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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】対空標識
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020200301
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2021124492
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020017121
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511298691
【氏名又は名称】TIアサヒ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】片 哲也
(72)【発明者】
【氏名】外山 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】城間 俊成
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116807(JP,A)
【文献】特開2018-096855(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135110(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0354742(US,A1)
【文献】特開2007-003233(JP,A)
【文献】特開2019-060641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、
薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された基準模様とを備え、
前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され
前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の方形を備え、
複数の前記方形は、4つのコーナーの1つが前記ベースの中心に位置し、他のコーナーの1つが前記ベースの外周縁上またはその近傍に配置されることを特徴とする対空標識。
【請求項2】
無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、
薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された基準模様とを備え、
前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され
前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の三角形を備え、
複数の前記三角形にて、3つのコーナーの1つが前記ベースの中心に位置し、他の2つのコーナーが前記ベースの外周縁上または外周縁から離れて内側に位置することを特徴とする対空標識。
【請求項3】
無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、
薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された基準模様とを備え、
前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され
前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の形状を備え、
前記ベースにおける前記基準模様が表された面には、前記対空標識の中心位置を内側に含む所定領域に前記基準模様の非形成領域が形成され、
前記非形成領域の外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成されていることを特徴とする対空標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)に搭載したレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識に関する。
【背景技術】
【0002】
UAVを用いた公共測量について、国土地理院が「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を策定している。本マニュアルは、数値地形図の作成と三次元点群の作成に分かれており、いずれもUAVで撮影した空中写真が用いられる。
【0003】
UAVによる空中写真を用いた数値地形図又は三次元点群を作成する場合、標定点の設置が行われる。標定点の設置とは、空中三角測量に必要となる水平位置及び標高の基準となる点(以下、標定点という)を設置する作業をいう。
【0004】
標定点には対空標識が設置される。対空標識は、拡大された空中写真上で確認できるように形状、寸法、色等を選定する。具体的な対空標識の模様が上記マニュアルに記載されている。図6に示す対空標識は、外形が正方形を有するベースの上面に、★型、×型、+型、○型の模様を描いたものである。同マニュアルには大きさも規定されており、模様の「辺長または円形の直径は15ピクセル以上で写る大きさを標準とする」とされている。
【0005】
従来、撮像画像中の対空標識内から基準点を抽出又は指定でき、生成される測量データの精度を向上させる対空標識及びUAV空撮測量システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
UAV搭載型レーザスキャナを用いた測量では、標定点に設置された対空標識に対して特定の高度からレーザ光を所定レートで照射し、対空標識からのレーザ反射強度を測定する。対空標識の模様領域が黒く(濃色)、模様周辺領域が白(淡色)ければ、模様領域からの反射強度が模様周辺領域からの反射強度よりも相対的に強くなる。またレーザ光を利用して対空標識までの距離を測定でき、UAV高度との相対関係から対空標識の高さ(標高)を計算できる。UAV搭載型レーザスキャナを用いた測量において、対空標識を含んだレーザスキャン領域で測定される測定データは「点群」と呼ばれる。
【0007】
対空標識の点群データを抽出して、その反射強度から反射率の異なる点群データを認識し、既知形状の模様から、標定点に対応した対空標識の中心点を特定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-60641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、対空標識は、平面視にて正方形の外形形状となることから、対空標識上の点群が欠損していると、対空標識の中心点を特定することは容易でなかった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、対空標識上の点群が欠損していても、対空標識の中心点を容易に特定でき、測量データの精度を向上できる対空標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の対空標識の一態様は、無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された模様とを備え、前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され、前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の方形を備え、複数の前記方形は、4つのコーナーの1つが前記ベースの中心に位置し、他のコーナーの1つが前記ベースの外周縁上またはその近傍に配置されることを特徴とする。
本発明の対空標識の他の一態様は、無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された基準模様とを備え、前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され、前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の三角形を備え、複数の前記三角形にて、3つのコーナーの1つが前記ベースの中心に位置し、他の2つのコーナーが前記ベースの外周縁上または外周縁から離れて内側に位置することを特徴とする。
本発明の対空標識の更に他の一態様は、無人航空機に搭載されたレーザスキャナによる測量に用いられる対空標識であって、薄厚体からなるベースと、該ベースの厚さ方向少なくとも一方の面に表された基準模様とを備え、前記ベースの外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成され、前記基準模様は、前記ベースの中心を対称点として点対称となる複数の形状を備え、前記ベースにおける前記基準模様が表された面には、前記対空標識の中心位置を内側に含む所定領域に前記基準模様の非形成領域が形成され、前記非形成領域の外形形状は、少なくとも一部が円弧状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対空標識上の点群が欠損していても、対空標識の中心点を容易に特定でき、測量データの精度を向上できる対空標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る対空標識の平面図である。
図2】実施の形態に係る対空標識の概略斜視図である。
図3図3A及び図3Bは、変形例に係る対空標識の平面図である。
図4】他の変形例に係る対空標識の平面図である。
図5】更に他の変形例に係る対空標識の平面図である。
図6】従来の各種対空標識の平面図である。
図7図7Aは、実施の形態に係る対空標識での点群の一例であり、図7Bは、図7Aの点群における中心検出の説明図である。
図8図8Aは、比較例に係る対空標識での点群の一例であり、図8Bは、図8Aの点群における中心検出の説明図である。
図9図9Aは、実施の形態に係る対空標識での点群の他の一例であり、図9Bは、比較例に係る対空標識での点群の他の一例である。
図10】比較例に係る対空標識での点群の更に他の一例である。
図11図11A及び図11Bは、上記と異なる変形例に係る対空標識の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。以下の実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る対空標識の平面図である。対空標識10は、UAV搭載のレーザスキャナによる測量に用いられ、標定点に設置される。かかる測量において、対空標識10にはUAVからレーザ光が照射され、対空標識10上に有るレーザ点により、対空標識10の中心位置をレーザ点群から解析することができる。
【0016】
対空標識10は、薄厚体からなるベース11と、ベース11の厚さ方向の少なくとも一方の面となる上面11aに表された基準模様12とを備えている。
【0017】
ベース11の外形形状は、その厚さ方向に平行な方向から見た状態で円状(真円状)に形成されている。ベース11は木材や合成樹脂材等によって構成される板状部材によって形成される。ベース11中心には穴11bが形成され、穴11bを介して後述する脚部材の取り付け等に利用される。ベース11の剛性は、穴11bの形成周りだけでベース11を下方から支持した状態にて、ベース11が撓み変形しない又は若干の撓み変形が生じる程度の剛性とされる。
【0018】
基準模様12は、図6に示した各模様の何れも採用でき、また、上述のような測量によって位置解析を行えれば限定されるものでないが、本実施の形態では、図6の+型を用いたものとする。かかる+型の基準模様12は、黒色または黒色と同等の濃色が施された2つの正方形12aによって表され、市松模様状をなす。なお、上記2つの正方形12a以外のベース11の上面11aは、白色や白色と同様の淡色(例えば木材の木地)とされる。
【0019】
基準模様12について更に詳述すると、ベース11の半径位置と正方形12aの対角線位置が同一とされ、一方の正方形12aに対し、他方の正方形12aがベース11の中心を対称点として点対称に配置されている。よって、各正方形12aの4つのコーナーの1つがベース11の中心に位置し、他のコーナーの1つがベース11の外周縁上またはその近傍に配置される。2つの正方形12aのコーナーが位置し、ベース11の中心となる位置が対空標識10の基準点とされる。
【0020】
図2は、実施の形態に係る対空標識の概略斜視図である。図2に示すように、対空標識10は、脚部材15を更に有する構成としてもよい。脚部材15は、ベース11の穴11bに挿通または嵌合してベース11の下面11c側に装着される。脚部材15は、三脚と同様の構造が採用される。具体的には、脚部材15は、ベース11の下面11c側から下方に延びる鉛直部15aと、鉛直部15aの周方向120°間隔毎に設けられて設置面(地面)に設置する設置部15bとを備えている。設置部15bはテレスコピック構造等によって長さ調整可能とされ、該調整によって、設置面からベース11の高さ位置を変更することが可能となる。
【0021】
このような実施の形態によれば、UAVからレーザ光を照射して対空標識10上の半分或いはそれ以上の点群が欠損していても、ベース11の外周となる少なくとも一部の円弧を特定できれば、その形状から対空標識10の中心(基準点)を導き出すことができる。
【0022】
ここで、本実施の形態の対空標識10と、図6における正方形の平面形状をなす+型の対空標識(以下、「従来対空標識」とする)との比較を以下に述べる。
【0023】
対空標識10の中心位置検出は、従来対空標識に比べ、本実施の形態のように円形形状とした方が、解析ソフトで検出した場合でも、作業者が探す場合でも有効となる。また、本実施の形態のように円形形状とすることで、上空からの認識で対空標識10の一部が欠けてしまった場合でも、中心位置を導き易くすることができる。
【0024】
従来対空標識のように基準模様の外縁とベースの外縁との位置が概ね一致する場合、基準模様の黒色部外縁とベースの外縁とが一致する部分でレーザ点を認識しにくくなったり、反射率の異なる点を認識しにくい問題がある。この一方、本実施の形態は円形形状とすることで、対空標識10の外寄り領域に反射率の大きめな白色が輪郭として配置されるので、反射率の異なる点を認識し易くすることができる。
【0025】
従来対空標識のように正方形状であると、対空標識上の点群が欠損していた場合に、その形状から中心特定が容易でなかった。一方、本実施の形態では、対空標識10上の半分或いはそれ以上の点群が欠損していても、ベース11の外周となる少なくとも一部の円弧を特定できれば、その形状から対空標識10の中心を導き出すことができる。
【0026】
続いて、図7図10を用いて、本実施の形態の対空標識と、比較例の対空標識とにおいて、点群に対する対空標識の中心点(基準点)の検出方法を比較しつつ説明する。図7図10の各図においては、黒塗りの四角形状(■)をなす複数の点で点群を表している。
【0027】
図7Aは、実施の形態に係る対空標識での点群の一例であり、図7Bは、図7Aの点群における中心検出の説明図である。図8Aは、比較例に係る対空標識での点群の一例であり、図8Bは、図8Aの点群における中心検出の説明図である。比較例に係る対空標識50(図8B参照)は、正方形状(4つのコーナーの角度が全て等しい菱形形状)に形成される。図7A図7B図8A及び図8Bでは、対空標識10、50上の点群に欠損がない、或いは、殆ど欠損がない状態とされる。
【0028】
このような状態において、実施の形態の対空標識10で中心点を検出する場合、図7Bに示すように、点群に対し、対空標識10の外形形状に対応する円形のパターンPaを図7Bの紙面に平行な方向に移動し、点群の外周とパターンPaとを位置合わせする。そして、位置合わせされたパターンPaの中心位置を対空標識10の中心位置として検出する。
【0029】
また、比較例の対空標識50で中心点を検出する場合、図8Bに示すように、点群に対し、対空標識50の外形形状に対応する正方形のパターンPbを移動し、点群の外周とパターンPbとを位置合わせする。このとき、パターンPbを図8Bの紙面に平行な方向に移動するだけでなく、該紙面に直交する軸回りで回転する方向の移動が必要になる。
【0030】
図9Aは、実施の形態に係る対空標識での点群の他の一例であり、図9Bは、比較例に係る対空標識での点群の他の一例である。図9A及び図9Bでは、図7A及び図8Aと比べ、対空標識10、50上の点群に約50%程度の欠損が発生した状態とされる。
【0031】
図9A及び図9Bに示すように点群にある程度の欠損が発生すると、図9Bの比較例では、図の紙面に直交する軸回りで回転する方向にて、パターンPbの向きを設定し難くなる。具体的には、かかるパターンPbの向きを所定角度の範囲にて回転して調整する負担が生じ(図9Bの二点鎖線のパターンPbを参照)、そのために対空標識50の中心点を導き難くなる。これに対し、図9Aの実施の形態では、点群全てを内側に配置するよう点群の外周に対し、パターンPaを位置合わせすればよく、比較例のような回転方向の向き調整を省略することができる。これにより、比較例の正方形の対空標識50に比べ、実施の形態における円形の対空標識10の方が手間を減らして中心位置を導き易くすることができる。
【0032】
図10は、比較例に係る対空標識での点群の更に他の一例である。図10では、正方形状に形成される対空標識50上の点群に約75%程度の欠損が発生した状態とされる。
【0033】
図10に示すように、点群の欠損の生じ方次第では、上記回転する方向でのパターンPbの向きを広い角度範囲で適用し得るようになり、これに伴って図の紙面に平行な方向の移動調整の負担も大きくなるため、対空標識50の中心点がより導き難くなる。この点、実施の形態では、比較例のような回転方向の向き調整を省略できる点で負担軽減を図ることができる。
【0034】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【0035】
例えば、基準模様12は、図3A及び図3Bに示すように図6のX型を用いて表してもよい。図3A及び図3Bは、変形例に係る対空標識の平面図である。図3Aの変形例では、X型の基準模様12は、黒色等の濃色が施された2つの直角二等辺三角形12bによって表されている。各直角二等辺三角形12bの直角となるコーナーがベース11の中心に位置し、他の2つのコーナーがベース11の外周縁上またはその近傍に配置される。一方の直角二等辺三角形12bに対し、他方の直角二等辺三角形12bがベース11の中心を対称点として点対称に配置されている。
【0036】
図3Bの変形例では、図3Aの変形例の基準模様12を相似形に小さくしたものであり、各直角二等辺三角形12bの45°をなすコーナーがベース11の外周縁から離れて内側に位置する。図3Bのように、基準模様12は、ベース11の外周縁から離れていてもよい。
【0037】
また、基準模様12は、図4に示すように、2つの銀杏葉形状12cで表してもよい。銀杏葉形状12cは、図3Bの直角二等辺三角形12bの45°をなすコーナーを結ぶ辺をベース11の外縁と平行な円弧状に変えて形成される。
【0038】
脚部材15は、上記実施の形態の構成に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ベース11の下面11cにヒンジ構造を介して軸状をなす脚体を3本またはそれ以上取り付け、ベース11の下面11cから斜め下向きに脚体を配置してベース11を所定高さ位置に配置してもよい。
【0039】
また、ベース11の外形形状は、真円となる円形に限定されるものでなく、例えば、図5に示すように、該真円の径方向両側を該径方向と直交する方向に切り欠いた形状に形成してよい。本発明のベース11の外形形状は、上記実施の形態と同様に対空標識10の中心を特定できる限りにおいて、少なくとも一部が円弧状に形成されていればよい。かかる円弧の軌跡に沿う仮想円の中心位置は、対空標識10の中心位置することが好ましい。なお、円弧状とは、真円の軌跡に沿う形状だけでなく、楕円等の滑らかに湾曲する種々の曲線に沿う形状を含む概念である。
【0040】
基準模様12は、図11A及び図11Bに示すように図1の形状から変形して表してもよい。図11A及び図11Bは、上記と異なる変形例に係る対空標識の平面図である。図11A及び図11Bの変形例は、ベース11における基準模様12が表された面すなわち上面11aの所定領域に基準模様12の非形成領域20を備えている。非形成領域20は、対空標識10の中心位置を中心とする円形領域にて基準模様12が除去されるように形成されていない領域とされる。よって、非形成領域20は、ベース11の上面11aと同色となる白色や白色と同様の淡色とされる。
【0041】
基準模様12は、上記実施の形態では2つの正方形12a(図1参照)としたが、図11A及び図11Bの変形例では、かかる正方形12aにおけるベース11の中心側のコーナーが四分円弧状に切り欠きされた模様形成部21によって形成される。2つの模様形成部21は、ベース11の中心を対称点として点対称に配置されている。
【0042】
なお、図11Aにおける変形例の非形成領域20の径寸法は、ベース11の径寸法の約11%とされ、図11Bにおける変形例の非形成領域20の径寸法は、ベース11の径寸法の約17%とされる。よって、図11Bの非形成領域20は、図11Aの非形成領域20の約1.5倍の径寸法とされる。
【0043】
ここで、基準模様12の黒色部とベース11の上面11aの白色部とではレーザ測量時の誤差量が異なり、黒色部の方が白色部より誤差量が相対的に大きくなる。そのため、対空標識10の中心位置特定後に行う該中心位置の誤差計算(特に高さ方向)に影響を及ぼしていた。この点、図11A及び図11Bの変形例では、ベース11の中心部に白色部となる非形成領域20を形成することで黒色部に起因する誤差の影響を抑えることができる。
【0044】
図11A及び図11Bの変形例においても、上述のように対空標識10の外形形状を円形とすることで中心位置を導き易くでき、且つ、非形成領域20の円形パターンを補助として用意できるので、中心位置をより容易に導くことができる。
【0045】
対空標識10の外周付近をレーザ照射した場合、ベース11の外縁には段差が生じ、該外縁近傍においてレーザの照射箇所によっては欠損となる可能性がある。ところが、非形成領域20を形成した変形例では、非形成領域20の円形形状を特定しつつ、非形成領域20の外周に段差が発生しないので、レーザ照射の欠損が生じ難くなって検出精度の向上を図ることができる。
【0046】
図11Aの変形例と図11Bの変形例とにおいて、同一条件にてレーザ照射して対空標識10の中心位置を検出する実験を行ったところ、非形成領域20の径寸法が大きい図11Bの変形例の方が中心位置をより容易に導くことができた。その理由は、図11Bの変形例の方が非形成領域20の円弧が大きくなり、黒色部と白色部との境界を区別し易くなるからである。特に、UAVの飛行高度を高くすることで点群密度が薄くなったり点群の欠損が生じたりした際、図11Bの変形例の方が図11Aの変形例よりの方が対空標識10の中心位置を導き易くなった。
【0047】
ここで、非形成領域20の外形形状は、対空標識10の中心位置を内側に含みつつ上記と同様に対空標識10の中心を特定できる限りにおいて、少なくとも一部が円弧状に形成されていればよい。かかる円弧の軌跡に沿う仮想円の中心位置は、対空標識10の中心位置することが好ましい。なお、円弧状とは、真円の軌跡に沿う形状だけでなく、楕円等の滑らかに湾曲する種々の曲線に沿う形状を含む概念である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、UAV搭載のレーザスキャナによる測量に用いられ、標定点に設置される対空標識に有用である。
【符号の説明】
【0049】
10 対空標識
11 ベース
12 基準模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11