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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】猫捕獲収容装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20240820BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20240820BHJP
   A01K 1/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
A45C11/00 D
A01K1/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024010062
(22)【出願日】2024-01-26
【審査請求日】2024-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521030674
【氏名又は名称】▲高▼橋 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋子
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3237060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/00
A45C 11/00
A01K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲具と、
と収容具とを有し、
前記捕獲具は、
捕獲対象の猫を取り込むための捕獲開口部と、前記収容具を接続する側の第1接続開口部と、前記第1接続開口部を開閉する第1線ファスナーと、を備えており、
前記収容具は、
前記捕獲具を接続するための第2接続開口部と、前記第2接続開口部を開閉する第2線ファスナーと、を備えており、
前記第1接続開口部及び前記第2接続開口部は、
互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、
前記第1接続開口部を開いた状態の前記第1線ファスナーと、前記第2接続開口部を開いた状態の前記第2線ファスナーとが、互いに噛合可能に構成されている猫捕獲収容装置であって、
前記第1線ファスナーは、
左第1務歯列と、右第1務歯列と、前記左・右第1務歯列のうち一方の第1務歯列に係合されている第1スライダーと、
を有し、
前記第1接続開口部を閉じる場合は、前記一方の第1務歯列に係合されている前記第1スライダーを前記左・右第1務歯列のうち他方の第1務歯列にも係合させ、当該第1スライダーの移動により左・右の第1務歯列同士を組み合わせる構成であり、
前記第2線ファスナーは、
左第2務歯列と、右第2務歯列と、前記左・右第2務歯列のうち一方の第2務歯列に係合されている第2スライダーと、
を有し、
前記第2接続開口部を閉じる場合は、前記一方の第2務歯列に係合されている前記第2スライダーを前記左・右第2務歯列のうち他方の第2務歯列にも係合させ、当該第2スライダーの移動により左・右の第2務歯列同士を組み合わせる構成であり、
前記第1線ファスナーと前記第2線ファスナーとの噛合時には、
前記一方の第1務歯列に係合されている前記第1スライダーを前記他方の第2務歯列に係合させ、当該第1スライダーの移動によりそれら一方の第1務歯列と他方の第2務歯列同士を組み合わせるとともに、
前記一方の第2務歯列に係合されている前記第2スライダーを前記他方の第1務歯列に係合させ、当該第2スライダーの移動によりそれら一方の第2務歯列と他方の第1務歯列同士を組み合わせる
ように構成されていることを特徴とする猫捕獲収容装置。
【請求項2】
捕獲具と、
と収容具とを有し、
前記捕獲具は、
捕獲対象の猫を取り込むための捕獲開口部と、前記収容具を接続する側の第1接続開口部と、前記第1接続開口部を開閉する第1線ファスナーと、を備えており、
前記収容具は、
前記捕獲具を接続するための第2接続開口部と、前記第2接続開口部を開閉する第2線ファスナーと、を備えており、
前記第1接続開口部及び前記第2接続開口部は、
互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、
前記第1接続開口部を開いた状態の前記第1線ファスナーと、前記第2接続開口部を開いた状態の前記第2線ファスナーとが、互いに噛合可能に構成されている猫捕獲収容装置であって、
前記捕獲具は、
前記捕獲開口部を開閉する捕獲用線ファスナーをさらに有し、
前記第1線ファスナーが前記第1接続開口部を閉じた状態で前記捕獲用線ファスナーにより前記捕獲開口部が開かれ、その開かれた捕獲開口部を介して前記捕獲対象の猫が前記捕獲具に取り込まれる
ことを特徴とする猫捕獲収容装置。
【請求項3】
捕獲具と、
と収容具とを有し、
前記捕獲具は、
捕獲対象の猫を取り込むための捕獲開口部と、前記収容具を接続する側の第1接続開口部と、前記第1接続開口部を開閉する第1線ファスナーと、を備えており、
前記収容具は、
前記捕獲具を接続するための第2接続開口部と、前記第2接続開口部を開閉する第2線ファスナーと、を備えており、
前記第1接続開口部及び前記第2接続開口部は、
互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、
前記第1接続開口部を開いた状態の前記第1線ファスナーと、前記第2接続開口部を開いた状態の前記第2線ファスナーとが、互いに噛合可能に構成されている猫捕獲収容装置であって、 前記捕獲具は、
前記捕獲開口部を開口状態に固定する支持枠部と、
前記支持枠部に接続され、捕獲者により把持される柄部と、
を有し、
前記柄部は、
前記支持枠部に対し折り畳み形状となるように接続される、若しくは、長手方向に伸縮可能に構成されている
ことを特徴とする猫捕獲収容装置。
【請求項4】
捕獲具と、
と収容具とを有し、
前記捕獲具は、
捕獲対象の猫を取り込むための捕獲開口部と、前記収容具を接続する側の第1接続開口部と、前記第1接続開口部を開閉する第1線ファスナーと、を備えており、
前記収容具は、
前記捕獲具を接続するための第2接続開口部と、前記第2接続開口部を開閉する第2線ファスナーと、を備えており、
前記第1接続開口部及び前記第2接続開口部は、
互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、
前記第1接続開口部を開いた状態の前記第1線ファスナーと、前記第2接続開口部を開いた状態の前記第2線ファスナーとが、互いに噛合可能に構成されている猫捕獲収容装置であって、 前記捕獲具は、
前記捕獲開口部又は前記第1接続開口部を介して前記捕獲対象の猫を捕獲済の捕獲器を収納し、かつ、当該捕獲具の外皮越しに前記収納した前記捕獲器の出口を開放することで当該捕獲器内から出た前記猫を取り込み可能に構成されている
ことを特徴とする猫捕獲収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫を捕獲し収容する際に使用する猫捕獲収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
猫は鋭い爪や牙を有しており、気性が荒かったり不機嫌な状態の猫を直接素手で捕獲し、保持し続けることは困難である。そのため、猫を落ち着かせるため従来、ネット状の素材で形成した袋体の開口部で猫を捕獲し、収容する猫用捕獲収容具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3237060号公報(図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
猫を捕獲、収容する目的の一例として、野良猫を保護するために捕獲することや、動物病院で怪我の箇所を治療したり予防接種をしたりするなどの処置を行う必要がある。そのためには捕獲した猫の身体を医療従事者が安全かつ安定的に拘束する必要があるが、上記従来技術の猫用捕獲収容具ではその全体がネット状の袋体で構成されているため、爪や牙が貫通しやすく安全な拘束が困難である。これに対して、袋体を厚手の布地で形成した場合には、逆にその自重の増大と通気性の悪化から猫の捕獲作業が困難となってしまう。
【0005】
本発明の目的は、猫に対する捕獲作業の容易性と拘束作業の安全性を両立できる猫捕獲収容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、捕獲具と収容具とを有する猫捕獲収容装置であって、前記捕獲具は、捕獲対象の猫を取り込むための捕獲開口部と、前記収容具を接続する側の第1接続開口部と、前記第1接続開口部を開閉する第1線ファスナーと、を備えており、前記収容具は、前記捕獲具を接続するための第2接続開口部と、前記第2接続開口部を開閉する第2線ファスナーと、を備えており、前記第1接続開口部及び前記第2接続開口部は、互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、前記第1接続開口部を開いた状態の前記第1線ファスナーと、前記第2接続開口部を開いた状態の前記第2線ファスナーとが、互いに噛合可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成の本願発明によれば、第1線ファスナーを単独で閉止することで、捕獲開口部だけを開口させて捕獲具を猫の捕獲に特化した機能を有する袋状態とし、それ単体で容易に猫を捕獲できる。そして第1線ファスナーを開口してから第2線ファスナーに互いに噛合させて第1接続開口部と第2接続開口部を連通接続させることで、捕獲具内の猫を収容具内へ容易に移動させることができる。そして猫の処置に特化した機能を有する収容具において、容易に猫に対する拘束作業を容易に行うことができる。この結果、本願発明の猫捕獲収容装置を用いることで、猫に対する捕獲作業の容易性と拘束作業の安全性とを両立できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、猫に対する捕獲作業の容易性と拘束作業の安全性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の猫捕獲収容装置を一体に接続した状態の全体外観図である。
図2】実施形態の猫捕獲収容装置を捕獲具と収容具に分解した状態の全体外観図である。
図3】完全分離可能型ファスナーを単独で閉止する使用方法を説明する図である。
図4】2つの完全分離可能型ファスナーを組み合わせて2つの開口を連通接続させる使用方法を説明する図である。
図5】実施形態の猫捕獲収容装置を用いて猫を捕獲し、収容する手順を説明する図である。
図6】内部に猫を収容した状態での収容具の使用方法を説明する図である。
図7】たも枠を用いる場合の猫捕獲収容装置の全体外観図である。
図8】別途に用意した捕獲器を用いる場合の猫捕獲収容装置の全体外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0011】
<実施形態の全体構成>
図1は、本実施形態の猫捕獲収容装置を一体に接続した状態の全体外観図を示し、図2は、当該猫捕獲収容装置を捕獲具と収容具に分解した状態の全体外観図である。これら図1図2において、本実施形態の猫捕獲収容装置1は、捕獲具2と収容具3とを有している。
【0012】
捕獲具2は、そのほぼ全体がネット状の布地で構成され、その一方側(図中の右側)に捕獲開口部20aを、他方側(図中の左側)に第1接続開口部20bを有する略筒形状体に形成されている。上記の捕獲開口部20aの縁部、及び第1接続開口部20bの縁部には、それぞれ完全分離可能型ファスナーである捕獲ファスナー21、捕獲側接続ファスナー22が設けられており、それぞれ閉じることで開口部を閉止して当該捕獲具2を袋状にできる。なお、上記の捕獲側接続ファスナー22においては、後に詳述するように収容具3との連通接続にも用いられる。また、捕獲側接続ファスナー22が第1線ファスナーに相当し、捕獲ファスナー21が捕獲用線ファスナーに相当する。
【0013】
また捕獲具2には、その軸方向における中央位置からやや第1接続開口部20b側に近い位置に、周方向に収束紐23を通した帯部からなる巾着部24が設けられている。この巾着部24において、収束紐23を径方向に引くことで当該巾着部24における内径を狭く絞ることができ、また収束紐23を戻すよう当該巾着部24の内径を拡げることもできる。
【0014】
収容具3は、その一方側(図中の右側)に位置する通気筒部31と、他方側(図中の左側)に位置する収容袋部32とを一体に接続して有している。通気筒部31は、その全体がネット状の布地で構成され、その一方側(図中の右側)に第2接続開口部31aを有する略筒形状体に形成されている。収容袋部32は、その全体が厚手の布地で構成された略袋形状体であり、その一方側(図中の右側)の開口部に上記通気筒部31の他方側(図中の左側)の開口部が連通するよう縫製等で固定的に接続されている。第2接続開口部31aの縁部には完全分離可能型の収容側接続ファスナー33が設けられており、これを単独で閉じることで第2接続開口部31aを閉止して当該収容具3全体の内部を袋状にできる。なお、上記の収容側接続ファスナー33においては、後に詳述するように捕獲具2との連通接続にも用いられる。上記完全分離可能型の各ファスナー21,22,33の使用方法や機能については、後に詳述する。また、収容側接続ファスナー33が第2線ファスナーに相当する。
【0015】
また収容袋部32を構成する布地は、断面拡大図Aに示すように、例えばゴムラバーシート等のような猫の爪や牙を通さず弾性を有する丈夫な裏地32aを有している。また収容具3の収容袋部32には、その連通軸方向における中央位置と他方側の端部のそれぞれに半円周分の長さで中央側胴体開放ファスナー34と端部側胴体開放ファスナー35が設けられている。これら中央側胴体開放ファスナー34と端部側胴体開放ファスナー35は、いずれも2つの対向スライダーを備えて任意の範囲だけ開放可能なものであり、これら2対向スライダー型の各ファスナー34,35の使用方法については、後に詳述する。
【0016】
また収容具3では、上記捕獲具2の巾着部24と同等の構成であって収束紐37を通した巾着部36が、通気筒部31の軸方向における中央位置に設けられている。
【0017】
<完全分離可能型ファスナーの詳細構成と使い方>
以上説明したように本実施形態の猫捕獲収容装置には、完全分離可能型ファスナー(捕獲ファスナー21、捕獲側接続ファスナー22、及び収容側接続ファスナー33)と、2対向スライダー型ファスナー(中央側胴体開放ファスナー34及び端部側胴体開放ファスナー35)の2種類のファスナーが備えられているが、以下においては完全分離可能型ファスナーである捕獲ファスナー21、捕獲側接続ファスナー22、及び収容側接続ファスナー33の本実施形態における使い方について説明する。
【0018】
本実施形態に備える完全分離可能型ファスナーは、図3に示すように単独のファスナーで開口を閉止する使用方法と、図4に示すように2つのファスナーを組み合わせて2つの開口を連通接続させる使用方法の2通りの使用方法がある。
【0019】
図3(a)では、収容側接続ファスナー33を例とした完全分離可能型ファスナーが単独で完全に開いて分離した状態を示している。完全分離型ファスナーは、それぞれ同じ長さで独立した2つのテープ33a,33bがほぼ並行に配置され、各テープで互いに対向する縁にそれぞれ多数の務歯を配列した務歯列33c,33dが設けられている。そして図中右側の務歯列33dにはスライダー33eが係合され、当該右側の務歯列33dの下端には箱33fが設けられ、図中左側の務歯列33cの下端には蝶棒33gが設けられている。
【0020】
この完全分離可能型ファスナーを単独で閉じるよう使用する場合には、図3(b)に示すように、同一のファスナーにおいて蝶棒33gをスライダー33eと箱33fに挿入してからスライダー33eを移動させることで2つの務歯列33c,33dが噛合する。そしてスライダー33eを他方の端部の終点まで移動しきることで、図3(c)に示すように開口を完全に閉止できる。また、特に図示しないが、スライダー33eを始点の箱33fまで戻して蝶棒33gを抜くことで、2つの務歯列33c,33dを完全に分離させることも容易にできる。なお、この例の図中左側のテープ33aに設けられた務歯列33cが左第2務歯列に相当し、図中右側のテープ33bに設けられた務歯列33dが右第2務歯列に相当し、スライダー33eが第2スライダーに相当する。
【0021】
図4(a)では、捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33との組み合わせで、これら2つの完全分離可能型ファスナーがそれぞれ完全に開いて分離した状態を示している。捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33は、互いに同一形状かつ同一寸法で構成された完全分離可能型ファスナーであり、対向した状態では自ファスナー22,33の箱22f,33fとスライダー22e,33eが設けられている務歯列22d,33d,が、相手ファスナーの蝶棒22g,33gが設けられている務歯列22c,33cに軸方向で対向する配置となっている。
【0022】
このような配置にある2つのファスナー22,33どうしの間で、図4(b)に示すように互いに相手ファスナーの蝶棒22g,33gを自ファスナーのスライダー22e,33eと箱22f,33fに挿入して各スライダー22e,33eを移動させることができる。すなわち、2組の務歯列22c,22d,33c,33dの組み合わせを互いに入れ子で交換して噛合させるよう使用できる。これにより、捕獲側接続ファスナー22が固定されている捕獲具2の第1接続開口部20bと、収容側接続ファスナー33が固定されている収容具3の第2接続開口部31aの2つの開口部の縁部どうしを、周方向のほぼ全周に渡って接続できる。すなわち、捕獲具2と収容具3が、それぞれの開口部の内径を連通させるよう接続される(上記図1参照)。また、特に図示しないが、各スライダー22e,33eをそれぞれ始点の箱22f,33fまで戻して蝶棒22g,33gを抜くことで、4つの務歯列22c,22d,33c,33dを完全に分離させて捕獲具2と収容具3を分離させることも容易にできる。なお、この例の捕獲側接続ファスナー22における図中左側のテープ22aに設けられた務歯列22cが左第1務歯列に相当し、図中右側のテープ22bに設けられた務歯列22dが右第1務歯列に相当し、スライダー22eが第1スライダーに相当する。
【0023】
<猫の捕獲と収容を行う手順>
以下においては、本実施形態の猫捕獲収容装置1を用いて猫を捕獲し、収容する手順の一例について、図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
まず始めに猫Cを捕獲する際には、図5(a)に示すように、猫捕獲収容装置1から収容具3を分離した状態の単体の捕獲具2を用いる。この例においては、第1接続開口部20bの捕獲側接続ファスナー22は開口し、捕獲開口部20aの捕獲ファスナー21は閉止して、捕獲具2の全体を第1接続開口部20bだけを開口させた袋状とする。なお、この際には巾着部24の内径を拡げる。この状態の捕獲具2は、全体がほぼネット状の布地で構成されて軽量かつ通気性がよいため、図示するように捕獲対象の猫Cに対して第1接続開口部20bから素早く被せて捕獲することが容易となる。
【0025】
なお、以上に説明した例の猫の捕獲手順では第1接続開口部20bが請求項に記載の捕獲開口部として機能する。この例以外にも、第1接続開口部20bの捕獲側接続ファスナー22を閉止し、捕獲ファスナー21を開口して猫Cを捕獲開口部20aから被せて捕獲してもよく、この場合には捕獲開口部20aが請求項に記載の捕獲開口部として機能する。
【0026】
図5(a)の例で捕獲した後には、図5(b)に示すように巾着部24の内径を絞ることで、捕獲具2の全体を閉止させた袋状にでき、猫Cを逃がすことがなくなる。なおこのとき、第1接続開口部20bの捕獲側接続ファスナー22は開口させたままでも猫Cの収容状態を維持できる。
【0027】
そして図5(c)に示すように、捕獲具2と収容具3とを接続する。このとき、捕獲具2においては上述したように巾着部24の内径を絞って猫Cの収容状態を確保しつつ、第1接続開口部20bの捕獲側接続ファスナー22を開口した状態とする。また、収容具3においては収容側接続ファスナー33を開口させるとともに巾着部35の内径を拡げた状態で、第2接続開口部31aを捕獲具2の第1接続開口部20bに対向させる。
【0028】
そして図5(d)に示すように、それぞれ完全分離可能型ファスナーである捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33で、互いに務歯列22c,22d,33c,33dの組み合わせを入れ子で交換して噛合させることで、捕獲具2の第1接続開口部20bと、収容具3の第2接続開口部31aとを連通接続できる。その後に巾着部24の内径を拡げることで、当該猫捕獲収容装置1全体の閉止状態を維持しつつ捕獲具2内の猫Cを収容具3内へ確実に移動させることができる。
【0029】
その後に収容具3の巾着部36の内径を絞って収容具3内の猫Cの収容状態を確保しつつ、捕獲具2と収容具3を分離できる(図示省略)。このとき、巾着部36の内径を絞った状態でも、軸方向で当該巾着部36と収容袋部32との間に配置されているネット状の通気筒部31を介して収容袋部32の内部空間は外気との通気状態が確保されているため、収容袋部32内の猫Cは呼吸を維持できる。その後に収容側接続ファスナー33を閉止することで、巾着部36の内径を拡げても収容具3単体での猫Cの収容が可能となる。
【0030】
<収容具の使用方法>
次に、内部に猫Cを収容した状態での収容具3の使用方法について、図6を参照しつつ説明する。
【0031】
まず図6(a)、図6(b)に示すように、収容具3内では主に収容袋部32の内部に猫Cを位置させるとともに、巾着部36の内径を拡げた状態とする。この状態で猫Cは、ネット状の布地で構成された通気筒部31を介して外気との通気状態が確保され、呼吸を維持できる。また上述したように、収容袋部32はその全体が厚手の布地で構成された略袋形状体であり、さらにその布地には猫Cの爪や牙を通さず弾性を有する丈夫な裏地32aを有している。このため収容袋部32の内部で猫Cが暴れても、収容袋部32の外から人間が猫Cを安全かつ安定的に押さえ付けて拘束できる。
【0032】
そして、例えば予防接種や怪我をした箇所の治療を目的として猫Cの胴体の一部だけを外部に露出したい場合には、図6(a)に示すように2対向スライダー型ファスナーである中央側胴体開放ファスナー34を任意の範囲だけ開放すればよい。また特に猫Cの主要部位だけを外部に露出したい場合には、図6(b)に示すように中央側胴体開放ファスナー34と同様の2対向スライダー型ファスナーである端部側胴体開放ファスナー35を任意の範囲だけ開放してそこから主要部位だけを露出させればよい。また、ネット状の通気筒部31に囲まれている第2接続開口部31aを少しだけ開放し、そこから猫Cの身体の一部を外部に露出させるようにしてもよい。これによれば、例えば猫Cに点眼する場合などのように、あらかじめ猫Cにおける処置作業対象の特定の身体部位を視認しやすい状況としてそれだけを外部に露出させるのが容易となる。以上により、収容袋部32の外から猫Cの身体を拘束しつつ、目的とする猫Cの胴体箇所部分や患部、主要部位だけを露出させることが容易となり、上記治療などの処置作業を安全かつ容易に行うことができる。
【0033】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の猫捕獲収容装置1においては、捕獲具2が、捕獲対象の猫Cを取り込むための第1接続開口部20b(又は捕獲開口部20a)と、収容具3を接続する側の第1接続開口部20bと、第1接続開口部20bを開閉する捕獲側接続ファスナー22と、を備えている。また収容具3は、捕獲具2を接続するための第2接続開口部31aと、第2接続開口部31aを開閉する収容側接続ファスナー33と、を備えている。そして第1接続開口部20b及び第2接続開口部31aは、互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成されており、第1接続開口部20bを開いた状態の捕獲側接続ファスナー22と、第2接続開口部31aを開いた状態の収容側接続ファスナー33とが、互いに噛合可能に構成されている。
【0034】
これにより、捕獲ファスナー21(又は捕獲側接続ファスナー22)を単独で閉止することで、第1接続開口部20b(又は捕獲開口部20a)だけを開口させて捕獲具2を猫Cの捕獲に特化した機能を有する袋状態とし、それ単体で容易に猫Cを捕獲できる。そして捕獲側接続ファスナー22を開口してから収容側接続ファスナー33に互いに噛合させて第1接続開口部20bと第2接続開口部31aを連通接続させることで、捕獲具2内の猫Cを収容具3内へ容易に移動させることができる。そして猫Cの処置に特化した機能を有する収容具3において、容易に猫Cに対する拘束作業を容易に行うことができる。この結果、本実施形態の猫捕獲収容装置1を用いることで、猫Cに対する捕獲作業の容易性と拘束作業の安全性を両立できる。
【0035】
また、本実施形態では特に、捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33がそれぞれ完全分離可能型ファスナーであって、個々に単独で閉止できる構成である。
【0036】
さらに捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33との噛合時には、捕獲側接続ファスナー22の一方の務歯列22cに係合されているスライダー22eを収容側接続ファスナー33の他方の務歯列33cに係合させ、当該スライダー22eの移動によりそれら一方の務歯列22cと他方の務歯列33c同士の組み合わせで閉止できる。
【0037】
また、収容側接続ファスナー33の一方の務歯列33dに係合されているスライダー33eを捕獲側接続ファスナー22の他方の務歯列22dに係合させ、当該スライダー33eの移動によりそれら一方の務歯列33dと他方の務歯列22d同士の組み合わせで閉止できる。
【0038】
これにより、捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33は、それぞれ単独での閉止に利用できるとともに、捕獲具2と収容具3との連通接続にも利用できる。この結果、簡易な構成の機械要素であるファスナーを用いながら、自由度の高い猫捕獲収容装置1の形態変化を実現できる。
【0039】
また、本実施形態では特に、捕獲具2は、捕獲開口部20aを開閉する捕獲ファスナー21をさらに有し、捕獲側接続ファスナー22が第1接続開口部20bを閉じた状態で捕獲ファスナー21により捕獲開口部20aが開かれ、その開かれた捕獲開口部20aを介して捕獲対象の猫Cが捕獲具2に取り込まれてもよい。これにより、捕獲具2の全体を袋状とすることができ、捕獲対象の猫Cに対して捕獲ファスナー21が開口した捕獲開口部20aから素早く被せて捕獲でき、その後に捕獲ファスナー21を閉止することで猫Cの収容状態を確保できる。
【0040】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0041】
<たも枠を用いる場合>
上記実施形態では、袋状の捕獲具2を直接的に用いて捕獲対象の猫Cを捕獲していた。この他にも、猫Cの捕獲作業で図7に示すようなたも枠4を用いてもよい。このたも枠4は、捕獲具2の第1接続開口部20bに連通接続して開口状態に固定する支持枠部41と、猫Cの捕獲者に把持される柄部42とを有している。
【0042】
支持枠部41は、略二等辺三角形の形状の開口枠41aに布地で構成された略三角筒状部41bが連通接続されており、また略三角筒状部41bで開口枠41aと反対側の開口部には捕獲具2の捕獲側接続ファスナー22と連通接続可能な枠側接続ファスナー41cが設けられている。特に図示しないが、開口枠41aにおける二等辺の各辺の内部にはそれぞれ金属製のフレーム棒が通っており、それら2本のフレーム棒の下端41dは金属製のハブ41e内で作動するロック爪41fに対して係合状態と自由状態が切り替えられる(拡大図B参照)。すなわち2本のフレーム棒がいずれもハブ41eにおいて係合状態がロックされることで、開口枠41aの全体は図7(a)に示すように二等辺三角形の形状に広がった状態が維持される。また2本のフレーム棒がいずれもハブ41eにおいて自由状態となっていることで、開口枠41aの全体を図7(b)に示すように小さく折り畳まれた形状にできる。
【0043】
またハブ41eの下端に柄部42が固定されており、この柄部42は長手方向の途中位置にある複数の回転ハンドル42a内部の締結状態を緩めるよう回転させることで、当該柄部42の全体を伸縮させることができ、各回転ハンドル42a内部の締結状態を締め付けるよう回転させることで当該柄部42の全長を固定できる。
【0044】
図7(a)に示す例では、支持枠部41の全体が略二等辺三角形の形状に開口された状態で、略三角筒状部41bに捕獲具2が連通接続されている。また柄部42は最大に伸長した状態となっている。この状態で、猫Cを捕獲する捕獲者が柄部42を把持し、支持枠部41の開口から猫Cを捕獲して捕獲具2内に取り込むことができる。これは、特に捕獲者の手の届かない高い所や隙間等に隠れた場所から猫Cを捕獲するのに適切である。そしてハブ41eでフレーム棒を自由状態とし、柄部42の全体を最短に縮小することで、図7(b)のように当該たも枠4全体を小さい容積で折り畳むことが可能である。
【0045】
なお、上記構成においてたも枠4は、捕獲具2に対して遠隔捕獲機能を追加するアタッチメントとして解釈でき、すなわち捕獲具2に接続したたも枠4も含めてこれらの全体が捕獲具に相当する。
【0046】
以上のように本変形例では、たも枠4を接続した捕獲具2は、第1接続開口部20bを開口状態に固定する支持枠部41と、支持枠部41に接続され、捕獲者により把持される柄部42と、を有する。そして柄部42は、支持枠部41に対し折り畳み形状となるように接続されるとともに、長手方向に伸縮可能に構成されている。
【0047】
これにより、たも枠4を接続した捕獲具2を特に捕獲者の手の届かない高い所や隙間等に隠れた場所から猫Cを捕獲するのに適切な構成としながら、不使用時には全体を小さい容積で折り畳むことが可能である。
【0048】
なお、捕獲時の重量や取り回しの不便さを気にしない場合には、捕獲具2の代わりに収容具3を直接たも枠4に連通接続してもよい(図示省略)。
【0049】
<別途の捕獲器で捕獲する場合>
上記実施形態及び変形例では、捕獲者自身が捕獲具2等を取りまわして猫Cの捕獲を行っていた。この他にも、図8に示すように別途用意した捕獲器Hで猫Cを捕獲し、その捕獲器Hから捕獲具2に取り込んでもよい。
【0050】
図8(a)に示す例の捕獲器Hは、全体が略直方体形状のケージで構成され、図中手前側の端面には猫Cが内部に進入した際に閉止する開閉扉Haを備えている。そしてこのような捕獲器Hの全体を一方側の開口部51から取り込んで収納可能な大径筒状部5が、その他方側の開口部52で捕獲具2の第1接続開口部20bに大径側接続ファスナー53を介して連通接続している。なお、この大径筒状部5自体もネット状の布地で構成されている。
【0051】
大径筒状部5が捕獲器Hを取り込んだ後には、図8(b)に示すように捕獲器Hの全体を上方に持ち上げて持ち手Hbで吊り下げ、下方に位置して開いた状態の開閉扉Haから猫Cを捕獲具2の内部へ落とし込むよう移動させる。
【0052】
なお、この例で用いる上記持ち手Hbは捕獲器Hと別体で用意したものであり、その構成として適宜の長さにある把持紐Hb1の両端にそれぞれ半円形状の固定半リングHb2が固定され、さらにこの固定半リングHb2に対して回動爪Hb4と一体の半円形状の回動半リングHb5がヒンジHb3を介して回動可能に設けられている(拡大図C参照)。
【0053】
使用時には、両端それぞれの回動爪Hb4を開閉操作して2つの半リングHb2,Hb5の間に捕獲器Hの金網線を把持させることで、持ち手Hb全体を捕獲器Hに固定させることができる。またこのとき、図8(a)に示すように持ち手Hbの両端を大径筒状部5の開口部51付近におけるネット地に貫通させた上で捕獲器Hに固定させることにより、持ち手Hbの引き上げで捕獲器Hと大径筒状部5を同時に持ち上げることができる。なお図示する例では、吊り下げた際に開閉扉Haが下方に位置するよう持ち手Hbを開閉扉Haと反対側の端面に固定していたが、これ以外にも持ち手Hbを捕獲器Hの様々な位置に固定することで多様な姿勢で吊り下げることができる(図示省略)。
【0054】
なお、上記構成において大径筒状部5は、捕獲具2に対して捕獲器Hを連通接続させる機能を追加するアタッチメントとして解釈でき、すなわち捕獲具2に接続した大径筒状部5も含めてこれらの全体が捕獲具に相当する。
【0055】
以上のように本変形例では、捕獲具2は、捕獲開口部20a又は第1接続開口部20bを介して捕獲対象の猫Cを捕獲済の捕獲器Hを収納し、かつ、捕獲具2の外皮越しに収納した捕獲器Hの出口を開放することで当該捕獲器H内から出た猫Cを取り込み可能に構成されている。これにより、猫Cを捕獲する作業自体は捕獲器Hを利用して簡易に実施でき、当該捕獲器Hを収納した大径筒状部5を介して猫Cを捕獲具2に取り込むことが可能となる。
【0056】
なお、取り込み時の重量や取り回しの不便さを気にしない場合には、捕獲具2の代わりに収容具3を直接大径筒状部5に連通接続してもよい(図示省略)。
【0057】
なお特に図示しないが、上記の実施形態及び各変形例において、猫捕獲収容装置1が備える各ファスナーに留め具を設けることで、対応する各開口部の閉止状態を容易かつ確実に固定することができる。
【0058】
なお、上述した手順は一例であって、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。
【0059】
なお、上述した工程は一例であって、上記工程の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の工程を追加してもよい。また、上記工程の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の工程が単一の工程にまとめられてもよい。
【0060】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0061】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0062】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 猫捕獲収容装置
2 捕獲具
3 収容具
4 たも枠(捕獲具)
5 大径筒状部(捕獲具)
20a 捕獲開口部
20b 第1接続開口部(捕獲開口部)
21 捕獲ファスナー
22 捕獲側接続ファスナー(第1線ファスナー)
22c 務歯列(左第1務歯列)
22d 務歯列(右第1務歯列)
22e スライダー(第1スライダー)
31a 第2接続開口部
33 収容側接続ファスナー(第2線ファスナー)
33c 務歯列(左第2務歯列)
33d 務歯列(右第2務歯列)
33e スライダー(第2スライダー)
41 支持枠部
42 柄部
C 猫
H 捕獲器
【要約】
【課題】猫に対する捕獲作業と拘束作業のそれぞれの容易性を両立する。
【解決手段】捕獲具2と、と収容具3とを有する猫捕獲収容装置1であって、捕獲具2は、捕獲対象の猫Cを取り込むための第1接続開口部20b(捕獲開口部20a)と、収容具3を接続する側の第1接続開口部20bと、第1接続開口部20bを開閉する捕獲側接続ファスナー22と、を備えており、収容具3は、捕獲具2を接続するための第2接続開口部31bと、第2接続開口部31aを開閉する収容側接続ファスナー33と、を備えており、第1接続開口部20b及び第2接続開口部31aは、互いに略同一形状かつ略同一寸法で構成された、捕獲側接続ファスナー22と収容側接続ファスナー33とが、互いに噛合可能に構成されている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8