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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】袋詰め機
(51)【国際特許分類】
   B65B 35/24 20060101AFI20240820BHJP
   B65B 5/04 20060101ALI20240820BHJP
   B65B 61/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65B35/24
B65B5/04
B65B61/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021188977
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075828
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 敬之
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-169091(JP,A)
【文献】特開2021-066521(JP,A)
【文献】特開2015-231884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0217137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/24
B65B 5/04
B65B 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋載置台に積層載置した袋の底部が垂れ下がるように支持され、垂れ下がり部における袋表面にプリンタで商品情報をプリントし、該プリントした積層表面の袋を開口して袋内へ物品を詰める袋詰め機であって、
物品を押送する搬送路で開口された袋内に物品を押し込むと共に、該物品の押送を継続して袋詰品を下流側へ搬送する搬送装置は、
前記搬送路上において物品を押送するよう複数の押送部材を所定間隔毎に備える第1無端索体および第2無端索体を備え、
該第1無端索体と第2無端索体とに設けた押送部材を前記物品の搬送方向に交互で配置し、
前記第1無端索体を走行駆動する第1モータと、前記第2無端索体を走行駆動する第2モータと、を備え、
前記第1無端索体または第2無端索体の何れかの、先行する押送部材で物品を押送して袋内へ押し込む時期に、その先行する物品の押送部材による搬送速度を速めると共に、後続の押送部材で押送される物品が袋内へ押し込まれる際に搬送路へ持ち上がる袋底部にプリントされている前記商品情報が、先行する押送部材で物品が押送される袋詰品の下面に擦れて不鮮明にならないように、袋底部が搬送路へ持ち上がる領域を、先行する押送部材で物品が押送される袋詰品が通過する時期を、後続の押送部材で押送される物品が袋内へ押し込まれて袋底部が持ち上がる時期に対して早めるよう、前記第1および第2モータを速度制御するよう構成した
ことを特徴とする袋詰め機。
【請求項2】
前記押送部材は、前記物品が前記袋を開口する袋開口手段の入り口に至るまで第1の搬送速度で押送し、物品が前記入り口から袋底部に至るまでの搬送期間では第1の搬送速度より遅い第2の搬送速度で押送し、物品が前記袋底部に至った以降の搬送期間は前記第1の搬送速度より速い第3の搬送速度で押送するよう、前記第1および第2モータを速度制御するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の袋詰め機。
【請求項3】
前記袋を開口する袋開口手段の入り口に向けて前記押送部材で押送される物品を載置して搬送する搬送コンベヤを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の袋詰め機。
【請求項4】
前記袋を開口する袋開口手段の入り口に向けて前記押送部材で押送される物品の左右側面を案内可能なサイドコンベヤを設けたことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の袋詰め機。
【請求項5】
前記第1無端索体および第2無端索体は、前記搬送方向と交差する幅方向に離間して一体走行する複数組ずつ設けられ、
幅方向に離間する複数の第1無端索体に架設した支持部材に前記押送部材が配設されると共に、幅方向に離間する複数の第2無端索体に架設した支持部材に前記押送部材が配設され、前記支持部材の夫々に、幅方向に離間して複数のローラを回転自在に支持し、該各ローラが、前記第1無端索体と第2無端索体の走行によりレール上に案内されて移動するよう構成したことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の袋詰め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を袋詰めする袋詰め機に関する。
【背景技術】
【0002】
食パンを袋詰めする食パン袋詰め機において、袋詰め直後に表面が平坦にはなっていない袋表面にプリントされる消費期限やロット番号、製造者コードなどの各種商品情報のプリントしており、そのような不良を防ぐため、食パンが袋詰めされる前の袋に、各種商品情報をプリントする装置を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の食パン袋詰め機では、積層した袋の底部が垂れ下がるようにして袋載置台に載置された袋の垂れ下がり部に、プリント装置によって各種商品情報をプリン卜し、プリントが完了した最表面の袋の袋口部を開口しつつエア吹き込みによって袋を膨らませて袋底部を食パンの搬送部まで持ち上げ、押送部材によって押送される食パンを袋口部から袋内に押し込むよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-66521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置を採用することで、袋詰め前の平坦な袋表面に前記商品情報をプリントして、袋へのプリントを良好に行うことができる。しかしながら、食パン袋詰め機の高速処理が求められる場合では、食パンを押送する押送部材の押送間隔を狭めて、その押送速度を高速にする必要がある。特許文献1の食パン袋詰め機で、押送部材の押送間隔を狭くすると、袋載置台で袋底部が垂れ下がっている袋が膨らんで食パンの搬送路まで持ち上がる際に、先行する食パン袋詰め品の袋の下部に、次に持ち上がる袋底部が接触してしまう。このため、先行する食パン袋詰め品が押送部材に押されてそのまま前進するのに伴って、該袋詰め品の下部と次に持ち上がる袋のプリント面が擦れて、プリントした商品情報がカスレて不鮮明になったり、商品情報の一部が読み取れなくなるなど、プリント品質を低下させてしまう事象が発生することがある。
【0005】
本発明は、プリント品質を低下することなく、処理速度の高速化を図ることができる袋詰め機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の袋詰め機は、
袋載置台(11)に積層載置した袋(10)の底部が垂れ下がるように支持され、垂れ下がり部(43)における袋表面にプリンタで商品情報をプリントし、該プリントした積層表面の袋(10)を開口して袋内へ物品(13)を詰める袋詰め機であって、
物品(13)を押送する搬送路(C)で開口された袋(10)内に物品(13)を押し込むと共に、該物品(13)の押送を継続して袋詰品(W)を下流側へ搬送する搬送装置(14)は、
前記搬送路(C)上において物品(13)を押送するよう複数の押送部材(18,19)を所定間隔毎に備える第1無端索体(16)および第2無端索体(17)を備え、
該第1無端索体(16)と第2無端索体(17)とに設けた押送部材(18,19)を前記物品(13)の搬送方向に交互で配置し、
前記第1無端索体(16)を走行駆動する第1モータ(20)と、前記第2無端索体(17)を走行駆動する第2モータ(21)と、を備え、
前記第1無端索体(16)または第2無端索体(17)の何れかの、先行する押送部材(18,19)で物品(13)を押送して袋(10)内へ押し込む時期に、その先行する物品(13)の押送部材(18,19)による搬送速度を速めると共に、後続の押送部材(19,18)で押送される物品(13)が袋(C)内へ押し込まれる際に搬送路(C)へ持ち上がる袋底部にプリントされている前記商品情報が、先行する押送部材(18,19)で物品(13)が押送される袋詰品(W)の下面に擦れて不鮮明にならないように、袋底部が搬送路(C)へ持ち上がる領域(S)を、先行する押送部材(18,19)で物品(13)が押送される袋詰品(W)が通過する時期を、後続の押送部材(19,18)で押送される物品(13)が袋(C)内へ押し込まれて袋底部が持ち上がる時期に対して早めるよう、前記第1および第2モータ(20,21)を速度制御するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、押送部材の変速動作によって物品の袋詰めの処理速度を高速化したもとで、先行する袋詰品に、次に袋詰めされる袋のプリント面が接触して(擦れて)袋表面にプリントした商品情報が不鮮明となるなどのプリントした商品情報の表示不良を招くことがない。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記押送部材(18,19)は、前記物品(W)が前記袋(10)を開口する袋開口手段(12)の入り口(12a)に至るまで第1の搬送速度で押送し、物品(13)が前記入り口(12a)から袋底部に至るまでの搬送期間では第1の搬送速度より遅い第2の搬送速度で押送し、物品(13)が前記袋底部に至った以降の搬送期間は前記第1の搬送速度より速い第3の搬送速度で押送するよう、前記第1および第2モータ(20,21)を速度制御するよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、物品を第1速度で受け取って前進移動する押送部材を、袋への詰め込み時には第1速度より遅い第2速度で前進移動するようにし、その後に第1速度より速い第3速度で押送部材を前進移動するようにしたので、先行する袋詰品に対して次の袋のプリント面が接触してプリントした商品情報が不鮮明となるなどの表示不良を招くことなく、上流からの物品の流入速度に応じて物品を安定的に搬送できると共に、物品の袋内への詰め込みを良好に行うことができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記袋(10)を開口する袋開口手段(12)の入り口(12a)に向けて前記押送部材(18,19)で押送される物品(13)を載置して搬送する搬送コンベヤ(26)を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、搬送姿勢が乱れ易い食パンなど、軟弱な物品の集合状態を維持して安定的に搬送できる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記袋(10)を開口する袋開口手段(12)の入り口(12a)に向けて前記押送部材(18,19)で押送される物品(13)の左右側面を案内可能なサイドコンベヤ(29)を設けたことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、押送部材で押送される物品の左右側面をサイドコンベヤで案内して集合物品の搬送状態の乱れを抑制することができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記第1無端索体(16)および第2無端索体(17)は、前記搬送方向と交差する幅方向に離間して一体走行する複数組ずつ設けられ、
幅方向に離間する複数の第1無端索体(16)に架設した支持部材(39)に前記押送部材(18)が配設されると共に、幅方向に離間する複数の第2無端索体(17)に架設した支持部材(40)に前記押送部材(19)が配設され、前記支持部材(18,19)の夫々に、幅方向に離間して複数のローラ(41)を回転自在に支持し、該各ローラ(41)が、前記第1無端索体(16)と第2無端索体(17)の走行によりレール(42)上に案内されて移動するよう構成したことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、押送部材を安定して移動することができ、物品を安定的に搬送できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、袋詰めする直前にプリントした袋に物品を詰める袋詰め機において、高速処理が求められる場合であっても、袋同士が擦れることでプリント直後の商品情報がカスレて不鮮明になったり、商品情報の一部が読み取れなくなるなどのプリント品質の低下により、プリントした商品情報の表示不良を招いてしまうようなことがなく、プリント後の表示情報が不鮮明な表示となるのを防止することができる。また、前後の押送部材を別々のモータで変速制御して搬送する構成を採用したので、所定間隔毎に設けた押送部材を1つのモータで駆動して物品を搬送するようにした従来構成による装置に対して高速処理ができ、また前後の押送部材の間隔を変化させることができるので、同じ速度で搬送する場合での押送部材の配設数より少ない押送部材の数で構成しても処理能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】袋詰め機の全体を示す概略正面図である。
図2】搬送装置の概略正面図である。
図3】搬送装置の概略平面図である。
図4】搬送装置の概略縦断面図である。
図5】押送部材の変速状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る袋詰め機の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例
【0014】
実施例に係る袋詰め機は、図1に示す如く、一側に袋口部10aを有する多数の平袋状の袋10が積層状態で載置される袋載置台11と、該袋載置台11における最表面(積層表面)の袋10の袋口部10aを拡張して開口状態に維持する袋開口手段12と、袋口部10aが拡張された袋10に食パン(物品)13を詰め込む搬送装置14と、を備え、袋載置台11に積層載置された袋10における袋表面(表側のプリント面)に、消費期限や製造者コードなどの各種商品情報をプリントするプリントヘッド15を有するインクジェットプリンタからなるプリント装置が設けられる。袋詰め機では、袋載置台11に積層載置されて袋詰め位置Nに位置して各種商品情報がプリントされた最表面の袋10が袋開口手段12で開口され、該袋10に搬送装置14により搬送されて開口から食パン13が詰め込まれた袋詰品Wは、袋詰め位置Nから図示しない下流側の封止部(処理部)まで搬送されて、該封止部で袋口部10aがシールされた後にバッグ・クロージャーにより袋口が絞られて留め具により封止される。また、搬送装置14は、食パン13の搬送路Cより上方において、食パン13の搬送方向に沿って回転走行するよう並列配置された第1および第2無端ベルト(無端索体)16,17と、各無端ベルト16,17の夫々に所定間隔で配設されて、食パン13を押送する複数の押送部材18,19と、各無端ベルト16,17の夫々を独立して回転駆動する第1および第2モータ20,21と、を備え、第1無端ベルト16に配設された第1押送部材18と、第2無端ベルト17に配設された第2押送部材19とは、搬送方向に交互に位置するよう構成される。
【0015】
前記袋開口手段12は、図1に示す如く、前記袋載置台11に集積される最表面の袋10の袋口部10aに向けて圧力エアを吹付けるエア吹込み手段22と、袋口部10aを開口状態に維持する袋口部保持手段23とを備え、エア吹込み手段22から吹付ける圧力エアにより予備開口した袋口部10aに先端部を挿入した袋口部保持手段23により、前記袋詰め位置Nにおいて袋口部10aを拡張して開口状態に維持する。また、袋口部保持手段23により開口状態に維持された袋口部10aに向けてエア吹込み手段22から圧力エアを吹付けることによって、袋10の全体を筒状に膨らませ得るよう構成される。なお、袋口部保持手段23は、前記押送部材18,19が配設される後述する支持部材39,40の通過を許容するよう構成されている。
【0016】
ここで、前記袋10は、平袋状態で閉塞されている底部側の幅方向全体にフィルムが底面側から袋内方側に折込まれて、フィルムが4重に重なったマチ(折込み部)を有する形態である。また袋10は、相対向する一方のフィルムに、他方のフィルムにおける袋口部10aの端縁より外方に延出する延出部が1枚のフィルムにより形成されると共に、該延出部には、一対の位置決め孔が袋幅方向に離間して穿設されている。
【0017】
図1に示す如く、前記袋載置台11には、袋10の前記延出部の位置決め孔が挿通される一対の支持ピン24,24が上下方向に延在するよう設けられ、袋載置台11には、支持ピン24,24に位置決め孔が挿通支持された袋10が、袋口部10aを食パン13の搬送方向上流側に向けた姿勢の積層状態で載置される。また、積層した袋10は、マチを有する底部側が、袋載置台11に設けた調節ローラ25から所定長さで垂れ下がって、層になった袋10の垂れ下がり部43における袋表側のプリント面に、各種商品情報がプリントされるプリント領域が位置するよう構成される。なお、調節ローラ25は、移動手段によって前後方向にスライド可能に構成される。
【0018】
図1に示す如く、前記袋載置台11の後方(搬送方向下流側)に離間して、前記プリント装置が配置される。プリント装置は、袋載置台11に積層載置された袋10における垂れ下がり部43において層になった袋10の表側のプリント面に指向して、前記プリント領域に各種商品情報をプリントする前記プリントヘッド15と、該プリントヘッド15をプリント面に対する進退方向、幅方向および上下方向に移動する各移動手段と、を備える。プリント装置は、プリントヘッド15を、袋10の垂れ下がり部43におけるプリント領域の高さ位置に合わせた高さに位置付けたもとで、1包装毎に、プリントヘッド15を、垂れ下がり部43から後方に離間する退避位置(図1の二点鎖線位置)からプリント領域にプリント可能なプリント開始位置(図1の実線位置)まで前進し、該プリントヘッド15をプリント開始位置から水平に横移動し、袋10のプリント領域に各種商品情報をプリントした後、プリントヘッド15を退避位置まで後退してプリント面から離間して、袋10の垂れ下がり部43が持ち上がる際に接触干渉するのを防ぎ、プリント開始位置に対応する位置まで水平に横移動する。
【0019】
前記袋詰め機は、前記袋載置台11に積層載置された袋10が消費されるのに応じて、昇降手段によって袋載置台11を上昇して、積層した袋10の最上面の高さレベルを一定に保つよう構成されると共に、前記垂れ下がり部43における袋10の重なり厚の変化に応じて前記調節ローラ25を前後方向に移動して、袋載置台11に積層載置された袋10における垂れ下がり部43のプリント面と、プリント開始位置の前記プリントヘッド15との間隔を一定に保つよう構成される。
【0020】
前記袋詰め機は、図1に示す如く、前記袋開口手段12から上流側に離間して、食パン13を載置して袋開口手段12の入り口12aに向けて搬送するベルトコンベヤからなる搬入コンベヤ(搬送コンベヤ)26が配設されると共に、該搬入コンベヤ26と袋開口手段12との間に、前記搬送装置14で搬送される食パン13の下面を支持して袋開口手段12の入り口12aまで案内するテーブル27が配設されている。また、袋開口手段12の下流側に、袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品Wを載置して下流側に設けた封止部に向けて搬送するベルトコンベヤからなる搬出コンベヤ28が配設される。前記搬入コンベヤ26、テーブル27および搬出コンベヤ28の夫々に載置されて食パン13が搬送される搬送路Cが、前記袋載置台11の上方に形成される。また図4に示す如く、搬送路Cにおいて、搬入コンベヤ26で搬送される食パン13の左右両側に臨む位置に、搬送路Cを挟んで対向して食パン13の左右両側を案内可能な一対のサイドベルトコンベヤ(サイドコンベヤ)29,29が配設される。なお、サイドベルトコンベヤ29,29は、搬入コンベヤ26の搬送速度と同速で走行駆動される。
【0021】
図1に示す如く、前記搬出コンベヤ28は、移動プーリ28bが搬送方向前後に移動してコンベヤベルトが伸縮し、前記プリントヘッド15の進退移動領域の上方の空間部(袋底部が搬送路Cに持ち上がる領域)Sを拡縮可能に、移動部28aを備え、該移動部28aは、搬送路Cに形成させる空間部Sの間隔を狭めて食パン13が袋詰め位置Nから袋底部まで至る際に食パン13が袋10内に詰め込まれた袋詰品Wの下面を支持可能な支持位置(図1の二点鎖線位置)と、前記空間部Sの間隔を拡げて前記袋載置台11に積層載置された袋10における垂れ下がり部(袋底部)43が膨らんで前記支持位置の高さを越えて搬送路Cに持ち上がるのを許容する退避位置(図1の実線位置)との間を進退する。搬出コンベヤ28の移動部28aは、図5に示す如く、袋載置台11に積層載置された最表面の袋10における垂れ下がり部43が、前記エア吹込み手段22により袋10内へエアが吹き付けられて、袋10が筒状に膨らんで持ち上がる際には退避位置に移動し、垂れ下がり部43が支持位置を越えた後に支持位置に移動するよう構成される。
【0022】
前記搬送装置14は、図2図4に示す如く、前記搬送路Cの上方において食パン13の搬送方向に延在するコンベヤフレーム30には、搬送方向の上流側または下流側の一方の側に、搬送方向に離間して第1駆動軸31および第2駆動軸32が回転自在に枢支されると共に、他方の側に、搬送方向に離間して第1従動軸33および第2従動軸34が回転自在に枢支されている。第1駆動軸31には、第1駆動プーリ35が第1駆動軸31と一体回転可能に配設されると共に、該第1駆動プーリ35から軸方向に離間して第2従動プーリ36が第1駆動軸31に対して自由回転可能に配設されている。また、第2駆動軸32には、第2駆動プーリ37が第2駆動軸32と一体回転可能に配設されると共に、該第2駆動プーリ37から軸方向に離間して第1従動プーリ38が第2駆動軸32に対して自由回転可能に配設されている。第1従動軸33に、第1駆動プーリ35および第2従動プーリ36と対応する位置に第1従動プーリ38および第2従動プーリ36が夫々自由回転可能に配設され、第2従動軸34に、第2駆動プーリ37および第1従動プーリ38と対応する位置に第2従動プーリ36および第1従動プーリ38が夫々自由回転可能に配設されている。そして、第1駆動軸31および第1従動軸33に配設された第1駆動プーリ35と第1従動プーリ38との間、および第2駆動軸32および第2従動軸34に配設された第1従動プーリ38と第1従動プーリ38との間に、前記第1無端ベルト16(第1無端索体)が夫々巻掛けられる。また、第2駆動軸32および第2従動軸34に配設された第2駆動プーリ37と第2従動プーリ36との間、および第1駆動軸31および第1従動軸33に配設された第2従動プーリ36と第2従動プーリ36との間に、前記第2無端ベルト17(第2無端索体)が夫々巻掛けられる。すなわち、第1無端ベルト16および第2無端ベルト17は、食パン13の搬送方向と交差する幅方向に離間して一体走行する複数組ずつ設けられると共に、第1無端ベルト16と第2無端ベルト17とが、幅方向に交互に離間して配設される。なお、各プーリ35,36,37,38および無端ベルト16,17として、歯付きベルトを採用している。
【0023】
図3図4に示す如く、幅方向に離間して対をなす第1無端ベルト16,16の夫々には、その走行方向に所定間隔毎に配設される取着部39aを介して複数(図示例では2つ)の第1支持部材39が架設され、前記搬送路Cの上方に臨む各第1支持部材39の一端部で、第1無端ベルト16,16の一側となる第1支持部材39の延出端には、前記第1押送部材18がアーム18aに取着されて配設される。第1支持部材39が架設される対をなす取着部39a,39aは走行方向に離間して配置されており、第1支持部材39は、一方の取着部39aに配設された支持部と、他方の取着部39aに配設された支持部とが、4本の無端ベルト16,17の内の内側の第1無端ベルト16と第2無端ベルト17との間において連結部材39bを介して連結されている。また、幅方向に離間して対をなす第2無端ベルト17,17の夫々には、その走行方向に所定間隔毎に配設される取着部40aを介して複数(図示例では2つ)の第2支持部材40が架設され、前記搬送路Cの上方に臨む各第2支持部材39の一端部で、第2無端ベルト17,17の一側となる第2支持部材39の延出端には、前記第2押送部材19がアーム19aに取着されて配設される。第2支持部材40は、第1支持部材39と同様に、走行方向に離間する一方の取着部40aに配設された支持部と、他方の取着部40aに配設された支持部とが、前記内側の第1無端ベルト16と第2無端ベルト17との間において連結部材40bを介して連結されている。そして、第1無端ベルト16,16および第2無端ベルト17,17の回転走行に伴って、第1押送部材18および第2押送部材19は、搬送路Cでの食パン13の搬送方向に沿う鉛直面上で同じ周回軌道を移動可能に、両無端ベルト16,17はループ状に巻き掛けられる。
【0024】
図1に示す如く、前記第1押送部材18および第2押送部材19は、その長円形の周回軌道において、前記搬送路Cに沿う下側の直線軌道(キャリヤ側直線軌道)を前進移動する際に、搬送路Cの食パン13の搬送方向後端に当接して押送し得るよう構成される。また、前記第1無端ベルト16,16に配設された2つの第1押送部材18の一方がキャリヤ直線軌道を移動する際には、他方がリターン側直線軌道を移動すると共に、前記第2無端ベルト17,17に配設された2つの第2押送部材19の一方がキャリヤ側直線軌道を移動する際には、他方がリターン側直線軌道を移動するように、対応する無端ベルト16,17に対する押送部材18,19の配設ピッチが設定されている。なお、各押送部材18,19は、薄板状の部材であって、食パン13の後端において食パンの4枚切り、6枚切り、8枚切りなどの食パンのスライス厚に応じた所定の押送幅となるよう左右幅が前記アーム18a,19aに対して着脱交換可能に配設される。
【0025】
図4に示す如く、前記第1および第2支持部材39,40に、幅方向に離間して複数(実施例では2つ)のローラ41が回転自在に支持されると共に、各ローラ41の支持位置に対応して、搬送方向に沿って延在するレール42が上下方向に離間して前記コンベヤフレーム30に配設されている。そして、第1および第2無端ベルト16,17の回転走行に伴って第1および第2押送部材18,19が上下の直線軌道を移動する際には、複数のローラ41が対応するレール42に支持されて移動するよう構成される。また、コンベヤフレーム30には、押送部材18,19がリターン側直線軌道を移動する際に、支持部材39,40における押送部材18,19から離間する側に支持した一方のローラ41の上方への移動を規制する上レール44が設けられている。また、押送部材18,19がキャリヤ側直線軌道からリターン側直線軌道へ移動する転向部およびリターン側直線軌道からキャリヤ側直線軌道へ移動する転向部の夫々に、各ローラ41の支持位置に対応して、転向部を移動するローラ41を案内支持する転向ガイド45がコンベヤフレーム30に配設されている。また、コンベヤフレーム30には、前記上レール44の配設区間内において、リターン側直線軌道を通過する押送部材18,19を検出する原点センサSEが配設されている。
【0026】
図3に示す如く、前記第1駆動軸31および第2駆動軸32は、前記コンベヤフレーム30に配設された対応する可変速制御可能なサーボモータ等の前記第1モータ20および第2モータ21に夫々連繋されて、両駆動軸31,32は独立して回転駆動されるよう構成される。すなわち、第1モータ20を駆動することにより、一対の第1無端ベルト16,16を介して第1押送部材18が移動し、第2モータ21を駆動することにより、一対の第2無端ベルト17,17を介して第2押送部材19が移動するよう構成される。
【0027】
図5に示す如く、前記第1および第2モータ20,21は、各押送部材18,19がキャリヤ側直線軌道を前進移動する際の速度を、定速である第1速度(第1の搬送速度)と、該第1速度より遅い第2速度(第2の搬送速度)と、第1速度より速い第3速度(第3の搬送速度)とに変速するよう駆動制御される。すなわち、各押送部材18,19が、リターン側直線軌道から転向部を経てキャリヤ側直線軌道に至って、前記搬入コンベヤ26に上流から流入した食パン13の後方に臨む直線移動開始位置から該食パン13を前記袋開口手段12の入り口12aまで搬送する搬送期間は第1速度に設定され、食パン13が入り口12aから袋底部に至るまでの搬送期間は第2速度に設定され、食パン13が袋底部に至った後の搬送期間は第3速度に設定される。第1速度は、搬入コンベヤ26の搬送速度よりわずかに速い速度に設定されており、キャリヤ側直線軌道において直線移動を開始する時期T1から第1速度で前進移動する各押送部材18,19が搬入コンベヤ26で搬送されている食パン13に追いついて、搬入コンベヤ26上で食パン13をわずかに滑らせるようにして押送するよう、一定速度により食パン13を搬送する。そして、該食パン13が搬入コンベヤ26から前記テーブル27に乗り移る時期T2には、各押送部材18,19を第2速度まで減速して、食パン13が袋10の袋底部に詰め込まれるまで食パン13を低速で搬送する。また、各押送部材18,19で押送している食パン13が袋底部まで押し込まれる時期T3に、各押送部材18,19を第3速度まで増速し、食パン13が押し込まれた袋詰品Wを高速で搬送する。また、第3速度を維持して袋詰品Wを押送している各押送部材18,19は、リターン側直線軌道への転向部となるキャリヤ側直線軌道の下流端近傍に至る時期T4に合わせて第2速度まで減速して、第1速度より速い速度で走行している前記搬出コンベヤ28に載置して搬送される袋詰品Wの押送を解除するよう構成される。すなわち、前後に離間する押送部材18,19をこのような変速制御によって、押送している食パン13が袋10の袋底部に至った先行する一方の押送部材18,19の速度を速くすると共に、後続する他方の押送部材19,18の速度を遅くすることで、食パン13の搬送間隔(前後の押送部材18,19の間隔)を拡げると共に、後続の押送部材19,18で押送される食パン13が袋10へ押し込まれる際に、前記搬送路Cへ持ち上がった袋底部の表面(プリント面)が、先行する押送部材18,19で搬送される袋詰品Wの下面に擦れて(接触して)プリントした商品情報の表示が不鮮明になってしまうことがないように、袋底部が搬送路Cへ持ち上がる空間部Sを、先行する押送部材18,19で食パン13が押送される袋詰品Wが通過する時期を、後続の押送部材19,18で押送される食パン13が袋C内へ押し込まれて袋底部が持ち上がる時期に対して早めるよう、モータ20,21が変速制御される。本例では、先行する押送部材18,19で搬送される袋詰品Wの下面に接触しないように、該袋詰品Wを、袋底部が前記空間部Sから搬送路Cに持ち上がる前に該空間部Sを通過させるように、モータ20,21が変速制御される。空間部Sを袋詰品Wが通過する時期とは、前記移動部28の移動によって間隔が拡げられたり狭められたりする空間部Sの上方を、袋詰品Wが下流側に移動する時期である。また、袋底部が持ち上がる時期とは、前記エア吹込み手段22によるエア吹き付けや袋内への食パン13の押し込みにより膨らむ袋底部のプリント面が、空間部Sを通って搬送路Cに移動する時期である。
【0028】
なお、モータ20,21を変速する時期は、リターン側直線軌道を通過する押送部材18,19を検出する前記原点センサSEを起点として、モータ20,21に付設されたエンコーダから得られる各押送部材18,19の走行位置との関係で設定される。また、第1速度~第3速度は、本例においては、第1速度の速度値を「1」とした場合に、第2速度は、第1速度の0.7倍の速度値として、第3速度は、第1速度の2倍の速度値として設定される。なお、第1速度でキャリヤ側直線軌道を前進移動する押送部材18,19は、食パン13が搬入コンベヤ26の搬送終端近接まで搬送された時期に、該食パン13の後端に後側から当接するよう設定されて、食パン13が搬入コンベヤ26上で滑って搬送される期間を短かくするよう構成されている。
【0029】
次に、実施例に係る袋詰め機の作用について説明する。
図1に示す如く、前記袋載置台11には、積層した袋10が載置され、該袋10における底部側は所定長さで前記調節ローラ25から垂れ下がっている。前記プリント装置は、最表面の袋10が前記袋開口手段12により開口される前に、移動手段によってインクジェットプリンタのプリントヘッド15を移動して、袋10における垂れ下がり部43の前記プリント領域に各種商品情報をプリントする。
【0030】
前記プリント領域へ商品情報をプリントすると、プリント装置は、移動手段によってプリントヘッド15を前進位置から後退移動し、プリント領域にプリントされた袋10の垂れ下がり部43の持ち上がりが許容される状態となる。前記エア吹込み手段22からの圧力エアの吹付けによって、前記袋載置台11に積層載置された最表面の袋10は、食パン13の搬送方向上流側を向く袋口部10aが予備開口されて、前記袋口部保持手段23が袋内に侵入して食パン13が通過可能な略矩形状に大きく拡張して開口状態に維持される。また、エア吹込み手段22からの圧力エアの吹付けによって袋10が膨らむことで、袋10の位置決め孔が支持ピン24から上方に抜けると共に、袋10の垂れ下がり部43が搬送路Cへ持ち上がり、袋詰め位置Nの最表面の袋10は開口状態に保持される。プリント領域に商品情報がプリントされた袋10の垂れ下がり部43が、前記搬出コンベヤ28における移動部28aの退避位置への後退移動により間隔が拡がった空間部Sから、前記移動部28aの上部まで持ち上げられると、前記搬出コンベヤ28の移動部28aを退避位置から支持位置まで移動して前記空間部Sの間隔を狭める。
【0031】
前記搬送装置14は、前記搬入コンベヤ26の上流から送り込まれた食パン13の後端に第1押送部材18が後方から当接することで第1速度で食パン13を押送し、該食パン13が前記袋開口手段12の入り口12aに至る時期T2に、第1押送部材18を第2速度まで減速して、食パン13が袋底部まで低速で詰め込まれる(図5(a)参照)。そして、第1押送部材18で押送されている食パン13が袋底部に至る時期T3に、該第1押送部材18を第3速度に増速することで、袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品Wは高速で下流側に搬送される。なお、袋詰め位置Nで袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品Wは、その下面が前記移動部28aで支持された状態で下流側に向けて搬送され、食パン13の全体が袋10を介して移動部28aに載った後に、該移動部28aが支持位置から退避位置まで移動して前記空間部Sを拡げる。
【0032】
図5(b)に示す如く、先行する第1押送部材18が第3速度に増速されるときには、後続する第2押送部材19は、先行する第1押送部材18の速度(第3速度)より遅い第1速度で前進移動し、第1押送部材18と第2押送部材19との速度差によって食パン13の搬送間隔を拡げる。また、前記袋載置台11に積層載置された最表面の袋10に対して前記エア吹込み手段22からの圧力エアの吹付けによって該袋10の袋口部10aが予備開口されると共に、前記袋口部保持手段23によって袋口部10aが開口状態に維持され、更にエア吹込み手段22からの圧力エアの吹付けによって膨らんで全体が浮き上がった袋10には、後続する第2押送部材19で押送される食パン13が袋詰めされる。このとき、第3速度で前進移動する第1押送部材18によって搬送されている袋詰品Wは、間隔を拡げる前の空間部Sを通過しており、該袋詰品Wの下面に、空間部Sから搬送路Cに持ち上がってくる袋10の袋底部が接触するのを防ぐことができる。また、図5(c)に示す如く、第3速度で前進移動している第1押送部材18がキャリヤ側直線軌道の下流端近傍のリターン側直線軌道に向けた転向部への移行時期の手前で第1押送部材18は第2速度まで減速され、第1速度より速い速度で走行している前記搬出コンベヤ28で搬送される袋詰品Wとの速度差によって、該袋詰品Wの第1押送部材18による押送面から食パン13の後部から離間し、搬送装置14による搬送力が解かれて袋詰品Wが先走りすることで、該第1押送部材18は袋10の袋口部10aから抜け出る。その後、第1押送部材18は低速となる第2速度を維持してリターン側直線軌道に向けた転向部を移動する。第1押送部材18が第2速度で移動する間に、第3速度で移動することで拡がった後続の第2押送部材19との間隔が狭まる。
【0033】
前記第1無端ベルト16に配設されている一方の第1押送部材18がキャリヤ側直線軌道における下流側の転向部をリターン側直線軌道に向けて移動する際には、他方の第1押送部材18はキャリヤ側直線軌道における上流側の転向部をリターン側直線軌道からキャリヤ側直線軌道に向けて第2速度で移動し、上流から送り込まれて前記搬入コンベヤ26で搬送されてきた食パン13の後側に至る。その後、第1押送部材18は第1速度に増速され、搬入コンベヤ26で搬送されている食パン13に後方から近づいて後端に当接し、該食パン13の押送を開始する。
【0034】
実施例の袋詰め機では、第2速度で前進移動する押送部材18,19によって袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品Wは、第2速度より速い第3速度で前進移動する押送部材18,19によって高速で下流側に搬送されるので、先行する袋詰品Wが、前記空間部Sが狭まった時期に通過してから空間部Sの間隔を拡げて、前記エア吹込み手段22からの圧力エアの吹付けによって次の袋10が膨らんで袋底部が持ち上がる。従って、先行する袋詰品Wの下面側に次に持ち上がる袋底部が接触して、袋詰めの直前に袋表面にプリントされた商品情報の表示が不鮮明になってしまうなどのプリント品質の低下を防ぐことができる。すなわち、押送部材18,19の変速動作によって食パン13の袋詰めの処理速度を高速化したもとで、良好なプリント状態を得ることができる。また、良好なプリントが可能で、プリント内容の変更に柔軟に対応できるインクジェットプリンタをプリント装置として採用しても、処理速度を高めて、プリントされた商品情報を良好な表示状態とすることができる。更に、前後に位置する第1押送部材18と第2押送部材19とを、別々のモータ20,21で変速制御して食パン13および袋詰品Wを搬送するようにしたので、従来のように1つのモータにより一定速で走行する押送部材を用いた構成に対して処理速度を高めることができる。また、前後の押送部材18,19の間隔を変化させることができるので、同じ速度で搬送する場合での押送部材の配設数より少ない数で処理能力を向上することができる。
【0035】
また、食パン13を第1速度で受け取って前進移動する押送部材18,19を、袋10への詰め込み時には第1速度より遅い第2速度で前進移動するようにし、その後に第1速度より速い第3速度で押送部材18,19を前進移動するようにしたので、先行する袋詰品Wに対して次の袋10のプリント面が接触してプリント不良を招くのを防止しつつ、上流からの食パン13の流入速度に応じて食パン13を安定的に搬送できると共に、食パン13の袋内への詰め込みを良好に行うことができる。
【0036】
前記袋開口手段12に向けて前記押送部材18,19で押送される食パン13は、その下面を搬入コンベヤ26で支持して搬送すると共に、該食パン13の左右側面をサイドベルトコンベヤ29,29で案内するよう構成したので、食パン13を安定的に搬送できると共に、食パン13の搬送姿勢の乱れを抑制することができ、食パン13を袋10に良好に詰め込むことができる。また、押送部材18,19は、幅方向に離間して配設した一対の第1無端ベルト16,16または一対の第2無端ベルト17,17に架設した支持部材39,40に配設されると共に、該支持部材39,40にローラ41を配設して、レール42をローラ41が走行するよう支持したので、押送部材18,19を安定して移動させることができ、食パン13の搬送姿勢を乱すことなく良好に搬送することができる。また、前記原点センサSEは、上下のレール42,44でローラ41が案内される区間で押送部材18,19を検出するので、押送部材18,19の上下動により検出精度が低下するのを防ぐことができる。
【0037】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、先行する押送部材18,19による食パン13の搬送速度を第3速度に速める時期を、該食パン13が袋10の袋底部に至った時期T3としたが、当該時期T3より前の時期であってもよい。なお、第3速度に速める時期は、前記時期T3が最も好ましいが、押送部材18,19で押送される食パン13が袋10内に進入してから袋底部に至るまでの押し込み期間の間であってもよい。また、食パン13が袋内に進入する前の時期に第3速度に増速する構成を採用することができる。
(2) 実施例では、袋詰品Wを、袋底部が空間部Sから搬送路Cに持ち上がる前に該空間部Sを通過させるようにしたが、袋底部のプリント面が袋詰品Wに擦れて、プリントされている商品情報がカスレたり、部分的に欠落したとしても、商品情報の内容を正しく認識可能な品質が保たれるものであれば、袋詰品Wを、袋底部が空間部Sから搬送路Cに持ち上が途中に該空間部Sを通過させるものであってもよい。
(3) 実施例では、押送部材18,19を3種類の速度に変速する例により構成したが、実施例における第1速度と第3速度との2種類の速度差に変速して搬送する構成を採用することができる。また、押送部材18,19を2種類の速度で変速する構成における両速度の速度差は、少なくとも、先行する袋詰品Wが空間部Sを通過してから、後続の押送部材18,19で押送される食パン13が袋詰め位置Nに至る速度差に設定されていればよい。
(4) 実施例では、第1速度の速度値を「1」とした場合で、第2速度および第3速度の各速度値を設定したが、先行する袋詰品Wが空間部Sを通過してから、後続の押送部材18,19で押送される食パン13が袋詰め位置Nに至るように、第2速度および第3速度の速度差を設定すれば、第1速度については、押送部材18,19を第2速度まで減速する時期T2に食パン13がテーブル27に乗り移る速度に設定されていればよい。
(5) 実施例では、第1および第2無端ベルト16,17の夫々について、一対の歯付きベルトを採用したが、チェンまたはその他の無端索体を採用することができる。また、無端索体は、夫々一本ずつで構成するものであってもよい。
(6) 無端ベルト16,17に対する押送部材18,19の配設数は、3つ以上の複数配設してもよい。
(7) 搬出コンベヤ28の速度は、押送部材18,19の第3速度と同じ速度、または、押送部材18,19の第3速度と同速になるまで低速で走行するよう変速制御されるようにしてもよい。
(8) 袋詰めする物品は、食パンに限らず、その他の食品などであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 袋,11 袋載置台,12 袋開口手段,12a 入り口,13 食パン(物品)
14 搬送装置,16 第1無端ベルト(第1無端索体)
17 第2無端ベルト(第1無端索体),18 第1押送部材(押送部材)
19 第2押送部材(押送部材),20 第1モータ,21 第2モータ
26 搬入コンベヤ(搬送コンベヤ),29 サイドベルトコンベヤ(サイドコンベヤ)
39 第1支持部材(支持部材),40 第2支持部材(支持部材),41 ローラ
42 レール,43 垂れ下がり部,C 搬送路
S 空間部(袋底部が搬送路に持ち上がる領域)
図1
図2
図3
図4
図5