(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 301C
(21)【出願番号】P 2021206422
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100148563
【氏名又は名称】山本 実
(72)【発明者】
【氏名】赤羽根 圭一朗
(72)【発明者】
【氏名】川北 雄大
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215398(JP,A)
【文献】特開2006-034597(JP,A)
【文献】特開2017-144293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、
遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、
遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、
遊技球を発射する発射機構と、
遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、
所定の処理を実行する処理手段と、を備え、
前記処理手段では、前記発射機構による発射動作及び前記供給機構による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して前記データとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理を実行可能であり、
前記遊技球の個数を減算しない状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、
前記遊技停止状態は、前記遊技球の個数を減算する状況が発生することによって解消され、
前記所定の報知は、前記遊技球の個数を減算する状況が再開する条件、及び当該条件とは別の条件の何れかが成立することによって終了させること、又は実行態様に制限を掛けることが可能であり、
前記遊技球の個数が所定個数以下である第1状況の前記遊技停止状態においては当該遊技停止状態であることを特定可能な第1態様で前記所定の報知が実行可能であり、前記遊技球の個数が前記所定個数よりも多い
所定の数を超える第2状況
の遊技停止状態においては前記第1態様とは異なる第2態様で報知が実行可能であ
り、
前記第2状況は、所定期間中の遊技で使用した遊技球の個数とその所定期間中に遊技者が獲得した遊技球の個数の差が前記所定の数を超える状況であり、
前記第2態様の報知は、前記個数の差が前記所定の数を超えたことを特定可能であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、
遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、
遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、
遊技球を発射する発射機構と、
遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、
所定の処理を実行する処理手段と、を備え、
前記処理手段では、図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理を実行可能であり、
前記図柄変動ゲームの変動が停止した状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、
前記所定の報知は、前記図柄変動ゲームが再開する条件、及び当該条件とは別の条件の何れかが成立することによって終了させること、又は実行態様に制限を掛けることが可能であり、
前記遊技球の個数が所定個数以下である第1状況の前記遊技停止状態においては当該遊技停止状態であることを特定可能な第1態様で前記所定の報知が実行可能であり、前記遊技球の個数が前記所定個数よりも多い
所定の数を超える第2状況
の遊技停止状態においては前記第1態様とは異なる第2態様で報知が実行可能であ
り、
前記第2状況は、所定期間中の遊技で使用した遊技球の個数とその所定期間中に遊技者が獲得した遊技球の個数の差が前記所定の数を超える状況であり、
前記第2態様の報知は、前記個数の差が前記所定の数を超えたことを特定可能であることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記所定の報知を実行可能な発光手段では、図柄変動ゲームに係る演出では用いられない態様で前記所定の報知が実行される請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機を一例とする遊技機では、供給装置から供給される遊技球を発射装置によって発射し、遊技領域を流下する遊技球が入賞口へ入球すると、賞球を払い出すようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技球を内部循環させる遊技機では、遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、そのデータに基づいて遊技を行うことが可能である。遊技機は、遊技者の持ち球の増減に応じて遊技球の個数を計数する。この種の遊技機では、非循環式の遊技機のように貯留皿に遊技球が貯留されることがないため、遊技者が着席していない場合には当該遊技機が空台であるか否かが判断し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する遊技機は、遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、所定の処理を実行する処理手段と、を備え、前記処理手段では、前記発射機構による発射動作及び前記供給機構による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して前記データとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理を実行可能であり、前記遊技球の個数を減算しない状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、前記遊技停止状態は、前記遊技球の個数を減算する状況が発生することによって解消され、前記所定の報知は、前記遊技球の個数を減算する状況が再開する条件、及び当該条件とは別の条件の何れかが成立することによって終了させること、又は実行態様に制限を掛けることが可能であり、前記遊技球の個数が所定個数以下である第1状況の前記遊技停止状態においては当該遊技停止状態であることを特定可能な第1態様で前記所定の報知が実行可能であり、前記遊技球の個数が前記所定個数よりも多い所定の数を超える第2状況の遊技停止状態においては前記第1態様とは異なる第2態様で報知が実行可能であり、前記第2状況は、所定期間中の遊技で使用した遊技球の個数とその所定期間中に遊技者が獲得した遊技球の個数の差が前記所定の数を超える状況であり、前記第2態様の報知は、前記個数の差が前記所定の数を超えたことを特定可能であることを要旨とする。
【0006】
上記課題を解決する遊技機は、遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、所定の処理を実行する処理手段と、を備え、前記処理手段では、図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理を実行可能であり、前記図柄変動ゲームの変動が停止した状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、前記所定の報知は、前記図柄変動ゲームが再開する条件、及び当該条件とは別の条件の何れかが成立することによって終了させること、又は実行態様に制限を掛けることが可能であり、前記遊技球の個数が所定個数以下である第1状況の前記遊技停止状態においては当該遊技停止状態であることを特定可能な第1態様で前記所定の報知が実行可能であり、前記遊技球の個数が前記所定個数よりも多い所定の数を超える第2状況の遊技停止状態においては前記第1態様とは異なる第2態様で報知が実行可能であり、前記第2状況は、所定期間中の遊技で使用した遊技球の個数とその所定期間中に遊技者が獲得した遊技球の個数の差が前記所定の数を超える状況であり、前記第2態様の報知は、前記個数の差が前記所定の数を超えたことを特定可能であることを要旨とする。
【0007】
上記遊技機において、前記所定の報知を実行可能な発光手段では、前記図柄変動ゲームに係る演出では用いられない態様で前記所定の報知が実行されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空いている遊技機であるかを判別可能とした遊技機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】パチンコ遊技機、及びカードユニットの正面図である。
【
図3】パチンコ遊技機の計数スイッチ、計数ランプ、及び遊技球数表示装置の拡大図である。
【
図4】パチンコ遊技機における遊技球の循環経路を示す模式図である。
【
図5】パチンコ遊技機の供給装置を示す模式図である。
【
図6】パチンコ遊技機の供給装置を示す模式図である。
【
図7】パチンコ遊技機の発射装置を示す模式図である。
【
図10】遊技球の発射停止をもとにパチンコ遊技機の状態を判別するフローチャートである。
【
図13】図柄の変動停止をもとにパチンコ遊技機の状態を判別するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第1実施形態を
図1~
図12にしたがって説明する。
【0012】
図1に示すように、島設備(遊技島)では、遊技機の一例であるパチンコ遊技機10と、管理装置の一例であるカードユニット100と、が交互に並ぶように設置される。つまり、パチンコ遊技機10には、カードユニット100が併設される。本実施形態の一例では、1台のパチンコ遊技機10に対して1台のカードユニット100が接続されるが、これに限らず、1台のパチンコ遊技機10に対して複数台のカードユニット100を接続する構成であってもよく、複数台のパチンコ遊技機10に対して1台のカードユニット100を接続する構成であってもよい。
【0013】
カードユニット100について説明する。
図1に示すように、カードユニット100は、記憶媒体の一例である管理カードを挿入するためのカード挿入部101を備える。管理カードは、遊技を可能とする価値の一例として現金の残額、及び遊技者の保有する遊技球の個数(以下、保有球数と示す)をデータとして少なくとも記憶可能である。管理カードは、遊技者の個人情報をデータとして記憶可能であってもよい。管理カードは、現金の残額に代えて事前に支払いされた残額(プリペイド残額)を記憶する構成であってもよい。
【0014】
カードユニット100は、現金の一例として紙幣を挿入可能な紙幣挿入部102を備える。カードユニット100では、紙幣が紙幣挿入部102に挿入されると、挿入されている管理カード、又は初期化済みの管理カードに記憶されている残額に加算される。カードユニット100は、現金の一例として硬貨を投入可能な構成であってもよい。
【0015】
カードユニット100は、操作パネル104を備える。操作パネル104は、球貸ボタン104a、払出ボタン104b、返却ボタン104c、球数表示部104d、及び残額表示部104eを備える。球貸ボタン104aは、管理カードに記憶されている残額に基づいて、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数(遊技者の持ち球に相当する遊技球の個数)を増加させるに際して操作される。遊技者は、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数に相当する数の遊技球を持ち球として遊技を行うことができる。パチンコ遊技機10で管理する遊技球数は、後に詳しく説明するが、遊技の進行に応じて増減する。
【0016】
払出ボタン104bは、管理カードに記憶されている保有球数に基づいて、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数を増加させるに際して操作される。返却ボタン104cは、カードユニット100に挿入されている管理カードの返却を受けるに際して操作される。球数表示部104dには、管理カードに記憶されている保有球数を特定可能な情報(一例としてアラビア数字)が表示される。残額表示部104eには、管理カードに記憶されている残額を特定可能な情報(一例としてアラビア数字)が表示される。
【0017】
なお、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数が零になった場合、遊技者は、管理カードに保有球数が残っていても遊技を継続させることはできない。つまり、遊技者は、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数を1以上の数に増加させないと遊技を継続させることはできない。パチンコ遊技機10で管理する遊技球数は、球貸ボタン104aを操作して所定個数の遊技球を貸し受けることで増加させることができる。球貸しボタン104aを操作して貸し受けることができる遊技球の最小球数は、100円の価値に相当する25球分の個数である。また、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数は、払出ボタン104bを操作して管理カードに記憶されている保有球数を上限としてパチンコ遊技機10へ払い出すことで増加させることができる。払出ボタン104bを操作して払い出すことができる遊技球の最小球数は、遊技者が貸し受けることができる遊技球の最小球数と同じ25球分の個数である。なお、遊技者が貸し受けることができる遊技球の個数や遊技者が払い出すことができる遊技球の個数の各最小球数は、125球分の個数としてもよく、両者の最小球数は同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
カードユニット100は、カードユニット制御基板105(以下、CU制御基板と示す)を備える。CU制御基板105は、CPU105aと、ROM105bと、RAM105cと、を備える。CPU105aは、カードユニット制御プログラムを実行することにより、所定の処理を行う。ROM105bは、カードユニット制御プログラムを記憶している。RAM105cは、カードユニット100の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM105cが記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。カードユニット100は、パチンコ遊技機10と双方向に通信可能に接続される通信端子105dを備える。
【0019】
CU制御基板105は、カード挿入部101と接続されている。CPU105aは、カード挿入部101に挿入されている管理カードの記憶内容を書き換え可能に構成されている。CU制御基板105は、紙幣挿入部102と接続されている。CPU105aは、紙幣挿入部102に紙幣が挿入されたときに出力する紙幣信号を入力可能に構成されている。紙幣信号は、紙幣挿入部102に挿入された紙幣の金額(以下、現金投入額と示す)を特定可能な信号である。
【0020】
CU制御基板105は、操作パネル104と接続されている。CPU105aは、球貸ボタン104aが操作されたときに出力する球貸信号を入力可能に構成されている。CU制御基板105は、払出ボタン104bが操作されたときに出力する払出信号を入力可能に構成されている。CPU105aは、返却ボタン104cが操作されたときに出力する返却信号を入力可能に構成されている。CPU105aは、球数表示部104dの表示内容を制御可能に構成されている。CPU105aは、残額表示部104eの表示内容を制御可能に構成されている。
【0021】
CU制御基板105は、通信端子105dを介してパチンコ遊技機10と接続されている。CPU105aは、パチンコ遊技機10が出力する各種の制御信号(制御情報)を入力可能に構成されている。CPU105aは、パチンコ遊技機10に対して各種の制御信号(制御情報)を出力可能に構成されている。カードユニット100は、通信端子105dからパチンコ遊技機10へと接続信号を出力する。なお、接続信号は、CU制御基板105(CPU105a)が生成するコマンドや電文であってもよく、CPU105aとは異なる出力回路(例えば電源回路)が生成する信号であってもよい。
【0022】
カードユニット100は、外部機器と接続するための外部通信端子(不図示)を備える。一例として、外部機器は、遊技場に設置されたホールコンピューター110である。外部機器は、遊技場外のデータセンターに設置されたサーバー設備とネットワークを介して通信可能な管理コンピューターである。この場合、管理コンピューターとカードユニット100とは、相互に通信可能に接続されていることが好ましい。
【0023】
カードユニット100にて行われる処理について説明する。
CPU105aは、カード挿入部101に管理カードが挿入されると、管理カードに記憶されている残額、及び保有球数を読み出し、RAM105cに記憶させる。そして、CPU105aは、管理カードが挿入されているとき、以下に説明する処理を行う。
【0024】
CPU105aは、紙幣挿入部102から紙幣信号を入力すると、紙幣信号から特定可能な現金投入額を残額に加算する。CPU105aは、残額が0ではないとき、球貸ボタン104aから球貸信号を入力すると、残額を規定額だけ減算するとともに、当該規定額に対応する個数の遊技球の付与を特定可能な付与情報をパチンコ遊技機10へ出力する。なお、CPU105aは、残額が0であるとき、球貸信号を入力しても、付与情報を送信しない。
【0025】
CPU105aは、保有球数が0以上であるとき、払出ボタン104bから払出信号を入力すると、保有球数を規定数だけ減算し、当該規定数の遊技球の付与を特定可能な付与情報をパチンコ遊技機10へ出力する。なお、CPU105aは、保有球数が0であるとき、払出信号を入力しても、付与情報を送信しない。このように、付与情報は、付与球数を特定可能である。CPU105aは、パチンコ遊技機10から計数情報を受信すると、当該計数情報から特定可能な遊技球の個数を保有球数に加算する。詳しくは後述するが、計数情報は、パチンコ遊技機10から送信される制御情報であって、カードユニット100へ管理を移管する遊技球の個数を特定可能である。遊技者がカードユニット100へ管理を移管する場合には、遊技者がパチンコ遊技機10での遊技を終了する場合や、遊技は継続させるが、例えばパチンコ遊技機10で管理する遊技球数が多くなり過ぎており、一部の管理をカードユニット100へ移管させたい場合を含む。
【0026】
CPU105aは、球数表示部104dを制御し、その時々の保有球数を特定可能な情報を表示するように表示内容を更新する。つまり、CPU105aは、球数表示部104dにて保有球数をリアルタイムで表示させる。球数表示部104dの表示内容は、払出信号によって保有球数を減算したとき、あるいは計数情報を受信して保有球数を加算したときに変更可能である。CPU105aは、残額表示部104eを制御し、その時々の残額を特定可能な情報を表示するように表示内容を更新する。つまり、CPU105aは、残額表示部104eにて残額をリアルタイムで表示させる。
【0027】
CPU105aは、返却ボタン104cから返却信号を入力すると、RAM105cに記憶されている残額及び保有球数を管理カードに記憶させるとともに、RAM105cに記憶されている残額及び保有球数を初期化する。CPU105aは、管理カードがカード挿入部101から排出されるように、カード挿入部101を制御する。
【0028】
パチンコ遊技機10について説明する。
図1に示すように、遊技機の一例であるパチンコ遊技機10は、遊技媒体として規定数の遊技球が機内部に封入されており、規定数の遊技球を機内部にて循環させる封入式の遊技機(所謂、管理遊技機)として構成されている。パチンコ遊技機10は、遊技球を貯留する部分(上皿及び下皿)を備えない。つまり、パチンコ遊技機10は、遊技者が遊技球に触れることができない構造である。
【0029】
パチンコ遊技機10は、遊技者に貸し出された遊技球の個数(以下、貸し球数と示す)、遊技者が獲得した遊技球の個数(以下、獲得球数と示す)、及び遊技者が発射した遊技球の個数(以下、発射球数と示す)に基づいて、遊技者の有する遊技球の個数(以下、遊技球数と示す)を電磁的に管理する。なお、前述の保有球数は、カードユニット100にて管理される遊技球の個数であり、パチンコ遊技機10にて管理する遊技球数とは異なるデータである。パチンコ遊技機10にて管理する遊技球数は、遊技者の持ち球に相当する。このように、管理遊技機としてのパチンコ遊技機10は、遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、データに基づいて遊技を可能に構成されている。パチンコ遊技機10にて管理する遊技球数はデータで管理されている球数である。
【0030】
パチンコ遊技機10は、枠体11を備える。枠体11は、機体を島設備に固定するための外枠11aと、各種の遊技部品を搭載するための搭載枠11bと、保護枠11cと、を備える。搭載枠11bは、外枠11aに対して開閉可能に支持されている。保護枠11cは、搭載枠11bに対して開閉可能に支持されている。保護枠11cは、搭載枠11bに搭載された遊技部品を保護する保護ガラス(不図示)を有する。保護枠11cは、所謂前枠、又はガラス枠である。パチンコ遊技機10は、枠11b,11cを施錠する施錠装置(不図示)を備える。パチンコ遊技機10は、施錠装置に適合する鍵を用いて解錠しなければ、外枠11aに対して枠11b,11cを開放できないように構成される。
【0031】
パチンコ遊技機10は、スピーカを一例とする演出音声装置12を備える。演出音声装置12は、搭載枠11bの前面側に配設されている。演出音声装置12は、所定の音声を出力する演出(以下、音声演出と示す)、及び所定の音声を出力する報知(以下、音声報知と示す)を実行可能である。例えば、所定の音声は、楽曲、及び効果音等である。パチンコ遊技機10は、スピーカを一例とする報知音声装置13を備える。報知音声装置13は、音声報知を実行可能である。本実施形態の一例において、演出音声装置12及び報知音声装置13のそれぞれは、搭載枠11bに配設されている。
【0032】
パチンコ遊技機10は、演出発光装置14を備える。演出発光装置14は、LEDなどを一例とする発光体(不図示)の点灯、点滅、及び消灯による演出(以下、発光演出と示す)を実行可能である。演出発光装置14は、発光体(不図示)の点灯、点滅、及び消灯による報知(以下、報知発光と示す)を実行可能である。本実施形態の一例において、演出発光装置14は、搭載枠11bに配設されている。これに限らず、演出発光装置14は、後述する遊技盤20に配設されていてもよい。
【0033】
パチンコ遊技機10は、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段の一例である発射ハンドル15を備える。発射ハンドル15は、搭載枠11bの前面側に配設されている。詳しくは後述するが、パチンコ遊技機10は、発射ハンドル15の操作に応じた発射強度にて遊技球を打ち出すように発射装置50を駆動するように構成されている。発射装置50は、遊技球を発射する発射手段の一例を構成する。発射ハンドル15は、回動させる操作を可能に支持されたハンドルレバー15aと、タッチセンサD01と、発射停止スイッチD02と、ハンドルボリュームD03と、を備える。
【0034】
タッチセンサD01は、発射ハンドル15の側面を囲うように配設された通電リング15bに接続されている。タッチセンサD01は、遊技者が発射ハンドル15を把持し、遊技者の手指が通電リング15bに触れるとタッチ信号を出力する。タッチ信号は、遊技者の手指が通電リング15bに触れているときにオン状態となり、触れていないときにオフ状態となる。タッチセンサD01は、遊技者が発射ハンドル15に触れていることを検知する手段の一例である。
【0035】
発射停止スイッチD02は、発射ハンドル15の側方にむかって突出する発射停止ボタン15cが押し込まれるとストップ信号を出力する。ストップ信号は、発射停止ボタン15cが操作されているとオン状態となり、操作されていないとオフ状態となる。発射停止ボタン15cは、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段の一例である。ハンドルボリュームD03は、ハンドルレバー15aが回動操作されていると、その回動操作量に応じた電圧のボリューム信号を出力する。パチンコ遊技機10は、遊技者が演出用の操作を可能な手段の一例として演出操作装置16を備える。演出操作装置16は、押下操作を可能なボタン型、表示装置を兼用するタッチセンサ型、又はレバー型であるとよい。
【0036】
パチンコ遊技機10は、内部に管理している遊技球数を特定可能な情報を表示する遊技球数表示装置17を備える。本実施形態の一例において、遊技球数表示装置17は、複数(例えば6個)の7セグを並べた構成とされており、複数(例えば6桁)の数字を表示可能である。遊技球数表示装置17は、所定の文字を表示することで、所定の情報の報知(以下、報知表示と示す)を実行可能である。遊技球数表示装置17は、データとして記憶されている遊技球の個数を報知する個数報知手段、又は個数表示手段の一例である。
【0037】
図1及び
図3に示すように、パチンコ遊技機10は、計数スイッチ18を備える。計数スイッチ18は、遊技者が操作可能である。遊技者は、パチンコ遊技機10での遊技を終了する場合や、遊技は継続させるが、例えばパチンコ遊技機10で管理する遊技球数が多くなり過ぎており、一部の管理を外部へ移管させたい場合に操作する。なお、これらの計数スイッチ18の操作は、パチンコ遊技機10で管理されている遊技球数に相当する数の遊技球である持ち球を管理するための操作である言える。詳しくは後述するが、計数スイッチ18は、予め定めた計数許容状態であるとき、計数スイッチ18を用いた計数操作が許容される。計数スイッチ18は、押込み操作がされると計数信号を出力する。パチンコ遊技機10は、計数許容状態であるか否かを報知する手段の一例である計数ランプ18aを備える。本実施形態の一例において、演出操作装置16、遊技球数表示装置17、計数スイッチ18、及び計数ランプ18aは、搭載枠11bの前面側において遊技者が操作可能な位置に纏まって配設されている。計数スイッチ18は、遊技者が操作可能な操作手段の一例であり、遊技者は持ち球を管理する際に操作する。
【0038】
図2に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤20を備える。遊技盤20は、搭載枠11bに組み付けられている。遊技盤20の前面には、正面視で略円形状の遊技領域20aが画成されている。遊技領域20aの略中央には、表示窓口20bが形成されている。遊技領域20aの左方には、発射装置50により発射された遊技球を遊技領域20aへと案内する打出通路20cが形成されている。遊技領域20a及び打出通路20cは、保護枠11cの保護ガラス(不図示)によって覆われている。本実施形態のパチンコ遊技機10は、遊技盤20に画成された遊技領域20aに遊技球を発射させることによって遊技が行われる遊技機である。
【0039】
遊技盤20は、各種の情報を表示する手段の一例を構成するメイン表示装置21を備える。詳しくは後述するが、メイン表示装置21は、主制御基板60によって制御される表示装置である。メイン表示装置21には、第1特別図柄表示装置21a、第2特別図柄表示装置21b、第1保留表示装置21c、第2保留表示装置21d、普通図柄表示装置21e、及び普通保留表示装置21fが少なくとも含まれる。本実施形態の一例において、メイン表示装置21を構成する複数の表示装置は、遊技者から視認可能な部分に纏めて配設されているが、これに限らず、一部又は全部が異なる部分に配設されていてもよい。
【0040】
第1特別図柄表示装置21aは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に特別図柄を停止表示させる第1特別図柄変動ゲーム(以下、第1特別ゲームと示す)を実行可能である。第2特別図柄表示装置21bは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に特別図柄を停止表示させる第2特別図柄変動ゲーム(以下、第2特別ゲームと示す)を実行可能である。特別図柄は、内部抽選(特別図柄の当り抽選)の結果を報知するための図柄である。以下、第1特別ゲーム、及び第2特別ゲームを纏めて「特別ゲーム」という。特別図柄には、大当り表示結果としての大当り図柄と、はずれ表示結果としてのはずれ図柄と、が少なくともある。パチンコ遊技機10では、特別図柄の当り抽選にて大当りに当選すると、特別ゲームにて大当り図柄が停止表示され、当該大当りの特別ゲームの終了後、大当り遊技が付与される。大当り遊技については後述する。
【0041】
第1保留表示装置21cは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている第1特別ゲームの回数(以下、第1保留数と示す)を特定可能な情報を表示する。第2保留表示装置21dは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている第2特別ゲームの回数(以下、第2保留数と示す)を特定可能な情報を表示する。
【0042】
普通図柄表示装置21eは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に普通図柄を停止表示させる普通ゲームを実行可能である。普通図柄は、内部抽選(普通図柄の当り抽選)の結果を報知するための図柄である。普通図柄には、普通当り図柄と、普通はずれ図柄と、が少なくともある。本実施形態では、普通図柄の当り抽選に当選すると、普通ゲームにおいて普通当り図柄が停止表示され、当該普通ゲームの終了後、普通当り遊技が付与される。普通保留表示装置21fは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている普通ゲームの回数を特定可能な情報を表示する。メイン表示装置21には、右打ちを指示する情報を表示する右打ち表示装置や、ラウンド遊技の上限回数を報知するラウンド表示装置が含まれていてもよい。
【0043】
パチンコ遊技機10は、画像を表示可能な画像表示領域を有する演出表示装置19を備える。演出表示装置19は、表示窓口20bを介して、画像表示領域19aを視認可能となるように、遊技盤20に組み付けられている。例えば、演出表示装置19は、液晶装置である。演出表示装置19は、所定の画像を表示する演出(以下、表示演出と示す)を実行可能である。例えば、所定の画像は、演出図柄、キャラクタ、風景、文字(文字列)、数字、及び記号などの画像である。以下の説明では、これらキャラクタ等について単に「表示する」と示す場合、これらキャラクタ等を画像として表示することを意味する。演出表示装置19は、所定の画像を表示する態様にて報知表示を実行可能である。
【0044】
演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19は、何れも所定の演出を実行可能な演出装置であり、複数の演出装置からなる演出装置群ESを構成する。上述のように、演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19は、何れも所定の報知を実行可能であるから、演出装置群ESは、報知装置群として把握することも可能である。演出装置群ESに含む演出装置(報知装置)は、演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19であることに限定されず、これらの演出装置の一部を省略した構成であってもよい。演出装置群ESは、これらの演出装置に加えて、または任意に選択できる1つまたは複数に代えて、可動演出を実行する演出可動装置を備えてもよく、振動演出を実行する演出振動装置を備えてもよい。
【0045】
例えば、演出表示装置19における表示演出には、複数列の演出図柄(飾り図柄)を用いた演出図柄変動ゲーム(以下、演出ゲームと示す)がある。演出ゲームでは、複数列の演出図柄が変動表示され、最終的に演出図柄の組合せ(以下、図柄組合せと示す)が停止表示される。演出図柄(飾り図柄)は、キャラクタや模様等の装飾が施された図柄であって、表示演出を多様化させるための図柄である。例えば、本実施形態の演出ゲームは、左図柄列、中図柄列、及び右図柄列の演出図柄をそれぞれ所定方向に変動表示(スクロール表示)させて行われる。演出ゲームでは、リーチを形成して行うリーチ演出を含む場合がある。
【0046】
演出ゲームは、特別ゲームとともに開始され、特別ゲームとともに終了される。演出ゲームでは、特別ゲームで停止表示される特別図柄に応じた図柄組合せが停止表示される。特別ゲームにて大当り図柄が停止表示されるとき、演出ゲームでは、大当りの図柄組合せが停止表示される。特別ゲームにてはずれ図柄が停止表示されるとき、演出ゲームでは、はずれの図柄組合せが停止表示される。以下の説明では、特別ゲームと、当該特別ゲームとともに実行される演出ゲームと、を纏めて「変動ゲーム」と示す。
【0047】
遊技領域20aには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が形成されている。入賞口には、第1始動口23と、第2始動口24と、大入賞口25と、普通入賞口27と、が少なくともある。第1始動口23は、賞球の付与条件、及び第1特別ゲームの保留条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。第1始動口23は、演出表示装置19の下方にあり、常時、遊技球を入球させることができるように開口している。遊技盤20は、第1始動口23へ入球した遊技球を検知する第1始動センサD11を備える(
図9参照)。
【0048】
第2始動口24は、賞球の付与条件、及び第2特別ゲームの保留条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。第2始動口24は、第1始動口23の右方にある。第2始動口24は、扉状であることを一例とする普通開閉片24aを備えており、普通当り遊技が付与されていないとき、遊技球を入球させることができない、又は入球し難いように閉鎖されている。第2始動口24は、普通当り遊技が付与されると、遊技球を入球させることができる、又は入球し易いように開放される。遊技盤20は、第2始動口24を開放させる手段として、普通ソレノイドSL1を備える(
図9参照)。また、遊技盤20は、第2始動口24へ入球した遊技球を検知する第2始動センサD12を備える(
図9参照)。普通開閉片24aは、所謂「普通電動役物」である。
【0049】
大入賞口25は、賞球の付与条件を成立させるに際して、遊技球を入球させる入賞口である。大入賞口25は、演出表示装置19の右下方にある。大入賞口25は、扉状であることを一例とする特別開閉片25aを備えており、大当り遊技が付与されていないとき、遊技球を入球させることができない、又は入球し難いように閉鎖されている。大入賞口25は、大当り遊技が付与されると、遊技球を入球させることができる、又は入球し易いように開放される。遊技盤20は、大入賞口25を開放させる手段として、特別ソレノイドSL2を備える(
図9参照)。また、遊技盤20は、大入賞口25へ入球した遊技球を検知するカウントセンサD13を備える(
図9参照)。
【0050】
普通入賞口27は、賞球の付与条件を成立させるに際して、遊技球を入球させる入賞口である。普通入賞口27は、演出表示装置19の左下方、及び演出表示装置19の右下方にそれぞれある。普通入賞口27は、常時、遊技球を入球させることができるように開口している。遊技盤20は、普通入賞口27へ入球した遊技球を検知する普通センサD14を備える(
図9参照)。
【0051】
遊技領域20aには、ゲート28が配設されている。ゲート28は、遊技領域20aの右方領域であって、第2始動口24、及び大入賞口25の上方にある。ゲート28には、常時、遊技球を入球させることができるように開放されたゲート口28aを有する。ゲート口28aには、入球し、通過する遊技球を検知するゲートセンサD15が配設されている(
図9参照)。ゲート28は、普通ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。ゲート28は、遊技球が入球しても賞球の付与条件が成立しない。遊技領域20aの最下方には、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、及び普通入賞口27の何れにも入球しなかった遊技球を遊技領域20aから排出するためのアウト口29が形成されている。アウト口29は、遊技領域20aからの排出口や返却口としても把握できる。
【0052】
また、搭載枠11bは、異常な電波として所定の強度を超える電波を検知する電波センサD16を備える(
図8参照)。電波センサD16は、異常な電波を検知すると電波検知信号を出力する。遊技盤20は、搭載枠11bにある電波センサD16に加えて、電波センサを備え、遊技盤20にて異常な電波を検出できる構成であってもよい。なお、パチンコ遊技機10は、搭載枠11b及び遊技盤20の一方又は両方に磁気センサを備え、磁石の接近を検知できる構成であってもよい。
【0053】
搭載枠11bは、当該搭載枠11bに対して保護枠11cが開放されていることを検知する第1扉開放スイッチD17を備える(
図8参照)。第1扉開放スイッチD17は、保護枠11cの開放を検知すると第1扉開放信号を出力する。搭載枠11bは、外枠11aに対して搭載枠11bが開放されていることを検知する第2扉開放スイッチD18を備える(
図8参照)。第2扉開放スイッチD18は、搭載枠11bの開放を検知すると第2扉開放信号を出力する。
【0054】
遊技者は、発射ハンドル15の操作により、遊技球の発射強度を調整し、表示窓口20bより左方にある左方領域、及び表示窓口20bより右方にある右方領域に遊技球を打ち分ける。例えば、発射強度を強めに調整して遊技球を発射した場合(以下、右打ちと示す)、遊技球は、右方領域に流下案内され易く、第2始動口24、大入賞口25、普通入賞口27、又はゲート28へ入球する可能性がある。右打ちは、遊技球を右方領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度又は最大強度よりも若干弱い強度に調整して行う。一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(以下、左打ちと示す)、遊技球は、左方領域に流下案内され易く、第1始動口23、又は普通入賞口27へ入球する可能性がある。左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないため、発射させた遊技球が右方領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。本実施形態では、右打ちした場合、第1始動口23へ遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技部品によって遊技球の流路が形成されている。遊技部品は、右打ちしたときに第1始動口23への入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちしたときに比して、第1始動口23へ入球し難いように配置されていてもよい。
【0055】
本実施形態における左方領域は、遊技盤20を正面視したときに遊技領域20aを左右に二等分する中心線CLよりも左側に位置する領域である。本実施形態における右方領域は、遊技盤20を正面視したときに中心線CLよりも右側に位置する領域である。発射ハンドル15の操作によって発射された遊技球は、遊技領域20aの左側にある打出通路20cに案内され、遊技領域20aに到達する。このため、左方領域は、打出通路20c寄りの領域でもあり、右方領域は、打出通路20cから離れた領域でもある。左方領域を流下案内される遊技球は、正面視において遊技領域20aの中央に位置する演出表示装置19の左側を通り、遊技領域20aの最下方に位置するアウト口29へ向かう。一方、右方領域を流下案内される遊技球は、正面視において遊技領域20aの中央に位置する演出表示装置19の右側を通り、アウト口29へ向かう。
【0056】
図4に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技領域20aに打ち出されて遊技に使用された後に遊技盤20から排出される遊技球を回収する回収通路30と、メンテナンス装置35を備える揚上機構36と、を有する。また、パチンコ遊技機10は、メンテナンスが実施された遊技球を1球ずつ切り出すように供給する供給装置40と、供給装置40から供給される遊技球を発射する発射装置50と、を有する。揚上機構36は、回収通路30を通じて回収された遊技球を、揚上機構36よりも下流側であって上方に位置する供給装置40へ移送する。メンテナンス装置35は、揚上機構36の一部を構成している。供給装置40は、遊技球を発射装置50へ供給する供給機構を構成している。本実施形態では、発射装置50と供給装置40により、遊技球の発射動作を行う発射機構を構成している。パチンコ遊技機10は、上述した打出通路20cと、ファール球(戻り球)を回収するためのファール通路20fを有する。ファール球は、発射装置50によって発射されたが、遊技領域20aへ到達しなかった遊技球である。本実施形態の一例において、供給装置40、発射装置50及び揚上機構36は、遊技領域20aの下方に配設されている。これに限らず、供給装置40及び発射装置50は遊技領域20aの左上部分に配設されていてもよい。
【0057】
回収通路30は、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、及び普通入賞口27へ入賞した遊技球を合流させて回収する入賞通路31と、アウト口29を通過した遊技球を回収する非入賞通路32と、を有する。回収通路30は、入賞通路31と非入賞通路32とが合流する第1合流部33aを有する。回収通路30は、入賞通路31、非入賞通路32、及びファール通路20fが合流する第2合流部33bを有する。回収通路30は、第2合流部33bとメンテナンス装置35を有する揚上機構36とを繋ぐ供給通路34を有する。遊技領域20aに到達した遊技球は、遊技領域20aを流下する。遊技球は、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、普通入賞口27、及びアウト口29の何れかに入球すると、入賞通路31又は非入賞通路32を流通して第1合流部33aにて合流した後、供給通路34を通ってメンテナンス装置35へと到達する。供給通路34の出口面積は、1球の遊技球が通過可能な大きさである。よって、遊技球は、供給通路34を通過することで一列に整列される。
【0058】
メンテナンス装置35は、所定のメンテナンスの一例として研磨を行う装置である。メンテナンス装置35は、遊技球と接触するように配設された研磨ベルト(不図示)を備える。遊技球は、メンテナンス装置35を通過するとき、研磨ベルトと接触して研磨される。本実施形態の一例において、メンテナンス装置35は、研磨ベルトと当該研磨ベルトを駆動するための機構とが一体となったユニットとして構成されている。メンテナンス装置35は、研磨ベルトの使用が完了するなどして交換時期が到来したとき、ユニットとして交換可能となるように搭載枠11bに組み付けられている。一例として、メンテナンス装置35は、搭載枠11bを開放したとき、搭載枠11bの裏側からアクセス可能な位置に配設されている。メンテナンス装置35にてメンテナンスが実施された遊技球は、一列に並んだ状態のまま供給装置40に供給される。
【0059】
パチンコ遊技機10は、供給通路34を通過する遊技球を検知する球通路球詰り監視センサD27を備える。球通路球詰り監視センサD27は、供給通路34を通過する遊技球を検知すると、球詰り検知信号を出力する。球詰り検知信号は、球通路を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0060】
供給装置40と、発射装置50とは、所定の方向(一例として前後方向)に並ぶように隣接する。供給装置40、及び発射装置50の詳細については後述する。供給装置40から1球ずつ供給される遊技球は、発射装置50に流入する。打出通路20cは、発射装置50と遊技領域20aとを繋ぐ。打出通路20cは、遊技盤20の前面側において、遊技領域20aの左側縁部に沿って、上下方向に沿って延びるように形成されている。発射装置50によって発射された遊技球は、打出通路20cを通過し、遊技領域20aへと案内される。
【0061】
ファール通路20fは、打出通路20cの途中の部分と、回収通路30の何れかの部分と、を繋ぐ通路である。打出通路20cからファール通路20fに流入した遊技球は、回収通路30へと還流され、供給通路34から再び供給装置40へ供給される。発射装置50によって発射された遊技球は、打出通路20cに流入するとともに案内され、遊技領域20aへ到達する。ここで、発射装置50による発射強度が不足することによって失速し、遊技領域20aへ到達せずに打出通路20cを逆流(落下)することもある。
【0062】
パチンコ遊技機10は、ファール通路20fを通過する遊技球(ファール球)を検知するファールセンサD21を備える。ファールセンサD21は、回収通路30の第2合流部33bよりも上流であって、ファール通路20fに隣接して設けられている。ファールセンサD21は、ファール通路20fを通過する遊技球を検知すると、ファール信号を出力する。ファール信号は、ファール通路20fを通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0063】
パチンコ遊技機10は、入賞通路31を通過する遊技球を検知する入賞通路カウントセンサD25を備える。入賞通路カウントセンサD25は、回収通路30の第1合流部33aよりも上流であって、入賞通路31に隣接して設けられている。入賞通路カウントセンサD25は、入賞通路31を通過する遊技球を検知すると、入賞通路信号を出力する。入賞通路信号は、入賞通路31を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0064】
パチンコ遊技機10は、非入賞通路32を通過する遊技球を検知する非入賞通路カウントセンサD26を備える。非入賞通路カウントセンサD26は、回収通路30の第1合流部33aよりも上流であって、非入賞通路32に隣接して設けられている。非入賞通路カウントセンサD26は、非入賞通路32を通過する遊技球を検知すると、非入賞通路信号を出力する。非入賞通路信号は、非入賞通路32を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0065】
パチンコ遊技機10は、回収通路30の第1合流部33aを通過する遊技球を検知するアウトセンサD30を備える。アウトセンサD30は、回収通路30の第1合流部33aと第2合流部33bの間であって、回収通路30に隣接して設けられている。アウトセンサD30は、回収通路30を通過する遊技球を検知すると、アウト信号を出力する。アウト信号は、回収通路30を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。アウトセンサD30で検知される遊技球は、入賞通路31又は非入賞通路32の何れかを通過した遊技球である。以下、アウトセンサD30で検知される遊技球を、アウト球と示す場合もある。
【0066】
パチンコ遊技機10は、供給通路34を通過して揚上機構36へ到達した遊技球を検知する揚上入口センサD28と、揚上機構36を通過して移送される遊技球を検知する揚上出口センサD29と、を備える。揚上入口センサD28は、揚上機構36においてメンテナンス装置35によるメンテナンス前の遊技球を受け入れる入口に繋がる通路に隣接して設けられている。揚上出口センサD29は、揚上機構36においてメンテナンス装置35によるメンテナンス後の遊技球を排出する出口に繋がる通路に隣接して設けられている。揚上入口センサD28は、遊技球を検知すると、揚上入口信号を出力する。揚上入口信号は、遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。揚上出口センサD29は、遊技球を検知すると、揚上出口信号を出力する。揚上出口信号は、遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0067】
パチンコ遊技機10は、供給通路34から遊技球を機外に排出するための排出口(不図示)と、当該排出口を開閉する開閉片(不図示)と、当該開閉片を開閉動作する際に操作される開閉レバー(不図示)と、を備える。本実施形態では、開閉レバーを操作して開閉片を変位させることにより排出口を開放し、当該開放口から遊技球を機外に排出することができる。なお、開閉レバーを操作していない状態では、排出口が開閉片によって閉鎖される。
【0068】
供給装置40について説明する。
図5及び
図6に示すように、供給装置40は、揚上機構36を通じてメンテナンス装置35でメンテナンスされた後の遊技球を受け入れる受入部41と、受入部41にて受け入れた遊技球を1球ずつ切り出すように動作する可動片42と、可動片42を駆動する供給ソレノイド43と、切り出された遊技球を発射装置50へ案内する供給部44と、を有する。供給装置40は、供給入口センサD22と、供給出口センサD23と、を備える。
【0069】
受入部41には、メンテナンス装置35から流出した遊技球が一列で並んだ状態で進行できる受入通路41aが形成されている。供給部44は、可動片42によって遊技球Kの列から切り出された遊技球を発射装置50へ進行させる供給通路44aが形成されている。可動片42は、受入通路41aと供給通路44aとの境界部分に配設されている。
【0070】
可動片42は、1球の遊技球Kを保持(収容)可能な保持部42aと、回動軸42bと、を有する。可動片42は、遊技球を係止可能な係止部の一例である。可動片42は、停止位置42P1と、停止位置42P1よりも下方に回動した供給位置42P2と、の間において、回動軸42bを回動中心として変位可能に支持されている。停止位置42P1は、受入通路41aから保持部42aへの遊技球Kの流入を許容し、保持部42aから供給通路44aへの遊技球Kの流出を規制する位置である。供給位置42P2は、受入通路41aから保持部42aへの遊技球Kの流入を規制し、保持部42aから供給通路44aへの遊技球Kの流出を許容する位置である。
【0071】
可動片42が停止位置42P1から供給位置42P2へ変位すると、受入通路41aにある遊技球Kが可動片42によってせき止められる一方、保持部42aに保持された遊技球Kが供給通路44aへ放出される。可動片42が供給位置42P2から停止位置42P1へ変位すると、受入通路41aにある遊技球Kが保持部42aへ流入する一方、遊技球Kが保持部42aから供給通路44aへ流出しない。供給ソレノイド43は、通電によってオン状態となり、可動片42が停止位置42P1に変位する。可動片42は、供給ソレノイド43がオン状態であることで停止位置42P1に保持される。一方、供給ソレノイド43は、通電の解除によってオフ状態になり、重力によって可動片42が供給位置42P2へと変位する。可動片42は、供給ソレノイド43がオフ状態であることによって供給位置42P2に保持される。供給ソレノイド43は、可動片42による係止を解除して遊技球が発射装置50へと供給されるように駆動する供給アクチュエータの一例である。
【0072】
供給入口センサD22は、受入通路41aに隣接して設けられており、当該受入通路41aを通過する遊技球Kを検知すると供給入口信号を出力する。供給入口信号は、受入通路41aを通過する遊技球Kが検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。供給出口センサD23は、供給通路44aに隣接して設けられており、当該供給通路44aを通過する遊技球Kを検知すると供給出口信号を出力する。供給出口信号は、供給通路44aを通過する遊技球Kが検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
【0073】
発射装置50について説明する。
図7に示すように、発射装置50は、正面視において遊技盤20の下方に配設されている。発射装置50は、供給装置40から供給される遊技球Kを受け入れる発射部51と、発射部51にある遊技球Kを打ち出す発射ハンマー52と、発射ハンマー52が遊技球を打撃するように駆動する発射ソレノイド53を有する。発射装置50は、打出通路20cから逆流(落下)してくるファール球(遊技球K)を受け入れる受入部55と、ファール通路20fを形成するファール通路部56と、を有する。
【0074】
発射部51には、遊技球Kを保持する発射位置51aが形成されている。遊技球Kは、供給通路44aを流下し、発射位置51aに保持される。発射ハンマー52は、基端部にある回動軸52aと、先端部にある打球部52bと、を有する。発射ハンマー52は、打球部52bによって遊技球Kを打球する打球位置52P1と、打球位置52P1より下方に回動した退避位置52P2と、の間において、回動軸52aを回動中心として変位可能に支持されている。発射ハンマー52は、遊技球を打撃する打撃部の一例である。
【0075】
発射ソレノイド53は、通電によってオン状態となり、発射ハンマー52が打球位置52P1に変位する。矢印Y1に示すように、発射ハンマー52が打球位置52P1に変位すると、発射位置にある遊技球Kに打球部52bが打ち付けられ、遊技球Kが打出通路20cに向かって打ち出される。十分な強度にて発射された遊技球Kは、打出通路20cを通過し、遊技領域20aへ到達する。発射ソレノイド53は、通電が解除されると、重力によって発射ハンマー52が退避位置52P2に変位する。発射ハンマー52は、発射ソレノイド53がオフ状態であることによって退避位置52P2に保持される。発射ソレノイド53は、発射ハンマー52が遊技球を打撃するように駆動する発射アクチュエータの一例である。発射アクチュエータは、モーターであってもよい。
【0076】
受入部55は、打出通路20cの下方において開口する受入空間55aを形成している。受入部55の下端部は、ファール通路20fを形成する通路部材と繋がっている。つまり、受入空間55aの下端部は、ファール通路20fと繋がっている。矢印Y2,Y3に示すように、ファール球は、打出通路20cから受入空間55aへと流入し、ファール通路20fを通過して供給装置40へと還流される。また、上述のように、ファールセンサD21は、ファール通路20fに隣接して設けられている。
【0077】
本実施形態のパチンコ遊技機10は、遊技球を循環させる封入式の遊技機である。このようなパチンコ遊技機10は、
図4に示すように、遊技盤20に打ち出された遊技球(ファール球を含む)を再び発射装置50へ移送する通路を有する。具体的に言えば、前述した移送のための通路には、入賞通路31と非入賞通路32と供給通路34とからなる回収通路30と、供給通路34を移送された遊技球を受け入れる揚上機構36の通路と、揚上機構36と供給装置40とを繋ぐ通路と、供給装置40と発射装置50とを繋ぐ通路と、を含む。なお、前述した移送のための通路には、第2合流部33bにて回収通路30に繋がるファール通路20fも含む。また、前述した移送のための通路には、当該通路を移送される遊技球を検知する複数の検知手段としてのセンサが設けられている。具体的に言えば、前述したセンサには、ファールセンサD21と、供給入口センサD22と、供給出口センサD23と、入賞通路カウントセンサD25と、非入賞通路カウントセンサD26と、球通路球詰り監視センサD27、揚上入口センサD28と、揚上出口センサD29と、アウトセンサD30と、を含む。
【0078】
次に、大当り遊技について説明する。
大当り遊技では、最初に、予め定めた時間(以下、オープニング時間と示す)にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の開始を認識可能なオープニング演出である。大当り遊技では、オープニング時間の経過後に、大入賞口25を開放するラウンド遊技が予め定めた上限回数を上限として行われる。1回のラウンド遊技は、予め定めた上限個数の遊技球が入球する個数条件、又は予め定めた上限時間が経過する時間条件の成立により終了される。ラウンド遊技において、大入賞口25は、所定の開放態様(開放パターン)にて開放される。各ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。大当り遊技では、最終回のラウンド遊技が終了すると、予め定めた時間(以下、エンディング時間と示す)にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の終了を認識可能なエンディング演出である。大当り遊技は、エンディング時間の経過に伴って終了される。
【0079】
パチンコ遊技機10は、確率変動機能(以下、確変機能と示す)を搭載している。
確率変動機能は、大当り抽選にて大当りに当選する確率(以下、大当り確率と示す)を変動させるための機能である。即ち、パチンコ遊技機10は、大当り確率が異なり得る状態として、確変機能が作動しない低確率状態と、確変機能が作動する高確率状態と、を備える。高確率状態は、低確率状態に比して大当り確率が高い。高確率状態では、大当り確率が低確率状態に比して高まることから、遊技者にとって極めて有利な状態となる。高確率状態は、所謂「確率変動状態(確変状態)」である。
【0080】
パチンコ遊技機10は、入球補助機能を搭載している。
入球補助機能は、第2始動口24への入賞を補助することにより、第2始動口24への入球率を変動させるための機能である。即ち、パチンコ遊技機10は、第2始動口24への入球率が異なり得る状態として、入球補助機能が作動しない低入球率状態と、入球補助機能が作動する高入球率状態と、を備える。高入球率状態は、低入球率状態に比して、遊技球が第2始動口24へ入球する確率が高い。高入球率状態では、遊技球が第2始動口24へ入球する確率が高まり、第2始動口24への遊技球の入球が容易になることから、遊技者にとって有利な状態(入球容易状態)となる。高入球率状態は、所謂「電サポ状態」であり、低入球率状態は、所謂「非電サポ状態」である。
【0081】
例えば、高入球率状態は、次に説明する3つの制御のうち、任意に選択された1の制御を行うことによって、又は複数の制御を組み合わせて行うことによって実現できる。1つめの制御は、普通ゲームの変動時間を、低入球率状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。2つめの制御は、普通当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、低入球率状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。3つめの制御は、1回の普通当り遊技における第2始動口24の合計開放時間を、低入球率状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。開放時間延長制御は、1回の普通当り遊技における第2始動口24の開放回数を低入球率状態のときよりも多くする制御、及び普通当り遊技における第2始動口24の1回の開放時間を低入球率状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方であるとよい。高入球率状態は、次に説明する4つめの制御を組み合わせて実現してもよい。4つめの制御は、特別ゲームの変動時間(例えば平均の変動時間)を、低入球率状態のときよりも短くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を行う場合、高入球率状態は、特別図柄の変動時間短縮状態(時短状態)となり、低入球率状態は、特別図柄の非変動時間短縮状態(非時短状態)となる。
【0082】
パチンコ遊技機10では、確変機能の作動の有無と、入球補助機能の作動の有無と、の組み合わせによって遊技状態が作り出される。以下の説明では、低確率状態、且つ低入球率状態である遊技状態を「低確低入球率状態」と示し、高確率状態、且つ低入球率状態である遊技状態を「高確低入球率状態」と示す。また、低確率状態、且つ高入球率状態である遊技状態を「低確高入球率状態」と示し、高確率状態、且つ高入球率状態である遊技状態を「高確高入球率状態」と示す。
【0083】
パチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。
図8に示すように、パチンコ遊技機10は、主制御基板60、及び演出制御基板(副制御基板)70を機裏側に備える。主制御基板60は、主制御部の一例である。主制御基板60と、演出制御基板70とは、主制御基板60から演出制御基板70へと一方向に制御情報(制御コマンドなど)を出力可能となるように接続されている。主制御基板60は、所定の処理を実行し、演出制御基板70へ制御情報を出力する。演出制御基板70は、主制御基板60から入力した制御情報に基づいて所定の処理を実行する。
【0084】
パチンコ遊技機10は、枠制御基板80、及び発射制御基板90を機裏側に備える。枠制御基板80及び発射制御基板90は、所定の制御を行う制御手段の一例を構成する。枠制御基板80は、供給装置40を少なくとも制御する供給制御部及び枠制御部の一例となり、発射制御基板90は、発射装置50を制御する発射制御部の一例となる。主制御基板60と、枠制御基板80とは、双方向に制御情報(電文など)を出力可能となるように接続されている。枠制御基板80と、発射制御基板90とは、双方向に制御情報を出力可能となるように接続されている。パチンコ遊技機10の枠制御基板80と、カードユニット100のCU制御基板105とは、パチンコ遊技機10に設けられた接続端子板98を介して、双方向に制御情報(電文など)を出力可能となるように接続されている。
【0085】
パチンコ遊技機10は、電源ユニット99を機裏側に備える。電源ユニット99は、外部から電力供給を受けるとともに入力電圧を所定電圧に変換し、演出制御基板70及び枠制御基板80に供給する。枠制御基板80に供給された電力は、さらに主制御基板60及び発射制御基板90に対して供給される。電源ユニット99は、供給ソレノイド43、発射ソレノイド53、各種のセンサ、及びスイッチに対して電力を供給する。電源ユニット99は、メインスイッチ99aを備える。パチンコ遊技機10は、メインスイッチ99aをオン状態としたまま電源ユニット99に対して電力供給を開始するか、電力供給をした状態のままメインスイッチ99aをオン状態とすることによって、電源投入が可能に構成されている。
【0086】
主制御基板60について説明する。
図9に示すように、主制御基板60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、乱数生成回路64と、を備える。CPU61は、主制御プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を実行する。ROM62は、主制御プログラム、各種の判定や抽選に用いる判定値、及びテーブルなどを記憶している。ROM62は、複数種類の変動パターンを記憶している。変動パターンは、特別ゲームが開始してから終了するまでの変動時間を特定可能な情報である。変動パターンは、特別ゲームの実行中に行う演出ゲームの変動内容(演出内容)を特定可能な情報である。変動パターンには、大当り変動パターンと、はずれ変動パターンと、がある。大当り変動パターンに基づく演出ゲームは、リーチ演出を経て最終的に大当りの図柄組合せが停止表示される変動内容となる。はずれ変動パターンに基づく演出ゲームは、リーチ演出を経て、又はリーチ演出を経ないで最終的にはずれの図柄組合せが停止表示される変動内容となる。
【0087】
RAM63は、CPU61の処理結果に応じて書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM63が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。RAM63は、情報を記憶可能な記憶手段の一例である。乱数生成回路64は、ハードウェア乱数を生成する。主制御基板60は、CPU61による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能に構成されていてもよい。
【0088】
主制御基板60は、第1始動センサD11、第2始動センサD12、カウントセンサD13、普通センサD14、及びゲートセンサD15と接続されている。CPU61は、各センサD11~D15が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能である。主制御基板60は、各表示装置21a~21fと接続されている。CPU61は、各表示装置21a~21fの表示内容を制御可能である。主制御基板60は、各ソレノイドSL1,SL2と接続されている。CPU61は、各ソレノイドSL1,SL2の動作を制御することにより、第2始動口24、及び大入賞口25の開放態様を制御可能である。
【0089】
演出制御基板70について説明する。
演出制御基板70は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、を備える。CPU71は、副制御プログラムを実行することにより、演出に関する処理を行う。ROM72は、副制御プログラム、及び所定の抽選に用いる判定値などを記憶している。ROM72は、表示演出に用いる表示演出データ、発光演出に用いる発光演出データ、及び音声演出に用いる音声演出データを記憶している。RAM73は、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM73が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。演出制御基板70は、CPU71による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能に構成されている。演出制御基板70は、乱数生成回路を備え、ハードウェア乱数を生成可能であってもよい。
【0090】
演出制御基板70は、演出表示装置19と接続されている。CPU71は、演出表示装置19の画像表示領域19aにおける表示内容を制御可能である。演出制御基板70は、演出音声装置12と接続されている。CPU71は、演出音声装置12の出力内容を制御可能である。演出制御基板70は、演出発光装置14と接続されている。CPU71は、演出発光装置14の発光態様を制御可能である。
【0091】
枠制御基板80について説明する。
図8に示すように、枠制御基板80は、CPU81、ROM82、RAM83、性能表示モニタ84、球抜きスイッチ85、エラー解除スイッチ86、遊技球クリアスイッチ87、RAMクリアスイッチ88、バックアップ電源89、バックアップ回路89a、及び発射許可回路89bを備える。CPU81は、枠制御プログラムを実行することにより、搭載枠11bの搭載部品の動作に関する処理を行う。ROM82は、枠制御プログラムなどを記憶している。RAM83は、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM83が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。
【0092】
性能表示モニタ84は、ベース値を表示する。ベース値は、通常遊技時における有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数の割合(比率)を示す値である。通常遊技は、低確低入球率状態であって、且つ大当り遊技が行われていないときの遊技である。有効球は、発射装置50から発射された遊技球のうち、遊技領域20aへと到達した遊技球である。ベース値は、大当り遊技中ではないことを前提とし、「通常遊技時における獲得賞球総数÷通常遊技時における有効球総数×100」の計算式によって求められる。性能表示モニタ84は、遊技球のベースに関する情報を表示可能なベース表示手段の一例である。
【0093】
球抜きスイッチ85は、パチンコ遊技機10の機内部に封入された遊技球を機外に排出可能とする球抜き状態を生起するに際して操作されるスイッチである。球抜きスイッチ85は、押込み操作がされると球抜き信号を出力する。球抜き信号は、球抜きスイッチ85が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。球抜き信号は、CPU81に出力される。なお、本実施形態において球抜き状態は、電源投入後、所定時間の間、生起させることができる。つまり、球抜きスイッチ85の操作は、電源投入後、所定時間の間、有効な操作とされており、電源投入後、所定時間の間以外での操作は無効とされる。
【0094】
エラー解除スイッチ86は、所定のエラーが発生した場合に、当該エラーの要因解除後にエラー状態を解除するに際して操作されるスイッチである。エラー解除スイッチ86は、押込み操作がされるとエラー解除信号を出力する。エラー解除信号は、エラー解除スイッチ86が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。エラー解除信号は、CPU81に出力される。
【0095】
遊技球クリアスイッチ87は、RAM83にデータとして記憶されている遊技球数(以下、遊技球数情報と示す)を0に初期化するに際して操作されるスイッチである。遊技球クリアスイッチ87は、押込み操作がされると遊技球クリア信号を出力する。遊技球クリア信号は、遊技球クリアスイッチ87が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。遊技球クリア信号は、CPU81に出力される。遊技球クリアスイッチ87が操作されると、遊技球数情報を0に初期化する状態が生起される。なお、本実施形態において遊技球数情報を0に初期化する状態は、電源投入時に生起させることができる。つまり、遊技球クリアスイッチ87の操作は、電源投入時に有効な操作とされており、電源投入時以外での操作は無効とされる。
【0096】
RAMクリアスイッチ88は、RAM63に記憶されているメイン情報、及びRAM83に記憶されている情報の初期化(以下、RAMクリアと示す)を行うに際して操作されるスイッチである。RAMクリアスイッチ88は、押込み操作がされるとRAMクリア信号を出力する。RAMクリア信号は、RAMクリアスイッチ88が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。RAMクリア信号は、CPU81に出力されるとともに、主制御基板60(CPU61)に出力される。
【0097】
バックアップ電源89は、外部からの電力供給が遮断された状態であっても、RAM83のほか、主制御基板60(RAM63)に対してバックアップ電力を供給する。RAM63,83は、バックアップ電源89からバックアップ電力の供給を受けることにより、電源断時におけるRAM63,83の記憶内容を電源断の後にも保持可能である。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機10は、バックアップ機能を搭載している。これに限らず、RAM63,83の一方又は両方は、電力供給が停止されている状態であっても記憶内容を保持可能な不揮発性メモリであることにより、電源断がされた後にも記憶している情報を保持可能であってもよい。
【0098】
バックアップ電源89は、一例として、外部からの電力供給がされているときに蓄電する蓄電装置であるとよい。バックアップ電源89は、外部からの電力供給が遮断された状態であっても、少なくとも発射制御基板90(発射制御回路91)及び発射ソレノイド53が所定の動作を完了するのに要する所定の時間(以下、供給時間と示す)が経過する迄の間、これらに対してバックアップ電力を供給する。なお、供給時間は、発射制御基板90及び発射ソレノイド53に供給するために蓄電した電力容量に関連し、当該電力の放出に要する時間であってもよく、所定の回路によって規定される時間であってもよい。
【0099】
RAM63に記憶可能であり、且つバックアップの対象となる情報には、メイン情報がある。メイン情報は、遊技の進行に関する情報である。一例として、メイン情報には、大当り状態(ラウンド遊技の回数を含む)に関する情報、遊技状態に関する情報、保留数に関する情報、普通図柄及び特別図柄に関する情報、及びエラー状態に関する情報がある。
【0100】
RAM83に記憶可能であり、且つバックアップの対象となる情報には、遊技球数情報と、遊技情報と、性能情報と、がある。遊技球数情報は、遊技球数を特定可能な情報である。遊技情報は、遊技の進行状況に応じて主制御基板60から通知される情報である。一例として、遊技情報には、始動口入賞の発生、普通入賞の発生、大当り遊技における大入賞口入賞の発生、ゲート通過、特別図柄の確定(変動ゲームの終了)、大当りの発生、及び現在の遊技状態などを特定可能な情報がある。性能情報は、ベース値、及び当該ベース値の演算に係る情報である。ベース値の演算に係る情報には、通常遊技時における獲得賞球総数、及び通常遊技時における有効球総数がある。
【0101】
バックアップ回路89aは、電源ユニット99から供給される電源電圧が規定電圧よりも低下すると電源断検出信号をCPU81に出力するとともに、主制御基板60のCPU61に出力する。発射許可回路89bは、発射制御基板90に対し、遊技球の発射を許容する発射許可状態にあることを特定可能な信号(以下、発射許可信号と示す)を出力するための回路である。発射許可信号の出力条件については後述する。
【0102】
枠制御基板80は、計数スイッチ18と接続されている。CPU81は、計数スイッチ18が出力する計数信号を入力可能に構成されている。枠制御基板80は、電波センサD16、第1扉開放スイッチD17、第2扉開放スイッチD18、ファールセンサD21、供給入口センサD22、供給出口センサD23、入賞通路カウントセンサD25、非入賞通路カウントセンサD26、及び球通路球詰り監視センサD27と接続されている。また、枠制御基板80は、揚上入口センサD28、揚上出口センサD29、及びアウトセンサD30と接続されている。CPU81は、これらのセンサやスイッチが出力する電波信号、第1扉開放信号、第2扉開放信号、ファール信号、供給入口信号、供給出口信号、入賞通路信号、非入賞通路信号、球詰り検知信号、揚上入口信号、揚上出口信号、及びアウト信号を入力可能に構成されている。枠制御基板80は、これらの信号のうち、第1扉開放信号及び第2扉開放信号を主制御基板60に出力する。
【0103】
枠制御基板80は、報知音声装置13と接続されている。CPU81は、報知音声装置13の出力内容を制御可能である。枠制御基板80は、遊技球数表示装置17と接続されている。CPU81は、遊技球数表示装置17の表示内容を制御可能に構成されている。
【0104】
枠制御基板80は、メンテナンス装置35と接続されている。CPU81は、メンテナンス装置35のメンテナンス動作を制御可能に構成されている。枠制御基板80は、揚上機構36と接続されている。CPU81は、揚上機構36の揚上動作を制御可能に構成されている。枠制御基板80は、供給ソレノイド43と接続されている。CPU81は、供給ソレノイド43に対する通電を制御することにより、可動片42を変位させることができる。つまり、CPU81は、供給装置40による遊技球の供給動作を制御可能に構成されている。
【0105】
上述のように、枠制御基板80は、カードユニット100と接続されている。CPU81は、CU制御基板105が送信する各種の電文を受信可能に構成されている。なお、カードユニット100が出力する接続信号は、接続端子板98からCPU81を経由せずに発射許可回路89bへと入力される。詳しくは後述するが、発射許可回路89bには、主制御基板60が出力する発射停止信号、及びCPU81が出力するエラー信号も入力される。
【0106】
発射制御基板90は、発射装置50の動作を制御するための発射制御回路91を備える。発射制御回路91は、枠制御基板80から入力する制御信号、センサやスイッチから入力する信号に基づき、発射ソレノイド53に対して駆動信号を出力する。
【0107】
発射制御基板90は、タッチセンサD01、発射停止スイッチD02、及びハンドルボリュームD03と接続されている。発射制御回路91は、これらのスイッチやセンサが出力するタッチ信号、ストップ信号、及びボリューム信号を入力可能に構成されている。発射制御基板90は、発射ソレノイド53と接続されている。発射制御回路91が発射ソレノイド53に対して駆動信号を出力することによって、発射ソレノイド53が駆動し、発射ハンマー52が打球位置52P1へ変位する。つまり、発射制御基板90は、発射装置50による遊技球の発射動作を制御可能に構成されている。
【0108】
発射制御回路91は、動作判定部、パルスクロック生成部、タイミングパルス生成部、保持回路、及びソレノイド駆動部を有する。動作判定部は、枠制御基板80からの発射許可信号がオン状態であり、発射停止スイッチD02からのストップ信号がオフ状態であり、且つタッチセンサD01からのタッチ信号がオン状態であることで動作可能条件が成立している場合、動作信号をタイミングパルス生成部に出力する。動作判定部は、枠制御基板80からの発射許可信号がオン状態であること、発射停止スイッチD02からのストップ信号がオフ状態であること、且つタッチセンサD01からのタッチ信号がオン状態であることの一部又は全部が満たされていないことにより動作可能条件が成立していない場合、動作信号をタイミングパルス生成部に出力しない。
【0109】
タイミングパルス生成部は、動作信号を入力している場合、当該動作信号と、パルスクロック生成部から入力するパルス信号とを合成し、発射タイミングパルスをソレノイド駆動部に出力する。ソレノイド駆動部は、発射タイミングパルスを入力する毎に、ハンドルボリュームD03から入力するボリューム信号(電圧)に応じた電圧の駆動電流を発射ソレノイド53へ供給(出力)する。これにより、発射ソレノイド53は、ハンドルレバー15aの回動操作量に応じた強度にて駆動し、遊技球が発射されることとなる。発射制御回路91は、所定のタイミングで減算基準信号を枠制御基板80へ出力する。保持回路は、動作可能条件が成立しているときに駆動電流が出力される場合、その時点におけるボリューム信号の電圧(電圧値)を保持する。また、保持回路は、ボリューム信号の電圧(電圧値)が保持される。保持回路は、情報を保持する情報保持手段の一例を構成する。保持回路が保持可能な電圧値は、発射ハンドル15(ハンドルレバー15a)の操作量に応じて生成される操作量情報の一例である。
【0110】
枠制御基板80(CPU81)が実行する処理について説明する。
枠側電源断処理について説明する。
CPU81は、電源電圧が規定電圧よりも低下したときにバックアップ回路89aが出力する電源断検出信号を入力すると、電源断処理を実行する。電源断処理において、CPU81は、RAM83のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値をRAM83に記憶させる。また、CPU81は、電源断処理が正常に実行されたことを特定可能な情報(以下、バックアップフラグと示す)をRAM83に記憶させる。その後、CPU81は、完全に電源断がされるまで待機する。電源断のときにRAM83に記憶されている各種情報は、前述したバックアップ機能によって電源断後にも保持される。
【0111】
枠側電源投入処理について説明する。
CPU81は、電源投入に伴って、枠制御基板80への供給電圧がCPU81の動作に必要な電圧に達して起動すると、バックアップされている情報が正常であるか否かを判定する。具体的に、CPU81は、RAM83にバックアップフラグが記憶されているか否かを判定する。また、CPU81は、RAM83のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値と、電源断処理にて算出したチェックサム値とが一致するか否かを判定する。CPU81は、バックアップフラグが記憶されており、且つチェックサム値が一致する場合に正常と判定する一方、そうではない場合に異常と判定する。バックアップされた情報が異常と判定した場合、CPU81は、RAM83に記憶されている遊技球数情報及び遊技情報を初期化する。このとき、CPU81は、性能情報を初期化しない。その後、CPU81は、後述する通信チェック処理へ移行する。
【0112】
バックアップされた情報を正常と判定した場合、CPU81は、遊技球クリア信号がオン状態であるか否かに基づき、遊技球クリアスイッチ87が操作されているか否かを判定する。CPU81は、遊技球クリアスイッチ87が操作されているとき、RAM83に記憶されている遊技球数情報を初期化する。このとき、CPU81は、遊技情報及び性能情報を初期化しない。CPU81は、遊技球クリアスイッチ87が操作されていないとき、遊技球数情報を初期化しない。
【0113】
CPU81は、RAMクリア信号がオン状態であるか否かに基づき、RAMクリアスイッチ88が操作されているか否かを判定する。CPU81は、RAMクリアスイッチ88が操作されているとき、RAM83に記憶されている遊技情報を初期化する。このとき、CPU81は、遊技球数情報及び性能情報を初期化しない。CPU81は、RAMクリアスイッチ88が操作されていないとき、遊技情報を初期化しない。本実施形態において、性能情報は、遊技球クリアスイッチ87の操作に応じて遊技球数情報が初期化される状況、及びRAMクリアスイッチ88の操作に応じて遊技情報が初期化される状況の何れであっても初期化されない。その後、CPU81は、通信チェック処理へ移行する。
【0114】
通信チェック処理において、CPU81は、主制御基板60から起動時情報を受信したか否かを判定する。本実施形態の一例において、起動時情報は、遊技機設置情報である。一例として、遊技機設置情報は、遊技機の種類、CPU61のID番号、及びCPU61の製造者などを特定可能な情報である。CPU81は、起動時情報を正常に受信すると、応答情報を主制御基板60に送信する。その後、CPU81は、通信チェック処理を終了し、初期化又はバックアップされた遊技球数情報、遊技情報、及び性能情報に基づいて復帰し、後述する枠側通常処理を実行する。
【0115】
CPU81は、電源投入に伴う起動後、所定時間(例えば3分)が経過するまでの間に起動時情報を受信しない場合、遊技機内通信異常エラーの発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。つまり、CPU81は、遊技機内通信異常を設定する。その後、CPU81は、起動時情報を受信するまで待機する。CPU81は、遊技機内通信異常を設定中、主制御基板60から起動時情報を正常に受信すると、遊技機内通信異常の設定を解除する。その後、CPU81は、通信チェック処理を終了し、初期化又はバックアップされた遊技球数情報、遊技情報、及び性能情報に基づいて復帰し、後述する枠側通常処理を実行する。これに限らず、CPU81は、起動時情報の受信と応答情報の送信が複数回(例えば3回)にわたって成功しなかったときに遊技機内通信異常を設定してもよい。この場合、複数回にわたって受信する起動時情報は、1回目を遊技機設置情報とし、2回目以降には、遊技機設置情報とは異なる情報(一例として遊技機情報)としてもよい。
【0116】
枠制御基板80の枠側通常処理について説明する。
枠側通常処理のうち遊技情報記憶処理について説明する。
遊技情報記憶処理は、主制御基板60から入力する遊技情報をRAM83に記憶する処理である。CPU81は、遊技状態を特定可能な遊技情報を受信すると、当該遊技情報をRAM83に記憶させる。CPU81は、RAM83に記憶された遊技情報を参照することにより、大当り遊技中であるか否か、高確率状態であるか否か、及び高入球率状態であるか否かを特定可能である。その他、CPU81は、各種の遊技情報を入力すると、入力した遊技情報を特定可能な情報を生成し、RAM83に記憶させる。また、CPU81は、遊技情報を受信すると、当該受信した遊技情報の一部又は全部を外部機器(ホールコンピューター等)に送信する。
【0117】
枠側通常処理のうち性能情報生成処理について説明する。
性能情報生成処理は、性能情報としてベース値を演算する処理である。CPU81は、遊技状態フラグを参照し、大当り遊技中ではなく、且つ現在の遊技状態が低確低入球率状態であるか否か(つまり通常遊技時であるか否か)を判定する。通常遊技時である場合、CPU81は、始動口入賞の発生を特定可能な遊技情報(以下、始動口入賞情報と示す)、又は普通入賞の発生を特定可能な遊技情報(以下、普通入賞情報と示す)を受信すると、通常遊技時における獲得賞球総数を加算する。獲得賞球総数は、性能情報の1つとしてRAM83に記憶される。CPU81は、入賞通路信号又は非入賞通路信号を入力すると、通常遊技時における有効球総数を加算する。有効球総数は、性能情報の1つとしてRAM83に記憶される。CPU81は、「通常遊技時における獲得賞球総数÷通常遊技時における有効球総数×100」の計算式によって、ベース値を演算する。CPU81は、1分間毎に区切って獲得賞球総数及び有効球総数を計数し、ベース値の演算を1分毎に行ってもよい。CPU81は、有効球総数が規定数になる毎に区切って獲得賞球総数を計数し、ベース値の演算を有効球総数が規定数になる毎に行ってもよい。一例として、規定数は、60000球であってもよく、発射装置50によって1分当りに発射可能な最大個数(例えば100球)であってもよい。CPU81は、演算したベース値を特定可能な情報を表示するように、性能表示モニタ84を制御する。
【0118】
CPU81は、性能情報として役物比率及び連続役物比率を演算し、性能表示モニタ84にて表示可能な構成であってもよい。役物比率は、全遊技状態を通した獲得賞球総数に占める、電動役物作動による獲得賞球総数の割合である。電動役物作動による獲得賞球総数とは、普通当り遊技(普通電動役物作動)による第2始動口24への入賞に伴う獲得賞球総数、及び大当り遊技(特別電動役物作動)による大入賞口25への入賞に伴う獲得賞球総数の和である。連続役物比率は、全遊技状態を通した獲得賞球総数に占める、連続役物作動による獲得賞球総数の割合である。連続役物作動による獲得賞球総数とは、大当り遊技による大入賞口25への入賞に伴う獲得賞球総数である。
【0119】
枠側通常処理のうち遊技球数情報生成処理について説明する。
遊技球数情報生成処理は、遊技球数を生成(管理)するための処理である。CPU81は、主制御基板60から獲得賞球数情報を受信すると、当該獲得賞球数情報から特定可能な獲得賞球数を遊技球数に加算する。獲得賞球数情報は、所定の入賞口への入賞に伴い、賞球の付与条件が成立すると主制御基板60が出力する制御情報であって、当該入賞口に設定された賞球数を特定可能に構成されている。CPU81は、カードユニット100から付与情報を受信すると、付与情報に示される付与球数を遊技球数に加算する。つまり、CPU81は、遊技者が球貸ボタン104aの操作によって貸し受けた遊技球の個数に相当する貸し球数を遊技球数に加算する。
【0120】
CPU81は、供給入口センサD22が出力する供給入口信号に基づいて、1球の遊技球が発射装置50へ供給されたことを検知すると、遊技球数を減算する。この減算する処理は、供給機構による供給動作に関連してデータとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理に相当する。一例として、CPU81は、供給入口信号がオフ状態→オン状態→オフ状態のように遷移するとき、オン状態となったときに1球の遊技球が供給されたことを検知する。これにより、電磁的に管理する遊技球数が実態のある遊技球に変換されるともいえる。供給入口センサD22で検知される遊技球は、発射装置50へ供給される遊技球である。当該遊技球は、発射装置50の動作によって遊技領域20aへ打ち出される遊技球であり、ファール球にならない前提においては遊技者が発射した遊技球と見做すこともできる。
【0121】
CPU81は、ファールセンサD21が出力するファール信号に基づいて、1球の遊技球が供給装置40へ戻ったことを検知すると、遊技球数を加算する。一例として、CPU81は、ファール信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が戻ったことを検知する。パチンコ遊技機10は、発射装置50による発射動作が行われても遊技領域20aに到達しなかった遊技球(ファール球)が検知されると、データとして記憶している遊技球数が加算される構成である。
【0122】
なお、CPU81は、発射ソレノイド53の駆動により遊技球数を減算してもよく、打出通路20cにセンサを設け、当該センサにより発射装置50から発射された遊技球を検知したときに遊技球数を減算する構成であってもよい。本実施形態では、発射装置50による発射動作、及び、供給装置40による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して、データとして記憶している遊技球の個数の一例として遊技球数が減算されるといえる。CPU81は、データとして記憶する遊技球数が所定数未満の個数の一例である「0」になると、遊技球数ゼロ信号を発射許可回路89bへ出力する。また、CPU81は、供給出口信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が供給されたことを検知し、遊技球数を減算する構成であってもよい。
【0123】
CPU81は、計数可能状態であるとき、計数スイッチ18から計数信号を入力すると、計数球数を特定可能な計数情報をカードユニット100に送信する。CPU81は、計数情報から特定可能な計数球数を遊技球数から減算する。CPU81は、遊技球数を減算してから計数情報を送信してもよく、計数情報を送信してから遊技球数を減算してもよい。一例として、計数可能状態は、必要な電力が供給されており、且つ遊技球数が0ではない状態である。CPU81は、計数可能状態であるとき、計数ランプ18aが点灯するように、計数ランプ18aに内蔵された発光体を制御する。本実施形態の一例では、計数情報をカードユニット100へ送信することによって、遊技球数の管理をカードユニット100へ移す。
【0124】
そして、CPU81は、加算又は減算した更新後の遊技球数を特定可能な情報を表示するように、遊技球数表示装置17を制御する。本実施形態の一例において、CPU81は、データとして記憶されている遊技球数を加算する手段、データとして記憶されている遊技球数を減算する手段、及びデータとして記憶されている遊技球数を表示させる手段として把握できる。詳しくは後述するが、遊技球数表示装置17は、枠制御基板80にて設定(検知)したエラー状態を特定可能な情報を表示可能な装置として兼用される。本実施形態においてCPU81は、操作手段である計数スイッチ18の操作を受け付ける受付処理と、制御情報である計数情報を生成する生成処理と、計数情報を外部であるカードユニット100に送信する送信処理と、を実行可能な処理手段である。なお、本実施形態で生成される計数情報については後に詳述する。
【0125】
次に、主制御基板60(CPU61)が行う各種の処理について説明する。
メイン電源断処理について説明する。
CPU61は、枠制御基板80(バックアップ回路89a)から電源断検出信号を入力すると、電源断処理を実行する。電源断処理において、CPU61は、発射停止信号を枠制御基板80へ出力する。CPU61は、RAM63のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値をRAM63に記憶させる。また、CPU61は、電源断処理が正常に実行されたことを特定可能な情報(以下、バックアップフラグと示す)をRAM63に記憶させる。その後、CPU61は、完全に電源断がされるまで待機する。電源断のときにRAM63に記憶されている各種情報は、前述したバックアップ機能によって電源断後にも保持される。
【0126】
メイン電源投入処理について説明する。
CPU61は、電源投入に伴って、主制御基板60への供給電圧がCPU61の動作に必要な電圧に達すると、タイマ割り込み処理を禁止する。続けて、CPU61は、起動時情報を枠制御基板80へ送信する。CPU61は、起動時情報を送信してから応答情報を受信することなく所定時間(一例として108ms)が経過すると、起動時情報を枠制御基板80へ送信する。以降、CPU61は、枠制御基板80から応答情報を受信しない場合、所定時間が経過するごとに起動時情報を枠制御基板80へ送信する。なお、複数回にわたって送信する場合の起動時情報は、同じ情報であってもよく、送信回数を特定可能なように異なる情報であってもよい。CPU61は、起動時情報の送信回数が規定回数(一例として10回)に達すると遊技機内通信異常を検知し、遊技機内通信異常の発生を特定可能な情報をRAM63に記憶させる。つまり、CPU61は、遊技機内通信異常に関するエラーを設定する。CPU61は、遊技機内通信異常を設定すると、遊技機内通信異常に関するエラーの発生を特定可能な制御情報(以下、遊技機内通信異常コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。その後、CPU61は、電源断がされるまで待機する。本実施形態において、枠制御基板80が遊技機内通信異常を検知するのに要する時間(一例として3分)は、主制御基板60が遊技機内通信異常を検知するのに要する時間(一例として1080ms)に比して長い。
【0127】
CPU61は、起動時情報に対する応答情報を受信すると、通信回線が正常であると判定する。通信回線が正常である場合、CPU61は、バックアップされている情報が正常であるか否かを判定する。具体的に、CPU61は、RAM63にバックアップフラグが記憶されているか否かを判定する。また、CPU61は、RAM63のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値と、電源断処理にて算出したチェックサム値とが一致するか否かを判定する。CPU61は、バックアップフラグが記憶されており、且つチェックサム値が一致する場合に正常と判定する一方、そうではない場合に異常と判定する。
【0128】
バックアップされた情報が異常と判定した場合、CPU61は、RAM63に記憶されているメイン情報を初期化する。CPU61は、各種の情報が初期化されたことを特定可能な制御コマンド(以下、初期化コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。その後、CPU61は、メイン電源投入処理を終了する。
【0129】
バックアップされた情報を正常と判定した場合、CPU61は、枠制御基板80(RAMクリアスイッチ88)からRAMクリア信号を入力しているか否かを判定する。RAMクリア信号を入力している場合、CPU61は、RAM63に記憶されているメイン情報を初期化する。CPU61は、初期化コマンドを演出制御基板70へ出力する。一方、RAMクリア信号を入力していない場合、CPU61は、バックアップされたメイン情報に基づいて復帰することを特定可能な制御コマンド(以下、復電コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。
【0130】
そして、CPU61は、メイン電源投入処理を終了すると、タイマ割り込み処理を許可する。つまり、CPU61は、遊技を進行させるための処理(以下、メイン通常処理と示す)を実行可能となる。メイン通常処理は、メイン情報が初期化されておれば、初期化後のメイン情報に基づいて実行される。つまり、CPU61は、第1特別保留数及び第2特別保留数が何れも零であり、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームが何れも実行中ではなく、大当り遊技も付与されていない状態に基づいて、メイン通常処理に含まれる各種処理を実行する。メイン通常処理は、メイン情報が初期化されていなければ、バックアップされているメイン情報に基づいて実行される。つまり、CPU61は、第1特別保留数及び第2特別保留数が電源断時の保留数であり、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームの何れかが実行されておれば当該特別ゲームを実行させる処理へ復帰し、大当り遊技を付与中であれば、大当り遊技を付与する処理へ復帰する。
【0131】
CPU61は、所定の制御周期(例えば4ms)毎に行うタイマ割り込み処理として、特別図柄入力処理、及び特別図柄開始処理などを実行する。特別図柄入力処理、及び特別図柄開始処理は、何れもメイン通常処理である。
【0132】
特別図柄入力処理について説明する。
CPU61は、第1始動センサD11から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第1始動口23へ入球したか否かを判定する。遊技球が第1始動口23へ入球した場合、CPU61は、RAM63に記憶されている第1保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。第1保留数が上限数未満である場合、CPU61は、第1保留数を1加算して更新する。続けて、CPU61は、更新後の第1保留数を特定可能な情報を表示するように、第1保留表示装置21cを制御する。本実施形態において、第1特別ゲームの保留条件は、第1保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第1始動センサD11によって検知されると成立する。
【0133】
次に、CPU61は、乱数生成回路64が生成する乱数を取得し、当該取得した乱数に基づく乱数情報をRAM63に記憶させる。例えば、乱数は、特別図柄の当り抽選に用いる当り乱数、当り図柄の決定に用いる当り図柄乱数、及び変動パターンの決定に用いる変動パターン乱数などである。CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序を特定可能となるように、乱数情報を記憶させる。乱数情報は、取得した乱数そのものであってもよく、乱数を所定の手法により加工した情報であってもよい。パチンコ遊技機10は、第1特別ゲームに用いる乱数情報をRAM63に記憶させておくことで、当該第1特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。
【0134】
CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報をRAM63に記憶させた場合、遊技球が第1始動口23へ入球していない場合、及び第1保留数が上限数未満ではない場合、第2始動センサD12から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第2始動口24へ入球したか否かを判定する。遊技球が第2始動口24へ入球している場合、CPU61は、RAM63に記憶されている第2保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。第2保留数が上限数未満である場合、CPU61は、第2保留数を1加算して更新する。CPU61は、加算後の第2保留数を特定可能な情報を表示するように、第2保留表示装置21dを制御する。本実施形態において、第2特別ゲームの保留条件は、第2保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第2始動センサD12によって検知されると成立する。
【0135】
次に、CPU61は、主制御基板60内で生成している乱数を取得し、当該取得した乱数に基づく乱数情報をRAM63に記憶させる。CPU61は、第2特別ゲームに用いる乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序を特定可能となるように、乱数情報を記憶させる。パチンコ遊技機10は、第2特別ゲームに用いる乱数情報をRAM63に記憶させておくことで、当該第2特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。第2特別ゲーム用の乱数情報をRAM63に記憶させた場合、遊技球が第2始動口24へ入球していない場合、及び第2保留数が上限数未満ではない場合、CPU61は、特別図柄入力処理を終了する。
【0136】
特別図柄開始処理について説明する。
最初に、CPU61は、特別ゲームの開始条件が成立しているか否かを判定する。CPU61は、大当り遊技中ではなく、且つ特別ゲームの実行中ではない場合に肯定判定する一方、大当り遊技中又は特別ゲームの実行中である場合に否定判定する。特別ゲームの開始条件が成立していない場合、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。特別ゲームの開始条件が成立している場合、CPU61は、第2保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第2保留数が零である場合、CPU61は、第1保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第1保留数が零である場合、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
【0137】
第1保留数が零よりも大きい場合、CPU61は、第1特別ゲームを実行させる処理を行う。具体的に、CPU61は、第1保留数を1減算して更新する。CPU61は、減算後の第1保留数を特定可能な情報を表示するように、第1保留表示装置21cを制御する。次に、CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報をRAM63から取得する。続けて、CPU61は、取得した乱数情報から特定される当り乱数を用いて、特別図柄の当り抽選として、大当りに当選とするか否かの大当り抽選(大当り判定)を行う。CPU61は、現在の確率状態(確変機能の作動の有無)に応じた大当り確率にて大当り抽選を行う。
【0138】
大当りに当選した場合、CPU61は、大当り変動処理を行う。大当り変動処理において、CPU61は、乱数情報から特定可能な当り図柄乱数を用いて、大当り図柄抽選を行い、第1特別ゲームにて停止表示させる大当り図柄を決定する。CPU61は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、複数ある大当り変動パターンの中から変動パターンを決定する。その後、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
【0139】
大当りに当選しなかった場合、CPU61は、はずれ変動処理を行う。はずれ変動処理において、CPU61は、第1特別ゲームにて停止表示させるはずれ図柄を決定する。CPU61は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、複数のはずれ変動パターンの中から変動パターンを決定する。その後、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
【0140】
第2保留数が零よりも大きい場合、CPU61は、第2特別ゲームを実行させるための処理を行う。第2特別ゲームを実行させるための処理は、第1特別ゲームを実行させるための処理について、「第1特別ゲーム」を「第2特別ゲーム」に、「第1保留数」を「第2保留数」に、それぞれ読み替えた処理であるため、その詳細な説明を省略する。つまり、CPU61は、第2保留数の減算、大当り抽選、及び大当り抽選の結果に基づく何れかの変動処理を行った後、特別図柄開始処理を終了する。
【0141】
CPU61は、大当り変動処理、及びはずれ変動処理において、変動開始コマンド、及び特別図柄コマンドを演出制御基板70へ出力する。変動開始コマンドは、各変動処理にて決定した変動パターンと、変動ゲームの開始と、を特定可能な制御コマンドである。特別図柄コマンドは、各変動処理において決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を特定可能な制御コマンドである。なお、変動開始コマンド、及び特別図柄コマンドは、第1特別ゲームの変動処理が実行されたときと、第2特別ゲームの変動処理が実行されたときとで異なる制御コマンドである。
【0142】
特別図柄開始処理を終了すると、CPU61は、特別図柄開始処理とは別の処理によって、第1特別ゲーム又は第2特別ゲームを実行させる。具体的に、CPU61は、第1特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第1特別図柄表示装置21aを制御する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄を停止表示するように、第1特別図柄表示装置21aを制御する。また、CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、変動ゲームの終了を特定可能な制御コマンド(以下、変動終了コマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。
【0143】
一方、CPU61は、第2特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第2特別図柄表示装置21bを制御する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄を停止表示するように、第2特別図柄表示装置21bを制御する。また、CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、変動終了コマンドを演出制御基板70に出力する。以上のように、パチンコ遊技機10は、CPU61が特別図柄入力処理及び特別図柄開始処理を実行することによって、始動口への遊技球の入球を契機に当り抽選を行い、当該当り抽選の結果に基づき図柄変動ゲームを実行可能に構成されている。本実施形態においてCPU61は、前述のように第1特別ゲーム及び第2特別ゲームが相当する図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理を行うことで処理手段として機能する。
【0144】
大当り遊技処理について説明する。
大当り遊技処理は、大当り遊技を付与するための処理である。CPU61は、特別ゲームにおいて大当り図柄を停止表示させると、大当りの特別ゲームの終了後に大当り遊技処理を実行する。CPU61は、特別図柄開始処理にて決定した大当り図柄(即ち、大当りの種類)に基づいて、大当り遊技の種類を特定する。CPU61は、特定した種類の大当り遊技を付与する。
【0145】
最初に、CPU61は、オープニング時間の開始を特定可能な制御コマンド(以下、オープニングコマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、オープニング時間が経過すると、ラウンド遊技を実行させるための処理を行う。即ち、CPU61は、特定した大当り遊技用の開放制御データを用いて特別ソレノイドSL2を制御し、大入賞口25を開状態とする。CPU61は、カウントセンサD13による遊技球の検知数が上述の上限個数に達するか、又は上述の上限時間が経過すると、大入賞口25を閉状態とするように特別ソレノイドSL2を制御することで、ラウンド遊技を終了させる。CPU61は、このようなラウンド遊技を実行させるための処理を、大当り遊技に定められた上限回数のラウンド遊技が終了するまで繰り返し行う。CPU61は、ラウンド遊技を開始する毎に、ラウンド遊技の開始を特定可能な制御コマンド(以下、ラウンドコマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディング時間の開始を特定可能な制御コマンド(以下、エンディング開始コマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、エンディング時間が経過すると、大当り遊技を終了する。CPU61は、エンディング時間の経過を特定可能な制御コマンド(以下、エンディング終了コマンド)を演出制御基板70に出力する。
【0146】
状態移行処理について説明する。
CPU61は、大当り図柄のうち第1大当り図柄に基づく大当り遊技を終了すると、RAM63に高確フラグをセットする。即ち、CPU61は、高確率状態に制御する。なお、CPU61は、第1大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、次回の大当り遊技が付与されるまで、確変フラグを消去しない。一方、CPU61は、第1大当り図柄とは異なる第2大当り図柄に基づく大当り遊技を終了すると、RAM63に高確フラグをセットしない。即ち、CPU61は、低確率状態に制御する。CPU61は、大当り遊技を開始させる場合であって、高確フラグがセットされているとき、当該高確フラグを消去する。即ち、CPU61は、大当り遊技中、低確率状態に制御する。
【0147】
CPU61は、第1大当り図柄、又は第2大当り図柄に基づく大当り遊技が終了すると、RAM63に作動フラグをセットする。即ち、CPU61は、高入球率状態に制御する。CPU61は、第2大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、特別ゲームを開始させる毎に、RAM63に記憶されている実行カウンタの値を更新することによって、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数を計数する。CPU61は、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数が作動回数に達した特別ゲームが終了すると、RAM63に記憶されている作動フラグを消去する。即ち、CPU61は、第2大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、作動回数目の特別ゲームが終了すると低入球率状態に制御する。なお、CPU61は、第1大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、次回の大当り遊技が付与されるまで、作動フラグを消去しない。CPU61は、大当り遊技を開始させる場合であって、作動フラグがセットされているとき、当該作動フラグを消去する。即ち、CPU61は、大当り遊技中、低入球率状態に制御する。
【0148】
演出制御基板70(CPU71)が実行する各種の処理について説明する。
演出復電処理について説明する。
CPU71は、初期化コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、RAMクリア報知(初期化報知)を実行させる。一例として、RAMクリア報知は、「RAMクリア」の文字列を読み上げる音声など、RAMクリアの実行を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、RAMクリア報知は、RAMクリア専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、RAMクリア報知は、「RAMクリア」の文字列など、RAMクリアの実行を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。CPU71は、RAMクリア報知を開始してから所定時間が経過すると、RAMクリア報知を終了するように演出装置群ESを制御する。また、CPU71は、初期化コマンドを入力すると、所定の背景画像、及び所定の演出図柄の組合せを表示するように演出表示装置19を制御する。
【0149】
CPU71は、復電コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、復電報知を実行させる。一例として、復電報知は、「復電中です」の文字列を読み上げる音声など、RAMクリアの実行を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、復電報知は、復電専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、復電報知は、「復電中です」の文字列など、RAMクリアの実行を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。CPU71は、復電報知を開始してから所定時間が経過すると、復電報知を終了するように演出装置群ESを制御する。これに限らず、CPU71は、復電報知を実行させない構成であってもよい。また、CPU71は、復電コマンドを入力すると、所定の背景画像、及び所定の演出図柄の組合せとは異なる演出図柄の組合せを表示するように演出表示装置19を制御する。
【0150】
大当り演出処理について説明する。
大当り演出処理は、大当り遊技中の演出(以下、大当り演出と示す)を実行させるための処理である。CPU71は、オープニングコマンドを受信すると、オープニング演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、ラウンドコマンドを受信すると、ラウンド演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、エンディング開始コマンドを受信すると、エンディング演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、エンディング終了コマンドを受信すると、エンディング演出を終了するように演出装置群ESを制御する。
【0151】
演出ゲーム処理について説明する。
演出ゲーム処理は、特別ゲームの実行中、当該特別ゲームに関連した表示演出の1つとして、演出ゲームを実行させるための処理である。CPU71は、変動開始コマンド及び特別図柄コマンドを受信すると、演出ゲームを実行するように演出表示装置19を含む演出装置群ESを制御する。具体的に、CPU71は、変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能な変動パターンに基づいて、演出ゲームの演出パターン(演出内容)を選択する。また、CPU71は、特別図柄コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能な特別図柄に基づいて、演出ゲームにて停止表示させる図柄組合せを決定する。CPU71は、特別図柄コマンドから大当り図柄を特定可能である場合、大当りの図柄組合せを決定する。CPU71は、特別図柄コマンドからはずれ図柄を特定可能である場合、はずれの図柄組合せを決定する。なお、CPU71は、リーチ演出を実行させる場合、リーチを含むはずれの図柄組合せを決定する。
【0152】
そして、CPU71は、変動開始コマンドの入力を契機として、各図柄列において演出図柄の変動表示を開始するように、演出表示装置19を制御する。即ち、CPU71は、演出ゲームを開始させる。また、CPU71は、演出ゲームに関連して所定の演出を実行させる場合、当該演出を実行するように、演出表示装置19を含む演出装置群ESを制御する。CPU71は、演出ゲームを開始させてから、所定のタイミングが到来すると、図柄組合せを仮で停止表示させるとともに、変動終了コマンドの入力を契機に、図柄組合せを確定停止表示させる。なお、CPU71は、変動終了コマンドとは関係なく、変動パターンに定めた変動時間の経過を契機に図柄組合せを確定停止表示させてもよい。この場合、変動終了コマンドは省略してもよい。
【0153】
以下、計数スイッチ18の操作を受け付けた枠制御基板80のCPU81が、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数をもとに計数情報を生成し、送信する処理を詳しく説明する。
【0154】
本実施形態において計数情報は、計数スイッチ18の操作態様に応じて異なる所定数に対応する制御情報として生成される。具体的に言えば、計数スイッチ18の操作態様が第1操作態様である場合の計数情報は遊技球数が1以上の場合に計数球数として「1球」を特定可能な情報として生成される。「1球」は、例えば大入賞口25へ入球したときの賞球の個数や遊技者に貸し出される貸し球の個数の最小球数よりも少ない数である。また、計数スイッチ18の操作態様が第2操作態様である場合の計数情報は遊技球数が1以上の場合に計数球数として「250球」を最大数として特定可能な情報として生成される。本実施形態の第1操作態様は、計数スイッチ18の操作時間を「500ms」未満とする操作である。一方、本実施形態の第2操作態様は、計数スイッチ18の操作時間を「500ms」以上とする操作である。第1操作態様の操作を「短尺操作(単押し操作)」としたとき、第2操作態様の操作は操作時間が長いことから「長尺操作(長押し操作)」と規定できる。なお、遊技球数を短時間で効率的に移管するためには、計数スイッチ18の1回の短尺操作、又は長尺操作で多くの計数球数が移管できることが望ましい。しかし、第1操作態様の操作を有効にする理由は、例えば遊技球数が「1202球」であるときに一の位の「2球」を移管させるなど、端数を遊技者の判断で移管できるように利便性を図ることが考えられる。また、計数スイッチ18の1回の短尺操作、又は長尺操作で全ての遊技球数を移管させない理由は、計数情報の送信中に通信障害などの理由で全てが消滅するなどの事態を防止することが考えられる。加えて、段階的に移管させた方が、遊技者は、移管されている実感が湧きやすく、安心感を得られることが考えられる。
【0155】
CPU81は、計数スイッチ18の操作時間を計数する。CPU81は、計数スイッチ18の操作が終了したときの操作時間が「500ms」未満であれば「1球」を特定可能な計数情報を生成し、その計数情報をカードユニット100に送信する。また、CPU81は、計数スイッチ18の操作が終了したときの操作時間が「500ms」以上であれば「250球」を最大数として計数情報を生成し、その計数情報をカードユニット100に送信する。具体的に言えば、CPU81は、計数スイッチ18の操作が終了したときの遊技球数が250球を越えている場合、「250球」を特定可能な計数情報を生成する。一方、CPU81は、計数スイッチ18の操作が終了したときの遊技球数が250球未満の場合、その数を特定可能な計数情報を生成する。仮に、計数スイッチ18の操作が終了したときの操作時間が「500ms」以上であったとしても、その時点の遊技球数が「1球」であればCPU81は、操作時間が「500ms」未満であるときと同様に「1球」を特定可能な計数情報を生成する。また、CPU81は、計数スイッチ18が連続的に操作されている場合、その操作時間が「500ms」に達する毎に「250球」を最大数として計数情報を生成する。例えば、CPU81は、遊技球数が600球であり、計数スイッチ18の操作時間が「1000ms」であるとき、「250球」を特定可能な計数情報を2回生成し、生成する毎に順次、計数情報をカードユニット100に送信する。なお、この例示の場合、「500球」分が遊技球数から減算されるので、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数として「100球」が残ることになる。
【0156】
計数スイッチ18の操作は上記したように操作時間によって管理されることから、短尺操作中は長尺操作が無効であり、長尺操作中は短尺操作が無効であると言える。また、計数情報の送信は、遊技の進行とは関係なく行われる。このため、計数情報の送信中であっても、遊技球の発射、第1始動口23などの入球口への入球に伴う処理、変動ゲームの開始及び終了、大当り遊技の進行、演出操作装置16の操作などは計数情報を送信していないときと同様に行われる。つまり、上記した各種の処理は有効である。
【0157】
次に、
図10にしたがって、本実施形態のパチンコ遊技機10が遊技停止状態であるかを判断する制御について説明する。なお、ここで言う遊技停止状態とは、当該パチンコ遊技機10で遊技が行われていない状態、あるいは遊技を継続する意思がない又は意思が低いと想定される状態のことであり、何らかの規制が掛けられることによって遊技が行えなくなった状態、あるいは遊技ができなくなった状態ではない。何らかの規制には、例えばエラーによる停止や電源遮断による停止がある。また、ここで言う遊技には、変動ゲームを実行させている、遊技球を発射させている、大当り遊技が行われているなどの行為や事象を含む。つまり、遊技に含む行為や事象は、遊技者の意思で生じさせているものである。そして、本実施形態では、遊技球が発射されているか否かを判断の指標として遊技停止状態であるかを判断する。因みに、本明細書においては、実際に遊技が行われているか否かに関係なく、遊技を行っている状態、あるいは遊技を継続する意思がある又は意思が高い状態を遊技進行状態と言う。
【0158】
ステップS10において枠制御基板80のCPU81は、供給入口センサD22から供給入口信号を入力しているかを確認する。CPU81が供給入口信号を入力している場合は、発射装置50へ遊技球が供給されている、つまり遊技球が発射されていることになる。このため、この場合は遊技進行状態であることから、CPU81は、遊技停止状態であるとの判断ができないことからステップS10を否定して処理を終了する。一方、CPU81が供給入口信号を入力していない場合は、発射装置50へ遊技球が供給されていない、つまり遊技球が発射されていないことになる。この状態においてCPU81は、データとして記憶している遊技球数の減算を停止していることから、ステップS10を肯定してステップS11へ移行する。
【0159】
ステップS11においてCPU81は、データとして記憶している遊技球数(遊技球の個数)を確認する。続いて、ステップS12においてCPU81は、ステップS11で確認した遊技球数が予め定めた所定個数X以下であるかを確認する。本実施形態における所定個数Xは、「125(球)」である。125球は、遊技球を貸し受けるときのレートを1球4円とすれば1000円の価値に相当するものであり、1000円分の遊技球を残したまま遊技を止めて遊技者が離席するとは考え難い。このようなことから、本実施形態のパチンコ遊技機10では、所定個数Xを「125(球)」に設定している。そして、CPU81は、遊技球数として所定個数Xを超える遊技球が残っている場合、遊技者が離席しているかを問わずに遊技進行状態としてステップS12を否定して処理を終了する。なお、所定個数Xは、実施形態で設定した「125(球)」よりも少ない数としてもよいし、多い数としてもよい。例えば、10球や25球程度の数としてもよい。従前のパチンコ遊技機でも、残り数球が殆どなくなるとその遊技球を貯留皿に残したまま遊技を止めて離席する遊技者もいるので、そのような傾向をもとに所定個数Xを少ない数に設定すれば遊技停止状態であるかの判断の精度を向上できる。因みに、25球は、貸し球を貸し受けることができる最小球数である。
【0160】
一方、CPU81は、遊技球数が所定個数X以下の場合、遊技者が離席しているかを問わずに遊技停止状態の可能性があるとしてステップS12を肯定して次のステップS13にて時間のカウントを開始する。本実施形態では、先のステップS12の遊技球数の確認を遊技停止状態と判断するための第1条件としたとき、ステップS13で時間をカウントすることが遊技停止状態であると最終的に判断するための第2条件としている。そして、時間のカウントを開始したCPU81は、ステップS14にてデータとして記憶している遊技球数の減算が再開したかを確認する。つまり、ステップS14にてCPU81は、遊技球の発射が一時的に停止したものであるかを確認する。ステップS15にてCPU81は、ステップS14で確認した結果をもとに遊技球数の減算が停止している状態が継続していればステップS15を肯定してステップS16へ移行する。一方、ステップS15にてCPU81は、ステップS14で確認した結果をもとに遊技球数の減算が再開すればステップS15を否定して処理を終了する。ステップS15の判断は、CPU81が供給入口信号を入力しているか否かによって行われる。
【0161】
ステップS16にてCPU81は、ステップS13でカウントを開始した時間が時間T1以上であるかを確認する。本実施形態における時間T1は、「5分」である。時間T1は、遊技者が離席していると判断してもよいと考えられる時間に設定するとよく、例えば10分としてもよい。ステップS16にてCPU81は、時間が時間T1未満の場合、ステップS16を否定してステップS14へ戻り、ステップS14からの処理を繰り返す。一方、ステップS16にてCPU81は、ステップS13でカウントを開始した時間が時間T1以上である場合、ステップS16を肯定してステップS17へ移行する。つまり、ステップS16を肯定したCPU81は、先に述べた遊技球数に関する第1条件と時間に関する第2条件の何れもが遊技停止状態と判断する要件を満たしたことから、この段階で遊技停止状態、すなわち当該パチンコ遊技機10は遊技が行われていない空台として判断する。
【0162】
ステップS17にてCPU81は、パチンコ遊技機10が遊技停止状態であることを知らせるようにその旨を報知する処理を実行する。具体的に言えば、CPU81は、演出制御基板70のCPU71に対して報知を指示する制御情報としての報知指示コマンドを送信する。報知指示コマンドは、主制御基板60を経由して演出制御基板70に送信される。本実施形態において遊技停止状態であることの報知は、前述した第1条件と第2条件を満たしたことに基づいて実行されるものであり、遊技停止状態であると判断したパチンコ遊技機10に遊技者が着席しているか否かを問わない。つまり、遊技者が離席した空台と見做して報知を実行させる。
【0163】
図11は、本実施形態のパチンコ遊技機10における報知の一例を示す。
図11は、報知手段の一例として演出表示装置19の画像表示領域19aに、遊技停止状態であることを認識し得る画像INを表示して報知を実行する例を示している。
図11の画像INは、例えば「遊べるよ!!」の文字画像である。
図11では、画像表示領域19aに画像INを表示して報知を行う例を示したが、画像による報知に代えて、又は加えて演出音声装置12や演出発光装置14を用いて報知を実行させてもよい。あるいは、パチンコ遊技機10を設置する島設備に、例えば大当り回数やゲーム回数などを表示するデータ表示器が設置されている場合、データ表示器にコマンドを送信して報知を実行させてもよい。なお、遊技停止状態であることの報知は、専用の報知であることが望ましい。本実施形態では、画像INを表示する画像表示領域19aを有する演出表示装置19が報知手段に相当する。また、演出表示装置19では、演出ゲームなどの演出を表示することで抽選結果などを報知しており、遊技停止状態であることの報知以外にも報知を行う兼用手段である。
【0164】
遊技停止状態であることの報知は、
図10の処理で説明したように、遊技球が発射されておらず、かつその状態が時間T1継続している場合に実行される。時間T1を例えば「5分」に設定したと仮定すると、通常、パチンコ遊技機10では、実行が保留されている特別ゲームが残存していない状況(保留数が零)であれば時間T1が経過する前には既にデモンストレーション演出が実行されている。デモンストレーション演出は、例えば画像表示領域19aに表示されている演出ゲームに用いる演出図柄の画像に動きを伴わせたり、専用の画像を表示させたりして行われる。なお、専用の画像は、静止画像でよいし、動画像でもよい。本実施形態において
図11に示した画像INは、画像表示領域19aでデモンストレーション演出が実行されている状況で画像表示領域19aに表示されることになる。このため、遊技者は、
図11に示すように、デモンストレーション演出に関する画像G(図中の斜線)と一緒に画像INを目にすることができる。これにより、パチンコ遊技機10が遊技停止状態であることをより強調させることができる。
【0165】
遊技停止状態であることの報知は、予め定めた複数の終了条件のうち何れかの終了条件が成立することによって終了する。終了条件には、遊技球が発射されて遊技球数の減算が再開することを含む。また、終了条件には、遊技球数の減算が再開することとは別の条件として、報知を開始してから所定時間が経過する時間の条件や、始動口入賞の発生によって特別ゲームが開始されるゲームの開始に関する条件を含む。本実施形態において遊技停止状態であることの報知を開始させる開始条件は
図10の処理に示すとおりであり、前述のように報知の終了条件の方が多い。また、終了条件には、例えば演出操作装置16などの操作手段を操作する条件を含んでいてもよく、この条件であれば遊技者が自身の意思によって報知を終了させることができる。つまり、遊技停止状態であることの報知が実行されているときに演出操作装置16を操作すれば、その操作が反映されて遊技停止状態であることの報知が終了するというように演出表示装置19の報知内容が変化するので、報知が終了したことが分かり易い。
【0166】
なお、遊技停止状態であることの報知に関する終了条件の一部は、デモンストレーション演出を終了させる終了条件と兼用されていてもよい。例えば、始動口入賞の発生によって特別ゲームが開始されるゲームの開始に関する条件は、遊技停止状態であることの報知を終了させる条件であって、かつデモンストレーション演出を終了させる条件であってもよい。なお、遊技停止状態であることの報知やデモンストレーション演出は、例えば電源遮断、CPUのリセット、特定のエラーなどの事象が生じた場合も終了することになる。また、遊技停止状態であることの報知が実行されているときであっても、計数情報の送信は可能である。つまり、計数スイッチ18の操作は有効である。計数情報の送信については、デモンストレーション演出が実行されているときも同じである。
【0167】
図12は、
図10の処理によって実行される遊技停止状態であることの報知とは別に実行される報知の一例を示す。
図12の報知は、
図10の処理によって実行される遊技停止状態であることの報知を主の報知としたとき、主の報知の実行タイミングよりも前に実行される補助報知としての位置付けである。補助報知は、画像表示領域19aに所定の画像を表示させることによって実行される。具体的に言えば、補助報知は、画像表示領域19aの右下に「遊技停止」の文字からなる画像INaが表示される。補助報知の画像INaを表示する領域の面積は、主の報知の画像INを表示する領域の面積に比して小さい。つまり、補助報知は、主の報知とは異なり、さりげなく実行される。また、画像表示領域19aの左下には、実行が保留されている第1特別ゲームの回数に相当する画像H1と実行が保留されている第2特別ゲームの回数に相当する画像H2とが表示される。
図12において画像H1と画像H2は何れも「0(零)」を表示する画像であって、実行が保留されている特別ゲームが残存していないことを示している。なお、保留されているゲームの回数を報知する態様は任意に変更可能である。つまり、数を直接的に報知してもよいし、キャラクタの画像をゲームの回数分だけ報知してもよい。
【0168】
画像INaは、特別ゲーム並びに当該特別ゲームに付随する演出ゲームの変動が停止したときに画像表示領域19aの所定の位置に表示される。また、画像H1と画像H2は、保留条件の成立によって1加算するように変更されて表示される一方で、特別ゲームの変動の開始によって1減算するように変更されて表示される。したがって、画像H1と画像H2の何れもが「0」を示すとともに、変動の停止によって画像INaが表示されると、遊技停止状態であることを特定することが可能である。また、画像H1又は画像H2の少なくとも何れか一方が「1」以上を示していれば、画像INaが表示されているか否かに拘わらず、遊技進行状態であることを特定することが可能である。本実施形態において画像H1,H2,INaを表示する画像表示領域19aを有する演出表示装置19が報知手段に相当する。なお、本実施形態の補助報知を実行させるに際しては、遊技球が発射されているか否かは考慮していない。このため、補助報知は、遊技が行われなくなる可能性があることを示唆しているとも言える。また、補助報知は、特別ゲームの変動の開始を終了条件として終了する。また、補助報知は、主の報知が実行されることを終了条件として終了する。
【0169】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1-1)遊技球を内部循環させるパチンコ遊技機10において、遊技停止状態であることを判別可能とした。このため、物理的な遊技球を確認できないパチンコ遊技機10において、遊技が行われていないパチンコ遊技機10であるかを判別する指標を提供することができる。
【0170】
(1-2)また、パチンコ遊技機10で判別した結果を報知すれば、遊技者に対しても空いている台であることを認識させることができる。その結果、空いている台であるか否か分からず、遊技を行ってよいのか迷っている遊技者に遊技を行わせることができる。これにより、遊技を行うためのパチンコ遊技機10を探している遊技者のストレスを軽減することもできる。
【0171】
(1-3)遊技球が発射されているかを判断材料として遊技停止状態であるかを判断している。このため、貯留皿がなく物理的に遊技球を確認できなくても、パチンコ遊技機10の実情に即した判断を行うことができる。つまり、判断の正確性を向上できる。
【0172】
(1-4)遊技停止状態であることの報知を行う手段(実施形態では演出表示装置19)は、他の報知を行う手段としても兼用されている。このため、遊技停止状態であることの報知を行うにあたって別途報知のための手段を設けることなく、パチンコ遊技機10の構成の複雑化を抑制できる。つまり、従前のように貯留皿を備えるパチンコ遊技機では貯留皿が遊技球を貯留する手段であって、さらには遊技停止状態であるかを判別させるための手段として兼用されていたと言えるが、本実施形態でも同様に一つの手段に複数の機能を持たせることができる。
【0173】
(1-5)一方、兼用の手段を用いつつも、遊技停止状態であることの報知は、他の報知とは別の専用の報知態様である。このため、遊技停止状態であることの報知は他の報知と見分け易く、パチンコ遊技機10の状態を確実に知らせることができる。
【0174】
(1-6)遊技停止状態であることの報知によってパチンコ遊技機10が管理している遊技球数が少ないこと(例えば0球、あるいは0球に近い数など特定の個数以下)も同時に報知可能である。このため、遊技停止状態であることの認識のもとで、他の遊技者が遊技を行うきっかけを与え易くできる。つまり、遊技者は、パチンコ遊技機10に仮に遊技球が残存していても、その個数は少なく、前の遊技者が不要と判断して離席したと考えることができ、当該パチンコ遊技機10で遊技を行ってもよいと判断できる。
【0175】
(1-7)遊技停止状態であることの報知を開始させる条件よりも終了させる条件の方が多い。実施形態では、終了条件には、開始条件の反対の事象に加えて他の条件を含む。これによれば、遊技停止状態であることの報知は厳しく管理され、確実性を向上させることができる。一方で、遊技停止状態であることが報知された場合には、新たな遊技者が簡単に終了させることができ、利便性を向上させることができる。
【0176】
(1-8)補助報知の実行により、遊技停止状態になる可能性を事前に報知できる。
(1-9)計数スイッチ18の操作態様に応じた計数球数を特定可能な計数情報を生成することができる。生成した計数情報は、外部に送信することで、その管理を移管させることができる。計数情報の生成に際しては、遊技者に貸し出される球数の最小球数よりも少ない数を特定可能な計数情報を生成できる。このため、計数スイッチ18の1回の操作で全ての遊技球数を計数球数とする計数情報が生成される場合に比して遊技者の利便性を高めることができる。また、計数スイッチ18の操作態様によって計数球数が異なる計数情報が生成される。このため、遊技者が望むスタイルで計数スイッチ18の操作を行わせることができる。
【0177】
(1-10)計数情報の送信中であっても、演出操作装置16の操作は有効である。つまり、計数情報を送信することによって演出は無効化されない。このため、遊技者は、遊技を普通に進行させている過程の中で計数スイッチ18を操作して遊技球の管理を外部に移管させることができる。したがって、処理の効率が図られ、遊技者の利便性を高めることができる。また、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数に上限を設ける場合には、上限に近い状況を迅速に解消させることもできる。
【0178】
(1-11)遊技停止状態であることの報知が実行されているときであっても、計数スイッチ18の操作によって計数情報を生成することができ、遊技球の管理を外部に移管できる。このため、遊技者の持ち球に関する状況に迅速に対応できる。
【0179】
(第2実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第2実施形態を
図13にしたがって説明する。
なお、以下に説明する実施形態において既に説明した実施形態と同一構成などは同一の符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0180】
本実施形態では、遊技停止状態であることの報知を実行させるかの判断に新たな条件を加えている。
図13は、新たに加える条件を示す。
図13の判断は、
図10の処理においてステップS10を否定した後に実行する。なお、本実施形態における判断は、
図10の処理に処理ステップを加えるものであり、
図10の処理は本実施形態でも同じように実行される。また、本実施形態において主制御基板60のCPU61は、変動ゲームの変動を開始させるときには変動開始コマンドを枠制御基板80にも出力するとともに、変動ゲームの変動を終了させるときには変動終了コマンドを枠制御基板80にも出力する。
【0181】
CPU81は、
図10のステップS10を否定、すなわち供給入口信号を入力している場合、
図13のステップS20へ移行して変動ゲームの変動が停止しているか、すなわち変動終了コマンドを入力しているかを確認する。CPU81が変動終了コマンドを入力していない場合は、変動ゲームの変動が停止していない。このため、この場合は遊技進行状態であることから、CPU81は、遊技停止状態であるとの判断ができないことからステップS20を否定して処理を終了する。一方、CPU81が変動終了コマンドを入力している場合は、遊技停止状態になる可能性があることから、ステップS20を肯定してステップS21へ移行する。
【0182】
ステップS21へ移行したCPU81は、時間のカウントを開始する。そして、時間のカウントを開始したCPU81は、ステップS22にて変動ゲームの変動が再開したかを確認する。つまり、ステップS22にてCPU81は、変動ゲームの変動が一時的に停止したものであるかを確認する。ステップS23にてCPU81は、ステップS22で確認した結果をもとに変動ゲームの変動が停止している状態が継続していればステップS23を肯定してステップS24へ移行する。一方、ステップS23にてCPU81は、ステップS22で確認した結果をもとに変動ゲームの変動が再開すればステップS23を否定して処理を終了する。ステップS23の判断は、CPU81が変動開始コマンドを入力しているか否かによって行われる。
【0183】
ステップS24にてCPU81は、ステップS21でカウントを開始した時間が時間T2以上であるかを確認する。本実施形態における時間T2は、「5分」である。時間T2は、遊技者が離席していると判断してもよいと考えられる時間に設定するとよく、例えば10分としてもよい。ステップS24にてCPU81は、時間が時間T2未満の場合、ステップS24を否定してステップS22へ戻り、ステップS22からの処理を繰り返す。一方、ステップS24にてCPU81は、ステップS21でカウントを開始した時間が時間T2以上である場合、ステップS24を肯定してステップS25へ移行する。つまり、ステップS24を肯定したCPU81は、時間に関する条件が遊技停止状態と判断する要件を満たしたことから、この段階で遊技停止状態、すなわち当該パチンコ遊技機10は遊技が行われていない空台として判断する。
【0184】
図13の処理は、
図10のステップS10を否定した場合に実行される。そして、
図13の処理においてステップS24の処理まで至る場合には、遊技球を発射しているが、変動ゲームの変動が停止している、つまり始動口入賞を得られない場合が考えられる。パチンコ遊技機10では、遊技球を発射し続けても始動口入賞を得られないケースは存在し得るが、ステップS24で用いる時間T2を「5分」としたときに、その間、始動口入賞を全く得られないのは極めて稀な事象であると考えられる。このため、ステップS24を肯定する場合は、既に遊技球の発射を止めており、遊技者が離席している可能性が高い、あるいは遊技を行わずに席を占有している可能性が高いと判断できる。
【0185】
ステップS25にてCPU81は、パチンコ遊技機10が遊技停止状態であることを知らせるようにその旨を報知する処理を実行する。具体的に言えば、CPU81は、演出制御基板70のCPU71に対して報知を指示する制御情報としての報知指示コマンドを送信する。報知指示コマンドは、主制御基板60を経由して演出制御基板70に送信される。本実施形態において遊技停止状態であることの報知は、前述した時間に関する条件を満たしたことに基づいて実行されるものであり、遊技停止状態であると判断したパチンコ遊技機10に遊技者が着席しているか否かを問わない。つまり、遊技者が離席した空台と見做して報知を実行させる。なお、本実施形態で実行される報知の態様は、
図11で説明した報知の態様と同じである。また、本実施形態で実行される報知の終了条件は、
図11で説明した報知の終了条件と同じである。すなわち、報知は、始動口入賞の発生によって特別ゲームが開始されるゲームの開始に関する条件を含む複数の終了条件のうち何れかの終了条件が成立することによって終了する。
【0186】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(2-1)変動ゲームの変動が停止しているかを判断材料として遊技停止状態であるかを判断している。このため、貯留皿がなく物理的に遊技球を確認できなくても、パチンコ遊技機10の実情に即した判断を行うことができる。つまり、判断の正確性を向上できる。
【0187】
(2-2)さらには、遊技球が発射されているかということに加えて変動ゲームの変動が停止しているかという2つの判断材料をもとに遊技停止状態であるかを判断しているので、遊技停止状態であるかの判断を迅速に行うことができる。その結果、遊技が行われていない状態でパチンコ遊技機10が何時までも放置されている事態を抑制できる。
【0188】
上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。なお、上述した実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0189】
・第1実施形態における遊技停止状態であるかの判断を、枠制御基板80に代えて主制御基板60で行うようにしてもよい。この場合、枠制御基板80のCPU81は、供給入口信号を入力すると、当該信号を主制御基板60のCPU61に送信する。なお、供給入口信号は、主制御基板60に直接入力される構成としてもよい。
【0190】
・第1実施形態における遊技停止状態であるかの判断において、
図10のステップS10の確認を供給出口信号の入力有無によって行ってもよい。また、
図10のステップS11,S12の処理を省略して、遊技球が発射されなくなってからの時間経過で遊技停止状態であるかを判断してもよい。
【0191】
・第2実施形態における遊技停止状態であるかの判断を、枠制御基板80に代えて主制御基板60で行うようにしてもよい。この場合、
図10の処理において枠制御基板80のCPU81は、ステップS10を否定すると、その旨を示す制御コマンドを主制御基板60のCPU61に送信すればよい。また、第2実施形態における遊技停止状態であるかの判断のみに基づいて遊技停止状態であることの報知を行ってもよい。また、第1実施形態における遊技停止状態であるかの判断を枠制御基板80で行う一方で、第2実施形態における遊技停止状態であるかの判断を主制御基板60で行ってもよい。この場合、それぞれの判断結果は独立しており、それぞれの判断結果をもとに遊技停止状態であることの報知を実行させてもよい。なお、一方の判断結果をもとに報知を実行させている場合に、他方でも報知を実行させるとの判断に至ったときには一方の判断結果に基づく報知を継続させればよい。
【0192】
・また、上記の別例において、主制御基板60のCPU61や枠制御基板80のCPU81が遊技停止状態であるかの判断に必要な制御情報を演出制御基板70のCPU71に送信すれば、CPU71で判断を行い、報知を実行させてもよい。
【0193】
・各実施形態において、遊技停止状態であることの報知を行う手段は、パチンコ遊技機10が備える手段としてもよいし、パチンコ遊技機10が報知を指示する制御コマンドを出力して外部の手段で報知を実行させるようにしてもよい。
【0194】
・第2実施形態において変動ゲームの変動が停止しているかの確認は、変動開始コマンドと変動終了コマンドの両方を入力していることを条件に行ってもよい。
・第2実施形態において
図13のステップS20では、変動停止であるかと実行が保留されている変動ゲームの回数が零であるかとの両方を確認してもよい。上記確認を枠制御基板80で行う場合、主制御基板60は保留数を指定するコマンドを枠制御基板80に送信する。変動停止に加え、実行が保留されている変動ゲームの回数を確認することで、遊技停止状態になる可能性をより確実に判断できる。つまり、実行が保留されている変動ゲームの回数が零であれば、遊技停止状態になる可能性が高くなると言える。
【0195】
・各実施形態において、計数スイッチ18の操作によって計数球数を遊技球数から減算した結果、遊技球数が零になると、「計数が完了しました」や「全てを移管しました」などの音声報知を実行させるようにしてもよい。
【0196】
・各実施形態のパチンコ遊技機10において複数の計数スイッチを設けてもよい。操作する計数スイッチの種類によって計数球数が異なるようにしてもよい。いずれの計数スイッチを操作するかが、操作手段の操作態様に相当する。また、この場合、一方の計数スイッチを操作しているとき、他方の計数スイッチの操作は無効となる。なお、複数の計数スイッチの中には、1回の操作で全ての遊技球数を計数球数とする計数情報が生成される計数スイッチがあってもよい。また、実施形態のように1つの計数スイッチを備える場合において、その操作態様の中には全ての遊技球数を計数球数とする計数情報が生成される操作態様があってもよい。
【0197】
・各実施形態において、性能表示モニタ84にてエラー報知を行ってもよい。これによれば、エラーを報知する手段を性能表示モニタ84とは別に専用で設ける必要がなく、パチンコ遊技機10の構成を簡単にできる。
【0198】
・各実施形態において、遊技球数表示装置17にて遊技球の個数(遊技球数)を報知可能であるとともに、この遊技球数表示装置17は、エラーを報知する手段として兼用してもよい。よって、遊技球の個数とエラーとを1つの手段にて簡便に把握させ得る。この場合、遊技球数表示装置17では、遊技球数を報知するときとエラーを報知するときでは異なる態様で報知することになる。例えば、遊技球数は数字のみで報知するが、エラーは例えば数字と文字(アルファベット)によるコードで報知する。
【0199】
・上記別例において、機裏側の性能表示モニタ84におけるエラーの報知と、機表側の遊技球数表示装置17におけるエラーの報知とは、開始タイミングが同じ又は略同じとしてもよい。よって、搭載枠11bが開放状態及び閉鎖状態の何れであっても、同じタイミングにてエラー報知を把握させることができる。
【0200】
・上記別例において、性能表示モニタ84におけるエラー報知と、遊技球数表示装置17におけるエラー報知とは、開始タイミングが同じであったが、これに限らず、開始タイミングが異なっていてもよい。例えば、遊技球数表示装置17は、性能表示モニタ84に比して、先にエラー報知を開始する構成であってもよい。この構成によれば、機表側にて、遊技者等に対して速やかにエラー状態を把握させることができる。例えば、性能表示モニタ84は、遊技球数表示装置17に比して、先にエラー報知を開始する構成であってもよい。この構成によれば、管理者が搭載枠11bを開放してメンテナンスを実施している場合など、機表側を視認する遊技者等よりも先に管理者にエラー状態を把握させることができる。
【0201】
・上記別例において、遊技球数表示装置17ではエラー報知を実行させる一方で、性能表示モニタ84ではエラー報知を実行させないようにしてもよい。また、遊技球数表示装置17や性能表示モニタ84に代えて又は加えて、エラー報知を実行する専用の手段を設けてもよい。専用の手段は、表示、発光、音声など、その報知の態様は任意である。
【0202】
・各実施形態において遊技停止状態であることの報知は、実施形態で説明した終了条件が成立した際に完全に終了させるのではなく、何らかの制限を掛けて報知を継続させるようにしてもよい。例えば、前記報知を画像で行う場合は、表示サイズを小さくする、表示色を薄くする、表示位置を隅に移動するなど、報知の強度を弱めるようにしてもよい。同様に、前記報知を音で行う場合は、音量を小さくして報知の強度を弱める。同様に、前記報知を発光で行う場合は、光量を小さくして報知の強度を弱める。なお、このように制限を掛けた報知は、別途定めた終了条件の成立によって終了させてもよいし、所定時間の経過によって終了させてもよい。
【0203】
・各実施形態においてパチンコ遊技機10は、遊技者が自ら離席していることを外部に報知させる手段を設けてもよい。このような手段としては、例えば遊技者が操作可能な操作ボタンを設け、当該操作ボタンが操作されると、画像などの表示によって離席中であることを報知したり、発光によって離席中であることを報知したりする。なお、この報知は、同じく操作ボタンを操作すると終了するようにしてもよいし、それに加え、所定時間の経過によって強制的に終了するようにしてもよい。また、このように遊技者が離席の意思を表明した場合は、遊技球の発射を禁止させる、計数スイッチ18の操作を無効にする、など遊技者以外の他者の行為によって遊技者が不利益を被らない対策を施すとよい。また、遊技者が離席の意思を表明した場合は、各実施形態における遊技停止状態であるかの判断を制御的に行わないようにするとよい。なお、本別例における報知を行う手段の報知内容は、遊技中であることを示す内容であってもよい。
【0204】
・各実施形態においてパチンコ遊技機10は、遊技者が自ら遊技を終了したことを外部に報知させる手段を設けてもよい。このような手段としては、例えば遊技者が操作可能な操作ボタンを設け、当該操作ボタンが操作されると、画像などの表示によって遊技を終了したことを報知したり、発光によって遊技を終了したことを報知したりする。なお、この報知は、払出ボタン104b又は球貸ボタン104aが操作された場合に終了するようにしてもよい。あるいは、前記報知は、始動口入賞が発生したこと、又は変動ゲームが開始したことを契機に終了するようにしてもよい。また、前記報知の契機となる操作ボタンは専用のボタンでもよいし、計数スイッチ18としてもよい。計数スイッチ18とする場合、遊技球数が特定の球数(例えば0球、あるいは10球未満)になるまで計数スイッチ18が操作されたことを報知の契機としてもよい。また、パチンコ遊技機10には、本別例における遊技の終了を報知させる手段と、前述の別例における遊技を継続する意思を持った離席を報知させる手段の両方を備えていてもよい。
【0205】
・各実施形態において遊技停止状態であることの報知の報知態様は任意に変更してもよい。各実施形態では画像を表示するなど、その旨を積極的に報知しているが、それ代えて、例えば演出表示装置19の発光量(輝度)や発光装飾用のランプの発光量(輝度)を極端に低下させる(消灯も含む)など、通常とは異なる態様で制御してもよい。この場合の発光量は、演出などでは用いられない専用の発光量が好ましい。このように、遊技停止状態である場合に通常とは異なる態様を取り得ることが報知に相当する。また、遊技停止状態であることを報知する手段は、パチンコ遊技機10が備えていてもよいし、外部に備えていてもよい。例えば、ホールコンピューターに信号を送信し、その信号を確認した遊技場の管理者に遊技停止状態であることを知らせるようにしてもよい。
【0206】
・各実施形態のパチンコ遊技機10を、遊技者が獲得した遊技球の数に関連して所定の処置を施すように構成してもよい。具体的に言えば、所定期間中の遊技で使用した遊技球の個数とその期間中に遊技者が獲得した遊技球の個数の差が所定の数を超えた場合に所定の処置を施すようにしてもよい。所定期間は、一例として1日の営業時間中や、パチンコ遊技機10の電源供給を開始してから電源供給を終了するまでの期間中である。遊技で使用した遊技球はアウトセンサD30が検知した遊技球の数をもとにカウントできる。あるいは、遊技で使用した遊技球は、入賞通路カウントセンサD25が検知した遊技球の数と非入賞通路カウントセンサD26が検知した遊技球の数の合算数をもとにカウントできる。遊技者が獲得した遊技球の個数は、主制御基板60のCPU61が送信する獲得賞球数情報をもとにカウントできる。なお、上記所定の処置を施す基準となる所定の数は、
図10のステップS12の確認で用いる個数Xよりも多い数である。所定の処置は、前記個数の差が所定の数を超えたことを、例えば演出表示装置19などの報知手段を用いて報知することである。その他の所定の処置としては、遊技を停止させること、遊技球の発射を停止させること、あるいは遊技と遊技球の発射の両方を停止させることが考えられる。遊技を停止させるとは、第1始動口23、第2始動口24、普通入賞口27及び大入賞口25などの遊技盤20に配設されている入球口への入球を無効とすることを含む。上述した報知は、パチンコ遊技機10の電源遮断後の電源復帰や、RAMクリアによって終了させることができる。なお、この変更例の処理は、枠制御基板80のCPU81が行う。また、本別例で行われる報知の態様は、各実施形態で行われる遊技停止状態であることの報知とは異なる態様で行われることで区別される。また、本別例の処置として遊技球の発射を停止させた場合には各実施形態で説明した遊技停止状態になり得るが、本別例の処理による停止状態と各実施形態の停止状態は異なる判断の結果で作り出された状態である。本別例の処置を施すことを可能としたパチンコ遊技機10では、判断の指標に遊技球の個数を含み共通する点もあるが、判断結果によって生じ得る状態は異なり、その状態の発生によって異なる報知が実行されることになる。
【0207】
・各実施形態のパチンコ遊技機10は、演出音声装置12の音量や、演出発光装置14及び演出表示装置19の光量の調整を、遊技者や遊技場の管理者が行うことができるように構成してもよい。
【0208】
・各実施形態のパチンコ遊技機10は、構造的にファール球が発生し得ないパチンコ遊技機(例えば遊技盤20の左上方から遊技球を発射するタイプ)としてもよい。この変更例のパチンコ遊技機10の場合、遊技球数の計数に際してファール球を考慮しない。
【0209】
・各実施形態のパチンコ遊技機10において計数スイッチ18の操作は特定の状況下を除いて常時、有効としてもよい。特定の状況下には、遊技球数が零のときを含む。これによれば、計数スイッチ18の操作は、遊技球を発射していないとき、発射させた遊技球が遊技領域20aを流下案内されているとき、発射させた遊技球がアウトセンサD30でまだ検知されていないときの何れでも、遊技球数が1以上であれば常時、有効になる。また、特定の状況下には、パチンコ遊技機10に接続される外部機器(一例としてカードユニット100)との接続が確認できないときを含む。また、計数スイッチ18の操作は、計数スイッチ18を短尺操作又は長尺操作を行った後、一旦、操作を止めても無効となる期間は設定されず、再び操作を行っても有効である。また、遊技球を発射させたタイミングで計数スイッチ18を操作した場合、つまり遊技球の発射と計数スイッチ18の操作が同時又はほぼ同時に生じた場合、遊技球の発射が優先される。遊技球を発射させることは遊技者が遊技を継続する意思があると見做すことができる。このため、遊技球数を移管させることよりも遊技を継続させることを優先することは、遊技者の遊技を継続させる意思を尊重することができる。
【0210】
・パチンコ遊技機10において計数スイッチ18の操作は、エラーが発生しているとき、エラー報知が実行されているとき、遊技球数の減少要因である遊技球が発射されたとき、遊技球数の増加要因である賞球が発生したとき、遊技球数の増加要因であるファール球が発生したときでも有効としてもよい。また、これらの状況が任意の組み合わせで発生したときでも、計数スイッチ18の操作は有効としてもよい。例えば、遊技球が発射されたときと賞球が発生したときの組み合わせ時、遊技球が発射されたときとファール球が発生したときの組み合わせ時、賞球が発生したときとファール球が発生したときの組み合わせ時において計数スイッチ18の操作は有効としてもよい。このように計数スイッチ18の操作が有効となれば、計数スイッチ18の操作に関連する遊技球数の変化や、発射や賞球などの遊技に関連する遊技球数の変化に対しても、計数スイッチ18の操作による遊技球数の移管を行えることができる。また、エラーの発生やエラーの報知と、遊技球の発射、賞球の発生及びファール球の発生との組み合わせ時において計数スイッチ18の操作は有効としてもよい。
【0211】
・各実施形態において、計数スイッチ18の操作態様に応じた報知音を発生させてもよい。これによれば、遊技者は、報知の態様から自身が計数スイッチ18をどのような態様で操作し、その結果、どの程度の遊技球の管理が外部に移管されるかを把握できる。なお、報知音が出力されているときにパチンコ遊技機10の電源供給が遮断され、その後に電源供給が復帰しても、遮断前に実行されていたように復帰しないようにしてもよい。これにより、電源の復帰後、報知音が復帰されることにより、何が起きたのかというような無用な心配を遊技者に抱かせないようにすることができる。
【0212】
・各実施形態において、アウト球の数は、入賞通路カウントセンサD25が検知した数と非入賞通路カウントセンサD26が検知した数の合算数としてもよい。この場合、アウトセンサD30は、設けても設けなくてもどちらでもよい。
【0213】
・各実施形態において、入賞通路カウントセンサD25と非入賞通路カウントセンサD26を設けず、アウトセンサD30のみで排出された遊技球を検知してもよい。
・各実施形態において、アウトセンサD30を設ける場合、そのアウトセンサD30は遊技盤20に設けられていてもよいし、枠に設けられていてもよい。
【0214】
・各実施形態において、確変機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の大当り遊技まで高確率状態を付与する仕様、転落抽選に当選するまで高確率状態を付与する仕様(所謂、転落機)、又は規定回数の変動ゲームが終了するまで高確率状態を付与する仕様(所謂、ST機)を採用できる。また、確変機能を搭載したパチンコ遊技機10として、遊技球が特定領域を通過することを条件に高確率状態を付与する仕様(所謂、V確変機)を採用できる。パチンコ遊技機10は、転落機の仕様と、V確変機の仕様と、を混合させた仕様であってもよい。
【0215】
・各実施形態において、特別図柄の当り抽選として、大当り抽選の他、小当り抽選を行うように構成してもよい。当り抽選にて小当りに当選した場合、特別ゲームの終了後に小当り遊技(当り遊技)が付与される。本実施形態において、通常の遊技状態(例えば、低確低入球率状態)に比して、単位時間あたりに小当りに当選する回数(頻度)、又は、単位時間あたりに小当り遊技が付与される回数(頻度)が向上する状態(所謂、小当りRUSH)に制御可能に構成してもよい。
【0216】
・各実施形態において、パチンコ遊技機10として、「羽根もの」、又は「ヒコーキタイプ」ともいわれる第2種に分類される仕様を採用してもよい。この種のパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に入球装置(大入賞口)の開閉羽根(開閉部材)が開き、入球装置へ入球した遊技球が特別入賞口へ入球することによって大当り遊技が生起される。
【0217】
・各実施形態において、CPU61、ROM62、RAM63、及び乱数生成回路64は、ワンチップに構成されていてもよい。
・各実施形態において、遊技盤20の具体的な構成は任意に変更してもよい。
【0218】
・各実施形態において、演出制御基板70をサブ統括制御基板とし、演出制御基板70とは別に演出表示装置19を専門に制御する表示制御基板、演出発光装置14を専門に制御する発光制御基板、演出音声装置12を専門に制御する音制御基板を設けてもよい。このようなサブ統括制御基板とその他の演出を制御する基板を含めて副基板としてもよい。また、実施形態において、単一の基板にCPU61、及びCPU71を搭載してもよい。また、表示制御基板、発光制御基板、及び音制御基板を任意に組み合わせて単数又は複数の基板としてもよい。
【0219】
・各実施形態において、所定量の遊技媒体(一例として遊技球)の全部を循環させる遊技機として構成したが、これに限らず、遊技媒体の一部又は全部について、遊技機の外部にある遊技媒体と交換可能な構成であってもよい。
【0220】
・パチンコ遊技機10は、搭載枠11b及び遊技盤20の一方又は両方に磁気センサを備えていてもよい。この構成によれば、パチンコ遊技機10において本来あるべきではない磁性を有する異物を検知することができる。また、パチンコ遊技機10において通常使用される通常体に該当しない磁石やワイヤなどのゴト器具が使用されている可能性があることを検出できる。また、磁性を有する遊技球と磁石を用いて、遊技球が堆積した状態を意図的に作るような行為の発見にも寄与できる。
【0221】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)遊技機の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、
遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、所定の処理を実行する処理手段と、を備え、前記処理手段では、図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理と、前記発射機構による発射動作及び前記供給機構による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して前記データとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理と、を実行可能であり、前記遊技球の個数を減算しない状況が発生してから所定時間が経過すること、又は前記図柄変動ゲームの変動が停止した状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であることを特定可能としたことを特徴とする遊技機。
【0222】
(ロ)遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、所定の処理を実行する処理手段と、遊技者が操作可能な複数の操作手段と、を備え、前記処理手段では、図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理と、前記発射機構による発射動作及び前記供給機構による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して前記データとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理と、前記複数の操作手段のうち特定の操作手段の操作を契機に前記データとして記憶している前記遊技球の個数のうち所定数に対応する数を示す制御情報を生成して外部に送信する送信処理と、を実行可能であり、前記遊技球の個数を減算しない状況が発生してから所定時間が経過すること、又は前記図柄変動ゲームの変動が停止した状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、前記所定の報知を実行させているときでも、前記送信処理による前記制御情報の送信は可能であることを特徴とする遊技機。
【0223】
(ハ)遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、前記データに基づいて遊技を可能に構成された遊技機において、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、遊技球を前記発射機構へ供給する供給機構と、所定の処理を実行する処理手段と、を備え、前記処理手段では、図柄変動ゲームの変動の開始と変動の停止を制御するゲーム処理と、前記発射機構による発射動作及び前記供給機構による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して前記データとして記憶している遊技球の個数を減算する減算処理と、を実行可能であり、前記遊技球の個数を減算しない状況が発生してから所定時間が経過すること、又は前記図柄変動ゲームの変動が停止した状況が発生してから所定時間が経過することにより、前記遊技機が遊技停止状態であると特定可能な所定の報知を実行可能とし、前記遊技機は、前記所定の報知が開始する前に、前記遊技停止状態であるか又は遊技進行状態であるかを特定可能に報知する報知手段を備えることを特徴とする遊技機。
【0224】
(ニ)遊技停止状態であることの報知は、遊技球の個数を減算しない状況が発生した時点でデータとして記憶している遊技球の個数が特定の個数以下であることも特定可能である。
【0225】
(ホ)遊技停止状態であることの報知は、所定の終了条件の成立によって終了させることができ、遊技停止状態であることの報知を開始させる開始条件よりも終了条件の方が多い。
【符号の説明】
【0226】
10…パチンコ遊技機 13…報知音声装置 16…演出操作装置 17…遊技球数表示装置 18…計数スイッチ 19…演出表示装置 19a…画像表示領域 20…遊技盤 20a…遊技領域 40…供給装置 50…発射装置 60…主制御基板 61…CPU 62…ROM 63…RAM 80…枠制御基板 81…CPU 82…ROM 83…RAM