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特許7540630超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法
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  • 特許-超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法 図1
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  • 特許-超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240820BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20240820BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240820BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240820BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20240820BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M50/531
H01M10/052
H01M10/058
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022559436
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 KR2021012408
(87)【国際公開番号】W WO2022055317
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117858
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、サン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ス テク
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジョー ヨン
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2016-0014370(KR,A)
【文献】特開2012-240159(JP,A)
【文献】特表2013-543236(JP,A)
【文献】特開2018-094685(JP,A)
【文献】中国実用新案第210308473(CN,U)
【文献】韓国公開特許第2020-0076944(KR,A)
【文献】特開2012-199210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058
H01M 4/02-4/62
H01M 50/531
B26D 1/06
B26D 7/08
B26F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極合剤コーティング部と電極合剤非コーティング部が形成された電極シートを供給する電極シート供給部;
前記電極シート供給部の後方に配置され、前記電極シートに電極タブを形成する切削部;及び
前記電極シート供給部の後方に配置され、分離膜を挟持して積層された正極と負極を接合するラミネーション部;
を含み、
前記切削部は、前記電極シートを支持するダイと、前記ダイと離隔して配置され、前記電極タブを形成する超音波切削機とを含み、
前記超音波切削機の刃において切断ラインは、単位電極において前記電極タブが形成された方向の外周辺と対応する形態を有し、
前記切削部と前記ラミネーション部は、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置され、
前記超音波切削機は、単位電極カッティングをガイドする溝を形成するための補助刃をさらに含む、電極組立体製造装置。
【請求項2】
電極合剤コーティング部と電極合剤非コーティング部が形成された電極シートを供給する電極シート供給部;
前記電極シート供給部の後方に配置され、前記電極シートに電極タブを形成する切削部;及び
前記電極シート供給部の後方に配置され、分離膜を挟持して積層された正極と負極を接合するラミネーション部;
を含み、
前記切削部は、前記電極シートを支持するダイと、前記ダイと離隔して配置され、前記電極タブを形成する超音波切削機とを含み、
前記超音波切削機の刃において切断ラインは、単位電極において前記電極タブが形成された方向の外周辺と対応する形態を有し、
前記切削部と前記ラミネーション部は、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置され、
前記超音波切削機に検査部材が結合している、電極組立体製造装置。
【請求項3】
電極合剤コーティング部と電極合剤非コーティング部が形成された電極シートを供給する電極シート供給部;
前記電極シート供給部の後方に配置され、前記電極シートに電極タブを形成する切削部;及び
前記電極シート供給部の後方に配置され、分離膜を挟持して積層された正極と負極を接合するラミネーション部;
を含み、
前記切削部は、前記電極シートを支持するダイと、前記ダイと離隔して配置され、前記電極タブを形成する超音波切削機とを含み、
前記超音波切削機の刃において切断ラインは、単位電極において前記電極タブが形成された方向の外周辺と対応する形態を有し、
前記切削部と前記ラミネーション部は、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置され、
前記超音波切削機の刃において前記切断ラインは、単位電極の外周辺と対応する形態となるように折り曲がった形態を有する、電極組立体製造装置。
【請求項4】
前記超音波切削機は、前記電極合剤コーティング部を切削する、請求項1~のいずれか一項に記載の電極組立体製造装置。
【請求項5】
前記超音波切削機の刃において切断ラインは、一定の平面上に形成される、請求項1~のいずれか一項に記載の電極組立体製造装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の電極組立体製造装置を用いた電極組立体製造方法であって、
(a)電極シートを切削部に移送する段階;
(b)超音波切削機を用いて電極タブを形成する段階;
(c)前記電極シートを単位電極に切断する段階;及び
(d)正極と負極との間に分離膜を介在した形態でラミネーションする段階;
を含み、
前記(a)段階~(d)段階は、連続工程ラインに配置される、電極組立体製造方法。
【請求項7】
前記(b)段階と前記(c)段階は同時に行われる、請求項に記載の電極組立体製造方法。
【請求項8】
前記(b)段階と前記(c)段階は順次に行われ、前記(b)段階は、第1超音波切削機を用いて、前記(c)段階は、第2超音波切削機を用いて行われる、請求項に記載の電極組立体製造方法。
【請求項9】
前記超音波切削機の振動方向は、前記電極シートに対して垂直の方向である、請求項のいずれか一項に記載の電極組立体製造方法。
【請求項10】
前記(b)段階において、単位電極カッティングをガイドするための溝を形成する過程を含む、請求項に記載の電極組立体製造方法。
【請求項11】
前記(b)段階は、単位電極において電極タブが形成される方向の外周辺を形成するために、前記超音波切削機の刃を前記電極シートの外面に当てて1回押す過程で行われる、請求項に記載の電極組立体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月14日付韓国特許出願第2020-0117858号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本願発明は、超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法に関する。具体的には、電極シートに電極タブを形成するために、電極合剤非コーティング部の他に電極合剤コーティング部も切削できる超音波切削機を含む電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、反復した充放電が可能であって、電池セルの使用可能な寿命が長いという長所があり、デバイスに脱着する形態又は組み込まれた形態で使用されており、前記二次電池をエネルギー源として用いるデバイスの種類が増加している。
【0004】
特に、リチウムイオンの移動によって充放電が行われるリチウム二次電池は、エネルギー密度が高く、充電電圧が高いという長所から、モバイル機器や小型電子製品に使用する小型電池セル分野だけでなく、高出力及び高電圧が必要な電気自動車や電力貯蔵システムなどのエネルギー源として用いられる中大型電池パック分野にも使用されている。
【0005】
前記リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形又は角形の金属缶に内蔵されている円筒形二次電池又は角形二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ形ケースに内蔵されているパウチ形二次電池とに分類される。
【0006】
前記電極組立体は、分離膜を挟持して正極及び負極が積層されて形成され、前記正極及び負極は、正極シート及び負極シートに電極タブを形成する過程と、単位電極に切断する過程によって製造される。
【0007】
前記電極タブを形成するために、従来は、電極シートの無地部(non-coating portion)において電極タブ以外の部分を打ち抜いて除去する方法を用いた。
【0008】
具体的には、上刃と下刃で構成される金型切削機に電極シートを配置し、上刃で電極シートをパンチングしてノッチする方法で電極タブを形成した。しかし、このように上刃と下刃で構成される金型切削機を用いる場合には、上刃と下刃の間隔を0に保持しなければならず、メンテナンスに時間がかかることがあり、パンチング時に電極シートに印加される圧力によって電極合剤層に亀裂ができやすく、電極シートから電極合剤層が剥離する問題があった。
【0009】
また、電極シートホイール(foil)切断面にバリ(burr)又は変形が発生することがあり、切断面の品質が低下する問題があった。
【0010】
また、金型切削機をパンチングする過程で発生する振動のため、電極タブをノッチした電極シートを再びロール状態に巻き取った後、ラミネーション工程ラインに移送してラミネーションを行っている。このように、ノッチングラインとラミネーションラインを分離して行わざるを得ないため、電極組立体生産設備のための空間を広く確保しなければならず、電極組立体の製造のための全過程を自動化して行い難いという問題があった。
【0011】
これと関連して、特許文献1は、端子接続用正極突起を有する正極、セパレーター、及び端子接続用負極突起を有する負極を備えた発電要素を含み、前記発電要素を複数積層した二次電池の前駆体として前記正極突起及び前記負極突起の積層部分を切断する超音波切断装置を開示している。
【0012】
特許文献1の超音波切断装置は、発電要素を積層した状態で正極突起及び負極突起を切断しているため、電極シートから正極及び負極を切断する方法を提供できずにおり、前記超音波切断装置は正極及び負極の無地部だけを切断している。
【0013】
したがって、電極合剤コーティング部を切断する際に電極合剤層が脱離せず、電極シートホイールが変形されることを防止できる電極シート切削機に関する技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2018-094685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、電極合剤コーティング部による段差が形成された電極シートを切断する過程で、電極シートホイールが変形される問題、及び電極合剤コーティング部が損傷する問題が発生しなく、電極組立体製造のための設備空間を減らすことができる電極組立体製造装置及びこれを用いた電極組立体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本願発明に係る電極組立体製造装置は、電極合剤コーティング部と電極合剤非コーティング部が形成された電極シートを供給する電極シート供給部、前記電極シート供給部の後方に配置され、前記電極シートに電極タブを形成する切削部、及び前記電極シート供給部の後方に配置され、分離膜を挟持して積層された正極と負極を接合するラミネーション部を含み、前記切削部は、前記電極シートを支持するダイと、前記ダイと離隔して配置され、前記電極タブを形成する超音波切削機を含み、前記超音波切削機の刃において切断ラインは、単位電極において電極タブが形成された方向の外周辺と対応する形態を有し、前記切削部と前記ラミネーション部は、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置されてよい。
【0017】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記超音波切削機は、単位電極カッティングをガイドする溝を形成するための補助刃をさらに含むことができる。
【0018】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記切削部とラミネーション部との間に、前記電極シートを切断して単位電極を製造する電極形成部を含むことができる。
【0019】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記超音波切削機の刃において切断ラインは、単位電極の外周辺と対応する形態を有してよい。
【0020】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記超音波切削機は、前記電極合剤コーティング部を切削することができる。
【0021】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記超音波切削機の刃において切断ラインは、一定の平面上に形成されてよい。
【0022】
本発明に係る電極組立体製造装置において、前記超音波切削機に検査部材が結合してよい。
【0023】
本発明は、また、前記電極組立体製造装置を用いた電極組立体製造方法を提供する。
【0024】
具体的には、前記電極組立体製造方法は、(a)電極シートを切削部に移送する段階、(b)超音波切削機を用いて電極タブを形成する段階、(c)前記電極シートを単位電極に切断する段階、及び(d)正極と負極との間に分離膜を介在した形態でラミネーションする段階を含み、前記(a)段階~(d)段階は、連続工程ラインに配置されてよい。
【0025】
本発明に係る電極組立体製造方法において、前記(b)段階と前記(c)段階は同時に行われてよい。
【0026】
本発明に係る電極組立体製造方法において、前記(b)段階と前記(c)段階は順次に行われ、前記(b)段階は第1超音波切削機を用いて、前記(c)段階は第2超音波切削機を用いて行われてよい。
【0027】
本発明に係る電極組立体製造方法において、前記超音波切削機の振動方向は、前記電極シートに対して垂直の方向であってよい。
【0028】
本発明に係る電極組立体製造方法において、前記(b)段階において、単位電極カッティングをガイドするための溝を形成する過程を含むことができる。
【0029】
本発明に係る電極組立体製造方法において、前記(b)段階は、単位電極において電極タブが形成される方向の外周辺を形成するために、前記超音波切削機の刃を前記電極シートの外面に当てて1回押す過程で行われてよい。
【発明の効果】
【0030】
以上に説明した通り、本願発明は、電極タブを形成するために超音波切削機を使用するので、電極合剤非コーティング部の他に電極合剤コーティング部の切断面においても電極シートホイールが変形されたり電極合剤層が脱離したりすることを防止できる。
【0031】
また、電極タブ形成のための切削部とラミネーション部を、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置し、電極組立体製造設備に必要な空間を減らすことができる。
【0032】
また、超音波切削機に検査部材を結合させる場合に、電極タブが形成された電極シートの切断面検査を電極タブの形成と同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施例に係る電極組立体製造装置の斜視図である。
図2】本発明に係る超音波切削機の斜視図である。
図3】超音波切削機の刃の拡大図である。
図4】様々な形態の刃の平面図である。
図5】正極シートに正極タブが形成される部分を示す部分拡大図である。
図6】第2実施例に係る電極組立体製造装置の一部を示す斜視図である。
図7】第3実施例に係る電極組立体製造装置の一部を示す斜視図である。
図8】第4実施例に係る電極組立体製造装置において刃を示す斜視図である。
図9】金型切削機を用いて電極シートを切断した切断面の拡大図である。
図10】金型切削機を用いて切断した電極シートの平面図である。
図11】超音波切削機を用いて電極シートを切断した切断面の拡大図である。
図12】超音波切削機を用いて切断した電極シートの平面図である。
図13】金型と超音波切削機を用いて、絶縁コーティングが付加された正極シートをノッチした断面を比較したものである。
図14】金型、超音波切削機及びレーザーを用いて負極シートをノッチした断面を比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本願発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本願発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するとき、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本願発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0035】
なお、図面中、類似の機能及び作用をする部分に対しては同一の図面符号を使用する。明細書全体を通じて、ある部分が他の部分と連結されているとしているとき、これは、直接に連結されている場合の他に、それらの間にさらに他の素子を介在して間接に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むということは、別に断らない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0036】
また、構成要素を限定又は付加して具体化する説明は、特に制限がない限り、いかなる発明に適用されてもよく、特定の発明に関する説明に限定されない。
【0037】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、特に言及されない限り、複数である場合も含む。
【0038】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、特に言及されない限り、「及び」も含むものである。したがって、「A又はBを含む」とは、Aを含む、Bを含む、A及びBを含む、3つのいずれの場合をも意味する。
【0039】
本願発明を、図面を参照して詳細な実施例のように説明する。
【0040】
図1は、第1実施例に係る電極組立体製造装置の斜視図であり、図2は、本発明に係る超音波切削機の斜視図である。
【0041】
図1は、1個の正極と1個の負極との間に分離膜が介在して積層される形態であるモノセル(mono-cell)を製造する工程を示している。
【0042】
図1及び図2を参照すると、電極組立体製造装置10は、電極合剤コーティング部と電極合剤非コーティング部が形成された電極シートを供給する電極シート供給部100、電極シートに電極タブを形成する切削部200、及び分離膜を挟持して積層された正極と負極を接合するラミネーション部300を含む。
【0043】
切削部200は、超音波切削機210及びダイ220を含み、超音波切削機210を用いて、ダイ220の上面を通過する電極シートに電極タブを形成する。
【0044】
図2に示す超音波切削機210は、超音波を発生する発振器212、発振器212で発生した振動エネルギーを増幅/減少させるブースター213、電極シートを切断するための刃211、ブースター213の振動エネルギーを刃211に伝達するためのホーン214を含む。
【0045】
一つの具体的な例において、超音波切削機210の切削速度は200m/s以下の範囲に設定されてよく、超音波切削機の超音波は、15kHz~40kHzの振動数、及び10μm~60μmの振幅範囲内で電極シートの構成によって設定されてよい。
【0046】
このように、本願発明は、電極タブを形成するために超音波切削機を使用するので、従来の金型切削機を用いたパンチング方法で電極タブをノッチする工程に比べて、振動による電極シートの損傷が少ない。
【0047】
また、従来の切削部で金型切削機を用いて電極シートを切断する場合には、上刃と下刃の間隔を0に保持しなければならず、上刃と下刃の間隔保持のための微細調整過程が必要であったが、本願発明は、超音波切削機の刃を電極シートの外面に当てて前記刃を加圧する過程によって電極タブが形成されるので、従来のように上刃と下刃の間隔を保持するための過程が不要である。したがって、従来に上刃と下刃の間隔保持のためにかかる時間を節約することができる。
【0048】
一方、従来は、金型切削機を用いたノッチング過程で発生する振動が大きいため、前記ノッチング過程、及び正極と負極を整列して結合するラミネーション過程が同一の工程ラインに配置される場合には、前記ノッチング過程の振動が前記ラミネーション過程にも影響を与えることがあった。このため、従来は、ノッチング工程ラインとラミネーション工程ラインを別個に運営した。具体的には、ノッチング工程が終わった電極シートをロール状に巻き取ってラミネーション工程ラインに移送後にラミネーション工程を行う方法で電極組立体を製造した。このため、ノッチング工程とラミネーション工程が不連続に行われた。
【0049】
しかし、本願発明は、電極タブを形成する過程で振動発生が少ない超音波切削機を用いるので、切削部とラミネーション部を同一の工程ライン上に配置しても、切削部の振動がラミネーション部にほとんど影響を及ぼさない。したがって、本願発明は、切削部とラミネーション部を同一の工程ラインに配置することによって、電極タブ形成とラミネーション工程を連続工程で行うことができる。
【0050】
したがって、電極組立体の製造に必要な設備空間を減らすことができる。また、電極ロールを移送する時間が省かれるので、電極組立体の製造にかかる時間を短縮させることができ、ノッチング工程からラミネーション工程までを自動化工程で行うことができる。
【0051】
例えば、ノッチング工程とラミネーション工程を同一の工程上に配置して連続工程で行う場合には、ノッチング工程とラミネーション工程が不連続に行われる場合に比べて、約5%~50%の時間を短縮する効果が得られる。
【0052】
一つの具体的な例において、図2の超音波切削機210は、刃211と平行な方向に向くように検査部材215が取り付けられており、検査部材215としてビジョン(vision)が用いられてよい。
【0053】
従来は、金型切削機を使用するとき、切断過程で発生する衝撃のため、前記金型切削機に検査部材を備えることが困難であった。しかし、本願発明では、検査部材が超音波切削機に取り付けられている構造を提示することにより、電極シートを切断すると同時に、電極タブの形態が正常か否かを確認することができる。したがって、電極組立体製造工程を短縮することができ、生産性が向上し得る。
【0054】
図1の電極シート供給部100は、正極シート110を供給する正極シート供給部と、負極シート120を供給する負極シート供給部とに区別される。
【0055】
正極シート110は、正極シートホイール113の両側面に正極合剤がコーティングされた正極合剤コーティング部111と、正極合剤がコーティングされていない正極合剤非コーティング部112が形成されている。すなわち、正極合剤非コーティング部112は、正極シートホイール113が露出されている部分である。
【0056】
前記正極合剤コーティング部111と正極合剤がコーティングされていない正極合剤非コーティング部112が形成された正極シート110に関する説明は、負極合剤コーティング部121と負極合剤がコーティングされていない負極合剤非コーティング部122が形成された負極シート120にも同一に適用される。
【0057】
図1及び図2を共に参照すると、図2の超音波切削機210の刃211において切断ライン216は、単位電極において電極タブが形成された方向の外周辺と対応する形態を有する。
【0058】
したがって、超音波切削機の刃211を、電極タブを形成しようとする位置に配置し、超音波切削機で電極シートを加圧すれば、切断ライン216の形状通りに正極合剤非コーティング部112において正極タブ114以外の部分が切削されながら正極タブ114が形成され、負極合剤非コーティング部122において負極タブ124以外の部分が切削されながら負極タブ124が形成される。
【0059】
切削部200の後段には、正極タブ114が形成された正極シートを切断して単位正極を製造し、負極タブ124の形成された負極シートを切断して単位負極を製造する電極形成部400が位置する。すなわち、電極形成部400は、切削部200とラミネーション部300との間に配置される。
【0060】
前記単位正極及び単位負極は、正極シート及び負極シートを一定の間隔で切断した一つの正極及び負極を意味し、本明細書で使われる正極は、前記単位正極を含み、負極は前記単位負極を含む意味である。
【0061】
電極形成部400において、電極シートを切断する切削機410は、上刃と下刃で構成される金型切削機であってよく、又は超音波切削機を使用することもできる。
【0062】
超音波切削機を使用する場合には、電極合剤層と電極シートホイールの損傷を最小化して電極シートをカッティングできる長所がある。
【0063】
電極形成部で切断された単位正極及び単位負極のそれぞれは、分離膜150に一定の間隔で貼り付けられてラミネーション部300に移送され、分離膜150の付いた正極131と分離膜150の付いた負極132が、ラミネーション部300にある一対の圧延ロール310の間を通過しながら結合する。その後、分離膜を切断する過程を経て正極/分離膜/負極/分離膜が順次に積層されたモノセルが製造される。
【0064】
一つの具体的な例において、本発明に係る電極組立体製造方法は、(a)電極シートを切削部に移送する段階、(b)超音波切削機を用いて電極タブを形成する段階、(c)前記電極シートを単位電極に切断する段階、及び(d)正極と負極との間に分離膜を介在した形態でラミネーションする段階を含み、前記(a)段階~(d)段階は、連続工程ラインに配置されてよい。
【0065】
図1に示すように、切削部200で行われる前記(b)段階と電極形成部400で行われる前記(c)段階は順次に進行されてよく、前記(b)段階では、第1超音波切削機として超音波切削機210を使用することができ、前記(c)段階では、第2超音波切削機として切削機410を使用することができる。
【0066】
超音波切削機210の振動方向は、正極シート110及び負極シート120に対して垂直の方向であり、超音波切削機210の進行方向が前記振動方向と一致するように正極シート及び負極シートに対して垂直の方向に進行する。
【0067】
これと関連して、図3に、超音波切削機の刃を拡大して示す。
【0068】
図3を参照すると、超音波切削機の刃211の切断ライン216は、単位電極において電極タブが形成される外周辺と対応する形態となるように折り曲がった形態を有する。
【0069】
線A-A'に沿う刃の切断面の拡大図を参照すると、刃の断面の先端はV字状となる。したがって、刃が電極シートに対して垂直となるように進行する場合に刃の先端によって電極シートが切断されるので、刃と電極シートとの接触面を最小化し、摩擦を最小化することができる。これと違い、刃が電極シートに対して垂直ではなく傾斜した方向に切断される場合には、刃の先端のV字状傾斜面と電極シートとが接触しながら発生する摩擦によって電極シートとの焼き付きが起きる可能性が増加する。
【0070】
一方、超音波切削機の刃の切断ライン216は、一定の平面上に形成される。すなわち、刃のy軸方向の長さは、全部分において一定である。
【0071】
これと関連して、図4に、様々な形態の刃の平面図を示す。
【0072】
図4を参照すると、(a)~(c)の刃は、y軸方向の長さが一定でない形態であって、刃の切断ライン236,246,256が一定の平面上に形成されていない形態である。
【0073】
従来、上刃と下刃で構成される金型切削機を用いて電極シートを切断する場合には、切削力を高めるためにこのような形態の刃を使用した。しかし、(a)~(c)の刃を用いて電極シートを切断する場合には、h1、h2及びh3の距離だけy軸方向にさらに多く移動しなければならない。
【0074】
これと違い、本願発明で使用する刃は、図4に示す刃に比べて、h1、h2及びh3の距離だけy軸方向への移動距離が減るので、従来の金型切削機を使用する場合に比べて、電極タブを形成するのにかかる時間を短縮することができる。
【0075】
図5は、正極シートに正極タブが形成される部分を示す部分拡大図である。
【0076】
図5を参照すると、正極合剤コーティング部111と正極合剤非コーティング部112との境界線116を基準に、正極合剤コーティング部111の方にGだけ移動した部分に正極外周辺115が形成されるように正極シートの切断がなされる。
【0077】
すなわち、超音波切削機は、正極タブ114が形成される正極合剤非コーティング部112の切削の他に、正極合剤コーティング部111も切削する。
【0078】
図6は、第2実施例に係る電極組立体製造装置の一部を示す斜視図である。
【0079】
図6を参照すると、電極シート供給部100から供給される正極シート110は、正極合剤コーティング部111と正極合剤非コーティング部112が形成されており、正極合剤非コーティング部112、及び正極合剤コーティング部111と正極合剤非コーティング部112との境界部に、正極タブ114が形成される。
【0080】
図1と比較して、超音波切削機210の2個の刃211が連続配置されている形態であり、刃211が延長される分だけ、正極タブを形成する速度が速くなり得る。
【0081】
図7は、第3実施例に係る電極組立体製造装置の一部を示す斜視図である。
【0082】
図7を参照すると、図1と比較して、超音波切削機に補助刃219がさらに含まれている。補助刃219は、単位電極カッティングをガイドするための溝を形成するためのものであり、単位電極の製造のために電極シートをカッティングする位置を表示する溝を形成することができる。
【0083】
前記溝の形態は特に限定されないが、例えば、スリット形態、又は電極シートの内側から外側に向かって溝の大きさが増加する形態などで形成されてよく、詳細には、V字状の溝が形成されてよい。
【0084】
したがって、電極タブを形成するための切断と、単位電極カッティングをガイドするための溝を形成するための切断とが同時になされてよく、製造工程を短縮することができる。
【0085】
図8は、第4実施例に係る電極組立体製造装置において刃を示す斜視図である。
【0086】
図8を参照すると、刃231の切断ライン266は、正極131の外周辺と対応する形態を有する。
【0087】
図8の刃を使用する場合に、超音波切削機を用いて電極タブを形成する段階と電極シートを単位電極に切断する段階とが同時に行われるので、電極シートを1回加圧することで、正極タブが形成されている正極131を正極シートから分離して製造でき、よって、図1の電極形成部が別に必要でない形態である。
【0088】
したがって、電極組立体製造工程を簡素化し、製造時間を短縮する効果を得ることができる。
【0089】
本願発明の電極組立体製造装置を使用する場合に、電極シートの損傷の有無を確認するために、超音波切削機で電極シートを切断した電極と、金型切削機で電極シートを切断した電極とを比較した。
【0090】
図9は、金型切削機を用いて電極シートを切断した切断面の拡大図であり、図10は、金型切削機を用いて切断した電極シートの平面図である。図11は、超音波切削機を用いて電極シートを切断した切断面の拡大図であり、図12は、超音波切削機を用いて切断した電極シートの平面図である。
【0091】
図9及び図10を参照すると、金型切削機を使用した電極シートは、図9の切断面において電極シートホイール511が曲がり、電極合剤層512が電極シートホイール511から分離されたことが確認できる。また、図10の点線で表示した部分においても、電極合剤層512が電極シートホイール511から分離されて脱離したことが確認できる。
【0092】
超音波切削機を使用している図11及び図12を参照すると、電極シートホイール611と電極合剤層612はいずれも切断面に変形が発生しておらず、電極合剤層612が電極シートホイール611に正常に付着していることが確認できる。
【0093】
図13は、金型と超音波切削機を用いて、絶縁コーティングが付加された正極シートをノッチした断面を比較したものである。
【0094】
図13を参照すると、金型を用いてノッチした正極は、点線円中の絶縁コーティングが浮き上がった状態であることが確認できる。しかし、超音波切削機を用いてノッチした正極は、絶縁コーティング層が浮き上がらない綺麗な外観が観察でき、正極合剤層の境界線も滑らかに保たれており、安定に付着していることが分かる。
【0095】
図14は、金型、超音波切削機及びレーザーを用いて負極シートをノッチした断面を比較したものである。
【0096】
図14を参照すると、金型ノッチングでは、電極タブが曲がり、切断面において電極シートホイール711にバリができていることが確認できる。レーザーノッチングでは、電極タブの切断面とノッチング断面の電極合剤層712がレーザーの熱によって熱変形されていることが確認できる。超音波切削機でノッチした場合には、電極タブとノッチング断面の両方とも、電極シートホイール711と電極合剤層712が損傷しておらず、切断面においても電極シートホイール711が曲がっておらず、電極合剤層712が電極シートホイール711に正常に付着している状態であることが確認できる。
【0097】
このように、超音波切削機を用いると、電極合剤層が電極シートホイールに安定に付着した状態が保持され得るとともに、電極シートホイールの切断面にバリができたり変形されたりすることを最小化できる。
【0098】
本願発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本願発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【符号の説明】
【0099】
10:電極組立体製造装置
100:電極シート供給部
110:正極シート
111:正極合剤コーティング部
112:正極合剤非コーティング部
113:正極シートホイール
114:正極タブ
115:正極外周辺
116:境界線
120:負極シート
121:負極合剤コーティング部
122:負極合剤非コーティング部
124:負極タブ
131:正極
132:負極
150:分離膜
200:切削部
210:超音波切削機
211,231:刃
212:発振器
213:ブースター
214:ホーン(horn)
215:検査部材
216,236,246,256,266:切断ライン
219:補助刃
220:ダイ
300:ラミネーション部
310:圧延ロール
400:電極形成部
410:切削機
511,611.711:電極シートホイール
512,612.712:電極合剤層
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上に説明した通り、本願発明は、電極タブを形成するために超音波切削機を使用するので、電極合剤非コーティング部だけでなく、電極合剤コーティング部の切断面においても電極シートホイールが変形されたり電極合剤層が脱離したりすることを防止できる。
【0101】
また、電極タブ形成のための切削部とラミネーション部を、連続工程がなされるように同一の工程ライン上に配置し、電極組立体製造設備に必要な空間を減らすことができる。
【0102】
また、超音波切削機に検査部材を結合する場合に、電極タブが形成された電極シートの切断面検査を電極タブの形成と同時に行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14