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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示機器及び方法、並びに車両
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240820BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240820BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240820BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240820BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240820BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240820BHJP
   B60K 35/232 20240101ALI20240820BHJP
【FI】
G02B27/01
G02F1/13 505
G02F1/1347
G09F9/00 362
G03B21/00 E
G03B21/14 Z
G09F9/00 360N
B60K35/232
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022569192
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2020140157
(87)【国際公開番号】W WO2021227516
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】202010414117.X
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ジンレイ
(72)【発明者】
【氏名】イエン,ユインフェイ
(72)【発明者】
【氏名】フオン,ジーヨーン
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0314065(US,A1)
【文献】国際公開第2017/134866(WO,A1)
【文献】特開2013-214008(JP,A)
【文献】特開2018-092085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示機器であって、当該表示機器は、
変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成するように構成された空間光変調器を含む画像生成モジュールと、
該画像生成モジュールの光出射側に配置される画像表示モジュールと、を含んでおり、
該画像表示モジュールは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンを含み、前記第1の画像光は前記第1の拡散スクリーンに投影され、前記第2の画像光は第2の拡散スクリーンに投影され、前記第1の拡散スクリーンの空間位置は、前記第2の拡散スクリーンの空間位置とは異なり、前記第1の拡散スクリーン及び前記第2の拡散スクリーンは積み重ねられ、
前記画像表示モジュールは、光制御モジュールをさらに含み、該光制御モジュールは、(i)前記第1の拡散スクリーンの一部を白色領域に制御すること、及び(ii)前記第1の拡散スクリーンの前記一部に対応して積み重ねられた前記第2の拡散スクリーンの一部以外の部分を白色領域制御することの両方を行うように構成され、
記第1の画像光は、前記第1の拡散スクリーンの前記白色領域に投影され、前記第2の画像光は、前記第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、前記第2の拡散スクリーンの前記白色領域に投影され、
前記画像生成モジュールは、結像素子をさらに含み、該結像素子は、(i)前記空間光変調器の光出射側であって、(ii)前記空間光変調器と前記第1及び第2の拡散スクリーンとの間に配置される、
表示機器。
【請求項2】
前記画像生成モジュールは、光源及び画像パネルをさらに含み、該画像パネルは、前記光源の光出射面と前記空間光変調器の入射面との間に配置され、前記画像パネルは、第1の表示領域及び第2の表示領域を含み、前記光源から出射した光ビームは、前記第1の表示領域及び前記第2の表示領域を通過して、領域に基づいて、前記変調すべき画像光を生成する、請求項1に記載の表示機器。
【請求項3】
前記空間光変調器の前記入射面は、前記第1の表示領域に対向する第1の領域と、前記第2の表示領域に対向する第2の領域とを含み、前記第1の表示領域から出射した光ビームが前記第1の領域に入射し、前記第2の表示領域から出射した光ビームが前記第2の領域に入射する、請求項2に記載の表示機器。
【請求項4】
前記空間光変調器は、第1の位相変調ユニット及び第2の位相変調ユニットを含み、前記第1の位相変調ユニットは、前記第1の領域を通過する画像光に第1の位相情報を入れ込むように構成され、前記第2の位相変調ユニットは、前記第2の領域を通過する画像光に第2の位相情報を入れ込むように構成され、領域に基づいて、前記第1の領域及び前記第2の領域内の前記画像光に対して位相変調を行う、請求項3に記載の表示機器。
【請求項5】
前記空間光変調器は、前記第1の領域に対応する第1の格子変調ユニットと、前記第2の領域に対応する第2の格子変調ユニットとを含み、前記第1の格子変調ユニットの格子構造が、領域に基づいて、前記第1の領域及び前記第2の領域内の前記画像光に対して位相変調を行うために、前記第2の格子変調ユニットの格子構造とは異なる、請求項3又は4に記載の表示機器。
【請求項6】
前記結像素子は、前記空間光変調器により変調された後に出射される前記第1の画像光及び前記第2の画像光に対して画像再生を行い、前記第1の画像光を前記第1の拡散スクリーンに投影し、前記第2の画像光を前記第2の拡散スクリーンに投影するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表示機器。
【請求項7】
レンズグループをさらに含み、該レンズグループは、前記第1の画像光及び前記第2の画像光を投影領域に導き、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成するように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示機器。
【請求項8】
前記第1の画像光は、第1の光路を介して前記投影領域に導かれ、前記第2の画像光は、第2の光路を介して前記投影領域に導かれ、前記第1の光路の長さが、前記第2の光路の長さとは異なる、請求項7に記載の表示機器。
【請求項9】
画像表示方法であって、当該画像表示方法は、
表示機器に含まれる空間光変調器が、変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成するステップと、
前記表示機器が、前記第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、前記第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップと、を含み、
前記第1の拡散スクリーンの空間位置が、前記第2の拡散スクリーンの空間位置とは異なり、前記第1の拡散スクリーン及び前記第2の拡散スクリーンは積み重ねられ、
表示機器が、前記第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、前記第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップは、
前記表示機器が、(i)前記第1の拡散スクリーンの一部を白色領域に制御すること、及び(ii)前記第1の拡散スクリーンの前記一部に対応して積み重ねられた前記第2の拡散スクリーンの一部以外の部分を白色領域制御することの両方を行い、前記第1の画像光が、前記第1の拡散スクリーンの前記白色領域に投影され、前記第2の画像光が、前記第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、前記第2の拡散スクリーンの前記白色領域に投影されるステップを含み
記表示機器は、結像素子をさらに含み、該結像素子は、(i)前記空間光変調器の光出射側であって、(ii)前記空間光変調器と前記第1及び第2の拡散スクリーンとの間に配置される、
画像表示方法。
【請求項10】
表示機器が、変調すべき画像光に対して位相変調を行うステップは、
領域に基づいて、前記変調すべき画像光に異なる位相情報を入れ込むステップ、又は領域に基づいて前記変調すべき画像光に異なる構造の格子をロードするステップを含む、請求項9に記載の画像表示方法。
【請求項11】
表示機器が、前記第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、前記第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影する前に、当該画像表示方法は、
前記第1の画像光及び前記第2の画像光に対して画像再生を行うステップをさらに含む、請求項9又は10に記載の画像表示方法。
【請求項12】
当該画像表示方法は、前記表示機器が、前記第1の画像光及び前記第2の画像光を投影領域に導いて、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成するステップをさらに含む、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の画像表示方法。
【請求項13】
車両であって、当該車両は、
車体と、該車体に配置されたフロントガラスと、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の表示機器とを含み、該表示機器から出射した光ビームが、当該車両の前記フロントガラスに入射して、第1の投影画像及び第2の投影画像を形成する、車両。
【請求項14】
前記第1の投影画像は当該車両の車両状態情報を表示するために使用され、前記第2の投影画像は道路状況指標情報を表示するために使用される、請求項13に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年5月15日に中国国家知識産権局に出願した、“DISPLAY APPARATUS AND METHOD, AND VEHICLE”という名称の中国特許出願第202010414117.X号に対する優先権を主張するものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願の実施形態は、ヘッドアップディスプレイの分野に関し、特に、表示機器及び方法、並びに車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の運転中に、運転者が頭を下げてダッシュボード又は他の家電製品を見ると、道路状況の観察把握に影響を与える可能性があり、さらに安全性のリスクを引き起こす可能性がある。
【0004】
フロントガラスメータディスプレイ又はヘッドアップディスプレイシステムと呼ばれるヘッドアップディスプレイ(Heads Up Display, HUD)は、重要な情報をフロントガラス上のホログラフィックハーフミラーにマッピングすることができるので、運転者は、頭を下げずに重要な情報を明確に見ることができる。
【0005】
しかしながら、HUDの発展に伴い、HUDに付加される機能が増加している。例えば、HUDは、長距離拡張現実(Augmented Reality, AR)道路プロンプト情報をさらに含む。これらの新しいHUDは、複数の虚像面を必要とする。
【0006】
図1は、複数の虚像面を有するHUDの概略図である。HUDには、運転者から第1の距離S1だけ離れた虚像V1と、運転者から第2の距離S2だけ離れた虚像V2とが有る。従来技術では、複数の虚像面を有するHUDを実現するために、以下の方法が主に使用されていた。
【0007】
例えば、図1に示されるように、2つの画像生成モジュールが配置されており、それぞれ第1の画像生成モジュール01と第2の画像生成モジュール02とである。第1の画像生成モジュール01及び第2の画像生成モジュール02はそれぞれ、近距離メーター(meter:計測)情報及び遠距離ARベースの道路プロンプト情報を生成する。反射光学素子03及び04をそれぞれ通過した後に、01及び02によって生成された画像は、車両のフロントガラス05を通過して、それぞれ虚像V1及び虚像V2を形成し、2つの距離の画像を同時に表示する。しかしながら、従来技術では、距離の異なる複数の虚像を生成するために、複数の画像ソースを使用する必要がある。これは、システムのコストを増大させ、システムの小型化を助長しない。
【発明の概要】
【0008】
本願の実施形態は、ヘッドアップディスプレイシステムの高コスト及び大型化の問題を解決するための表示機器及び方法、並びに車両を提供する。
【0009】
前述の目的を達成するために、本願は、以下の技術的解決策を使用する。本願の実施形態の第1の態様によれば、表示機器が提供され、この表示機器は、変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成するように構成された空間光変調器を含む画像生成モジュールと、画像生成モジュールの光出射側に配置される画像表示モジュールと、を含む。画像表示モジュールは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンを含む。第1の画像光は第1の拡散スクリーンに投影され、第2の画像光は第2の拡散スクリーンに投影される。第1の拡散スクリーンの空間位置は、第2の拡散スクリーンの空間位置とは異なる。このようにして、空間光変調器は画像生成モジュールに配置され、空間位置の異なる複数の画像が拡散スクリーン上に生成され、それによって、異なるタイプの情報を異なる画像上に表示させて、複数の表示要件を満たすことができる。複数の画像生成モジュールを配置して空間内の異なる位置に画像を形成する方法と比較して、この表示機器は、省スペースが可能であり、装置の小型化に寄与することができる。
【0010】
オプションの実施態様では、画像生成モジュールは、光源及び画像パネルをさらに含む。画像パネルは、光源の光出射面と空間光変調器の入射面との間に配置される。画像パネルは、第1の表示領域及び第2の表示領域を含む。光源から出射した光ビームは、画像パネルを通過して、領域に基づいて変調すべき画像光を生成する。このようにして、画像パネルは、領域に基づいて、光源から出射した光ビームを予め画像化して、変調すべき画像光を得るように配置され得る。
【0011】
オプションの実施態様では、空間光変調器の入射面は、第1の表示領域に対向する第1の領域と、第2の表示領域に対向する第2の領域とを含む。第1の表示領域から出射した画像光が第1の領域に入射し、第2の表示領域から出射した画像光が第2の領域に入射する。このようにして、空間光変調器を複数の領域に分割することにより、空間光変調器は領域に基づいて画像光を変調することができる。
【0012】
オプションの実施態様では、空間光変調器は、第1の位相変調ユニット及び第2の位相変調ユニットを含む。第1の位相変調ユニットは、第1の領域内の画像光に第1の位相情報を入れ込む(load:ロードする)ように構成され、第2の位相変調ユニットは、第2の領域内の画像光に第2の位相情報を入れ込むように構成され、第1の領域及び第2の領域内の画像光に対して領域に基づいて位相変調を行う。このようにして、複数の位相変調ユニットを空間光変調器内に配置して、異なる領域内の画像光に異なる位相情報を入れ込むことで、空間光変調器の異なる領域から出射した画像光が異なる焦点距離を生成し、空間光変調器の異なる領域から出射した画像光は、空間内で異なる結像位置を有し、それにより、最終的に得られる少なくとも2つの投影画像の間の重なり及び相互干渉を回避する。
【0013】
オプションの実施態様では、空間光変調器は、第1の領域に対応する第1の格子変調ユニットと、第2の領域に対応する第2の格子変調ユニットとを含む。第1の格子変調ユニットの格子構造が、第2の格子変調ユニットの格子構造とは異なり、領域に基づいて、第1の領域及び第2の領域内の画像光に対して位相変調を行う。このようにして、複数の格子変調ユニットが空間光変調器内に配置され、異なる領域の画像光が異なる格子構造に対応するため、空間光変調器の異なる領域から出射される画像光は異なる光偏向角を有し、空間光変調器の異なる領域から出射される画像光は、空間内で異なる結像(imaging)位置を有しており、それにより、最終的に得られる少なくとも2つの投影画像の間の重なり及び相互干渉をさらに回避する。
【0014】
オプションの実施態様では、画像生成モジュールは画像化(imaging:結像)素子をさらに含む。画像化素子は、空間光変調器の光出射側に配置され、空間光変調器により変調された後に出射される第1の画像光及び第2の画像光に対して画像再生(reproduction)を行い、第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するように構成される。画像化素子はフーリエレンズであってもよい。第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンは、フーリエレンズの像面に配置される。このようにして、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンに鮮明な画像を生成することができる。
【0015】
オプションの実施態様では、画像表示モジュールは、光制御モジュールをさらに含む。光制御モジュールは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンの透過領域及び白色領域を制御するように構成される。第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンはそれぞれ、例えば、調光フィルムを含む。調光フィルムは、無通電時に白色であり、通電時に無色透明である。白色状態の拡散スクリーンは投影に使用することができ、透明状態の拡散スクリーンは光を透過することができる。光制御モジュールは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンが白色又は透明な状態になるように、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンの通電(energized)領域を制御することができる。このようにして、光制御モジュールは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンの透過領域及び白色領域を制御することができ、それによって、第1の画像光及び第2の画像光をそれぞれ第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンに投影することができる。
【0016】
オプションの実施態様では、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンは積み重ねられ、第1の画像光は、第1の拡散スクリーンの白色領域に投影され、第2の画像光は、第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーンの白色領域に投影される。このようにして、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンは積み重ねられているため、さらに省スペースになり、装置の小型化に寄与する。
【0017】
オプションの実施態様では、表示機器はレンズグループをさらに含む。レンズグループは、第1の画像光及び第2の画像光を投影領域に導き、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成するように構成される。このようにして、レンズグループは、第1の画像光及び第2の画像光の光路を調整するために配置され得る。
【0018】
オプションの実施態様では、第1の画像光は、第1の光路を介して投影領域に反射され、第2の画像光は、第2の光路を介して投影領域に反射される。第1の光路の長さは、第2の光路の長さとは異なる。このようにして、第1の画像光及び第2の画像光の光路長を調整して、第1の画像光及び第2の画像光に関する空間内の結像位置を変化させ、それにより最終的に得られる投影画像の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0019】
本願の実施形態の第2の態様によれば、画像表示方法が提供される。この画像表示方法は、変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成するステップと、第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップと、を含み、第1の拡散スクリーンの空間位置は、第2の拡散スクリーンの空間位置とは異なる。
【0020】
オプションの実施態様では、第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンの透過領域及び白色領域を制御し、第1の画像光が、第1の拡散スクリーンの白色領域に投影され、第2の画像光が、第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーンの白色領域に投影されるステップを含み、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンは積み重ねられる。
【0021】
オプションの実施態様では、変調すべき画像光に対して位相変調を行うステップは、領域に基づいて、変調すべき画像光に異なる位相情報を入れ込む(loading)するステップ、又は領域に基づいて、変調すべき画像光に構造の異なる格子をロードする(loading:含ませる)ステップを含む。
【0022】
オプションの実施態様では、第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影する前に、この方法は、第1の画像光及び第2の画像光に対して画像再生を行うステップをさらに含む。
【0023】
オプションの実施態様では、この方法は、第1の画像光及び第2の画像光を投影領域に導いて、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成するステップをさらに含む。レンズグループは、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を投影領域に導くことができる。例えば、第1の画像光は、第1の光路を介して投影領域に導かれ、第2の画像光は、第2の光路を介して投影領域に導かれる。第1の光路の長さは、第2の光路の長さと異なっていてもよい。このようにして、第1の画像光及び第2の画像光の光路長を調整して、第1の画像光及び第2の画像光に関する空間内の結像位置をさらに変化させ、最後に得られる投影画像の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0024】
本願の実施形態の第2の態様によれば、車両が提供される。車両は、車体と、車体に配置されたフロントガラスと、上述の表示機器とを含む。表示機器から出射した光ビームは、車両のフロントガラスに入射し、第1の投影画像及び第2の投影画像を形成する。このようにして、上記の表示機器は、重要な情報をフロントガラスの前方の空間にマッピングするように配置され、それによって、運転者は、頭を下げなくても重要な情報を明確に確認することができ、それにより車両の安全性能を高めることができる。
【0025】
オプションの実施態様では、第1の投影画像は、車両の車両状態情報を表示するために使用され、第2の投影画像は、道路状況指標情報を表示するために使用される。このようにして、複数の異なるタイプの情報を空間内に表示することができる。
【0026】
本願の実施形態で提供する表示機器は、光源、画像パネル、空間光変調器、画像化(imaging)素子、及び空間位置の異なる少なくとも2つの拡散スクリーンを含む。光源から出射した光が画像パネルに投影され、変調すべき画像光の少なくとも2つのビームが、領域に基づいて生成される。空間光変調器の入射面は、少なくとも2つの領域に分割される。空間光変調器は、領域に基づいて、変調すべき画像光の少なくとも2つのビームに対して位相変調を行って、変調した少なくとも2つのビームの画像光を生成するように構成される。空間内の異なる領域にある画像光は、異なる位相情報を有している。画像化素子は、変調した少なくとも2つのビームの画像光に対して画像再生を行って、空間位置の異なる複数の画像を拡散スクリーンに生成するように構成される。従って、異なるタイプの情報を異なる画像上に表示して、複数の表示要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】表示機器の構造の概略図である。
図2】本願の一実施形態による表示機器の構造の概略図である。
図3】本願の一実施形態による別の表示機器の構造の概略図である。
図3a】本願の一実施形態による拡散スクリーンの表示状態の概略図である。
図3b】本願の一実施形態による別の拡散スクリーンの表示状態の概略図である。
図4】本願の一実施形態による、第1の位相変調ユニット及び第2の変調ユニットによって入れ込まれる位相情報の概略図である。
図5】本願の一実施形態による別の表示機器の構造の概略図である。
図6】本願の一実施形態による画像表示方法のフローチャートである。
図7】本願の一実施形態による別の画像表示方法のフローチャートである。
図8】本願の一実施形態による別の画像表示方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下では、添付の図面を参照して本願についてさらに詳細に説明する。
【0029】
以下で言及する「第1」及び「第2」という用語は、単に説明を目的とするものであり、相対的な重要性の指示又は暗示、又は示された技術的特徴の量の暗黙的な指示として理解すべきではない。従って、「第1」又は「第2」によって限定される特徴には、1つ又は複数の特徴が明示的又は暗示的に含まれ得る。本願の説明において、特に明記しない限り、「複数」は2つ又は2つを超えることを意味する。
【0030】
さらに、本願では、「上」及び「下」等の方向を示す用語は、添付の図面に示される部品の例示的な位置に対して規定される。これらの方向を示す用語は、相対的な概念であり、相対的な説明及び明確化のために使用され、添付の図面に示される部品の位置の変更に基づいて対応して変化し得ることを理解されたい。
【0031】
本願の一実施形態は、表示機器を提供する。図2に示されるように、表示機器は、画像生成モジュール10と、画像表示モジュール20とを含む。画像表示モジュール20は、画像生成モジュール10の光出射側に位置しており、画像生成モジュール10から出射された画像光を表示する。
【0032】
図3に示されるように、画像生成モジュール10は、変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成するように構成された空間光変調器103を含む。
【0033】
空間光変調器103は、液晶分子を用いて光照射野のパラメータを変調することができる。例えば、液晶分子の屈折率を変化させて光波の位相を変調し、異なる位相の分布を遅延させることにより、入射光に対して位相変調を行うことができる。
【0034】
例えば、空間光変調器103は、位相のみの空間光変調器103であってもよい。位相のみの空間光変調器103は、入射光ビームの位相のみを変調を行うため、変調効果が良好である。本願のいくつかの他の実施形態では、空間光変調器103は、代替的に、位相振幅複合空間光変調器103であってもよく、位相振幅複合空間光変調器103は、入射光ビームの位相と振幅との両方を変調する。
【0035】
画像表示モジュール20は、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202を含む。第1の画像光は第1の拡散スクリーン201に投影され、第2の画像光は第2の拡散スクリーン202に投影される。第1の拡散スクリーン201の空間位置は、第2の拡散スクリーン202の空間位置とは異なる。
【0036】
このようにして、本願では、空間光変調器を画像生成モジュールに配置し、空間位置の異なる複数の画像を拡散スクリーン上に生成することができるので、異なるタイプの情報を異なる画像に表示して、複数の表示要件を満たすことができる。複数の画像生成モジュールが配置される従来技術に比べて、この変調器は、省スペースであり、装置の小型化に寄与する。
【0037】
画像生成モジュール10は、光源101及び画像パネル102をさらに含む。光源101は、変調すべき光ビームを放出するように構成される。画像パネル102は、光源101の光出射面と空間光変調器103の入射面との間に配置される。
【0038】
本願のこの実施形態における光源101は、LED(発光ダイオード)光源であってもよく、又はレーザ光源であってもよい。
【0039】
画像パネル102は、液晶ディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール、及びレーザーディスプレイモジュールを含むが、これらに限定されない。
【0040】
図2に示されるように、画像パネル102は、第1の表示領域1021及び第2の表示領域1022を含む。第1の表示領域1021及び第2の表示領域1022はそれぞれ、変調すべき第1の画像光及び変調すべき第2の画像光を生成する。
【0041】
本願の別の実施形態では、画像パネル102は、第3の画像光を生成するように構成された第3の表示領域をさらに含む。類推すると、画像パネル102は、画像光の2つ以上のビームを生成するために、2つ以上の表示領域を含むことができる。
【0042】
本願では、画像パネル102は、使用のためにセグメント化(segmented:分割)され、論理的に独立して適用されるが物理的に統合される複数の表示領域を形成する。画像パネル102のセグメント化方法は矩形セグメント化に限定されず、任意の幾何学的形状のセグメント化であってもよい。
【0043】
このようにして、画像パネルは、領域に基づいて、光源から出射した光ビームを予め画像化(image)して変調すべき画像光を得るように配置してもよい。本願のこの実施形態における表示機器は、空間位置の異なる少なくとも2つの投影画像を形成することができるので、異なるタイプの情報を異なる投影画像上に表示して、複数の表示要件を満たすことができる。
【0044】
光源101から出射された変調すべき画像光は、画像パネル102を用いて、時間又は領域(area)に基づいて空間光変調器103に入射する。空間光変調器103は、時間又は領域に基づいて、変調すべき画像光に対して変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を得るように構成される。
【0045】
本願のこの実施形態では、空間光変調器103は、変調すべき入射光ビームに対して複数の方法で位相変調を行って、光出射方向の異なる少なくとも2つの位相変調した光ビームを得ることができる。以下で、例を用いて説明する。
【0046】
本願のいくつかの実施形態では、空間光変調器103の入射面は、少なくとも2つの領域、例えば、画像パネル102の第1の表示領域1021に対向する第1の領域1031と、画像パネル102の第2の表示領域1022に対向する第2の領域1031とに分割してもよい。
【0047】
本願の別の実施態様では、例えば、空間光変調器103の入射面は、画像パネル102の第3の表示領域に対向する第3の領域をさらに含むことができる。類推すると、空間光変調器103の入射面は、領域に基づいて、領域内の画像光を変調するために2つ以上の領域を含むことができる。
【0048】
このようにして、空間光変調器を複数の領域に分割することにより、空間光変調器は、領域に基づいて画像光を変調することができる。
【0049】
例えば、空間光変調器103の入射面は、第1の領域1031及び第2の領域1032を含む。空間光変調器103は、少なくとも2つの位相変調ユニット、例えば、第1の領域1031に対応する第1の位相変調ユニットと、第2の領域1032に対応する第2の位相変調ユニットとをさらに含む。
【0050】
例えば、第1の位相変調ユニットは、第1の領域1031に入射する画像光に第1の位相情報をロードする(load:入れ込む)ことができ、第2の位相変調ユニットは、第2の領域1032に入射する画像光に第2の位相情報をロードすることができ、それによって、空間光変調器103の異なる領域から放出されたビームは、異なる焦点距離を生成し、第1の画像光及び第2の画像光は、空間内で異なる結像位置を有しており、それにより、最終的に得られる少なくとも2つの投影画像の間の重なり及び相互干渉を回避する。
【0051】
空間光変調器103は、少なくとも2つの格子変調ユニット、例えば、第1の領域1031に対応する第1の格子変調ユニットと、第2の領域1032に対応する第2の格子変調ユニットとをさらに含む。
【0052】
第1の格子変調ユニット及び第2の格子変調ユニットは、放出された光ビームを特定の角度だけ偏向させることができる。第1の格子変調ユニットの格子構造は、第2の格子変調ユニットの格子構造とは異なっているため、第1の領域1031から放出される光ビームの偏向角度は、第2の領域1032から放出される光ビームの偏向角度とは異なり得、それにより、最終的に得られる少なくとも2つの投影画像の間の重なり及び相互干渉が回避される。
【0053】
なお、画像表示パネルの第1の表示領域1021及び第2の表示領域1022のセグメント化方法は、本願の本実施形態では限定されず、矩形又は三角形等の規則的な形状、或いは不規則な幾何学的形状のセグメント化であってもよい。さらに、システム構造のスペースを調整するために、画像パネル102はいくつかの未使用領域を有することがある。
【0054】
本願の実施態様では、空間光変調器は、第1の位相変調ユニット及び第2の変調ユニットを含む。空間光変調器の入射面は2つの領域に分割される。第1の領域1031は第1の位相変調ユニットに対応し、第2の領域1032は第2の位相変調ユニットに対応する。図4は、本願の一実施形態による、第1の位相変調ユニット及び第2の変調ユニットによって入れ込まれる位相情報の概略図である。図4に示されるように、第1の位相変調ユニットによって入れ込まれる(ロードされる)第1の位相パターン1033の焦点距離は、第2の変調ユニットによって入れ込まれる第2の位相パターン1034の焦点距離とは異なり、それによって、空間光変調器の異なる領域から放出される光ビームは、異なる焦点距離を生成する。
【0055】
本願のいくつかの他の実施形態では、空間光変調器103は、時間に基づいて異なるターゲット画像の複合キノフォーム(composite kinoforms)をロードして、変調すべき光ビームに対して位相変調を実施するように構成された第3の位相変調ユニットを含むことができる。位相変調ユニットは、光ビームの集束又は発散を実施することができる。異なる瞬間に入れ込まれる(ロードされる)位相情報が異なる場合に、動的ズームを実現するために、異なる瞬間に放出される光ビームの焦点距離が異なる場合がある。
【0056】
本願のいくつかの他の実施形態では、空間光変調器103は、時間に基づいて、変調すべき画像光に対して位相変調を行って、放出される光ビームを特定の角度だけ偏向させるように構成された第3の格子変調ユニットを含むことができる。異なる瞬間にロードされる格子構造が異なる場合に、異なる瞬間に放出される光ビームの偏向角が異なる可能性がある。
【0057】
本願のいくつかの実施形態では、表示機器は、空間光変調器103に接続され、変調すべき第1の画像及び変調すべき第2の画像の位相情報と位相変調ユニットによってロードされる位相情報とを重ね合わせて合成して、変調した第1の画像及び変調した第2の画像を生成する、或いは変調すべき第1の画像及び変調すべき第2の画像の位相情報と格子変調ユニットの格子情報とを重ね合わせて合成して、変調した第1の画像及び変調した第2の画像を生成するように構成されたプロセッサをさらに含むことができる。プロセッサは、汎用中央処理装置(central processing unit, CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit, ASIC)、又は本願の解決策のプログラム実行を制御するように構成された1つ又は複数の集積回路であってもよい。
【0058】
前述の実施形態では、プロセッサは、変調した第1の画像及び変調した第2の画像を取得するための処理を実行することができる。本願のいくつかの他の実施形態では、空間光変調器103は、変調した第1の画像及び変調した第2の画像を生成することができる。
【0059】
本願のこの実施形態では、空間光変調器103を使用して、異なる空間位置で少なくとも2つの投影を実施する。この実施態様は、簡素な構造及び比較的低コストである。
【0060】
本願のいくつかの好ましい実施形態では、画像生成モジュール10は、画像化素子104をさらに含む。画像化素子104は、空間光変調器103の光出射側に配置され、空間光変調器103によって変調した後に出射される第1の画像光及び第2の画像光に対して画像再生を実行し、第2の画像光を第2の拡散スクリーン202に投影する。
【0061】
例えば、画像化素子104はフーリエレンズであってもよい。この場合に、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202は、フーリエレンズの結像(imaging)面に配置される。第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の特定の位置は、対応する位相情報及び格子情報の焦点距離に依存する。確かに、本願のいくつかの他の実施形態では、画像化素子104は、代替的に、別のタイプの光学素子であってもよい。
【0062】
第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の材料は、本願のこの実施形態では限定されない。例えば、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202はそれぞれ、調光フィルムを含む。調光フィルムは、無通電時に白色であり、通電時に無色透明である。
【0063】
画像表示モジュール20は、光制御モジュールをさらに含む。光制御モジュールは、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202に通電するように構成されているので、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の通電された領域は無色透明であり、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の通電されていない領域は、白色である。このようにして、画像光は、透過領域を通過して、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の白色領域に投影され得る。
【0064】
上記の実施形態において、位相変調ユニットは、光ビームの集束又は発散を実施してもよい。空間光変調器103によってロードされる位相情報が異なる場合に、空間光変調器103から放出される光ビームの焦点距離は異なり得る。従って、最終的に形成される少なくとも2つの投影画像は、画像化素子104に直交する方向であり得る軸方向の距離が異なる。さらに、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202は軸方向の距離が異なっており、それによって、画像が、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202上に鮮明に形成され得る。
【0065】
本願の実施態様では、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202は、軸方向に積み重ねられる。光制御モジュールは、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の一部の領域のみに通電して、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の透過領域及び白色領域を制御することができ、それによって、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の一部の領域は白色であり、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の一部の領域は透明状態である。
【0066】
なお、軸方向は、画像化素子104に直交する方向であってもよい。
【0067】
例えば、第1の拡散スクリーン201と画像化素子104との間の距離は、第2の拡散スクリーン202と画像化素子104との間の距離よりも小さい。例えば、第1の画像光は、第1の拡散スクリーン201の白色領域に投影され得、第2の画像光は、第1の拡散スクリーン201の透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーン202の白色領域に投影され得る。
【0068】
このようにして、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンが積み重ねられるので、省スペースになり、装置の小型化に寄与する。
【0069】
本願の別の実施形態では、図3a及び図3bに示されるように、画像表示モジュールは、第3の拡散スクリーン203をさらに含む。例えば、第3の拡散スクリーン203は、第3の画像光を表示するように構成される。図3a及び図3bは、表示ピクチャの部分の異なる表示位置及び距離に基づいて表示ピクチャが表示される図である。
【0070】
図3aでは、例えば、画像生成モジュールによって形成される画像は、3×3のアレイ構造にセグメント化され得る。第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203は、光制御モジュールを用いて、対応する9つの部分にセグメント化してもよく、それによって、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203の一部の領域が白色状態になり、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203の一部の領域が透明状態になる。また、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、第3の拡散スクリーン203の白色部分が千鳥状に配置される。
【0071】
動作中に、第1の画像光は、第1の拡散スクリーン201の白色領域に投影され得、第2の画像光は、第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーン202の白色領域に投影され得、第3の画像光は、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の透過領域を通過した後に、第3の拡散スクリーン203の白色領域に投影され得る。このようにして、拡散スクリーンに表示される画像が異なる軸方向距離と異なる空間位置との両方を有しているため、最終的に得られる投影画像の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0072】
図3bでは、例えば、画像生成モジュールによって形成される画像は、3行のアレイ構造にセグメント化され得る。第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203は、光制御モジュールを用いて、対応する3つの部分にセグメント化され得、それによって、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203の一部の領域は白色状態になり、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、及び第3の拡散スクリーン203の一部の領域は透明状態になる。また、第1の拡散スクリーン201、第2の拡散スクリーン202、第3の拡散スクリーン203の白色部分が千鳥状に配置される。
【0073】
動作中に、第1の画像光は、第1の拡散スクリーン201の白色領域に投影され得、第2の画像光は、第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーン202の白色領域に投影され得、第3の画像光は、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202の透過領域を通過した後に、第3の拡散スクリーン203の白色領域に投影され得る。このようにして、拡散スクリーンに表示される画像は、異なる軸方向距離と異なる空間位置との両方を有しているため、最終的に得られる投影画像同士の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0074】
なお、上記の実施形態では、画像表示モジュールが2つ又は3つの拡散スクリーンを含む例のみを用いて説明した。本願の別の実施態様では、画像モジュールはN個の拡散スクリーンを含むことができる。例えば、各拡散スクリーンは、N×Mのアレイ構造にセグメント化することができ、ここで、MとNとはいずれも1より大きい正の整数であり、空間位置の異なるN個の画像を表示することができ、これら画像は全て、本願の保護範囲に入る。
【0075】
本願の別の実施態様では、表示機器は、例えば、レンズグループをさらに含む。レンズグループは、第1の画像光及び第2の画像光を投影領域に導いて、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成するように構成される。このようにして、レンズグループは、第1の画像光及び第2の画像光の光路を調整するために配置され得る。
【0076】
例えば、第1の画像光は、第1の光路を通って投影領域に反射され、第2の画像光は、第2の光路を通って投影領域に反射される。第1の光路の長さは、第2の光路の長さとは異なる。このようにして、第1の画像光及び第2の画像光の光路長を調整して、第1の画像光及び第2の画像光に関する空間内の結像位置を変化させ、それにより最終的に得られる投影画像同士の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0077】
本願のこの実施形態では、レンズグループは、複数のタイプの光学部品であってもよい。以下では、例を用いて説明する。
【0078】
本願のいくつかの実施形態では、図5に示されるように、レンズグループは、平面リフレクタ03及び曲面リフレクタ04を含むことができ、第1の拡散スクリーン201及び第2の拡散スクリーン202によって拡散された光ビームが、平面リフレクタ03の反射面に入射し、平面リフレクタ03の反射を介して曲面リフレクタ04の反射面に入射し、曲面リフレクタ04の反射を介して投影領域に導かれる。
【0079】
反射機能に加えて、曲面リフレクタ04は、結像及び増幅機能を有する。
【0080】
確かに、本願のいくつかの他の実施形態では、レンズグループは別のタイプであってもよい。例えば、レンズグループは、曲面リフレクタ04を1つだけ含むか、又は曲面リフレクタ04及びレンズを含む。また、リフレクタの数は2つに限定されない。
【0081】
本願のこの実施形態では、最終的に形成される少なくとも2つの投影画像は全て2D画像であってもよく、部分的に2D画像及び部分的に3D画像であってもよく、又は全てが3D画像であってもよい。
【0082】
例えば、表示機器は、車両に使用してもよい。例えば、車両は、車体と、車体に配置されたフロントガラス05と、上述の表示機器とを含む。表示機器から出射した光ビームは、車両のフロントガラス05に入射し、第1の投影画像V1及び第2の投影画像V2を形成する。
【0083】
第1の投影画像V1は、車両の車両状態情報を表示するために使用され得、第2の投影画像V2は、道路状況指標情報を表示するために使用され得る。このようにして、上述の表示機器は、フロントガラスの前方の空間に複数のタイプの重要な情報をマッピングし、異なる虚像面に異なる情報を表示するように配置することができ、それによって、運転者は、頭を下げなくても重要な情報を明確に確認することができ、それにより車両の安全性能を高めることができる。
【0084】
本願の一実施形態は、画像表示方法をさらに提供し、画像表示方法は、上述の画像表示機器に適用される。図6に示されるように、画像表示方法は以下のステップを含む。
【0085】
S101:変調すべき画像光に対して位相変調を行って、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を生成する。
【0086】
変調すべき画像光に対して位相変調を行うステップは、領域に基づいて異なる位相情報を変調すべき画像光に入れ込む(load:ロードする)ステップ、又は領域に基づいて構造の異なる格子を変調すべき画像光にロードするステップを含む。
【0087】
S102:変調した第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、変調した第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影する。
【0088】
第1の拡散スクリーンの空間位置は、第2の拡散スクリーンの空間位置とは異なる。
【0089】
第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影するステップ、及び第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップは、第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンの透過領域及び白色領域を制御するステップを含み、それによって、第1の画像光は第1の拡散スクリーンの白色領域に投影され、第2の画像光は、第1の拡散スクリーンの透過領域を通過した後に、第2の拡散スクリーンの白色領域に投影される。第1の拡散スクリーン及び第2の拡散スクリーンは積み重ねられる。
【0090】
本願の実施態様では、図7に示されるように、変調した第1の画像光を第1の拡散スクリーンに投影し、変調した第2の画像光を第2の拡散スクリーンに投影するステップS102の前に、この方法は、次のステップをさらに含む。
【0091】
S103:変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光に対して画像再生を行う。
【0092】
画像化素子を使用して、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光に対して画像再生を行うことができる。画像化素子はフーリエレンズであってもよい。
【0093】
本願の実施態様では、図8に示されるように、ステップS102の後に、この方法は、次のステップをさらに含む。
【0094】
S104:変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を投影領域に導く。
【0095】
レンズグループを使用して、変調した第1の画像光及び変調した第2の画像光を投影領域に導いて、空間位置の異なる第1の投影画像及び第2の投影画像を形成することができる。
【0096】
例えば、第1の画像光は第1の光路を通って投影領域に導かれ、第2の画像光は第2の光路を通って投影領域に導かれる。第1の光路の長さは、第2の光路の長さとは異なる。このようにして、第1の画像光及び第2の画像光の光路長を調整して、第1の画像光及び第2の画像光に関する空間内の結像位置を変化させ、それにより最終的に得られる投影画像同士の間の重なり及び相互干渉を回避することができる。
【0097】
前述の説明は、本願の特定の実施態様に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願で開示した技術的範囲内のあらゆる変更又は置換は、本願の保護範囲内にあるものとする。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。

図1
図2
図3
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8