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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】融合タンパク質コンストラクト
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240820BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20240820BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/00 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/18 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/48 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/64 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/80 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/86 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 9/90 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61K39/00
A61P19/02
A61P35/00
A61P37/00
C07K16/00
C12N9/00
C12N9/02
C12N9/10
C12N9/12
C12N9/14
C12N9/16 B
C12N9/16 Z
C12N9/18
C12N9/24
C12N9/48
C12N9/64 Z
C12N9/80
C12N9/86
C12N9/90
C12N15/13
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019516098
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017036160
(87)【国際公開番号】W WO2017214151
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】62/346,369
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マルクシク, ミラン
(72)【発明者】
【氏名】モディカ, ジャスティン エー.
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】名和 大輔
【審判官】田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0183516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297820(US,A1)
【文献】Chemistry & Biology 20,549-557,2013
【文献】Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 2002,99(8),5048-5052
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンストラクトであって、
第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーと、を含み、
前記第1の融合タンパク質は、第1の融合タンパク質親和性試薬および第1の融合タンパク質反応性酵素を含み、そして、前記第2の融合タンパク質は、第2の融合タンパク質親和性試薬および第2の融合タンパク質反応性酵素を含み、
前記リンカーが、第1の末端で前記第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基と、第2の末端で前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基と、を含み、前記第1の融合タンパク質は前記第1の官能基により前記リンカーにカップリングされ、前記第2の融合タンパク質は前記第2の官能基により前記リンカーにカップリングされたコンストラクトであって、
ここで、前記第1の融合タンパク質親和性試薬は抗体の軽鎖可変ドメインを含み、前記第2の融合タンパク質親和性試薬は抗体の重鎖可変ドメインを含み、
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、前記第2の融合タンパク質反応性酵素と異なり、前記第1の官能基が前記第2の官能基と異なり、
前記コンストラクトは標的に結合する能力を有する、コンストラクト。
【請求項2】
前記抗体、アダリムマブ、アレムツズマブ、アルシツモマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、イムシロマブ、カプロマブ、インフリキシマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、ノフェツモマブ、オマリズマブ、ダクリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ムロモマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、セルトリズマブ、エクリズマブ、ウステキムマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ、ラキシバクマブ、トシリズマブ、ブレンツキシマブ、オファツムマブ、ベリムマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、オビヌツズマブ、ペンブロリズマブ、ラニビズマブ、ペンツズマブ、デノスマブ、カツマキソマブ、ゴリムマブ、シルツキシマブ、ナタリズマブ、パニツムマブ、およびデノスマブからなる群から選択される、請求項1に記載のコンストラクト。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の融合タンパク質親和性試薬が合成抗体ドメインである、請求項2に記載のコンストラクト。
【請求項4】
前記リンカーが、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、または以下から選択される構造:
【化1】

であり、
式中、
mは0~10であり、
nは1~100であり、
各pは独立して0、1、2、3または4であり、
qは0、1または2であり、
rは1または2であり、
EはNHまたはCHR10であり、
GはO、CH、CHOH、CHNH、CHCOOHまたはCHSOHであり、
10はOH、NHまたはCOOHであり、
各R11は独立して、H、OH、NHまたはCOOHである、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンストラクト。
【請求項5】
各反応性酵素が、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、β-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phsophatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンストラクト。
【請求項6】
各末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホナート、O-ベンジルグアニン、α-クロロアルカン、クラブラン酸、アグリコン、ヒドロキサム酸-ベンゾフェノン、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列、システイン反応性ATP結合部位阻害剤、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、ホルミルクロモン、同族RNA配列、アデノシンまたはその誘導体、シトシン、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、同族DNAニッキング部位、チイラン、ヒドロキサム酸、α-ケトキサゾール阻害剤、ホスホナート、カルバマート、求電子ステロイド、芳香族アルキン、ベロラニブまたはこれらの誘導体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンストラクト。
【請求項7】
第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーと、を含むコンストラクトを調製する方法であって、
(a)第1の融合タンパク質親和性試薬と第1の融合タンパク質反応性酵素とを含む前記第1の融合タンパク質を、第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基を含む前記リンカーと接触させ、それによって前記第1の末端に前記第1の融合タンパク質および前記リンカーをカップリングさせることと、
(b)第2の融合タンパク質親和性試薬と第2の融合タンパク質反応性酵素とを含む前記第2の融合タンパク質を、前記リンカーの第2の末端と接触させ、前記リンカーの前記第2の末端が、前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基を含み、それによって前記第2の末端に前記第2の融合タンパク質および前記リンカーをカップリングさせることと、を含み、
ここで、前記第1の融合タンパク質親和性試薬は抗体の軽鎖可変ドメインを含み、前記第2の融合タンパク質親和性試薬は抗体の重鎖可変ドメインを含み、
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、前記第2の融合タンパク質反応性酵素と異なり、前記第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基が、前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基と異なり、
前記コンストラクトは標的に結合する能力を有する、コンストラクトを調製する方法。
【請求項8】
ステップ(a)および(b)が順次実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)および(b)が同時に事前形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記リンカーが、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、または以下から選択される構造:
【化2】

であり、
式中、
mは0~10であり、
nは1~100であり、
各pは独立して0、1、2、3または4であり、
qは0、1または2であり、
rは1または2であり、
EはNHまたはCHR10であり、
GはO、CH、CHOH、CHNH、CHCOOHまたはCHSOHであり、
10はOH、NHまたはCOOHであり。
各R11は独立して、H、OH、NHまたはCOOHである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
各反応性酵素が、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータ-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phsophatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホナート、O-ベンジルグアニン、α-クロロアルカン、クラブラン酸、アグリコン、ヒドロキサム酸-ベンゾフェノン、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列、システイン反応性ATP結合部位阻害剤、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、ホルミルクロモン、同族RNA配列、アデノシンまたはその誘導体、シトシン、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、同族DNAニッキング部位、チイラン、ヒドロキサム酸、α-ケトキサゾール阻害剤、ホスホナート、カルバマート、求電子ステロイド、芳香族アルキン、ベロラニブまたはこれらの誘導体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
請求項7に記載の方法によって調製されるコンストラクト。
【請求項14】
前記コンストラクトを必要とする患者を処置するための薬剤の製造における、請求項1に記載のコンストラクトの使用。
【請求項15】
前記患者が乳癌、肺炭疽、関節リウマチ、全身性若年性特発性関節炎、ホジキンリンパ腫、全身性未分化大細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、胃もしくは胃食道接合部の腺癌、転移性非小細胞肺癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、濾胞性リンパ腫、黒色腫、黄斑変性、骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、骨巨細胞腫、悪性腹水、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、転移性腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、大腸癌、多発性骨髄腫、またはキャッスルマン病に罹患している、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記コンストラクトを必要とする患者を処置するための、請求項1に記載のコンストラクトを含む組成物。
【請求項17】
前記患者が乳癌、肺炭疽、関節リウマチ、全身性若年性特発性関節炎、ホジキンリンパ腫、全身性未分化大細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、胃もしくは胃食道接合部の腺癌、転移性非小細胞肺癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、濾胞性リンパ腫、黒色腫、黄斑変性、骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、骨巨細胞腫、悪性腹水、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、転移性腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、大腸癌、多発性骨髄腫、またはキャッスルマン病に罹患している、請求項16に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、融合タンパク質コンストラクトおよびその調製方法および使用方法に関する。より詳細には、本開示は、モジュール式合成によって調製されたリンカーによってカップリングされた少なくとも第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを含む、正確に規定された融合タンパク質コンストラクトに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的薬物、具体的にはモノクローナル抗体(mAb)および抗体フラグメントを組み込んだmAbは、循環中または細胞表面上で疾患関連タンパク質を特異的に標的とする能力のため、製薬産業において関心対象である。抗体価を高め、細胞傷害性および半減期を増大させるエフェクター分子を結合させ、除去する標的へ免疫系を向かわせるフォーマットを使用することにより、次世代の抗体治療薬、すなわち治療能力の向上を示すものが創出された。しかしながら、これらの分子は、高収率で、および所望の機能を系統的に最適化することを可能にする合成可撓性で生成することがしばしば困難である。
【0003】
例えば、拡張された機能性を有する現行の抗体フォーマットは、同時に発現されなければならない複数のドメインを特徴とするので、安定性または機能に関して巧妙に最適化されなければならない。現行の化学的方法は、抗体足場にペイロードを結合させるために、反応性アミノ酸の操作または既存の反応性アミノ酸側鎖の使用を必要とする。多くの場合、これらの反応の生成物は、生成物の異種性集団を生じる。このような直接的なアミノ酸修飾は、親分子の薬理学的特性に対して安定ではないか、または有害な影響を引き起こす(例えば、疎水性、凝集、免疫原性などの増大)こともあり得るので、ペイロードを結合させるための適切な場所を選択することに対して、多大なる努力を尽くさなければならない。
【0004】
さらに、現行の抗体技術は、古典的なポリペプチド操作によって可能となるものの外に幾何学的形状(例えば、環状分子、ドメイン間の可変距離を有する分子など)、向き、化学量論、および抗体価を系統的に制御することができる足場の産物を可能にしない。この生産技術の制限は、現行のフォーマットが調査できる治療スペースに大きな制約を課す。現行のタンパク質工学的方法は、所望のコンストラクトを得るための天然のポリペプチド折りたたみ/ペプチドリンカーの固有のレパートリーに限定される。それゆえ、従来の工学的方法を用いて、より高い効能を呈し得る非天然型フォーマットを調製することはできない。さらに、発現宿主の毒性の制約または代謝特性のために、いくつかのエフェクター分子は、1つの培養系においてまとまって有効に産生することができない。加えて、分子の複雑性が増すにつれて、より大きな分子の正確な折り畳み、組み立て、および精製がより困難となり、それによって収率が低下し、コストがかさむ。
【0005】
さらに、抗体分子の工業的産生は概して、原核生物宿主よりも堅牢性が低く、原核生物宿主と比較して産物収率が低下した抗体または抗体様フラグメントの発現を真核生物宿主において必要とし、結果的に原核生物宿主において発現することができる抗体または抗体様フラグメントに対する操作コストが結果的に高くなる。
【0006】
したがって、単純に、比較的少数の構築ブロックの組み合わせによって、変化した抗体価、幾何学的形状、エフェクター機能および化学量論を有する抗体様薬物の多様なライブラリーの作製を可能にする、高分子量を有する次世代抗体治療薬を調製する費用対効果の高い方法について、当該技術分野における必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーとを含むコンストラクトであって、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質がそれぞれ、親和性試薬と反応性酵素とを含み、リンカーが、第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害するのに特異的な第1の官能基と、第2の末端で第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害するのに特異的な第2の官能基とを含む、コンストラクトを提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、(a)親和性試薬と反応性酵素とを含む第1の融合タンパク質を、第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害するのに特異的な官能基を含むリンカーと接触させ、それにより第一の末端に第一の融合タンパク質およびリンカーをカップリングさせることと、(b)親和性試薬と反応性酵素とを含む第2の融合タンパク質をリンカーの第2の末端と接触させることであって、リンカーの第2の末端が、第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害し、それによって第2の末端に第2の融合タンパク質およびリンカーをカップリングさせることに特異的な官能基を含む、接触させることと、を含む方法を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、本開示の方法によって調製されるコンストラクトを提供する。
【0010】
本開示の別の態様は、本開示のコンストラクトを投与することを必要とする患者へ、本開示のコンストラクトを投与することを含む方法を提供する。本開示の他の態様は、医薬としておよび/または診断薬としての本開示のコンストラクトの使用を提供する。
【0011】
さらなる態様および利点は、図面と合わせて以下の詳細な説明の考察から当業者に明らかとなるであろう。本コンストラクトならびにその製造方法および使用方法は、種々の形態における実施形態を許容し得るが、本開示は例示的なものであり、本発明を本明細書に説明する具体的な実施形態に限定することを意図しないという理解の下で、以下の説明は具体的な実施形態が含まれている。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
コンストラクトであって、
第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーと、を含み、
前記第1の融合タンパク質および前記第2の融合タンパク質がそれぞれ、親和性試薬および反応性酵素を含み、
前記リンカーが、第1の末端で前記第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基と、第2の末端で前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基と、を含む、コンストラクト。
(項目2)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素および前記第2の融合タンパク質反応性酵素が異なる、項目1に記載のコンストラクト。
(項目3)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素および前記第2の融合タンパク質反応性酵素が同じである、項目1に記載のコンストラクト。
(項目4)
前記第1の融合タンパク質親和性試薬および前記第2の融合タンパク質親和性試薬が異なる、項目1~3のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目5)
前記第1の融合タンパク質親和性試薬および前記第2の融合タンパク質親和性試薬が同じである、項目1~3のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目6)
各親和性試薬が、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、タンパク質、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、項目1~5のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目7)
前記親和性試薬が抗体またはそのフラグメントである、項目6に記載のコンストラクト。
(項目8)
前記抗体またはそのフラグメントが、軽鎖可変ドメイン(V )、軽鎖定常ドメイン(C )、重鎖可変ドメイン(V )、重鎖定常ドメイン(C 1)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目7に記載のコンストラクト。
(項目9)
前記第1の融合タンパク質抗体またはそのフラグメントが、キメラ抗体、ヒト抗体、およびヒト化抗体である、項目7または8に記載のコンストラクト。
(項目10)
前記抗体またはそのフラグメントが、トラスツズマブまたはそのフラグメントを含む、項目7~9のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目11)
前記抗体またはそのフラグメントが、アダリムマブ、アレムツズマブ、アルシツモマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、イムシロマブ、カプロマブ、インフリキシマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、ノフェツモマブ、オマリズマブ、ダクリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ムロモマブ、エドレコロマブゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、セルトリズマブ、エクリズマブ、ウステキムマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ、ラキシバクマブ、トシリズマブ、ブレンツキシマブ、オファツムマブ、ベリムマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、オビヌツズマブ、ペンブロリズマブ、ラニビズマブ、ペンツズマブ、デノスマブ、カツマキソマブ、ゴリムマブ、シルツキシマブ、ナタリズマブ、パニツムマブ、およびデノスマブからなる群から選択される、項目7~10のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目12)
前記親和性試薬が小分子である、項目6に記載のコンストラクト。
(項目13)
前記小分子が薬物である、項目12に記載のコンストラクト。
(項目14)
前記小分子が、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、L型アスパラギナーゼ、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5-アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、ベタメタゾンアセタート、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、カソデックス、セフェゾン、セルモロイキン、セルビジン、クロランブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソーム、デカドロン、デカドロンホスファート、デレストロゲン、デニロイキンジフチトクス、デポメドロール、デスロレリン、デキサラゾキサン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチン-アルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストラース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、フルダラビンホスファート、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロデオキシウリジンモノホスファート、5-フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ヘキサメチルメラミン、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、塩酸グラニセトロン、ヒストレリン、ヒカムチン、ヒドロコルトン、エリスロ-ヒドロキソシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロン-アルファ、インターフェロン-アルファ2、インターフェロン-アルファ2α、インターフェロン-アルファ2β、インターフェロン-アルファn1、インターフェロン-アルファn3、インターフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ1α、インターロイキン2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、レンチナンスルファート、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、ロイプロリドアセタート、レバミソール、レボホル酸(levofolic acid)カルシウム塩、レボトロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メルファラン、メネスト、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビクス、ミルテホシン、ミノシクリン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル、ミオセト、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、オラプレッド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペディアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、N-ホスホノアセチルL-アスパラギン酸(PALA)、ピシバニル、ピロカルピンヒドロクロリド、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム-186エチドロナート、リツキシマブ、ロフェロンA、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、ストレプトゾシン、ストロンチウム-89クロリド、シンスロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテル、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロンプロピオナート、テストレッド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、タスツズマブ、テオスルファン、トレイノイン、トレキサオール、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、トリプトレリンアセタート、トリプトレリンパモアート、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジンカード、ジノスタチン-スチマラメル、ゾフラン、ABI-007、アコルビフェン、アクチムン、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、アバスチン、BAY43-9006(ソラフェニブ)、CCI-779、CDC-501、セレブレクス、セツキシマブ、クリスナトール、シプロテロンアセタート、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン-MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム166DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロン-ガンマ、インターフェロン-PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラソホキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロン酸、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ-TCS、オシデム、パクリタキセルポリグルタミマート、パミドロン酸二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナス、13-シス-レチン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシン-アルファ-1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目13に記載のコンストラクト。
(項目15)
前記親和性試薬がモノボディである、項目6に記載のコンストラクト。
(項目16)
前記親和性試薬がタンパク質である、項目6に記載のコンストラクト。
(項目17)
前記タンパク質が少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、項目16に記載のコンストラクト。
(項目18)
前記タンパク質がファージ中のタンパク質である、項目16または17に記載のコンストラクト。
(項目19)
前記タンパク質が治療用タンパク質である、項目16または17に記載のコンストラクト。
(項目20)
前記親和性試薬が合成抗体ドメインである、項目6に記載のコンストラクト。
(項目21)
前記親和性試薬が、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、HEL4 Vhドメイン(Predator)、ブドウ球菌タンパク質A(Affibody)のZドメイン、古細菌「7kDa DNA結合剤」タンパク質ファミリー(Affitin)、炭水化物結合分子(CBDドメイン)、シスチンノットミニタンパク質(knottin)、フィブロネクチンIII型ドメイン(モノボディ、Adnectin)、γ-B-クリスタリン(Affilin)、シスタチン(Affimer)、三重らせんコイルドコイルドメイン(Alphabody)、リポカリンドメイン(Anticalin)、種々の膜受容体のAドメイン(Avimer)、FynのSH3ドメイン(Fynomers)、Kunitzドメインペプチド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1~5のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目22)
前記リンカーが、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、または以下から選択される構造:
【化1】


であり、
式中、
mは0~10であり、
nは1~100であり、
各pは独立して0、1、2、3または4であり、
qは0、1または2であり、
rは1または2であり、
EはNHまたはCHR 10 であり、
GはO、CH 、CHOH、CHNH 、CHCOOHまたはCHSO Hであり、
10 はOH、NH またはCOOHであり、
各R 11 は独立して、H、OH、NH またはCOOHである、項目1~21のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目23)
各反応性酵素が、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、β-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phsophatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、項目1~22のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目24)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がクチナーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホナートを含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目25)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がSnapTagを含み、前記第1の末端の前記官能基がO -ベンジルグアニンを含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目26)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がHaloTagを含み、前記第1の末端の前記官能基がα-クロロアルカンを含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目27)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がベータ-ラクタマーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がクラブラン酸またはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目28)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がグリコシダーゼを含み、第1の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目29)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がマトリックスメタロプロテイナーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目30)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、前記第1の末端の前記官能基が、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目31)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、前記第1の末端の前記官能基が、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目32)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がアルカリホスファターゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目33)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がタンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目34)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、前記第1の末端の前記官能基が同族RNA配列を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目35)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がグルコシダーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目36)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がアデノシンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目37)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目38)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目39)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、前記第1の末端の前記官能基が、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはこれらの誘導体からなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目40)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がHNHエンドヌクレアーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が同族DNAニッキング部位を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目41)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がニッキングエンドヌクレアーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が同族DNAニッキング部位を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目42)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼBを含み、前記第1の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目43)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼAを含み、前記第1の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目44)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がストロメリシンを含み、前記第1の末端の前記官能基が、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目45)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、前記第1の末端の前記官能基がα-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目46)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がエステラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目47)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がシトクロムP450を含み、前記第1の末端の前記官能基が求電子ステロイド、芳香族アルキン、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目48)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がメチオニンアミノペプチダーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がベロラニブまたはその誘導体を含む、項目1~23のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目49)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がクチナーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホナートを含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目50)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がSnapTagを含み、前記第2の末端の前記官能基がO -ベンジルグアニンを含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目51)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がHaloTagを含み、前記第2の末端の前記官能基がα-クロロアルカンを含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目52)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がベータ-ラクタマーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がクラブラン酸またはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目53)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がグリコシダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、アグリコンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目54)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がマトリックスメタロプロテイナーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目55)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、前記第2の末端の前記官能基が、同族oriTオリゴヌクレオチド配列を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目56)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、前記第2の末端の前記官能基が、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目57)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がアルカリホスファターゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目58)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がタンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目59)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、前記第2の末端の前記官能基が同族RNA配列を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目60)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がグルコシダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目61)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がアデノシンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目62)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、第2の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目63)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目64)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、前記第2の末端の前記官能基が、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはこれらの誘導体からなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目65)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がHNHエンドヌクレアーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が同族DNAニッキング部位を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目66)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、ニッキングエンドヌクレアーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、同族DNAニッキング部位を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目67)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼBを含み、前記第2の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目68)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼAを含み、前記第2の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目69)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がストロメリシンを含み、前記第2の末端の前記官能基が、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目70)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、前記第2の末端の前記官能基が、α-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目71)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がエステラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目72)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がシトクロムP450を含み、前記第2の末端の前記官能基が、求電子ステロイド、芳香族アルキン、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目73)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がメチオニンアミノペプチダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がベロラニブまたはその誘導体を含む、項目1~48のいずれか1項に記載のコンストラクト。
(項目74)
方法であって、
(a)親和性試薬と反応性酵素とを含む第1の融合タンパク質を、第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基を含むリンカーと接触させ、それによって前記第1の末端に前記第1の融合タンパク質および前記リンカーをカップリングさせることと、
(b)親和性試薬と反応性酵素とを含む第2の融合タンパク質を、前記リンカーの第2の末端と接触させ、前記リンカーの前記第2の末端が、前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基を含み、それによって前記第2の末端に前記第2の融合タンパク質および前記リンカーをカップリングさせることと、を含む、方法。
(項目75)
ステップ(a)および(b)が順次実行される、項目74に記載の方法。
(項目76)
ステップ(a)および(b)が同時に事前形成される、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素および前記第2の融合タンパク質反応性酵素が異なる、項目74~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素および前記第2の融合タンパク質反応性酵素が同じである、項目74~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記第1の融合タンパク質親和性試薬および前記第2の融合タンパク質親和性試薬が異なる、項目74~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記第1の融合タンパク質親和性試薬および前記第2の融合タンパク質親和性試薬が同じである、項目74~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
各親和性試薬が、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、タンパク質、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、項目74~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記親和性試薬が抗体またはそのフラグメントである、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記抗体またはそのフラグメントが、軽鎖可変ドメイン(V )、軽鎖定常ドメイン(C )、重鎖可変ドメイン(V )、重鎖定常ドメイン(C 1)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記第1の融合タンパク質抗体またはそのフラグメントが、キメラ抗体、ヒト抗体、およびヒト化抗体である、項目82または83に記載の方法。
(項目85)
前記抗体またはそのフラグメントが、トラスツズマブまたはそのフラグメントを含む、項目82~84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記抗体またはそのフラグメントが、アダリムマブ、アレムツズマブ、アルシツモマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、イムシロマブ、カプロマブ、インフリキシマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、ノフェツモマブ、オマリズマブ、ダクリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ムロモマブ、エドレコロマブゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、セルトリズマブ、エクリズマブ、ウステキムマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ、ラキシバクマブ、トシリズマブ、ブレンツキシマブ、オファツムマブ、ベリムマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、オビヌツズマブ、ペンブロリズマブ、ラニビズマブ、ペンツズマブ、デノスマブ、カツマキソマブ、ゴリムマブ、シルツキシマブ、ナタリズマブ、パニツムマブ、およびデノスマブからなる群から選択される、項目82~85のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
前記親和性試薬が小分子である、項目81に記載の方法。
(項目88)
前記小分子が、薬物からなる群から選択される、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記小分子が、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、L型アスパラギナーゼ、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5-アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイス-BCG、ベスタチン、ベタメタゾンアセタート、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、カソデクス、セフェゾン、セルモロイキン、セルビジン、クロランブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソーム、デカドロン、デカドロンホスファート、デレストロゲン、デニロイキンジフチトクス、デポメドロール、デスロレリン、デキサラゾキサン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチン-アルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストラース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、フルダラビンホスファート、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロデオキシウリジンモノホスファート、5-フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ヘキサメチルメラミン、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、塩酸グラニセトロン、ヒストレリン、ヒカムチン、ヒドロコルトン、エリスロ-ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロン-アルファ、インターフェロン-アルファ2、インターフェロン-アルファ2α、インターフェロン-アルファ2β、インターフェロン-アルファn1、インターフェロン-アルファn3、インターフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ1α、インターロイキン2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、レンチナンスルファート、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、ロイプロリドアセタート、レバミソール、レボホル酸(levofolic acid)カルシウム塩、レボトロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メルファラン、メネスト、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビクス、ミルテホシン、ミノシクリン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル、ミオセト、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、オラプレッド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペディアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、N-ホスホノアセチルL-アスパラギン酸(PALA)、ピシバニル、ピロカルピンヒドロクロリド、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム-186エチドロナート、リツキシマブ、ロフェロンA、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、ストレプトゾシン、ストロンチウム-89クロリド、シンスロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテル、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロンプロピオナート、テストレッド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、タスツズマブ、テオスルファン、トレイノイン、トレキサオール、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、トリプトレリンアセタート、トリプトレリンパモアート、UFI、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジンカード、ジノスタチン-スチマラメル、ゾフラン、ABI-007、アコルビフェン、アクチムン、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、アバスチン、BAY43-9006(ソラフェニブ)、CCI-779、CDC-501、セレブレクス、セツキシマブ、クリスナトール、シプロテロンアセタート、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン-MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム166DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロン-ガンマ、インターフェロン-PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラソホキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロン酸、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ-TCS、オシデム、パクリタキセルポリグルタミマート、パミドロン酸二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナス、13-シス-レチン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシン-アルファ-1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記親和性試薬がモノボディである、項目81に記載の方法。
(項目91)
前記親和性試薬がタンパク質である、項目81に記載の方法。
(項目92)
前記タンパク質が少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記タンパク質がファージ中のタンパク質である、項目91または92に記載の方法。
(項目94)
前記タンパク質が治療剤である、項目91または92に記載の方法。
(項目95)
前記親和性試薬が合成抗体ドメインである、項目81に記載の方法。
(項目96)
前記親和性試薬が、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、HEL4 Vhドメイン(Predator)、ブドウ球菌タンパク質A(Affibody)のZドメイン、古細菌「7kDa DNA結合剤」タンパク質ファミリー(Affitin)、炭水化物結合分子(CBDドメイン)、シスチンノットミニタンパク質(knottin)、フィブロネクチンIII型ドメイン(モノボディ、Adnectin)、γ-B-クリスタリン(Affilin)、シスタチン(Affimer)、三重らせんコイルドコイルドメイン(Alphabody)、リポカリンドメイン(Anticalin)、種々の膜受容体のAドメイン(Avimer)、FynのSH3ドメイン(Fynomers)、Kunitzドメインペプチド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目74~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記リンカーが、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、または以下から選択される構造:
【化2】


であり、
式中、
mは0~10であり、
nは1~100であり、
各pは独立して0、1、2、3または4であり、
qは0、1または2であり、
rは1または2であり、
EはNHまたはCHR 10 であり、
GはO、CH 、CHOH、CHNH 、CHCOOHまたはCHSO Hであり、
10 はOH、NH またはCOOHであり。
各R 11 は独立して、H、OH、NH またはCOOHである、項目74~96のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
各反応性酵素が、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータ-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phsophatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、項目74~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がクチナーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホナートを含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目100)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がSnapTagを含み、前記第1の末端の前記官能基がO -ベンジルグアニンを含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目101)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がHaloTagを含み、前記第1の末端の前記官能基がα-クロロアルカンを含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がベータ-ラクタマーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がクラブラン酸またはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がグリコシダーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がマトリックスメタロプロテイナーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目105)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、前記第1の末端の前記官能基が同族のoriTオリゴヌクレオチド配列を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目106)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、前記第1の末端の前記官能基が、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目107)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がアルカリホスファターゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目108)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がタンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、および上記の組み合わせを含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目109)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が23S rRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、前記第1の末端の前記官能基が同族RNA配列を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目110)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がグルコシダーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目111)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がアデノシンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目112)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目113)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、前記第1の末端の前記官能基が、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはこれらの誘導体からなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がHNHエンドヌクレアーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が同族DNAのニッキング部位を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がニッキングエンドヌクレアーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が同族DNAニッキング部位を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目117)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼBを含み、前記第1の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼAを含み、前記第1の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がストロメリシンを含み、前記第1の末端の前記官能基が、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素が脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、前記第1の末端の前記官能基がα-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目121)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がエステラーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基が、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目122)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がシトクロムP450を含み、前記第1の末端の前記官能基が、求電子ステロイド、芳香族アルキン、前記の誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目123)
前記第1の融合タンパク質反応性酵素がメチオニンアミノペプチダーゼを含み、前記第1の末端の前記官能基がベロラニブまたはその誘導体を含む、項目74~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目124)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がクチナーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がp-ニトロフェニルホスホネートを含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がSnapTagを含み、前記第2の末端の前記官能基がO -ベンジルグアニンを含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目126)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がHaloTagを含み、前記第2の末端の前記官能基がα-クロロアルカンを含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目127)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がベータ-ラクタマーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がクラブラン酸またはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目128)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がグリコシダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目129)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がマトリックスメタロプロテイナーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目130)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、前記第2の末端の前記官能基が同族のoriTオリゴヌクレオチド配列を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目131)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、前記第2の末端の前記官能基が、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目132)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がアルカリホスファターゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目133)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がタンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせを含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目134)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、前記第2の末端の前記官能基が同族RNA配列を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目135)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がグルコシダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がアグリコンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目136)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がアデノシンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目137)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目138)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がシトシンまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目139)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、前記第2の末端の前記官能基が、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはこれらの誘導体からなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目140)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がHNHエンドヌクレアーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が同族DNAニッキング部位を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目141)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が、ニッキングエンドヌクレアーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、同族のDNAニッキング部位を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目142)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼBを含み、前記第2の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目143)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がゼラチナーゼAを含み、前記第2の末端の前記官能基がチイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目144)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がストロメリシンを含み、前記第2の末端の前記官能基が、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目145)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素が脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、前記第2の末端の前記官能基がα-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目146)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がエステラーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基が、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目147)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がシトクロムP450を含み、前記第2の末端の前記官能基が、求電子ステロイド、芳香族アルキン、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目148)
前記第2の融合タンパク質反応性酵素がメチオニンアミノペプチダーゼを含み、前記第2の末端の前記官能基がベロラニブまたはその誘導体を含む、項目74~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目149)
項目74~148のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンストラクト。
(項目150)
項目1~73または149のいずれか1項に記載のコンストラクトを、前記コンストラクトを必要とする患者へ投与することを含む、方法。
(項目151)
薬剤としての、項目1~73または149のいずれか1項に記載のコンストラクトを必要とする患者のための、前記コンストラクトの使用。
(項目152)
前記患者が乳癌に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、トラスツズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目153)
前記患者が肺炭疽に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ラキシバクマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目154)
前記患者が関節リウマチまたは全身性若年性特発性関節炎に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントがトシリズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目155)
前記患者が、ホジキンリンパ腫または全身性未分化大細胞リンパ腫に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ブレンツキシマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目156)
前記患者が、慢性リンパ性白血病、濾胞性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、関節リウマチ、および再発性弛張性多発性硬化症からなる群から選択される容態に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントがオファツムマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目157)
前記患者が全身性エリテマトーデスに罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ベリムマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目158)
前記患者が、胃もしくは胃食道接合部の腺癌または転移性非小細胞肺癌に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ラムシルマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目159)
前記患者が潰瘍性大腸炎またはクローン病に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントがベドリズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目160)
前記患者が慢性リンパ性白血病または濾胞性リンパ腫に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、オビヌツズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目161)
前記患者が黒色腫または転移性非小細胞肺癌に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ペンブロリズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目162)
前記患者が黄斑変性に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントがラニビズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目163)
前記患者が乳癌に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ペルツズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目164)
前記患者が、骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、および骨巨細胞腫からなる群から選択される容態に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはフラグメントがデノスマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目165)
前記患者が悪性腹水に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、カツマキソマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目166)
前記患者が、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、および潰瘍性大腸炎からなる群から選択される容態に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ゴリムマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目167)
前記患者が、転移性腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、およびキャッスルマン病からなる群から選択される容態に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、シルツキシマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目168)
前記患者が多発性硬化症またはクローン病に罹患し、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、ナタリズマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目169)
前記患者が大腸癌に罹患し、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントがパニツムマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目170)
前記患者が、骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、および骨巨細胞腫からなる群から選択される容態に罹患しており、前記コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントが、デノスマブまたはそのフラグメントを含む、項目150または151に記載の方法または使用。
(項目171)
診断薬としての、項目1~73または149のいずれか1項に記載のコンストラクトの、使用。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トラスツズマブF(ab)(TFab)融合遺伝子/タンパク質コンストラクトを示す。
図2】精製TFab-クチナーゼおよびTFab-SnapTag融合物のSDS-PAGEゲルを示す。
図3】二価のコンストラクトのSDS-PAGEゲルを示す。
図4】トラスツズマブおよび融合タンパク質コンストラクトB-13の細胞生存率アッセイデータを示す。
図5】マウスにおけるB-13コンストラクトの血清濃度の経時的プロットである。
図6】BT474腫瘍異種移植片を有するマウスに対するB-13投与の効果の結果を示す。A)ビヒクルで4週間にわたって、毎日2.5および5mg/kgのB13で、ならびに2.5mg/kgで週2回のドキソルビシン(dox)で処置した動物の腫瘍体積の進行。28日後に、ビヒクル対ドキソルビシン(p=.0002)およびビヒクル対2つのB13処置群(p=.0001)の間に腫瘍体積の有意な差がある。B)4つの処置コホートにおける動物の全体重測定。ビヒクルとドキソルビシン(p=.0116)との間には全体重に有意差があったが、ビヒクルと2.5mg/kg(p=.2237)または5mg/kg(p=.4297)のB13処置との間には有意差はなかった。C)4つの処置コホートにおける動物の器官重量。群間で器官の重量に有意差はない(p=0.9493)。P値は、Graph Pad7.0の2元配置ANOVAを用いて計算した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、コンストラクトならびにコンストラクトを作製する方法および使用する方法が提供される。コンストラクトは、第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーとを含み、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質はそれぞれ、親和性試薬と反応性酵素とを含み、リンカーは、第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基と、第2の末端で前記第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基とを含む。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素と第2の融合タンパク質反応性酵素とは異なる。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は同じである。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質親和性試薬と第2の融合タンパク質親和性試薬とは異なる。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質親和性試薬および第2の融合タンパク質親和性試薬は同じである。場合によっては、複数の実施形態において、各親和性試薬は、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、タンパク質、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0014】
親和性試薬と反応性酵素との融合タンパク質のコンストラクト
開示されたコンストラクトは、リンカーを介して連結された親和性試薬と反応性酵素との融合タンパク質を含む。
【0015】
本明細書中で使用する場合および他に指定しない限り、「親和性試薬」は、所望の標的に対する親和性、例えば治療系における標的エピトープへ結合する能力、および/またはバイオセンサーシステムにおいて分析物を結合するもしくは認識する能力を呈する部分を指す。親和性試薬の例としては、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、およびタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書中で使用する場合および他に指定しない限り、「反応性酵素」は、活性部位残基を不可逆的に阻害することに特異的な官能基へカップリングすることができる活性部位残基を含む酵素を指す。
【0017】
本明細書中で使用する場合および他に指定しない限り、「タンパク質」は、天然ポリペプチド、天然および/または非天然アミノ酸を含むポリペプチド、ファージ中のタンパク質、治療用タンパク質、ならびに合成または天然由来のいずれかの抗体ドメインを指す。
【0018】
本明細書中で使用する場合、「ポリペプチド」は、アミノ酸残基から構成されたポリマーを指す。ポリペプチドは、当該技術分野において理解されており、抗体、酵素、構造ポリペプチド、およびホルモンが含まれるが、これらに限定されない。本開示のポリペプチドは、天然または非天然のいずれかであり得る。
【0019】
天然ポリペプチドには、自然界に存在するかまたは、例えば、化学合成もしくは組換え発現技術によって自然界において認められる形態で生成することができる、生物活性のあるポリペプチド(抗体を含む)が含まれるが、これに限定されない。天然ポリペプチドには、リポタンパク質および、例えば、限定されないが、グリコシル化タンパク質などの翻訳後修飾タンパク質も含まれる。
【0020】
本開示の方法および組成物における使用が企図される抗体には、インビボまたはインビトロのいずれかで標的分子を認識しおよびこれと会合する抗体が含まれるが、それらに限定されない。
【0021】
本開示によって企図される構造ポリペプチドには、アクチン、チューブリン、コラーゲン、エラスチン、ミオシン、キネシンおよびダイニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本開示によって企図される非天然ポリペプチドには、合成ポリペプチド、ならびに本明細書で定義される天然または非天然ポリペプチドの断片、類似体および変異形が含まれるが、これらに限定されない。非天然ポリペプチドには、D型アミノ酸、修飾された、誘導体化された、または非天然のアミノ酸を構造の一部としてDもしくはL立体配置および/またはペプチド模倣単位に有するタンパク質またはタンパク質物質も含まれる。「タンパク質」という用語は、典型的には、大きなポリペプチドを指す。「ペプチド」という用語は、典型的には、短いポリペプチドを指す。
【0023】
非天然ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を用いて、または、これに代わるものとして、所望のポリペプチドをコードする修飾されたポリヌクレオチドを使用する組換え発現技術を用いて調製される。
【0024】
本明細書で使用する場合、ポリペプチドの「フラグメント」は、全長のポリペプチドまたはタンパク質発現産物よりも小さなポリペプチドまたはタンパク質の何らかの部分を指すことを意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、「類似体」は、分子全体またはそのフラグメントのいずれかに対して構造が実質的に類似し、同じ生物活性を有するが、種々の程度の活性を有することができる2種以上のポリペプチドのいずれかを指す。類似体は、そのアミノ酸配列の組成が、他のアミノ酸に対する1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加を包含する1つ以上の変異に基づいて異なる。置換は、置き換えられるアミノ酸およびこのアミノ酸と置き換わるアミノ酸の物理化学的または機能的関連性に基づいて、保存的または非保存的であり得る。
【0026】
本明細書中で使用する場合、「変異形」は、通常は分子の一部ではない追加の化学的部分を含むように修飾されたポリペプチド、タンパク質またはこれらの類似体を指す。このような部分は、例えば、以下に限定するものではないが、分子の溶解度、吸収および/または生物学的半減期を調節することができる。このような効果を仲介することができる部分は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)に開示されている。このような部分を分子へカップリングするための手順は、当該技術分野で十分に既知である。
【0027】
Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、Fvフラグメント、Fcフラグメント、1つ以上の相補性決定領域(CDR)フラグメント、個々の重鎖、個々の軽鎖、二量体性重鎖および軽鎖(未処置の抗体において認められるヘテロ四量体性重鎖および軽鎖とは対照的)、一本鎖抗体(scAb)、ヒト化抗体(およびヒト化抗体の様式で修飾された抗体だが、結果として得られる抗体は、非ヒト種の抗体のより非常に類似している)、キレート化組換え抗体(CRAB)、二重特異性抗体および多重特異性抗体、ならびに当該技術分野で既知の他の抗体誘導体またはフラグメントを含むがこれらに限定されない抗体ならびにそのフラグメントまたは誘導体が意図される。
【0028】
先の態様の実施形態において、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、トラスツズマブまたはそのフラグメント、ラクシバカマブまたはそのフラグメント、トシリズマブまたはそのフラグメント、ブレンツキシマブまたはそのフラグメント、オファツムマブまたはそのフラグメント、ベリムマブまたはそのフラグメント、ラムシルマブまたはそのフラグメント、ベドリズマブまたはそのフラグメント、オビヌツズマブまたはそのフラグメント、ペンブロリズマブまたはそのフラグメント、ラニビズマブまたはそのフラグメント、ペルツズマブまたはそのフラグメント、デノスマブまたはそのフラグメント、カツマキソマブまたはそのフラグメント、ゴリムマブまたはそのフラグメント、シルツキシマブまたはそのフラグメント、ナタリズマブまたはそのフラグメント、パニツムマブまたはそのフラグメント、デノスマブまたはそのフラグメント、およびこれらの組み合わせを含む。
【0029】
複数の実施形態において、リンカーは、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、2-メチルアクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、または以下から選択される構造である:
【化1】

であって、
式中mは0~10であり、nは1~100であり、各pは独立して、0、1、2、3または4であり、qは0、1または2であり、rは1または2であり、EはNHまたはCHR10であり、GはO、CH、CHOH、CHNH、CHCOOHまたはCHSOHであり、R10はOH、NHまたはCOOHであり、各R11は独立して、H、OH、NHまたはCOOHである。
【0030】
各反応性酵素は、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータ-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phosphatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。複数の実施形態において、各反応性酵素は、クチナーゼ、ハロアルカン脱水素酵素HaloTag、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ変異体、SnapTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。複数の実施形態において、各反応性酵素は、クチナーゼ、ハロアルカン脱水素酵素HaloTag、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ変異体、SnapTag、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0031】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素と第2の融合タンパク質反応性酵素とは異なる。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は同じである。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質親和性試薬と第2の融合タンパク質親和性試薬とは異なる。複数の実施形態において、第1の融合タンパク質親和性試薬および第2の融合タンパク質親和性試薬は同じである。場合によっては、複数の実施形態において、各親和性試薬は、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、タンパク質、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0032】
複数の実施形態において、親和性試薬と反応性酵素との融合タンパク質は、反応性酵素を親和性試薬へ結合させるための従来の合成化学技術によって形成される。いくつかの場合において、親和性試薬がタンパク質または抗体を含む場合、融合タンパク質は、親和性試薬および反応性酵素をコードするポリヌクレオチド配列を発現させることによって生成される。いくつかの態様において、本開示は、プロモーターへ作用可能に連結されたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。さらなる態様において、本開示は、ベクターを含む宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)細胞である。さらなる実施形態において、宿主細胞は哺乳類細胞である。関連する実施形態において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。なおさらなる実施形態では、宿主細胞は酵母細胞である。さらなる態様において、本明細書に開示される融合タンパク質を生成する方法が提供され、この方法は、ポリペプチドの発現を誘導するのに適切な条件下で本開示の宿主細胞を培養するステップを含む。関連する実施形態において、ポリペプチドが単離される。
【0033】
親和性試薬
本開示のコンストラクトは、融合タンパク質へ官能性を提供する親和性試薬を含む融合タンパク質を含む。したがって、正確に規定された構造および機能を有する第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを含むコンストラクトを組み立てることができる。親和性試薬を介して融合タンパク質に付与される官能性の例としては、循環中もしくは細胞表面上にある疾患関連タンパク質の標的化の強化、細胞傷害性の亢進、免疫調節、薬物送達、造影剤としての使用、診断薬としての使用、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
第1の親和性試薬および第2の親和性試薬は同じであっても異なっていてもよい。各親和性試薬は、抗体またはそのフラグメント、小分子、モノボディ、タンパク質、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0035】
複数の実施形態において、親和性試薬は、抗体またはそのフラグメントを含む。抗体またはそのフラグメントは、軽鎖可変ドメイン(V)、軽鎖定常ドメイン(C)、重鎖可変ドメイン(V)、重鎖定常ドメイン(C1)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。抗体またはそのフラグメントは、キメラ抗体、ヒト抗体およびヒト化抗体であり得る。抗体またはそのフラグメントの例としては、トラスツズマブまたはそのフラグメント、ラクシバカマブまたはそのフラグメント、トシリズマブまたはそのフラグメント、ブレンツキシマブまたはそのフラグメント、オファツムマブまたはそのフラグメント、ベリムマブまたはそのフラグメント、ラムシルマブまたはそのフラグメント、ベドリズマブまたはそのフラグメント、オビヌツズマブまたはそのフラグメント、ペンブロリズマブまたはそのフラグメント、ラニビズマブまたはそのフラグメント、ペルツズマブまたはそのフラグメント、デノスマブまたはそのフラグメント、カツマキソマブまたはそのフラグメント、ゴリムマブまたはそのフラグメント、シルツキシマブまたはそのフラグメント、ナタリズマブまたはそのフラグメント、パニツムマブまたはそのフラグメント、およびデノスマブまたはそのフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
複数の実施形態において、親和性試薬は小分子を含む。小分子は薬物であり得る。小分子薬物の例としては、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、L型アスパラギナーゼ、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5-アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、ベタメタゾンアセタート、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、カソデックス、セフェゾン、セルモロイキン、セルビジン、クロランブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソーム、デカドロン、デカドロンホスファート、デレストロゲン、デニロイキンジフチトクス、デポメドロール、デスロレリン、デキサラゾキサン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチン-アルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストラース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、フルダラビンホスファート、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロデオキシウリジンモノホスファート、5-フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ヘキサメチルメラミン、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロン、塩酸、ヒストレリン、ヒカムチン、ヒドロコルトン、エリスロ-ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロン-アルファ、インターフェロン-アルファ2、インターフェロン-アルファ2α、インターフェロン-アルファ2β、インターフェロン-アルファn1、インターフェロン-アルファn3、インターフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ1α、インターロイキン2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、レンチナンスルファート、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、ロイプロリドアセタート、レバミソール、レボホル酸(levofolic acid)カルシウム塩、レボトロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メルファラン、メネスト、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビクス、ミルテホシン、ミノシクリン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル、ミオセト、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、オラプレッド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペディアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、N-ホスホノアセチルL-アスパラギン酸(PALA)、ピシバニル、ピロカルピンヒドロクロリド、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム-186エチドロナート、リツキシマブ、ロフェロンA、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、ストレプトゾシン、ストロンチウム-89クロリド、シンスロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテル、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロンプロピオナート、テストレッド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、タスツズマブ、テオスルファン、トレイノイン、トレキサオール、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、トリプトレリンアセタート、トリプトレリンパモアート、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジンカード、ジノスタチン-スチマラメル、ゾフラン、ABI-007、アコルビフェン、アクチムン、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、アバスチン、BAY43-9006(ソラフェニブ)、CCI-779、CDC-501、セレブレクス、セツキシマブ、クリスナトール、シプロテロンアセタート、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン-MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム166DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロン-ガンマ、インターフェロン-PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラソホキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロン酸、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ-TCS、オシデム、パクリタキセルポリグルタミマート、パミドロン酸二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナス、13-シス-レチン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシン-アルファ-1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
複数の実施形態において、親和性試薬はタンパク質を含む。複数の実施形態において、タンパク質は、天然タンパク質、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、ファージ中のタンパク質、治療用タンパク質、合成抗体ドメイン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、タンパク質は、非天然アミノ酸、ファージ中のタンパク質、治療用タンパク質、合成抗体ドメイン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0038】
複数の実施形態において、親和性試薬は、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、HEL4 Vhドメイン(Predator)、ブドウ球菌タンパク質A(Affibody)のZドメイン、古細菌「7kDa DNA結合剤」タンパク質ファミリー(Affitin)、炭水化物結合分子(CBDドメイン)、シスチンノットミニタンパク質(knottin)、フィブロネクチンIII型ドメイン(モノボディ、Adnectin)、γ-B-クリスタリン(Affilin)、シスタチン(Affimer)、三重らせんコイルドコイルドメイン(Alphabody)、リポカリンドメイン(Anticalin)、種々の膜受容体のAドメイン(Avimer)、FynのSH3ドメイン(Fynomers)、Kunitzドメインペプチド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0039】
反応性酵素
本開示の融合タンパク質は、リンカー上に存在する反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基へカップリングすることができる反応性酵素を含む。したがって、正確に規定された構造を有する第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを含むコンストラクトは、融合タンパク質反応性酵素の活性部位残基に選択的にカップリングする合成リンカーを使用するモジュール式アプローチを用いて組み立てることができる。
【0040】
第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は、同じであっても異なっていてもよい。各反応性酵素は、クチナーゼ、SnapTag、HaloTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータ-ラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメイン、アルカリホスファターゼ、タンパク質-チロシン-フソファターゼ(phsophatase)、23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体、グルコシダーゼ、N-6アデニン特異的DNAメチラーゼ、N(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼ、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体、HNHエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、ストロメリシン、脂肪酸アミド加水分解酵素、エステラーゼ、シトクロムP450、メチオニンアミノペプチダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0041】
複数の実施形態において、各反応性酵素は、クチナーゼ、HaloTag、SnapTag、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン、ベータラクタマーゼ、グリコシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。複数の実施形態において、各反応性酵素は、クチナーゼ、HaloTag、SnapTag、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0042】
複数の実施形態において、反応性酵素は、I型DNAトポイソメラーゼのモビリティクラス(MOB)リラクサーゼドメインである。I型DNAトポイソメラーゼのMOBリラクサーゼドメインは、リラクサーゼタンパク質もコードする移動性プラスミド内に位置する小さな同族のトランスファー起点(oriT)DNA配列に共有結合する酵素である。このような酵素は、特定のヌクレオチド残基でoriT DNA配列を切断し、切断点でoriT DNA配列に共有結合する。I型DNAトポイソメラーゼのMOBリラクサーゼドメインは、ファミリーによって特徴づけることができ、各ファミリーメンバーは類似の構造および機序を有する。I型DNAトポイソメラーゼファミリーの既知のMOBリラクサーゼドメインの例としては、MOB、MOB、MOB、MOB、MOB、およびMOBが挙げられる。各リラクサーゼファミリーのメンバーについてのOriT配列は、各リラクサーゼタンパク質配列が由来する移動性プラスミドに特異的である。リラクサーゼファミリーおよびその関連プラスミドの既知の例としては、MOBファミリー:pF、pR100、pR388、pWWO、pMFLV02、pREB5、pREC1、およびpNAC3;MOBファミリー:pR27、pCAR1、pSXT、pIP1202、pMOL28、およびpPNAP01;MOBファミリー:pCloDF13、p23023、pCRY、pAD1、pSKU146.2、pLM7、およびpSt0;MOBファミリー:pRSF1010、pPRO2、pTi、pAt、pGOX3、pWCFS103、pBM300、pCAUL01、pTB3、pKJ50、およびpRF;MOBファミリー:pRP4、pEST4011、pBI1063、pR64、pET46、pACRY04、pRAS3、pVirD2pTi、pColE1、pRA3、pVT745、pCP13、pFMC、pRP4、pR64、pK、pRAY、pCH4、pET35、pNP40、pCF10、pVir、pBOT3502、pMD136、pCIZ2、pS194、pSK639、およびpRJ9;ならびにMOBファミリー:pMV158、pE194、pUB110、pBBR1、pTn5520、pTn4555、pIncU、およびpIncXが挙げられ、ここで下付き文字「p」はプラスミドを表す。
【0043】
リンカー
リンカーは、少なくとも第1の末端と第2の末端とを含む。リンカーはさらに、第1の末端に、融合タンパク質を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基を含む。リンカーはさらに、第2の末端に、融合タンパク質を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基を含む。
【0044】
複数の実施形態において、リンカーは、含窒素C3~7複素環、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(「PHF」)、ポリヒドロキシアルキルアクリラート(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、2-メチアクリロイルオキシ(methyacryloyloxy)-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスファート(「MPC」)、またはこれらの組み合わせをさらに含む。例えば、リンカーは、ポリオキサゾリン、ポリアクリロモルホリン(polyacrylomorpholine)、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、PHF、ポリヒドロキシアルキルアクリラート、またはMPCを含むことができる。
【0045】
複数の実施形態において、リンカーは、
【化2】

から選択される基を含む。
式中、
mは0~10であり、
nは1~100であり、
各pは独立して0、1、2、3、または4であり、
qは0、1、または2であり、
rは1または2であり、
EはO、NHまたはCHR10であり、
GはO、CH、CHOH、CHNH、CHCOOH、またはCHSOHであり、
10はOH、NHまたはCOOHであり、かつ
各R11は、独立して、H、OH、NHまたはCOOHである。
【0046】
複数の実施形態において、リンカーは
【化3】

を含む。いくつかの実施形態において、EはOである。種々の実施形態において、EはNHである。いくつかの実施形態では、EはCHR10である。例えば、EはCHOH、CHNH、CHCOOH、またはCHSOHを含むことができる。これらの実施形態において、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であることができる。例えば、mは1、2、3、4、または5であることができる。いくつかの実施形態において、mは1、2、または3である。種々の実施形態において、nは、1~50、1~40、1~30、1~20、1~25、1~20、1~15、1~10、または1~5であることができる。
【0047】
複数の実施形態において、リンカーは
【化4】

を含む。いくつかの場合において、pは1、2、または3である(例えば、1または2)。例えば、リンカーは、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはガンマ-グルタミン酸を含むことができる。種々の実施形態において、nは、1~50、1~40、1~30、1~20、1~25、1~20、1~15、1~10、または1~5であることができる。
【0048】
複数の実施形態では、リンカーは
【化5】

を含む。いくつかの場合において、pは0、1、2、または3である(例えば、1または2)。種々の実施形態において、nは、1~50、1~40、1~30、1~20、1~25、1~20、1~15、1~10、または1~5であることができる。
【0049】
複数の実施形態において、リンカーは
【化6】

を含む。複数の実施形態において、GはOである。GがOである複数の実施形態において、各R11は独立して、HまたはOHであることができる。複数の実施形態において、GはCHである。GがCHである複数の実施形態において、各R11は独立して、HまたはOHであることができ、ただし、少なくとも1つのR11がOHであることを条件とする。複数の実施形態において、各R11はOHである。GがCHである種々の実施形態において、各R11は独立してHまたはNHであることができ、ただし、少なくとも1つのR11がNHであることを条件とする。GがCHである種々の実施形態において、各R11は独立してHまたはCOOHであることができ、ただし、少なくとも1つのR11がCOOHであることを条件とする。複数の実施形態において、GはCHOHである。GがCHOHである複数の実施形態において、各R11は独立してHまたはOHであることができる。複数の実施形態において、各R11はOHである。複数の実施形態において、GはCHNHである。GがCHNHである複数の実施形態において、各R11は独立してHまたはNHであることができる。複数の実施形態において、GはCHCOOHである。GがCHCOOHである複数の実施形態において、各R11は独立してHまたはCOOHであることができ、ただし、少なくとも1つのR11がCOOHであることを条件とする。これらの実施形態において、nは、1~50、1~40、1~30、1~20、1~25、1~20、1~15、1~10、または1~5であることができる。
【0050】
複数の実施形態において、リンカーは、含窒素C3~7複素環(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン)、ポリアルキレンジアミン(例えば、ポリエチレンジアミン、ポリプロピレンジアミン、ポリブチレンジアミン)、負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、ガンマ-グルタミン酸)、または糖(例えば、単糖、多糖、イノシトール、またはポリシアル酸)を含む。
【0051】
複数の実施形態において、リンカーは、ポリアルキレンオキシドを含む。ポリアルキレンオキシドは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、リンカーは、ポリエチレングリコール(例えば、PEG40、PEG100、PEG150、PEG200、PEG300、PEG2000)、ポリプロピレングリコール、またはポリブチレングリコールを含むことができる。ポリアルキレンオキシドは、約30~約5000(例えば、約30~4500、約30~4000、約30~3500、約30~3000、約30~2500、約30~2000、約30~1500、約30~1000、約46~1000、約46~750、約46~500、約46~250、または約46~100)の分子量を有することができる。ポリエチレンオキシドスペーサーは、その末端の片方または両方に反応性官能基を有するおよび有さないものが、当該技術分野において十分に既知であり、例えば、Quanta Biodesign、PierceNet、およびSigmaAldrichを通じて市販されている。
【0052】
第1および第2の末端の官能基を通して、リンカーは、少なくとも2価の抗体コンストラクトを提供するために、穏和な条件下で部位特異的に、高い収率で、急速な動態で、融合タンパク質反応性酵素と反応する。リンカー末端の官能基は、反応性酵素を不可逆的に阻害する何らかの官能基であり得る。
【0053】
官能基の例としては、p-ニトロフェニルホスホナート、O-ベンジルグアニン、α-ハロアルカンまたはその誘導体、ハロ芳香族化合物またはその誘導体、クラブラン酸またはその誘導体などのベータ-ラクタムまたはその誘導体、アグリコンまたはその誘導体、ヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列、システイン反応性ATP結合部位阻害剤、キノンメチドまたはその誘導体、α-ハロホスホン酸またはその前駆体もしくは誘導体、ホルミルクロモンまたはその誘導体、同族のRNA配列、アデノシンまたはその誘導体、シトシンまたはその誘導体、同族のDNAのニッキング部位、チイランまたはその誘導体、ヒドロキサム酸またはその誘導体、α-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体、求電子ステロイド、ホスホナート、カルバマート、芳香族アルキン、ベロラニブまたはその誘導体、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
複数の実施形態において、官能基は、p-ニトロフェニルホスホナート、O-ベンジルグアニン、α-ハロアルカンまたはその誘導体、ハロ芳香族化合物またはその誘導体、クラブラン酸またはその誘導体などのベータ-ラクタムまたはその誘導体、ヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、官能基は、p-ニトロフェニルホスホナート、O-ベンジルグアニン、α-ハロアルカンまたはその誘導体、ハロ芳香族化合物またはその誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0055】
複数の実施形態において、官能基は、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列である。この実施形態の改良において、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列は、5’-TTTGCGTAGTGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号1)、5’-TTTGCGTGGGGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号2)、5’-TTTGCGTAGGGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号3)、5’-CGCGCACCGAAAGGTGCGTATTGTCTATAGCCCAGATTTAAGGA-3’(配列番号4)、5’-CCATTTCTCGAAGAGAAACCGGTAAATGCGCCCT-3’(配列番号5)、5’-CACACACTTTATGAATATAAAGTATAGTGTTATACTTTA-3’(配列番号6)、5’ACGTTTCTGAACGAAGTGAAGAAACGTCTAAGTGCGCCCT-3’(配列番号7)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
複数の実施形態において、融合タンパク質反応性酵素はI型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインであり、官能基は同族のoriTオリゴヌクレオチド配列である。複数の実施形態において、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメイン(各リラクサーゼタンパク質配列について移動性プラスミドによって特定される)/同族のoriTオリゴヌクレオチド配列対は、pR100/5’-TTTGCGTAGTGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号1)、pF/5’-TTTGCGTGGGGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号2)、TraIP307/5’-TTTGCGTAGGGTGTGGTGCTTT-3’(配列番号3)、pR388/5’-CGCGCACCGAAAGGTGCGTATTGTCTATAGCCCAGATTTAAGGA-3’(配列番号4)、pR1162/5’-CCATTTCTCGAAGAGAAACCGGTAAATGCGCCCT-3’(配列番号5)、pMobMN199/5’-CACACACTTTATGAATATAAAGTATAGTGTTATACTTTA-3’(配列番号6)、pSC101/5’ACGTTTCTGAACGAAGTGAAGAAACGTCTAAGTGCGCCCT-3’(配列番号7)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はクチナーゼを含み、第1の末端の官能基はp-ニトロフェニルホスホナートを含む。
【0058】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はSnapTagを含み、第1の末端の官能基はO-ベンジルグアニンを含む。
【0059】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はHaloTagを含み、第1の末端の官能基はα-クロロアルカンを含む。
【0060】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はベータ-ラクタマーゼを含み、第1の末端の官能基はベータ-ラクタムまたはその誘導体を含む。
【0061】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はグリコシダーゼを含み、第1の末端の官能基はアグリコンまたはその誘導体を含む。
【0062】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はマトリックスメタロプロテイナーゼを含み、第1の末端の官能基はヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む。
【0063】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、I型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、第1の末端の官能基は、同族のoriTオリゴヌクレオチド配列を含む。
【0064】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、第1の末端の官能基は、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む。
【0065】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、アルカリホスファターゼを含み、第1の末端の官能基は、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、それらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0066】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、タンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、第1の末端の官能基は、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0067】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、第1の末端の官能基は同族のRNA配列を含む。
【0068】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はグルコシダーゼを含み、第1の末端の官能基はアグリコンまたはその誘導体を含む。
【0069】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、第1の末端の官能基はアデノシンまたはその誘導体を含む。
【0070】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、第1の末端の官能基はシトシンまたはその誘導体を含む。
【0071】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、第1の末端の官能基はシトシンまたはその誘導体を含む。
【0072】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、第1の末端の官能基は、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはその誘導体からなる群から選択される官能基を含む。
【0073】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はHNHエンドヌクレアーゼを含み、第1の末端の官能基は同族のDNAニッキング部位を含む。
【0074】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、ニッキングエンドヌクレアーゼを含み、第1の末端の官能基は、同族のDNAニッキング部位を含む。
【0075】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はゼラチナーゼBを含み、第1の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0076】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はゼラチナーゼAを含み、第1の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0077】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、ストロメリシンを含み、第1の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0078】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素は、脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、第1の末端の官能基は、α-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む。
【0079】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はエステラーゼを含み、第1の末端の官能基は、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0080】
複数の態様において、第1の融合タンパク質反応性酵素はシトクロムP450を含み、第1の末端の官能基は、求電子ステロイド、芳香族アルキン、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0081】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素はメチオニンアミノペプチダーゼを含み、第1の末端の官能基はベロラニブまたはその誘導体を含む。
【0082】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はクチナーゼを含み、第2の末端の官能基はp-ニトロフェニルホスホナートを含む。
【0083】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はSnapTagを含み、第2の末端の官能基はO-ベンジルグアニンを含む。
【0084】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はHaloTagを含み、第2の末端の官能基はα-クロロアルカンを含む。
【0085】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はベータ-ラクタマーゼを含み、第2の末端の官能基はベータ-ラクタムまたはその誘導体を含む。
【0086】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はグリコシダーゼを含み、第2の末端の官能基はアグリコンまたはその誘導体を含む。
【0087】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、マトリックスメタロプロテイナーゼを含み、第2の末端の官能基は、ヒドロキサム酸-ベンゾフェノンまたはその誘導体を含む。
【0088】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素がI型DNAトポイソメラーゼのリラクサーゼドメインを含み、第2の末端の官能基が同族のoriTオリゴヌクレオチド配列を含む。
【0089】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含み、第2の末端の官能基は、システイン反応性ATP結合部位阻害剤を含む。
【0090】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、アルカリホスファターゼを含み、第2の末端の官能基は、キノンメチド、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0091】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、タンパク質-チロシン-ホスファターゼを含み、第2の末端の官能基は、ホルミルクロモン、α-ハロホスホン酸、これらの前駆体、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0092】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は23SrRNA(アデニン(2503)-C(2))-メチルトランスフェラーゼの変異体を含み、第2の末端の官能基は同族のRNA配列を含む。
【0093】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はグルコシダーゼを含み、第2の末端の官能基はアグリコンまたはその誘導体を含む。
【0094】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はN-6アデニン特異的DNAメチラーゼを含み、第2の末端の官能基はアデノシンまたはその誘導体を含む。
【0095】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はN(4)-シトシン特異的DNAメチラーゼを含み、第2の末端の官能基はシトシンまたはその誘導体を含む。
【0096】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はDNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼを含み、第2の末端の官能基はシトシンまたはその誘導体を含む。
【0097】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、ハロアルカンデハロゲナーゼの変異体を含み、第2の末端の官能基は、ハロアルカン、ハロ芳香族化合物、またはその誘導体からなる群から選択される官能基を含む。
【0098】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はHNHエンドヌクレアーゼを含み、第2の末端の官能基は同族のDNAニッキング部位を含む。
【0099】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、ニッキングエンドヌクレアーゼを含み、第2の末端の官能基は、同族のDNAニッキング部位を含む。
【0100】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、ゼラチナーゼBを含み、第2の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0101】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、ゼラチナーゼAを含み、第2の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0102】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、ストロメリシンを含み、第2の末端の官能基は、チイラン、ヒドロキサム酸、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0103】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素は、脂肪酸アミド加水分解酵素を含み、第2の末端の官能基は、α-ケトキサゾール阻害剤またはその誘導体を含む。
【0104】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はエステラーゼを含み、第2の末端の官能基は、ホスホナート、カルバマート、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0105】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はシトクロムP450を含み、第2の末端の官能基は、求電子ステロイド、芳香族アルキン、これらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
【0106】
複数の実施形態において、第2の融合タンパク質反応性酵素はメチオニンアミノペプチダーゼを含み、第2の末端の官能基はベロラニブまたはその誘導体を含む。
【0107】
コンストラクトを調製する方法
本開示の別の態様は、(a)親和性試薬と反応性酵素とを含む第1の融合タンパク質を、第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基を含むリンカーと接触させ、それによって第1の融合タンパク質とリンカーとを第1の末端でカップリングさせることと、(b)親和性試薬と反応性酵素とを含む第2の融合タンパク質をリンカーの第2の末端と接触させることと、を含む方法であって、リンカーの第2の末端が、第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害し、それによって第2の融合タンパク質とリンカーとを第2の末端でカップリングさせることに特異的な官能基を含む、方法を提供する。
【0108】
本明細書で使用する場合および他に指定しない限り、「カップリングした」、「カップリングする」または「カップリングすること」は、共有結合形成を包含し、例えば、共有結合形成を介して融合タンパク質はリンカー末端で官能基と不可逆的に会合する。
【0109】
本明細書に開示する方法は、部位特異的に反応性酵素と反応する、末端に官能基を有する小分子リンカーを用いるモジュール様式で、親和性試薬と反応性酵素とを含む融合タンパク質を、穏和な反応条件下で迅速な動態を用いて特異的に反応性酵素と結合する。
【0110】
本明細書に開示する方法は、例えば、治療用コンストラクトの非常に多様な集団がモジュール様式で生成されることのできる手段を提供する、1つ以上の利点を提供する。加えて、反応性アミノ酸を抗体足場上で直接操作/官能化する必要がないため、拡張された官能性を有する抗体フォーマットの調製は、本開示のコンストラクトを用いた場合、簡単である。さらに、融合タンパク質とリンカーとのカップリングの穏和な、迅速な、かつ部位特異的な性質により、多様なエフェクター分子を抗体フラグメントへ高収率で正確な化学量論で抗体様フラグメントから離れて結合させることができる。さらになお、毒素またはグリコシル化タンパク質などの抗体フラグメントを有する相同な宿主中で発現することができない分子は、種々の生物中で発現することができ、モジュール様式でコンストラクトへ結合することができる。モジュール式合成は、標準的なタンパク質工学/発現を使用して調製するには大き過ぎるまたは複雑過ぎる分子の作製を可能にするが、このような方法はポリペプチドを培養中の1つ以上の鎖として発現させる必要がある。
【0111】
化学結合モジュール式アプローチによって、可変性の化学量論、配向、および幾何学的構造の正確に定義されたタンパク質コンストラクトを生成する効率的な方法が可能となる。これらの属性は、リンカーに多様性をコードすることによって、および/またはリンカーへの融合タンパク質の結合の順序を変えることによって、系統的に変化させることができる。現行のタンパク質工学的方法は、所望のコンストラクトに達するための天然のポリペプチド折りたたみ/ペプチドリンカーの固有のレパートリーに限定される。それゆえ、従来の工学的方法を用いてより大きな効能を呈し得る非天然型フォーマットを調製することはできない。
【0112】
最後に、より小さな抗体様フラグメントの発現によって、抗体分子の工業的生産において典型的に使用される真核生物宿主に加えて、原核生物宿主における発現が可能となる。原核生物の堅牢性は、しばしば真核生物発現系の5倍である産物収率に加えて、より低コストの製造プラットフォームを可能にすることが十分に既知である。
【0113】
本開示の別の態様は、本開示の方法によって調製されるコンストラクトを提供する。
【0114】
複数の実施形態において、ステップ(a)および(b)は順次(すなわち段階的に)実行される。複数の実施形態において、ステップ(a)および(b)は同時に実施される(すなわち、ワンポット反応)。各親和性試薬および反応性酵素は、本明細書に開示される親和性試薬および反応性酵素のいずれかから選択することができる。第1の末端の官能基と第2の末端の官能基とを含むリンカーは、本明細書に開示されるリンカーおよび官能基のいずれかから選択することができる。
【0115】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は同じであり、リンカーの第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端で第2の融合タンパク質反応酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基と同じであり、ステップ(a)および(b)を同時に実行する。
【0116】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は同じであり、リンカーの第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端における第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基とは異なっており、ステップ(a)および(b)は、同時に実行される。
【0117】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は異なり、リンカーの第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基と同じであり、ステップ(a)および(b)は順次実行される。
【0118】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は異なり、リンカーの第1の末端で第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基とは異なっており、ステップ(a)および(b)は、同時に実行される。
【0119】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は異なり、リンカーの第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基とは異なり、ステップ(a)および(b)は同時に実行される。
【0120】
複数の実施形態において、第1の融合タンパク質反応性酵素および第2の融合タンパク質反応性酵素は異なり、リンカーの第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基は、リンカーの第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基とは異なり、ステップ(a)および(b)は順次実行される。
【0121】
本明細書に開示される方法は、約100kDa、約150kDa、約200kDa、約250kDaおよび/または約300kDaより大きな分子量を有する分子の規模変更可能な調製を可能にする、および/または単に比較的少数の構築ブロックの組み合わせによって、変化した原子価、幾何学的配置、エフェクター機能、および化学量論を有する抗体様薬物の多様なライブラリーの作製など、1つ以上の利点を提供する。
【0122】
ステップ(a)および(b)は、生理学的pHに緩衝された何らかの水溶液、例えばpH7.4のリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中で行うことができる。第1の融合タンパク質、第2の融合タンパク質、およびリンカーの濃度は、概して、何らかの濃度であり得る。濃度は、第1の融合タンパク質、第2の融合タンパク質、およびリンカーが、飽和溶液を形成することなく、選択された溶媒に完全に溶解するように典型的に選択される。リンカーが、第1の末端および第2の末端で酵素を不可逆的に阻害することに特異的な官能基のみを含む場合、第1の融合タンパク質とリンカーと第2の融合タンパク質との相対濃度は、少なくとも約1:1:1であり、1つの融合タンパク質あたり酵素リンカー末端を不可逆的に阻害することに特異的な1つの官能基を提供する。
【0123】
実施形態において、工程(a)および(b)は周囲温度で実施される。温度は、融合タンパク質中に存在する任意のタンパク質を変性させるほど高くすべきではない。
【0124】
複数の実施形態において、コンストラクトは、固体支持体上に調製することができる。複数の実施形態において、ステップ(a)および/または(b)の1つ以上の成分を固体支持体上に提供することができる。適切な固体支持体は当該技術分野において十分に既知である。
【0125】
コンストラクトを使用する方法
本開示の別の態様は、本開示のコンストラクトを必要とする患者へ、このコンストラクトを投与することを含む方法を提供する。本開示のさらに別の態様は、本開示のコンストラクトを必要とする患者のための薬剤としての使用を提供する。本開示の別の態様は、診断薬としての本開示のコンストラクトの使用を提供する。
【0126】
複数の実施形態において、患者は、乳癌、肺炭疽、関節リウマチ、全身性若年性特発性関節炎、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、濾胞性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、再発性弛張性多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、胃もしくは胃食道接合部の腺癌、転移性非小細胞肺癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、黒色腫、黄斑変性、骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、骨巨細胞腫、悪性腹水、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、転移性腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、多発性骨髄腫、キャッスルマン病、大腸癌およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
本明細書中で使用する場合および他に指定されない限り、「疾患」および「障害」は相互交換可能に用いられる。
【0128】
複数の実施形態では、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、トラスツズマブまたはそのフラグメント、ラクシバカマブまたはそのフラグメント、トシリズマブまたはそのフラグメント、ブレンツキシマブまたはそのフラグメント、オファツムマブまたはそのフラグメント、ベリムマブまたはそのフラグメント、ラムシルマブまたはそのフラグメント、ベドリズマブまたはそのフラグメント、オビヌツズマブまたはそのフラグメント、ペンブロリズマブまたはそのフラグメント、ラニビズマブまたはそのフラグメント、ペルツズマブまたはそのフラグメント、デノスマブまたはそのフラグメントカツマキソマブまたはそのフラグメント、ゴリムマブまたはそのフラグメント、シルツキシマブまたはそのフラグメント、ナタリズマブまたはそのフラグメント、パニツムマブまたはそのフラグメント、デノスマブまたはそのフラグメント、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0129】
複数の実施形態において、患者は乳癌に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、トラスツズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0130】
複数の実施形態において、患者は肺炭疽に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ラクシバカマブまたはそのフラグメントを含む。
【0131】
複数の実施形態において、患者は、関節リウマチまたは全身性若年性特発性関節炎に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、トシリズマブまたはその断片を含む。
【0132】
複数の実施形態において、患者は、ホジキンリンパ腫または全身性未分化大細胞リンパ腫に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ブレンツキシマブまたはそのフラグメントを含む。
【0133】
複数の実施形態において、患者は、慢性リンパ性白血病、濾胞性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、関節リウマチ、および再発性弛張性多発性硬化症からなる群から選択される容態に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、オファツムマブまたはそのフラグメントを含む。
【0134】
複数の実施形態において、患者は、全身性エリテマトーデスに罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ベリムマブまたはそのフラグメントを含む。
【0135】
複数の実施形態において、患者は、胃もしくは胃食道接合部の腺癌または転移性非小細胞肺癌に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ラムシルマブまたはそのフラグメントを含む。
【0136】
複数の実施形態において、患者は、潰瘍性大腸炎またはクローン病に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ベドリズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0137】
複数の実施形態において、患者は、慢性リンパ性白血病または濾胞性リンパ腫に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、オビヌツズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0138】
複数の実施形態において、患者は、黒色腫または転移性非小細胞肺癌に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ペンブロリズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0139】
複数の実施形態において、患者は黄斑変性に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ラニビズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0140】
複数の実施形態において、患者は乳癌に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ペルツズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0141】
複数の実施形態において、患者は骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、および骨巨細胞腫からなる群から選択される容態に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントはデノスマブまたはそのフラグメントを含む。
【0142】
複数の実施形態において、患者は悪性腹水に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、カツマキソマブまたはそのフラグメントを含む。
【0143】
複数の実施形態において、患者は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、および潰瘍性大腸炎からなる群から選択される容態に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ゴリムマブまたはそのフラグメントを含む。
【0144】
複数の実施形態において、患者は、転移性腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、およびキャッスルマン病からなる群から選択される容態に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、シルツキシマブまたはそのフラグメントを含む。
【0145】
複数の実施形態において、患者は多発性硬化症またはクローン病に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、ナタリズマブまたはそのフラグメントを含む。
【0146】
複数の実施形態において、患者は大腸癌に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、パニツムマブまたはそのフラグメントを含む。
【0147】
複数の実施形態において、患者は骨粗鬆症、治療誘発性骨退縮、骨への転移、および骨巨細胞腫からなる群から選択される容態に罹患しており、コンストラクトの少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントはデノスマブまたはそのフラグメントを含む。
【0148】
本開示に従ったコンストラクト、方法、および使用は、以下の実施例の観点においてより良好に理解することができ、これらの実施例は、単にコンストラクトを例示することが意図されており、これらの範囲を何らかの方法で限定することを決して意味していない。
【実施例
【0149】
実施例1:トラスツズマブ由来のF(ab)ドメインの遺伝子/タンパク質発現ベクター構築
モノクローナル抗体トラスツズマブ(以後「TFab(s)」と呼ぶ)由来のF(ab)ドメイン(軽鎖可変V-軽鎖定常カッパ鎖Cκ、および重鎖可変ドメインV-重鎖定常ドメインC1)をコードする遺伝子を、Genscriptによって大腸菌(E.coli)についてのコドンの最適化を用いて合成した。以下の8つの2シストロン性融合タンパク質を、制限酵素非含有PCRを用いて、pASK-IBA32(IBA Biosciences)に基づくテトラサイクリン誘導性発現ベクター中に組み立てた:
1.「N末端クチナーゼ-V融合体」-5’-RBS1-ATG-クチナーゼ-(EAAAK)-V**-RBS2-ATG-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号8および9)
2.「N末端SnapTag-V融合体」-5’-RBS1-ATG-SnapTag-(EAAAK)-V**-RBS2-ATG-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号10および11)
3.「C末端クチナーゼ-C融合体」-5’-RBS1-ATG-V-(EAAAK)-クチナーゼ-**-RBS2-ATG-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号12および13)
4.「C末端SnapTag-C融合体」-5’-RBS1-ATG-V-(EAAAK)-SnapTag-**-RBS2-ATG-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号14および15)
5.「N末端クチナーゼ-V融合体」-5’-RBS1-ATG-V**-RBS2-ATG-クチナーゼ-(EAAAK)-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号16および17)
6.「N末端SnapTag-V融合体」-5’-RBS1-ATG-V**-RBS2-ATG-SnapTag-(EAAAK)-V1-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号18および19)
7.「C末端クチナーゼ-C1融合体」-5’-RBS1-ATG-V**-RBS2-ATG-V1-(EAAAK)-クチナーゼ-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号20および21)
8.「C末端SnapTag-C1融合体」-5’-RBS1-ATG-V**-RBS2-ATG-V1-(EAAAK)-SnapTag-LVPRGS-HHHHHH-**-3’(配列番号22および23)
【0150】
図1は、トラスツズマブF(ab)(TFab)融合遺伝子/タンパク質コンストラクトを示す。A)C末端重鎖融合体。B)N末端重鎖融合体。C)C末端軽鎖融合体。D)N末端軽鎖融合体。
【0151】
実施例2:タンパク質発現/精製
実施例1の8つのTFab融合タンパク質をコードするベクターをShuffle E.coli(New England Biolabs)に形質転換した。成長培地(500mL×2×YT)、カルベニシリン(200μg/mL)およびスペクチノマイシン(50μg/mL)を含有する発現培養物に、適切な発現カセットを有する細胞ストックの一晩培養液(5mL)を接種した。培養物を約0.8の光学分散(OD)に達するまで250rpmで振盪しながら30℃で生育させた。この時点で、アンヒドロテトラサイクリン(aTc)を200ng/mLの終濃度で培養物へ添加して、タンパク質発現を誘導した。発現相の間に250rpmで14時間振盪しながら培養物を24℃で維持した。
【0152】
発現後、遠心分離を介して細胞を収集し、DNアーゼIを含有するCelLytic B(Sigma Aldrich)35mLおよびEDTA非含有プロテアーゼ阻害剤(Roche)を用いる化学的破壊を介して溶解した。細胞溶解物を遠心分離により破砕片を除去し、コバルトIMAC樹脂(ベッド容積3mL)を含有するカラムへ添加した。溶解物を4℃で撹拌しながらビーズ上で1時間インキュベートした。この期間の後、ビーズをリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で入念に洗浄し、次いで生成物をイミダゾール含有緩衝液(20mL)で溶出した。次いで、タンパク質溶離液をタンパク質Lカラム(GE Healthcare)上でまず精製した後、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)機器を介して、Superdex 200カラム(GE Healthcare)上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で精製した。FPLCを介したカラム精製はすべて、製造元の示唆するプロトコルにより行った。純粋なタンパク質生成物を含有する画分をプールし、遠心濃縮器で濃縮した後、連結反応を行った。
【0153】
図2は、精製TFab-クチナーゼおよびTFab-SnapTag融合体のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲルを示す。レーン1および2は、それぞれクチナーゼ(72kDa)およびSnapTag(69kDa)のN末端V融合体の計算された分子量に近いバンドを示す。レーン3および4は、C末端V融合体に由来するバンドを示す。レーン5および6ならびに7および8はそれぞれ、C末端CおよびCH1融合体に由来するバンドを示す。
【0154】
したがって、実施例1および2は、親和性試薬(TFab)と反応性酵素(クチナーゼおよび/またはSnapTag)とを含む本開示の融合タンパク質の調製物を示す。
【0155】
実施例3:SnapTag-TFab融合タンパク質を有するクチナーゼ-TFab融合タンパク質を接合するためのリンカーの調製
【化7】

第1の末端のp-ニトロフェニルホスホナートと、第2の末端のO-ベンジルグアニンと、エチレングリコールと、アミド単位とを含む、本開示によるリンカーを、以下に示す合成スキームにより調製した。
【0156】
1-アミノ-N-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサヘニコサン-21-アミド(1)。Fmoc-21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘネイコサン酸(hexaoxaheneicosanoic acid)(567mg、0.99mmol)を5mLのTHFに溶解した。この溶液に、DIC(149mg、183μL、1.18mmol)、続いてNHS(136mg、1.18mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌しておいた。回転式蒸発器で溶媒を除去し、得られた黄色の油状物を5mLのDMFに再懸濁した。この溶液に(4-アミノメチル)-O-ベンジルグアニン(266mg、0.99mmol)を添加し、反応物を室温で2日間撹拌しておいた。この期間の後、DMFをN気流下で一晩、反応物から除去した。次いで、得られた橙色の油状物を5mLのMeOH中20%ピペリジンで処理し、室温で1時間撹拌しておいた。回転式蒸発器を用いて溶媒を除去し、得られた橙色油状物を10mLのHOに再懸濁させた。次いで、この溶液を遠心分離して不溶性材料をペレットにし、清澄化上清をWaters Delta 400 HPLCを介して逆相C18カラムへと5つの個別の部分で適用する。溶出は、脱イオン限外濾過水(DIUF)+0.01%TFA中の75%ACNの線形勾配を用いて、DIUF+0.01%TFAを移動相として、流量10mL/分で60分間かけて行った。次いで20~35分の画分をMALDI-MSによって分析した。純粋な画分をプールし、凍結乾燥して琥珀色の油状物(424mg、71%)を得た。
【0157】
1-(4-4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-3,25-ジオキソ-6,9,12,15,18,21-ヘキサオキサ-2,24-ジアザオクタコサン-28-酸(2)。化合物1(50mg、83μmol)を2.5mLのMeOHに溶解し、この溶液に無水コハク酸(8.3mg、83μmol)を添加した。反応が完了した際(MALDI-MSによってモニターして約30分)、回転式蒸発器で溶媒を除去した。次いで、得られた琥珀色の油状物を、まず10:1のCHCl:MeOHを用いるシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製して不純物を除去し、次いでMeOHで溶出してゴム状の琥珀色の固体(42mg、72%)を得た
【0158】
中間体(3)である17-(エトキシ(4-ニトロフェノキシ)ホスホリル)-3,6,9,12,15-ペンタオキシヘプタデカン-1-アミニウムクロリドの調製は、その全体が参照により本明細書により援用されるModica,J.A.et.,Chembiochem.2012 Nov 5;13(16):2331-4を参照されたい。
【0159】
エチル(4-ニトロフェニル)(1-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-3,25,28-トリオキソ-6,9,12,15,18,21,32,35,38,41,44-ウンデカオキサ-2,2,24,29-トリアザヘキサテトラコンタン-46-イル)ホスホナート(4)。化合物2(39mg、55μmol)を1mLのDMFに溶解した。この溶液に、PyBOP(34mg、58μmol)、続いてN-メチルモルホリン(5.6mg、6.1μL、55μmol)を加え、反応物を室温で30分間撹拌しておいた。この期間の後、この混合物に250μLのDMFに溶解した化合物3(29.3mg、55μmol)を添加し、続いてN-メチルモルホリン(11.2mg、12.2μL、110μmol)を添加し、反応物を一晩(約16時間)撹拌しておいた。この期間の後、混合物を、DIUFを用いて5mLに希釈し、この混合物を遠心分離して不溶性材料を除去した。次いで、清澄化した上清をWaters Delta 4000 HPLCを介したC18セミプレップスケールカラムに注入し、75%ACN水溶液+0.1%TFAの直線勾配を用いてDIUF+0.1%TFAを移動相として70分間かけて流量10mL/分で精製した。画分を1/分の速度で収集した。次いで、25~40分の画分をMALDIにより分析した。純粋な生成物を含有するものをプールし、-80℃で凍結し、凍結乾燥して黄色の油状物を得た。次いで、この油状物を、上述の手順を使用してさらに1回のHPLC精製に付した。この試行からの純粋な画分をプールし、凍結し、および凍結乾燥して、淡黄色の油状物(11mg、17%)を得た。
【0160】
したがって、実施例3は、第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基と第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基とを含む本開示のリンカーの調製を示す。
【0161】
実施例4:ジ-TFabコンストラクトの組み立て
PBS(pH7.4)中の実施例2由来の等量のクチナーゼ-TFab融合体(5μM)およびSnapTag-TFab融合体(5μM)ならびに実施例3由来のクチナーゼ-SnapTagリンカー(5μM)を混合し、4時間反応させておいた。反応後、生成物をサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0162】
図5は、調製されたコンストラクトのSDS-PAGEゲルを示す。8つのTFabと1つのリンカーとのプールから、16個の二価類似体コンストラクトを作製することができる。
【0163】
したがって、実施例4は、第1の融合タンパク質と、第2の融合タンパク質と、リンカーと、を含む、本開示のコンストラクトのライブラリーの調製を示し、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質はそれぞれ、親和性試薬と反応性酵素とを含み、リンカーは、第1の末端の第1の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第1の官能基と、第2の末端の第2の融合タンパク質反応性酵素を不可逆的に阻害することに特異的な第2の官能基とを含む。
【0164】
実施例5:細胞成長阻害アッセイ
トラスツズマブは、HER2+乳癌の治療に採用される。2つのHER2(+++)細胞株(BT474、SKBR3)、1つのHER2(++)細胞株(MDA-MB-VII-135)および1つの対照細胞株AT-431(HER2-)を、確立されたプロトコルにより培養し、実施例4において調製したトラスツズマブまたは2価のトラスツズマブ類似体の1つを4pM~4μMの範囲の濃度で複数回投与して96時間処理した。この期間後の生存率はAlamar blueアッセイ(Life Technologies)を用いて測定した。生存率は、未処置の対照に対する百分率値として計算した。
【0165】
これらの実験から、B-13と命名された1つのコンストラクトが、トラスツズマブに対して最も好ましい細胞成長阻害およびEC50値を示した。細胞生存率実験をB-13対トラスツズマブで再度行った。図4は、種々の細胞株におけるトラスツズマブおよびB-13によるかなりの細胞成長阻害を示す細胞生存率アッセイデータを示す。A)BT474細胞の成長阻害。B)SKBR3細胞の成長阻害。C)MDA-MB-135-VII細胞の成長阻害。D)トラスツズマブまたはB-13に対する成長阻害を示さないHER2(-)AT-431細胞を用いた対照実験。
【0166】
したがって、実施例5は、本開示のコンストラクトのライブラリーが生物学的使用、例えば細胞成長阻害についてどのようにアッセイされることができるかを示す。さらに、実施例5は、インビトロでの癌細胞生存率アッセイにおけるこのコンストラクトの細胞傷害性を示す。実施例3の融合タンパク質コンストラクトの組み立て方法は、多機能性抗体様治療用分子の調製をワンポット様式において可能にする。
【0167】
実施例6:Di-TFabコンストラクトのインビボでの薬物動態
B-13コンストラクト(2mg/mL)を、SCIDベージュマウスに静脈内ボーラスとして、総用量10mg/kgで投与した。血液試料(約200μL)を、投与後の種々の時点で尾静脈から採取した。合計3匹のマウス(n=3)を処置し、各時点について試料採取した。ELISA法を用いて、標準曲線比較を介して血清中のB13の濃度を測定した。図5に示すように、これらのデータをプロットし、2区画(2指数関数的)薬物動態モデルに適合させて、0.22時-1の排出速度定数および3.1時間の半減期を得た。
【0168】
したがって、実施例6は、本開示の融合タンパク質コンストラクトのインビボでの使用、および本開示のコンストラクトの薬物動態データを示す。
【0169】
実施例7-BT474腫瘍異種移植片を有するマウスに対するB-13投与の効果
8週齢の雌SCIDベージュマウスをCharles River Laboratoriesから入手し、0.025mg、90日間放出の17βエストラジオールペレット(Innovative Research of America)を移植した。2日間後、2×10個のBT474細胞を100μlのPBSに再懸濁し、Matrigelとの1:1混合物を乳腺脂肪パッドに同所的に接種した。腫瘍が約150mmの体積に達したら、等しい平均腫瘍体積を有する4つの処置コホート(n=5)へ20匹の動物を無作為に割り当てた。1つのコホートにおいて、B13を、週5回(月曜日~金曜日)、4週間にわたって腹腔内(IP)注射により、合計20回の5mg kg-1用量で投与し、第2のコホートにおいては、B13は2.5mg/kgの用量で同じ経路および頻度を介して投与した。第3のコホートにおいては、ドキソルビシン(dox)を週2回、2.5mg/kgで4週間にわたり合計8回の用量でIP注射により投与した。対照コホートにビヒクル(PBS+0.004%(w/w)ポリソルベート20)を週に5回注射した。B13およびdox溶液は、両方とも同じビヒクル中に製剤された。B13試料は、リムルス変形細胞溶解物(LAL)アッセイによって決定されるように、1.0未満のエンドトキシン単位(EU)/mLを含有していた。腫瘍寸法を2日ごとに順次測定し、式V=(L×W)/2を用いて体積を計算し、式中、V=体積、L=長さ、W=幅であった。結果を図6に示す。
【0170】
B13は、BT474マウス異種移植片モデルにおいて有意な抗腫瘍活性を示す。さらに、B13は、本研究において使用した2用量では、毒性の外部徴候を示さない。これは、処置コホートが有意な体重減少を示したdoxとは対照的である。
【0171】
前述の説明は、理解の明瞭性のみのために与えられるものであり、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るため、いかなる不要な限定もそこから理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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