(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240820BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240820BHJP
【FI】
A61M25/09 516
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2022548462
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(86)【国際出願番号】 US2021016287
(87)【国際公開番号】W WO2021158582
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-06-23
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521199579
【氏名又は名称】センターライン バイオメディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゴエル,ビカシュ アール.
(72)【発明者】
【氏名】大岡 直樹
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513998(JP,A)
【文献】特開2005-046603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022026(US,A1)
【文献】特開2013-165926(JP,A)
【文献】特表2005-512628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤであって、
チューブ内腔を画定し、長手方向に離間
された近位および遠位本体端部を有する細長いチューブ本体であって、前記
細長いチューブ本体は、
前記細長いチューブ本体に沿って
第1の方向に少なくとも1つ
の螺旋状切り込みを含む第1の長手方向付勢
部、および、前記細長いチューブ本体に沿って
第2の方向に少なくとも1つ
の螺旋状切り込みを含む第2の長手方向付勢
部を含み、前記第
2の方向は
、前記第1の方向と半径方向に反対である、細長いチューブ本体と、
少なくとも部分的に前記チューブ内腔の内側に配置され、長手方向に離間
された近位および遠位コアワイヤ端部を有するコアワイヤと、
前記チューブ内腔内に少なくとも部分的に配置された追跡センサと、
を備える、ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記追跡センサは電磁コイルセンサであ
り、
前記追跡センサは、前記コアワイヤの所定の取り付け領域に取り付けられる、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記追跡センサは、3次元空間
内で前記追跡センサおよび
前記ガイドワイヤの位置および向きを表すセンサ信号を提供するように構成され
ている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記センサ信号は、ユーザー認識可能形式で1つ以上の出力視覚化を生成するように構成されたナビゲーションシステムに提供される、請求項
3に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記所定の取り付け領域は、前記コアワイヤの平坦なプラトー部である、請求項
2に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
少なくとも1つの信号ワイヤは、前記追跡センサと電気的に通信する遠位信号ワイヤ
部、および近位コアワイヤ端部に隣接して
配置された近位信号ワイヤ
部を含み、前記近位信号ワイヤ部は、前記チューブ内腔の内側
および外側に横方向に同時に部分を有するU字形接続部を有し、前記近位信号ワイヤ部の終端部は、前記
細長いチューブ本体の外面に取り付けられている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記近位信号ワイヤ部
の終端部は、導電性カラーによって前記
細長いチューブ本体の前記外面に対して圧縮され、前記導電性カラーは、前記近位信号ワイヤ部と外部ガイドワイヤ制御システムとの間で電気信号を選択的に伝達するように構成されている、請求項
6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記第1の長手方向付勢部および前記第2の長手方向付勢部は、長手方向に離間されている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記ガイドワイヤは、前記第1の長手方向付勢部および前記第2の長手方向付勢部の隣接するものの間に長手方向に介在する遷移長手方向部を含み、前記遷移長手方向部は、中に螺旋状切り込みを含まない、請求項
8に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
遠位本体端部に隣接して前記
細長いチューブ本体を取り囲む外側コイルを含む、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
手術ナビゲーションシステムであって、
ガイドワイヤであって、
チューブ内腔を画定し、長手方向に離間
された近
位および遠位本体端部を有する細長いチューブ本体であって、前記
細長いチューブ本体は、
前記細長いチューブ本体に沿って第1の方向に少なくとも1つ
の螺旋状切り込みを含む第1の長手方向付勢部、
および、前記細長いチューブ本体に沿って第2の方向に少なくとも1つ
の螺旋状切り込みを含む第2の長手方向付勢
部を含み、前記第
2の方向は
、前記第1の方向と半径方向に反対である、細長いチューブ本体と、
少なくとも部分的に前記チューブ内腔の内側に配置され、長手方向に離間
された近
位および遠位コアワイヤ端部を有す
るコアワイヤと、
前記チューブ内腔内に少なくとも部分的に配置され、センサ信号を提供するように構成された追跡センサと、
を含む、ガイドワイヤと、
前記センサ信号を受信するために前記追跡センサに電気的に結合された通信デバイスと、を備え
る、手術ナビゲーションシステムであり、
前記手術ナビゲーションシステムは、ユーザー認識可能形式で1つ以上の出力視覚化を生成するように構成される、手術ナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記通信デバイスは、前記センサ信号を増幅および/またはデジタル化するように構成された回路を含み、
増幅および/またはデジタル化された信号は、前記通信デバイスか
ら制御ユニットに伝達され、前記制御ユニットは、アプリケーション要件に従って前記増幅および/またはデジタル化された信号を処理するように構成されており、かつ/または
前記通信デバイスは、電磁場発生装置から前記追跡センサ内に誘導されるセンサ信号に応答して、前記追跡センサの位置および向きを示すデータを計算し、計算されたデータを追加の処理のためにコンピュータに提供するように構成されており
、前記
コンピュータは、患者の解剖学的構造に対する前記ガイドワイヤの術中の位置決めを容易にするために、前記センサ信号に応答して、リアルタイムで患者の解剖学的形状および前記ガイドワイヤの少なくとも1つの3次元ユーザー認識可能仮想表示を生成するように構成され
ている、請求項11に記載の手術ナビゲーションシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの信号ワイヤは、前記追跡センサと電気的に通信する遠位信号ワイヤ
部、および近位コアワイヤ端部に隣接して
配置された近位信号ワイヤ
部を含み、前記近位信号ワイヤ部は、前記チューブ内腔の内側
および外側に横方向に同時に部分を有するU字形接続部を有し、前記近位信号ワイヤ部の終端部は、前記
細長いチューブ本体の外面に取り付けられている、請求項
11に記載の手術ナビゲーションシステム。
【請求項14】
前記第1の長手方向付勢部および前記第2の長手方向付勢部は、長手方向に離間されて
おり、前記ガイドワイヤは、前記第1の長手方向付勢部および前記第2の長手方向付勢部の隣接するものの間に長手方向に介在する遷移長手方向部をさらに備え、前記遷移長手方向部は、中に螺旋状切り込みを含まない、請求項
11に記載の手術ナビゲーションシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの信号ワイヤは、前記追跡センサと電気的に通信する遠位信号ワイヤ
部、および近位コアワイヤ端部に隣接して位置する近位信号ワイヤ
部を含み、前記近位信号ワイヤ部は、前記チューブ内腔の内側
および外側に横方向に同時に部分を有するU字形接続部を有し、前記近位信号ワイヤ部の終端部は、前記
細長いチューブ本体の外面に取り付けられて
おり、かつ/または
前記近位信号ワイヤ部の終端部は、導電性カラーによって前記細長いチューブ本体の外面に対して圧縮され、前記導電性カラーは、前記近位信号ワイヤ部と外部ガイドワイヤ制御システムとの間で電気信号を選択的に伝達するように構成されている、請求項
11に記載の手術ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2020年2月7日に出願された米国仮出願第62/971651号に対する優先権を主張する2020年12月1日に出願された米国特許出願第17/108,587号に対する優先権を主張する。上記の米国仮出願と米国特許出願の各々の内容は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、手術ナビゲーションシステムの使用のための装置および方法に関し、より具体的には、手術ナビゲーションシステムに空間内の自身の位置の表示を提供することができるガイドワイヤの方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
必要に応じて実行するために、低侵襲手術で使用されるインターベンションガイドワイヤの設計は、横断される解剖学的構造を傷つけることなく、意図したターゲットにナビゲートするためにデバイスを効果的に制御する能力を操作者に提供する機械的特性を備えている必要がある。機械設計のプロセスでは、相反する目標の間でバランスをとる必要があることがよくある。
【0004】
例えば、ガイドワイヤは、曲がりくねった血管を非外傷的にナビゲートできるようにするために、柔軟性(縦軸で曲がる能力)およびトルク性(回転力を伝達する能力)の両方を示す必要がある場合がある。ただし、一方を達成する機械設計の多くの側面は、他方を妥協する可能性がある。さらに、柔軟性は、デバイスの長さにわたって可変である必要がある場合がある。既存のガイドワイヤの設計では、コアワイヤを取り囲むワイヤコイルまたは編組を使用して、ナビゲーションに必要な機械的特性を実現してもよい。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、ガイドワイヤが提供される。細長いチューブ本体は、チューブ内腔を画定し、長手方向に離間した近位および遠位本体端部を有する。チューブ本体は、それに沿って少なくとも1つの第1方向の螺旋状切り込みを含む第1の長手方向付勢部を含む。チューブ本体はまた、それに沿った少なくとも1つの第2方向の螺旋状切り込みを含む第2の長手方向付勢部を含む。第1の方向は、半径方向で第1の方向と反対である。コアワイヤは、少なくとも部分的にチューブ内腔の内側に配置され、長手方向に離間した近位コアワイヤ端部および遠位コアワイヤ端部を有する。追跡センサは、チューブ内腔内に少なくとも部分的に配置される。
【0006】
一態様では、手術ナビゲーションシステムが提供される。ガイドワイヤは、チューブ内腔を画定し、長手方向に離間した近位および遠位本体端部を有する細長いチューブ本体を含む。チューブ本体は、それに沿って少なくとも1つの第1方向の螺旋状切り込みを含む第1の長手方向付勢部を含む。チューブ本体はまた、それに沿った少なくとも1つの第2方向の螺旋状切り込みを含む第2の長手方向付勢部を含む。第1の方向は、半径方向で第1の方向と反対である。ガイドワイヤは、コアワイヤであって、少なくとも部分的にチューブ内腔の内側に配置され、長手方向に離間した近位コアワイヤ端部および遠位コアワイヤ端部を有する、コアワイヤを含む。ガイドワイヤは、チューブ内腔内に少なくとも部分的に配置され、センサ信号を提供するように構成された追跡センサを含む。通信デバイスは、センサ信号を受信するために追跡センサに電気的に結合される。手術ナビゲーションシステムは、ユーザー認識可能形式で1つ以上の出力視覚化を生成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
よりよく理解するために、添付の図面が参照され得る。
【
図1A】
図1の「1A-1A」線に沿った概略断面図である。
【
図2】
図1の一態様の構成要素の概略斜視図である。
【
図4A】
図4の「4A-4A」線に沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1はガイドワイヤ100装置を示す。ガイドワイヤ100は、チューブ内腔104を画定し、長手方向に離間した近位および遠位本体端部106および108をそれぞれ有する細長いチューブ本体102を含む。チューブ本体102は、ステンレス鋼、ポリマー、ニチノール、他の適切な材料、またはそれらの任意の組み合わせで作ることができる。
【0009】
コアワイヤ110は、
図1Aに示されるように、チューブ内腔104の内側に少なくとも部分的に配置され得る。コアワイヤ110は、長手方向に離間した近位コアワイヤ端部112および遠位コアワイヤ端部114をそれぞれ有する。コアワイヤ110は、ステンレス鋼、ポリマー、ニチノール、任意の他の適切な材料、またはそれらの任意の組み合わせで作ることができる。
【0010】
再び
図1Aに示すように、外側コイル116は、チューブ本体102を遠位チューブ端部108に隣接して少なくとも部分的に取り囲むことができる。外側コイル116は、ステンレス鋼、ポリマー、ニチノール、任意の他の適切な材料、またはそれらの任意の組み合わせで作ることができる。外側コイル116は、接着剤、溶接、摩擦嵌合などによってチューブ本体102に固定することができる。
【0011】
図2に示すように、チューブ本体102は、それに沿って少なくとも1つの第1方向の螺旋状切り込みを有する第1の長手方向付勢部118と、少なくとも1つの第2方向の螺旋状切り込みを有する第2の長手方向付勢部120とを含む。第1の方向は、半径方向で第1の方向と反対である。すなわち、螺旋状切り込みの回転の「巻き方」または「向き」は、本明細書では「半径方向に反対」と呼ばれる第1および第2の方向で反対である。この「巻き方」の概念は、文脈によっては「キラリティ」としても知られている。
【0012】
チューブ本体102に設けられ、それに沿って配置される第1および第2の長手方向付勢部118および120は、特定の使用環境に必要なだけ多くても少なくてもよい。第1および第2の長手方向付勢部118および120は、数および/または構成に関係なく、チューブストックの単一の一体部品から形成および/または別個のサブ部品のグループから組み立てることができる。第1および第2の長手方向付勢部118および120は、ガイドワイヤ100の柔軟性および回転可能性のうちの少なくとも1つを支援するために提供される。異なる数の第1および第2の長手方向付勢部118および120が単一のガイドワイヤ100に設けられる場合、ガイドワイヤ100は特定の方向に操縦するように付勢され、これはいくつかの使用環境では望ましい。第1および第2の長手方向付勢部118および120は、互いに対して長手方向に離間されてもよく、またはチューブ本体102に沿って実質的に隣接して切断されてもよい。
【0013】
図2に示されるように、遷移長手方向部122は、第1および第2の長手方向付勢部118および120のうちの選択されたもの(隣接するものであってもよい)の間に長手方向に挿入することができ、遷移長手方向部はそれに沿って螺旋状切り込みを含まない。第1の付勢長手方向部118、第2の付勢長手方向部120、および遷移長手方向部122は、特定の使用環境の必要に応じて、任意の所望の長さであり、チューブ本体102に沿った任意の場所に配置することができる。第1および第2の長手方向付勢部118および120のピッチは、同じ第1および/または第2の長手方向付勢部118および120内で、または異なる第1および/または第2の長手方向付勢部118および120の間で変えることができ、ガイドワイヤ100により多くの柔軟性(より狭いピッチ/隣接するターン間の短いスパン)またはより少ない柔軟性(より緩いピッチ/隣接するターン間のより長いスパン)を提供する。
【0014】
図3に目を向けると、少なくとも1つの電子部品324が、少なくとも部分的にチューブ内腔104内に配置され得る。電子部品324は、センサ(位置、温度、および圧力を含むがこれらに限定されない物理的特性用)、電磁コイルセンサ、トランスデューサ、または他の信号生成デバイス(限定されないが、RFまたはBluetooth送受信機)、その他のタイプの電子部品、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。一例では、1つ以上の電子部品324は、カナダ、オンタリオ州ウォータールーにあるNorthern Digital Inc.から市販されているAurora電磁追跡システムの場発生器によって提供されるような、電磁場に応答して複数の自由度(DOF)を感知するように構成された電磁センサ(例えば、センサコイル)である。DOF感知電子部品324は、センサ自体が空間内の位置を判定するか、またはセンサがセンサの位置を判定するために外部プロセッサに電気信号を提供するかに関係なく、本明細書では「追跡センサ」と呼ばれる。一例では、電子部品324は場発生器からの電磁場に応答して電気信号(例えば、電流)を提供する導電性コイルを含む5または6DOF追跡センサである。
【0015】
各電子部品324は、存在する場合、
図4に示すように、コアワイヤ110に沿って所定の取り付け領域426に取り付けることができる。所定の取り付け領域426は、
図4Aの断面概略図に示されるように、コアワイヤ110の縮小された直径および/または少なくとも部分的に平坦化された部分であり得る。例えば、電子部品324がコアワイヤ110に接着または他の方法で取り付けられる場合、コアワイヤ110が比較的平坦な「プラトー」部分428を有する(すなわち、「平らな」)ことは、コアワイヤ110の湾曲した外周に接する実質的に平面の電子部品324を配置することと比較して、接着を補助することができる。任意の所望の量の平坦なプラトー部分428を含む1つ以上の所定の取り付け領域426は、コアワイヤ110に沿った任意の所望の位置に配置することができ、必須ではないが、他の所定の取り付け領域とコアワイヤ110の周囲の周りに半径方向に整列してもよい。いくつかの使用環境では、選択された所定の取り付け領域426に電子部品324は一時的または永続的に存在しない場合があり、または選択された電子部品324は、ガイドワイヤ100の異なる実装のために異なる所定の取り付け領域426に配置されてもよい。他の例では、電子部品324は、チューブ本体102の内部側壁に取り付けられるか、またはコアワイヤ110とチューブ本体との間に取り付けられるなど、チューブ内腔104内の他の位置に取り付けられてもよい。
【0016】
図5~
図6に示すように、少なくとも1つの信号ワイヤ628(2つが示されている)は、電子部品324との間で通信および/または電力信号を搬送するために提供され得る。各信号ワイヤ628は、電子部品324と電気的に結合された遠位信号ワイヤ部と、近位コアワイヤ端部112に隣接して配置された近位信号ワイヤ部530とを有する。近位信号ワイヤ部530は、チューブ内腔104の内側および外側に同時に横方向に部分を有するU字形接続部632を含む。「横」方向は、本明細書では、ガイドワイヤ100の縦軸の中心軸に向かう方向および中心軸から離れる方向を指すために使用される。近位信号ワイヤ部530の終端部634は、
図6に示されるように、チューブ本体102の外面に取り付けられる。各信号ワイヤ628の長さは、その長さに沿った絶縁材料(例えば、プラスチックまたはゴム状ポリマー)の被覆を含んでもよい
【0017】
別の言い方をすれば、信号ワイヤ628は、コアワイヤ110とチューブ内腔104の内壁との間の空間で電子部品324から近位に延びる。信号ワイヤ628は、環状空間内で自由に浮いていてもよく、または1つ以上の隣接する構造に(例えば、コアワイヤまたは内部側壁に)接続されていてもよい。一例では、信号ワイヤ628は、その長さに沿って螺旋状またはスパイラル状に巻かれるなど、コアワイヤの周りに巻かれる。近位信号ワイヤ部530が近位本体端部106に到達すると、信号ワイヤ628は、
図6に示すように、チューブ内腔104から周囲空間まで「巻き付けられ」、近位本体端部106の最も近位の面の周りで「ヘアピン」ターンを行う。
【0018】
次に、近位信号ワイヤ部530の終端部634は、導電性カラー536によってチューブ本体102の外面に対して圧縮され得る。圧縮は、近位信号ワイヤ部530を所定の位置に機械的に維持することを意図した「圧着」であり得、または機械的接続よりも電気的接続であり得る。導電性カラー536は、チューブ本体102の円周の一部または全部の周りに延びることができ、銅、銀、鋼、または任意の他の所望の導電性材料で少なくとも部分的に構成することができるが、導電性カラー536の少なくとも一部は、ほとんどの使用環境に対して導電性である。
【0019】
図5に示すように、複数の導電性カラー536を設けることができ、各導電性カラー536は、それぞれの信号ワイヤ628との信号通信のために関連付けられる。選択された導電性カラー536に信号を誤って伝達しないように、付近の他の信号ワイヤ(その選択された導電性カラー536の下を別の導電性カラー536に向かって通過するものなど)を絶縁することができる。例えば、各信号ワイヤ628は、電子部品324および導電性カラー536の両方と同時に電気的に接続するために、それぞれの端部で(例えば、剥離によって)その絶縁カバーから解放されてもよい。
【0020】
別の例では、電子部品324は、外部デバイスまたはシステムと通信するためのワイヤレス送信機、受信機、または送受信機を含むことができる。そのような実装では、少なくとも1つの信号ワイヤが構造から省略され得る。
【0021】
特に
図6に示されるようなさらなる例では、少なくとも1つの絶縁スペーサ642が、隣接する導電性カラー536の間、または単一の導電性カラー536に隣接して提供され得る。隣接する導電性カラー536間の電気的絶縁を提供することに加えて、スペーサは、より大きな直径の導電性カラー536が周期的に存在するために、階段状の外形を有する代わりに、実質的に一定の外形をガイドワイヤ100に提示することもできる。絶縁スペーサ642は、存在する場合、チューブ内腔104の外側に位置する近位信号ワイヤ部530の領域を保護するのにも役立ち得る。ガイドワイヤ100の外面は、特定の使用環境に必要な任意のコーティング(例えば潤滑性コーティング)および/または外部シース構成要素を含み得ることも考えられる。
【0022】
特定の使用環境に適したガイドワイヤに提供される任意の所望のシール、ガスケット、コネクタ、および/または他の構成要素も存在し得、例えば、耐久性手頃な価格、滅菌可能性、製造の容易さ、および/または任意の他の所望の要因またはそれらの組み合わせを考慮して、当業者によって容易に提供され得る。
【0023】
導電性カラー536は、任意の所望の理由のために任意の所望の構成を使用して、近位信号ワイヤ部530と、638で概略的に示される外部ガイドワイヤ制御システムとの間で電気信号を選択的に伝達するように構成される。例えば、640で概略的に示されるシステムコネクタは、システムコネクタ640に対する導電性カラー536(したがって、ガイドワイヤ100の残りの構成要素)の回転を可能にするために、「スリップリング」タイプの方法で使用され得る。このスリップリング動作は、ガイドワイヤ100の操作中に遭遇する通常の回転運動中の電子部品324との信号通信の損失を回避するのに役立ち得る。
【0024】
一例として、システムコネクタ640は、信号ワイヤ628を外部デバイスに電気的に接続するためのインタフェースを提供する。部品がセンサである例では、外部デバイスは、センサからの信号を増幅およびデジタル化するように構成された回路を含むことができる。増幅されデジタル化された信号は、デバイスから、アプリケーション要件に従って信号を処理するように構成された制御ユニットに伝達されてもよい。一例では、制御ユニットは、電磁場発生装置からコイルセンサに誘導された信号に基づいてコイルセンサの位置および向きを計算し、計算されたデータを追加処理のためにコンピュータに提供するように構成される。他の例では、他のタイプとは異なるタイプの信号処理および分析が、外部の電子機器およびコンピューティングシステムによって実装され得る。
【0025】
図7は、上で説明され、一般的に
図6に示される構成の例示的な実装を概略的に示す。
図7では、
図1~
図6のガイドワイヤ100が、手術ナビゲーションシステム744に組み込まれたものとして示されている。
図7では、外部通信デバイス(前述の外部デバイス、制御ユニット、および/またはガイドワイヤ制御システム638を組み込み、および/または関連付けることができる)が、746で概略的に示されている。外部通信デバイスは、電子部品324と通信する。一例では、通信デバイスは、「稲妻」記号によって表されるように、少なくとも1つの電子部品324(例えば、追跡センサ)と無線で通信する。別の例では、環状コネクタ640、例えばスリップリングを上記のように追加または代わりに使用して、
図7においてそれらの間の破線によって表されているように、外部通信デバイス746と少なくとも1つの電子部品324との間のそれぞれの通信リンクを介して任意の所望のタイプの信号を通過させることができる。他の例では、各電子部品324と外部通信デバイス746との間の通信は、物理リンク(例えば、導電性または光リンク)を介して行うことができる。
【0026】
さらなる例として、ナビゲーションシステム744は、米国特許出願公開第2014/0276002号に開示されたナビゲーションシステムと同様に実施され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、ナビゲーションシステム744は、電磁場を提供する場発生器を含む追跡システムとして実施される通信デバイス746を含む。追跡システムは、本明細書で説明するように、通信リンク(例えば、物理的または無線リンク)を介して電子部品(例えば、追跡センサ)324に結合される。一例では、追跡システム746は、ガイドワイヤ100の1つ以上の導電性カラー536に電気的に結合されて、場発生器によって生成された電磁場に応答する追跡センサからの電気信号(例えば、電流)を受信する。別の例では、追跡システムは、追跡システムによって感知される場を生成する信号を、通信リンクを介して追跡センサに提供することができる。追跡システム746は、追跡センサからの電気信号に応答して、追跡システムの3次元座標系における追跡センサの位置および向きを決定するように構成される。
【0027】
したがって、ナビゲーションシステム744は、患者の解剖学的形状(例えば、主要な血管などの患者の脈管構造の形状を含む)およびガイドワイヤ100の1つ以上の3次元ユーザー認識可能仮想表示をリアルタイムで生成して、患者の解剖学的構造に対するガイドワイヤ100の手術中の位置決めを容易にすることができる。ガイドワイヤ100は、ナビゲーションシステム746のディスプレイ上で追跡および視覚化されている物体の例に対応する。
【0028】
例えば、ガイドワイヤ100は、上で援用された米国特許出願公開第2014/0276002号に開示されているような術中の位置決めを可能にするシステムと組み合わせて利用されてもよい。ガイドワイヤ100は、3次元空間におけるセンサおよびガイドワイヤの位置および向きを追跡し、任意の方法で、ユーザー認識可能形式で1つ以上の出力視覚化を生成するために使用される電磁部品324(例えば、追跡センサ)を含み得る。
【0029】
一例では、外部通信デバイス746は、センサ信号を受信するために追跡センサ(すなわち、電子部品324)と電気的に結合されてもよく、手術ナビゲーションシステム744は、センサ信号に応答して追跡センサの位置および向きのうちの少なくとも1つのユーザー認識可能インジケーションを生成する。
【0030】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことができる。本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定することができるが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、部品、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0031】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙項目の1つ以上の任意およびすべての組み合わせを含むことができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「XーY」、「XとYの間」および「約XとYの間」などの語句および/または図面ラベルは、XおよびYを含むと解釈することができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「約XとYの間」などの語句および/または図面ラベルは、「約Xと約Yの間」を意味し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「約XからYまで」などの語句および/または図面ラベルは、「約Xから約Yまで」を意味し得る。
【0035】
ある要素が別の要素に対して「上にある」、「取り付けられている」、「接続されている」、「結合されている」、「接触している」「隣接している」などと呼ばれる場合、それは、他の要素または介在要素に対して、直接的に、上にあり、取り付けられ、接続され、結合され、または隣接している場合が存在し得ることができることが理解されよう。対照的に、要素が、例えば、別の要素に対して「直接上にある」、「直接取り付けられている」、「直接接続されている」、「直接結合されている」、または「直接接触している」、「直接隣接している」などと呼ばれる場合、介在要素は存在しない。他の特徴に「直接隣接して」配置される構造、または特徴への参照が、隣接する特徴と重なり合うか、またはその下にある部分を有し得るが、他の特徴に「隣接して」配置される構造、または特徴は、隣接する特徴と重なるか、またはその下にある部分を有していない可能性があることも、当業者には明らかであろう。
【0036】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」、「近接(proximal)」、「遠位(distal)」などの空間的に相対的な用語は、図に示されている、別の要素(複数可)、または特徴(複数可)に対する、1つの要素、または特徴の関係を記載するように、記載を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中、または動作中のデバイスの異なる向きを包含することができることが、理解されよう。例えば、図中の装置が逆さにされた場合、他の要素または特徴の「下(under)」または「下(beneath)」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上(over)」に配向されることになる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「XおよびYのうちの少なくとも1つ」という語句は、X、Y、またはXとYの組み合わせを含むと解釈することができる。要素がXおよびYの少なくとも1つを有すると説明される場合、要素は、特定の時点で、X、Y、またはXとYの組み合わせを含む場合があり、その選択は時々変化する可能性がある。対照的に、「Xの少なくとも1つ」という語句は、1つ以上のXを含むと解釈できる。
【0038】
様々な要素を説明するように、本明細書では「第1の」、「第2の」などの用語が使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する「第1の」要素は、本開示の教示から逸脱することなく「第2の」要素と呼ばれることもできる。動作(またはステップ)の順序は、特に明記されていない限り、特許請求の範囲、または図に提示される順序に限定されない。
【0039】
この開示の態様は、上記の例示的な実施形態を参照して特に示され説明されてきたが、様々な追加の態様が企図され得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、装置を使用するための上記の特定の方法は単なる例示であり、当業者は、上記の装置、またはその部品を、本明細書に示され、説明されるものと実質的に同様の位置に置くための任意の数のツール、一連のステップ、または他の手段/オプションを容易に決定することができる。図面を明瞭に保つために、示されている重複する構成要素の特定のものには具体的に番号が付けられていないが、当業者は、番号が付けられた構成要素に基づいて、構成要素に関連付けられるべき要素番号を理解するであろう。番号のない部品、図中の要素番号の存在または不在のみによって、同様の構成要素間の区別が意図または暗示されることはない。記載されている構造、および構成要素はいずれも、任意の適切なストック、または特注の構成要素、および/または任意の適切な材料、または材料の組み合わせを伴う、これらの構成のいずれかで、単一の単体部品、もしくはモノリシック部品として一体的に形成されるか、または別々の副構成要素で構成されることができるが、選択された材料(複数可)は、多くの用途で生体適合性であるものとする。記載された構造、および部品のいずれも、特定の使用環境で所望されるように、使い捨て、または再利用可能であり得る。任意の部品は、その部品に関係する材料、構成、少なくとも1つの寸法などを示すように、ユーザー認識可能なマーキングで提供されことができ、ユーザー認識可能なマーキングは、特定の使用環境のためにユーザーが類似の部品の配列から1つの部品を選択することを潜在的に支援する。「所定の」状態は、操作されている構造が実際にその状態に到達する前の任意の時点で決定され得、「事前決定」は、構造が所定の状態に達する直前に行われる。「実質的に」という用語は、本明細書では、指定されたものであるが必ずしも完全ではない品質を示すために使用され、「実質的な」品質は、品質が劣っているアイテムの比較的小さな包含の可能性を認めている。本明細書に記載の特定の部品が、特定の幾何学的形状を有するものとして示されているが、本開示のすべての構造は、特定の用途に望ましい任意の適切な形状、サイズ、構成、相対関係、断面積、または任意の他の物理的特性を有し得る。一態様または構成を参照して記載される任意の構造または特徴は、他のすべての態様、および構成に関して説明したすべてのオプションを有するものとして、本明細書で論じられる態様および構成のそれぞれを記載することは非現実的であるため、単独で、または他の構造もしくは特徴と組み合わせて、他の任意の態様または構成に提供され得る。これらの特徴のいずれかを組み込んだデバイスまたは方法は、以下の特許請求の範囲、およびその均等物に基づいて決定されるように、本開示の範囲に含まれると理解されるべきである。
【0040】
他の態様、目的、および利点は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から取得されることができる。