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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240820BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D77/20 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023216256
(22)【出願日】2023-12-21
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391027424
【氏名又は名称】株式会社フクヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】山路 誠記
(72)【発明者】
【氏名】岡 直行
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-133936(JP,A)
【文献】特開2022-166541(JP,A)
【文献】登録実用新案第3056724(JP,U)
【文献】特開2019-189252(JP,A)
【文献】特開平09-221179(JP,A)
【文献】特開2020-114749(JP,A)
【文献】特開平08-268443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 77/20
B65D 30/00-30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物の積層体を収納する本体部と、
前記本体部から前記シート状物を取り出すための取出口と、
前記取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材
を備え、
前記本体部は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部付近を折り代として内側に折り込むことで側面部が形成される箱状の容器であり、
当該包装体の側面側に形成されている前記折り込んだ後の折り代部分を前記本体部の高さ方向の全てに亘ってシール部材で覆うことを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記シール部材は前記折り代部分の全ては覆わずに、隣接する側面同士の境界部分となる隅部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記シール部材は、前記本体部の正面部、背面部、右側面部、左側面部のうち、3面以上を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記シート状物は湿式シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
シート状物の積層体を収納する本体部と、
前記本体部から前記シート状物を取り出すための取出口と、
前記取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材
を備え、
前記本体部は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部を閉じたピロー型の包装であり、
前記閉じた両端部に形成されたのりしろ部を上方又は下方に折り畳み、
当該包装体の側面側に形成されている折り畳んだ後の前記のりしろ部を前記本体部の高さ方向の全てに亘ってシール部材で覆うことを特徴とする包装体。
【請求項6】
前記シール部材は前記のりしろ部の全ては覆わずに、隣接する側面同士の境界部分となる隅部を覆っていることを特徴とする請求項5に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の包装に用いる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール、保湿剤、界面活性剤等を含む薬液を紙、織布又は不織布の繊維素材に含浸させた湿潤シートであるウエットティッシュは、乾燥しないように、気密性及び不透水性を有する包装容器に収容される。湿式シートには、皮膚の汚れを拭き取ったり、化粧落とし、幼児のお尻拭き、掃除用のウェットシート等、様々なものがある。これらの湿式シートは、含ませた薬液が乾燥しないように、気密性及び不透水性を有する包装体に収納して製品とされる。このような包装体の表面略中央部には、取出口が形成され、この取出口の上面に蓋部材が繰返して開閉・密封可能に装着されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウェットティッシュ用の包装容器に関し、特にプラスチック樹脂製の容器本体と開閉蓋とで構成され、樹脂バネの弾力を利用して開閉蓋を開閉する開閉機構を有する包装容器が記載されている。特許文献1に係る発明では、弾性板を本体容器に係止するために係止ピン部材などの特別な部材を不要とし、構造が簡単で組み立てが容易であり、廃棄時の分別も不要なウェットティッシュ用の包装容器を得ることができるとされている。
【0004】
しかしながら、近年、さらなる環境問題に対する意識の高まりから、これらのプラスチック材料や合成樹脂材料の使用を削減することが求められるようになった。このような観点からは、例えば、紙部材を使うことが好ましく、一部では紙製の包装容器が製造され、用いられている。
【0005】
このような紙製の包装容器の場合、紙部材を折り曲げることによって例えば箱状の包装容器とするが、この際に、一部の側面に折り跡が残ってしまう。このような、余った折り跡は外観(美観)の点で好ましいものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-98523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、美観に優れ、容器としての強度を向上させることができる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シート状物の積層体を収納する本体部と、本体部からシート状物を取り出すための取出口と、取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材を備え、本体部は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部付近を折り代として折り込むことで側面部が形成される箱状の容器であり、当該包装体の側面側に形成されている折り込んだ後の折り代部分を本体部の高さ方向の全てに亘ってシール部材で覆うことを特徴とする包装体である。
【0010】
あるいは、本発明の一態様では、シール部材は折り代部分の全ては覆わずに、隣接する側面同士の境界部分となる隅部を覆っているとしてもよい。
【0011】
あるいは、本発明の一態様では、シール部材は、本体部の正面部、背面部、右側面部、左側面部のうち、3面以上を覆っているとしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様では、シート状物は湿式シートであるとしてもよい。
【0013】
また、本発明の他の態様は、シート状物の積層体を収納する本体部と、本体部からシート状物を取り出すための取出口と、取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材を備え、本体部は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部を閉じたピロー型の包装であり、閉じた両端部に形成されたのりしろ部を上方又は下方に折り畳み、当該包装体の側面側に形成されている折り畳んだ後ののりしろ部を本体部の高さ方向の全てに亘ってシール部材で覆うことを特徴とする包装体である。
また、本発明の他の態様では、シール部材はのりしろ部の全ては覆わずに、隣接する側面同士の境界部分となる隅部を覆っているとしてもよい。


【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、美観に優れ、容器としての強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る包装体を形成するための折り方の一例を示す一部展開図であり、(A)は、上面側から見た図であり、(B)は、底面側から見た図である。
図3】本発明の一実施形態に係る包装体を形成するための折り方の他の一例を示す一部展開図であり、(A)は、上面側から見た図であり、(B)は、底面側から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る包装体の側面側の折り代の態様を示した図であり、(A)は、図2の折り方で形成された場合の折り代を示した図であり、(B)は、図3の折り方で形成された場合の折り代を示した図である。
図5】本発明の一実施形態に係る包装体におけるシール部材の被覆の態様を示した図であり、(A)は、側面側の隅部を覆う態様を示す斜視図であり、(B)は、側面部全体を覆う態様を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る他の包装体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る包装体について詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体の一例を示す斜視図である。本発明の一態様は、シート状物の積層体を収納する本体部10と、本体部10からシート状物を取り出すための取出口5と、取出口5を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材20を備え、本体部10は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部付近を折り代として折り込むことで側面部が形成される箱状の容器であり、折り込んだ後の折り代部分30をシール部材40で覆うことを特徴とする包装体1である。
【0018】
本発明の一態様では、本体部10は箱状に形成され、蓋部材20は、箱状の本体部10の上面に形成されている。一例として、本体部10は、図1に示すように、紙箱でかつ取出口5を除いて密閉構造に形成し、本体部10の上面部15に取出口5を開閉する蓋部材20を設けた構成となっている。また、本体部10の内部には、一枚毎に繰り出し可能に積層された湿式シート、例えばウェットティッシュ等のシート状物の積層体が収納されている。なお、本発明に係る包装体1は、主に湿式シートを対象としているが、乾式シートの包装に対して適用しても良い。
【0019】
また、本体部10は、直接シート状物の積層体を包装するものでもよいし、例えば、ピロータイプの包装体の外装に箱状の本体部を有するようなものであってもよい。
【0020】
本体部10は、シート状物の積層体を収納可能な大きさ及び形状を有する。上述したように、本体部10は紙を主成分とする素材で形成されている。本体部を構成する紙は、例えば、ボール紙や紙の層を含む複合材、合成紙などの、所定の厚みと強度をもった適宜の紙部材が用いられる。本体部10は、例えば、図1に示すような立方体あるいは直方体状の箱状で、4方向に形成された正面部11、左側面部12、背面部13、右側面部14と、これらの上端同士を接続する上面部15と、上面部15に上下方向に対向して、下端同士を接続する底面部16とを含む。
【0021】
包装体1に収容されるシート状物は、パルプ、綿、合成繊維などからなる不織布、天然パルプ、合成パルプなどからなる紙、又はガーゼ等の布など湿潤強度を有する繊維素材等に水、アルコール、香料、化粧水、薬剤、界面活性剤などの液体成分、又は溶液を含浸させたものである。シート状物の積層体は、シート状物の一枚一枚が互いに重なりあって折り畳まれており、連続してウェットティッシュを包装体の取出口から取り出せる、いわゆるポップアップ式となるように包装体に収納されていても良いし、折り畳んだウェットティッシュを重なり合わさないで積層した、いわゆる枚葉式のものであってもよい。包装体に収容する湿式シートとしては、フェイスマスク、化粧落とし、幼児のお尻拭き、掃除用のウェットシート等であってもよい。
【0022】
本体部10の上面部15には、シート状物を取り出すための取出口5が形成されている。取出口5は、例えば、上面部15の中央に形成されており、シート状物を取り出すために十分な大きさを有している。なお、箱状の容器の内部にピロー包装品を収納する場合には、平面視したとき(上方から見て)本体部10の取出口5の範囲内に、ピロー包装品の取出口が配置されている。
【0023】
本体部10に形成される取出口5は、図1に示すように、本体部10の上面の略中央部に形成されている。取出口5は、蓋部材20によって全体が被覆され、中のシート状物を取出すことができれば、特に形状に限定されないが、例えば、矩形状や楕円形状のものとなる。また、取出口5は、予め取出口5を形成したものに限らず、本体部10に取出口5を形成するためのミシン目、又は、数か所の接続箇所のみを残して切れ目が入った状態、あるいは、切り取り可能な薄さまで切れ込みが入った状態とすることで、本体部10の取出口5部分を切り取れるようにすることで形成してもよい。本体部10にミシン目等を設けた場合には、蓋部材20の本体部10と対向する面に塗布された接着剤により、蓋部材20に取出口5となる部分が貼り付くようになる。そして、湿式シートを最初に使用する際に、本体部10から蓋部材20を剥離することによって、蓋部材20と共に取出口5となる部分が本体部10から切り取られ、取出口5が形成される。
【0024】
蓋部材20は、例えば図1に示すようなラベル状に形成された蓋用ラベル20が用いられる。一例として、蓋用ラベル20は、本体部10の一辺に近接した辺部21において、接着剤等によって上面部に接着されている。また、蓋用ラベル20は、例えば、上記接着箇所の反対側の端部において、例えば山形状に突出した摘み部22を有する。摘み部22の裏面側は接着剤は設けられない。蓋用ラベル20の裏面側であって周縁部に対面する領域には、接着部が設けられている。これにより、本体部10の上面部15に対して蓋用ラベル20が繰り返し剥離・接着可能となっている。接着部は、上面部15に対して蓋用ラベル20を何度でも貼ったり剥がしたりすることを可能とする。すなわち、蓋用ラベル20は、取出口5を覆うと共に繰り返し開閉可能に構成されている。
【0025】
なお、図1には示してないが、蓋用ラベル20には、本体部10の一辺に近接した辺部21付近にユーザによる剥離動作において蓋用ラベル20が完全に剥がれないようにするためのストッパを有するようにしても良い。ストッパは、蓋用ラベル20の上記辺部21の近傍に切り込みを設けることによって形成され、ストッパの形状は、蓋用ラベル20の内部に切り込みを設けた内フック型のストッパでもよいし、蓋用ラベル20の外縁から内部に向けて切り込みを設けた外フック型のストッパでもよい。ストッパの切り込みは、直線状及び曲線状の物を組み合わせて形成され、蓋用ラベル20を本体部10から剥離したときに、蓋用ラベル20の剥離を停止させる役割を有する。
【0026】
また、本発明の一態様では、上述した蓋用ラベルとしての蓋部材20に変えて基板部と蓋部がヒンジ部分を介して接続された蓋部材20を用いてもよい。このような蓋部材20は、一例として、本体部10の上面に設けられた取出口5に臨んで取付けられている。すなわち、蓋部材20の基板部の上面を本体部10の取出口5の周縁部の下面に接着することで取り付けることができる。あるいは、基板部の底部を本体部10の上面に接着するように設置してもよい。
【0027】
本発明の一実施形態では、本体部10及び蓋部材20は紙を主成分とする素材で形成されている。純粋な紙部材のみで構成される場合は、重量比は約100%となるが、紙の層と他の部材の層を含む複合材や合成紙などの場合には、紙を主成分とする素材は、重量比で20%以上が紙であることが望ましい。あるいは、本発明の一態様では、紙を主成分とする素材は、重量比で50%以上が紙であるとしてもよい。重量比で50%以上が紙であれば、資源有効利用促進法上、紙として扱うことができる。
【0028】
また、本発明の一態様では、紙を主成分とする素材は、2種以上の素材からなる複合素材であって、紙の重量比が最も大きくなるように構成されていることが好ましい。あるいは、3種以上の素材からなる複合素材であって、紙の重量比が最も大きくなるように構成されていてもよい。
【0029】
本発明の一例として、本体部10又は蓋部材20は、紙部材に防水用フィルムを貼着されているか、或いは、防水用樹脂層がコートされた部材で構成されていることが好ましい。そして、このようなコート層の下面には、本体部10に対して繰り返し接着、剥離することができる再接着及び再剥離可能な接着剤を塗布して形成された接着層を有する。なお、接着層は、取出口5に対向する部分に形成しないようにしてもよいし、取出口5の形状をした部材を張り付けるようにしておいても良い。その他に、紙部材からなる層の反対側の面には、所定の文字、図形等が印刷されるとともに、保護層を貼り合わせるための接着剤が塗られた印刷接着層や、印刷面を保護するための保護層を更に有していてもよい。
【0030】
コート層は、防水用フィルム、或いは、防水用樹脂層からなる層であり、一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられるが、防水機能を有するフィルム又は樹脂素材であれば特に限定はされない。また、接着層は、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が用いられる。
【0031】
本発明の一態様では、紙部材は、坪量が30g/m以上、400g/m以下であり、防水用フィルムの厚さは7μm以上、50μm以下であり、防水用樹脂層の厚さは3μm以上、50μm以下であることが好ましい。
【0032】
次に、本発明における包装体1の側面部12,14の形成の態様と、折り込んだ後の折り代部分30をシール部材40で覆う態様についてそれぞれ説明する。図2図3は、本発明の一実施形態に係る包装体を形成するための折り方の一例を示す一部展開図であり、(A)は、上面側から見た図であり、(B)は、底面側から見た図である。なお、図2図3中の一点鎖線は、山折りを示しており、破線は谷折りを示している。また、図4は、本発明の一実施形態に係る包装体の側面側の折り代の態様を示した図であり、(A)は、図2の折り方で形成された場合の折り代を示した図であり、(B)は、図3の折り方で形成された場合の折り代を示した図である。
【0033】
本発明の一実施形態に係る包装体1は、原則として紙を主成分とする素材で形成され、紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部付近を折り代として折り込むことで側面部12,14が形成される。筒状の形状は、例えば、1枚の紙を主成分とする素材の対向する長辺同士を接続(接着)することにより形成することができ、筒状の開口部が矩形状となるように折り目が形成される。これにより、包装体1の正面部11、上面部15、背面部13、底面部16の4面が形成され、左側面部12、右側面部14が矩形上の開口となっている筒状の状態とすることができる。なお、上面部15の取出口5は初期の段階で形成しておくことが好ましい。
【0034】
次に、図2図3に示すように、両端部付近を折り代として折り込むことで側面部を形成する。端部付近の折り代部分30は、図2図3に示すように、のりしろ部31と折り部32から構成され、のりしろ部31を用いて端部の開口した辺同士を接着し、折り部32で折り込むことによって、図4に示すような側面部を形成する。
【0035】
図4(A)に示す側面部12,14は、図2(A)、(B)に示す折り方によって形成される。図4(A)に示される折り方は、例えば、紙パックの飲料容器などにおいてみられ、三角形状の折り跡35が形成される。図4(A)では、三角形状の折り跡35は最終的に側面部12,14側に折り返されているが、逆側の正面部11と背面部13側にそれぞれ折り返すようにしてもよい。
【0036】
また、図4(B)に示す側面部12,14は、図3(A)、(B)に示す折り方によって形成される。図4(B)に示される折り方は、ピロー型の包装容器などにおいてみられ、最終的にのりしろ部31だった部分を側面部の上方又は下方に折り返すことによって側面部12,14が形成される。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係る包装体1におけるシール部材40の被覆の態様を示した図であり、(A)は、側面側の隅部を覆う態様を示す斜視図であり、(B)は、側面部全体を覆う態様を示す斜視図である。
【0038】
上述した折り方によって側面部12,14を形成した場合、折り跡が側面部12,14に残るため、美観が良くなく、また、側面部12,14には説明文などの表示を行うことができない。したがって、本発明では、折り代部分30をシール部材40で覆っている。これにより、折った後の接合面をシールで隠すことができるため、美観(外観)を良くすることができ、また、容器としての強度を向上させることができる。さらには、折れ跡を有する側面部12,14においても、表示事項等の印刷面を形成することが可能となる。
【0039】
シール部材40は、特に限定されるものではないが、例えば、片面に接着面を有するシート状あるいはフィルム状の部材を用いることができる。一例として、紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の単材又は複合材等が挙げられる。
【0040】
シール部材40による被覆の一例として、図5(A)に示すように、シール部材40で包装体1の隅部を覆うようにしても良い。例えば、図4(B)で示したような、のりしろ部31を上方又は下方に折り返して側面部12,14を形成している場合に、その一部分を覆うように隅部にシール部材40を設けることができる。なお、図5(A)においては、正面部11の右側隅のみにシール部材40を図示しているが、正面部11の左側隅、及び背面部13の左右の隅の4隅全てをシール部材40で覆うようにすることが好ましい。
【0041】
また、本発明の一態様では、図5(B)に示すように、側面部12,14すべてをシール部材40で覆うようにしても良い。例えば、図4(A)で示したような三角形状の折り跡35を有する側面部12,14に対しては全体をシール部材40で覆う方が望ましい。このようにすれば、側面側にも印刷等の表示を行うことが可能となる。また、この場合に、側面部12,14のみならず、正面部11や背面部13なども併せてシール部材で覆うようにしても良く、正面部11、背面部13、左側面部12、右側面部14のうち、3面以上を覆うようにしても良い。このようにすることで、包装体1全体の強度を向上させて、美観も良くすることができる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態に係る他の包装体の一例を示す斜視図である。本発明の他の態様は、シート状物の積層体を収納する本体部10と、本体部10からシート状物を取り出すための取出口5と、取出口5を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材20を備え、本体部10は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部を閉じたピロー型の包装であり、閉じた両端部に形成されたのりしろ部31を上方又は下方に折り畳み、折り畳んだ後ののりしろ部31をシール部材40で覆うことを特徴とする包装体2である。
【0043】
これまでは、箱状の容器について説明してきたが、本発明の一実施形態に係る包装体2は、いわゆるピロー型の軟包装用に適用することも可能である。ピロー型の包装体2においては、両端部を閉じるための、のりしろ部31が形成されており、のりしろ部31を上方又は下方に折り畳んだ後に、上述した態様と同様にシール部材40で覆うことができる。なお、図6においては、側面側の4隅を覆っているが、上述と同様にのりしろ部31全面を覆うようにしても良い。
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、美観に優れ、容器としての強度を向上させた包装体とすることができる。
【0045】
なお、上記のように本発明の一実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0046】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、包装体の構成も本発明の一実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 包装体、5 取出口、10 本体部、11 正面部、12 左側面部(側面部)、13 背面部、14 右側面部(側面部)、15 上面部、16 底面部、20 蓋部材(蓋用ラベル)、21 本体部の一辺に近接した辺部、22 摘み部、30 折り代部分、31 のりしろ部分、32 折り部、35 折り跡、40 シール部材
【要約】
【課題】美観に優れ、容器としての強度を向上させることができる包装体を提供する。
【解決手段】シート状物の積層体を収納する本体部10と、本体部10からシート状物を取り出すための取出口5と、取出口5を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋部材20を備え、本体部10は紙を主成分とする素材を筒状にしたものの両端部付近を折り代として折り込むことで側面部が形成される箱状の容器であり、折り込んだ後の折り代部分30をシール部材40で覆うことを特徴とする包装体1である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6