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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】微細バブル発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/10 20220101AFI20240820BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 25/452 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 25/54 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 25/314 20220101ALI20240820BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20240820BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20240820BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20240820BHJP
【FI】
B01F25/10
B01F23/2373
B01F23/23
B01F23/2326
B01F25/431
B01F25/452
B01F25/54
B01F25/314
B01F23/2375
A01K63/04 C
A01G31/00 601A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024038687
(22)【出願日】2024-03-13
【審査請求日】2024-03-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505229117
【氏名又は名称】株式会社MRT
(74)【代理人】
【識別番号】100122725
【弁理士】
【氏名又は名称】竹口 美穂
(72)【発明者】
【氏名】塚本 耕也
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋一郎
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144018(JP,A)
【文献】特表2017-514679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/10
B01F 23/2373
B01F 23/23
B01F 23/2326
B01F 25/431
B01F 25/452
B01F 25/54
B01F 25/314
B01F 23/2375
A01K 63/04
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その一端の入口から流入された液体を通過させてその他端の出口から排出する管状の流路を備えた、微細バブル発生装置であって、
前記流路の上流側に配置された旋回流発生部と、
前記流路において、前記旋回流発生よりも下流側に配置された第1オリフィスと、
一端が前記流路の外部に配置され、他端が前記流路における前記第1オリフィスと前記出口との間の位置に配置され、前記流路の外部から前記流路に気体を供給するための気体供給管と、
前記流路における、前記気体供給管の前記他端の配置位置と前記出口との間に配置された、スタティックミキサと、を備え、
前記旋回流発生部は、
その中心点を中心とする同心円上に複数の流路用貫通孔が形成された板状部材が、各前記板状部材における対応する前記流路用貫通孔同士が連通するように、前記流路における前記液体の通過方向に複数積層された積層体を備え、
前記各板状部材は、前記流路の上流側に隣接する前記板状部材よりも、前記各板状部材の中心点を結ぶ軸を基準として、所定方向に回転するように配置されている、
ことを特徴とする微細バブル発生装置。
【請求項2】
前記積層体は、隣接する前記板状部材の間には、前記複数の流路用貫通孔を塞がないように、板状の間挿部材が配置され、スタティックミキサとして機能する、
ことを特徴とする請求項1に記載の微細バブル発生装置。
【請求項3】
前記流路を構成し、前記液体の上流側から下流側に並べて配置された、第1の筒体、第2の筒体、及び第3の筒体を備え、
前記第1の筒体は、その内面において内側に突出する第1突出部位を備え、この第1突出部位の下流側端部に当接するように前記旋回流発生部が配置され、
前記第2の筒体は、その上流側端部が前記第1の筒体の下流側端部に取り付けられ、前記液体の通過方向の中途位置の内面において、内側に突出する第2突出部位を備え、この第2突出部位の下流側端部に前記第1オリフィスが配置され、
前記第3の筒体は、その上流側端部が前記第2の筒体の下流側端部に取り付けられ、前記液体の通過方向の中途位置において、この中途位置より上流側及び下流側に比べて内径が小さい小内径部位が形成され、この小内径部位の上流側縁部に第2オリフィスが配置され、前記小内径部位の下流側縁部に前記スタティックミキサが配置され、前記小内径部位内に、前記気体供給管が挿入され、
前記第1の筒体及び前記第2の筒体内に挿入され、前記旋回流発生部の下流側端から前記第2突出部位まで延びる第1内部筒体と、
前記第2の筒体及び前記第3の筒体内に挿入され、前記第1オリフィスの下流側端部から前記第2オリフィスの上流側端部まで延びる第2内部筒体と、
前記第3の筒体内に挿入され、前記スタティックミキサの下流側端から前記液体の通過方向に伸びる第3内部筒体と、を更に備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の微細バブル発生装置。
【請求項4】
前記出口から排出された液体を前記入口に循環させる循環式用であって、農作物又は水産物に供給する用の微細バブル含有液体を発生する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の微細バブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中でマイクロバブルやナノバブル等の微細バブルを発生させる微細バブル発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロバブルやナノバブル等の微細バブルが産業分野において利用されている。なお、マイクロバブルとはバブル(気泡)の直径が1μm~数十μmの範囲のものをいい、ナノバブルとは気泡の直径が1nm~1000nm(1μm)の範囲のものをいう。産業分野における利用には、例えば、水産業や農業等の利用がある。
【0003】
上述したような微細バブルを発生する装置(微細バブル発生装置)には、様々な方式のものがあり、例えば、旋回流方式、加圧溶解方式、オリフィス・ベンチュリ管方式、超音波利用方式、微細孔フィルタ利用方式等がある。このうち旋回流方式は、高速液旋回流によって気泡の粉砕を行うことで微細バブルを発生させる方式であり、特許文献1には旋回流方式のマイクロバブル発生装置(微細バブル発生装置)が開示されている。そして、微細孔フィルタ利用方式は、微細孔フィルタに気体を通過させることで微細バブルを発生させる方式であり、特許文献2には微細孔フィルタ利用方式の微細バブル発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4652478号公報
【文献】特許第6809671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような単一の方式によって、微細バブル発生量を多くするためには、装置の構成が複雑で、高額になっていた。例えば、上述した特許文献1のマイクロバブル発生装置は、気液発生槽と外殻槽のニ重構造を備え、気液発生槽の外側から複数の液体供給口を用いて気液発生槽の内部に液体が供給されることで、強力な旋回流を生じさせ、効率的にマイクロバブルを発生させるようになっている。この様に、発生槽と外殻槽のニ重構造を備えるため、構成が複雑であり、安価に製造することが難しい。
【0006】
また、特許文献2の微細バブル発生装置では、気体を供給される気体収納管と、この気体収納管を覆うように形成され、液体を供給される外殻槽とが設けられ、気体収納管の中途位置には多孔質部材が形成されている。この多孔質部材の位置と外殻槽との間には、隙間が形成されている。この隙間に外殻槽内に送られた液体を高速で流してこの隙間を減圧状態とすることで、多孔質部材を通して気体収納管内の気体をこの隙間に放出させるとともに、隙間を高速で流れる液体によって気泡を多孔質部材の表面から引き離し、直後に液体の流れの圧力を急速に解放することによってマイクロオーダ或いはナノオーダの微細な気泡を生成するようになっている。この様に、中途位置に多孔質部材を形成した気体収納管と、外殻槽とを設けなくてはならず、また、外殻槽内に高速の旋回流を流すために、螺旋状のカレント制御板を設ける必要があり、特許文献2の微細バブル発生装置も構成が複雑であり、安価に製造することが難しい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、安価で簡易な構成で、微細バブルの発生量が多い微細バブル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る微細バブル発生装置は、その一端の入口から流入された液体を通過させてその他端の出口から排出する管状の流路を備えた微細バブル発生装置であって、前記流路の上流側に配置された旋回流発生部と、前記流路内において、前記旋回流発生部4よりも下流側に配置されたオリフィスと、一端が前記流路の外部に配置され、他端が前記流路における前記オリフィスと前記出口との間の位置に配置され、前記流路の外部から前記流路に気体を供給するための気体供給管と、前記流路における、前記気体供給管の前記他端の配置位置と前記出口との間に配置された、スタティックミキサと、を備え、前記旋回流発生部は、その中心点を中心とする同心円上に複数の流路用貫通孔が形成された板状部材が、各前記板状部材における対応する前記流路用貫通孔同士が連通するように、前記流路における前記液体の通過方向に複数積層された積層体を備え、各前記板状部材は、前記流路の上流側に隣接する前記板状部材よりも、各前記板状部材の中心点を結ぶ軸を基準として、所定方向に回転するように配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
(2)上記前記積層体は、隣接する前記板状部材の間には、前記複数の流路用貫通孔を塞がないように、板状の間挿部材が配置され、スタティックミキサとして機能してもよい。
【0010】
(3)上記微細バブル発生装置は、前記流路を構成し、前記記液体の上流側から下流側に並べて配置された、第1の筒体、第2の筒体、及び第3の筒体を備えていてもよい。前記第1の筒体は、その内面において内側に突出する第1突出部位を備え、この第1突出部位の下流側端部に当接するように前記旋回流発生部が配置される。前記第2の筒体は、その上流側端部が前記第1の筒体の下流側端部に取り付けられ、前記液体の通過方向の中途位置の内面において、内側に突出する第2突出部位を備え、この第2突出部位の下流側端部に前記第1オリフィスが配置される。前記第3の筒体は、その上流側端部が前記第2の筒体の下流側端部に取り付けられ、前記液体の通過方向の中途位置において、前記中途位置より上流側及び下流側に比べて内径が小さい小内径部位が形成され、この小内径部位の上流側縁部に第2オリフィスが配置され、前記小内径部位の下流側縁部に前記スタティックミキサが配置され、前記小内径部位内に、前記気体供給管が挿入される。更に、上記微細バブル発生装置は、前記第1の筒体及び前記第2の筒体内に挿入され、前記旋回流発生部の下流側端から前記第2の突出部位まで延びる第1内部筒体と、前記第2の筒体及び前記第3の筒体内に挿入され、前記第1オリフィスの下流側端部から前記第2オリフィスの上流側端部まで延びる第2内部筒体と、前記第3の筒体内に挿入され、前記スタティックミキサの下流側端から前記液体の通過方向に伸びる第3内部筒体と、を更に備えてもよい。
【0011】
(4)上記微細バブル発生装置は、前記出口から排出された液体を前記入口に循環させる循環式用であって、農作物又は水産物に供給する用の微細バブル含有液体を発生してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、安価で簡易な構成で、微細バブルの発生量が多い微細バブル発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る微細バブル発生装置の正面図である。
図2図1の微細バブル発生装置において流路槽の前方部分と第1~第3内部筒体の前方部分とを切り欠いた図である。
図3図1で示す微細バブル発生装置の左側面図である。
図4図1で示す微細バブル発生装置のA―A矢視断面図である。
図5】オリフィスと板状部材とスタティックミキサの構成と寸法の説明図である。
図6】旋回流発生部の正面図である。
図7】(A)は、最上流側の板状部材の右側面図であり、(B)は、(A)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図であり、(C)は、(B)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図であり、(D)は、(C)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図であり、(E)は、(D)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図である。
図8図1で示す微細バブル発生装置の使用方法の一例を示す説明図である。
図9】実験装置aを用いた非循環式の実験結果を示す表である。
図10図9の実験結果を示すグラフである。
図11】実験装置bを用いた非循環式の実験結果を示す表である。
図12図11の実験結果を示すグラフである。
図13】実験装置cを用いた非循環式の実験結果を示す表である。
図14図13の実験結果を示すグラフである。
図15】実験装置dを用いた非循環式の実験結果を示す表である。
図16図15の実験結果を示すグラフである。
図17】実験装置dを用いた循環式の実験結果を示す表である。
図18図17の実験結果を示すグラフである。
図19A】イチゴ収穫実験における累計果実数を示すグラフである。
図19B】イチゴ収穫実験における収穫果実の糖度を示すグラフである。
図19C】トマト収穫実験における平成30年度から令和3年度までの月別収穫量を示すグラフである。
図20】錦鯉の成育実験で育成された錦鯉の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図1から図7を用いて、本発明を適用した一実施形態に係る微細バブル発生装置を説明する。図1は、本実施形態に係る微細バブル発生装置の正面図である。図2は、図1の微細バブル発生装置において流路槽の前方部分と第1~第3内部筒体の前方部分とを切り欠いた図である。図3は、図1で示す微細バブル発生装置の左側面図である。なお、図3において、図面の視認し易さを考慮して、気体供給管6や管挿入部232の図示を省略している。図4は、図1で示す巾着袋のA―A矢視断面図である。なお、図4において、図面の視認し易さを考慮して、中途部位22Aから上流側の構成の図示を省略している。図5は、オリフィスと板状部材の構成と寸法の説明図である。図6は、旋回流発生部の正面図である。図7(A)は、最上下流側の板状部材の右側面図である。図7(B)は、図7(A)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図である。図7(C)は、図7(B)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図である。図7(D)は、図7(C)の板状部材の下流側に隣接する板状部材の右側面図である。図7(E)は、図7(D)の板状部材の下流側(最下流側)に隣接する板状部材の右側面図である。本実施形態において、図1における上側を微細バブル発生装置の上側、図1における下側を微細バブル発生装置の下側、図1における左側を微細バブル発生装置の左側、図1における右側を微細バブル発生装置の右側、図1における手前側を微細バブル発生装置の前側、図1における奥側を微細バブル発生装置の後側と記載する。
【0015】
本実施形態に係る微細バブル発生装置1は、マイクロバブルやナノバブル等の微細バブルを生成する装置である。なお、マイクロバブルとナノバブルの定義は、上述した通りである。まず、微細バブル発生装置1の構成について説明する。なお、本実施形態において、バブルを気泡と記載する場合がある。
【0016】
(微細バブル発生装置の構成)
微細バブル発生装置1は、その一端(左端)の入口200から流入された液体を通過させてその他端(右端)の出口201から排出する管状の流路槽2を備えている。すなわち、流路槽2の内側が液体の流路Fとなる。微細バブル発生装置1は、流路Fの上流側(左側)に配置された旋回流発生部4と、流路Fにおいて、旋回流発生部4よりも下流側(右側)に配置された第1オリフィス5と、一端(上端61)が流路Fの外部に配置され、他端(下端62)が流路Fにおける第1オリフィス5と出口201との間の位置に配置され、流路Fの外部から流路Fに気体(空気)を供給するための気体供給管6と、流路Fにおける、気体供給管6の下端62の配置位置と出口201との間に配置された、スタティックミキサ7と、を備える。微細バブル発生装置1によれば、各微細バブル発生部(旋回流発生部4、第1オリフィス5、気体供給管6、スタティックミキサ7)の相互作用により、微細バブルの発生量が大変多くなる。以下、微細バブル発生装置1の構成部について詳細に説明する。
【0017】
(微細バブル発生装置の構成:流路槽)
図1及び図2で示すように、流路槽2は、流路Fを構成し、液体の上流側から下流側に並べて配置された、第1の筒体21、第2の筒体22、及び第3の筒体23を備える。具体的には、第1の筒体21と、第1の筒体22と、第3の筒体23とが、この順番で左から右に並べて配置され、第1の筒体21の右縁(下流側端部)と第2の筒体22の左縁(上流側端部)、第2の筒体22の右縁(下流側端部)と第3の筒体23の左縁(上流側端部)とが互いに接続され(取り付けられ)、これによって、第1の筒体21、第2の筒体22、第3の筒体23の内部空間が連通されている。なお、この接続は、部材を介していてもよい。
【0018】
第1の筒体21及び第2の筒体22では、左右方向の中途部分21A、22Aを基準として上流側部位が下流側部位よりも径(内径及び外径)が大きく形成されている。なお、上記中途部分21A、22Aの外径は、右方向に向かって連続的に小さくなっている。第1の筒体21の下流側部位の径(内径及び外径)と第2の筒体22の上流側部位の径(内径及び外径)とが略一定であるとともに略同一に形成されている。これによって、第1の筒体21の右縁と第2の筒体22の左縁とを内面及び外面とも略一定及び面一で接続することが可能になっている。
【0019】
また、第3の筒体23では、液体の通過方向の中途位置の内面において、前記中途位置より上流側及び下流側に比べて内径が小さい小内径部位231が形成されている。小内径部位231より下流側及び上流側は、その径(外形及び内径)が略一定に形成されており、かつ、第2の筒体22の下流側の径(外形及び内径)と略同一に形成されている。これによって、第2の筒体22の右縁と第3の筒体23の左縁とを内面及び外面とも面一で接続することが可能になっている。流路槽2は、必ずしも、第1~第3の筒体21、22、23で形成されなくてもよく、単一の筒体で形成されてもよい。また、流路槽2の形状も適宜変更することができる。以下、第1の筒体21、第2の筒体22、及び第3の筒体の構成をより詳細に説明する。
【0020】
第1の筒体21は、中途部分21Aの内面において内側に突出する第1突出部位21Bを備えている。第1突出部位21Bは、内周に亘って形成されており、下流側の部位において径が連続的に縮小されている。第1突出部位21Bの下流側端部に当接するように旋回流発生部4が配置されている。旋回流発生部4の詳細な構成については後述する。第1の筒体21における第1突出部位21Bより上流側は、その内面に給水栓ソケットインサートが取り付けられ、図略のポンプの配管を挿入可能になっている。第2の筒体22は、液体の通過方向の中途位置(中途部分22A)の内面において、内側に突出する第2突出部位22Bを備えている。第2突出部位22Bは、内周に亘って形成されており、その上流側部位において内径が次第に縮小されることで、径縮小部221が形成されている。第2突出部位22Bの下流側端部(端面)に当接するように第1オリフィス5が配置されている。第1オリフィス5の詳細な構成については後述する。
【0021】
第3の筒体23は、上述したように、液体の通過方向の中途位置に小内径部位231が形成されているが、その上流側部位において内径が次第に拡大され、その下流側部位において、内径が次第に縮小されている。この次第に拡大される部位を「拡大部位」と記載し、次第に縮小される部位を「縮小部位」と記載する。小内径部位231の上流側縁部(拡大部位)に当接するように第2オリフィス5Aが配置され、小内径部位231の下流側縁部(縮小部位)に当接するようにスタティックミキサ7が配置されている。第2オリフィス5Aとスタティックミキサ7の構成についての詳細は後述する。第3の筒体23の上記中途位置における外面上側には、この外面上側から突出する円柱状の管挿入部232が設けられている。管挿入部232は、高さ方向の中途位置に鍔部232Aが形成されるとともに、高さ方向に貫通孔が形成され、この貫通孔は小内径部位231内に至る。この貫通孔内に気体供給管6が下端62から挿入されることで、小内径部位231内に気体供給管6が挿入されている。この気体供給管6と管挿入部232の間は、シーリング材等が取り付けられていてもよい。なお、第2オリフィス5Aとスタティックミキサ7との間の領域(気体供給管6が挿入されている領域)を、気体供給領域70と記載する。
【0022】
第1の筒体21内及び第2の筒体22内には、第1内部筒体3Aが挿入されている。第1内部筒体3Aは、旋回流発生部4の下流側端(右側端)から第2突出部位22Bの上流側端(左端)まで延びる。これによって、旋回流発生部4を第1突出部位21Bと第1内部筒体3Aとで挟んで固定することが出来るようになっている。第1内部筒体3Aの外径は、第1の筒体21内及び第2の筒体22との間に隙間なく嵌め入れられる寸法であることが好ましい。なお、第1内部筒体3Aは、第1の筒体21内及び第2の筒体22内に接着剤等で接着されてもよい。
【0023】
第2の筒体22内及び第3の筒体23内には、第2内部筒体3Bが挿入されている。第2内部筒体3Bは、第1オリフィス5の下流側端部から第2オリフィス5Aの上流側端部まで延びる。これによって、第1オリフィス5を第2突出部位22Bと第2内部筒体3Bとで挟んで固定し、第1オリフィス5Aを小内径部位231と第2内部筒体3Bとで挟んで固定することが出来るようになっている。第2内部筒体3Bの外径は、第2の筒体22内及び第3の筒体23との間に隙間なく嵌め入れられる寸法であることが好ましい。なお、第2内部筒体3Bは、第2の筒体22内及び第3の筒体23内に接着剤等で接着されてもよい。
【0024】
また、第3の筒体23内には、第3内部筒体3Cが挿入され、第3内部筒体3Cは、スタティックミキサ7の下流側端から液体の通過方向に伸びて第3の筒体23の外部まで突出している。第3内部筒体3Cの下流側端部が、流路Fの出口201となる。第3内部筒体3Cの外径は、第3の筒体23との間に隙間なく嵌め入れられる寸法であることが好ましい。なお、第3内部筒体3Cは、第3の筒体23内に接着剤等で接着されてもよい。
【0025】
(微細バブル発生装置の構成:旋回流発生部)
次に、旋回流発生部4の構成について説明する。図2図3図5図6、及び図7を参照して、旋回流発生部4は、流路槽2(流路F)における液体の通過方向(左から右方向)に複数(本実施形態では五個)の板状部材41が積層された積層体40を備える。なお、板状部材41は、側面視で円形かつ左右方向に厚みを有する板状部材であり、中心にビス止め用貫通孔43が形成されている。板状部材41の径は、第1の筒体21の内径より若干小さい寸法であり、積層体40が第1の筒体21との間に隙間なく嵌め入れられる寸法であることが好ましい。なお、板状部材41の個数は五個に限定されず、それより少なくても多くてもよい。複数の板状部材41は、互いに略同一形状であり、略同一寸法に形成されている。板状部材41は、その中心点を中心とする同心円上に複数の貫通孔411が形成されており、各板状部材41における対応する貫通孔411同士が連通するように重ねられている。重ねた状態で、ビス止め用貫通孔43を介してビス44が挿入され、ビス44の下端にビス固定具45が固定されるようになっている。なお、板状部材41同士の固定方法はビス止めに限定されない。また、本実施形態では、貫通孔411は側面視で円形であるが、この構成に限定されず、他の形状であってもよい。
【0026】
本実施形態では、板状部材41には、中心点を中心とする同一円上に四個の流路用貫通孔411が形成されている。具体的には、この同一円の0度、90度、180度、270度の位置に流路用貫通孔411が形成されている。なお、「各板状部材41における対応する流路用貫通孔411」とは、同じ位置に形成された流路用貫通孔411同士のことであり、具体的には、同一円の0度の位置に形成された流路用貫通孔411同士、同一円の90度の位置に形成された流路用貫通孔411同士、同一円の180度の位置に形成された流路用貫通孔411同士、同一円の270度の位置に形成された流路用貫通孔411同士のことである。本実施形態では、流路用貫通孔411は、同一円上に形成されているが、必ずしも同一円上に形成されていなくてもよく、同心円上に形成されていればよい。また、流路用貫通孔411の個数も四個に限定されず、それより少ない数又は多い数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0027】
ここで、図7で示すように、各板状部材41は、流路槽2(流路F)の上流側に隣接する板状部材41よりも、各板状部材の中心点(図7の点O)を結ぶ軸を基準として、所定方向(図7の矢印Xで示す方向、すなわち反時計回り)に回転するように配置されている。これによって、積層体40の各板状部材41における対応する流路用貫通孔411を液体が通過することで、斜めの角度(例えば、斜め30度から40度の角度)で四か所から液体が積層体40の下流側に流入することになり、旋回流が発生するようになっている。この旋回流の発生によって、液体に含有される気体を粉砕して微細バブルを発生させることが出来るようになっている。また、旋回流発生部4を通過した液体が、旋回流発生部4より上流に逆流することが防止される。更に、板状部材41は成型がし易く安価に製造できるが、この様な板状部材41の積層によって旋回流発生部4が形成されるため、簡易な構成で安価に旋回流発生部4を製造することができる。
【0028】
また、図6で示すように、積層体40において、隣接する板状部材41の間には、複数の流路用貫通孔411を塞がないように、板状の間挿部材42が配置され、これによって、積層体40は積層型スタティックミキサとして機能する。すなわち、本実施形態では、四個の間挿部材42が隣接する板状部材41の間に挟まれて配置されている。更に、一個の間挿部材42が最も上流の間挿部材42の右側に配置されているが、この間挿部材42は必ずしも配置されなくてもよい。なお、板状部材42の個数は5個に限定されず、それより多くても少なくても良い。間挿部材42は、側面視で円形の左右方向に厚みを有する板状部材であり、中心にビス止め用貫通孔43と同寸法で同形状のビス止め用貫通孔421が形成されている。間挿部材42の厚みは、例えば、0.2mm以上1.0mm未満、より好ましくは、0.2mm以上0.5mm以下に形成することであるが、この限りではない。間挿部材42は、そのビス止め用貫通孔421を介して、板状部材41とともにビス44が挿入され、ビス固定具45で固定されるようになっている。ここで、間挿部材42の径は、板状部材41の中心点から流路用貫通孔411の最も内側の位置よりも小さい寸法に形成されており、これによって、複数の流路用貫通孔411を塞がないようになっている。
【0029】
上述したように、隣接する板状部材41の間に板状の間挿部材42が配置されることで、積層体40は積層型スタティックミキサとして機能することができるようになっている。このため、積層体40を液体が通過することで、旋回流の発生のみならず、スタティックミキサ機能によって、微細バブルを発生させることが出来るため、旋回流発生部4で多くの微細バブルを発生させることが出来るようになっている。もっとも、積層体40は、間挿部材42を備えず、板状部材41を複数有するだけの構成であってもよい。
【0030】
(微細バブル発生装置の構成:第1及び第2オリフィス)
図2、及び図5を参照して、第1及び第2オリフィス5、5Aを説明する。第1及び第2オリフィス5、5Aは、円板状であり、その中央に側面視で略円状の貫通孔が流水部51、51Aとして形成されている。第1オリフィス5は、板面が左右方向を向く様に配置され、上述したように、第2の筒体22内における第2突出部位22Bと第2内部筒体3Bとで挟まれている。第1オリフィス5は、第2突出部位22Bの下流端(右縁)の内径及び第2内部筒体3Bの内径よりも大きく、かつ、第2内部筒体3Bの中途位置22Aより下流側の内径よりも小さく形成されている。これによって、第2内部筒体3Bの中途位置22Aより下流側内において、第2突出部位22Bと第2内部筒体3Bとで第1オリフィス5を挟んで固定することができる。また、第1オリフィス5の流水部51に液体を漏れなく通過させて第2内部筒体3B内に流入させるようになっている。なお、第1オリフィス5と、第2突出部位22Bや第2内部筒体3Bとは、接着剤等で接続されていてもよい。
【0031】
また、第2オリフィス5Aは、板面が左右方向を向く様に配置され、上述したように、小内径部位231の上流側端部(左端部)と第2内部筒体3Bの下流側端部(右端部)とで挟まれている。第2オリフィス5Aは、小内径部位231の内径及び第2内部筒体3Bの内径よりも大きく形成され、第3の筒体23における小内径部位231より上流側の内径よりも小さく形成されている。これによって、小内径部位231と第1内部筒体3Bとで第2オリフィス5Aを挟んで固定することができる。また、第2オリフィス5Aの流水部51Aに液体を漏れなく通過させて気体供給領域70に流入させるようになっている。なお、第2オリフィス5Aと第2内部筒体3Bや小内径部位231とは、接着剤等で接続されていてもよい。
【0032】
第1及び第2オリフィス5、5Aの流水部51、51Aはその直上流よりも流路断面積が小さくなっているため、流水部51、51Aを液体が通過することで、流路断面積変化に伴う急激な圧力変化によって、液体内の気泡が崩壊する。これによって、微細バブルが生成される。また、第1及び第2オリフィス5、5Aの直下流では、減圧される。この第1及び第2オリフィス5、5Aの直下流の減圧作用によって、第1及び第2オリフィス5、5Aの下流側に配置された気体供給管6を介して、外部からの空気が自動的に供給されるようになっている。
【0033】
(微細バブル発生装置の構成:気体供給領域とスタティックミキサ)
上述したように、小内径部位231における上流側端部には第2オリフィス5Aが配置され、下流側端部には、スタティックミキサ7が取り付けられ、第2オリフィス5Aとスタティックミキサ7との間である気体供給領域70には、気体供給管6が挿入される。なお、スタティックミキサ7と小内径部位231は、接着剤等で接続されていてもよい。
【0034】
上述した第1及び第2オリフィス5、5Aの直下流の減圧作用によって、第1及び第2オリフィス5、5Aの下流側に配置された気体供給管6を介して、自動的に供給されるようになっている。これによって、外部からの空気が気体供給領域70の内部に供給され、第2オリフィス5Aを介して気体供給領域70内に流入した液体によってせん断されて、キャビテーションが発生して、多量の微細バブルが発生される。この微細バブルは、スタティックミキサ7に流れる。ここで、気体供給領域70内に流入する液体は、第2オリフィス5Aの通過によって、流速が大きくなっている。更に、液体が旋回流として、気体供給領域70内に流入する。これらのことからも、微細バブルの発生量が多くなる。
【0035】
図4及び図5を参照して、スタティックミキサ7は、板面を左右方向に向けた円板状の部材である。スタティックミキサ7の中央には、側面視で略円形の貫通孔が形成され、この貫通孔の縁から内側に伸びる刃71が、所定の間隔を空けて複数形成されている。本実施形態では、内側に向かって幅狭になり、先端部分が平坦に形成された刃が、九個形成されている。もっとも、スタティックミキサ7の刃71の形状、個数、配置位置はこの限りではなく、適宜変更することができる。スタティックミキサ7は、必ずしも板状でなくてもよいが、板状であることが取り付け容易であり好ましい。スタティックミキサ7を通過することで、刃71によって気泡が粉砕されて、微細バブルが発生し、この微細バブルを含む液体が第3内部筒体3C内を通って出口201まで流れて排出されるようになっている。
【0036】
(微細バブル発生装置の材料)
本実施形態では、微細バブル発生装置1は、次のような材料で形成されている。流路槽2、第1内部筒体33A、第2内部筒体33B、第3内部筒体33Cは、樹脂製(例えば塩化ビニール製)である。流路槽2、第1内部筒体33A、第2内部筒体33B、第3内部筒体33Cは、市販品の「塩化ビニール管継手」と言われるものを利用することができる。また、流路槽2の第3の筒体23として、市販の「スプリンクラー用塩化ビニール製散水ノズル」と言われるものを利用することができる。
【0037】
旋回流発生部4(板状部材41、間挿部材44)、第1オリフィス5、及び第2オリフィス5Aは、金属製(例えばステンレス製)の部材である。これらの部材4、5、5Aは、いわゆるステンレスワッシャー(例えば内径6.5mm)と言われるものを利用することができる。板状部材41については、例えば、このステンレスワッシャーに対して複数の流路用貫通孔411を形成することで利用できる。気体供給管6は、金属製(例えばステンレス製)であり、「ステンレスパイプ」と言われる市販品を利用してもよい。スタティックミキサ7は、金属製(例えばステンレス製)であり、市販のいわゆる「内歯ワッシャー」と言われるものを利用することができる。
【0038】
(微細バブル発生装置の製造方法)
以下に、図1から図7を用いて、微細バブル発生装置1の製造方法の一例を説明する。
金型成型等で第1の筒体21、第2の筒体22、第3の筒体23を製造する。第3の筒体23には管挿入部232が形成されるが、管挿入部232に貫通孔を形成する。金型成型等で第1~第3内部筒体3A~3Cを製造する。また、旋回流発生部4を製造する。具体的には、五個の板状部材41と、5個の間挿部材42とを交互に重ねて、ビス止め用貫通孔43、421を介して、ビス44を挿入して、ビス固定具45で固定する。これによって、旋回流発生部4を製造する。
【0039】
第1の筒体21の右側から旋回流発生部4を第1突出部位21Bまで挿入して、更に、第1内部筒体3Aの左側を旋回流発生部4まで挿入する。そして、第1内部筒体3Aの右側を、第2の筒体22内に左側から挿入する。ここで、第1の筒体21の右縁と第2の筒体22の左縁を接着剤等で固定する。次に、第2の筒体22の右側から第1オリフィス5を第2突出部位22Bまで挿入してから、第2内部筒体3Bの左側を第1オリフィス5まで挿入する。次に、第3の筒体23内に左側から第2オリフィス5Aを小内径部位231まで挿入してから、更に、第2内部筒体3Bの右側を挿入する。ここで、第2の筒体22の右縁と第3の筒体23の左縁を接着剤等で固定する。次に、第3の筒体23内に右側から、スタティックミキサ7を小内径部位231まで挿入してから、更に、第3内部筒体3Cの左側を挿入する。そして、金型成型等で製造された気体供給管6を、第3の筒体23の管挿入部232における貫通孔から挿入する。
【0040】
(微細バブル発生装置の微細バブルの使用方法)
以下に、図8を用いて、微細バブル発生装置1の使用方法の一例を説明する。図8は、図1で示す微細バブル発生装置の使用方法の一例を示す説明図である。水等の液体Wを貯水する水槽100内に、本実施形態に係る微細バブル発生装置1を入れる。ここで、気体供給管6には、パイプ10の一端が挿入されており、パイプ10の他端が貯水の水面よりも上方に位置する。なお、パイプ10を使用せずに、気体供給管6の上端61が貯水の水面よりも上方に位置するようにしてもよい。この状態で、微細バブル発生装置1の入口200にポンプPを用いて水槽100に貯水された液体Wを送り込む。これによって、微細バブル発生装置1において、入口200から流入された液体Wが出口201を通って、水槽100の貯水エリアに排出される。微細バブル発生装置1の通過によって、微細バブルが液体W内に生成されて、貯水エリアに供給されるようになっている。この使用方法では、出口201から排出された液体を入口200に循環させる循環式用である。このため、出口201から排出された気泡を含む液体Wが繰り返し微細バブル発生装置1を通過して、貯水された液体Wの微細バブル含有量を更に多量にすることができる。
【0041】
微細バブル発生装置1で生成した上記微細バブル含有水は、農業や水産業で活用することが特に好ましい。農業や水産業は、水道水ではなく、ミネラルを含んだ井戸水・河川水・湖沼の水を使うことが多く、これらの水は空気の含有量が減っている場合が多いので、微細バブルを多量に供給することが好ましい。ここで、農業や水産業では、積算Qが約1億個/mL程度のナノバブルが供給されれば良い方である。微細バブル発生装置1では、水槽100内で微細バブル発生装置1を稼働させるだけで、多量の微細バブルを容易に生成することができる。なお、「微細バブル発生装置の効果の実証実験」で後述するが、微細バブル発生装置1を用いて十分間循環式でナノバブルを生成すると、積算Qが6億個/mL以上のナノバブルが生成できる。
【0042】
錦鯉や金魚に対して、積算Qが約2億個/mLのナノバブルを供給する成育実験を行ったところ、図20のサンプル個体a~eで示すような結果となった。小さい方の魚が微細バブルを供給せずに育成したもの、大きい方の魚がナノバブルを供給して育成したものである。この様にナノバブルの供給の有無で著しく成育度合いに差がある。ここで、金魚や錦鯉の一般的な飼育方法について説明する。金魚や錦鯉の生産は、主に屋外池(ため池等)での飼育方法と、冬期間の屋内池での飼育方法がある。盛夏~秋季にかけては、稚魚を屋外の野池(水温16~25℃ DO8~9mg/L)に放養し錦鯉を育成する。そして、丈夫で見た目が美しい売れそうな錦鯉等だけを選別して残す。選別作業は、孵化後1回7~9月の間に2回の、3回は行われる。本成育実験では、この選別で残るの数が、ナノバブル供給後は18.7%増(2022年度)になった。なお、バブル未供給の場合と比較している。冬期は、冬の寒さで錦鯉等が弱らないように、18~20℃(DO4~8mg/L)の水温を維持した越冬ハウスで飼育される。越冬歩留りは一般的に96~98%であるとされている。錦鯉等は、水温8℃以下になると急激に動きが鈍って体力が落ち、水温16~28℃で魚病を発症すると言われている。従って、水温を一定(18~20℃)に保つ必要があるが、上記ナノバブル供給後は、加温をせずに6~10℃の水を供給しても、越冬歩留りが98~100%に向上した。この水の溶存酸素濃度(DO)は、DO8~11mg/Lと高くなるため、水温が上記18~20℃より低くても、選別後の立鯉数が増加したと推測される。この様に、水産物に対して積算Qが約2億個/mL以上のナノバブルを供給すると、水加温用のヒーターも不要になり、選別後の立鯉数を増加させることができることが分かる。本実施形態に係る微細バブル発生装置1は、簡単に積算Qが約2億個/mL以上のナノバブルを生成できるため、水産業での利用に適している。
【0043】
また、トマトやイチゴに対して積算Qが約2億個/mLのナノバブルを供給した場合の糖度、正異型果数等の測定を行う実験を行った。対象としたイチゴの品種は、よつぼしである。栽培環境について説明する。光源は第1の白色LED(190±15µmolm-2s-1で、ランプ下15cm)と第2のLED(120±20µmolm-2s-1でランプ下15cm)である。期間は、6月下旬~ 8月中旬である。明期及び暗期の何れもランプは12hの照射、室温は21℃であった。DFT栽培方式で、養液は一部を1週間に1回交換した。定植からのEC(電気伝導度)は、0.4dS m-1である。試験方法は、6月中旬からマイクロバブルを供給し、7月末一回収穫を行い、8月末に果実数等を決算した。
【0044】
図19Aで示すように、ナノバブルを供給した方が、正型果の累積果実数が多くなり、奇形果も少ない傾向であった。8月3日の正型果の累積果実数を比較すると、上記ナノバブル供給した場合は、40粒弱であり、上記ナノバブル供給していない場合は、15粒弱であった。8月初旬奇型果の累積果実数を比較すると、上記ナノバブル供給した場合は、3粒であり、上記ナノバブル供給していない場合は、1粒であった。
【0045】
また、ナノバブルの供給と果実の糖度との関係は知られていなかったが、本実験による果実の糖度の測定によって、上記ナノバブルの供給によって果実の糖度が上がることが分かった。図19Bで示すように、よつぼしの糖度(BRIX値)について、上記ナノバブルを供給した果実の方が、上記ナノバブルを供給していない果実よりも、BRIX値が高くなっている。また、トマトについては、令和3年度(令和3年7月~令和4年6月まで)の3月から6月までナノバブルを供給したところ、令和2年度(令和2年7月~令和3年6月まで)以前の年度では、糖度10以上トマトの収穫がなかったが、糖度10~12までのトマトも収穫することができた。なお、図19Cは、平成30年度、令和1年度、令和2年度、令和3年度の月別の正型果の収穫量を示すが、この図では、令和3年度の正型果の収穫量が最も多くなっているため、トマトの収穫実験でも積算Qが約2億個/mLのナノバブルを農作物に供給することで、正型果の果実数が増えることが示されている。このようにイチゴ及びトマトの両方の実験結果から、積算Qが約2億個/mLのナノバブルを農作物に供給することで、正型果の果実数や果実の糖度を増加させることができることが分かる。
【0046】
上記から、本実施形態に係る微細バブル発生装置1は、簡単に積算Qが約2億個/mL以上のナノバブルを生成できるため、農業での利用に適している。
【0047】
(微細バブル発生装置の微細バブルの発生原理)
図2図5図6、及び図8を用いて、微細バブル発生装置1の微細バブルの発生原理を詳細に説明する。ポンプP等によって微細バブル発生装置1の流路F(流路槽2)内には、その入口200から液体(例えば水)が流入される。流入された液体は、旋回流発生部4を通過する。旋回流発生部4では、上述したように、各板状部材41が流路槽2(流路F)の上流側に隣接する板状部材41よりも、各板状部材の中心点(図7の点O)を結ぶ軸を基準として、所定方向(図7の矢印Xで示す方向、すなわち半時計回り)に回転するように配置されている。このため、旋回流発生部4の通過によって、斜めの角度で四か所から液体が積層体40の下流側に流入することになり、液体において旋回流を発生する。ここで、旋回流発生部4は上述したように旋回流を発生する機能だけでなく、積層型スタティックミキサの機能も有する。このため、これらの両機能によって、液体に含まれる気体(空気等)が粉砕されて多量の微細バブルを生成することができる。
【0048】
また、上述したように、複数の各板状部材41が流路槽2(流路F)の上流側に隣接する板状部材41よりも回転するように配置されているため、各板状部材41の流路用貫通孔411の縁が階段状に重ねられ、この重なり部分で、発生した微細バブルを液体が旋回流発生部4より上流に逆流することが防止される。このため、発生した多量の微細バブルの多くが径縮小部221を通過して第1オリフィス5に到達される。
【0049】
第1オリフィス5に到達した液体は、流水部51を通過して、第1オリフィス5より下流に流入する。ここで、流水部51はその直上流よりも流路断面積が小さくなっているため、流水部51を液体が通過することで、流路断面積変化に伴う急激な圧力変化が流水部51の直下流で生じ、これによって、液体内の気泡が更に崩壊して、微細バブルが生成される。なお、径縮小部221は、流路断面積変化を好適なものに調整するために形成されている。ここで、第1オリフィス5には、旋回流発生部4による旋回流が流入する。旋回流が流水部51を通過することで、より高い微細バブル生成効果が生じる。また、旋回流発生部4によって多量に発生した気泡を更に崩壊させることが出来るので、微細バブルが更に多く発生させることができる。
【0050】
第1オリフィス5の流水部51を通過した液体は、第2オリフィス5Aの流水部51Aを通過して、気体供給領域70に流入する。ここで、第2オリフィス5Aも第1オリフィス5と同様の機能を有するため、更に多くの微細バブルを発生させることができる。気体供給領域70には、気体供給管6が挿入されている。気体供給管6の上端61は、流路槽2の外部にある。上述したように、第1及び第2オリフィス5、5Aの流水部51、51Aの直下流で減圧されるが、この減圧作用によって、第1及び第2オリフィス5、5Aの下流側に配置された気体供給管6を介して、外部からの空気が自動的に供給される。外部からの空気が気体供給領域70に供給され、第2オリフィス5Aを介して気体供給領域70内に流入した液体によってせん断されて、キャビテーションが発生する。
【0051】
ここで、気体供給領域70内に流入する液体は、第2オリフィス5Aを通過することで、流速が大きくなっており、微細バブル発生効果が高まっている。また、液体が旋回流として、気体供給領域70内に流入するため、気体供給管6からの空気が圧縮・せん断され、微細バブル含有液体が噴流となって、スタティックミキサ7に流入する。気体供給領域70を通った噴流は、スタティックミキサ7を通って出口201から排出される。スタティックミキサ7には、微細バブル含有液体が噴流として流入するため、スタティックミキサ7のせん断による微細バブル発生量は多くなる。また、入口200側と出口201側との両方にスタティックミキサ機能のある部材(旋回流発生部4及びスタティックミキサ7)を配置することで、微細バブル発生量をより一層高めることができる。その理由は次のようなものである。入口200付近に、積層型スタティックミキサである旋回流発生部4を配置することで、旋回流発生部4下流にある微細バブルの発生機構(第1及び第2オリフィス5、5A、気体供給領域70)による微細バブル発生効率を高め、出口201付近にもスタティックミキサ7を配置することで、スタティックミキサ7上流で発生した微細バブルを更にせん断することができるからである。この様に、微細バブル発生装置1では、旋回流方式、オリフィス・ベンチュリ管方式、エアレーション等の複数のバブル発生方式の構成を組み合わせているが、発明者らが微細バブル発生量を多くするための試行錯誤の結果に想起した最適の構成である。
【0052】
以下に、本実施形態に係る微細バブル発生装置1の効果を説明する。
(1)微細バブル発生装置1は、上述したように、その一端の入口200から流入された液体を通過させてその他端の入口200から排出する管状の流路F(流路槽2)を備えている。そして、流路槽2の上流側に配置された旋回流発生部4と、流路槽2内において、旋回流発生部4よりも下流側に配置された第1オリフィス5と、上端61が流路槽2の外部に配置され、下端61が流路槽2内における第1オリフィス5と入口200との間の位置に配置され、流路槽2の外部から流路槽2内に気体を供給するための気体供給管6と、流路槽2内における、気体供給管6の下端62の配置位置と入口200との間に配置された、スタティックミキサ7と、を備える。そして、旋回流発生部4は、その中心点を中心とする同心円上に複数の貫通孔が形成された板状部材41が、各板状部材41における対応する流路用貫通孔411同士が連通するように、流路槽2における液体の通過方向に複数積層された積層体40を備え、各板状部材41は、流路槽2の上流側に隣接する板状部材41よりも、各板状部材41の中心点を結ぶ軸を基準として、所定方向に回転するように配置されている。
【0053】
上記構成によれば、「微細バブル発生装置の微細バブルの発生原理」で上述した各微細バブル発生部(旋回流発生部4、第1オリフィス5、気体供給管6、スタティックミキサ7)の相互作用により、微細バブルの発生量が大変多くなる。なお、この微細バブル発生量については、「微細バブル発生装置の効果の実証実験」で後述する。また、微細バブル発生装置1の主要な構成要素は、管状の部材(流路槽2、気体供給管6)、貫通孔を有する板状の部材(第1オリフィス5、スタティックミキサ7)、貫通孔を有する板状の部材の組み合わせ(旋回流発生部4)であるため、構造が大変簡易であり、安価に製造することができる。なお、安価な市販品の組み合わせで製造することが出来る構成であるため、この様な市販品を用いることで、更に安価に製造することができる。
【0054】
(2)また、旋回流発生部4の積層体40は、隣接する板状部材41の間には、複数の流路用貫通孔411を塞がないように、板状の間挿部材42が配置されることで、スタティックミキサとして機能する。すなわち、複数の各板状部材41が流路槽2(流路F)の上流側に隣接する板状部材41よりも回転するように配置されているため、複数の板状部材41の流路用貫通孔411の縁がスペースを空けて階段状になっている。これによって、流路用貫通孔411の縁部分に液体が衝突して、スタティックミキサとなる。入口200付近に積層型スタティックミキサである旋回流発生部4を配置して、入口200付近で微細バブルを発生することで、旋回流発生部4下流にある微細バブルの発生機構(第1オリフィス5、5A、気体供給領域70)による微細バブルの発生量を高めることができる。
【0055】
(3)微細バブル発生装置1は、流路Fを構成し、液体の上流側から下流側に並べて配置された、第1の筒体21、第2の筒体22、及び第3の筒体23を備える。第1の筒体21は、その内面において内側に突出する第1突出部位21Bを備え、この第1突出部位21Bの下流側端部に当接するように旋回流発生部4が配置されている。第2の筒体22は、その上流側端部が第1の筒体21の下流側端部に取り付けられ、液体の通過方向の中途位置の内面において、内側に突出する第2突出部位22Bを備え、この第2突出部位22Bの下流側端部に第1オリフィス5が配置されている。第3の筒体23は、その上流側端部が第2の筒体22の下流側端部に取り付けられ、液体の通過方向の中途位置において、この中途位置より上流側及び下流側に比べて内径が小さい小内径部位231が形成され、この小内径部位231の上流側縁部に第2オリフィス5Aが配置され、小内径部位231の下流側縁部にスタティックミキサ7が配置され、小内径部位231内に、気体供給管6が挿入される。そして、微細バブル発生装置1は、更に、第1内部筒体3A、第2内部筒体3B、及び第3内部筒体3Cを備える。第1内部筒体3Aは、第1の筒体21及び第2の筒体22内に挿入され、旋回流発生部4の下流側端から第2の突出部位22Bまで延びる。第2内部筒体3Bは、第2の筒体22及び第3の筒体23内に挿入され、第1オリフィス5の下流側端部から第2オリフィス5Aの上流側端部まで延びる。第3内部筒体3Cは、第3の筒体23内に挿入され、スタティックミキサ7の下流側端から液体の通過方向に伸びる。
【0056】
上記構成によれば、第1の筒体21、第2の筒体22、及び第3の筒体23に流路槽2が分割されているため、旋回流発生部4、オリフィス5、オリフィス5A、スタティックミキサ7等の部材を流路槽2内に挿入し易い。更に、第1の筒体21内及び第2の筒体22内に第1内部筒体3Aを挿入し、第2の筒体22内及び第3の筒体23内に第2内部筒体3Bを挿入するため、第1の筒体21及び第2の筒体22の接続部位と、第2の筒体22及び第3の筒体23の接続部位の強度を上げることが出来る。更に、第1内部筒体3Aと第1突出部位21Bとで、旋回流発生部4を固定し、第2内部筒体3Bと第2突出部位22Bとで第1オリフィス5を固定し、第2内部筒体3Bと小内径部位231とで第2オリフィス5Aを固定し、第3内部筒体3Cと小内径部位231とでスタティックミキサ7を固定することができる。この様に、簡易な構成で、旋回流発生部4、オリフィス5、オリフィス5A、及びスタティックミキサ7を固定することができる。
【0057】
(微細バブル発生装置の効果の実証実験)
以下に、図9から図18を用いて、微細バブル発生装置1の効果について根拠づける実証実験を説明する。図9は、実験装置aを用いた非循環式の実験結果を示す表である。図10は、図9の実験結果を示すグラフである。図11は、実験装置bを用いた非循環式の実験結果を示す表である。図12は、図11の実験結果を示すグラフである。図13は、実験装置cを用いた非循環式の実験結果を示す表である。図14は、図13の実験結果を示すグラフである。図15は、実験装置dを用いた非循環式の実験結果を示す表である。図16は、図15の実験結果を示すグラフである。図17は、実験装置dを用いた循環式の実験結果を示す表である。図18は、図17の実験結果を示すグラフである。
【0058】
本実験では、実験装置a、実験装置b、実験装置c、実験装置dの四個の微細バブル発生用の実験装置を用意し、実験装置a~実験装置dを通過させた水(微細バブル含有水)の粒子径分布を測定した。なお、本実験は、散乱光強度追跡技術に基づくSLIT光学系を採用したナノ分子径分布測定装置(島津製作所SALD-7500H Version3.3.2を使用し、室温22℃、水温15.3℃、総溶解固形物(Totl Dissolved Solids)57PPMの条件下で行っている。
【0059】
図9図11図13図15図17は、微細バブル含有水で検出された複数の粒子径(μm)が昇順に示されているとともに、各粒子径(μm)に対応付けて積算Q(個/mL)と、濃度(頻度q)とが示されている。ここで、積算Q(個/mL)は、対応付けられた粒子径(μm)以下の気泡を全て積算した量を示す。また、頻度q(個/mL)は、対応付けられた粒子径(μm)を中心とした所定の範囲に含まれる量を示す。図10図12図14図16図18の折れ線グラフは、横軸に粒子径(μm)、縦軸に濃度(積算Q)を示す積算グラフである。また、ヒストグラムは、横軸に粒子径(μm)、縦軸に濃度(頻度q)を示す差分グラフである。なお、線グラフの積算Q(個/mL)は、横軸に表示される粒子径以下を全て積算した量を示す。差分グラフの頻度q(個/mL)は、横軸に表示される粒子径範囲に含まれる量を示す。
【0060】
実験装置aは、図1及び図2で示す微細バブル発生装置1において、第1オリフィス5の下流の位置であって、第2オリフィス5Aより上流側の位置までの構成を備える。すなわち、微細バブルを発生させる構造として気体供給管6と、スタティックミキサ7とを備えず、旋回流発生部4と第1オリフィス5とを備える。また、微細バブル発生装置1の旋回流発生部4では、五個の板状部材41と五個の間挿部材42とを交互に積層しているが、実験装置aでは、間挿部材42を積層せずに三個の板状部材41を積層したものである。
【0061】
実験装置bは、微細バブル発生装置1と同様に五個の板状部材41と五個の間挿部材42とを交互に積層した旋回流発生部4を備える点のみ実験装置aと異なっている。ここで、間挿部材42は0.5mmのもの(ワッシャー)を使用しており、隣接する板状部材41の間隔が略0.5mmとなっている。実験装置cは、使用する間挿部材42(ワッシャー)のみが実験装置bとは異なっており、その他の構成は同一である。実験装置cで使用される間挿部材42(ワッシャー)の厚みは1.0mmのものであり、隣接する板状部材41の間隔が略1.0mmとなっている。
【0062】
実験装置dは、微細バブル発生装置1と同様の構成である。すなわち、旋回流発生部4と第1オリフィス5だけでなく、第2オリフィス5A、気体供給管6と、スタティックミキサ7も備える。もっとも、実験装置dは、実験装置aと同様に間挿部材42を積層せずに三個の板状部材41を積層した旋回流発生部を備えている点で微細バブル発生装置1とは構成が異なる。
【0063】
図9及び図10は、実験装置aを一回通過(ワンパス)させた微細バブル含有水の粒子径分布の測定結果を示す。すなわち、実験装置aの流路Fの入口(上流端)に対してポンプ(水槽内に設置)によって水を流入させ、流路Fの出口(下流端)から排出された水(微細バブル含有水)の粒子径分布が測定されている。なお、出口201(下流端)は水槽の貯水領域から出した状態とした。ここで、本実験で検出された粒子(気泡)の平均径が、0.746μmであった。また、粒子径1μm未満の微細バブルがナノバブルであるが、粒子径0.956μmの積算Qが251万4357個/mLであった。
【0064】
図11及び図12は、実験装置bを一回通過させた微細バブル含有水の粒子径分布の測定結果を示す。ここで、本実験で検出された粒子(気泡)の平均径が、0.520μmであった。また、粒子径0.956μmの積算Qが1496万9376個/mLであった。図13及び図14は、実験装置cを一回通過(ワンパス)させた微細バブル含有水の粒子径分布の測定結果を示す。ここで、本実験で検出された粒子(気泡)の平均径が、0.681μmであった。また、粒子径1μm未満の微細バブルがナノバブルであるが、粒子径0.956μmの積算Qが591万0634個/mLであった。
【0065】
図9及び図10の実験結果と、図11及び図12の実験結果と、図13及び図14の実験結果とを比較すると、粒子(気泡)の平均径の小ささ、粒子径0.956μmの積算Qの多さとも、図9及び図10の実験結果よりも、図11及び図12の実験結果、及び図13及び図14の実験結果の方が良好になっている。上述したように、実験装置aと、実験装置b、cとの大きな違いは、実験装置aでは、間挿部材42を積層せずに三個の板状部材41を積層した旋回流発生部を用いており、実験装置b、cでは、五個の板状部材41と五個の間挿部材42とを交互に積層した旋回流発生部4を用いている点である。従って、複数の板状部材41の間に間挿部材42を積層した旋回流発生部4を使用することで、微細バブル発生効率が上がること示される。
【0066】
また、図11及び図12の実験結果と、図13及び図14の実験結果とを比較すると、粒子(気泡)の平均径の小ささ、粒子径0.956μmの積算Qの多さとも、図13及び図14の実験結果よりも、図11及び図12の実験結果の方が良好になっている。上述したように、実験装置cは、使用する間挿部材42(ワッシャー)のみが実験装置bとは異なっており、実験装置bで使用される間挿部材42(ワッシャー)の厚みは0.5mmであるのに対して、実験装置cで使用される間挿部材42(ワッシャー)の厚みは1.0mmである。このため、間挿部材42(ワッシャー)の厚みは、1.0mm未満であることが好ましいことが示される。
【0067】
図15及び図16は、実験装置dを一回通過させた微細バブル含有水の粒子径分布の測定結果を示す。ここで、本実験で検出された粒子(気泡)の平均径が、0.708μmであった。また、粒子径0.956μmの積算Qが274万9002個/mLであった。図9及び図10の実験結果と、図15及び図16の実験結果とを比較すると、粒子(気泡)の平均径の小ささ、粒子径0.956μmの積算Qの多さとも、図15及び図16の実験結果の方が良い。実験装置dは、微細バブルを発生させる構造として旋回流発生部4と第1オリフィス5だけでなく、第2オリフィス5A、気体供給管6、スタティックミキサ7を備える点が異なっている。従って、第2オリフィス5A、気体供給管6、スタティックミキサ7を備えることで、微細バブル発生量が上がることが示される。
【0068】
図17及び図18は、実験装置dに対して十分間循環させた後の微細バブル含有水の粒子径分布の測定結果を示す。すなわち、図8で示すような使用方法で十分間循環させた後に、微細バブル含有水の粒子径分布の測定が行われる。ここで、本実験で検出された粒子(気泡)の平均径が、0.154μmであった。また、粒子径0.956μmの積算Qが6億7995万8796個/mLである。図15及び図16の実験結果と、図17及び図18の実験結果とを比較すると、粒子(気泡)の平均径の小ささ、粒子径0.956μmの積算Qの多さとも、図17及び図18の実験結果の方が著しく良い。また、上述したどの実験結果よりも著しく良好になっている。このことから、微細バブル発生装置1を循環式用微細バブル発生装置として使用することで、微細バブル発生効率が著しく良好になることが示される。
【0069】
〔変形例〕
上述した本実施形態は、本発明を適用した実施形態の一例であり、適宜材料、個数、配置等の構成を変更することが出来る。
【符号の説明】
【0070】
1 微細バブル発生装置
2 流路槽
21 第1の筒体
21B 第1突出部位
22 第2の筒体
22B 第2突出部位
23 第3の筒体
231 小内径部位
200 入口
201 出口
3A 第1内部筒体
3B 第2内部筒体
3C 第3内部筒体
4 旋回流発生部
40 積層体
41 板状部材
411 流路用貫通孔
42 間挿部材
5 第1オリフィス
5A 第2オリフィス
6 気体供給管
61 上端(上端)
62 下端(他端)
7 スタティックミキサ
F 流路
【要約】
【課題】安価で簡易な構成で、微細バブルの発生量が多い微細バブル発生装置を提供する。
【解決手段】上記課題解決のため、微細バブル発生装置1は、その一端の入口200から流入された液体を通過させてその他端の出口201から排出する管状の流路F(流路槽2)を備え、流路Fの上流側に配置された旋回流発生部4と、流路Fにおいて、旋回流発生部4よりも下流側に配置された第1オリフィス5と、上端61が流路Fの外部に配置され、下端62が流路槽2内における第1オリフィス5と入口200との間の位置に配置され、流路Fの外部から流路槽2内に気体を供給するための気体供給管6と、流路Fにおける、気体供給管6の下端62の配置位置と出口201との間に配置された、スタティックミキサ7とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20