(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2022067314
(22)【出願日】2022-04-15
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 強
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086102(JP,A)
【文献】特開2013-223592(JP,A)
【文献】特開2012-110484(JP,A)
【文献】特開2016-193264(JP,A)
【文献】特開2019-150083(JP,A)
【文献】特開2017-000638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第一遊技状態、および、前記第一遊技領域とは異なる第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第二遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、
前記第二遊技状態が終了する際に終了画像を前記表示手段に表示する終了演出、および、前記第二遊技状態が終了すると見せかける際に前記終了画像と同一視される似非終了画像を前記表示手段に表示する似非終了演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記似非終了演出では、前記似非終了画像とともに前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す特別第二指示画像が前記表示手段に表示されることを特徴とする遊技機。
ただし、前記特別第二指示画像は、前記終了画像とともに表示されるものではない。
【請求項2】
前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に移行した際には、前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す第一指示画像が前記表示手段に表示され、
前記第一指示画像と前記特別第二指示画像は、同じ態様の文字を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第一遊技状態が終了して前記第二遊技状態に移行した際には、前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す通常第二指示画像が前記表示手段に表示され、
前記第一指示画像と前記通常第二指示画像は、同じ態様の文字を含むものではないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第一遊技状態においては、当否抽選結果を報知する装飾図柄の背景として基本背景画像が前記表示手段に表示されることがあり、
前記終了画像および前記似非終了画像は、前記基本背景画像を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者に有利な状態が終了したように見せかけて、それが覆されるいわゆる逆転パターンの演出を実行することが可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、逆転パターンの演出が発生するかどうかが容易に分かってしまうことにより遊技者が興醒めしてしまうのを抑制することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示手段と、第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第一遊技状態、および、前記第一遊技領域とは異なる第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第二遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記第二遊技状態が終了する際に終了画像を前記表示手段に表示する終了演出、および、前記第二遊技状態が終了すると見せかける際に前記終了画像と同一視される似非終了画像を前記表示手段に表示する似非終了演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記似非終了演出では、前記似非終了画像とともに前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す特別第二指示画像が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、逆転パターンの演出が発生するかどうかが容易に分かってしまうことにより遊技者が興醒めしてしまうのを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(a)は特定領域が閉鎖された状態にある単位遊技(大当たり遊技を構成する単位遊技)における大入賞領域内の様子を示した模式図であり、(b)は特定領域が開放された状態にある単位遊技(小当たり遊技)における大入賞領域内の様子を示した模式図である。
【
図3】表示領域に表示された装飾図柄、保留図柄を示した図である。
【
図4】(a)は遊技状態と大当たりの種類(大当たりの種類に応じた遊技状態の移行)を説明するための図であり、(b)は各遊技状態における当否抽選確率を示した図である。
【
図5】第一指示画像および第二指示画像(通常第二指示画像、特別第二指示画像)を説明するための図である。
【
図6】終了演出および似非終了演出を説明するための図である。
【
図7】終了演出および似非終了演出を説明するための図(
図6の続き)である。
【
図8】似非終了演出の作用を説明するための参考例である。
【
図9】通常第二指示画像が表示されるケースの一例を示した図である。
【
図12】(a)は消化順位置を説明するための図、(b)は保留図柄の各種態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかるぱちんこ遊技機1(以下、単に遊技機と称する)の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく動画も含まれるものとする。また、「○○に遊技球が進入(入賞)」等というときは、厳密には当該○○に設けられたセンサが進入した遊技球を検出したことをいう。
【0009】
まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動領域904、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。
【0010】
表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認されるものである。なお、一部の図においては、遊技盤90に覆われずに露出する表示領域911の形状を簡略化して記載する(方形状に記載する)が、当該部分の大きさや形状は適宜変更可能である。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
2)遊技性(ゲーム性)
2-1)当否抽選
始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(以下、当否抽選情報と称することもある)が取得される。当該数値を用いて当否抽選が実行される。当該数値が予め定められた当たり用数値と同じであれば当たりとなり、異なる場合にはずれとなる。本実施形態では、当たりの態様(種別)として、大当たりおよび小当たりの二種類が設定されている。つまり、乱数源から取得された数値が大当たり用数値と同じであれば大当たりとなり、小当たり用数値と同じであれば小当たりとなる(それ以外ははずれである)。
【0014】
本実施形態では、始動領域904として第一始動領域904aと、当該第一始動領域904aとは異なる位置にある第二始動領域904bと、が設けられている(
図1参照)。第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として第一当否抽選情報が取得され、それに基づき第一当否抽選(特
図1抽選)が実行される。第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として第二当否抽選情報が取得され、それに基づき第二当否抽選(特
図2抽選)が実行される。
【0015】
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。なお、詳細を後述する小当たりを経た大当たり(遊技)と区別するため、大当たり当選を「直当たり」と称することもある。大当たり遊技は、所定条件成立まで大入賞領域906(常態において閉鎖されている)が開放される単位遊技(いわゆる1「ラウンド」分の遊技のことをいう。以下の説明において「ラウンド」と称することもある)が一または複数回繰り返される。本実施形態では、大入賞領域906に遊技球が10個入賞する入賞条件、および、所定時間が経過する時間条件のいずれか一方が成立することをもって単位遊技が終了(大入賞領域906が閉鎖)する。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)が多くなるほど、当該大当たり遊技にて得られる遊技者の利益(利益の期待値)が大きくなる。本実施形態では、大入賞領域906は遊技領域902の右側(第二遊技領域902R)に設けられており、遊技者は遊技領域902の右側に遊技球が進入するよう遊技する(いわゆる「右打ち」を行う)。
【0016】
小当たりに当選した場合には小当たり遊技が実行される。小当たり遊技は、大入賞領域906が開放されるとともに、当該大入賞領域906内に設けられた特定領域10が開放される(
図2(b)参照)ものである。当該特定領域10の付近には「V」の文字が付されており、当該特定領域10を遊技者に示す文言として当該「V」が用いられる。特定領域10は常態において閉鎖されているものであるところ、小当たり当選時には一時的に開放される(なお、大当たり遊技では特定領域10は開放されない)。なお、大入賞領域906には二つの出口領域が設けられており、大入賞領域906に進入した遊技球は当該二つの出口領域のいずれかを通過することになる。当該二つの出口領域のうちの一方が特定領域10とされている。当該出口領域のそれぞれにはセンサが設けられており、当該出口領域のいずれかを通過した遊技球が大入賞領域906に入賞したものと扱われる。つまり、特定領域10に進入した遊技球は、大入賞領域906にも進入したものでもある。
【0017】
特定領域10に遊技球が進入したときには、大当たり遊技が実行される。つまり、抽選により大当たりに当選することだけでなく、小当たりを経由して大当たりを獲得することができる(大当たりを獲得するためには、1つの遊技球が特定領域10に進入すればよい)。なお、大入賞領域906外に特定領域10が設けられた構成としてもよい。
【0018】
小当たり遊技は、それを経て獲得した大当たり遊技の1ラウンド分の単位遊技とみることもできる。すなわち、大当たり遊技の一部として小当たり遊技が実行されるとうことである。例えば、小当たりを経由した10ラウンド大当たり(単位遊技が10回実行される大当たり)とは、小当たり遊技(大入賞領域906が開放されるとともに特定領域10が開放される遊技)が1ラウンド目の遊技として、その後の大当たり遊技として実行される大入賞領域906の開放が2~10ラウンド目の遊技として実行される(特定領域10に遊技球が進入しなかった場合には当該2~10ラウンド目の遊技が実行されず、小当たり遊技のみで終了する)。小当たり遊技は、大当たり遊技を構成する単位遊技と同様、時間条件および入賞条件(本実施形態では10個入賞)の少なくともいずれか一方が成立することにより終了する。継続的に遊技球を発射していれば先に入賞条件が成立することになるから、小当たり遊技においては一回の単位遊技と同様の賞球を得ることができる。なお、本実施形態では、小当たり遊技である単位遊技以外の単位遊技(大当たり遊技を構成する単位遊技)においては、大入賞領域906は開放されるものの特定領域10は閉鎖された状態にある(
図2(a)参照)。
【0019】
本実施形態では、小当たりに当選した場合に大入賞領域906とともに特定領域10が開放されることになるが、その時間は、当該特定領域10に遊技球を進入させるために十分な長さが確保される。特定領域10は遊技領域902の右側(第二遊技領域902R)に設けられており(
図1参照)、特定領域10に遊技球を進入させるためには遊技者は右打ちを行うところ、継続的に右打ちを行っていればほぼ確実に特定領域10に遊技球が進入する。小当たり当選時には表示領域911に右打ちを実行する旨の指示が出されるため、遊技者はそれに従うだけでよい。指示が出されてから10数秒遅れて右打ちを開始しても、ほぼ確実に遊技球が特定領域10に進入するように設定されている。このように、本実施形態では、実質的には「小当たり当選=大当たり当選」となる(小当たり当選が大当たり獲得に結びつく)設定である。
【0020】
なお、本実施形態にかかる遊技機1のように、大当たり当選時だけでなく、小当たり当選時にも大当たりを獲得できる可能性がある遊技機は「一種二種混合機」等と称される(小当たり経由での大当たりの獲得は「二種」の遊技性である)。
【0021】
2-2)装飾図柄
当否抽選結果は、表示領域911に表示される装飾図柄80(
図3参照)により報知される。本実施形態では、それぞれが複数種の装飾図柄80を含む三つの装飾図柄群80gが設定される。具体的には、表示領域911の左側に表示される左装飾図柄群80gL、右側に表示される右装飾図柄群80gR、左装飾図柄群80gLと右装飾図柄群80gRの間に表示される中装飾図柄群80gCの三つである。各装飾図柄群80gから選択されて表示された三つの装飾図柄80の組み合わせにより抽選結果が報知される。当該三つの装飾図柄群80gが変動を開始してから、当該変動が停止して抽選結果を示す組み合わせが表示されるまでの演出が変動中演出(一変動分の演出)である。
【0022】
なお、装飾図柄80以外の図柄(別図柄;図示せず)が表示されるようにしてもよい。例えば、本実施形態では、後述するように小当たり当選時および大当たり当選時にはいずれも同じ種類の装飾図柄80の三つ揃いが表示される(装飾図柄80の組み合わせによっては小当たりおよび大当たりの区別がつかない)ところ、大当たりに当選したときと小当たりに当選したときとでは、別図柄の態様が異なる(別図柄により大当たりに当選したのか小当たりに当選したのか区別できる)ようにしてもよい。別図柄は、表示領域911に表示されるものであってもよいし、表示領域911外に表示される(表示領域911外に表示されるランプ等の点灯パターン)であってもよい。
【0023】
2-3)保留
第一始動領域904aに遊技球が進入し、新たな第一当否抽選情報が取得されたとき、それよりも先に取得された当否抽選情報に対応する変動中演出が実行されている場合には、当該新たな第一当否抽選情報は第一保留情報(保留)として記憶手段(図示せず)に記憶される。本実施形態では第一保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つである。また、既に対応する変動中演出は開始されているものの、未だ変動中演出が終了していない第一当否抽選情報は第一変動中情報として当該記憶手段に記憶される。これら第一保留情報や第一変動中情報が存在することは保留図柄70として表示領域911に表示される。なお、第一変動中情報は厳密には「保留」ではないが、一般的に「当該変動保留」等と称されていることから第一変動中情報の存在を示す図柄も保留図柄70の一種であるとする。保留図柄70は、第一変動中情報の存在を示す変動中保留図柄71と、第一保留情報の存在を示す変動前保留図柄72に区分けされる。本実施形態では、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示されることで、両者が容易に区別できるようにされている。これとは異なり、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72の少なくとも一方に付随するマークを設ける等して両者の区別が容易になるようにしてもよい。また、保留図柄70として、変動前保留図柄72は表示されるものの、変動中保留図柄71が表示されないものとしてもよい。
【0024】
一方、本実施形態では、第二当否抽選情報については保留情報(第二保留情報)として記憶される領域は設けられていない。つまり、対応する当否抽選結果の報知が完了していない二以上の第二当否抽選情報が保留されるという状況は生じない。
【0025】
2-4)遊技状態
遊技者が大当たり獲得を目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態とこれよりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技状態(いわゆる時短状態である)が設定されている(
図4(a)参照)。通常遊技状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させるべき状態である。第一始動領域904aは、遊技領域902の左側(第一遊技領域902L)を流下する遊技球が進入可能な位置に設けられている。すなわち、通常遊技状態は、遊技者に対し左打ち遊技が促される(左打ち遊技を行うべき)状態であり(右打ちでは第一始動領域904aに遊技球は進入しない)、第一当否抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。第一当否抽選は、その結果が大当たりまたははずれとなる抽選である。つまり、第一当否抽選の結果として小当たりは発生しない。通常遊技状態における大当たり確率(第一当否抽選の大当たり確率)は約1/319.8である(
図4(b)参照)。それ以外ははずれである。したがって、通常遊技状態は、小当たり経由で大当たりを獲得することができない状態である。なお、第一当否抽選の結果として小当たりが発生するようにしてもよいが、その小当たりによって特定領域10に遊技球が進入することが無いようにされる。例えば、第一当否抽選にて小当たりに当選した場合は、特定領域10の開放時間が極めて短く、特定領域10に遊技球が進入する可能性はほぼ無い構成とされる。
【0026】
第一当否抽選の結果が大当たりとなった場合には、三つの装飾図柄80が同じとなることにより大当たり当選が報知される。はずれとなる場合にはそれ以外の組み合わせが表示される。
【0027】
特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させるべき状態である(
図4(a)参照)。第二始動領域904bは、遊技領域902の右側(第二遊技領域902R)を流下する遊技球が進入可能な位置に設けられている。すなわち、特別遊技状態は、遊技者が右打ち遊技を行うべき状態であり(左打ちでは第二始動領域904bに遊技球は進入しない)、第二当否抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。第二当否抽選は、その結果が大当たりまたは小当たりとなる抽選である。つまり、第二当否抽選の結果としてはずれは発生しない。特別遊技状態における大当たり確率(第二当否抽選の大当たり確率)は約1/319.8であり、通常遊技状態における大当たり確率と同じである(特別遊技状態は、いわゆる確率変動状態(大当たり確率が通常遊技状態よりも高い状態)ではないから、通常遊技状態と同じにする必要がある)。それ以外は小当たりとなる(つまり、小当たり確率は約318.8/319.8である)(
図4(b)参照)。なお、第二当否抽選の結果としてはずれが発生しうる設定とすることを否定するわけではない。
【0028】
第二当否抽選の結果が小当たりや大当たりとなった場合には、三つの装飾図柄80が同じとなることにより小当たりや大当たりに当選したことが報知される。実質的には「小当たり当選=大当たり当選」という設定であるから、小当たりに当選した場合であっても大当たりに当選したかのように遊技者に見せるために、装飾図柄80の組み合わせにおいては小当たり当選と大当たり当選とで差異がない(いずれも同じ図柄の三つ揃いとなる)ように構成されている。ただし、表示領域911の外縁近傍に表示される上述した別図柄により大当たり当選と小当たり当選が区別できるようにしてもよい。当該別図柄の態様は、大当たり当選時と小当たり当選時とで異なる態様となるものとされる。ただし、当該別図柄は小さく(装飾図柄80よりも小さく)、目立たないため、遊技者は別図柄を意識せずに装飾図柄80のみを見て遊技することができるものとされている。
【0029】
初期状態(電源ONの状態)においては、通常遊技状態にある。通常遊技状態における第一当否抽選にて当選しうる大当たりとして、通常大当たりおよび特別大当たりが設定されている。通常大当たりは、大当たり遊技状態終了後の遊技状態が通常遊技状態となる大当たりである。特別大当たりは、大当たり終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たりである。なお、各大当たりの単位遊技の数(ラウンド数)はどのようなものであってもよいが、本実施形態では通常遊技状態にて当選した大当たりは通常大当たりであるか特別大当たりであるかによらず4ラウンドとされており、特別遊技状態にて当選した大当たりは10ラウンド(小当たり経由の場合には1ラウンド目は小当たり遊技に相当する)とされている。第一当否抽選にて大当たりに当選したときにおける大当たり振り分けは適宜設定することができる。本実施形態では、通常大当たりが50%、特別大当たりが50%である(
図4(a)参照)。特別大当たりに当選した場合にはその大当たり遊技状態終了後に遊技者に有利な(通常遊技状態よりも有利な)特別遊技状態に移行することになるところ、当該特別遊技状態に移行する確率が50%であるということである。なお、第一当否抽選を経た大当たり振り分けを、特別大当たりが100%である設定としても(通常大当たりが設定されていない構成しても)よい。
【0030】
特別大当たりに当選した場合、その大当たり遊技状態終了後、特別遊技状態に移行する。特別遊技状態においては、遊技者は右打ち遊技を行う(表示領域911には右打ち遊技を促す表示がなされる)。遊技領域902の右側(第二遊技領域902R)には、普通始動領域905が設けられている(
図1参照)。当該普通始動領域905に進入することを契機として普通抽選(普通図柄抽選)が実行される。その抽選に当選することを契機として第二始動領域904b(常態においては閉鎖されている)が開放される。特別遊技状態における普通抽選に当選する確率は極めて高い(100%もしくは100%に近い)。したがって、右打ちすれば容易に第二始動領域904bが開放され、当該第二始動領域904bに遊技球が進入する。つまり、指示通り遊技を行っていれば第二当否抽選が実行される。
【0031】
なお、通常遊技状態では普通抽選に当選しないように(当選確率が0%である)設定されているため、通常遊技状態にて右打ちしても第二始動領域904bに遊技球が進入することはない。これとは異なり、通常遊技状態においても普通抽選に当選する可能性がある設定としてもよい(例えば、通常遊技状態と特別遊技状態とで普通抽選に当選する確率を同じとする)が、通常遊技状態にて普通抽選に当選した場合でも第二始動領域904bに遊技球が進入することは実質的に不可能とされる。例えば、通常遊技状態にて普通抽選に当選したときにおける第二始動領域904bの開放時間は、第二始動領域904bに遊技球が進入することが実質的に不可能な程度に極めて短いものとされる。このように、通常遊技状態においては、第二始動領域904bに遊技球が進入すること(第二当否抽選を受けること)が不可能な設定であればよく、それを実現する手法は適宜変更可能である。
【0032】
一回の第二当否抽選の結果が報知されることを条件として特別遊技状態は終了する。つまり、いわゆる「時短回数=1」という設定である。なお、特別遊技状態が開始されてから実行された第一当否抽選の結果の報知は時短回数にカウントされない。つまり、特別遊技状態が開始された時点で第一保留情報が存在していた結果、第一当否抽選結果の変動中演出が実行されたとしても、それによって特別遊技状態は終了しない。換言すれば、基本的には、特別遊技状態に移行した後、遊技者が右打ちを行い、第二始動領域904bに遊技球を進入させない限り、特別遊技状態は終了しないということである。ただし、極めて稀ではあるが、特別遊技状態が開始された時点で存在していた第一保留情報に基づく第一当否抽選の結果が大当たりとなった場合(約1/319.8に当選した場合)は、大当たり遊技が実行される(大当たり遊技状態に移行する)ことになる。その大当たりが通常大当たりであれば大当たり遊技終了後は通常遊技状態に移行し、特別大当たりであれば大当たり遊技状態終了後は特別遊技状態に移行する。特別遊技状態にて第一当否抽選が実行されて大当たりに当選した場合には、大当たり遊技状態終了後もれなく特別遊技状態に移行する設定としてもよい。なお、本実施形態では、特別遊技状態に移行した際に第一保留情報が存在していた場合、当該第一保留情報に対応する当否抽選結果(はずれ)についての変動中演出に要する時間は最短の時間(最短の変動時間)とされる。つまり、いわゆる特
図1保留が「高速消化」される。
【0033】
上述した通り、特別遊技状態においては、ある程度継続的に右打ちを行っていれば普通抽選に当選して開放された第二始動領域904bに遊技球が進入し、それを契機として第二当否抽選が実行される。上述した通り、第二当否抽選の結果は、大当たりまたは小当たりとなる(はずれが無い)。小当たりは大当たり当選に繋がる(実質的には「小当たり=大当たり」である)ため、特別遊技状態に移行するということは当該第二始動領域904bへの遊技球の進入により一回の大当たり(遊技)の獲得が確約されているということである。
【0034】
また、上述した通り、本実施形態では第二当否抽選の結果として「はずれ」が生じるものではないが、「はずれ」が生じうるものとしてもよい。ただし、この場合には、第二当否抽選結果として「大当たり」または「小当たり」をほぼ確実に得ることができるであろう時短回数が設けられるようにする。例えば、10/319.8の確率で第二当否抽選結果として「はずれ」となる設定(それ以外は「大当たり」または「小当たり」である設定)とした上で、特別遊技状態の時短回数=100回である構成とする。このようにした場合には、10/319.8の確率で100回連続ではずれとならない限り特別遊技状態は終了せず、このような事象が生じることは現実的にはあり得ないため、特別遊技状態に移行した場合にはほぼ確実に次回大当たりが得られることになる。すなわち、このようにしても、特別遊技状態に移行するということが、一回の大当たり(遊技)の獲得が事実上確約されている遊技性となる。
【0035】
第二当否抽選を経て獲得しうる大当たりは、通常大当たりおよび特別大当たりのいずれかである。本実施形態では、第二当否抽選を経て獲得した大当たりの振分は、通常大当たりが19%、特別大当たりが81%とされている(
図4(a)参照)。当該振分は、第二当否抽選が大当たりとなった場合(いわゆる「直当たり」した場合)、第二当否抽選が小当たりとなり特定領域10に遊技球を進入させて大当たりを獲得した場合(小当たり経由の大当たりの場合)のいずれであっても同じである。
【0036】
特別大当たりとなった大当たり遊技状態の終了後には、再び特別遊技状態に移行する(
図4(a)参照)から、再度第二当否抽選を経た大当たりの獲得が確約されることになる。つまり、特別大当たりはいわゆる連チャン確定の大当たりということになる。一方、通常大当たりとなった大当たり遊技状態の終了後には、通常遊技状態に移行することになるため、再び第一当否抽選での大当たり当選を目指して遊技する(左打ちする)ことになる。
【0037】
3)似非終了演出
本実施形態では、遊技状態として、大まかに、通常遊技状態、特別遊技状態、大当たり遊技状態(小当たり遊技を含む)がある。このうち、通常遊技状態は「左打ち」を行うべき状態であり、特別遊技状態および大当たり遊技状態は「右打ち」を行うべき状態である。遊技領域902の左側(表示領域911の左)を第一遊技領域902L、「左打ち」を行うべき状態を第一遊技状態とすれば、第一遊技状態(本実施形態では通常遊技状態)は第一遊技領域902Lを狙って遊技球を発射すべき状態であるということである。遊技領域902の右側(表示領域911の右)を第二遊技領域902R、「右打ち」を行うべき状態を第二遊技状態とすれば、第二遊技状態(本実施形態では特別遊技状態および大当たり遊技状態)は第二遊技領域902Rを狙って遊技球を発射すべき状態であるということである。
【0038】
第一遊技状態においては、第一遊技領域902Lを狙って遊技球を発射すべきであることを指示する画像(第一指示画像21)(
図5(a)参照)が表示領域911に表示されることがある。本実施形態における第一指示画像21は「左打ち」の文字を含むものとされる。すなわち、遊技球の発射態様を示す文字を含むものである。その他、例えば第一遊技領域902Lを指し示す左向きの矢印が第一指示画像21に含まれるものとしてもよい。
【0039】
第二遊技状態においては、第二遊技領域902Rを狙って遊技球を発射すべきであることを指示する画像(第二指示画像22)(
図5(b)参照)が表示領域911に表示されることがある。本実施形態における第二指示画像22は「右打ち」の文字を含むものとされる。すなわち、遊技球の発射態様を示す文字を含むものである。その他、例えば第二遊技領域902Rを指し示す右向きの矢印が第二指示画像22に含まれるものとしてもよい。
【0040】
本実施形態では、第二指示画像22として、通常第二指示画像22n(
図5(b-1)参照)が表示されることもあれば、特別第二指示画像22s(
図5(b-2)参照)が表示されることもある。特別第二指示画像22sは、第一指示画像21と同じ態様の文字を含む。本実施形態における第一指示画像21は、所定のフォント(以下、特定フォントと称する)かつ黒色の文字の「左打ち」を含む(
図5(a)参照)。特別第二指示画像22sは、特定フォントかつ黒色の文字の「右打ち」を含む(
図5(b-2)参照)。つまり、第一指示画像21と特別第二指示画像22sは、同じフォント(特定フォント)かつ同じ色(黒)の文字により発射すべき態様が指示されるものである。よって、少なくとも「左打ち」と「右打ち」のうち「打ち」の部分は、同じ態様の文字となる(本実施形態では、当該部分は大きさも同じである)。
【0041】
一方、通常第二指示画像22nは、「右打ち」の文字のフォントおよび色のうちの少なくともいずれか一方が、第一指示画像21や特別第二指示画像22sとは異なるものとされる。本実施形態では、通常第二指示画像22nが含む上記文字は、フォントは第一指示画像21や特別第二指示画像22sと同じである(特定フォント)であるものの、色は赤とされている(なお、図面においては、塗りつぶしにより「黒」を、白抜きにより「赤」を表現している)(
図5(b-1)参照)。したがって、通常第二指示画像22nと特別第二指示画像22sは、いずれも「右打ち」という共通の意味を表す文字を含むものではあるものの、そのいずれもが同じ態様ではない(本実施形態では、全部「色」が異なる)。同様に、通常第二指示画像22nと第一指示画像21も同じ態様の文字を含むものではない(本実施形態では、全部「色」が異なる)。これら、第一指示画像21、通常第二指示画像22n、特別第二指示画像22sの使い分け(表示される場面)については後述する。
【0042】
特別遊技状態にて獲得した大当たり(直当たり、小当たり経由の両方を含む)遊技状態(本実施形態では10ラウンド分の大当たりが実行される状態)(
図6(a)参照)においては、当該大当たり(以下、「対象大当たり」と称することもある)が通常大当たりであるか特別大当たりであるかを報知する報知演出(
図6(b)参照)が実行される。報知演出の具体的態様はどのようなものであってもよいが、報知演出は遊技者に有利な状況となったことを示す結末(有利結末)または遊技者に不利な状況となったことを示す結末(不利結末)に至る。例えば、遊技者側のキャラクタである味方キャラクタとそれと対峙する敵キャラクタが戦い、味方キャラクタが勝利することが有利結末(勝利結末)(
図6(c-1)参照)として、味方キャラクタが敗北する(敵キャラクタが勝利する)ことが不利結末(敗北結末)(
図6(c-2)参照)とされた報知演出とすることが考えられる。なお、表示領域911外に小さく設けられるLEDの点灯パターン等を見ることで対象大当たりが通常大当たりであるのか特別大当たりであるかを見抜くことはできるが、ここでいう報知演出はこのような点灯パターンによる報知は含まれない(あくまで表示領域911にて実行される演出による報知である)とする。また、報知演出が実行されない大当たり遊技状態が発生しうるものとしてもよい。例えば、大当たり遊技状態の冒頭にて対象大当たりが特別大当たりであることが確定する確定演出が発生した場合には、報知演出が実行されない構成としてもよい。
【0043】
対象大当たりが特別大当たりである場合には、報知演出が有利結末に至る(
図6(c-1)参照)か、または、報知演出が不利結末(
図6(c-2)参照)に至った後、それが覆されるいわゆる逆転演出(復活演出)(
図7(b-2)参照)が発生することになる。対象大当たりが通常大当たりである場合には、報知演出が不利結末(
図6(c-2)参照)に至り、上記逆転演出が発生しないことになる。以下の説明においては、報知演出が不利結末に至った後逆転演出が発生するパターン(ケース)を逆転有パターンと、報知演出が不利結末に至った後逆転演出が発生しないパターン(ケース)を逆転無パターンと称することもある。詳細を後述する終了演出は逆転無パターン時(対象大当たりが通常大当たりである場合)に、似非終了演出は逆転有パターン時(対象大当たりが特別大当たりである場合)に実行されることがあるものである。なお、報知演出が不利結末に至った場合に、それが逆転有パターンである確率は、逆転無パターンである確率よりも低いものとされている(逆転有パターンである確率は50%未満である)。本実施形態では、不利結末に至った場合の1/10でしか逆転演出が発生しないようにされている。つまり、不利結末に至ったケースの多くは逆転演出が発生せず、そのまま通常遊技状態(第一遊技状態)に移行することになる。
【0044】
対象大当たりが通常大当たりである場合には、逆転無パターンとなり、第二遊技状態である大当たり遊技状態終了後、第一遊技状態である通常遊技状態に移行することになる。具体的には次のような流れで遊技が進行する。大当たり遊技状態中に報知演出が開始され、不利結末(
図6(c-2)参照)に至る。不利結末に至ったことが示された後、終了画像25R(
図7(a-1)参照)が表示される。終了画像25Rは、第二遊技状態が終了することを示唆するようなものとされる。本実施形態では、基本背景画像30が終了画像25Rとして表示される。基本背景画像30は、第一遊技状態(通常遊技状態)にて装飾図柄80の背景として表示される背景画像の一種である(なお、一部の図面においては背景画像の図示を省略している)。基本背景画像30は、第二遊技状態(大当たり遊技状態、特別遊技状態)においては表示されることがない画像である。通常であれば遊技者は第一遊技状態(通常遊技状態)にて遊技を開始しているから基本背景画像30を見たことがあるケースがほとんどである。したがって、基本背景画像30が表示された状態に移行すると、第二遊技状態が終了して第一遊技状態に移行したのであることを遊技者が感じ取る蓋然性が高い。終了演出として、当該基本背景画像30が表示されるとともに、第一指示画像21が表示される演出が実行される(
図7(a-1)参照)。かかる終了演出が実行されることにより、遊技者は左打ちをすべき状態に移行したことを把握する。通常遊技状態に移行した後の少なくとも最初の変動中演出は、基本背景画像30が表示されたままとされる(
図7(b-1)参照)。
【0045】
対象大当たりが特別大当たりである場合であって、報知演出が有利結末(
図6(c-1)参照)とならず不利結末(
図6(c-2)参照)に至る場合には、逆転有パターンとなる。したがって、大当たり遊技状態終了後、再び特別遊技状態に移行する。つまり、第二遊技状態は終了せずに継続することになる。具体的には次のような流れで遊技が進行する。大当たり遊技状態中に報知演出が開始され、不利結末に至る(
図6(c-2)参照)。不利結末に至ったことが示された後、遊技者視点で上述した終了画像25Rと同一視される似非終了画像25Fが表示される(似非終了画像25Fは、終了画像25Rと同じ画像であるものの、表示される場面が異なるため、終了画像25Rとは異なる名称を用いている(「似非」の文字を付している))(
図7(a-2)参照)。上述した通り、本実施形態では基本背景画像30が終了画像25Rとして表示されるのであるから、当該基本背景画像30は似非終了画像25Fとしても表示されることになる。つまり、逆転有パターンおよび逆転無パターンのいずれにおいても基本背景画像30が表示されるのであるから、当該基本背景画像30のみを見ただけでは逆転演出が発生するかどうかは判別できないということである。逆転有パターンでは、当該基本背景画像30とともに特別第二指示画像22sが表示される似非終了演出が実行される(
図7(a-2)参照)。その後、逆転演出(例えば、味方キャラクタが復活したことを示す画像が表示される演出)が発生し(
図7(b-2)参照)、再び特別遊技状態に移行することになる(第二遊技状態が終了せずに継続する)(
図7(c-2)参照)。
【0046】
このように、終了演出(逆転無パターン)および似非終了演出(逆転有パターン)は、いずれも基本背景画像30(終了画像25R、似非終了画像25F)が表示された状態となるものである(
図7(a-1)、(a-2)参照)。つまり、似非終了演出(逆転有パターン)においても、一旦は基本背景画像30が表示されるようにして、(実際には終了しないが)第二遊技状態が終了したように見せかけることで、逆転演出が発生したときの遊技者の喜びを増幅させるようにしている。
【0047】
しかしながら、仮に、逆転有パターンにおいて基本背景画像30(似非終了画像25F)が表示されるだけであると、指示画像(第一指示画像21)が表示されるか否かで逆転演出が発生するか否かが簡単に分かってしまい、興醒めしてしまうというおそれがある。すなわち、参考例として
図8に示すように、第一指示画像21が表示されれば(
図8(a)参照)逆転無パターンであり、表示されなければ(
図8(b)参照)逆転有パターンとなるため、第一指示画像21の有無で逆転演出が発生するか否かが簡単に分かってしまう。
【0048】
そこで、本実施形態では、終了演出(逆転無パターン)では基本背景画像30とともに発射態様を指示する第一指示画像21が表示される(
図7(a-1)参照)ことを踏まえ、似非終了演出(逆転有パターン)においても基本背景画像30とともに発射態様を指示する特別第二指示画像22sが表示される(
図7(a-2)参照)ようにすることで、逆転演出が発生するか否かが簡単には分からないようにしている。すなわち、逆転の有無にかかわらず、発射態様を指示する「指示画像」は必ず表示されるようにしている。そのため、基本背景画像30とともに表示されるのが第一指示画像21ではなく特別第二指示画像22sであることに遊技者が気付くか否かが、逆転演出の発生を事前に察知するかどうかの分岐となる遊技性となる。
【0049】
特に、本実施形態における特別第二指示画像22sは、第一指示画像21と同じ態様の文字を含むものである(「打ち」の部分が全く同じ態様である)ため、似非終了演出(逆転有パターン)時に基本背景画像30とともに表示されているのが第一指示画像21ではなく特別第二指示画像22sであることに遊技者が気付きにくいといえる。端的にいえば、似非終了演出は、第一指示画像21に代えて特別第二指示画像22sが表示されていることに遊技者が違和感を覚えることで、逆転演出の発生を事前に察知することができるといういわゆる「違和感演出」とされている。
【0050】
なお、特別第二指示画像22sは「右打ち」という文字を含むものであり、第二遊技領域902Rを狙って遊技球を発射すべきであることを示すものである。そして、似非終了演出が実行される逆転有パターンは、対象大当たりが特別大当たりであり大当たり遊技状態の終了後に再び特別遊技状態に移行する(第二遊技領域902Rを狙うべき遊技状態である第二遊技状態が継続する)ものであるから「右打ち」の文字を含む特別第二指示画像22sを表示することは、正しい発射態様を遊技者に示すものである(誤った情報を遊技者に示すものではない)。
【0051】
特別第二指示画像22sは、似非終了演出(逆転有パターン)時(
図7(a-2)参照)には表示されるが、それ以外の状況では表示されない。すなわち、遊技者に対し第二遊技領域902Rを狙って遊技球を発射すべき指示を出す状況においては、似非終了演出時を除き、通常第二指示画像22nが表示される。例えば、通常遊技状態にて大当たりに当選して(いわゆる初当たりを獲得して)大当たり遊技状態に移行することは第一遊技状態から第二遊技状態への移行であるといえるところ、当該移行が生じた際には通常第二指示画像22nが表示される(
図9(b)参照)。また、本実施形態では、大当たり遊技状態にて実行される報知演出が有利結末に至った場合、すなわち逆転演出が発生せずに対象大当たりが特別大当たりであることが報知された場合には、当該大当たり遊技状態終了後の特別遊技状態にて通常第二指示画像22nが表示される。
【0052】
「右打ち指示」を出すという観点でみれば第二指示画像22は一種のみでもよいはずである(特別第二指示画像22sは不要である)。しかしながら、本実施形態では、似非終了演出(逆転有パターン)と終了演出(逆転無パターン)の見分けがつきにくいようにするため、通常第二指示画像22nに加え、敢えて第一指示画像21に似た特別第二指示画像22s(
図7(a-2)参照)を用意し、それを似非終了演出時に使用したものである。
【0053】
以下、上記似非終了演出に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0054】
○具体例1-1
上記実施形態では、背景画像の一種である基本背景画像30が終了画像25Rや似非終了画像25Fとして用いられることを説明したが、第二遊技状態が終了したことを示唆するような画像であれば、その他の画像を終了画像25Rやそれと同一視される似非終了画像25Fとして用いることができる。例えば、第二遊技状態が終了するということは、大当たり遊技状態終了後特別遊技状態には移行しないということであるから、当該特別遊技状態が終了したことを示唆する画像を終了画像25Rや似非終了画像25Fとして用いることが考えられる。具体的には、例えば、「特別遊技状態を表す文字」と「終了を表す文字」を含むものとすることが考えられる。特別遊技状態が「○○RUSH」という名称であれば、「○○RUSH END」の画像が終了画像25Rや似非終了画像25Fとして表示されるようにする(
図10参照)。
【0055】
そして、対象大当たりが通常大当たりである逆転無パターン時には、終了画像25Rとともに第一指示画像21が表示される終了演出が実行されるようにする(
図10(a)参照)。一方、対象大当たりが特別大当たりであるときに発生しうる逆転有パターン時には、似非終了画像25Fとともに特別第二指示画像22sが表示される似非終了演出が実行されるようにする(
図10(b)参照)。
【0056】
○具体例1-2
終了演出にて表示される第一指示画像21と、似非終了演出にて表示される特別第二指示画像22sとは同じ態様の文字を含むものであることを説明したが、当該同じ態様の文字の部分(上記実施形態に即して言えば「打ち」の部分)は、表示領域911における同じ位置に表示されるものとする。具体的には、終了演出時に表示領域911に表示される画像(
図11(a)参照)と、似非終了演出時に表示領域911に表示される画像(
図11(b)参照)とを表示領域911の外縁を一致させて重ねたと仮定すれば、同じ態様の文字(「打ち」の部分)がぴったりと重なる関係にあるものとする(
図11(c)参照)。
【0057】
このようにすることで、終了演出時に表示される画像(終了画像25R(基本背景画像30)+第一指示画像21)と、似非終了演出時に表示される画像(似非終了画像25F(基本背景画像30)+特別第二指示画像22s)とが酷似したものとなるため、似非終了演出が発生していることに遊技者がより気付きにくくなる(遊技者が「違和感」を覚える確率が上記実施形態よりも低くなる)という遊技性が実現される。
【0058】
○具体例1-3
上記実施形態では、複数種の第二指示画像22(通常第二指示画像22n、特別第二指示画像22s)が設けられていることを説明したが、一種の第二指示画像22が設けられたものとしてもよい。すなわち、似非終了演出時に表示される第二指示画像22と、それ以外の時に表示される第二指示画像22とは態様が同じである構成(どのような場面でも、上記実施形態にて説明した特別第二指示画像22sと同態様の第二指示画像22が表示される構成)としてもよい。
【0059】
○具体例1-4
上記実施形態における終了演出および似非終了演出は、相対的に遊技者に有利な遊技状態(第二遊技状態)からそれよりも不利な遊技状態(第一遊技状態)に移行する場面が生じるのであれば上記実施形態とは異なる遊技性(スペック)の遊技機にも適用することができる。
【0060】
例えば、いわゆる確変ループ機に適用することができる(確変ループ機自体は周知であるから詳細な説明は省略する)。大当たりとして、大当たり遊技状態終了後に通常遊技状態に移行する通常大当たり、確率変動状態(次回大当たりまで継続)に移行する確変大当たりが設定されているものとする。なお、確率変動状態は、通常遊技状態よりも大当たりの確率が高い状態であるとする(小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性とするのであれば、大当たりの獲得に繋がる小当たりの当選も大当たりの当選に含まれるものとする)。通常遊技状態は「左打ち」を行うべき第一遊技状態であり、確率変動状態および大当たり遊技状態は「右打ち」を行うべき第二遊技状態である。確率変動状態にて通常大当たりに当選したときには当該大当たり遊技状態にて報知演出が不利結末に至り、その後に終了演出が実行される。確率変動状態にて確変大当たりに当選したときには当該大当たり遊技状態にて報知演出が有利結末に至るか、または不利結末に至り、不利結末に至る場合にはその後に似非終了演出が実行されるようにする(似非終了演出後に不利結末を覆す逆転演出が発生する)。つまり、対象大当たりが通常大当たりであると見せかけて確変大当たりであることを示す際に似非終了演出が発生しうる構成とする。
【0061】
また、いわゆるST機に適用することができる(ST機自体は周知であるから詳細な説明は省略する)。大当たりとして、大当たり遊技状態終了後にST状態(回数切り確率変動状態)に移行する可能性があるものとする。ST状態は、規定回数(X回)連続してはずれとなることで終了し、通常遊技状態に移行する。なお、ST状態は、通常遊技状態よりも大当たりの確率が高い状態であるとする(小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性とするのであれば、大当たりの獲得に繋がる小当たりの当選も大当たりの当選に含まれるものとする)。通常遊技状態は「左打ち」を行うべき第一遊技状態であり、ST状態および大当たり遊技状態は「右打ち」を行うべき第二遊技状態である。ST状態に移行してからX回目の当否抽選結果がはずれとなる場合には終了演出が実行される(終了演出により通常遊技状態への移行が示される)。ST状態に移行してからX回目の当否抽選結果が大当たりである場合には、ST状態が終了すると見せかけて大当たりに当選したことを示す逆転演出が発生するよりも前に似非終了演出が実行されることがあるようにする。
【0062】
4)特殊保留演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として、保留図柄70を利用して当否抽選結果を示唆する保留演出を実行することが可能である。また、本実施形態では、当該保留演出の一種として、特殊保留演出を実行することが可能である。以下、特殊保留演出について詳細に説明する。
【0063】
本実施形態における特殊保留演出は、通常遊技状態中に発生する。通常遊技状態は、第一当否抽選情報に基づく第一当否抽選により大当たり獲得を目指す遊技状態であるため、当該第一当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(特
図1の保留図柄)により特殊保留演出が実行されることになる。なお、第二当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(特
図2の保留図柄)が複数表示されることがある遊技性であるのであれば、当該特
図2の保留図柄を利用して特殊保留演出が実行されるようにしてもよい。
【0064】
上述した通り、表示領域911に表示される保留図柄70は、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72に区分けされる。各保留図柄70は、対応する当否抽選結果の報知が完了する順(対応する変動中演出が終了する順)である消化順に応じた位置(以下、消化順位置と称する)に表示される。消化順が早い消化順位置から順に、第一消化順位置P1、第二消化順位置P2、第三消化順位置P3、第四消化順位置P4、第五消化順位置P5とする(
図12(a)参照)。第一消化順位置P1~第五消化順位置P5は、消化順が早いものから順に所定方向(本実施形態では横方向)に沿って並ぶ。本実施形態では、表示領域911の横方向中央寄り位置ほど消化順が早いものとされる。変動中保留図柄71は消化順が最も早い保留図柄70であるため、第一消化順位置P1に表示される。最大で四つ表示される変動前保留図柄72は、第二消化順位置P2~第五消化順位置P5に表示されることになる。変動前保留図柄72が一つである場合には第二消化順位置P2に、変動前保留図柄72が二つである場合には第二消化順位置P2、第三消化順位置P3に、変動前保留図柄72が三つである場合には第二消化順位置P2~第四消化順位置P4に、変動前保留図柄72が四つである場合には第二消化順位置P2~第五消化順位置P5に表示される。ある当否抽選結果(はずれ)の報知が完了する(ある変動中演出が終了する)ことを契機として、当該ある当否抽選結果に対応する変動中保留図柄71が消去されるとともに、各保留図柄70の消化順は一つずつ繰り上がることになる。消化順位置は所定方向に沿って並ぶため、各保留図柄70が横方向にスライドするように遊技者には見える。
【0065】
保留図柄70は、通常態様70N(
図12(b-1)参照)または特別態様70S(
図12(b-2)参照)とされる。通常態様70Nは基本の態様である。換言すれば、保留図柄70は通常態様70Nにある確率が最も高い(通常態様70Nにある時間が最も長い)。特別態様70Sは、通常態様70Nよりも対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する態様である。本実施形態では、特殊保留演出の対象となる特別態様70Sとして、第一特別態様701S、第二特別態様702S、第三特別態様703Sの三種が設けられている(当該特別態様70Sの種類の数は適宜増減可能である)。対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(以下(大当たり)信頼度と称することもある)は、第一特別態様701Sが最も低く、第三特別態様703Sが最も高い。これら第一特別態様701S~第三特別態様703Sは、いずれも大当たりが確定したことを示す態様ではない。また、これらの特別態様70Sは、詳細を後述する特殊保留演出が発生するとき以外にも表示されうる(特殊保留演出の発生時に限り表示されるものではない)。例えば保留図柄70の態様が変化することで当該保留図柄70に対応する当否抽選結果の信頼度が高まったことを示唆する保留変化演出が公知であるところ、当該保留変化演出の発生により特別態様70Sは表示されうる。
【0066】
各態様(通常態様70Nおよび各特別態様70S)の保留図柄70は本体部70aを有する。また、少なくとも特別態様70Sの保留図柄70は当否抽選結果を示唆する示唆部70bを有する。本実施形態では、全ての保留図柄70は略円形の外観を呈する(当該外観を構成するのが本体部70aである)。各保留図柄70の消化順は、当該本体部70aがどの消化順位置に表示されているかにより遊技者に示される。一方、示唆部70bは、本体部70aの内側に構成された略三角形状を呈する部分であり、当該部分の色により信頼度が示唆される。第一特別態様701Sは「青」を表す示唆部70bを、第二特別態様702Sは「緑」を表す示唆部70bを、第三特別態様703Sは「赤」を表す示唆部70bを有する(
図12(b-2)参照)。図面においては、当該色を「文字」により表す。なお、本実施形態では、通常態様70Nは「白」を表す示唆部70bを有する(なお、「白」については図示を省略する)(
図12(b-1)参照)が、通常態様70Nは示唆部70bを有さないものとしてもよい。なお、示唆部70bの形状は適宜変更可能である。本体部70aの外側に示唆部70bが表示されるような構成としてもよい。
【0067】
特殊保留演出は、ある当否抽選結果(以下、対象当否抽選結果と称する)が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する演出である。以下では、当該対象当否抽選結果に対応する保留図柄70を対象保留図柄Tとする。また、対象保留図柄Tよりも消化順が一つ早い保留図柄70を擬似対象保留図柄Sとする。
【0068】
対象当否抽選結果の大当たり信頼度が高まったことを示唆する特殊保留演出を実行する場合、まず、対象保留図柄Tではなく、擬似対象保留図柄Sを特別態様70Sのいずれかとする。例えば、最終的に(特殊保留演出の終了時点のことをいうものとする)対象保留図柄Tを第二特別態様702Sとする特殊保留演出を実行する場合には、まずは擬似対象保留図柄Sを第二特別態様702Sとする。この時点では、対象保留図柄Tは通常態様70Nにある(
図13(b)参照)。
【0069】
本実施形態では、対象当否抽選情報が取得された時点で対象当否抽選結果を先読みし、それを踏まえて対象保留図柄Tについて特殊保留演出を実行するか否か、および、特殊保留演出が実行されたとした場合における最終的な対象保留図柄Tの態様(特別態様70Sのいずれとするか)を抽選により決定する(
図13(a)参照)。特殊保留演出を実行することが決定された場合には、対象保留図柄Tではなく、擬似対象保留図柄Sを特別態様70Sのいずれかとする(
図13(b)参照)。本実施形態では、対象当否抽選情報の取得(対象保留図柄Tの表示)と略同時に擬似対象保留図柄Sが特別態様70Sのいずれかとされる。すなわち、対象当否抽選情報の取得(対象保留図柄Tの表示)と略同時に、擬似対象保留図柄Sの示唆部70bが変化する保留変化演出(事前保留変化演出)が発生する(
図13(a)→(b)の変化参照)。
【0070】
このように、消化順が連続する消化順位置に、特別態様70Sの擬似対象保留図柄Sと通常態様70Nの対象保留図柄Tが表示された状態(
図13(b)参照)となった後、ある当否抽選結果(擬似対象保留図柄Sに対応する当否抽選情報よりも前に取得された当否抽選情報に対応する当否抽選結果)が報知された場合(変動終了時点に到達したとき)には、擬似対象保留図柄S(の本体部70a)と対象保留図柄T(の本体部70a)の消化順位置が一つずつ繰り上がる(各保留図柄70がスライドする)ことになる。当該繰り上がりが発生する前の擬似対象保留図柄S(の本体部70a)が表示されていた消化順位置を特定消化順位置Ptとすれば、当該繰り上がりが発生した後は対象保留図柄T(の本体部70a)が特定消化順位置Ptに表示されるということになる(
図13(b)→(c)の変化参照)。
【0071】
特殊保留演出では、当該繰り上がりが発生しても、特定消化順位置Ptに示唆部70b(特別態様70Sであることを表す部分)が残ったままとされる。すなわち、当該繰り上がりが発生する前の状態においては擬似対象保留図柄Sの一部として特定消化順位置Ptに表示されていた示唆部70b(
図13(b)参照)が、当該繰り上がりが発生した後も特定消化順位置Ptに残ったままとされる。そして、当該繰り上がりが発生した後の状態においては、特定消化順位置Ptに表示されることになった対象保留図柄Tが当該特定消化順位置Ptに残った示唆部70bを含んだものとなる(
図13(c)参照)。なお、本実施形態では、特殊保留演出が発生した後は、擬似対象保留図柄Sは通常態様70Nとなる。すなわち、「示唆部70bが特定消化順位置Ptに残る」以上、特定消化順位置Ptよりも消化順が一つ早い消化順位置に表示された状態となった擬似対象保留図柄Sは、示唆部70bが取り除かれた通常態様70Nに変化する(擬似対象保留図柄Sについてのみ着目すれば、特別態様70Sから通常態様70Nへの変化が発生することになる)。あくまで特殊保留演出は、対象保留図柄Tに対応する対象当否抽選結果の信頼度を示唆するものであり、擬似対象保留図柄Sに対応する当否抽選結果の信頼度を示唆するものではないということである。
【0072】
特殊保留演出後は、対象保留図柄Tは示唆部70bを含む特別態様70Sで消化順位置が繰り上がっていくことになる(
図13(c)→(d)参照)。ただし、特殊保留演出後に、対象保留図柄Tがより高信頼度の特別態様70Sに変化する保留変化演出が発生しうるようにしてもよい。
【0073】
また、
図13に示した例は、対象保留図柄Tが表示された後、最初の変動終了時点に到達することを契機として特殊保留演出が発生するものであるが、対象保留図柄Tが表示された後、二回目以降の変動終了時点で特殊保留演出が発生するようにしてもよい。
【0074】
このように、本実施形態における特殊保留演出は、一旦は擬似対象保留図柄Sを特別態様70Sとすることで、当該擬似対象保留図柄Sに対応する当否抽選結果に期待できると見せかけて、その後当該擬似対象保留図柄Sの示唆部70bが残ることで対象保留図柄Tが特別態様70Sとされる(示唆部70bによる示唆対象が擬似対象保留図柄Sから対象保留図柄Tに変化する)という斬新かつ面白みのあるものである。見方をかえれば、対象当否抽選結果の信頼度を示唆する示唆部70bを、最初は擬似対象保留図柄Sに含ませておき、消化順位置の繰り上がり(保留図柄70(本体部70a)のスライド)が発生する際に示唆部70bを残しておくことで当該示唆部70bを対象保留図柄Tが含んだ状態となるという演出である。
【0075】
また、本実施形態では、特殊保留演出の対象となる示唆部70b、すなわち特別態様70S(第一特別態様701S~第三特別態様703S)はいずれも大当たりが確定することを示す態様ではない。特殊保留演出は、示唆部70bによる示唆対象の保留図柄70が変化するという演出であるところ、大当たり確定となる保留図柄70が変化することは遊技者の混乱を招くおそれがあることから、本実施形態では大当たり確定の示唆部70bが特殊保留演出の対象とはならないようにしている。ただし、大当たり確定となる保留図柄70が変化したとしても大当たりが得られることに変わりはないのであるから、このような混乱を招くような変化が生じたとしても遊技者に大きな不利益はないとして、特殊保留演出により大当たり確定となる保留図柄70の変化(擬似対象保留図柄S70から対象保留図柄Tへの変化)が発生するようにしてもよい。
【0076】
以下、特殊保留演出に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0077】
○具体例2-1
上記実施形態では、対象当否抽選情報の取得(対象保留図柄Tの表示)と略同時に、擬似対象保留図柄Sの示唆部70bが変化する事前保留変化演出が発生することを説明したが、対象保留図柄Tが表示された時点では当該事前保留変化演出が発生しない構成としてもよい。例えば、対象保留図柄Tが表示されても、擬似対象保留図柄Sの示唆部70bはそのままとされる(
図14(a)(b)参照)。そして、対象保留図柄Tが表示されてから所定時間(一定時間ではない)経過後、特殊保留演出が発生するよりも前に、擬似対象保留図柄Sの示唆部70bが変化する(擬似対象保留図柄Sが第一特別態様701S~第三特別態様703Sのいずれかとされる)事前保留変化演出が発生する(
図14(c)参照)。その上で、当該示唆部70bを用いた特殊保留演出が実行されるものとする(
図14(d)参照)。
【0078】
対象保留図柄Tが表示されると略同時に擬似対象保留図柄Sの保留変化演出が発生するようにする(
図13のような構成とする)と、ある程度継続的に遊技した遊技者(既に特殊保留演出に接したことがある遊技者)は、当該保留変化演出が擬似対象保留図柄Sではなく対象保留図柄Tに対応する当否抽選結果の示唆であること(特殊保留演出に備えた保留変化演出であること)に気付いてしまう蓋然性が高まる。本例(
図14に示す例)のように、対象保留図柄Tが表示された時点では擬似対象保留図柄Sの保留変化演出が発生せず、表示後しばらくしてから擬似対象保留図柄Sの保留変化演出が発生するようにすることで、当該保留変化演出が特殊保留演出に備えた保留変化演出であるかどうかが分かりにくくなる。
【0079】
ただし、裏を返せば、上記実施形態のように対象保留図柄Tの表示と略同時に擬似対象保留図柄Sの示唆部70bが変化する事前保留変化演出が発生するようにすれば、当該保留変化演出が擬似対象保留図柄Sではなく対象保留図柄Tに対応する当否抽選結果の示唆であることが予想しやすくなるということであるから、特殊保留演出の発生を遊技者がある程度予測できるような遊技性としたいのであれば、上記実施形態のような設定(
図13のような構成)とすればよい。
【0080】
○具体例2-2
上記実施形態にて説明した特殊保留演出は、対象保留図柄Tが通常態様70Nから特別態様70Sのいずれかに変化するものであることを説明したが、対象保留図柄Tがある特別態様70Sからそれよりも高信頼度の特別態様70Sに変化する特殊保留演出が発生しうるようにしてもよい。
【0081】
例えば、対象保留図柄Tが第一特別態様701Sとされ、(特定消化順位置Ptに表示される)擬似対象保留図柄Sが第三特別態様703Sとされた(
図15(a)参照)上で、ある当否抽選結果の報知が完了し、擬似対象保留図柄Sと対象保留図柄Tの消化順位置が一つずつ繰り上がるとする。その際に、第三特別態様703Sに対応する示唆部70bが特定消化順位置Ptに残ることで、対象保留図柄Tが第一特別態様701Sから第三特別態様703Sに変化する(
図15(b)参照)ことになる。
【0082】
○具体例2-3
表示装置として、第一表示装置91Aおよび当該第一表示装置91Aよりも前方に設けられる第二表示装置91Bを備えるものとする(
図16(a)参照)。第二表示装置91Bは、画像が表示されていない箇所(画像非表示部)が、画像が表示されている箇所(画像表示部)よりも光透過性が高くなる透過型の表示装置である(この種の透過型の表示装置自体は周知であるから詳細な説明を省略する)とする。よって、第二表示装置91Bに画像非表示部が設けられる場合、当該画像非表示部を通じて第一表示装置91Aに表示される画像の少なくとも一部が視認可能となる。なお、図面においては、第二表示装置91Bおよびそれに表示される画像を点線で示す。
【0083】
第二表示装置91Bには保留図柄70の本体部70aが表示されるものとする。また、第一表示装置91Aには特別態様70Sにあることを示す示唆部70bが表示される(通常態様70Nについては示唆部70bは表示されない)ものとする。具体的には、第二表示装置91Bにおける第一表示装置91Aに表示される示唆部70bの少なくとも一部に前方で重なる部分(「三角」の部分)は画像非表示部とされ、当該画像非表示部を通じて示唆部70bが視認可能となるようにする。つまり、特別態様70Sとされる保留図柄70は、第二表示装置91Bに表示される本体部70aと第一表示装置91Aに表示される示唆部70bにより視認可能となるものとする(
図16(b-1)参照)。
【0084】
特殊保留演出においては、第二表示装置91Bに表示される擬似対象保留図柄Sの本体部70aと対象保留図柄Tの本体部70aの消化順位置が一つずつ繰り上がるようにする。一方、第一表示装置91Aに表示される示唆部70bは、その位置が変化しないようにする(
図16(b-1)→(b-2)の変化参照)。このようにすることで、擬似対象保留図柄Sが有していた示唆部70bが、対象保留図柄Tが有する示唆部70bに変わることになる。このように、保留図柄70の本体部70aと示唆部70bとが別の表示装置に表示されるものとし、当否抽選結果の報知が完了することを契機として第二表示装置91Bに表示される本体部70aの位置(消化順位置)は変化する(繰り上がる)ものの、第一表示装置91Aに表示される示唆部70bの位置(消化順位置)は変化しないようにする、すなわち本体部70aと示唆部70bを分けて制御することで、特殊保留演出をより分かりやすいものとすることができる。
【0085】
なお、
図16に示した例とは逆に、第二表示装置91Bに示唆部70bが、第一表示装置91Aに本体部70aが表示される構成としてもよい。また、LED等の発光体により本体部70aや示唆部70bの一方が表現されるものとしてもよい(LED等の発光体も第一表示装置91Aや第二表示装置91Bの概念に含まれるものとする)。
【0086】
また、第二表示装置91Bが、光透過性を有する画像(透過画像)を表示することが可能なものとするのであれば、第二表示装置91Bにおける第一表示装置91Aに表示される示唆部70bの少なくとも一部に重なる部分(「三角」の部分)には透過画像が表示されるようにしてもよい。つまり、第二表示装置91Bの透過画像を通じて第一表示装置91Aに表示される示唆部70bの少なくとも一部が視認可能となる構成としてもよい。
【0087】
また、
図16に示した例とは異なり、通常態様70Nの保留図柄70も示唆部70b(例えば「白」の画像により表現される)を有し、当該通常態様70Nの保留図柄70の示唆部70bが第一表示装置91Aに表示されるようにしてもよい。
【0088】
○具体例2-4
特殊保留演出は、二以上の保留図柄70が表示されることがある(二以上の消化順位置が設けられる)構成にて実行することができるものである。よって、二以上の変動前保留図柄72が表示される可能性がある(記憶手段に二以上の保留情報が記憶される)のであれば、変動中保留図柄71が表示されない構成であっても特殊保留演出を実行することができる。
【0089】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態にかかる遊技機1はぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を除き、回胴式遊技機等、その他の遊技機にも適用可能である。
【0091】
また、上記実施形態にかかる遊技機1は、小当たり経由の大当たりが獲得できるもの(いわゆる二種の遊技性を有するもの)であるが、当該二種の遊技性が設けられていない構成としてもよい。すなわち、当選態様として小当たりが設定されていない構成としてもよいし、当選態様として小当たりが設けられてはいるが当該小当たり経由の大当たりが事実上獲得不可能である構成としてもよい。
【0092】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0093】
○手段1-1
表示手段と、第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第一遊技状態、および、前記第一遊技領域とは異なる第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき第二遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記第二遊技状態が終了する際に終了画像を前記表示手段に表示する終了演出、および、前記第二遊技状態が終了すると見せかける際に前記終了画像と同一視される似非終了画像を前記表示手段に表示する似非終了演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記似非終了演出では、前記似非終了画像とともに前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す特別第二指示画像が前記表示手段に表示されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、似非終了演出時にも指示画像(特別第二指示画像)が表示されるため、終了演出であるかどうかが容易に判別できてしまうことにより遊技者が興醒めしてしまうことが抑制される。
【0094】
○手段1-2
前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に移行した際には、前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す第一指示画像が前記表示手段に表示され、前記第一指示画像と前記特別第二指示画像は、同じ態様の文字を含むものであることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、終了演出時に表示される第一指示画像と似非終了演出時に表示される特別第二指示画像が似たものとなるため、終了演出であるかどうかがより判別しづらいものとなる。
【0095】
○手段1-3
前記第一遊技状態が終了して前記第二遊技状態に移行した際には、前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべきであることを示す通常第二指示画像が前記表示手段に表示され、前記第一指示画像と前記通常第二指示画像は、同じ態様の文字を含むものではないことを特徴とする手段1-1または手段1-2に記載の遊技機。
第二指示画像として、通常第二指示画像と特別第二指示画像を用意し、似非終了演出が実行されないときには、(第一指示画像と似ていない)通常第二指示画像を用いないようにするとよい。
【0096】
○手段1-4
前記第一遊技状態においては、当否抽選結果を報知する装飾図柄の背景として基本背景画像が前記表示手段に表示されることがあり、前記終了画像および前記似非終了画像は、前記基本背景画像を含むものであることを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、第一遊技状態にて表示されることがある背景画像(基本背景画像)が、終了画像や似非終了画像として表示されるようにすることで、終了演出時だけでなく、似非終了演出時にも、通常遊技状態に移行したのではないかと遊技者が感じる蓋然性が高い。
【0097】
○手段2-1
所定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否抽選情報に基づき当否抽選を行う当否抽選手段と、未だ対応する当否抽選結果の報知が完了していない前記当否抽選情報の存在を示す保留図柄を、当否抽選結果の報知が完了する順である消化順に応じた消化順位置に表示する保留表示手段と、対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する演出であって、当該対象当否抽選結果に対応する前記保留図柄である対象保留図柄、および、前記消化順が当該対象保留図柄よりも一つ早い擬似対象保留図柄を用いた特殊保留演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記保留図柄は、当否抽選結果が報知されることを契機として前記消化順位置が変位する本体部に加え、当否抽選結果を示唆する示唆部を含むことがあり、前記特殊保留演出は、前記消化順位置のいずれかである特定消化順位置に前記疑似対象保留図柄が前記示唆部を含む態様で表示された状態で当否抽選結果の報知が完了した後、前記特定消化順位置に前記示唆部が残ったままとされることで前記対象保留図柄が前記特定消化順位置にて前記示唆部を含む態様で表示された状態となる演出であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、面白みのある保留演出(特殊保留演出)を実行することが可能である。
【0098】
○手段2-2
前記対象保留図柄が表示されると略同時に前記擬似対象保留図柄の前記示唆部の態様が変化する事前保留変化演出が発生し、当該変化後の前記示唆部を用いた前記特殊保留演出が実行されることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
○手段2-3
前記対象保留図柄が表示された後所定時間経過後に前記擬似対象保留図柄の前記示唆部の態様が変化する事前保留変化演出が発生し、当該変化後の前記示唆部を用いた前記特殊保留演出が実行されることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
手段2-2のようにした場合には、事前保留変化演出が、対象保留図柄に対応する信頼度示唆として発生したのではないかということを予測できる分かりやすい遊技性となる。
手段2-3のようにした場合には、事前保留変化演出が、対象保留図柄に対応する信頼度示唆として発生したことが分かりにくい遊技性とすることができる。
【0099】
○手段2-4
前記保留表示手段は、第一表示手段および当該第一表示手段よりも前方に設けられる第二表示手段を含み、前記第一表示手段には前記本体部および前記示唆部の一方が前記第二表示手段を通じて視認可能となるように表示され、前記第二表示手段には前記本体部および前記示唆部の他方が表示されることを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、特殊保留演出は、第一表示手段および第二表示手段の一方に表示される本体部は移動するものの、他方に表示される示唆部がそのまま残るという演出形態となる。
【符号の説明】
【0100】
1 遊技機
21 第一指示画像
22 第二指示画像
22n 通常第二指示画像
22s 特別第二指示画像
25R 終了画像
25F 似非終了画像
30 基本背景画像
P1~P5 第一消化順位置~第五消化順位置
Pt 特定消化順位置
70 保留図柄
71 変動中保留図柄
72 変動前保留図柄
70N 通常態様
70S 特別態様(701S~703S 第一特別態様~第三特別態様)
70a 本体部
70b 示唆部
T 対象保留図柄
S 擬似対象保留図柄
91A 第一表示装置
91B 第二表示装置
91 表示装置
911 表示領域