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特許7540582情報処理装置、情報処理方法及び記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240820BHJP
   G06V 40/12 20220101ALI20240820BHJP
【FI】
G06T7/00 530
G06V40/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023506766
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2021048535
(87)【国際公開番号】W WO2022196026
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2021043015
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中村 滋
【審査官】宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/019788(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/170439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/00 - 40/16
G06V 40/18 - 40/19
G06V 40/30 - 40/70
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 9/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の三次元座標の輝度を表す複数の輝度データを含む三次元輝度データを入力する入力手段と、
前記皮膚の表面において分割されるとともに、前記表面に対して深さ方向に延在する複数の領域に、前記三次元輝度データを分割する分割手段と、
前記領域のうち、前記表面から所定の深度に位置するとともに前記表面に対向する第1面において、互いに直交する第1方向及び第2方向を決定し、前記第1方向の輝度勾配の分散と、前記第2方向の輝度勾配の分散と、前記第1方向の輝度勾配及び前記第2方向の輝度勾配の共分散とから得られたOCL(Orientation Certainty Level)を第1特徴量として取得する第1取得手段と、
前記第1面のうち、前記深さ方向の輝度勾配が所定の閾値以上となる前記輝度データの個数を第2特徴量として取得する第2取得手段と、
前記第1特徴量に第1の係数を乗じた値と前記第2特徴量に第2の係数を乗じた値との加算値が最大となる前記深度を抽出深度として前記領域ごとに算出する算出手段と、
前記抽出深度における前記第1面の前記輝度データから前記皮膚の紋様画像を前記領域ごとに抽出する抽出手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記第1の係数及び前記第2の係数を変化させながら複数の前記加算値を算出し、前記複数の加算値のなかから最大の前記加算値における前記深度を前記抽出深度として算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の領域から算出された複数の前記紋様画像を合成する合成手段を更に備える、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記三次元輝度データのうち、前記皮膚の所定の断面における輝度から生成される前記皮膚の断層画像と前記抽出深度を示す情報とを重畳させて表示する表示手段を更に備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
皮膚の三次元座標の輝度を表す複数の輝度データを含む三次元輝度データを入力するステップと、
前記皮膚の表面において分割されるとともに、前記表面に対して深さ方向に延在する複数の領域に、前記三次元輝度データを分割するステップと、
前記領域のうち、前記表面から所定の深度に位置するとともに前記表面に対向する第1面において、互いに直交する第1方向及び第2方向を決定し、前記第1方向の輝度勾配の分散と、前記第2方向の輝度勾配の分散と、前記第1方向の輝度勾配及び前記第2方向の輝度勾配の共分散とから得られたOCL(Orientation Certainty Level)を第1特徴量として取得するステップと、
前記第1面のうち、前記深さ方向の輝度勾配が所定の閾値以上となる前記輝度データの個数を第2特徴量として取得するステップと、
前記第1特徴量に第1の係数を乗じた値と前記第2特徴量に第2の係数を乗じた値との加算値が最大となる前記深度を抽出深度として前記領域ごとに算出するステップと、
前記抽出深度における前記第1面の前記輝度データから前記皮膚の紋様画像を前記領域ごとに抽出するステップと、
を備える、情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
皮膚の三次元座標の輝度を表す複数の輝度データを含む三次元輝度データを入力するステップと、
前記皮膚の表面において分割されるとともに、前記表面に対して深さ方向に延在する複数の領域に、前記三次元輝度データを分割するステップと、
前記領域のうち、前記表面から所定の深度に位置するとともに前記表面に対向する第1面において、互いに直交する第1方向及び第2方向を決定し、前記第1方向の輝度勾配の分散と、前記第2方向の輝度勾配の分散と、前記第1方向の輝度勾配及び前記第2方向の輝度勾配の共分散とから得られたOCL(Orientation Certainty Level)を第1特徴量として取得するステップと、
前記第1面のうち、前記深さ方向の輝度勾配が所定の閾値以上となる前記輝度データの個数を第2特徴量として取得するステップと、
前記第1特徴量に第1の係数を乗じた値と前記第2特徴量に第2の係数を乗じた値との加算値が最大となる前記深度を抽出深度として前記領域ごとに算出するステップと、
前記抽出深度における前記第1面の前記輝度データから前期皮膚の紋様画像を前記領域ごとに抽出するステップと、
を備える情報処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理装置、情報処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、皮膚の乳頭層の画像を示す画像情報を取得する真皮画像情報取得部と、取得された画像情報に基づいて、乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する特異領域検出部と、を備える真皮画像情報処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/204176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような皮膚の紋様に基づく生体認証において、認証精度の向上のためにより生体情報を高精度化し得る手法が望まれている。
【0005】
この開示の目的は、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置、情報処理方法及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一観点によれば、皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得する第1取得手段と、前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得する第2取得手段と、前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出する算出手段と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
この開示の他の一観点によれば、皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得するステップと、前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得するステップと、前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出するステップと、を備える、情報処理方法が提供される。
【0008】
この開示の他の一観点によれば、コンピュータに、皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得するステップと、前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得するステップと、前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出するステップと、を備える情報処理方法を実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図3A】第1実施形態に係る三次元測定装置の構成例を示す概略図である。
図3B】第1実施形態に係る三次元測定装置の構成例を示す概略図である。
図3C】第1実施形態に係る三次元測定装置の構成例を示す概略図である。
図3D】第1実施形態に係る三次元測定装置の構成例を示す概略図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示す模式図である。
図6】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第1特徴量の算出例を示すグラフである。
図7A】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第1特徴量の算出例を示す図である。
図7B】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第1特徴量の算出例を示す図である。
図7C】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第1特徴量の算出例を示す図である。
図8】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第2特徴量の算出例を示す図である。
図9】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第2特徴量の算出例を示す図である。
図10】第1実施形態に係る情報処理装置において実行される第2特徴量の算出例を示す図である。
図11A】第1実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図11B】第1実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図11C】第1実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図11D】第1実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図12】第2実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図13】第2実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る情報処理装置において実行される第3特徴量の算出例を示す図である。
図15】第2実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度の算出例を示す図である。
図16】第2実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図17】第3実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図18】第4実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図19】第4実施形態に係る情報処理装置におけるスコアの算出例を示すグラフである。
図20】第5実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図21】第6実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図22】第6実施形態に係る情報処理装置において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。
図23】第7実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図24】第7実施形態に係る情報処理装置において実行される紋様画像生成の概略を示すフローチャートである。
図25】第8実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図26】第8実施形態に係る情報処理装置において実行される断層画像表示の概略を示すフローチャートである。
図27】第8実施形態に係る情報処理装置において表示される画像の例を示す図である。
図28】第9実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この開示の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図1乃至図11Dを参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は、三次元測定装置2によって取得されたデータを解析する。三次元測定装置2は、OCT(Optical Coherence Tomography)技術等の三次元測定技術に基づいて人物の指等の部位を撮像し、皮膚の内部を含む三次元輝度データを取得する装置である。三次元測定装置2は、例えば、指紋撮像装置であり得る。情報処理装置1は、三次元輝度データを解析することにより、皮膚の紋様の抽出に適した抽出深度の算出を行う。また、情報処理装置1は、この三次元輝度データを用いて、指紋認証に適した指紋画像の生成、指紋画像の登録、指紋画像の照合等のような生体認証に関する処理を行ってもよい。
【0012】
図1は、情報処理装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は、例えば、データ処理サーバ、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC等のコンピュータであり得る。
【0013】
情報処理装置1は、演算、制御及び記憶を行うコンピュータとして、プロセッサ101、メモリ102、通信I/F(Interface)103、入力装置104及び出力装置105を備える。なお、情報処理装置1の各部は、不図示のバス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0014】
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算処理回路を1つ又は複数備える処理装置である。プロセッサ101は、メモリ102等に記憶されたプログラムに従って所定の演算を行うとともに、情報処理装置1の各部を制御する機能をも有する。
【0015】
メモリ102は、プロセッサ101の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する揮発性記憶媒体と、処理対象のデータ、情報処理装置1の動作プログラム等の情報を非一時的に記憶する不揮発性記憶媒体とを含み得る。揮発性記憶媒体の例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。不揮発性記憶媒体の例としては、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0016】
通信I/F103は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の規格に基づく通信インターフェースである。通信I/F103は、三次元測定装置2等の他の装置との通信を行うためのモジュールである。
【0017】
入力装置104は、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン等であって、ユーザが情報処理装置1を操作するために用いられる。ポインティングデバイスの例としては、マウス、トラックボール、タッチパネル、ペンタブレット等が挙げられる。
【0018】
出力装置105は、例えば、表示装置、スピーカ等のユーザに情報を提示する装置である。表示装置の例としては、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等が挙げられる。入力装置104及び出力装置105は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0019】
なお、図1に示されているハードウェア構成は一例であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。また、本実施形態の一部の機能がネットワークを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態の機能が複数の装置に分散されて実現されてもよい。例えば、情報処理装置1と三次元測定装置2は一体の装置であってもよい。このように、図1に示されているハードウェア構成は適宜変更可能である。
【0020】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。情報処理装置1は、輝度データ取得部151、第1特徴量取得部152、第2特徴量取得部153及び深度算出部154を備える。
【0021】
プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することで、所定の演算処理を行う。また、プロセッサ101は、当該プログラムに基づいて、メモリ102、通信I/F103、入力装置104及び出力装置105の各部を制御する。これらにより、プロセッサ101は、輝度データ取得部151、第1特徴量取得部152、第2特徴量取得部153及び深度算出部154の機能を実現する。第1特徴量取得部152、第2特徴量取得部153及び深度算出部154は、それぞれ、より一般的に第1取得手段、第2取得手段及び算出手段と呼ばれることもある。
【0022】
図3Aから図3Dは、本実施形態に係る三次元測定装置2の構成例を示す概略図である。以下の説明では、三次元測定装置2は、一例として、OCT(Optical Coherence Tomography)技術を用いて対象物3の表面及び内部の三次元輝度データを光学的に取得する装置であるものとするがこれに限られるものではない。また、図3Aから図3Dに示す構成はOCT技術を用いた測定装置の一例を示すものに過ぎず、これ以外の装置構成であってもよい。
【0023】
図3Aは、三次元測定装置2を構成する機能ブロック及び光路を示す図である。図3Aに示されるように、三次元測定装置2は、コントローラ201、光源202、ビームスプリッタ203、参照光ミラー204、スキャナヘッド205及び光検出器206を備える。コントローラ201は、三次元測定装置2の各部を制御する制御装置である。また、コントローラ201は、光検出器206等から取得した信号を所定の仕様のデジタルデータに変換するデータ変換機能を有していてもよく、データを解析するデータ処理機能を有していてもよい。光源202は、波長掃引レーザ等の測定用の光を射出する光源である。射出光は、例えば近赤外線であり得る。ビームスプリッタ203は、入射光の一部を反射し、一部を透過する光学部材である。参照光ミラー204は、光を反射するミラーである。スキャナヘッド205は、三次元測定装置2から対象物3の表面に射出される光を対象物3の面内で二次元的に走査する光学部材である。光検出器206は、入射光の輝度を検出するフォトダイオード等の光学素子を含み得る。
【0024】
光源202から射出された光は、ビームスプリッタ203により、対象物3に向かう光束L1と参照光ミラー204に向かう光束L2とに分割される。光束L1は、スキャナヘッド205により射出方向を調整した上で、対象物3に照射される。対象物3は、例えば、生体認証の対象者の指である。
【0025】
図3Bから図3Dは、三次元測定装置2が指紋検出装置であり、対象物3が対象者の指F1である場合の測定台207の3つの配置例を示す図である。図3Bは、第1の例における指F1と測定台207の位置関係を示す図である。第1の例は、指F1と測定台207とが接触した状態で測定が行われる接触型の構成例である。測定台207は、ガラス等の透明な材料により構成され得る。対象者は、測定台207の上に指F1を押し当てる。その状態でスキャナヘッド205から測定台207を透過させて指F1に光束L2を射出することにより、指F1の表面に光が照射され、その光は指F1の表面及び内部において後方散乱される。このようにして、対象物3において後方散乱された光は、スキャナヘッド205、ビームスプリッタ203を順に介して光検出器206に物体光として入射される。光束L2は、参照光ミラー204で反射され、光検出器206に参照光として入射される。光検出器206は、物体光と参照光の干渉光を検出する。コントローラ201は、この干渉光に基づく信号を取得する。この例では、指F1の指紋F2が測定台207に押し当てられるため、指紋F2を適切に位置決めすることができる。
【0026】
図3Cは、第2の例における指F1と測定台207の位置関係を示す図である。第2の例は、指F1と測定台207とが接触しない状態で測定が行われる非接触型の構成例である。この構成においても、測定台207に指F1が接触しないことを除いて概ね上述と同様の処理により測定を行うことができる。この例では、指紋F2が測定台207に接触することに起因する指紋F2の変形が生じにくい。また、指F1が測定台207に触れないため衛生的である。なお、本例においては、測定台207が設けられていなくてもよい。この場合、スキャナヘッド205から指F1に測定台207を介さずに直接光束L2が入射される。
【0027】
図3Dは、第3の例における指F1と測定台207の位置関係を示す図である。第3の例は、指F1とガイド208が接触するものの、指F1と測定台207とは非接触の状態で測定が行われる非接触型の別の構成例である。この構成においても、測定台207に指F1が接触しないことを除いて概ね上述と同様の処理により測定を行うことができる。この例では、指紋F2が測定台207に接触することに起因する指紋F2の変形が生じにくい。また、ガイド208により指紋F2を適切に位置決めすることができる。なお、測定台207とガイド208は同一の部材により一体に構成されていてもよく、別の部材により構成されていてもよい。また、三次元測定装置2は、上述の第1の例から上述の第3の例のうちの2つ又は3つの測定状態を切り替えることができる構成であってもよい。以上、三次元測定装置2の測定台207の3つの配置例を述べたが、三次元測定装置2の構成はこれらに限定されるものではない。
【0028】
上述の干渉光の検出は、光源202から射出される光の周波数を掃引しながら行われる。この場合、物体光の周波数は、対象物3の内部で後方散乱が生じた深さに応じて変化する。したがって、干渉光の周波数スペクトルを解析することにより、対象物3の深度方向の輝度情報を得ることができる。また、スキャナヘッド205により、光束L1の射出位置を対象物3の面内で走査することにより、対象物3の面内の二次元の輝度情報を得ることができる。これらの輝度情報を統合することにより、本実施形態の三次元測定装置2は、対象物3の内部を含む三次元輝度データを測定することができる。コントローラ201は、これらの制御を行うことにより取得した三次元輝度データを情報処理装置1に供給する。
【0029】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。この処理は、例えば、三次元測定装置2により新たな三次元輝度データが測定された場合に実行される。
【0030】
ステップS11において、輝度データ取得部151は、対象者の指を三次元測定装置2で測定することにより得られた三次元輝度データを取得する。この処理は、三次元測定装置2を制御して、新たに三次元輝度データを取得するものであってもよく、メモリ102等の記憶媒体からあらかじめ取得された三次元輝度データを読み出すものであってもよい。
【0031】
ステップS12において、第1特徴量取得部152は、三次元輝度データから第1特徴量を取得する。ここで、第1特徴量は、三次元輝度データのうちの、皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた特徴量である。
【0032】
ステップS13において、第2特徴量取得部153は、三次元輝度データから第2特徴量を取得する。ここで、第2特徴量は、三次元輝度データのうちの、皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた特徴量である。
【0033】
ステップS14において、深度算出部154は、第1特徴量及び第2特徴量に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。ここで、抽出深度は、各領域において、皮膚の紋様の抽出に適した深度を示す情報である。この抽出深度に相当する位置は、具体的には、真皮の表面近傍、すなわち、表皮と真皮の境界近傍であり得る。
【0034】
次に、図5乃至図10を参照して、上述の第1特徴量、第2特徴量及び抽出深度の取得の具体的な処理の例を説明する。図5(a)乃至図5(c)は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示す模式図である。図5(a)は、対象物3の三次元輝度データが取得されている領域を直方体により模式的に示したものである。図5(a)に付されている座標軸に記載されているxy面が三次元測定装置2から射出される光の走査面に対応する。z方向は、対象物3の深度方向に対応する。言い換えると、対象物3が指である場合には、xy面が指の指紋がある面(指の手のひら側の面)に対応し、z方向が指の深度方向(皮膚の内側方向)に対応する。
【0035】
図5(b)は、対象物3の三次元輝度データの領域分割方法を示す図である。図5(b)に示すように、本処理では、xy面内を格子状に分割する。第1特徴量、第2特徴量及び抽出深度の算出は、この領域ごとに行われる。三次元輝度データのxy面のサイズは例えば24mm×16mm程度であり、分割後の1つの領域のサイズは例えば1.5mm角程度である。図5(c)は、各領域で算出される抽出深度を模式的に示す図である。図5(c)に示されるように、領域ごとに個別に抽出深度が算出されるため、算出される抽出深度は領域ごとに異なる値であり得る。
【0036】
上述のように、第1特徴量の抽出においては、皮膚の表面に対向する第1面、すなわち、図5(a)におけるxy面内の輝度データの分布を用いたアルゴリズムにより特徴量の抽出が行われる。この特徴量抽出のアルゴリズムは、例えば、指紋等の縞模様について、縞模様鮮明度を抽出するものであり得る。縞模様鮮明度は、例えば、OCL(Orientation Certainty Level)等の、画像内の明暗で形成される縞が多数存在し、同様の形であることを示す特徴量であり得る。縞模様鮮明度に相当する評価指標の例としては、OCL、RVU(Ridge Valley Uniformity)、FDA(Frequency Domain Analysis)、LCS(Local Clarity Score)、OFL(Orientation FLow)が挙げられる。RVUは、小領域内における明暗の縞の幅についての一様性を示すものである。FDAは、小領域内の縞模様の単一周波数性を示すものである。LCSは、小領域内の縞の明暗部ごとの輝度の一様性を示すものである。OFLは、周囲の小領域との縞の方向についての連続性を示すものである。これらの評価指標を単独で用いて縞模様鮮明度として定義してもよく、これらの評価指標の複数を組み合わせて縞模様鮮明度として定義してもよい。
【0037】
第1特徴量の抽出の一例として、上述のOCLによる縞模様鮮明度を示すOCL値の計算方法の概略を説明する。ある深度におけるxy面上での輝度をI(x,y)とする。ここで、引数のx,yは、図5(a)に示されているx方向、y方向の領域座標を意味するものとする。ここで、以下の式(1)、(2)のようにx方向、y方向の輝度勾配fx、fyを定義する。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
ここで、分散共分散行列Cを、輝度勾配fx、fyについての分散と共分散を用いて以下の式(3)から式(6)のように定義する。
【0041】
【数3】
【0042】
【数4】
【0043】
【数5】
【0044】
【数6】
【0045】
ここで、2行2列の分散共分散行列Cは一般的に2つの固有値を有する。2つの固有値のうちの小さい方と大きい方をそれぞれλmin、λmaxとすると、λmin、λmaxは、それぞれ以下の式(7)、式(8)のように表すことができる。
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】

ここで、ある局所領域におけるOCL値は、以下の式(9)のように表すことができる。
【0048】
【数9】
【0049】
この処理は、輝度勾配に対する主成分分析に相当する。式(9)のOCL値は、2方向の輝度勾配fx、fyに基づく分散共分散行列Cの固有値の比λmin/λmaxが小さい場合に大きな値となるような関数である。固有値の比λmin/λmaxが小さい場合とは、xy平面内のある方向の輝度勾配が大きく、これに垂直な方向の輝度勾配が小さい場合である。言い換えると、一方向に流れるような縞模様が局所領域内に鮮明に現れているほどOCL値が大きくなる。
【0050】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される第1特徴量の算出例を示すグラフである。図6は、指を測定して得られた三次元輝度データのうちの1つの局所領域に対してOCL値を計算した例を示している。図6の横軸は指の深度を示している。深度の値が小さいほど指の皮膚の表面に近く、深度の値が大きいほど指の内側に近い。縦軸は式(9)に示すようなOCL値である。なお、図6に示されている深度の値は任意単位によるものである。
【0051】
図6に示されるように、OCL値は、指の表面付近である深度D1において高い値を示している。深度D1は表皮の表面近傍であり、この位置では表皮の指紋が鮮明に現れているため、深度D1におけるOCL値は大きい。深度D1よりも深い深度では、OCL値は減少し、深度D2付近で極小となる。深度D2は表皮の内部であり、指紋が不鮮明になるため、深度D2におけるOCL値は小さい。更に深度D2よりも深い深度では、OCL値は上昇し、深度D3付近で極大となる。深度D2は真皮の表面近傍であり、真皮指紋が現れているため、深度D3におけるOCL値は大きい。このように、OCL値の分布に基づいて、真皮指紋の抽出に適した抽出深度は深度D3付近であると判定することができる。
【0052】
図7A乃至図7Cは、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される第1特徴量の算出例を示す図である。図7Aは深度D1におけるxy面内の指紋画像であり、図7Bは深度D2におけるxy面内の指紋画像であり、図7Cは深度D3におけるxy面内の指紋画像である。図7A乃至図7Cにおいて、画像中に示されている実線は固有値λmaxに対応する固有ベクトルの向きを示しており、破線は固有値λminに対応する固有ベクトルの向きを示している。言い換えると、実線は検出された縞模様に垂直な向きを示しており、破線は検出された縞模様に平行な向きを示している。また、画像中の左上に示されている数値はOCL値である。なお、図7A乃至図7Cにおいて、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
【0053】
図7A及び図7Cでは、指紋の縞模様が鮮明に現れており、縞模様に沿って適切に固有値及び固有ベクトルが抽出されている。そのため、深度D1、D3においては高いOCL値が得られている。これに対し、図7Bでは、指紋の縞模様が不鮮明であり、固有ベクトルの向きが適切に選択されていない。そのため、深度D2においては低いOCL値が得られている。このように、OCL値と実際の模様の鮮明度はよく対応しており、OCL値等の縞模様鮮明度に基づく第1特徴量を抽出することにより、皮膚の紋様の抽出に適した抽出深度を得ることができることが理解される。
次に第2特徴量の抽出の具体例を説明する。図8乃至図10は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される第2特徴量の算出例を示す図である。図8は、指紋画像の例を示す模式図である。図9は、図8のA-A’線の断面における指の断層画像である。図9の縦軸は深度であり、横軸は指の横方向の位置である。図9の濃淡は、各位置における後方散乱光に基づく輝度を示している。
【0054】
図9に示されている範囲R1は、三次元測定装置2での撮影時に指が押し当てられる測定台のガラスが存在する範囲を示している。範囲R2は、指の表皮に相当する範囲を示している。範囲R3は、指の真皮に相当する範囲を示している。図9より理解されるように、範囲R1と範囲R2の境界、範囲R2と範囲R3の境界等の境界部分において、輝度が急激に変化する。なお、図9において、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
【0055】
図10は、図9の断層画像におけるエッジ検出処理の例である。図10の縦軸は深度であり、横軸は指の横方向の位置である。図10の濃淡は、図9のデータから算出され得るz方向の輝度勾配(輝度値のz方向における微分あるいは差分)を所定の閾値を境界として二値化したものを示している。なお、図10においては、指の外部である範囲R1の図示は省略されている。また、図10においても、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
【0056】
図10に示されているように、範囲R2と範囲R3の境界、すなわち、真皮の表面近傍において、輝度勾配が大きいことを示すドットが多数存在する。したがって、所定の勾配抽出領域内にあるドットの個数をカウントすることで、第2特徴量を抽出することができる。勾配抽出領域内のドットの個数はドットの密度に相当する値であるため、この値が大きいほど、その領域での輝度変化が急峻であり、真皮の表面である蓋然性が高いといえる。したがって、勾配抽出領域内のドットの個数が大きい深度を求めることで、皮膚の紋様の抽出に適した抽出深度を得ることができる。勾配抽出領域は、例えば、深度方向に所定の厚さを有する薄板状の領域であり得る。勾配抽出領域の深度方向の厚さは表皮層の厚さ、深度方向の分解能等を考慮して適宜設定することができ、例えば7μm程度であり得る。
【0057】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1は、皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから第1特徴量を取得し、更に、皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから第2特徴量を取得する。このように検出方向の異なる2種の特徴量を用いて、抽出深度の算出を行う理由について説明する。
【0058】
例えば、検出対象が指紋である場合、指の中心付近の指紋の形状は渦巻き形状、同心円形状等である場合が多い。また、指紋の一部が三角州形状である場合もある。また、汗腺が大きく指紋が細線状でない場合もある。このように、指紋は一方向に流れていない部分を含むことがある。以上のように皮膚の紋様は、必ずしも平面方向に一様ではない。このような場合、特徴量に含まれる情報が皮膚の表面に対向する面に沿う方向のみに基づくものであると、抽出深度の算出精度が十分に得られない場合もあり得る。
【0059】
これに対し、本実施形態では、皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を更に用いて抽出深度の算出を行う、そのため、皮膚の平面方向のみならず、深度方向の情報を考慮した抽出深度の算出が可能である。したがって、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0060】
図9及び図10を参照して説明したように、必須ではないものの、第2特徴量の取得は、皮膚の深度方向の輝度勾配に基づいて行われることがより望ましい。輝度勾配を用いることにより、輝度そのものを用いる場合と比べて、高精度に輝度分布のエッジを抽出することができる。そのため、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化することができる。
【0061】
なお、上述の説明では、第1特徴量の算出例として、OCL値の算出例を示しており、第2特徴量の算出例として、勾配抽出領域内にあるドット数をカウントする例を示している。しかしながら、第1特徴量及び第2特徴量は、三次元輝度データから算出されたこれらの量を所定の関数によりスコア化したものであってもよい。
【0062】
図11Aから図11Dは、本実施形態に係る情報処理装置1におけるスコアの算出例を示すグラフである。なお、図11Aから図11Dのグラフにおいて、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
【0063】
図11Aは、上述のOCL値の計算結果の一例である。図11Aは、図6とは異なるデータによるものであるため、グラフの形態は異なっているものの、データの見方は同じであるため説明を省略する。
【0064】
図11Bは、図11AのOCL値に基づいて算出されたスコアを示すグラフである。図11Bの縦軸は、図11AのOCL値を所定の関数を用いて変換して得られたスコアである。この関数は、OCL値のピーク等の特徴部分を抽出できるように適宜設定され得る。図11Bを参照すると、深度106、126、144付近にピークがみられる。
【0065】
図11Cは、図10のようなエッジ検出処理により得られた勾配抽出領域内のドットの個数を深度に対してプロットしたグラフである。図11Cの縦軸は、勾配抽出領域内のドットの個数を所定の係数で規格化した値である。図11Cの横軸は指の深度を示している。
【0066】
図11Dは、図11Cのドット数に基づいて算出されたスコアを示すグラフである。図11Bの縦軸は、図11Cのドット数を所定の関数を用いて変換して得られたスコアである。この関数は、ドット数のピーク等の特徴部分を抽出できるように適宜設定され得る。図11Dを参照すると、深度126、158付近にピークがみられる。図11B図11Dの結果を総合すると、深度126が紋様の抽出に最も適した深度であることがわかる。このように、第1特徴量及び第2特徴量は、三次元輝度データから算出された量を所定の関数によりスコア化して得られる値であってもよい。
【0067】
[第2実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図12乃至図16を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は、第1特徴量と第2特徴量の少なくとも1つの連続性に基づく第3特徴量を更に取得する点が第1実施形態との相違点である。第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0068】
図12は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。情報処理装置1は、図2の構成に加えて、第3特徴量取得部155を更に備える。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、第3特徴量取得部155の機能を実現する。第3特徴量取得部155は、より一般的に第3取得手段と呼ばれることもある。
【0069】
図13は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS13の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0070】
ステップS15において、第3特徴量取得部155は、第3特徴量を取得する。ここで、第3特徴量は、第1特徴量及び第2特徴量の少なくとも1つの連続性に基づく特徴量である。
【0071】
ステップS16において、深度算出部154は、第1特徴量、第2特徴量及び第3特徴量に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。
【0072】
次に、図14及び図15を参照して、上述の第3特徴量の取得の具体的な処理の例を説明する。図14は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される第3特徴量の算出例を示す図である。図14に示されている複数の枠は、図5(b)に示すxy面の領域分割を模式的に示すものである。各枠内の数値は、x方向及びy方向の位置を示す領域番号であり、各枠内のグラデーションは、第3特徴量の値の設定順序を示している。
【0073】
図14の中心付近の最も濃い領域R4は、最初の設定領域である。まず、領域R4の第3特徴量の値を適当に設定する。次に、R4の外側に隣接する領域R5の第3特徴量の値を設定する。この設定は、以下のように行われる。
【0074】
まず、領域R4と領域R5のそれぞれについて第1特徴量及び第2特徴量の少なくとも1つの値を参照して、抽出深度の推定を行う。そして、領域R4と領域R5の抽出深度の差を算出する。更に、領域R4と領域R5の抽出深度の差が小さいほど第3特徴量の値が高くなるように、領域R5の第3特徴量の値を設定する。
【0075】
次に、領域R5の外側に隣接する領域R6の第3特徴量の値を設定する。この処理も上述と同様に、領域R5と領域R6の抽出深度の差が小さいほど第3特徴量の値が高くなるように、領域R6の第3特徴量の値を設定する。領域R7、R8についてもこれと同様に、順次第3特徴量の値を設定する。
【0076】
以上のように本実施形態の第3特徴量は、内側から順番に、領域間の抽出深度の差が小さく、連続性が高いほど高くなるように設定される。この第3特徴量を用いてステップS16の抽出深度の算出を行うことにより、第1特徴量及び第2特徴量のみを用いる場合と比べて、領域間の抽出深度の差を小さくするような補正がかけられる。
【0077】
以上のようにして得られた第3特徴量を用いることの効果を説明する。図15は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度の算出例を示す図である。図15は、各領域の抽出深度の分布と指紋検出範囲FPの位置関係を示している。図15の各領域を示すボックス内に記載されている数値は抽出深度である。例えば、図15に示されるように、抽出深度は、指の中心付近から外側に向かって概ね連続的に変化する。これは、生理的な要因による表皮の厚さ分布に起因するものである場合もあるが、指紋の撮影時に指を測定台に押し付けることで部分的に表皮が圧縮されて薄くなることによりこのような傾向が現れる場合もある。
【0078】
このように、真皮指紋等の皮膚の内部の紋様の抽出に適した深さは面方向に対して急激に変化するものではなく、ある程度連続的な分布を有していることが一般的である。しかしながら、第1特徴量及び第2特徴量は、局所的な情報に基づいて算出されており、この連続性は十分に考慮されないことがある。そのため、連続性が考慮された第3特徴量を更に用いることが望ましい。そこで、本実施形態では、第1特徴量及び第2特徴量の連続性を考慮するように算出された第3特徴量を取得し、抽出深度の算出に用いることにより、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0079】
なお、第3特徴量の取得方法は、図14を参照して説明したものに限定されるものではなく、上述したもの以外のアルゴリズムにより取得されてもよい。例えば、上述の例では隣接する領域(例えば領域R4と領域R5)の抽出深度のみを考慮して第3特徴量の値を設定しているが、2つ以上離れた領域(例えば領域R4と領域R6)の抽出深度差を考慮してもよい。また、例えば、領域R5のうちの1つの領域と、領域R5のうちの別の1つの領域のように、同じ設定優先順位を持つ領域間の抽出深度差を考慮してもよい。
【0080】
また、第3特徴量の取得において最初に設定が行われる領域(図14の例では領域R4)の位置はあらかじめ決められていてもよいが、三次元輝度データ、特徴量等の生体情報の分布に応じて可変であってもよい。例えば、第1特徴量及び第2特徴量の少なくとも1つの値が極大である領域を初期設定領域としてもよく、三次元輝度データのxy面内の輝度分布から得られた有効範囲(例えば、指が検出された範囲)の中心を初期設定領域としてもよい。これにより、第3特徴量の取得過程において生体情報の分布が考慮されるため、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る。
【0081】
なお、第1特徴量及び第2特徴量と同様に、第3特徴量の値も所定の関数によりスコア化されたものであってもよい。図16は、本実施形態に係る情報処理装置1におけるスコアの算出例を示すグラフである。なお、図16のグラフにおいて、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
【0082】
図16は、上述の第3特徴量、すなわち、第1特徴量及び第2特徴量の少なくとも1つの連続性に基づくスコアの計算結果の一例である。図16の縦軸は、この第3特徴量を所定の関数を用いて変換して得られたスコアである。このように、第1特徴量及び第2特徴量と同様に第3特徴量もスコア化されていてもよい。このように第3特徴量を第1特徴量及び第2特徴量と同様にスコア化することにより、第1特徴量、第2特徴量及び第3特徴量を容易に総合して抽出深度の算出を行うことができる。
【0083】
[第3実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図17を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は、第1特徴量と第2特徴量の重み付け加算により得られた値を抽出深度の算出に用いる点が第1実施形態との相違点である。第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0084】
図17は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS13の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0085】
ステップS17において、深度算出部154は、第1特徴量及び第2特徴量の重み付け加算に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。この処理は、例えば、図11B及び図11Dに示されるようなスコアを重み付け加算して重み付け加算後のスコアを得て、このスコアに基づいて抽出深度を算出するものであってもよい。
【0086】
本実施形態では、重み付けに用いる係数を適宜設定することにより、第1特徴量及び第2特徴量を考慮できるとともに、それらを考慮する割合を変更することができる。したがって、この係数をパラメータとしてより好適な抽出深度が得られるような調整を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0087】
[第4実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図18及び図19を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は、第1特徴量、第2特徴量及び第3特徴量のうちの少なくとも2つの重み付け加算により得られた値を抽出深度の算出に用いる点が第2実施形態及び第3実施形態との相違点である。第1実施形態から第3実施形態のいずれかと共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0088】
図18は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS13の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。ステップS15の処理は第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0089】
ステップS18において、深度算出部154は、第1特徴量、第2特徴量及び第3特徴量のうちの少なくとも2つの重み付け加算に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。この処理は、例えば、図11B図11D及び図16に図示されるようなスコアを重み付け加算して重み付け加算後のスコアを得て、このスコアに基づいて抽出深度を算出するものであってもよい。
【0090】
図19は、本実施形態に係る情報処理装置1におけるスコアの算出例を示すグラフである。なお、図19のグラフにおいて、縦軸及び横軸の値は任意単位によるものである。
図19の縦軸は、図11B図11D及び図16の3つのスコアを重み付け加算して得られたスコアである。図19に示されるように、深度126付近に高さが最大のピークがみられることから深度126付近が好適な抽出深度であることがわかる。
【0091】
本実施形態では、重み付けに用いる係数を適宜設定することにより、第1特徴量、第2特徴量及び第3特徴量を考慮できるとともに、それらを考慮する割合を変更することができる。したがって、この係数をパラメータとしてより好適な抽出深度が得られるような調整を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0092】
[第5実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図20を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は、複数の重み付け係数の組を用いて複数種類の重み付け加算を行う点が第3実施形態との相違点である。第1実施形態又は第3実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0093】
図20は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS13の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0094】
ステップS19及びステップS17は、互いに異なるN組の重み付け係数について順次抽出深度の算出を行うループ処理である。Nは、2以上の整数であり、ループの実行回数を示す値である。iは、1以上N以下の整数であり、本ループ処理のループカウンタである。
【0095】
ステップS19において、深度算出部154は、i番目の重み付け係数を設定する。この重み付け係数はあらかじめ設定されているものであってもよく、ユーザ入力に基づくものであってもよい。
【0096】
ステップS17において、深度算出部154は、i番目の重み付け係数によって得られた第1特徴量及び第2特徴量の重み付け加算に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。
【0097】
ステップS20において、深度算出部154は、ステップS19及びステップS17のループ処理により得られた複数の抽出深度のうち、スコアが最大である抽出深度を選択して、最終的な抽出深度と決定する。
【0098】
本実施形態では、複数の重み付け係数により得られた抽出深度のうちからより好適なものを出力することができる。したがって、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0099】
[第6実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図21及び図22を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は三次元輝度データの測定時において測定面が皮膚から受けた力に基づく第4特徴量を更に取得する点が第1実施形態との相違点である。第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0100】
図21は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。情報処理装置1は、図2の構成に加えて、第4特徴量取得部156を更に備える。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、第4特徴量取得部156の機能を実現する。第4特徴量取得部156は、力測定装置4において測定された力データに基づいて第4特徴量を取得する。第4特徴量取得部156は、より一般的に第4取得手段と呼ばれることもある。
【0101】
力測定装置4は、三次元輝度データの測定時に測定面が皮膚から受ける力を測定する装置である。力測定装置4は、例えば、三次元測定装置2の測定台に設けられた力センサであり得る。この力センサは、指等の皮膚が測定台に押し付けられた場合に測定台が受ける力を測定する。
【0102】
また、力測定装置4は、例えば、三次元測定装置2の測定台の変位を測定する変位センサであってもよい。変位センサで測定される変位量は測定台が受けた力に応じた値となるため、この構成においても測定面が皮膚から受ける力を実質的に測定することができる。この変位量は、後述の処理において力データと同視することができる。
【0103】
また、三次元測定装置2は、輝度の分布に基づいて測定台の位置を測定することもできるため、上述の例の変位センサに代えて三次元測定装置2自身が測定台の変位を測定することもできる。したがって、この構成においても測定面が皮膚から受ける力を実質的に測定することができる。この場合、三次元測定装置2が力測定装置4の機能を兼ねることができる。
【0104】
図22は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される抽出深度算出の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS13の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0105】
ステップS21において、第4特徴量取得部156は、力測定装置4において測定された力データを取得する。
【0106】
ステップS22において、第4特徴量取得部156は、力データに基づいて第4特徴量を取得する。第4特徴量は、測定台が受けた力であってもよく、測定台が受けた力に基づく測定台の変位であってもよく、これらの力又は変位から算出されるスコアであってもよい。
【0107】
ステップS23において、深度算出部154は、第1特徴量、第2特徴量及び第4特徴量に基づいて、三次元輝度データの中の領域ごとに抽出深度を算出する。
【0108】
測定時に皮膚を測定台に押し付けると、表皮が圧縮されて薄くなる。この場合、紋様の抽出に好適な抽出深度は、押し付けられていない場合と比べて浅くなる。この現象による好適な抽出深度の変化量は皮膚が押し付けられた力の大きさに応じて変化する。本実施形態では、抽出深度を算出する際に三次元輝度データの測定時に測定面が皮膚から受けた力に基づく第4特徴量が含まれているため、表皮の圧縮の影響がより適切に考慮される。これにより、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置が提供される。
【0109】
[第7実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図23及び図24を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は抽出深度に基づいて紋様画像を生成する点が第1実施形態との相違点である。第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0110】
図23は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。情報処理装置1は、図2の構成に加えて、紋様画像生成部157を更に備える。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、紋様画像生成部157の機能を実現する。紋様画像生成部157は、より一般的に画像生成手段と呼ばれることもある。
【0111】
図24は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される紋様画像生成の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS14の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0112】
ステップS24において、紋様画像生成部157は、領域ごとの抽出深度に対応する輝度データを組み合わせて紋様画像を生成する。紋様画像は、xy面における皮膚の紋様を示す画像であり、具体的には、図8に示すような指紋の凹凸を示す画像であり得る。
【0113】
本実施形態の処理により取得された紋様画像は、指紋認証等の生体認証用の生体情報として用いられ得る。本実施形態で取得される紋様画像は、生体情報の登録時に取得される事前登録用の画像であってもよく、認証時に取得される認証用の画像であってもよい。言い換えると、本実施形態の情報処理装置1は、生体情報の登録装置として機能するものであってもよく、生体認証装置として機能するものであってもよい。この紋様画像は、適切な抽出深度の輝度データを用いて生成されたものである。したがって、皮膚の紋様がより適切に現れた紋様画像が取得される。以上のように、本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく紋様画像をより高精度に取得し得る情報処理装置が提供される。
【0114】
[第8実施形態]
本実施形態に係る情報処理装置1について、図25乃至図27を参照しつつ説明する。本実施形態の情報処理装置1は断層画像と抽出深度を示す情報とが重畳された画像を表示し得る点が第1実施形態との相違点である。第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0115】
図25は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。情報処理装置1は、図2の構成に加えて、断層画像生成部158及び画像表示部159を更に備える。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、断層画像生成部158の機能を実現する。また、プロセッサ101は、出力装置105の一種である表示装置を制御することにより、画像表示部159の機能を実現する。画像表示部159は、より一般的に表示手段と呼ばれることもある。
【0116】
図26は、本実施形態に係る情報処理装置1において実行される断層画像表示の概略を示すフローチャートである。ステップS11からステップS14の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0117】
ステップS25において、断層画像生成部158は、所定の断面線上の輝度データに基づいて断層画像を生成する。断層画像は、深度方向を少なくとも含む面における輝度の分布を示す画像であり、具体的には、図9に示すようなものであり得る。そして、断層画像生成部158は、断層画像に抽出深度を示す情報を重畳させた画像を生成する。抽出深度を示す情報は、例えば、抽出深度に対応する位置に配された線であり得る。
【0118】
ステップS26において、画像表示部159は、表示装置の表示部にステップS25で生成された画像を表示する。図27は、本実施形態に係る情報処理装置1において表示される画像の例を示す図である。図27に示すように、抽出深度を示す情報として、断層画像の抽出深度に相当する位置を示す曲線LDが重畳された画像が表示され得る。
【0119】
本実施形態によれば、算出された抽出深度の情報をわかりやすくユーザに提示し得る情報処理装置が提供される。
【0120】
なお、抽出深度を示す情報の表示態様は、図27に示すものに限定されるものではない。例えば、抽出深度の位置を曲線LDに代えて矢印等で示してもよく、抽出深度の数値を表示してもよい。
【0121】
上述の実施形態において説明した装置は以下の第9実施形態のようにも構成することができる。
【0122】
[第9実施形態]
図28は、第9実施形態に係る情報処理装置5の機能ブロック図である。情報処理装置5は、第1取得部501、第2取得部502及び算出部503を備える。第1取得部501は、皮膚の三次元輝度データのうちの、皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得する。第2取得部502は、三次元輝度データのうちの、皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得する。算出部503は、第1特徴量及び第2特徴量に基づいて、皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出する。
【0123】
本実施形態によれば、皮膚の紋様に基づく生体情報をより高精度化し得る情報処理装置5が提供される。
【0124】
[変形実施形態]
この開示は、上述の実施形態に限定されることなく、この開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、この開示の実施形態である。
【0125】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記録させ、記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体だけでなく、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。また、上述の実施形態に含まれる1又は2以上の構成要素は、各構成要素の機能を実現するように構成されたASIC、FPGA等の回路であってもよい。
【0126】
該記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disk)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記憶媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0127】
上述の各実施形態の機能により実現されるサービスは、SaaS(Software as a Service)の形態でユーザに対して提供することもできる。
【0128】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0129】
(付記1)
皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得する第1取得手段と、
前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得する第2取得手段と、
前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出する算出手段と、
を備える、情報処理装置。
【0130】
(付記2)
前記算出手段は、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを所定の重みにより重み付け加算を行って得られた値に基づいて前記抽出深度を算出する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0131】
(付記3)
前記算出手段は、複数の互いに異なる前記重みにより前記重み付け加算を行って得られた複数の値に基づいて前記抽出深度を算出する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0132】
(付記4)
前記第1特徴量及び前記第2特徴量の少なくとも1つの、前記三次元輝度データの領域間における連続性に基づく第3特徴量を取得する第3取得手段を更に備え、
前記算出手段は、前記第3特徴量に更に基づいて、前記抽出深度を算出する、
付記1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0133】
(付記5)
前記第2取得手段は、前記皮膚の深度方向の輝度勾配に基づいて前記第2特徴量を取得する、
付記1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0134】
(付記6)
前記三次元輝度データの測定時において測定面が前記皮膚から受けた力に基づく第4特徴量を取得する第4取得手段を更に備え、
前記算出手段は、前記第4特徴量に更に基づいて、前記抽出深度を算出する、
付記1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0135】
(付記7)
前記三次元輝度データの複数の領域の各々から算出された前記抽出深度における輝度データを組み合わせて紋様画像を生成する画像生成手段を更に備える、
付記1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0136】
(付記8)
前記第2面における輝度データに基づく断層画像と前記抽出深度を示す情報とを重畳させて表示する表示手段を更に備える、
付記1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0137】
(付記9)
皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得するステップと、
前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得するステップと、
前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出するステップと、
を備える、情報処理方法。
【0138】
(付記10)
コンピュータに、
皮膚の三次元輝度データのうちの、前記皮膚の表面に対向する第1面における輝度データから得られた第1特徴量を取得するステップと、
前記三次元輝度データのうちの、前記皮膚の深度方向を含む第2面における輝度データから得られた第2特徴量を取得するステップと、
前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて、前記皮膚の紋様の抽出のための抽出深度を算出するステップと、
を備える情報処理方法を実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体。
【0139】
この出願は、2021年3月17日に出願された日本出願特願2021-043015を基礎とする優先権を主張するものである
【符号の説明】
【0140】
1、5 情報処理装置
2 三次元測定装置
3 対象物
4 力測定装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 通信I/F
104 入力装置
105 出力装置
151 輝度データ取得部
152 第1特徴量取得部
153 第2特徴量取得部
154 深度算出部
155 第3特徴量取得部
156 第4特徴量取得部
157 紋様画像生成部
158 断層画像生成部
159 画像表示部
201 コントローラ
202 光源
203 ビームスプリッタ
204 参照光ミラー
205 スキャナヘッド
206 光検出器
207 測定台
208 ガイド
501 第1取得部
502 第2取得部
503 算出部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28