両という。また、サーバ10の記憶部15には、EVの帰着時刻および運行開始時刻が記憶されている。
【0051】
ステップS1において、電源プラグがEVの充電口(ポート)に接続された場合、そのEVの識別情報およびSOC(残容量)が通信部2、16間で通信され、サーバ10の取得部12に取得される。
【0052】
ステップS2において、設定部13は、SOCが閾値1未満であるか否かを判定する。SOCが閾値1未満である場合(ステップS2:YES)、処理はステップS3に遷移する。SOCが閾値1以上である場合(ステップS2:NO)、処理はステップS4に遷移する。
【0053】
ステップS3において、設定部13は、SOCが閾値1未満のものの中で、EVの帰着時刻および運行開始時刻に基づいて優先順位を設定する。その後、処理はステップS6に遷移する。
【0054】
ステップS4において、設定部13は、閾値2未満であるか否かを判定する。SOCが閾値2未満である場合(ステップS4:YES)、処理はステップS5に遷移する。SOCが閾値2以上である場合(ステップS4:NO)、処理はステップS7に遷移する。
【0055】
ステップS5において、設定部13は、SOCが閾値1以上、閾値2未満のものの中で、EVの帰着時刻および運行開始時刻に基づいて閾値1未満のもの以降の優先順位を設定する。その後、処理はステップS6に遷移する。
【0056】
次に、ステップS6において、設定部13は、優先順位を決定する。
【0057】
ステップS7において、設定部13は、SOCが閾値2以上のものの中で、EVの帰着時刻および運行開始時刻に基づいて閾値2未満のものの以降の優先順位を設定する。その後、処理はステップS6に遷移する。
【0058】
ステップS8において、算出部14は、電源プラグ接続車両が最大台数以下であるか否かを判定する。電源プラグ接続車両が最大台数以下である場合(ステップS8:YES)、処理はステップS9に遷移する。電源プラグ接続車両が最大台数以下でない場合(ステップS8:NO)、処理はステップS10に遷移する。
【0059】
ステップS9において、「電力制限無」の情報は、通信部2、16間で通信される。車両制御部4は、「電力制限無」の情報に基づいて、充電器BCを制御する。
【0060】
ステップS10において、算出部14は、優先順位が最大台数以下であるかを判定する。優先順位が最大台数以下である場合(ステップS10:YES)、処理はステップS11に遷移する。優先順位が最大台数以下でない場合(ステップS10:NO)、処理はステップS12に遷移する。
【0061】
ステップS11において、「電力制限無」の情報は、通信部2、16間で通信される。車両制御部4は、「電力制限無」の情報に基づいて、充電器BCを制御する。
【0062】
ステップS12において、算出部14は、上記演算式(1)により充電電力出力割合を算出する。「充電電力出力割合」の情報は、通信部2、16間で通信される。車両制御部4は、「充電電力出力割合」の情報に基づいて、充電器BCを制御する。これにより、電力が制限される。
【0063】
上記実施の形態における充電システム1は、EVに搭載されたバッテリを充電器BCで充電する場合、充電器BCの最大出力で充電することが可能なEVの台数である最大台数、および、バッテリのSOCを取得する取得部12と、SOCに基づいて、EVの所定台数のそれぞれに対する優先順位を設定する設定部13と、設定された優先順位と最大台数との関係を示す所定の演算式に基づいて、EVの所定台数のそれぞれに対する充電電力の出力の割合を算出する算出部と、算出された充電電力の出力の割合に基づいて、EVの所定台数のそれぞれに対する充電電力を制御する車両制御部4と、を備える。
【0064】
上記構成により、EVの所定台数のそれぞれの充電電力の出力の割合を演算式に基づいて、自動的に計算することで、契約電力内でEVの充電制御を自動で行うことが可能となる。これにより、所定台数が増加しても、充電電力の出力の割合を計算する際の煩雑さが増大することがない。
【0065】
また、上記実施の形態における充電システム1では、算出部14は、以下に示す演算式に基づいて、充電電力の出力の割合を算出する。充電電力の出力の割合y[%]=-(x-a/2)*100/(b-a/2)+100*(b-a/2)/(b-a/2-1)ここで、aは最大台数であり、bは最大台数×1.5であり、xは優先順位である。例えば、最大台数が6台である場合、6台の半数である3台(=6/3)に対して、最大出力で充電する。これにより、契約電力内において、3台分の最大出力充電可能電力が残される。残された3台分の最大出力充電可能電力の出力を、優先順位および演算式に基づいてEVに設定することができるため、非充電対象車両が減少し、EVの運用に支障が生じるのを防止することが可能となる。
【0066】
なお、上記実施の形態における充電システム1では、EVに優先順位を設定する設定部13、および、演算式に基づいて、EVに対する充電電力の出力の割合を算出する算出部14が、サーバ10に設けられる場合について説明したが、本開示はこれに限らない。設定部13および算出部14は、例えば、EVに設けてもよい。この場合、設定部13および算出部14のそれぞれの機能を実行するためのアプリケーションプログラムは、サーバ10から通信ネットワークを介してEVの記憶装置(不図示)にダウンロードされ、車両制御部4により実行される。
【0067】
また、上記実施の形態における充電システム1では、車両制御部4が、充電電力出力割合に基づいて、充電器BCの充電電力を制御するものを説明したが、本開示はこれに限らない。例えば、サーバ10がEV(例えば、車両制御部4)を介して充電器BCの充電電力を制御してもよい。
【0068】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示は、契約電力内で電気自動車の充電制御を自動で行うことが要求される充電システムを備えた充電管理装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0070】
1 充電システム
2 通信部
3 バッテリ管理部
4 車両制御部(VCU)
10 サーバ
11 制御部
12 取得部
13 設定部
14 算出部
15 記憶部
16 通信部
【要約】
【課題】契約電力内で電気自動車の充電制御を自動で行うことが可能となる充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムは、電気自動車に搭載された駆動用バッテリを充電器で充電する場合、契約電力内において充電器の最大出力で充電することが可能な電気自動車の台数である最大台数、および、駆動用バッテリのSOCを取得する取得部と、SOCに基づいて、複数の電気自動車のそれぞれに対する優先順位を設定する設定部と、設定された優先順位と最大台数との関係を示す所定の演算式に基づいて、複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力の出力の割合を算出する算出部と、算出された充電電力の出力の割合に基づいて、複数の電気自動車のそれぞれに対する充電電力を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1