(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】適合プログラムの判定、プログラムの提供システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/70 20180101AFI20240820BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20240820BHJP
【FI】
G16H20/70
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2024105822
(22)【出願日】2024-06-30
【審査請求日】2024-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724002759
【氏名又は名称】キラル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下川 千草
(72)【発明者】
【氏名】中島 栄彦
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-016005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0380887(US,A1)
【文献】国際公開第2023/163236(WO,A1)
【文献】特許第7344423(JP,B1)
【文献】松隈 浩之 外,健康増進を目的としたゲーミフィケーションによる行動変容技法の実証研究,日本デジタルゲーム学会 第12回年次大会 予稿集 [online],日本,日本デジタルゲーム学会,2023年03月20日,pp. 120-123,Internet<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/digrajproc/12/0/12_120/_pdf/-char/ja>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末を含むシステムに
おいて、前記情報処理端末に、
ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能を前記情報処理端末の入出力装置を介してユーザに対して提供し、前記ユーザに前記ゲーム機能を実行させる手順、
前記複数の機能の前記ユーザによる実施結果を評価する手順、
その
評価手順から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定する手順、
前記判定されたタイプに関連付けられた、ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラムまたは自立支援プログラムのいずれかのプログラム、または、行動様式に関するコンテンツを前記情報処理端末を介して前記ユーザに対して提案する手順、を実現するためのプログラム。
【請求項2】
情報処理端末を含むシステムに
おいて、前記情報処理端末に、
ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための質問項目の質問をユーザに対して前記情報処理端末の入出力装置を介して提供し、前記ユーザの回答結果を取得する手順、
その回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定する手順、
前記判定されたタイプに関連付けられた、ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラムまたは自立支援プログラムのいずれかのプログラム、または、行動様式に関するコンテンツを前記情報処理端末を介して前記ユーザに対して提案する手順、を実現するためのプログラム。
【請求項3】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末であって、
前記端末記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかのプログラムのいずれかの複数の提供プログラムまたは行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記端末記憶装置に記憶され、
前記端末制御
装置は、
前記ゲーム機能を前記端末記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その
評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた前記提供プログラムまたは前記コンテンツを前記ユーザに提案する、情報処理端末。
【請求項4】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかの複数の提供プログラムと行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御
装置は、
前記ゲーム
機能を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記サーバ制御装置は、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その
評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたタイプに関連付けられた前記提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
【請求項5】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末であって、
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラム、または、行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記端末記憶装置に記憶された情報処理端末であって、
前記端末制御
装置は、
前記質問を前記端末記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し
て評価し、その
評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた提供プログラムを前記ユーザに提案する、情報処理端末。
【請求項6】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラム、または、行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御
装置は、
前記質問を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し、その回答を前記サーバに送信し、
前記サーバ制御装置は、
前記回答を評価し、その評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
【請求項7】
前記提供プログラムを前記ユーザに提案して実行させる請求項3または請求項5の情報処理端末。
【請求項8】
前記提供プログラムを前記ユーザに提案して実行させる請求項4または請求項6のシステム。
【請求項9】
ゲーミフィケーションに関する動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲームをユーザに対して提供し、前記ユーザに前記ゲームを実行させるステップ、
前記ゲームの実行後に、前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価するステップ、
前記評価するステップの評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定するステップ、
前記判定されたタイプに関連付けられたヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲーム、教育プログラム、または自立支援プログラムである提供プログラムまたは行動様式に関する複数のコンテンツを前記ユーザに対して実行可能に提供するステップ、とを有する、ユーザに適合したプログラムを提供する方法。
【請求項10】
ゲーミフィケーションに関する動機づけ項目を評価するための質問項目をユーザに対して入出力装置を介して提供し、前記ユーザの回答結果を取得するステップ、
その回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定するステップ、
前記判定されたタイプに関連付けられたヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲーム、教育プログラム、または自立支援プログラムである提供プログラムまたは行動様式に関するコンテンツを前記ユーザに対して実行可能に提供するステップ、とを有する、ユーザに適合したプログラムを提供する方法。
【請求項11】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかの複数の提供プログラムと、複数のインセンティブ機能と、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御
装置は、
前記ゲーム機能を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記サーバ制御装置は、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その評価
から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたタイプに関連付けられた前記インセンティブ機能を付加して提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
【請求項12】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラムと、複数のインセンティブ機能とゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御装置は、
前記質問を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し、その回答を前記サーバに送信し、
前記サーバ制御装置は、
前記回答
を評価し、その評価から得られた評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた前記インセンティブ機能を付加した提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザに適合したプログラムの判定、および、適合したプログラムの提供システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの情報処理端末が進化し、ユーザの携帯するスマートフォンで多くの機能が実現されるようになってきた。また、典型的になユーザによる継続利用が求められるプログラムとして治療の効果を高めるための心理療法を実施するための治療用のセルフケアカウンセリングモジュールなどが提供されるようになってきた。また、ゲームや教育用のプログラム等も商業的な観点から継続的に利用されることが望ましい。そして、継続的な利用が求められるプログラム等をユーザの情報処理端末に提供したのちに、ユーザが継続的にそのプログラムを情報処理端末を使って利用を続けるようにするための技術が着目されている。
【0003】
特許文献1には、患者の服薬状況を記録するためのプログラムに関して継続的に記録するためにアラートを発する技術が記載されている。特許文献2には、対象者の疾患が器質性か心因性かを判断し、心因性の場合に治療用のモジュールを提供する技術が記載されている。特許文献3には、ワークの利用実績に応じてワークを切り替える技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-119460広報
【文献】特許第7123294号広報
【文献】特開2023-047415号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、特定のプログラムを提供し、そのプログラムの継続率を向上させるためにアラートを発して、ユーザの離脱を防ぐ技術を開示している。また特許文献2では診断結果に応じて画一的な出力を提供する技術を開示するにすぎない。しかしながら、プログラムの種類によって、対象ユーザに対して適性がない場合がある、例えば、認知行動療法に基づくカウンセリングなどでは、うつ病の認知行動療法が薬物療法と同程度の有効性(抗うつ薬の有効率は60%程度)が示されている、つまり有効性を示さない場合があり得る。これは心理学的なプログラムだけに限られず、例えば、ゲームを提案するプログラムで、アクションゲームが好きなユーザにロールプレイングゲームを提案する、あるいは、教育用のプログラムを提供する際に、実際に実践して覚えるタイプの生徒に、読んで記憶するタイプのプログラムを提供するなどミスマッチが生じる。そこで、発明者らは、プログラムを提供するにあたり、従来のように提供されたプログラムの継続性を向上させるだけでは十分ではなく、ユーザが継続しやすいプログラムを提供しなければユーザのプログラムの継続的利用は図れない点に課題があることに気づいた。また、特許文献3のようにいったんワークを提供してからその実施状況に応じてワークを切り替える場合、ユーザからしてみると最初に提供されたもので相性が悪かったと感じた場合はワークが変更になっても再度挑戦しようという気にならない。とくに治療用アプリなどの場合はまだその効果が広く知られていないので顕著である。本願はこれらの課題(つまり、様々な分野のプログラムを提供する際のユーザの特性とのマッチング)を解決することを目的としている。そしてこれらの課題を有するプログラムとして、ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲーム、教育プログラム、または自立支援プログラムなどにおいて適用可能なシステムを開発することを目的とする。また、ユーザの特性評価についてはこれ以外にも人事評価システムなどでの利用も想定される。さらに、仮にユーザがプログラムに適性を持っていた場合でも媒体としてのユーザの情報処理端末の利用状況などの特性によって適性を示さない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明1)
情報処理端末を含むシステムに、
ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能を前記情報処理端末の入出力装置を介してユーザに対して提供し、前記ユーザに前記ゲーム機能を実行させる手順、
前記複数の機能の前記ユーザによる実施結果を評価する手順、
その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定する手順、
前記判定されたタイプに関連付けられた、ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラムまたは自立支援プログラムのいずれかのプログラム、または、行動様式に関するコンテンツを前記情報処理端末を介して前記ユーザに対して提案する手順、を実現するためのプログラム。
(発明2)
情報処理端末を含むシステムに、
ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための質問項目の質問をユーザに対して前記情報処理端末の入出力装置を介して提供し、前記ユーザの回答結果を取得する手順、
その回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定する手順、
前記判定されたタイプに関連付けられた、ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラムまたは自立支援プログラムのいずれかのプログラム、または、行動様式に関するコンテンツを前記情報処理端末を介して前記ユーザに対して提案する手順、を実現するためのプログラム。
(発明3)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末であって、
前記端末記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかのプログラムのいずれかの複数の提供プログラムまたは行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記端末記憶装置に記憶され、
前記端末制御部は、
前記ゲーム機能を前記端末記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた前記提供プログラムまたは前記コンテンツを前記ユーザに提案する、情報処理端末。
(発明4)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかの複数の提供プログラムと行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御部は、
前記ゲームを前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記サーバ制御装置は、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたタイプに関連付けられた前記提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
(発明5)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末であって、
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラム、または、行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記端末記憶装置に記憶された情報処理端末であって、
前記端末制御部は、
前記質問を前記端末記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し、その回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた提供プログラムを前記ユーザに提案する、情報処理端末。
(発明6)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラム、または、行動様式に関する複数のコンテンツと、ゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御部は、
前記質問を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し、その回答結果を前記サーバに送信し、
前記サーバ制御装置は、
前記回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
(発明7)
前記提供プログラムを前記ユーザに提案して実行させる発明3または発明5の情報処理端末。
(発明8)
前記提供プログラムを前記ユーザに提案して実行させる発明4または発明6のシステム。
(発明9)
ゲーミフィケーションに関する動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲームをユーザに対して提供し、前記ユーザに前記ゲームを実行させるステップ、
前記ゲームの実行後に、前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価するステップ、
その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定するステップ、
前記判定されたタイプに関連付けられたヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲーム、教育プログラム、または自立支援プログラムである提供プログラムまたは行動様式に関する複数のコンテンツを前記ユーザに対して実行可能に提供するステップ、とを有する、ユーザに適合したプログラムを提供する方法。
(発明10)
ゲーミフィケーションに関する動機づけ項目を評価するための質問項目をユーザに対して入出力装置を介して提供し、前記ユーザの回答結果を取得するステップ、
その回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定するステップ、
前記判定されたタイプに関連付けられたヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲーム、教育プログラム、または自立支援プログラムである提供プログラムまたは行動様式に関するコンテンツを前記ユーザに対して実行可能に提供するステップ、とを有する、ユーザに適合したプログラムを提供する方法。
(発明11)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかの複数の提供プログラムと、複数のインセンティブ機能と、ゲーミフィケーションに基づく動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲーム機能とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御部は、
前記ゲーム機能を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに前記情報処理端末を用いて前記ゲーム機能を実施させ、
前記サーバ制御装置は、
前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたタイプに関連付けられた前記インセンティブ機能を付加して提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
(発明12)
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末と、
サーバ制御装置とサーバ記憶装置とを有するサーバと、を含み、
前記サーバ記憶装置が
ヘルスケアプログラム、メンタルヘルスケアプログラム、ゲームプログラム、教育プログラム、自立支援プログラムのいずれかである複数の提供プログラムと、複数のインセンティブ機能とゲーミフィケーションに基づく動機づけに関する質問項目の質問とが前記サーバ記憶装置に記憶され、
前記情報処理端末とサーバがネットワークで接続されたシステムであって、
前記端末制御装置は、
前記質問を前記サーバ記憶装置から読み出し、前記入出力装置を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザの回答を取得し、その回答結果を前記サーバに送信し、
前記サーバ制御装置は、
前記回答結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのユーザタイプを判定し、
前記判定されたユーザタイプに関連付けられた前記インセンティブ機能を付加した提供プログラムを前記ユーザに提案するように前記情報処理端末へ指示する、システム。
発明1-12ではゲーム理論に基づく「動機づけ」によりユーザタイプを判定することに基づいている(「動機づけ」のユーザ特性により提供するべきプログラムとの適性を判断するもの)。ゲームは利用者に広く使われており、ゲームに関連した質問は一般的な心理的な質問に比べて格段にユーザに受け入れやすいもので、正確な情報を得ることができる。また、単に、ゲームの嗜好性などに基づく分類ではなく、ユーザがゲームを行う際の「動機づけ」要素を利用したことが本願発明の特徴である。動機づけは利用者であるユーザの根源的、あるいは、潜在的な行動特性の一つであり、その動機付けはゲームだけでなくその他の多くのプログラムに適用可能である。特に、ゲーム以外の、あるいは、ゲームと教育以外の、ゲームと(一見)関連のない用途、特にメンタルヘルスケア用途で有用である(この用途が多分に潜在的で心理的な要素に影響を受けるからである)。そして、これらの動機づけの要素を含む(ユーザに提供すべき)プログラムをユーザの動機づけに基づくユーザタイプと関連付けて、予め分類しておき、ユーザタイプの判定に基づいて、ユーザに適合したプログラムを提供するものである(関連付けの方法は後述するようにいろいろな手法が利用でき、その他の当業者に周知の方法も利用できる)。これによって、継続利用の期待でき、さらに提供するプログラムがゲームによる娯楽以外の目的を持つものであれば、その効果を向上させるプログラムを提供することができる。
さらに、ゲーム機能によって、ユーザの動機づけのユーザタイプを判定するアセスメントはユーザの無意識の行動が評価でき、ユーザにより適合したプログラムを提供する一助となる。また、さらに、他の特性(例えば、BIG5などの他の手法から求めた特性や、心理学的な特性、後述のような情報処理端末との適性など)を組み合わせて提供するプログラムを変えても良い)。
(発明13)
ユーザの情報処理端末と、
制御装置と複数のプログラムを記憶する記憶装置とを有するサーバと、を含むシステムであって、
前記制御装置は、
ユーザの情報処理端末から、前記ユーザの情報処理端末の利用状況を取得し、もしくは、前記ユーザの情報処理端末から、ユーザ特性に関する質問項目に対するユーザの回答と情報処理端末の利用状況とを取得し、取得されたこれらの情報から各々前記ユーザの前記複数のプログラムに対する適性に関する情報と前記ユーザの情報処理端末に対する適性に関する情報とを求め、前記複数のプログラムの中から、求められたこれらの情報に基づいて、プログラムを選択して決定し、前記情報処理端末に前記情報処理端末が決定された前記プログラムを端末上でユーザへ提供するように指示するシステム。
(発明14)
制御装置と、複数のプログラムを記憶する記憶装置を有する情報処理端末であって、
前記制御装置は、
前記ユーザの記憶装置から利用状況を取得し、もしくは、前記ユーザの入力装置を介して取得した、ユーザ特性に関する質問項目に対するユーザの回答と情報処理端末の利用状況とを取得し、これらの情報から各々前記ユーザの前記複数のプログラムに対する適性に関する情報と前記ユーザの情報処理端末に対する適性に関する情報とを求め、前記複数のプログラムの中から、これらの情報に基づいて、プログラムを選択して決定し、決定された前記プログラムを端末上でユーザへ提供する情報処理端末。
(発明15)
前記システムはさらに前記プログラムの選択時のユーザの状態に関する情報を取得し、その追加の情報をさらに用いて、前記プログラムを選択することを特徴とする発明13のシステム。
(発明16)
前記システムは前記ユーザの前記プログラムの実施状況に関する情報および/または前記プログラムの実施による効果に関する情報を取得することを特徴とする発明13のシステム。
(発明17)
複数のプログラムからユーザに適合するプログラムを提供するシステムに使われるデータベースシステムであって、
前記データベースシステムが、
複数のプログラムを記憶する記憶装置を有するサーバに含まれ、
前記記憶装置がユーザから取得されたユーザ特性に関する質問項目に対する前記ユーザの回答またはユーザの情報処理端末の利用状況から求められた前記ユーザの前記複数のプログラムに対する適性に関する情報、前記ユーザの情報処理端末の利用状況から求められた前記ユーザの情報処理端末に対する適性に関する情報、および、前記ユーザの前記プログラムの実施状況に関する情報または前記ユーザが前記プログラムを実施して得られた効果に関する情報と、プログラムの属性と、をセットとして記憶したデータベースシステム。
発明13-17では、(1)ユーザの情報処理端末の利用状況、つまり、ユーザが情報処理端末をどのように用いたか、情報処理端末でどのような情報を入力したか、などから、ユーザのプログラムとの適性と、ユーザの情報処理端末との適性とを求めること、あるいは、(2)ユーザに対しユーザの特性を明らかにする質問(音声や文字)を行い、その回答結果からユーザの特性を明らかにし、そのユーザ特性とプログラムとの適性と、ユーザの情報処理端末をどのように用いたかからユーザの情報処理端末との適性とを求め、提供するプログラムを選択して提供するものである。ユーザ特性は、心理療法的なもの、性格、行動特性、思考特性、志向特性、嗜好特性、動機づけ特性など様々な特性が含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報処理端末、システムまたは方法によれば、ユーザの特性に適合したプログラムを提案することができる。また、提案したプログラムをユーザが実施すれば、ユーザの提供されるプログラムの実施時の満足度が向上し、ユーザが継続的に提供するプログラムを実行するようになり、プログラムの意図する効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明で用いるアプリとアプリの属性の対応例を示す図である。
【
図3】本発明のヘルスケアアプリの動作フローと入力例を示す図である。
【
図4】本発明の提供プログラムの選択フロー(アルゴリズム)を示した図である。
【
図5】本発明で用いるデータベースの一例を示した図である。
【
図7】本発明で用いるユーザタイプと推奨ゲームの対応表である。
【
図8】本発明で用いるタイプと行動の一例の対応表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、プログラムを提供するにあたり、ユーザの提供プログラムへの適性、さらにはユーザが利用する媒体としての情報処理端末の利用状況などの適性を考慮して提供するプログラム自体を選択、修正、変更、することが必要であるという知見に基づく。
(本発明のシステム1)
本発明の一実施形態として、PC、ノートパソコンや、典型的にはスマホやタブレットなどの利用者の情報処理端末にインストールされたソフトウェアプログラムが挙げられる。
図1を用いてこのシステム1を説明する。システムは情報処理端末110からなる。情報処理端末110は、ヘルスケアプログラムを制御する制御装置101、記憶装置102、液晶モニタなどの表示装置103(ただし、出力は表示に限られず、音声などでもよい)、タッチパネルやキーボードなどの入力装置104、外部ネットワークとの通信用の通信装置105、バイタルデータを測定する測定装置106等を備える。また、情報処理端末110とインターネットや無線接続あるいは優先接続などのネットワークであるネット120を介して、腕時計型、イヤホン型、バンド型、身体貼付型などのウェアラブル端末や、トイレなどに設置された血糖値測定装置、スマートミラーに搭載された撮像装置などの据え置き型測定器である測定装置116を情報処理端末に内蔵された測定装置106に代えて用いても良い。本ソフトウェアプログラムはプログラムの各機能をシステムに含まれる各装置が連携して動作することによって実現される。
【0010】
(本発明のシステム2)
本発明の一実施形態として、PC、ノートパソコンや、典型的にはスマホやタブレットなどの利用者の情報処理端末とインターネット、無線通信ネットワークやCATV網などのネットワークを介して接続されたサーバからなるシステムにインストールされたソフトウェアプログラムが挙げられる。
図1を用いてこのシステム2を説明する。システムは情報処理端末110とネットワーク接続されたサーバ130からなる。情報処理端末110は、情報処理端末110の各機能(装置)の連携、ネット接続された機器(サーバの機能、装置など)との県警、情報処理端末側のプログラムを制御する制御装置101、記憶装置102、液晶モニタなどの出力用の表示装置103(ただし、出力は表示に限られず、音声などでもよい)、タッチパネルやキーボードあるいは音声入力用のマイクなどの入力装置104、外部ネットワークとの通信用の通信装置105、ユーザの入力やバイタルデータを測定する測定装置106等を備える。監視装置106は情報処理端末内のハードウェアデバイスだけでなく、ソフトウェアやアプリケーションプログラムの機能モジュールとして導入された機能モジュールとして実現されても良い。また、情報処理端末110とインターネット、CATV、無線電話、無線接続あるいは有線接続などのネットワークであるネットワーク120を介して接続された、腕時計型、イヤホン型、バンド型、身体貼付型などのウェアラブル端末や、トイレなどに設置された血糖値測定装置、スマートミラーに搭載された撮像装置などの据え置き型測定器である測定装置116を情報処理端末に内蔵された測定装置106に代えて用いても良い。また、サーバ130は、記憶装置133、ネットワーク120を介して情報処理端末110等の外部機器と連携するための通信装置131、サーバ130の制御、制御プログラムの実行、サーバ側のプログラムを制御、ネットワーク接続された機器(情報処理端末110の機能、装置などを含む)の制御、本システムにおいては情報処理端末110との連携を行う制御装置132を備える。また、前述のシステム1では情報処理端末110に本ソフトウェアプログラム、提供プログラムや必要なデータや情報等を実装してスタンドアローンで動作するシステムを例に挙げたが、システム2では、本ソフトウェアプログラム、提供するプログラムや必要なデータや情報をサーバ130の記憶装置133に記憶させ、サーバ130の制御装置132が、情報処理端末110を含めたシステムの全体を制御する形態、本プログラムや提供プログラムを記憶装置133および/または記憶装置102に記憶させ、また、必要なデータや情報を記憶装置133および/または記憶装置102に記憶させ、制御装置101および/または制御装置132が、それぞれの装置と連携しながら、本プログラムを実行する形態、サーバ130と情報処理端末110のそれぞれの記憶装置にプログラムやデータを分散させて記憶させ、またはいずれかに記憶させ、サーバ130と情報処理端末110の制御装置が連携して、またはどちららかの制御装置が主体になり残りのものと連携してそれぞれに含まれる機能を制御し、あるいは、サーバ130にプログラムやデータを集約し、情報処理端末は単なるウェブブラウザやタッチパネルを入出力装置として利用した構成とすることも可能である。さらに、本プログラムはソフトウェアプログラムを想定しているが、本プログラムのそれぞれの機能に対応した機能を果たすハードウェアで、その機能の一部または全部を置き換えることも可能である。これらの構成については当業者が適宜選択して決定することができる。
【0011】
測定装置106の例としては、心拍数・心拍変動、呼吸数、血圧、体温、音声、睡眠、体表温などの直接バイタルデータを測定できるもの、音声通話などの会話量や、SNSなどでのつぶやきなどを積算する積算器、加速度計、GPSから移動距離を算出し、さらに算出される活動度や歩行速度の二次的に算出されるバイタルデータを測定できる計算手段やデバイスが利用可能である。バイタルデータの例として歩行速度と心拍数、通話や肉声の測定が挙げられるがこれに限定されるものではなく、体温上昇、皮膚の電気抵抗の変化、血圧変化、血流量変化、睡眠時間、体重、歩数、活動量やその他の当業者に周知の様々なバイタルデータが本発明で利用できることは言うまでもない。また、バイタルデータの測定として、測定装置106が対象者が意識することなく測定可能なバイタルデータ、歩行速度や、対話の分析、トイレ利用時の血糖値測定、洗面所のスマートミラー内蔵撮像素子による心拍測定、床に設置された体重計による体重測定などのパッシブなデータであると特に都合が良い。さらに、ユーザのモバイル端末に常駐して起動しており、常時駆動としての測定や、スマートハウスによる各種バイタルデータの測定などの無意識状態の測定ができると都合がよい。バイタルデータによるストレス度の測定は例えば、ユーザの音声(肉声)からストレス度を測定する手段(例えば、特開2011-167323のような周知な方法)、歩行速度からストレス度を測定する手段(例えば、再表2018/190384のような周知な方法)、心拍数からストレス度を測定する手段(例えば、特開2023-117940のような周知な方法)、顔画像からストレス度を測定する手段(例えば、特開2023-031520のような周知な方法)などが利用できるがこれに限られず、周知の方法が利用可能であることはいうまでもない。また、情報処理端末の利用状況(利用履歴やSNSなどでの入力情報のなどが含まれる)の解析からのユーザ特性を把握する手段なども利用できる。本ソフトウェアプログラムはプログラムの各機能をシステムに含まれる各装置が連携して動作することによって実現される。
【0012】
(ユーザの実施する提供プログラムへの適性)
本発明で対象とする提供プログラムとしては、心理療法を提供するプログラム、治療用アプリ、ヘルケアプログラム(健康管理プログラムを含む)、セルフケアプログラム、ゲームや教育プログラムやコンテンツなどユーザの適性が関わるようなもので、主に、情報処理端末を介してユーザに提供されるプログラムが含まれる。ここでは、ユーザへ提供するプログラムの一例として認知行動療法を実施するプログラムを例示する。また、ヘルスケア用のシステムの場合は、オンラインの診療等の医師による診療が含まれる場合もある。この認知行動療法のプログラムはたとえば、うつ病の患者に提供するプログラムである。プログラムは、典型的には、患者の状態をアセスメントするための指標(CPRG-D、CSDD、IDS、HAM-D、NDDS、PHQ-9などのうつ病の状態、GAD-7のような不安障害の状態を測る指標やその他の疾患の評価指標も用途に応じて利用できる)をシステムの記憶装置に記憶し、それらの質問項目や患者の状態や患者を取り巻く状況などに基づいた質問をユーザの情報処理端末を介してユーザに対して行い、ユーザの入力装置による回答結果をシステムのサーバで分析し、分析結果に基づいて、患者の症状を改善するための心理療法(認知再構成法、エクスポージャー法、曝露反応妨害法、行動活性化療法、社会技能訓練(SST)、問題解決療法、リラクゼーション法、アサーショントレーニング、アンガーマネジメント、系統的脱感作、バイオフィードバック、スキーマ療法、弁証法的行動療法等)を実施するための、動画コンテンツ、音声コンテンツ、患者とのチャットボット形式等による対話などのワークを提供するものであり、単独あるいは複数のワーク、エクササイズ、教育コンテンツの組み合わせからなるプログラム(シナリオ)である。
また、認知行動療法のような心理療法についてはその心理療法のプログラム自体に適性がない人と、その対象者の状態あるいはおかれた環境がその時点でそのプログラムを提供することに適していないという2つのパラメータを考慮するとさらに提供プログラムの選択の妥当性が向上すると考えられる。つまりユーザのプログラムへの適性と、ユーザのプログラムの実施時点での状態に基づく適性との二つのパラメータがありえる。
【0013】
(認知行動療法のプログラムへのユーザの適性について)
(1)認知行動療法では今まで体験した苦痛な出来事や負の感情に改めて向き合うことが必要なため、苦い体験や不安感に向き合えない人、(2)認知行動療法は、治療者との面談で話をするだけでなく、課題を明確にして日常生活の中で実際に試していくことが求められるため、治療に対して受け身な人、(3)認知行動療法では、治療者である医師やカウンセラー(本実施例ではシステムとの対話など)と一緒に自分の考えや行動、ストレスについて話し合い、新しく生まれた価値観に沿ったチャレンジをすることは治療において大切(本実施例の場合は情報処理端末との対話等で代用)ですが、中には議論が目的になってしまい、治療を進めていく過程で生まれた新しい認知や行動について揚げ足をとったり、最初から「出来ない」と決めつけたりして新しい行動や挑戦が出来なくなってしまう方、については認知行動療法の効果が期待できないのでこれらの要因をまず確認する必要がある。
次に、ユーザの状態とは、(4)現在精神が不安定で、調子が悪い、あるいは、(5)今は自分を変えたくないと思っているなどがその要因であり、これらを確認する必要がある。
(1)については、問診項目として、「過去のつらい経験に向き合うことができるかどうか」といった質問項目を設け、システムからユーザの情報処理端末を介してユーザの回答を促し、ユーザの回答を例えば10点法で取得し、7点以上(向き合うことができない傾向が強い場合)に「不適」というように評価することができる、(2)については、問診項目として、「アプリで提供されるプログラムに従って、積極的にプログラムを実践できますか」のような質問項目を設け、(1)同様に、プログラムを実践できないと評価された場合に「不適」と評価することができる、(3)については、「あなたは、本アプリの教示を受け入れることができますか?」のような質問項目を設け、(1)同様に、アプリの教示を受け入れることができないと評価された場合に「不適」と評価することができる。
【0014】
評価の仕方はこれに限られず、簡単なテストを行って評価することもできる。たとえば、心理療法の適性評価として、シロクマ実験を実施することができる。シロクマ実験をアプリで実践する方法は、記憶装置に記憶されたシロクマ実験の提供プログラムをシステムの制御装置が所定の手順に従ってユーザに提供することで実現される。まず、制御装置は、シロクマ実験の提供プログラムの手順に従って、ユーザの情報処理端末の表示部に「白くまのことを1分間絶対に考えないでください」と表示させ、ユーザがそのワークを実施するようにする。そして、1分経過後に、表示部に、「1.シロクマのことを考えてしまった、2.シロクマのことを考えなかった、3.ワークを実施しなかった」の選択肢を表示させ、ユーザがいずれかを入力装置を介して選択するように促す。ユーザの入力結果を制御装置に戻し、制御装置は所定のルーチンに従って適正評価を行う。適正評価は適宜設計して行われるが、一例として、1、2を選択した場合は適性あり、3を選択した場合は適性なし、あるいは、1分経過する前に入力された、あるいは入力待機時間が1分を超えても入力がなされなかったという場合にやはり適性なしと評価するといったことが考えられる。心理療法への適性は他の周知の方法を用いることもできる。
【0015】
また、心理療法に限らず、提供されるプログラムへの適性は性格判断のような手法を用いても行うことができる。たとえば、BIG5理論を用いた場合、「外向性(社交的、活発な人柄、自己主張の強さ、積極性、刺激を求める)、情緒安定性(気持ちの安定性、不安の感じにくさ、ストレスへの強さ、おおらかさ)、開放性(好奇心の強さ、知性、新しい情報への興味、芸術性、冒険心)、誠実性(勤勉さ、責任感、信頼されやすい人柄、裏表のなさ、約束を守る)、調和性(協調性、協力的、同調的、思いやり、気遣いができる、親切心)」の5つの特性が評価できる。また、このBIG5理論によりプログラムへの適性を求める場合には、BIG5理論に基づく質問項目を記憶装置に記憶しておき、制御装置は適正評価をリクエストされると、この質問項目をユーザの情報処理端末の表示部に表示させるように制御し、入力装置によるユーザの回答を得て、BIG5理論に基づく所定のルーチンで分析を行い、上記特性を評価する(例えばそれぞれの特性について5段階)。事前に上記特性と提供プログラムの適性への評価を行っておき、その対応関係を記憶装置に記憶しておく。そして、特性の評価結果と対応関係を比較し、ユーザの提供プログラムへの適正を評価する。たとえば、提供プログラムを継続的に実施するには、開放性の評価値、誠実性の評価値および調和性の評価値のいずれもが4以上であることが必要とされていた場合は、対象者の特性の評価結果がこれを満たすかどうかで適性を判断することができる。プログラムへの適正評価法はこれに限られず、たとえば、スマートフォンの利用履歴等から同様の特性を評価し(例えば、特開2022-189376性格予測モデルなどを用いても良い)、用いるといったことも可能で、それ以外の既知の評価法(例えば、SNSでの“つぶやき”からユーザの行動特性を評価するといった周知の評価法で、行動特性を分類し、その行動特性に基づいた評価法を用いることができる)、今後開発される評価法を利用することもできる。特性についても上記特性だけでなく他の特性とプログラムとユーザの親和性あるいは継続性との相関があるものがあれば用いることができる。単純に、同種のアプリの過去の継続率などを評価するといったことでもよい。こういった、ユーザの過去の履歴などを利用したり、パッシブにデータを取れるものはユーザに新たな作業を求めることがないのでユーザの利便性を向上することができる。プログラムの適性はその他、周知の方法で代替えできる。たとえば、提供するプログラムと同種のプログラムの適性などを利用することができる。BIG5だけでなく、類似の特性分析手法もできる、例としてはエニアグラム、MBTI、 BIDR-6、BFI-10など周知のものが利用できる。
【0016】
次にユーザの状態(対象者がその時点でその提供プログラムの提供を受けるに適した状態、あるいは環境にあるか)について、(4)現在精神が不安定で、調子が悪い、あるいは、(5)今は自分を変えたくないと思っているなどがその要因であり、これらを確認する必要がある。
(4)についても(1)-(3)のように単純な質問枝で主観的な意見として情報を収集して判断しても良いが、例えば、簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)を用いることができる。QIDS-Jはその評価点によって、0-5点:正常、6-10点:軽度、11―15点:中程度、16-20点:重度、21-27点:きわめて重度と評価できる。この尺度の質問項目を記憶装置に記憶し、制御装置からのリクエストに応じて読み出し、情報処理端末の表示装置103を介してユーザに提供し、ユーザが情報処理端末110の表示装置103の質問項目に入力装置104を介して回答し、その回答結果を記憶装置102に一時的に記憶し、制御装置101が入力結果を分析して点数付けし、症状の程度を評価することができる。ここで、たとえば、21点以上の場合は重症として認知行動療法を提供する治療用アプリによる治療に適性ではないと判断する。
(5)については、ユーザに対して(1)―(3)と同様の簡単な質問項目で例えば、「あなたは現在の抑うつ状態を本治療プログラムで改善したいですか?」といった質問をシステムが情報処理端末110の出力装置104を介してユーザに行い、ユーザは情報処理端末110の入力装置104を介して結果(1.改善したい、2.改善したくない)を入力し、ユーザが改善したくないを選択した場合、システムは治療プログラムを不適と判断することができる。
【0017】
(ゲーミフィケーションの動機づけによるユーザタイプの分類方法)
次に、ゲームへの動機づけを利用した提供プログラムとの適性について説明する。本例は、ゲーミフィケーションの動機づけの分類技術をヘルスケア用途、特にメンタルヘルスケア用途に適用するために、そのユーザ特性(ユーザタイプ)に適合したヘルスケアプログラムを提供することでユーザの継続率を向上することができるという発明者らの知見によるものである。なお、ゲーミフィケーションで用いられる動機づけはヘルスケア用途に限られず、ゲームの適性、教育や人事評定などに用いることもできる。ユーザの動機づけやその特性を示すものとして、例えばMarczewski等が提案したHexad Scaleなどが利用可能である。Hexad Scaleとは、その尺度の質問項目に対するユーザの回答結果を集計し、その所定の統計分析により、ユーザタイプをPhilanthropist、Achiever、Free Spirit、Socializer、Player、Disruptorの6つに分けるものである。本例では、ユーザタイプに関する質問項目(システム(情報処理端末でスタンドアローンで動作する場合は情報処理装置(サーバまたは情報処理端末の記憶装置)に記憶されている)の24問(質問項目の内容は、例えば、日本デジタルゲーム学会第13回年次大会予稿集 180ページ表1の質問項目を利用できる)を、所定のタイミングでサーバまたは情報処理端末の制御装置が読み出して、ユーザの情報処理端末を介してユーザに提供し、ユーザが7件法で情報処理端末の入力装置(典型的にはタッチパネル上のチェックボックスへのタッチ)を介して回答を入力し、システムはその回答を一時的にシステムの記憶装置に記憶し、それぞれのユーザタイプに対応付けられた質問への得点をそれぞれのタイプごとに集計し、その集計結果によってユーザのタイプを決定することができる。本例では単純化のために、ユーザの得点が最も高い評価点を獲得したタイプをそのユーザのユーザタイプとする。但し、ユーザのタイプ分けの方法はそれだけに限られず、各タイプの基準点を予め設定しておき、そこからの正の乖離(点数、割合など)が大きいタイプをそのユーザのタイプとする分類、各タイプの得点のパターン、例えば、そのレーダーチャートで表現したときのパターン、での分類、相関するタイプで集計してその合計値による分類、など他の分類法が利用できることはいうまでもない。また、ゲームでの動機づけの分類としてはHEXAD SCALEにかぎられず、Bartle testに基づく評価尺度の質問項目へのユーザの回答に基づく「achiever」「explorer」「killer」「socialiser」などの分類や、BrainHexを利用したプレイヤーを「Seeker」「Survivor」「daredevil」「Mastermind」「Conqueror」「Socialiser」「Achiever」などの分類も利用可能である。なお、上記分類に限られる、achiever80%、killer20%のように組み合わせた分類を用いても良い。これらのゲーム理論で用いられる分類は、ユーザがゲームになじみが深く、妥当性が高く、また、質問項目に対するユーザの忌避感が弱いなどが想定され、優れている。
次に各タイプに応じたアプリを選択する。典型的には記憶装置102(システム2の場合は記憶装置133でもよい、また、後述する関連付け情報、データ、提供プログラムは同じく記憶装置133に記憶しても、記憶装置102に記憶しても分散して記憶しても、それぞれ、別の記憶装置に記憶しても良い)に各タイプと、最適な提供プログラムの対応関係を示した関連付け情報としてのリスト(一つのタイプに一つのプログラムを対応づけても良いし、一つのタイプに複数のプログラムを関連付けても良い)を記憶しておく。そして、そして、上述のようにユーザのタイプが判定されると、制御装置101(システム2の場合は制御装置132でも、それぞれの制御装置の連携でもよい)はそのリストを読み出し、ユーザのタイプと対応付けられた提供プログラム(あらかじめユーザに提供されることが想定される複数の提供プログラムが記憶装置102に記憶されている)をユーザに提案する。提案の方法は提案プログラム名やそのリストを情報処理端末の表示装置103で表示する形式でも、提供プログラムの実施形式に応じてユーザが提供プログラムを実施可能に提示し、ユーザの利用を促すようにしても良い。例えば、提供プログラムがヘルスケアアプリ(プログラム)であった場合、ユーザはそのヘルスケアアプリを情報処理端末110を利用して実施する。なお、提供プログラムの選択方法は上記に限られず、記憶装置に記憶された提供プログラムのファイルのヘッダ情報に適合するタイプ情報を予め書き込んでおき、制御装置101(システム2の場合は制御装置132でも、それぞれの制御装置の連携でもよい)が記憶装置102(システム2の場合は記憶装置133でもよい)上の提供プログラムのヘッダファイルを検索し、ユーザに適合した提供プログラムを選択する、あるいは、本システムで動作する本ソフトウェアプログラム自体に、ユーザタイプにより場合分けを行い、ユーザタイプごとに対応する提供プログラムを割り振るようにあらかじめプログラミングしておくといった当業者に周知の方法が利用可能で、その対応関係を示す関連付け情報をシステム内に記憶させ、候補となる複数の提供プログラムの中から、その情報に基づいて選択や判定するようにすることもできる。また、それぞれの質問項目の評価点のパターンによる対応付け、統計処理による対応付け、クラスタ分析による対応付け、条件分岐による対応付けなども利用できる。また、提供プログラムはヘルスケアプログラム、特にメンタルヘルスケアプログラム、認知行動療法のプログラムであると都合がよいが、これに限られず、ゲームや教育プログラムなど他のコンテンツとユーザタイプを関連付けてユーザに提案するようにしても良い。ゲーム理論に基づく動機づけに基づくタイプの分類を行うことは、単なるユーザの意識している嗜好性などの特性による分類と異なり、根源的、あるいは潜在的な特性に基づいているので、それに基づく分類は非常に信頼性が高く、また、そのユーザの行動の根本原理にもとづいているので、その分類に適合したプログラムを提供することは、単に適しているだけでなく、継続利用の観点からも非常に優れたものである。
【0018】
(スマートフォン用ゲーム機能によるユーザタイプの分類方法)
図6に一例としてのスマホアプリのゲームの概略を示した。スマホアプリはスタートから基準期間(例えば、1時間とか1日とか適宜設定される)の情報処理端末(GPSや加速度センサを含み、歩行の方向や、歩数をカウントする機能を有する)を携帯するユーザの歩行の履歴に関する条件をクリアすると1段階ごとに進んでいきゴールへ進むものである。アプリの形式としてはユーザの情報処理端末にインストールされて実行するネイティブアプリでも、情報処理端末は表示を含む入出力装置として利用し、サーバ上で実行されるウェブアプリ、実行のための機能が情報処理端末とサーバの各部分で分担されて記憶、実行されるアプリのいずれでも構わない。ゲームの目的としてはスタートから始まり、ゴールへ到達することと、歩行距離によるダイエットを意図したものである。ゲームの制御方法については当業者周知であるので詳細は省略する。ゲームとしては、本ソフトウェアプログラムの一つの機能として実行されても、別のゲームのアプリを本プログラムから呼び出して実行するものでも構わない(ここでは便宜上いずれの場合も「ゲーム機能」と呼ぶ)。図において、段階と段階の間で、クリアしたところは点線矢印、クリアしていない段階へは実線矢印が記載されている。つまり、この状態は2段階をクリアし、3段階目にチャレンジしている状態を指している。段階の下のBOXにはその段階の達成条件が示され、クリアしていない段階の達成条件は隠されている(三段階以降)。ゲームはスタートから始まり、一日の歩数が達成条件を満たすと、次の段階へ、満たさないと同じ段階を繰り返すという制御を繰り返し、ゴールに到達するとゲームクリアとなる。ここで、各段階の達成条件(クリア条件)をクリアした場合のみ条件が表示されるので、歩き回ってみたがその日は条件を達成できなかった、少ししか歩かなかったが達成できたなどといったゲーム性が生じており、ユーザに楽しみを与える。ユーザは段階をクリアすると表示装置103と入力装置104を利用して、おみくじを引くことができる。達成条件が満たされると、表示装置103におみくじの画面がポップアップ表示され、ユーザが所定の部位をタッチすることで、ランダムな組み合わせの3つのアイテムが表示され、ユーザがその一つをタッチパネル上で選択することによって取得することができる。ユーザの現状の段階に関する情報、歩数、取得アイテム情報などはシステムの記憶装置に記憶される。さらに本スマホアプリには6つの下記の機能が備えられている。機能(i―v)はゲーム画面に設置されたタッチボタン(図示しない)を押下することによって利用することが可能で、操作されるとポップアップ表示され、所定の表示が行われ、所定の時間経過後に表示が消去される。
(i)ダイエット機能 歩数から一日当たりの消費カロリーを計算する機能で、当日の消費カロリーとゲームを始めてからの合計消費カロリーが表示により確認できる機能。
(ii)チャレンジ機能
図6には各段階とクリア条件が記載されている。クリア条件は3つの条件の一つがクリアされていたらその段階がクリアとなり次の段階に進む。クリア条件を満たした数で一つだと1ポイント、二つだと2ポイント、三つだと3ポイントが獲得でき、それらのポイントの各段階での獲得ポイントと、いままでクリアしたステージの合計ポイント数が表示されており、確認できる機能。
(iii)グループランキング機能 3人の他のユーザーとグループを作り、消費カロリーの合計値およびポイント数の合計値が全グループ内で何番目かが表示により確認できる機能。
(iv)個人ランキング機能 消費カロリーの合計値およびポイント数の合計値が全ユーザー内で何番目かが表示により確認できる機能。
(v)獲得アイテム表示機能 ユーザはステージ(段階)クリアごとに少なくとも1回のおみくじを引け、引いたおみくじで指定される複数のアイテムから好みのアイテムを選択することができ、獲得したアイテムを一覧表示する機能。
(vi)エラーアラート機能 ユーザの操作により、ゲームのプログラムの実行でエラーが発生したとシステムからの警告を出す機能
本スマホゲームのアプリケーションプログラムでは上述のすごろくのようなゲームの機能をユーザに提供するほかに、上記、5つの機能(i-v)のそれぞれをユーザが利用した回数(ユーザが機能ボタンをタッチした回数)と1つの機能(vi)の警告回数をそれぞれ集計する機能を有している。本アプリではこれらの機能の利用回数等を評価し、それに基づいてユーザの特性を判定する。
【0019】
次に、本アプリの動作を説明する。ユーザがゲームを起動すると、システムは、その日の開始した00:00から、1時間ごとに情報処理端末に備えられた加速度センサーとGPS情報により、ユーザの歩数と、計測の開始時点と1時間後のユーザの位置の東西南北の位置の変異を測定し、一番変異の多かった方向をその時間の移動方向とし、1時間ごとに、歩数と方位をペアとして記憶装置に記憶する。そして、24:00になった際に、記録されたペアのうち条件を満たすものの数を測定する。たとえば、
図6のように2段階(S03)をクリアしたユーザが翌日のチャレンジに進んでいる状態で、その日の記憶されたペアで歩数が大きいものの順に、東500歩,西500歩、南200歩、・・・だったとすると、S04の条件の東500歩だけを満たしたこととなる。この場合は、ユーザは一つの条件を満たしているのでS04をクリアしたものとして翌日は四段落に進む。また、一つの条件を満たしているので、一回おみくじを引くことができ、指定された複数のアイテムから一つを選択し、その選択されたアイテムが記憶される。また、システムはその日のユーザの全歩数をカウントして、予め入力されたユーザの体重と歩数の関係から当日の消費カロリー数を計算し、日付ごとの消費カロリー数と合計消費カロリー数を記憶する。また、システムは、日付ごとの獲得ポイントと、日付ごとの発出エラー数、ユーザが指定したグループでの消費カロリーの合計値、日付ごとのユーザの消費カロリーなどを記憶装置に記憶する。そしてユーザはこのゲームのスタートからゴールまでを実践し、その間に前述の機能を任意に読み出して確認する。また、機能が全く読みだされない(ボタンが押されない)、所定の期間が過ぎてもゴールしないというときは所定の期間の経過後にユーザのタイプを評価する。
【0020】
ユーザがゴール(S05)に到達すると、システムは、スタートからゴールまでの到達日数を記憶するとともに、ユーザの各機能の読み出し回数とエラーの回数を記憶装置から読み出し、エラー回数が所定回数よりも少ない場合、たとえば、消費カロリー表示機能の回数が最も多いユーザは、利他的で、報酬を期待せずに与えようとする、目的と意味によって動機付けられるユーザータイプであるPhilanthropistタイプ、ポイント表示機能の回数が最も多いユーザのタイプは、能力によって動機づけられ、タスクを完了することによってシステム内で進歩しようとしたり、困難な課題に取り組むことによって自分自身を証明しようとしたりするユーザタイプであるAchieverタイプ、獲得アイテム表示機能が最も多いユーザのタイプは、自律性を重要視し、独立のために創造性によって動機づけられ、探索することを好むユーザータイプであるFree Spiritタイプ、グループランキング表示回数が最も多いユーザは、関連性によって動機づけられ、他人と交流し、社会的なつながりを作りたがるユーザータイプであるSocializerタイプ、個人ランキング表示回数が最も多いユーザは、外発的な報酬によって動機づけられ、活動の種類に関係なく、システム内で報酬を得るためなら何でもするユーザータイプであるPlayerタイプと判定する。同じ回数の場合に備え、予め優先順位を各タイプの間で設定しておく。エラー回数が所定回数より最も多いユーザーあるいは所定の期間が過ぎてもゴールしないユーザは、変化の引き金となることに動機づけられ、直接的にあるいは他者を通じてシステムを破壊し、変化を求めるユーザータイプである、Disruptorタイプと分類する。そして、システムは判定された、ユーザのタイプを記憶装置に記憶する。この時、自動的に、あるいはユーザの情報処理端末を介したリクエストに応じて、情報処理端末の表示装置を介して、ユーザにユーザのタイプを識別可能に表示してもよい。また、これに限られず、ゴールまでの到達日数を上記回数と比較可能な数値に変換してAchieverタイプなどの評価点としても良いし、単純に参照回数を比較するのではなく、それぞれの参照回数を正確に比較可能な点数に変換(平均値からのずれや過去のタイプ判定の妥当性に基づいて)して評価点としても良い。
【0021】
また、本実施例では読み出し回数が最も多いものをそれぞれの特性を持つものとしてユーザを分類したが、それに限られず、規定値からの乖離が大きい(数値、割合など)もの、それぞれの要素のパターンなどで分類するなど他の分類方法が利用できることは言うまでもない。
ここで、分類は上記に限られず、所望の動機づけや行動特性を対象とする分類としてもよく、それぞれの分類の特性を測定可能なゲーム要素をユーザに提供するゲーム機能に搭載すればよい。また、上述の機能では回数を基にしているが、測定するゲーム要素に応じて、他の評価可能なパラメータを用いても良いことはいうまでもない。また、分類としては、発明者らがいくつかの分類を試したところ、ユーザが過度に意識することなく実施できるゲームに基づくもの、特にHEXAD SCALEを応用したものが最も妥当性が高かった。そこで、HEXAD SCALEに基づく指標をベースにし、少なくともその分類をいくつか利用すると都合がよい。さらに、用途に応じて、例えば、人事評定などに用いることを意図した場合、動機づけの一種でもある、実施者の大事にするものなどが把握できることが好ましい。その場合、上記例でおみくじで得られるものとして、メンツや地位のカテゴリのもの(ひげ、勲章など)、家族のカテゴリのもの(家、ファミリカーなど)、金銭・豊かさを意図するもの(金塊、スポーツカー)などからひとつずつ選択できるようにして、おみくじを引いた時に得られるアイテムでどのカテゴリのものが多いか、その割合などからユーザの人生において大切にするものなどを評定するようにするなどの修正もできる。
また、各要素を追加するゲーム本体として本例では「すごろく」のようなゲームのアプリケーションプログラムを例示したがこれに限られず、シミュレーションゲーム、アクションゲーム、ロールプレイングゲーム、シューティングゲーム、ノベルゲーム、レーシングゲーム、パズルゲーム、音楽ゲーム、育成ゲーム、トレーディングカードゲーム、アドベンチャーゲームなど周知のゲームを用いても構わない。
【0022】
次に各タイプに応じたアプリを選択する。典型的には記憶装置102に各タイプと、最適な提供プログラムの対応関係を示したリストを記憶しておく。そして、そして、ユーザのタイプが決定されると、制御装置101はその対応表を読み出し、ユーザのタイプと対応付けられた提供プログラム(あらかじめユーザに提供されることが想定される複数の提供プログラムが記憶装置102に記憶されている)をユーザに提示し、提供プログラムの実施形式に応じてユーザが提供プログラムを実施する。例えば、提供プログラムがヘルスケアアプリであった場合、ユーザはそのヘルスケアアプリを情報処理端末110を利用して実施する。なお、提供プログラムの選択方法は上記に限られず、記憶装置に記憶された提供プログラムのファイルのヘッダ情報に適合するタイプを書き込んでおき、制御装置102が記憶装置上の提供プログラムのヘッダファイルを検索し、ユーザに適合した提供プログラムを選択するようにするといった当業者に周知の対応関係を示す対応付け情報をシステム内に記憶させ、その情報に基づいて選択するようにすることもできる。また、それぞれの呼び出し回数のパターンによる対応付け、統計処理による対応付け、クラスタ分析による対応付け、条件分岐による対応付けなども利用できる。また、提供プログラムはヘルスケアプログラム、特にメンタルヘルスケアプログラム、認知行動療法のプログラムであると都合がよいが、これに限られず、ゲームや教育プログラムなどとユーザタイプを対応付けてユーザに提供するようにしても良い。
【0023】
(ユーザが利用する媒体としての情報処理端末の利用状況、ユーザの情報処理端末との親和性、情報処理端末との適性)
ユーザの情報処理端末の利用状況つまりユーザの情報処理端末への適応性は、たとえばユーザが該当のプログラムを所有するスマートフォンで行う場合は、過去のスマートフォンの利用状況の履歴を確認することで実施することができる。なお、プログラムを職場のPCなどで実施する場合にはその利用履歴などが確認できる。なお、利用履歴に限られず、ユーザに対して、情報処理端末との親和性や、コンテンツやプログラムの提供様式についての質問項目を設け、ユーザに対して情報処理端末を介した質問の提示と、情報処理端末を介した回答の取得、および制御部でのその回答の分析から提供様式を決定するようにしても良い。
利用履歴の確認方法の一例としては、本システムの制御プログラムを情報処理端末に常駐させ、過去1か月のアプリの利用状況を記憶部に記憶させる。利用状況としては、例えば、すべてのアプリの実際の利用時間、各アプリの積算利用時間(全体に対する割合など)を評価する。また、スマートフォンの利用状況として、(1)あまり利用しない人、(2)受け身型、(3)相互型、などに分類する。分類はさらに細分化しても良い。
ここで判断の例として、3者の評価例を示す。Aさんは、積算利用時間60分、動画視聴20%、チャットアプリ80%、Bさんは、積算利用時間60時間、動画視聴90%、チャットアプリ10%、Cさんは、積算利用時間30時間、動画視聴20%、チャットアプリ70%、文書作成10%だったとする。まず、提供アプリの想定される1日当たりの利用時間が5分だったとすると、一日5分以下の利用者は(1)のあまり利用しない人として不適とされる。次にBさん、Cさんの利用履歴について、制御部は記憶部に記憶されたアプリとアプリの属性の対応リストと各者の利用状況を比較し、各者の利用タイプを分析する。このリストは分析のタイプによって適宜設定できる。このリストの一例が
図2に示されている。ここで、Bさんについては受信型90%、双方向10%で、種別Aが多いのでAタイプ、つまり受け身型と評価され、Cさんについては受信型20%、双方向70%、送信型10%、種別Bが多いので相互型と評価される。結果として、Aさんは適性なし、Bさん、Cさんは適性あり、あるいはBさん、Cさんについてはさらに細分化して、Bさんはタイプ(2)、Cさんはタイプ(3)のように判断しても良い。
ただし、情報処理端末への適性の評価方法はこれに限られず、利用状況を問う質問枝を用いてユーザの主観的な評価の入力を求めてその評価結果を用いても良いし、その他の周知の方法を用いても良い。たとえば、ユーザの情報処理端末の使用状況と対象となるプログラムと同種のプログラムへの適性を教師データとして機械学習させておき、プログラムを提供しようとするユーザ情報をこの学習データに照らし合わせてAIで適性を判断するようにしても良い。本実施例のようにゲームを行ないながらアセスメントを行うと、ユーザはユーザ特性を意識することがなく、アセスメントを行うことが可能で、ユーザの特性を正確に把握することができる。さらに、ゲーム理論に基づく動機づけに基づくタイプの分類を行うことは、単なるユーザの意識している嗜好性などの特性による分類と異なり、根源的、あるいは潜在的な特性に基づいているので、それに基づく分類は非常に信頼性が高く、また、そのユーザの行動の根本原理にもとづいているので、その分類に適合したプログラムを提供することは、単に適しているだけでなく、継続利用の観点からも非常に優れたものである。
【0024】
(メンタルヘルスケアアプリ)
次に
図3(a)のフローを参照しながら、メンタルヘルスケアアプリの例を示す。本メンタルヘルスケアアプリは、メンタルヘルスのセルフケア/維持/改善/治療用の複数のワークが意味のある順序で組み合わせられたプログラムとして提供される、提供プログラムであり、記憶装置102に記憶されている。この提供プログラムは記憶装置102に記憶された制御プログラムによって提供されるものである。提供プログラムは、動画コンテンツからなる心理教育(201)、チャットボットや、動画コンテンツ、音声コンテンツからなる漸進的筋弛緩法、腹式呼吸法、視覚イメージ法などのリラクゼーション(202)のワーク、行動活性化などのストレスマネジメント(203)のワーク、認知再構成法(204)、マインドフルネス瞑想などのマインドフルネス(205)のワークが含まれる。これらの心理教育やワークが治療効果をもたらすための所定の順序(例えば、201、202、203、204、205の順)に従って、スマートフォン等の情報処理端末110の入力装置104を介して必要なやり取りを行い、表示装置103上でアイコン形式で表示され、タッチパネル等の入力装置(
図3(b))で選択されることによって、ユーザに提供される。また提供方法はこれに限られず、音声出力装置を介してユーザに提供されるといった他の形式で提供されうる。ユーザはこれらの教育やワークを実施することによってメンタルケアを行うことができる。ここで、ヘルスケアアプリでの通常コンテンツ型とは各ワークの提供形式が動画やチャットボットなど治療効果を考慮して最適化した形式で提供されるもの、動画コンテンツ型とはワークを可能な限り動画として提供するように構成されたものを指す。
HEXAD SCALEでの分類に対応したメンタルヘルスアプリとしては、目的意識を感じられるシステムを好むPhilanthropistタイプには、たとえばメンタルヘルスの評価尺度の質問項目による評価が多めに挿入され、目標の到達感を得られることを重視したアプリA、達成感を重視するAchieverタイプに向けてはプログラムのエクササイズの評価点を表示し、日々の実感を重視するようなアプリB、自己表現要素があるFree Spiritタイプには自由記載による回答を含ませ、それが後から確認でき、推移がわかるような工夫のくわえられたアプリC、社会とのつながりによって動機づけられるSocializerタイプにはグループカウンセリングのエクササイズが加えられたアプリD、報酬によって動機づけられるPlayerタイプにはエクササイズによってインセンティブが与えられるアプリE、変化を好み、システムを破壊したり、混乱させたりするDisruptorタイプには新しいエクササイズが次々と提供されるアプリFなど、それぞれの特性に適合したエクササイズやワークを提供する、あるいはシナリオを提供する構成を持つ提供プログラムを用意し、記憶装置102に記憶している。なお、ゲーミフィケーションによる動機づけのタイプがこれ以外の分類を用いた場合はその動機付けに適合した構成を持つ提供プログラムが用意され、記憶されることはいうまでもない。また、提供プログラムとしてはメンタルヘルスケアアプリだけに限られず、ヘルスケアアプリ、ゲーム、自立支援アプリや、人事評価用のコンテンツ、教育プログラムなども当然含まれる。
【0025】
(実施例1)
本実施例ではメンタルヘルスケアを対象としたメンタルヘルスケアシステムの一例を以下に、
図4を参照しながら説明する。本実施例で用いられるメンタルヘルスケアのシステム1(制御プログラムを含む)は情報処理端末110の記憶装置102に記憶され、記憶装置102から読み出された制御プログラムが制御装置101で制御され、表示装置103や入力装置104、測定装置106,116等と連携しながら実行される(本実施例では前述の提供プログラムを提供するメンタルヘルスケアシステムを例とする)。本実施例では対象者の情報処理端末110としてスマートフォンが用いられている。本メンタルヘルスケアシステムの制御プログラムが起動される(401)と、まず、(402)記憶装置102に記憶されたこころとからだの量的指標であるPHQ-9質問項目を読み出す。制御プログラムは質問項目を情報処理端末110に転送し、表示装置103にそれらの質問を表示させる。ユーザは表示装置103に表示された質問に対して、表示に従って入力装置104を介して4点法で回答する(表示されている0-4の数字のうち該当する点数を選択)。情報処理端末110は入力された数値を制御装置に返し、制御装置101は各質問に対して入力された数値を合計し、合計点を算出する。この合計点が、0〜4点はなし、5〜9点は軽度、10〜14点は中等度、15〜19点は中等度〜重度、20〜27点は重度の症状レベルであると評価する。ここで、20-27点の場合はアプリによるカウンセリングは不適としてオンライン診療や実際の医療機関の受診を促す。つぎに、(403)BIG5の質問項目をフロー402と同様に実施する。そして、開放性、調和性が所定値より高く、情緒安定性が所定値より低くない場合、アプリによるカウンセリングに適性ありと判断する。適性なしとなったものについては、オンライン診療や医療機関の受診を推奨する。最後に、(404)前述の(ユーザが利用する媒体としての情報処理端末の利用状況)にしたがって、対象者の情報処理端末への適性に従って、タイプ(2)の場合は動画中心の動画コンテンツ型を提供するプログラムを、タイプ(3)の場合は通常コンテンツ型を提供するプログラムを提供する。また、タイプ(1)の場合は、オンライン診療や実際の医療機関の受診を促す。プログラムの提供後に実施状況や、治療効果を周知の方法で測定し、プログラムの脱落率や治療効果を評価すると都合がよい。上述のように提供プログラムは所定のアルゴリズムによってなされ、そのアルゴリズムや基準値は記憶装置に記憶されている。なお、所定のアルゴリズムに代えて、各適性評価の結果からAIによって提供プログラムを選択するようにしてもよい。さらに、提供プログラムの適性の評価にはユーザの国籍、居住地、職業、学歴などの社会的要因、性別や年齢層などの生物的要因の情報を加えて、タイプを判断してもよい。また、提供プログラムについては、UI/ UXもこれらの特性に応じて、例えば、高齢者の男性で情緒安定性が高いタイプは落ち着いた配色できっちりした印象を与えるもの、若い女性で調和性が高い女性は明るくポップな印象を与えるものなど、変化させてもよい。これらの提案については一つの提案に基づいて進めるもの、あるいは複数の提案からユーザが選べるようにするなどの変形も可能である。
【0026】
(実施例2)
本実施例では教育コンテンツを提供する提供プログラムである。基本的な制御プログラムのフローは前述と同様に、システムの各部が連携されて実施される。本教育プログラムでは、例えば数学の問題の解法を講師が解説する複数の動画からなる動画コンテンツ型と、チャットボット形式で回答を導くワークと動画からなる通常コンテンツ型などが挙げられる。本実施例では,過去のスマホの利用状況(オンライン会議、通話、SNSや、メールなどの履歴)からユーザの特性(BIG5と相関)を評価し、調和性が所定値より高いことが確認された場合、さらに前述の(ユーザが利用する媒体としての情報処理端末の利用状況)の評価から、提供プログラムとして動画コンテンツ型、通常コンテンツ型を提供プログラムとして選択する。またここで、状態診断として、ユーザのアプリの実施状態として、ユーザのアプリの利用時間の想定の質問項目として例えば、ユーザに「1.家庭での勉強時間、2.通学中」の質問を情報処理端末を介して回答を促す。これらは制御プログラムを介して行われ、通学中が想定されている場合は、前記ルーチンでは通常コンテンツが選択されていた場合でも動画コンテンツを提供プログラムとして選択するようにしても良い。これは通学中は双方向の作業がしにくいという状況による。上述の実施例と同様にプログラムの提供後に実施状況や、学習効果を周知の方法で測定し、プログラムの脱落率や学習効果を評価すると都合がよい。
【0027】
(実施例3)
(アセスメントへのゲーミフィケーションの応用)
一般的に、ヘルスケアやメンタルヘルスケアのアプリではユーザに対して、ユーザの健康状態や精神状態を評価するための尺度によってユーザの状態を評価する。そのために、多数の質問項目をユーザに提供し、回答を促しているが、その質問自体がユーザに対してストレスとなって正確な状態を把握するための妨げになっていることを発明者らは知得した。そこで、本明細書でも質問の仕方を音声入力にしたり、パッシブな方法による回答の取得など提案するが、本実施例ではさらに、ゲーミフィケーションを利用したアセスメント方法を提案するものである。
本実施例では、前述のスマートフォン用ゲームアプリを利用したメンタルヘルスケアシステム(システム2)にインストールされたソフトウェアプログラムの実行したものを例示する。本ソフトウェアは記憶装置133に記憶され、情報処理端末110のフロントエンドとサーバ130のバックエンドとして連携して動作している。フロントエンドは制御装置101が主体となり、バックエンドは制御装置132が主体となりそれぞれが情報処理端末110とサーバ130の各部と連携制御しながら本ソフトウェアプログラムの機能を実行する。まず、ユーザがユーザの情報処理端末から本アプリ(フロントエンド)を実行すると、制御装置101がソフトウェアプログラムの実行、フロントエンドの制御を開始し、制御装置132はバックエンド側の処理を開始する。制御装置101は記憶装置133に記憶されたゲームアプリ(機能、モジュールでもよい)を呼び出し、ユーザは情報処理端末110を介してゲームアプリを実行する(記憶装置102にダウンロードしても良い)。ゲームアプリの実施については前述同様とする。そして、ユーザの動機づけ特性に対応したゲーム要素の各機能(i)-(vi)の参照回数を記憶装置133に記憶している。本実施例では、制御装置132は、各回数を記憶装置133から読み出し、条件分岐の条件として利用して最終的にユーザタイプを判定し、その判定結果を記憶装置133にユーザ情報と関連付けて記憶する。この判定のための分類の条件分岐の例としては、まず、機能(i)の回数を評価し10回以上の場合は、Philanthropistタイプとし、10回未満の場合、次に機能(ii)の回数を評価し、10回以上の場合はAchieverタイプとし、10回未満の場合は、次に機能(v)の回数を評価し、20回以上の場合はPlayer タイプとし、20回未満の場合は、次に機能(iii)の回数を評価し、20回以上の場合はFree spiritタイプとし、20回未満の場合は、次に機能(iv)の回数を評価し、10回以上の場合は、Socializerタイプ、10回未満の場合はDisruptorに分類する(なお、分類に用いる閾値は適宜設定することができる)という制御を行っている。ここで、ユーザタイプが判定されたら、表示装置103でユーザタイプを表示するようにしてもよい。
【0028】
次に、本アセスメントがゲーム機能を提供するプラットフォームの一部など、ゲームを推奨するものであった場合、情報処理端末110の制御装置101は、記憶装置133にあらかじめ記憶された、
図7に記載されるようなユーザタイプ群と、推奨ゲームタイプ群および/または推奨ゲーム群との関連付け情報に基づいて、ユーザに対して、ユーザのタイプに適合した、推奨ゲームタイプおよび/または推奨ゲームを情報処理端末の表示装置を介して提案する。(なお、ユーザタイプとゲームに含まれるゲーム要素(ゲームに含まれる機能)が対応付けられるので、異なるユーザタイプに対して、同じカテゴリのゲーム(ゲームの場合であって、メンタルケア用アプリであったら、認知行動療法と、マインドフルネスなどのカテゴリ)が割り当てられる場合も存在する。たとえば、achieverタイプにシューティングゲームD、disruptorタイプにシューティングゲームEという場合もある。また、一つのゲーム要素に対して、一つのユーザタイプを割り当てるようにしてもよいし、一つのゲーム要素が複数のユーザタイプの特性に関連する場合は、この複数のユーザタイプに関連するゲーム要素を含むゲームの場合は一つのゲームを複数のユーザタイプに対応付けても、一つのゲームが複数のゲーム要素を含む場合は一つのゲームを複数のユーザタイプに対応付けることもできる。ただし、これに限られず、関連付け情報として、一つのユーザタイプと一つのカテゴリとを対応付ける、一つのゲームは一つのユーザタイプのみに対応付けるという設計にすることもできる。)
次に、本アセスメントが教育用アプリ(プログラム)や、それらを提供するプラットフォームであった場合、ゲーム機能と同様に、ユーザタイプ群と、推奨アプリ(モジュール)タイプ群および/または推奨アプリ(プログラム、モジュール)群との関連付け情報に基づいて、ユーザに対して、ユーザのタイプに適合した、推奨アプリ(モジュール)タイプおよび/または推奨ゲームを情報処理端末の表示装置を介して提案する。ここで、モジュールとは一つのアプリの中で使用されるワークやエクササイズなどのセットを意図している。
次に、本アセスメントがヘルスケアアプリ(特に、メンタルヘルスケアアプリやプログラム)や、それらを提供するプラットフォームであった場合、ゲームと同様に、ユーザタイプ群と、推奨アプリ(モジュール)タイプ群および/または推奨アプリ(モジュール)群との関連付け情報に基づいて、ユーザに対して、ユーザのタイプに適合した、推奨アプリ(モジュール)タイプおよび/または推奨ゲームを情報処理端末を介して提案する。ここで、モジュールとは一つのアプリの中で使用されるワークやエクササイズなどのセットを意図している。
次に、本アセスメントが人事評価アプリや、それらを提供するシステムの一部であった場合、情報処理端末の制御装置は、記憶装置133にあらかじめ記憶された、
図8に記載されるようなユーザタイプ群と、ユーザの典型的な行動様式群との関連付け情報に基づいて、評価したユーザのタイプに適合した行動様式を情報処理端末を介して出力する。対象者の動機づけの特性を知ることで組織の中での位置づけ、担当業務などの適性の参考とすることができる。
また、関連付けはゲーミフィケーションで用いられる動機づけだけでなく、BIG5のような行動特性や、心理学に基づく性格評価などの他の分類と組み合わせたもので分類を行って関連付けを行ってもよい。
本実施例でも実施例1と同様に端末の利用適性に応じて提供するプログラム(アプリ、アプリケーションプログラム)等を修正できることは言うまでもない。
【0029】
(実施例4)
(ゲーミフィケーションアセスメントによるプログラム特性評価)
本実施例ではメンタルヘルスケアを対象としたメンタルヘルスケアシステム2の一例を以下に、
図4を参照しながら説明する。本実施例のシステム2は、メンタルヘルスケアアプリ(制御プログラム)が、サーバ130の記憶装置133に記憶され、記憶装置133から読み出された制御プログラムが制御装置132で制御され、また、情報処理端末110の制御装置101と連携しながら、表示装置103や入力装置104、測定装置106,116等を制御して実行される(本実施例では前述の提供プログラムを提供するメンタルヘルスケアシステムを例とする)。本実施例では対象者の情報処理端末110としてスマートフォンが用いられている。本メンタルヘルスケアシステムの制御プログラムが起動される(401)と、まず、(402)記憶装置133に記憶された、HEXAD SCALEの量的指標(尺度)である質問項目を読み出す。制御プログラムは質問項目を情報処理端末110に転送し、情報処理端末の制御装置101が、情報処理端末側の制御を行い、表示装置103に表示させる。ユーザは表示装置103に表示された質問項目の質問に対して、表示に従って入力装置104を介して7点法で回答する(表示されている0-6の数字のうち該当する点数を選択)。情報処理端末110は入力された数値をサーバ130に返し、制御装置132は各質問に対して入力された数値を記憶装置133に記憶する。サーバ130では、制御装置132が、所定の手続きに従って、上記点数に基づいて、ユーザのタイプを6つのタイプに分類する。((903)ここで前述の(ユーザが利用する媒体としての情報処理端末の利用状況)の手順にしたがって、対象者の情報処理端末への適性を判定して、後述のそれに応じてユーザのタイプに応じて提供されるプログラムを修正してもよい。)(904)次に、記憶装置133に記憶された、複数のヘルスケアアプリ(プログラム)の中から、ユーザのタイプに適合するプログラムを、記憶装置133に記憶される、タイプとプログラムの対応関係を示すリストや条件分岐用の選択式のような関連付け情報あるいは、提供プログラムや本プログラムに含まれるユーザタイプとの適合に関する関連付け情報に基づいて選択して、そのプログラムの実行方法に基づいて、ユーザの情報処理端末110の表示装置を介してユーザに提供する。
本実施例ではメンタルヘルスケアアプリを例に出したが、その他のヘルスケアアプリ、ゲームアプリ、教育プログラムアプリ、自立支援アプリや、分類方法や、関連付け情報を提供する人事評価システムなどに応用できることは言うまでもない。
【0030】
(実施例5:インセンティブ)
上述の実施例では、ユーザの行動や心理的特性に適合したプログラムを提供すること、あるいは、ユーザの動機づけ特性へ適合した提供プログラムの提供、さらにはその提供プログラムの選択にユーザの情報処理端末への適性の要素を加えて修正する技術を教示してきたがこれに限られず、ゲーミフィケーションに関する動機づけを用いたインセンティブの付与に用いることもできる。具体的には、提供プログラムにインセンティブを提供する機能を追加することである。これは、社会性にそれほど興味を持たないPlayerのユーザタイプの利用者に対して、他のユーザとの共有の場などを提供しても、興味を持たずに、むしろ、うっとおしく思うような課題を解決することもできる(ユーザタイプの特性に合わないインセンティブ機能を与えてると、インセンティブとならないばかりではなくむしろ妨げになってしまうことがある)。例えば、上述のように、ユーザはシステムの動機づけのユーザタイプを判定する。そして、システムからユーザに提供する提供プログラム自体は本質的に同じものを皆に提供し、インセンティブを提供する付加的な機能を追加することである。一例をあげると、メンタルヘルスケアのシステムにおいて、Socialiserのユーザタイプのユーザに対しては、メンタルヘルスケアアプリを提供するとともに、このアプリと連携して、他のユーザと共有できるBBS機能を設け、メンタル不調の状態を共有できるようにする機能を追加したり、Achieverのタイプのユーザに対しては、アプリに含まれるエクササイズを実施するごとに自分の選択したキャラクタ(典型的には動物)が成長するような機能を追加することなどである。またはこれはメンタルヘルスアプリだけに限られず、ゲームや教育プログラム、自立支援(シングルマザー、引きこもり、うつ病)においても、たとえば、Playerのタイプのユーザには集めることで商品と交換できるポイントを実施時間に応じて提供する機能を追加し、ユーザのエンゲージメントを高めることができる。
【0031】
これらの動機づけ機能を使ってユーザの満足度を向上させること、継続率を向上することができる。
【0032】
(データベース)
本発明を基にしたデータベースの一例を
図5に示した。データベースは例えば
図1のサーバ120に含まれる。
図5ではシステムに参加してプログラムの提供を受け、実行している4者のデータが記録され、Aは二つのプログラムの提供を受けていること、B、C、Dは1つのプログラムの提供を受け、Dについては現在実施中のために、脱落率、効果は現時点では記録されていないが、プログラムが完了し、結果の評価がなされると記録される。データベースにはユーザとプログラム(属性)、アプリ適性、情報処理端末適性、状態適性、脱落率、効果などが記憶されている。プログラム(属性)とは特定のユーザに提供されたプログラムとその属性、アプリ適性はそのユーザの提供されたアプリ適性を示すもので、たとえば、BIG5でそのアプリへの適性が評価される特性を100%として時のそのユーザの特性の評価値の割合、複数の特性などがある場合は、それぞれの割合、合計値やパターンなどを記憶してもよい。端末適性はそのユーザが利用する情報処理端末とユーザの親和性、状態適性とはユーザが提供時にそのプログラムを実施することの準備ができているかなど、上述の実施例で評価された適性が記入される。次に、脱落率は提供されたプログラムをユーザがどのくらい実施したか、ここでは最後まで実施した場合を0%、半分で脱落した場合を50%としている。最後に提供されたプログラムの効果(評価)を記憶している。これは、ゲームの場合はユーザの満足度、教育向けであれば平均点の向上、ヘルスケアアプリであれば治療効果を指し、主観的指標や客観的指標や測定を用いることが可能である。また、各評価値は定性的、あるいは定量的な評価も用いることができる。これらのデータベースの記録を基にして提供プログラムを選択するための各評価値の閾値を変更することができる。また、これらのデータベースの記録を教師データとして、機械学習し、AIによって、提供するプログラムを選択するようにしてもよい。また、データベースの記録項目としてはこれに限られるものではなく、少なくとも提供されるプログラム(プログラムとはそのプログラム属性だけの場合を含む)と、そのユーザのそのプログラムへの適性と実施状況に関する情報(脱落率など)またはそのユーザがプログラムを実施して得られた効果の情報を含むのが好ましい。
【0033】
ユーザのプログラムに対する適性とユーザの情報処理端末に対する適性あるいはユーザのプログラムを受けられるか同課に関する現在の状態に関する情報はそれぞれ別途入手してもよいし、いずれか、あるいはすべてまとめてデータベースやユーザから入手してもよい。
【0034】
本願の実施例では文字による質問項目への回答を促す構成を例示してきたが、質問項目に対する回答の信ぴょう性を確認するための既知の技術を用いた質問枝とし、信ぴょう性がない場合には再度回答を促す、信ぴょう性がない場合には適性がないというように判断して処理を進めることができる。また、文字による質問項目に代えて、音声による質問に対してユーザの回答を促すように構成しても良い。また回答を音声とした場合、その音声成分を分析してその回答の信ぴょう性を判断する技術を用いて適性等の判断を修正しても良い。
【0035】
プログラムの適性は、さらにその他、周知の方法で代替えできる。たとえば、提供するプログラムと同種のプログラムを使用した実施、継続状況などを利用することができる。
【0036】
本発明ではシステム1の情報処理端末だけでスタンドアローンで動作するアプリケーションプログラムとシステム2の情報処理端末とサーバとの協同で動作するアプリケーションプログラムを例示しているがこれに限られずに、いろいろの構成のシステムで利用することができる。また、システム2の共同動作の場合は、制御を情報処理端末の制御装置が主体となる場合、サーバの制御装置が主体となる場合、それぞれが協同して連携して動作させる場合、テンポラリなデータ、特性やタイプなどのデータ、ユーザタイプとプログラムを対応付けるデータ、システムで操作するソフトウェアプログラム、ゲームやヘルスケアアプリや教育プログラムなどのプログラム、ユーザデータは適宜、情報処理端末の記憶装置とサーバの記憶装置のいずれか一方、または両者に分散して記憶して保存することができる。そして、当業者に周知の方法でそれぞれが接続されて連携して動作させることができる。
【0037】
上述の実施例ではユーザのタイプと提供するプログラムを1対1で対応付けて処理していたが本発明の範囲はこれに限られない(なお、一つのプログラムが複数のユーザタイプに対応付けられる場合もある)。
たとえば、ゲーミフィケーションで用いられるそれぞれの機能の点(回数)を同時期にこのゲームを行ったユーザ間で評価して、それぞれの点の全体の中での順位に換算し、上位20%は5、次の20%は4というように、1-5の評価点として、ユーザの6つの特性について評価を付ける。たとえばあるユーザAは、Philanthropist 4点、Achiever 2点、Free Spirit 5点、Socializer 4点、Player 3点、Disruptor 2点のようになった。ここで、この評価点の複合体をユーザのタイプとして、レーダーチャートのようにグラフィカルに表示してユーザに提示してもよい。つづいて、提供されるプログラムについても特定の一つに分類するのではなく、システムに提供プログラムを登録(記憶)する際に、同時にたとえば3つのまでの特性を登録する、例えば、プログラムAはFree Spirit 5点、 Philanthropist 5点、Socializer 5点、プログラムBはPhilanthropist 4点、Socializer 4点、プログラムCはDisruptor 5点、Achiever 5点などである。ここで、システムがあるユーザAのユーザタイプを判定し、つぎにそのユーザタイプに適合するプログラムを提示する際に、ユーザの評価点と、記憶装置に保存されたプログラムの特性を比較し、相関係数が所定値よりも高いものを適合するものとして提示する。ここでは、プログラムAについては3つの特性について、プログラムBについては2つの特性について、ユーザAの特性と相関関係数が所定値以上となり、適合と判断される、また、プログラムCについては2つの特性についてユーザAの特性との相関係数が所定値以下となり、不適合と判断される。なお、このマッチング評価はあくまで一例であり、当業者周知のパターンマッチング手法を使って適合性を判定しても良いことはいうまでもない。
【0038】
上述の実施例はそれぞれが独立したものではなく、それぞれの要素を組み合わせることができることも言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
100 システム
101 制御装置
102 記憶装置
103 表示装置
104 入力装置
105 通信装置
106 測定装置
110 情報処理端末
116 測定装置
120 ネットワーク
130 サーバ
131 通信装置
132 制御装置
133 記憶装置
【要約】
【課題】プログラムの提供システムおよびその方法を提供する。
【解決手段】
入出力装置と端末制御装置と端末記憶装置を有するユーザの情報処理端末であって、
ゲーミフィケーションに関する動機づけ項目を評価するための複数の機能を含むゲームが前記端末記憶装置に記憶された情報処理端末であって、
前記端末制御部は、
前記ゲームを前記ユーザに提供し、前記ユーザが前記情報処理端末を用いて前記ゲームを実行し、
前記ゲームの実行後に、前記複数の機能のユーザによる実施結果を評価し、その評価結果に基づいて、前記ユーザの動機づけのタイプを判定し、
前記判定されたタイプに関連付けられた提供プログラムを前記ユーザに提案する、情報処理端末。
【選択図】
図1