(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ブレード撮像システム及びブレード撮像方法
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20240820BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20240820BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20240820BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240820BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240820BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20240820BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D1/06 A
B64U10/14
B64C13/20 Z
H04N7/18 U
B64U101:30
(21)【出願番号】P 2023141670
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】518156358
【氏名又は名称】株式会社センシンロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】白濱 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】金澤 尚也
(72)【発明者】
【氏名】正岡 克
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7188832(JP,B1)
【文献】特開2003-035248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0203696(US,A1)
【文献】特開2023-042263(JP,A)
【文献】特開2023-072589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
F03D 17/00
F03D 1/06
B64U 10/14
B64U 20/87
B64C 13/20
B64U 101/30
B64U 101/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を備える飛行体と、制御装置と、を含むブレード撮像システムであって、
前記制御装置は、前記撮像装置が風車のブレードを撮像する際の前記飛行体の飛行制御情報として、前記風車のサイト情報及び号機情報に対応するブレード型式に基づいて、撮像開始位置から撮像終了位置までを撮像順に並べた複数の飛行目的位置と、前記飛行体の姿勢制御情報を示す回転情報と、を含むデータを風車情報データベースから抽出し、当該データを前記ブレードの撮像の前段階で前記飛行体に送信し、
前記飛行体は、前記制御装置から前記データを受信し、複数の前記飛行目的位置を撮像順に自動飛行して移動し、それぞれの前記飛行目的位置において前記回転情報に基づいて姿勢制御を行って回転し、前記撮像装置を使用して前記ブレードを撮像
し、
前記制御装置は、前記サイト情報と、前記号機情報と、前記ブレードを撮像する際の全ての水平方向角度と、前記ブレードを鉛直上向き又は鉛直下向きに固定配置した場合において真北から前記ブレードの中央軸まで時計回りに水平方向に回転した角度を示すナセル方位角の情報とを入出力部を介して取得し、
前記ブレードを撮像する前段階において、前記制御装置は、前記入出力部を介して取得した前記サイト情報及び前記号機情報を検索キーとして、前記風車情報データベースから前記風車の型式及び前記ブレード型式を特定し、前記風車の型式に対応するハブ高さと起点位置とを抽出し、前記ブレード型式に対応する高さ位置と、離間距離と、前記ナセル方位角の基準角度に対応する前記回転情報と、前記水平方向角度と、前記飛行目的位置と、を抽出し、
前記起点位置は、平面視において、前記風車の中心位置から前記ブレードの中央軸まで水平方向にオフセットした位置であり、
前記離間距離は、前記ブレードを撮像する際に前記ブレードに対して前記撮像装置の焦点が合う範囲内で設定される前記起点位置から水平方向への所定の離間距離であり、
前記制御装置は、前記高さ位置における水平面において、前記起点位置から前記離間距離を半径とする円軌道を形成し、
前記水平方向角度は、前記起点位置を中心として、基準線と第nの線分とがなす交角の角度であり、
前記基準線は、前記起点位置において、真北から前記ナセル方位角の基準角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、
前記第nの線分は、前記基準線からn番目の前記水平方向角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、
前記制御装置は、前記風車の立地している位置において撮像対象とする前記ブレードを鉛直上向きまたは鉛直下向きに固定配置し、前記起点位置に前記ハブ高さと前記高さ位置を加算または減算することで、前記飛行目的位置の高度情報を算出し、前記高度情報において前記水平方向角度で定まる前記円軌道上の所定位置をRTK-GNSS測位により高精度測位情報として取得し、
前記ブレードを撮像した画像情報に、前記サイト情報及び前記号機情報を含むブレード関連情報と、前記飛行目的位置と、当該飛行目的位置に対応する前記水平方向角度を含む撮像条件と、を対応付けて記憶媒体に記憶すること、
を特徴とするブレード撮像システム。
【請求項2】
前記回転情報は、前記飛行体が前記飛行目的位置に移動した後、前記撮像装置の向きが前記起点位置となるように設定した所定の方位を基準とする前記飛行体の水平方向の回転角であること、
を特徴とする請求項
1に記載のブレード撮像システム。
【請求項3】
前記制御装置は、撮像対象の前記ブレードについて、鉛直方向で異なる高さ位置において複数の前記飛行目的位置を設定する場合、撮像する順番に従って前記飛行目的位置を設定すること、
を特徴とする請求項
2に記載のブレード撮像システム。
【請求項4】
飛行体の撮像装置が風車のブレードを撮像する際の前記飛行体の飛行制御情報として、前記風車のサイト情報及び号機情報に対応するブレード型式に基づいて、撮像開始位置から撮像終了位置までを撮像順に並べた複数の飛行目的位置と、前記飛行体の姿勢制御情報を示す回転情報と、を含むデータを制御装置が風車情報データベースから抽出し、当該データを前記ブレードの撮像の前段階で前記飛行体に送信する送信ステップと、
前記飛行体が、前記制御装置から前記データを受信し、複数の前記飛行目的位置を撮像順に自動飛行して移動し、それぞれの前記飛行目的位置において前記回転情報に基づいて姿勢制御を行って回転し、前記撮像装置を使用して前記ブレードを撮像する撮像ステップと、を含み、
前記送信ステップにおいて前記制御装置は、前記サイト情報と、前記号機情報と、前記ブレードを撮像する際の全ての水平方向角度と、前記ブレードを鉛直上向き又は鉛直下向きに固定配置した場合において真北から前記ブレードの中央軸まで時計回りに水平方向に回転した角度を示すナセル方位角の情報とを入出力部を介して取得し、
前記ブレードを撮像する前段階である前記送信ステップにおいて、前記制御装置は、前記入出力部を介して取得した前記サイト情報及び前記号機情報を検索キーとして、前記風車情報データベースから前記風車の型式及び前記ブレード型式を特定し、前記風車の型式に対応するハブ高さと起点位置とを抽出し、前記ブレード型式に対応する高さ位置と、離間距離と、前記ナセル方位角の基準角度に対応する前記回転情報と、前記水平方向角度と、前記飛行目的位置と、を抽出し、
前記起点位置は、平面視において、前記風車の中心位置から前記ブレードの中央軸まで水平方向にオフセットした位置であり、
前記離間距離は、前記ブレードを撮像する際に前記ブレードに対して前記撮像装置の焦点が合う範囲内で設定される前記起点位置から水平方向への所定の離間距離であり、
前記制御装置は、前記高さ位置における水平面において、前記起点位置から前記離間距離を半径とする円軌道を形成し、
前記水平方向角度は、前記起点位置を中心として、基準線と第nの線分とがなす交角の角度であり、
前記基準線は、前記起点位置において、真北から前記ナセル方位角の基準角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、
前記第nの線分は、前記基準線からn番目の前記水平方向角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、
前記送信ステップにおいて前記制御装置は、前記風車の立地している位置において撮像対象とする前記ブレードを鉛直上向きまたは鉛直下向きに固定配置し、前記起点位置に前記ハブ高さと前記高さ位置を加算または減算することで、前記飛行目的位置の高度情報を算出し、前記高度情報において前記水平方向角度で定まる前記円軌道上の所定位置をRTK-GNSS測位により高精度測位情報として取得し、
前記撮像ステップの後、前記ブレードを撮像した画像情報に、前記サイト情報及び前記号機情報を含むブレード関連情報と、前記飛行目的位置と、当該飛行目的位置に対応する前記水平方向角度を含む撮像条件と、を対応付けて記憶媒体に記憶する記憶ステップをさらに含むこと、
を特徴とするブレード撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレード撮像システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備における風車のブレードを飛行体のカメラで撮像する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、「ブレード回転速度認識部によって認識された前記ブレードの回転速度の情報に基づいて、点検対象である前記ブレードが前記望遠カメラの正面位置に達するタイミングを判定し、当該タイミングで前記望遠カメラに前記ブレードの撮影を行わせる」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ブレードの回転速度の情報に基づいて、点検対象のブレードが望遠カメラの正面位置に達するタイミングで撮影を行うようにしているが、ブレードの状態をユーザが正確に把握できるようにする上で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、ブレードの状態を正確に把握することが可能なブレード撮像システム等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本開示は、撮像装置を備える飛行体と、制御装置と、を含むブレード撮像システムであって、前記制御装置は、前記撮像装置が風車のブレードを撮像する際の前記飛行体の飛行制御情報として、前記風車のサイト情報及び号機情報に対応するブレード型式に基づいて、撮像開始位置から撮像終了位置までを撮像順に並べた複数の飛行目的位置と、前記飛行体の姿勢制御情報を示す回転情報と、を含むデータを風車情報データベースから抽出し、当該データを前記ブレードの撮像の前段階で前記飛行体に送信し、前記飛行体は、前記制御装置から前記データを受信し、複数の前記飛行目的位置を撮像順に自動飛行して移動し、それぞれの前記飛行目的位置において前記回転情報に基づいて姿勢制御を行って回転し、前記撮像装置を使用して前記ブレードを撮像し、前記制御装置は、前記サイト情報と、前記号機情報と、前記ブレードを撮像する際の全ての水平方向角度と、前記ブレードを鉛直上向き又は鉛直下向きに固定配置した場合において真北から前記ブレードの中央軸まで時計回りに水平方向に回転した角度を示すナセル方位角の情報とを入出力部を介して取得し、前記ブレードを撮像する前段階において、前記制御装置は、前記入出力部を介して取得した前記サイト情報及び前記号機情報を検索キーとして、前記風車情報データベースから前記風車の型式及び前記ブレード型式を特定し、前記風車の型式に対応するハブ高さと起点位置とを抽出し、前記ブレード型式に対応する高さ位置と、離間距離と、前記ナセル方位角の基準角度に対応する前記回転情報と、前記水平方向角度と、前記飛行目的位置と、を抽出し、前記起点位置は、平面視において、前記風車の中心位置から前記ブレードの中央軸まで水平方向にオフセットした位置であり、前記離間距離は、前記ブレードを撮像する際に前記ブレードに対して前記撮像装置の焦点が合う範囲内で設定される前記起点位置から水平方向への所定の離間距離であり、前記制御装置は、前記高さ位置における水平面において、前記起点位置から前記離間距離を半径とする円軌道を形成し、前記水平方向角度は、前記起点位置を中心として、基準線と第nの線分とがなす交角の角度であり、前記基準線は、前記起点位置において、真北から前記ナセル方位角の基準角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、前記第nの線分は、前記基準線からn番目の前記水平方向角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分であり、前記制御装置は、前記風車の立地している位置において撮像対象とする前記ブレードを鉛直上向きまたは鉛直下向きに固定配置し、前記起点位置に前記ハブ高さと前記高さ位置を加算または減算することで、前記飛行目的位置の高度情報を算出し、前記高度情報において前記水平方向角度で定まる前記円軌道上の所定位置をRTK-GNSS測位により高精度測位情報として取得し、前記ブレードを撮像した画像情報に、前記サイト情報及び前記号機情報を含むブレード関連情報と、前記飛行目的位置と、当該飛行目的位置に対応する前記水平方向角度を含む撮像条件と、を対応付けて記憶媒体に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ブレードの状態を正確に把握することが可能なブレード撮像システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るブレード撮像システムの構成図である。
【
図2】実施形態に係るブレード撮像システムの飛行体の例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係るブレード撮像システムの入力情報テーブルの説明図である。
【
図4】実施形態に係るブレード撮像システムの風車関連テーブルの説明図である。
【
図5】実施形態に係るブレード撮像システムの水平方向角度テーブルの説明図である。
【
図6】実施形態に係るブレード撮像システムの高さ位置テーブルの説明図である。
【
図7】実施形態に係るブレード撮像システムの飛行目的位置管理テーブルの説明図である。
【
図8】実施形態に係るブレード撮像システムにおける風車の中心位置と水平方向の角度の考え方に関する説明図である。
【
図9】実施形態に係るブレード撮像システムにおける風車のオフセット量に関する説明図である。
【
図10】実施形態に係るブレード撮像システムにおける風車の起点位置とナセル方位角に関する説明図である。
【
図11】実施形態に係るブレード撮像システムにおける離間距離と撮像範囲に関する説明図である。
【
図12】実施形態に係るブレード撮像システムにおける円軌道に関する説明図である。
【
図13】実施形態に係るブレード撮像システムにおける水平方向角度と水平方向位置の考え方に関する説明図である。
【
図14A】実施形態に係るブレード撮像システムにおける回転情報に関する説明図である。
【
図14B】実施形態に係るブレード撮像システムにおける回転情報に関する別の説明図である。
【
図15】実施形態に係るブレード撮像システムにおける点検時のブレードの配置に関する説明図である。
【
図16】実施形態に係るブレード撮像システムの鉛直方向の高さ位置に関する説明図である。
【
図17】実施形態に係るブレード撮像システムにおけるナセル方位角の変更に伴う水平方向角度及び飛行目的位置の変更に関する説明図である。
【
図18】実施形態に係るブレード撮像システムにおけるナセル方位角の変更に伴う処理のフローチャートである。
【
図19】実施形態に係るブレード撮像システムにおける飛行ルートの設定に関する説明図である。
【
図20】実施形態に係るブレード撮像システムにおける飛行ルートの飛行目的位置設定に関する説明図である。
【
図21A】実施形態に係るブレード撮像システムにおけるブレードの点検に関する処理のフローチャートである。
【
図21B】実施形態に係るブレード撮像システムにおけるブレードの点検に関する処理のフローチャートである。
【
図22】実施形態に係るブレード撮像システムにおける画像情報データベースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪実施形態≫
<ブレード撮像システムの構成>
図1は、実施形態に係るブレード撮像システム100の構成図である。
図1に示すブレード撮像システム100は、風力発電設備の風車70のブレード71a~71cを飛行体10の撮像装置14で撮像し、その結果である画像情報を得るためのシステムである。
【0010】
なお、風車70は、地面から鉛直方向に延びるタワー72と、タワー72の上側に設置されるナセル73(
図9参照)と、ナセル73の先端に設置されるハブ74(
図9参照)と、ハブ74に設置される複数のブレード71a,71b,71cと、を備えている。その他、風車70は、増速機(図示せず)や発電機(図示せず)や電力変換器(図示せず)も備えている。そして、ブレード71a,71b,71cの回転に伴って発電機で所定に発電を行い、その発電電力が電力ケーブル(図示せず)を介して電力系統(図示せず)に送電されるようになっている。
【0011】
風車70のブレード71a,71b,71cは、経年劣化に伴って摩耗が進む他、破損や亀裂が生じる可能性もある。また、ブレードには型式があり、型式により形状・寸法が異なる。そこで、本実施形態では、固定配置した点検対象のブレード型式に対して、事前に飛行体10の撮像装置14により撮像するための飛行ルートを制御装置30が作成し、ブレード型式に対応する飛行ルートを予め風車情報データベース33aに登録するようにしている。そして、制御装置30が、前記風車情報データベース33aからブレード型式に応じた関連データを抽出して飛行ルートを作成し、前記飛行ルートに基づいて飛行体10を飛行させ、飛行体10の撮像装置14によって、点検対象のブレードを撮像するようにしている。
【0012】
図1に示すように、ブレード撮像システム100は、飛行体10と、制御装置30と、を含んで構成されている。そして、飛行体10とコントローラ(図示せず)との間で各種情報の送受信が行われるとともに、コントローラ(図示せず)と制御装置30との間で各種情報の送受信が行われるようになっている。このような通信の形態として、例えば、マルチキャリアの基地局(図示せず)を介した無線通信が行われるようにしてもよい。無線通信では、LTE(Long Term Evolution)や4G(第4世代移動通信システム)や5G(第5世代移動通信システム)の通信規格が適宜に用いられる。
【0013】
飛行体10は、風車70のブレード71a,71b,71cの点検の際、前記した飛行指令情報の他、ブレードの撮像順等を示す飛行目的地情報に基づいて、点検対象のブレードを撮像装置14で撮像する。なお、撮像結果である画像情報は、飛行体10の記憶部18、または、制御装置30の記憶部33の何れかの記憶媒体に保存する。電波法の規制により、前記画像情報を飛行体10から制御装置30に直接送信できない場合は、画像情報は飛行体10の記憶部18に保存され、点検終了後にSDカード等を介してPCに保存された後、PCからネットワークを経由して制御装置30に送信される。上記規制が無い場合は、飛行体10から制御装置30に画像情報を直接送信し、制御装置30の記憶部33に保存する。次に、
図2を用いて、飛行体10の構成について簡単に説明する。
【0014】
<飛行体>
図2は、飛行体10の例を示す斜視図である。
図2に示す飛行体10は、コントローラ(図示せず)からの飛行指令情報に基づいて飛行する無人航空機である。このような飛行体10として、例えば、ドローンが用いられる。
図2に示すように、飛行体10は、本体11と、アーム12a~12dと、プロペラ13a~13d(ロータや回転翼ともいう。)と、撮像装置14と、カメラ用アームM1と、スキッドK1,K2と、を備えている。
【0015】
本体11は、制御基板(図示せず)や各種センサ(図示せず)を収容する他、アーム12a~12dやカメラ用アームM1を保持する機能を有している。アーム12a~12dは、その基端側が本体11に設置される棒状部材である。
図2の例では、本体11の側面の前部にアーム12a,12bが設置されている。また、本体11の側面の後部に別のアーム12c,12dが設置されている。これら4つのアーム12a~12dは、平面視において本体11から放射状に延びている。
【0016】
プロペラ13aは、アーム12aの先端付近に設置される回転翼である。なお、アーム12aの延在方向に対して垂直な方向を回転中心軸とするモータ15a(
図1参照)が設けられている。そして、モータ15a(
図1参照)の回転に伴って、プロペラ13aが所定に回転するようになっている。なお、残りのアーム12b~12dに一対一で設置されているプロペラ13b~13dについても同様である。
【0017】
周方向で隣り合っているプロペラ(例えば、プロペラ13a,13b)は、互いに逆向きに回転するようになっている。そして、モータ15a~15d(
図1参照)の駆動に伴ってプロペラ13a~13dが回転することで揚力が発生し、飛行体10が飛行するようになっている。また、モータ15a~15d(
図1参照)の回転速度が個別に制御されることで、飛行体10の鉛直方向での上昇・下降や、斜め方向での上昇・下降の他、ホバリング(空中停止)や前進・後退、左右の移動、左回り・右回りの回転等を行うようになっている。
【0018】
撮像装置14は、風車70(
図1参照)のブレード71a~71c(
図1参照)を撮像するためのカメラである。
図2の例では、本体11の下側にカメラ用アームM1を介して撮像装置14が設置されている。スキッドK1,K2は、飛行体10を地面に接地させるための一対の脚である。なお、飛行体10の構成は、
図2の例に限定されるものではない。次に、
図1に戻って、飛行体10の制御系の構成について説明する。
【0019】
飛行体10は、前記した各構成の他、
図1に示す位置・姿勢センサ16と、通信部17と、記憶部18と、制御部19と、を備えている。位置・姿勢センサ16は、飛行体10の現在の位置(飛行位置)及び姿勢(飛行姿勢)の算出に用いられる情報を取得するためのセンサである。位置・姿勢センサ16は、図示はしないが、所定の航法衛星から送信される電波(航法信号)を受信する受信機の他、飛行体10の加速度を計測する加速度センサや、飛行体10の方位を計測する電子コンパス、飛行体10の角速度を計測するジャイロセンサを備えている。
【0020】
なお、前記した航法衛星から送信される電波(航法信号)に関して、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)が用いられるようにするとよい。これによって、飛行体10の時々刻々の緯度・経度を含む高精度測位情報を得ることができる。
図1に示すように、位置・姿勢センサ16の各計測値は、制御部19に出力される。
【0021】
通信部17は、コントローラ(図示せず)または制御装置30との間で通信を行う通信モジュールである。通信部17は、コントローラ(図示せず)を介して、または、制御装置30から飛行目的位置情報を受信して制御部19に出力する。
【0022】
記憶部18は、図示はしないが、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)やレジスタ等の揮発性メモリと、を含んで構成されている。記憶部18には、各種プログラムや各種データが格納されている。前記した各種プログラムには、ブレード71a~71cの点検時における飛行体10の飛行ルートや飛行姿勢を規定するためのプログラムが含まれている。また、前記した各種データには、飛行体10の位置・姿勢情報やルート情報が含まれる。なお、位置・姿勢情報やルート情報の詳細については後記する。
【0023】
制御部19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶部18に格納された各種プログラムや各種データを読み出して展開し、所定の処理を実行する。制御部19は、プログラムによって実現される機能的な構成として、位置・姿勢算出部19aと、飛行制御部19bと、撮像指令部19cと、画像情報出力部19dと、を備えている。
【0024】
位置・姿勢算出部19aは、位置・姿勢センサ16の各計測値に基づいて、飛行体10の現在の飛行位置及び飛行姿勢を算出する。本実施形態では、飛行体10の現在の飛行位置の検出精度を高めるために、RTK(Real Time Kinematic)-GNSS測位に基づく高精度測位情報を飛行体10が取得するようにしている。なお、高精度測位情報の取得先は、例えば、電子基準点(図示せず)に基づくデータの配信システム(図示せず)であってもよく、また、RTKベースステーション(基準局:図示せず)であってもよい。
【0025】
また、位置・姿勢算出部19aは、位置・姿勢センサ16から入力される航法信号に基づいて、飛行体10の緯度・経度・高度を算出し、所定の変換規則に基づいて、飛行空間の座標系における飛行位置のデータに変換する。また、位置・姿勢算出部19aは、位置・姿勢センサ16から入力される電子コンパス(図示せず)の計測信号に基づいて、飛行空間の座標系における飛行体10の方位を算出する。また、位置・姿勢算出部19aは、位置・姿勢センサ16から入力される加速度センサ(図示せず)やジャイロセンサ(図示せず)の計測信号の他、飛行体10の方位に基づいて、飛行空間の座標系における現在の飛行体10の飛行姿勢を算出する。位置・姿勢算出部19aの算出結果である位置・姿勢情報は、記憶部18に格納される。
【0026】
飛行制御部19bは、飛行体10の時々刻々の位置・姿勢情報が所定のルート情報に従ったものとなるようにモータ15a~15dを制御する。前記した「ルート情報」とは、ブレード71a,71b,71cの点検時における飛行体10の飛行ルートや飛行姿勢を規定した情報であり、制御装置30からコントローラ(図示せず)を介して飛行体10に送信される。
【0027】
飛行ルートについては、点検対象のブレードの撮像開始位置から撮像終了位置までの飛行目的位置を、撮像順に基づいて連続的に繋げたものになっている。なお、飛行目的位置間では飛行体10が所定の移動速度で移動し、また、飛行目的位置では飛行体10の移動速度が略ゼロ(ホバリングの状態)になるように設定されている。飛行制御部19bは、所定の飛行目的位置において飛行体10の姿勢等の設定が完了した場合、撮像指令部19cに撮像可能フラグを出力する。
【0028】
撮像指令部19cは、飛行制御部19bから撮像可能フラグが入力された場合、撮像装置14に対して撮像指令信号を出力する。これによって、点検対象のブレード(例えば、ブレード71a)が撮像される。点検対象のブレードの撮像が終了した場合、撮像指令部19cは、飛行制御部19bに撮像終了フラグを出力する。飛行制御部19bは、撮像指令部19cから撮像終了フラグが入力された場合、所定の飛行ルートに基づいて、次の飛行目的位置に飛行体10を移動させる。
【0029】
画像情報出力部19dは、撮像装置14の撮像結果である画像情報が入力された場合、この画像情報に撮像対象のブレードを特定するための「ブレード関連情報」と飛行目的位置における「撮像条件」を対応付けて記憶部18(記憶媒体)に出力する。これによって、点検対象のブレードの撮像結果である画像情報が記憶部18に保存される。保存された画像情報は記憶部18から記憶媒体を介してPCに保存され、PCからネットワークを経由して制御装置30に送信される。
【0030】
<コントローラ>
コントローラ(図示せず)は、制御装置30から送信されるルート情報や飛行体10の各センサの計測値に基づいて、飛行体10を所定に制御する。
【0031】
なお、操縦者がコントローラ(図示せず)を操縦することも可能ではあるが、本実施形態では、操縦者が行う操作としては、コントローラ(図示せず)の電源を入れてデータの送受信が可能な状態にするといった程度である。したがって、飛行体10の位置や姿勢を操縦者の操作で変更するといったことを行う必要は特にない。
【0032】
<制御装置>
制御装置30は、飛行体10の飛行ルートを作成したり、撮像装置14の撮像結果を管理したりする機能を有している。このような制御装置30として、図示はしないが、ROMやRAMの他、CPU、各種インタフェースを有するコンピュータが用いられる。
図1に示すように、制御装置30は、入出力部31と、処理部32と、記憶部33と、を備えている。
【0033】
入出力部31は、コントローラ(図示せず)、または、飛行体10との間で通信を行う他、ユーザインタフェースとしての機能も有している。入出力部31は、ユーザの操作に基づいて、風車情報データベース33aから所定の入力情報を取得する。ここで、「入力情報」とは、点検対象のブレード(例えば、ブレード71a)を指定し、さらに、このブレードを撮像する際の撮像装置14の向き(撮像角度)を指定する際の飛行体10の飛行目的位置を指定する際に用いられる情報である。
【0034】
また、入出力部31は、処理部32で設定される飛行体制御情報及び姿勢制御情報を、コントローラ(図示せず)を介して飛行体10に送信する。ここで、「飛行体制御情報」とは、ブレードを撮像する際の飛行目的位置である。また、「姿勢制御情報」とは、それぞれの飛行目的位置において撮像装置14が起点位置を向くように設定された飛行体10の水平方向の回転角情報である。また、入出力部31は、点検対象のブレードの撮像結果である画像情報を受信する機能も有している。
【0035】
処理部32は、飛行体10の飛行ルートの作成や、ブレードの画像情報の管理を行う。詳細については後記するが、処理部32は、以下の(A)~(F)の機能を有している。
【0036】
(A)処理部32は、入出力部31を介して所定の入力情報であるサイト情報、号機情報、ブレードナンバー、水平方向角度、ナセル方位角情報を取得し、前記サイト情報と号機情報に基づきブレード型式を特定し、このブレード型式を検索キーとして、ブレード点検時の所定の関連情報を風車情報データベース33aから抽出する。
【0037】
(B)処理部32は、入力情報である水平方向角度に基づき、風車情報データベース33aを参照し、水平方向角度と、それに対応する回転情報、飛行目的位置X(緯度)、飛行目的位置Y(経度)を抽出する。
(C)処理部32は、予め定めた点検時の対象ブレードの固定配置情報と、前記所定の関連情報のハブ高さと、ブレード型式に対応する高さ位置に基づき、飛行目的位置Z(高度)を算出する。
【0038】
(D)処理部32は、風車70のナセル方位角が基準角度以外に変更された場合、ナセル方位角の基準角度における基準データを読み込む。そして、この変更によるナセル方位角の角度変化量を算出し、この角度変化量を前記基準データの回転情報θと水平方向角度に反映して補正する。そして、処理部32は、補正後の水平方向角度における全ての飛行目的位置(緯度・経度・高度)を算出して変更反映データを作成する。
【0039】
(E)処理部32は、撮像開始位置から撮像終了位置までの飛行目的位置を撮像順に設定することで飛行ルートを作成し、この飛行ルートを含むルート情報を飛行体10に送信する。
(F)処理部32は、入出力部31を介して取得したブレードを撮像した画像情報を、画像情報データベース33bに格納する。
【0040】
図1に示す記憶部33には、風車情報データベース33aが予め記憶されている他、画像情報データベース33bが適宜に更新される。風車情報データベース33aは、ブレード71a~71cの撮像に用いられる情報を管理するためのデータベースである。画像情報データベース33bは、ブレード71a~71cの撮像結果である画像情報を管理するためのデータベースである。
【0041】
<風車情報データベース>
図1に示す風車情報データベース33aは、
図3~
図7に示す計5つのテーブルを含んで構成されている。具体的には、風車情報データベース33aは、入力情報テーブル41(
図3参照)と、風車関連テーブル42(
図4参照)と、水平方向角度テーブル43(
図5参照)と、高さ位置テーブル44(
図6参照)と、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)と、を含んで構成されている。
【0042】
図3は、入力情報テーブル41の説明図である。
入力情報テーブル41は、入出力部31(
図1参照)を介して入力される所定の入力情報が格納されるデータテーブルである。
図3に示すサイト列41aには、風車70(
図1参照)が設けられているサイトの識別情報が格納される。なお、サイトの識別情報に基づいて、サイトの位置が特定される。号機列41bには、風車70の号機情報である所定の番号が格納される。ブレードナンバー列41cには、点検対象のブレード(例えば、ブレード71a,71b,71c:
図1参照)のそれぞれの個体識別情報が格納される。
【0043】
水平方向角度列41dには、ブレードを周方向から撮像する際の水平方向位置を定めるための水平方向角度の情報が格納される。ここで、「水平方向角度」とは、ブレード71a~71cの中央軸(回転軸)を中心として、ナセル方位角の基準角度から平面視で時計回りに所定角度移動させた点の相対角度情報であり、ブレード型式に対応して予め設定されている。ナセル方位角列41eには、風車70におけるハブ先端部中心74a(
図9参照)の向きで示される方位をナセル全体が示す方位としたナセル方位角が格納される。このナセル方位角は、0°から359°の範囲内の角度情報で指定される。
【0044】
図4は、風車関連テーブル42の説明図である。
図4に示す風車関連テーブル42は、ブレード71a,71b,71c(
図1参照)や風車70(
図1参照)に関する情報が格納されたデータテーブルである。
図4に示すサイト列42aには、風車70が設けられているサイトの識別情報が格納される。号機列42bには、風車70の号機情報である所定の番号が格納される。風車の型式列42cには、風車70の型式を示す情報が格納される。
【0045】
ブレードナンバー列42dには、風車70の型式に属する全てのブレード(例えば、ブレード71a,71b,71c:
図1参照)の個体識別情報が格納される。ブレード型式列42eには、ブレードの個体識別情報に対応するブレードの型式を示す情報が格納される。ブレード長さ列42fには、ブレード型式に対応するブレードの長手方向の長さが格納される。風車の中心位置(緯度)列42g及び風車の中心位置(経度)列42hには、風車70の中心位置の緯度・経度が格納される。
【0046】
ハブ高さ列42kには、地盤面から風車70のハブ中心までの高さ情報が格納される。オフセット量列42mには、風車70の平面視での中心位置から点検対象のブレードの中央軸(回転軸)までの距離情報が格納される。起点位置(緯度)列42n及び起点位置(経度)列42pには、ナセル方位角の基準角度で定まる、風車70の平面視での中心位置から所定のオフセット量だけ水平方向に移動した点の位置情報が格納される。
【0047】
図4に示す風車関連テーブル42において、サイト列42a及び号機列42bの各情報は、前記した入力情報テーブル41(
図3参照)のサイト列41a及び号機列42bの各情報に対応している。そして、入力情報テーブル41(
図3参照)と風車関連テーブル42とを紐付ける際のキーとして、サイト及び号機の情報が用いられるようになっている。例えば、入力情報テーブル41(
図3参照)で所定のサイト及び号機が指定された場合、風車の型式が特定され、このサイト及び号機に対応する情報であるハブ高さと起点位置(緯度、経度)が風車関連テーブル42から抽出される。
【0048】
図5は、水平方向角度テーブル43の説明図である。
図5に示す水平方向角度テーブル43は、風車70のブレードを周方向から撮像する際の水平方向位置を定めるための水平方向角度を示すデータテーブルであり、風車70のブレード型式に基づいて設定されている。
図5に示すブレード型式列43aには、ブレードの型式を示す情報が格納される。回転情報列43bには、飛行体10の回転情報が格納される。ここで、「回転情報」とは、飛行体10が前記飛行目的位置に移動した後、撮像装置14の向きが前記起点位置となるように設定した所定の方位を基準とする飛行体10(
図1参照)の水平方向の回転角を示す情報である。この「回転情報」は、飛行体10が飛行目的位置に移動後に飛行体10の姿勢制御情報として用いられる。水平方向角度列43cには、ブレードを周方向から撮像する際の飛行目的位置(X座標、Y座標)を定めるための水平方向角度の情報が格納される。
【0049】
飛行目的位置X(緯度)列43d、飛行目的位置Y(経度)列43eには、ナセル方位角の基準角度における飛行目的位置(X座標、Y座標)の緯度・経度の情報が格納される。
【0050】
水平方向角度テーブル43のブレード型式列43aの情報は、前記した風車関連テーブル42(
図4参照)のブレード型式列42e(
図4参照)の情報に対応している。そして、風車関連テーブル42(
図4参照)と水平方向角度テーブル43とを紐付ける際のキーとして、ブレード型式の情報が用いられるようになっている。例えば、入力情報テーブル41(
図3参照)で所定のサイト、号機、水平方向角度が指定された場合、風車関連テーブル42(
図4参照)に基づいて風車の型式及びブレード型式が特定され、さらに、ブレード型式と水平方向角度に基づいて、水平方向角度テーブル43から回転情報、水平方向角度、飛行目的位置X(緯度)、飛行目的位置Y(経度)の各値が抽出される。
【0051】
図6は、高さ位置テーブル44の説明図である。
図6に示す高さ位置テーブル44は、点検対象のブレードを撮像する際の鉛直方向の高さ位置を示すデータテーブルである。詳細については後記するが、本実施形態では、点検対象のブレード(例えば、ブレード71a:
図1参照)の先端が鉛直上向きとなる配置で当該ブレードを停止させた状態で撮像を行うようにしている。
【0052】
図6に示すブレード型式列44aには、ブレード型式の情報が格納される。高さ位置列44bには、ブレード型式に対応した、風車70のハブ中心の高さ位置を基準(Z=0)とした場合での、ブレードの鉛直方向における高さ位置の情報が格納される。離間距離列44cには、撮像装置14(
図1参照)がブレードを撮像する際、このブレードに対して前記した高さ位置ごとに撮像装置14の焦点が合う範囲内の水平方向の離間距離が格納される。
【0053】
高さ位置テーブル44において、ブレード型式列44aの情報は、前記した風車関連テーブル42(
図4参照)のブレード型式列42e(
図4参照)の情報に対応している。そして、風車関連テーブル42(
図4参照)と高さ位置テーブル44とを紐付ける際のキーとして、ブレード型式の情報が用いられるようになっている。例えば、入力情報テーブル41(
図3参照)で所定のサイト及び号機が指定された場合、風車関連テーブル42(
図4参照)に基づいてブレード型式が特定され、さらに、高さ位置テーブル44から、ブレード型式に対応する高さ位置、離間距離の各値が抽出される。
【0054】
図7は、飛行目的位置管理テーブル45の説明図である。
図7に示す飛行目的位置管理テーブル45は、飛行目的位置を含むデータテーブルである。
図7の紙面下側に示すように、飛行目的位置管理テーブル45には、基準データと、変更反映データと、が含まれている。
【0055】
図7に示す「基準データ」とは、風車70(
図9参照)のナセル方位角が基準角度の場合での回転情報・水平方向角度・飛行目的位置を含む情報である。
図7の例では、前記した基準角度β
0を0°とした際のナセル方位角列45a、回転情報列45b、水平方向角度列45c、飛行目的位置X(緯度)列45d、飛行目的位置Y(経度)列45e、及び飛行目的位置Z(高度)列45fの各値が「基準データ」に含まれている。
【0056】
また、「変更反映データ」とは、ナセル方位角が基準角度から変更された場合での回転情報・水平方向角度・飛行目的位置を含む情報である。
図7の例では、ナセル方位角列45g~飛行目的位置Z列45pの各値が「変更反映データ」に含まれている。なお、ナセル方位角の変更については後記する。
【0057】
飛行目的位置管理テーブル45の「基準データ」に含まれる回転情報列45b、水平方向角度列45c、飛行目的位置X(緯度)43d、飛行目的位置Y(経度)43eの各値は、水平方向角度テーブル43(
図5参照)の回転情報列43b、水平方向角度列43c、飛行目的位置X(緯度)列43d、飛行目的位置Y(経度)列43eの各値に対応している。飛行目的位置Z(高度)列45fの各値は、風車関連テーブル42のハブ高さに高さ位置テーブル44(
図6参照)の高さ位置列44bの各値を加算して、所定の変換規則により高度情報として算出される。これは撮像対象のブレードが鉛直上向きの位置に配置されることを想定しているためである。また、撮像対象のブレードを鉛直下向きに配置する場合は、ハブ高さから高さ位置テーブル44(
図6参照)の高さ位置列44bの各値を減算して高度情報が算出される。点検対象のブレード配置を「鉛直上向き」又は「鉛直下向き」の何れにするかはユーザの運用方針により決定する。
なお、ここまでは、水平方向角度テーブル43(
図5参照)と飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)において、飛行目的位置を風車情報データベース33aで管理する方法を示したが、風車情報データベース33aで管理する情報を極力少なくする方法でも対応することが可能である。この場合、風車関連テーブル42(
図4参照)の管理情報はオフセット量列42mまで、水平方向角度テーブル43(
図5参照)の管理情報は水平方向角度列43cまでとなり、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)は不要となる。具体的には、ナセル方位角の基準角度、点検対象のブレード配置を予め決めておき、入力情報である「サイト、号機、ブレードナンバー、水平方向角度、ナセル方位角(現在角度)」に基づいて、風車情報データベース33aから飛行目的位置を算出するために必要な情報である「回転情報、高さ位置、離間距離、風車の中心位置(緯度、経度)、ハブ高さ、オフセット量」を制御装置30の処理部32が抽出する。そして、処理部32は、風車の中心位置(緯度、経度)、オフセット量、ナセル方位角(現在角度)から起点位置を算出し、ナセル方位角の角度変化量(基準角度から現在角度までの変化量)を算出し、前記角度変化量を前記抽出した回転情報、水平方向角度に反映して補正し、補正後の水平方向角度における飛行目的位置(緯度、経度)を算出する。さらに、処理部32は、ハブ高さと高さ位置から飛行目的位置(高度)を算出する。そして、処理部32は、算出した全ての飛行目的位置(緯度、経度、高度)を撮像開始位置から撮像終了位置まで順番に並べた飛行ルートを作成し、前記飛行ルートとそれぞれの飛行目的位置に対応する回転情報と水平方向角度を、記憶部33に設けた一時記憶領域から飛行体10の記憶部18に送信する。この方法によれば、制御装置30の処理部32の計算機会が増えることになるが、風車情報データベース33aで管理する情報を極力少なくできる。
次に、
図1の風車情報データベース33a(つまり、
図3~
図7の各テーブル)の情報について、さらに詳細に説明する。
【0058】
図8は、風車70の中心位置と水平方向の角度の考え方に関する説明図である。
風車70の中心位置(平面視でのタワー72の中心位置)は、風車70の立地位置のタワー接地面の中心位置を(緯度,経度)で表したものである。また、水平方向の角度については、方位角(真北を0°として時計回りに振った角度)の考え方が用いられ、東西方向をX軸方向、南北方向をY軸方向と定義する。
図8の例では、風車70の中心位置のX座標・Y座標の各値が、(X0,Y0)と表されている。
【0059】
図9は、風車70のオフセット量δに関する説明図である。
図9に示すオフセット量δは、風車70の中心位置(平面視でのタワー72の中心位置)からブレード71a~71cの中央軸(回転軸)までの水平方向の離間距離である。このオフセット量δは、風車70の型式及びブレード型式に対応付けられ、風車関連テーブル42(
図4参照)に予め格納されている(
図4のオフセット量列42mを参照)。オフセット量δは、起点位置の特定に用いられる。
【0060】
図10は、風車70の起点位置とナセル方位角に関する説明図である。
なお、起点位置とは、平面視において、風車70の中心位置からブレードの中央軸まで水平方向にオフセットした位置である。つまり、起点位置とは、風車70のブレード71a~71cの撮像する際の飛行目的位置を設定する際の起点(基準)となる位置であり、点検対象のブレードの中央軸はこの点を通る。
ナセル方位角は、真北から前記風車のブレードを鉛直上向き又は鉛直下向きに配置した前記ブレードの中央軸まで、時計回りに水平方向に回転した角度を示す。なお、
図10に示す符号Wは平面視でのナセル及びハブの簡略図を示し、ハブ先端部中心74a(
図9参照)が、風車70の中心位置と前記起点位置を結ぶ線の延長線上にあることから、風車70のハブ先端部中心74a(
図9参照)の向きで示される方位をナセル全体の向きとしてナセル方位角で表している。
また、ナセル方位角には、後記する水平方向角度を決める際の基準とするために基準角度β
0を定める。
図10の例では、ナセル方位角の基準角度β
0を方位角0°に設定し、平面視において、風車70の中心位置(X0,Y0)から所定のオフセット量δだけ水平方向にオフセットした位置(X0,Y0+δ)に起点位置(X0
*,Y0
*)が設定されている。また、オフセット量δは、風車70の中心位置(X0,Y0)からブレード71a~71cの中央軸(回転軸)までの距離の値に設定される。
図10の例ではナセル方位角の基準角度β
0を方位角0°に設定しているが、基準角度は0°に限定されない。基準角度を0°以外に設定する場合は、風車70の中心位置(X0,Y0)からオフセット量δを半径として形成する仮想的な円(
図10の破線で示す円)と基準角度とで定まる前記仮想的な円周上の位置に起点位置(X0
*,Y0
*)が設定される。
【0061】
図11は、離間距離Lと撮像範囲に関する説明図である。
図11に示すように、撮像装置14は、レンズ14aと、イメージセンサ14bと、を備えている。レンズ14aは、光を屈折させてイメージセンサ14bに集束させる光学素子である。イメージセンサ14bは、レンズ14aを介して入射する光を光電変換し、撮像データを生成する。撮像範囲は、撮像装置14で撮像可能な範囲であり、離間距離Lで定まる
図11のXとYで構成される。
【0062】
離間距離Lは、撮像装置14が風車70の点検対象のブレードを撮像する際にブレードに対して撮像装置14の焦点が合う範囲内で設定される起点位置から水平方向への所定の離間距離である。なお、離間距離Lを算出する際のXY平面上の基準位置(原点)として、前記した起点位置のデータが用いられる。離間距離Lは、撮像装置14の性能(レンズ14a、イメージセンサ14b、焦点距離、画角等)に基づき、ブレードを撮像する際にブレードに対して撮像装置14の焦点が合う範囲内で予め設定されている。本実施形態では、高さ位置テーブル44(
図6参照)において、ブレード型式及び高さ位置ごとに所定の離間距離Lが対応付けられている。
【0063】
なお、風車70のブレード71a,71b,71c(
図1参照)の長さは、数十メートルに及ぶことが多い。したがって、所定のブレードを撮像装置14で撮像する際には、ブレードの基端(根元)から先端までを複数に分割して撮像するようにしている。また、ブレード形状の特徴として、先端に向かうほど幅が狭くなる。ブレードの基端(根元)付近では、水平方向角度によってはナセルと飛行体10が接触する恐れがあるため、接触が起きないように離間距離Lが長めに設定される。また、ブレードの幅が狭い先端付近では、撮像装置14とブレードとの距離が基端(根元)に比べて離れてしまうため、離間距離Lが短めに設定される。このように、ブレードの形状に合わせて、鉛直方向の各高さ位置において、撮像装置14の焦点が合う範囲内で離間距離Lが適宜に設定される。そして、各高さ位置に対応する離間距離Lが、高さ位置テーブル44(
図6参照)に予め記憶されている。
【0064】
図12は、円軌道R1に関する説明図である。
図12に示す円軌道R1は、起点位置(X0
*,Y0
*)からの水平方向の距離が所定の離間距離Lとなる点の集合である。つまり、円軌道R1は、起点位置(X0
*,Y0
*)を中心とする、水平方向の半径の長さが離間距離Lの仮想的な円である。前記したように、離間距離は、撮像装置14(
図11参照)の焦点が合う範囲内で設定される。したがって、ブレードを撮像する際の飛行目的位置(X座標、Y座標)が円軌道R1上にある場合、どの方向からでもブレードに対して焦点が合うようになっている。前記したように、各高さ位置によって、離間距離Lが異なっている(
図6参照)。したがって、円軌道R1の半径(つまり、離間距離L)も鉛直方向での高さ位置によって異なる値になる。
【0065】
図13は、水平方向角度αと水平方向位置の考え方に関する説明図である。
なお、
図13では一例として、ある高さ位置のブレード71aの水平面において、水平方向角度αを5方向(α1からα5)に設定した事例を示している。前記したように、撮像装置14(
図2参照)が撮像対象のブレードを全周方向で撮像漏れが生じないように、所定のサイドラップ率(周方向で隣り合う画像との重複度)に基づいて、複数の水平方向角度αが設定される。水平方向角度αを設定する際には、ナセル方位角βが基準角度β
0に設定されているものする。
図13の例では、ナセル方位角βは、基準角度β
0=0°に設定されている。
この水平方向角度αは、ナセル方位角βが前記基準角度β
0から変更され、それに伴いブレードの位置が変更したとしても、変更後のブレードに対して同じ水平方向角度を保持する必要があることから、ナセル方位角βからの相対角度として設定されている。
図13において、水平方向角度αは「α(絶対角度)=ナセル方位角β+Δα(相対角度)」であり、ナセル方位角βの関数となっている。したがって、ナセル方位角の変更に伴い、水平方向角度αも変更になる。ナセル方位角の変更については後述する。水平方向角度αはブレード型式に対応付けて、ナセル方位角の基準角度における水平方向角度(絶対角度)が水平方向角度テーブル43(
図5参照)に予め格納されている。
具体的には、前記高さ位置における水平面において、前記起点位置(X0
*,Y0
*)から水平方向への所定の離間距離を半径とする円軌道が制御装置30によって形成される。そして、前記起点位置において、真北から前記ナセル方位角の基準角度β
0分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分が「基準線」として設定される。この基準線からn番目の前記水平方向角度分だけ時計回りに回転して形成する中心角の位置から、前記円軌道との交点まで延伸する線分が「第nの線分」として設定される。制御装置30は、各水平方向角度に対応する前記円軌道との交点(第nの点)を前記起点位置からの相対位置である水平方向位置として算出する。
【0066】
図13では、円軌道R1において水平方向角度α1からα5で定まる交点のX座標・Y座標を水平方向位置である第一の点(X1,Y1)から第五の点(X5,Y5)として表している。水平方向角度αは、起点位置(X0
*,Y0
*)を中心として、水平面上の前記基準線と、水平方向角度分だけ時計回りに回転した中心角の位置から前記円軌道との交点である第nの点まで延伸する直線を示す第nの線分とがなす交角の角度で表される。
図13において、例えば第一の線分は、起点位置(X0
*,Y0
*)を中心に所定の離間距離Lを半径とする円軌道R1上におけるナセル方位角0°の第一の点(X1,Y1)と、起点位置(X0
*,Y0
*)と、を結ぶ線分である。
本実施形態では、水平方向角度テーブル43(
図5参照)の水平方向角度列43c(
図5参照)に示すように、円軌道R1における複数の水平方向角度(例えば、5つの水平方向角度)からブレード71aを撮像するようにしている。また、前記したように点検時のブレード配置は「鉛直上向き」または「鉛直下向き」の何れかとなるため、どちらを選択しても対応できるように、共通の水平方向角度として設定されている。
【0067】
図14A、
図14Bは、回転情報に関する説明図である。
前記したように、回転情報θは、飛行体10(
図2も参照)が飛行目的位置に移動した後、撮像装置14(
図2も参照)の向きが起点位置となるように前記飛行体の姿勢制御を行うための、所定の方位を基準とする飛行体10の水平方向の回転角を示す情報である。したがって、回転情報θは水平方向角度αの関数となっている。
図14Aの例では、水平方向角度α2に対応する円軌道R1上の第二の点(X2,Y2)に飛行体10が移動後に撮像装置14の向きが起点位置となるように姿勢制御を行う様子を示している。撮像装置14の向きと飛行体10の向きで想定されるものは、
図14Bに示すように撮像装置14の向き(矢印A)と飛行体10(矢印B)の向きが同じ場合、または、互いに向きが異なる場合の何れかとなり、何れの場合も、回転情報θ=水平方向角度α+所定角度で表せる。これらの水平方向角度や回転情報は、飛行目的位置情報に対応付けて、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に予め記憶されている。
【0068】
図15は、点検時のブレードの配置に関する説明図である。
なお、
図15に示す「GL」(Ground Line)は、タワー72の接地面である地盤面を示している。また、起点位置(X0
*,Y0
*)は、前記したように、風車70を平面視した場合のタワー72の中心位置から水平方向にオフセットした位置のX座標・Y座標の値である。この起点位置(X0
*,Y0
*)については、Z方向の位置は特に指定されないものとする。前記したように点検時のブレード配置は「鉛直上向き」または「鉛直下向き」の何れかとなる。本実施形態では、ナセル方位角で示す方向に、「鉛直上向き」または「鉛直下向き」に固定配置された点検用ブレードの中央軸があることが前提となっている。
【0069】
本実施形態では、点検対象のブレード(
図15の例では、ブレード71a)が鉛直上向きとなる位置でブレードが回転しないように固定している。つまり、破線枠P1で示すように、点検対象のブレード71aの先端の高さ位置が最も高くなる状態でブレード71a~71cが止められる。そして、ブレード71a~71cが止められた状態で、撮像装置14(
図2参照)が点検対象のブレード71aを撮像するようにしている。これにより、ブレード71a~71cを回転させながら撮像する場合に比べて撮像時にブレが生じにくくなる他、撮像装置14(
図2参照)が点検対象のブレードに接近した状態で撮像できるため、高精度な画像情報を得ることができる。
【0070】
なお、ブレード71a~71cを止める操作は、制御装置30からの指令で行われてもよく、また、作業員が風車70を所定に操作することで行われてもよい。例えば、ブレード71a(
図4のブレードNo.Aに対応)が点検対象である場合には、このブレード71aが鉛直上向きの状態で止められる。点検対象のブレードを所定位置で止めることはブレードの撮像を開始する前段階で行われる。
【0071】
また、ブレード71a~71c(
図4のブレードNo.A,B,C)の全てが点検対象である場合には、ブレード71aの撮像後に他のブレード71bが鉛直上向きの状態で止められ、さらに、ブレード71bの撮像後に他のブレード71cが鉛直上向きの状態で止められる。このように、所定のブレードが鉛直上向きとなるように停止させた状態で撮像を行うという処理が順次に繰り返される。
【0072】
図16は、高さ位置に関する説明図である。
図16の例では、点検対象のブレード71aに関して、鉛直方向で6つの高さ位置Z1~Z6が設定される場合を示している。高さ位置Z1~Z6は、点検対象のブレード71aを鉛直上向きの状態で止めた場合において、ハブ中心の高さ位置を基準(Z=0)とする高さ位置を示している。これらの高さ位置Z1~Z6は、ブレード型式に対応付けて、高さ位置テーブル44(
図6参照)に予め格納されている。
【0073】
例えば、点検対象のブレード71aの基端(根元)付近を撮像する際には、高さ位置Z1の値(ハブ中心からの鉛直方向の距離)をハブ高さに加算することで、高さ位置Z1の実際の高さ位置が算出される。このように、制御装置30(
図1参照)は、風車70の立地している位置において撮像対象とするブレード71aの向きを鉛直上向きに設定した際の、前記した実際の高さ位置に基づいて高度情報を算出する。また、ブレード配置を鉛直下向きに設定した際の高さ位置は、ハブ高さから減算することで実際の高さ位置が算出され、この高さ位置に基づいて高度情報を算出する。すなわち、制御装置30(
図1参照)は、風車70の立地している位置において撮像対象とするブレードを鉛直上向きまたは鉛直下向きに設定し、起点位置にハブ高さと高さ位置を加算または減算して高度情報を算出する。
【0074】
そして、制御装置30は、高度情報及び水平方向角度で定まる水平方向位置に基づいて、高精度測位情報(飛行目的位置の緯度・経度の情報)を所定の配信システム(図示せず)やRTKベースステーション(図示せず)から取得する。なお、飛行目的位置には、RTK-GNSS測位に基づく高精度測位情報である飛行目的位置の緯度・経度の情報と、飛行目的位置の高度情報と、が含まれている。このように、制御装置30は、前記した高度情報において水平方向角度で定まる円軌道R1上の所定位置をRTK-GNSS測位により高精度測位情報として取得する。
【0075】
図16の例では、ブレード71aを含む縦長矩形状の範囲Q1が鉛直方向で6等分されることで、計6つの矩形状の撮像範囲(
図11参照)が設定されている。これらの撮像範囲の中心に鉛直方向での高さ位置Z1~Z6が設定されている。なお、所定のオーバーラップ率(鉛直方向で隣り合う画像の重複度)等に基づいて、撮像範囲が鉛直方向で部分的に重複するようにしてもよい。これによって、鉛直方向での撮像漏れを防止できる。
【0076】
図17は、ナセル方位角の変更に伴う水平方向角度及び飛行目的位置の変更に関する説明図である。
図17の例では、ナセル方位角βが、基準角度であるβ
0=0°からβ
*=90°に変更された場合を示している。風車は発電を行う際に風車の正面側の方位(ナセル方位角)を風向に対向するように合わせる必要がある等の理由により、
図17に示すナセル方位角βは、作業員による操作で適宜に変更できるようになっている。
【0077】
ナセル方位角の変更に伴い固定されたブレードの位置も変わるため、ナセル方位角からの相対角度である水平方向角度αと、水平方向角度の関数である回転情報θが変更になる。制御装置30(
図1参照)は風車情報データベース33aから前記した基準データ(
図7参照)を抽出する。基準データの抽出後、制御装置30は、この変更によるナセル方位角の角度変化量Δβ(Δβ=β
*-β
0)を算出し、この角度変化量Δβを前記した基準データの回転情報θと水平方向角度αに反映して補正する。補正後の回転情報と水平方向角度の値を回転情報θ
*、水平方向角度α
*とする。そして、制御装置30は、補正後の水平方向角度α
*における全ての飛行目的位置(X
*,Y
*,Z)を算出する。飛行目的位置は所定の変換規則に基づいて、飛行空間の座標系における飛行目的位置を示す「X(緯度),Y(経度),Z(高度)」として算出する。このようにして、ナセル方位角が変更された場合の変更反映データ(
図7参照)が生成され、変更反映データが飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に格納される。
【0078】
図18は、ナセル方位角の変更に伴う処理のフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
ステップS101において処理部32は、入力情報テーブル41(
図3参照)のナセル方位角βを変更する。変更後のナセル方位角βの値は、入出力部31(
図1参照)から取得する。
【0079】
ステップS102において処理部32は、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)からナセル方位角の基準角度β
0における基準データを抽出する。
ステップS103において処理部32は、ナセル方位角の角度変化量(Δβ)を算出する。
【0080】
ステップS104において処理部32は、算出した角度変化量Δβを基準データの回転情報、水平方向角度に反映して補正する。
ステップS105において処理部32は、補正後の水平方向角度における全ての飛行目的位置を算出し変更反映データとする。
【0081】
ステップS106において処理部32は、変更反映データを飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に格納する。つまり、処理部32は、変更後のナセル方位角β
*をナセル方位角列45g(
図7参照)に格納する他、変更後の回転情報・水平方向角度・飛行目的位置(X,Y,Z)を飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に適宜に格納する。なお、Z方向における飛行目的位置については、ナセル方位角βの変更前・変更後で共通である。したがって、変更反映データにおける飛行目的位置Z(高度)(
図7参照)は、基準データにおける飛行目的位置Z(高度)(
図7参照)と同一の値になる。ステップS106の処理を行った後、処理部32は、ナセル方位角βの変更に関する一連の処理を終了する(END)。
【0082】
図19は、飛行ルートの設定に関する説明図である。
なお、
図19の例では、点検対象(つまり、撮像対象)がブレード71aである場合を示している。前記したように、複数の水平方向角度からブレード71aが撮像される。例えば、ブレード型式がTYPE-A(
図5参照)である場合、水平方向角度α1~α5(
図5参照)のそれぞれで撮像が行われるようにしてもよい。このように複数の水平方向角度でブレード71aを撮像する際、処理部32は、次のような処理を行う。
【0083】
まず、処理部32は、入力情報テーブル41(
図3参照)のナセル方位角βの値に基づいて、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)から基準データ又は変更反映データを抽出する。例えば、ナセル方位角βの現在角度が基準角度β
0である場合には、基準データが読み込まれる。
【0084】
そして、所定の水平方向角度α1(
図5参照)でブレード71aを撮像する際、処理部32は、飛行体10が撮像を開始する水平方向角度であるα1の飛行目的位置(X1,Y1,Z1)に移動し、
図19の「往路」で示すように、ブレード71aの基端から先端に向かって飛行し、ブレードの鉛直方向の各飛行目的位置(X1,Y1,Z1)・・・(X1,Y1,Z6)の順に撮像が行われるようにする。次に、水平方向角度α1から次の水平方向角度α2の同じ高さ位置の飛行目的位置(X2,Y2,Z6)に向かって角度間を飛行し、水平方向角度α2において、
図19の「復路」で示すように、ブレード71aの先端から基端に向かって飛行し、ブレードの鉛直方向の各飛行目的位置(X2,Y2,Z6)・・・(X2,Y2,Z1)の順に撮像が行われるようにする。つまり、所定の水平方向角度における「往路」と、次の水平方向角度における「復路」とで、鉛直方向の高さ位置の並び順が互いに逆になるように撮像順が設定されている。このように、制御装置30(
図1参照)は、撮像対象のブレードについて、鉛直方向で異なる高さ位置において複数の飛行目的位置を設定する場合、撮像する順番に従って飛行目的位置を設定し、これら全ての飛行目的位置を撮像する順番に通過する飛行ルートを作成する。これによって、点検対象のブレードを漏れなく効率的に撮像できる。
【0085】
図20は、飛行ルートの飛行目的位置設定に関する説明図である。
なお、
図20において太枠線で囲んだ最上段は撮像開始位置を示し、太枠線で囲んだ最下段は撮像終了位置を示している。前記したように、
図20に示す水平方向角度α1では「往路」の撮像順で撮像が行われ(
図19も参照)、水平方向角度α2では「復路」の撮像順で撮像が行われる(同図参照)。これは、水平方向角度の変更時に、飛行体10が効率よく飛行するために、例えば
図20の符号Cで示すような水平方向角度の変更点において、同じ高さ位置の飛行目的位置を次の飛行目的位置とするように設定されているためである。
【0086】
そして、複数の飛行目的位置が撮像開始位置から撮像終了位置まで順次に連結されたデータが、飛行体10(
図2参照)の飛行ルートとして設定される。
【0087】
<処理部等における処理>
図21A、
図21Bは、ブレードの点検に関する処理のフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
図21AのステップS201において処理部32は、入出力部31を介して、風車情報データベース33aの入力情報テーブル41(
図3参照)から入力情報を取得する。前記したように、入力情報には、サイト、号機、ブレードナンバー、水平方向角度、及びナセル方位角の情報が含まれている。すなわち、制御装置30の処理部32は、風車の立地場所を示すサイト情報と、風車の個体識別情報を示す号機情報と、ブレードを撮像する際の全ての水平方向角度と、ブレードを鉛直上向き又は鉛直下向きに配置した場合において真北からブレードの中央軸まで時計回りに水平方向に回転した角度を示すナセル方位角情報と、を入出力部31を介して取得する。
【0088】
例えば、プロペラ式風車の場合には、バランスを考慮して、3枚のブレード71a~71cを同一のブレード型式で構成されたものが主流になっている。このようなプロペラ式風車において、全てのブレードが点検対象に指定されてもよく、また、3枚のうちの特定のブレードが点検対象に指定されてもよい。全てのブレードが指定される場合には、ブレードナンバーとして、例えば、「null,null,null」というデータが入力される(
図3参照)。また、特定のブレード(例えば、
図4のブレードNo.A)が指定される場合には、「1,null,null」というデータが入力される。
【0089】
水平方向角度については、例えば、最大で5つの方向(
図5の水平方向角度α1~α5)に設定することが可能である。ユーザは、全ての水平方向角度(5つの方向)を指定してもよく、また、5つの方向のうちの特定の水平方向角度を指定してもよい。全ての水平方向角度が指定される場合には、水平方向角度として、例えば、「null,null,null,null,null」というデータが入力される(
図3参照)。また、特定の水平方向角度(例えば、水平方向角度α1、α3、α5の計3つ)が指定される場合には、「1,null,1,null,1」といったデータが入力される。
【0090】
次に、ステップS202において処理部32は、入力情報に基づいて、風車情報データベース33aからブレード点検に用いる所定の関連情報を抽出する。具体的には、ユーザの入力操作で風車70のサイト及び号機が指定された場合、処理部32は、風車関連テーブル42(
図4参照)を参照して、風車70の型式、ブレード型式、ハブ高さ、起点位置、オフセット量等を抽出する。そして、処理部32は、ブレード型式に基づいて、水平方向角度テーブル43(
図5参照)から回転情報、水平方向角度、飛行目的位置X(緯度)、飛行目的位置Y(経度)の各値を抽出する。さらに、処理部32は、高さ位置テーブル44(
図6参照)から高さ位置、離間距離を抽出する。
【0091】
このように、点検対象のブレードを撮像する前段階において、制御装置30は、入出力部31を介して取得したサイト情報及び号機情報を検索キーとして、風車情報データベース33aから風車70の型式及びブレード型式を特定し、風車70の型式に対応するハブ高さと起点位置とを抽出し、ブレード型式に対応する高さ位置と、離間距離と、ナセル方位角の基準角度に対応する回転情報と、水平方向角度と、飛行目的位置と、を抽出する。なお、高さ位置及び離間距離の各値は、高さ位置テーブル44から抽出される。そして、制御装置30は、高さ位置及び離間距離に基づいて、飛行目的位置Z(高度)を算出する。これらのうち、回転情報、水平方向角度、飛行目的位置X(緯度)、飛行目的位置Y(経度)、飛行目的位置Z(高度)の情報が、ナセル方位角の基準角度における「基準データ」として、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に格納される。入出力部31から取得したナセル方位角が基準角度と異なる場合(β≠β
0)、制御装置30は、ナセル方位角の角度変化量を算出し、前記角度変化量を回転情報、水平方向角度に反映して補正し、補正後の水平方向角度における全ての飛行目的位置を算出する。算出した結果はナセル方位角の現在角度における「変更反映データ」として飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)に格納される。
【0092】
ステップS203において処理部32は、点検対象のブレードナンバーを読み込む。全てのブレードが指定されている場合、例えば、ブレードNo.A→B→Cのように点検順序が設定される。また、ブレードNo.A等の特定のブレードが指定された場合、このブレードが点検対象ブレードとして設定される。
【0093】
次に、
図21BのステップS204において処理部32は、入力情報テーブル41のナセル方位角βが基準角度であるか否かを判定する。ナセル方位角βが基準角度である場合(S204:Yes)、処理部32の処理はステップS205に進む。
ステップS205において処理部32は、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)から基準データを読み込んで、ステップS207の処理に進む。また、ステップS204においてナセル方位角βが基準角度でない場合(S204:No)、ステップS206において処理部32の処理は、飛行目的位置管理テーブル45(
図7参照)から変更反映データを読み込んで、ステップS207に進む。
【0094】
ステップS207において処理部32は、飛行ルートを作成する。すなわち、処理部32は、飛行目的位置を撮像開始位置から撮像終了位置まで順次に連結したデータを飛行ルートとして設定する。
【0095】
ステップS208において処理部32は、飛行ルートを含むデータを飛行体10に送信する。具体的には、制御装置30は、撮像装置14が風車70のブレードを撮像する際の飛行体10の飛行制御情報として、全球測位衛星システムの高精度測位情報と高度情報に基づく飛行体10の飛行目的位置と、飛行体10の姿勢制御情報を示す回転情報と、を含むデータを飛行体10に送信する(送信ステップ)。なお、前記したデータに撮像装置14の水平方向角度が含まれるようにしてもよいが、水平方向角度は必須ではなく、適宜に省略可能である。回転情報は各飛行目的位置において、撮像装置14の向きが起点位置となるように設定されており、飛行体10の姿勢制御情報として回転情報を用いるためである。
【0096】
なお、制御装置30からコントローラ(図示せず)を介して飛行体10に所定のデータが送信される処理も、「制御装置30から飛行体10にデータが送信される」という事項に含まれるものとする。制御装置30から送信された飛行ルートの情報は、飛行体10の記憶部18に格納される。
【0097】
ステップS209において処理部32は、点検対象ブレードを鉛直上向き(または鉛直下向き)の位置で固定されていることを確認する。なお、この確認は、風車70を作業員が操作することで、点検対象ブレードが所定位置で固定されるようにしてもよい。なお、ステップS201~S209の処理(
図21A、
図21B参照)は、風車70のブレード71a~71cが撮像される際の前段階として行われる。
【0098】
ステップS210において飛行体10は、制御装置30から飛行目的位置と回転情報とを含むデータを取得し、飛行ルートに従って各飛行目的位置に自動飛行する。そして、各飛行目的位置において、飛行体10は、回転情報に基づいて飛行体10を回転させて姿勢制御を行い、撮像装置14により点検対象のブレードを撮像する。
【0099】
ステップS211において、制御装置30は、飛行体10から撮像結果の画像情報を受信する。画像情報は、記憶部18から記憶媒体を介してPC等に保存された後、ネットワークを経由して制御装置30に送信される。
ステップS212において、制御装置30は、受信した画像情報を画像情報データベース33bに記憶する。
【0100】
次に、
図21AのステップS213において処理部32は、他に点検対象のブレードが存在するか否かを判定する。他に点検対象のブレードが存在する場合(S213:Yes)、処理部32の処理はステップS203に戻る。そして、処理部32は、他の点検対象のブレードについても点検(つまり、ブレードの撮像)が行われるようにする。また、ステップS213において点検対象のブレードが他に存在しない場合(S213:No)、処理部32は、一連の処理を終了する(END)。
【0101】
<画像情報データベース>
図22は、画像情報データベース33bの説明図である。
図22に示す画像情報データベース33b(
図1も参照)は、前記したように、ブレードの撮像結果である画像情報が、ブレード関連情報及び撮像条件に対応付けたデータベースである。ここで、「ブレード関連情報」とは、点検対象のブレードを特定するための情報であり、
図22に示すサイト列331、号機列332、及びブレードナンバー列333の情報を含んでいる。サイト列331には、風車70(
図1参照)の立地しているサイトの識別情報が格納される。号機列332には、風車70の号機情報が格納される。ブレードナンバー列333には、点検対象のブレードの個体識別情報が格納される。
【0102】
また、前記した「撮像条件」とは、各画像情報に対応する飛行目的位置における撮像条件を特定するための情報である。「撮像条件」は、
図22に示す水平方向角度列334と、飛行目的位置X(緯度)列335と、飛行目的位置Y(経度)列336と、飛行目的位置Z(高度)列337と、を含んでいる。水平方向角度列334には、各飛行目的位置の水平方向角度が格納される。飛行目的位置X(緯度)列335、飛行目的位置Y(経度)列336、及び飛行目的位置Z(高度)列337には、各飛行目的位置の緯度・経度・高度の各値が格納される。
【0103】
図22の画像情報データベース33bにおける撮像日時列338には、撮像装置14(
図2参照)がブレードを撮像したときの時刻情報が格納される。また、画像情報列339には、ブレードの撮像によって得られる画像情報が格納される。なお、画像情報が生成される際、
図22のサイト列331~撮像日時列338のうちの一部又は全部のテキストデータが撮像結果の画像情報に含まれるようにしてもよい。これによって、画像情報を見たユーザがブレード関連情報や撮像条件を把握しやすくなる。
【0104】
このように、制御装置30(
図1参照)は、飛行体10(
図1参照)から画像情報を取得し、記憶部33の画像情報データベース33b(
図1参照)に記憶させる。
【0105】
<効果>
本実施形態によれば、風車70のブレードを撮像する際の飛行体10の飛行制御情報として、飛行目的位置の他、飛行体10の姿勢制御情報として、回転情報を含むデータが制御装置30から飛行体10に送信される。これによって、飛行体10が各飛行目的位置に移動後に、撮像装置14の向きが起点位置となるように、回転情報に基づき飛行体10の姿勢制御を行うことで、点検対象のブレードを適切かつ高精度に撮像でき、ユーザは撮像された画像情報を見ることで、ブレードの状態を正確に把握できる。
【0106】
また、ブレードの点検時における飛行体10の水平方向角度や回転情報が、風車70の型式やブレードの型式に対応付けられ風車情報データベース33aに格納されている。これによって、風車情報データベース33aからブレードの型式に対応する情報を抽出して、ブレードの型式に合わせた撮像時の飛行ルートを速やかに作成することができる。
また、本実施形態では、点検対象のブレードを鉛直上向きの配置でブレードを停止させた状態で撮像を行うようにしている。これによって、ブレードを回転させながら撮像を行う場合に比べて、撮像装置14がブレードに接近した状態で撮像できるため、高精度な画像情報を得ることができる。また、周方向の複数の水平方向角度でブレードの撮像が行われるため、漏れなくブレードの撮像を行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、ブレードの画像情報が、ブレード関連情報と撮像条件に対応付けて、画像情報データベース33b(
図22参照)に格納される。これによって、ブレードの画像情報の管理が容易になるため、ユーザの管理負担を軽減できる。
【0108】
≪変形例≫
以上、本開示に係るブレード撮像システム100やブレード撮像方法について実施形態で説明したが、本開示はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、実施形態では、飛行体10と制御装置30との間でコントローラ(図示せず)を介して所定の情報の送受信が行われる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、飛行体10と制御装置30との間で、コントローラ(図示せず)を介さずに情報の送受信が行われるようにしてもよい。
また、制御装置30が、ブレードを撮像した画像情報に、サイト情報及び号機情報を含むブレード関連情報と、飛行目的位置と、当該飛行目的位置に対応する水平方向角度を含む撮像条件と、を対応付けて記憶媒体に記憶するようにしてもよい。画像情報は、記憶部18から記憶媒体を介してPC等に保存された後、ネットワークを経由して制御装置30に送信される。
【0109】
また、実施形態では、撮像対象のブレードが鉛直上向きとなる配置でブレードを停止させた状態で撮像が行われる場合について説明したが、これに限らない。例えば、撮像対象のブレードが鉛直下向きとなる状態でブレードが止められるようにしてもよい。このような処理でも、実施形態と同様の効果が奏される。
【0110】
また、実施形態では、風車70が地面に設けられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、洋上ウインドファーム等の風車のブレードを撮像する場合にも実施形態を適用できる。
また、実施形態では、風車70がプロペラ型である場合について説明したが、これに限らない。例えば、多翼型やオランダ型といったさまざまな種類の風車のブレードを撮像する場合にも実施形態を適用できる。
【0111】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 飛行体
14 撮像装置
18 記憶部(記憶媒体)
30 制御装置
31 入出力部
32 処理部
33 記憶部(記憶媒体)
33a 風車情報データベース
33b 画像情報データベース
41 入力情報テーブル
42 風車関連テーブル
43 水平方向角度テーブル
44 高さ位置テーブル
45 飛行目的位置管理テーブル
70 風車
71a,71b,71c ブレード
72 タワー
73 ナセル
74 ハブ
74a ハブ先端部中心
100 ブレード撮像システム
L 離間距離
R1 円軌道
S209 ステップ(送信ステップ)
【要約】
【課題】ブレードの状態を正確に把握することが可能なブレード撮像システム等を提供する。
【解決手段】撮像装置14を備える飛行体10と、制御装置30と、を含むブレード撮像システム100であって、制御装置30は、撮像装置14が風車70のブレード71a,71b,71cを撮像する際の飛行体10の飛行制御情報として、全球測位衛星システムの高精度測位情報と高度情報に基づく飛行体10の飛行目的位置と、飛行体10の姿勢制御情報を示す回転情報と、を含むデータを飛行体10に送信する。
【選択図】
図1