(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】遊具装置
(51)【国際特許分類】
A63H 33/06 20060101AFI20240820BHJP
A63H 33/10 20060101ALI20240820BHJP
A63B 17/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A63H33/06 B
A63H33/10 A
A63B17/00 B
(21)【出願番号】P 2020208034
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】391028960
【氏名又は名称】内田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕郎
(72)【発明者】
【氏名】原 昌之
(72)【発明者】
【氏名】逸見 敬一
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-280488(JP,A)
【文献】実開昭61-174995(JP,U)
【文献】実開昭62-122698(JP,U)
【文献】特開2008-253465(JP,A)
【文献】実開昭59-150498(JP,U)
【文献】実開昭58-124191(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第1386464(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子どもが上に乗って遊ぶことができる複数の大型ブロックと、壁面に設置
された収納フレームとを備え、前記大型ブロック同士が組み合うパズル形状となっており、前記収納フレーム
の前面には、前記大型ブロック同士が組み合わされた状態で嵌合する
窪みが形成されており、
背面を壁面に沿わせて設置された収納フレームに大型ブロックが収納され片付けが完了した状態において、前面側からパズルが組まれているのが見える遊具装置。
【請求項2】
前記大型ブロックが樹脂発泡体で形成されている請求項1に記載の遊具装置。
【請求項3】
前記大型ブロックの表面が、前記大型ブロック同士を組み合わせて遊ぶ際に摩擦力が働いて滑りにくくなる程度に摩擦力の高い素材にて形成されている請求項1または2に記載の遊具装置。
【請求項4】
前記大型ブロックの奥行方向の厚みが一定であり、前記収納フレームに収納された状態で前記大型ブロックの前面同士を平らに揃えることができる請求項1乃至3のいずれかに記載の遊具装置。
【請求項5】
前記大型ブロックの奥行方向の厚みが、前記収納フレームの前記大型ブロックが収納される空間の奥行に相当する大きさより厚い請求項1乃至4のいずれかに記載の遊具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ブロックと、壁面に設置可能な収納フレームとを備えた遊具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に記載されているように、従来、保育施設や児童館、商業施設のキッズスペースなどの室内で遊ぶための遊具として、EVAフォーム等の低反発材料で形成された積木型の大型ブロック遊具が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-272177号公報
【文献】特開2009-285075号公報
【0004】
しかし、これらの大型ブロック遊具は単体でもかさばるうえに数が多いので、収納に場所をとってしまう。また、片付けの方法が決まっていないために、収納が乱雑になりがちでインテリア性に欠ける。さらに、積木型ブロックの片付けは、子どもにとっては遊びではなく作業と感じられがちなことから、片付けに楽しみを見出しにくく、なかなか片付けをしたがらなかったりきれいに片付けができなかったりする問題があった。
【0005】
また、壁面または壁面設置型フレームに嵌め込んで収納することができるパズル玩具も提供されているが、これらのパズルは小型または薄型のものであり、大型ブロック遊具のように子どもが自由な発想で組み合わせて遊具として利用できるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件の発明者は、これらの問題について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、子どもが自由な発想で組み合わせて上に乗って遊べる大型ブロックを備えた遊具装置であって、子どもが楽しんで片付けることができ、収納性と美観を兼ね備えた遊具装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、子どもが上に乗って遊ぶことができる複数の大型ブロックと、壁面に設置された収納フレームとを備え、前記大型ブロック同士が組み合うパズル形状となっており、前記収納フレームの前面には、前記大型ブロック同士が組み合わされた状態で嵌合する窪みが形成されており、背面を壁面に沿わせて設置された収納フレームに大型ブロックが収納され片付けが完了した状態において、前面側からパズルが組まれているのが見える遊具装置とする。
【0008】
また、前記大型ブロックが樹脂発泡体で形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記大型ブロックの表面が、前記大型ブロック同士を組み合わせて遊ぶ際に摩擦力が働いて滑りにくくなる程度に摩擦力の高い素材にて形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記大型ブロックの奥行方向の厚みが一定であり、前記収納フレームに収納された状態で前記大型ブロックの前面同士を平らに揃えることができることが好ましい。
【0011】
また、前記大型ブロックの奥行方向の厚みが、前記収納フレームの前記大型ブロックが収納される空間の奥行に相当する大きさより厚いことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、子どもが自由な発想で組み合わせて上に乗って遊べる大型ブロックを備えた遊具装置であって、子どもが楽しんで片付けることができ、収納性と美観を兼ね備えた遊具装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の遊具装置を正面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の他の実施形態の遊具装置を正面側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の遊具装置において、収納フレームから大型ブロックを取り出した状態を示す図である。
【
図4】子どもが、本発明の遊具装置から取り出した大型ブロックを組み合わせて遊ぶ様子を表した図である。
【
図5】子どもが、本発明の大型ブロックを収納フレームに嵌めこむ様子を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1に示すように、本実施形態の遊具装置1は、子どもが上に乗って遊ぶことができるサイズの複数の大型ブロック2と、大型ブロック2を収納する収納フレーム3とを備えている。
【0015】
大型ブロック2は、子どもが安全に遊ぶことができるような硬度とするために、例えば発泡性樹脂によって形成されたブロックとする。大型ブロック2の材質としては、ウレタンフォームなどの柔らかく軽い素材が好ましい。実施形態の大型ブロック2はウレタンフォームに樹脂を吹き付けてコーティングしたものであるが、ウレタンフォームに合皮やレザー、布等で被覆したものとすることもできる。
【0016】
実施形態の遊具装置1は、例えばおよそ幅45×高さ30×奥行20cmのサイズの大型ブロック2を6個備えたものである。
図1に示すように、大型ブロック2は相互に組み合うパズル形状となっている。
図1及び
図2に示すように、実施形態の大型ブロック2は、それぞれが象や牛、兎やリスなどの動物を抽象的に模した形に成形されていて、互いに異なる色を有し、目や手足などの特徴は凹部によって表現されている。モチーフの特徴は塗装によって表されていてもよいが、素材に凹凸を形成するなどして表現すると摩耗に強いだけでなく保持するときの手掛かりにもなる。また、子どもの遊びのバリエーションを増やすために、長さの長いものや傾斜面を有するものなど、大型ブロック2の形状に変化を持たせることが好ましい。なお、大型ブロック2のデザインは、動物に限らず、食べ物や乗り物など子どもに好まれるモチーフを自由に用いることができ、その色や個数も自由に設定することが可能である。
【0017】
図1乃至
図3に示すように、遊具装置1の収納フレーム3の前面には、組み合わされた状態の大型ブロック2全体の外径に沿った形状の窪みが形成されていて、大型ブロック2はパズル状に組み合わされて積み重ねられ、前記窪みに嵌めこまれて収納されている。
【0018】
図3に示すように、大型ブロック2は収納フレーム3から取り出されて遊びに用いられる。幼児が自分で収納フレーム3から取り出して持ち運ぶことができるように、大型ブロック2は幼児が一人で抱えたり持ち運んだりすることのできる大きさかつ軽さで形成することが好ましい。
【0019】
子どもは、収納フレーム3から取り出した大型ブロック2同士を自由な発想で組み合わせて、遊具として利用することができる。遊び方の一例として、
図4に示すように、大型ブロック2同士を組み合わせて滑り台様の構造を持たせ、上に登ったり滑ったりする遊び方が挙げられる。その他にも、長さのあるブロックを用いて橋状の構造を作り、上に乗ったり下をくぐったりする遊びもできる。
【0020】
大型ブロック2を摩擦力の高い素材にて形成すれば、大型ブロック2同士を組み合わせたときに滑りにくくなり、子どもが乗っても足場が安定して安全に遊ぶことができる。また、大型ブロック2同士が滑りにくいことで、収納フレーム3以外のところでもパズルのように積み重ねてバランスを楽しむ遊びができる。もちろん、収納フレーム3に大型ブロック2を嵌め込んでいくパズル遊びをすることもできる。
【0021】
遊具装置1で遊び終わったら、
図5に示すように、子どもが大型ブロック2をパズルのように組み合わせながら収納フレーム3に片付けることができる。このように、パズル遊びの要素をもつ行為によって結果的に片付けが完了するので、子どもが楽しみながら自分で片付けることが可能となる。パズルが組み上がることと片付けが完了することの両方により子どもが達成感を得られる効果も期待できる。
【0022】
実施形態の遊具装置1のように、大型ブロック2の数を10個以内程度とすれば、子どもが飽きたり嫌になったりせずに片付けができるので好ましい。また、保護者が急いで片付ける場合を想定して、完成図の写真を掲示するなどしておけば時間をかけずにスムーズに片付けることも可能である。
【0023】
大型ブロック2が収納フレーム3に収納されて片付けが完了した状態の遊具装置1の外観は、前面側からデザイン性の高いパズルが組まれているのが見える構造となっているので、高いインテリア性を有し、目立つ場所に設置しても室内の美観を損ねない。
【0024】
また、実施形態の収納フレーム3は、大型ブロック2同士を上に積み重ねて組み合わせ納める形状となっているので、奥行方向の厚みを最小限にすることができる。収納フレーム3の背面を壁面に沿わせることで場所をとらずに設置することができ、室内のスペースを有効に確保することが可能となる。
【0025】
ここで、大型ブロック2の奥行方向の厚みは一定となるように形成されていることが好ましい。大型ブロック2の厚みが一定に揃っていると、収納フレーム3に収納された際に前面側において大型ブロック2の端面同士が平らに揃うので、安全かつ省スペースで見た目のよい遊具装置1とすることができる。
【0026】
なお、大型ブロック2の奥行方向の厚みは、収納フレーム3の前記窪みの奥行よりやや大きくなるように形成することが好ましい。実施形態の大型ブロック2は、
図1及び
図2に示すように、収納フレーム3に収納された状態で収納フレーム3の前面から室内側に向かって約5cm突出している。このような構造とすれば大型ブロック2を取り出しやすくなる。
【0027】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 遊具装置
2 大型ブロック
3 収納フレーム