(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】複合藻類培養装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240820BHJP
C12M 1/38 20060101ALI20240820BHJP
C12N 1/12 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12M1/38 Z
C12N1/12 A
(21)【出願番号】P 2022174512
(22)【出願日】2022-10-31
【審査請求日】2022-10-31
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522426526
【氏名又は名称】盧 星宏
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】盧 星宏
(72)【発明者】
【氏名】盧 朝▲フェイ▼
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0021496(US,A1)
【文献】米国特許第07851211(US,B2)
【文献】特開昭49-000486(JP,A)
【文献】特開昭50-019982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M、C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光合成反応ユニットを含む光合成反応モジュールと、少なくとも1つの栽培槽ユニットを含む成長調節モジュールと、自動収穫裝置と、を備える複合藻類培養装置であって、
前記光合成反応ユニットのそれぞれは、入水端及び出水端を有する透光性巻管を含み、
前記栽培槽ユニットのそれぞれは、栽培槽入り口及び栽培槽出口を有する槽体を含み、前記槽体には、前記槽体の内部を湾曲流路となるように区画するためのセパレーターが設置され、培養液の前記槽体における湾曲流路での流速が遅くなり、且つ培養液の温度が徐々に下降すると共に、光合成反応を停止するか、光合成反応の強度を低減し、前記栽培槽ユニットの容積は、前記光合成反応ユニットの容積より大きくなるように設置されると共に、培養液の前記栽培槽ユニットで留まる時間は、前記光合成反応ユニットで留まる時間以上であり、
前記自動収穫裝置は、培養液における一部の藻類を収穫するように、前記栽培槽ユニットの前記栽培槽出口と連結し、
藻類を培養するための培養液は、前記光合成反応モジュールで光合成反応を行った後に前記成長調節モジュールに注入され、前記成長調節モジュールを通過した後に、前記自動収穫裝置を通過し、前記自動収穫裝置で培養液における一部の藻類を収穫した後に、前記光合成反応モジュールに再注入されることを特徴とする、複合藻類培養装置。
【請求項2】
前記光合成反応モジュールは、複数個の前記光合成反応ユニットを含み、前記成長調節モジュールは、複数個の前記栽培槽ユニットを含み、
前記複合藻類培養装置は、
入り口端及び出口端を有する主循環ポンプを含む、循環式移載モジュールと
循環配管モジュールと、を備え、
前記循環配管モジュールは、
前記主循環ポンプの前記出口端に連接する、主ポンプアウトレットパイプと、
前記主循環ポンプの前記入り口端に連接する、主ポンプインレットパイプと、
複数条の第1の入り口連通管に連接する第1の入り口主管であって、複数条の前記第1の入り口連通管のそれぞれが、複数個の前記光合成反応ユニットの前記入水端と前記第1の入り口主管との間に連接し、前記第1の入り口連通管のそれぞれに第1の入り口制御弁が設置される、前記第1の入り口主管と、
複数条の第1の出口連通管に連接する第1の出口主管であって、複数条の前記第1の出口連通管のそれぞれが、複数個の前記光合成反応ユニットの前記出水端と前記第1の出口主管との間に連接し、前記第1の出口連通管のそれぞれに第1の出口制御弁が設置される、前記第1の出口主管と、
複数条の第2の入り口連通管に連接する第2の入り口主管であって、複数条の前記第2の入り口連通管のそれぞれが、複数個の前記栽培槽ユニットの前記栽培槽入り口と前記第2の入り口主管との間に連接し、前記第2の入り口連通管のそれぞれに第2の入り口制御弁が設置される、前記第2の入り口主管と、
複数条の第2の出口連通管に連接する第2の出口主管であって、複数条の前記第2の出口連通管のそれぞれが、複数個の前記栽培槽ユニットの前記栽培槽出口と前記第2の出口主管との間に連接し、前記第2の出口連通管のそれぞれに第2の出口制御弁が設置される、前記第2の出口主管と、
を含み、
複数個の前記光合成反応ユニットは、複数条の前記第1の入り口連通管及び複数条の前記第1の出口連通管とを介して、前記第1の入り口主管と前記第1の出口主管との間に並列接続され、複数個の前記栽培槽ユニットは、複数条の前記第2の入り口連通管及び複数条の前記第2の出口連通管とを介して、前記第2の入り口主管と前記第2の出口主管との間に並列接続され、前記主ポンプアウトレットパイプは、前記第1の入り口主管に連接され、前記第1の出口主管の末端が前記第2の入り口主管に連接され、前記第2の出口主管の末端が前記主ポンプインレットパイプに連接されるように、前記主循環ポンプで送出された培養液は、前記第1の入り口主管を通過して複数個の前記光合成反応ユニットに注入されて、そして前記第1の出口主管から前記第2の入り口主管に注入され、複数個の前記栽培槽ユニットを通過した後に、前記第2の出口主管に注入されて、前記主ポンプインレットパイプに注入される、請求項1に記載の複合藻類培養装置。
【請求項3】
前記主ポンプインレットパイプは、前記主循環ポンプの一端から前記第1の出口主管及び前記第2の入り口主管に連接し、前記主ポンプインレットパイプに主ポンプ入り口制御弁が設置され、前記循環配管モジュールは、前記第1の入り口主管及び前記第1の出口主管の前記主循環ポンプに近い一端に連接する、連通管路を更に含み、且つ
連通管制御弁と、
前記第1の入り口主管の、前記連通管路と前記主循環ポンプに最も近い前記第1の入り口連通管の1つとの間に設置された、第1の流向
制御弁と、
前記第1の出口主管の、前記連通管路と前記主循環ポンプに最も近い前記第1の出口連通管の1つとの間に設置された、第2の流向
制御弁と、
前記第1の出口主管の、前記連通管路と前記主ポンプインレットパイプとの間に設置された、第3の流向
制御弁と、
前記第2の入り口主管の、前記主ポンプインレットパイプと前記主循環ポンプに最も近い前記第2の入り口連通管の1つとの間に設置された、第4の流向
制御弁と、
前記第2の出口主管の、前記主ポンプインレットパイプと前記主循環ポンプに最も近い前記第2の出口連通管の1つとの間に設置された、第5の流向
制御弁と、が少なくとも前記連通管路に設置される、請求項2に記載の複合藻類培養装置。
【請求項4】
前記光合成反応モジュールの入り口に設置された酸素排気装置と、酸素排出管の出口に連接する排気装置と、を更に含み、
前記酸素排気装置は、酸素排出筒と、前記酸素排出筒の下端に連接する集液筒と、を含み、
酸素排出管及び前記酸素排出管の外側にフィットする中空管は、前記酸素排出筒の中央に設置され、前記中空管の上端は、前記酸素排出筒の上端の外側までに延伸され、
前記酸素排出管の上部は、前記中空管と前記酸素排出管との間に隙間を保持するように、前記中空管の内側にフィットし、
前記酸素排出筒の側面に、加圧搬送装置に連接する給液口を有し、
前記培養液は、前記給液口を介して前記酸素排出筒に注入された後に、前記集液筒に注入されると共に、前記培養液に含まれた酸素は、前記酸素排出管及び前記中空管を介して前記酸素排出筒の外部が排出され、
前記排気装置は、前記酸素排出管で排出された酸素及び前記培養液における死亡した藻類を前記酸素排気装置から排出するための、真空吸引力を生じ、
前記培養液は、前記光合成反応モジュール、前記成長調節モジュール、前記酸素排気装置を通過した後に、前記光合成反応モジュールに再注入されて光合成を行う、請求項3に記載の複合藻類培養装置。
【請求項5】
前記酸素排出管の下端は、前記集液筒の上端に延伸され、前記給液口の高さは、前記酸素排出管及び前記中空管の下端より高いように配置される、請求項4に記載の複合藻類培養装置。
【請求項6】
成長モニタリング・調節モジュールを更に備え、
前記成長モニタリング・調節モジュールは、モニタリングモジュールと、主循環の温度調節装置と、栄養提供装置と、ガス補給装置と、藻類補給装置と、を含み、
前記モニタリングモジュールは、前記主ポンプインレットパイプ及び主ポンプアウトレットパイプに連接すると共に、水温、pH値、溶存酸素量、栄養塩濃度、濁度、二酸化炭素の濃度及び酸素の濃度をモニターするための複数個のセンサーを含み、
前記主循環の温度調節装置は、前記培養液の温度を制御するように、前記第1の出口主管と前記第2の入り口主管との間に連接し、
前記栄養提供装置、前記ガス補給装置及び前記藻類補給装置は、栄養塩、二酸化炭素又は酸素、藻類を前記培養液に補充するように、主ポンプインレットパイプに連接する、請求項5に記載の複合藻類培養装置。
【請求項7】
前記成長モニタリング・調節モジュールは、藻類成長モニタリング装置を更に含み、
前記藻類成長モニタリング装置は、前記培養液における藻類の成長状態をモニタリングすると共に、前記培養液における藻類が収穫条件に成長させた際に、前記自動収穫裝置で前記培養液における藻類を収穫することを制御するように、前記主ポンプアウトレットパイプと前記第1の入り口主管との間に連接する、請求項6に記載の複合藻類培養装置。
【請求項8】
前記光合成反応ユニットのそれぞれは、前記入水端に設置された第1の入り口バイパスコネクターと、前記出水端に設置された第1の出口バイパスコネクターと、を有し、
前記栽培槽ユニットのそれぞれは、前記栽培槽入り口に設置された第2の入り口バイパスコネクターと、前記栽培槽出口に設置された第2の出口バイパスコネクターと、を有する、請求項2に記載の複合藻類培養装置。
【請求項9】
前記光合成反応ユニットのそれぞれは、成長モニタリングサブモジュールと、補助光装置と、遮光装置と、反応器温度制御装置と、を含み、
前記成長モニタリングサブモジュールは、複数個の照度センサーと、前記透光性巻管に設置された温度センサー、圧力センサー、ガス濃度センサー、栄養塩濃度センサとを含み、
前記補助光装置はLED発光装置である、請求項1に記載の複合藻類培養装置。
【請求項10】
前記栽培槽ユニットのそれぞれは、
前記栽培槽ユニットの上方に設置された栽培槽光源装置と、
前記栽培槽ユニットの内に設置され、ガスを前記栽培槽ユニットにおける培養液に注入するための栽培槽ガス補給装置と、
前記栽培槽ユニットの内に設置され、前記栽培槽ユニットにおける培養液の温度を制御するための複数個の栽培槽温度制御装置と、
前記栽培槽ユニットの内に設置され、水を撹乱するための流体撹乱装置とを含む、請求項1に記載の複合藻類培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合藻類培養装置に関し、特に、クローズドフォトバイオリアクターと成長調整タンクとを組み合わせ、多数の農業用途に適用する、複合藻類培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
藻類は、光エネルギー、二酸化炭素、水、無機塩などを有効に利用して、タンパク質、脂質、炭水化物、高付加価値の生物活性物質を合成することができる。藻類は、極めて高い光エネルギー変換効率を有するため、高等植物より強い成長潜在力を有するので、その培養が注目されている。
【0003】
現在、藻類の大規模な工業生産は、主に開放式の生産モードを採用しているが、このような生産モードは、スペースを取り、生産が不安定で、コストが高すぎて汚染されやすくなり、藻類の受光が均一でなく、光エネルギーの利用率が低く、成長環境が様々であって成長条件を制御し難い問題を有するため、藻類が大量に死し、培養効率が悪い。開放式培養池の欠点を解決するために、業界は閉鎖型光合成リアクター培養技術を開発した。このような培養技術は、閉鎖的な透光性パイプライン反応装置または閉鎖的な反応タンクで、人工光源や自然光源で反応装置に照らして、藻類が閉鎖的な環境で光合成を行う。このような閉鎖型光合成反応培養装置は、用いられたスペースを抑えることができるが、装置が高価で、生育条件の制御が難しく、閉鎖的なシステムで死藻が発生しやすい、目詰まりするなどの問題が容易に発生した。さらに重要なことに、反応装置または反応タンクの容量が限られているため、生産量が低く、培養コストが高く、藻類の品質を制御することが困難であった上で、さまざまな藻類を同時に培養することはできない。
【0004】
以上の原因によって、既存の藻類培養システムの欠点が生じることから、インテリジェント自動制御によって設計を変更して、可変因子、構造の設計を改良することにより、上述した欠点を克服することは、本事業の解決しようとする重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来の藻類培養装置の占有スペース、高価な設備、成長条件の制御が難しく、工業生産に有効に活用できない、との問題を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、少なくとも1つの光合成反応ユニットを含む光合成反応モジュールと、少なくとも1つの栽培槽ユニットを含む成長調節モジュールと、自動収穫裝置と、を備える複合藻類培養装置を提供する。前記光合成反応ユニットのそれぞれは、入水端及び出水端を有する透光性巻管を含む。前記栽培槽ユニットのそれぞれは、栽培槽入り口及び栽培槽出口を有する槽体を含み、前記槽体には、前記槽体の内部を湾曲流路となるように区画するためのセパレーターが設置され、前記槽体のそれぞれの容積は、前記透光性巻管の容積より大きいとなるように設置される。前記自動収穫裝置は、培養液における一部の藻類を収穫するように、前記栽培槽ユニットの前記栽培槽出口と連結する。藻類を培養するための培養液は、前記光合成反応モジュールで光合成反応を行った後に前記成長調節モジュールに注入され、前記成長調節モジュールを通過した後に、前記自動収穫裝置を通過し、前記自動収穫裝置で培養液における一部の藻類を収穫した後に、前記光合成反応モジュールに再注入される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1つの有利な効果として、本発明は、パイプライン式光合成反応ユニットと、容積が光合成反応ユニットの容積より数倍大きい栽培槽ユニットとを組み合わせることによって、パイプライン式光合成反応装置の光合成反応が強い効果と、栽培槽ユニットが大容量を有し且つ藻類の成長を調節する効果とを両立して、歩留まり及び品質を向上させることを果たせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る複合藻類培養装置を示す模式図である。
【
図2】本発明の第一実施形態で用いた酸素排出装置の酸素排出筒及び給液口の断面模式図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る複合藻類培養装置のシステムブロック図である。
【
図4】本発明の第二実施形態で用いた光合成反応ユニットの模式図である。
【
図5】本発明の第二実施形態で用いた栽培槽ユニットの模式図である。
【
図6】本発明に係る複合藻類培養装置で用いた制御モジュールと各部品との接続関係を示すブロック図である。
【
図7】本発明に係る複合藻類培養装置の光合成反応ユニット及び栽培槽ユニットが、外部循環装置に接続することで藻類の混作の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0010】
[第一実施形態]
図1及び
図2に示すように、本発明の複合藻類培養装置の具体的な実施形態は、光合成反応モジュール1と、成長調節モジュール2と、自動収穫裝置57と、酸素排出装置80とを備える。光合成反応モジュール1は、少なくとも1つの光合成反応ユニット10を含み、成長調節モジュール2は、少なくとも1つの栽培槽ユニット20を含む。光合成反応ユニット10は、両端に入水端111及び出水端112を有する透光性巻管11を含む。透光性巻管11は、透明の管状体(例えば、ガラスチューブ、アクリルチューブ)で製造され、微細藻類を培養するための培養液は、入水端111から透光性巻管11に注入されると共に、安定な流速で透光性巻管11を通過する。
【0011】
透光性巻管11の上端に、使用者が新たな培養液又は藻類を培養する栄養成分を添加するか、若しくは二酸化炭素を透光性巻管11に注入するための、補充入り口113が設置されてもよい。光合成反応ユニット10には、複数個の補助光装置13が設置されてもよい。補助光装置13は、調光可能なLED発光装置であってもよいと共に、微細藻類を培養する要求に応じて、異なる波長を有する光を生成して、微細藻類の光合成反応を促進させることができる。
【0012】
栽培槽ユニット20は、光合成反応ユニット10の出口端に連接し、栽培槽ユニット20は、槽体21と、槽体21内に設置された複数個の第1のセパレーター及び第2のセパレーターと、を含む。本実施形態において、槽体21は長方形タンクである。各栽培槽ユニット20の槽体21のそれぞれは、栽培槽入り口211及び栽培槽出口212を含み、各槽体21に、槽体21の内部で湾曲流路214を形成するように区画するための、互いにずらした複数個のセパレーター213が設置されるので、培養液の槽体21内の流動距離が増加すると共に、流動時間が延長する。
【0013】
説明すべきことは、本発明に係る栽培槽ユニット20の槽体21の容積は、光合成反応ユニット10の容積より大きいとなるように設置されると共に、培養液の栽培槽ユニット20で留まる時間は、培養液の光合成反応ユニット10で留まる時間以上となるように制御される。本発明に係る好ましい実施形態において、槽体21の容積は、光合成反応ユニット10の容積の数倍より大きくすることができるため、栽培槽ユニット20に数倍より多い培養液を収容することができるので、生産能力及び生産効率を効果的に向上させる。
【0014】
培養液が槽体21に注入された後に、遅い流速で栽培槽ユニット20を通過するため、培養液の温度が徐々に下降すると共に、光合成反応を停止するか、光合成反応の強度を低減することができる。よって、藻類が十分な時間を持つため、光合成反応で急成長・分裂による傷を修復すると共に、先の光合成反応で得た栄養を消化し、藻類がある程度のサイズに成長した後に、分裂・成長することができる。
【0015】
自動収穫裝置57は、栽培槽ユニット20の出口端に連結し、栽培槽ユニット20の栽培槽出口212に収穫チューブ571が設置され、収穫チューブ571に収穫用制御弁5711が設置される。収穫チューブ571がから排出された培養液は、自動収穫裝置57を通過すると共に、自動収穫裝置57で培養液に含まれた一部の微細藻類が収穫される。本実施形態において、自動収穫裝置57は、フィルター組み立て572及び培養液受けタンク573を含む。培養液は、フィルター組み立て572を通過して培養液受けタンク573に注入される。フィルター組み立て572は、適切のサイズの細孔を有することによって、培養液におけるサイズがフィルター組み立て572の細孔の直径より大きい微細藻類は、フィルター組み立て572でブロックされる。
【0016】
特筆すべきことは、本発明に係る自動収穫裝置57が収穫工程を行う際に、培養液における一定の割合の微細藻類のみ収穫して、自動収穫裝置57を通過した培養液には、一部の微細藻類を保留し、且つ、微細藻類の収穫割合を制御する手段で培養液に存在する微細藻類濃度を制御し、それによって、微細藻類の成長に適切する環境条件を立て、本発明に係る複合藻類培養装置の生産効率及び生産された微細藻類の品質を向上させることができる。
【0017】
自動収穫裝置57は、アウトレットパイプ574を更に有する。アウトレットパイプ574は、培養液受けタンク573の水出口に連通すると共に、加圧ポンプである加圧搬送装置575に連接する。加圧搬送装置575の出口端は、酸素排出装置80の酸素排出筒のインレットパイプ811に連接する。加圧搬送装置575によって、自動収穫裝置57から排出された培養液を、酸素排出装置80に注入することで、培養液が酸素排出装置80において余分な酸素を排出することによって、培養液に含まれた酸素ガスの含有量を低減する。
【0018】
本実施形態において、酸素排出装置80は、酸素排出筒81と、酸素排出筒81の下に連接する集液筒82とを含む。酸素排出筒81は、円筒形を呈すると共に、酸素排出筒81の中心に酸素排出管84、及び酸素排出管84の外側にフィットする中空管85が設置される。集液筒82は、酸素排出筒81の下に連接すると共に、酸素排出筒81と集液筒82とを連接する箇所の直径が小さくなることによって、酸素排出筒81と集液筒82との間にある連接ネックが形成される。酸素排出管84の下端は、連接ネックに挿入し、集液筒82の上に延伸され、且つ、酸素排出管84の下端に拡張部841が形成される。
【0019】
中空管85の直径は、酸素排出管84より大きく、中空管85の下端は、酸素排出筒81内部の下端に近い位置まで延伸されると共に、酸素排出管84の上部は、中空管85の内側にフィットする。中空管85の上端は、酸素排出筒81の上端の外側までに延伸されると共に、中空管85の上端は、吸気管812を介して排気装置88に連接する。
【0020】
酸素排出筒81の1つの側辺に給液口83が設置され、給液口83は、インレットパイプ811に連通し、培養液は、インレットパイプ811通過して給液口83に注入されて、給液口83から酸素排出筒81に注入されることができる。給液口83の高さは、中空管85及び酸素排出管84の下端の開け口より高くするように配置されるので、給液口83から排出した培養液は、中空管85及び酸素排出管84に吸入されることはない。
【0021】
図3に示すように、本実施形態において、酸素排出筒81の一端の給液口83の直径が小さくなってノズルが形成され、且つ給液口83の中心軸は、酸素排出筒81の円周断面の接線方向と平行するか、若しくは90°より小さい角を呈することによって、培養液が酸素排出筒81に注入される流速が速くなり、培養液が酸素排出筒81の内側壁と接触した後に、酸素排出筒81の内側壁に沿って、螺旋状となるように下にある集液筒82の内に流れる。
【0022】
培養液が酸素排出筒81で流動して集液筒82に注入される過程において、培養液に含まれたガスは、酸素排出筒81及び集液筒82に排出されて、酸素排出管84及び中空管85で抽出される。また、この過程において、培養液における死亡した藻類は、培養液と分離されると共に、排気装置88の気流で抽出され、ガス排出管881から収集容器882に排出される。上記の方法によって、培養液における死亡した藻類の数を低減して、死亡した藻類管路又は槽体21の流路に付着することによる管路の詰まりが生じなく、また、生産した藻類が死亡した藻類で生まれた悪臭を有しなく、天然の藻類の香りを有するので、生産した藻類の品質を向上させる目的を果たせる。
【0023】
集液筒82は、酸素排出筒81から流出された培養液を収容するように、酸素排出筒81の底部に連結する。集液筒82の上端の一側に側排気口821が設置される。集液筒82の底部は、集液筒82内の培養液が連通管87を通過してバッファータンク86に注入されるように、連通管87を介してバッファータンク86の底部に連通する。バッファータンク86は、培養液が光合成反応ユニット10に注入される前のバッファスペースであり、酸素排出装置80から流出された培養液は、まずバッファータンク86に注入されて、バッファータンク86から光合成反応ユニット10に注入されることによって、培養液における微細藻類が再び光合成を行う。
【0024】
[第二実施形態]
図3~
図7は、本発明に係る複合藻類培養装置100の第二実施形態を示す図である。先に説明すべきことは、本実施形態の技術内容は、前記第一実施形態と類似するため、両実施形態の同様の技術内容について重複に説明しない。
【0025】
本実施形態に係る複合藻類培養装置100は、光合成反応モジュール1と、成長調節モジュール2と、循環式移載モジュール3と、循環配管モジュール4と、成長モニタリング・調節モジュール5と、制御モジュール6とを、備える。
【0026】
図4に示すように、光合成反応モジュール1は、複数個の光合成反応ユニット10を含む。本実施形態において、光合成反応ユニット10のそれぞれは、透光性巻管11と、成長モニタリングサブモジュール12と、補助光装置13と、遮光装置14と、反応器温度制御装置15と、第1の入り口バイパスコネクター16と、第1の出口バイパスコネクター17とを、含む。
【0027】
図4に示すように、透光性巻管11に、光合成反応ユニット10の培養液の圧力を制御するための圧力制御弁114が設置されてもよく、それによって、藻類の成長に適する。本実施形態において、光合成反応ユニット10の成長モニタリングサブモジュール12は、各光合成反応ユニット10の光の強さ、温度、圧力、酸素や二酸化炭素の濃度、及び栄養塩濃度などの成長条件のパラメータをモニターするために、照度センサー121と、温度センサー122と、圧力センサー123と、ガス濃度センサー124と、栄養塩濃度センサー125とを含む。
【0028】
図4に示すように、本実施形態において、光合成反応ユニット10の遮光装置14は、透光性巻管11の上方に設置されたサンシェードである。遮光装置14の開閉度を制御することによって、透光性巻管11の光を受けた強度を制御することができる。
【0029】
図4に示すように、本実施形態において、反応器温度制御装置15は、光合成反応ユニット10の入り口端に設置された入口熱交換器151、透光性巻管11の入り口に設置された入口加熱器152、又は透光性巻管11の適切な箇所に設置された配管加熱器153、を含み、更に、光合成反応ユニット10のそれぞれに含まれた培養液の温度を制御するために、スプリンクラーなどのタイプの冷却装置とを組み合わせることによって、培養液の温度は、藻類の生育に適した温度に制御される。
【0030】
図3に示すように、本実施形態において、光合成反応ユニット10のそれぞれの第1の入り口バイパスコネクター16及び第1の出口バイパスコネクター17はそれぞれ、透光性巻管11の入水端111及び出水端112に設置される。第1の入り口バイパスコネクター16及び第1の出口バイパスコネクター17は、光合成反応ユニット10を洗濯する際に、若しくは、他の藻類を混作する際に、洗濯用管路又は混作に用いる外部循環装置7と連接する、という役割を果たせる。
【0031】
図3及び
図5に示すように、本実施形態において、成長調節モジュール2は、容量が複数個の光合成反応ユニット10に対応する複数個の栽培槽ユニット20を含む。成長調節モジュール2における複数個の栽培槽ユニット20は、循環配管モジュール4を介して光合成反応モジュール1の複数個の光合成反応ユニット10に連接する。また、循環式移載モジュール3及び循環配管モジュール4の制御によって、培養液は、複数個の光合成反応ユニット10と栽培槽ユニット20との間に循環する。
【0032】
図5に示すように、本実施形態において、栽培槽ユニット20のそれぞれは、槽体21と、栽培槽光源装置22と、栽培槽ガス補給装置23と、栽培槽温度制御装置24と、流体撹乱装置25と、第2の入り口バイパスコネクター26と、第2の出口バイパスコネクター27とを、含む。各栽培槽ユニット20の槽体21のそれぞれは、栽培槽入り口211及び栽培槽出口212を含む。培養液は、栽培槽入り口211から槽体21の内部に注入された後に、栽培槽出口212から排出される。各槽体21に、槽体21の内部を湾曲流路214となるように区画するための、互いにずらした複数個のセパレーター213が設置される。
【0033】
図5に示すように、各栽培槽ユニット20の栽培槽光源装置22は、栽培槽ユニット20に含まれた培養液に対する光強度を制御するように、槽体21の上方に設置される。栽培槽ガス補給装置23は、槽体21の内部に設置され、且つ気体導通管を有する。また、栽培槽ガス補給装置23のそれぞれは、ガスポンプ533に連接し、補充用ガス(例えば、二酸化炭素ガス、酸素ガスなど)は、ガスポンプ533を介して栽培槽ガス補給装置23に注入された後に、栽培槽ガス補給装置23の気孔を介して槽体21における培養液に導入される。栽培槽温度制御装置24は、槽体21に含まれた培養液の温度を制御するように、槽体21における加熱器、熱交換器、又は他の温度制御装置に設置されてもよい。また、本発明の好ましい実施形態において、複数個の栽培槽温度制御装置24はそれぞれ、槽体21に含まれた異なる位置にある培養液の温度を制御するように、槽体21における異なる位置に設置されてもよい。また、槽体21には、水流を作ることで槽底での藻類の沈積による成長速度の低減を回避するように、流体撹乱装置25が設置される。流体撹乱装置25は、モーターで駆動するプロペラ、若しくは、ミキサー、水車、ポンプ、ウェーブマシン、他の流体の流速を増加する装置や水流を製造する装置であってもよい。流体撹乱装置25は、槽体21に含まれた培養液を、栽培槽入り口211の方向から栽培槽出口212の方向へ流動する水流として形成させる。それによって、槽体21に含まれた培養液が流動する状態を維持することで、培養液における藻類の沈積又は槽体21の側壁に付着することを回避すると共に、培養液の流動不足で、培養液に含まれた藻類と栽培槽温度制御装置24との接触時間が長すぎて藻類の過熱による死亡、若しくは、藻類が栽培槽温度制御装置24に付着することを回避する。
【0034】
特筆すべきことは、
図5に示すように、本発明に係る複数個の栽培槽温度制御装置24は、栽培槽ガス補給装置23の上方に近い位置に設置されることによって、栽培槽ガス補給装置23のガスが培養液で形成された気泡によって、より栽培槽温度制御装置24の周りにある培養液の流動を与えられる。また、
図3に示す実施形態において、槽体21の栽培槽入り口211に流体撹乱装置25が設置されてもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。本発明に係る他の図面に示していない実施形態において、より優れた流体撹乱効果を果たせるように、栽培槽温度制御装置24のそれぞれの後方に流体撹乱装置25が設置され、それによって、藻類の沈積や、藻類と栽培槽温度制御装置24との接触時間が長すぎることによる藻類の死亡を回避することができると共に、二酸化炭素と藻液との接触を増加し、照明が十分にすることができる。
【0035】
また、
図5に示すように、本実施形態において、栽培槽ユニット20の第2の入り口バイパスコネクター26及び第2の出口バイパスコネクター27はそれぞれ、槽体21の栽培槽入り口211及び栽培槽出口212に設置される。第2の入り口バイパスコネクター26及び第2の出口バイパスコネクター27は、栽培槽ユニット20を洗濯する際に、若しくは、他の藻類を混作する際に(例えば、
図5に示す実施形態)、洗濯用管路又は混作に用いる外部循環装置7と連接する、という役割を果たせる。
【0036】
また、
図3及び
図5に示すように、本実施形態において、栽培槽ユニット20のそれぞれは、栄養ボトル215が設置される。栄養ボトル215は、ガス分配管534に連接することで、気圧で栄養ボトル215に含まれた補給物資を栽培槽ユニット20に注入するか、若しくは、栽培槽ユニット20に含まれた培養液をサンプルして、栄養の補充、ガスの追加、サンプルの調査などの機能を果たせる。栽培槽ユニット20を用いて異なる藻類を混作する際に、栽培槽ユニット20のそれぞれに、汚染せずに、専用の栄養、ガスを補充できるように、専用の栄養ボトル215が設置される。
【0037】
また、
図5に示すように、成長調節モジュール2に、栽培槽栄養提供装置59が更に設置されてもよい。栽培槽栄養提供装置59は、管路を介して複数個の栽培槽ユニット20に同時に連接することによって、各栽培槽ユニット20に必要なガス、栄養塩などの補給物資を補給することができると共に、異なる種類の藻類を培養する際に、異なる藻類に必要な栄養塩又は補給物資を補充することができる。
【0038】
図3に示すように、循環式移載モジュール3は、循環配管モジュール4を介して光合成反応モジュール1及び成長調節モジュール2に連接する。循環式移載モジュール3が培養液の搬送に用いることによって、培養液は、循環配管モジュール4によって、光合成反応モジュール1の複数個の光合成反応ユニット10及び成長調節モジュール2の複数個の栽培槽ユニット20の内に流れる。
【0039】
図3に示すように、本実施形態において、循環式移載モジュール3は、主循環ポンプ31と、循環配管モジュール4の異なる箇所に分散に設置された補助ポンプ32と、を含む。主循環ポンプ31は、循環配管モジュール4と光合成反応モジュール1及び成長調節モジュール2との間にある管路に連接する。主循環ポンプ31は、循環配管モジュール4に含まれた培養液の流動に必要な圧力を提供するように、培養液を加圧した後に循環配管モジュール4に注入させる。
【0040】
図3に示すように、循環配管モジュール4は、循環式移載モジュール3と、光合成反応モジュール1の複数個の光合成反応ユニット10と、成長調節モジュール2の複数個の栽培槽ユニット20とを連結するためのものである。本実施形態において、循環配管モジュール4は、主ポンプアウトレットパイプ41と、主ポンプインレットパイプ42と、第1の入り口主管43と、第1の入り口主管43に連接する複数条の第1の入り口連通管431と、第1の出口主管44と、第1の出口主管44に連接する複数条の第1の出口連通管441と、第2の入り口主管45と、第2の入り口主管45に連接する複数条の第2の入り口連通管451と、第2の出口主管46と、第2の出口主管46に連接する複数条の第2の出口連通管461と、連通管路47と、を含む。
【0041】
図3に示すように、主ポンプアウトレットパイプ41は主循環ポンプ31の出口端311に連接し、主ポンプインレットパイプ42は主循環ポンプ31の入り口端312に連接する。主ポンプアウトレットパイプ41に、主ポンプ出口制御弁411が設置され、主ポンプインレットパイプ42に主ポンプ入り口制御弁421が設置される。主ポンプアウトレットパイプ41は、第1の入り口主管43に連接すると共に、第1の入り口主管43は複数条の第1の入り口連通管431を介して、複数個の光合成反応ユニット10の入水端111に連接し、第1の出口主管44は、複数条の第1の出口連通管441を介して、複数個の光合成反応ユニット10の出口端112に連接し、それによって、複数個の光合成反応ユニット10が第1の入り口主管43と第1の出口主管44との間に並列接続される。
【0042】
図3に示すように、第1の出口主管44の末端は、主ポンプインレットパイプ42及び第2の入り口主管45の開始端に連接する。第2の入り口主管45は複数条の第2の入り口連通管451を介して、複数個の栽培槽ユニット20の栽培槽入り口211に連接し、第2の出口主管46は、複数条の第2の出口連通管461を介して、複数個の栽培槽ユニット20の栽培槽出口212に連接し、それによって、複数個の栽培槽ユニット20が第2の入り口主管45と第2の出口主管46との間に並列接続される。第2の出口主管46の複数個の栽培槽ユニット20から離れた一端は、主ポンプインレットパイプ42の主ポンプ入り口制御弁421と主循環ポンプ31の入り口端312との間に連接する。
【0043】
図3に示すように、第1の入り口連通管431のそれぞれに第1の入り口制御弁4311に設置され、第1の出口連通管441のそれぞれに第1の出口制御弁4411に設置され、第2の入り口連通管451のそれぞれに第2の入り口制御弁4511が設置され、第2の出口連通管461のそれぞれに第2の出口制御弁4611が設置される。光合成反応ユニット10の対応する第1の入り口制御弁4311及び第1の出口制御弁4411がオフする場合、培養液は光合成反応ユニット10を通過することができないため、光合成反応ユニット10をオフ状態にする。同様に、栽培槽ユニット20の対応する第2の出口制御弁4611及び第2の入り口制御弁4511がオフする場合、培養液は栽培槽ユニット20を通過することができないため、栽培槽ユニット20をオフ状態にする。
【0044】
図3に示すように、各光合成反応ユニット10の第1の入り口制御弁4311は、光合成反応ユニット10の対応する第1の入り口連通管431における第1の入り口バイパスコネクター16と第1の入り口主管43との間にある位置に設置される。各光合成反応ユニット10の第1の出口制御弁4411は、光合成反応ユニット10の対応する第1の出口連通管441における第1の出口バイパスコネクター17と第1の出口主管44との間にある位置に設置される。同様に、各栽培槽ユニット20の第2の入り口制御弁4511は、栽培槽ユニット20の対応する第2の入り口連通管451における第2の入り口バイパスコネクター26と第2の入り口主管45との間にある位置に設置される。各栽培槽ユニット20の第2の出口制御弁4611は、栽培槽ユニット20の対応する第2の出口連通管461における第2の出口バイパスコネクター27と第2の出口主管46との間にある位置に設置される。
【0045】
このように、
図7に示すように、光合成反応ユニット10又は栽培槽ユニット20のいずれかを洗濯する際に、若しくは、異なる種類の藻類を混作する際に、光合成反応ユニット10の第1の入り口制御弁4311及び第1の出口制御弁4411をオフにすると共に、栽培槽ユニット20の第2の入り口制御弁4511及び第2の出口制御弁4611をオフにすることによって、洗濯用水又は藻類を混作する培養液が循環配管モジュール4に注入されることを回避できるため、複合藻類培養装置の循環配管モジュール4及び他の部品における培養液の汚染を回避することができる。
【0046】
図3に示すように、循環配管モジュール4は、連通管路47及び複数個の流路調節弁で、培養液の循環流路を制御する。連通管路47は、第1の入り口主管43及び第1の出口主管44の主循環ポンプ31に近い端に連接し、連通管路47の両端に2つの連通管制御弁471が設置される。また、第1の入り口主管43に、連通管路47と、主循環ポンプ31に最も近い第1の入り口連通管431との間にある第1の流向控制閥432が設置される。第1の出口主管44に、連通管路47と、主循環ポンプ31に最も近い第1の出口連通管441との間にある第2の流向控制閥442、及び連通管路47と、主ポンプインレットパイプ42との間にある第3の流向控制閥443が設置される。第2の入り口主管45に、主ポンプインレットパイプ42と、主循環ポンプ31に最も近い第2の入り口連通管451との間にある第4の流向控制閥452が設置される。第2の出口連通管461に、主ポンプインレットパイプ42と、主循環ポンプ31に最も近い第2の出口連通管461との間にある第5の流向控制閥462が設置される。
【0047】
図3に示すように、本発明に係る複合藻類培養装置100は、成長モニタリング・調節モジュール5によって、藻類の培養状況を観察すると共に、藻類の成長条件を制御し、必要に応じて藻類の成長に必要なガス、栄養又は藻類の苗を補充し、藻類の成長状態をモニターし、且つ適切に藻類を収穫することができる。本実施形態において、成長モニタリング・調節モジュール5は、モニタリングモジュール51と、主循環の温度調節装置52と、栄養提供装置54と、ガス補給装置53と、藻類補給装置55と、藻類成長モニタリング装置56と、自動収穫裝置57と、酸素排出装置80と、を含む。
【0048】
図3に示すように、モニタリングモジュール51は、藻類を培養するための培養液の水温、pH値、溶存酸素量、栄養塩濃度、濁度、二酸化炭素の濃度や酸素の濃度などのパラメータをモニターするために、温度センサーと、圧力センサーと、栄養塩濃度センサーと、pHセンサー、二酸化炭素濃度センサー、酸素濃度センサーなどのタイプのセンサーモジュールを含む。本実施形態において、モニタリングモジュール51は、バイパス管511,512を介して、主ポンプインレットパイプ42及び主ポンプアウトレットパイプ41に連接すると共に、バイパス管511,512を通過してモニタリングモジュール51に流れる培養液の流量を制御するように、バイパス管511,512のそれぞれにバイパス制御弁5111,5121に設置される。また、モニタリングモジュール51は、サンプルされた培養液を検査・分析するように、排水弁513に連接する。
【0049】
図3に示すように、主循環の温度調節装置52は、熱交換装置、加熱器又は冷却器であってもよい。本実施形態において、主循環の温度調節装置52は、バイパス管521,522を介して第1の出口主管44及び第2の入り口主管45に連接し、バイパス管521,522のそれぞれに、バイパス制御弁5211,5221が設置される。また、本実施形態において、第3の流向控制閥443がバイパス管521とバイパス管522の間に設置されるため、第3の流向控制閥443をオフにし、且つバイパス制御弁5211,5221がオンにする場合、培養液は、主循環の温度調節装置52を通過することで培養液の温度を制御することができる。
【0050】
図3に示すように、栄養提供装置54は、補給管541を介して主ポンプインレットパイプ42に連接すると共に、補給制御弁5411は補給管541に設置される。栄養提供装置54は、培養液に含まれた栄養塩を補充することや、pHを調整するための化学物質を添加すること、他の藻類の成長に必要な栄養成分を補充することとして用いられる。ガス補給装置53は、ガス補給管531を介して主ポンプインレットパイプ42に連接すると共に、ガス補給管531にガス制御弁5311が設置される。本実施形態において、ガス補給装置53は、第2のガス補給管532を更に有する。第2のガス補給管532は、ガスポンプ533に連接し、更に、ガスポンプ533は、ガス分配管534を介して成長調節モジュール2における複数個の栽培槽ユニット20の栽培槽ガス補給装置23に連接する。ガス補給装置53は、培養液の二酸化炭素又は酸素の濃度が不足する際に、補充するための二酸化炭素又は酸素を提供することができる。
【0051】
図3に示すように、藻類補給装置55は、藻類補給管551を介して補給管541に連接すると共に、藻類補給管551をオン又はオフするように、藻類補給管551に藻類補給制御弁5511が設置される。藻類補給装置55は、藻類の密度を調整するように、藻類の苗、又は培養された藻類を培養液に補給する。藻類成長モニタリング装置56は、主ポンプアウトレットパイプ41と第1の入り口主管43との間に設置される。藻類成長モニタリング装置56は、光学手段によって、培養液における藻類の成長状態(藻類の密度、藻類のカラー、藻類の成長のサイズなどのデータ)をモニターする。自動収穫裝置57は、収穫チューブ571を介して主ポンプアウトレットパイプ41と第1の入り口主管43との間に連接する。自動収穫裝置57は、藻類成長モニタリング装置56に連動することができる。藻類成長モニタリング装置56は、培養液に含まれた藻類の密度及び藻類のサイズを収穫条件を満たした場合、自動収穫裝置57が藻類を収穫することができる。
【0052】
図3に示すように、本実施形態において、酸素排出装置80は、自動収穫裝置57と主循環ポンプ31との間に位置するように、主ポンプインレットパイプ42に設置される。培養液は、光合成反応モジュール1及び成長調節モジュール2を通過した後、且つ主循環ポンプ31の入り口端312に再び注入される前に、培養液に含まれた過剰な酸素を排除するように酸素排気装置80に注入される。
【0053】
図6に示すように、本発明に係る複合藻類培養装置100は、制御モジュール6を更に備える。本実施形態において、制御モジュール6は、光合成反応モジュール1、成長調節モジュール2、循環式移載モジュール3、循環配管モジュール4及び成長モニタリング・調節モジュール5に結合する。制御モジュール6は、中央制御コンピュータであってもよく、リモートコントロールの装置であってもよく、インターネットとモバイルアプリでリモートコントロールを行うものであってもよい。制御モジュール6は、各センサーで測定されたパラメータ又はデータを受信すると共に、循環配管モジュール4の複数個の制御弁及び成長モニタリングモジュール51の各サブモジュール又は装置を制御することができるため、複合藻類培養装置100の運行を制御することや、藻類の成長条件をモニタリングすること、自動化補給又は藻類の成長条件の調整、及び自動化収穫などの目的を果たせる。
【0054】
図7には、本発明に係る複合藻類培養装置100で、一部の光合成反応ユニット10及び栽培槽ユニット20を用いて混作を行う使用モードの実施例を示す。本実施形態において、1つの光合成反応ユニット10に対応する第1の入り口制御弁4311及び第1の出口制御弁4411をオフにし、且つ1つの栽培槽ユニット20に対応する第2の入り口制御弁4511及び第2の出口制御弁4611をオフにする。次に、外部循環装置7を用いて、光合成反応ユニット10の第1の入り口バイパスコネクター16及び第1の出口バイパスコネクター17との間に、及び栽培槽ユニット20の第2の入り口バイパスコネクター26と第2の出口バイパスコネクター27との間に連接することによって、培養液は、循環配管モジュール4に注入されないように、光合成反応ユニット10と栽培槽ユニット20との間に循環に流れるため、複合藻類培養装置100の培養液の汚染を回避できる。
【0055】
より詳しく説明すると、外部循環装置7は、複数個の外部ホース71と、外部循環ポンプ72と、外部温度制御装置73と、外部ガス補給装置74と、外部栄養提供装置75と、を含む。複数個の外部ホース71は、光合成反応ユニット10の第1の出口バイパスコネクター17と、栽培槽ユニット20の第2の入り口バイパスコネクター26との間に連接され、且つ第2の出口バイパスコネクター27と第1の入り口バイパスコネクター16との間に連接すると共に、外部循環ポンプ72、外部温度制御装置73、外部ガス補給装置74及び外部栄養提供装置75はいずれも、複数条の外部ホース71で連接するため、培養液は、外部循環ポンプ72の搬送によって、光合成反応ユニット10と栽培槽ユニット20との間に循環に流れる。
【0056】
[実施形態による有利な効果]
本発明の1つの有利な効果として、本発明は、パイプライン式光合成反応ユニットと、容積が光合成反応ユニットの容積より数倍大きい栽培槽ユニットとを組み合わせることによって、パイプライン式光合成反応装置の光合成反応が強い効果と、栽培槽ユニットが大容量を有し且つ藻類の成長を調節する効果とを両立して、歩留まり及び品質を向上させることを果たせる。
【0057】
更に説明すると、本発明のもう1つの有利な効果として、本発明に係る複合藻類培養装置は、「循環配管モジュールは、光合成反応モジュール、成長調節モジュール及び循環式移載モジュールに連接する」ことによって、本発明に係る複合藻類培養装置は、生産能力の弾性を拡張して、工業的に大量生産の要求を満たす。また、「1つの主循環ポンプと循環配管モジュールとの組み合わせ」によって、培養液の複数組の光合成反応ユニットと、複数個の栽培槽ユニットとの間に循環に流れるため、集中に制御し、構造を簡単化し、且つコストを低減する目的を果たせる。
【0058】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
100…複合藻類培養装置
1…光合成反応モジュール
10…光合成反応ユニット
11…透光性巻管
111…入水端
112…出水端
113…補充入り口
114…圧力制御弁
12…成長モニタリングサブモジュール
121…照度センサー
122…温度センサー
123…圧力センサー
124…ガス濃度センサー
125…栄養塩濃度センサー
13…補助光装置
14…遮光装置
15…反応器温度制御装置
151…入口熱交換器
152…入口加熱器
153…配管加熱器
16…第1の入り口バイパスコネクター
17…第1の出口バイパスコネクター
2…成長調節モジュール
20…栽培槽ユニット
21…槽体
211…栽培槽入り口
212…栽培槽出口
213…セパレーター
214…湾曲流路
215…栄養ボトル
22…栽培槽光源装置
23…栽培槽ガス補給装置
24…栽培槽温度制御装置
25…流体撹乱装置
26…第2の入り口バイパスコネクター
27…第2の出口バイパスコネクター
3…循環式移載モジュール
31…主循環ポンプ
311…出口端
312…入り口端
32…補助ポンプ
4…循環配管モジュール
41…主ポンプアウトレットパイプ
411…主ポンプ出口制御弁
42…主ポンプインレットパイプ
421…主ポンプ入り口制御弁
43…第1の入り口主管
431…第1の入り口連通管
4311…第1の入り口制御弁
432…第1の流向控制閥
44…第1の出口主管
441…第1の出口連通管
4411…第1の出口制御弁
442…第2の流向控制閥
443…第3の流向控制閥
45…第2の入り口主管
451…第2の入り口連通管
4511…第2の入り口制御弁
452…第4の流向控制閥
46…第2の出口主管
461…第2の出口連通管
4611…第2の出口制御弁
462…第5の流向控制閥
47…連通管路
471…連通管制御弁
5…成長モニタリング・調節モジュール
51…モニタリングモジュール
511,512…バイパス管
5111,5121…バイパス制御弁
513…排水弁
52…主循環の温度調節装置
521,522…バイパス管
5211,5221…バイパス制御弁
53…ガス補給装置
531…ガス補給管
5311…ガス制御弁
532…第2のガス補給管
533…ガスポンプ
534…ガス分配管
54…栄養提供装置
541…補給管
5411…補給制御弁
55…藻類補給装置
551…藻類補給管
5511…藻類補給制御弁
56…藻類成長モニタリング装置
57…自動収穫裝置
571…収穫チューブ
5711…収穫用制御弁
572…フィルター組み立て
573…培養液受けタンク
574…アウトレットパイプ
575…加圧搬送装置
59…栽培槽栄養提供装置
6…制御モジュール
7…外部循環装置
71…外部ホース
72…外部循環ポンプ
73…外部温度制御装置
74…外部ガス補給装置
75…外部栄養提供装置
80…酸素排気装置
81…酸素排出筒
811…インレットパイプ
812…吸気管
82…集液筒
821…側排気口
83…給液口
84…酸素排出管
841…拡張部
85…中空管
86…バッファータンク
87…連通管
88…排気装置
881…ガス排出管
882…収集容器