(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 41/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65G41/00 Z
(21)【出願番号】P 2020177745
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】柳田 廣記
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
(72)【発明者】
【氏名】武智 賢治
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-352493(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169393(JP,U)
【文献】実開平02-108737(JP,U)
【文献】特開平04-356130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料を収容する収容部(3B)の近傍に、この収容部(3B)内の原材料を上方へ移送して排出する上方移送部(3C)を立設し、前記収容部(3B)には、収容された原材料を前記上方移送部(3C)側へ向けて移送する第1移送部材(3D)を備え、前記上方移送部(3C)には、この上方移送部(3C)側へ移送された原材料を引き継いで上方へ移送する第2移送部材(3E)を備えた移送装置において、前記上方移送部(3C)における上下方向での中間部に、この上方移送部(3C)を支持する略水平方向の軸心(Q)を設け、この軸心(Q)と前記第1移送部材(3D)の移送方向とを平面視で交差する方向に配置し、前記収容部(3B)と上方移送部(3C)を連通状態と連通解除状態とに切換自在に構成し、前記収容部(3B)と上方移送部(3C)との連通状態を解除して、前記上方移送部(3C)を前記軸心(Q)を支点として傾動させる構成としたことを特徴とする移送装置。
【請求項2】
前記軸心(Q)を支点とする上方移送部(3C)の傾動によって、この上方移送部(3C)が収容部(3B)の上方空間に
進入する構成とした請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記上方移送部(3C)が前記軸心(Q)を支点として最大傾動位置またはこの近傍の位置へ傾倒した状態で、この上方移送部(3C)が、略水平姿勢となるか、または、緩傾斜姿勢となるように構成した請求項1または請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記上方移送部(3C)を傾倒させた状態で、前記収容部(3B)内から第1移送部材(3D)を外側へ抜き出し、前記上方移送部(3C)内から第2移送部材(3E)を取り出すことができるように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載の移送装置。
【請求項5】
前記収容部(3B)の横側部に第1連通部材(21)を一体的に備え、前記上方移送部(3C)の下端部には第2連通部材(24)を一体的に備え、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが接合されることによって前記収容部(3B)の内部と上方移送部(3C)の内部とが連通する構成とし、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが分離されることによって前記収容部(3B)の内部と上方移送部(3C)の内部との連通状態が解除される構成とし、前記上方移送部(3C)を傾倒させた状態で、前記収容部(3B)内から第1連通部材(21)を経て第1移送部材(3D)を外側へ抜き出し、前記上方移送部(3C)の外周面の少なくとも一部を開放して開放部(23A)を形成し、この開放部(23A)を利用して第2移送部材(3E)を取り出すことができるように構成した請求項4に記載の移送装置。
【請求項6】
前記第1移送部材(3D)を駆動する第1駆動部材(13)と前記第2移送部材(3E)を駆動する第2駆動部材(39)とを作動させる操作部(65)を備え、この操作部(65)を、前記軸心(Q)を支点とした上方移送部(3C)の傾動軌跡に干渉する位置から、この傾動軌跡に干渉しない位置へ位置変更できるように構成した請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項7】
前記上方移送部(3C)の姿勢を検出する検出手段(70)を設け、この検出手段(70)によって、上方移送部(3C)が略垂直な姿勢にあることが検出されている場合にのみ、前記操作部(65)の操作によって第1駆動部材(13)と第2駆動部材(39)を起動させることができるように構成した請求項6に記載の移送装置。
【請求項8】
前記上方移送部(3C)の姿勢を検出する検出手段(70)を設け、この検出手段(70)によって、上方移送部(3C)が、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが接合された姿勢にあることが検出されている場合にのみ、前記操作部(65)の操作によって第1駆動部材(13)と第2駆動部材(39)を起動させることができるように構成した
請求項5を引用する請求項6に記載の移送装置。
【請求項9】
前記第1駆動部材(13)を前記収容部(3B)の横側部に配置し、前記第2駆動部材(39)を前記上方移送部(3C)の上端部近傍に配置した請求項
6から請求項8のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項10】
前記第2駆動部材(39)を前記上方移送部(3C)の上端よりも高い位置に配置した請求項9に記載の移送装置。
【請求項11】
前記上方移送部(3C)を傾倒位置から立設位置へ復帰させるための操作荷重を軽減する付勢手段(63)を備えた請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料を移送する移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工場等には、加工前の食品原材料を前工程から後工程へ移送する移送装置が設置されている。
この移送装置は、原材料を収容する収容部の近傍に、この収容部内の原材料を上方へ移送して排出する上方移送部を立設したものである。
このような移送装置について、食肉加工場を一例に挙げて説明する。
まず、フレーカーと呼ばれる装置で冷凍状態の塊肉を細かく切削し、この切削された肉片を移送装置の収容部へ供給する。
収容部内へ収容された肉片は、この収容部内の移送装置によって上方移送部の下端部へ送られ、この上方移送部内の移送装置によって上方へ移送され、上端部の排出口から、グラインダーまたはチョッパーと呼ばれる挽肉加工装置の供給口へ排出される。
【0003】
このように、食肉加工場において、移送装置は、加工ラインに設置された前工程の加工装置から、高さの異なる次工程の加工装置へ原材料を受け渡すために設けられている。
また、このような移送装置は適時に内部の洗浄を行う必要があるため、従来、上方移送部を、その下端部を支点として傾倒させ、この上方移送部に内蔵されている螺旋などの移送部材を抜き出せるように構成したものがあった。
また、このような移送装置として、特許文献1には、原材料を上方へ移送して排出する上方移送部を、その上下方向における中間の部位で傾動可能に支持し、この上方移送部を傾倒させて内部の洗浄を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、上方移送部を、その下端部を支点として傾倒させた場合、この上方移送部が長尺であるがために加工場内での占有面積が大きくなり、メンテナンスのために広い作業領域が必要となる問題があった。
また、上述の特許文献1に開示された技術は、収容部を備えないために、収容部と上方移送部の配置や連通状態に関する技術思想は存しない。
そして、上方移送部に螺旋式の移送部材を内蔵したままの状態で、この上方移送部の内部を洗浄することを目的とするが故に、この螺旋式の移送部材を上方移送部から抜き出す技術思想は排除されている。
【0006】
本発明は、移送装置のメンテナンスを容易化すると共に、このメンテナンスに必要な作業領域を縮小することのできる移送装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、原材料を収容する収容部(3B)の近傍に、この収容部(3B)内の原材料を上方へ移送して排出する上方移送部(3C)を立設し、前記収容部(3B)には、収容された原材料を前記上方移送部(3C)側へ向けて移送する第1移送部材(3D)を備え、前記上方移送部(3C)には、この上方移送部(3C)側へ移送された原材料を引き継いで上方へ移送する第2移送部材(3E)を備えた移送装置において、前記上方移送部(3C)における上下方向での中間部に、この上方移送部(3C)を支持する略水平方向の軸心(Q)を設け、この軸心(Q)と前記第1移送部材(3D)の移送方向とを平面視で交差する方向に配置し、前記収容部(3B)と上方移送部(3C)を連通状態と連通解除状態とに切換自在に構成し、前記収容部(3B)と上方移送部(3C)との連通状態を解除して、前記上方移送部(3C)を前記軸心(Q)を支点として傾動させる構成としたことを特徴とする移送装置とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記軸心(Q)を支点とする上方移送部(3C)の傾動によって、この上方移送部(3C)が収容部(3B)の上方空間に進入する構成とした請求項1に記載の移送装置とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記上方移送部(3C)が前記軸心(Q)を支点として最大傾動位置またはこの近傍の位置へ傾倒した状態で、この上方移送部(3C)が、略水平姿勢となるか、または、緩傾斜姿勢となるように構成した請求項1または請求項2に記載の移送装置とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記上方移送部(3C)を傾倒させた状態で、前記収容部(3B)内から第1移送部材(3D)を外側へ抜き出し、前記上方移送部(3C)内から第2移送部材(3E)を取り出すことができるように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載の移送装置とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記収容部(3B)の横側部に第1連通部材(21)を一体的に備え、前記上方移送部(3C)の下端部には第2連通部材(24)を一体的に備え、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが接合されることによって前記収容部(3B)の内部と上方移送部(3C)の内部とが連通する構成とし、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが分離されることによって前記収容部(3B)の内部と上方移送部(3C)の内部との連通状態が解除される構成とし、前記上方移送部(3C)を傾倒させた状態で、前記収容部(3B)内から第1連通部材(21)を経て第1移送部材(3D)を外側へ抜き出し、前記上方移送部(3C)の外周面の少なくとも一部を開放して開放部(23A)を形成し、この開放部(23A)を利用して第2移送部材(3E)を取り出すことができるように構成した請求項4に記載の移送装置とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記第1移送部材(3D)を駆動する第1駆動部材(13)と前記第2移送部材(3E)を駆動する第2駆動部材(39)とを作動させる操作部(65)を備え、この操作部(65)を、前記軸心(Q)を支点とした上方移送部(3C)の傾動軌跡に干渉する位置から、この傾動軌跡に干渉しない位置へ位置変更できるように構成した請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移送装置とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記上方移送部(3C)の姿勢を検出する検出手段(70)を設け、この検出手段(70)によって、上方移送部(3C)が略垂直な姿勢にあることが検出されている場合にのみ、前記操作部(65)の操作によって第1駆動部材(13)と第2駆動部材(39)を起動させることができるように構成した請求項6に記載の移送装置とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記上方移送部(3C)の姿勢を検出する検出手段(70)を設け、この検出手段(70)によって、上方移送部(3C)が、前記第1連通部材(21)と第2連通部材(24)とが接合された姿勢にあることが検出されている場合にのみ、前記操作部(65)の操作によって第1駆動部材(13)と第2駆動部材(39)を起動させることができるように構成した請求項5を引用する請求項6に記載の移送装置とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記第1駆動部材(13)を前記収容部(3B)の横側部に配置し、前記第2駆動部材(39)を前記上方移送部(3C)の上端部近傍に配置した請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の移送装置とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記第2駆動部材(39)を前記上方移送部(3C)の上端よりも高い位置に配置した請求項9に記載の移送装置とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記上方移送部(3C)を傾倒位置から立設位置へ復帰させるための操作荷重を軽減する付勢手段(63)を備えた請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の移送装置とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、収容部3Bと上方移送部3Cとの連通状態を解除して上方移送部3Cを傾動させ、この収容部3Bと上方移送部3Cとの連通部から、収容部3Bと上方移送部3Cの内部のメンテナンスを行うことができる。また、上方移送部3Cがその上下方向での中間部に設けた略水平方向の軸心Qで支持され、この軸心Qを支点として傾動するため、傾倒した上方移送部3Cによる占有面積が小さくなり、メンテナンスに必要な作業領域を縮小することができる。
また、上方移送部3Cを、収容部3Bの上側に重なるように傾倒させることが可能となり、傾倒した上方移送部3Cによる占有面積を小さくして、メンテナンスに必要な作業領域をさらに縮小することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果を奏するうえで、傾動する上方移送部3Cが収容部3Bの上方空間に進入することで、この上方移送部3Cが周囲の障害物に干渉しにくくなり、また、傾倒した上方移送部3Cによる占有面積が小さくなって、メンテナンスに必要な作業領域を縮小することができ、メンテナンス性が高まる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果を奏するうえに、傾倒した上方移送部3Cから第2移送部材3Eを取り出しやすくなる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1または請求項2または請求項3に記載の発明の効果を奏するうえに、収容部3Bから第1移送部材3Dを抜き出し、上方移送部3Cから第2移送部材3Eを取り出すことができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果を奏するうえで、収容部3B内から第1連通部材21を経て第1移送部材3Dを抜き出し、上方移送部3Cからその開放部23Aを利用して第2移送部材3Eを取り出すことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明の効果を奏するにあたり、操作部65を上方移送部3Cの傾動軌跡に干渉しない位置へ位置変更させることで、上方移送部3Cを傾動させることができるようになる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、上方移送部3Cが作業姿勢に復帰していない状態で第1移送部材3Dと第2移送部材3Eが駆動されることを防止でき、安全性が高まる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項5を引用する請求項6に記載の発明の効果に加え、第1連通部材21と第2連通部材24が接合されていない状態で第1移送部材3Dと第2移送部材3Eが駆動されることを防止でき、この接合部からの原材料の漏れ出しを防ぐことができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、第1駆動部材13が収容部3Bの横側部に配置されることで移送装置の重心位置を下げて安定させることができる。また、第2駆動部材39が上方移送部3Cの上端部近傍に配置されることで、この第2駆動部材39がバランスウエイトとなり、上方移送部3Cの傾動支点を高い位置に配置しても、上方移送部3Cの傾動方向への操作荷重が軽減される。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の発明の効果を奏するうえに、第2駆動部材39から第2移送部材3Eへの連動機構を簡素化することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、上方移送部3Cの傾動操作荷重を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】作業状態における移送装置の左側面図である。
【
図5】メンテナンス状態における移送装置の左側面図である。
【
図6】メンテナンス状態における移送装置の背面図である。
【
図7】メンテナンス状態における移送装置の平面図である。
【
図9】収容部における要部の説明用左側面図である。
【
図10】上方移送部における上端部の説用左側面図である。
【
図11】上方移送部における下端部の説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態においては、食肉加工場にて使用されるバーチカルコンベア(垂直移送装置)を移送装置の一実施例として、以下に詳述する。
なお、このバーチカルコンベアによって原材料が移送される方向を基準として、その移送方向上流側を「前側」、移送方向下流側を「後側」と定義し、下流側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0031】
(加工場内設備)
図1に示すように、食肉加工場1内には、フレーカーグラインダー2と、バーチカルコンベア3と、チョッパー4と、トレーコンベア5が直列状態に配置される。
【0032】
フレーカーグラインダー2は、プッシャー2Aに冷凍された塊状肉(小肉片を寄せ集めて冷凍し大きな塊状にしたもの)を装填し、このプッシャー2Aによって塊状肉を駆動回転するローター2B側に押し込み、このローター2Bの外周に取り付けられた多数の刃で小片状に切削するものである。
切削された小肉片は、下方で回転するパドル2Cで攪拌され、シリンダー2D内へ続く螺旋2Eによって圧送され、シリンダー2Dの先端に備えたプレート2Fの多数の貫通孔から押し出される。
【0033】
バーチカルコンベア3は、機台3A上に、上面が開放されたバケット状の容器である収容部3Bと、円筒状の上方移送部3Cを搭載して構成する。
収容部3Bの内には底部移送螺旋(請求項の「第1移送部材」)3Dを駆動回転自在に備え、上方移送部3C内には揚上移送螺旋(請求項の「第2移送部材」)3Eを駆動回転自在に備える。
【0034】
フレーカーグラインダー2のプレート2Fの多数の貫通孔から押し出された粗挽き肉を、収容部3Bに受け、底部移送螺旋3Dの回転によって移送して揚上移送螺旋3Eの下端部へ引き継ぎ、この揚上移送螺旋3Eの回転によって上方へ移送し、上方移送部3Cの上端部に備えた排出シュート3Fから排出する。
なお、このバーチカルコンベア3の具体構成については後述する。
【0035】
チョッパー4は、バーチカルコンベア3の排出シュート3Fから排出された粗挽き肉を、上面に形成された開放部から受け、シリンダー4A内へ続く螺旋4Bによって圧送し、シリンダー4Aの先端に備えたプレート4Cの多数の貫通孔から押し出すものである。
このチョッパー4のプレート4Cの貫通孔の内径は、フレーカーグラインダー2のプレート2Fの貫通孔の内径よりも小さく形成される。
【0036】
トレーコンベア5は、チョッパー4のプレート4Cの貫通孔から押し出された挽肉を盛り付けるトレー5Aを順次搬送するものである。
挽肉が盛り付けられたトレー5Aには、ラップがかけられ、重量等を表示したラベルが貼付されて出荷される。
【0037】
(バーチカルコンベア)
しかして、
図2~
図7に示すように、バーチカルコンベア3は、機台3Aの前後左右の4箇所に、ロック機構付きのキャスター6を転向自在に取り付け、この機台3Aの上部に平面視で矩形状のバケット状の収容部3Bを搭載し締結固定して構成する。
このバーチカルコンベア3における肉と接触する部分は、ステンレス鋼材で形成される。
【0038】
(収容部)
収容部3Bの底部に底部移送螺旋3Dを駆動回転自在に配置し、この底部移送螺旋3Dの左右両側に、この底部移送螺旋3Dに向けて下がり傾斜する傾斜面を形成する。
この収容部3Bの上面は、カバー3BCを装着した部分を除いた範囲が開放される。
なお、カバー3BCは、その右側端部にヒンジを有して開閉自在に装着する。
【0039】
図8、
図9に示すように、収容部3Bの前壁8の垂直部の下部に貫通穴を形成し、前壁8の垂直部の外側(前側)においてこの貫通穴の周囲を囲う環状部材9Wを、前壁8の前面に固定する。
この環状部材9Wの前端内周部に、環状の軸受支持部材9Jの後部外周を嵌合させて固定する。
この軸受支持部材9Jの内周部には、ベアリング式の軸受9Bの外周部を嵌合させて保持する。
【0040】
また、この軸受支持部材9Jの前部外周に、前方への延出部9Lを備えた側面視で逆L字型の支持部材9Kを嵌合させて固定し、この延出部9Lの延出端部に環状の軸受支持部材9Vを固定する。
この軸受支持部材9Vの内周部には、ベアリング式の軸受9Gの外周部を嵌合させて保持する。
【0041】
しかして、上述の軸受9Bと軸受9Gの内周部に駆動軸10の前後両端部を嵌合させ、この駆動軸10を回転自在に支持する。
この駆動軸10における軸受9Bと軸受9Gの間の部位に入力スプロケット11を固定し、駆動軸10の後端部に出力部材12を嵌合させて固定する。
これにより、出力部材12の外周部が、前壁8の垂直部の下部に形成した貫通穴に遊嵌した状態で、この出力部材12の後端面が収容部3Bの内部に進入する。
【0042】
また、
図8に示すように、収容部3Bの前端右側部には、底部駆動モーター(請求項の「第1駆動部材」)13を配置し、この底部駆動モーター13の出力軸14における前方突出端部に出力スプロケット15を固定する。
入力スプロケット11と上述の出力スプロケット15にわたって伝動チェーン16を巻き掛ける。
そして、底部駆動モーター13、出力スプロケット15、入力スプロケット11、伝動チェーン16の周囲をカバー17で囲う。
【0043】
伝動チェーン16にはテンションスプロケット18を当接させ、緊張力を付与する方向へ付勢する。
なお、このようなスプロケットと伝動チェーンによる連動機構に替えて、プーリーと伝動ベルトによる連動機構としてもよい。
【0044】
図9に示すように、底部移送螺旋3Dの回転軸3DJは中空のパイプ状に形成し、その前端部を円盤状の受動板体19の中心部に挿通して固定する。
この受動板体19には、その回転軸3DJの軸心を中心とした円周上に3つ又は4つの貫通孔を形成する。
【0045】
一方、収容部3Bの後壁20の下部には移送物が通過する円形の穴(図示省略)を形成し、後壁20の後側面に、この穴に連通する筒状の第1連通部材21の前端部を接合して固定する。
図10に示すように、この第1連通部材21の後端部の内部には、底部移送螺旋3Dの後端部が
進入する。
【0046】
しかして、底部移送螺旋3Dを収容部3Bに装着するに際しては、この底部移送螺旋3Dを第1連通部材21の後端部から挿し込み、前方へ押し込む。
これによって、
図9に示すように、底部移送螺旋3Dの回転軸3DJの前端部に固定された受動板体19の前端面が、駆動軸10の後端部に固定された出力部材12の後端面に接合される。
この状態で、受動板体19の円周上に形成された貫通孔にボルト22を挿通し、このボルト22を出力部材12に形成した雌螺子孔に螺合して締結する。
【0047】
これにより、回転軸3DJは、その前端部を駆動軸10側に連結固定した片持ち状態で、回転自在に支持される。
すなわち、底部移送螺旋3Dが収容部3Bの底部に回転自在に支持される。
【0048】
(上方移送部)
図2に示すように、上方移送部3Cは、上下方向に長尺に形成した円筒部23に、揚上移送螺旋3Eを内蔵して構成する。
円筒部23は、円周方向において前後に2分割した2つの前部半円筒23Fと後部半円筒23Rを開閉自在に接合して形成される。
前部半円筒23Fおよび後部半円筒23Rの夫々には、外周面に円弧状の補強リブ23Hを溶接固定している。
【0049】
前側の前部半円筒23Fは、後側の後部半円筒23Rよりも上下方向の長さを短く形成し、その下端に、第2連通部材24の上面を接合して固定する。
第2連通部材24の前部には、円筒状の連通部24Aを前方へ向けて一体形成し、この連通部24Aの前端面(フランジ面)と、収容部3B側の第1連通部材21の後端面(フランジ面)を接合可能に構成する。
【0050】
(上方移送部の開閉)
この連通部24Aの前端部の左側面部と、第1連通部材21の後端部の左側面部との間に、両者をワンタッチで連結および連結解除できる締付式の第1連結具25を設ける。
また、
図3に示すように、後部半円筒23Rの右側端部と前部半円筒23Fの右側端部を、上下方向の同一軸心上に配置された4つのヒンジ26で軸着し、後部半円筒23Rの左側端部と前部半円筒23Fの左側端部の間には、両者をワンタッチで連結および連結解除できる締付式の第2連結具27を設ける。
【0051】
後部半円筒23Rの左側端縁と前部半円筒23Fの左側端縁は、両者を接合した状態で嵌り合うに折り曲げた段部を形成する。
【0052】
これによって、円筒部23からの移送物の漏れ出しを防止している。
なお、最下端の第2連結具27は、後部半円筒23Rの下端部の左側端部を、第2連通部材24の左側面部に連結することとなる。
【0053】
図12に示すように、上述の第2連結具27は、後部半円筒23Rの左側端部とこの側の補強リブ23Hに跨って溶接固定または螺子固定したフック部材27Fと、前部半円筒23Fの左側端部とこの側の補強リブ23Hに跨って溶接固定または螺子固定した締付部材27Sから構成する。
【0054】
フック部材27Fは、板材の一端部を断面視でU字状に屈曲させて形成する。
【0055】
締付部材27Sは、2つのブラケット27S1を一体的に起立させて設けた板状の台座27S2と、2つのブラケット27S1の間に軸支されたU字状の操作具27S3と、この操作具27S3の内側に挟まれる位置に軸支された駒部材27S4と、この駒部材27S4に貫通させて螺合した螺子軸27S5と、この螺子軸27S5の先端部に軸支されたアングル部材27S6から構成する。
【0056】
締結部材27S側のアングル部材27S6を、フック部材27Fに引っ掛け、操作具27S3を反転方向へ回動操作することで、後部半円筒23Rの左側端部を前部半円筒23F側に引き付け、両者を接合した状態で、操作具27S3が死点越えしてロックされる。
なお、第1連結具25は、第2連結具27と同様の構成である。
【0057】
(上方移送部の上端部)
図10に示すように、前部半円筒23Fの上端部に固定側フランジ28を一体形成し、揚上移送螺旋3Eの上端部を包囲するキャップ30の下端部に回転側フランジ29を一体形成する。
固定側フランジ28の上面に回転側フランジ29を載せ、前部半円筒23Fの上端に対して、キャップ30が、揚上移送螺旋3Eの回転軸心と同軸心で旋回可能となるように構成する。
【0058】
固定側フランジ28の前端部上には、ロックナット付の螺子部材31の下部を固定し、この螺子部材31の上部に、上板32の前端部を固定する。
この上板32と固定側フランジ28の間に回転側フランジ29の前部を挟み、固定解除レバー33を備えた上下方向の締付螺子34で締め付けて、回転側フランジ29を回転可能な状態と回転不能に固定された状態とに切り替え可能に構成する。
【0059】
この固定解除レバー33の操作によって回転側フランジ29の固定を解除し、キャップ30自体または後述する排出シュート35を持って、キャップ30を旋回操作し、排出方向を調節することができる。
【0060】
図2、
図10に示すように、断面形状がコ字状の下側のケース体35Dを、キャップ30の後部に形成された排出口36に、左右方向の揺動軸36Sで上下回動自在に取り付ける。
また、同じく断面形状がコ字状の上側のケース体35Uを、揺動軸36Sで上下揺動自在に取り付け、この上側のケース体35Uを下側のケース体35Dの上部に被せるように(上下に抱き合わせるように)して取り付けて、排出シュート35を構成する。
この排出シュート35は、ロック機構付きのレバー35Lによって傾斜角度を切り替えることができる。
【0061】
図10に示すように、前部半円筒23Fの上端部に一体形成された固定側フランジ28の前端部に、支柱部材37を立設し、この支柱部材37の上端部からキャップ30の上側へ向けて支持板38を後方へ延設する。
この支持板38に横向き姿勢の上部駆動モーター(請求項の「第2駆動部材」)39を支持し、この上部駆動モーター39の出力軸の回転を減速して上下方向の上部伝動軸40を駆動する減速機41を設ける。
これら支持板38の上部に設けられた上部駆動モーター39と減速機41をカバー42で覆う。
【0062】
(揚上移送螺旋の軸受)
上述の減速機41には、支持板38の前端部に形成された穴を貫通する支持筒体43の上端部を取り付け、この支持筒体43の内部にベアリング44を介して上述の上部伝動軸40を軸受する。
この上部伝動軸40の下端部は支持筒体43から下方へ突出し、この突出端部の側面を球面状に形成し、この突出端部に、上部伝動軸40の軸心方向と交差する方向の伝動ピン45を貫通させて固定する。
【0063】
一方、
図11に示すように、円筒部23の底壁46を、ボルト等の固定手段によって円筒部23の下端部(前部半円筒23Fの下端部)に対して着脱可能な構成とする。
この底壁46には、この底壁46の下面側に固設されたベアリング47と、このベアリング47によって回転自在に軸受された下部遊転軸48を一体的に取り付けており、これらを一体として円筒部23の下端部(前部半円筒23Fの下端部)に着脱することができる。
【0064】
すなわち、底壁46の中心部に形成された貫通穴に筒状部材47Tの上端部を嵌合させ、この筒状部材47Tの下部を、ブラケット47Sを介して底壁46の下面側にボルト47Bで締結固定する。
【0065】
このブラケット47Sの下面には筒体47Pを一体化し、この筒体47Pの下端部にベアリング47を保持する保持筒47Hを固定する。
このベアリング47によって下部遊転軸48の下端部が回転自在に軸受される。
なお、保持筒47Hの下面は、蓋板47Kで覆う。
【0066】
一方、下部遊転軸48の上端部は底壁46に形成された穴を貫通して上方へ突出させ、この上端部の側面を球面状に形成し、この上端部に、下部遊転軸48の軸心方向と交差する方向の連動ピン49を貫通させて固定する。
なお、底壁46には、着脱操作時に作業者が把持する取手46Tを取り付ける。
【0067】
しかして、
図10、
図11に示すように、揚上移送螺旋3Eは、パイプ状の長尺の螺旋軸筒50に対して連続する螺旋体51を巻き付け溶接固定して構成する。
この螺旋軸筒50の上端部には、移送物を排出口36側へ跳ね出すための板体52を溶接固定する。
また、この螺旋軸筒50の上端には、上述の上部伝動軸40の下端部に貫通固定した伝動ピン45が嵌入する2つのU字状の上端部の溝53を形成する。
【0068】
一方、
図11に示すように、螺旋軸筒50の下端には、上述の下部遊転軸48の上端部に貫通固定した連動ピン49が嵌入する複数の逆U字状の下端部の溝54を形成する。
【0069】
この構成により、まず、揚上移送螺旋3Eを移動させ、螺旋軸筒50の上端部の溝53に上部伝動軸40側の伝動ピン45を嵌入させる。
そして、底壁46を円筒部23の下端に取り付ける際に、螺旋軸筒50の下端部の溝54に下部遊転軸48側の連動ピン49を嵌入させることで、この螺旋軸筒50が駆動回転可能な状態に支持される。
これによって、揚上移送螺旋3Eが上方移送部3Cの内部に回転自在に支持される。
【0070】
(上方移送部の支持)
図2、
図5に示すように、上述の第1連通部材21の上部に、支点支持部材55の下端部を載置状態で連結固定し、この支点支持部材55を上方へ延設する(立設する)。
【0071】
この支点支持部材55は、上下方向の左右の支柱部55Aと、この左右の支柱部55Aの下端部間を連結する台座部55Bを一体的に枠組みし、左右の支柱部55Aの上端部の夫々に支持台55Cを固定して構成する。
なお、支点支持部材55を機台3Aから立ち上げる構成としてもよい。
また、支点支持部材55を、機台3Aに連結した補強部材で補強し、傾倒方向の剛性を高めた構成としてもよい。
【0072】
しかして、この支点支持部材55の上端に位置する左右の支持台55C上に、左右の支点軸受部材56の夫々を固定し、上方移送部3Cにおける前部半円筒23Fの上下方向中間部には、ブラケット57を固定する。
この左右の支点軸受部材56とブラケット57には、後述する支点軸58を挿通可能な左右方向の貫通穴を形成する。
【0073】
そして、左右の支点軸受部材56の間にブラケット57を入り込ませ、左右方向の支点軸58をこの三者に貫通させることにより、上方移送部3Cが支点軸58の軸心Qを支点として、前後方向へ傾動可能に支持される。
なお、軸心Qは、略水平な姿勢とし、底部移送螺旋3Dの移送方向と平面視で直交状態に交差する方向に配置する。
【0074】
また、支点軸58の中間部を断面六角形状またはスプライン形状とし、ブラケット57には、これに篏合する六角孔またはスプライン孔を形成する。
これにより、支点軸58の中間部がブラケット57のスプライン孔に嵌合し、上方移送部3Cが、この支点軸58の軸心Qを支点として、支点軸58と一体で回動することとなる。
【0075】
(上方移送部の傾動操作部)
また、
図3に示すように、上述の支点支持部材55の右側にギヤボックス59を支持し、このギヤボックス59の出力回転軸(図示省略)に支点軸58の右端部を一体回転するように接続する。この接続構造として、スプライン嵌合による接続構造が好ましい。
このギヤボックス59の後面には、角軸状の入力軸60を後方へ向けて突出させる。この入力軸60と上述の出力回転軸は、ギヤボックス59内のウォームギヤを用いた減速伝動機構を介して連動させる。
【0076】
上述の入力軸60に、別途設けた手動操作ハンドル(図示省略)または工具を取り付け、これを回転操作することにより、ギヤボックス59内の減速伝動機構を介して支点軸58が強制的に回動させられ、この支点軸58と一体の上方移送部3Cが、この支点軸58の軸心Qを支点として前後方向へ傾動する構成とする。
【0077】
(上方移送部の起立側付勢)
図2、
図5に示すように、上方移送部3Cの前部半円筒23Fの前面部に上部ステー61を固定し、上述の支点支持部材55側に下部ステー62を固定する。
上部ステー61は支点軸58の軸心Qよりも高い位置に配置し、下部ステー62は支点軸58の軸心Qよりも低い位置に配置する。
【0078】
そして、上部ステー61と下部ステー62にわたって、ガススプリング(請求項の「付勢手段」)63の両端部を軸支して取り付ける。
このガススプリング63の伸長方向への弾発力によって、上方移送部3Cは起立姿勢となる方向へ付勢される。
【0079】
(操作部)
図2~
図7に示すように、機台3Aにおける第1連通部材21の左側の部位に、支柱64の下端部を固定し、この支柱64を上方へ延設する。
このようにして機台3A上から起立した支柱64の上端部外周に、ボックス状の操作部65を載置支持する載置台66の左側下部に形成した円筒部66Cを、縦軸Pを中心として回動自在に嵌合させて取り付ける。
【0080】
図2、
図5に示すように、支柱64の上端部前面に溶接固定した下部ステー67の下面にインデックスプランジャー68を取り付け、載置台66の左側端部前面に溶接固定した上部ステー69には、前述のインデックスプランジャー68のピンの先端部が嵌入する2つの位相の異なる孔を形成する。
【0081】
なお、操作部65には、上述の底部駆動モーター13と上部駆動モーター39を起動および停止操作するスイッチと、これら2つのモーター13,39を駆動中に緊急停止させる緊急停止スイッチと、異常状態を報知する警告ランプおよび警報ブザーと、これらを制御する制御盤を内蔵する。(スイッチ、緊急停止スイッチ、警告ランプ、警報ブザー、制御盤は、いずれも図示省略。)
【0082】
(上方移送部の姿勢検出)
図2、
図5に示すように、上述の軸心Qの近傍の部位、および、連通部24Aの前端部と第1連通部材21の後端部との接合面の近傍の部位に、上方移送部3Cが起立した作業姿勢(機台3Aに対して垂直な姿勢)にあることを検出する姿勢センサー(請求項の「検出手段」)70を設ける。
【0083】
この姿勢センサー70は、操作部65の制御盤に接続し、この姿勢センサー70によって上方移送部3Cが起立した作業姿勢にあることが検出されている状態では、スイッチの操作に基づく底部駆動モーター13および上部駆動モーター39への電流供給が許容される構成とする。
一方、この姿勢センサー70によって上方移送部3Cが起立した作業姿勢にあることが検出されていない状態では、スイッチ操作に基づく底部駆動モーター13および上部駆動モーター39への電流供給が禁止されるとする。
【0084】
(作用)
(作業状態)
図1に示すように、底部移送螺旋3Dを収容部3Bの底部に回転自在に支持し、揚上移送螺旋3Eを上方移送部3Cの内部に回転自在に支持し、後部半円筒23Rを閉じて前部半円筒23F側へ第2連結具27で締結固定し、上方移送部3Cを垂直姿勢に起立させ、上方移送部3C側の第2連通部材24を収容部3B側の第1連通部材21に接合し、第1連結具25で締結固定する。
この状態では、インデックスプランジャー68のピンが上部ステー69の一方の孔に嵌入し、載置台66およびこの載置台66に載置固定された操作部65は、左右方向に沿う姿勢(上方移送部3Cの傾動方向と平面視で直交する姿勢)に保持されている。
【0085】
操作部65のスイッチを操作すると、底部駆動モーター13と上部駆動モーター39が起動し、底部駆動モーター13の駆動によって底部移送螺旋3Dが回転し、前工程のフレーカーグラインダー2から供給された収容部3B内の肉が後方へ移送され、第1連通部材21内を経て連通部24A内へ供給される。
この肉は、上部駆動モーター39の駆動によって回転する揚上移送螺旋3Eの下端部に引き継がれて揚上移送され、排出口36から排出シュート35を経て、次工程のチョッパー4へ排出される。
【0086】
(メンテナンス)
(操作部の退避と上方移送部の傾動)
図2に示す作業状態から、インデックスプランジャー68のノブを下方へ引き、このインデックスプランジャー68のピンを上部ステー69の孔から抜いて固定を解除し、載置台66およびこの載置台66に載置固定された操作部65を、縦軸Pを中心として左横方向へ回動させる。
これによって、操作部65は、軸心Qを支点とする上方移送部3Cの前方への傾動軌跡に干渉する位置から、この傾動軌跡に対して左側方へ退避した位置まで移動する。
【0087】
そして、第1連結具25による第1連通部材21と連通部24Aの連結を解除し、ギヤボックス59の入力軸60に手動操作ハンドルを取り付けて回し、上方移送部3Cの上部を軸心Qを支点として前方へ傾動させる。
これによって、第1連通部材21と連通部24Aとが分離され、第1連通部材21の内部と連通部24Aの内部との連通状態が絶たれる(連通状態が解除される)。
また、このとき、ガススプリング63は、上方移送部3Cの傾動量の増加に応じて圧縮される。
【0088】
図5に示すように、上方移送部3Cの傾動限界位置は、ガススプリング63の最短縮状態または支点軸58と支点軸受部材56の間に形成したストッパー機構(図示省略)によって規制される。
これによって、上方移送部3Cは、略水平な姿勢、または、下端部側が上端部側よりも低い緩傾斜姿勢に保持され、この上方移送部3Cの上部は、収容部3Bの上方の空間に
進入する。
上方移送部3Cを、その上端部側が下端部側よりも低い緩傾斜姿勢に保持する構成としてもよい。
【0089】
なお、上部駆動モーター39が、上方移送部3Cの上端部近傍の部位であって、この上方移送部3Cの上端部よりも高い位置に配置されているため、この上部駆動モーター39の重量によって上方移送部3Cを傾動操作するときの手動操作ハンドルの操作荷重が軽減される。
【0090】
(底部移送螺旋の抜き出し)
このように上方移送部3Cを傾動させると、この上方移送部3Cの下端部は、底部移送螺旋3Dにおける回転軸3DJの軸心の仮想延長線よりも高い位置まで上昇する。
これによって、収容部3Bの上面の開放部からボルト22を緩めて抜き取り、受動板体19と出力部材12の連結を解除し、底部移送螺旋3Dを、第1連通部材21の内部を経て後方へ直線的に抜き出すことができる。
【0091】
(揚上移送螺旋の取り外し)
図5~
図7は、揚上移送螺旋3Eを取り外しつつある途中の状態を示している。
すなわち、上方移送部3Cを略水平な姿勢、または、下端部側が上端部側よりも低い緩傾斜姿勢に保持した状態で、この上方移送部3Cの底壁46を、ボルト等の固定手段による固定を解除して取り外す。
このとき、底壁46側に軸受された下部遊転軸48の上端部に貫通固定した連動ピン49が、螺旋軸筒50の下端部の溝54から離脱する。この状態では、螺旋軸筒50の上端部の溝53には、まだ伝動ピン45が嵌入したままである。
【0092】
そして、排出シュート35を、揺動軸36Sを中心として起立回動させ、レバー35Lによってこの起立姿勢を保持させる。
この後、4つの操作具27S3を操作して第2連結具27による締結固定を解除し、後部半円筒23Rをヒンジ26を中心として上方へ回動させ、円筒部23の半周部を開放させ、開放部23Aを形成する。
円筒部23の半周部は、その全部を開放させる構成としているが、その一部のみを開放する構成としてもよい。
【0093】
そして、作業者が、この開放部23Aを利用し、この開放部23Aから手を入れて揚上移送螺旋3Eを持ち、僅かに持ち上げるようにしながら後方へ引き出す。このとき、螺旋軸筒50の上端部の溝53から、伝動ピン45が離脱する。
なお、円筒部23の半周部を開放させてから、底壁46を取り外す構成としてもよい。
【0094】
以上のようにして、底部移送螺旋3Dを抜き出し、揚上移送螺旋3Eを取り出した後、収容部3Bの内部およびその周辺、円筒部23の内部およびキャップ30の内部およびその周辺、底部移送螺旋3D、揚上移送螺旋3E、底壁46部等を、水、温水、洗浄剤等で洗浄したのち、乾燥させる。
なお、上方移送部3Cが収容部3Bの上方空間に進入するように傾倒しているため、作業場におけるバーチカルコンベア3の占有面積の拡大を少なくすることができ、メンテナンス性が高まる。
【0095】
(作業状態への復帰)
以上のようにしてメンテナンスを行い、各部を乾燥させた後、底部移送螺旋3Dを第1連通部材21の内部を経て収容部3B内に差し込み、収容部3B上面の開放部から、前端部の受動板体19を出力部材12に接合しボルト22で締結固定して装着する。
【0096】
また、揚上移送螺旋3Eを、前部半円筒23Fの内面に置くようにしながら前方へ摺動させ、螺旋軸筒50の上端部の溝53に伝動ピン45を嵌入させる。
そして、螺旋軸筒50の下端部の溝54に連動ピン49が嵌入するように位置合わせしながら、底壁46を円筒部23の下端部に接合して締結固定する。
【0097】
この後、上述の手動操作ハンドルを逆方向へ回動操作し、上方移送部3Cを起立方向へ回動させるが、このとき、圧縮されていたガススプリング63の弾発力によって、この起立方向への操作力がアシストされる。
これにより、上方移送部3Cを起立方向へ回動させる際の手動操作ハンドルの操作荷重が軽減される。
なお、底部駆動モーター13が収容部3Bの前端右側部に配置されているため、上方移送部3Cが起立した状態でも、バーチカルコンベア3の重心位置の上昇が少なく、安定した作業を行わせることができる。
【0098】
上方移送部3Cを起立させた状態で、この上方移送部3Cの下端部に備えた連通部24Aの前端面が、収容部3Bの後壁20に備えた第1連通部材21の後端面に接合し、この状態で第1連結具25によって締結固定する。
以上は、食肉加工場にて使用されるバーチカルコンベアについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、工業用の原材料を移送する装置等にも適用できる。
【0099】
(他の移送装置の例)
なお、上述のバーチカルコンベア以外の形態の移送装置について説明しておく。
図13、
図14に示すように、移送装置であるリフター71は、パイプ材を枠組みして形成した機台フレーム72の右側部に上下方向の支柱フレーム73を立設し、この支柱フレーム73に支持されて昇降するリフトアーム74を備えて構成する。
【0100】
(機台フレーム)
図13、
図14に示すように、機台フレーム72は、前後方向の左右の側部フレーム72Aの間を、左右方向のフレーム72Bで接続して一体化して形成する。
左右の側部フレーム72Aの各前後端部には、転向自在な移動用のローラー72Cと、このローラー72Cを対地浮上させるアジャストボルト式のストッパー72Dを備える。
なお、左右の側部フレーム72Aの前端部は上側に膨らむように湾曲させ、この湾曲部の下方空間に前側のローラー72Cを配置する。
【0101】
また、左右の側部フレーム72Aの前端部および後部から、縦フレーム72Eを立ち上げ、これら4つの縦フレーム72Eの上端部を、横フレーム72Fで接続して囲繞フレーム72Gを形成する。
前部右側の縦フレーム72Eを上方へ延設させ、その上端部にスイッチボックス72Hを支持する。
この囲繞フレーム72Gによって、支柱フレーム73の下部周辺が囲われる。
【0102】
(支柱フレーム)
図13、
図14に示すように、機台フレーム72における左右方向のフレーム72Bの右端部と右側の側部フレーム72Aにわたって板体73Aを溶接固定し、この板体73Aの上面に、支柱フレーム73の下端部を固定する。
図15に示すように、支柱フレーム73は、広幅の鋼板(またはステンレス板)を折り曲げて、平断面視でコ字状に形成する。
【0103】
この支柱フレーム73の左側面に開放部73Bを形成し、この開放部73Bから左側へ偏倚した位置に、この開放部73Bの左側部を覆う覆い板73Cを配置し、この覆い板73Cの前端部を支柱フレーム73側に固定する。
【0104】
(昇降機構)
図15に示すように、支柱フレーム73の内側中心部には、上下方向の螺子軸73Dを回転自在に配置し、この螺子軸73Dを回転駆動する電動モーター73Eを、支柱フレーム73の上端右側部に配置する。
この螺子軸73Dの上端部と、電動モーター73Eの出力軸を、支柱フレーム73の上端に取り付けたチェーン伝動機構73Fで連動させる。
【0105】
支柱フレーム73の内部には、前後左右の四面を板体で囲った平面視で矩形の螺合部73Gを、螺子軸73Dと螺合させて設ける。
この螺合部73Gにおける前面の左右両側部と後面の左右両側部には、樹脂製の移動側摺動部材73Hを取り付ける。
一方、支柱フレーム73の内側面における前部両側部と後部両側部には、上下方向に長尺に形成した樹脂製の固定側摺動案内部材73Iを取り付ける。
これら移動側摺動部材73Hと固定側摺動案内部材73Iの摺接によって、螺合部73Gが上下方向(昇降方向)へ摺動案内される。
【0106】
そして、この螺合部73Gの左側面に連結部材73Jの右側端部を接合してボルト73Kで締結して取り付ける。
これにより、連結部材73Jは上述の開放部73Bから左側へ突出する。
【0107】
(リフトアーム)
図15、
図18に示すように、連結部材73Jの縦壁部の後端には、上下方向の支持板74Kの上端部を固定し、この支持板74Kの下端部に形成した貫通孔に、左右方向の支持軸74Lの右端部を挿通して固定する。
支持板74Kの上端部には、ステー74Mを介してアジャストボルト74Nを取り付ける。
【0108】
しかして、上述のようにして片持ち状態で支持された支持軸74Lに、リフトアーム74を回転自在に支持する。
このリフトアーム74は、支持軸74Lに回転自在に遊嵌した軸筒74Oと、この軸筒74Oの右端部に基部を溶接し上方へ延設された上部アーム74Pと、軸筒74Oの中間部と左端部に基部を溶接し前方へ延設された左右の支持アーム74Qから構成する。
【0109】
左右の支持アーム74Qの中間部よりも前側の部位は、幅方向を上下方向に向けた板状に形成する。
この板状の部位を、容器74Rの左右両側面に取り付けたホルダー74Sの内部空間に挿通することで、この容器74Rが左右の支持アーム74Qによって支持される。
なお、容器74Rの上面は開放されている。
【0110】
(リフトアームの反転機構)
上述のアジャストボルト74Nに、上部アーム74Pに固定したブロック74Tが当接することで、リフトアーム74における支持軸74Lを支点とした回動位置が規制される。
上部アーム74Pの上端部に形成した貫通孔に、左右方向の支持ピン74Uを挿通して固定し、この支持ピン74Uの右側延出端部に、ガイドローラー74Vを回転自在に軸支して取り付ける。
【0111】
一方、
図14、
図16、
図17に示すように、支柱フレーム73の上部後面に、逆L字形状に屈曲した断面コ字型のガイドレール75を設ける。
図16に示すように、このガイドレール75は、その左側面を開放した状態で、上下方向の板状の台座75Aから後方へ突設した補強板75Bの左側面に固定する。
なお、ガイドレール75の下端部には、拡開した案内部75Cを形成する。
【0112】
上述の台座75Aにおける上端部と下端部にはボルト挿通孔を形成し、一方、支柱フレーム73の上部後面に固定した当て板75Dには多数の螺子孔75Eを形成する。
図17に示すように、この多数の螺子孔75Eは、上下方向に所定の間隔で配置されており、台座75Aに形成したボルト挿通孔と螺子孔75Eにボルト75Fを挿通して螺合し、締結固定することで、ガイドレール75が支柱フレーム73に取り付けられる。
ボルト75Fを螺合する螺子孔75Eを選択することで、ガイドレール75の高さを調節することができる。
【0113】
しかして、
図14に示すように、電動モーター73Eが正転駆動し、螺子軸73Dの回転によって螺合部73Gと共に支持軸74Lが上昇し、左右の支持アーム74Qに支持された容器74Rが上昇する。
そして、上部アーム74Pの上端に軸支されたガイドローラー74Vが、案内部75Cからガイドレール75内に
進入し、このガイドレール75の屈曲部を経て水平部に至り、後方へ案内される。
【0114】
支持軸74Lの上昇につれて、上部アーム74Pは支持軸74Lの軸心を中心として後下方へ回動し、支持アーム74Qは上方へ回動する。
これにより、
図14および
図15において二点鎖線で示すように、容器74Rは後方へ反転移動し、内部の収容物が排出される。
【0115】
(上限検出部およびオーバーラン検出部)
また、台座75Aの上部に平面視L字型の支持板75Gの下端部を固定し、この支持板75Gの上部に、ステー75Hを締結固定する。
このステー75Hは側面視で逆U字状に形成し、上限検出用スイッチ75Iとオーバーラン検出用スイッチ75Jを取り付ける。
【0116】
上述の支持板74Kに取り付けた上下のL字型プレート(図示省略)が、上限検出用スイッチ75I側の上限検出用揺動アーム75Kと、オーバーラン検出用スイッチ75J側のオーバーラン検出用揺動アーム75Lの夫々に当接するように配置する。
【0117】
(中間停止位置検出部)
図15、
図18に示すように、上述の支持板74Kに平面視でL字形状に屈折した板体76の後端部を連結し、この板体76の前壁部76Aに、グリス封入筒76Bと平面視コ字型のステー76Cを取り付ける。
ステー76Cの前面には、平面視でL字状に屈折させた鉄製またはステンレス製の被検知板76Dをボルト76Eで締結固定する。
これにより、リフトアーム74を支持する支持軸74Lと被検知板76Dが一体的に昇降するものとなる。
【0118】
図13、
図18に示すように、支柱フレーム73の前壁に固定したフレーム76Jの前壁の上下方向中間部には、上下方向に所定の長さを有するスリット76Fを形成する。
このスリット76F上にステー76Hを当接させ、このステー76Hに形成したボルト挿通孔とスリット76Fにわたってボルト76Iを挿通し、支柱フレーム73の内部側のナットと螺合して締結固定する。
このステー76Fに、上述の被検知板76Dの接近を検出する電磁式の近接センサー76Gを固定する。
これにより、ボルト76Iによる締結を緩めることで、近接センサー76Gをスリット76Fに沿って上下方向へスライドさせ、高さを調節することができる。
【0119】
(作動説明)
容器74Rの左右のホルダー74Sに左右のリフトアーム74を挿通させ、スイッチボックス72Hの上昇側のスイッチを操作すると、電動モーター73Eが駆動し、螺子軸73Dの回転によって螺合部73Gと左右のリフトアーム74が一体的に上昇する。
この上昇過程において、近接センサー76Gによって被検知板76Dの接近が検知されると、この検知時点からタイマーによる設定時間後に、電動モーター73Eへの電流供給が遮断され、容器74Rの上昇が自動的に停止し、この中間停止位置で待機する。
これによって、作業者が容器74R内の収容物の状態等を確認した後、再度、上昇側のスイッチを操作すると、左右のリフトアーム74は再び上昇を開始する。
【0120】
この上昇によって、上部アーム74Pに取り付けられたガイドローラー74Vが、ガイドレール75の案内部75Cから進入して後方へ案内されることで、左右のリフトアーム74が支持軸74Lを中心として上方回動し、容器74Rが反転した姿勢となる。
これによって、容器74Rから収容物が排出される。
【0121】
このように容器74Rが反転した状態では、上述の支持板74Kに取り付けた上下のL字型プレートが、上限検出用スイッチ75I側の上限検出用揺動アーム75Kに当接し、電動モーター73Eへの電流供給が自動的に遮断される。
また、上限スイッチ75Iの故障や断線等によって電動モーター73Eへの電流供給が遮断されない場合には、支持板74Kに取り付けた上下のL字型プレートが、オーバーラン検出用スイッチ75J側のオーバーラン検出用揺動アーム75Lに当接することで、電動モーター73Eへの電流供給が自動的に遮断される。
すなわち、オーバーラン検出用スイッチ75Jが安全装置として機能する。
【0122】
(従来技術との比較)
従来、近接センサー76Gは支柱フレームの定位置に固定されており、高さを調節することができなかった。
このため、上述のタイマーの精度による設定時間の誤差や機械的な組立誤差等によって、容器74Rの中間停止位置の高さにばらつきが生じる問題があった。
また、後工程の装置に応じて容器74Rを反転させる高さを変更する必要がある場合、ガイドレール75の高さを調節しても、近接センサー76Gの高さが調節されないため、容器74Rを所定の高さで中間停止させることができなくなる場合が生じうる。
【0123】
これに対して、上述の構成によれば、ガイドレール75の高さを調節し、このガイドレール75の高さに応じて近接センサー76Gの高さを調節することができる。
これによって、近接センサー76Gによって被検知板76Dの接近が検知された時点で、電動モーター73Eへの電流供給を即座に遮断する構成とすることができ、従来のようにタイマーによる設定時間の誤差等の影響を受けることがなく、中間停止位置の設定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0124】
3 バーチカルコンベア(移送装置)
3B 収容部
3C 上方移送部
3D 底部移送螺旋(第1移送部材)
3E 揚上移送螺旋(第2移送螺旋)
Q 軸心
13 底部駆動モーター(第1駆動部材)
21 第1連通部材
23A 開放部
24 第2連通部材
39 上部駆動モーター(第2駆動部材)
63 ガススプリング(付勢手段)
65 操作部
70 姿勢センサー(検出手段)