(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器監視システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20240820BHJP
【FI】
G07D11/12
(21)【出願番号】P 2020200564
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 良
(72)【発明者】
【氏名】番場 健太
(72)【発明者】
【氏名】新井 翔也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 優作
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-018018(JP,A)
【文献】特開2008-027075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部と、
前記可動部の移動動作により発電する発電モジュールと、
前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールとを備え
、
前記筐体は、電源から供給される電力により動作する電子ユニットを搭載し、
前記通信モジュールは、前記発電モジュールにより発電した電力を受電すると、前記電子ユニットへ前記電源から電力供給が行われているか判定し、前記電源から電力供給が行われている場合、前記信号データを送信せず、前記電源から電力供給が行われていない場合、前記信号データを送信することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部と、
前記可動部の移動動作により発電する発電モジュールと、
前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールとを備え、
前記通信モジュールは、前記発電モジュールにより発電した電力を受電すると、あらかじめ設定された日時であるか判定し、前記日時である場合、前記信号データを送信せず、前記日時でない場合、前記信号データを送信することを特徴とす
る電子機器。
【請求項3】
前記発電モジュールは、発電動作を起動させるスイッチ要素を有し、前記筐体及び前記可動部の一方に固定されて取り付けられ、
前記筐体及び前記可動部の他方は、前記スイッチ要素に接触して動かす接触部材を有し、
前記可動部の移動動作により、前記接触部材が前記スイッチ要素を動かして、前記発電モジュールによる発電が行われることを特徴とする請求項1
又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
筐体と、前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部と、前記可動部の移動動作により発電する発電モジュールと、前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールと、を備えた電子機器と、
前記通信モジュールからの前記信号データを受信する通信手段及び受信した前記信号データに関連する監視情報を報知する報知手段を有する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置の前記報知手段は、前記信号データに関連する監視情報を遠隔の端末装置に送信する送信手段、前記信号データに関連する監視情報を音声で出力する音声出力手段、前記信号データに関連する監視情報を表示する表示手段の少なくとも1つを含み、
前記情報処理装置は、前記電子機器の周辺を撮影するカメラから、前記発電モジュール又は前記通信モジュールの動作タイミングにおける前記カメラが撮影した画像データを取得する画像取得手段を有し、
前記報知手段は、前記画像取得手段が取得した画像データを前記監視情報に付加して送信することを特徴とす
る電子機器監視システム。
【請求項5】
前記発電モジュールは、発電動作を起動させるスイッチ要素を有し、前記筐体及び前記可動部の一方に固定されて取り付けられ、
前記筐体及び前記可動部の他方は、前記スイッチ要素に接触して動かす接触部材を有し、
前記可動部の移動動作により、前記接触部材が前記スイッチ要素を動かして、前記発電モジュールによる発電が行われることを特徴とする請求項4に記載の電子機器監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び電子機器監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の内部にアクセス可能に電子機器の外側筐体(ケース)が不正に開けられたことを検出する手法として、例えば特許文献1に開示される電子機器の蓋開閉検出方法が知られている。
【0003】
特許文献1に開示される手法は、ケースの内部に円環状の抵抗膜パターンが表面に形成された基板を配置し、蓋と基板の間に、導電性の摺動子が取り付けられているワッシャを挟み、蓋の表面側から、蓋およびワッシャを通して、固定ねじを基板にねじ込むことにより、蓋をケースに固定して、摺動子が抵抗膜パターンに接触した状態を形成し、抵抗膜パターンの円周方向の異なる位置に形成した一対の電極端子を介して当該抵抗膜パターンに通電し、摺動子を介して検出される電圧を記憶し、電子機器の電源投入時に、抵抗膜パターンに通電して摺動子を介して検出される電圧を、記憶されている電圧と比較し、これらが一致しない場合には、蓋が開けられたと判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法は、電子機器の電源投入時に蓋が開けられたことを判断することはできるが、抵抗膜パターンに通電するための電源が必要になり、電源が投入されていない状態で蓋等の可動部が動かされたことを検出することはできない課題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、電源が投入されていない状態でも電子機器の可動部の移動動作を検出することができる電子機器及び電子機器監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の電子機器の構成は、筐体と、前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部と、前記可動部の移動動作により発電する発電モジュールと、前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールとを備え、前記筐体は、電源から供給される電力により動作する電子ユニットを搭載し、前記通信モジュールは、前記発電モジュールにより発電した電力を受電すると、前記電子ユニットへ前記電源から電力供給が行われているか判定し、前記電源から電力供給が行われている場合、前記信号データを送信せず、前記電源から電力供給が行われていない場合、前記信号データを送信することを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明の電子機器の構成は、筐体と、前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部と、前記可動部の移動動作により発電する発電モジュールと、前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールとを備え、前記通信モジュールは、前記発電モジュールにより発電した電力を受電すると、あらかじめ設定された日時であるか判定し、前記日時である場合、前記信号データを送信せず、前記日時でない場合、前記信号データを送信することを特徴とする。
【0008】
本発明の電子機器監視システムの構成は、筐体、前記筐体に対して移動可能に前記筐体に結合する可動部、前記可動部の移動動作により発電する発電モジュール、及び前記発電モジュールにより発電した電力を用いて信号データを生成して送信する通信モジュールを備える電子機器と、前記通信モジュールからの前記信号データを受信する通信手段及び受信した前記信号データに関連する監視情報を報知する報知手段を有する情報処理装置とを備え、前記情報処理装置の前記報知手段は、前記信号データに関連する監視情報を遠隔の端末装置に送信する送信手段、前記信号データに関連する監視情報を音声で出力する音声出力手段、前記信号データに関連する監視情報を表示する表示手段の少なくとも1つを含み、前記情報処理装置は、前記電子機器の周辺を撮影するカメラから、前記発電モジュール又は前記通信モジュールの動作タイミングにおける前記カメラが撮影した画像データを取得する画像取得手段を有し、前記報知手段は、前記画像取得手段が取得した画像データを前記監視情報に付加して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、電子機器の電源が投入されていない状態でも、発電モジュールにより発電した電力を用いて電子機器の可動体部分の筐体に対する移動を報知することができ、電子機器への不正アクセスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる電子機器の第1の実施形態である貨幣処理装置の斜視図である。
【
図2】貨幣処理装置の内部構成を側面から見たブロック図である。
【
図3】カセットハウジング60が引き出された状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における電子機器監視システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】発電通信モジュール62の第1の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図6】発電通信モジュール62の第1の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図7】発電通信モジュール62の第2の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図8】発電通信モジュール62の第2の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図9】発電通信モジュール62の第3の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図10】発電通信モジュール62の第3の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図11】発電通信モジュール62の第4の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図12】発電通信モジュール62の第4の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図13】発電通信モジュール62における無線信号の送信条件を設定する手段の例を示す図である。
【
図14】本発明にかかる電子機器の第2の実施形態である物品保管装置の正面図である。
【
図15】本発明にかかる電子機器の第2の実施形態である物品保管装置の正面図である。
【
図17】ボックス部91の構成を示す斜視図である。
【
図18】物品保管装置に取り付けられた発電通信モジュール62の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図19】物品保管装置に取り付けられた発電通信モジュール62の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図20】デッドボルトによる施錠機構を有する扉を備えた電子機器の施錠機構部分に取り付けられた発電通信モジュールの設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【
図21】デッドボルトによる施錠機構を有する扉を備えた電子機器の施錠機構部分に取り付けられた発電通信モジュールの設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明にかかる電子機器の第1の実施形態である貨幣処理装置の斜視図であり、
図2は貨幣処理装置の内部構成を側面から見たブロック図である。貨幣処理装置は、その筐体1内部に、バラ紙幣の入出金を行うバラ入出金部2と、バラ紙幣を束に結束した束紙幣を収納し、束紙幣の入出金を行う束入出金部3と、入金した紙幣を整列し収納するバラ収納部4とを有して構成される。なお、束入出金部3は装置構成に含まれない場合もある。
【0013】
バラ入出金部2は、バラ入出金口6(
図1)を介したバラ紙幣の取り込みと払い出しを行う入出金ユニット10、取り込んだ紙幣の券種を判定する紙幣識別ユニット12、紙幣識別ユニット12とバラ収納部4を接続する識別搬送ユニット14、受け付け不可と判定されたバラの入金リジェクト紙幣を入金リジェクト口5(
図1)に繰り出すリジェクト搬送ユニット16、バラ紙幣を整列させながら所定の結束単位枚数(例えば100枚)だけ集積させる整列ユニット18、集積された紙幣を鉛直上方に搬送する上方搬送ユニット20、上方搬送ユニット20から前方に送り出された集積紙幣を結束テープで結束して一体化した小束紙幣を作成する結束ユニット22、小束紙幣を水平方向に搬送する横移送ユニット24、その横移送ユニット24からの小束紙幣を束入出金部20に送る昇降可能な上移送ユニット26、紙幣の表裏を反転させる反転搬送ユニット28、さらにこれら電気・機械的に作動する各電子ユニットに電力を供給する電源ユニット30などを備えて構成され、紙幣は各ユニット間を図示されない搬送路に沿って搬送される。
【0014】
束入出金部3は、バラ入出金部2の上部に配置され、バラ入出金部2の上移送ユニット26からの小束紙幣を受け取る昇降可能な束昇降ユニット32、束紙幣の券種を識別する束識別ユニット34、識別された券種ごとに束紙幣を振り分けて搬送する束振分ユニット36、振り分けられた束紙幣を券種ごとに収納する例えば4つの束収納ユニット38、40、42、44などを備えて構成される。束入出金部3は、バラ入出金部2の電源ユニット30とは別の電源ユニット46を備えていてもよい。束収納ユニット38、40、42、44に収納された束紙幣は、束振分ユニット36により束昇降ユニット32に搬送され、束出金口7(
図1)から出金される。
【0015】
バラ収納部4は、バラ入出金部2の下に配置され、紙幣識別ユニット12で識別された券種を券種ごとに振分けを行う振分搬送ユニット48、券種ごとに収納する例えば4つの金種カセット50、52、54、56、一時貯留を行うプールカセット58を有して構成される。金種カセット50、52、54、56及びプールカセット58はカセットハウジング60に収容され、カセットハウジング60は、引き出し取っ手8(
図1)を用いて、筐体1内から前方に引き出し可能である。また、金種カセット50、52、54、56及びプールカセット58は、カセットハウジング60に格納した状態で上部に取っ手を有しており、カセットハウジング60を引き出した状態において、振分発送ユニット48を引き上げ、各カセットの取っ手にアクセスすることで上方向に引き抜くことができる。
【0016】
図3は、カセットハウジング60が引き出された状態を示す図である。カセットハウジング60は、筐体1に対して移動可能に取り付けられている可動体であり、カセットハウジング60の左右両側に設けられたスライドレールに沿って筐体1内から前方に引き出され、また、後方に押し戻されて筐体1内に格納される。また、カセットハウジング60に収容される金種カセット50、52、54、56及びプールカセット58は、カセットハウジング60に対して鉛直縦方向に引き抜き可能に収容されている。なお、カセットハウジング60には、図示されないロック機構が取り付けられており、ロックされた状態では、カセットハウジング60を筐体1から引き出すことはできず、ロック解除状態で引き出すことができる。
【0017】
また、カセットハウジング60には、筐体1からの引き出しを電気的に検知する図示されない検知スイッチ(例えばチートロックスイッチ)が設けられる。検知スイッチは電源ユニット30からの給電により動作する電子ユニットであり、電源ユニット30から給電されている間、カセットハウジング60の引き出しを検知すると、その検知信号に基づく所定の報知動作(例えば警報出力)が行われる。
【0018】
さらに、本実施の形態における貨幣処理装置には、電源が投入されていない電源OFF状態においても、カセットハウジング60の筐体1からの引き出し動作を検知する発電通信モジュールが設けられる。発電通信モジュールは、カセットハウジングの引き出し動作により自己発電し、その電力により信号データを生成して無線送信する。この無線信号は、貨幣処理装置から離れて位置する情報処理装置により受信され、電子機器としての貨幣処理装置と情報処理装置は電子機器監視システムを構成する。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態における電子機器監視システムの構成例を示すブロック図である。電子機器の一つの実施形態は上述の貨幣処理装置100であり、貨幣処理装置100に搭載される発電通信モジュール62は、カセットハウジング60の引き出し動作により発電する発電モジュール64及びその発電モジュール64により発電した電力を用いて信号データを生成して無線送信する通信モジュール66を有して構成される。この発電モジュール64と通信モジュール66とを有する発電通信モジュール62により、電源ユニット30(及び電源ユニット46)からの電力供給がなくとも、すなわち装置本体が電源OFF状態でもカセットハウジング60が引き出された動作を検知し、リアルタイムに報知することが可能となる。
【0020】
発電モジュール64は、スイッチ要素の動きにより電磁誘導にて発電する発電素子を有し、通信モジュール66は、発電素子から得られる電力を駆動電力として無線信号を生成して送信する無線送信回路を有する。発電通信モジュール62は、発電モジュール64と通信モジュール66を一体化した一つのモジュール体として構成されてもよく、一例として、EnOcean(登録商標)社製ワイヤレススイッチモジュールPTM-210Jを用いることができる。または、発電通信モジュール62は、発電モジュール64と通信モジュール66とが相互に接続する別々のモジュール体として構成されてもよい。
【0021】
発電通信モジュール62は、発電のための動作を起動させるスイッチ要素を有し、スイッチ要素は移動動作とその戻り動作をし、モジュール内部の弾性スプリングの作用によりスイッチ要素を押していないときは戻り状態になるよう動作する。スイッチ要素は、ボタンやレバーなど所定方向への移動動作とその戻り動作を行う可動部位であり、以下の説明では、スイッチ要素として、押し込み操作により移動動作を行うスイッチボタンである場合を例示して説明する。
【0022】
発電モジュール64においては、スイッチ要素の押し込み状態から押し込みが解放された戻り状態への動作及びその逆の動作により発電素子を構成するコイルの磁束の向きが変化し、コイルに起電力が生じる。通信モジュール66の無線送信回路(図示せず)は、コイルに生じた起電力を用いて所定の信号データを生成して所定周波数にて無線送信する。信号データにはスイッチ要素の動作の向き情報や複数の発電通信モジュールの設置した場合に発電通信モジュールを区別できるIDなどが含まれる。
【0023】
図5及び
図6は、筐体1の上面視における発電通信モジュール62の第1の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図5はカセットハウジング60が格納されて発電通信モジュール62のスイッチ要素が押し込まれている状態、
図6はカセットハウジング60が筐体1から引き出されて発電通信モジュールのスイッチ要素が元に戻った状態を示す。
【0024】
図5及び
図6に示す第1の設置形態例においては、発電通信モジュール62は筐体1の後面の内面側に固定して取り付けられ、カセットハウジング60が格納された状態でカセットハウジング60の後端部により発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれた状態となり、カセットハウジング60が引き出された状態で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態となる。
【0025】
カセットハウジング60の後端部には、図示されるように、スイッチ要素62aを押し込むための押し込み部材60aが取り付けられてもよい。押し込み部材60aは、例えば、スイッチ要素62aを押し込むのに適した形状の突起体である。カセットハウジング60自体の構成要素(例えばその後端部)によりスイッチ要素を動作させることができる場合は、当該突起体を設けられなくともよい。
【0026】
図7及び
図8は、発電通信モジュール62の第2の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図7はカセットハウジング60が格納されて発電通信モジュールのスイッチ要素が押し込まれている状態、
図8はカセットハウジング60が筐体1から引き出されて発電通信モジュールのスイッチ要素が元に戻った状態を示す。
【0027】
図7及び
図8に示す第2の設置形態例においては、発電通信モジュール62は筐体1の側面の内面側に固定して取り付けられ、カセットハウジング60が格納された状態でカセットハウジング60の側面部により発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれた状態となり、カセットハウジング60が引き出された状態で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態となる。
【0028】
図示されるように、スイッチ要素62aを押し込むための押し込み部材60aは、好ましくは、カセットハウジング60の引き出し動作により、スイッチ要素に引っかかることのないよう斜面を有する形状を有する突起体であり、必要に応じて設けられる。
【0029】
図9及び
図10は、発電通信モジュール62の第3の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図9はカセットハウジング60が格納されて発電通信モジュールのスイッチ要素が元に戻った状態、
図10はカセットハウジング60が筐体1から引き出されて発電通信モジュールのスイッチ要素が押し込まれた状態を示す。
【0030】
図9及び
図10に示す第3の設置形態例においては、発電通信モジュール62は筐体1の側面の内面側に固定して取り付けられ、カセットハウジング60が格納された状態で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態となり、カセットハウジング60が引き出された状態でカセットハウジング60の側面部により発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれた状態となる。カセットハウジング60が
図10の状態よりもさらに引き出されると、スイッチ要素62aは戻り状態となる。カセットハウジング60の引き出し動作により、スイッチ要素62aの2回の動作変化が生じる。
【0031】
第2の設置形態と同様に、カセットハウジング60の側面部に、スイッチ要素を押し込むための押し込み部材60aが設けられてもよい。
【0032】
図11及び
図12は、発電通信モジュール62の第4の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図11はカセットハウジング60が格納されて発電通信モジュールのスイッチ要素が元に戻った状態、
図12はカセットハウジング60が筐体1から引き出されて発電通信モジュールのスイッチ要素が押し込まれた状態を示す。
【0033】
図11及び
図12に示す第4の設置形態例においては、発電通信モジュール62は筐体1の側面の内面側に固定して取り付けられ、カセットハウジング60が格納された状態で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態となり、カセットハウジング60が引き出された状態でカセットハウジング60の側面部により発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれた状態となる。第3の設置形態と異なり、カセットハウジング60の引き出し動作がさらに進んでも押し込まれた状態が維持される。カセットハウジング60の側面に設けられる押し込み部材60aは、カセットハウジング60の引き出し動作に応じたスイッチ要素の状態となるように、カセットハウジング60の側面に引き出し方向全域にわたって延びる細長状の突起体として形成される。
【0034】
また、上述に例示した設置形態は、発電通信モジュールが筐体の内面におけるカセットハウジングに対して左側面に設けられる構成であるが、他の面(例えば筐体1の内面の右側面、上面又は下面)であってもよい。
【0035】
また、発電通信モジュールは、筐体の内面側に取り付けられる構成に限らず、その逆の構成、すなわち、発電通信モジュールがカセットハウジング側に固定して取り付けられ、筐体に押し込み部材が設けられる構成であってもよい。
【0036】
図4に戻って、電子機器監視システムを構成する情報処理装置200は、例えば、通信手段を有するコンピュータ装置であり、汎用的なパーソナルコンピュータであってもよく、据置型、ノートブック型、タブレット型などの形態を問わない。情報処理装置200は、インターネット網や無線通信規格など各種通信規格に対応する通信インターフェース68を搭載し、貨幣処理装置の発電通信モジュール62と通信し、発電通信モジュール62からの無線信号を受信する。情報処理装置200は、受信した無線信号に基づいた監視情報を報知する報知手段として機能し、報知手段として、監視制御部70、表示部72、音声出力部74、情報送信部76及び画像取得部78を備える。監視制御部70は、情報処理装置200の記憶手段に格納された監視制御プログラム(情報送信プログラム、画像取得プラグラムを含む)をCPUなどの演算処理装置が実行することにより、発電通信モジュールから受信した無線信号に基づいた監視情報を生成してそれを報知する。
【0037】
具体的には、監視制御部70は、カセットハウジングが引き出された旨を知らせる警報音を監視情報として音声出力部(例えばスピーカ)74から出力する。または、監視制御部70は、カセットハウジングが引き出された旨を知らせる通知を監視情報として表示部(ディスプレイ又は警報ランプ)72に表示する。または、監視制御部70は、カセットハウジングが引き出された旨を知らせる監視情報を情報送信部76から通信インターフェース68を介して遠隔の端末装置300に送信する。端末装置300は、例えば監視員が所持するスマートフォンや携帯電話機などの携帯通信端末や汎用的なパーソナルコンピュータである。送信される監視情報は、例えば電子メールとして送信されてもよいし、他の通知形態を用いて送信されてもよい。また、通信ネットワーク上に専用サーバ(図示せず)が設けられ、専用サーバは、監視制御部70からの監視情報を蓄積するとともに、あらかじめ指定された端末装置300に監視情報を自動的に配信してもよいし、端末装置300からのアクセス要求に応じて配信するようにしてもよい。
【0038】
これにより、情報処理装置200を操作する監視員又は端末装置300を操作する監視員に対して、特に貨幣処理装置の電源がOFF状態の場合であっても、カセットハウジングの引き出し動作があったことを報知することができ、不正アクセスをリアルタイムに検知することができる。
【0039】
また、発電通信モジュールは、カセットハウジング60の引き出し動作により発電動作が行われたすべてのタイミングで無線信号を送信する場合に限らず、一定の条件のもとで発電が行われたタイミングにおいて無線信号を送信するようにしてもよい。
【0040】
図13は、発電通信モジュール62における無線信号の送信を制御する制御手段の例を示す図である。例えば発電通信モジュール62の通信モジュール66は、
図13(a)に示す判定ユニット661を搭載し、判定ユニット661は、発電モジュール64による発電動作に基づく発電信号と、貨幣処理装置の電源がOFF状態であることを示す電源OFF信号の反転回路での出力信号との論理積に基づいて無線信号の送信/非送信を判定し、具体的には、判定ユニット661は、貨幣処理装置の電源がOFFの状態のもとでカセットハウジングの引き出しによる発電動作が行われた場合に無線信号を送信する。電源OFF信号は、貨幣処理装置の電源がOFFであることを示す信号であり、貨幣処理装置の所定の監視手段より判定ユニット661に通知される。これにより、貨幣処理装置が稼働する業務時間中の電源ON状態では、判定ユニット661は、カセットハウジングの引き出し動作により無線信号を送信せず、業務時間外の電源OFF時でのカセットハウジングの引き出し動作により無線信号を送信する制御を実行する。
【0041】
また、
図13(b)は別の判定ユニット662の構成を示す。
図13(b)の判定ユニット662は、発電モジュール64による発電動作に基づく発電信号と、所定の指定日時を監視する日時監視信号の反転回路での出力信号との論理積に基づいて無線信号の送信/非送信を判定し、具体的には、判定ユニット662は、指定日時の時間帯である場合(若しくは指定日時の時間帯でない場合)にカセットハウジングの引き出し動作による発電動作が行われた場合に無線信号を送信する。指定日時は、例えば貨幣処理装置が稼働しない日時であり、その指定日時であるかどうかを示す日時監視信号は、貨幣処理装置の所定の監視手段より判定ユニット662に通知される。これにより、貨幣処理装置の稼働しない指定日時の時間帯でのみ、判定ユニット662は、カセットハウジングの引き出し動作により無線信号を送信し、業務時間中と業務時間外と分けた無線信号の送信切り替え制御が可能となる。なお、指定日時は、貨幣処理装置が稼働する日時としてもよい。
【0042】
発電通信モジュール62は、判定ユニット661による電源OFF信号を用いた無線信号の送信制御又は判定ユニット662による日時監視信号を用いた無線信号の送信制御のいずれか一方を実行してもよいし、両方を組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0043】
上述では、発電通信モジュール62において、無線信号を送信する条件を設定する例について説明したが、監視制御部70において、報知の条件を設定するようにしてもよい。すなわち、発電通信モジュール62は、カセットハウジング60の引き出しによる発電動作すべてのタイミングで無線信号を送信し、情報処理装置200の監視制御部70は、受信した無線信号のうち、貨幣処理装置が電源OFF状態の期間又はあらかじめ設定された日時や時間帯の期間に無線信号を受信した場合のみ、監視情報を報知するようにしてもよい。また、無線信号の送信設定制御は、電子回路によるハードウェア動作に限らず、コンピュータプログラムによるソフトウェア処理で行われてもよい。
【0044】
貨幣処理装置100の周辺を撮影するカメラ400が設置されている場合、情報処理装置200の画像取得部78は、発電通信モジュール62の発電動作タイミングでのカメラ400が撮像した画像データを取得し、情報送信部76は、画像データを含む監視情報を送信するようにしてもよい。これにより、カセットハウジング60の引き出し動作が行われたタイミングでの現場画像を確認することができる。
【0045】
カメラ400は、貨幣処理装置100の全体を含むその周囲を俯瞰的に撮影する監視カメラ、貨幣処理装置100を操作する者の操作内容を撮影可能に設置された操作撮影用カメラ、認証のために貨幣処理装置100を操作する者の顔を撮影可能な認証用カメラなどである。発電通信モジュール62の発電動作タイミングでのカメラ400が撮影した画像データは、静止画又は動画のいずれでもよく、発電通信モジュール62の発電動作を生じさせた貨幣処理装置100に対する操作に関する画像が含まれる。
【0046】
発電通信モジュール62は、カセットハウジング60が引き出されたタイミングのみならず、引き出された状態から格納された状態となる場合も、発電動作を行って無線信号を送信するので、格納されたタイミングの発電動作による無線信号に基づいて、監視情報の報知を行うようにしてもよい。
【0047】
上述の例では、発電通信モジュールは、貨幣処理装置のカセットハウジング60の引き出し動作(または元に戻る動作)により発電して信号を送信する形態について例示したが、カセットハウジング60の移動に限らず、他の可動体の移動、例えば、カセットハウジング60に収納されるカセット50、52、54、56、58それぞれの引き抜き動作(または元に戻る動作)、さらには、束入出金部3を構成する束昇降ユニット32、束識別ユニット34、束振分ユニット36及び束収納ユニット38、40、42、44を一体的なユニットとして引き出す動作(または元に戻る動作)に応じて発電通信モジュールが動作する構成であってもよい。
【0048】
このように、発電通信モジュールは、スイッチ要素の状態変化により自己発電し、その電力を用いて無線信号を送信し、その無線信号を受信した情報処理装置は、貨幣処理装置の電源OFF状態において、貨幣処理装置の可動体部分に対する不正アクセスをリアルタイムに報知することができる。
【0049】
上述では、電子機器としての貨幣処理装置は、紙幣の入出金を行う貨幣処理装置について説明したが、硬貨の入出金を行う貨幣処理装置の可動部、例えば開閉する扉、引き出し可能なハウジング、引き抜き可能なカセットや棒金トレーなどに対しても、上述の自己発電する発電通信モジュールを配置することにより、電源OFF状態における貨幣処理装置の可動体部分の移動をリアルタイムに検知可能とする。
【0050】
(第2の実施の形態)
図14及び
図15は、本発明にかかる電子機器の第2の実施形態である物品保管装置の正面図である。
図14は物品保管装置の前カバーが開いた状態を示し、
図15は物品保管装置の前カバーが閉じた状態を示す。物品保管装置は、例えば銀行などの金融機関の店舗で使用される鍵や印鑑などの物品を保管するとともに、その取り出しおよび返却を可能とする装置である。
【0051】
物品保管装置500は、装置本体である筐体80と、筐体80の前面側を開閉する前カバー81とを有している。筐体80は、前面側が、その右側部分よりも左側部分の方が後側に位置するように段差状をなしている。筐体80は、中央から左側部分が、前カバー81で開閉される開閉部80aとなっており、開閉部80aよりも前側に突出する右側部分は、前カバー81で開閉されずに常時露出する前面構成部80bとなっている。前カバー81は、筐体80の左端縁部に設けられたヒンジ89を介して一端側が筐体80に回動可能に連結されており、開閉部80aの前面を開閉する。
図14では、物品保管装置500の前カバー81が開かれ、開閉部80aが現れた状態が示され、
図15では、物品保管装置500の前カバー81が閉じられ、開閉部80aが隠れた状態が示される。物品保管装置500は、図示されない電源ユニットを有し、電磁駆動式のロック機構を含む内蔵される各電子ユニットに電力を供給する。
【0052】
筐体80は、その開閉部80aの前面側に、前カバー81が閉状態にあるときに前カバー81に設けられた図示されない係合部をロックする電磁駆動式のカバーロック機構82を上下2カ所に有している。また、筐体80は、その開閉部80aの前面側に、前カバー81が閉状態にあるときに前カバー81の図示されない検知手段を検出することで前カバー81が全閉状態にあるか否かを検出する全閉検出センサ83を有している。カバーロック機構82は、前カバー81が閉じられたことを全閉検出センサ83が検出したことを条件に、係合部をロックして前カバー81を閉状態でロックする。また、カバーロック機構82は、駆動されて係合部のロックを解除する。
【0053】
筐体80には、右側の前面構成部80bの前面の上部に、日時、操作状況、アラーム情報およびガイダンス等を表示する液晶ディスプレイからなる表示部84が設けられており、その下側に、使用者による数字や文字の入力操作がなされる操作部85が設けられている。また、これらの右側に図示されないIDカードが走査されると、このIDカードからデータを読み取るカードリーダ86が設けられている。また、前面構成部80bの前面の下部には、必要な情報を用紙の紙面に印字して排紙口87から排紙するプリンタ部88が設けられている。
【0054】
筐体80の前カバー81で開閉される開閉部80aには、その前面位置に、物品を取り出しおよび返却可能に保管する複数のホルダ部90と複数のボックス部91とが設けられている。ホルダ部90は、上下方向の位置を合わせて左右方向に複数、例えば10カ所並べられ、このようなホルダ部90が、上下つまり高さ方向に複数段、例えば2段並べられている。ボックス部91は、全てのホルダ部90よりも下側に配置されており、上下方向の位置を合わせて左右方向に複数、例えば10カ所並べられている。
【0055】
図16は、ホルダ部90の構成を示す斜視図である。ホルダ部90で保管される鍵92は、鍵本体93とホルダ部90に着脱可能に取り付けられる着脱部材94と、鍵本体93と着脱部材94とを連結する連結部材95とを有する。ホルダ部90は、それぞれが一対一で対応する着脱部材94を着脱可能に支持し、取り外し不可となるようにロック状態で保持することができる。
【0056】
ここで、鍵本体93は、その用途が、金融機関に設置された金庫の扉の開閉用、現金処理機の扉の開閉用、現金処理機の扉内の現金収納庫の扉の開閉用、現金処理機の扉内の回収庫の扉の開閉用、現金処理機の主電源のオン・オフ切り換え用等となっている。
【0057】
図16に示すように、複数のホルダ部90は、それぞれ、鍵本体93に連結された着脱部材94が抜き差しされる個別の挿入穴96を有している。複数のホルダ部90は、それぞれ、挿入穴96に着脱部材94が差し込まれるとこれをロックして支持し、またロック解除可能な電磁駆動式の鍵ロック機構(図示せず)を有し、着脱部材94は、ホルダ部90に対し着脱可能であって装着状態でロックされる。
【0058】
また、各ホルダ部90は、それぞれ、表示ランプ97aが一体化された操作ボタン97bを有している。操作ボタン97bは、鍵ロック機構によるロックを解除する際に押圧される操作ボタンであり、表示ランプ97aは、消灯、点灯および点滅することで操作を案内する。操作ボタン97bが押されると、この操作ボタン97bが設けられたホルダ部90の鍵ロック機構のロックが解除され、このホルダ部90から着脱部材94が取り外される処理が行われる。
【0059】
図17は、ボックス部91の構成を示す斜視図である。各ボックス部91は、引き出し式であり、それぞれ、前方に引き出し可能であって後方に押し込み可能な引出部材98を有し、電磁駆動式の引出ロック機構(図示せず)により、押し込まれた引出部材98を引き出し不可にロックし、またロック解除可能な構成となっている。引出部材98は、上方に開口する箱形であり、IDカードや印鑑、書類等の収納物を収納する。引出部材98には、別体のアダプタ99が着脱可能となっており、アダプタ99が取り付けられると、アダプタ99との間に収納物としての印鑑を立位姿勢で収納可能となる。
【0060】
各ボックス部91も、ホルダ部90と同様に、表示ランプ97aが一体化された操作ボタン97bを有している。ボックス部91において、例えば、操作ボタン97bが押されると、この操作ボタン97bが設けられたボックス部91の引出ロック機構のロックが解除され、このボックス部91から引出部材98が引き出し可能となる。この状態で引出部材98が引き出されてIDカードや印鑑、書類等の収納物が取り出され、その後、引出部材98が押し込まれて収容される。
【0061】
そして、本実施の形態における物品保管装置500は、第1の実施の形態と同様に、電源が投入されていない電源OFF状態においても、前カバー81の筐体80からの開動作を検知する発電通信モジュールが設けられる。発電通信モジュールは、上述の
図4に示す構成と同様に、前カバーの開動作により自己発電し、その電力により信号データを生成して無線送信する。この無線信号は、物品保管装置500から離れて位置する情報処理装置200により受信され、物品保管装置500と情報処理装置200は
図4に示す電子機器監視システムを構成する。
【0062】
図18及び
図19は、物品保管装置に取り付けられた発電通信モジュール62の設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図18は前カバー81が閉じられて発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれている状態、
図19は前カバー81が筐体80から開けられて発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが元に戻った状態を示す。
【0063】
図18及び
図19に示す設置形態例においては、発電通信モジュール62は筐体80の開閉部80aの前面に固定して取り付けられ、前カバー81が開閉部80aを閉じた状態で、前カバー81の内面部分により発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが押し込まれた状態となり、前カバー81が回転して開けられた状態で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態となる。
【0064】
前カバー81の内面側には、図示されるように、スイッチ要素62aを押し込むための押し込み部材60aが取り付けられてもよい。押し込み部材60aは、例えば、スイッチ要素62aを押し込むのに適した形状の突起体である。前カバー81自体の構成要素(例えばその内面)によりスイッチ要素を動作させることができる場合は、当該突起体を設けられなくともよい。
【0065】
前カバー81が閉じられる動作によっても、発電通信モジュール62のスイッチ要素62aはスイッチ動作を行い、その閉動作を検知することができる。
【0066】
また、発電通信モジュール62は、筐体80の開閉部80aの前面に取り付けられる構成に限らず、その逆の構成、すなわち、発電通信モジュール62が前カバー81の内面側に固定して取り付けられ、筐体80の開閉部80aの前面に押し込み部材が設けられる構成であってもよい。
【0067】
また、別の一例として、ホルダ部90の着脱部材94の着脱動作を検知対象をとしホルダ部90における引き抜き/保持への不正アクセスを通知してもよいし、ボックス部91の引出部材98の引出動作を検知対象とし、その引き出し/保持の不正アクセスを検知する構成としてもよい。
【0068】
第2の実施の形態における電子機器の可動体の動作検知では、
図13(a)に示した電源OFF信号を用いた判定ユニット661の無線信号送信制御又は
図13(b)に示した日時監視信号を用いた判定ユニット662の無線信号送信制御により、物品保管装置の前カバー開動作を検知することができ、不正アクセスをリアルタイムに報知することができる。
【0069】
第2の実施の形態においても、発電通信モジュール62は、判定ユニット661による電源OFF信号を用いた無線信号の送信制御又は判定ユニット662による日時監視信号を用いた無線信号の送信制御のいずれか一方を実行してもよいし、両方を組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0070】
(第3の実施の形態)
本発明の電子機器の第3の実施形態は、デッドボルトなどによる施錠機構を有する扉を備えた電子機器であって、施錠機構の開閉動作により発電する発電通信モジュールのスイッチ動作により検知する。
【0071】
本実施の形態におけるデッドボルトによる施錠機構を有する扉を備えた電子機器600は、上述の第1及び第2の実施の形態と同様に、電源が投入されていない電源OFF状態においても、デッドボルトの開動作を検知する発電通信モジュールが設けられる。発電通信モジュールは、上述の
図4に示す構成と同様に、デッドボルトの開閉動作により自己発電し、その電力により信号データを生成して無線送信する。この無線信号は、電子機器600から離れて位置する情報処理装置200により受信され、電子機器600と情報処理装置200は
図4に示す電子機器監視システムを構成する。
【0072】
図20及び
図21は、デッドボルトによる施錠機構を有する扉を備えた電子機器の施錠機構部分に取り付けられた発電通信モジュールの設置形態とそのスイッチ動作を模式的に示す図であり、
図20はデッドボルトが受座に嵌められた施錠状態において発電通信モジュールのスイッチ要素が押し込まれている状態、
図21はデッドボルトが受座から抜けた解錠状態において発電通信モジュールのスイッチ要素が元に戻った状態を示す。電子機器内部のデッドボルト、受座及び発電通信モジュールは説明のために可視的に示される。
【0073】
電子機器600の扉602には、鍵穴606を有するシリンダ608及びデッドボルト610が設けられ、電子機器の装置本体である筐体604にデッドボルト610の受座612が設けられる。電子機器600の筐体604は、図示されない電源ユニット及びそれによる給電により動作する電子ユニットを搭載している。発電通信モジュール62は、受座612施錠閉状態でデッドボルト610の先端または側面が発電通信モジュール62のスイッチ要素62aを押し込むように配置される。施錠開(解錠)動作でデッドボルト610が受座612から外れるように移動して、デッドボルト610が発電通信モジュール62のスイッチ要素62aから離れる。そうすると、発電通信モジュール62のスイッチ要素62aが戻り状態に変化して発電動作が行われ、無線信号が送信される。これにより、解錠による不正アクセスを電源OFF状態においてもリアルタイムに報知することができる。
【0074】
なお、デッドボルト610を本体装置側、発電通信モジュール62を有する受座612を扉側に設けてもよい。
【0075】
第3の実施の形態においても、上述の第2の実施の形態で例示したように、発電通信モジュールは、扉の開閉に対して動作するように取り付けられてもよい。電子機器の扉は、ヒンジによる回転扉又は引き戸のようなスライド扉のいずれの開閉態様のものでもよい。
【0076】
さらに、電子機器の施錠機構への不正アクセスを、鍵穴606に鍵を挿入したことを検知するよう構成されてもよい。鍵を挿入した動作で発電通信モジュール62のスイッチ要素62aを押し込むように鍵穴606の入り口やシリンダ608内に発電通信モジュール62を配置することで鍵穴606へ鍵を挿入したことを検知することができる。
【0077】
第3の実施の形態における電子機器の可動体の動作検知では、
図13(a)に示した電源OFF信号を用いた判定ユニット661の無線信号送信制御又は
図13(b)に示した日時監視信号を用いた判定ユニット662の無線信号送信制御により、施錠機構を有する扉を備えた電子機器の解錠動作を検知することができ、不正アクセスをリアルタイムに報知することができる。
【0078】
第3の実施の形態においても、発電通信モジュール62は、判定ユニット661による電源OFF信号を用いた無線信号の送信制御又は判定ユニット662による日時監視信号を用いた無線信号の送信制御のいずれか一方を実行してもよいし、両方を組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0079】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1:筐体、2:バラ入出金部、3:束入出金部、4:バラ収納部、5:バラ入出金口、6:入金リジェクト口、7:束出金口、10:入出金ユニット、12:紙幣識別ユニット、16:リジェクト搬送ユニット、18:整列ユニット、20:上方搬送ユニット、22:結束ユニット、24:横井漱ユニット、26:上移送ユニット、28:反転搬送ユニット、30:電源ユニット、32:束昇降ユニット、34束識別ユニット、36:束振分ユニット、38:束収納ユニット、40:束収納ユニット、42:束収納ユニット、44:束収納ユニット、46:電源ユニット、48:振分搬送ユニット、50:金種カセット、52:金種カセット、54:金種カセット、56:金種カセット、58:プールカセット、60:カセットハウジング、60a:押し込み部材、62:発電通信モジュール、62a:スイッチ要素、64:発電モジュール、66:通信モジュール、68:通信インターフェース、70:監視制御部、72:表示部、74:音声出力部、76:情報送信部、78:画像取得部、80:筐体、80a:開閉部、80b:前面構成部、81:前カバー、82:カバーロック機構、83:全閉検出センサ、84:表示部、85:操作部、86:カードリーダ、87:排紙口、88:プリンタ部、89:ヒンジ、90:ホルダ部、91:ボックス部、92:鍵、93:鍵本体、94:着脱部材、95:連結部材、96:挿入穴、97a:表示ランプ、97b:操作ボタン、98:引出部材、99:アダプタ、100:貨幣処理装置、200:情報処理装置、300:端末装置、400:カメラ、500:物品保管装置、600:電子機器、602:扉、604:筐体、606:鍵穴、608:シリンダ、610:デッドボルト、612:受座、661:判定ユニット、662:判定ユニット