(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】三次元モデル生成装置及び三次元モデル生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/543 20170101AFI20240820BHJP
G06Q 50/16 20240101ALI20240820BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20240820BHJP
G06T 17/00 20060101ALI20240820BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20240820BHJP
G06V 20/64 20220101ALI20240820BHJP
【FI】
G06T7/543
G06Q50/16
G06T7/11
G06T17/00
G06T19/00 A
G06V20/64
(21)【出願番号】P 2022074334
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2023-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 令和3年11月30日 集会名、ウェブサイトのアドレス Spacely Connect 2021~DX 人材不足の課題解決に向けて~ (オンライン開催) https://info.spacely.co.jp/5th_anniversary/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 令和3年11月30日 集会名、ウェブサイトのアドレス Spacely Connect 2021~DX人材不足の課題解決に向けて~(オンライン開催) https://info.spacely.co.jp/5th_anniversary/
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517158083
【氏名又は名称】株式会社スペースリー
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【氏名又は名称】石原 一樹
(74)【復代理人】
【識別番号】100147142
【氏名又は名称】石森 昭慶
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 顯之
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】本郷 彰
【審判官】中木 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-022190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0064216(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0211284(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0225081(US,A1)
【文献】特開2020-030609(JP,A)
【文献】特開2021-125007(JP,A)
【文献】国際公開第2022/024803(WO,A1)
【文献】特開2020-038657(JP,A)
【文献】特開2021-140435(JP,A)
【文献】特開2020-135679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T1/00,7/00-7/90,19/00
G06V 10/00-10/98
G06Q 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋を有する不動産物件の前記部屋の室内を撮像した室内画像の入力を受け付ける室内画像入力受付部と、
前記室内画像入力受付部により入力を受け付けられた前記室内画像に対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部と、
前記セグメンテーション部により前記室内画像に対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、前記室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部と、
前記室内構造推定部より推定された前記室内構造に基づいて、前記不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部と、を備え、
前記セグメンテーション部は、前記室内画像に対して少なくともセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行い、
前記インスタンスセグメンテーションによって、前記室内画像に含まれる前記部屋の境目について判別がなされる、三次元モデル生成装置。
【請求項2】
前記室内画像は、前記室内の全天球画像と、前記室内の全天球画像の一部である二次元画像と、を含み、
前記全天球画像において前記室内を上方から見た画像であるトップビュー画像に対して補正を行うトップビュー画像補正部を備え、
前記トップ画像補正部が、前記トップ画像における部位の位置を補正し、
前記トップビュー画像における前記部位の位置を補正することに伴って、前記二次元画像が補正され、前記補正された二次元画像に対するセグメンテーション結果に基づいて前記室内画像が補正されて、推定される、請求項1に記載の三次元モデル生成装置。
【請求項3】
前記室内画像は、前記室内の全天球画像の一部である二次元画像を含み、
前記二次元画像の一端と前記一端とは反対側の他端とを互いに結合する結合部を備え、
前記セグメンテーション部は、前記結合部により前記一端と前記他端とが互いに結合された前記二次元画像に対してセグメンテーションを行う、請求項1に記載の三次元モデル生成装置。
【請求項4】
前記不動産物件の間取りを示す間取図画像の入力を受け付ける間取図画像入力受付部と、
前記間取図画像入力受付部により入力を受け付けられた前記間取図画像に基づいて、前記不動産物件の構造である物件構造を推定する物件構造推定部と、
前記室内構造推定部により推定された前記室内構造と前記物件構造推定部により推定された前記物件構造とのマッチングを行うマッチング部と、を備え、
前記三次元モデル生成部は、前記マッチング部により行われた前記室内構造と前記物件構造とのマッチングの結果に基づいて、前記不動産物件の前記三次元モデルを生成する、請求項1に記載の三次元モデル生成装置。
【請求項5】
前記不動産物件の部屋タイプに関する部屋タイプ情報を取得する部屋タイプ情報取得部を備え、
前記三次元モデル生成部は、前記マッチング部により行われた前記室内構造と前記物件構造とのマッチングの結果、及び、前記部屋タイプ情報取得部により取得された前記部屋タイプ情報に基づいて、前記不動産物件の前記三次元モデルを生成する、請求項4に記載の三次元モデル生成装置。
【請求項6】
前記室内画像入力受付部は、前記不動産物件に対して複数の前記室内画像の入力を受付可能であり、
前記マッチング部により行われた前記室内構造と前記物件構造とのマッチングの結果に基づいて、複数の前記室内画像どうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかを推定する関係推定部を備える、請求項4に記載の三次元モデル生成装置。
【請求項7】
コンピュータを、
部屋を有する不動産物件の前記部屋の室内を撮像した室内画像の入力を受け付ける室内画像入力受付部と、
前記室内画像入力受付部により入力を受け付けられた前記室内画像に対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部と、
前記セグメンテーション部により前記室内画像に対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、前記室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部と、
前記室内構造推定部により推定された前記室内構造に基づいて、前記不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部と、として機能させ、
前記セグメンテーション部は、前記室内画像に対して少なくともセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行い、
前記インスタンスセグメンテーションによって、前記室内画像に含まれる前記部屋の境目について判別がなされる、三次元モデル生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元モデル生成装置及び三次元モデル生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産物件における室内の情報を第三者に知得させるために当該不動産物件を三次元モデル化する技術が知られている。このような技術により不動産物件が三次元モデル化されると、通常のディスプレイのほか、VR(Virtual Reality:仮想現実)の技術を用いたVRゴーグル等に三次元モデルを表示させることで、当該不動産物件の室内の詳細な情報を第三者に知得させることが可能となる。例えば特許文献1には、不動産物件の間取図を解析して部屋領域等を特定することで所望の三次元モデルを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、単に間取図に基づいて部屋領域等を特定することで三次元モデルを生成している。一方で、個々の不動産物件で室内の状況は多様であり、間取図には表されない詳細な情報をも第三者に知得させたいというニーズが存在する。
【0005】
そこで、本開示に係る三次元モデル生成装置及び三次元モデル生成プログラムは、より詳細な情報を含む不動産物件の三次元モデルを生成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)は、不動産物件の室内を撮像した室内画像(RG)の入力を受け付ける室内画像入力受付部(10)と、室内画像入力受付部(10)により入力を受け付けられた室内画像(RG)に対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部(12)と、セグメンテーション部(12)により室内画像(RG)に対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部(13)と、室内構造推定部(13)により推定された室内構造に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部(20)と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成プログラム(P)は、コンピュータ(C)を、不動産物件の室内を撮像した室内画像(RG)の入力を受け付ける室内画像入力受付部(10)と、室内画像入力受付部(10)により入力を受け付けられた室内画像(RG)に対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部(12)と、セグメンテーション部(12)により室内画像(RG)に対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部(13)と、室内構造推定部(13)により推定された室内構造に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部(20)と、として機能させる。
【0008】
これらの三次元モデル生成装置(1)及び三次元モデル生成プログラム(P)の少なくともいずれかによれば、不動産物件の室内を撮像した室内画像(RG)に対してセグメンテーションを行うことにより室内画像(RG)に含まれる各部位の属性が把握され、把握された各部位の属性に基づいて室内構造が推定される。そして、このようにして推定された室内構造に基づいて不動産物件の三次元モデルが生成される。したがって、例えば単に間取図等から推定される室内構造に基づいて三次元モデルを生成する場合と比較して、室内の状況を詳細に反映した三次元モデルが生成される。よって、より詳細な情報を含む不動産物件の三次元モデルを生成可能となる。
【0009】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)では、セグメンテーション部(12)は、室内画像(RG)に対して少なくとも2種類のセグメンテーションを行ってもよい。これによれば、例えば特定の種類のセグメンテーションでは判別しにくい物体についても別のセグメンテーションを行うことにより好適に判別可能となる。
【0010】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)では、セグメンテーション部(12)は、室内画像(RG)に対して少なくともセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行ってもよい。これによれば、例えばセマンティックセグメンテーションでは判別しにくい部屋の境目等についてもインスタンスセグメンテーションを行うことにより好適に判別可能となる。
【0011】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)では、室内画像(RG)は、室内の全天球画像を含み、全天球画像において室内を上方から見た画像であるトップビュー画像(TG)に対して補正を行うトップビュー画像補正部(14)を備えてもよい。これによれば、推定された室内構造の壁又はコーナー等の位置を補正することができるため、より精度の高い三次元モデルを生成することができる。しかも、室内構造をトップビュー画像(TG)から補正することができるため、より直感的な操作が可能となり利便性が向上する。
【0012】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)では、室内画像(RG)は、室内の全天球画像の一部である二次元画像(PG)を含み、二次元画像(PG)の一端(PGa)と一端(PGa)とは反対側の他端(PGb)とを互いに結合する結合部(11)を備え、セグメンテーション部(12)は、結合部(11)により一端(PGa)と他端(PGb)とが互いに結合された二次元画像(PG)に対してセグメンテーションを行ってもよい。室内画像(RG)に含まれる二次元画像(PG)は、室内の全天球画像の一部を構成している。例えば、二次元画像(PG)は、水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよい。このような二次元画像(PG)は、水平方向におけるいずれか一端(PGa)を基端として、当該一端(PGa)から360度の位置である他端(PGb)を末端とした帯状の画像である。このとき、帯状の二次元画像(PG)における一端(PGa)と他端(PGb)とでは室内の同一箇所(例えば、上下方向に延在する直線上の箇所)が撮像されている。ここで、二次元画像(PG)の一端(PGa)、すなわち他端(PGb)の部分に重なるように存在する物体は、二次元画像(PG)上において、一端(PGa)側と他端(PGb)側とに二分割されて表示されることとなる。そうすると、セグメンテーション部(12)は、一端(PGa)側と他端(PGb)側とに二分割されて表示された物体に対して適切にセグメンテーションを行うことが難しくなる。その結果、二次元画像(PG)上において当該物体が表示された部位の属性が正しく把握されにくくなり、ひいては室内構造が正しく推定されにくくなる。そこで、上述した三次元モデル生成装置(1)では、帯状の二次元画像(PG)の一端(PGa)と他端(PGb)とを互いに結合してリング状にすることで、二次元画像(PG)の一端(PGa)、すなわち他端(PGb)の部分に重なるように存在する物体が二分割された状態ではなくなり、当該物体に対しても適切にセグメンテーションを行いやすくなる。その結果、二次元画像(PG)上において当該物体が表示された部位の属性が正しく把握されやすくなり、ひいては室内構造が正しく推定されやすくなる。このように、一端(PGa)と他端(PGb)とが互いに結合された二次元画像(PG)に対してセグメンテーションを行うことで、二次元画像(PG)が切れることによって画像認識の精度が低下しやすい部分についても好適にセグメンテーションを行うことが可能となる。なお、ここでは二次元画像(PG)の一例として水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像を例示したが、二次元画像(PG)は必ずしもこのような態様の画像でなくてもよく、例えば水平方向に対して交差する方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像等であってもよい。
【0013】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)は、不動産物件の間取りを示す間取図画像(FG)の入力を受け付ける間取図画像入力受付部(15)と、間取図画像入力受付部(15)により入力を受け付けられた間取図画像(FG)に基づいて、不動産物件の構造である物件構造を推定する物件構造推定部(16)と、室内構造推定部(13)により推定された室内構造と物件構造推定部(16)により推定された物件構造とのマッチングを行うマッチング部(17)と、を備え、三次元モデル生成部(20)は、マッチング部(17)により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。これによれば、室内画像(RG)に基づいて推定された室内構造だけでなく、間取図画像(FG)に基づいて推定された物件構造にも基づいて、不動産物件の三次元モデルが生成される。このため、室内構造だけでは不明確になりやすい不動産物件の全体的な構造に関する情報を物件構造に基づいて補完することができる。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0014】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)は、不動産物件の部屋タイプに関する部屋タイプ情報を取得する部屋タイプ情報取得部(19)を備え、三次元モデル生成部(20)は、マッチング部(17)により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、及び、部屋タイプ情報取得部(19)により取得された部屋タイプ情報に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。これによれば、不動産物件の有する部屋の種類や数に関する情報である部屋タイプ情報にも基づいて不動産物件の三次元モデルが生成される。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0015】
本開示の一態様に係る三次元モデル生成装置(1)では、室内画像入力受付部(10)は、不動産物件に対して複数の室内画像(RG)の入力を受付可能であり、マッチング部(17)により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、複数の室内画像(RG)どうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかを推定する関係推定部(18)を備えてもよい。これによれば、不動産物件の複数の室内画像(RG)どうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかが、室内構造推定部(13)により推定された室内構造と物件構造推定部(16)により推定された物件構造とのマッチングの結果に基づいて高精度に推定される。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0016】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0017】
このように、本開示に係る三次元モデル生成装置及び三次元モデル生成プログラムは、より詳細な情報を含む不動産物件の三次元モデルを生成可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る三次元モデル生成装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、不動産物件の室内画像に含まれる二次元画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、不動産物件の室内画像に対応したトップビュー画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、不動産物件の間取図画像を示す図である。
【
図5】
図5は、三次元モデル生成装置により実行される三次元モデル生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、三次元モデル生成プログラムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る三次元モデル生成装置1を示すブロック図である。
図1に示される三次元モデル生成装置1は、不動産物件における室内の情報を顧客等の第三者に知得させるために当該不動産物件を三次元モデル化する装置である。
【0021】
「不動産物件」とは、少なくとも室内と室外とを隔てる壁等の構造物を有する建築物であり、例えばマンション、アパート、戸建て住宅、事務所、店舗、又は倉庫等であってもよい。不動産物件は、1又は複数の部屋を有している。以下の説明では、不動産物件として部屋タイプが1LDKのマンションを例示する。「部屋タイプ」とは、部屋の種類及び数等に基づく不動産物件の分類である。例えば、1LDKとは、1部屋の居室(ルーム)に加えて、リビングダイニング及びキッチンを含む部屋タイプを表している。なお、部屋タイプは特に限定されず、例えばワンルーム、1K、1DK、1LDK、2K、2DK、又は2LDK等の任意の形態であってよい。
【0022】
「三次元モデル」とは、仮想的な三次元空間上に構築され、各種のアプリケーションを用いてコンピュータ上で閲覧及び操作可能な構造モデルである。三次元モデルは、ディスプレイに表示可能である。例えば、三次元モデルは、通常のディスプレイのほか、仮想現実技術を用いたVRゴーグル等にも表示可能であってもよい。ここでは、所定のアプリケーションを用いることにより、三次元モデル内の所望の視点からの視界をディスプレイ上に表示させることができる。また、恰も不動産物件内を移動するかのように、この視点を自由に(あるいは、一定の制限の範囲内で)移動させることができる。特に、不動産物件が複数の部屋を有している場合には、適切な経路(例えばドア等)を通って隣の部屋に視点を移動させることができる。三次元モデルは、不動産物件の各部屋に対して個別に生成される個別三次元モデル(換言すると、一空間の三次元モデル)と、複数の個別三次元モデルが最終的に組み合わされて不動産物件全体に対して生成される全体三次元モデル(換言すると、各空間が配置され接続された三次元モデル)とを含んでいてもよい。なお、全体三次元モデルは、ドールハウスとも称される。
【0023】
三次元モデル生成装置1の物理的な構成について説明する。三次元モデル生成装置1は、物理的には、ネットワークを介してユーザ端末2と通信可能なコンピュータC(サーバ)として構成されている。三次元モデル生成装置1は、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えている。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコントローラにより構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算装置により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。また、入出力装置は、外部機器に対して情報の送信及び受信を行う通信装置を有している。
【0024】
三次元モデル生成装置1は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、所定の処理を実行する。具体的には、三次元モデル生成装置1は、ROMに記憶されている三次元モデル生成プログラムPをRAMに読み込み、RAMに読み込まれた三次元モデル生成プログラムPをCPUにより実行することにより、後述する三次元モデル生成処理を実行する。なお、三次元モデル生成装置1は、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0025】
まず、ユーザ端末2について説明する。ユーザ端末2は、ユーザにより使用される端末である。ユーザ端末2は、ネットワークを介して三次元モデル生成装置1と通信可能なコンピュータとして構成されている。ユーザ端末2は、例えばデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット、又はスマートフォン等であってもよく、ここではデスクトップパソコンを例示する。ユーザ端末2は、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えている。ユーザ端末2では、三次元モデル生成装置1と協働して三次元モデルを作成したり、作成した三次元モデルをディスプレイに表示させたりするためのアプリケーションが使用可能な状態とされている。
【0026】
次に、三次元モデル生成装置1の機能的な構成について説明する。三次元モデル生成装置1は、機能的には、室内画像入力受付部10、結合部11、セグメンテーション部12、室内構造推定部13、トップビュー画像補正部14、間取図画像入力受付部15、物件構造推定部16、マッチング部17、関係推定部18、部屋タイプ情報取得部19、三次元モデル生成部20、及び関係補正部21を備えている。
【0027】
室内画像入力受付部10は、室内画像RGの入力を受け付ける。「室内画像」とは、不動産物件の室内を撮像した画像である。ここでは部屋タイプが1LDKのマンションを不動産物件として例示していることから、室内画像入力受付部10は、例えば、居室の室内画像RG、リビングダイニングの室内画像RG、及びキッチンの室内画像RGのように、部屋ごとの室内画像RGの入力を受け付ける。つまり、換言すると、室内画像入力受付部10は、不動産物件に対して複数の室内画像RGの入力を受付可能である。なお、室内画像入力受付部10は、例えばユーザ端末2から室内画像RGの入力を受け付ける。
【0028】
室内画像RGは、室内の全天球画像を含んでいる。「全天球画像」とは、視点の位置から見え得る全方位を含む画像である。特に、室内画像RGは、二次元画像PGを含んでいる。「二次元画像」とは、室内の全天球画像の一部である。
図2は、不動産物件の室内画像RGに含まれる二次元画像PGの一例を示す図である。
図2に示されるように、ここでは、二次元画像PGは、水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像である。二次元画像PGは、水平方向における一端PGaを基端として、当該一端PGaから360度の位置である他端PGbを末端とした帯状の画像である。このとき、帯状の二次元画像PGにおける一端PGaと他端PGbとでは室内の同一箇所(上下方向に延在する直線上の箇所)が撮像されている。ここで、二次元画像PGの一端PGa(他端PGb)の部分に重なるように存在する物体(オブジェクト)は、二次元画像PG上において、一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示される。
図2においては、二次元画像PGの両端部に位置する壁が、一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示されている。
【0029】
二次元画像PGが一端PGa及び他端PGbにおいて切断された帯状の画像であることは、一般的な全天球画像のフォーマットに起因している。全天球画像は、例えば複数の方向(上下左右等)を撮像した画像片を組み合わせて(すなわち、スティッチングされて)生成される。なお、このスティッチングの処理は所定のアプリケーションを利用することで自動化可能であり、その場合、例えば1:2の縦横比の二次元画像PGが生成される。ただし、アプリケーションにより、又は、アプリケーションの設定により、縦横比は1:2に限定されない。このようなフォーマットは、例えば「Equirectangular Image」とも称される。
【0030】
結合部11は、二次元画像PGに対して結合処理を実行する。「結合処理」とは、二次元画像PGの一端PGaと一端PGaとは反対側の他端PGbとを互いに結合する処理である。
図2に示される例では、壁が一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示されていたため、結合処理によって二分割された壁が連続した一体の物体として認識されることとなる。これにより、後述するセグメンテーションにおいて、この壁を好適に認識可能となる。
【0031】
セグメンテーション部12は、室内画像入力受付部10により入力を受け付けられた室内画像RGに対してセグメンテーションを行う。例えば、セグメンテーション部12は、室内画像RGに含まれる二次元画像PGに対してセグメンテーションを行ってもよい。換言すると、セグメンテーション部12は、全天球画像から切り抜かれた一部の画像に対してセグメンテーションを行ってもよい。また、結合処理が実行された二次元画像PGに対してセグメンテーションを行ってもよい。「セグメンテーション」とは、画像中において認識される各物体(部位)について、当該物体の属性(意味)を識別する処理である。例えば、セグメンテーションにより、室内画像RGに含まれる天井、床、壁、窓、ドア、又はキッチン等を識別可能である。
【0032】
セグメンテーション部12は、セグメンテーションとして、公知の手法を採用可能である。例えば、セグメンテーション部12は、セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)、インスタンスセグメンテーション(Instance Segmentation)、又はパノプティックセグメンテーション(Panoptic Segmentation)等を採用してもよい。ここで、セグメンテーション部12は、室内画像RGに対して少なくとも2種類のセグメンテーションを行ってもよい。具体的には、セグメンテーション部12は、室内画像RGに対して少なくともセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行ってもよい。これにより、セグメンテーションの種類ごとの得手不得手を互いに補うことができる。例えば、セマンティックセグメンテーションでは区別しにくい部屋同士の境目等をインスタンスセグメンテーションにより区別することができる場合がある。
【0033】
また、セグメンテーション部12、結合部11により一端PGaと他端PGbとが互いに結合された二次元画像PG(すなわち、結合処理を実行された二次元画像PG)に対してセグメンテーションを行ってもよい。
図2に示される例では、一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示されていた壁が結合処理によって一体の物体として認識されるため、セグメンテーション部12は、この壁を好適に認識可能である。
【0034】
また、セグメンテーション部12は、後述する間取図画像FGに対してもセグメンテーションを行ってもよい。この場合、セグメンテーション部12は、間取図画像FGにおける各部屋等の属性(意味)を識別する。
【0035】
室内構造推定部13は、不動産物件の室内構造を推定する。「室内構造」とは、室内の構造である。例えば、室内構造としては、壁、コーナー、ドア、又は窓等の位置関係が含まれてもよい。より詳細には、室内構造推定部13は、セグメンテーション部12により室内画像RGに対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する。なお、室内構造推定部13は、室内画像RGに基づいて当該不動産物件の部屋タイプを更に推定してもよい。
【0036】
また、室内構造推定部13は、室内画像RGに対する画像処理を行う。そして、室内構造推定部13は、セグメンテーションの結果に加えて画像処理の結果にも基づいて室内構造を推定してもよい。
【0037】
室内画像RGに対して行われる画像処理としては、例えば消失点補正処理が例示される。「消失点補正処理」とは、室内画像RG中の消失点を検出し、検出した消失点を利用して画像の傾き(歪み)を補正する処理である。具体的には、消失点補正処理では、現実の物において互いに平行に構成されている複数の線(直線群)を特定するとともに、それらの直線群が室内画像RG中で平行となるように補正する処理である。例えば、直線群としては、壁と床とを区切る複数の境界線等が挙げられる。消失点補正処理が行われる前の室内画像RGにおいては、一般に、本来平行に構成されるべき直線群が傾いて消失点が構成されている。室内画像RG中において、1点又は複数点の消失点が構成され得る。そこで、室内構造推定部13は、任意のアルゴリズムを用いて消失点を検出するとともに、画像変換処理を行って画像の傾き(歪み)を補正する。なお、消失点を検出するアルゴリズムとしては公知の手法を採用可能であり、一例としてロバスト推定のアルゴリズムであるRANSAC(Random Sample Consensus)等が採用されてもよい。また、画像変換処理としても公知の手法を採用可能であり、一例としてホモグラフィ変換等が採用されてもよい。
【0038】
トップビュー画像補正部14は、室内構造推定部13により推定された室内構造を補正するものであり、特に、トップビュー画像TGに対して補正を行うことにより室内構造を補正する。例えば、トップビュー画像補正部14は、不動産物件の部屋ごとに室内構造を補正する。「トップビュー画像」とは、室内画像RGに含まれる室内の全天球画像において、室内を上方から見た画像である。
図3は、不動産物件の室内画像RGに対応したトップビュー画像TGの一例を示す図である。
図3に示されるように、トップビュー画像TGでは、室内を見下ろした平面図を室内画像RGから生成した画像である。トップビュー画像補正部14は、自動で、又は、ユーザによる手動で、トップビュー画像TGにおける各部位の位置を補正する。例えば、トップビュー画像補正部14は、トップビュー画像TGにおける壁又はコーナー等の位置を補正する。
【0039】
トップビュー画像補正部14によりトップビュー画像TGが補正されると、それに伴って室内画像RGが補正される。そして、補正された室内画像RGに対するセグメンテーションの結果に基づいて室内構造が推定される。したがって、トップビュー画像TGが補正されることで、推定される室内構造が補正されることとなる。
【0040】
間取図画像入力受付部15は、間取図画像FGの入力を受け付ける。「間取図画像」とは、不動産物件の間取りを示す図である。
図4は、不動産物件の間取図画像FGを示す図である。
図4に示されるように、間取図画像FGは、例えば不動産物件の全体を模式的に示した平面図である。ここでは、部屋タイプが1LDKであり、さらに廊下(玄関)、風呂(脱衣室)、トイレ、及びバルコニーを有する不動産物件の間取図画像FGが示されている。間取図画像FGに係る不動産物件は、室内画像RGに係る不動産物件と同一のものである。なお、間取図画像入力受付部15は、例えばユーザ端末2から間取図画像FGの入力を受け付ける。
【0041】
物件構造推定部16は、間取図画像入力受付部15により入力を受け付けられた間取図画像FGに基づいて、物件構造を推定する。「物件構造」とは、不動産物件の構造である。具体的には、物件構造とは、間取図画像FGから推定可能な不動産物件の全体的な構造である。なお、物件構造推定部16は、間取図画像FGに基づいて当該不動産物件の部屋タイプを更に推定してもよい。
【0042】
マッチング部17は、室内構造推定部13により推定された室内構造と物件構造推定部16により推定された物件構造とのマッチングを行う。すなわち、マッチング部17は、室内構造推定部13により推定された室内構造と物件構造推定部16により推定された物件構造とを照合することにより、不動産物件の天井、床、壁、窓、ドア、又はキッチン等の形状、向き、及び関係性等を推定する。例えば、マッチング部17は、室内構造と物件構造とのマッチングを行うことにより、部屋どうし(ドアどうし)の繋がりを推定する。これにより、情報の曖昧性が低減され、生成される三次元モデルの精度が向上する。なお、部屋タイプ情報取得部19により部屋タイプ情報が取得されている場合には、マッチング部17は、部屋タイプ情報を入力情報に付加することにより、より高精度なマッチングを行うことが可能となる。
【0043】
関係推定部18は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、複数の室内画像RGどうしの関係を推定する。複数の室内画像RGどうしの関係とは、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかであってもよい。すなわち、関係推定部18は、室内画像入力受付部10により複数の室内画像RGの入力が受け付けられている場合に、これらの複数の室内画像RGどうしの接続関係(どの室内画像RGとどの室内画像RGとが、どのドア等により接続されているか等)を推定してもよい。また、関係推定部18は、室内画像入力受付部10により複数の室内画像RGの入力が受け付けられている場合に、これらの複数の室内画像RGどうしの位置関係(ある室内画像RGと別の室内画像RGとが、どのような位置関係となっているか等)を推定してもよい。なお、関係推定部18は、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の両方を同時に推定することが特に好ましい。
【0044】
部屋タイプ情報取得部19は、部屋タイプ情報を取得する。「部屋タイプ情報」とは、不動産物件の部屋タイプに関する情報であり、換言すると、その不動産物件の部屋タイプが何であるかを示す情報である。部屋タイプ情報取得部19は、室内構造推定部13により部屋タイプが推定されている場合には、室内構造推定部13から部屋タイプ情報を取得してもよい。また、部屋タイプ情報取得部19は、物件構造推定部16により部屋タイプが推定されている場合には、物件構造推定部16から部屋タイプ情報を取得してもよい。また、部屋タイプ情報取得部19は、例えばユーザ端末2から部屋タイプ情報の入力を受け付けることにより、部屋タイプ情報を取得してもよい。
【0045】
三次元モデル生成部20は、不動産物件の三次元モデルを生成する。上述したように、三次元モデルとは、仮想的な三次元空間上に構築され、ディスプレイに表示可能な構造モデルである。三次元モデル生成部20は、不動産物件に関する各種情報に基づいて、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成可能である。
【0046】
例えば、三次元モデル生成部20は、室内構造推定部13により推定された室内構造に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。つまり、三次元モデル生成部20は、室内画像RGから推定される室内構造から、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成してもよい。
【0047】
また、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。つまり、三次元モデル生成部20は、室内画像RGから推定される室内構造に加えて、間取図画像FGから推定される物件構造から、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成してもよい。
【0048】
また、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、及び、部屋タイプ情報取得部19により取得された部屋タイプ情報に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。つまり、三次元モデル生成部20は、室内画像RGから推定される室内構造、及び、間取図画像FGから推定される物件構造に加えて、不動産物件の部屋タイプ情報から、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成してもよい。
【0049】
また、三次元モデル生成部20は、不動産物件に対して複数の室内画像RGが受け付けられている場合において、関係推定部18により複数の室内画像RGどうしの関係(複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれか)が推定されているときには、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、及び、関係推定部18により推定された複数の室内画像RGどうしの関係(複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれか)に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。つまり、三次元モデル生成部20は、室内画像RGから推定される室内構造に加えて、間取図画像FGから推定される物件構造から、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成してもよい。さらに、このときには、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、関係推定部18により推定された複数の室内画像RGどうしの関係(複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれか)、及び部屋タイプ情報取得部19により取得された部屋タイプ情報に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成してもよい。
【0050】
関係補正部21は、不動産物件の部屋ごとの室内構造を組み合わせた全体に対して、その構造を補正する。例えば、関係補正部21は、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかを補正してもよい。関係補正部21は、例えば複数の部屋(全部又は一部の部屋)のトップビュー画像TGを一括して表示させた一括トップビュー画像に対して補正を行うことにより室内構造を補正してもよい。あるいは、関係補正部21は、トップビュー画像TG以外の画像に対して補正を行ってもよい。関係補正部21は、手動による補正を受け付けることで、不動産物件全体の構造を補正してもよい。
【0051】
[三次元モデル生成処理]
図5は、三次元モデル生成装置1により実行される三次元モデル生成処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示される三次元モデル生成処理は、例えば三次元モデル生成装置1のコンピュータCにより三次元モデル生成プログラムPが実行されることによって開始される。
【0052】
ステップS10において、三次元モデル生成装置1の室内画像入力受付部10は、室内画像RGの入力を受け付ける。ここでは、室内画像入力受付部10は、不動産物件に対して複数の室内画像RGの入力を受け付けるものとする。室内画像入力受付部10は、例えばユーザ端末2から室内画像RGの入力を受け付ける。その後、三次元モデル生成処理はステップS12に移行する。
【0053】
ステップS12において、三次元モデル生成装置1の結合部11は、二次元画像PGに対して結合処理を実行する。ここでは、壁が一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示されていたため(
図2)、結合処理によって二分割された壁が連続した一体の物体として認識される。その後、三次元モデル生成処理はステップS14に移行する。
【0054】
ステップS14において、三次元モデル生成装置1のセグメンテーション部12は、室内画像RGに対してセグメンテーションを行う。ここでは、セグメンテーション部12は、室内画像RGのうち、結合処理が実行された二次元画像PGに対してセグメンテーションを行う。また、ここでは、セグメンテーション部12は、室内画像RGに対してセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行う。その後、三次元モデル生成処理はステップS16に移行する。
【0055】
ステップS16において、三次元モデル生成装置1の室内構造推定部13は、不動産物件の室内構造を推定する。より詳細には、室内構造推定部13は、セグメンテーション部12により室内画像RGに対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する。なお、室内構造推定部13は、室内画像RGに対する画像処理を行い、セグメンテーションの結果に加えて画像処理の結果にも基づいて室内構造を推定してもよい。また、室内構造推定部13は、室内画像RGに基づいて当該不動産物件の部屋タイプを更に推定してもよい。その後、三次元モデル生成処理はステップS18に移行する。
【0056】
ステップS18において、三次元モデル生成装置1のトップビュー画像補正部14は、トップビュー画像TGに対して補正を行う。トップビュー画像補正部14は、自動で、又は、ユーザによる手動で、トップビュー画像TGにおける各部位の位置を補正する。トップビュー画像補正部14によりトップビュー画像TGが補正されると、それに伴って室内画像RGが補正される。そして、補正された室内画像RGに対するセグメンテーションの結果に基づいて室内構造が推定される。したがって、トップビュー画像TGが補正されることで、推定される室内構造が補正されることとなる。その後、三次元モデル生成処理はステップS20に移行する。
【0057】
ステップS20において、三次元モデル生成装置1の間取図画像入力受付部15は、間取図画像FGの入力を受け付ける。ここでは、間取図画像入力受付部15は、部屋タイプが1LDKであり、さらに廊下(玄関)、風呂(脱衣室)、トイレ、及びバルコニーを有する不動産物件の間取図画像FGの入力を受け付ける。間取図画像FGに係る不動産物件は、室内画像RGに係る不動産物件と同一のものである。間取図画像入力受付部15は、例えばユーザ端末2から間取図画像FGの入力を受け付ける。その後、三次元モデル生成処理はステップS22に移行する。
【0058】
ステップS22において、三次元モデル生成装置1の物件構造推定部16は、間取図画像入力受付部15により入力を受け付けられた間取図画像FGに基づいて、物件構造を推定する。「物件構造」とは、不動産物件の構造である。具体的には、物件構造とは、間取図画像FGから推定可能な不動産物件の全体的な構造である。なお、物件構造推定部16は、間取図画像FGに基づいて当該不動産物件の部屋タイプを更に推定してもよい。その後、三次元モデル生成処理はステップS24に移行する。
【0059】
ステップS24において、三次元モデル生成装置1の部屋タイプ情報取得部19は、部屋タイプ情報を取得する。部屋タイプ情報取得部19は、室内構造推定部13により部屋タイプが推定されている場合には、室内構造推定部13から部屋タイプ情報を取得してもよい。また、部屋タイプ情報取得部19は、物件構造推定部16により部屋タイプが推定されている場合には、物件構造推定部16から部屋タイプ情報を取得してもよい。また、部屋タイプ情報取得部19は、例えばユーザ端末2から部屋タイプ情報の入力を受け付けることにより、部屋タイプ情報を取得してもよい。その後、三次元モデル生成処理はステップS26に移行する。
【0060】
ステップS26において、三次元モデル生成装置1のマッチング部17は、室内構造推定部13により推定された室内構造と物件構造推定部16により推定された物件構造とのマッチングを行う。なお、ここで、三次元モデル生成装置1の関係補正部21は、不動産物件の部屋ごとの室内構造を組み合わせた全体に対して、その構造を補正してもよい。その後、三次元モデル生成処理はステップS28に移行する。
【0061】
ステップS28において、三次元モデル生成装置1の関係推定部18は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係を推定する。なお、関係推定部18は、複数の室内画像RGどうしの接続関係又は位置関係のいずれか一方のみを推定してもよい。その後、三次元モデル生成処理はステップS30に移行する。
【0062】
ステップS30において、三次元モデル生成装置1の三次元モデル生成部20は、不動産物件の三次元モデルを生成する。ここでは、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、関係推定部18により推定された複数の室内画像RGどうしの関係(複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれか)、及び部屋タイプ情報取得部19により取得された部屋タイプ情報に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する。つまり、三次元モデル生成部20は、室内画像RGから推定される室内構造、及び、間取図画像FGから推定される物件構造に加えて、不動産物件の部屋タイプ情報から、当該不動産物件を仮想的な三次元空間上に再現した三次元モデルを生成する。その後、三次元モデル生成処理はステップS32に移行する。
【0063】
ステップS32において、三次元モデル生成装置1の関係補正部21は、不動産物件の部屋ごとの室内構造を組み合わせた全体に対して、その構造を補正する。例えば、関係補正部21は、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかを補正する。以上により、三次元モデル生成処理は終了する。
【0064】
[三次元モデル生成プログラム]
図6は、三次元モデル生成プログラムPを示すブロック図である。
図6に示される三次元モデル生成プログラムPは、コンピュータCを三次元モデル生成装置1として機能させるためのプログラムである。
【0065】
三次元モデル生成プログラムPは、メインモジュールMM、室内画像入力受付モジュールM10、結合モジュールM11、セグメンテーションモジュールM12、室内構造推定モジュールM13、トップビュー画像補正モジュールM14、間取図画像入力受付モジュールM15、物件構造推定モジュールM16、マッチングモジュールM17、関係推定モジュールM18、部屋タイプ情報取得モジュールM19、三次元モデル生成モジュールM20、及び関係補正モジュールM21を備えている。メインモジュールMMは、コンピュータCを統括的に制御する部分である。室内画像入力受付モジュールM10、結合モジュールM11、セグメンテーションモジュールM12、室内構造推定モジュールM13、トップビュー画像補正モジュールM14、間取図画像入力受付モジュールM15、物件構造推定モジュールM16、マッチングモジュールM17、関係推定モジュールM18、部屋タイプ情報取得モジュールM19、三次元モデル生成モジュールM20、及び関係補正モジュールM21のそれぞれを実行することにより実現される機能は、上述した室内画像入力受付部10、結合部11、セグメンテーション部12、室内構造推定部13、トップビュー画像補正部14、間取図画像入力受付部15、物件構造推定部16、マッチング部17、関係推定部18、部屋タイプ情報取得部19、三次元モデル生成部20、及び関係補正部21のそれぞれが有する機能と同一である。
【0066】
なお、三次元モデル生成プログラムPは、室内画像入力受付モジュールM10、セグメンテーションモジュールM12、室内構造推定モジュールM13、及び三次元モデル生成モジュールM20以外の少なくともいずれかのモジュールを備えていなくてもよい。
【0067】
[作用及び効果]
以上説明したように、三次元モデル生成装置1は、不動産物件の室内を撮像した室内画像RGの入力を受け付ける室内画像入力受付部10と、室内画像入力受付部10により入力を受け付けられた室内画像RGに対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部12と、セグメンテーション部12により室内画像RGに対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部13と、室内構造推定部13により推定された室内構造に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部20と、を備える。
【0068】
三次元モデル生成プログラムPは、コンピュータCを、不動産物件の室内を撮像した室内画像RGの入力を受け付ける室内画像入力受付部10と、室内画像入力受付部10により入力を受け付けられた室内画像RGに対してセグメンテーションを行うセグメンテーション部12と、セグメンテーション部12により室内画像RGに対して行われたセグメンテーションの結果に基づいて、室内の構造である室内構造を推定する室内構造推定部13と、室内構造推定部13により推定された室内構造に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する三次元モデル生成部20と、として機能させる。
【0069】
三次元モデル生成装置1及び三次元モデル生成プログラムPの少なくともいずれかによれば、不動産物件の室内を撮像した室内画像RGに対してセグメンテーションを行うことにより室内画像RGに含まれる各部位の属性が把握され、把握された各部位の属性に基づいて室内構造が推定される。そして、このようにして推定された室内構造に基づいて不動産物件の三次元モデルが生成される。したがって、例えば単に間取図等から推定される室内構造に基づいて三次元モデルを生成する場合と比較して、室内の状況を詳細に反映した三次元モデルが生成される。よって、より詳細な情報を含む不動産物件の三次元モデルを生成可能となる。
【0070】
三次元モデル生成装置1では、セグメンテーション部12は、室内画像RGに対して少なくとも2種類のセグメンテーションを行う。これによれば、例えば特定の種類のセグメンテーションでは判別しにくい物体についても別のセグメンテーションを行うことにより好適に判別可能となる。
【0071】
三次元モデル生成装置1では、セグメンテーション部12は、室内画像RGに対して少なくともセマンティックセグメンテーション及びインスタンスセグメンテーションを行う。これによれば、例えばセマンティックセグメンテーションでは判別しにくい部屋の境目等についてもインスタンスセグメンテーションを行うことにより好適に判別可能となる。
【0072】
三次元モデル生成装置1では、室内画像RGは、室内の全天球画像を含み、全天球画像において室内を上方から見た画像であるトップビュー画像TGに対して補正を行うトップビュー画像補正部14を備えている。これによれば、推定された室内構造の壁又はコーナー等の位置を補正することができるため、より精度の高い三次元モデルを生成することができる。しかも、室内構造をトップビュー画像TGから補正することができるため、より直感的な操作が可能となり利便性が向上する。
【0073】
三次元モデル生成装置1では、室内画像RGは、室内の全天球画像の一部である二次元画像PGを含み、二次元画像PGの一端PGaと一端PGaとは反対側の他端PGbとを互いに結合する結合部11を備え、セグメンテーション部12は、結合部11により一端PGaと他端PGbとが互いに結合された二次元画像PGに対してセグメンテーションを行う。室内画像RGに含まれる二次元画像PGは、室内の全天球画像の一部を構成している。例えば、二次元画像PGは、水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよい。このような二次元画像PGは、水平方向におけるいずれか一端PGaを基端として、当該一端PGaから360度の位置である他端PGbを末端とした帯状の画像である。このとき、帯状の二次元画像PGにおける一端PGaと他端PGbとでは室内の同一箇所例えば、上下方向に延在する直線上の箇所が撮像されている。ここで、二次元画像PGの一端PGa、すなわち他端PGbの部分に重なるように存在する物体は、二次元画像PG上において、一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示されることとなる。そうすると、セグメンテーション部12は、一端PGa側と他端PGb側とに二分割されて表示された物体に対して適切にセグメンテーションを行うことが難しくなる。その結果、二次元画像PG上において当該物体が表示された部位の属性が正しく把握されにくくなり、ひいては室内構造が正しく推定されにくくなる。そこで、上述した三次元モデル生成装置1では、帯状の二次元画像PGの一端PGaと他端PGbとを互いに結合してリング状にすることで、二次元画像PGの一端PGa、すなわち他端PGbの部分に重なるように存在する物体が二分割された状態ではなくなり、当該物体に対しても適切にセグメンテーションを行いやすくなる。その結果、二次元画像PG上において当該物体が表示された部位の属性が正しく把握されやすくなり、ひいては室内構造が正しく推定されやすくなる。このように、一端PGaと他端PGbとが互いに結合された二次元画像PGに対してセグメンテーションを行うことで、二次元画像PGが切れることによって画像認識の精度が低下しやすい部分についても好適にセグメンテーションを行うことが可能となる。なお、ここでは二次元画像PGの一例として水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像を例示したが、二次元画像PGは必ずしもこのような態様の画像でなくてもよく、例えば水平方向に対して交差する方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像等であってもよい。
【0074】
三次元モデル生成装置1は、不動産物件の間取りを示す間取図画像FGの入力を受け付ける間取図画像入力受付部15と、間取図画像入力受付部15により入力を受け付けられた間取図画像FGに基づいて、不動産物件の構造である物件構造を推定する物件構造推定部16と、室内構造推定部13により推定された室内構造と物件構造推定部16により推定された物件構造とのマッチングを行うマッチング部17と、を備え、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する。これによれば、室内画像RGに基づいて推定された室内構造だけでなく、間取図画像FGに基づいて推定された物件構造にも基づいて、不動産物件の三次元モデルが生成される。このため、室内構造だけでは不明確になりやすい不動産物件の全体的な構造に関する情報を物件構造に基づいて補完することができる。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0075】
三次元モデル生成装置1は、不動産物件の部屋タイプに関する部屋タイプ情報を取得する部屋タイプ情報取得部19を備え、三次元モデル生成部20は、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果、及び、部屋タイプ情報取得部19により取得された部屋タイプ情報に基づいて、不動産物件の三次元モデルを生成する。これによれば、不動産物件の有する部屋の種類や数に関する情報である部屋タイプ情報にも基づいて不動産物件の三次元モデルが生成される。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0076】
三次元モデル生成装置1では、室内画像入力受付部10は、不動産物件に対して複数の室内画像RGの入力を受付可能であり、マッチング部17により行われた室内構造と物件構造とのマッチングの結果に基づいて、複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかを推定する関係推定部18を備えている。これによれば、不動産物件の複数の室内画像RGどうしの接続関係及び位置関係の少なくともいずれかが、室内構造推定部13により推定された室内構造と物件構造推定部16により推定された物件構造とのマッチングの結果に基づいて高精度に推定される。よって、不動産物件の三次元モデルを精度良く生成することが可能となる。
【0077】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0078】
例えば、上述した実施形態において、二次元画像PGは、水平方向に360度にわたって撮像されたパノラマ画像である。しかし、二次元画像PGは、水平方向に360度にわたって撮像されていなくてもよく、例えば水平方向に270度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよく、水平方向に180度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよく、水平方向に90度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよく、水平方向に上記以外の角度にわたって撮像されたパノラマ画像であってもよい。また、二次元画像PGは、水平方向に広角となるように撮像されていなくてもよく、例えば水平方向に対して交差する方向に広角となるように撮像されたパノラマ画像であってもよい。一例として、二次元画像PGは、垂直方向に広角となるように撮像されたパノラマ画像であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 三次元モデル生成装置
10 室内画像入力受付部
11 結合部
12 セグメンテーション部
13 室内構造推定部
14 トップビュー画像補正部
15 間取図画像入力受付部
16 物件構造推定部
17 マッチング部
18 関係推定部
19 部屋タイプ情報取得部
20 三次元モデル生成部
21 関係補正部
C コンピュータ
FG 間取図画像
P 三次元モデル生成プログラム
PG 二次元画像
PGa 一端
PGb 他端
RG 室内画像
TG トップビュー画像