(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】軸部材の回転速度制御装置
(51)【国際特許分類】
F16D 67/02 20060101AFI20240820BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20240820BHJP
F16D 59/00 20060101ALI20240820BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20240820BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F16D67/02 A
F16D63/00 R
F16D59/00 A
E06B9/68 A
E06B9/24 Z
(21)【出願番号】P 2023517484
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2022018514
(87)【国際公開番号】W WO2022230763
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021074439
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120298(JP,A)
【文献】特開2019-027128(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0330804(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 67/02
F16D 63/00
F16D 59/00
E06B 9/68
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材の一方向の回転を伝達する一方向クラッチ本体と、
前記一方向クラッチ本体と同軸にケースおよびスタビライザ間に回転自在に支持され、前記一方向クラッチ本体の回転に伴って前記一方向に回転する、前記一方向クラッチ本体を覆う外周に第1歯が形成されて、前記一方向クラッチ本体と共に一方向クラッチを構成するハウジングと、
外周に形成された第2歯が前記第1歯と噛み合って前記ケースおよび前記スタビライザ間に回転自在に支持された第1変速歯車と、
前記第1変速歯車と同軸に並んで前記ケースおよび前記スタビライザ間に設けられて前記第1変速歯車と共に回転する、外周に第3歯が形成された第2変速歯車と、
前記一方向クラッチと同軸に前記一方向クラッチに並んで前記スタビライザに回転自在に設けられ、前記スタビライザの前記ケース側に延出する一方の外周に前記第3歯に噛み合う第4歯が形成され、前記スタビライザの前記ケースと反対側に延出する他方の外周が複数の壁で周方向に複数に区画された制動部材と、
前記壁によって複数に区画された前記他方の外周を内周が覆って各区画に収容空間を形成する、前記スタビライザの前記ケースと反対側に固定して設けられるキャップと、
前記収容空間に収容されるブレーキシューと
を備える軸部材の回転速度制御装置。
【請求項2】
前記キャップは前記ケースまたは前記スタビライザに着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項3】
前記第1変速歯車に形成される前記第2歯は前記ハウジングに形成される前記第1歯よりも歯数が少なく、前記第2変速歯車に形成される前記第3歯は前記制動部材に形成される前記第4歯よりも歯数が多いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項4】
前記第1歯、前記第2歯、前記第3歯および前記第4歯はそれぞれはすば歯車の歯形状に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項5】
前記第1歯および前記第2歯は、前記ハウジングが前記一方向に回転したときに、前記第1変速歯車が前記第2変速歯車側に向かうスラスト方向の荷重が前記第1歯から前記第2歯にかかる歯形状に形成され、前記第3歯および前記第4歯は、前記第2変速歯車が前記第1変速歯車側に向かうスラスト方向の荷重が前記第4歯から前記第3歯にかかる歯形状に形成され、
前記第1変速歯車および前記第2変速歯車の当接箇所にはそれらの回転方向において係合する段差が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項6】
前記第1変速歯車は、前記第2歯が外周に形成される歯形成部と、前記第2変速歯車が外周に取り付けられる取付部とが同軸に並んで一体に設けられ、
前記第2変速歯車は、前記第3歯が形成される外側円筒部と、前記外側円筒部の内周側に径方向に所定間隔をあけて前記外側円筒部と同軸に前記外側円筒部に囲まれて設けられて前記取付部が圧入される内側円筒部とを一体に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項7】
前記キャップは、円筒状本体とこの円筒状本体の端部を塞ぐ底壁とからなる有底円筒形状に形成され、前記底壁には周方向に吸気口が形成され、前記スタビライザに当接する前記円筒状本体の開口端には端部の一部が切り欠かれて排気口が形成され、
前記制動部材は、前記第4歯が一端側に形成される中空円筒状の軸部と、前記スタビライザの前記ケースと反対側において前記軸部の他端側の外周を内周が覆う大径円筒部とを有し、前記大径円筒部の前記スタビライザ側の開口端端部の周りに、前記大径円筒部の外周、前記キャップの円筒状本体および前記底壁とで囲んで前記吸気口に通じる第1空間を形成する円環状部材が前記キャップの円筒状本体との間に設けられ、前記軸部の他端側の端部外周および前記大径円筒部の内周に囲まれて形成される第2空間と前記第1空間とを通じさせる通気溝が、前記第1空間に面する前記大径円筒部の円筒状本体が一部切り欠かれて形成され、前記第2空間は、前記スタビライザに前記制動部材が回転自在に設けられた箇所に面すると共に、前記円環状部材と前記スタビライザとの間に形成される第3空間を介して前記排気口に通じ、前記円環状部材の前記スタビライザに対向する面には、前記円環状部材から前記スタビライザに向かって延出する羽根が形成され、前記第1空間に面する前記大径円筒部の外周に前記壁が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項8】
前記ブレーキシューは、前記キャップの内周に対向する一方の面が前記キャップの内周に沿う円弧面からなる金属片から構成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【請求項9】
前記制動部材は滑り軸受けを介して前記スタビライザに回転自在に設けられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の軸部材の回転速度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材の回転速度を制御する軸部材の回転速度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の軸部材の回転速度制御装置としては、例えば、特許文献1に開示された速度制御装置がある。
【0003】
この速度制御装置は、シリンダに回転可能に支持された軸部材と、その軸部材の回転力によって軸方向に移動可能にした移動部材とを、シリンダ内部に備えて構成される。シリンダ内部は、粘性を有する流体が充填され、移動部材によって一対の流体室に区画される。移動部材には、各流体室を連通させる複数の孔が形成され、これら連通孔は、弁部材により、移動部材の軸方向の移動方向に応じて開閉される。駆動軸から伝達される軸部材の一方向の回転によって移動部材が軸方向の一方向に移動すると、弁部材によって連通孔が開いて流体は各流体室間を抵抗を受けることなく移動する。このため、軸部材は抵抗を受けることなく回転する。一方、軸部材の他方向の回転によって移動部材が軸方向の他方向に移動すると、弁部材によって連通孔が閉じて、流体は、移動部材の外周とシリンダの内周との間に形成される僅かな隙間を通って各流体室間を移動する。このため、軸部材の回転は流体の流動抵抗によって大きな抵抗力を受ける。
【0004】
上記のような速度制御装置は、例えば、日射遮蔽装置(ブラインド)における、スラット(羽根)の最下部に重りとして設けられるボトムレールが下降する際に、軸部材に巻かれたラダーコードが急激に繰り出さないよう、その軸部材の回転に制動をかけるために、使用されたりする。この場合、ラダーコードを巻き取る軸部材が、速度制御装置のシリンダ内における軸部材に連結されて、その回転速度が速度制御装置によって制御される。上記従来の速度制御装置によれば、軸部材の回転角度が360°未満に限られることなく、軸部材の回転角度範囲を大きくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された速度制御装置では、速度制御する対象となる軸部材を備える例えばブラインドのサイズ(寸法)や重さが変わると、そのサイズや重さに合わせて、速度制御装置の仕様も変える必要があった。例えば、ブラインドのサイズが大きくなってボトムレールの昇降距離が長くなった場合、シリンダおよびそれに収納される軸部材の長さを長くして、ブラインドのボトムレールが最下部に達するのに必要な、軸部材の回転角度範囲を確保する必要がある。また、ブラインドの重さが変わった場合には、ブラインドの重さに合わせて、シリンダに充填する流体の粘度を変えて、流体の流動抵抗を調節する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
軸部材の一方向の回転を伝達する一方向クラッチ本体と、
一方向クラッチ本体と同軸にケースおよびスタビライザ間に回転自在に支持され、一方向クラッチ本体の回転に伴って一方向に回転する、一方向クラッチ本体を覆う外周に第1歯が形成されて、一方向クラッチ本体と共に一方向クラッチを構成するハウジングと、
外周に形成された第2歯が第1歯と噛み合ってケースおよびスタビライザ間に回転自在に支持された第1変速歯車と、
第1変速歯車と同軸に並んでケースおよびスタビライザ間に設けられて第1変速歯車と共に回転する、外周に第3歯が形成された第2変速歯車と、
一方向クラッチと同軸に一方向クラッチに並んでスタビライザに回転自在に設けられ、スタビライザのケース側に延出する一方の外周に第3歯に噛み合う第4歯が形成され、スタビライザのケースと反対側に延出する他方の外周が複数の壁で周方向に複数に区画された制動部材と、
壁によって複数に区画された他方の外周を内周が覆って各区画に収容空間を形成する、スタビライザのケースと反対側に固定して設けられるキャップと、
収容空間に収容されるブレーキシューと
を備えて、軸部材の回転速度制御装置を構成した。
【0008】
本構成によれば、軸部材の一方向の回転は一方向クラッチ本体によって一方向クラッチ本体を覆うハウジングに伝えられる。ハウジングに伝えられる軸部材の一方向の回転は、ハウジングの外周に形成された第1歯に噛み合う第2歯が外周に形成された第1変速歯車に伝えられ、さらに、第1変速歯車と同軸に設けられて第1変速歯車と共に回転する第2変速歯車に伝えられる。第2変速歯車に伝えられる軸部材の一方向の回転は、制動部材の一方の外周に形成された第4歯が第2変速歯車の外周に形成された第3歯に噛み合うことで、制動部材に伝えられる。
【0009】
制動部材の他方の外周には、壁によって周方向に形成される複数の区画がキャップの内周に覆われて複数の収納空間が形成されており、収納空間にはブレーキシューが収納されている。したがって、軸部材の一方向の回転が第2変速歯車から制動部材に伝えられると、収納空間に収納されるブレーキシューには、制動部材の回転速度に応じて遠心力がかかり、ブレーキシューは、収納空間の中で、固定されたキャップの内周に押し付けられる。このため、キャップの内周がブレーキドラムとして作用し、ブレーキシューを収納する収納空間の壁に、制動部材の回転を妨げる力がブレーキシューから働く。よって、軸部材の一方向の回転に制動力がかかり、軸部材の回転速度が制御されることとなる。
【0010】
軸部材にかかる制動力は、遠心力によってブレーキシューから制動部材に与えられるブレーキ力によって決まる。したがって、ブラインドの仕様が変わっても、回転速度制御装置の仕様を変える必要なく、ブラインドの仕様変更に対応することができる。
【0011】
また、本発明は、キャップがケースまたはスタビライザに着脱自在に設けられることを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、キャップをケースまたはスタビライザから取り外して、制動部材の他方の外周に形成される収納空間に収納されるブレーキシューを簡単に交換することができる。このため、ブレーキシューの重さを変えて、ブレーキシューにかかる遠心力の大きさを容易に所望の大きさに設定して、軸部材にかかる制動力を簡単に調節することが可能になる。また、ブレーキシューが摩耗したり破損したりしたとき、簡単に新品のものと交換して補修することができる。
【0013】
また、本発明は、第1変速歯車に形成される第2歯がハウジングに形成される第1歯よりも歯数が少なく、第2変速歯車に形成される第3歯が制動部材に形成される第4歯よりも歯数が多いことを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、第2歯が第1歯よりも歯数が少ないことで、ハウジングから第1変速歯車に伝えられる軸部材の一方向の回転の速度は増速される。また、第3歯が第4歯よりも歯数が多いことでも、第2変速歯車から制動部材に伝えられる軸部材の一方向の回転の速度は増速される。したがって、制動部材には、二段階にわたって増速された軸部材の回転が伝えられ、制動部材の回転速度が高まって制動部材にはブレーキシューから大きな制動力が加わる。このため、軸部材にかかる制動力も大きくなって、軸部材の回転速度はより減速される。
【0015】
また、本発明は、第1歯、第2歯、第3歯および第4歯がそれぞれはすば歯車の歯形状に形成されることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、軸部材の一方向の回転は第1歯、第2歯、第3歯および第4歯によって静かに制動部材に伝えられ、回転速度制御装置の動作音が抑制される。
【0017】
また、本発明は、第1歯および第2歯が、ハウジングが一方向に回転したときに、第1変速歯車が第2変速歯車の側に向かうスラスト方向の荷重が第1歯から第2歯にかかる歯形状に形成され、第3歯および第4歯が、第2変速歯車が第1変速歯車の側に向かうスラスト方向の荷重が第4歯から第3歯にかかる歯形状に形成され、
第1変速歯車および第2変速歯車の当接箇所にはそれらの回転方向において係合する段差が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本構成によれば、第1歯から第4歯のはすば歯車の歯形状をした各歯車が回転すると、第1変速歯車が第2変速歯車の側に向かうスラスト方向の荷重が第1歯から第2歯にかかり、第2変速歯車が第1変速歯車の側に向かうスラスト方向の荷重が第4歯から第3歯にかかる。したがって、第1変速歯車と第2変速歯車とはその軸方向において互いに押し合うことになる。このため、第1変速歯車および第2変速歯車の当接箇所に形成された段差はこの押し合う力によって強固に緊結し、第1変速歯車および第2変速歯車の回転時に段差間の係合が解けることはない。このため、簡単な構造で、確実に、第1変速歯車に伝わる軸部材の回転力が第2変速歯車に伝達されるようになる。
【0019】
また、本発明は、
第1変速歯車が、第2歯が外周に形成される歯形成部と、第2変速歯車が外周に取り付けられる取付部とが同軸に並んで一体に設けられ、
第2変速歯車が、第3歯が形成される外側円筒部と、外側円筒部の内周側に径方向に所定間隔をあけて外側円筒部と同軸に外側円筒部に囲まれて設けられて取付部が圧入される内側円筒部とを一体に備える
ことを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、第1変速歯車は、第2変速歯車の内側円筒部に第1変速歯車の取付部が圧入されることで、第2変速歯車に取り付けられる。この圧入の際、内側円筒部の外周が外側に膨らんでも、第2変速歯車に形成される第3歯は、内側円筒部と径方向に所定の間隔をあけて設けられる外側円筒部の外周に形成されるため、変形することはない。このため、この第3歯と制動部材の外周に形成される第4歯との噛み合わせに問題が生じることはない。
【0021】
また、本発明は、キャップが、円筒状本体とこの円筒状本体の端部を塞ぐ底壁とからなる有底円筒形状に形成され、底壁には周方向に吸気口が形成され、スタビライザに当接する円筒状本体の開口端には端部の一部が切り欠かれて排気口が形成され、
制動部材が、第4歯が一端側に形成される中空円筒状の軸部と、スタビライザのケースと反対側において軸部の他端側の外周を内周が覆う大径円筒部とを有し、大径円筒部のスタビライザ側の開口端端部の周りに、大径円筒部の外周、キャップの円筒状本体および底壁とで囲んで吸気口に通じる第1空間を形成する円環状部材がキャップの円筒状本体との間に設けられ、軸部の他端側の端部外周および大径円筒部の内周に囲まれて形成される第2空間と第1空間とを通じさせる通気溝が、第1空間に面する大径円筒部の円筒状本体が一部切り欠かれて形成され、第2空間は、スタビライザに制動部材が回転自在に設けられた箇所に面すると共に、円環状部材とスタビライザとの間に形成される第3空間を介して排気口に通じ、円環状部材のスタビライザに対向する面には、円環状部材からスタビライザに向かって延出する羽根が形成され、第1空間に面する大径円筒部の外周に前記壁が形成されている
ことを特徴とする。
【0022】
制動部材のスタビライザに回転自在に設けられた箇所には、制動部材の回転によって熱が発生する。しかし、本構成によれば、制動部材の回転に応じて、円環状部材からスタビライザに向かって延出して形成された羽根が回転する。この羽根が回転することで、大径円筒部の外周、キャップの円筒状本体、底壁および円環状部材に囲まれて形成される第1空間には、キャップの底壁に形成された吸気口から空気を引き込む力が発生する。吸気口からこの第1空間に引き込まれた空気は、第1空間に面する大径円筒部の円筒状本体に形成された通気溝を経由して、制動部材のスタビライザに回転自在に設けられた箇所に面する第2空間に取り込まれる。そして、この第2空間から、円環状部材とスタビライザとの間に形成される第3空間を通り、キャップの開口端側に形成された排気口から排気される。このため、制動部材のスタビライザに回転自在に設けられた箇所に生じる熱は、この空気の流れによって冷やされるようになり、発熱が抑えられる。
【0023】
また、本発明は、ブレーキシューが、キャップの内周に対向する一方の面がキャップの内周に沿う円弧面からなる金属片から構成されることを特徴とする。
【0024】
本構成によれば、ブレーキシューの一方の面とブレーキドラムを形成するキャップの内周との接触面積を大きくとることができる。このため、ブレーキシューとキャップの内周面との間に大きな摩擦力を生じさせることができる。また、ブレーキシューが金属片から構成されることで、ブレーキシューの摩耗を防ぐことができる。
【0025】
また、本発明は、制動部材が滑り軸受けを介してスタビライザに回転自在に設けられることを特徴とする。
【0026】
本構成によれば、スタビライザが制動部材を支持する箇所における摩耗は、滑り軸受けによって効果的に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、制御対象となる軸部材を備えるブラインド等の装置の仕様が変わっても、回転速度制御装置の仕様を変える必要なく、ブラインド等の装置の仕様変更に対応することができる軸部材の回転速度制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の外観を示す図である。
【
図2】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の断面図である。
【
図3】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の一方向から見た分解斜視図である。
【
図4】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の他方向から見た分解斜視図である。
【
図5】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置を構成するケースを示す図である。
【
図6】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置を構成するスタビライザを示す図である。
【
図7】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置を構成するキャップを示す図である。
【
図8】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の内部機構の全体を示す斜視図である。
【
図9】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の一方向クラッチ機構部を構成する一方向クラッチおよび六角スリーブを示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す一方向クラッチの本体を構成する保持器、アウタースリーブ、転動体および板バネを示す図である。
【
図11】
図9に示す一方向クラッチを構成するハウジングを示す斜視図である。
【
図12】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の変速機構部を示す図である。
【
図13】
図12に示す変速機構部を構成する第1変速歯車および第2変速歯車を示す斜視図である。
【
図14】一実施形態による軸部材の回転速度制御装置の制動機構部の分解斜視図である。
【
図15】
図14に示す制動機構部を構成する制動部材、滑り軸受けおよびブレーキシューを示す図である。
【
図16】本発明の他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置を見下ろした外観斜視図である。
【
図17】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置を見上げた外観斜視図である。
【
図18】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置の一方向から見た分解斜視図である。
【
図19】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置の他方向から見た分解斜視図である。
【
図20】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置で変速機構部を構成する第1変速歯車および第2変速歯車を示す斜視図である。
【
図21】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置を構成するキャップを示す図である。
【
図22】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置で制動機構部を構成する制動部材を示す斜視図である。
【
図23】他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置の、異なる破断線によって得られる2つの断面図である。
【
図24】
図23に示す断面図の破断線を説明するための、他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明による軸部材の回転速度制御装置の一実施の形態について説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0030】
図1(a)は、本発明の一実施の形態による軸部材の回転速度制御装置1の外観斜視図、
図1(b)は背面図である。
図2は、回転速度制御装置1を
図1(b)に示すA-A線で破断して矢視方向から見た回転速度制御装置1の断面図である。また、
図3は回転速度制御装置1の一方向から見た分解斜視図、
図4は他方向から見た分解斜視図である。
【0031】
回転速度制御装置1は、ケース2とキャップ3とで外郭が囲まれて構成されており、一方向クラッチ機構部4、変速機構部5および制動機構部6を備える。一方向クラッチ機構部4および変速機構部5は、ケース2とスタビライザ7との間に挟まれてケース2に囲まれて構成されている。制動機構部6は、スタビライザ7に取り付けられてキャップ3に囲まれて構成されている。
【0032】
図5(a)は、ケース2を一方向から見た斜視図、
図5(b)は他方向から見た斜視図である。また、
図5(c)はケース2を他方向から見た正面図、
図5(d)は
図5(c)に示すB-B線で破断して矢視方向から見たケース2の断面図である。また、
図6(a)はスタビライザ7を一方向から見た斜視図、
図6(b)は他方向から見た斜視図である。また、
図6(c)はスタビライザ7を他方向から見た正面図、
図6(d)は
図6(c)に示すC-C線で破断して矢視方向から見たスタビライザ7の断面図である。また、
図7(a)はキャップ3を一方向から見た斜視図、
図7(b)は他方向から見た斜視図、
図7(c)はキャップ3の平面図である。
【0033】
ケース2の正面中央上部には、回転速度制御装置1による速度制御の対象になる、図示しない軸部材が挿通される挿通孔2aが開口している。また、ケース2の内部にドーム状に形成されるケース室2bの開口端上方には、内径部2cがアーチ状に形成されている。この内径部2cには、スタビライザ7の上半分の外縁に沿ってアーチ状に形成された円形リブ7aの外周が当接する。また、この内径部2cに沿ったケース室2bの内部には、ストッパ面2dが馬蹄形状に形成されている。このストッパ面2dは、スタビライザ7の円形リブ7aに突出する凸面7bに当接して、スタビライザ7のスラスト方向の動きを規制する。また、ケース室2bの内部の開口端下方には、スタビライザ7の基底部7hの底面が載置される内底面2eが、平坦に形成されている。ケース2の開口端はスタビライザ7によって蓋がされ、ケース室2bが塞がれる。
【0034】
また、ケース室2bには、挿通孔2aを囲む内周に第1軸受け部2fが円筒状に形成されている。この第1軸受け部2fは、一方向クラッチ機構部4を構成する後述するハウジング13のローラ面13b(
図3,
図4,
図11参照)を軸支する。また、スタビライザ7の円形リブ7aの内側には、ハウジング保持部7cが略半円筒状に突出して形成されている。ハウジング13は、ローラ面13bと反対側の端部にガイド部13c(
図4,
図11(b)参照)が溝状に形成されており、このガイド部13cがハウジング保持部7cに嵌まることで、ハウジング13はローラ面13bと反対側の端部がスタビライザ7に軸支される。ハウジング13の両端部がこのように軸支されることで、一方向クラッチ機構部4は、ケース2およびスタビライザ7間に回転自在に設けられる。
【0035】
また、ケース室2bには挿通孔2aの下方に第2軸受け部2g、この第2軸受け部2gに対向するスタビライザ7の内面には第3軸受け部7dが、円筒溝状に形成されている。変速機構部5は、変速機構部5を構成する軸16の一方の端部が第2軸受け部2g、他方の端部が第3軸受け部7dに挿入されることで軸支されて、ケース2およびスタビライザ7間に回転自在に設けられる。
【0036】
また、ケース2の外側の両側部には、ケース外壁と側壁2hとの間に枠状に形成される空間によってラッチ部2iが一対形成されている。
図7に示すように、キャップ3の円筒状本体3aの両側部には、フック部3bが一方向にカンチレバー状に延出して形成されている。キャップ3は、このフック部3bがラッチ部2iに挿通されて、フック部3bの先端に形成された突起部3cがラッチ部2iの側端にスナップフィットすることで、ケース2に着脱自在に取り付けられる。
【0037】
また、スタビライザ7のハウジング保持部7cに囲まれた箇所には貫通孔7eが形成され、キャップ3の円筒状本体3aの円筒底面中央には貫通孔3dが形成されている。これら各貫通孔7e,3dには、ケース2の挿通孔2aに挿通される軸部材を挿通させることができる。
【0038】
図8は、回転速度制御装置1からケース2、キャップ3およびスタビライザ7を除いた状態の内部機構の全体を示す斜視図である。同図に示すように、一方向クラッチ機構部4における後述する第1歯13aと変速機構部5おける後述する第2歯17bとが噛み合い、変速機構部5おける後述する第3歯18aと制動機構部6における後述する第4歯19cとが噛み合って、内部機構が構成されている。この内部機構により、図示しない軸部材の一方向の回転が一方向クラッチ機構部4から制動機構部6へ伝達される。
【0039】
図9(a)は、一方向クラッチ機構部4を構成する一方向クラッチ8の斜視図、
図9(b)は、一方向クラッチ機構部4を構成する六角スリーブ9の斜視図である。また、
図10(a)は一方向クラッチ8を構成する一方向クラッチ本体10を一方向から見た斜視図、
図10(b)は一方向クラッチ本体10を他方向から見た斜視図、
図10(c)は一方向クラッチ本体10を別の角度で他方向から見た斜視図、
図10(d)は一方向クラッチ本体10を構成する転動体11と板バネ12の相関斜視図である。また、
図11(a)は一方向クラッチ8を構成するハウジング13を一方向から見た斜視図、
図11(b)は他方向から見た斜視図である。
【0040】
一方向クラッチ8は、保持器14とアウタースリーブ15とからなる
図10に示す一方向クラッチ本体10が
図11に示すハウジング13に収納されて、構成されている。保持器14は樹脂等で形成され、アウタースリーブ15は焼結金属等で形成される。本実施形態では、保持器14の内径部に六角スリーブ9が挿入され、回転速度制御装置1の制御対象となる軸部材はこの六角スリーブ9に挿入される。軸部材の六角スリーブ9への挿入方向は、ケース2の挿通孔2aの側からでも、キャップの貫通孔3dの側からでも可能で、軸部材の六角形をした外径が六角スリーブ9の内径部9aに嵌合することで、軸部材は六角スリーブ9と一体になって回転する。なお、六角スリーブ9は必ずしも必要ではなく、軸部材の円柱状をした外径が保持器14の円筒状をした内径部に直接挿入されるように構成してもよい。
【0041】
一方向クラッチ8は、六角スリーブ9に挿入される軸部材の一方向の回転のみをハウジング13へ伝達する。一方向クラッチ本体10は、アウタースリーブ15が保持器14の側周囲を囲むことで、ポケット部10aが形成される。ポケット部10aは、アウタースリーブ15の内壁面と、六角スリーブ9の外周とに挟まれて、保持器14の各柱状部14a間に形成される。このポケット部10aには、
図10(d)に示す、円柱状をした鋼製の転動体11と、側面視で略Sの字状をした鋼製の板バネ12とが図示する状態で収納される。転動体11は、ポケット部10aに転動自在に保持され、板バネ12は、ポケット部10aにおいて、隣接する柱状部14a,14aのうちの一方の柱状部14aの側に転動体11を付勢する。
【0042】
軸部材の回転は、六角スリーブ9が一方向に回転すると、六角スリーブ9の外周に接する転動体11も同方向に転動して、アウタースリーブ15の内壁面と六角スリーブ9の外周面との間に噛み込む。このため、転動体11がロック状態になって軸部材からハウジング13にトルクの伝達が行われ、軸部材の一方向の回転がハウジング13に伝わってハウジング13も同方向に回転する。一方、軸部材が他方向に回転すると、六角スリーブ9の外周に接する転動体11も同方向に転動して、転動体11がアウタースリーブ15の内壁面と六角スリーブ9の外周面から拘束を受けないフリー状態になる。このため、軸部材からハウジング13にトルクの伝達が行われず、軸部材の他方向の回転はハウジング13に伝わらず、ハウジング13は回転しない。この結果、軸部材の回転は、ポケット部10aにおける転動体11の転動位置に応じて、一方向の回転のみがハウジング13に伝達される。
【0043】
ハウジング13は、樹脂や金属等によって
図11に示すように中空円筒状に形成され、外周には第1歯13aがはすば歯車の歯形状に形成されている。また、ハウジング13の外周の一方の端部には、外周が円筒面になっているローラ面13bが形成されている。このローラ面13bは上述のようにケース2の第1軸受け部2fに回転自在に軸支される。また、ハウジング13の他方の端部にはガイド部13cが円筒溝状に形成されている。このガイド部13cが上述のようにスタビライザ7のハウジング保持部7cに嵌まることで、ハウジング13は、一方向クラッチ8と同軸にケース2およびスタビライザ7間に姿勢が制御されて回転自在に支持され、一方向クラッチ8の安定した回転が可能になる。また、ハウジング13の内周には突条13dが複数形成されており、この突条13dがアウタースリーブ15の外周に複数形成された溝15aに嵌まることで、ハウジング13はアウタースリーブ15と一体になって一方向に回転する。
【0044】
図12(a)は変速機構部5を一方向から見た斜視図、
図12(b)は他方向から見た斜視図、
図12(c)は側面図である。また、
図12(d)は変速機構部5を一方向から見た正面図、
図12(e)は
図12(d)に示すD-D線で破断して矢視方向から見た変速機構部5の断面図である。また、
図13(a)は変速機構部5から第2変速歯車18を取り外して残る軸16と第1変速歯車17との組立状態の斜視図、
図13(b)はこの組立状態から軸16を外して残る第1変速歯車17の単体の斜視図である。また、
図13(c)は第2変速歯車18の単体を一方向から見た斜視図、
図13(d)は他方向から見た斜視図である。
【0045】
軸16は細長い円柱状の鋼材等からなり、その外径は第1変速歯車17の内径17aに挿入可能な寸法に設定されている。第1変速歯車17は、第2歯17bが外周にはすば歯車の歯形状に形成される歯形成部17cと、第2変速歯車18が外周に取り付けられる、歯形成部17cよりも径が大きな取付部17dとが同軸に並んで、樹脂や金属等によって一体に設けられている。軸16が挿入される内径17aの部分は中空になって貫通している。本実施形態では軸16と第1変速歯車17とを別体にして設けているが、一体に設けるようにしてもよい。また、軸16と第1変速歯車17との相互は固定してもよいし、回転自在にしてもよい。
【0046】
第2変速歯車18は、第3歯18aが外周にはすば歯車の歯形状に形成される外側円筒部18bと、外側円筒部18bに囲まれて設けられた内側円筒部18cとを一体に備え、樹脂や金属等によって形成される。内側円筒部18cは、外側円筒部18bの内周側に径方向に所定間隔をあけて、外側円筒部18bと同軸に設けられ、その圧入部18dには第1変速歯車17の取付部17dが圧入される。圧入部18dの内径は取付部17dの外径より小さく、取付部17dは圧入部18dに締まり嵌めされて取り付けられる。径方向に所定間隔をあけられた外側円筒部18bと内側円筒部18cとの間には、環状凹部18eが形成されている。
【0047】
また、内側円筒部18cの一端側には、圧入部18dの内径および取付部17dの外径より小さく、歯形成部17cの外径より大きな径方向寸法の内径を形成する壁部18fが設けられている。取付部17dが圧入部18dに圧入される際、第1変速歯車17はこの壁部18fを歯形成部17cが挿通し、取付部17dの端部が
図12(e)に示すように壁部18fに当接する。
【0048】
軸16の一端がケース2の第2軸受け部2g、他端がスタビライザ7の第3軸受け部7dに
図2に示すように軸支されることで、変速機構部5のスラスト方向への動きが規制される。また、軸16がこのように軸支されることで、第1変速歯車17は、歯形成部17cの外周に形成された第2歯17bが
図8に示すようにハウジング13の第1歯13aと噛み合って、ケース2およびスタビライザ7間に回転自在に支持される。外側円筒部18bの外周に第3歯18aが形成された第2変速歯車18は、第1変速歯車17と同軸に並んで
図2に示すようにケース2およびスタビライザ7間に設けられて、第1変速歯車17と共に回転する。
【0049】
図14は制動機構部6の分解斜視図である。また、
図15(a)は、制動機構部6を構成する制動部材19を一方向から見た斜視図、
図15(b)は他方向から見た斜視図、
図15(c)は制動部材19の側面図である。また、
図15(d)は制動機構部6を構成する滑り軸受け20の斜視図、
図15(e)は制動機構部6を構成するブレーキシュー21の単体の斜視図である。
【0050】
制動機構部6は、制動部材19、滑り軸受け20およびブレーキシュー21を備えて構成される。制動機構部6は、制動部材19の軸部19aの外周に、円筒状をした焼結金属製の滑り軸受け20が嵌められ、
図2に示すように、滑り軸受け20と共に軸部19aがスタビライザ7の貫通孔7eに挿入されることで、一方向クラッチ8と同軸に一方向クラッチ8に並んで、スタビライザ7に回転自在に軸支されて設けられる。なお、滑り軸受け20はスタビライザ7と一体成型して設けるようにしてもよい。また、滑り軸受け20を設けずに軸部19aを直接貫通孔7eに軸支させるようにしてもよい。制動機構部6は、キャップ3の一対のフック部3bがケース2の一対のラッチ部2iに挿入され、各フック部3bの先端の突起部3cがラッチ部2iの側端に
図1に示すように係合することで、キャップ3に覆われてスタビライザ7に取り付けられる。
【0051】
この際、キャップ3の円筒状本体3aに開口した貫通孔3dと、中空円筒状をした軸部19aの軸方向に貫通した貫通孔19bとは連通する。したがって、ケース2の挿通孔2aまたはキャップ3の貫通孔3dの側から挿入される軸部材は、六角スリーブ9の内径部9aを通って回転速度制御装置1を貫通可能になっている。
【0052】
制動部材19は、軸部19aがスタビライザ7の貫通孔7eに挿入される際、軸部19aの周囲に形成される環状凹部19dに、スタビライザ7の背面に
図6に示すように形成される円筒部7fが嵌合し、
図2に示すように、環状凹部19dの周囲に張り出すスラスト面19eがスタビライザ7の背面に滑らかな面で形成された側面盤7gに近接する。また、キャップ3がケース2に取り付けられると、キャップ3の円筒状本体3aの開口側端面3eがこの側面盤7gに当接し、また、円筒状本体3aの外径部3gがケース2の内径部2cに当接する。これらの当接によってキャップ3はスタビライザ7およびケース2に定位置で保持される。
【0053】
また、制動部材19は、スタビライザ7のケース2側に延出する一方に軸部19aが形成されている。この軸部19aの先端側の外周には、第4歯19cがはすば歯車の歯形状に形成されている。この第4歯19cは、第2変速歯車18の第3歯18aに
図8に示すように噛み合う。また、制動部材19は、スタビライザ7のケース2と反対側に延出する他方に大径円筒部19fが形成されている。この大径円筒部19fの外周は、複数の壁19gで周方向に複数のブロックに区画されている。これらブロックには、キャップ3がスタビライザ7のケース2と反対側に固定して設けられることで、壁19gによって複数に区画された大径円筒部19fの外周をキャップ3の内周3fが覆って、収容空間が形成される。本実施形態では、収容空間は大径円筒部19fの外周の6箇所に形成されているが、2箇所以上に形成されればよい。また、大径円筒部19fの軸部19aと反対側の側面には、円筒部19hが突出して設けられている。キャップ3がケース2に取り付けられると、この円筒部19hは、キャップ3の貫通孔3dの周囲に形成された内径部3hに
図2に示すように嵌まり、内径部3hに回転自在に摺接する。
【0054】
ブレーキシュー21は、本実施形態では、大径円筒部19fの外周に形成される複数の収容空間に収容されるが、1個以上の収容空間に収容されるようにすればよい。ブレーキシュー21は、キャップ3の内周3fに対向する一方の外径面21aがキャップ3の内周3fに沿う円弧面からなる、合金の金属片から構成される。また、大径円筒部19fの外周に対向するブレーキシュー21の他方の内径面21bは、大径円筒部19fの外周に沿う円弧面からなる。本実施形態ではブレーキシュー21は収容空間に単層で配置されているが、2枚重ね等の複数層にして、収容空間に収容するようにしてもよい。また、材質は必ずしも金属製でなくてもよく、樹脂や弾性部材等によってブレーキシュー21を形成するようにしてもよい。
【0055】
このような本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1によれば、軸部材の一方向の回転は一方向クラッチ本体10によって一方向クラッチ本体10を覆うハウジング13に伝えられる。ハウジング13に伝えられる軸部材の一方向の回転は、ハウジング13の外周に形成された第1歯13aに噛み合う第2歯17bが外周に形成された第1変速歯車17に伝えられ、さらに、第1変速歯車17と同軸に設けられて第1変速歯車17と共に回転する第2変速歯車18に伝えられる。第2変速歯車18に伝えられる軸部材の一方向の回転は、制動部材19の一方の外周に形成された第4歯19cが、第2変速歯車18の外周に形成された第3歯18aに噛み合うことで、制動部材19に伝えられる。
【0056】
制動部材19の他方の外周には、壁19gによって周方向に形成される複数の区画がキャップ3の内周3fに覆われて複数の収納空間が形成されており、収納空間にはブレーキシュー21が収納されている。したがって、軸部材の一方向の回転が第2変速歯車18から制動部材19に伝えられると、収納空間に収納されるブレーキシュー21には、制動部材19の回転速度に応じて遠心力がかかり、ブレーキシュー21は、収納空間の中で、ケース2およびスタビライザ7に固定されたキャップ3の内周3fに押し付けられる。このため、ブレーキシュー21とキャップ3の内周3fとの間に生じる摩擦抵抗によってキャップ3の内周3fがブレーキドラムとして作用し、ブレーキシュー21を収納する収納空間の壁19gに、制動部材19の回転を妨げる力がブレーキシュー21から働く。よって、軸部材の一方向の回転に制動力がかかり、軸部材の回転速度が減速制御されることとなる。
【0057】
軸部材にかかる制動力は、遠心力によってブレーキシュー21から制動部材19に与えられるブレーキ力によって決まる。したがって、回転速度制御装置1の速度制御する対象となる軸部材を備える例えばブラインドのサイズが変わっても、特許文献1に開示された従来の速度制御装置のようにシリンダやシリンダ内の軸部材の長さを変えることなく、一定の制動力を軸部材に与えることができる。
【0058】
また、ブレーキシュー21にかかる遠心力は制動部材19の回転速度に比例するので、ブラインドの重さが変わっても、従来の速度制御装置のように、シリンダに充填する流体の粘度を変えるために流体を入れ替えたりすることなく、制動部材19の回転速度を変えることで、ブラインドの重さに応じた制動力を生成して、軸部材に与えることができる。例えば、ブラインドのボトムレールが重くなった場合には、ボトムレールの下降時、軸部材のラダーコードを繰り出す際の回転速度は重さの増加に応じて高くなるので、回転速度制御装置1によって軸部材にかかる制動力はブラインドの重さの増加に応じて大きく作用する。よって、ブラインドのサイズや重さ等の仕様が変わっても、回転速度制御装置1の仕様を変える必要なく、ブラインドの仕様変更に対応することができる。
【0059】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、キャップ3がケース2に着脱自在に設けられるので、キャップ3をケース2から取り外して、制動部材19の他方の外周に形成される収納空間に収納されるブレーキシュー21を簡単に交換することができる。このため、ブレーキシュー21の重さや収容空間に収容する個数を変えて、ブレーキシュー21にかかる遠心力の大きさを容易に所望の大きさに設定して、軸部材にかかる制動力を簡単に調節することが可能になる。また、ブレーキシュー21が摩耗したり破損したりしたとき、簡単に新品のものと交換して補修することができる。なお、本実施形態では、キャップ3がケース2に着脱自在に設けられる場合について説明したが、キャップ3はスタビライザ7に着脱自在に設けられるように構成してもよい。
【0060】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、第1変速歯車17に形成される第2歯17bがハウジング13に形成される第1歯13aよりも歯数が少なく、第2変速歯車18に形成される第3歯18aが制動部材19に形成される第4歯19cよりも歯数が多い。このため、第2歯17bが第1歯13aよりも歯数が少ないことで、ハウジング13から第1変速歯車17に伝えられる軸部材の一方向の回転の速度は増速される。また、第3歯18aが第4歯19cよりも歯数が多いことでも、第2変速歯車18から制動部材19に伝えられる軸部材の一方向の回転の速度は増速される。したがって、制動部材19には、二段階にわたって増速された軸部材の回転が伝えられ、制動部材19の回転速度が高まって制動部材19にはブレーキシュー21から大きな制動力が加わる。このため、軸部材にかかる制動力も大きくなって、軸部材の回転速度はより減速される。なお、本実施形態では、軸部材の一方向の回転の速度が増速される場合について説明したが、第1歯13a、第2歯17b、第3歯18aおよび第4歯19cの各歯数の設定を変えることで、軸部材の一方向の回転の速度が減速されるように構成してもよい。
【0061】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、第1歯13a、第2歯17b、第3歯18aおよび第4歯19cがそれぞれはすば歯車の歯形状に形成されている。このため、軸部材の一方向の回転は第1歯13a、第2歯17b、第3歯18aおよび第4歯19cによって静かに制動部材19に伝えられ、回転速度制御装置1の動作音が抑制される。
【0062】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、第1変速歯車17は、第2変速歯車18の内側円筒部18cに第1変速歯車17の取付部17dが圧入されることで、第2変速歯車18に取り付けられる。この圧入の際、内側円筒部18cの外周が外側に膨らんでも、第2変速歯車18に形成される第3歯18aは、内側円筒部18cと径方向に所定の間隔をあけて設けられる外側円筒部18bの外周に形成されるため、変形することはない。このため、この第3歯18aと制動部材19の外周に形成される第4歯19cとの噛み合わせに問題が生じることはない。
【0063】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、ブレーキシュー21は、上述のように、キャップ3の内周3fに対向する一方の外径面21aがキャップ3の内周3fに沿う円弧面からなる、合金の金属片から構成される。したがって、ブレーキシュー21の一方の外径面21aとブレーキドラムを形成するキャップ3の内周3fとの接触面積を大きくとることができる。このため、ブレーキシュー21とキャップ3の内周3fとの間に大きな摩擦力を生じさせることができる。また、ブレーキシュー21が金属片から構成されることで、ブレーキシュー21の摩耗を防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態の軸部材の回転速度制御装置1では、制動部材19が滑り軸受け20を介してスタビライザ7に回転自在に設けられる。このため、スタビライザ7が制動部材19を支持する貫通孔7eの箇所における摩耗は、滑り軸受け20によって効果的に防ぐことができる。
【0065】
次に、本発明の他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置について説明する。なお、以下に説明する各図において、第1の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1と同一または相当する部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0066】
図16(a)は、本発明の他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aを上方の一方向から見下ろした外観斜視図、
図16(b)は上方の他方から見下ろした外観斜視図である。また、
図17(a)は、軸部材の回転速度制御装置1Aを下方の一方向から見上げた外観斜視図、
図17(b)は下方の他方から見た外観斜視図である。また、
図18は軸部材の回転速度制御装置1Aの一方向から見た分解斜視図、
図19は他方向から見た分解斜視図である。
【0067】
この他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aは、第1歯13a、第2歯17b、第3歯18aおよび第4歯19c間で噛み合う各歯車の歯形状、並びに、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとの組み付け構造が、上記の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1と相違する。また、キャップ3Aと制動部材19Aの構造が、上記の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1と相違する。
【0068】
他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aでは、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとは
図20に示される。
図20(a)は、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとの相関を一方向から見た斜視図、
図20(b)は、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとの相関を他方向から見た斜視図である。
【0069】
他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aでは、第1歯13aおよび第2歯17bが、ハウジング13が一方向に回転したときに第1変速歯車17Aが第2変速歯車18Aの側に向かうスラスト方向の荷重f1が、第1歯13aから第2歯17bにかかる歯形状に形成されている。また、第3歯18aおよび第4歯19cが、第2変速歯車18Aが第1変速歯車17Aの側に向かうスラスト方向の荷重f2が第4歯19cから第3歯18aにかかる歯形状に形成されている。また、第1変速歯車17Aおよび第2変速歯車18Aの当接箇所には、それらの回転方向において係合する段差17eおよび18gが形成されている。
【0070】
第1変速歯車17Aの第2変速歯車18Aと当接する箇所には円板部17fが形成されており、この円板部17の第2変速歯車18Aに対向する面に段差17eが形成されている。この段差17eは、この面から略台形状に突出する凸部17e1と、凸部17e1間に形成された凹部17e2とから形成される。また、円板部17の中心からは軸16が突出する。
【0071】
また、第2変速歯車18Aの第1変速歯車17Aと当接する箇所には、円板部17fが嵌まる円筒部18hが形成されており、この円筒部18hの底面に段差18gが形成されている。この段差18gは、この底面から略台形状に突出する凸部18g1と、凸部18g1間に形成された凹部18g2とから形成される。円筒部18hの底面中央には、第1変速歯車17Aを貫通する軸16が通される穴18iが形成されている。
【0072】
第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとの組み付けは、第1変速歯車17Aを貫通する軸16の端部が第2変速歯車18Aの穴18iに通されることで行われる。軸16が穴18iに通されて、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとがケース2およびスタビライザ7間に配置されることで、第1変速歯車17Aの凸部17e1が第2変速歯車18Aの凹部18g2に嵌まり、第2変速歯車18Aの凸部18g1が第1変速歯車17Aの凹部17e2に嵌まる。
【0073】
本構成によれば、第1歯13aから第4歯19cのはすば歯車の歯形状をした各歯車が一方向に回転すると、第1変速歯車17Aが第2変速歯車18Aの側に向かうスラスト方向の荷重f1が第1歯13aから第2歯17bにかかる。また、第2変速歯車18Aが第1変速歯車17Aの側に向かうスラスト方向の荷重f2が第4歯19cから第3歯18aにかかる。したがって、第1変速歯車17Aと第2変速歯車18Aとはその軸方向において互いに押し合うことになる。このため、第1変速歯車17Aおよび第2変速歯車18Aの当接箇所に形成された段差17eおよび18gは、この押し合う力によって強固に緊結し、第1変速歯車17Aおよび第2変速歯車18Aの回転時に段差17eおよび18g間の係合が解けることはない。このため、簡単な構造で、確実に、第1変速歯車17Aに伝わる軸部材の回転力が第2変速歯車18Aに伝達されるようになる。
【0074】
図21(a)は、他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aにおけるキャップ3Aを一方向から見た斜視図、
図21(b)、(c)は、キャップ3Aを他方向からそれぞれ異なる角度で見た斜視図である。
【0075】
キャップ3Aは、円筒状本体3aと、円筒状本体3aの端部を塞ぐ底壁3iとからなる有底円筒形状に形成されている。底壁3iには周方向に吸気口3jが複数個形成されている。また、円筒状本体3aのフック部3b,3b間における開口側端面3eには、開口端の端部の一部が切り欠かれて、一対の排気口3kが形成されている。
【0076】
また、一対の排気口3kと反対側における円筒状本体3aの開口側端面3eには、フック3mが突出して形成されている。また、ケース2のアーチ状に形成された内径部2cには、フック3mの先端が係止する開口部2j(
図18,
図19参照)が形成されている。また、スタビライザ7の円形リブ7aの頭部には、フック3mが嵌まる幅を有する切り欠き7i(
図18,
図19参照)が形成されている。キャップ3がケース2に取り付けられる際、キャップ3のフック3mは、スタビライザ7の切り欠き7iに嵌まると共に、その先端がケース2の開口部2jに係合する(
図23参照)。これによってキャップ3はスタビライザ7およびケース2に定位置で保持される。
【0077】
図22(a)は、他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aにおける制動部材19Aを一方向から見た斜視図、
図22(b)は、制動部材19Aを他方向から見た斜視図である。
【0078】
制動部材19Aは、第4歯19cが一端側に形成される中空円筒状の軸部19aと、スタビライザ7のケース2と反対側において軸部19aの他端側の外周を内周が覆う大径円筒部19fとを有する(
図23参照)。大径円筒部19fのスタビライザ7側の開口端の端部の周りには、円環状部材19iがキャップ3の円筒状本体3aとの間に設けられている。大径円筒部19fの円筒状本体には、その一部が切り欠かれて通気溝19jが形成されている。ブレーキシュー21の収納空間を形成する壁19gは、根元部がこの通気溝19jに面して、大径円筒部19fの外周に形成されている。
【0079】
また、円環状部材19iのスタビライザ7の側面盤7gに対向する面には、円環状部材19iからスタビライザ7の側面盤7gに向かって延出する羽根19kが板状に複数個形成されている。本実施形態では、この羽根19kは、円弧形状に湾曲した板状に形成されているが、湾曲していない平板状の板状に形成されていてもよい。また、羽根19kは必ずしも複数個なくてもよく、少なくとも1個あればよい。
【0080】
図23(a)は、他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aを、
図24に示すH-H線に沿って破断して矢視方向から見た断面図である。
図23(b)は、この軸部材の回転速度制御装置1Aを、
図24に示すH-I線に沿って破断して矢視方向から見た断面図である。
【0081】
これら各断面図に示すように、大径円筒部19fの外周、キャップ3の円筒状本体3a、底壁3iおよび円環状部材19iによって囲まれて、吸気口3jに通じる第1空間31が形成されている。壁19gは、この第1空間31に面している。また、軸部19aの他端側の端部外周および大径円筒部19fの内周に囲まれて、第2空間32が形成されている。また、円環状部材19iとスタビライザの側面盤7gとの間には、第3空間33が形成されている。通気溝19jは第2空間32と第1空間31とを通じさせる。また、第2空間32は、スタビライザ7に滑り軸受け20によって制動部材19が回転自在に設けられた箇所に面すると共に、
図23(b)に示すように、第3空間33を介して排気口3kに通じる。
【0082】
制動部材19のスタビライザ7に滑り軸受け20によって回転自在に設けられた箇所には、滑り軸受け20がオイルに含浸された焼結金属製に形成されていても、制動部材19の回転によって熱が発生する。なお、滑り軸受け20はスタビライザ7に固定されている。回転速度制御装置1Aの上記の構成によれば、制動部材19の一方向の回転に応じて、円環状部材19iからスタビライザ7の側面盤7gに向かって延出して形成された羽根19kが回転する。この羽根19kが回転することで、大径円筒部19fの外周、キャップ3の円筒状本体3a、底壁3iおよび円環状部材19iに囲まれて形成される第1空間31には、キャップ3の底壁3iに形成された吸気口3jから空気を引き込む力が発生する。
【0083】
吸気口3jからこの第1空間31に引き込まれた空気は、
図23(a)に矢視するように、第1空間31に面する大径円筒部19fの円筒状本体に形成された通気溝19jを経由して、制動部材17のスタビライザ7に回転自在に設けられた箇所に面する第2空間32に取り込まれる。そして、この第2空間32から、
図23(b)に矢視するように、円環状部材19iとスタビライザの側面盤7gとの間に形成される第3空間33を通り、キャップ3の開口端側に形成された排気口3kから排気される。このため、制動部材17のスタビライザ7に回転自在に設けられた箇所に生じる熱は、この空気の流れによって冷やされるようになり、発熱が抑えられる。
【0084】
なお、上記の他の実施形態による軸部材の回転速度制御装置1Aでは、制動部材17のスタビライザ7に回転自在に設けられた箇所に、滑り軸受け20が設けられる場合について、説明した。しかし、滑り軸受け20が無くて、制動部材17の軸部19aがスタビライザ7の貫通孔7eに直接挿入されて、回転自在に支持される場合においても、上記の実施形態と同様な作用効果が奏され、制動部材17のスタビライザ7に回転自在に設けられた箇所に生じる熱は、空気の流れによって冷やされるようになって、発熱が抑えられる。
【符号の説明】
【0085】
1、1A…回転速度制御装置、2…ケース、3…キャップ、4…一方向クラッチ機構部、5…変速機構部、6…制動機構部、7…スタビライザ、8…一方向クラッチ、9…六角スリーブ、10…一方向クラッチ本体、11…転動体、12…板バネ、13…ハウジング、13a…第1歯、14…保持器、15…アウタースリーブ、16…軸、17…第1変速歯車、17b…第2歯、18…第2変速歯車、18a…第3歯、19…制動部材、19c…第4歯、19g…壁、20…滑り軸受け、21…ブレーキシュー、31…第1空間、32…第2空間、33…第3空間