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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】タッチパネル操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240820BHJP
   G06F 3/04886 20220101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F3/041 560
G06F3/04886
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023202952
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2024-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500375992
【氏名又は名称】株式会社テクナート
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗塚 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 幸一
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 友裕
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特許第6342105(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/174092(WO,A1)
【文献】特開2014-203348(JP,A)
【文献】特開2015-075796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0326998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部と、
前記物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部と、
前記入力検知部により前記物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部と
を備え
前記物理操作部が、複数のプッシュスイッチを有するボタンパネルを有し、
前記入力検知部が、前記ボタンパネルへの圧力を検出する圧力センサを有する
ことを特徴とするタッチパネル操作装置。
【請求項2】
前記プッシュスイッチが、該プッシュスイッチへの入力操作が行われる方向に弾性変形する弾性変形部を有する
ことを特徴とする請求項に記載のタッチパネル操作装置。
【請求項3】
複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部と、
前記物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部と、
前記入力検知部により前記物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部と
を備え
前記物理操作部が、初期位置である第1位置と、該第1位置よりもタッチパネルの表面に近い第2位置の間で移動するように構成された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、光源と、該光源から発せられる光を受光する受光部とを有し、該光源から該受光部に至る光路上に、前記第2位置にある前記複数のプッシュスイッチが位置するように構成された光センサを有する
ことを特徴とするタッチパネル操作装置。
【請求項4】
複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部と、
前記物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部と、
前記入力検知部により前記物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部と
を備え
前記物理操作部が、それぞれに永久磁石が内蔵された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、前記永久磁石の変位に応じた電圧を出力する磁気センサを有する
ことを特徴とするタッチパネル操作装置。
【請求項5】
前記複数のプッシュスイッチのそれぞれに、当該プッシュスイッチに内蔵された永久磁石の変位に応じた電圧を出力する磁気センサが設けられている
ことを特徴とする、請求項に記載のタッチパネル操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルにプッシュスイッチなどの物理操作部を組み合わせたタッチパネル操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末などに広くタッチパネルが用いられている。これらに用いられるタッチパネルは、例えば、表示画面上に電極層やカバー層を積層したものであり、ユーザが指を接触させたり近づけたりしたときに電極層において生じる静電容量の変化に基づいてユーザの入力操作を検出する。
【0003】
タッチパネルは、パネル上で様々なタッチ領域(入力ボタン)を自在に配置することができるため、入力装置の構成の自由度が高いというメリットを有する。一方、複数のタッチ領域が密接している場合には、誤って隣のタッチ領域を操作してしまうということがある。また、タッチ操作によって操作対象に直ちに何らかの変化が生じない場合、ユーザとしてはタッチ操作が入力されたか(受け入れられたか)否かの確信が持てない。運転中に車載機器を操作する場合や、工場において産業機器の制御を行ったりする場合、これらが危険な帰結に至る可能性もある。そこで、ユーザがタッチパネルの画面を視認しなくとも確実な操作をすることができるように、プッシュスイッチを押したりダイヤルを回したりするなどの物理的な操作によって入力操作を行うことが可能なタッチパネルが望まれる。
【0004】
特許文献1には、静電容量の変化に基づいて入力操作を検出するタッチパネルの表面に、プッシュスイッチとダイヤルを配置した操作デバイスが記載されている。この操作デバイスでは、タッチパネルの表面に、ダイヤルが取り付けられたダイヤル領域と、プッシュスイッチが取り付けられたプッシュスイッチ領域と、ダイヤルとプッシュスイッチのいずれも取り付けられていないタッチ領域とが設けられており、タッチ領域、ダイヤル領域、及びプッシュスイッチ領域のタッチパネルについて、それぞれに異なる感度が設定されている。具体的には、ダイヤル領域、及びプッシュスイッチ領域のそれぞれに異なる増幅率が設定されており、各領域で検出された静電容量の変化量に当該領域に設定された増幅率を乗じた値が予め決められた閾値を超えたことに基づいて、各領域におけるユーザの入力操作を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7161083号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の操作デバイスでは、プッシュスイッチなどの物理操作部が設けられた領域と、物理操作部が設けられていない領域(タッチ領域)のそれぞれに異なる感度(増幅率)を設定する必要があるが、複数の領域のそれぞれに感度を設定する作業には手間がかかる。また、各領域に適切な感度を設定することも容易ではない。例えば、感度(増幅率)が高すぎると、何らかの要因でわずかな静電容量の変化が生じただけで、ユーザが入力操作を行っていないにもかかわらず、入力操作が行われたと誤検出されてしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、タッチパネルと物理操作部を組み合わせたタッチパネル操作装置において、手間がかかる作業を必要とすることなく誤検出を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係るタッチパネル操作装置は、
複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部と、
前記物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部と、
前記入力検知部により前記物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るタッチパネル操作装置は、静電容量式タッチパネルの表面に設けられた物理操作部に対する入力操作をタッチパネルの静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部を備えている。本発明に係るタッチパネル操作装置では、入力検知部により物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、判定部が、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出されたタッチパネル内の位置(即ち、素領域の位置)を特定し、その位置(前記「一部領域」)に設けられた物理操作部に対して入力操作が行われたと判定する。本発明に係るタッチパネル操作装置では、入力検知部によって物理操作部に対する入力操作が検知されない限り、何らかの要因でタッチパネルに意図しない静電容量の変化が生じても、その静電容量の変化に基づく誤検出が生じることがない。また、タッチパネルの表面に、物理操作部を配置した領域と、物理操作部を配置しない領域(タッチパネルに直接触れる等の入力操作を行う領域)を設ける場合でも、それらに異なる静電容量の閾値を設定する必要はない。
【0010】
本発明に係るタッチパネル操作装置では、例えば、
前記物理操作部が、複数のプッシュスイッチを有するボタンパネルを有し、
前記入力検知部が、前記ボタンパネルへの圧力を検出する圧力センサを有する
構成とすることができる。
【0011】
上記態様のタッチパネル操作装置では、ボタンパネルへの圧力を圧力センサで検出することによって、ユーザがボタンパネルのいずれかのプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【0012】
また、本発明に係るタッチパネル操作装置では、例えば、
前記物理操作部が、初期位置である第1位置と、該第1位置よりもタッチパネルの表面に近い第2位置の間で移動するように構成された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、光源と、該光源から発せられる光を受光する受光部とを有し、該光源から該受光部に至る光路上に、前記第2位置にある前記複数のプッシュスイッチが位置するように構成された光センサを有する
構成とすることができる。
【0013】
上記態様のタッチパネル操作装置では、第2位置にあるプッシュスイッチによって光源から発せられる光が遮断されたことを光センサで検出することによって、ユーザがいずれかのプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【0014】
さらに、本発明に係るタッチパネル操作装置における前記入力検知部は、例えば、
前記物理操作部が、永久磁石が内蔵された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、前記永久磁石の変位に応じた電圧を出力する磁気センサ(例えばホール素子)を有する
構成とすることができる。
【0015】
上記態様のタッチパネル操作装置では、プッシュスイッチに内蔵された永久磁石の変位に伴って磁気センサから出力される電圧が変化したことを検出することによって、ユーザがプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタッチパネル操作装置を用いることにより、手間がかかる作業を必要とすることなく、タッチパネルと物理操作部を組み合わせたタッチパネル操作装置における誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るタッチパネル操作装置の第1実施形態の本体部の構成を説明する図。
図2】第1実施形態~第3実施形態のタッチパネル操作装置の制御・処理部の構成を説明する図。
図3】本発明に係るタッチパネル操作装置の第2実施形態の本体部の構成を説明する図。
図4】第2実施形態のタッチパネル操作装置においてプッシュスイッチへの入力操作を行う前の状態を示す図。
図5】第2実施形態のタッチパネル操作装置においてプッシュスイッチへの入力操作を行った状態を示す図。
図6】本発明に係るタッチパネル操作装置の第3実施形態の本体部の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るタッチパネル操作装置の実施形態について、以下、図面を参照して説明する。なお、以下の各図では、各部を分かりやすく示すために、適宜、実際の縮尺から変更して図示している。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態のタッチパネル操作装置1は本体部10と、制御・処理部40を備えている。このタッチパネル操作装置1は、例えば、車両に搭載されたオーディオ装置を制御するために用いられる。
【0020】
図1に、第1実施形態のタッチパネル操作装置1の本体部10の要部構成を示す。図1には、本体部10の平面図のほか、A-A’断面図(下側)、及びB-B’断面図(右側)を示している。また、A-A’断面のうち、破線で囲まれた部分の部分拡大図を示している。
【0021】
本体部10は、LCDモジュール11の表面にタッチパネル12とボタンパネル13を順に積層した構造を有している。LCDモジュール11とタッチパネル12の間、及びタッチパネル12とボタンパネル13の間にはそれぞれ、枠状のスペーサ部材(ガスケット)14が配置されている。また、タッチパネル12とボタンパネル13の間に配置されたスペーサ部材14の内側には、圧力センサ15が配置されている。あるいは、LCDモジュール11とタッチパネル12の間に配置されたスペーサ部材14の内側に圧力センサ15を配置してもよい。
【0022】
LCDモジュール11は、タッチパネル操作装置1において各種の情報(後記する各プッシュスイッチの操作により実行される機能の情報など)を表示するものである。タッチパネル12は、その表面に二次元的に設けられた複数の素領域のそれぞれにおける静電容量の変化を検出するものであり、少なくとも可視光領域において透明な材料で構成されている。
【0023】
タッチパネル12の表面には、ユーザがタッチパネル12の表面に指を接触させる(あるいは該表面に指を近づける)ことにより入力操作を行うタッチ領域121と、ユーザが物理操作部を操作することにより入力操作を行う物理操作領域122が設けられている。物理操作領域122には、さらに、プッシュスイッチ21~25が配置される領域に対応するプッシュスイッチ領域1221と、ダイヤル31が配置される領域に対応するダイヤル領域1222が設けられている。
【0024】
ボタンパネル13は、タッチパネル12の表面の物理操作領域122に配置される板状の部材である。ボタンパネル13には、プッシュスイッチ21~25やダイヤル31といった物理操作部が配置される。
【0025】
プッシュスイッチ21~25はそれぞれ、ボタンパネル13に固定された弾性変形部26と、該弾性変形部26の上方(ボタンパネル13と反対の側)に設けられた操作部27で構成されており、ユーザが操作部27を押す操作を行うと弾性変形部26が収縮し(図1のA-A’断面におけるプッシュスイッチ21参照)、ユーザが操作部27から手を離すと弾性変形部26が復元する(図1のA-A’断面におけるプッシュスイッチ22~25参照)。弾性変形部26は、例えば、ばねを含んだものとすることができる。これにより、ユーザはプッシュスイッチ21~25を操作する際に操作感(プッシュスイッチを押した感覚)を得ることができる。
【0026】
ダイヤル31は、ボタンパネル13に固定された固定部311と、該固定部311の上部及び側部を覆うように回転自在に設けられ回転部312を有している。また、回転部の312の底部(ボタンパネル13の近傍)には該回転部312の回転軸に対して対称な2箇所に導電性チップ313が埋め込まれている。なお、導電性チップ313は、該導電性チップ313が移動することによりタッチパネル12のダイヤル領域1222内の素領域に静電容量の変化を生じさせるものであればよい。また、導電性チップ313の数は1個であってもよく、あるいは3個以上であってもよい。
【0027】
ボタンパネル13、プッシュスイッチ21~25、及びダイヤル31も、少なくとも可視光領域において透明な材料(例えば透明樹脂材料)で構成されている。これにより、LCDモジュール11の表示内容(例えば、図1においてプッシュスイッチ21~25による操作内容を示す図柄)を、タッチパネル12、ボタンパネル13、プッシュスイッチ21~25、及びダイヤル31を介してユーザが視認することができる。この点は後記する第2実施形態のタッチパネル操作装置5及び第3実施形態のタッチパネル操作装置6においても同様である。
【0028】
スペーサ部材14は、LCDモジュール11、タッチパネル12、及びボタンパネル13を離間させて保持するとともに、外部からの埃等の進入を防止するものである。
【0029】
圧力センサ15は、ボタンパネル13に設けられたプッシュスイッチ21~25に対するユーザの入力操作(プッシュスイッチ21~25を押す操作)に伴ってボタンパネル13に加えられる圧力を検出するものである。圧力センサ15には、従来知られている種々のもの(例えば、ピエゾ素子などの圧電素子を有し該圧電素子に力が加えられた時に電圧を出力するものや、圧力変化によって変形した物質の静電容量の変化によって圧力を測定するもの)を用いることができる。図1の例では、A-A’断面の位置に左右1個ずつ、合計2個の圧力センサ15を配置しているが、圧力センサ15は、A-A’断面の位置に1個だけ配置してもよく、あるいは3個以上配置してもよい。また、枠状の圧力センサ15を1個配置してもよい。
【0030】
制御・処理部40は、本体部10に内蔵されたもの、あるいは本体部10の外に設けられ該本体部10に接続されたものであり、ユーザの入力操作に応じて、タッチパネル操作装置1に接続された外部機器(例えばオーディオ装置)の動作を制御する。
【0031】
図2に示すように、制御・処理部40は、記憶部41を備えている。記憶部41には、LCDモジュール11に表示する内容及びその表示位置の情報が保存されている。また、記憶部41には、プッシュスイッチ21~25とダイヤル31のそれぞれについて、タッチパネル12の表面における二次元位置(プッシュスイッチ21~25及びダイヤル31が設けられている位置に対応するタッチパネル12の複数の素領域の位置)の情報、タッチ領域121、プッシュスイッチ21~25、及びダイヤル31へのユーザの入力操作を検出する基準(入力操作が行われたと判定する閾値)の情報、各部への入力操作に対して実行すべき処理の内容などの情報が保存されている。プッシュスイッチ21~25のそれぞれが設けられた位置に対応するタッチパネル12の複数の素領域は、本発明における一部領域に相当する。
【0032】
タッチ領域121へのユーザの入力操作は、タッチパネル12の素領域における静電容量の変化が、記憶部41に保存されている閾値を超えたことに基づいて、該静電容量の変化が生じた素領域に表示されているタッチ領域(画面表示された入力ボタン)への入力操作として検知される。
【0033】
プッシュスイッチ21~25(プッシュスイッチ領域1221)への入力操作は、ボタンパネル13に対して力が加えられたことを圧力センサ15が検出したことに基づいて検知される。ただし、この時点ではどのプッシュスイッチ21~25に対する入力操作が行われたかは特定されず、プッシュスイッチ21~25のいずれかに対する入力操作が行われたものとして検知される。圧力センサ15がボタンパネル13への圧力を検知すると、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の複数の素領域(より具体的にはプッシュスイッチ21~25がそれぞれ配置された一部領域に含まれる複数の素領域)における静電容量の変化を確認し、静電容量の変化が生じた素領域の位置を特定する。そして、特定された素領域の位置に基づいて、入力操作が行われたプッシュスイッチ21~25を特定する。
【0034】
ダイヤル31(ダイヤル領域1222)への入力操作は、該入力操作に伴ってダイヤル31に内蔵された導電性チップ313が移動したことに応じて静電容量の変化が生じた素領域の位置が円弧を描くように変化したことに基づいて、時計回りの回転操作、又は反時計回りの回転操作として検知される。第1実施形態のタッチパネル操作装置1では、素領域における静電容量の変化を検出する閾値を、タッチ領域121、プッシュスイッチ領域1221、及びダイヤル領域1222に共通の値とすることができる。
【0035】
制御・処理部40は、また、機能ブロックとして、表示制御部42、入力判定部43、及び機器制御実行部44を備えている。表示制御部42は、LCDモジュール11の画面に予め記憶部41に保存された情報を表示し、また、ユーザの入力操作が画面表示の変更を指示するものである場合に、LCDモジュール11の画面表示をその指示に応じた内容に変更する。入力判定部43は、タッチパネル12から出力される静電容量の変化及び圧力センサ15からの出力信号に基づいて、ユーザによる各部への入力操作を検知する。機器制御実行部44は、タッチパネル操作装置1に接続された外部機器に対する各種の制御を実行する。表示制御部42、入力判定部43、及び機器制御実行部44は、制御・処理部40に予めインストールされた専用の制御・処理プログラム45をプロセッサで実行することにより具現化される。
【0036】
次に、第1実施形態のタッチパネル操作装置1の動作例を説明する。
【0037】
ユーザがタッチパネル装置1の電源を投入する(イグニッションキーシリンダーに鍵を挿入して回転させる等の操作に連動してタッチパネル操作装置1の電源が投入される場合を含む。)と、表示制御部42は、LCDモジュール11のタッチ領域121に対応する領域に、予め記憶部41に保存された情報に基づいて初期画面を表示する。ここでは、初期画面の一例として、オーディオ装置にセットされているメディアに保存された楽曲の名称及びアーティスト名を含むオーディオ制御画面と、表示画面をオーディオ制御画面から地図ナビゲーション画面に変更するボタンとをタッチ領域121に表示する。また、LCDモジュール11は、プッシュスイッチ領域1221のうち、プッシュスイッチ21~25が配置される領域に、図1に示すような図柄を表示する。
【0038】
入力判定部43は、タッチパネル12と圧力センサ15からの出力信号を、所定の時間間隔(例えば60回/秒)で受信し、記憶部41に保存するとともに、それらの値に基づいて、タッチパネル12のタッチ領域121及びダイヤル領域1222に含まれる素領域のいずれかにおいて閾値を超える静電容量の変化が生じたか否か、また、圧力センサ15によりボタンパネル13への押圧が検知されたか否かを判定する。
【0039】
ユーザがタッチ領域121のうち、表示切替ボタンが表示された部分への入力操作(指を表面に接触させる等の操作)を行うと、ユーザの指が接触したことに伴って表示切替ボタンが表示されている素領域において静電容量の変化が生じる。入力判定部43は、この静電容量の変化が、記憶部41に保存されている閾値を超えるものである場合に、表示切替ボタンに対するユーザの入力操作が行われたものと検知する。これを受けて、表示制御部42は、ユーザが入力操作を行った位置(素領域)に表示された入力ボタンに対応する動作(例えば、LCDモジュール11の表示画面をオーディオ制御画面から地図ナビゲーション画面に変更する動作)を実行する。ユーザが入力操作を行った入力ボタンが、外部機器の制御を指示するものである場合は、機器制御実行部44がその指示に基づいて外部機器の動作を制御する。
【0040】
ユーザがプッシュスイッチ21~25のいずれかへの入力操作(プッシュスイッチ21~25のいずれかを押す操作)を行うと、プッシュスイッチ21~25の弾性変形部26が収縮し、これと同時にボタンパネル13も押圧される。すると、圧力センサ15によって、ボタンパネル13が押圧されたことを示す信号(例えば電圧)が出力される。入力判定部43は、圧力センサ15から出力される信号が記憶部41に保存されている閾値を超えているかを判定し、その信号が閾値を超えている場合には、プッシュスイッチ21~25のいずれかへの入力操作が行われたと判定する。また、入力判定部43は、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域における静電容量の変化を確認し、いずれかの素領域において記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があったか否かを判定する。入力判定部43は、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域において、記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があった場合には、その素領域を特定し、特定した素領域に基づいて、ユーザの入力操作が行われたプッシュスイッチ21~25を特定する。
【0041】
本実施形態のタッチパネル操作装置1では、入力判定部43によってプッシュスイッチ21へ入力操作(プッシュスイッチ21を押す操作)が検知されると、機器制御実行部44は、オーディオ装置に挿入されているメディアを取り出す動作を実行する。入力判定部43によってプッシュスイッチ22への入力操作が検知されると、機器制御実行部44は、挿入されているメディアを逆再生(巻き戻し)する動作を実行する。入力判定部43によってプッシュスイッチ23への入力操作が検知されると、機器制御実行部44は、挿入されているメディアの再生を一時停止する動作を実行する。入力判定部43によってプッシュスイッチ24への入力操作が検知されると、機器制御実行部44は、挿入されているメディアを高速再生(早送り)する動作を実行する。入力判定部43によってプッシュスイッチ25への入力操作が検知されると、機器制御実行部44は、オーディオの電源をON/OFFする動作を実行する。
【0042】
ユーザがダイヤル31を回転させる操作を行うと、ダイヤル31に内蔵されている導電性チップ313が変位し、これに伴ってダイヤル領域1222に対応する複数の素領域において静電容量の変化が生じる。入力判定部は、この静電容量の変化が、予め記憶部41に保存された閾値を超えるものである場合に、ダイヤル31に対する入力操作が行われたことを検知し、また、閾値の変化が生じた素領域が時系列で時計回りに移動しているか、反時計回りに移動しているかに応じて、ダイヤル31に対する入力操作の回転方向を決定し、さらに、その回転量を決定する。機器制御実行部44は、入力判定部43による判定結果に基づいて、オーディオ装置の音量を増減する動作を実行する。
【0043】
従来の装置では、プッシュスイッチに対する入力操作を、タッチパネルにおける静電容量の変化のみに基づいて検知していたため、外乱が生じやすい環境で使用するとユーザが入力操作を行っていないにもかかわらず、入力操作を行ったと誤検出されてしまうことがあった。また、特許文献1に記載のように、物理操作部としてのプッシュスイッチなどが設けられた領域と、物理操作部が設けられていない領域(タッチ領域)のそれぞれに異なる感度(増幅率)を設定する場合には、複数の領域のそれぞれに感度を設定する作業には手間がかかり、また、各領域に適切な感度を設定することも容易ではなかった。例えば、感度(増幅率)が高すぎると、何らかの要因でわずかな静電容量の変化が生じただけで、ユーザが入力操作を行っていないにもかかわらず、入力操作を行ったと誤検出されてしまう。
【0044】
これに対し、第1実施形態のタッチパネル操作装置1では、プッシュスイッチ21~25に対する入力操作を、圧力センサ15からの出力信号とタッチパネル12の素領域における静電容量の変化の両方に基づいて検知する。そのため、何らかの要因でタッチパネル12に意図しない静電容量の変化が生じても、圧力センサ15からの出力信号が記憶部41に保存された閾値を超えない限り、静電容量の変化に基づく誤検出が生じることがない。また、第1実施形態のタッチパネル操作装置1では、タッチパネル12のタッチ領域121と物理操作領域122(プッシュスイッチ領域1221及びダイヤル領域1222)に異なる静電容量の閾値を設定する必要はない。ただし、第1実施形態のタッチパネル操作装置1において、各領域に異なる静電容量の閾値を設定することを排除するものではない。
【0045】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のタッチパネル操作装置5について説明する。第1実施形態のタッチパネル操作装置1と共通の構成要素については同一の符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0046】
図3に、第2実施形態のタッチパネル操作装置5の本体部50の要部構成を示す。図3には、本体部50の平面図のほか、A-A’断面図(下側)、及びB-B’断面図(右側)を示す。また、A-A’断面のうち、破線で囲まれた部分の部分拡大図を示している。
【0047】
第1実施形態では、板状のボタンパネル13の上に、プッシュスイッチ21~25を配置していたが、第2実施形態では、ボタンパネル53のうち、プッシュスイッチ521~525が配置される位置には貫通孔が形成されており、各プッシュスイッチ521~525は、ボタンパネル53の上部位置(第1位置)と下方位置(第2位置)の間で移動可能になっている。各プッシュスイッチ521~525の側面の下部と、ボタンパネル13の貫通孔の内周面には、両者を接続するように弾性変形部526(例えばシリコンラバー)が設けられている。弾性変形部526が変形することで、ユーザはプッシュスイッチ521~525を操作する際に操作感(プッシュスイッチを押した感覚)を得ることができる。また、プッシュスイッチ521~525からユーザが手を離すと弾性変形部526の形状が復元し、それによってプッシュスイッチ521~525が元の位置に戻る。
【0048】
また、第1実施形態のタッチパネル操作装置1では、タッチパネル12とボタンパネル13の間に圧力センサ15を配置していたが、第2実施形態のタッチパネル操作装置5では、タッチパネル12とボタンパネル53の間に、所定の波長の光を発する光源551と、該光源551から発せられる光を検出して所定の信号を出力する受光部552を有する光センサ55が配置されている。光源551には、例えばLEDを用いることができる。また、受光部552には、例えばフォトトランジスタを用いることができる。上記所定の波長の光には、プッシュスイッチ21~25を構成する材料(透明樹脂材料など)により遮断(反射、散乱、若しくは吸収)される波長帯域の光が選択される。光源551と受光部552は、平面視して、該光源551から該受光部552に至る光路上にプッシュスイッチ521~525が位置するように配置されている。
【0049】
上記の通り、各プッシュスイッチ521~525は、ボタンパネル53の下方位置、より具体的には上記光路を遮断する位置まで移動可能となっている。図4に示すように、プッシュスイッチ521~525のいずれに対しても入力操作がなされていない場合には、光源551から発せられた光が受光部552で検出され、所定の信号が出力される。一方、プッシュスイッチ521~525のいずれか(図5の例ではプッシュスイッチ524)に対してユーザが入力操作を行うと、入力操作されたプッシュスイッチが下方位置(第2位置)に移動して上記光路を塞ぎ、それによって光源551から受光部552に向かう光が遮断される。
【0050】
第2実施形態のタッチパネル操作装置5では、入力判定部43が、タッチパネル12と受光部552からの出力信号を、所定の時間間隔(例えば60回/秒)で受信して記憶部41に保存する。入力判定部43は、タッチパネル12からの出力信号(タッチ領域121内の素領域及びダイヤル領域1222内の素領域における静電容量の変化を示す信号)に基づいて、タッチパネル12のタッチ領域121及びダイヤル31への入力操作を検知する。また、入力判定部43は、受光部552からの出力信号に基づいて(受光部552から光検出信号の出力が停止したことに基づいて)、いずれかのプッシュスイッチ521~525への入力操作が行われたことを検知する。
【0051】
次に、第2実施形態のタッチパネル操作装置5の動作例を説明する。タッチ領域121への入力操作及びダイヤル31への入力操作については第1実施形態のタッチパネル操作装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
ユーザがプッシュスイッチ521~525のいずれかへの入力操作(プッシュスイッチ521~525のいずれかを押す操作)を行うと、入力操作されたプッシュスイッチ521~525が下方位置(第2位置)に移動して上記光路を塞ぐ。これによって、光源551から発せられた光がそのプッシュスイッチで遮断され、受光部552からの光検出信号が停止する。入力判定部43は、受光部552から出力される光検出信号が記憶部41に保存されている閾値を下回った場合(典型的には光検出信号がゼロになった場合)に、さらに、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域において、記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があったか否かを判定する。入力判定部43は、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域において、記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があった場合には、その素領域を特定し、その素領域の位置に基づいて入力操作が行われたプッシュスイッチ521~525を特定する。
【0053】
このように、第2実施形態のタッチパネル操作装置5では、プッシュスイッチ521~525に対する入力操作を、光センサ55(受光部552)からの出力信号とタッチパネル12の素領域における静電容量の変化の両方に基づいて検知する。そのため、何らかの要因でタッチパネル12に意図しない静電容量の変化が生じても、光センサ55からの出力信号が記憶部41に保存された閾値を下回らない限り、静電容量の変化に基づく誤検出が生じることがない。また、第2実施形態のタッチパネル操作装置5においても、タッチパネル12のタッチ領域121と物理操作領域122(プッシュスイッチ領域1221及びダイヤル領域1222)に異なる静電容量の閾値を設定する必要はない。ただし、第2実施形態のタッチパネル操作装置5においても、各領域に異なる静電容量の閾値を設定することを排除するものではない。
【0054】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態のタッチパネル操作装置6について説明する。第1実施形態のタッチパネル操作装置1や第2実施形態のタッチパネル操作装置5と共通の構成要素については同一の符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0055】
図6に、第3実施形態のタッチパネル操作装置6の本体部60の要部構成を示す。図6には、本体部60の平面図のほか、A-A’断面図(下側)、及びB-B’断面図(右側)を示している。また、A-A’断面のうち、破線で囲まれた部分の部分拡大図を示している。
【0056】
第3実施形態のタッチパネル操作装置6では、第2実施形態のタッチパネル操作装置5と同様に、ボタンパネル63のうち、プッシュスイッチ621~625が配置される位置には貫通孔が形成されており、各プッシュスイッチ621~625は、ボタンパネル63の下方位置まで移動可能になっている。各プッシュスイッチ621~625の底部側面には永久磁石651が内蔵されており、また、ボタンパネル63の貫通孔の内周にも永久磁石653が取り付けられている。ユーザがプッシュスイッチ621~625を押す操作を行うと、プッシュスイッチ621~625に取り付けられた永久磁石651とボタンパネル63に取り付けられた永久磁石653が離間し、プッシュスイッチ621~625が元の位置に戻る方向に磁気的な引力が働く。これにより、ユーザは、操作感(プッシュスイッチを押した感覚)を得ることができ、また、ユーザがプッシュスイッチ621~625から手を離すとそのプッシュスイッチが元の位置に戻る。
【0057】
第1実施形態のタッチパネル操作装置1や第2実施形態のタッチパネル操作装置5では、装置の周縁部に圧力センサ15や光センサ55を配置したが、第3実施形態では、LCDモジュール11の背面側(タッチパネル12と反対の側)に背面部材66が配置されている。背面部材66の、プッシュスイッチ621~625のそれぞれに内蔵されている永久磁石651の下方位置(ボタンパネル13、タッチパネル12、及びLCDモジュール11を挟んだ位置)には、磁気センサ652が収容されている。各磁気センサ65の出力信号はまとめて制御・処理部40に入力される。磁気センサ65には、例えばホール素子を用いることができる。
【0058】
本実施形態では磁気センサ652からの出力信号をまとめて制御・処理部40に入力するが、磁気センサ652からの出力信号を個別に制御・処理部40に入力してもよい。磁気センサ652からの出力信号をまとめて制御・処理部40に入力する構成を採ることにより、入力判定部43で1つの出力信号の値のみを判定すればよく、判定時の負荷を軽減することができる。一方、磁気センサ652からの出力信号を個別に制御・処理部40に入力すると、磁気センサ652からの出力信号の変化を生じさせた永久磁石651を特定し、それに基づいてユーザが操作したプッシュスイッチ621~625を特定することができる。
【0059】
第3実施形態のタッチパネル操作装置6では、入力判定部43は、タッチパネル12と磁気センサ652からの出力信号を、所定の時間間隔(例えば60回/秒)で受信し、記憶部41に保存する。入力判定部43は、タッチパネル12からの出力信号(タッチ領域121内の素領域及びダイヤル領域1222内の素領域における静電容量の変化を示す信号)に基づいて、タッチパネル12のタッチ領域121及びダイヤル31への入力操作を検知する。また、入力判定部43は、磁気センサ652からの出力信号に基づいて、いずれかのプッシュスイッチ621~625への入力操作が行われたことを検知する。
【0060】
次に、第3実施形態のタッチパネル操作装置6の動作例を説明する。タッチ領域121への入力操作及びダイヤル31への入力操作については第1実施形態のタッチパネル操作装置1及び第2実施形態のタッチパネル操作装置5と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
ユーザがプッシュスイッチ621~625のいずれかへの入力操作(プッシュスイッチ621~625のいずれかを押す操作)を行うと、入力操作されたプッシュスイッチ621~625とともに、当該プッシュスイッチに内蔵された永久磁石651も下方に移動する(図6のA-A’断面におけるプッシュスイッチ621参照)。このように永久磁石651と磁気センサ652の相対位置が変化することによって、その永久磁石651の下方に配置された磁気センサ652から出力される電圧が変化する。入力判定部43は、磁気センサ652から出力される信号の変化が記憶部41に保存されている閾値を超えた場合に、さらに、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域において、記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があったか否かを判定する。入力判定部43は、タッチパネル12のプッシュスイッチ領域1221内の素領域において、記憶部41に保存されている閾値を超える静電容量の変化があった場合には、その素領域を特定し、その素領域の位置に基づいて入力操作が行われたプッシュスイッチ621~625を特定する。磁気センサ652からの出力信号を個別に制御・処理部40に入力する構成の場合、入力判定部43は、さらに、出力信号の変化が生じた磁気センサ652に対応する永久磁石651を特定することによっても、ユーザが操作したプッシュスイッチ621~625を特定してもよい。
【0062】
このように、第3実施形態のタッチパネル操作装置6では、プッシュスイッチ621~625に対する入力操作を、磁気センサ652からの出力信号とタッチパネル12の素領域における静電容量の変化の両方に基づいて検知する。そのため、何らかの要因でタッチパネル12に意図しない静電容量の変化が生じても、磁気センサ652からの出力信号の変化量が記憶部41に保存された閾値を超えない限り、静電容量の変化に基づく誤検出が生じることがない。また、第3実施形態のタッチパネル操作装置6においても、タッチパネル12のタッチ領域121と物理操作領域122(プッシュスイッチ領域1221及びダイヤル領域1222)に異なる静電容量の閾値を設定する必要はない。ただし、第3実施形態のタッチパネル操作装置6においても、各領域に異なる静電容量の閾値を設定することを排除するものではない。
【0063】
上記の各実施形態はいずれも本発明の好ましい一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜の構成を採ることができる。
【0064】
第1実施形態~第3実施形態では、ユーザにプッシュボタンを押す操作感を与えるとともに、ユーザがボタンから手を離したときにプッシュボタンを元の位置に復元させるために、互いに異なる機構を用いたが、各実施形態における機能を損ねない限りにおいて、これらの機構を適宜に組みわせてもよい。例えば、第3実施形態のように、永久磁石による磁気的引力を利用する機構を第1実施形態のタッチパネル操作装置1や第2実施形態のタッチパネル操作装置5に適用してもよい。
【0065】
上記の各実施形態は、車両に搭載されるオーディオ装置を制御するためのタッチパネル操作装置としたが、工場において産業機器の制御を行ったりする場合等、様々な状況において上記同様の構成を有するタッチパネル操作装置を用いることができる。
【0066】
上記実施形態では、1つのボタンパネルについてのみ説明したが、プッシュボタンやダイヤルなどの物理操作部の配置が異なる複数のボタンパネルを用意し、各ボタンパネルに応じたLCDモジュール11への画面表示のデータを記憶部に保存してもよい。その場合には、用途に応じたボタンパネルを取り付けるとともに、LCDモジュールの画面にそのボタンパネルに対応した表示を行うように構成すればよい。LCDモジュールの画面表示は、記憶部に保存されたものの中からユーザが自ら選択してもよいが、例えばボタンパネルに、そのボタンパネルの種類や識別番号などを記憶したチップを取り付けるとともに、制御・処理部にチップ読取部を設けておき、該チップ読取部で読み取った、ボタンパネルの種類や識別番号の情報から自動的に当該ボタンパネルに対応したLCDモジュールの画面表示を行うとよい。
【0067】
上記の各実施形態では、ボタンパネルにプッシュスイッチとダイヤルを設けたが、その他、スライダなどを設けてもよい。また、第1実施形態~第3実施形態におけるダイヤルの中央を押し込み可能にしてもよい。その場合には、ダイヤル中央部の押し込みを検知する機構を上記実施形態におけるプッシュスイッチの入力操作を検知する機構と同様に構成すればよい。
【0068】
第3実施形態では、プッシュスイッチに内蔵された永久磁石651毎に、当該永久磁石651の下方に磁気センサ652を設けたが、複数の永久磁石651に対して1つの磁気センサ652を設け、それら複数の永久磁石651の変位を1つの磁気センサ652で検知するようにしてもよい。ただし、第3実施形態のようにプッシュスイッチ621~625毎に磁気センサ652を備えることが、各プッシュスイッチ621~625への入力操作に伴って生じる当該プッシュスイッチ621~625に内蔵されている永久磁石651の変位をより精確に検知することができるという点で好ましい。
【0069】
また、第3実施形態では、プッシュボタン621~625への入力操作に伴って永久磁石651と磁気センサ652の間の距離が変化するような構成であればよく、例えば、第実施形態と同様のボタンパネル及びプッシュボタンを用い、各プッシュボタンの操作部に永久磁石を内蔵した構成を採ることもできる。
【0070】
本発明に係る入力検知部として、第1実施形態~第3実施形態では、圧力センサ15、光センサ55、磁気センサ652を1つずつ個別に用いたが、これらのうちの複数を備えたタッチパネル操作装置としてもよい。
【0071】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0072】
(第1項)
本発明の一態様に係るタッチパネル操作装置は、
複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部と、
前記物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部と、
前記入力検知部により前記物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部と
を備える。
【0073】
第1項に係るタッチパネル操作装置は、静電容量式タッチパネルの表面に設けられた物理操作部に対する入力操作をタッチパネルの静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部を備えている。本発明に係るタッチパネル操作装置では、入力検知部により物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、判定部が、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出されたタッチパネル内の位置(即ち、素領域の位置)を特定し、その位置(前記「一部領域」)に設けられた物理操作部に対して入力操作が行われたと判定する。第1項に係るタッチパネル操作装置では、入力検知部によって物理操作部に対する入力操作が検知されない限り、何らかの要因でタッチパネルに意図しない静電容量の変化が生じても、その静電容量の変化に基づく誤検出が生じることがない。また、タッチパネルの表面に、物理操作部を配置した領域と、物理操作部を配置しない領域(タッチパネルに直接触れる入力操作を行う領域)を設ける場合でも、それらに異なる静電容量の閾値を設定する必要はない。
【0074】
(第2項)
第2項に係るタッチパネル操作装置は、第1項に係るタッチパネル操作装置において、
前記物理操作部が、複数のプッシュスイッチを有するボタンパネルを有し、
前記入力検知部が、前記ボタンパネルへの圧力を検出する圧力センサを有する
ことを特徴とする。
【0075】
第2項に係るタッチパネル操作装置では、ボタンパネルへの圧力を圧力センサで検出することによって、ユーザがボタンパネルのいずれかのプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【0076】
(第3項)
第3項に係るタッチパネル操作装置は、第2項に係るタッチパネル操作装置において、
前記プッシュスイッチが、該プッシュスイッチへの入力操作が行われる方向に弾性変形する弾性変形部を有する
ことを特徴とする。
【0077】
第3項に係るタッチパネル操作装置では、ユーザがプッシュスイッチへの入力操作を行ったときに弾性変形部が収縮するため、ユーザがプッシュスイッチを押す操作を行った操作感が得られる。
【0078】
(第4項)
第4項に係るタッチパネル操作装置は、第1項から第3項のいずれかに係るタッチパネル操作装置において、
前記物理操作部が、初期位置である第1位置と、該第1位置よりもタッチパネルの表面に近い第2位置の間で移動するように構成された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、光源と、該光源から発せられる光を受光する受光部とを有し、該光源から該受光部に至る光路上に、前記第2位置にある前記複数のプッシュスイッチが位置するように構成された光センサを有する
ことを特徴とする。
【0079】
第4項に係るタッチパネル操作装置では、第2位置にあるプッシュスイッチによって光源から発せられる光が遮断されたことを光センサで検出することによって、ユーザがいずれかのプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【0080】
(第5項)
第5項に係るタッチパネル操作装置は、第1項から第4項のいずれかに係るタッチパネル操作装置において、
前記物理操作部が、永久磁石が内蔵された複数のプッシュスイッチを有し、
前記入力検知部が、前記永久磁石の変位に応じた電圧を出力する磁気センサ(例えばホール素子)を有する
ことを特徴とする。
【0081】
第5項に係るタッチパネル操作装置では、プッシュスイッチに内蔵された永久磁石の変位に伴って磁気センサから出力される電圧が変化したことを検出することによって、ユーザがプッシュスイッチを押す入力操作を行ったことを検知し、さらに前記判定部により、入力操作が行われたプッシュスイッチを特定することができる。
【0082】
(第6項)
第6項に係るタッチパネル操作装置は、第5項に係るタッチパネル操作装置において、
前記複数のプッシュスイッチのそれぞれに、当該プッシュスイッチに内蔵された永久磁石の変位に応じた電圧を出力する磁気センサ(例えばホール素子)が設けられている。
【0083】
第6項に係るタッチパネル操作装置では、プッシュスイッチ毎に磁気センサを備えることで、各プッシュスイッチへの入力操作に伴って生じる当該プッシュスイッチに内蔵されている永久磁石の変位をより精確に検知することができる。
【符号の説明】
【0084】
1、5、6…タッチパネル操作装置
10、50、60…本体部
11…LCDモジュール
12…タッチパネル
121…タッチ領域
122…物理操作領域
1221…プッシュスイッチ領域
1222…ダイヤル領域
13、53、63…ボタンパネル
14…スペーサ部材
15…圧力センサ
21~25、521~525、621~625…プッシュスイッチ
26、526…弾性変形部
27…操作部
31…ダイヤル
311…固定部
312…回転部
313…導電性チップ
40…制御・処理部
41…記憶部
42…表示制御部
43…入力判定部
44…機器制御実行部
45…制御・処理プログラム
55…光センサ
551…光源
552…受光部
65…磁気センサ
651…永久磁石
652…ホール素子
653…永久磁石
66…背面部材
【要約】
【課題】タッチパネルと物理操作部を組み合わせたタッチパネル操作装置において、手間がかかる作業を必要とすることなく誤検出を抑制する。
【解決手段】複数の素領域で構成され、素領域毎に静電容量の変化を検出するタッチパネル(12)と、タッチパネルの表面の一部領域に設けられ、ユーザによる物理的な入力操作を受け付ける物理操作部(21~25)と、物理操作部に対する入力操作を、前記タッチパネルにおける静電容量の変化以外の方式で検知する入力検知部(15、55、65)と、入力検知部により物理操作部に対する入力操作が検知された場合に、予め決められた閾値を超える静電容量の変化が検出された前記一部領域内の素領域を特定することにより、前記一部領域に設けられた物理操作部に対する入力操作が行われたと判定する判定部(43)とを備えるタッチパネル操作装置(1)。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6